説明

放射線検出パネル

【課題】筐体の天板に荷重が加わるとシンチレータの隣り合う柱状結晶の間隔が変化する構成において、隣り合う柱状結晶が接触することを抑制する。
【解決手段】柱状結晶領域を有するシンチレータ34を蒸着基板20に形成した後に、蒸着基板20のうちシンチレータ形成面側が凸となるように蒸着基板20を湾曲させる((A)参照)ことで、柱状結晶の先端部付近における隣り合う柱状結晶の平均間隔を、柱状結晶の基部付近における隣り合う柱状結晶の平均間隔よりも大きくしておく。これにより、放射線画像の撮影時に電子カセッテ10の天板16に荷重が加わり、この荷重が放射線検出部42を介してシンチレータ34及び蒸着基板20に加わる((B)参照)ことで、柱状結晶の先端部付近における隣り合う柱状結晶の平均間隔が小さくなった場合にも、隣り合う柱状結晶が接触することが抑制される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は放射線検出パネルに係り、特に、光射出側に柱状結晶が複数立設されたシンチレータと、シンチレータから射出された光を検出する光検出部と、を含む放射線検出パネルに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、TFT(Thin Film Transistor)アクティブマトリクス基板上に放射線感応層を配置し、照射されたX線やγ線、α線等の放射線を検出し、照射放射線量の分布を表す放射線画像のデータへ直接変換して出力するFPD(Flat Panel Detector)が実用化されており、このFPD等のパネル型の放射線検出器と、画像メモリを含む電子回路及び電源部を内蔵し、放射線検出器から出力される放射線画像データを画像メモリに記憶する可搬型の放射線検出パネル(以下、電子カセッテともいう)も実用化されている。なお、上記の放射線感応層としては、例えば照射された放射線をCsI:Tl、GOS(GdS:Tb)等のシンチレータ(蛍光体層)で光に一旦変換し、シンチレータから放出された光をPD(Photodiode)等から成る光検出部によって電荷へ再変換して蓄積する構成(間接変換方式)が知られている。放射線検出パネルは可搬性に優れているので、ストレッチャーやベッドに載せたまま被撮影者を撮影できると共に、放射線検出パネルの位置を変更することで撮影部位の調整も容易であるため、動けない被撮影者を撮影する場合にも柔軟に対処することができる。
【0003】
上記の放射線検出パネルに関し、特許文献1には、光検出器の各画素に対応した位置に形成された蛍光体層(シンチレータ)が柱状又は台形状又は紡錘形に形成された蛍光体粒子から成る構成の放射線検出装置が開示されている。また特許文献2には、入射する放射線を光子に変換するシンチレータと、光子を受けて該光子に対応する電気信号を生成する光センサ・アレイと、が可撓性基板上に配置された構成の可撓性イメージャが開示されている。また特許文献3には、放射線を吸収して発光するシンチレータと、シンチレータの発光を検知する光検出器とを備えた放射線検出器において、シンチレータの形状を四角錘台形状とし、この四角錘台形の斜辺の角度を入射放射線と放射線検出素子の傾き角度以上とする技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−303673号公報
【特許文献2】特開2004−64087号公報
【特許文献3】特開2004−125722号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
放射線検出パネルのシンチレータとしてCsIを用い、シンチレータを光射出側に柱状結晶が複数立設された構成(図11(A)も参照)とした場合、放射線の照射に伴ってシンチレータで発生した光が柱状結晶中を進行していくことで、シンチレータから射出される光の散乱が抑制されるため、照射された放射線を画像として検出する場合の検出画像の鮮鋭度の低下を抑制できる、という利点を有する。
【0006】
なお、上記構成のシンチレータにおいて、シンチレータ中の柱状結晶形成領域におけるCsIの充填率には適切な範囲があり、柱状結晶形成領域の厚みにも依存するが、例えば70〜85%程度が最適である。すなわち、CsIの充填率が過小(例えば70%未満)になるとシンチレータの発光量の低下が顕著になる一方、CsIの充填率が過大に(例えば85%よりも高く)なると、或る厚み以上では隣り合う柱状結晶が接触し始めるために、柱状結晶中を進行する光の一部が接触している他の柱状結晶へ移る現象(この現象はクロストークともいう)が生ずることで、シンチレータへの放射線照射量のパターンに対してシンチレータからの光の射出光量のパターンが変化し、放射線検出精度の低下(照射された放射線を画像として検出する場合は検出画像の鮮鋭度の低下)が引き起こされる。従って、放射線検出の感度及び精度を確保するために、隣り合う柱状結晶の間には適当な大きさの間隙(空隙)を設ける必要がある。
【0007】
ところで、CsIから成るシンチレータはAl(アルミニウム)等から成る蒸着基板に蒸着することで形成され、光検出部はガラス等から成る基板上に形成されるが、Alとガラスは熱膨張率が大きく相違している(例えばAlの熱膨張率=30PPM程度に対し、ガラスの熱膨張率=3PPM程度)。このため、シンチレータから射出された光の検出効率の向上等を目的としてシンチレータと光検出部とを全面に亘って貼り合わせた場合、温度変化に伴い、熱膨張率の相違を原因としてシンチレータ及び光検出部に反りが生じると共にシンチレータの柱状結晶に大きな応力が加わる(図11(B)も参照)ので、経時的に柱状結晶の破損等が生ずる恐れがある。これを回避するためには、シンチレータと光検出部とを貼り合わせることなく当接させる構成とすることが考えられる。
【0008】
一方、放射線検出パネルについては、取扱性の向上等を目的として、シンチレータ及び光検出部を含むパネルを、箱形の筐体の天板の内面に貼り付けた状態で筐体内に収容することで、放射線検出パネルの薄型化を実現する構成の採用が検討されている。しかしながら、この構成では、例えば放射線画像の撮影に際して基台と被撮影者の体との間に放射線検出パネルが挿入された等の場合に、被撮影者の体の重みが筐体の天板に荷重として加わり、この荷重がシンチレータ及び光検出部に伝達されることで、シンチレータ及び光検出部に歪みが生ずる。
【0009】
特に、シンチレータの柱状結晶の破損等を回避するために、シンチレータと光検出部とを貼り合わせることなく当接させた場合は、個々の柱状結晶の先端部の位置が光検出部に対して移動可能となるので、熱膨張率の相違を原因とする大きな応力が柱状結晶に加わることはない代わりに、シンチレータ及び光検出部に歪みが生ずることに伴い、例として図11(C)にも示すように、柱状結晶の先端部付近における隣り合う柱状結晶の間隙が大きく変化する。図11は柱状結晶を模式的に示しているが、前述のように、シンチレータ中の柱状結晶形成領域におけるCsIの適切な充填率は70〜85%程度であるので、隣り合う柱状結晶の間隙の変化に伴い、隣り合う柱状結晶の先端部同士で接触し始め、放射線検出精度の低下(検出画像の鮮鋭度の低下)が引き起こされる、という問題がある。
【0010】
これに対して特許文献1〜3には、光射出側に柱状結晶が複数立設されたシンチレータを含み、筐体の天板に荷重が加わると隣り合う柱状結晶の間隔が変化する構成の放射線検出パネルにおいて、シンチレータに荷重が加わった等の場合に、シンチレータの隣り合う柱状結晶の先端部同士が接触し、放射線検出精度が低下することがある、という課題について何ら開示がなく、上記課題を解決するための構成についても何ら記載されていない。
