説明

放射線撮影用カセッテ

【課題】体液等による汚れに対処して、カセッテの位置の調整に支障を来たさないようにする。
【解決手段】カセッテ13は、放射線検出手段として機能する検出パネル16と、検出パネル16等を収容する筐体26と、筐体26に着脱自在に取り付けられるシート材27とを備えている。筐体26は、検出パネル16を覆う前面部31と、背面部32と、検出パネル16における放射線の検出範囲16aと対面する位置に、検出範囲16aを覆うように配置された矩形状のカーボン板33とを備えている。シート材27は、前面部31の開口部31aから露呈するカーボン板33の表面に接着されている。シート材27には、検出範囲16aを示す矩形枠形状の指標27aと、検出範囲16aの中心を示す十字形状の指標27bとが印刷されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射線撮影用カセッテに関する。
【背景技術】
【0002】
放射線発生器から被検者に向けてX線等の放射線を照射して放射線画像を得る放射線撮影システムが知られている。放射線撮影システムは、被検者を透過した放射線を検出する放射線フィルム、イメージングプレート(IP)あるいはフラットパネルディテクタ(FPD)等の放射線検出器を備えている。放射線検出器は、直方体形状の筐体に収容されている。筐体に収容された状態の放射線検出器は、放射線撮影用カセッテ(以下、単にカセッテという。)と呼ばれている。
【0003】
カセッテは、可搬性を有しているから取扱い自由度が高く、様々な部位の撮影を可能とする。例えば、台上に置かれたカセッテに被検者の肘を載せることで、肩関節や肘関節の撮影が可能となる。また、臥位の被検者の下にカセッテを配置することで、胸部や腹部の撮影が可能となる(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
このようなカセッテを構成する筐体は、放射線検出器の放射線を検出する面に対向する側が、カーボンファイバ等の放射線吸収率の低い炭素系材料からなる表面板で構成されている。これにより、放射線は、効率的に筐体を透過し、放射線検出器で確実に検出される。表面板は、放射線検出器における放射線の検出範囲(以下、単に検出範囲という。)を示す指標と、検出範囲の中心を示す指標とを有している。これら指標は、放射線の照射範囲に対するカセッテの位置を調整する際に用いられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−006424号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
カセッテは、被検者に対し直接又は検査衣を介して触れるから、筐体の表面に汗や血液等の体液、その他の汚れが付着し得る。筐体の表面が汚れると、指標が不鮮明となり、カセッテの位置の調整に支障を来たすことがある。
【0007】
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、体液等による汚れに対処して、カセッテの位置の調整に支障を来たさないようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の放射線撮影用カセッテは、放射線を透過する透過面を有するとともに、放射線検出手段を収容する筐体と、前記透過面を覆うように前記筐体に着脱自在に取り付けられ、放射線を透過するシート材と、前記シート材に形成され、前記放射線検出手段が放射線を検出する検出範囲、及び前記検出範囲の中心の少なくとも一方を表示する指標とを備えていることを特徴とする。
【0009】
前記シート材は、透明な材料から形成され、前記指標は、前記シート材の前記筐体に対向する面に形成されていることが好ましい。
【0010】
前記指標は、非金属材料から形成されていることが好ましい。非金属材料は、UV硬化インクであることが好ましい。前記指標は、UV硬化インクを用いてインクジェット印刷されたものであることが好ましい。
【0011】
前記シート材は、前記筐体の前記透過面の側全てを覆うことが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、放射線検出手段が放射線を検出する検出範囲、及びその検出範囲の中心の少なくとも一方を表示する指標が、筐体に着脱自在に取り付けられたシート材に形成されているから、汗や血液等の体液、その他の汚れが付着して指標が不鮮明となった場合、シート材を取り替えることで汚れに対処でき、カセッテの位置の調整に支障を来たさないようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】第1実施形態の放射線撮影システムの構成を概略的に示す図である。
