説明

放射線不透過性延伸ポリテトラフルオロエチレン製医療デバイス

本発明は、放射線不透過性埋設可能プロテーゼに関するものであって、ノードとフィブリルとからなる構造を有した延伸ポリテトラフルオロエチレン(以下、『ePTFE』と略記する)から形成されたポリマー製プロテーゼと;ノードとフィブリルとからなる構造の少なくとも一部に対して一体化された放射線不透過性フィラーと;を具備しているプロテーゼに関するものである。本発明は、また、そのようなプロテーゼを形成するための方法に関するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射線不透過性のポリマー製医療デバイスに関するものである。より詳細には、本発明は、内部に放射線不透過性材料が組み込まれた例えば延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)といったような生体適合性ポリマーから形成されたような生体適合性かつ生体安定性を有した医療デバイスに関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えばグラフトやステント等といったような埋設可能な医療デバイスの使用は、これらデバイスが最初に開発されていて以降、着実に増大している。ステントまたはグラフトは、通常、体内の様々な血管や管腔の開放性を維持する目的で、これら血管や管腔内へと埋設される。これにより、例えば、血管内のアテローム性動脈硬化に基づく狭窄や動脈瘤といったような様々な管腔疾病の治療において、特に有効である。
【0003】
埋設可能な医療デバイスがそれらの機能を効果的に発揮するためには、それらデバイスは、生体適合性でなければならない。特に、グラフトが多孔性であることは、グラフトにとって重要である。これにより、細胞の内方成長を可能とすることができ、グラフトは、生体管腔の一体部分を形成するようになる。グラフトは、また、過度の組織成長や瘢痕やグラフトによるブロッキングを回避し得るよう、生物学に不活性でなければならない。グラフトを形成するために特に有利な組成物は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)である。このポリマーは、生物学的に不活性であることにより生体適合性であるとともに、適切な様々なサイズの管腔やチューブへと成形することができ、様々な動脈や静脈に関する要求に適合することができる。さらに、PTFEチューブを形成する方法においては、特に、延伸PTFE(ePTFE)チューブを形成する方法においては、望ましい多孔性を形成する。この特徴は、過度の細胞増殖や瘢痕形成やブロッキングを回避しつつ、生体管腔へとグラフト材料の組込を促進する。しかしながら、グラフトを形成する場合にPTFEを使用した場合には、放射線不透過性でない製品が形成されることとなる。
【0004】
多くの理由のために、X線透視法を使用して、埋設された医療デバイスを可視とすることは重要である。X線透視法は、例えばグラフトやステントといったような医療デバイスの埋設時に、正確な配置を確認することにおいて有効である。初期的な配置後に、X線透視法は、構造の状況を観測するに際して、有効である。X線透視法を使用して観測し得るフレキシブルなグラフトの特性には、グラフトの位置や、グラフトの柔軟性や、患者の生体器官チューブに対してのグラフトの吻合性や、穴やキンク発生や破裂や動脈瘤等といったような状況の有無、がある。
【0005】
現在まで、これら要求を満たし得るよう、医療デバイスおよび/または埋設デバイスに対して放射線不透過性を与えるような様々な方法やデバイスが、開発されている。医療デバイスの埋設については、様々な放射線不透過性のガイドワイヤが開発されている。ガイドワイヤは、通常、医療デバイスに挿入され、このアセンブリが、生体管腔を通して案内され、生体管腔内へと挿入される。ワイヤは、通常、本来的に放射線不透過性材料から形成される。医療デバイスの配置は、ワイヤが医療デバイスを所定位置へと案内する際に、ワイヤをX線透視法によって観測することにより、追跡される。この方法の欠点は、医療デバイスが所定位置に配置された後に、放射線不透過性ワイヤが引き抜かれてしまうことである。その結果、埋設された医療デバイスは、埋設後には、X線透視法によって見えないままとなる。
【0006】
医療デバイスをX線透視法によって検出可能とする1つの方法は、医療デバイスに対して、両端部にあるいは長手方向部分に沿って、放射線不透過性金属マーカーを直接的に配置することである。これについては、例えば、米国特許第6,253,769号明細書を参照されたい。これらマーカーは、上述したようなフレキシブルなグラフト特性のX線透視検出においては、使用が制限されている。グラフトの一部しか可視ではないことにより、穴等を検出することができない。さらに、これらマーカーは、例えば血管プロテーゼといったような多孔性とフレキシブルとを要求される埋設可能デバイスにおいては、特に有効ではない。外科的に埋設されるような血管グラフトや、管腔を通して導入されるような血管グラフトは、天然の血管を模擬し得るよう構成されている。このため、特性どうしの独自の組合せが存在することを要求する。グラフトは、アルティマ(altima)の形成や身体によるカプセル化を可能とし得るよう、十分に多孔性でなければならない。なおかつ、血液の漏洩を防止し得るよう液密性でなければならない。付加的に、フレキシブルさおよびソフトさは、また、有効なグラフト製品の重要な特徴である。したがって、金属バンドあるいは従来の放射線不透過性マーカーの使用は、そのようなデバイスにおいては許容しがたい。
