説明

放射線撮影用カセットの収容に適したポケットを備えた、マットレス型支持部材の保護カバー、及び、放射線撮影方法

【課題】カセット撮影における患者の撮影対象の部位が載置されるべきクッション型又はマットレス型の主支持部材の保護カバーを提供する。
【解決手段】主支持部材2の上面を覆うように載置されたときに概ね平らになる上部と、主支持部材2の少なくとも側面を一部覆うための側方フランジとを少なくとも備え、カセット5を収容するのに適した柔軟な内部ポケット3であって、カセットを挿入するための少なくとも一つの開口部を備え、その端部が、主カバー部の長手縁部の近傍で、カバーの少なくとも一方の側縁部にて終端しこれに固定される開口部を形成するポケットと、主支持部材2ほど厚くなく、好ましくは5cm未満の厚みを有するマットレス又はクッション型の副支持部材4であって、カバーと一体形成され、ポケット3とカバーの上部との間に配置され、少なくともポケットの範囲をカバーする副支持部材4とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、患者の体の少なくとも一部が載置される支持部材であって、椅子又はベッド上にそれぞれ配置されるクッション又はマットレス型の支持部材に適した放射線撮影用カセットを用いた方法及び放射線撮影装置に関し、当該支持部材に載置された患者の放射線撮影を可能とするものである。
【背景技術】
【0002】
従来、放射線撮影用カセットは、使用する放射線のタイプに応じた――特に最も一般的にはX線向けの――感光性支持部が組み込まれた、例えば金属製又は合成材料製の剛で薄い平行六面体状の矩形物を備えたプレートからなる。
【0003】
公知の方法においては、患者を持ち上げて、該患者の体の放射線撮影対象の部位の直下、且つ、患者の体と、放射線撮影対象の体の部位を支持する支持部材の面――特に、ベッドのマットレスの場合には当該支持部材の上面――との間に放射線撮影用カセットを載置する。
【0004】
この方法は、ほとんど実用的でない。なぜなら、この方法では、患者を持ち上げなければならず、何人もの介助者が患者を邪魔することになるからである。また、酷い外傷を負っている患者にあっては、このような取り扱い方は禁止されている。なぜなら、特に脊椎を骨折している場合や重度の火傷を負っている場合には、患者をどのように取り扱ったとしても、患者の健康状態を危険にさらす可能性があるからである。
【0005】
また、放射線撮影用カセットを、ベッド又は椅子のフレーム――具体的にはこれらの下方又は後者の後方――に一体形成されたカセット支持部と共に用いる方法も知られている。この方法においては、患者の座り心地/寝心地をよくするために、当該フレームは、クッション型又はマットレス型の上記支持部材で覆われ、当該患者の体の放射線撮影対象となる部位は、当該支持部材上に載置される。
【0006】
この方法は、患者の邪魔にはなりにくい。しかし、フレームの高さ及び支持部材の厚みに相当する距離だけ像形成領域(zones)を放射線撮影対象の体から離さなければならないことを考慮すると、放射線撮影によって得られる画像の質に関して問題が生じる。
【0007】
特に、上記方法の欠点としては、カセットと放射線撮影対象の体との間に配置されている機器がアーティファクト(artefacts)を形成する可能性がある点があげられる。
【発明の開示】
【0008】
本発明の目的は、患者の体の少なくとも一部が、椅子又はベッド上にそれぞれ配置されるクッション又はマットレス等の体用支持部材に載置され、患者の体の当該部位をできる限り近くで放射線撮影することが可能であり、且つ、患者を傷つけることのない――すなわち、患者を取り扱うことを最大限控え、取り扱いの際、及び、その後のカセット挿入に続く放射線撮影の際に患者を最大限心地よくする――カセットを用いた改良された放射線撮影方法及び放射線撮影装置を提供することにある。
【0009】
すなわち、本発明の目的は、特に患者を傷つける危険性を減らし放射線撮影の質を改善するという点において、より使い易くパフォーマンスの高い方法及び装置を提供すること、ひいては、カセットの挿抜の取り扱いを容易にする方法及び装置を提供することにある。
【0010】
