説明

放射線検出装置及び放射線撮影システム

【課題】待機時において間欠的に電力を供給することによって、待機状態からの復帰の容易性を確保しながら放射線検出装置を長持ちさせること。
【解決手段】放射線を検出し、該検出した放射線を電荷に変換し、該変換した電荷から放射線画像データを出力する放射線検出器(60)と、外部との通信を行う通信部(94)と、制御部(92、96B)と、前記放射線検出器、前記通信部及び前記制御部に電力を供給するバッテリー(96)を備え、前記制御部は、その待機時において前記バッテリーからの電力が間欠的に前記通信部に供給されるように制御する放射線検出装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射線検出装置及び放射線撮影システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、TFT(Thin Film Transistor)アクティブマトリクス基板上に放射線感応層を配置し、放射線を直接デジタルデータに変換できるFPD(Flat Panel Detector)等の放射線検出器が実用化されており、この放射線検出器を筐体に収容し、照射された放射線により表わされる放射線画像を撮影する可搬型の放射線検出装置(以下、「電子カセッテ」ともいう。)が実用化されている。
【0003】
この電子カセッテは、可搬性を有するため、ストレッチャーやベッドに載せたまま患者(被検者)を撮影することもでき、電子カセッテの位置を変更することにより撮影箇所を調整することができるため、動けない患者に対しても柔軟に対処することができる。
【0004】
また、この電子カセッテは、無線通信部を設け、無線(無線通信のこと)を介してコンソール等の外部機器と通信するように構成されている。更に、この電子カセッテは、充電可能なバッテリーを有しており、常に電源に接続されていなくても、放射線画像を撮影できるように構成されている。これらにより、電子カセッテの可搬性が向上している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−142094
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
電子カセッテをバッテリーに充電されている電力を使って駆動制御すると、当然ながらこのバッテリーの充電切れの問題が生じる。電子カセッテを使用していない時に、バッテリーの充電が切れてしまった場合には、バッテリーを充電すればよい。しかし、患者の放射線画像を撮影している最中にバッテリーの充電が切れてしまった場合、再度患者に対して放射線の曝射が必要となってしまう。バッテリーの充電切れを防ぐために、バッテリーの充電を頻繁に行えばよいものの、医療現場において電子カセッテのバッテリーを充電するのは、1日につき1回程度であるという現状もある。
【0007】
上述の特許文献1では、電子カセッテのバッテリーを長持ちさせるため、電子カセッテの消費電力を節約するモードとして、スリープモードを開示している。このスリープモードでは、コンソールから指示によって復帰できるような必要な機能のみ残して、電子カセッテの無線通信部の送信機能全体やメモリへの電力供給を停止することを開示している。
【0008】
しかし、上記の特許文献1のスリープモードであっても、依然として電子カセッテの無線通信部の受信機能に電力供給が行われており、電子カセッテのバッテリーの電力が消費されている。
【0009】
この受信機能の電力消費を抑えるために、物理的に電子カセッテに設けられたスイッチをオフにすることによって、電子カセッテの電源を切ることもできる。しかし、頻繁に電子カセッテによって放射線画像を撮影する場合、その都度電子カセッテの電源を入切するのは非効率である。
【0010】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、待機時において間欠的に電力を供給することによって、待機状態からの復帰の容易性を確保しながら放射線画像検出装置を長持ちさせることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
放射線を検出し、該検出した放射線を電荷に変換し、該変換した電荷から放射線画像データを出力する放射線検出器と、外部との通信を行う通信部と、制御部と、前記放射線検出器、前記通信部及び前記制御部に電力を供給するバッテリーを備え、前記制御部は、その待機時において前記バッテリーからの電力が間欠的に前記通信部に供給されるように制御する放射線検出装置。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、待機時において間欠的に電力を供給することによって、待機状態からの復帰の容易性を確保しながら放射線画像検出装置を長持ちさせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施形態を説明するための放射線撮影システムが設置された放射線撮影室を示す模式図である。
【図2】本発明の実施形態を説明するための放射線画像検出装置の一例を示す模式図である。
【図3】本発明の実施形態を説明するための放射線撮影システムの一例を示すブロック図である。
【図4】図2の放射線画像検出装置において、バッテリーが間欠的に電力を供給する様子を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1は、本発明の実施形態を説明するための放射線撮影システムが設置された放射線撮影室を示す模式図である。