【0007】
放射線不透過性のポリマーを使用したような、X線透視法によって可視であるような医療デバイスが、公知である。Larsen氏による欧州特許出願公開第0 203 833号明細書は、むこと、1つの、ビニルモノマー内に溶解かされた架橋可能なポリエステル樹脂を含むX線コントラストを有した熱硬化性ポリマーを備えた塑性を開示している。この組成物を使用することにより、医療製品を製造することができる。しかしながら、中実ポリマーのフレキシブルさの欠如のために、このポリマーは、フレキシブルなデバイスを形成するためには使用することができない。また、フレキシブルさを要求するようないかなるタイプのプロテーゼインプラントにおける使用において、確かに不適切なものである。
【0008】
Neuenschwander氏他による米国特許第5,319,059号明細書は、ポリウレタンマトリクスに対して共有結合的に取り付けられた生体適合性かつ放射線不透過性の材料を開示している。しかしながら、多くのポリウレタン材料は、生体内において経時的に本来的に不安定であることが知られており、生体内へと再吸収されてしまい、X線撮影によって不可視なものとなる。このことは、埋設可能物品へと応用においては、問題点である。なぜなら、放射線不透過性材料の分解後には、X線によって検出できなくなるからである。
【0009】
国際公開第90/03036号パンフレットは、医療応用および歯学応用において使用するために、物理的混合物内において無機重金属塩類が添加されたポリマー組成の使用を開示している。重金属は、マトリクス内にロックされた微粒子として存在する。しかしながら、これら組成物の準備は、塩の不均等な分布を招き、組成物の可塑性に悪影響を与える。さらに、塩は、そのようなマトリクスから徐々に浸出する傾向があり、これにより、システム内へとへ有毒な重金属を放出する。また、合成ポリマーも知られている。しかし、これらは、例えばカルボニル化合物半体といったような適切な反応サイトを有したポリマーでしか、可能ではない。したがって、これら合成ポリマーは、PTFEグラフトにおいては、有効ではない。
【0010】
X線透視法によって可視とされる医療デバイスは、検出可能なコーティングを備えたものが知られている。米国特許第4,990,138号明細書には、カテーテルボディの先端上に大量の放射線不透過性金属がドーピングされたポリマー材料を接合することによって放射線不透過性のものとして形成された、裏返したバルーン付きカテーテルが開示されている。コーティングは、カテーテルボディの配置を案内するのに使用し得るよう、先端部が可視とされている。
【0011】
米国特許第6,048,362号明細書には、弾性ポリマーに対して放射線不透過性フィラー材料を添加することが開示されている。その後、ポリマーは、ステント/グラフトデバイスを形成し得るよう、金属フレーム上にコーティングされる。好ましい実施形態においては、放射線不透過性材料は、バリウムや、ビスマスや、あるいは、タングステンを備えており、ポリマーは、多孔性コーティングによって処理され、これにより、生体適合性を改良することができる。これにより、X線透過によって可視となるステント/グラフトデバイスが得られる。
【0012】
Pacetti氏および Mroz氏による国際公開第01/49340号パンフレットには、ステントのためのコーティングとして使用されるバインダー内に含まれている放射線不透過性材料の粒子に基づいて放射線不透過性が増強されたステントが開示されている。この文献による発明は、ステントに関する使用にのみ限定されている。
【0013】
また、それは、スパッタリングや蒸着や電気メッキプロセスによって、金や白金やタンタルといったような放射線不透過性金属により埋設可能デバイスの内部をコーティングすることが、公知である。このようなコーティングは、良好な付着性を有していること、および、変形時に医療デバイスに適合すること、が要求されている。うまくないことに、このようなコーティングは、経時的な劣化を受ける。この手法では、クラックの発生や剥がれや脱離が起こることが問題である。コーティングの一部が基板から分離した場合には、血流に乱れが生じ、トロンボゲン形成が起こるというリスクがある。また、破片が、血管の下流中において塞栓を形成するというリスクがある。
【0014】
従来技術は、埋設可能な医療デバイスを放射線不透過性にするための様々な構成および方法を開示しているけれども、生体適合性でありかつ放射線不透過性でありかつ経時的に有効性を失うことがなくかつ患者に対して障害をもたらすというリスクがないような埋設可能な医療デバイスは、未だ開発されていない。したがって、安全でありかつ生体適合性でありかつ経時的に生体安定性を有したような放射線不透過性の埋設可能な医療デバイスが、現在要望されている。
【特許文献1】米国特許第6,253,769号明細書
【特許文献2】欧州特許出願公開第0 203 833号明細書
【特許文献3】米国特許第5,319,059号明細書
【特許文献4】国際公開第90/03036号パンフレット
