説明

放射線撮影装置、及び放射線撮影システム

【課題】欠陥画素を設けずに、特定の領域に照射された放射線の検出を行うことができる放射線撮影装置、及び放射線撮影システムを提供する。
【解決手段】撮影領域に光を検出するセンサ部72を含む画素74が2次元状に設けられたTFT基板66の撮影領域に、放射線が照射された領域が発光するシンチレータ71を重なるように配置し、シンチレータ71のうち放射線の検出を行う検出対象領域172に導光部材170を配置し、導光部材170により検出対象領域で発生した光を検出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射線撮影装置、及び放射線撮影システムに係り、特に、放射線源から射出されて被検者を透過した放射線により示される放射線画像の撮影を行う放射線撮影装置、及び放射線撮影システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、TFT(Thin Film Transistor)アクティブマトリクス基板上に放射線感応層を配置し、X線などの放射線を直接デジタルデータに変換できるFPD(Flat Panel Detector)等の放射線検出器が実用化されており、この放射線検出器を用いて、照射された放射線により表わされる放射線画像を撮影する放射線撮影装置が実用化されている。この放射線検出器を用いた放射線撮影装置は、従来のX線フィルムやイメージングプレートを用いた放射線撮影装置に比べて、即時に画像を確認でき、連続的に放射線画像の撮影を行う透視撮影(動画撮影)も行うことができるといったメリットがある。
【0003】
この種の放射線検出器は、種々のタイプのものが提案されており、例えば、放射線を一度CsI:Tl、GOS(Gd2O2S:Tb)などのシンチレータで光に変換し、変換した光をフォトダイオードなどのセンサ部で電荷に変換して蓄積する間接変換方式等がある。放射線撮影装置では、放射線検出器に蓄積された電荷を電気信号として読み出し、読み出した電気信号をアンプで増幅した後にA/D(アナログ/デジタル)変換部でデジタルデータに変換している。
【0004】
ところで、放射線撮影装置では、放射線の照射の開始や終了、放射線の照射量を検出し、放射線を照射する放射線源の制御を行う技術が知られている。
例えば、特許文献1には、放射線検出器(固体撮像装置と記載)の横に放射線を検出する照射検出素子を設け、照射検出素子により放射線の出射の開始及び終了を検出して放射線検出器への電荷の蓄積、蓄積された電荷の読み出し制御する技術が開示されている。
【0005】
ところで、放射線画像の撮影では、通常、被検者やX線技師の被曝量を低減するために、放射線の照射領域を絞り、検査が必要な部分に放射線を照射する。
【0006】
このため、特許文献1のように放射線検出器の横に照射検出素子を設けた放射線撮影装置では、放射線の照射領域を絞った場合、照射検出素子でX線を十分に検出することができず、X線の照射を検知できずに画像取得ができないことがある。
【0007】
そこで、特許文献2には、放射線検出器に設けられた複数の画素のうち一部を照射量検知用の画素として用いた放射線撮影装置が提案されている。
【0008】
また、特許文献3には、入射する放射線を光に変換するシンチレータと、光を電気信号に変換する複数の光電変換素子が2次元アレイ状に配置された光電変換素子基板とを具備した放射線撮影装置において、光電変換素子基板のシンチレータ側と反対側の面に導光板を配置し、導光板を介して光を検出する光検出器と、導光板を介して光を照射する光源とを設けた放射線撮影装置が提案されている。この特許文献3の放射線撮影装置では、シンチレータの光を導光板を介して光検出器で検出することにより、放射線の照射量を検出している。また、光電変換素子には、過去の放射線の照射履歴やバイアス印加履歴、光電変換素子内に残留した転送残りによる残留電荷、内部の欠陥にトラップされたトラップ電荷等に起因して暗電流が生じることがあり、素子特性が変化してしまい、そのため画像特性に悪影響を及ぼすといったことがある。その対策として、特許文献3の放射線撮影装置では、光電変換素子基板の各光電変換素子に導光板を介して光源からの光を照射することで、光電変換素子の特性を改善する光キャリブレーションを行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2002−181942号公報
【特許文献2】特開平11−155847号公報
【特許文献3】特開2007−147370号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
特許文献2の放射線撮影装置は、放射線の照射範囲を絞った際も放射線の検知が可能であるが、撮影された画像において照射量検知用の画素部分は欠陥画素となり、画像補正が必要となる。
【0011】
また、特許文献3の放射線撮影装置は、光電変換素子の光キャリブレーションを行うため、導光板が全面を覆うように配置されている必要があり、光検出器では導光板により全面から集積された光量を検出することしかできない。
【0012】
本発明は上記事実に鑑みてなされたものであり、欠陥画素を設けずに、特定の領域に照射された放射線の検出を行うことができる放射線撮影装置、及び放射線撮影システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の放射線撮影装置は、撮影領域に光を検出するセンサ部を含む画素が2次元状に設けられた撮影パネルと、前記撮影領域に重なるように配置され、放射線が照射された領域が発光する発光層と、前記発光層のうち放射線の検出を行う検出対象領域に一部が配置され、当該検出対象領域で発生した光を導光する導光部材と、前記導光部材により導光された光を検出する光検出部と、を備えている。
【0014】
請求項1によれば、撮影パネルは、撮影領域に光を検出するセンサ部を含む画素が2次元状に設けられており、放射線が照射された領域が発光する発光層が撮影領域に重なるように配置されさている。
【0015】
そして、発光層のうち放射線の検出を行う検出対象領域に導光部材の一部が配置され、導光部材により検出対象領域で発生した光が導光され、光検出部によって、導光部材により導光された光が検出される。
【0016】
このように、請求項1に記載の発明によれば、撮影領域に光を検出するセンサ部を含む画素が2次元状に設けられた撮影パネルの撮影領域に放射線が照射された領域が発光する発光層を重なるように配置し、発光層のうち放射線の検出を行う検出対象領域に導光部材を配置し、導光部材により導光された光を検出するので、欠陥画素を設けずに、撮影領域のうち特定の領域に照射された放射線の検出を行うことができる。
【0017】
なお、本発明は、請求項2記載の発明のように、前記検出対象領域が、複数設けられ、前記導光部材及び前記光検出部が、前記検出対象領域に対応して複数設けられてもよい。
【0018】
また、請求項2記載の発明は、請求項3記載の発明のように、前記撮影領域は、前記発光層で覆われていない露出部分が設けられ、少なくとも1つの前記導光部材が、前記撮影領域の前記露出部分に一部が配置されて当該露出部分に光を導光し、前記撮影パネルの前記露出部分の画素が前記光検出部として機能してもよい。
【0019】
また、請求項3記載の発明は、請求項4記載の発明のように、前記発光層の前記光検出部として機能する画素との対向面に遮光部材が設けられることが好ましい。
【0020】
また、請求項2〜請求項4記載の発明は、請求項5記載の発明のように、少なくとも1つの前記光検出部が、有機光電変換材料を含んで構成され、発光層の側面側に配置されてもよい。
【0021】
また、請求項2〜請求項5記載の発明は、請求項6記載の発明のように、前記検出対象領域が、少なくとも2種類のサイズで設けられてもよい。
【0022】
また、請求項2〜請求項6記載の発明は、請求項7記載の発明のように、前記検出対象領域は、撮影領域の中央部分及び周辺部分に少なくとも1つずつ設けられてもよい。
【0023】
また、本発明は、請求項8に記載の発明のように、前記光検出部による検出結果に基づいて放射線の照射開始、放射線の照射終了、及び放射線の照射量の何れかの検出を行う検出手段をさらに備えてもよい。
【0024】
また、請求項1〜請求項8記載の発明は、請求項9に記載の発明のように、前記撮影パネルは光透過性を有し、前記発光層は前記撮影パネルを透過した放射線が入射するように配置され、前記導光部材は、前記撮影パネルを挟んで前記発光層の反対側に配置され、筐体の被照射面を形成する被照射面側部材と前記撮影パネルとの間に空隙が形成されるように、前記被照射面側部材と前記撮影パネルとに挟まれていてもよい。
【0025】
また、請求項9記載の発明は、請求項10に記載の発明のように、前記発光層を挟んで前記撮影パネルの反対側に配置され、前記発光層側から入射された光を前記発光層側へ反射する第1反射部を更に備えていてもよい。
【0026】
また、請求項1〜請求項8記載の発明は、請求項11に記載の発明のように、前記発光層は光透過性及び耐熱性を有する基板上に蒸着によって形成され、前記撮影パネルを透過した放射線が入射し、かつ前記基板が前記発光層を挟んで前記撮影パネルと反対側に位置するように配置され、前記導光部材は前記基板を挟んで前記発光層の反対側に配置されていてもよい。
【0027】
また、請求項11記載の発明は、請求項12に記載の発明のように、前記基板と前記導光部材との間に配置され、前記発光層側から入射された光の一部を前記発光層側へ反射する第2の反射部を更に備えていてもよい。
【0028】
また、請求項1〜請求項12に記載の発明は、請求項13に記載の発明のように、有機光電変換材料を含んで構成され、各々照射された光を検出する複数の第2センサ部が形成され、前記発光層又は前記撮影パネルに重なるように配置された検出パネルをさらに備えてもよい。
【0029】
また、請求項13記載の発明は、請求項14に記載の発明のように、前記撮影パネル及び前記発光層が、照射された放射線が前記撮影パネルを透過して前記発光層に入射するように配置され、前記検出パネルが、前記撮影パネルの前記発光層と反対側の面に配置されてもよい。
【0030】
また、請求項13又は請求項14記載の発明は、請求項15に記載の発明のように、前記光検出部及び前記検出パネルを使い分けて放射線の照射開始、放射線の照射終了、及び放射線の照射量の何れかの検出を行う検出手段をさらに備えてもよい。
【0031】
一方、上記目的を達成するために、請求項16記載の放射線撮影システムは、撮影領域に光を検出するセンサ部を含む画素が2次元状に設けられた撮影パネルと、前記撮影領域に重なるように配置され、放射線が照射された領域が発光する発光層と、前記発光層のうち放射線の検出を行う検出対象領域に一部が配置され、当該検出対象領域で発生した光を導光する導光部材と、前記導光部材により導光された光を検出する光検出部と、前記光検出部による検出結果に基づいて放射線の照射開始、放射線の照射終了、及び放射線の照射量の何れかの検出を行う検出手段と、を有している。
【0032】
従って、本発明によれば、請求項1同様に作用するため、欠陥画素を設けずに、特定の領域に照射された放射線の検出を行うことができる。
【発明の効果】
【0033】
本発明によれば、欠陥画素を設けずに、特定の領域に照射された放射線の検出を行うことができる、という効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】第1の実施の形態に係る放射線情報システムの構成を示すブロック図である。
【図2】第1の実施の形態に係る放射線画像撮影システムの放射線撮影室における各装置の配置状態の一例を示す側面図である。
【図3】第1の実施の形態に係る電子カセッテの内部構成を示す透過斜視図である。
【図4】第1の実施の形態に係る放射線検出器及び放射線検出部の構成を模式的に示した断面図である。
【図5】第1の実施の形態に係る放射線検出器の薄膜トランジスタ及びコンデンサの構成を示した断面図である。
【図6】第1の実施の形態に係るTFT基板の構成を示す平面図である。
【図7】第1の実施の形態に係る電子カセッテ内部の放射線検出器の配置構成を示す平面図である。
【図8】第1の実施の形態に係る電子カセッテ内部の構成を示す側面図である。
【図9】第1の実施の形態に係る電子カセッテの電気系の要部構成を示すブロック図である。
【図10】第1の実施の形態に係るコンソール及び放射線発生装置の電気系の要部構成を示すブロック図である。
