放射線モニタ
【課題】遠隔操作で波高弁別レベル以外の設定値を変更することによって、効率的に測定ユニットの各種設定を行うことができる放射線モニタを提供することである。
【解決手段】放射線検出器で検出した放射線の検出結果を電気パルス信号に変換する検出ユニットと、電気パルス信号に基づいて放射線を測定する放射線測定手段を有する測定ユニットと、遠隔にて測定ユニットを制御する監視ユニットと、放射線検出器に校正用線源を照射する校正用線源照射手段とを備えた放射線モニタであって、測定ユニットは、電気パルス信号の波高スペクトルを測定する波高スペクトル測定手段、制御手段、記憶手段を有し、監視ユニットは、監視手段を有し、測定ユニットで校正用線源の波高スペクトルを測定して波高スペクトルデータを監視ユニットに送信し、波高スペクトルデータに基づいて監視ユニットから遠隔にて測定ユニットの設定値信号を出力するものである。
【解決手段】放射線検出器で検出した放射線の検出結果を電気パルス信号に変換する検出ユニットと、電気パルス信号に基づいて放射線を測定する放射線測定手段を有する測定ユニットと、遠隔にて測定ユニットを制御する監視ユニットと、放射線検出器に校正用線源を照射する校正用線源照射手段とを備えた放射線モニタであって、測定ユニットは、電気パルス信号の波高スペクトルを測定する波高スペクトル測定手段、制御手段、記憶手段を有し、監視ユニットは、監視手段を有し、測定ユニットで校正用線源の波高スペクトルを測定して波高スペクトルデータを監視ユニットに送信し、波高スペクトルデータに基づいて監視ユニットから遠隔にて測定ユニットの設定値信号を出力するものである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、遠隔にて測定ユニットの各種設定を行うことができる放射線モニタに関する。
【背景技術】
【0002】
放射線モニタは、原子力発電施設、核燃料サイクル施設、放射線利用施設等の施設およびその周辺環境の放射線測定の目的で設置されている。上記の施設において、放射線モニタの放射線検出器を含む検出ユニットが設置されるエリアは、ほとんどの場合、放射線管理区域である。点検・調整時の被曝を低減するために、測定ユニットは検出ユニットと離れた、例えば運転操作室に設置されている。
【0003】
従来の放射線モニタは、検出ユニットと測定ユニットの間をケーブルで接続して放射線検出器で検出した電気パルス信号を伝送していた。しかし、電気パルス信号は微小信号であるため伝送距離が長くなるとノイズの影響を受けることがある。
【0004】
そこで、上記のような問題点を解決するために、波高弁別器で電気パルス信号をデジタル信号に変換し、これを光パルス信号に変換して光ケーブルで測定ユニットに伝送する方法が提案されている。波高弁別器は、放射線検出器で検出した電気パルス信号の波高値と、波高弁別器に設定された基準信号とを比較し、基準信号より高い波高値の電気パルス信号に対してデジタルパルス信号を出力する。波高弁別処理されたデジタルパルス信号は、伝送器で光パルス信号に変換されて測定ユニットに伝送される。伝送された光パルス信号は受信器でデジタルパルス信号に変換され、測定ユニットに設けられた計数率計で計数率が求められる。
このようにして、所定エネルギー以上の放射線のパルスの計数率が測定される。また、基準信号源からは波高弁別器の基準信号が光パルス信号で伝送され、遠隔にて波高弁別レベルの設定を行うことができる(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、波高弁別レベルの設定を行うには、チェック線源を検出器にセットしなければならない。また、計数率を基準にして手動で波高弁別レベルの設定を行うには、統計的変動を考慮しなければならず、設定に多大な時間を要する。
【0005】
また、施設の周辺環境の測定を行う場合は、局舎の内部に検出ユニットと測定ユニットを設置し、測定データをテレメータで監視センターに伝送する方法がとられている。この場合、測定ユニットの設定はその都度局舎に出向いてチェック線源を検出ユニットに取り付けなければならない。
【0006】
【特許文献1】特公平6−27841号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来の放射線モニタでは、波高弁別レベル設定を遠隔から行う際、設定の度にチェック線源を検出器にセットしなければならないため、効率が悪くなり、また、波高弁別レベルを下げた場合にノイズに対する裕度が低下する等の問題点があった。
【0008】
この発明は、上記のような問題点を解決することを課題とするものであって、その目的は、遠隔操作で波高弁別レベル以外の設定値を変更することによって、時間をかけることなく、かつノイズに対して裕度を低下させることなく、測定ユニットの各種設定を行うことができる放射線モニタを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明に係る放射線モニタは、放射線検出器で検出した放射線の検出結果を電気パルス信号に変換する検出ユニットと、電気パルス信号に基づいて放射線を測定する、測定するための機器を含み、放射線測定手段を有する測定ユニットと、遠隔にて測定ユニットを制御する監視ユニットと、放射線検出器に校正用線源を照射する校正用線源照射手段とを備えた放射線モニタであって、測定ユニットは、電気パルス信号の波高スペクトルを測定する波高スペクトル測定手段、監視ユニットからの制御指令に基づいて、検出ユニットおよび機器を制御する制御手段、および波高スペクトル測定手段および放射線測定手段の測定結果と、制御指令とを記憶する記憶手段を有し、監視ユニットは、測定結果を処理するとともに、遠隔にて制御信号を出力する監視手段を有し、監視ユニットからの操作信号で校正用線源を放射線検出器に照射し、測定ユニットでは校正用線源の波高スペクトルを測定するとともに、測定結果である波高スペクトルデータを監視ユニットに送信し、波高スペクトルデータに基づいて監視ユニットから遠隔にて測定ユニットの設定値信号を出力するものである。
【発明の効果】
【0010】
この発明の放射線モニタによれば、放射線検出器で検出した放射線の電気パルス信号の波高スペクトルを測定し、波高スペクトルデータをデジタル信号で監視ユニットに伝送し、波高スペクトルデータと基準となる初期値とを比較する構成になっているので、遠隔にて効率的にパルス増幅器のゲインまたは検出器に供給する高電圧を設定することができる。
また、波高弁別レベルを固定した運用が可能になるので、ノイズに対する裕度が低下することもない。
さらに、放射線レベル異常時には当該波高スペクトルデータとあらかじめ記憶された初期値とを比較して分析することにより、検出器の健全性を遠隔にて容易に確認できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、この発明の各実施の形態について図に基づいて説明するが、各図において同一、または相当する部材、部位については、同一符号を付して説明する。
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1に係る放射線モニタを示すブロック図である。
図1において、この放射線モニタは、放射線を検出する検出ユニット31と、放射線の測定および検出ユニット31を操作する測定ユニット32と、測定データの処理および測定ユニット32の制御をする監視ユニット33とを備えている。
検出ユニット31は、放射線を検出してアナログ信号パルスを出力する放射線検出器1と、放射線検出器1に放射線を照射するチェック線源2と、チェック線源2から放射線検出器1を遮蔽するシャッター3とを備えている。ここで、チェック線源2とシャッター3は、校正用線源照射手段であるチェック線源照射手段を構成している。
【0012】