【特許文献5】米国特許第4,990,138号明細書
【特許文献6】米国特許第6,048,362号明細書
【特許文献7】国際公開第01/49340号パンフレット
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、従来技術による欠点を克服し得るような放射線不透過性医療プロテーゼを提供する。本発明によるプロテーゼは、機能に関連したすべての機械的要求および構造的要求を満足する。加えて、本発明によるプロテーゼは、プロテーゼ自体とは個別とされた放射線不透過性材料を必要とすることなく、X線的に可視である。
【0016】
本発明の利点は、PTFEに対して放射線不透過性化合物を混合することによって、一体的に形成された生体適合性埋設可能プロテーゼを形成することにより、得られる。プロテーゼの一体性は、プロテーゼ材料に対しての、放射線不透過性材料の相対的な量を、適切に選択することによって、維持される。
【0017】
本発明は、放射線不透過性埋設可能プロテーゼであって、ノードとフィブリルとからなる構造を有したePTFEから形成されたポリマー製プロテーゼと;ノードとフィブリルとからなる構造の少なくとも一部に対して一体化された放射線不透過性フィラーと;を具備しているプロテーゼを提供する。
【0018】
有利な見地においては、本発明は、放射線不透過性血管グラフトであって、ノードとフィブリルとからなる構造を有したePTFEから形成された血管グラフトと;ノードとフィブリルとからなる構造の少なくとも一部に対して一体化された放射線不透過性フィラーと;を具備している血管グラフトを提供する。フィラーは、望ましくは、複数の金粒子とされる。しかしながら、他の材料を使用することもできる。
【0019】
本発明は、放射線不透過性埋設可能プロテーゼの形成方法を提供するものであり、プロテーゼは、PTFEから形成され、プロテーゼのノードとフィブリルとからなる構造に対して一体化された放射線不透過性フィラーを具備している。この方法においては、PTFE粉末と潤滑剤と放射線不透過性フィラーとを混合し、これにより、混合物を形成し;混合物を円筒形ビレット内において加圧下で予成形し;ビレットを所定形状を有した物品へと押し出し;物品を、膨張させあるいは延伸させあるいは膨張と延伸との双方を行い、これにより、ePTFEのノードとフィブリルとからなる構造に対して放射線不透過性フィラーが一体化された延伸された放射線不透過性プロテーゼを形成し;延伸された放射線不透過性プロテーゼを焼結し、これにより、焼結された放射線不透過性プロテーゼを形成する。望ましくは、放射線不透過性フィラーは、プロテーゼの全体にわたって一様に分散される。濯ぎステップを行うことによって、冷却された放射線不透過性プロテーゼからなるグループの中から選択された、残留放射線不透過性フィラーが除去される。
【0020】
望ましい見地においては、本発明は、チューブまたはシートへと形成された態様で医療デバイスを提供する。これにより、グラフトまたはパッチとして機能することができる。グラフトの形態とされたプロテーゼは、単独で使用することも、また、ステントと組み合わせて使用することも、できる。加えて、グラフトとステントとの組合せは、グラフトによってカバーされたステントとして、あるいは、ステントによってカバーされたグラフトとして、あるいは、2つのグラフトの間に介装されたステントとして、ラミネートされたグラフトとステントとの組合せとして、あるいは、類似物として、形成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
上記特徴点や他の特徴点に関し、以下、本発明について詳細に説明する。本発明の他の特徴点や利点については、添付図面を参照しつつ、以下の詳細な説明を読むことにより、明瞭となるであろう。
【0022】
本発明に基づいて形成された埋設可能なプロテーゼには、プロテーゼのX線透視による可視化を常に可能とし得るいう格別の利点を提供する。この利点は、グラフトの位置や開通度やソフトさも含めたプロテーゼ性能に関する非侵襲的診断評価や、患者の器官チューブに対してのグラフトの吻合性に関する非切開的診断評価や、穴やキンク発生や破裂や動脈瘤等といったような状況の有無に関する非切開的診断評価、を可能とする。本発明によるプロテーゼは、寿命全体にわたって、放射線不透過性を失うことなく放射線不透過性のままである。有利には、本発明によるプロテーゼの放射線不透過性は、検出を可能とし得る程度に十分に不透明なものであり、例えば血管造影法といったような他の非侵襲的診断技術を妨害するほどには不透明でない。
【0023】
さて、図1には、ePTFE製血管グラフトの形態として、本発明の一実施形態が示されている。グラフト1は、長尺チューブとされ、外表面2と、内表面3と、断面厚さ4と、を備えている。放射線不透過性材料5が、グラフト1の全体にわたって一様に分散されている。放射線不透過性材料5のこの一様分布により、外科医は、グラフト1の長さ全体にわたってグラフト1をX線透視法で見ることができる。
【0024】