【図11】第1の実施の形態に係る撮影制御プログラムの処理の流れを示すフローチャートである。
【図12】第2の実施の形態に係る電子カセッテ内部の構成を示す側面図である。
【図13】第2の実施の形態に係る電子カセッテの電気系の要部構成を示すブロック図である。
【図14】第2の実施の形態に係る撮影制御プログラムの処理の流れを示すフローチャートである。
【図15】第3の実施の形態に係る電子カセッテ内部の構成を示す側面図である。
【図16】第3の実施の形態に係る放射線検出部の構成を模式的に示した断面図である。
【図17】第3の実施の形態に係る放射線検出部のセンサ部の配置構成を示す平面図である。
【図18】第3の実施の形態に係る電子カセッテの電気系の要部構成を示すブロック図である。
【図19】第3の実施の形態に係る撮影制御プログラムの処理の流れを示すフローチャートである。
【図20】放射線が照射された際のセンサ部から出力される電気信号のデジタルデータの値の変化を示すグラフである。
【図21】放射線が照射された際の累計値の変化を示すグラフである。
【図22】他の形態に係る電子カセッテ内部の放射線検出器の配置構成を示す平面図である。
【図23】他の形態に係る電子カセッテ内部の構成を示す側面図である。
【図24】他の形態に係る電子カセッテ内部の構成を示す側面図である。
【図25】他の形態に係る電子カセッテ内部の構成を示す側面図である。
【図26】他の形態に係る放射線検出部のセンサ部の配置構成を示す平面図である。
【図27】他の形態に係る放射線検出器の撮影領域とシンチレータとの配置構成を示す断面図である。
【図28】他の形態に係る放射線検出器の撮影領域とシンチレータとの配置構成を示す平面図である。
【図29】第4の実施の形態に係る電子カセッテ内部の構成を示す側面図である。
【図30】第5の実施の形態に係る電子カセッテ内部の構成を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、図面を参照して、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。なお、ここでは、本発明を、可搬型の放射線撮影装置(以下「電子カセッテ」ともいう。)を用いて放射線画像の撮影を行う放射線画像撮影システムに適用した場合の形態例について説明する。
【0036】
[第1の実施の形態]
まず、図1を参照して、本実施の形態に係る放射線情報システム(以下、「RIS(Radiology Information System)」と称する。)10の構成について説明する。
【0037】
RIS10は、放射線科部門内における、診療予約、診断記録等の情報管理を行うためのシステムであり、病院情報システム(以下、「HIS(Hospital Information System)」と称する。)の一部を構成する。
【0038】
RIS10は、複数台の撮影依頼端末装置(以下、「端末装置」と称する。)12、RISサーバ14、及び病院内の放射線撮影室(あるいは手術室)の個々に設置された放射線画像撮影システム(以下、「撮影システム」と称する。)18を有しており、これらが有線や無線のLAN(Local Area Network)等から成る病院内ネットワーク16に各々接続されて構成されている。なお、RIS10は、同じ病院内に設けられたHISの一部を構成しており、病院内ネットワーク16には、HIS全体を管理するHISサーバ(図示省略。)も接続されている。
【0039】
端末装置12は、医師や放射線技師が、診断情報や施設予約の入力、閲覧等を行うためのものであり、放射線画像の撮影依頼や撮影予約もこの端末装置12を介して行われる。各端末装置12は、表示装置を有するパーソナル・コンピュータを含んで構成され、RISサーバ14と病院内ネットワーク16を介して相互通信が可能とされている。
【0040】
一方、RISサーバ14は、各端末装置12からの撮影依頼を受け付け、撮影システム18における放射線画像の撮影スケジュールを管理するものであり、データベース14Aを含んで構成されている。
【0041】
データベース14Aは、患者(被検者)の属性情報(氏名、性別、生年月日、年齢、血液型、体重、患者ID(Identification)等)、病歴、受診歴、過去に撮影した放射線画像等の患者に関する情報、撮影システム18で用いられる、後述する電子カセッテ32の識別番号(ID情報)、型式、サイズ、感度、使用可能な撮影部位(対応可能な撮影依頼の内容)、使用開始年月日、使用回数等の電子カセッテ32に関する情報、及び電子カセッテ32を用いて放射線画像を撮影する環境、すなわち、電子カセッテ32を使用する環境(一例として、放射線撮影室や手術室等)を示す環境情報を含んで構成されている。
【0042】
撮影システム18は、RISサーバ14からの指示に応じて医師や放射線技師の操作により放射線画像の撮影を行う。撮影システム18は、放射線源130(図2も参照。)から曝射条件に従った線量とされた放射線X(図3も参照。)を被検者に照射する放射線発生装置34と、被検者の撮影部位を透過した放射線Xを吸収して電荷を発生し、発生した電荷量に基づいて放射線画像を示す画像情報を生成する放射線検出器60(図3も参照。)を内蔵する電子カセッテ32と、電子カセッテ32に内蔵されているバッテリを充電するクレードル40と、電子カセッテ32,放射線発生装置34,及びクレードル40を制御するコンソール42と、を備えている。
【0043】
コンソール42は、RISサーバ14からデータベース14Aに含まれる各種情報を取得して後述するHDD110(図10参照。)に記憶し、当該情報に基づいて、電子カセッテ32、放射線発生装置34、及びクレードル40の制御を行う。
【0044】
図2には、本実施の形態に係る撮影システム18の放射線撮影室44における各装置の配置状態の一例が示されている。
【0045】
同図に示すように、放射線撮影室44には、立位での放射線撮影を行う際に用いられる立位台45と、臥位での放射線撮影を行う際に用いられる臥位台46とが設置されており、立位台45の前方空間は立位での放射線撮影を行う際の被検者の撮影位置48とされ、臥位台46の上方空間は臥位での放射線撮影を行う際の被検者の撮影位置50とされている。
【0046】
立位台45には電子カセッテ32を保持する保持部150が設けられており、立位での放射線画像の撮影を行う際には、電子カセッテ32が保持部150に保持される。同様に、臥位台46には電子カセッテ32を保持する保持部152が設けられており、臥位での放射線画像の撮影を行う際には、電子カセッテ32が保持部152に保持される。
【0047】
また、放射線撮影室44には、単一の放射線源130からの放射線によって立位での放射線撮影も臥位での放射線撮影も可能とするために、放射線源130を、水平な軸回り(図2の矢印A方向)に回動可能で、鉛直方向(図2の矢印B方向)に移動可能で、さらに水平方向(図2の矢印C方向)に移動可能に支持する支持移動機構52が設けられている。ここで、支持移動機構52は、放射線源130を水平な軸回りに回動させる駆動源と、放射線源130を鉛直方向に移動させる駆動源と、放射線源130を水平方向に移動させる駆動源を各々備えている(何れも図示省略。)。
【0048】
一方、クレードル40には、電子カセッテ32を収納可能な収容部40Aが形成されている。
【0049】
電子カセッテ32は、未使用時にはクレードル40の収容部40Aに収納された状態で内蔵されているバッテリに充電が行われ、放射線画像の撮影時には放射線技師等によってクレードル40から取り出され、撮影姿勢が立位であれば立位台45の保持部150に保持され、撮影姿勢が臥位であれば臥位台46の保持部152に保持される。
【0050】
ここで、本実施の形態に係る撮影システム18では、放射線発生装置34とコンソール42とをそれぞれケーブルで接続して有線通信によって各種情報の送受信を行うが、図2では、放射線発生装置34とコンソール42を接続するケーブルを省略している。また、電子カセッテ32とコンソール42との間は、無線通信によって各種情報の送受信を行う。なお、放射線発生装置34とコンソール42の間の通信も無線通信によって通信を行うものとしてもよい。
【0051】
なお、電子カセッテ32は、立位台45の保持部150や臥位台46の保持部152で保持された状態のみで使用されるものではなく、その可搬性から、保持部に保持されていない状態で使用することもできる。
【0052】
図3には、本実施の形態に係る電子カセッテ32の内部構成が示されている。
【0053】
同図に示すように、電子カセッテ32は、放射線Xを透過させる材料からなる筐体54を備えており、防水性、密閉性を有する構造とされている。電子カセッテ32は、手術室等で使用されるとき、血液やその他の雑菌が付着するおそれがある。そこで、電子カセッテ32を防水性、密閉性を有する構造として、必要に応じて殺菌洗浄することにより、1つの電子カセッテ32を繰り返し続けて使用することができる。
【0054】
筐体54の内部には、被検者を透過した放射線Xによる放射線画像を撮影する放射線検出器60が配設されている。
【0055】
また、筐体54の内部の一端側には、マイクロコンピュータを含む電子回路及び充電可能で、かつ着脱可能なバッテリ96Aを収容するケース31が配置されている。放射線検出器60、及び電子回路は、ケース31に配置されたバッテリ96Aから供給される電力によって作動する。ケース31内部に収容された各種回路が放射線Xの照射に伴って損傷することを回避するため、ケース31の撮影面56側には鉛板等を配設しておくことが望ましい。なお、本実施の形態に係る電子カセッテ32は、撮影面56の形状が長方形とされた直方体とされており、その長手方向一端部にケース31が配置されている。
【0056】
また、筐体54の外壁の所定位置には、‘レディ状態’,‘データ送信中’といった動作モード、バッテリ96Aの残容量の状態等の電子カセッテ32の動作状態を示す表示を行う表示部56Aが設けられている。なお、本実施の形態に係る電子カセッテ32では、表示部56Aとして、発光ダイオードを適用しているが、これに限らず、発光ダイオード以外の発光素子や、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ等の他の表示手段としてもよい。
【0057】
図4には、本実施形態に係る放射線検出器60の構成を模式的に示した断面図が示されている。
【0058】
放射線検出器60は、絶縁性基板64に薄膜トランジスタ(TFT:Thin Film Transistor、以下「TFT」という)70、及び蓄積容量68が形成されたTFTアクティブマトリクス基板(以下、「TFT基板」という)66を備えている。
【0059】
このTFT基板66上には、入射される放射線を光に変換するシンチレータ71が配置される。
【0060】
シンチレータ71としては、例えば、CsI:Tl、GOS(Gd2O2S:Tb)を用いることができる。なお、シンチレータ71は、これらの材料に限られるものではない。
【0061】
絶縁性基板64としては、光透過性を有し且つ放射線の吸収が少ないものであれば何れでもよく、例えば、ガラス基板、透明セラミック基板、光透過性の樹脂基板を用いることができる。なお、絶縁性基板64は、これらの材料に限られるものではない。
【0062】
TFT基板66には、シンチレータ71によって変換された光が入射されることにより電荷を発生するセンサ部72が形成されている。また、TFT基板66には、TFT基板66上を平坦化するための平坦化層67が形成されている。また、TFT基板66とシンチレータ71との間であって、平坦化層67上には、シンチレータ71をTFT基板66に接着するための接着層69が形成されている。
【0063】
センサ部72は、上部電極72A、下部電極72B、及び該上下の電極間に配置された光電変換膜72Cを有している。
【0064】
光電変換膜72Cは、シンチレータ71から発せられた光を吸収し、吸収した光に応じた電荷を発生する。光電変換膜72Cは、光が照射されることにより電荷を発生する材料により形成すればよく、例えば、アモルファスシリコンや有機光電変換材料などにより形成することができる。アモルファスシリコンを含む光電変換膜72Cであれば、幅広い吸収スペクトルを持ち、シンチレータ71による発光を吸収することができる。有機光電変換材料を含む光電変換膜72Cであれば、可視域にシャープな吸収スペクトルを持ち、シンチレータ71による発光以外の電磁波が光電変換膜72Cに吸収されることがほとんどなく、X線等の放射線が光電変換膜72Cで吸収されることによって発生するノイズを効果的に抑制することができる。
