説明

放射線感受性材料の照射用装置および方法

放射線感受性材料の照射用装置である。この装置は、内部に伝熱媒体を収容するための少なくとも1つの熱伝導タンクを備え、この少なくとも1つの熱伝導タンクは、平行に間隔を置いた関係にある第1の壁および第2の壁を有し、第2の壁は、上に放射線感受性材料を配置するための外面を有している。また、放射線感受性材料を照射するシステムおよび方法も開示されている。

【発明の詳細な説明】
【開示の内容】
【0001】
〔分野〕
本発明は、生物学的製品に関し、より具体的には、活性な生物的汚染物質のレベルを減少させるための放射線感受性材料の殺菌方法に関する。
【0002】
〔背景〕
様々な製品および材料が、それらの特性を保存または修正するために、定期的に照射される。照射を使う処理の中には、医療機器の殺菌、消費者製品の消毒、寄生生物および病害防除のための食品照射、昆虫駆除および貯蔵寿命延長、飲料水中の病原体および毒素の制御、液体または固体廃棄物中の病原体および毒素の制御、半導体装置の特性の変性、モノマーの重合、ポリマー上へのモノマーの移植、ポリマーの架橋または分解、複合材料の硬化、宝石用原石および他の材料の着色強化、ならびに、材料への放射の影響の研究がある。
【0003】
人間用、家畜用、診断用、および/または、実験用に調製された生物学的材料(Biological materials)は、(マイコプラズマ、ウレアプラズマ、ナノバクテリア、クラミジア、リケッチアといった、細胞間および細胞内バクテリアを含む)植物状態および胞子状態の双方における、ウイルス、バクテリアといった、望ましくないそして潜在的に危険な生物的汚染物質または病原体、イースト菌、かび、菌類、プリオン、または、単独でもしくは組み合わせて、伝達性海綿状脳症(TSEs)の原因となる同様の作用物質、ならびに/または、単細胞もしくは多細胞の寄生生物、を包含するおそれがある。その結果、製品が使用される前に、生物学的材料におけるあらゆる生物学的汚染物質または病原体が不活性化されることは、最重要のことである。
【0004】
ガンマ線照射、電子ビーム照射、およびX線照射といった、イオン化放射線処置は、汚染バクテリア、菌類、およびウイルスの生物学的要素を損傷する遊離基および他の活性分子を生成し、そしてそれゆえ、これらの不活性化を確実にする。しかしながら、生物学的材料もまた、遊離基および活性分子によって破損させられる場合があり、このことは、材料の完全性に害を及ぼすおそれがある。これらの問題を考慮すると、滅菌産業が製造処理の1部として適当な処置を提供できないため、多くの新しい医学の進歩を実施できない。
【0005】
滅菌にかかわる問題は、輸血、血液因子置換療法、臓器移植、および、静脈注射もしくは注入、筋肉内注射もしくは注入、または他の形態の注射もしくは注入により矯正または処置される他の形態の人間の療法などといった、医療の他の部門にも存在している。滅菌はまた、各種の血漿および/もしくは血漿製剤(plasma derivatives)、または他の生物由来物質を包含し、そして、有害なプリオン、バクテリア、ウイルスおよび他の生物学的汚染物質または病原体を包含するおそれのある媒体において準備される様々な生物学的材料に対しても、重要である。
【0006】
照射処理は、所望の効果を達成するために必要とされる最小吸収線量と、製品が許容できそして依然として機能的であることに基づいて定められる最大線量限度とによって、しばしば特徴付けられる。製品内の線量分布は、処理負荷の特性、照射条件、および作動パラメータに依存する。作動パラメータは、電子エネルギー、ビーム電流、ビーム分散パラメータ、および、製品の温度プロファイルの制御を含む、製品材料制御を含む。これらのパラメータは、製品が放射線感受性材料であるときに、特に重要である。
【0007】
米国特許第5,362,442号明細書は、ウイルス、バクテリア、イースト菌、かび、マイコプラズマ、および寄生生物などの生物学的汚染物質を取り除くために、製品を殺菌するための方法を提案する。提案された方法は、20%未満の固体を包含する形態で製品を供給して、次に、長期の期間に亘って、製品をガンマ線照射で照射することを必要とする。この製品は、少なくとも10時間の期間、照射される。この製品における低い水準の固体とともに、長期照射時間は、製品への損害を実質的に減少させると言われている。この方法は、血液や血液成分などの感受性材料を殺菌する際に有用であると言われている。
【0008】
米国特許第6,187,572号明細書は、赤血球および血小板、またはタンパク分屑などといった、血液の細胞物質中におけるウイルス性の、および/または、バクテリアの汚染を不活性にするための方法を提案する。細胞またはタンパク分屑は、固体の状態にある間、化学増感体と混合され、凍結または凍結乾燥され、そして、例えば、紫外線放射、可視線放射、ガンマ線放射、またはX線放射で照射されることが、提案されている。
【0009】
米国特許第6,239,048号明細書は、光活性染料単独と、または、光活性染料と追加的な従来の抗菌薬とを組み合わせたものと、結合された織布または不織布などの基材を提案している。提案された基材は、基材に付与されうる抗菌および/または抗ウイルス性を有すると言われる光活性で浸出不能な染料に含浸されている。光に曝されると、この染料は、微生物およびウイルスを殺すと言われる1重項酸素を発生させると報告されている。
【0010】