さて、図2Aおよび図2Bには、ePTFEの微小構造の拡大図が示されている。図2Aにおいては、従来技術が示されており、この従来技術においては、複数のノード6が、フィブリル束7によって互いに連結されている。図2Bにおいては、ePTFEの内部構造の非常に拡大してかつ誇張して示されている。図2Bにおいては、放射線不透過性のフィラー材料または粒子が、ノードおよびフィブリルに対して一体化されている。ノード6およびフィブリル7からなる構造は、ノード6自体に対して完全にまたは部分的に一体化された状態で、および、フィブリル7に対して完全にまたは部分的に一体化された状態で、放射線不透過性材料5を有している。ノードおよび/またはフィブリルに対して完全に一体化されているという表現は、粒子の全体がPTFEによって囲まれていることを意味している。ノードおよび/またはフィブリルに対して部分的に一体化されているという表現は、粒子がPTFEによって囲まれているものの、粒子の一部がPTFEの多孔性スペース内にあることを意味している。加えて、いくらかの放射線不透過性材料は、究極的には、フィブリル7間に分散している。プロセスの濯ぎステップの後においてさえも放射線不透過性材料がフィブリル束内に埋め込まれているあるいは拘束されている限りにおいて、この材料は、PTFEに対して一体化されているものと見なされる。
【0025】
そのような解釈に限定されることなく、放射線不透過性材料の一体化とは、ePTFEのノードとフィブリルとからなる構造を形成するPTFE押出物品の延伸プロセスによって可能となったものと考えられる。よって、放射線不透過性材料は、断面厚さ方向と長手方向との双方に関し、プロテーゼの全体にわたって一様に分配することができる。さらに、放射線不透過性材料は、患者内に埋設された後においても、ePTFE構造内に実質的に恒久的に留まることができる。本発明の1つの有利な見地においては、放射線不透過性材料の大部分は、ePTFE構造のノードおよびフィブリル内に少なくとも部分的に一体化されている。
【0026】
多孔性のPTFEチューブを一般的に製造する1つの方法は、例えば、米国特許第3,953,566号明細書や、米国特許第3,962,153号明細書や、米国特許第4,973,609号明細書、に開示されている。これら文献の記載内容は、参考のため、ここに組み込まれる。一般に、PTFEチューブは、4つのステップでもって形成することができる。すなわち、PTFEペーストの準備ステップと、チューブの押出ステップと、チューブの延伸ステップと、チューブの焼結ステップと、によって形成することができる。チューブ状構造を形成する場合には、PTFEペーストは、加圧状態とされたビレット内において形成されてチューブ状押出型を通されるか、あるいは、マンドレル上にコーティングされることによってチューブ状押出物品として形成されるか、のいずれかである。次に、湿潤状態の押出物品を乾燥させ、これにより、室温において、あるいは、潤滑剤の乾燥温度近傍の温度において、潤滑剤を蒸発させる。PTFE樹脂またはPTFEペーストを形成して乾燥させた後に、所望のチューブ形状を形成しつつ、膨張や延伸を行うことができる。延伸とは、形成された樹脂の引き伸ばしを意味しており、膨張とは、長手方向軸に対して直交する向きに、形成された樹脂を拡径させることを意味している。延伸/膨張ステップは、327℃未満の温度において、典型的には、250〜326℃という温度範囲において、少なくとも2:1という延伸比率でもって、行われる。最後に、チューブ状押出物品は、約350〜370℃という温度でもって加熱することによって、焼結される。これにより、ポリマーが、アモルファス状態でロックされる。その後、チューブ状物品を、所望サイズにカットすることができる。
【0027】
同様に、多孔性のePTFE製シートを製造する方法は、米国特許第5,476,589号明細書に開示されている。この文献の記載内容は、参考のため、その全体がここに組み込まれる。一般に、シートの形成は、チューブの形成と同様である。しかしながら、単に膨張させるのではなく、物品は、所望のリボンまたはシートを形成し得るように延伸される。その後、焼結された物品は、テープやパッチ等といったような所望のサイズへとカットすることができる。
【0028】
本発明による放射線不透過性のePTFEは、以下のようにして形成することができる。PTFEペーストの分散は、例えばF-104,F-103 Virgin PTFE Fine Powder(Dakin America, Orangeburg, NY)といったような微細なバージンのPTFE製粉末に対して、例えば無臭のミネラルスピリットあるいはナフサといったようなつまりIsopar(登録商標)(Exxon Chemical Co., Houston, TX)といったような液体潤滑剤と、例えば金粉末(Alfa Aesar, Ward Hill, MA)といったような放射線不透過性粒子と、を混合し、これにより、PTFEペーストを形成する。これにより、所望の粘度を有しつつ、ペースト内のPTFE内に放射線不透過性粉末を均等に分散させることができる。その後、その混合物は、例えば約300psi〜約600psiといったような圧力下の円筒状ビレット内において、予成形される。その後、予成形されたビレットは、ロッドまたはチューブ状物品へと押し出される。その後、物品は、膨張および/または延伸され、約327℃を超えない高温で、例えばチューブまたはシートといったような所定形状へと成形される。その後、物品は、約327℃を超えた温度で焼結させられる。これにより、押し出された構造を結晶化させることができる。焼結ステップの長さは、材料内の金粉末のヒートシンク見地によると、従来のePTFE焼結の場合よりも、小さなものとすることができる。当業者であれば、物品内の放射線不透過性材料の量に応じて、焼結のための時間を調節することができる。物品を濯ぐことにより、埋設に先立って、ePTFEの中に拘束されていないすべての残留放射線不透過性粒子を除去することができる。最終ステップとして、物品は、所望の最終用途形状へとカットすることができる。