上記を実現すべく、本発明は、患者の体の少なくとも放射線撮影対象の部位が載置されるべきクッション型又はマットレス型の主支持部材の保護カバーであって、該主支持部材の上面を覆うように載置されたときに概ね平らになる上部と、該主支持部材の少なくとも側面を一部覆うための側方フランジとを少なくとも備える保護カバーであって、
該カバーの該上部の下に延在する、放射線撮影用カセットを収容するための柔軟な内部ポケットであって、カセットを挿入するための少なくとも一つの開口部を備えた該ポケットであって、その端部が、該主カバー部の長手縁部の近傍において、該カバーの少なくとも一方の側縁部にて終端し該側縁部に固定される開口部を形成する、ポケットと、
上記主支持部材ほどの厚みはなく、好ましくは5cm未満の厚みを有するマットレス型又はクッション型の副支持部材であって、該カバーと一体形成され、該ポケットと該カバーの上部との間に配置され、少なくとも該ポケットが設けられている範囲をカバーする、副支持部材と
を備えることを特徴とする保護カバーを提供する。
【0011】
上記副支持部材を使用することで、カセットをポケットに挿入する際及び放射線撮影の際に患者が保護される一方で、他方では、一人の操作者によるカセットの挿入取扱いが容易になると同時に、脊椎が突出している痩せた患者や、さらには痙性麻痺患者の場合に特に目立つ肉体の表面の自然な歪みが取り除かれる。
【0012】
上記ポケットは、カセットの挿抜のためにこれを取り扱う際に、該カセットが主及び副支持部材に接することを防止するのに寄与するとともに、カセットの位置決め――特に、カセットを案内し、カバーと主支持部材との間の正しい位置に保持すること――を容易にする。
【0013】
好ましくは、上記主支持部材及び副支持部材は、それぞれ、複数の隔室から構成され、各隔室は、流体、好ましくは空気、が充填され横方向に配置された円筒部(bead)の形状を有し、上記副支持部材の隔室の断面は、上記主支持部材の隔室の断面と比較して減じられており、好ましくは、この減じられた断面は、寸法において大きく、特に直径が5cm未満である。
【0014】
また、好ましくは、上記主支持部材及び副支持部材の各隔室は、空気が充填され、各隔室内の圧力を調整するための圧力調整装置に接続され、該調整装置は、患者を持ち上げる力(lift)を、該患者の体の異なる領域別に調整する機能があり、上記副支持部材の各隔室内の圧力は、それに対向する領域にある上記主支持部材の各隔室内の圧力と実質的に同じである。
【0015】
空気で膨らませた円筒部ないし横方向の筒状物の形状を有する複数の隔室により構成されるこれらのマットレスは、特に床ずれを防止するという観点で、治療上の目的を有する。
【0016】
実際、上記マットレスは、一般に、体とマットレスとの間の境界の圧力を最適な分布とすべく、マットレスの異なる領域にある個々の隔室の空気圧を、その位置に応じて変化させ調整することにより、患者にかかる浮揚力を調整する。また、必要であれば、該マットレスは、放射線撮影用カセットの挿抜を容易にする一方で、特に放射線撮影中に患者とマットレスとの間の境界圧力を均一化すべく境界圧力を調整し続けるために、上記副支持部材及び主支持部材の圧力――特に副支持部材に対向配置された主支持部材の領域の圧力――を調整する。
【0017】
好ましい実施形態では、上記ポケットは、機械的耐引裂き特性及び高い滑り係数(glide coefficient)を有する合成ファインファブリック(fine synthetic fabric)からなる。実際、放射線撮影用カセットをポケットに押し込む際、カセットがポケットの内面のファブリックに引っ付いてその動きにブレーキがかかってしまうことはないし、カセットの突出している角の部分がファブリックを引裂いてしまう危険性もない。
【0018】
とりわけ、上記ポケットは、グラムサイズが100g/m未満の合成ファブリックからなり、加熱カレンダー処理され、滑り特性を与えるべく、上記ポケットの内面に対応する少なくとも一方の面が、ポリマー樹脂、好ましくはフッ化ポリマー、の層によって覆われる。
【0019】
この種の加熱カレンダーにより、表面の合成糸が潰され、ファブリックのメッシュが閉じられる。これにより、当該材料には、機械的耐牽引特性、高い耐引裂き性、及び大きな滑り係数が与えられる。