【0011】
本発明は上記事実を考慮して成されたもので、光射出側に柱状結晶が複数立設されたシンチレータを含み、筐体の天板に荷重が加わると隣り合う柱状結晶の間隔が変化する構成において、隣り合う柱状結晶が接触することを抑制できる放射線検出パネルを得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために請求項1記載の発明に係る放射線検出パネルは、柱状結晶が複数立設された光射出側が、およそ箱形の筐体のうちの天板の内面と対向する向きで前記筐体内に配置され、照射された放射線を吸収して前記光射出側から光を射出するシンチレータと、前記天板の内面と前記シンチレータの前記光射出側とに挟まれた状態で前記筐体内に配置され、前記シンチレータの前記光射出側から射出された光を検出すると共に、前記天板に加わった荷重を前記シンチレータへ伝達する光検出部と、を含み、前記シンチレータは、前記柱状結晶の先端部付近における隣り合う前記柱状結晶の平均間隔が、前記柱状結晶の基部付近における隣り合う前記柱状結晶の平均間隔よりも大きくされている。
【0013】
請求項1記載の発明に係る放射線検出パネルは、シンチレータと光検出部を含んで構成されており、シンチレータは、柱状結晶が複数立設された光射出側が、およそ箱形の筐体のうちの天板の内面と対向する向きで筐体内に配置され、照射された放射線を吸収して光射出側から光を射出し、光検出部は、筐体の天板の内面とシンチレータの光射出側とに挟まれた状態で筐体内に配置され、シンチレータの光射出側から射出された光を検出すると共に、筐体の天板に加わった荷重をシンチレータへ伝達する。なお、本発明に係る「およそ箱形」の筐体には、天板に対応する上面とこの上面と反対側の底面が各々平らかつ平行な形状の筐体も、前記底面は平で前記上面は筐体の外側へ凸となるように湾曲された形状の筐体も含まれる。請求項1記載の発明に係る放射線検出パネルは、上記の構成とされていることにより、筐体の天板に荷重が加わると、この荷重が光検出部を介してシンチレータへ伝達されることで、シンチレータの隣り合う柱状結晶の間隔が変化することになる。
【0014】
これに対して請求項1記載の発明では、柱状結晶の先端部付近における隣り合う柱状結晶の平均間隔が、柱状結晶の基部付近における隣り合う柱状結晶の平均間隔よりも大きくされている。これにより、筐体の天板に加わった荷重が光検出部を介してシンチレータへ伝達されることで、シンチレータの隣り合う柱状結晶の先端部の間隔が小さくなったとしても、隣り合う柱状結晶の先端部同士が接触し難くなる。従って、請求項1記載の発明によれば、光射出側に柱状結晶が複数立設されたシンチレータを含み、筐体の天板に荷重が加わると隣り合う柱状結晶の間隔が変化する構成において、隣り合う柱状結晶が接触することを抑制することができ、隣り合う柱状結晶の接触に伴って放射線検出の精度が低下することも抑制することができる。
【0015】
なお、請求項1記載の発明において、例えば請求項2に記載したように、光検出部は天板の内面に貼り付けられており、光検出部とシンチレータの光射出側との間は貼り合わせされることなく当接された構成を採用することができる。
【0016】
また、請求項1又は請求項2記載の発明において、柱状結晶の先端部付近における隣り合う柱状結晶の平均間隔を、柱状結晶の基部付近における隣り合う柱状結晶の平均間隔よりも大きくすることは、例えば請求項3に記載したように、平板状で上面及び底面の一方が光射出面とされたシンチレータを、光射出面側が凸となるように変形させることによって実現することができる。シンチレータを上記のように変形させることは、例えばシンチレータが、シンチレータの上面及び底面のうち光射出面と反対側の面が平板状の第1の支持体に接するように第1の支持体上に形成された構成であれば、例えば請求項5に記載したように、第1の支持体を湾曲させることによって容易に実現できる。従って、例えば請求項4に記載したように、シンチレータの柱状結晶の平均径が柱状結晶の長手方向に沿っておよそ均一な構成であっても、柱状結晶の先端部付近における隣り合う柱状結晶の平均間隔を、柱状結晶の基部付近における隣り合う柱状結晶の平均間隔よりも大きくすることを容易に実現することができ、製造が容易になる。
【0017】
また、柱状結晶の先端部付近における隣り合う柱状結晶の平均間隔を、柱状結晶の基部付近における隣り合う柱状結晶の平均間隔よりも大きくした場合、柱状結晶の先端部付近におけるシンチレータの充填率の低下に伴って柱状結晶の先端部付近における発光量は低下することになる。しかしながら、請求項3記載の発明では、放射線検出を行う際に、筐体の天板に加わり光検出部を介してシンチレータに伝達される荷重は、光射出面側が凸となるように変形しているシンチレータに対し、前記変形を元に戻す力として作用する。このため、柱状結晶の先端部付近における隣り合う柱状結晶の間隔が小さくなることで、放射線検出を行う際には、柱状結晶の先端部付近におけるシンチレータの充填率が増大した状態になることで、柱状結晶の先端部付近における発光量が増大する、という効果も得られる。
【0018】
また、請求項5記載の発明において、第1の支持体は、例えば請求項6に記載したように、温度に応じて形状が変化する特性を有し、第1の支持体上にシンチレータが形成される際の温度域ではほぼ平板状で、放射線検出パネルで放射線検出が行われる際の温度域では湾曲が生ずる構成であってもよい。この場合、放射線検出パネルの製造に際し、第1の支持体を湾曲させてシンチレータを変形させる工程が不要となるので、放射線検出パネルの製造を更に容易にすることができる。
【0019】
また、請求項1〜請求項6の何れかに記載の発明において、例えば請求項7に記載したように、光検出部が形成された平板状の第2の支持体が可撓性を有していることが好ましい。これにより、筐体の天板に加わった荷重が光検出部に伝達された場合に光検出部が破損しないように第2の支持体の剛性を確保する必要がなくなり、第2の支持体の厚みを薄くすることができるので、放射線検出パネルの更なる薄型化を容易に実現できる。なお、請求項7記載の発明において、光検出部は、例えば請求項8に記載したように、光検出部を構成する光電変換部が有機光電変換材料を含む材料から成り、光検出部を構成するスイッチング素子の活性層が有機半導体材料を含む材料から成る構成を採用することが好ましい。
【0020】
また、請求項2に記載したように、光検出部とシンチレータの光射出側との間を貼り合わせることなく当接させることは、具体的には、例えば請求項9に記載したように、シンチレータ及び光検出部は各々平板状とされ、筐体の天板におよそ平行な方向への相対移動が阻止されるように各々の周縁部を固定し、シンチレータ及び光検出部のうちの前記周縁部以外の領域は貼り合わせることなく当接させることによって実現することができる。
【0021】
また、請求項1〜請求項9の何れかに記載の発明において、例えば請求項10に記載したように、放射線検出パネルには筐体の天板側から放射線が入射され、筐体の天板側から入射された放射線が光検出部を透過してシンチレータに照射される構成であることが好ましい。この構成では、放射線検出パネルに対して天板側と反対側から放射線が照射される場合と比較して、シンチレータのうち光検出部により近い部分が主発光領域となり、光検出部による受光量が増大するので、放射線検出パネルにおける放射線の検出感度を向上させることができる。
【0022】