測定ユニット32は、放射線検出器1に高電圧を供給する高圧電源4と、放射線検出器1から出力されたアナログ信号パルスの波高を増幅するパルス増幅器5と、パルス増幅器5で増幅されたアナログ信号パルスの波高値が、所定の範囲に入っている場合にデジタル信号パルスを出力する波高弁別器6と、波高弁別器6から出力されたデジタル信号パルスを計数して、計数データを出力する計数器7と、パルス増幅器5で増幅されたアナログ信号パルスの波高値をピークホールドして波高値データを出力するA/D変換器8とを備えている。
【0013】
また、測定ユニット32は、上記のデータを演算処理する演算器9と、測定データを記憶するメモリ10と、測定データを監視ユニット33に伝送する電気/光信号変換器11とを備えている。
演算器9は、計数器7の出力した計数データおよびA/D変換器8の出力した波高値データを入力して演算処理するとともに、監視ユニット33(後述する)から受信した操作信号および設定値信号に基づいて検出ユニット31を操作し、高圧電源4の高電圧設定、パルス増幅器5のゲイン設定および波高弁別器6の波高弁別レベルを設定する。
また、メモリ10は、演算器9の処理結果である放射線測定データ、波高スペクトルデータ、演算器9が受信した高電圧設定値データ、ゲイン設定値データおよび波高弁別レベル設定値データを格納する。
また、電気/光信号変換器11は、放射線測定データおよび波高スペクトルデータをデジタル電気信号からデジタル光信号に変換して監視ユニット33に送信するとともに、監視ユニット33から受信した操作信号および設定値信号をデジタル光信号からデジタル電気信号に変換する。
【0014】
ここで、A/D変換器8、演算器9およびメモリ10は波高スペクトル測定手段を構成しており、波高弁別器6、計数器7および演算器9は放射線測定手段を構成している。
また、演算器9およびメモリ10は制御手段を構成している。
また、メモリ10には波高スペクトルデータの初期値があらかじめ記憶されている。
【0015】
監視ユニット33は、上記の測定データを受信する電気/光信号変換器12と、上記の測定データを処理する監視装置13とを備えている。
電気/光信号変換器12は、測定ユニット32から受信した放射線測定データおよび波高スペクトルデータをデジタル光信号からデジタル電気信号に変換するとともに、操作信号および設定値信号をデジタル電気信号からデジタル光信号に変換して測定ユニット32に送信する。
また、監視装置13は、演算器9の処理結果である波高スペクトルデータとメモリ10に記憶された波高スペクトルとのスペクトルピークを比較し、スペクトルピークが一致するように測定ユニット32の設定を行う、ピーク比較校正手段(図示せず)を備えており、伝送されてきた放射線測定データおよび波高スペクトルデータを入力して、演算、分析、表示するとともに、測定ユニット32を操作する操作信号とピーク比較校正手段の結果に基づいて高圧電源4の高電圧、パルス増幅器5のゲイン、波高弁別器6の波高弁別レベルを設定する設定値信号とを出力する。
ここで、測定ユニット32と監視ユニット33とは、デジタル光信号を双方向に伝送する光ファイバ14で接続されている。
【0016】
図2は、この発明の実施の形態1に係る放射線モニタの、放射線検出器1にチェック線源2を照射した際の波高スペクトルを示すグラフである。
図2において、横軸は測定対象エネルギーに対応したチャンネルで、縦軸はチャンネルに対応して計数した量、すなわちカウントである。aは線源固有のスペクトルピークの初期状態、bはスペクトルピークが低い側にドリフトした状態、cはスペクトルピークが高い側にドリフトした状態を示している。ここで、スペクトルピークの初期状態は測定ユニット32のメモリ10にあらかじめ記憶されており、監視装置13の表示画面には、初期状態と当該測定データが重ねて表示される。
【0017】
以下、上記構成の放射線モニタについての動作を説明する。
放射線検出器1で検出された放射線は、エネルギーに対応した波高値のアナログ信号パルスに変換されてパルス増幅器5に出力され、パルス増幅器5でその波高値が増幅されて波高弁別器6およびA/D変換器8に出力される。波高弁別器6に出力されたアナログ信号パルスは、波高弁別レベル以上の波高値のものが弁別され、デジタル信号パルスとなって計数器7に出力される。
ここで、波高弁別レベルよりも波高値の低いアナログ信号パルスはノイズとして除去される。また、波高弁別レベルを低と高の2箇所に設けることにより、所定の波高値範囲のアナログ信号パルスを弁別して出力することもできる。
波高弁別器6から出力されたデジタル信号パルスは、計数器7で計数され、計数データは演算器9で例えば、計数率、線量率、濃度等の工学値に変換されて監視ユニット33に出力される。
【0018】
また、A/D変換器8に出力されたアナログ信号パルスは、波高値が測定され、波高値データは演算器9でエネルギーの順番に並べられたチャンネルに対応付けられ、波高スペクトルデータとしてメモリ10に格納される。波高スペクトルデータは、監視装置13からの操作信号により演算器9に取り出されて監視ユニット33に伝送される。
また、監視装置13から操作信号を送信すると、チェック線源照射手段が動作して波高スペクトル測定手段によって波高スペクトルが測定され、波高スペクトルデータが監視ユニット33に伝送されて、スペクトルピークが分析される。
【0019】
通常時は、定周期で波高スペクトルが測定されているが、放射線レベル異常時には、自動で上記の定周期波高スペクトルデータをメモリ10に格納されて、監視装置13から要求することにより波高スペクトルデータが監視ユニット33に伝送され、波高スペクトルデータとメモリ10に記憶された波高スペクトルデータの初期値とを比較分析することにより原因調査をサポートする。
【0020】
続いて、放射線モニタの校正について説明する。
監視装置13から操作信号を測定ユニット32に送信すると、測定ユニット32はチェック線源照射手段を操作して、シャッター3を開けてチェック線源2を放射線検出器1に照射する。放射線検出器1で検出されたチェック線源2のアナログ信号パルスは上記の動作により測定され、波高スペクトルデータが監視ユニット33に伝達される。監視ユニット33では、波高スペクトルデータの線源固有の波高スペクトルピーク位置と初期値とを比較し、初期値からのずれが許容範囲を外れていたら、監視装置13から演算器9に新たな高電圧設定値データ、ゲイン設定値データおよび波高弁別レベル設定値データを送信し、演算器9は更新したデータに基づき高電圧設定値、ゲイン設定値および波高弁別レベル設定値を再度設定する。
【0021】
しかしながら、波高弁別レベル設定値を下げると、ノイズに対する裕度が低下するため、波高弁別レベルを固定し、高電圧設定値とゲイン設定値とを更新するのが望ましい。
また、放射線検出器1がシンチレーション検出器の場合、高電圧の設定を変えるとゲインが大きく変化するので、1年毎の校正では粗調整を高圧電源4の高電圧設定で行い、微調整をパルス増幅器5のゲイン設定で行い、短期の点検はパルス増幅器5のゲイン設定で運用するのが望ましい。
【0022】
また、監視装置13の表示画面に表示された現在値と初期値を見ながら新設定値を手動で設定する方法の代わりに、チェック線源2の操作に連動して、チェック線源2の波高スペクトルデータに基づき監視装置13が最適ゲインを演算して自動設定することもできる。
【0023】
この発明の実施の形態1に係る放射線モニタによれば、チェック線源照射手段と波高スペクトル測定手段を備えることにより、パルス増幅器5のゲインまたは放射線検出器1の高電圧による校正が可能になり、また、波高弁別レベルを変更しないため、ノイズに対して裕度を低下させることなく、遠隔にて効率的に校正を行うことができる。
また、チェック線源照射波高スペクトルの当該測定データと初期値とを比較分析することにより、遠隔から検出器の健全性を診断できる。
さらに、放射線レベル異常時に定周期波高スペクトルデータとメモリ10に記憶された波高スペクトルデータの初期値とを比較分析することにより、原因調査をサポートできる。
【0024】
なお、電気/光信号変換器11および電気/光信号変換器12は無線通信器として、放射線測定データ、波高スペクトルデータ、操作信号および設定値信号を無線デジタル信号として送受信してもよく、同様の効果を奏する。
【0025】
実施の形態2.