【図2】第1実施形態のカセッテの分解斜視図である。
【図3】第1実施形態のカセッテの断面図である。
【図4】第2実施形態のシート材を取り外した状態のカセッテの斜視図である。
【図5】第2実施形態におけるシート材の着脱方法について説明するカセッテの断面図である。
【図6】第2実施形態のカセッテの正面図である。
【図7】第3実施形態のシート材を取り外した状態のカセッテの斜視図である。
【図8】第3実施形態のカセッテの斜視図である。
【図9】第4実施形態のシート材を取り外した状態のカセッテの斜視図である。
【図10】第4実施形態のカセッテの斜視図である。
【図11】第5実施形態のカセッテの断面図である。
【図12】第6実施形態のカセッテの断面図である。
【図13】第7実施形態のカセッテの断面図である。
【図14】第8実施形態のカセッテの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[第1実施形態]
図1に示すように、第1実施形態の放射線撮影システム11は、被検者Hに放射線(X線)Xを照射する放射線発生器12と、被検者Hを透過した放射線Xを検出するカセッテ13と、放射線発生器12及びカセッテ13を制御するシステムコントローラ14と、システムコントローラ14に対し、管電圧、管電流、曝射時間等の撮影条件、及び撮影指示等の操作指示を入力するコンソール15とを備えている。
【0015】
放射線発生器12は、放射線Xを発生する放射線管12aと、放射線Xの照射範囲を限定するコリメータ12bとを備えている。放射線発生器12は、支持装置(図示省略)によって移動自在に支持されている。放射線発生器12は、例えば、カセッテ13に対面するように支持装置(図示省略)により移動され、システムコントローラ14で設定された撮影部位に応じて放射線Xの照射範囲が変更される。
【0016】
カセッテ13は、被検者Hの胸部を覆う程度の大きさの箱型であり、高い取扱性及び携帯性を有している。カセッテ13は、診察室、病室等で使用する場合、寝台に横になる被検者Hの下に配置される。カセッテ13は、システムコントローラ14との間で無線通信を行い、システムコントローラ14からの信号に基づいて制御される。
【0017】
システムコントローラ14は、コンソール15から受け取った撮影条件や撮影指示に基づいて、放射線発生器12とカセッテ13が同期して動作するように制御する。カセッテ13が出力する放射線画像のデータは、システムコントローラ14を経由して、コンソール15に転送される。
【0018】
コンソール15は、受信した放射線画像のデータを、モニタやデータストレージデバイス(ローカルハードディスクや通信ネットワークを介して接続された画像サーバ等)に出力する。
【0019】
図2及び図3に示すように、カセッテ13は、放射線検出手段として機能する検出パネル16と、各種の回路基板17、18、19、20と、検出パネル16及び各種の回路基板17〜20の土台となるベース板21と、回路基板17、18を検出パネル16に接続するフレキシブルケーブル22、23と、フレキシブルケーブル22、23に実装されたICチップ24、25と、これらを収容する筐体26と、筐体26に着脱自在に取り付けられるシート材27とを備えている。
【0020】
検出パネル16は、ガラス基板28、検出素子アレイ29、シンチレータ30の順に積層されたフラットパネルディテクタ(FPD)である。検出パネル16は、シンチレータ30の側からベース板21に固定されている。
【0021】
ガラス基板28は、放射線透過性及び絶縁性を有する。検出素子アレイ29は、スイッチング素子としての薄膜トランジスタ(TFT)と光電変換素子としてのフォトダイオードとからなる検出素子が、ガラス基板28上にマトリクス状に配列されたものである。ガラス基板28と検出素子アレイ29とは、いわゆるアクティブマトリクス基板を構成する。
【0022】
フォトダイオードは、例えば、アモルファスシリコン(a−Si)からなり、シンチレータ30が発する可視光に感応して電荷を発生する。TFTは、オン状態となった場合に、フォトダイオードにより生成された電荷を、検出素子アレイ29の列毎に設けられた信号線(図示せず)に読み出す。