また、請求項1〜請求項3、請求項5〜請求項10の何れかに記載の発明において、柱状結晶の先端部付近における隣り合う柱状結晶の平均間隔を、柱状結晶の基部付近における隣り合う柱状結晶の平均間隔よりも大きくすることは、シンチレータを、例えば請求項11に記載したように、柱状結晶の先端部付近における柱状結晶の平均径を、柱状結晶の基部付近における柱状結晶の平均径よりも小さくすることによっても実現できる。
【発明の効果】
【0023】
以上説明したように本発明は、シンチレータの柱状結晶の先端部付近における隣り合う柱状結晶の平均間隔が、柱状結晶の基部付近における隣り合う柱状結晶の平均間隔よりも大きくされているので、光射出側に柱状結晶が複数立設されたシンチレータを含む構成において、隣り合う柱状結晶が接触することを抑制できる、という優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】実施形態で説明した電子カセッテを一部破断して示す斜視図である。
【図2】(A)は天板に荷重が加わっていない状態、(B)は天板に荷重が加わった状態での電子カセッテの概略断面図である。
【図3】シンチレータの結晶構成の一例を模式的に示す概略図である。
【図4】放射線検出部の構成を模式的に示した断面図である。
【図5】電子カセッテの電気系の要部構成を示すブロック図である。
【図6】コンソール及び放射線発生装置の電気系の要部構成を示すブロック図である。
【図7】(A)は定常状態、(B)は荷重が加わった状態でのシンチレータの柱状結晶の状態を模式的に示す概略図である。
【図8】他の態様に係る電子カセッテにおいて、(A)は天板に荷重が加わっていない状態、(B)は天板に荷重が加わった状態を各々示す概略断面図である。
【図9】シンチレータの結晶構成の他の例を模式的に示す概略図である。
【図10】放射線検出部を複数設けた構成を模式的に示した断面図である。
【図11】従来技術の問題点を説明するための概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照して本発明の実施形態の一例を詳細に説明する。図1には、本発明に係る放射線検出パネルの一例としての電子カセッテ10が示されている。電子カセッテ10は、放射線Xを透過させる材料から成り、全体形状がおよそ箱形で、矩形状の上面(図2に示す天板16の外面)が、被撮影者の体を透過した放射線Xが照射される照射面12とされた筐体14を備えている。なお、筐体14のうち天板16以外の部分は、例えばABS樹脂等から構成され、天板16は例えばカーボン等から構成される。これにより、天板16による放射線Xの吸収を抑制しつつ、天板16の強度が確保される。なお、筐体14の厚みは、照射された放射線を感光材料に画像として記録する構成の旧来のカセッテにおける筐体の厚みと同サイズとされている。
【0026】
電子カセッテ10の照射面12には、複数個のLEDから成り、電子カセッテ10の動作モード(例えば「レディ状態」や「データ送信中」等)やバッテリの残容量の状態等の動作状態を表示するための表示部12Aが設けられている。なお、表示部12AはLED以外の発光素子で構成してもよいし、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイ等の表示手段で構成してもよい。また、表示部12Aは照射面12以外の部位に設けてもよい。
【0027】
電子カセッテ10の筐体14内には、被撮影者の体を透過した放射線Xの到来方向に沿って、照射面12側から、本発明の光検出部としての放射線検出部(TFT基板)42や、本発明のシンチレータの一例であるシンチレータ34等が順に配置されている。また、筐体14の内部には、照射面12の長手方向に沿った一端側に、マイクロコンピュータを含む各種の電子回路や、充電可能かつ着脱可能なバッテリ(二次電池)を収容するケース18が配置されている。放射線検出部42を含む電子カセッテ10の各種電子回路は、ケース18内に収容されたバッテリから供給される電力によって作動する。ケース18内に収容された各種電子回路が放射線Xの照射に伴って損傷することを回避するため、筐体14内のうちケース18の照射面12側には鉛板等から成る放射線遮蔽部材が配設されている。
【0028】
図2(A)に示すように、筐体14内に配置されたシンチレータ34は、蒸着基板20上に蒸着によって形成されているが(詳細は後述)、この蒸着基板20は、一方の面に蒸着によってシンチレータ34が形成された後、シンチレータ34の形成面側が凸となるように湾曲されており、これに伴いシンチレータ34も、蒸着基板20と反対側(光射出面側)が凸となるように変形されている。また、筐体14の天板16は、照射面12側が凸となるように、シンチレータ34及び蒸着基板20と同程度の曲率で湾曲されている。なお、蒸着基板20は請求項5に記載の第1の支持体の一例である。
【0029】
更に、本実施形態では、放射線検出部42の基板(後述する絶縁性基板64)が可撓性を有する材料で形成されていることで、放射線検出部42が可撓性を有している。放射線検出部42は全面に亘って天板16の内面に接着等によって貼り付けられており、天板16に倣って湾曲されている。また、放射線検出部42とシンチレータ34との間は貼り合わされることなく当接されており、周縁部のみが全周に亘り、柔軟性を有する固定剤22によって固定されている。また、筐体14内の底面には基台24が取付けられており、基台24の天板の下面には制御基板26が取付けられており、制御基板26と放射線検出部(TFT基板)42とはフレキシブルケーブル28を介して電気的に接続されている。
【0030】
このように本実施形態に係るシンチレータは請求項1〜請求項5、請求項9に記載のシンチレータの一例であり、蒸着基板20は請求項5に記載の第1の支持体の一例であり、放射線検出部42は請求項1,請求項2,請求項7〜請求項10に記載の光検出部の一例である。
【0031】
なお、蒸着基板20を温度に応じて形状が変化する特性を有する形状記憶合金で構成してもよい。蒸着基板20を構成する形状記憶合金を、蒸着基板20にシンチレータ34が蒸着によって形成される際の温度域ではほぼ平板状で、電子カセッテ10で放射線画像の撮影が行われる際の温度域ではシンチレータ34の形成面側が凸となるように湾曲が生ずる構成とすれば、上記のように、シンチレータ34を形成した後に蒸着基板20を湾曲させる工程が不要となる。この態様における蒸着基板20は請求項6に記載の第1の支持体の一例である。
【0032】
次にシンチレータ34について説明する。シンチレータ34は、被撮影者の体を透過した筐体14の照射面12に照射され、筐体14の天板16及び放射線検出部(TFT基板)42を透過して照射された放射線Xを吸収して光を放出する。一般に、シンチレータとしては、例えばCsI:Tl(タリウムを添加したヨウ化セシウム))や、CsI:Na(ナトリウム賦活ヨウ化セシウム)、GOS(GdS:Tb)等の材料を用いることができる。
【0033】
但し、本実施形態では、例として図3に示すように、シンチレータ34を、放射線入射/光射出側(放射線検出部42)に柱状結晶34Aから成る柱状結晶領域が形成され、シンチレータ34の放射線入射側と反対側に非柱状結晶34Bから成る非柱状結晶領域が形成された構成としており、シンチレータ34としてCsIを含む材料を用い、当該材料を蒸着基板20に蒸着させることで、柱状結晶領域及び非柱状結晶領域が形成されたシンチレータ34を得ている。なお、蒸着基板20としては耐熱性の高い材料が望ましく、例えば低コストという観点からアルミニウムが好適である。なお、本実施形態に係るシンチレータ34は、柱状結晶34Aの平均径が柱状結晶34Aの長手方向に沿っておよそ均一とされている。
【0034】