図3は、この発明の実施の形態2に係る放射線モニタを示すブロック図である。
図3において、校正用線源照射手段は光パルス照射手段であるLED15とLED15の動作を制御するLEDドライバ16である。その他の構成については、実施の形態1と同様であり、その説明は省略する。
【0026】
図4は、この発明の実施の形態2に係る放射線モニタの、放射線検出器1に光パルスを照射した際の波高スペクトルを示すグラフである。
図4において、dは光パルスを照射した際の波高スペクトルピーク、eは通常状態の波高スペクトルである。ここで、スペクトルピークの初期状態は測定ユニット32のメモリ10にあらかじめ記憶されており、監視装置13の表示画面には、初期状態と当該測定データが重ねて表示される。
【0027】
以下、上記構成の放射線モニタについての動作を説明する。
監視装置13から操作信号を測定ユニット32に送信すると、測定ユニット32は光パルス照射手段を操作して、LEDドライバ16は演算器9からの制御信号に基づきLED15を動作させる。LED15は光パルスを発生して放射線検出器1に照射し、放射線検出器1で検出された光パルスのアナログ信号パルスは上記の動作により測定され、波高スペクトルデータが監視ユニット33に伝送される。
監視ユニット33では、実施の形態1と同様の比較を行って設定値データを送信し、演算器9は受信した設定値データに基づき高電圧設定値、ゲイン設定値および波高弁別レベル設定値を再度設定する。
なお、放射線検出器1としては、光に対して放射線と同様に反応する例えば、Si半導体検出器が用いられる。
【0028】
この発明の実施の形態2に係る放射線モニタによれば、校正用線源照射手段として、LED15とLEDドライバ16で構成される光パルス照射手段を備えることにより、チェック線源2およびシャッター3が不要となり、検出ユニット31の構造が簡素になり、検出ユニット31を小型化することができる。また、コストを低減できるとともに、放射性廃棄物が発生しないという効果も奏する。
【0029】
実施の形態3.
図5は、この発明の実施の形態3に係る放射線モニタの、放射線検出器に校正用線源を照射した際の波高スペクトルを示すグラフである。
ここで、監視装置13には、波高スペクトルデータに基づいて任意の測定範囲の正味計数率を求め、測定範囲を変化させることにより、正味計数率が測定ユニット32にあらかじめ記憶された初期値に一致するように測定ユニット32の設定を自動で行う計数率比較校正手段(図示せず)が、ピーク比較校正手段の代わりに設けられている。
その他の構成については、実施の形態1および2と同様である。また、放射線検出器1は半導体検出器およびプラスチックシンチレーション検出器等である。
【0030】
図5において、iは測定ユニット32のメモリ10に記憶された初期スペクトルで、jは当該測定データである。チャンネルのA〜Bが測定範囲で、スペクトルがiからjにドリフトすると、測定範囲におけるカウントの積算値は減少する。
ここで、チャンネルの測定範囲をA−KからB−KB/Aにシフトすると積算値は初期値に一致する。そこで、パルス増幅器5のゲインを1−K/Aに設定し直すことにより放射線モニタの校正を行うことができる。
【0031】
以下、図6のフローチャートを参照しながら、この発明の実施の形態3に係る放射線モニタの自動校正手順についてさらに詳細に説明する。
まず、監視装置13で例えば校正開始のボタンを押すと、通常スペクトル測定が実行される(ステップS51)。
次に、所定の時間Tが経過するとチェック線源2が照射され(ステップS52)、チェック線源2のスペクトル測定が実行される(ステップS53)。
続いて、所定の時間Tが経過すると各チャンネルについてチェック線源のカウントから通常カウントが引き算されて正味スペクトルが求められ(ステップS54)、正味スペクトルのch.A〜ch.Bのカウントが積算されて正味計数積算値が計算される(ステップS55)。
そして、正味計数率=正味計数積算値/Tが計算され(ステップS56)、チェック線源2の減衰補正率=exp{0.693×(検定からの経過時間)}/(半減期)}が計算される(ステップS57)。
次に、正味計数率減衰補正値=正味計数率×減衰補正率が計算される(ステップS58)。ここで、正味計数率減衰補正値=正味計数率初期値(ステップS59)の場合は、校正を終了する。
【0032】
正味計数率減衰補正値<正味計数率初期値(ステップS60)の場合は、正味スペクトルのch.A−K〜ch.B−KB/Aのカウントが積算されて正味計数積算値が計算される(ステップS61)。但し、Kは1、2、3、・・・の整数で、KB/Aは小数点以下を切捨てた整数とする。
次に、正味計数率=正味計数積算値/Tが計算され(ステップS62)、正味計数率減衰補正値=正味計数率×減衰補正率が計算される(ステップS63)。正味計数率減衰補正値=正味計数率初期値の場合(ステップS64)は、新ゲイン=ゲイン初期値×(1−K/A)が計算されて(ステップS65)、校正を終了する。
【0033】
正味計数率減衰補正値<正味計数率初期値(ステップS60)でない場合は、正味スペクトルのch.A+K〜ch.B+KB/Aのカウントが積算されて正味計数積算値が計算される(ステップS66)。但し、Kは123,・・・の整数で、KB/Aは小数点以下を切捨てた整数とする。
次に、正味計数率=正味計数積算値/Tが計算され(ステップS67)、正味計数率減衰補正値=正味計数率×減衰補正率が計算される(ステップS68)。正味計数率減衰補正値=正味計数率初期値の場合(ステップS69)は、新ゲイン=ゲイン初期値×(1+K/A)が計算されて(ステップS70)、校正を終了する。
【0034】
この発明の実施の形態3に係る放射線モニタによれば、波高スペクトルデータに基づいて正味計数率を求め、その測定値が初期値に一致するように測定ユニット32の設定を自動で行うことにより、波高スペクトルピークが現れない検出器に対しても効率的に放射線モニタの校正を行うことができる。
【0035】
実施の形態4.
図7は、この発明の実施の形態4に係る放射線モニタの、検出ユニット31を示す構成図である。
図7において、検出ユニット31は、放射線を検出してアナログ信号パルスを出力する放射線検出器1と、流入した測定対象試料を必要な容積だけ確保しながら流入した量だけ放出する試料容器17と、試料容器17および放射線検出器1を環境の放射線から遮蔽する鉛シールド18とを備えている。
測定ユニット32および監視ユニット33の構成については、実施の形態1と同様であり、その説明は省略する。
放射線検出器1が、例えばNaIシンチレーション検出器の場合は、それを構成するNaIシンチレータおよび光電子増倍管のガラスの中に天然の放射性同位体であるK−40を含んでいる。また、試料容器17を耐腐食性のガラス補強FRP樹脂で製作した場合、ガラスファイバにも同様にK−40が含まれる。
【0036】
図8は、この発明の実施の形態3に係る放射線モニタの、天然の放射性同位体K−40の固有ピークが現れた波高スペクトルを示すグラフである。
図8において、fはスペクトルピークの初期状態、gはスペクトルピークが低い側にドリフトした状態、hはスペクトルピークが高い側にドリフトした状態を示す。ここで、スペクトルピークの初期状態は測定ユニット32のメモリ10にあらかじめ記憶されており、監視装置13の表示画面には、初期状態と当該測定データが重ねて表示される。
【0037】
以下、上記構成の放射線モニタについての動作を説明する。
放射線検出器1で検出されたK−40のアナログ信号パルスは上記の動作により測定され、波高スペクトルデータが監視ユニット33に伝送される。監視ユニット33では、実施の形態1と同様の比較を行って設定値データを送信し、演算器9は受信した設定値データに基づき高電圧設定値、ゲイン設定値および波高弁別レベル設定値を再度設定する。
【0038】
なお、天然の放射性同位体K−40を利用する場合はピーク計数率が小さいので、スペクトルピークを正確に測定するためには長時間の測定が必要である。試料容器17がステンレス等の場合は天然の放射性同位体K−40を含まないので測定は更に長くする必要がある。そのため、例えば、通常時の定周期の波高スペクトル測定を1日間としてそのデータを分析する。
【0039】
この発明の実施の形態4に係る放射線モニタによれば、チェック線源照射手段の代わりに、天然の放射性同位体であるK−40を放射線検出器1で検出することにより、校正用線源照射手段が不要となり、検出ユニット31の構造が簡素になるため検出ユニット31を小型化することができる。そのため、コストを低減できるとともに、放射性廃棄物が発生しないという効果も奏する。
【0040】
実施の形態5.