米国特許第6,908,591号明細書は、ウイルス、バクテリア、イースト菌、かび、菌類、プリオン、または、伝達性海綿状脳症(TSEs)の原因となる同様の作用物質、および/または、単細胞もしくは多細胞の寄生生物といった、1または2以上の活性生物的汚染物質または病原体のレベルを減少させるために生物学的材料質を殺菌するための方法を提案する。提案された方法は、照射で生物学的材料を殺菌することにおけるフラボノイド/フラボノール安定剤の使用を伴う。
【0011】
国際公開第98/31403号明細書は、凍結乾燥されたコラーゲンベースの生体適合材料を放射殺菌する方法、および、凍結乾燥されたコラーゲンベースの生体材料の組成物を提案する。
【0012】
当技術分野でのこれらの進歩にもかかわらず、材料自体への悪影響なしで活性生物的汚染物質または病原体のレベルを減少させるのに有効な、放射線感受性の生物学的材料を殺菌する方法の必要性は残されている。
【0013】
〔概要〕
1つの態様では、提供されているのは、放射線感受性材料の照射用装置である。この装置は、内部に伝熱媒体を収容するための少なくとも1つの熱伝導タンクを備え、前記少なくとも1つの熱伝導タンクは、平行に間隔を置いた関係にある第1の壁および第2の壁を有し、前記第2の壁は、上に放射線感受性材料を配置するための外面を有している。
【0014】
もう1つの態様では、提供されているものは、放射線感受性材料の照射用システムである。このシステムは、内部に伝熱媒体を収容するための第1の熱伝導タンクであって、前記第1の熱伝導タンクは、平行に間隔を置いた関係にある第1の壁および第2の壁を有し、前記第2の壁は、上に放射線感受性材料を配置するための外面を有する、第1の熱伝導タンクと、内部に伝熱媒体を収容するための第2の熱伝導タンクであって、前記第2の熱伝導タンクは、平行に間隔を置いた関係にある第1の壁および第2の壁を有し、前記第2の壁は、前記放射線感受性材料に接触するための外面を有する、第2の熱伝導タンクと、前記放射線感受性材料が前記外面間に配置されると、前記第2の熱伝導タンクの前記第2の壁の前記外面が、前記少なくとも1つの熱伝導タンクの前記第2の壁の前記外面に面するように、組立体を形成するために前記第1の熱伝導タンクに前記第2の熱伝導タンクを固定するための手段と、を備える。
【0015】
さらに別の態様では、提供されているものは、第1の表面と第2の表面とを有している放射線感受性材料を照射する方法である。前記方法は、内部に伝熱媒体を収容するための第1の熱伝導タンク上に放射線感受性材料の前記第1の表面を配置するステップであって、前記第1の熱伝導タンクは、平行に間隔を置いた関係にある第1の壁および第2の壁を有し、前記第2の壁は、放射線感受性材料を受容するための外面を有する、ステップと、内部に伝熱媒体を収容するための第2の熱伝導タンクを、放射線感受性材料の第2の表面の上に配置するステップであって、前記第2の熱伝導タンクは、平行に間隔を置いた関係にある第1の壁および第2の壁を有し、前記第2の壁は、放射線感受性材料に接触するための外面を有する、ステップと、前記放射線感受性材料が前記外面間に配置されると、前記第2の熱伝導タンクの前記第2の壁の前記外面が、前記少なくとも1つの熱伝導タンクの前記第2の壁の前記外面に面するように、組立体を形成するために前記第1の熱伝導タンクに前記第2の熱伝導タンクを固定するステップと、前記第1および第2の熱伝導タンクのそれぞれを伝熱媒体で充填するステップと、放射線感受性材料を殺菌するために有効な割合および時間で適当な放射線で放射線感受性材料を照射するステップと、を含む。
【0016】
本発明は、例示目的でのみ付与された、本明細書において開示された形態を参照し、そして、添付の図面を参照して、より詳細に記述されるであろう。
【0017】
〔詳細な説明〕
〔定義〕
他で定義されていない場合、本明細書に使用されたすべての技術用語および科学用語は、関連技術における当業者によって一般的に理解されるような同一の意味を有することを意図されている。
【0018】
本明細書に使用されるように、文脈が別の方法で明確に指定していなければ、単数形「ある(a)」、「ある(an)」、および「その(the)」は、複数形での言及(plural reference)を含んでいる。
【0019】
本明細書に使用されるように、「殺菌」という用語は、本明細書の内容に従って処置される放射線感受性材料上で見つけられた、少なくとも1つの、活性または潜在的に活性の生物学的汚染物質または病原体のレベルの減少を意味することを意図するものである。
【0020】
本明細書に使用されるように、「生物学的汚染物質または病原体」という用語は、放射線感受性材料との直接的または間接的な接触に際して、その受容体に有害な影響を有しうる汚染物質または病原体を意味することを意図するものである。本明細書に使用されるように、「活性の生物学的汚染物質または病原体」という用語は、放射線感受性材料の受容体に対して、単独で、あるいは、第2の生物学的汚染物質もしくは第2の病原体、または天然の蛋白もしくは抗体などといった別の要素と組み合わせて、有害な影響を引き起こしうる生物学的汚染物質または病原体を意味することを意図するものである。
【0021】