【0065】
本実施の形態では、光電変換膜72Cに有機光電変換材料を含んで構成する。有機光電変換材料としては、例えばキナクリドン系有機化合物及びフタロシアニン系有機化合物が挙げられる。例えばキナクリドンの可視域における吸収ピーク波長は560nmであるため、有機光電変換材料としてキナクリドンを用い、シンチレータ71の材料としてCsI(Tl)を用いれば、上記ピーク波長の差を5nm以内にすることが可能となり、光電変換膜72Cで発生する電荷量をほぼ最大にすることができる。この光電変換膜72Cとして適用可能な有機光電変換材料については、特開2009−32854号公報において詳細に説明されているため説明を省略する。
【0066】
図5には、本実施の形態に係るTFT基板66に形成されたTFT70及び蓄積容量68の構成が概略的に示されている。
【0067】
絶縁性基板64上には、下部電極72Bに対応して、下部電極72Bに移動した電荷を蓄積する蓄積容量68と、蓄積容量68に蓄積された電荷を電気信号に変換して出力するTFT70が形成されている。蓄積容量68及びTFT70の形成された領域は、平面視において下部電極72Bと重なる部分を有しており、このような構成とすることで、各画素部における蓄積容量68及びTFT70とセンサ部72とが厚さ方向で重なりを有することとなり、少なく面積で蓄積容量68及びTFT70とセンサ部72を配置できる。
【0068】
蓄積容量68は、絶縁性基板64と下部電極72Bとの間に設けられた絶縁膜65Aを貫通して形成された導電性材料の配線を介して対応する下部電極72Bと電気的に接続されている。これにより、下部電極72Bで捕集された電荷を蓄積容量68に移動させることができる。
【0069】
TFT70は、ゲート電極70A、ゲート絶縁膜65B、及び活性層(チャネル層)70Bが積層され、さらに、活性層70B上にソース電極70Cとドレイン電極70Dが所定の間隔を開けて形成されている。また、放射線検出器60では、活性層70Bが非晶質酸化物により形成されている。活性層70Bを構成する非晶質酸化物としては、In、Ga及びZnのうちの少なくとも1つを含む酸化物(例えばIn−O系)が好ましく、In、Ga及びZnのうちの少なくとも2つを含む酸化物(例えばIn−Zn−O系、In−Ga系、Ga−Zn−O系)がより好ましく、In、Ga及びZnを含む酸化物が特に好ましい。In−Ga−Zn−O系非晶質酸化物としては、結晶状態における組成がInGaO3(ZnO)m(mは6未満の自然数)で表される非晶質酸化物が好ましく、特に、InGaZnO4がより好ましい。
【0070】
TFT70の活性層70Bを非晶質酸化物で形成したものとすれば、X線等の放射線を吸収せず、あるいは吸収したとしても極めて微量に留まるため、ノイズの発生を効果的に抑制することができる。
【0071】
ここで、TFT70の活性層70Bを構成する非晶質酸化物や、光電変換膜72Cを構成する有機光電変換材料は、いずれも低温での成膜が可能である。従って、絶縁性基板64としては、半導体基板、石英基板、及びガラス基板等の耐熱性の高い基板に限定されず、プラスチック等の可撓性基板、アラミド、バイオナノファイバを用いることもできる。具体的には、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン、ポリアリレート、ポリイミド、ポリシクロオレフィン、ノルボルネン樹脂、ポリ(クロロトリフルオロエチレン)等の可撓性基板を用いることができる。このようなプラスチック製の可撓性基板を用いれば、軽量化を図ることもでき、例えば持ち運び等に有利となる。なお、絶縁性基板64には、絶縁性を確保するための絶縁層、水分や酸素の透過を防止するためのガスバリア層、平坦性あるいは電極等との密着性を向上するためのアンダーコート層等を設けてもよい。
【0072】
アラミドは、200度以上の高温プロセスを適用できるために、透明電極材料を高温硬化させて低抵抗化でき、また、ハンダのリフロー工程を含むドライバICの自動実装にも対応できる。また、アラミドは、ITO(indium tin oxide)やガラス基板と熱膨張係数が近いため、製造後の反りが少なく、割れにくい。また、アラミドは、ガラス基板等と比べて薄く基板を形成できる。なお、超薄型ガラス基板とアラミドを積層して絶縁性基板64を形成してもよい。
【0073】
バイオナノファイバは、バクテリア(酢酸菌、Acetobacter Xylinum)が産出するセルロースミクロフィブリル束(バクテリアセルロース)と透明樹脂との複合したものである。セルロースミクロフィブリル束は、幅50nmと可視光波長に対して1/10のサイズで、かつ、高強度、高弾性、低熱膨である。バクテリアセルロースにアクリル樹脂、エポキシ樹脂等の透明樹脂を含浸・硬化させることで、繊維を60−70%も含有しながら、波長500nmで約90%の光透過率を示すバイオナノファイバが得られる。バイオナノファイバは、シリコン結晶に匹敵する低い熱膨張係数(3−7ppm)を有し、鋼鉄並の強度(460MPa)、高弾性(30GPa)で、かつフレキシブルであることから、ガラス基板等と比べて薄く絶縁性基板64を形成できる。
【0074】
図6には、本実施の形態に係るTFT基板66の構成を示す平面図が示されている。
【0075】
TFT基板66には、上述のセンサ部72、蓄積容量68、TFT70と、を含んで構成される画素74が一定方向(図6の行方向)及び一定方向に対する交差方向(図6の列方向)に2次元状に複数設けられている。
【0076】
また、TFT基板66には、一定方向(行方向)に延設され各TFT70をオン・オフさせるための複数本のゲート配線76と、交差方向(列方向)に延設されオン状態のTFT70を介して電荷を読み出すための複数本のデータ配線78が設けられている。
【0077】
放射線検出器60は、平板状で平面視において外縁に4辺を有する四辺形状をしている。具体的には矩形状に形成されている。
【0078】
本実施形態に係る放射線検出器60は、図4に示すように、このようなTFT基板66の表面にシンチレータ71が貼り付けられて形成される。
【0079】
シンチレータ71は、例えば、CsI:Tl等の柱状結晶で形成しようとする場合、蒸着基板73への蒸着によって形成される。このように蒸着によってシンチレータ71を形成する場合、蒸着基板73は、X線の透過率、コストの面からAlの板がよく使用され、蒸着の際のハンドリング性、自重による反り防止、輻射熱による変形等からある程度(数mm程度)の厚みが必要となる。なお、シンチレータ71としてGOSを用いる場合、蒸着基板73を用いずにTFT基板66の表面にGOSを塗布することにより、シンチレータ71を形成してもよい。
【0080】
図7には、第1の実施形態に係る電子カセッテ32内部の放射線検出器60の配置構成を示す平面図が示され、図8には、第1の実施形態に係る電子カセッテ32内部の構成を示す側面図が示されている。なお、図8では、シンチレータ71を判別しやすくするため、実際よりも厚く図示している。また、図8では、TFT基板66の画素74が2次元状に複数設けられた撮影領域66Aを識別しやすくするため、撮影領域66Aを層として示している。
【0081】
図8に示すように、電子カセッテ32内部には、筐体54の撮影面56を構成する天板部分にTFT基板66側が天板側となるように放射線検出器60が貼付けられている。
【0082】
放射線検出器60は、シンチレータ71が貼り付けられた一方の面側(図8の上方)から放射線が照射(表面照射)された場合、シンチレータ71の一方の面側(TFT基板66の反対側)でより強く発光し、他方の面側(図8の下方)から放射線が照射(裏面照射)された場合、放射線検出部62及びTFT基板66を透過した放射線がシンチレータ71に入射してシンチレータ71のTFT基板66側がより強く発光する。TFT基板66に設けられた各センサ部72には、シンチレータ71で発生した光により電荷が発生する。このため、撮影部21は、他方の面側から放射線が照射された場合の方が一方の面側から放射線が照射された場合よりもTFT基板66に対するシンチレータ71の発光位置が近いため、撮影によって得られる放射線画像の分解能が高い。
【0083】
このため、天板部分にTFT基板66側が天板側となるように放射線検出器60を貼付けることにより、高い分解能の放射線画像を撮影できる。
【0084】
また、放射線検出器60は、図7に示すように、TFT基板66の画素74が2次元状に複数設けられた矩形状の撮影領域66Aよりもシンチレータ71が小さいサイズで形成されており、撮影領域66Aの周辺部にシンチレータ71で覆われていない露出部分が設けられている。
【0085】
シンチレータ71のTFT基板66側と反対側の面には、複数の導光部材170が配置されている。各導光部材170は、シンチレータ71上の、撮影領域66Aのうち放射線の検出を行う検出対象領域172に一部が接触し、他の一部がTFT基板66の撮影領域66Aの露出部分に接触するように形成されており、それぞれシンチレータ71の検出対象領域172部分の光をTFT基板66の撮影領域66Aの露出部分に導光する。なお、導光部材170から漏れた光がシンチレータ71に入射することを防止するため、シンチレータ71は、導光部材170と撮影領域66Aとの接触部分と対向する対向面に遮光部材71Aを設けるようにしてもよい。
【0086】
なお、一般に導光部材はアクリルやその他の材料から成り、部材の表面のうち光が入射又は射出される部分以外の領域に、光の漏出を防止する特殊な加工を施した部材である。本第1の実施の形態において、導光部材170は、検出対象領域172に接触している部分から入射された光が、放射線検出器60と接触している部分へ導光され、放射線検出器60と接触している部分が面発光するように構成されている。
【0087】
ところで、撮影を行う場合、一般的に、撮影部位は矩形状の撮影領域66Aの中央に配置される。
【0088】
このため、本実施の形態では、図7に示すように、矩形状の撮影領域66Aの1つの対角線に沿ってそれぞれ所定の間隔で撮影領域66Aの中央部分を含む5箇所を検出対象領域172A〜172Eとしており、中央部分の検出対象領域172Cのサイズを他の検出対象領域172A、172B、172D、172Eよりも大きくして、中央部分の検出対象領域172Cにより放射線量を検出し、検出対象領域172A、172B、172D、172Eにより放射線の照射開始を検出する。
【0089】
図7に示すTFT基板66は、矢印A方向が不図示のデータ配線78の延設方向とされ、矢印B方向が不図示のゲート配線76の延設方向とされている。検出対象領域172Cの光を導く導光部材170Cは、放射線検出器60の撮影領域66Aの矢印A方向の一端側の露出部分に接触し、検出対象領域172A、172B、172D、172Eの光を導く導光部材170A、170B、170D、170Eは、放射線検出器60の撮影領域66Aの矢印A方向の他端側の露出部分に並んで接触している。
【0090】
TFT基板66の導光部材170A、170B、170D、170Eが接触する露出部分は、シンチレータ71で覆われていないが撮影領域66Aであるため画素74が設けられており、それらの画素74は、撮影領域66Aの矢印A方向の一端側及び他端側の所定本のゲート配線76に接続されている。
【0091】
図9には、第1の実施の形態に係る電子カセッテ32の電気系の要部構成を示すブロック図が示されている。
【0092】
放射線検出器60は、上述したように、センサ部72、蓄積容量68、TFT70を備えた画素74がマトリクス状に多数個配置されており、電子カセッテ32への放射線Xの照射に伴ってセンサ部72で発生された電荷は、個々の画素74の蓄積容量68に蓄積される。これにより、電子カセッテ32に照射された放射線Xに担持されていた画像情報は電荷情報へ変換されて放射線検出器60に保持される。
【0093】
また、放射線検出器60の個々のゲート配線76はゲート線ドライバ80に接続されており、個々のデータ配線78は信号処理部82に接続されている。
【0094】
本実施の形態に係るゲート線ドライバ80は、後述するカセッテ制御部92からの制御により、全てのゲート配線76に順にTFT70をオン状態とさせる制御信号を出力できる。これにより、放射線検出器60の各ゲート配線76に順に信号を出力して全ての画素74から蓄積されている電荷を読み出すことができる。個々の画素74の蓄積容量68に電荷が蓄積されると、個々の画素74のTFT70は、ゲート線ドライバ80からゲート配線76を介して供給される信号により行単位で順にオンされ、TFT70がオンされた画素74の蓄積容量68に蓄積されている電荷は、アナログの電気信号としてデータ配線78を伝送されて信号処理部82に入力される。従って、個々の画素74の蓄積容量68に蓄積されている電荷は行単位で順に読み出される。