図9は、この発明の実施の形態5に係る放射線モニタの、検出ユニット31を示す構成図である。
図9において、検出ユニット31は、放射線を検出してアナログ信号パルスを出力する放射線検出器1と、放射線検出器1を直射日光および風雨等から保護する保護ケース19とを備えている。
また、局舎20は検出ユニット31と測定ユニット32を環境から隔離して収納している。ここで、放射線検出器1は局舎20の天井等に取り付けられ、環境の空間γ線を検出する。
測定ユニット32および監視ユニット33の構成については、実施の形態1と同様であり、その説明は省略する。
【0041】
図10は、この発明の実施の形態5に係る放射線モニタの、測定ユニット32における線量率演算手段を示す構成図である。
図10において、線量率演算手段は演算器9に設けられており、A/D変換器8のパルス波高データを入力して線量の重み付け演算を行う波高値/線量変換部21と、その線量を積算して積算線量を積算時間で割り算して線量率を求める線量率演算部22とを備えている。
【0042】
以下、上記構成の放射線モニタについての動作を説明する。
線量率演算手段の演算結果である線量率データは、波高スペクトルデータとともに局舎20からテレメータで監視ユニット33に伝送される。
局舎20周辺の土壌、コンクリート等には天然の放射性同位体K−40が含まれるため、K−40の固有スペクトルピークを指標として、監視装置13でスペクトルピークの変動を監視し、スペクトルピークが変動している場合は遠隔操作でスペクトルピークを調整することにより放射線モニタの校正を行う。
降雨中に含まれるラドン・トロンの娘核種が放射するγ線には、K−40のγ線1461keVより大きなエネルギーのものがあるので、これにより見かけ上のピークがずれる。また、人工核種についても同様なことが言える。したがって、放射線の指示値が上昇しているときは当該測定データを取り込まないで破棄する。
監視装置13の表示画面に表示された現在値と初期値とを見ながら新設定値を手動で設定する方法の代わりに、監視装置13は、K−40の波高スペクトルピークデータを定期的に吸い上げて適正なゲインまたは高電圧を分析し、設定値の更新を自動で行うこともできる。
【0043】
この発明の実施の形態5に係る放射線モニタによれば、施設周辺の環境を監視する放射線モニタにおいて、天然の放射性同位体K−40のスペクトルピークを指標ピークとし、これを遠隔で監視、校正することにより、指標ピークの校正のために定期的に局舎20を回ることが不用になり、保守が容易になるという効果を奏する。
また、監視装置13の表示画面に表示された現在値と初期値とを見ながら新設定値を手動で設定する方法の変わりに、監視装置13が自動で定期的に波高スペクトルピークを吸い上げて校正を行うことにより、放射線検出器1の長期ドリフトを抑制して高精度で環境放射線を測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】この発明の実施の形態1に係る放射線モニタを示すブロック図である。
【図2】この発明の実施の形態1に係る放射線モニタの、放射線検出器にチェック線源を照射した際の波高スペクトルを示すグラフである。
【図3】この発明の実施の形態2に係る放射線モニタを示すブロック図である。
【図4】この発明の実施の形態2に係る放射線モニタの、放射線検出器に光パルスを照射した際の波高スペクトルを示すグラフである。
【図5】この発明の実施の形態1に係る放射線モニタの、放射線検出器に校正用線源を照射した際の波高スペクトルを示すグラフである。
【図6】この発明の実施の形態1に係る放射線モニタの、自動校正手順を示すフローチャートである。
【図7】この発明の実施の形態3に係る放射線モニタの、検出ユニットを示す構成図である。
【図8】この発明の実施の形態3に係る放射線モニタの、天然の放射性同位体K−40の固有ピークが現れた波高スペクトルを示すグラフである。
【図9】この発明の実施の形態4に係る放射線モニタの、検出ユニットを示す構成図である。
【図10】この発明の実施の形態4に係る放射線モニタの、測定ユニットにおける線量率演算手段を示す構成図である。
【符号の説明】
【0045】
1 放射線検出器、2 チェック線源、3 シャッター、4 高圧電源、5 パルス増幅器、6 波高弁別器、7 計数器、8 A/D変換器、9 演算器、10 メモリ、11、12 電気/光信号変換器、13 監視装置、14 光ファイバ、15 LED、16 LEDドライバ、17 試料容器、18 鉛シールド、19 保護ケース、20 局舎、21 波高値/線量変換部、22 線量率演算部、31 検出ユニット、32 測定ユニット、33 監視ユニット。
【技術分野】
【0001】
この発明は、遠隔にて測定ユニットの各種設定を行うことができる放射線モニタに関する。
【背景技術】
【0002】
放射線モニタは、原子力発電施設、核燃料サイクル施設、放射線利用施設等の施設およびその周辺環境の放射線測定の目的で設置されている。上記の施設において、放射線モニタの放射線検出器を含む検出ユニットが設置されるエリアは、ほとんどの場合、放射線管理区域である。点検・調整時の被曝を低減するために、測定ユニットは検出ユニットと離れた、例えば運転操作室に設置されている。
【0003】
従来の放射線モニタは、検出ユニットと測定ユニットの間をケーブルで接続して放射線検出器で検出した電気パルス信号を伝送していた。しかし、電気パルス信号は微小信号であるため伝送距離が長くなるとノイズの影響を受けることがある。
【0004】
そこで、上記のような問題点を解決するために、波高弁別器で電気パルス信号をデジタル信号に変換し、これを光パルス信号に変換して光ケーブルで測定ユニットに伝送する方法が提案されている。波高弁別器は、放射線検出器で検出した電気パルス信号の波高値と、波高弁別器に設定された基準信号とを比較し、基準信号より高い波高値の電気パルス信号に対してデジタルパルス信号を出力する。波高弁別処理されたデジタルパルス信号は、伝送器で光パルス信号に変換されて測定ユニットに伝送される。伝送された光パルス信号は受信器でデジタルパルス信号に変換され、測定ユニットに設けられた計数率計で計数率が求められる。
このようにして、所定エネルギー以上の放射線のパルスの計数率が測定される。また、基準信号源からは波高弁別器の基準信号が光パルス信号で伝送され、遠隔にて波高弁別レベルの設定を行うことができる(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、波高弁別レベルの設定を行うには、チェック線源を検出器にセットしなければならない。また、計数率を基準にして手動で波高弁別レベルの設定を行うには、統計的変動を考慮しなければならず、設定に多大な時間を要する。
【0005】
また、施設の周辺環境の測定を行う場合は、局舎の内部に検出ユニットと測定ユニットを設置し、測定データをテレメータで監視センターに伝送する方法がとられている。この場合、測定ユニットの設定はその都度局舎に出向いてチェック線源を検出ユニットに取り付けなければならない。
【0006】
【特許文献1】特公平6−27841号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来の放射線モニタでは、波高弁別レベル設定を遠隔から行う際、設定の度にチェック線源を検出器にセットしなければならないため、効率が悪くなり、また、波高弁別レベルを下げた場合にノイズに対する裕度が低下する等の問題点があった。
【0008】
この発明は、上記のような問題点を解決することを課題とするものであって、その目的は、遠隔操作で波高弁別レベル以外の設定値を変更することによって、時間をかけることなく、かつノイズに対して裕度を低下させることなく、測定ユニットの各種設定を行うことができる放射線モニタを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明に係る放射線モニタは、放射線検出器で検出した放射線の検出結果を電気パルス信号に変換する検出ユニットと、電気パルス信号に基づいて放射線を測定する、測定するための機器を含み、放射線測定手段を有する測定ユニットと、遠隔にて測定ユニットを制御する監視ユニットと、放射線検出器に校正用線源を照射する校正用線源照射手段とを備えた放射線モニタであって、測定ユニットは、電気パルス信号の波高スペクトルを測定する波高スペクトル測定手段、監視ユニットからの制御指令に基づいて、検出ユニットおよび機器を制御する制御手段、および波高スペクトル測定手段および放射線測定手段の測定結果と、制御指令とを記憶する記憶手段を有し、監視ユニットは、測定結果を処理するとともに、遠隔にて制御信号を出力する監視手段を有し、監視ユニットからの操作信号で校正用線源を放射線検出器に照射し、測定ユニットでは校正用線源の波高スペクトルを測定するとともに、測定結果である波高スペクトルデータを監視ユニットに送信し、波高スペクトルデータに基づいて監視ユニットから遠隔にて測定ユニットの設定値信号を出力するものである。