上記のように、シンチレータ34を柱状結晶領域及び非柱状結晶領域が形成された構成にすると共に、高効率の発光が得られる柱状結晶34Aから成る柱状結晶領域を放射線検出部42側に配置することで、シンチレータ34で発生された光は柱状結晶34A内を進行して放射線検出部42へ射出され、放射線検出部42側へ射出される光の拡散が抑制されることで、電子カセッテ10によって検出される放射線画像のボケが抑制される。また、シンチレータ34の深部(非柱状結晶領域)に到達した光も、非柱状結晶34Bによって放射線検出部42側へ反射されることで、放射線検出部42に入射される光の光量(シンチレータ34で発光された光の検出効率)が向上する。
【0035】
また、前述のように、シンチレータ34及び蒸着基板20は光射出面側が凸となるように変形(湾曲)されているので、シンチレータ34の柱状結晶34Aは、より詳しくは、図7(A)に模式的に示すように、柱状結晶34Aの先端部付近における隣り合う柱状結晶34Aの平均間隔が、柱状結晶34Aの基部付近における隣り合う柱状結晶34Aの平均間隔よりも大きくされている。
【0036】
なお、シンチレータ34の放射線入射側に位置する柱状結晶領域の厚みをt1とし、シンチレータ34の蒸着基板20側に位置する非柱状結晶領域の厚みをt2としたときに、t1とt2が下記の関係式を満たすことが好ましい。
【0037】
0.01≦(t2/t1)≦0.25
柱状結晶領域の厚みt1と非柱状結晶領域の厚みt2とが上記関係式を満たすことで、発光効率が高く光の拡散を防止する領域(柱状結晶領域)と、光を反射する領域(非柱状結晶領域)と、のシンチレータ34の厚み方向に沿った比率が好適な範囲となり、シンチレータ34の発光効率、シンチレータ34で発光された光の検出効率、及び、放射線画像の解像度が向上する。非柱状結晶領域の厚みt2が厚過ぎると発光効率の低い領域が増え、電子カセッテ10の感度の低下に繋がることから、(t2/t1)は0.02以上かつ0.1以下の範囲であることがより好ましい。
【0038】
また、上記では柱状結晶領域と非柱状結晶領域が連続的に形成された構成のシンチレータ34を説明したが、例えば上記の非柱状結晶領域に代えてアルミニウム等から成る光反射層が設けられ、柱状結晶領域のみが形成された構成であってもよいし、他の構成であってもよい。
【0039】
続いて放射線検出部42について説明する。放射線検出部42は、シンチレータ34の光射出側から射出された光を検出するものであり、図4に示すように、フォトダイオード(PD:PhotoDiode)等から成る光電変換部72、薄膜トランジスタ(TFT:Thin Film Transistor)70及び蓄積容量68を備えた画素部74が、図5に示すように、平板状で平面視における外形形状が矩形状とされた絶縁性基板64上にマトリクス状に複数形成されたTFTアクティブマトリクス基板(以下、「TFT基板」という)で構成されている。
【0040】
なお、本実施形態では、シンチレータ34の放射線照射面側に放射線検出部(TFT基板)42が配置されているが、シンチレータと光検出検出部(放射線検出部42)をこのような位置関係で配置する方式は「表面読取方式(ISS:Irradiation Side Sampling)」と称する(請求項10記載の発明に相当する構成)。シンチレータは放射線入射側がより強く発光するので、シンチレータの放射線入射側に光検出部(放射線検出器)を配置する表面読取方式(ISS)は、シンチレータの放射線入射側と反対側に光検出部(放射線検出器)を配置する「裏面読取方式(PSS:Penetration Side Sampling)」よりも光検出部とシンチレータの発光位置とが接近することから、撮影によって得られる放射線画像の分解能が高く、また光検出部(放射線検出部)の受光量が増大することで、結果として放射線検出パネル(電子カセッテ)の感度が向上する。
【0041】
光電変換部72は、下部電極72Aと上部電極72Bとの間に、シンチレータ34から放出された光を吸収し、吸収した光に応じた電荷を発生する光電変換膜72Cが配置されて構成されている。なお、下部電極72Aは、シンチレータ34から放出された光を光電変換膜72Cに入射させる必要があるため、少なくともシンチレータ34の発光波長に対して透明な導電性材料で構成することが好ましく、具体的には、可視光に対する透過率が高く、抵抗値が小さい透明導電性酸化物(TCO;Transparent Conducting Oxide)を用いることが好ましい。なお、下部電極72AとしてAuなどの金属薄膜を用いることもできるが、90%以上の光透過率を得ようとすると抵抗値が増大し易くなるため、TCOの方が好ましい。例えば、ITO、IZO、AZO、FTO、SnO、TiO、ZnO等を用いることが好ましく、プロセス簡易性、低抵抗性、透明性の観点からITOが最も好ましい。なお、下部電極72Aは、全画素部共通の一枚構成としてもよいし、画素部毎に分割してもよい。
【0042】
また、光電変換膜72Cはシンチレータ34から放出された光を吸収し、吸収した光に応じた電荷を発生する。光電変換膜72Cを構成する材料は光を吸収して電荷を発生する材料であればよく、例えば、アモルファスシリコンや有機光電変換材料等を用いることができる。光電変換膜72Cをアモルファスシリコンで構成した場合、シンチレータ34から放出された光を広い波長域に亘って吸収するように構成することができる。但し、アモルファスシリコンから成る光電変換膜72Cの形成には蒸着を行う必要があり、絶縁性基板64が合成樹脂製である場合、絶縁性基板64の耐熱性が不足する可能性がある。
【0043】
一方、光電変換膜72Cを有機光電変換材料を含む材料で構成した場合は、主に可視光域で高い吸収を示す吸収スペクトルが得られ、光電変換膜72Cによるシンチレータ34から放出された光以外の電磁波の吸収が殆ど無くなるので、X線やγ線等の放射線が光電変換膜72Cで吸収されることで発生するノイズを抑制できる。また、有機光電変換材料から成る光電変換膜72Cは、インクジェットヘッド等の液滴吐出ヘッドを用いて有機光電変換材料を被形成体上に付着させることで形成させることができ、被形成体に対して耐熱性は要求されない。このため、本実施形態では、光電変換部72の光電変換膜72Cを有機光電変換材料で構成している。
【0044】
光電変換膜72Cを有機光電変換材料で構成した場合、光電変換膜72Cで放射線が殆ど吸収されないので、放射線が透過するように放射線検出部42が配置される表面読取方式(ISS)において、放射線検出部42を透過することによる放射線の減衰を抑制することができ、放射線に対する感度の低下を抑えることができる。従って、光電変換膜72Cを有機光電変換材料で構成することは、特に表面読取方式(ISS)に好適である。
【0045】
光電変換膜72Cを構成する有機光電変換材料は、シンチレータ34から放出された光を最も効率良く吸収するために、その吸収ピーク波長が、シンチレータ34の発光ピーク波長と近いほど好ましい。有機光電変換材料の吸収ピーク波長とシンチレータ34の発光ピーク波長とが一致することが理想的であるが、双方の差が小さければシンチレータ34から放出された光を十分に吸収することが可能である。具体的には、有機光電変換材料の吸収ピーク波長と、シンチレータ34の放射線に対する発光ピーク波長との差が10nm以内であることが好ましく、5nm以内であることがより好ましい。
【0046】
このような条件を満たすことが可能な有機光電変換材料としては、例えばキナクリドン系有機化合物及びフタロシアニン系有機化合物が挙げられる。例えばキナクリドンの可視域における吸収ピーク波長は560nmであるため、有機光電変換材料としてキナクリドンを用い、シンチレータ34の材料としてCsI(Tl)を用いれば、上記ピーク波長の差を5nm以内にすることが可能となり、光電変換膜72Cで発生する電荷量をほぼ最大にすることができる。