【0029】
望ましい見地においては、放射線不透過性フィラーは、放射線不透過性ePTFEの全体にわたって実質的に一様に分散される。この目的のために、PTFEペースト分散の全体的混合が重要であり、これにより、ペースト全体にわたって放射線不透過性フィラーが一様に分散することを補助することができる。このことは、また、放射線不透過性フィラーが高価なものであることのために、コスト的な見地から重要である。材料の全体的混合は、プロセスの濯ぎ段階時に放射線不透過性のフィラーの損失を最小化することを補助する。加えて、ビレットへと予成形しさらにはプロテーゼへと成形するために使用される圧力は、プロテーゼ全体にわたって放射線不透過性粒子を一様分布させることを補助する。特に、圧力下において材料を押し出すことまたは動作させることは、放射線不透過性フィラーを一様に分散させるように機能する。
【0030】
有利な見地においては、生理学的にまたは薬理学的に活性な薬剤を、本発明による放射線不透過性ePTFEで形成されたプロテーゼに対してコーティングするか内部に組み込むことにより、埋設後に患者に対して経時的な放出特性をもたらすことができる。任意の薬剤あるいはバイオ治療薬剤を、プロテーゼの表面上にコーティングすることができる、あるいは、プロテーゼ内に組み込むことができる。適切な薬剤またはバイオ治療薬剤の例には、限定するものではないけれども、耐トロンボゲン形成薬剤や、抗生物質や、抗腫瘍薬剤や、細胞周期制限薬剤や、これらの同族体や派生物やフラグメントや薬理学的塩類や、これらの組合せ、がある。
【0031】
有効な耐トロンボゲン形成薬剤には、例えば、ヘパリンや、ヘパリン硫酸塩や、ヒルジンや、コンドロイチン硫酸塩や、デルマタン硫酸塩や、ケラチン硫酸塩や、ウロキナーゼとストレプトキナーゼとを含む細胞溶解剤や、これらの同族体や類似物やフラグメントや派生物や薬理学的塩類がある。
【0032】
有効な抗生物質には、例えば、ペニシリンや、セファロスポリンや、バンコマイシンや、アミノグリコシドや、キノロンや、ポリミクシンや、エリスロマイシンや、テトラサイクリンや、クロラムフェニコールや、クリンダマイシンや、リンコマイシンや、スルホンアミドや、それらの同族体や類似品やフラグメントや薬理学的塩類や、これらの組合せ、がある。
【0033】
有効な抗腫瘍薬剤には、例えば、パクリタクセルや、デセタクセルや、メクロレタミンを含むアルキル化剤や、クロラムブチルや、シクロフォスファミドや、メルファランや、イフォスファミドや、メトトレキサートと6−メルカプトプリンと5−フルオロウラシルとシタラビンとを含む代謝拮抗剤や、ビンブラスチンとビンクリスチンとエトポシドとを含むプラントアルカロイドや、ドクソルビシンとダウノマイシンとブレオマイシンとマイトマイシンとを含む抗生物質や、カルムスチンとロムスチンとを含むニトロスレアスや、シスプラチンを含む無機イオンや、インターフェロンを含む生物学的応答調節物質や、アスパラギナーゼを含む酵素や、タモキシフェンとフルタミドとを含むホルモンや、これのそれらの同族体や類似物やフラグメントや派生物や薬理学的塩類や、これらの組合せ、がある。
【0034】
有効な抗ウイルス薬剤には、例えば、アマンタジンや、リムアマンタジンや、リバビリンや、イドクルリジンや、ビダラジンや、トリフリジンや、アシクロビルや、ガンシクロビルや、ジドブジンや、フォスカーネットや、インターフェロンや、これらの同族体や類似物やフラグメントや派生物や薬理学的塩類や、これらの組合せ、がある。
【0035】
薬剤は、様々な方法で供給することができる。例えば、薬剤が結合した官能基を含有したモノマーを使用してePTFEプロテーゼを形成することができる。プロテーゼは、適切なバッファー内において、薬剤の混合物に対してディップコーティングすることができる。薬剤を官能基と反応させた後に、グラフトを、乾燥させることができる。この方法は、例えば、米国特許第6,358,557号明細書に開示されている。これに代えて、ePTFE材料の多孔性を使用することにより、多孔性の内部に治療薬剤を保持することができる。治療薬剤は、プロテーゼに対して、圧力下において治療薬剤溶液を添加することによって、添加することができる。
【0036】
放射線不透過性フィラーの粒子サイズは、望ましくは、直径で、約0.05〜約2ミクロンとされる。より望ましくは、粒子サイズは、直径で、約0.05ミクロン〜約0.5ミクロンとされ、さらに望ましくは、0.05ミクロン〜約0.1ミクロンとされる。大部分の粒子が、ノード内におよび/またはフィブリル内に少なくとも部分的に一体化されたままであることが望ましい。粒子がフィブリル束間に拘束されていて濯ぎ時にもまた埋設時にも放出され得ないようになっていると、効果的である。粒子がフィブリル束間に拘束されている場合には、いくつかの粒子は、フィブリル束から抜け出して血流内に到達する可能性がある。この場合、粒子が塞栓症を回避し得るよう機能することにより、粒子のサイズが小さいことが有利である。粒子は、典型的には、血流内において、より大きな粒子あるいはより大きな質量に関連する。加えて、血流内へと放射線不透過性フィラーが放出される機会は、埋設後に生じる内膜の正常な組織成長のために、制限される。細胞は、構造内に放射線不透過性フィラーの位置を固定するよう機能する。フィラー粒子のサイズが実質的に一様であることが、さらに望ましい。