【発明の効果】
【0010】
この発明の放射線モニタによれば、放射線検出器で検出した放射線の電気パルス信号の波高スペクトルを測定し、波高スペクトルデータをデジタル信号で監視ユニットに伝送し、波高スペクトルデータと基準となる初期値とを比較する構成になっているので、遠隔にて効率的にパルス増幅器のゲインまたは検出器に供給する高電圧を設定することができる。
また、波高弁別レベルを固定した運用が可能になるので、ノイズに対する裕度が低下することもない。
さらに、放射線レベル異常時には当該波高スペクトルデータとあらかじめ記憶された初期値とを比較して分析することにより、検出器の健全性を遠隔にて容易に確認できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、この発明の各実施の形態について図に基づいて説明するが、各図において同一、または相当する部材、部位については、同一符号を付して説明する。
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1に係る放射線モニタを示すブロック図である。
図1において、この放射線モニタは、放射線を検出する検出ユニット31と、放射線の測定および検出ユニット31を操作する測定ユニット32と、測定データの処理および測定ユニット32の制御をする監視ユニット33とを備えている。
検出ユニット31は、放射線を検出してアナログ信号パルスを出力する放射線検出器1と、放射線検出器1に放射線を照射するチェック線源2と、チェック線源2から放射線検出器1を遮蔽するシャッター3とを備えている。ここで、チェック線源2とシャッター3は、校正用線源照射手段であるチェック線源照射手段を構成している。
【0012】
測定ユニット32は、放射線検出器1に高電圧を供給する高圧電源4と、放射線検出器1から出力されたアナログ信号パルスの波高を増幅するパルス増幅器5と、パルス増幅器5で増幅されたアナログ信号パルスの波高値が、所定の範囲に入っている場合にデジタル信号パルスを出力する波高弁別器6と、波高弁別器6から出力されたデジタル信号パルスを計数して、計数データを出力する計数器7と、パルス増幅器5で増幅されたアナログ信号パルスの波高値をピークホールドして波高値データを出力するA/D変換器8とを備えている。
【0013】
また、測定ユニット32は、上記のデータを演算処理する演算器9と、測定データを記憶するメモリ10と、測定データを監視ユニット33に伝送する電気/光信号変換器11とを備えている。
演算器9は、計数器7の出力した計数データおよびA/D変換器8の出力した波高値データを入力して演算処理するとともに、監視ユニット33(後述する)から受信した操作信号および設定値信号に基づいて検出ユニット31を操作し、高圧電源4の高電圧設定、パルス増幅器5のゲイン設定および波高弁別器6の波高弁別レベルを設定する。
また、メモリ10は、演算器9の処理結果である放射線測定データ、波高スペクトルデータ、演算器9が受信した高電圧設定値データ、ゲイン設定値データおよび波高弁別レベル設定値データを格納する。
また、電気/光信号変換器11は、放射線測定データおよび波高スペクトルデータをデジタル電気信号からデジタル光信号に変換して監視ユニット33に送信するとともに、監視ユニット33から受信した操作信号および設定値信号をデジタル光信号からデジタル電気信号に変換する。
【0014】
ここで、A/D変換器8、演算器9およびメモリ10は波高スペクトル測定手段を構成しており、波高弁別器6、計数器7および演算器9は放射線測定手段を構成している。
また、演算器9およびメモリ10は制御手段を構成している。
また、メモリ10には波高スペクトルデータの初期値があらかじめ記憶されている。
【0015】
監視ユニット33は、上記の測定データを受信する電気/光信号変換器12と、上記の測定データを処理する監視装置13とを備えている。
電気/光信号変換器12は、測定ユニット32から受信した放射線測定データおよび波高スペクトルデータをデジタル光信号からデジタル電気信号に変換するとともに、操作信号および設定値信号をデジタル電気信号からデジタル光信号に変換して測定ユニット32に送信する。
また、監視装置13は、演算器9の処理結果である波高スペクトルデータとメモリ10に記憶された波高スペクトルとのスペクトルピークを比較し、スペクトルピークが一致するように測定ユニット32の設定を行う、ピーク比較校正手段(図示せず)を備えており、伝送されてきた放射線測定データおよび波高スペクトルデータを入力して、演算、分析、表示するとともに、測定ユニット32を操作する操作信号とピーク比較校正手段の結果に基づいて高圧電源4の高電圧、パルス増幅器5のゲイン、波高弁別器6の波高弁別レベルを設定する設定値信号とを出力する。
ここで、測定ユニット32と監視ユニット33とは、デジタル光信号を双方向に伝送する光ファイバ14で接続されている。
【0016】
図2は、この発明の実施の形態1に係る放射線モニタの、放射線検出器1にチェック線源2を照射した際の波高スペクトルを示すグラフである。
図2において、横軸は測定対象エネルギーに対応したチャンネルで、縦軸はチャンネルに対応して計数した量、すなわちカウントである。aは線源固有のスペクトルピークの初期状態、bはスペクトルピークが低い側にドリフトした状態、cはスペクトルピークが高い側にドリフトした状態を示している。ここで、スペクトルピークの初期状態は測定ユニット32のメモリ10にあらかじめ記憶されており、監視装置13の表示画面には、初期状態と当該測定データが重ねて表示される。
【0017】
以下、上記構成の放射線モニタについての動作を説明する。
放射線検出器1で検出された放射線は、エネルギーに対応した波高値のアナログ信号パルスに変換されてパルス増幅器5に出力され、パルス増幅器5でその波高値が増幅されて波高弁別器6およびA/D変換器8に出力される。波高弁別器6に出力されたアナログ信号パルスは、波高弁別レベル以上の波高値のものが弁別され、デジタル信号パルスとなって計数器7に出力される。
ここで、波高弁別レベルよりも波高値の低いアナログ信号パルスはノイズとして除去される。また、波高弁別レベルを低と高の2箇所に設けることにより、所定の波高値範囲のアナログ信号パルスを弁別して出力することもできる。
波高弁別器6から出力されたデジタル信号パルスは、計数器7で計数され、計数データは演算器9で例えば、計数率、線量率、濃度等の工学値に変換されて監視ユニット33に出力される。
【0018】
また、A/D変換器8に出力されたアナログ信号パルスは、波高値が測定され、波高値データは演算器9でエネルギーの順番に並べられたチャンネルに対応付けられ、波高スペクトルデータとしてメモリ10に格納される。波高スペクトルデータは、監視装置13からの操作信号により演算器9に取り出されて監視ユニット33に伝送される。
また、監視装置13から操作信号を送信すると、チェック線源照射手段が動作して波高スペクトル測定手段によって波高スペクトルが測定され、波高スペクトルデータが監視ユニット33に伝送されて、スペクトルピークが分析される。
【0019】
通常時は、定周期で波高スペクトルが測定されているが、放射線レベル異常時には、自動で上記の定周期波高スペクトルデータをメモリ10に格納されて、監視装置13から要求することにより波高スペクトルデータが監視ユニット33に伝送され、波高スペクトルデータとメモリ10に記憶された波高スペクトルデータの初期値とを比較分析することにより原因調査をサポートする。
【0020】
続いて、放射線モニタの校正について説明する。