本明細書に使用されるように、「放射(radiation)」という用語は、照射された生物学的材料の少なくとも何らかの成分を殺菌するための十分なエネルギーの放射を意味することを意図するものである。放射の種類は、以下を含むが、これらに限定されない:(i)微粒子波(中性子、電子、および/または、陽子などの亜原子粒子の流れ);(ii)(ラジオ波、(単色および多色のいずれもの)可視光、不可視光、赤外線、紫外線放射、X線放射、および、ガンマ線、ならびに、これらの混合物といった、さまざまな電磁場で発生する)電磁波;(iii)音波および圧力波。
【0022】
放射線は、ガンマ線などといった(照射される材料中でイオンを生成可能な)イオン化放射線か、または、可視光などといった非イオン化放射線として、しばしば記述されている。そのような放射線の源は、様々であっていてもよく、概して、殺菌をもたらすための適切な時期と適切な割合で十分な放射線を与えれば、放射線の特定の源の選択は、重要ではない。実際には、ガンマ放射線は、コバルトまたはセシウムの同位元素によって通常生成され、一方、紫外線およびX線は、紫外線放射およびX線放射をそれぞれ放出する機械によって生成され、電子は、機械を介したこれらの生産にかかわる「電子ビーム」照射として知られている方法で材料を殺菌するためにしばしば使用される。単色または多色のいずれの可視光も、機械によって生成され、実際には、同じ機械または異なる機械によって生成される、赤外線および紫外線などといった不可視光と合成できる。
【0023】
上述したように、ガンマ線照射、電子ビーム照射、X線照射などといったイオン化放射線処理は、遊離基、ならびに、汚染バクテリア、菌類、およびウイルスの生物学的要素を損傷させる他の活性分子を発生させ、そしてその結果、これらの不活化を確実にする。しかしながら、生物学的材料自体もまた、遊離基および活性分子によって損傷されうるし、そのことは、材料の完全性に害を及ぼしうる。
【0024】
同様に、多くの植え込まれた医療機器が、ある物理的および化学的処置、特に医療機器を殺菌するために必要な処理、に対してより敏感な生体吸収性材料で構成される。これは、ガンマ線照射、電子ビーム照射、およびX線照射などのイオン化放射線へのこれらの材料の暴露に関して特に当てはまる。このような処理は、汚染バクテリア、菌類、およびウイルスの生物学的要素を損傷する遊離基および他の活性分子を発生させ、そして、その結果、これらの不活化を確実にする。生体吸収性材料の構成原子もまた、遊離基および活性分子によって損傷させられ、このことは、材料の構造的完全性を低減させる。
【0025】
有益な照射の処理は、所望の効果を達成するための最小吸収線量、および、製品が許容できそして依然として機能的でありうる最大線量限度によって、通常特定される。製品内の線量分布は、処理負荷の特性、照射条件、および作動パラメータに依存する。作動パラメータは、電子エネルギーおよびビーム電流といったビーム特性、ビーム分散パラメータ、ならびに、製品材料ハンドリングなからなる。これらの臨界パラメータは、再現可能な結果を得るために制御されなければならない。放射線施設が使用される前に、その放射線施設は、再現可能な方法で、指定された制御可能な線量を移送できる能力を示さなければならない。このことは、処理装置を試験して、設備と線量測定システムを較正して、基準材料によって吸収された線量の規模、分布、および再現性を特徴づけることを伴う。
【0026】
製品が再現可能な線量で照射されることを保証するために、処理制御は、照射前、照射中、および、照射後の、製品取扱処置、照射中の製品の一貫した向き、臨界処理パラメータ(critical process parameters)の観察、定期的な製品の線量測定、ならびに、必要とされる活動および機能の文書化、を必要とする。このために、放射線感受性材料を照射するための装置は本明細書に開示され、この装置は、照射処理を行うための制御環境を提供するために役立つ。
【0027】
ここで、図1を参照すると、放射線感受性材料12の照射用装置10が、示されている。装置10は、内部に伝熱媒体Mを収容するための少なくとも1つの熱伝導タンク14を備え、前記少なくとも1つの熱伝導タンク14は、平行に間隔を置いた関係にある第1の壁16および第2の壁18を有し、前記第2の壁18は、上に放射線感受性材料12を配置するための外面20を有している。
【0028】
また、装置10の熱伝導タンク14は、熱伝導タンク14の少なくとも3つの側面の周りに延びる周囲フレーム22を備える。周囲フレーム22は、棒状原料(bar stock)、中空の矩形原料、または中実の矩形原料といった金属原料の単一のセクションから、または、このような材料の個々のセクションから形成されて熱伝導タンク14の側部および底部を形成することができる。個々のセクションから形成されると、周囲フレーム22は、一対のサイドフレーム部材24、26を含むことができ、これらは、溶接、ファスナまたは類似物の使用を介して下部のフレーム部材28に取り付けることができる。周囲フレーム22は、放射線耐性材料で構成されるべきである。その他の材料を使うこともできるが、高純度アルミニウムは好適である。理解されうるように、熱伝導タンク14の構築において、熱伝導タンク14の第1の壁16および第2の壁18は、液密の熱伝導タンク14を形成するために、周囲フレーム22と封止係合されている。
【0029】