【0047】
放射線検出パネルに適用可能な光電変換膜72Cについて具体的に説明する。放射線検出パネルにおける電磁波吸収/光電変換部位は、電極72A,72Bと、該電極72A,72Bに挟まれた光電変換膜72Cを含む有機層である。この有機層は、より具体的には、電磁波を吸収する部位、光電変換部位、電子輸送部位、正孔輸送部位、電子ブロッキング部位、正孔ブロッキング部位、結晶化防止部位、電極、及び、層間接触改良部位等を積み重ねるか、若しくは混合することで形成することができる。
【0048】
上記有機層は、有機p型化合物または有機n型化合物を含有することが好ましい。有機p型半導体(化合物)は、主に正孔輸送性有機化合物に代表されるドナー性有機半導体(化合物)であり、電子を供与しやすい性質を有する有機化合物である。さらに詳しくは2つの有機材料を接触させて用いたときにイオン化ポテンシャルの小さい方の有機化合物である。従って、ドナー性有機化合物としては、電子供与性を有する有機化合物であれば何れの有機化合物も使用可能である。有機n型半導体(化合物)は、主に電子輸送性有機化合物に代表されるアクセプター性有機半導体(化合物)であり、電子を受容し易い性質を有する有機化合物である。更に詳しくは2つの有機化合物を接触させて用いたときに電子親和力の大きい方の有機化合物である。従って、アクセプター性有機化合物は、電子受容性を有する有機化合物であれば何れの有機化合物も使用可能である。
【0049】
有機p型半導体及び有機n型半導体として適用可能な材料や、光電変換膜72Cの構成については、特開2009−32854号公報において詳細に説明されているため説明を省略する。
【0050】
また、光電変換部72は、少なくとも電極対72A,72Bと光電変換膜72Cを含んでいればよいが、暗電流の増加を抑制するため、電子ブロッキング膜及び正孔ブロッキング膜の少なくとも何れかを設けることが好ましく、両方を設けることがより好ましい。
【0051】
電子ブロッキング膜は、上部電極72Bと光電変換膜72Cとの間に設けることができ、上部電極72Bと下部電極72Aとの間にバイアス電圧を印加したときに、上部電極72Bから光電変換膜72Cに電子が注入されて暗電流が増加してしまうことを抑制することができる。電子ブロッキング膜には電子供与性有機材料を用いることができる。実際に電子ブロッキング膜に用いる材料は、隣接する電極の材料及び隣接する光電変換膜72Cの材料等に応じて選択すればよく、隣接する電極の材料の仕事関数(Wf)より1.3eV以上電子親和力(Ea)が大きく、かつ、隣接する光電変換膜72Cの材料のイオン化ポテンシャル(Ip)と同等のIp、若しくはそれより小さいIpを有するものが好ましい。この電子供与性有機材料として適用可能な材料については、特開2009−32854号公報において詳細に説明されているため説明を省略する。
【0052】
電子ブロッキング膜の厚みは、暗電流抑制効果を確実に発揮させると共に、光電変換部72の光電変換効率の低下を防ぐため、10nm以上200nm以下が好ましく、より好ましくは30nm以上150nm以下、特に好ましくは50nm以上100nm以下である。
【0053】
正孔ブロッキング膜は、光電変換膜72Cと下部電極72Aとの間に設けることができ、上部電極72Bと下部電極72Aとの間にバイアス電圧を印加したときに、下部電極72Aから光電変換膜72Cに正孔が注入されて暗電流が増加してしまうことを抑制することができる。正孔ブロッキング膜には電子受容性有機材料を用いることができる。実際に正孔ブロッキング膜に用いる材料は、隣接する電極の材料及び隣接する光電変換膜72Cの材料等に応じて選択すればよく、隣接する電極の材料の仕事関数(Wf)より1.3eV以上イオン化ポテンシャル(Ip)が大きく、かつ、隣接する光電変換膜72Cの材料の電子親和力(Ea)と同等のEa、若しくはそれより大きいEaを有するものが好ましい。この電子受容性有機材料として適用可能な材料については、特開2009−32854号公報において詳細に説明されているため説明を省略する。
【0054】
正孔ブロッキング膜の厚みは、暗電流抑制効果を確実に発揮させると共に、光電変換部72の光電変換効率の低下を防ぐため、10nm以上200nm以下が好ましく、より好ましくは30nm以上150nm以下、特に好ましくは50nm以上100nm以下である。
【0055】
なお、光電変換膜72Cで発生した電荷のうち、正孔が下部電極72Aに移動し、電子が上部電極72Bに移動するようにバイアス電圧を設定する場合には、電子ブロッキング膜と正孔ブロッキング膜の位置を逆にすれば良い。また、電子ブロッキング膜と正孔ブロッキング膜は両方設けることは必須ではなく、何れかを設けておけば、或る程度の暗電流抑制効果を得ることができる。
【0056】
TFT70は、ゲート電極、ゲート絶縁膜及び活性層(チャネル層)が積層され、更に活性層上にソース電極とドレイン電極が所定の間隔を隔てて形成されている。活性層は、例えばアモルファスシリコンや非晶質酸化物、有機半導体材料、カーボンナノチューブ等のうちの何れかにより形成することができるが、活性層を形成可能な材料はこれらに限定されるものではない。
【0057】
活性層を形成可能な非晶質酸化物としては、例えば、In、Ga及びZnのうちの少なくとも1つを含む酸化物(例えばIn−O系)が好ましく、In、Ga及びZnのうちの少なくとも2つを含む酸化物(例えばIn−Zn−O系、In−Ga−O系、Ga−Zn−O系)がより好ましく、In、Ga及びZnを含む酸化物が特に好ましい。In−Ga−Zn−O系非晶質酸化物としては、結晶状態における組成がInGaO(ZnO)(mは6未満の自然数)で表される非晶質酸化物が好ましく、特に、InGaZnOがより好ましい。なお、活性層を形成可能な非晶質酸化物はこれらに限定されるものではない。
【0058】
また、活性層を形成可能な有機半導体材料としては、例えば、フタロシアニン化合物や、ペンタセン、バナジルフタロシアニン等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。なお、フタロシアニン化合物の構成については、特開2009−212389号公報で詳細に説明されているため、説明を省略する。
【0059】
TFT70の活性層を非晶質酸化物や有機半導体材料、カーボンナノチューブ等のうちの何れかによって形成すれば、X線等の放射線を吸収せず、或いは吸収したとしても極めて微量に留まるため、信号出力部104におけるノイズの発生を効果的に抑制することができる。
【0060】
また、活性層をカーボンナノチューブで形成した場合、TFT70のスイッチング速度を高速化することができ、また、TFT70における可視光域の光の吸収度合いを低下させることができる。なお、活性層をカーボンナノチューブで形成する場合、活性層にごく微量の金属性不純物が混入しただけでTFT70の性能が著しく低下するため、遠心分離等により非常に純度の高いカーボンナノチューブを分離・抽出して活性層の形成に用いる必要がある。
【0061】
なお、有機光電変換材料で形成した膜及び有機半導体材料で形成した膜は何れも十分な可撓性を有しているので、有機光電変換材料で形成した光電変換膜72Cと、活性層を有機半導体材料で形成したTFT70と、を組み合わせた構成であれば、患者の体の重みが荷重として加わる放射線検出部42の高剛性化は必ずしも必要ではなくなる。
【0062】