監視装置13から操作信号を測定ユニット32に送信すると、測定ユニット32はチェック線源照射手段を操作して、シャッター3を開けてチェック線源2を放射線検出器1に照射する。放射線検出器1で検出されたチェック線源2のアナログ信号パルスは上記の動作により測定され、波高スペクトルデータが監視ユニット33に伝達される。監視ユニット33では、波高スペクトルデータの線源固有の波高スペクトルピーク位置と初期値とを比較し、初期値からのずれが許容範囲を外れていたら、監視装置13から演算器9に新たな高電圧設定値データ、ゲイン設定値データおよび波高弁別レベル設定値データを送信し、演算器9は更新したデータに基づき高電圧設定値、ゲイン設定値および波高弁別レベル設定値を再度設定する。
【0021】
しかしながら、波高弁別レベル設定値を下げると、ノイズに対する裕度が低下するため、波高弁別レベルを固定し、高電圧設定値とゲイン設定値とを更新するのが望ましい。
また、放射線検出器1がシンチレーション検出器の場合、高電圧の設定を変えるとゲインが大きく変化するので、1年毎の校正では粗調整を高圧電源4の高電圧設定で行い、微調整をパルス増幅器5のゲイン設定で行い、短期の点検はパルス増幅器5のゲイン設定で運用するのが望ましい。
【0022】
また、監視装置13の表示画面に表示された現在値と初期値を見ながら新設定値を手動で設定する方法の代わりに、チェック線源2の操作に連動して、チェック線源2の波高スペクトルデータに基づき監視装置13が最適ゲインを演算して自動設定することもできる。
【0023】
この発明の実施の形態1に係る放射線モニタによれば、チェック線源照射手段と波高スペクトル測定手段を備えることにより、パルス増幅器5のゲインまたは放射線検出器1の高電圧による校正が可能になり、また、波高弁別レベルを変更しないため、ノイズに対して裕度を低下させることなく、遠隔にて効率的に校正を行うことができる。
また、チェック線源照射波高スペクトルの当該測定データと初期値とを比較分析することにより、遠隔から検出器の健全性を診断できる。
さらに、放射線レベル異常時に定周期波高スペクトルデータとメモリ10に記憶された波高スペクトルデータの初期値とを比較分析することにより、原因調査をサポートできる。
【0024】
なお、電気/光信号変換器11および電気/光信号変換器12は無線通信器として、放射線測定データ、波高スペクトルデータ、操作信号および設定値信号を無線デジタル信号として送受信してもよく、同様の効果を奏する。
【0025】
実施の形態2.
図3は、この発明の実施の形態2に係る放射線モニタを示すブロック図である。
図3において、校正用線源照射手段は光パルス照射手段であるLED15とLED15の動作を制御するLEDドライバ16である。その他の構成については、実施の形態1と同様であり、その説明は省略する。
【0026】
図4は、この発明の実施の形態2に係る放射線モニタの、放射線検出器1に光パルスを照射した際の波高スペクトルを示すグラフである。
図4において、dは光パルスを照射した際の波高スペクトルピーク、eは通常状態の波高スペクトルである。ここで、スペクトルピークの初期状態は測定ユニット32のメモリ10にあらかじめ記憶されており、監視装置13の表示画面には、初期状態と当該測定データが重ねて表示される。
【0027】
以下、上記構成の放射線モニタについての動作を説明する。
監視装置13から操作信号を測定ユニット32に送信すると、測定ユニット32は光パルス照射手段を操作して、LEDドライバ16は演算器9からの制御信号に基づきLED15を動作させる。LED15は光パルスを発生して放射線検出器1に照射し、放射線検出器1で検出された光パルスのアナログ信号パルスは上記の動作により測定され、波高スペクトルデータが監視ユニット33に伝送される。
監視ユニット33では、実施の形態1と同様の比較を行って設定値データを送信し、演算器9は受信した設定値データに基づき高電圧設定値、ゲイン設定値および波高弁別レベル設定値を再度設定する。
なお、放射線検出器1としては、光に対して放射線と同様に反応する例えば、Si半導体検出器が用いられる。
【0028】
この発明の実施の形態2に係る放射線モニタによれば、校正用線源照射手段として、LED15とLEDドライバ16で構成される光パルス照射手段を備えることにより、チェック線源2およびシャッター3が不要となり、検出ユニット31の構造が簡素になり、検出ユニット31を小型化することができる。また、コストを低減できるとともに、放射性廃棄物が発生しないという効果も奏する。
【0029】
実施の形態3.
図5は、この発明の実施の形態3に係る放射線モニタの、放射線検出器に校正用線源を照射した際の波高スペクトルを示すグラフである。
ここで、監視装置13には、波高スペクトルデータに基づいて任意の測定範囲の正味計数率を求め、測定範囲を変化させることにより、正味計数率が測定ユニット32にあらかじめ記憶された初期値に一致するように測定ユニット32の設定を自動で行う計数率比較校正手段(図示せず)が、ピーク比較校正手段の代わりに設けられている。
その他の構成については、実施の形態1および2と同様である。また、放射線検出器1は半導体検出器およびプラスチックシンチレーション検出器等である。
【0030】
図5において、iは測定ユニット32のメモリ10に記憶された初期スペクトルで、jは当該測定データである。チャンネルのA〜Bが測定範囲で、スペクトルがiからjにドリフトすると、測定範囲におけるカウントの積算値は減少する。
ここで、チャンネルの測定範囲をA−KからB−KB/Aにシフトすると積算値は初期値に一致する。そこで、パルス増幅器5のゲインを1−K/Aに設定し直すことにより放射線モニタの校正を行うことができる。
【0031】
以下、図6のフローチャートを参照しながら、この発明の実施の形態3に係る放射線モニタの自動校正手順についてさらに詳細に説明する。
まず、監視装置13で例えば校正開始のボタンを押すと、通常スペクトル測定が実行される(ステップS51)。
次に、所定の時間Tが経過するとチェック線源2が照射され(ステップS52)、チェック線源2のスペクトル測定が実行される(ステップS53)。
続いて、所定の時間Tが経過すると各チャンネルについてチェック線源のカウントから通常カウントが引き算されて正味スペクトルが求められ(ステップS54)、正味スペクトルのch.A〜ch.Bのカウントが積算されて正味計数積算値が計算される(ステップS55)。
そして、正味計数率=正味計数積算値/Tが計算され(ステップS56)、チェック線源2の減衰補正率=exp{0.693×(検定からの経過時間)}/(半減期)}が計算される(ステップS57)。
次に、正味計数率減衰補正値=正味計数率×減衰補正率が計算される(ステップS58)。ここで、正味計数率減衰補正値=正味計数率初期値(ステップS59)の場合は、校正を終了する。
【0032】
正味計数率減衰補正値<正味計数率初期値(ステップS60)の場合は、正味スペクトルのch.A−K〜ch.B−KB/Aのカウントが積算されて正味計数積算値が計算される(ステップS61)。但し、Kは1、2、3、・・・の整数で、KB/Aは小数点以下を切捨てた整数とする。
次に、正味計数率=正味計数積算値/Tが計算され(ステップS62)、正味計数率減衰補正値=正味計数率×減衰補正率が計算される(ステップS63)。正味計数率減衰補正値=正味計数率初期値の場合(ステップS64)は、新ゲイン=ゲイン初期値×(1−K/A)が計算されて(ステップS65)、校正を終了する。
【0033】
正味計数率減衰補正値<正味計数率初期値(ステップS60)でない場合は、正味スペクトルのch.A+K〜ch.B+KB/Aのカウントが積算されて正味計数積算値が計算される(ステップS66)。但し、Kは123,・・・の整数で、KB/Aは小数点以下を切捨てた整数とする。
次に、正味計数率=正味計数積算値/Tが計算され(ステップS67)、正味計数率減衰補正値=正味計数率×減衰補正率が計算される(ステップS68)。正味計数率減衰補正値=正味計数率初期値の場合(ステップS69)は、新ゲイン=ゲイン初期値×(1+K/A)が計算されて(ステップS70)、校正を終了する。
【0034】
この発明の実施の形態3に係る放射線モニタによれば、波高スペクトルデータに基づいて正味計数率を求め、その測定値が初期値に一致するように測定ユニット32の設定を自動で行うことにより、波高スペクトルピークが現れない検出器に対しても効率的に放射線モニタの校正を行うことができる。
【0035】
実施の形態4.