【0095】
また、本実施の形態に係るゲート線ドライバ80は、後述するカセッテ制御部92からの制御により、特定のゲート配線76に対してTFT70をオン状態とさせる制御信号を出力することも可能とされており、導光部材170Cが接触する撮影領域66Aの一端側の露出部分に設けられた各ゲート配線76や、導光部材170A、170B、170D、170Eが接触する撮影領域66Aの他端側の露出部分に設けられた各ゲート配線76に対して、TFT70をオン状態とさせる制御信号を個別に出力することができる。これにより、導光部材170Cが接触する領域の各画素74や、導光部材170A、170B、170D、170Eが接触する領域の各画素74から蓄積されている電荷を読み出すことも可能とされている。
【0096】
信号処理部82は、個々のデータ配線78毎に設けられた増幅器及びサンプルホールド回路を備えており、個々のデータ配線78を伝送された電気信号は増幅器で増幅された後にサンプルホールド回路に保持される。また、サンプルホールド回路の出力側にはマルチプレクサ、A/D(アナログ/デジタル)変換器が順に接続されており、個々のサンプルホールド回路に保持された電気信号はマルチプレクサに順に(シリアルに)入力され、A/D変換器によってデジタルデータへ変換される。
【0097】
信号処理部82には画像メモリ90が接続されており、信号処理部82のA/D変換器から出力されたデジタルデータは画像メモリ90に順に記憶される。画像メモリ90は複数フレーム分の画像データを記憶可能な記憶容量を有しており、放射線画像の撮影が行われる毎に、放射線検出器60の各画素74のデジタルデータが画像データとして画像メモリ90に順次記憶される。
【0098】
画像メモリ90は電子カセッテ32全体の動作を制御するカセッテ制御部92と接続されている。カセッテ制御部92はマイクロコンピュータを含んで構成されており、CPU(中央処理装置)92A、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)を含むメモリ92B、HDD(ハードディスク・ドライブ)やフラッシュメモリ等からなる不揮発性の記憶部92Cを備えている。
【0099】
また、カセッテ制御部92には無線通信部94が接続されている。本実施の形態に係る無線通信部94は、IEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers)802.11a/b/g等に代表される無線LAN(Local Area Network)規格に対応しており、無線通信による外部機器との間での各種情報の伝送を制御する。カセッテ制御部92は、無線通信部94を介してコンソール42と無線通信が可能とされており、コンソール42との間で各種情報の送受信が可能とされている。
【0100】
また、電子カセッテ32には電源部96が設けられており、上述した各種回路や各素子(ゲート線ドライバ80、信号処理部82、画像メモリ90、無線通信部94、カセッテ制御部92等)は、電源部96から供給された電力によって作動する。電源部96は、電子カセッテ32の可搬性を損なわないように、前述したバッテリ(二次電池)96Aを内蔵しており、充電されたバッテリ96Aから各種回路や各素子へ電力を供給する。なお、図9では、電源部96と各種回路や各素子を接続する配線の図示を省略している。
【0101】
図10には、本実施の形態に係るコンソール42及び放射線発生装置34の電気系の要部構成を示すブロック図が示されている。
【0102】
コンソール42は、サーバ・コンピュータとして構成されており、操作メニューや撮影された放射線画像等を表示するディスプレイ100と、複数のキーを含んで構成され、各種の情報や操作指示が入力される操作パネル102と、を備えている。
【0103】
また、本実施の形態に係るコンソール42は、装置全体の動作を司るCPU104と、制御プログラムを含む各種プログラム等が予め記憶されたROM106と、各種データを一時的に記憶するRAM108と、各種データを記憶して保持するHDD110と、ディスプレイ100への各種情報の表示を制御するディスプレイドライバ112と、操作パネル102に対する操作状態を検出する操作入力検出部114と、を備えている。また、コンソール42は、接続端子42A及び通信ケーブル35を介して放射線発生装置34との間で後述する曝射条件等の各種情報の送受信を行う通信インタフェース(I/F)部116と、電子カセッテ32との間で無線通信により曝射条件や画像データ等の各種情報の送受信を行う無線通信部118と、を備えている。
【0104】
CPU104、ROM106、RAM108、HDD110、ディスプレイドライバ112、操作入力検出部114、通信インタフェース部116、及び無線通信部118は、システムバスBUSを介して相互に接続されている。従って、CPU104は、ROM106、RAM108、HDD110へのアクセスを行うことができると共に、ディスプレイドライバ112を介したディスプレイ100への各種情報の表示の制御、通信I/F部116を介した放射線発生装置34との各種情報の送受信の制御、及び無線通信部118を介した放射線発生装置34との各種情報の送受信の制御を各々行うことができる。また、CPU104は、操作入力検出部114を介して操作パネル102に対するユーザの操作状態を把握することができる。
【0105】
一方、放射線発生装置34は、放射線源130と、コンソール42との間で曝射条件等の各種情報を送受信する通信I/F部132と、受信した曝射条件に基づいて放射線源130を制御する線源制御部134と、を備えている。
【0106】
線源制御部134もマイクロコンピュータを含んで構成されており、受信した曝射条件等を記憶する。このコンソール42から受信する曝射条件には管電圧、管電流の情報が含まれている。線源制御部134は、受信した曝射条件に基づいて放射線源130から放射線Xを照射させる。
【0107】
次に、本実施の形態に係る撮影システム18の作用を説明する。
【0108】
本実施の形態に係る撮影システム18は、1回ずつ撮影を行う静止画撮影と、連続的に撮影を行う透視撮影が可能とされており、撮影モードとして静止画撮影又は透視撮影が選択可能とされている。
【0109】
端末装置12(図1参照。)は、放射線画像の撮影する場合、医師又は放射線技師からの撮影依頼を受け付ける。当該撮影依頼では、撮影対象とする患者、撮影対象とする撮影部位、撮影モードが指定され、管電圧、管電流などが必要に応じて指定される。
【0110】
端末装置12は、受け付けた撮影依頼の内容をRISサーバ14に通知する。RISサーバ14は、端末装置12から通知された撮影依頼の内容をデータベース14Aに記憶する。
【0111】
コンソール42は、RISサーバ14にアクセスすることにより、RISサーバ14から撮影依頼の内容及び撮影対象とする患者の属性情報を取得し、撮影依頼の内容及び患者の属性情報をディスプレイ100(図10参照。)に表示する。
【0112】
撮影者は、ディスプレイ100に表示された撮影依頼の内容に基づいて放射線画像の撮影を開始する。
【0113】
例えば、図2に示すように、臥位台46上に横臥した被検者の患部の撮影を行う際、臥位台46の保持部152に電子カセッテ32を配置する。
【0114】
そして、撮影者は、操作パネル102に対して撮影モードとして静止画撮影又は透視撮影を指定し、さらに、操作パネル102に対して放射線Xを照射する際の管電圧及び管電流等を指定する。
【0115】
ここで、撮影システム18は、例えば、電子カセッテ32とコンソール42やコンソール42と放射線発生装置34との間を通信ケーブルで接続して有線通信で情報の送受信を行う場合、通信ケーブルによって装置のレイアウトに制限が発生するため、無線通信で情報の送受信を行う方が好ましい。しかし、このように無線通信で情報の送受信を行う場合、無線通信で互いに同期をとって撮影を行おうとした場合、無線通信での通信遅延が問題となる。
【0116】
また、放射線検出器60は、X線が照射されていない状態であっても暗電流等によってセンサ部72に電荷が発生して各画素74の蓄積容量68に電荷が蓄積される。
【0117】
このため、本実施の形態に係る電子カセッテ32では、放射線画像の撮影を行う際に、撮影領域66Aのうち、導光部材170A、170B、170D、170Eが接触する領域の画素74から蓄積されている電荷を繰り返し読み出して放射線の照射開始の検出を行い、放射線の照射開始を検出すると放射線検出器60の各画素74の蓄積容量68に蓄積された電荷を取り出して除去するリセット動作を行った後に撮影を開始する。
【0118】
また、本実施の形態に係る撮影システム18では、撮影の際、撮影領域66Aのうち、導光部材170Cが接触する領域の画素74から蓄積されている電荷を繰り返し読み出して電子カセッテ32に照射された放射線量の検出を行い、検出された放射線量に基づいて放射線源130からの放射線の照射を制御する自動照射制御(所謂AEC(automatic exposure control))を行っている。具体的には、静止画撮影の場合、検出された放射線量が許容量となった場合に放射線源130からの放射線の照射終了及び放射線検出器60から画像の読み出しを開始し、透視撮影の場合、所定のフレームレートで連続的に撮影を行い、中央部分の検出対象領域172Cで検出された放射線量が許容量となった場合に放射線源130からの放射線の照射を終了する。静止画撮影の許容量は、撮影部位の放射線画像が鮮明に撮るための適切な線量であり、透視撮影の許容量は、被検者の被曝を適切な範囲内に抑えるための線量であり、それぞれ目的が異なる。
【0119】
静止画撮影の許容量及び透視撮影の許容量は、それぞれ撮影の際に撮影者により操作パネル102から入力されもよい。また、撮影部位毎に、静止画撮影の許容量及び透視撮影の許容量を撮影部位別許容量情報としてHDD110に予め記憶しておき、撮影者が操作パネル102に対して撮影部位が指定を行い、撮影部位が指定された際に撮影部位別許容量情報から指定された撮影モード及び撮影部位に対応する許容量と得るものとしてもよい。また、透視撮影の許容量は、RISサーバ14のデータベース14Aに、患者毎に日別の被曝量を記憶しておき、RISサーバ14が所定期間(例えば、直近3ヶ月間)での被曝量の合計値から患者の許容される被曝量を求めて当該許容される被曝量を許容量としてコンソール42へ通知されるものとしてもよい。
【0120】
コンソール42は、指定された管電圧、管電流を曝射条件として放射線発生装置34へ送信し、指定された撮影モード、管電圧、管電流、許容量を撮影条件として電子カセッテ32へ送信する。放射線発生装置34の線源制御部134は、コンソール42から曝射条件を受信すると、受信した曝射条件を記憶し、電子カセッテ32のカセッテ制御部92は、コンソール42から撮影条件を受信すると、受信した撮影条件を記憶部92Cに記憶する。
【0121】
撮影者は、撮影準備完了すると、コンソール42の操作パネル102に対して撮影を指示する撮影指示操作を行う。
【0122】
コンソール42は、操作パネル102に対して撮影開始操作が行なわれた場合、曝射開始を指示する指示情報を放射線発生装置34及び電子カセッテ32へ送信する。
【0123】
放射線発生装置34は、コンソール42から受信した曝射条件に応じた管電圧、管電流で放射線の発生・射出を開始する。
【0124】
電子カセッテ32のカセッテ制御部92は、曝射開始を指示する指示情報を受信すると、記憶部92Cに撮影条件として記憶された撮影モードに応じて撮影制御を行う。
【0125】
図11にはカセッテ制御部92のCPU92Aにより実行される撮影制御プログラムの処理の流れを示すフローチャートが示されている。なお、当該プログラムはメモリ92B(ROM)の所定の領域に予め記憶されている。
【0126】
同図のステップS10では、導光部材170A、170B、170D、170Eが接触する領域の各画素74から電荷を読み出す。
【0127】