【0023】
シンチレータ30は、ヨウ化セシウム(CsI)やガドリウムオキシサルファイド(GOS)等の蛍光体からなり、入射する放射線の量に応じた可視光を発する。シンチレータ30は、蛍光体が塗布されたシートを検出素子アレイ29に接着したり、検出素子アレイ29に蛍光体を蒸着したりして形成されている。
【0024】
検出パネル16は、ガラス基板28及び検出素子アレイ29を介して放射線をシンチレータ30に入射させるいわゆる裏面入射型である。検出素子アレイ29の光検出面は、シンチレータ30と対面するように配置されている。シンチレータ30の発光量は、放射線が入射する側において最も多くなるが、その発光量が多い側に検出素子アレイ29が配置されているから、高い検出効率が得られる。
【0025】
回路基板17には、検出素子アレイ29のTFTを駆動するための回路が形成されている。回路基板17は、シフトレジスタとして機能するICチップ24とともに、駆動回路を構成する。
【0026】
回路基板18には、A/D変換回路が形成されている。A/D変換回路は、ICチップ25が出力するアナログ信号をデジタル信号に変換する。ICチップ25は、読出し回路を構成するASICであり、検出パネル16から読み出した信号電荷を電圧信号に変換するチャージアンプと、検出素子アレイ29の列毎に形成された信号線を順に選択して1列ずつ電圧信号をA/D変換回路に出力するマルチプレクサとを備えている。
【0027】
回路基板19には、制御回路が形成されている。制御回路は、カセッテ13の各部を制御するとともに、外部機器との通信を制御する。
【0028】
回路基板20には、電源回路が形成されている。電源回路は、交流を直流に変換するAC/DCコンバータや、直流電圧を各回路の動作に必要な電圧に変換するDC/DCコンバータ等の回路素子からなり、各部に電力を供給する。
【0029】
各種の回路基板17〜20は、ベース板21における、検出パネル16が固定されている側の反対側に固定されている。
【0030】
筐体26は、放射線が入射するガラス基板28の側から検出パネル16を覆う前面部31と、シンチレータ30の側から検出パネル16を覆う背面部32と、検出パネル16における放射線の検出範囲16aと対面する位置に、検出範囲16aを覆うように配置された矩形状のカーボン板33とを備えている。
【0031】
前面部31は、矩形状の開口部31aを有している。カーボン板33は、開口部31aを覆うように、筐体26の内側から前面部31に取り付けられている。
【0032】
前面部31、背面部32及びベース板21は、放射線の透過率が相対的に低い金属、例えばステンレスで形成されており、放射線による各種の回路基板17〜20への影響を小さくしている。一方、カーボン板33は、放射線の透過率が相対的に高く、放射線を透過する透過面として機能する。カーボン板33が透過面として機能することで、検出パネル16による放射線の検出が効率的に行われる。
【0033】
シート材27は、ポリカーボネートやPET等の透明な樹脂で形成されており、放射線の透過率が相対的に高い。シート材27は、開口部31aから露呈するカーボン板33の表面に、放射線の透過率が相対的に高い接着剤(図示省略)により接着されている。シート材27は、絶縁性を有しており、カーボン板33が外部から電気的に絶縁される。
【0034】
接着剤は、カセッテ13の通常使用時にシート材27が自然に剥がれず、かつ、人が手でシート材27を剥がすことができる接着力を有している。シート材27は、可撓性を有しており、人が手で容易に剥がすことができる。
【0035】
シート材27は、開口部31aと略同一の大きさの矩形状であり、四つ角の一つが面取りされている。シート材27は、面取りされた角から剥がすことができる。なお、シート材27は、二つ以上の角が面取りされていてもよい。また、シート材27は、角の面取りに代え、または角の面取りとともに、辺の途中が切り欠かれていてもよい。切欠きの個数は、一つでも二つ以上でもよい。この場合、シート材27は、切欠きから剥がすことができる。
【0036】
シート材27のカーボン板33に対向する面には、検出範囲16aを示す矩形枠形状の指標27aと、検出範囲16aの中心を示す十字形状の指標27bとが印刷されている。
【0037】