図7は、この発明の実施の形態4に係る放射線モニタの、検出ユニット31を示す構成図である。
図7において、検出ユニット31は、放射線を検出してアナログ信号パルスを出力する放射線検出器1と、流入した測定対象試料を必要な容積だけ確保しながら流入した量だけ放出する試料容器17と、試料容器17および放射線検出器1を環境の放射線から遮蔽する鉛シールド18とを備えている。
測定ユニット32および監視ユニット33の構成については、実施の形態1と同様であり、その説明は省略する。
放射線検出器1が、例えばNaIシンチレーション検出器の場合は、それを構成するNaIシンチレータおよび光電子増倍管のガラスの中に天然の放射性同位体であるK−40を含んでいる。また、試料容器17を耐腐食性のガラス補強FRP樹脂で製作した場合、ガラスファイバにも同様にK−40が含まれる。
【0036】
図8は、この発明の実施の形態3に係る放射線モニタの、天然の放射性同位体K−40の固有ピークが現れた波高スペクトルを示すグラフである。
図8において、fはスペクトルピークの初期状態、gはスペクトルピークが低い側にドリフトした状態、hはスペクトルピークが高い側にドリフトした状態を示す。ここで、スペクトルピークの初期状態は測定ユニット32のメモリ10にあらかじめ記憶されており、監視装置13の表示画面には、初期状態と当該測定データが重ねて表示される。
【0037】
以下、上記構成の放射線モニタについての動作を説明する。
放射線検出器1で検出されたK−40のアナログ信号パルスは上記の動作により測定され、波高スペクトルデータが監視ユニット33に伝送される。監視ユニット33では、実施の形態1と同様の比較を行って設定値データを送信し、演算器9は受信した設定値データに基づき高電圧設定値、ゲイン設定値および波高弁別レベル設定値を再度設定する。
【0038】
なお、天然の放射性同位体K−40を利用する場合はピーク計数率が小さいので、スペクトルピークを正確に測定するためには長時間の測定が必要である。試料容器17がステンレス等の場合は天然の放射性同位体K−40を含まないので測定は更に長くする必要がある。そのため、例えば、通常時の定周期の波高スペクトル測定を1日間としてそのデータを分析する。
【0039】
この発明の実施の形態4に係る放射線モニタによれば、チェック線源照射手段の代わりに、天然の放射性同位体であるK−40を放射線検出器1で検出することにより、校正用線源照射手段が不要となり、検出ユニット31の構造が簡素になるため検出ユニット31を小型化することができる。そのため、コストを低減できるとともに、放射性廃棄物が発生しないという効果も奏する。
【0040】
実施の形態5.
図9は、この発明の実施の形態5に係る放射線モニタの、検出ユニット31を示す構成図である。
図9において、検出ユニット31は、放射線を検出してアナログ信号パルスを出力する放射線検出器1と、放射線検出器1を直射日光および風雨等から保護する保護ケース19とを備えている。
また、局舎20は検出ユニット31と測定ユニット32を環境から隔離して収納している。ここで、放射線検出器1は局舎20の天井等に取り付けられ、環境の空間γ線を検出する。
測定ユニット32および監視ユニット33の構成については、実施の形態1と同様であり、その説明は省略する。
【0041】
図10は、この発明の実施の形態5に係る放射線モニタの、測定ユニット32における線量率演算手段を示す構成図である。
図10において、線量率演算手段は演算器9に設けられており、A/D変換器8のパルス波高データを入力して線量の重み付け演算を行う波高値/線量変換部21と、その線量を積算して積算線量を積算時間で割り算して線量率を求める線量率演算部22とを備えている。
【0042】
以下、上記構成の放射線モニタについての動作を説明する。
線量率演算手段の演算結果である線量率データは、波高スペクトルデータとともに局舎20からテレメータで監視ユニット33に伝送される。
局舎20周辺の土壌、コンクリート等には天然の放射性同位体K−40が含まれるため、K−40の固有スペクトルピークを指標として、監視装置13でスペクトルピークの変動を監視し、スペクトルピークが変動している場合は遠隔操作でスペクトルピークを調整することにより放射線モニタの校正を行う。
降雨中に含まれるラドン・トロンの娘核種が放射するγ線には、K−40のγ線1461keVより大きなエネルギーのものがあるので、これにより見かけ上のピークがずれる。また、人工核種についても同様なことが言える。したがって、放射線の指示値が上昇しているときは当該測定データを取り込まないで破棄する。
監視装置13の表示画面に表示された現在値と初期値とを見ながら新設定値を手動で設定する方法の代わりに、監視装置13は、K−40の波高スペクトルピークデータを定期的に吸い上げて適正なゲインまたは高電圧を分析し、設定値の更新を自動で行うこともできる。
【0043】
この発明の実施の形態5に係る放射線モニタによれば、施設周辺の環境を監視する放射線モニタにおいて、天然の放射性同位体K−40のスペクトルピークを指標ピークとし、これを遠隔で監視、校正することにより、指標ピークの校正のために定期的に局舎20を回ることが不用になり、保守が容易になるという効果を奏する。
また、監視装置13の表示画面に表示された現在値と初期値とを見ながら新設定値を手動で設定する方法の変わりに、監視装置13が自動で定期的に波高スペクトルピークを吸い上げて校正を行うことにより、放射線検出器1の長期ドリフトを抑制して高精度で環境放射線を測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】この発明の実施の形態1に係る放射線モニタを示すブロック図である。
【図2】この発明の実施の形態1に係る放射線モニタの、放射線検出器にチェック線源を照射した際の波高スペクトルを示すグラフである。
【図3】この発明の実施の形態2に係る放射線モニタを示すブロック図である。
【図4】この発明の実施の形態2に係る放射線モニタの、放射線検出器に光パルスを照射した際の波高スペクトルを示すグラフである。
【図5】この発明の実施の形態1に係る放射線モニタの、放射線検出器に校正用線源を照射した際の波高スペクトルを示すグラフである。
【図6】この発明の実施の形態1に係る放射線モニタの、自動校正手順を示すフローチャートである。
【図7】この発明の実施の形態3に係る放射線モニタの、検出ユニットを示す構成図である。
【図8】この発明の実施の形態3に係る放射線モニタの、天然の放射性同位体K−40の固有ピークが現れた波高スペクトルを示すグラフである。
【図9】この発明の実施の形態4に係る放射線モニタの、検出ユニットを示す構成図である。
【図10】この発明の実施の形態4に係る放射線モニタの、測定ユニットにおける線量率演算手段を示す構成図である。
【符号の説明】
【0045】
1 放射線検出器、2 チェック線源、3 シャッター、4 高圧電源、5 パルス増幅器、6 波高弁別器、7 計数器、8 A/D変換器、9 演算器、10 メモリ、11、12 電気/光信号変換器、13 監視装置、14 光ファイバ、15 LED、16 LEDドライバ、17 試料容器、18 鉛シールド、19 保護ケース、20 局舎、21 波高値/線量変換部、22 線量率演算部、31 検出ユニット、32 測定ユニット、33 監視ユニット。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射線検出器で検出した放射線の検出結果を電気パルス信号に変換する検出ユニットと、
前記電気パルス信号に基づいて前記放射線を測定する、測定するための機器を含み、放射線測定手段を有する測定ユニットと、
遠隔にて前記測定ユニットを制御する監視ユニットと、