【0020】
この種のファブリックは、パラシュート布や、帆船のスピンネーカーの布を製造するのに用いられる。
【0021】
とりわけ、上記ポケットは、ISO 13934−1試験基準による少なくとも20daN、好ましくは少なくとも40daNの耐牽引性と、ISO 13937−1試験による少なくとも10N、好ましくは少なくとも20Nの耐引裂き特性とを有するファブリックからなる。
【0022】
この耐牽引性試験は、該ファブリックが、20daN、好ましくは40daNまでの牽引に耐え、また、少なくとも10N、好ましくは少なくとも20Nの牽引力の作用下で引裂きの拡大が起きている場合でも、もはやそれ以上引き裂かれることがないことを意味する。
【0023】
ポケット内面にてポケットを形成する上記ファブリックのこれら機械的耐性及び滑り特性により、放射線撮影対象の患者を過度に邪魔することなく、一人の操作者がカセットの挿抜操作をすることが容易になる。
【0024】
特定の実施形態においては、上記開口部を形成する上記ポケットの端部の上部が、上記カバーの上部の長手縁部に固定され、上記開口部を形成する上記ポケットの端部の他方の下部が、上記カバーの対応する側縁部の上部に固定される。
【0025】
有利なことに、上記ポケットは、両側に位置する二つの開口部を備え、これにより、上記ポケットは、上記カバーの両側に位置する二つの上記長手縁部と側方フランジとの間で上記カバーを貫通する鞘部を形成する。
【0026】
上記鞘部は、カセットの通過のための、又は、二つの開口部のどちらからでもカセットの挿入を許容するためのスリーブを構成する。
【0027】
また、連続した放射線撮影を行う場合、このような実施形態は、一方向の直線に沿った動作により――すなわち、同じ開口部からカセットを必要に応じて次から次へと挿入し、次いで放射線撮影後に反対側の開口部からそれらを抜き出すことにより――複数の放射線撮影処理をより素早くより簡単に繋げる。
【0028】
好ましくは、上記ポケット開口部は、可逆な開閉スライド装置を備え、この装置は、好ましくは、上記カバーと一体形成された側方小片(lateral rebate)によって保護される。
【0029】
上記可逆な開閉装置及び小片は、液体や、患者から生じうる汚物や、放射線撮影にアーティファクトを形成しうる好ましくない要素が、カバーの内部に浸入することを防止する。
【0030】
特定の実施形態においては、上記主支持部材の長手方向における上記ポケットの寸法は、患者の体の一部が載置されるべき上記カバーの上部の一領域であって、該患者の後頭部から骨盤にまで、好ましくは、上記後頭部又は骨盤の一方(one of these ends)から該カバーの長手方向の全長の1/2〜2/3の距離にまで及ぶ一領域に対向してカセットを位置づけるものである。
【0031】
本発明の別の目的は、好ましくは椅子又はベッド上にそれぞれ配置されるクッション又はマットレス型の主支持部材を覆うことを特徴とする、上記発明に係る保護カバーを提供することにある。
【0032】
本発明の別の目的は、患者の体の少なくとも放射線撮影対象の部位がクッション型又はマットレス型の主支持部材に載置された状態で、放射線撮影用カセットを用いて患者の体の少なくとも一部を放射線撮影する方法であって、
上記カセットを、本発明に係る保護カバーのポケットに挿入することを特徴とする方法を提供することにある。
【0033】
本発明に係る方法の有利な実施形態においては、二つの開口部が、それぞれ、カバーの両側にある側方フランジ及び両側の長手縁部にて終端し該側方フランジ及び該長手縁部に固定される、鞘部の形状を有する管状ポケットを備えたカバーが用いられ、カセットが一方の開口部から挿入され、放射線撮影が行われ、該カセットが反対側の開口部から抜き出される。
【0034】
本発明に係る方法の好ましい実施形態においては、横方向に配置され空気が充填された円筒部(bead)の形状を有する複数の隔室からそれぞれ構成される上記主支持部材及び上記副支持部材内の圧力が調整され、これにより、上記副支持部材の各隔室内の圧力を、該副支持部材に対向する領域にある上記主支持部材の各隔室内の圧力と実質的に等しく保つことによって、患者の体と、上記主及び副支持部材との間の境界の圧力を均一化するようにする。
