説明

放射性廃棄物自動測定装置

【課題】放射性廃棄物を収納した袋を所定の容器に入れることにより、放射線量率、重量等が自動測定され、金属の混入の有無も自動に検査される放射性廃棄物自動測定装置を提供する。
【解決手段】放射性廃棄物を収納した袋11を収容し得る容器と、容器に収容される袋の放射線量を測定する放射線量測定部3と、測定したデータを表示用データとして処理するデータ処理部4と、処理後のデータに基づいて放射線測定値を表示する表示部2とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原子力発電所等で発生した放射性廃棄物を収納した袋の放射線量や重量を容易に測定できる放射性廃棄物自動測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
放射性廃棄物を収納した袋の放射線量率による分別では、放射線管理担当者等がサーベイメータ等により、一袋ずつ測定し、記録している。重量による分別においても放射線量率と同様、一袋ずつ重量系に載せることにより行っている。
【0003】
また、内容物により可燃、難燃、不燃の分別も行っているが、可燃袋内への金属物混入は、焼却設備への悪影響から厳重に規制されており、黙視や手持式の金属探知機用いて一袋ずつ検査している。
【0004】
さらに袋毎に内容物、放射線量率、会社名、発生場所等を記載したステッカー類の貼付も必要で、現場に筆記具を持ち込み、一枚ずつ手書きでこのステッカーを作成する必要がある。
【0005】
処理した放射性物質の量(袋量)は、それを処理した会社、作業件名、発生場所等、各項目毎に集計処理し、施設設置者等に報告している。
【0006】
なお、放射性廃棄物内の金属識別方法および装置として、袋を開放せずに内部の放射性廃棄物に金属類が混入しているかいないか、混入していた場合その形状を検査する放射性廃棄物内の金属を識別し、ID管理を容易にする目的で、放射性廃棄物をテーブルに搭載し、このテーブルを水平往復移動、回転等してX銭撮像装置で撮像し、濃淡度合いから放射性廃棄物に混入する金属類の有無を認識する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2002−139460号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述の従来技術では、放射性廃棄物を収納した袋の放射線量、重量、金属混入の有無等の各種測定や検査は、人手による一袋毎の作業である。
【0008】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、放射性廃棄物を収納した袋を所定の容器に入れることにより、放射線量率、重量等が自動測定され、金属の混入の有無も自動に検査される放射性廃棄物自動測定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記の目的を達成するために、請求項1に係る発明では、放射性廃棄物を収納した袋を収容し得る容器と、前記容器に収容される袋の放射線量を測定する放射線量測定部と、測定したデータを表示用データとして処理するデータ処理部と、処理後のデータに基づいて放射線測定値を表示する表示部とを備えたことを特徴とする放射性廃棄物自動測定装置を提供する。
【0010】
請求項2に係る発明では、放射性廃棄物を収納した前記袋の重量を測定する重量測定部を有する請求項1記載の放射性廃棄物自動測定装置を提供する。
【0011】
請求項3に係る発明では、放射性廃棄物を収納した前記袋内に収容されている金属物の有無を検知する金属探知機部を有する請求項1または2記載の放射性廃棄物自動測定装置を提供する。
【0012】
請求項4に係る発明では、放射性廃棄物の内容物名、発生場所等を入力する入力部を有する請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の放射性廃棄物自動測定装置を提供する。
【0013】
請求項5に係る発明では、測定した放射線量および入力情報が記載された放射性廃棄物を収納した袋への貼付用ステッカーを作成するステッカー処理部、測定したデータおよび入力したデータを記録し計算処理を行うデータ演算部、および測定情報を音声情報とする音声発生装置の少なくともいずれかを有する請求項1記載の放射性廃棄物自動測定装置を提供する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、放射線管理担当者等による放射性廃棄物を収納した袋の放射線量測定が不要で、作業担当者等が放射性廃棄物を収納した袋を本装置に入れるだけで袋の放射線量率等を知ることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明に係る放射性廃棄物自動測定装置の一実施形態について図面を参照して説明する。図1は、本実施形態による放射性廃棄物自動測定装置の機械的構成を示す構成図であり、図2は機能ブロック図である。図3は処理手順を示すフローチャートである。
【0016】
(1)図1および図2に示すように、本実施形態の放射性廃棄物自動測定装置20は、放射性廃棄物を収納した袋11を入れる容器部3aを備えた箱状容器1と、この箱状容器1の内部に配置された放射線量を測定する放射線量測定部3と、測定したデータを処理するデータ処理部4と、放線測定値を表示する表示部2とを備えている。
【0017】
このような構成において、放射性廃棄物を収納した袋11を箱状容器1の放射線量測定部3の容器部3aに入れる。袋11内の放射性物質から放出される放射線量を放射線量測定部3で測定し、データ処理部4で処理された測定値は表示部2に表示される。
【0018】
なお、本実施形態の装置は設置場所のバックグラウンド線量の影響を排除するため、放射線量測定部3の放射線検出器には、その場所に応じた適切な厚みの遮蔽が施されている。
【0019】
この構成によれば、放射線管理担当者等による放射性廃棄物を収納した袋11の放射線量測定が不要で、作業担当者等が放射性廃棄物を収納した袋11を本装置に入れるだけで袋11の放射線量率等を知ることが可能となる。
【0020】
(2)次に、本実施形態では、放射性廃棄物を収納した袋11の重量を測定する重量測定部5を備えている。重量測定部5は例えば容器部3aの下方には位置されている。