前記放射線検出器に校正用線源を照射する校正用線源照射手段と
を備えた放射線モニタであって、
前記測定ユニットは、前記電気パルス信号の波高スペクトルを測定する波高スペクトル測定手段、前記監視ユニットからの制御指令に基づいて、前記検出ユニットおよび前記機器を制御する制御手段、および前記波高スペクトル測定手段および前記放射線測定手段の測定結果と、前記制御指令とを記憶する記憶手段を有し、
前記監視ユニットは、前記測定結果を処理するとともに、遠隔にて前記制御信号を出力する監視手段を有し、
前記監視ユニットからの前記操作信号で前記校正用線源を前記放射線検出器に照射し、
前記測定ユニットでは前記校正用線源の前記波高スペクトルを測定するとともに、測定結果である波高スペクトルデータを前記監視ユニットに送信し、
前記波高スペクトルデータに基づいて前記監視ユニットから遠隔にて前記測定ユニットの前記設定値信号を出力すること
を特徴とする放射線モニタ。
【請求項2】
前記校正用線源照射手段は、前記放射線検出器にチェック線源を照射する、チェック線源照射手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載の放射線モニタ。
【請求項3】
前記校正用線源照射手段は、前記放射線検出器に光パルスを照射する、光パルス照射手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載の放射線モニタ。
【請求項4】
前記波高スペクトルデータの波高スペクトルピークと前記測定ユニットにあらかじめ記憶された初期スペクトルデータとを比較し、スペクトルピークの位置が一致するように前記測定ユニットの設定を行う、ピーク比較校正手段を更に備えたことを特徴とする請求項1から請求項3の何れか1項に記載の放射線モニタ。
【請求項5】
前記波高スペクトルデータに基づいて任意の測定範囲の正味計数率を求め、前記測定範囲を変化させることにより、前記正味計数率が前記測定ユニットにあらかじめ記憶された初期値に一致するように前記測定ユニットの設定を自動で行う、計数率比較校正手段を更に備えたことを特徴とする請求項1から請求項3の何れか1項に記載の放射線モニタ。
【請求項6】
放射線検出器で検出した放射線の検出結果を電気パルス信号に変換する検出ユニットと、
前記電気パルス信号に基づいて前記放射線を測定する、測定するための機器を含み、放射線測定手段を有する測定ユニットと、
遠隔にて前記測定ユニットを制御する監視ユニットと、
を備えた放射線モニタであって、
前記測定ユニットは、前記電気パルス信号の波高スペクトルを測定する波高スペクトル測定手段、前記監視ユニットからの制御指令に基づいて、前記検出ユニットおよび前記機器を制御する制御手段、および前記波高スペクトル測定手段および前記放射線測定手段の測定結果と、前記制御指令とを記憶する記憶手段を有し、
前記監視ユニットは、前記測定結果を処理するとともに、遠隔にて前記制御信号を出力する監視手段を有し、
前記放射線検出器で天然の放射性同位元素であるK−40の放射線を検出し、前記測定ユニットでは前記K−40の前記波高スペクトルを測定するとともに、測定結果である波高スペクトルデータを前記監視ユニットに送信し、前記監視ユニットは前記波高スペクトルデータに基づいて遠隔にて前記測定ユニットの前記設定値信号を出力すること
を特徴とする放射線モニタ。
【請求項1】
放射線検出器で検出した放射線の検出結果を電気パルス信号に変換する検出ユニットと、
前記電気パルス信号に基づいて前記放射線を測定する、測定するための機器を含み、放射線測定手段を有する測定ユニットと、
遠隔にて前記測定ユニットを制御する監視ユニットと、
前記放射線検出器に校正用線源を照射する校正用線源照射手段と
を備えた放射線モニタであって、
前記測定ユニットは、前記電気パルス信号の波高スペクトルを測定する波高スペクトル測定手段、前記監視ユニットからの制御指令に基づいて、前記検出ユニットおよび前記機器を制御する制御手段、および前記波高スペクトル測定手段および前記放射線測定手段の測定結果と、前記制御指令とを記憶する記憶手段を有し、
前記監視ユニットは、前記測定結果を処理するとともに、遠隔にて前記制御信号を出力する監視手段を有し、
前記監視ユニットからの前記操作信号で前記校正用線源を前記放射線検出器に照射し、
前記測定ユニットでは前記校正用線源の前記波高スペクトルを測定するとともに、測定結果である波高スペクトルデータを前記監視ユニットに送信し、
前記波高スペクトルデータに基づいて前記監視ユニットから遠隔にて前記測定ユニットの前記設定値信号を出力すること
を特徴とする放射線モニタ。
【請求項2】
前記校正用線源照射手段は、前記放射線検出器にチェック線源を照射する、チェック線源照射手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載の放射線モニタ。
【請求項3】
前記校正用線源照射手段は、前記放射線検出器に光パルスを照射する、光パルス照射手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載の放射線モニタ。
【請求項4】
前記波高スペクトルデータの波高スペクトルピークと前記測定ユニットにあらかじめ記憶された初期スペクトルデータとを比較し、スペクトルピークの位置が一致するように前記測定ユニットの設定を行う、ピーク比較校正手段を更に備えたことを特徴とする請求項1から請求項3の何れか1項に記載の放射線モニタ。
【請求項5】
前記波高スペクトルデータに基づいて任意の測定範囲の正味計数率を求め、前記測定範囲を変化させることにより、前記正味計数率が前記測定ユニットにあらかじめ記憶された初期値に一致するように前記測定ユニットの設定を自動で行う、計数率比較校正手段を更に備えたことを特徴とする請求項1から請求項3の何れか1項に記載の放射線モニタ。
【請求項6】
放射線検出器で検出した放射線の検出結果を電気パルス信号に変換する検出ユニットと、
前記電気パルス信号に基づいて前記放射線を測定する、測定するための機器を含み、放射線測定手段を有する測定ユニットと、
遠隔にて前記測定ユニットを制御する監視ユニットと、
を備えた放射線モニタであって、
前記測定ユニットは、前記電気パルス信号の波高スペクトルを測定する波高スペクトル測定手段、前記監視ユニットからの制御指令に基づいて、前記検出ユニットおよび前記機器を制御する制御手段、および前記波高スペクトル測定手段および前記放射線測定手段の測定結果と、前記制御指令とを記憶する記憶手段を有し、
前記監視ユニットは、前記測定結果を処理するとともに、遠隔にて前記制御信号を出力する監視手段を有し、
前記放射線検出器で天然の放射性同位元素であるK−40の放射線を検出し、前記測定ユニットでは前記K−40の前記波高スペクトルを測定するとともに、測定結果である波高スペクトルデータを前記監視ユニットに送信し、前記監視ユニットは前記波高スペクトルデータに基づいて遠隔にて前記測定ユニットの前記設定値信号を出力すること
を特徴とする放射線モニタ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2006−84345(P2006−84345A)
【公開日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−270167(P2004−270167)
【出願日】平成16年9月16日(2004.9.16)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年9月16日(2004.9.16)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]