【0035】
本発明の他の特徴やメリットは、一実施形態についての、図1〜4を参照した以下の詳細な説明から明らかにされる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
図1〜3は、本発明による保護カバー1を示す。保護カバーは、管状の鞘部3の形状のポケットを備える。ポケットの両側の開口部3aは、両側の二つの側縁部1、及び、保護カバーの両側にある、上部1の長手縁部1において終端する。
【0037】
二つの開口部3aは、保護小片(rebate)3cによって覆われた開閉スライド装置3bを備える。
【0038】
ポケット3の各側方開口部3aの周縁部は、接合部3dによりカバーに固定される。ここで、第1の接合部は、ポケット3の上部3の周縁部と、カバーの上部1の長手縁部1との間に設けられ、第2の接合部3dは、ポケットの下部3の周縁部と、支持部材ないしマットレスの側面2を覆っている、カバーの側縁部1の上端部との間に設けられている。
【0039】
図3に、第2のスライド閉止装置6を示す。この装置は、カバーの側縁部1の外周形に沿っており、これにより、マットレス及び保護小片3cが同様にこの第2の開閉スライド装置6を保護する。
【0040】
第2のスライド閉止装置6は、前記上部を、カバーの側縁部1及びカバーの下部1から分離する。
【0041】
ポケット3は鞘部を形成し、開閉スライド装置3bが開いているときに、この鞘部を通じて、放射線撮影用カセット5を一方の開口部から他方へと移動させることができる。
【0042】
保護カバーの上部1及び側方フランジ1を形成するファブリックは、とりわけ密閉性を有するポリウレタンポリマー製カバーの少なくとも外表面にポリエステル系又はポリアミド系のコーティングを施した合成ファブリックである。
【0043】
鞘部は、ポリアミドテキスタイル材料からなり、66g/mのファインファブリック(fine fabric)を形成し、その一方の面は脱泡(debeading)フッ化樹脂によってコーティングされ、加熱カレンダー処理される。当該ファブリックは、耐牽引特性と、ISO 13934−1基準による少なくとも45daNの耐性と、ISO 13937−1基準による少なくとも20Nの耐引裂き特性(resistance to spreading of tears)とを呈する。
【0044】
加熱カレンダー処理されていることと、フッ化樹脂の層によって覆われていることとにより、この布は、向上された滑り特性を有する。
【0045】
この種の布は、照会番号「MELBOURNE 3380」のもと、フランス・シャンパーニュ州73240のジャンヌ ブランシャン(JEANNE BLANCHIN)社より市販されている。
【0046】
この種の柔軟なファインファブリックは、従来、スピンネーカー型の帆やパラシュート布を作製するのに用いられてきた。
【0047】
上記ポケット3と、放射線撮影対象の患者が載置されているカバーの上部1との間には、該カバーによって保護されている主マットレス2と同構造に形成されたクッションないし副支持部材4が設けられている。
【0048】
カバー、ポケット及び副支持部材4に用いられる異なる各材料は、放射線撮影に使われる放射線――特にX線――に対して透過性を有する。
【0049】
より正確には、横方向に配置され空気で膨らませた厚さ10〜20cmの複数の円筒部(beads)2により構成された主支持部材2ないし主マットレス2が使用される。
【0050】
副支持部材4も、その直径は小さいものの(具体的には約3cm)、同様に、横方向に配置され空気で膨らませた複数の円筒部(beads)4により構成され、該円筒部は、実質的にマットレス2の幅全体に亘って延在し、長手方向X、X’については、ポケットの全長に亘って、ポケットが設けられている部分だけに、延在する。
【0051】
鞘部の開口部3aは、放射線撮影対象である標準的な大判カセットの寸法よりも若干大きく、特に約50cmである。
【0052】
しかし、有利なことに、患者の体格に関係なくその後頭部から骨盤にまで及び得る、放射線撮影対象の体の部位の各領域をカバーすべく、ポケットは、マットレスの全長の1/2〜2/3の長さに亘って延在する。