指標27a、27bは、金属を含有せず、放射線を遮蔽しないインクにより形成されている。このような非金属のインクとしては、UV光(紫外線)を照射することにより重合反応を起こして硬化するUV硬化インクが好ましい。UV硬化インクとしては、例えば、株式会社ミマキエンジニアリングにより販売されている「UVインクブラック(品名):SPC-0371K-2(商品コード)」(URL:http://www.mimaki.co.jp/japanese/sup/supply/blank_ujf.php)等を用いる。
【0038】
UV硬化インクは、インクを構成している液状のモノマー(低分子)が、UV光を受けることにより結合してポリマー(高分子)に変化するものであり、ポリマー樹脂の被覆が基材の表面に印刷像を形成するため、ポリカーボネートやPET等のプラスチック(非吸収性素材)で形成されたシート材27に直接印刷することができる。印刷は、UV硬化インクに対応したインクジェットプリンタによりなされる。UV硬化インクは、インクジェット方式によるプリントの後、UV照射により即座に硬化するため、長時間の乾燥が不要であり、インクへの異物の付着が低減される。
【0039】
以下、上記構成による作用について説明する。診療放射線技師等により、カセッテ13は、臥位の被検者Hの下等に配置される。放射線発生器12及びカセッテ13は、放射線発生器12の照射範囲と検出パネル16の検出範囲16aとが略一致するように、位置が調整される。
【0040】
コンソール15を用いて撮影条件を設定し、撮影開始指示を与えることにより、システムコントローラ14の制御にしたがって、放射線発生器12による放射線の照射及び検出パネル16による放射線の検出が行われ、検出パネル16により被検者Hの放射線画像が得られる。この放射線画像は、モニタに表示される。
【0041】
以上説明したカセッテ13では、透過面として機能するカーボン板33の表面は、シート材27で覆われており、カーボン板33自体が体液等によって汚れることはない。シート材27が汚れ、指標27a、27bが不鮮明になった場合であっても、シート材27を張り替えることで指標27a、27bは鮮明になる。これにより、カセッテ13の位置の調整に支障を来たさないようにすることができる。
【0042】
また、体液で汚れた状態のカセッテ13を使い回した場合、病気に感染するおそれがあるが、シート材27を張り替えることでカセッテ13を清潔な状態に保つことができ、病気の感染を防止することができる。さらに、カーボン板33がささくれ立っている場合、シート材27がささくれを隠すから、技師や被検者Hが触っても安全である。
【0043】
指標27a、27bは、放射線を遮蔽しないインクにより形成されているから、指標27a、27bが放射線画像に写り込むことがない。このため、放射線画像を読影する際に患部の存在を見落としてしまうという危険性が低減される。
【0044】
指標27a、27bは、シート材27のカーボン板33に対向する面に形成されているから、磨耗や剥がれが生じることがない。また、指標27a、27bは、安価な樹脂製のシート材27に形成されているから、高価なカーボン板33に指標を形成する場合と比較して、製造リスクが低減される。
【0045】
[第2実施形態]
第2実施形態のカセッテ13は、第1実施形態とは異なり、接着剤を用いずにシート材27が着脱自在に取り付けられている。図4及び図5に示すように、筐体26は、開口部31aを構成する四辺のうち、対向する一対の辺の各々に、シート材27を嵌め込む溝31b、31cを有している。シート材27は、人の手で撓ませられながら、対向する一対の辺が溝31b、31cに嵌め込まれ、筐体26に取り付けられる。シート材27を交換する場合には、シート材27は、人の手で撓ませられながら、対向する一対の辺が溝31b、31cから引き抜かれ、筐体26から取り外される。
【0046】
図6に示すように、シート材27は、溝31b、31cに嵌め込まれない一対の辺と、筐体26の開口部31aとの間に僅かな隙間ができるサイズである。シート材27と開口部31aとの間に僅かな隙間ができることで、シート材27の着脱が容易となる。
【0047】
なお、上記第1実施形態と同様の構成、作用及び効果についての説明は省略する。また、以下の各実施形態において、他の実施形態と同様の構成、作用及び効果についての説明は省略する。
【0048】
[第3実施形態]
図7及び図8に示すように、第3実施形態のカセッテ13は、衝撃吸収バンド34を用いることで、シート材27が着脱自在に取り付けられる。衝撃吸収バンド34は、筐体26の側部を一周する長さの環形状である。衝撃吸収バンド34は、ゴムで形成されており、筐体26の側部を覆うように嵌め込まれ、カセッテ13が落下した際等にその衝撃を吸収する。