また、絶縁性基板64は光透過性を有し且つ放射線の吸収が少ないものであればよい。ここで、TFT70の活性層を構成する非晶質酸化物や、光電変換部72の光電変換膜72Cを構成する有機光電変換材料は、いずれも低温での成膜が可能である。従って、絶縁性基板64としては、半導体基板、石英基板、及びガラス基板等の耐熱性の高い基板に限定されず、合成樹脂製の可撓性基板、アラミド、バイオナノファイバを用いることもできる。具体的には、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン、ポリアリレート、ポリイミド、ポリシクロオレフィン、ノルボルネン樹脂、ポリ(クロロトリフルオロエチレン)等の可撓性基板を用いることができる。このような合成樹脂製の可撓性基板を用いれば、軽量化を図ることもでき、例えば持ち運び等に有利となる。なお、絶縁性基板64には、絶縁性を確保するための絶縁層、水分や酸素の透過を防止するためのガスバリア層、平坦性あるいは電極等との密着性を向上するためのアンダーコート層等を設けてもよい。
【0063】
なお、アラミドは200度以上の高温プロセスを適用できるため、透明電極材料を高温硬化させて低抵抗化でき、また、ハンダのリフロー工程を含むドライバICの自動実装にも対応できる。また、アラミドはITO(indium tin oxide)やガラス基板と熱膨張係数が近いため、製造後の反りが少なく、割れにくい。また、アラミドは、ガラス基板等と比べて基板を薄型化できる。なお、超薄型ガラス基板とアラミドを積層して絶縁性基板64を形成してもよい。
【0064】
また、バイオナノファイバは、バクテリア(酢酸菌、Acetobacter Xylinum)が産出するセルロースミクロフィブリル束(バクテリアセルロース)と透明樹脂とを複合したものである。セルロースミクロフィブリル束は、幅50nmと可視光波長に対して1/10のサイズで、かつ、高強度、高弾性、低熱膨である。バクテリアセルロースにアクリル樹脂、エポキシ樹脂等の透明樹脂を含浸・硬化させることで、繊維を60〜70%も含有しながら、波長500nmで約90%の光透過率を示すバイオナノファイバが得られる。バイオナノファイバは、シリコン結晶に匹敵する低い熱膨張係数(3−7ppm)を有し、鋼鉄並の強度(460MPa)、高弾性(30GPa)で、かつフレキシブルであることから、ガラス基板等と比べて絶縁性基板64を薄型化できる。
【0065】
絶縁性基板64としてガラス基板を用いた場合、放射線検出部(TFT基板)42全体としての厚みは、例えば0.7mm程度になるが、本実施形態では電子カセッテ10の薄型化を考慮し、絶縁性基板64として、光透過性を有する合成樹脂から成る薄型の基板を用いている。これにより、放射線検出部(TFT基板)42全体としての厚みを、例えば0.1mm程度に薄型化できると共に、放射線検出部(TFT基板)42に可撓性をもたせることができる。また、放射線検出部(TFT基板)42に可撓性をもたせることで、電子カセッテ10の耐衝撃性が向上し、電子カセッテ10に衝撃が加わった場合にも破損し難くなる。また、プラスチック樹脂や、アラミド、バイオナノファイバ等は何れも放射線の吸収が少なく、絶縁性基板64をこれらの材料で形成した場合、絶縁性基板64による放射線の吸収量も少なくなるため、表面読取方式(ISS)により放射線検出部42を放射線が透過する構成であっても、放射線に対する感度の低下を抑えることができる。上記のように可撓性を有する絶縁性基板64は請求項7に記載の第2の支持体の一例である。
【0066】
なお、電子カセッテ10の絶縁性基板64として合成樹脂製の基板を用いることは必須ではなく、電子カセッテ10の厚さは増大するものの、ガラス基板等の他の材料から成る基板を絶縁性基板64として用いるようにしてもよい。
【0067】
また、図5に示すように、放射線検出部(TFT基板)42には、一定方向(行方向)に沿って延設され個々のTFT70をオンオフさせるための複数本のゲート配線76と、前記一定方向と交差する方向(列方向)に沿って延設され、蓄積容量68(及び光電変換部72の下部電極72Aと上部電極72Bの間)に蓄積された電荷をオン状態のTFT70を介して読み出すための複数本のデータ配線78が設けられている。また図4に示すように、放射線検出部(TFT基板)42のうち、放射線の到来方向と反対側の端部には、TFT基板上を平坦にするための平坦化層67が形成されている。また、放射線検出部(TFT基板)42と天板16との間には接着層66が設けられており、放射線検出部(TFT基板)42は接着層66によって天板16に貼り付けられている。
【0068】
放射線検出部42の個々のゲート配線76はゲート線ドライバ81に接続されており、個々のデータ配線78は信号処理部83に接続されている。被撮影者の体を透過した放射線(被撮影者の体の画像情報を担持した放射線)が電子カセッテ10に照射されると、シンチレータ34のうち照射面12上の各位置に対応する部分からは、前記各位置における放射線の照射量に応じた光量の光が放出され、個々の画素部74の光電変換部72では、シンチレータ34のうちの対応する部分から放出された光の光量に応じた大きさの電荷が発生され、この電荷が個々の画素部74の蓄積容量68(及び光電変換部72の下部電極72Aと上部電極72Bの間)に蓄積される。
【0069】
上記のようにして個々の画素部74の蓄積容量68に電荷が蓄積されると、個々の画素部74のTFT70は、ゲート線ドライバ81からゲート配線76を介して供給される信号により行単位で順にオンされ、TFT70がオンされた画素部74の蓄積容量68に蓄積されている電荷は、アナログの電気信号としてデータ配線78を伝送されて信号処理部83に入力される。従って、個々の画素部74の蓄積容量68に蓄積された電荷は行単位で順に読み出される。
【0070】
信号処理部83は、個々のデータ配線78毎に設けられた増幅器及びサンプルホールド回路を備えており、個々のデータ配線78を伝送された電気信号は増幅器で増幅された後にサンプルホールド回路に保持される。また、サンプルホールド回路の出力側にはマルチプレクサ、A/D(アナログ/デジタル)変換器が順に接続されており、個々のサンプルホールド回路に保持された電気信号はマルチプレクサに順に(シリアルに)入力され、A/D変換器によってデジタルの画像データへ変換される。
【0071】
信号処理部83には画像メモリ90が接続されており、信号処理部83のA/D変換器から出力された画像データは画像メモリ90に順に記憶される。画像メモリ90は複数フレーム分の画像データを記憶可能な記憶容量を有しており、放射線画像の撮影が行われる毎に、撮影によって得られた画像データが画像メモリ90に順次記憶される。
【0072】
画像メモリ90は電子カセッテ10全体の動作を制御するカセッテ制御部92と接続されている。カセッテ制御部92はマイクロコンピュータを含んで構成されており、CPU92A、ROM及びRAMを含むメモリ92B、HDD(Hard Disk Drive)やフラッシュメモリ等から成る不揮発性の記憶部92Cを備えている。
【0073】
また、カセッテ制御部92には無線通信部94が接続されている。無線通信部94は、IEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers)802.11a/b/g/n等に代表される無線LAN(Local Area Network)規格に対応しており、無線通信による外部機器との間での各種情報の伝送を制御する。カセッテ制御部92は、無線通信部94を介してコンソール80(図6参照)と無線通信が可能とされており、コンソール80との間で各種情報の送受信が可能とされている。
【0074】