【0053】
副支持部材4は、患者の取扱いがかなり楽になる程度にまで、カセットの挿抜に先立って一人の操作者によって膨らまされる。
【0054】
実施した放射線撮影分析によれば、アーティファクトを全く含まない満足のいく放射線撮影品質と、ほとんど放射線撮影対象患者の邪魔にならずに一人の操作者により放射線撮影用カセットのポケットへの挿抜ができて多発性外傷患者にも対応しうることとが実証された。
【0055】
公知の方法で、主支持部材及び副支持部材4の各隔室2、4は、支持部材を構成する各隔室内の管や弁の網7により、必要に応じてマットレスの異なる領域別に、圧力調整装置7に接続される。各隔室の空気圧は、患者の体とマットレスとの間の境界における圧力を均一に保つべく調整される。
【0056】
図4は、図が込み入らないように、ポンプを備えた調整装置7に接続する弁や管の網7の一部のみを示す。
【0057】
有利なことに、副支持部材の各隔室内の圧力は、当該副支持部材に対向配置されている主支持部材の各隔室内の圧力と同じである。
【0058】
最後になるが、副支持部材に対応する領域におけるマットレスの過度の厚みに接した患者8がそれによって不快な思いをしないように、図4に示す通り、ベッドの頂部及びマットレスの上記対応する領域が持ち上げられ、約45度ほど傾けられる。これにより、体とマットレスとの間の境界圧力は、副支持部材の当該領域において軽減される。したがって、放射線撮影中に、主及び副支持部材の各隔室内の圧力を治療のために調整し続けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明による保護カバー1が主マットレス2をカバーしている様子を示す全体図であり、本発明に従って放射線撮影用カセット5をポケット3に挿入している途中の様子を示す。
【図2】図1の全体図の長手方向断面図であり、本発明によるカバーの上に患者8が寝ている様子を示す。
【図3】図2のAAに沿った横断方向断面図である。
【図4】円筒部(beads)によって構成され、傾くように起こされた主及び副支持部材の横断方向断面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者(8)の体の少なくとも放射線撮影対象の部位が載置されるべきクッション型又はマットレス型の主支持部材(2)の保護カバー(1)であって、前記主支持部材の上面(2)を覆うように載置されたときに概ね平らになる上部(1)と、前記主支持部材(2)の少なくとも側面(2)を一部覆うための側方フランジ(1)とを少なくとも備える保護カバーであって、
前記カバーの前記上部(1)の下に延在し、放射線撮影用カセット(5)を収容するのに適した柔軟な内部ポケット(3)であって、カセットを挿入するための少なくとも一つの開口部(3a)を備えた該ポケットであって、その端部が、前記主カバー部の長手縁部(1)の近傍において、前記カバーの少なくとも一方の側縁部(1)にて終端し該側縁部に固定される開口部を形成する、ポケット(3)と、
前記主支持部材(2)ほどの厚みはなく、好ましくは5cm未満の厚みを有するマットレス型又はクッション型の副支持部材(4)であって、前記カバーと一体形成され、前記ポケット(3)と前記カバーの上部(1)との間に配置され、少なくとも前記ポケットが設けられている範囲をカバーする、副支持部材(4)と
を備えることを特徴とする保護カバー。
【請求項2】
前記主支持部材(2)及び前記副支持部材(4)は、それぞれ、複数の隔室から構成され、各隔室は、流体、好ましくは空気、が充填され横方向に配置された円筒部(bead)(2、4)の形状を有し、前記副支持部材の隔室の断面は、前記主支持部材の隔室の断面と比較して減じられており、前記減じられた断面は、最大寸法(greater dimension)が5cm未満である、請求項1に記載の保護カバー。
【請求項3】
前記主支持部材(2)及び前記副支持部材(4)の前記各隔室は、空気が充填され、各隔室内の圧力を調整するための圧力調整装置(7)に接続され、
該調整装置は、患者にかかる浮揚力(buoyancy)を、該患者の体の異なる領域別に調整する機能があり、