【0037】
放射線不透過性材料として適切な化合物には、金属があり、例えば、白金、ステンレススチール、チタン、銀、タンタル、バリウム、ビスマス、イリジウム、タングステン、レニウム、オスミウム、イリジウム、あるいは、パラジウム、あるいは、これらの生体適合性酸化物、がある。望ましくは、材料は、金、チタン、あるいは、銀、あるいは、これらの生体適合性酸化物、とされる。より望ましくは、材料は、少なくとも99%という純度を有した金とされる。ここで使用されるように、材料は、ホスト有機体の機能を著しく阻害しない限りにおいて、生体適合性である。放射線不透過性材料は、単独であるいは組み合わせて、使用することができる。放射線不透過性材料は、例えば樹脂といったような生体適合性材料によってコーティングすることができる。
【0038】
放射線不透過性フィラー材料の濃度は、用途に依存して変わる。一般に、濃度は、X線撮影によって明瞭に検出可能であるよう十分に大きなものであるべきであり、なおかつ、プロテーゼの構造的一体性を維持し得るようおよび例えば血管造影法といったような他の放射線不透過性診断学を妨害することがないよう十分に小さなものであるべきである。一般に、放射線不透過性材料は、プロテーゼの重量の約5%〜約30%である。望ましいくは、放射線不透過性材料は、プロテーゼの重量の約10%〜約25%とされる。より望ましくは、放射線不透過性材料は、プロテーゼの重量の約20%とされる。放射線不透過性材料の所望濃度範囲について例示したけれども、プロテーゼ中の放射線不透過性ePTFEの最終用途に依存して、これらの範囲外の他の濃度を適切に使用することもできる。これら範囲も、また、本発明に属するものである。
【0039】
放射線不透過性ePTFEは、ePTFEプロテーゼが使用されるようなすべての医療応用において使用することができる。例えば、放射線不透過性ePTFEは、グラフトや、ステントや、外科用フェルト、等において、使用することができる。グラフトは、チューブ状の医療デバイスであって、損傷した血管を修理したりあるいは交換したりするために使用される。グラフトは、様々な材料から形成することができる。本発明においては、ePTFEが使用される。ステントは、構造的支持をもたらすものであって、損傷した血管を開放状態に維持するよう機能する。ステントは、通常はグラフトと組み合わせて使用され、その場合、グラフトは、ライナーとされ、ステントに対してカバーすることによりあるいはラミネートすることによりあるいは付着することによりあるいは縫い付けることによりあるいは他の取付手法により、取り付けられる。本発明によるプロテーゼを、構造的に自己支持性のグラフトの形態とし得ることは、理解されるであろう。特に、本発明によるプロテーゼは、支持のためのステントを必要とすることなく、グラフトとして使用することができる。外科用フェルトは、非チューブ状の欠陥を修復するためのパッチとして使用される。埋設可能なプロテーゼは、様々なプロテーゼの中から選択することができ、限定するものではないけれども、カテーテルや、バルーンや、グラフトや、グラフトとステントとの組合せや、外科用フェルト、等とすることができる。
【0040】
本発明の1つの有利な見地においては、プロテーゼは、ePTFE製グラフトとされ、このグラフト内には、放射線不透過性の金粒子が一体化されている。しかしながら、ePTFEから形成し得るような任意の埋設可能医療デバイスであっても、本発明に基づいて放射線不透過性のものとすることができる。例えば、一実施形態においては、従来のePTFEグラフトの一部に沿って、本発明に基づいて形成された放射線不透過性ePTFE製リボンを、結合させることができる。
【0041】
さて、図3には、本発明の一実施形態が示されており、この実施形態においては、従来技術によるグラフト10が、本発明に基づく放射線不透過性ePTFEリボン12を巻回することによって、放射線不透過性のものとされている。リボン12は、上述したような放射線不透過性材料5を備えている。また、複数の放射線不透過性ePTFE製リングを、グラフトの長さに沿って間欠的にあるいはグラフトの両端部に結合することによって、従来技術によるグラフトを、放射線不透過性のものとすることができる。従来技術によるグラフトに対しての、ePTFEの結合は、例えば接着剤や加熱といったような公知技術によって、実行することができる。また、従来技術によるグラフト上に、ステントを使用して、放射線不透過性ePTFE部分を配置することができる。その場合、ステントは、放射線不透過性部分を所定位置に保持する。あるいは、公知の結合技術と組み合わせてステントを使用することができる。
【0042】