装置10の熱伝導タンク14は、放射線耐性材料で構成されるべきである。そのうえ、熱伝導タンク14の第1の壁16および第2の壁18は、高い熱伝導率を有する材料から形成できる。熱伝導率(k)は、熱を伝導する性能を示す材料の示強的特性である。熱伝導率(k)は、熱移動が温度勾配のみに依存する定常状態条件下で、温度差ΔTによる、エリアAの表面に垂直な方向における、厚さLに亘って、時間tにおいて伝導される、熱量(Q)として定義される。高い熱伝導率によって意味されることは、少なくとも約100の熱伝導率を有する材料である。好適な材料は、少なくとも100、または少なくとも150、または少なくとも200の熱伝導率を有するだろう。その他の材料を使うこともできるが、高純度アルミニウムは好適である。好適な材料の選択においては、伝熱媒体の材料特有の定常状態の温度をいったん達成すると、熱伝導タンク14の壁16および18が曲がらず、ゆがめられないということも、重要である。この点で、約1.5〜約3.0mmの壁の厚さは、本明細書に開示する装置、システム、および方法の実施における有用性を有する。
【0030】
装置10の熱伝導タンク14の組立体では、第1の壁16および第2の壁18は、タック溶接などによって、周囲フレーム22に溶接されることができ、その後、好適な放射線耐性材料を使用して封止されることができる。さらに、熱伝導タンク14の前壁16は、ハンドル部材32を備えることができ、このハンドル部材32は、熱伝導タンク14を握るための便利な手段を提供する一方で、熱伝導タンク14の構造を安定させる。
【0031】
熱伝導タンク14は、放射場への、放射場を通る、そして、放射場からの輸送中において、不活性な温度安定化(passive temperature stabilization)を提供する。伝熱媒体M、および熱伝導タンク14の設計は、照射処理中において、大容量に亘って均一な線量プロファイルを生成するために必要とされる、吸収線量増強を提供するように機能する。下記でより詳細に後述するように、1、2または3以上の熱伝導タンクは、本明細書に開示された照射処置処理において使用できる。
【0032】
1つの形態では、第1の表面および、放射線感受性材料12に接触するための第2の表面を有する固定プレート(図示せず)は、放射線感受性材料12を覆うために、そして、放射線感受性材料12の照射用のシステムを形成するために、使用できる。熱伝導タンク14に固定プレートを固定するための手段は、固定プレートが用いられるときに、前記放射線感受性材料12が第2の表面と外面20との間に配置されると、固定プレートの第2の表面が、熱伝導タンク14の第2の壁18の外面20に面するようにしている。熱伝導タンク14に固定プレートを固定する手段は、少なくとも1つのクランプ(図示せず)を含むことができる。
【0033】
ここで図2を参照すると、放射線感受性材料の照射用システム100が、示されている。システム100は、図1に示されているように、内部に伝熱媒体Mを収容するための第1の熱伝導タンク14を備えている。上述したように、第1の熱伝導タンク14は、平行に間隔を置いた関係にある第1の壁16および第2の壁18を有し、第2の壁18は、上に放射線感受性材料12を配置するための外面20を有する。システム100は、内部に伝熱媒体Mを収容するための第2の熱伝導タンク114であって、前記第2の熱伝導タンク114は、平行に間隔を置いた関係にある第1の壁116および第2の壁118を有し、前記第2の壁118は、前記放射線感受性材料12に接触するための外面120を有する、第2の熱伝導タンク114と、前記放射線感受性材料12がこれら外面20、120間に配置されると、前記第2の熱伝導タンク114の前記第2の壁118の前記外面120が、前記第1の熱伝導タンク14の前記第2の壁18の前記外面20に面するように、組立体100を形成するために前記第1の熱伝導タンク14に前記第2の熱伝導タンク114を固定するための手段と、を備える。
【0034】
また、システム100の熱伝導タンク114は、熱伝導タンク114の少なくとも3つの側面の周りに延びる周囲フレーム122を備える。周囲フレーム122は、棒状原料、中空の矩形原料、または中実の矩形原料といった金属原料の単一のセクションから、または、このような材料の個々のセクションから形成されて熱伝導タンク114の側部および底部を形成することができる。個々のセクションから形成されると、周囲フレーム122は、一対のサイドフレーム部材124、126を含むことができ、これらは、溶接、ファスナまたは類似物の使用を介して下部のフレーム部材128に取り付けることができる。周囲フレーム122は、放射線耐性材料で構成されるべきである。その他の材料を使うこともできるが、ここでも高純度アルミニウムが好適である。理解されうるように、熱伝導タンク114の構築において、熱伝導タンク114の第1の壁116および第2の壁118は、液密の熱伝導タンク114を形成するために、周囲フレーム122と封止係合されている。
【0035】
システム100の熱伝導タンク114は、放射線耐性材料で構成されるべきである。そのうえ、熱伝導タンク114の第1の壁116および第2の壁118は、高い熱伝導率を有している材料から形成できる。高い熱伝導率によって意味されるものは、少なくとも約100の熱伝導率を有する材料である。好適な材料は、少なくとも100、または少なくとも150、または少なくとも200の熱伝導率を有するであろう。その他の材料を使うこともできるが、高純度アルミニウムは好適である。好適な材料の選択においては、伝熱媒体の材料特有の定常状態の温度をいったん達成すると、熱伝導タンク114の壁116および118が曲がらず、ゆがめられないということも、重要である。この点で、約1.5〜約3.0mmの壁の厚さは、本明細書に開示する装置、システム、および方法の実施における有用性を有する。