具体的には、ゲート線ドライバ80を制御してゲート線ドライバ80から導光部材170A、170B、170D、170Eが接触する撮影領域66Aの他端側の露出部分に設けられた各ゲート配線76にTFT70をオン状態とさせる制御信号を順に出力する。これにより、放射線検出器60では、撮影領域66Aの他端側の露出部分を通過するゲート配線76に接続された各画素74の蓄積容量68に蓄積された電荷が電気信号として各データ配線78に流れ出し、信号処理部82によりデジタルデータへ変換されて画像メモリ90に記憶される。
【0128】
電子カセッテ32は、撮影面56の何れかに放射線が照射されると、シンチレータ71の放射線が照射された領域において放射線が光に変換される。導光部材170A、170B、170D、170Eは、シンチレータ71の検出対象領域172A、172B、172D、172Eで変換された光を撮影領域66Aの周辺部にそれぞれ導光する。このため、導光部材170A、170B、170D、170Eが接触する領域の画素のデジタルデータの値により、検出対象領域172A、172B、172D、172Eでの放射線の検出を行うことができる。
【0129】
次のステップS12では、画像メモリ90に記憶されている各画素74のデジタルデータのうち、導光部材170A、170B、170D、170Eが接触する領域内の各画素74のデジタルデータを読み出し、読み出したデジタルデータの値を導光部材170A、170B、170D、170Eが接触する領域毎に合計する。すなわち、領域毎にソフトウェア的にビニングを行っている。このように、導光部材170A、170B、170D、170Eが接触する領域毎に各画素74のデジタルデータの値を合計することにより、放射線に対する感度が向上する。
【0130】
次のステップS14では、上記ステップS12で求めた導光部材170A、170B、170D、170Eが接触する領域毎のデジタルデータの合計値をそれぞれ予め定めた放射線検知用のしきい値と比較し、何れかがしきい値以上となった否かにより放射線の照射開始の検出を行っており、デジタルデータの合計値がしきい値以上となった場合は放射線の照射が開始されたものとしてステップS16へ移行し、デジタルデータの値がしきい値未満の場合はステップS10へ再度移行して、放射線の照射開始待ちを行う。
【0131】
次のステップS16では、ゲート線ドライバ80を制御してゲート線ドライバ80から全てのゲート配線76にTFT70をオン状態とさせる制御信号を順次出力させ、各ゲート配線76に接続された各TFT70を1ラインずつ順にONさせて電荷の取り出しを行う。これにより、放射線検出器60では、1ラインずつ順に各画素74の蓄積容量68に蓄積された電荷が電気信号として各データ配線78に流れ出し、暗電流等によって各画素74の蓄積容量68に蓄積された電荷が除去される。
【0132】
次のステップS18では、記憶部92Cに記憶された撮影条件で撮影モードとして静止画撮影が指定されたか否かを判定し、肯定判定となった場合はステップS20へ移行し、否定判定の場合(撮影モードとして透視撮影が指定された場合)はステップS40へ移行する。
【0133】
ステップS20では、ゲート線ドライバ80を制御してゲート線ドライバ80から導光部材170Cが接触する撮影領域66Aの一端側の露出部分に設けられた各ゲート配線76にTFT70をオン状態とさせる制御信号を順に出力させ、その他の各ゲート配線76にTFT70をオフ状態とさせる制御信号を出力させる。これにより、放射線検出器60では、導光部材170Cが接触する領域を通過するゲート配線76に接続された各画素74の蓄積容量68に蓄積された電荷が電気信号として各データ配線78に流れ出し、信号処理部82によりデジタルデータへ変換されて画像メモリ90に記憶される。
【0134】
次のステップS22では、画像メモリ90に記憶されている各画素74のデジタルデータのうち、導光部材170Cが接触する領域内の各画素74のデジタルデータの値を合計する。
【0135】
次のステップS24では、上記ステップS22で求めた導光部材170Cが接触する領域内の各画素74のデジタルデータの合計値を累計する。この累計値は、検出対象領域172Cに照射された放射線量と見なすことができる。
【0136】
次のステップS26では、上記ステップS22で求めた累計値が放射線の許容量に応じた値以上となったか否かを判定し、肯定判定となった場合はステップS28へ移行し、否定判定となった場合はステップS20へ移行する。
【0137】
ステップS28では、コンソール42に対して曝射終了を指示する指示情報を送信する。
【0138】
コンソール42は電子カセッテ32から曝射終了を指示する指示情報を受信すると、曝射終了を指示する指示情報を放射線発生装置34へ送信する。放射線発生装置34は曝射終了を指示する指示情報を受信すると、放射線の照射を終了する。
【0139】
次のステップS30では、ゲート線ドライバ80を制御してゲート線ドライバ80から全てのゲート配線76に1ラインずつ順にオン信号を出力させる。
【0140】
放射線検出器60は、各ゲート配線76に接続された各TFT70を1ラインずつ順にオンされると、1ラインずつ順に各蓄積容量68に蓄積された電荷が電気信号として各データ配線78に流れ出す。各データ配線78に流れ出した電気信号は信号処理部82でデジタルの画像データに変換されて、画像メモリ90に記憶される。
【0141】
次のステップS32では、画像メモリ90に記憶された画像データをコンソール42へ送信し、処理を終了する。
【0142】
一方、ステップS40では、透視撮影のフレームレートに応じた撮影周期を求める。
【0143】
次のステップS42では、ゲート線ドライバ80を制御してゲート線ドライバ80から導光部材170Cが接触する撮影領域66Aの一端側の露出部分に設けられた各ゲート配線76にTFT70をオン状態とさせる制御信号を順に出力させ、その他の各ゲート配線76にTFT70をオフ状態とさせる制御信号を出力させる。これにより、放射線検出器60では、導光部材170Cが接触する領域を通過するゲート配線76に接続された各画素74の蓄積容量68に蓄積された電荷が電気信号として各データ配線78に流れ出し、信号処理部82によりデジタルデータへ変換されて画像メモリ90に記憶される。
【0144】
次のステップS44では、画像メモリ90に記憶されている各画素74のデジタルデータのうち、導光部材170Cが接触する領域内の各画素74のデジタルデータの値を合計する。
【0145】
次のステップS46では、上記ステップS44で求めた導光部材170Cが接触する領域内の各画素74のデジタルデータの合計値を累計する。この累計値は、検出対象領域172Cに照射された放射線量と見なすことができる。
【0146】
次のステップS48では、上記ステップS46で求めた累計値が放射線の許容量に応じた値以上となったか否かを判定し、肯定判定となった場合はステップS60へ移行し、否定判定となった場合はステップS50へ移行する。
【0147】
ステップS50では、前回、放射線検出器60の各画素74の電荷の読み出しを行ってから撮影周期以上の期間を経過したか否かを判定し、肯定判定となった場合はステップS52へ移行し、否定判定となった場合はステップS42へ移行する。
【0148】
次のステップS52では、ゲート線ドライバ80を制御してゲート線ドライバ80から1ラインずつ順に各ゲート配線76にオン信号を出力させる。
【0149】
これにより、放射線検出器60は、各ゲート配線76に接続された各TFT70を1ラインずつ順にオンされ、1ラインずつ順に各蓄積容量68に蓄積された電荷が電気信号として各データ配線78に流れ出す。各データ配線78に流れ出した電気信号は信号処理部82でデジタルの画像データに変換されて、画像メモリ90に記憶される。
【0150】
次のステップS54では、画像メモリ90に記憶された放射線検出器60の各画素74のデジタルデータを画像データとしてコンソール42へ送信を行い、画像データの送信後、ステップS42へ移行する。
【0151】
一方、ステップS60では、コンソール42に対して曝射終了を指示する指示情報を送信し、処理を終了する。
【0152】
放射線発生装置34は、曝射終了を指示する指示情報を受信すると、放射線の発生・射出を終了する。なお、本実施の形態では、透視撮影中に、撮影領域の中央部分に設けられた検出対象領域172Cに照射された放射線量が許容量となった場合に、透視撮影を停止する場合について説明したが、コンソール42へ許容量を超えたことを通知して、コンソール42で警告を表示させるものとしてもよい。また、コンソール42が放射線発生装置34へ管電圧、管電流の少なくとも一方を低下させた曝射条件を送信して放射線発生装置34の放射線源130から照射される単位時間あたりの放射線量を低下させるようにしてもよい。
【0153】
コンソール42は、電子カセッテ32から画像情報を受信すると、受信した画像情報に対してシェーディング補正などの各種の補正する画像処理を行ない、画像処理後の画像情報をHDD110に記憶する。
【0154】
HDD110に記憶された画像情報は、撮影した放射線画像の確認等のためにディスプレイ100に表示されると共に、RISサーバ14に転送されてデータベース14Aにも格納される。これにより、医師が撮影された放射線画像の読影や診断等を行うことが可能となる。
【0155】
なお、検出対象領域172Cに照射された放射線量は、被検者の被曝量と見なすこともできる。このため、RISサーバ14のデータベース14Aに、患者毎に日別の被曝量を記憶させている場合、電子カセッテ32は、コンソール42を介してRISサーバ14へ送信してデータベース14Aに記憶させる。このように患者毎に日別の被爆量を記憶管理することにより、特定期間の総被爆量の把握が可能となる。また、被爆量と撮影条件とを併せてデータベース14Aに記憶させてもよい。この場合、電子カセッテ32が累計値(被爆量)をコンソール42に転送し、コンソール42が累計量(被爆量)と撮影条件を関連付けたデータとし、データベース14Bに記憶させる。このように被爆量と撮影条件とを併せて記憶した場合、データベース14Bの利用価値が一層高まる。
【0156】
以上のように、本実施の形態によれば、撮影領域に光を検出するセンサ部72を含む画素74が2次元状に設けられたTFT基板66の撮影領域に放射線が照射された領域が発光するシンチレータ71を重なるように配置し、シンチレータ71のうち放射線の検出を行う検出対象領域172に導光部材170を配置し、導光部材170により検出対象領域で発生した光を検出するので、欠陥画素を設けずに、撮影領域のうち特定の領域に照射された放射線の検出を行うことができる。
【0157】
また、本実施の形態によれば、導光部材170が検出対象領域172の光を放射線検出器60の撮影領域66Aの露出部分に導光し、撮影領域66Aの露出部分の画素74を検出対象領域172の光を検出する光検出部として機能させているので、光検出部を別途設けることなく、放射線の検出を行うことができる。
【0158】
また、本実施の形態によれば、放射線検出器60の撮影領域66Aの中央部分の検出対象領域172Cの大きさを撮影領域66Aの周辺部分の検出対象領域172A、172B、172D、172Eよりも大きくしているので、撮影部位を透過した放射線量を精度よく検出できる。
【0159】
[第2の実施の形態]
次に、第2の実施の形態について説明する。
【0160】
第2の実施の形態に係るRIS10、撮影システム18、電子カセッテ32、放射線検出器60の構成は、上記第1の実施の形態(図1〜図7、図10参照)と同一であるので、ここでの説明は省略する。
【0161】
図12には、第2の実施形態に係る電子カセッテ32内部の構成を示す側面図が示されている。なお、第1の実施の形態(図8)と同一部分については同一の符号を付して説明を省略する。
【0162】
本実施の形態に係る電子カセッテ32内部には、側面に光を検出する光検出部180が設けられている。光検出部180は、1チップのフォトダイオードとしてもよく、フォトトランジスタとしてもよく、また、有機光電変換材料を含んで構成されたセンサとしてもよい。本実施の形態では、光検出部180を有機光電変換材料を含んで構成されたセンサとする。
【0163】
このような有機光電変換材料を含んで構成された光検出部180は、薄く形成できるため、側面の小さな隙間に配置可能であり、低温で形成できるため、プラスチック等の可撓性基板にも形成できる。また、有機光電変換材料を含んで構成された光検出部180は、放射線による劣化が少なく性能が安定しており、落下衝撃にも強い。
【0164】
導光部材170Cは、他端側が光検出部180に接触している。光検出部180は、導光部材170Cを介して検出対象領域172Cの光を検出する。
【0165】