放射線不透過性ePTFEの不透明さは、用途に応じて変更することができる。チューブ状グラフトを備えた適用においては、例えば、ある種の診断テストは、グラフトの適切な配置を識別するために行われる。この場合、グラフトは、実質的に放射線不透過性ePTFEから形成することができる、あるいは、グラフトは、例えば本発明による実質的に放射線不透過性ePTFEからなるリボンあるいは一連のリングを、グラフトの長さに沿って断続的に結合することができる。大いに不透明であることにより、外科医は、グラフトインプラントの正確な位置を識別することができる。
【0043】
グラフトを含む他の診断テストにおいては、例えば、グラフトを通しての血流を評価することを目指したX線透視法テストにおいては、グラフトの全長さが可視であることが必要である上に、そのグラフトを通して流れる染料が可視であることが必要である。この場合、放射線不透過性は、部分的なものとされる、すなわち、『放射線半透明』なものとされる。これにより、グラフトがなす構造全体の可視化と、そのグラフトを通って流れる血液を示す染料の検出と、の双方を行うことができる。
【0044】
放射線不透過性ePTFEの放射線不透過性の程度の制御は、PTFEペースト内における放射線不透過性フィラーの量を変えることにより、実行することができる。放射線不透過性は、PTFEペースト内におけるフィラーの相対的な量を増大させることにより、増大させることができ、PTFEペースト内におけるフィラーの相対的な量を減少させることにより、減少させることができる。さらに、放射線不透過性の制御は、上述したような1つまたは複数のプロセスパラメータを変更することにより、実行することができる。例えば、PTFEペーストに対して添加するものとした与えられた放射線不透過性フィラーの濃度に関し、例えば500%以下という膨張度合いであれば、放射線不透過性材料の濃度が大きく、放射線不透過性は大きなものとなる。これは、より厚い横断面を有したプロテーゼを使用するような用途において、最適である。放射線不透過性の程度を減少させるには、例えば2000〜3000%といったような、より大きな膨張を行う。これにより、放射線不透過性の小さなePTFE、すなわち、放射線半透明であるようなePTFE、を得ることができる。また、膨張度合いを増大させることができ、および/または、急激なサイクルで膨張をパルス的に行うことができる。これにより、得られるePTFEに関し、ノードとのフィブリルとの比率を増大させることができる。膨張割合および膨張の種類は、同様に、形成されるePTFE製品の放射線不透過性の増大をもたらす。プロセスにおける他の変形は、当業者には自明なものであり、本発明の範囲内に属するものである。
【0045】
さて、図4には、ステントとグラフトとの組合せからなるプロテーゼが示されている。この実施形態においては、グラフト1は、ステント8によってカバーされている。放射線不透過性材料5は、グラフト1の全体にわたって一様に分散されており、これにより、
組合せデバイスを、放射線的手段によって検出可能なものとすることができる。構成上の変形例も、また、本発明の範囲内である。したがって、また、2つのグラフトの間にステントを介装することができる。あるいは、ステントを、従来技術によるグラフトによってカバーし、さらに、このグラフトを、放射線不透過性ePTFE製リボンによって巻回することができる。あるいは、これらを組み合わせることができる。得られるプロテーゼが放射線不透過性である限りにおいては、本発明による放射線不透過性ePTFEを使用したプロテーゼの構成には、何ら特別の制限はない。
【0046】
本発明の例示としての実施形態について、添付図面を参照して説明したけれども、本発明が、それらの実施形態の細部にまで限定されないこと、および、当業者であれば、本発明の精神および範囲を逸脱することなく、それら実施形態に対して様々な変形や修正を加え得ること、および、それらすべての変形や修正が本発明の範囲内に包含されることは、理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明による埋設可能プロテーゼを示す斜視図である。
【図2A】従来技術によって長手方向に延伸されたPTFEを示す写真である。
【図2B】ePTFEから形成されかつ放射線識別可能材料を内部に含有した本発明による埋設可能プロテーゼに関し、ノードとフィブリルとを誇張して示す図である。
【図3】本発明に基づき放射線不透過性ePTFE製リボンを従来型グラフトの周囲に巻回して形成されたプロテーゼを示す斜視図である。
【図4】ステントとグラフトとを組み合わせて形成したプロテーゼを示す斜視図である。
【符号の説明】
【0048】
1 グラフト
5 放射線不透過性材料
6 ノード
7 フィブリル
8 ステント
10 グラフト
12 放射線不透過性ePTFEリボン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射線不透過性埋設可能プロテーゼであって、
ノードとフィブリルとからなる構造を有した延伸ポリテトラフルオロエチレン(以下、『ePTFE』と略記する)から形成されたポリマー製プロテーゼと;
前記ノードと前記フィブリルとからなる前記構造の少なくとも一部に対して一体化された放射線不透過性フィラーと;
を具備していることを特徴とするプロテーゼ。
【請求項2】
請求項1記載のプロテーゼにおいて、