【0036】
システム100における熱伝導タンク114の組立体では、第1の壁116および第2の壁118は、タック溶接などによって周囲フレーム122に溶接でき、次に、好適な放射線耐性材料を使用することで封止できる。さらに、熱伝導タンク114の前壁116は、ハンドル部材132を備えることができ、このハンドル部材132は、熱伝導タンク114を握るための便利な手段を提供する一方で、熱伝導タンク114の構造を安定させる。
【0037】
使用中において、組立体100の熱伝導タンク14および114は、第2の熱伝導タンク114を第1の熱伝導タンク14に固定するための手段を用いて、固定されている。図3に示されるように、第2の熱伝導タンク114の第2の壁118の外面120は、第1の熱伝導タンク14の第2の壁18の外面20に面し、放射線感受性材料12がこれらの外面の間に配置されている。組立体100の、固定する手段は、図示されているように、1組のクランプ50であってもよく、組立体100の熱伝導タンク14および114を完全に囲んでいる金属バンド(図示せず)であってもよく、組立体100の熱伝導タンク14および114を完全に囲んでいるゴムバンドまたは他の弾力性バンド(図示せず)であってもよく、一般的なファスナ(図示せず)、または同様のものであってもよい。第1の熱伝導タンク14に第2の熱伝導タンク114を固定するための手段は、少なくとも1つのクランプ50を含むことができる。
【0038】
当業者に理解されうるように、放射線感受性材料12の厚さは様々であってよいが、全体的に、組立体100内で照射されるべき放射線感受性材料12の厚さは約1センチメートルである。第1の熱伝導タンク14の第1の壁16および第2の壁18と、第2の熱伝導タンク114の第1の壁116および第2の壁118との表面積は、既知の照射材料輸送システム制限内で、照射されるべきサンプルに対して最大のスペースを提供するためにできるだけ大きいものであるべきである。
【0039】
ここで図3を参照すると、照射の前に、システム100は、段ボール箱または放射線処理における適用に適切な他の容器といった、容器150内に配置される。理解されうるように、容器150は、この容器150が放射線施設の材料輸送システム(図示せず)内で容易に適合可能になるように寸法づけられる。容器150は、最大の製品領域、および/または、放射材料輸送システムを通した体積運動(volume movement)に対して最適化できる。
【0040】
発泡熱可塑性のスラブ40および42は、組立体100の両側に、かつ容器150内に、第1の熱伝導タンク14の第1の壁16および第2の壁18と、第2の熱伝導タンク114の第1の壁116および第2の壁118とに平行に配置できる。さらに、発泡熱可塑性のスラブ44および46もまた、容器150内に、第1の熱伝導タンク14の第1の壁16および第2の壁18と、第2の熱伝導タンク114の第1の壁116および第2の壁118とに垂直に配置できる。発泡熱可塑性のスラブ40、42、44、46、および48は、ミシガン州、ミッドランドの、ダウ化学薬品会社(The Dow Chemical Company)から入手可能であるEthafoam(商標)ポリエチレン発泡体などのような、ポリエチレン発泡体から形成できる。理解されうるように、発泡熱可塑性のスラブ40、42、44、46、および48は、構造的支持を提供する一方で、線量強化をもたらすのを援け、そして、線量の均一性を向上する助けとなる。
【0041】
熱伝導タンク14および114は、約8〜約12MeVの範囲における加速器電子運動エネルギー(accelerator electron kinetic energies)を有する電子加速器(電子ビーム)での照射に使用できる。当業者に理解されうるように、熱伝導タンク14は、開示されているけれども、参照によりその内容が本明細書に組み込まれるISO/ASTM 51649の実施における有用性を有する。開示された装置、システム、および方法は、混合電子運動エネルギースペクトルのモンテカルロシミュレーションの実施において有用である。もちろん、開示された装置、システム、および方法を使用できる電子加速器の種類に関する既知の制限は、存在しない。
【0042】
吸収線量の均一性、すなわち、放射線感受性材料12の関心のある照射領域に亘って測定された、最小吸収線量(Dmin)に対する、最大吸収線量(Dmax)の比率は、以下のように予想される。
Dmax/Dmin<1.12
【0043】
再び図1を参照すると、熱伝導タンク14は、受動的冷却または温暖化能力を提供する能力を有している。選択された単一の目標不活性化定常状態の温度に対して、有効温度範囲は、約−60℃〜80℃である。ドライアイスが伝熱媒体Mとして使用されるとき、約−75℃の定常状態照射温度を達成することができる。伝熱媒体Mとして、冷却された固体水氷を使用するときに、約−10℃の定常状態照射温度を達成することができる。伝熱媒体Mとして、破砕された固体水氷を使用するときに、約0℃の定常状態照射温度を達成することができる。伝熱媒体Mとして、液体水、またはポリプロピレンビーズフィラ−材料、またはポリスチレンビーズを使用するときに、約22℃の定常状態照射温度を達成することができる。理解されうるように、これは、実験室での周囲温度での操作とほぼ等価であろう。伝熱媒体Mとして、加熱された液体水、加熱されたポリプロピレンビーズ、加熱されたポリエチレンビーズ、または加熱されたポリスチレンビーズを使用するときに、約45℃の定常状態照射温度を達成することができる。