図13には、第1の実施の形態に係る電子カセッテ32の電気系の要部構成を示すブロック図が示されている。なお、第1の実施の形態(図9)と同一部分については同一の符号を付して説明を省略する。
【0166】
光検出部180はカセッテ制御部92と接続されている。カセッテ制御部92は光検出部180による検出結果を把握することができる。
【0167】
また、本実施の形態に係る電子カセッテ32では、撮影の際、導光部材170Cを介して光検出部180により検出対象領域172Cに照射された光を検出することにより、照射された放射線量を検出し、検出された放射線量に基づいて放射線源130からの放射線の照射を制御する自動照射制御を行っている。
【0168】
図14には、第2の実施の形態に係る撮影制御プログラムの処理の流れを示すフローチャートが示されている。なお、第1の実施の形態(図11)と同一部分については同一の符号を付して説明を省略し、異なる部分については符号Aを付して説明をする。
【0169】
ステップS20Aでは、ゲート線ドライバ80を制御してゲート線ドライバ80から各ゲート配線76にTFT70をオフ状態とさせる制御信号を出力させる。
【0170】
ステップS22Aでは、光検出部180により光量の検出を行う。
【0171】
ステップS24Aでは、上記ステップ21Aで検出された光量を累計する。この累計値は、被検者の被曝量と見なすことができる。
【0172】
ステップS26Aでは、光量の累計値が許容量に応じた値以上となったか否かを判定し、肯定判定となった場合はステップS28へ移行し、否定判定となった場合はステップS22Aへ移行する。
【0173】
一方、ステップS42Aでは、ゲート線ドライバ80を制御してゲート線ドライバ80から各ゲート配線76にTFT70をオフ状態とさせる制御信号を出力させる。
【0174】
ステップS44Aでは、光検出部180により光量の検出を行う。
【0175】
ステップS46Aでは、上記ステップ21Aで検出された光量を累計する。
【0176】
ステップS48Aでは、光量の累計値が放射線の許容量に応じた値以上となったか否かを判定し、肯定判定となった場合はステップS60へ移行し、否定判定となった場合はステップS50Aへ移行する。
【0177】
ステップS50Aでは、前回、放射線検出器60の各画素74の電荷の読み出しを行ってから撮影周期以上の期間を経過したか否かを判定し、肯定判定となった場合はステップS52へ移行し、否定判定となった場合はステップS44Aへ移行する。
【0178】
また、ステップS54Aでは、画像メモリ90に記憶された放射線検出器60の各画素74のデジタルデータを画像データとしてコンソール42へ送信を行い、画像データの送信後、ステップS44Aへ移行する。
【0179】
以上のように、本実施の形態によれば、導光部材170が検出対象領域172の光を光検出部180に導光し、光検出部180により検出対象領域172の光を検出することにより、欠陥画素を設けずに、特定の領域に照射された放射線の検出を行うことができる。
【0180】
また、本実施の形態によれば、光検出部180を設けることにより、放射線検出器60を用いることなく、放射線の検出を行うことができる。
【0181】
[第3の実施の形態]
次に、第3の実施の形態について説明する。
【0182】
第3の実施の形態に係るRIS10、撮影システム18、電子カセッテ32、放射線検出器60の構成は、上記第1の実施の形態(図1〜図7、図10参照)と同一であるので、ここでの説明は省略する。
【0183】
図15には、第3の実施形態に係る電子カセッテ32内部の構成を示す側面図が示されている。なお、第1の実施の形態(図8)と同一部分については同一の符号を付して説明を省略する。また、図15では、放射線検出部62の後述するセンサ部146が設けられた層を、センサ層62Aとして示している。
【0184】
本実施の形態に係る電子カセッテ32は、撮影領域66Aの中央部分の検出対象領域172Cに対応する導光部材170Cのみが設けられている。また、電子カセッテ32は、筐体54の内部の放射線検出器60のシンチレータ71側に放射線検出部62が配置されている。
【0185】
図16には、本実施形態に係る放射線検出部62の構成を模式的に示した断面図が示されている。
【0186】
放射線検出部62は、例えば、樹脂性の支持基板140上に、後述する配線160(図18)がパターニングされた配線層142及び絶縁層144が形成されており、その上に、放射線を検出するための複数のセンサ部146が形成されている。センサ部146は、上部電極147A、下部電極147B、及び該上下の電極間に配置された光電変換膜147Cを有している。光電変換膜147Cには、シンチレータ71によって変換された光が入射されることにより電荷を発生する。この光電変換膜147Cは、アモルファスシリコンを用いたPIN型、MIS型フォトダイオードよりも、上述の有機光電変換材料が含有された光電変換膜が好ましい。これは、PIN型フォトダイオードやMIS型フォトダイオードを用いた場合と比較して、製造コストの削減や、フレキシブル化への対応の点で有機光電変換材料が含有された光電変換膜を用いたほうが有利だからである。この放射線検出部62のセンサ部146は、放射線検出器60の各画素74に設けられたセンサ部72ほど細かく形成する必要はなく、放射線検出器60の数十から数百画素のサイズで形成すればよい。
【0187】
図17には、TFT基板66の撮影領域66Aに対する放射線検出部62のセンサ部146が設けられた領域を示す平面図が示されている。
【0188】
放射線検出部62には、筐体54の内部に配置した際にTFT基板66の撮影領域66Aの4隅の近傍となる位置に4つのセンサ部146が設けられている。各センサ部146は、同一サイズで形成されており、放射線に対して略同一の感度とされている。なお、本実施の形態では、センサ部146を4つとしているが、これに限定されるものではない。また、TFT基板66の撮影領域66Aの4隅の近傍となるようにセンサ部146を配置しているが、センサ部146の配置もこれに限定されるものではない。
【0189】
図18には、第3の実施の形態に係る電子カセッテ32の電気系の要部構成を示すブロック図が示されている。なお、第1の実施の形態(図8)と同一部分については同一の符号を付して説明を省略する。
【0190】
放射線検出部62は、4つのセンサ部146が配置されている。また、放射線検出部62には、センサ部146とそれぞれ個別に接続された複数の配線160が設けられており、各配線160は信号検出部162に接続されている。
【0191】
信号検出部162は、配線160毎に設けられた増幅器及びA/D変換器を備えており、カセッテ制御部92と接続されている。信号検出部162は、カセッテ制御部92からの制御により、所定の周期で各配線160のサンプリングを行って各配線160を伝送される電気信号をデジタルデータに変換し、変換したデジタルデータを順次、カセッテ制御部92へ出力する。
【0192】
図19には、第3の実施の形態に係る撮影制御プログラムの処理の流れを示すフローチャートが示されている。なお、第1の実施の形態(図11)と同一部分については同一の符号を付して説明を省略し、異なる部分については符号Bを付して説明をする。
【0193】
ステップS10Bでは、信号検出部162を制御して各配線160のサンプリングを開始させる。
【0194】
これにより、信号検出部162は、所定の周期で各配線160のサンプリングを行って各配線160を伝送される電気信号をデジタルデータに変換し、変換したデジタルデータを順次、カセッテ制御部92へ出力する。
【0195】
ここで、電子カセッテ32の撮影面56に撮影部位が配置された場合でも、撮影面56の撮影領域が全て撮影部位で覆われることは少なく、4隅の何れかの撮影部位で覆われない、所謂、素抜け領域となる。この素抜け領域は、放射線が撮影部位を透過しないため、高いエネルギーの放射線が照射される。放射線検出部62に設けられた各センサ部146には、放射線が照射されると電荷が発生し、特に素抜け領域内となったセンサ部146には、多くの電荷が発生する。発生した電荷は、それぞれ配線160に電気信号として流れ出す。
【0196】
ステップS14Bでは、信号検出部162から入力する各デジタルデータの値を予め定めた放射線検知用のしきい値と比較し、しきい値以上となった否かにより放射線の照射開始の検出を行っており、デジタルデータの値がしきい値以上となった場合は放射線の照射が開始されたものとしてステップS16へ移行し、デジタルデータの値がしきい値未満の場合はステップS14Bへ再度移行して、放射線の照射開始待ちを行う。
【0197】
以上のように、本実施の形態によれば、放射線検出部62をシンチレータ71に重ねて配置し、放射線検出部62の各センサ部146により光を検出することにより、欠陥画素を設けずに、特定の領域に照射された放射線の検出を行うことができる。
【0198】
また、本実施の形態によれば、放射線検出部62を設けることにより、放射線検出器60を用いることなく、放射線の検出を行うことができる。
【0199】
[第4の実施の形態]
次に、第4の実施の形態を説明する。なお、第4の実施の形態に係るRIS10、撮影システム18、電子カセッテ32の放射線検出器60の構成は、上記第1の実施の形態(図1〜図7、図10参照)と同一であるので、各部分に同一の符号を付して説明を省略し、以下、図29を参照し、本第4の実施の形態に係る電子カセッテ32の構成について、第1の実施の形態で説明した電子カセッテ32と異なる部分についてのみ説明する。
【0200】
電子カセッテ32に設けられたシンチレータ71は発光波長域が可視光域(波長360nm〜830nm)であることが好ましく、放射線検出器60によってモノクロの放射線画像の撮影を可能とするためには、緑色の波長域を含んでいることがより好ましい。本第4の実施の形態に係る電子カセッテ32では、シンチレータ71として、X線照射時の発光スペクトルが420nm〜700nmにあるCsI(Tl)(タリウム賦活ヨウ化セシウム)を用いている。なお、CsI(Tl)の可視光域における発光ピーク波長は565nmである。
【0201】
また、本第4の実施の形態では、図29に示すように、シンチレータ71を、放射線入射側(放射線検出器60側)に柱状結晶71Aを含む柱状結晶領域が形成され、放射線入射側と反対側に非柱状結晶71Bを含む非柱状結晶領域が形成された構成としている。なお、本第4の実施の形態に係るシンチレータ71は、柱状結晶71Aの平均径が柱状結晶71Aの長手方向に沿っておよそ均一とされており、柱状結晶71Aの先端部が粘着層120を介して放射線検出器60の表面に接着されている。また、シンチレータ71と蒸着基板73との間には、シンチレータ71側から入射された光の一部をシンチレータ71側へ反射し、残りを透過させる部分反射層122が設けられている。上記構成のシンチレータ71は、部分反射層122が形成された蒸着基板73にCsI(Tl)を蒸着させることで得られる。
【0202】
上記のように、シンチレータ71を柱状結晶領域及び非柱状結晶領域が形成された構成にすると共に、高効率の発光が得られる柱状結晶71Aから成る柱状結晶領域を放射線検出器60側に配置することで、シンチレータ71で発生された光は柱状結晶71A内を進行して放射線検出器60へ射出され、放射線検出器60側へ射出される光の拡散が抑制されることで、電子カセッテ32によって検出される放射線画像の鮮鋭度の低下が抑制される。また、シンチレータ71の深部(非柱状結晶領域)に到達した光も、非柱状結晶71B及び部分反射層122によって一部が放射線検出器60側へ反射されることで、放射線検出器60に入射される光の光量(シンチレータ71で発光された光の検出効率)が向上する。
【0203】
なお、シンチレータ71の放射線入射側に位置する柱状結晶領域の厚みをt1とし、シンチレータ71の蒸着基板73側に位置する非柱状結晶領域の厚みをt2としたときに、t1とt2が下記の関係式を満たすことが好ましい。
0.01≦(t2/t1)≦0.25
【0204】
柱状結晶領域の厚みt1と非柱状結晶領域の厚みt2とが上記関係式を満たすことで、発光効率が高く光の拡散を防止する領域(柱状結晶領域)と、光を反射する領域(非柱状結晶領域)と、のシンチレータ71の厚み方向に沿った比率が好適な範囲となり、シンチレータ71の発光効率、シンチレータ71で発光された光の検出効率、及び、放射線画像の解像度が向上する。非柱状結晶領域の厚みt2が厚過ぎると発光効率の低い領域が増え、電子カセッテ32の感度の低下に繋がることから、(t2/t1)は0.02以上かつ0.1以下の範囲であることがより好ましい。