前記プロテーゼが、血管グラフトと、ステントと、ステントカバーと、ステントライナーと、ステントとグラフトとの組合せからなるアセンブリと、カテーテルと、バルーンと、外科用フェルトと、からなるグループの中から選択されたものであることを特徴とするプロテーゼ。
【請求項3】
請求項1記載のプロテーゼにおいて、
前記放射線不透過性フィラーが、金と、白金と、ステンレススチールと、チタンと、銀と、タンタルと、バリウムと、ビスマスと、イリジウムと、タングステンと、レニウムと、オスミウムと、イリジウムと、パラジウムと、これらの酸化物と、からなるグループの中の少なくとも1つからなる粒子とされていることを特徴とするプロテーゼ。
【請求項4】
請求項1記載のプロテーゼにおいて、
前記放射線不透過性フィラーが、金粒子とされていることを特徴とするプロテーゼ。
【請求項5】
請求項1記載のプロテーゼにおいて、
前記放射線不透過性フィラーが、前記プロテーゼ内に一様に分散されていることを特徴とするプロテーゼ。
【請求項6】
請求項1記載のプロテーゼにおいて、
前記プロテーゼが、放射線に対して半透明であることを特徴とするプロテーゼ。
【請求項7】
請求項1記載のプロテーゼにおいて、
前記放射線不透過性フィラーが、前記プロテーゼ内において、重量で20%という量でもって存在していることを特徴とするプロテーゼ。
【請求項8】
請求項3記載のプロテーゼにおいて、
前記粒子が、0.05μm〜2μmという平均直径を有していることを特徴とするプロテーゼ。
【請求項9】
請求項8記載のプロテーゼにおいて、
前記粒子が、0.05μm〜0.5μmという平均直径を有していることを特徴とするプロテーゼ。
【請求項10】
請求項9記載のプロテーゼにおいて、
前記粒子が、0.05μm〜0.1μmという平均直径を有していることを特徴とするプロテーゼ。
【請求項11】
請求項10記載のプロテーゼにおいて、
前記放射線不透過性フィラーが、金粒子とされていることを特徴とするプロテーゼ。
【請求項12】
請求項1記載のプロテーゼにおいて、
前記プロテーゼが、放射線不透過性ではない第1ePTFE部分と、放射線不透過性とされた第2ePTFE部分と、を備えていることを特徴とするプロテーゼ。
【請求項13】
請求項12記載のプロテーゼにおいて、
前記第2ePTFE部分が、前記第1ePTFE部分に対して結合されていることを特徴とするプロテーゼ。
【請求項14】
放射線不透過性血管グラフトであって、
ノードとフィブリルとからなる構造を有した延伸ポリテトラフルオロエチレン(以下、『ePTFE』と略記する)から形成された血管グラフトと;
前記ノードと前記フィブリルとからなる前記構造の少なくとも一部に対して一体化された放射線不透過性フィラーと;
を具備していることを特徴とする血管グラフト。
【請求項15】
請求項14記載の血管グラフトにおいて、
前記フィラーが、複数の金粒子とされていることを特徴とする血管グラフト。
【請求項16】
請求項14記載の血管グラフトにおいて、
さらに、前記グラフトに関連したステントを具備していることを特徴とする血管グラフト。
【請求項17】
請求項15記載の血管グラフトにおいて、
前記金粒子が、0.05μm〜0.1μmという直径を有していることを特徴とする血管グラフト。
【請求項18】
放射線不透過性埋設可能プロテーゼの形成方法であって、
前記プロテーゼが、延伸ポリテトラフルオロエチレン(以下、『ePTFE』と略記する)から形成されたポリマー製プロテーゼと;前記ePTFE構造のノードとフィブリルとからなる構造に対して一体化された放射線不透過性フィラーと;を具備してなる場合に、
前記方法においては、
PTFE粉末と潤滑剤と放射線不透過性フィラーとを混合し、これにより、混合物を形成し;
前記混合物を円筒形ビレット内において加圧下で予成形し、これにより、前記ビレットの全体にわたって前記放射線不透過性フィラーを分散させ;
前記ビレットを所定形状を有した物品へと押し出し;
前記物品を、膨張させあるいは延伸させあるいは膨張と延伸との双方を行い、これにより、前記ePTFEの前記ノードと前記フィブリルとからなる前記構造に対して前記放射線不透過性フィラーが一体化された延伸された放射線不透過性プロテーゼを形成し;
前記延伸された放射線不透過性プロテーゼを焼結し、これにより、焼結された放射線不透過性プロテーゼを形成する;
ことを特徴とする方法。
【請求項19】
請求項18記載の方法において、
前記放射線不透過性フィラーを、金粒子とすることを特徴とする方法。
【請求項20】
請求項19記載の方法において、
さらに、前記プロテーゼに対して少なくとも1つの薬剤を添加することを特徴とする方法。

【図1】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2006−511283(P2006−511283A)
【公表日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−564690(P2004−564690)
【出願日】平成15年8月26日(2003.8.26)
【国際出願番号】PCT/US2003/026514
【国際公開番号】WO2004/060210
【国際公開日】平成16年7月22日(2004.7.22)
【出願人】(300056576)ボストン・サイエンティフィック・リミテッド (3)
【Fターム(参考)】