前記副支持部材の各隔室内の圧力は、それに対向する領域にある前記主支持部材の各隔室内の圧力と実質的に同じである、請求項2に記載の保護カバー。
【請求項4】
前記ポケットは、高い機械的耐引裂き特性及び高い滑り係数(glide coefficient)を有する合成ファインファブリック(fine synthetic fabric)からなる、請求項1〜3のいずれかに記載の保護カバー。
【請求項5】
前記合成ファブリックは、重量グラムが100g/m未満であり、加熱カレンダー処理され、
滑り特性を与えるべく、好ましくは、該合成ファブリックの、前記ポケットの内面に対応する少なくとも一方の面が、フッ化ポリマー樹脂、好ましくはポリマー、の層によって覆われる、請求項4に記載の保護カバー。
【請求項6】
前記開口部(3a)を形成する前記ポケットの端部の少なくとも上部(3)が、前記カバーの上部(1)の長手縁部(1)に固定され、
前記開口部(3a)を形成する前記ポケットの端部の他方の下部(3)が、前記カバーの対応する側縁部(1)の上部に固定される、請求項1〜5のいずれかに記載の保護カバー。
【請求項7】
前記ポケットは、両側に位置する二つの開口部(3a)を備え、これにより、前記ポケットは、前記カバーの両側に位置する二つの前記長手縁部(1)と側方フランジ(1)との間で前記カバー(1)を貫通する鞘部を形成する、先行する請求項のいずれかに記載の保護カバー。
【請求項8】
前記主支持部材(2)の長手方向(X、X’)における前記ポケットの寸法は、患者の体の一部が載置されるべき前記カバーの前記上部(1)の一領域であって、該患者の後頭部から骨盤にまで、好ましくは、上記後頭部又は骨盤の一方(one of these ends)から該カバーの長手方向の全長の1/2〜2/3の距離にまで及ぶ一領域に対向してカセット(5)を位置づけるものである、先行する請求項のいずれかに記載の保護カバー。
【請求項9】
前記保護カバーは、好ましくは椅子又はベッド上にそれぞれ配置されるクッション又はマットレス型の主支持部材(2)を覆う、請求項1〜8のいずれかに記載の保護カバー。
【請求項10】
患者(7)の体の少なくとも放射線撮影対象の部位がクッション型又はマットレス型の主支持部材に載置された状態で、放射線撮影用カセット(5)を用いて患者(7)の体の少なくとも一部を放射線撮影する方法であって、
前記カセットを、請求項9に記載の保護カバーのポケットに挿入することを特徴とする放射線撮影方法。
【請求項11】
二つの開口部(3a)が、それぞれ、カバーの両側にある側方フランジ(1)及び両側の長手縁部(1)にて終端し該側方フランジ及び該長手縁部に固定される、鞘部(3)の形状を有する管状ポケットを備えたカバーが用いられ、
カセットが一方の開口部から挿入され、
放射線撮影が行われ、
該カセットが反対側の開口部から抜き出される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
横方向に配置され空気が充填された円筒部(bead)(2、4)の形状を有する複数の隔室からそれぞれ構成される前記主支持部材(2)及び前記副支持部材(4)内の圧力が調整され、
これにより、前記副支持部材の各隔室内の圧力を、該副支持部材に対向する領域にある前記主支持部材の各隔室内の圧力と実質的に等しく保つにあたり、患者の体と、前記主及び副支持部材との間の境界の圧力を均一化するようにする、請求項10又は11に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−114061(P2008−114061A)
【公開日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2007−273917(P2007−273917)
【出願日】平成19年10月22日(2007.10.22)
【出願人】(507350082)ヒル−ロム インダストリー ソシエテ アノニム (2)
【氏名又は名称原語表記】Hill−Rom Industries SA
【住所又は居所原語表記】188,rue du Caducee,34100 Montpellier,France
【Fターム(参考)】