【0049】
シート材27は、筐体26の開口部31aが形成された面よりも一回り大きいサイズであり、矩形の四つ角が取れた十字形状である。シート材27は、開口部31aを覆うように、衝撃吸収バンド34が嵌め込まれていない状態の筐体26を包み込む。その後、シート材27で包み込まれた状態の筐体26に衝撃吸収バンド34を嵌め込むことで、シート材27は、筐体26に取り付けられる。シート材27を交換する場合には、シート材27は、衝撃吸収バンド34を筐体26から取り外すことで、筐体26から取り外される。
【0050】
以上説明した第3実施形態のカセッテ13では、被検者Hに対面するカーボン板33の側全てがシート材27で覆われており、被検者が直接筐体26に触れる部分をなくすことができるから、上記第1及び第2実施形態のカセッテ13と比較して、さらに衛生面で優れている。
【0051】
[第4実施形態]
図9及び図10に示すように、第4実施形態のカセッテ13は、衝撃吸収コーナーガード35を用いることで、シート材27が着脱自在に取り付けられる。衝撃吸収コーナーガード35は、ゴムで形成されており、筐体26の四隅に一つずつ嵌め込まれ、カセッテ13が落下した際等にその衝撃を吸収する。
【0052】
シート材27は、開口部31aを覆うように、衝撃吸収コーナーガード35が嵌め込まれていない状態の筐体26を包み込む。その後、シート材27で包み込まれた状態の筐体26に衝撃吸収コーナーガード35を嵌め込むことで、シート材27は、筐体26に取り付けられる。シート材27を交換する場合は、シート材27は、衝撃吸収コーナーガード35を筐体26から取り外すことで、筐体26から取り外される。
【0053】
[第5実施形態]
図11に示すように、第5実施形態のカセッテ13は、筐体26における前面部31と背面部32との隙間に挟み込むことで、シート材27が着脱自在に取り付けられる。筐体26は、背面部32の内側に前面部31が嵌め込まれる構造を有している。
【0054】
シート材27は、開口部31aを覆うように筐体26を包み込み、その後、前面部31と背面部32との隙間に差し込むことで、筐体26に取り付けられる。あるいは、シート材27で開口部31aを覆うように包み込んだ前面部31を、背面部32の内側に嵌め込むことで、シート材27が筐体26に取り付けられる。
【0055】
シート材27を交換する場合は、シート材27は、前面部31と背面部32との隙間から引き抜くことで、筐体26から取り外される。あるいは、前面部31を背面部32の内側から取り外すことで、シート材27が筐体26から取り外される。
【0056】
[第6実施形態]
図12に示すように、第6実施形態のカセッテ13は、筐体26における前面部31と背面部32との隙間に挟み込むことで、シート材27が着脱自在に取り付けられている。筐体26は、前面部31の内側に背面部32が嵌め込まれる構造を有している。
【0057】
シート材27は、開口部31aを覆うように筐体26を包み込み、その後、前面部31と背面部32との隙間に差し込むことで、筐体26に取り付けられる。あるいは、シート材27で開口部31aを覆うように包み込んだ背面部32を、前面部31の内側に嵌め込むことで、シート材27が筐体26に取り付けられる。
【0058】
シート材27を交換する場合は、シート材27は、前面部31と背面部32との隙間から引き抜くことで、筐体26から取り外される。あるいは、背面部32を前面部31の内側から取り外すことで、シート材27が筐体26から取り外される。
【0059】
[第7実施形態]
図13に示すように、第7実施形態のカセッテ13は、ネジ36を用いることで、シート材27が着脱自在に取り付けられる。筐体26は、背面部32の内側に前面部31が嵌め込まれ、ネジ36で固定される構造を有している。ネジ36は、筐体26の四つの側面に少なくとも一つずつ取り付けられることが好ましく、各側面の両脇に、すなわち二つずつ取り付けられることがより好ましい。
【0060】
シート材27は、開口部31aを覆うように、ネジ36で固定されていない筐体26を包み込み、その後、シート材27の上から筐体26をネジ36で固定することで、筐体26に取り付けられる。シート材27を交換する場合には、シート材27は、ネジ36を筐体26から取り外すことで、筐体26から取り外される。なお、シート材27には、筐体26に形成されているネジ孔に対応するネジ孔が予め形成されていてもよいし、筐体26に取り付ける際に形成されてもよい。