【0044】
他の伝熱媒体の方策も、可能である。これらは、他の冷却された流体、冷却された固体、加熱された流体、または加熱された固体を含むことができるが、これらに限定されない。すべての場合において、伝熱媒体は、空の熱伝導タンク14の第1の壁16および第2の壁18内に配置できなければならない。
【0045】
作動中では、放射線感受性材料12における目標の定常状態温度は、各々が等価な定常状態の温度に保たれて、組立体100内に物理的に接触して配置されたときに、全体的に25分未満の、短期間に達成されるべきである。次に、放射線感受性材料12における目標の定常状態温度は、上述したように、定常状態の温度に達した後、少なくとも約20分の期間、維持されるべきである。放射線感受性材料12における目標の定常状態温度は、照射時での組立体100の定常状態温度であるべきである。
【0046】
理解されうるように、システム100の熱伝導タンク14および114は、不活性の温度制御および安定化装置を形成する。作動中では、放射線感受性材料12のほぼ瞬間的な加熱は、照射の処理の間において、起こるだろう。放射線感受性材料12のこのほぼ瞬間的な加熱に続いて、システム100の熱伝導タンク14および114の定常状態温度への冷却が、通例起こるだろう。照射処理の間の放射線感受性材料12のほぼ瞬間的な加熱の規模は、印加された吸収線量と放射線感受性材料12の有効熱容量(比熱)とに直接的に関連するだろう。
【0047】
システム100の熱伝導タンク14および114は、照射処理中に、伝熱媒体として使用される流体を保有および保持可能である。システム100の熱伝導タンク14および114は、放射線耐性材料で構成される。上述したように、その他の材料を使うこともできるが、高純度アルミニウムは特に好適である。好適な材料の選択においては、伝熱媒体の材料特有の定常状態の温度をいったん達成すると、第1の熱伝導タンク14の壁16および18と、第2の熱伝導タンク114の壁116および118とが曲がらず、ゆがめられないということも、重要である。この点で、約1.5〜約3.0mmの壁の厚さは、本発明の実施における有用性を有する。
【0048】
別の形態では、第1の表面および第2の表面を有している放射線感受性材料を照射する方法が、本明細書に開示される。この方法は、内部に伝熱媒体を収容するための第1の熱伝導タンク上に放射線感受性材料の前記第1の表面を配置するステップであって、前記第1の熱伝導タンクは、平行に間隔を置いた関係にある第1の壁および第2の壁を有し、前記第2の壁は、放射線感受性材料を受容するための外面を有する、ステップと、内部に伝熱媒体を収容するための第2の熱伝導タンクを放射線感受性材料の前記第2の表面上に配置するステップであって、前記第2の熱伝導タンクは、平行に間隔を置いた関係にある第1の壁および第2の壁を有し、前記第2の壁は、前記放射線感受性材料に接触するための外面を有する、ステップと、前記放射線感受性材料が前記外面間に配置されると、前記第2の熱伝導タンクの前記第2の壁の前記外面が、前記少なくとも1つの熱伝導タンクの前記第2の壁の前記外面に面するように、組立体を形成するために前記第1の熱伝導タンクに前記第2の熱伝導タンクを固定するステップと、前記第1および第2の熱伝導タンクのそれぞれを伝熱媒体で充填するステップと、放射線感受性材料を殺菌するために有効な割合および時間で好適な放射線で放射線感受性材料を照射するステップと、を含む。
【0049】
本明細書に開示された方法で使われた放射線は、処理される放射線感受性材料の殺菌に有効ないかなる放射線であってもよい。この放射線は、加速された電子線照射(電子ビーム)放射線を含む、微粒子であってもよい。この放射線は、コバルトもしくは他の同位体源からのガンマ放射線、またはX線での照射であってもよい。
【0050】
本明細書に開示された方法によると、放射線感受性材料は、その材料への容認できないレベルの損傷を発生させない一方で、放射線感受性材料の殺菌に対して有効な割合および/または線量で放射線を照射される。照射の好適な割合は、照射される特定の放射線感受性材料の性質および特性、かかわる放射の特定の形態、ならびに/または、不活性にされる特定の生物的汚染物質もしくは病原体によって、異なりうる。照射の好適な割合は、当業者によって経験的に決定できる。照射の割合および/または線量は、殺菌処置の持続時間の間、一定であってもよい。このことが非実用的であるか、またはさもなければ望まれてないときには、可変または不連続な照射を利用できる。
【0051】
本明細書に開示された方法によると、照射の割合および/または線量は、製品回収と操作を完了するために必要な時間との最も有利な組み合わせを生成するために最適化できる。照射の割合および/または線量は、生体吸収性高分子材料を依然として殺菌する一方で、生体吸収性高分子材料への構造的な損害を最小化するように選択される。
【0052】
本明細書に開示された方法によると、殺菌されるべき放射線感受性材料は、放射線感受性材料の殺菌に有効な時間の間、放射線で照射される。照射割合と組み合わせて、適切な照射時間は、放射線感受性材料に適用される照射の適切な線量をもたらす。好適な照射時間は、かかわる放射の特定の形態および割合、ならびに/または、照射される特定の生体吸収性高分子材料の性質および特性によって、異なりうる。理解されうるように、好適な照射時間は、当業者によって経験的に決定できる。