【0205】
なお、シンチレータ71は柱状結晶領域と非柱状結晶領域が連続的に形成された構成であるが、例えば上記の非柱状結晶領域に代えて部分反射層122が設けられ、柱状結晶領域のみが形成された構成であってもよいし、他の構成であってもよい。本第4の実施の形態では、柱状結晶71Aの先端部が粘着層120を介して放射線検出器60の表面に接着されることで、一体化された状態の放射線検出器60、シンチレータ71及び蒸着基板73の外周が封止膜124によって被覆されている。
【0206】
また、本第4の実施の形態に係る電子カセッテ32では、先に説明した第1の実施の形態に係る電子カセッテ32と同様に、蒸着基板73の裏面(シンチレータ71が形成された面と反対側の面)上の検出対象領域に導光部材170が設けられている。このため、本第4の実施の形態では、シンチレータ71から射出された光の一部が導光部材170に入射されるように、蒸着基板73として、耐熱性に加えて光透過性も有する基板を用いている。なお、導光部材170は、入射された光を、第1の実施の形態と同様に放射線検出器60の撮影領域66Aのうちシンチレータ71で覆われていない部分へ導光する構成、及び、第2の実施の形態と同様に光検出部180へ導光する構成、の何れであってもよい。
【0207】
耐熱性及び光透過性を有する蒸着基板73に適用する材料としては、以下に列挙する材料が好適である。例えば透明ポリイミドフィルム(株式会社アイエスティ、”−150℃〜300℃に耐える高透明プラスチックフィルム”、[online]、[平成23年7月26日検索]、インターネット<URL:http://www.istcorp.jp/div_el_cpifl.htm>, <URL:http://www.kiis.or.jp/number1/pdf/10_rntHg.pdf>参照)が好適である。また、例えばUポリマー(PAR) (ユニチカ株式会社、” Uポリマーとは”、[online]、[平成23年7月26日検索]、インターネット<URL:http://www.unitika.co.jp/plastics/upolymer/index.html>参照)も好適である。また、例えばフレキシブルディスプレイ用透明プラスチック基板材料(OPS)(東ソー株式会社、”フレキシブルディスプレイ用透明プラスチック基板材料の開発”、[online]、[平成23年7月26日検索]、インターネット<URL:http://www.tosoh.co.jp/technology/report/pdfs/2006_03_02.pdf>参照)も好適である。また、例えば難燃性を有する無色透明なアラミド・フィルム(日経BP社、”ナノテク展「フレキシブル・ディスプレイの基板に使えます」,東レがハロゲンフリーで難燃性の無色透明なアラミド・フィルムを開発”、[online]、[平成23年7月26日検索]、インターネット<URL:http://techon.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20100210/180135/?ST=print>参照)も好適である。蒸着基板73に適用する材料は耐熱性及び光透過性を有する材料であればよく、上記以外の材料を適用することも可能であることは言うまでもない。
【0208】
上記のように、蒸着基板73が光透過性を有していることで、シンチレータ71から射出された光の一部が部分反射層122、蒸着基板73を順に透過し、このうち検出対象領域を透過した光が導光部材170に入射される。これにより、検出対象領域を透過して導光部材170に入射された光が、導光部材170によって導光されて放射線検出器60又は光検出部180で検出されることで、検出対象領域に対応する特定領域に照射された放射線が検出されることになる。
【0209】
[第5の実施の形態]
次に、第5の実施の形態を説明する。なお、第5の実施の形態に係るRIS10、撮影システム18、電子カセッテ32の放射線検出器60の構成は、上記第1の実施の形態(図1〜図7、図10参照)と同一であるので、各部分に同一の符号を付して説明を省略し、以下、図30を参照し、本第5の実施の形態に係る電子カセッテ32の構成について、第4の実施の形態で説明した電子カセッテ32と異なる部分についてのみ説明する。
【0210】
図30に示すように、本第5の実施の形態に係るシンチレータ71は、第4の実施の形態と同様に、放射線入射側(放射線検出器60側)に柱状結晶領域が形成され、放射線入射側と反対側に非柱状結晶領域が形成されている。また、本第5の実施の形態に係る電子カセッテ32では、導光部材170が放射線検出器60を挟んでシンチレータ71と反対側に設けられており、シンチレータ71から射出された光の一部を蒸着基板を挟んで反対側へ射出させる必要はない。
【0211】
このため、本第5の実施の形態では、シンチレータ71が形成される蒸着基板128として、耐熱性を有し、また光透過性を有しない代りに低コストの材料(例えばアルミニウムが好適である)を適用した基板を用いている。また、本第5の実施の形態では、第4の実施の形態で説明した部分反射層122に代えて、シンチレータ71の非柱状結晶領域を透過した光を放射線検出器60側へ反射する全反射層126を設けている。これにより、放射線検出器60に入射される光の光量(シンチレータ71で発光された光の検出効率)が更に向上する。
【0212】
なお、本第5の実施の形態においても、柱状結晶71Aの先端部が粘着層120を介して放射線検出器60の表面に接着されることで、一体化された状態の放射線検出器60、シンチレータ71及び蒸着基板128の外周が封止膜124によって被覆されている。
【0213】
また、本第5の実施の形態に係る電子カセッテ32では、放射線検出器60の裏面(放射線検出器60を挟んでシンチレータ71と反対側の面)上の複数箇所に導光部材170が各々取り付けられている。このため、本第5の実施の形態において、放射線検出器60は光透過性を有するように構成されている(例えば絶縁性基板64として、光透過性を有し放射線の吸収が少ないガラス基板、透明セラミック基板、光透過性の樹脂基板を用いる等)。これにより、本第5の実施の形態では、シンチレータ71から射出された光の一部が放射線検出器60を透過して導光部材170に入射される。
【0214】
なお、導光部材170は、入射された光を、第1の実施の形態と同様に放射線検出器60の撮影領域66Aのうちシンチレータ71で覆われていない部分へ導光する構成、及び、第2の実施の形態と同様に光検出部180へ導光する構成、の何れであってもよい。これにより、放射線検出器60のを透過して個々の導光部材170に入射された光が、個々の導光部材170によって導光されて放射線検出器60又は光検出部180で検出されることで、放射線の照射が検出される。
【0215】
また、放射線検出器60の裏面に取り付けられた個々の導光部材170は、放射線検出器60に取り付けられた面と反対側の面が、撮影面56を形成するケース31の天板31Aの裏面(撮影面56と反対側の面)に接着層136を介して接着されている。これにより、放射線検出器60は導光部材170を介して天板31Aの裏面に貼り付けられている。上記のように、シンチレータ71を接着した放射線検出器60を天板31Aの裏面に貼付した場合、放射線画像の撮影時には、患者(被検者)の体の重みが放射線検出器60を介してシンチレータ71に荷重として加わることになる。
【0216】
これに対し、本第5の実施の形態では、天板31Aと放射線検出器60との間の複数箇所に導光部材170が設けられている。これにより、放射線画像の撮影時には、放射線検出器60との間に導光部材170が設けられていない部分の天板31Aが患者(被検者)の体の重みによって僅かに撓むことで、シンチレータ71に加わる荷重が軽減される。従って、シンチレータ71に加わる荷重によってシンチレータ71の柱状結晶領域に破損等が生ずることが未然に防止される。
【0217】
また、放射線検出器60を天板31Aの裏面に貼付した場合、放射線画像の撮影時には、患者(被検者)の体温が放射線検出器60に伝導する。ここで、放射線検出器60の絶縁性基板64を熱伝導率の低いガラス基板で構成した場合、放射線検出器60に温度むらが生じ、温度に依存して変化するセンサ部72の暗電流のむらが生じることで、放射線画像の画質にむらが生じるという問題が生ずる。
【0218】
これに対し、本第5の実施の形態では、天板31Aと放射線検出器60との間の複数箇所に導光部材170が設けられており、天板31Aと放射線検出器60との間に間隙が形成されている。これにより、天板31Aと放射線検出器60との間に存在する導光部材170及び間隙によって、天板31A側から伝導する熱が拡散し、放射線検出器60の温度むらが低減されることで、放射線画像の画質のむらも著しく抑制される。
【0219】
なお、上述した第4及び第5の実施の形態において、第3の実施の形態で説明した放射線検出部62を更に設けてもよい。この場合、第3の実施の形態と同様に、放射線検出部62によって放射線の照射開始を検出し、導光部材170によって導光される光によって累積放射線量を検出してもよい。また、導光部材170によって導光される光によって放射線の照射開始を検出し、放射線検出部62によって累積放射線量を検出してもよい。
【0220】
以上、本発明を第1〜第5の実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記各実施の形態に記載の範囲には限定されない。発明の要旨を逸脱しない範囲で上記各実施の形態に多様な変更または改良を加えることができ、当該変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0221】
また、上記の実施の形態は、クレーム(請求項)にかかる発明を限定するものではなく、また実施の形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。前述した実施の形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜の組み合わせにより種々の発明を抽出できる。実施の形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されても、効果が得られる限りにおいて、この幾つかの構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
【0222】
例えば、上記各実施の形態では、可搬型の放射線撮影装置である電子カセッテ32に本発明を適応した場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、据置型の放射線撮影装置に適用してもよい。
【0223】
また、上記各実施の形態では、放射線の照射開始と放射線の照射量を検出する場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、放射線の照射終了の検出を行うものとしてもよい。放射線の照射終了は、図20(A)に示すように、導光部材170A、170B、170D、170Eが接触する領域毎のデジタルデータの合計値や、信号検出部162から入力する各センサ部146のデジタルデータの値を予め定めた放射線検知用のしきい値と比較し、しきい値未満となった否かにより検出できる。なお、図20(B)に示すように、照射開始と照射終了の検出でしきい値を異ならせてもよい。図20(B)では、照射開始のしきい値を照射終了のしきい値よりも大きくているが、照射開始のしきい値を照射終了のしきい値よりも小さくしてもよい。このように照射開始と照射終了の検出にヒステリシス性を持たせることにより、ノイズの影響等を抑えて照射開始や照射終了の検出をことができる。例えば、照射線が照射されることによりセンサ部72やセンサ部146に電荷が発生するが、センサ部72やセンサ部146内で発生した電荷の一部が一時的にトラップされ、放射線の照射終了後もセンサ部72やセンサ部146からトラップされた電荷が配線160に電気信号として流れ出す場合、照射終了のしきい値を大きくすることにより、照射終了をすみやかに検出できる。
【0224】
また、図21のT1に示すように、累計値の増加量が大きく減少する変曲点があった場合に照射終了と検出することもできる。
【0225】