【0021】
この構成において、測定時には放射性廃棄物を収納した袋11を箱状容器1に入れる。箱状容器1の底面に配置された重量測定部5が袋11の重量を測定し、その測定値は放射線量等とともに表示部2に表示される。
【0022】
このような構成によれば、作業担当者等が放射性廃棄物を収納した袋11を箱状容器1に入れるだけで袋11の重量を知ることが可能となる。
【0023】
(3)次に、本実施形態では、放射性廃棄物自動測定装置と放射性廃棄物を収納した袋11内の金属物の有無を検知する金属探知機部6を備えている。
【0024】
この構成において、測定時に放射性廃棄物を収納した袋11を箱状容器に入れると、金属探知機6がその袋11内の金属の有無を検知し、その結果は放射線量率と共に表示部2に表示される。
【0025】
このような構成によれば、作業担当者等が放射性廃棄物を収納した袋11を箱状容器1に入れるだけで袋11内の金属物の有無を知ることができる。
【0026】
(4)次に、本実施形態では、放射性廃棄物自動測定装置と入力部7を備えている。
【0027】
この構成において、放射性廃棄物を収納した袋11を箱状容器1に入れた後、内容物や発生場所等の必要事項を入力する。
【0028】
このような構成によれば、内容物や発生場所等の必要事項の入力が可能となる。
【0029】
(5)次に、本実施形態では、内容物名、発生場所等を入力する入力部7と測定した放射線量や入力情報が記載された放射性廃棄物を収納した袋11への貼付用ステッカーを作成するステッカー処理部8を備えている。
【0030】
このような構成において、測定時には放射性廃棄物を収納した袋11を箱状容器1に入れる。その袋11の内容物、発生場所等を入力部から入力する。ステッカー処理部8により測定した放射線量および入力した内容物、発生場所等の記載されたステッカーがプリントアウトされる。
【0031】
このような構成によれば、作業担当者等が放射性物質を収容した袋11を本装置に入れ、必要に応じて内容物名、発生場所等を入力部から入力だけで袋11に貼付するステッカーを作成することが可能となる。
【0032】
(6)次に、本実施形態では、内容物名、発生場所等を入力する入力部7と測定したデータや入力したデータを記録し、計算処理等を行うデータ演算部9を備えている。
【0033】
このような構成において、測定時には放射性廃棄物を収納した袋11を箱状容器1に入れる。その袋11の内容物名、発生場所等を入力部から入力する。測定した放射線量データや入力したデータはデータ演算部9に記録される。
【0034】
このような構成によれば、作業担当者等が放射性物質を収容した袋11を本装置に入れ、必要に応じて内容物名、発生場所等を入力部7から入力だけで袋数の集計等が自動で行えるようになる。
【0035】
(7)次に、本実施形態では、測定情報等を音声情報とする音声発生装置10を備えている。
【0036】
このような構成において、測定時には放射性廃棄物を収納した袋11を箱状容器1に入れる。この場合、「測定中です」等の案内や、測定した放射線量率情報が音声発生装置10により、測定結果が音声情報として提供される。
【0037】
このような構成によれば、作業担当者等が放射性物質を収容した袋11を本装置に入れるだけで、「測定中です」等の案内や測定した放射線量率情報を音声情報として入力することが可能となる。
【0038】
(8)次に、図3により上記各構成に基く作業手順について説明する。図3に示すように、本実施形態では、作業者の指定により予め処理項目の選択が行われる(S1)。選択がされると、選択項目にしたがって自動的に処置が実行される(S2)。
【0039】
処理が実行されると、所定の表示が行われる(S4)。そして、記録の要否判断が行われ(S4)、「要」であると記録が行われる(S5)。記録が不要の場合および記録が行われた後には、継続処理の要、不要が判断され(S6)、継続処理要の場合にはステップS1に戻り、終了するまで処理が繰り替えされる。
【0040】
以上の本実施形態によれば、放射線管理者等による放射線量率測定が不要となるばかりでなく、重量や金属物混入の有無の把握が容易になり、貼付ステッカーの作成、袋数の集計、等も簡便に行えることから、廃棄物処理に要する被曝、工数の低減が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明に係る燃料集合体の一実施形態を示す全体概略断面図。
【図2】図1に示した燃料集合体のブロックを示す拡大図。
【図3】作用を示すフローチャート。
【符号の説明】
【0042】
1 箱状容器
2 表示部
3 放射線量測定部
4 データ処理部
5 重量測定部
6 金属探知機部
7 入力部
8 ステッカー処理部
9 データ演算部
10 音声発生装置
11 袋
20 放射性廃棄物自動測定装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射性廃棄物を収納した袋を収容し得る容器と、前記容器に収容される袋の放射線量を測定する放射線量測定部と、測定したデータを表示用データとして処理するデータ処理部と、処理後のデータに基づいて放射線測定値を表示する表示部とを備えたことを特徴とする放射性廃棄物自動測定装置。
【請求項2】
放射性廃棄物を収納した前記袋の重量を測定する重量測定部を有する請求項1記載の放射性廃棄物自動測定装置。
【請求項3】
放射性廃棄物を収納した前記袋内に収容されている金属物の有無を検知する金属探知機部を有する請求項1または2記載の放射性廃棄物自動測定装置。
【請求項4】
放射性廃棄物の内容物名、発生場所等を入力する入力部を有する請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の放射性廃棄物自動測定装置。
【請求項5】
測定した放射線量および入力情報が記載された放射性廃棄物を収納した袋への貼付用ステッカーを作成するステッカー処理部、測定したデータおよび入力したデータを記録し計算処理を行うデータ演算部、および測定情報を音声情報とする音声発生装置の少なくともいずれかを有する請求項1記載の放射性廃棄物自動測定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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