また、電子カセッテ10には電源部96が設けられており、上述した各種電子回路(ゲート線ドライバ81や信号処理部83、画像メモリ90、無線通信部94、カセッテ制御部92等)は電源部96と各々接続され(図示省略)、電源部96から供給された電力によって作動する。電源部96は、電子カセッテ10の可搬性を損なわないように、前述のバッテリ(二次電池)を内蔵しており、充電されたバッテリから各種電子回路へ電力を供給する。
【0075】
図6に示すように、コンソール80はコンピュータから成り、装置全体の動作を司るCPU104、制御プログラムを含む各種プログラム等が予め記憶されたROM106、各種データを一時的に記憶するRAM108、及び、各種データを記憶するHDD110を備え、これらはバスを介して互いに接続されている。またバスには、通信I/F部116及び無線通信部118が接続され、ディスプレイ100がディスプレイドライバ112を介して接続され、更に、操作パネル102が操作入力検出部114を介して接続されている。
【0076】
通信I/F部116は接続端子80A、通信ケーブル82及び放射線発生装置84の接続端子84Aを介して放射線発生装置84と接続されている。コンソール80(のCPU104)は、放射線発生装置84との間での曝射条件等の各種情報の送受信を通信I/F部132経由で行う。無線通信部118は電子カセッテ10の無線通信部94と無線通信を行う機能を備えており、コンソール80(のCPU104)は電子カセッテ10との間の画像データ等の各種情報の送受信を無線通信部118経由で行う。また、ディスプレイドライバ112はディスプレイ100への各種情報を表示させるための信号を生成・出力し、コンソール80(のCPU104)はディスプレイドライバ112を介して操作メニューや撮影された放射線画像等をディスプレイ100に表示させる。また、操作パネル102は複数のキーを含んで構成され、各種の情報や操作指示が入力される。操作入力検出部114は操作パネル102に対する操作を検出し、検出結果をCPU104へ通知する。
【0077】
また、放射線発生装置84は、放射線源130と、コンソール80との間で曝射条件等の各種情報の送受信を行う通信I/F部132と、コンソール80から受信した曝射条件(この曝射条件には管電圧、管電流の情報が含まれている)に基づいて放射線源130を制御する線源制御部134と、を備えている。
【0078】
次に本実施形態の作用を説明する。本実施形態に係る電子カセッテ10は放射線検出部(TFT基板)42とシンチレータ34が貼り合わされておらず、周縁部のみが全周に亘って柔軟性を有する固定剤22によって固定されている。このため、放射線検出部42の絶縁性基板64を構成する材料とシンチレータ34の蒸着基板20を構成する材料の熱膨張率が著しく相違していたとしても、温度変化に伴って何れかの基板に反り等の変形が生じることが防止される。
【0079】
また、電子カセッテ10を使用して放射線画像の撮影を行う場合、撮影者(例えば放射線技師等)は、被撮影者の体のうちの撮影対象部位と基台との間に、照射面12側を上方へ向けた電子カセッテ10を挿入し、向きや位置等を調整する準備作業を行う。ここで、被撮影者の体と基台との間に電子カセッテ10が挿入されると、被撮影者の体の重みが電子カセッテ10の天板16のうちの主に中央部に荷重として加わり、この荷重は天板16から放射線検出部42を介してシンチレータ34及び蒸着基板20に伝達される。
【0080】
これにより、例として図2(B)にも示すように、放射線の到来側へ凸となるように湾曲されている天板16、放射線検出部42、シンチレータ34及び蒸着基板20は、主に中央部に加わる荷重によって湾曲度合いが小さくなる方向へ弾性変形し、荷重が加わっている間(すなわち放射線画像の撮影を行っている間)、およそ平らな状態で維持される。そして、シンチレータ34の柱状結晶34Aは、シンチレータ34及び蒸着基板20がおよそ平らになったことに伴い、例として図7(B)に示すように、柱状結晶34Aの先端部付近における隣り合う柱状結晶34Aの平均間隔が小さくなる。
【0081】
但し、シンチレータ34は、荷重が加わっていない状態では、柱状結晶34Aの先端部付近における隣り合う柱状結晶34Aの平均間隔が、柱状結晶34Aの基部付近における隣り合う柱状結晶34Aの平均間隔よりも大きくされているので、上記のように、荷重が加わることで、柱状結晶34Aの先端部付近における隣り合う柱状結晶34Aの平均間隔が小さくなったとしても、隣り合う柱状結晶34Aの先端部同士が接触することは防止される。従って、天板16に荷重が加わった場合にも、隣り合う柱状結晶34Aの先端部同士が接触することで、撮影される放射線画像の鮮鋭度が低下することが防止される。
【0082】
一方、撮影者は、準備作業が完了すると、操作パネル102を操作して撮影開始を指示する。これにより、コンソール80では、曝射開始を指示する指示信号を放射線発生装置84へ送信し、放射線発生装置84は放射線源130から放射線を射出させる。放射線源130から射出された放射線は被撮影者の体を透過して電子カセッテ10の照射面12に照射され、天板16及び放射線検出部42を透過してシンチレータ34の照射/光射出面に照射される。シンチレータ34は照射/光射出面に照射された放射線を吸収し、吸収した放射線量に応じた光量の光を射出する。シンチレータ34から射出された光は放射線検出部42の受光面に照射され、放射線検出部42は受光面に照射された光を画像として検出する。そして、放射線検出部42による検出結果は画像信号として読み出され、画像データへ変換されてコンソール80へ送信される。これにより、放射線画像の撮影が成される。
【0083】
また、放射線画像の撮影が終了すると、電子カセッテ10の天板16に加わっていた荷重が除かれる。これにより、天板16、放射線検出部42、シンチレータ34及び蒸着基板20は、放射線の到来側へ凸となるように湾曲している状態へ復元することになる。なお、上記のように放射線の到来側へ凸となるように湾曲している状態への復元を補助するために、蒸着基板20と基台24の天板との間にスポンジ(これに代えてばねでもよい)等の弾性部材を予め設けておくようにしてもよい。このような弾性部材を設けた場合、弾性部材の弾性力が放射線検出部42、シンチレータ34及び蒸着基板20を天板16に接近する方向へ押圧する押圧力として作用するので、天板16への放射線検出部42の貼り付けについても、放射線検出部42の周縁部を天板16へ貼り付けるだけで放射線検出部42の位置を十分に保持できる。これにより、部品交換等を目的として放射線検出部42を天板16から剥離する際の作業性も向上する。
【0084】
次に本発明の他の態様を説明する。上記では電子カセッテ10の天板16を、照射面12側が凸となるようにシンチレータ34及び蒸着基板20と同程度の曲率で湾曲させると共に、放射線検出部42を全面に亘って天板16の内面に接着等によって貼り付けた態様(図2参照)を説明したが、これに限られるものではなく、例として図8(A)に示すように天板16を湾曲させず、荷重が加わっていない定常状態では天板16が平らになるように構成すると共に、放射線検出部42は照射面12の中央部付近に相当する領域でのみ天板16の内面に貼り付けられた構成としてもよい。この態様では、放射線画像の撮影時に被撮影者の体の重みが電子カセッテ10の天板16のうちの主に中央部に荷重として加わると、図8(B)に示すように、天板16は筐体14の内側へ凸となるように弾性変形する一方、放射線検出部42、シンチレータ34及び蒸着基板20は、およそ平らとなるように弾性変形することになる。図8に示した態様も本発明の権利範囲に含まれる。
【0085】