また、上記第1の実施の形態では、図7に示すように、撮影領域66Aよりも小さいサイズのシンチレータ71を撮影領域66Aの中央に配置し、検出対象領域172Cの光を導く導光部材170Cを撮影領域66Aの矢印A方向の一端側の露出部分に接触させ、検出対象領域172A、172B、172D、172Eの光を導く導光部材170A、170B、170D、170Eを撮影領域66Aの矢印A方向の他端側の露出部分に並んで接触させた場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、図22に示すように、撮影領域66Aよりも小さいサイズのシンチレータ71を撮影領域66Aの矢印A方向の一端側に寄せて配置し、中央部分の検出対象領域172Cの光を導く導光部材170Cと、検出対象領域172A、172B、172D、172Eの光を導く導光部材170A、170B、170D、170Eとをそれぞれ撮影領域66Aの矢印A方向の他端側の露出部分に並んで接触させてよい。これにより、矢印A方向の他端側の露出部分に設けられた各ゲート配線76にTFT70をオン状態とさせる制御信号を順に出力することにより、検出対象領域172A〜172Eでの放射線の検出を行うことができる。
【0226】
また、上記各実施の形態では、放射線画像を読み出す際、撮影領域66Aの露出部分に設けられたゲート配線76も含めて全てのゲート配線76に順に全てのゲート配線76に1ラインずつ順にオン信号を出力させる場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、露出部分を除いた各ゲート配線76に1ラインずつ順にオン信号を出力させるようにしてもよい。このような場合、例えば、ゲート線ドライバ80とは別に、露出部分に設けられたゲート配線76を制御するゲート線ドライバを設けてもよい。
【0227】
また、上記各実施の形態では、撮影領域66Aの一端側及び他端側の露出部分に設けられた各ゲート配線76に1ラインずつオン信号を順に出力する場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、検出対象領域172A、172B、172D、172Eでの放射線の検出を行う場合は、撮影領域66Aの他端側の露出部分に設けられた各ゲート配線76に同時にオン信号を出力し、検出対象領域172Cでの放射線の検出を行う場合は、撮影領域66Aの一端側の露出部分に設けられた各ゲート配線76に同時にオン信号を出力するようにしてもよい。複数のゲート配線76に同時にオン信号を出力された場合、オン信号が流れる複数のゲート配線76で各画素74のTFT70をオン状態となり、各データ配線78に複数の画素74の蓄積容量68に蓄積された電荷がまとめて電気信号として流れるため、アナログ的にビニングが行われることとなる。
【0228】
また、上記第3の実施の形態では、図15に示すように、撮影領域66Aの中央部分の検出対象領域172Cに対応する導光部材170Cのみを設け、撮影領域66Aの周辺部分の放射線を放射線検出部62により検出する場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、図23に示すように、撮影領域66Aの周辺部分の検出対象領域172Aに対応する導光部材170Aのみを設け、撮影領域66Aの中央部分の放射線を放射線検出部62により検出するものとしてもよい。この放射線検出部62は、放射線検出器60が光透過性を有する場合、図24、図25に示すように、シンチレータ71と反対側の面に配置してもよい。放射線検出部62は、放射線検出器60を透過したシンチレータ71の光を検出する。センサ部146は有機光電変換材料が含有された光電変換膜で形成することにより、放射線検出部62のセンサ部146での放射線の吸収を抑えることができる。
【0229】
また、上記第1の実施の形態では、検出対象領域172を5つ設けた場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。また、検出対象領域172の配置についても本発明はこれに限定されるものではなく、撮影領域の中央部及び周辺部の少なくとも1つずつ配置されていればよい。
【0230】
また、上記では、電子カセッテ32のカセッテ制御部92において放射線の照射開始、放射線の照射終了、及び放射線の照射量の検出を行う場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、カセッテ制御部92が信号検出部162から入力するデジタルデータを随時コンソール42へ送信するものとし、コンソール42において放射線の照射開始、放射線の照射終了、及び放射線の照射量の検出を行うものとしてもよい。
【0231】
また、上記第3の実施の形態では、放射線検出部62にセンサ部146を4つ設けた場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。また、センサ部146の配置についても本発明はこれに限定されるものではなく、撮影領域の中央部及び周辺部の少なくとも1つずつ配置されていればよい。例えば、図26に示すように、センサ部146を撮影領域にマトリクス状に配置してもよい。図26では、センサ部146を4×5のマトリクス状に配置した例を示している。
【0232】
また、上記各実施の形態では、例えば、図7に示すように、撮影領域66Aよりもシンチレータ71が小さいサイズで形成して撮影領域66Aの周辺部にシンチレータ71で覆われていない露出部分を設けた場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、シンチレータ71を撮影領域66Aよりも大きいサイズで形成した場合でも、図27に示すように、撮影領域66Aと並行にシンチレータ71を一方側へずらして配置することにより、撮影領域66Aの他方側の周辺部をシンチレータ71で覆われていない露出部分とするようにしてもよい。また、図28に示すように、シンチレータ71の形状を変形させて凹部200を設けて撮影領域66Aの周辺部にシンチレータ71で覆われていない露出部分を設けるようにしてもよい。
【0233】
また、上記各実施の形態では、放射線としてX線を検出することにより放射線画像を撮影する放射線撮影装置に本発明を適用した場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、検出対象とする放射線は、X線の他、可視光、紫外線、赤外線、ガンマ線、粒子線等いずれであってもよい。
【0234】
その他、上記各実施の形態で説明した構成は一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲内において、不要な部分を削除したり、新たな部分を追加したり、接続状態等を変更したりすることができることは言うまでもない。
【0235】
さらに、上記各実施の形態で説明した各種プログラムの処理の流れも一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲内において、不要なステップを削除したり、新たなステップを追加したり、処理順序を入れ換えたりすることができることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0236】
18 撮影システム
32 電子カセッテ
56 撮影面
60 放射線検出器
62A センサ層
62 放射線検出部(検出パネル)
66 TFT基板(撮影パネル)
66A 撮影領域
71 シンチレータ(発光層)
71A 遮光部材
72 センサ部
74 画素(光検出部)
92 カセッテ制御部(検出手段)
92A CPU
146 センサ部(第2センサ部)
170 導光部材
172 検出対象領域
180 光検出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮影領域に光を検出するセンサ部を含む画素が2次元状に設けられた撮影パネルと、
前記撮影領域に重なるように配置され、放射線が照射された領域が発光する発光層と、
前記発光層のうち放射線の検出を行う検出対象領域に一部が配置され、当該検出対象領域で発生した光を導光する導光部材と、
前記導光部材により導光された光を検出する光検出部と、
を備えた放射線撮影装置。
【請求項2】
前記検出対象領域は、複数設けられ、
前記導光部材及び前記光検出部は、前記検出対象領域に対応して複数設けられた
請求項1記載の放射線撮影装置。
【請求項3】
前記撮影領域は、前記発光層で覆われていない露出部分が設けられ、
少なくとも1つの前記導光部材は、前記撮影領域の前記露出部分に一部が配置されて当該露出部分に光を導光し、
前記撮影パネルの前記露出部分の画素が前記光検出部として機能する
請求項2記載の放射線撮影装置。
【請求項4】
前記発光層は、前記光検出部として機能する画素との対向面に遮光部材が設けられた
請求項3記載の放射線撮影装置。
【請求項5】
少なくとも1つの前記光検出部は、有機光電変換材料を含んで構成され、発光層の側面側に配置された
請求項2〜請求項4の何れか1項記載の放射線撮影装置。
【請求項6】
前記検出対象領域は、少なくとも2種類のサイズで設けられた
請求項2〜請求項5の何れか1項記載の放射線撮影装置。
【請求項7】
前記検出対象領域は、撮影領域の中央部分及び周辺部分に少なくとも1つずつ設けられた
請求項2〜請求項6の何れか1項記載の放射線撮影装置。
【請求項8】
前記光検出部による検出結果に基づいて放射線の照射開始、放射線の照射終了、及び放射線の照射量の何れかの検出を行う検出手段をさらに備えた
請求項1〜請求項7の何れか1項記載の放射線撮影装置。
【請求項9】
前記撮影パネルは光透過性を有し、
前記発光層は前記撮影パネルを透過した放射線が入射するように配置され、
前記導光部材は、前記撮影パネルを挟んで前記発光層の反対側に配置され、筐体の被照射面を形成する被照射面側部材と前記撮影パネルとの間に空隙が形成されるように、前記被照射面側部材と前記撮影パネルとに挟まれている請求項1〜請求項8の何れか1項記載の放射線撮影装置。
【請求項10】
前記発光層を挟んで前記撮影パネルの反対側に配置され、前記発光層側から入射された光を前記発光層側へ反射する第1反射部を更に備えた請求項9記載の放射線撮影装置。
【請求項11】
前記発光層は光透過性及び耐熱性を有する基板上に蒸着によって形成され、前記撮影パネルを透過した放射線が入射し、かつ前記基板が前記発光層を挟んで前記撮影パネルと反対側に位置するように配置され、
前記導光部材は前記基板を挟んで前記発光層の反対側に配置されている請求項1〜請求項8の何れか1項記載の放射線撮影装置。
【請求項12】
前記基板と前記導光部材との間に配置され、前記発光層側から入射された光の一部を前記発光層側へ反射する第2の反射部を更に備えた請求項11記載の放射線撮影装置。
【請求項13】
有機光電変換材料を含んで構成され、各々照射された光を検出する複数の第2センサ部が形成され、前記発光層又は前記撮影パネルに重なるように配置された検出パネルをさらに備えた
請求項1〜請求項12の何れか1項記載の放射線撮影装置。
【請求項14】
前記撮影パネル及び前記発光層は、照射された放射線が前記撮影パネルを透過して前記発光層に入射するように配置され、
前記検出パネルは、前記撮影パネルの前記発光層と反対側の面に配置された
請求項13項記載の放射線撮影装置。
【請求項15】
前記光検出部及び前記検出パネルを使い分けて放射線の照射開始、放射線の照射終了、及び放射線の照射量の何れかの検出を行う検出手段をさらに備えた
請求項13又は請求項14記載の放射線撮影装置。
【請求項16】
撮影領域に光を検出するセンサ部を含む画素が2次元状に設けられた撮影パネルと、
前記撮影領域に重なるように配置され、放射線が照射された領域が発光する発光層と、
前記発光層のうち放射線の検出を行う検出対象領域に一部が配置され、当該検出対象領域で発生した光を導光する導光部材と、
前記導光部材により導光された光を検出する光検出部と、
前記光検出部による検出結果に基づいて放射線の照射開始、放射線の照射終了、及び放射線の照射量の何れかの検出を行う検出手段と、
を有する放射線撮影システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【公開番号】特開2012−73230(P2012−73230A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−167193(P2011−167193)
【出願日】平成23年7月29日(2011.7.29)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】