【0061】
[第8実施形態]
図14に示すように、第8実施形態のカセッテ13は、ネジ36を用いることで、シート材27が着脱自在に取り付けられる。筐体26は、前面部32の後端に背面部32を当接させ、ネジ36で固定される構造を有している。ネジ36は、上記第7実施形態と同様の要領で、四つの辺に少なくとも一つずつ取り付けられることが好ましく、各辺の両脇に、すなわち二つずつ取り付けられることがより好ましい。
【0062】
上記第7及び第8実施形態のカセッテ13では、ネジ36の頭部が筐体26の表面から飛び出しているが、皿ネジを用い、筐体26の表面が面一となるようにしてもよい。
【0063】
なお、上記各実施形態において、シート材27は、ハードコート加工やマット、しぼ加工が施された傷つき難いものであることが好ましい。また、指標27a、27bは、エンボス加工等により、シート材27の放射線発生器12に対向する面に凹凸となるように形成され、手で触って確認できるようにしてもよい。
【0064】
また、上記各実施形態において、指標27a、27bは、シート材27のカーボン板33に対向する面に形成することで上記効果が期待されるが、その反対側の面に形成してもよい。
【0065】
また、上記各実施形態において、指標27a、27bは、矩形枠形状及び十字形状の線により形成しているが、線に限られず、点等により形成してもよい。指標27a、27bを互いに異なる色のインクで印刷してもよい。また、指標27a、27bの色の異なる複数種類のシート材27を用いることで、複数カセッテ13を所有する場合にそれらを容易に識別することができる。
【0066】
なお、上記各実施形態では、検出パネル16として、蛍光体により放射線を可視光に変換し、この可視光を光電変換素子により電荷に変換する間接変換型FPDを例に説明したが、この間接変換型FPDに代えて、アモルファスセレン(a−Se)等の光導電層により放射線を直接電荷に変換する直接変換型FPDを用いてもよい。
【0067】
また、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、放射線フィルムやイメージングプレート(IP)を収容するカセッテに適用することも可能である。
【符号の説明】
【0068】
13 カセッテ
16 検出パネル
16a 検出範囲
26 筐体
27 シート材
27a、27b 指標
X 放射線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射線を透過する透過面を有するとともに、放射線検出手段を収容する筐体と、
前記透過面を覆うように前記筐体に着脱自在に取り付けられ、放射線を透過するシート材と、
前記シート材に形成され、前記放射線検出手段が放射線を検出する検出範囲、及び前記検出範囲の中心の少なくとも一方を表示する指標とを備えていることを特徴とする放射線撮影用カセッテ。
【請求項2】
前記シート材は、透明な材料から形成され、
前記指標は、前記シート材の前記筐体に対向する面に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の放射線撮影用カセッテ。
【請求項3】
前記指標は、非金属材料から形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の放射線撮影用カセッテ。
【請求項4】
前記非金属材料は、UV硬化インクであることを特徴とする請求項3に記載の放射線撮影用カセッテ。
【請求項5】
前記指標は、UV硬化インクを用いてインクジェット印刷されたものであることを特徴とする請求項4に記載の放射線撮影用カセッテ。
【請求項6】
前記シート材は、前記筐体の前記透過面の側全てを覆うことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の放射線撮影用カセッテ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−42646(P2012−42646A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−182903(P2010−182903)
【出願日】平成22年8月18日(2010.8.18)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】