【0053】
本明細書に開示される方法は、様々なウイルス、バクテリア(マイコプラズマ、ウレアプラズマ、ナノバクテリア、クラミジア、リケッチアといった、細胞間および細胞内バクテリアを含む)、イースト菌、かび、菌類、プリオン、または、単独でもしくは組み合わせて、伝達性海綿状脳症(TSEs)の原因となる同様の作用物質、ならびに/または、当業者に既知の単細胞もしくは多細胞の寄生生物を含む、生物学的汚染物質または病原体に対して効果的である。生物的汚染物質または病原体の例は、以下のものを含むがこれらに限定されない:ヒト免疫不全ウイルスおよび他のレトロウイルスなどのウイルス、ヘルペスウイルス、フィロウイルス、サーコウイルス、パラミクソウイルス、サイトメガロウィルス、肝炎ウイルス(A型、B型、C型肝炎、およびこれらの変異体を含む)、ポックスウイルス、トガウイルス、エプスタイン−バーウイルス、およびパルボウイルス;エシェリキア属、バチルス、カンピロバクタ、連鎖球菌、ブドウ球菌などのバクテリア(マイコプラズマ、ウレアプラズマ、ナノバクテリア、クラミジア、リケッチアを含む);トリパノソーマ属、およびプラスモジウム種を含むマラリア寄生生物などの寄生生物;イースト菌;かび;ならびにプリオン、または、単独でまたは組み合わせて、スクレイピー、クールー病、BSE(ウシ海綿状脳症)、CJD(クロイツフェルトヤコブ病)、ゲルストマン・ストロイスラー・シャインカー症候群、および致死性家族性不眠症などの、TSE(伝達性海綿状脳症)の原因となる、同様の作用物質。
【0054】
ここで本発明の特定の実施形態が、例示としてさらに記載される。以下の実施例は本発明のある実施形態を示すが、本発明の範囲を制限するものとして解釈されるべきではなく、むしろ本発明の完全な記述に寄与するものとして解釈されるべきである。
【0055】
〔実施例〕
図3に示されて本明細書に記載されるようなシステムに対する浸透量(penetration budget)は、下記に示されている。
【表1】

【0056】
目標材料(製品)に印加したときに、ペレット化したドライアイス(固体CO)で充填された1組の熱伝導タンク14および114の冷却能力を示すために、図3に示しそして上述したシステムを用いて、試験を行った。300keV〜25MeV1の間のエネルギーで、放射処理のための電子ビーム施設において、線量測定のための標準的技法である、ISO/ASTM 516492005(E)に実質的に従って、これらの試験を行った。
【0057】
図4は、ペレット化したドライアイスでタンクを充填した後に、熱電対を使用して測定された、目標材料(製品)の2つの位置内の温度分布を示している。約20分以内に、−70℃未満の目標温度を達成した。
【0058】
線量分布データも取得して、以下の表2に示した。
【表2】

【0059】
表2のデータのレビューから理解されうるように、最小吸収線量(Dmin)の値は9.4であったが、最大吸収線量(Dmax)の値は10.4であった。
【0060】
主題の発明が、図面および前述の説明において詳細に例示され記述されているが、開示された実施形態は例示的なものであり、特徴において限定的なものではない。本発明の範囲に含まれるすべての変形および修正は、保護されることを要望されている。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】図1は、本明細書に開示されるように、放射線感受性材料の照射用装置において使用するため熱伝導タンクの斜視図を示している。
【図2】図2は、放射線感受性材料を保持するためのクランプで固定される1組の熱伝導タンクを有する放射線感受性材料の照射用システムを示している。
【図3】図3は、図2のシステムを使う放射線感受性材料の照射用組立体を示している。
【図4】図4は、ペレット化したドライアイスで充填された熱伝導タンクを使用した放射線感受性材料の2つの位置での温度分布を提示する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射線感受性材料の照射用装置において、前記装置は、
内部に伝熱媒体を収容するための少なくとも1つの熱伝導タンク、
を備え、
前記少なくとも1つの熱伝導タンクは、平行に間隔を置いた関係にある第1の壁および第2の壁を有し、前記第2の壁は、上に放射線感受性材料を配置するための外面を有している、装置。
【請求項2】
請求項1の装置において、
内部に伝熱媒体を収容するための第2の熱伝導タンク、
をさらに備え、
前記第2の熱伝導タンクは、平行に間隔を置いた関係にある第1の壁および第2の壁を有し、前記第2の壁は、前記放射線感受性材料に接触するための外面を有する、装置。
【請求項3】
請求項2の装置において、
前記放射線感受性材料が前記外面間に配置されると、前記第2の熱伝導タンクの前記第2の壁の前記外面が、前記少なくとも1つの熱伝導タンクの前記第2の壁の前記外面に面するように、前記少なくとも1つの熱伝導タンクに前記第2の熱伝導タンクを固定するための手段、
をさらに含む、装置。
【請求項4】
請求項3の装置において、
前記少なくとも1つの熱伝導タンクに前記第2の熱伝導タンクを固定する前記手段は、少なくとも1つのクランプを含む、装置。
【請求項5】
請求項1の装置において、
前記少なくとも1つの熱伝導タンクは、少なくともその3つの側面の周りに周囲フレームをさらに含んでいる、装置。