また、上記ではシンチレータ34の柱状結晶34Aの平均径が柱状結晶34Aの長手方向に沿っておよそ均一とされた態様(図3参照)を説明したが、これに限られるものではない。例として図9に示すシンチレータ150は、柱状結晶150Aの先端部付近をテーパ状に細くすることで、柱状結晶150Aの先端部付近における柱状結晶150Aの平均径を、柱状結晶150Aの基部付近における柱状結晶150Aの平均径よりも小さくしている。シンチレータの柱状結晶は上記のような構成としてもよい。シンチレータの柱状結晶は上記のような構成とした場合、シンチレータを放射線入射/光射出面側が凸となるように変形しなくても、柱状結晶の先端部付近における隣り合う柱状結晶の平均間隔が、柱状結晶の基部付近における隣り合う柱状結晶の平均間隔よりも大きくなるので、シンチレータを放射線入射/光射出面側が凸となるように変形しなくてもよい。図9に示す態様は請求項11記載の発明の一例である。
【0086】
また、上記ではシンチレータ34から射出された光を単一の光検出部(放射線検出部42)で検出する態様を説明したが、これに限られるものではない。例として図10には、放射線検出部42に加えて、シンチレータ34から射出された光を検出する光検出部としての放射線検出部200が、放射線検出部42と天板16との間に設けられた構成を示している。放射線検出部200は、配線がパターニングされた配線層202、絶縁層204が順に形成され、その上層に、シンチレータ34から射出され放射線検出部42を透過した光を検出するセンサ部206が複数形成され、更に当該センサ部206の上層に放射線検出部200の保護を兼ねた接着層66が形成されて構成されている。なお、放射線検出部200の厚みは例えば0.05mm程度である。
【0087】
センサ部206は、上部電極210A及び下部電極210Bを備え、上部電極210Aと下部電極210Bとの間に、シンチレータ34からの光を吸収して電荷を発生する光電変換膜210Cが配置されて構成されている。センサ部206(光電変換膜210C)としては、アモルファスシリコンを用いたPIN型、MIS型フォトダイオードを適用することも可能であるが、本実施形態では、光電変換部72の光電変換膜72Cと同様に、光電変換膜210Cを有機光電変換材料で構成している。これにより、インクジェットヘッド等の液滴吐出ヘッドを用いて有機光電変換材料を被形成体上に付着させることで光電変換膜210Cを形成させることが可能となり、絶縁性基板64として、光透過性を有する合成樹脂製で薄型の基板を用いることが可能となる。
【0088】
センサ部206による放射線量の検出結果は、電極210A,210Bと接続された図示しない信号処理部を介して読み出され、例えば電子カセッテ10への放射線の照射開始/終了タイミングの検知や、電子カセッテ10への放射線照射量の積算値の検知等に用いられる。なお、放射線画像の検出(撮影)は放射線検出部42によって行われるので、放射線検出部200のセンサ部206は、放射線検出部42の画素部74よりも配置ピッチが大きく(配置密度が低く)されており、単一のセンサ部206の受光領域は、放射線検出部42の画素部74の数個〜数百個分のサイズでよい。
【0089】
その他、上記の実施形態で説明した本発明に係る放射線検出パネルとしての電子カセッテ10の構成は一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲内において適宜変更可能であることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0090】
10 電子カセッテ
14 筐体
16 天板
20 蒸着基板
34 シンチレータ
34A 柱状結晶
42 放射線検出部
150 シンチレータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
柱状結晶が複数立設された光射出側が、およそ箱形の筐体のうちの天板の内面と対向する向きで前記筐体内に配置され、照射された放射線を吸収して前記光射出側から光を射出するシンチレータと、
前記天板の内面と前記シンチレータの前記光射出側とに挟まれた状態で前記筐体内に配置され、前記シンチレータの前記光射出側から射出された光を検出すると共に、前記天板に加わった荷重を前記シンチレータへ伝達する光検出部と、
を含み、
前記シンチレータは、前記柱状結晶の先端部付近における隣り合う前記柱状結晶の平均間隔が、前記柱状結晶の基部付近における隣り合う前記柱状結晶の平均間隔よりも大きくされた放射線検出パネル。
【請求項2】
前記光検出部は前記天板の内面に貼り付けられており、前記光検出部と前記シンチレータの前記光射出側との間は貼り合わせされることなく当接されている請求項1記載の放射線検出パネル。
【請求項3】
前記シンチレータは、平板状で、上面及び底面の一方が光射出面とされ、前記光射出面側が凸となるように変形されることで、前記柱状結晶の先端部付近における隣り合う前記柱状結晶の平均間隔が、前記柱状結晶の基部付近における隣り合う前記柱状結晶の平均間隔よりも大きくされている請求項1又は請求項2記載の放射線検出パネル。
【請求項4】
前記シンチレータは、前記柱状結晶の平均径が前記柱状結晶の長手方向に沿っておよそ均一とされている請求項1〜請求項3の何れか1項記載の放射線検出パネル。
【請求項5】
前記シンチレータは、前記上面及び前記底面のうち光射出面と反対側の面が平板状の第1の支持体に接するように前記第1の支持体上に形成され、前記第1の支持体が湾曲されることで前記変形が生じている請求項3記載の放射線検出パネル。
【請求項6】
前記第1の支持体は、温度に応じて形状が変化する特性を有し、前記第1の支持体上に前記シンチレータが形成される際の温度域ではほぼ平板状で、前記放射線検出パネルで放射線検出が行われる際の温度域では前記湾曲が生ずる構成である請求項5記載の放射線検出パネル。
【請求項7】
前記光検出部が形成された平板状の第2の支持体が可撓性を有している請求項1〜請求項6の何れか1項記載の放射線検出パネル。
【請求項8】
前記光検出部を構成する光電変換部が有機光電変換材料を含む材料から成り、前記光検出部を構成するスイッチング素子の活性層が有機半導体材料を含む材料から成る請求項7記載の放射線検出パネル。
【請求項9】
前記シンチレータ及び前記光検出部は各々平板状とされ、前記天板におよそ平行な方向への相対移動が阻止されるように各々の周縁部が固定されており、前記シンチレータ及び前記光検出部のうちの前記周縁部以外の領域は貼り合わせされることなく当接されている請求項2記載の放射線検出パネル。
【請求項10】
前記放射線検出パネルには前記筐体の前記天板側から放射線が入射され、前記天板側から入射された放射線は前記光検出部を透過して前記シンチレータに照射される請求項1〜請求項9の何れか1項記載の放射線検出パネル。
【請求項11】
前記シンチレータは、前記柱状結晶の先端部付近における前記柱状結晶の平均径が、前記柱状結晶の基部付近における前記柱状結晶の平均径よりも小さくされていることで、前記柱状結晶の先端部付近における隣り合う前記柱状結晶の平均間隔が、前記柱状結晶の基部付近における隣り合う前記柱状結晶の平均間隔よりも大きくされている請求項1〜請求項3、請求項5〜請求項10の何れか1項記載の放射線検出パネル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−93188(P2012−93188A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−239996(P2010−239996)
【出願日】平成22年10月26日(2010.10.26)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】