【請求項6】
請求項1の装置において、
前記少なくとも1つの熱伝導タンクにおける前記第1の壁および前記第2の壁は、前記周囲フレームと封止係合している、装置。
【請求項7】
請求項1の装置において、
前記少なくとも1つの熱伝導タンクの前記第1の壁および前記第2の壁は、少なくとも約100の熱伝導率を有している材料から形成される、装置。
【請求項8】
請求項1の装置において、
前記少なくとも1つの熱伝導タンクの前記第1の壁および前記第2の壁は、高純度アルミニウムから形成される、装置。
【請求項9】
請求項1の装置において、
固定プレート、
をさらに備え、
前記固定プレートは、第1の表面および第2の表面を有し、前記第2の表面は前記放射線感受性材料に接触するためのものである、装置。
【請求項10】
請求項9の装置において、
前記放射線感受性材料が前記第2の表面と前記少なくとも1つの熱伝導タンクの前記第2の壁の前記外面との間に配置されると、前記固定プレートの前記第2の表面が前記少なくとも1つの熱伝導タンクの前記第2の壁の前記外面に面するように、前記少なくとも1つの熱伝導タンクに前記固定プレートを固定する手段、
をさらに含む、装置。
【請求項11】
請求項10の装置において、
前記少なくとも1つの熱伝導タンクに前記固定プレートを固定するための前記手段は、少なくとも1つのクランプを含む、装置。
【請求項12】
請求項1の装置において、
前記固定プレートは、アルミニウムから形成される、装置。
【請求項13】
放射線感受性材料の照射用システムにおいて、前記システムは、
(a)内部に伝熱媒体を収容するための第1の熱伝導タンクであって、前記第1の熱伝導タンクは、平行に間隔を置いた関係にある第1の壁および第2の壁を有し、前記第2の壁は、上に放射線感受性材料を配置するための外面を有する、第1の熱伝導タンクと、
(b)内部に伝熱媒体を収容するための第2の熱伝導タンクであって、前記第2の熱伝導タンクは、平行に間隔を置いた関係にある第1の壁および第2の壁を有し、前記第2の壁は、前記放射線感受性材料に接触するための外面を有する、第2の熱伝導タンクと、
(c)前記放射線感受性材料が前記外面間に配置されると、前記第2の熱伝導タンクの前記第2の壁の前記外面が、前記少なくとも1つの熱伝導タンクの前記第2の壁の前記外面に面するように、組立体を形成するために前記第1の熱伝導タンクに前記第2の熱伝導タンクを固定するための手段と、
を備える、システム。
【請求項14】
請求項13のシステムにおいて、
内部に前記組立体を配置する容器、
をさらに備える、システム。
【請求項15】
請求項14のシステムにおいて、
一対の発泡熱可塑性のスラブ、
をさらに備え、
前記一対の発泡熱可塑性のスラブは、前記組立体の両側で、かつ、前記容器内に位置する、システム。
【請求項16】
請求項15のシステムにおいて、
前記一対の発泡熱可塑性のスラブは、ポリエチレン発泡体から形成される、システム。
【請求項17】
第1の表面および第2の表面を有している放射線感受性材料を照射する方法において、前記方法は、
(a)内部に伝熱媒体を収容するための第1の熱伝導タンク上に放射線感受性材料の前記第1の表面を配置するステップであって、前記第1の熱伝導タンクは、平行に間隔を置いた関係にある第1の壁および第2の壁を有し、前記第2の壁は、前記放射線感受性材料を受容するための外面を有する、ステップと、
(b)内部に伝熱媒体を収容するための第2の熱伝導タンクを放射線感受性材料の前記第2の表面上に配置するステップであって、前記第2の熱伝導タンクは、平行に間隔を置いた関係にある第1の壁および第2の壁を有し、前記第2の壁は、前記放射線感受性材料に接触するための外面を有する、ステップと、
(c)前記放射線感受性材料が前記外面間に配置されると、前記第2の熱伝導タンクの前記第2の壁の前記外面が、前記少なくとも1つの熱伝導タンクの前記第2の壁の前記外面に面するように、組立体を形成するために前記第1の熱伝導タンクに前記第2の熱伝導タンクを固定するステップと、
(d)前記第1および第2の熱伝導タンクのそれぞれを伝熱媒体で充填するステップと、
(e)前記放射線感受性材料を殺菌するために有効な割合および時間で適当な放射線で前記放射線感受性材料を照射するステップと、
を含む、方法。
【請求項18】
請求項17の方法において、
前記放射線は、ガンマ放射線である、方法。
【請求項19】
請求項17の方法において、
前記放射線は、電子ビーム放射線である、方法。
【請求項20】
請求項17の方法において、
前記放射線は、エックス線放射線である、方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2010−512229(P2010−512229A)
【公表日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−541501(P2009−541501)
【出願日】平成19年12月10日(2007.12.10)
【国際出願番号】PCT/US2007/086956
【国際公開番号】WO2008/140606
【国際公開日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【出願人】(591286579)エシコン・インコーポレイテッド (170)
【氏名又は名称原語表記】ETHICON, INCORPORATED
【Fターム(参考)】