【0015】
放射線撮影室44には、立位での放射線撮影を行う際に電子カセッテ32を保持するためのラック45と、臥位での放射線撮影を行う際に患者が横臥するためのベッド46が設置されている。ラック45の前方空間は立位での放射線撮影を行う際の患者の撮影位置48であり、ベッド46の上方空間は臥位での放射線撮影を行う際の患者の撮影位置50である。
【0016】
放射線撮影室44には、単一の放射線源130からの放射線によって立位での放射線撮影も臥位での放射線撮影も可能とするために、放射線源130を、水平な軸回り(図1の矢印A方向)に回動可能で、鉛直方向(図1の矢印B方向)に移動可能で、かつ水平方向(図1の矢印C方向)に移動可能に支持する支持移動機構52が設けられている。支持移動機構52は、放射線源130を水平な軸回りに回動させる駆動源と、放射線源130を鉛直方向に移動させる駆動源と、放射線源130を水平方向に移動させる駆動源を各々備えている(何れも図示省略)。
【0017】
電子カセッテ32は、撮影姿勢が立位であればラック45に保持される位置49へ移動・位置決めされ、撮影姿勢が臥位であればベッド46上の位置51へ移動・位置決めされる。
【0018】
また、電子カセッテ32は後述するように充電可能なように構成されている。電子カセッテ32を使用しない時には、クレードル(図示省略)で充電がされるが、頻繁に使用する時には、充電されることなく、位置49又は位置51に置かれたままになる。
【0019】
なお、電子カセッテ32は、放射線撮影室44で使用される場合に限られるものではなく、例えば、検診や病院内での回診にも適用することができる。
【0020】
図2は、本発明の実施形態を説明するための放射線画像検出装置の一例を示す模式図である。
【0021】
放射線画像検出装置の一例である電子カセッテ32は、放射線を透過させる材料からなる筐体56と、筐体56の放射線が照射される側から、患者による放射線の散乱線を除去するグリッド58と、患者を透過した放射線を電荷に変換する放射線検出器60と、放射線のバック散乱線を吸収する鉛板62を備える。なお、筐体56の照射面をグリッド58としてもよい。
【0022】
また、電子カセッテ32は、筐体56の内部において、電子カセッテ32の電源である充電可能なバッテリー96と、バッテリー96から供給される電力によって電子カセッテ32全体の動作を制御するカセッテ制御部92と、電子カセッテ32おいて変換された患者の放射線画像データをコンソール42に送信する無線通信部94を備える。
【0023】
図3は、本発明の実施形態を説明するための放射線撮影システムの一例を示すブロック図である。
【0024】
放射線撮影システム30は、X線を患者に向けて照射する放射線発生装置34と、放射線発生装置34から照射されたX線を検出し、検出したX線を電荷に変換し、変換した電荷から放射線画像データを出力する電子カセッテ32と、放射線発生装置34と電子カセッテ32と通信を行い、放射線撮影システム30の全体を制御するコンソール42とを、備える。ここで、放射線発生装置34には、通信を行うための接続端子34Aが設けられている。コンソール42には、放射線発生装置34と通信を行うための接続端子42Aが設けられている。放射線発生装置34は通信ケーブル35を介してコンソール42に接続されており、通信ケーブル35を介して有線通信を行い、各種情報の送受信を行う。一方、電子カセッテ32とコンソール42は無線通信部118と無線通信部94を介して無線通信を行い、各種情報の送受信を行う。
【0025】
電子カセッテ32に内蔵された放射線検出器60は、TFTアクティブマトリクス基板66上に、X線を吸収し、電荷に変換する光電変換層が積層されて構成されている。光電変換層は例えばセレンを主成分(例えば含有率50%以上)とする非晶質のa−Se(アモルファスセレン)から成り、X線が照射されると、照射された放射線量に応じた電荷量の電荷(電子−正孔の対)を内部で発生することで、照射されたX線を電荷へ変換する。なお、放射線検出器60は、アモルファスセレンのようなX線を直接的に電荷に変換する代わりに、テルビウム賦活酸化ガドリニウム(GdS:Tb)やタリウム賦活ヨウ化セシウム(CsI:Tl)等からなるシンチレータ(図示せず)と光電変換素子(フォトダイオード)を用いてX線を間接的に電荷に変換してもよい。この場合、シンチレータによってX線を一旦可視光に変換し、光電変換素子のフォトダイオードによって可視光を電荷に変換する。
【0026】
また、TFTアクティブマトリクス基板66上には、光電変換層で発生された電荷を蓄積する蓄積容量68と、蓄積容量68に蓄積された電荷を読み出すためのTFT70を備えた画素部74(図3では個々の画素部74に対応する光電変換層を光電変換部72として模式的に示している)がマトリクス状に多数個配置されており、電子カセッテ32へのX線の照射に伴って光電変換層で発生された電荷は、個々の画素部74の蓄積容量68に蓄積される。これにより、電子カセッテ32に照射されたX線に担持されていた画像情報は電荷情報へと変換されて放射線検出器60に保持される。
【0027】
また、個々の画素部74において、TFT70のソースは、データ配線78に接続されており、データ配線78は、信号処理部82に接続されている。TFT70のドレインは蓄積要領68及び光電変換部72に接続されている。そして、TFT70のゲートはゲート配線76に接続されている。このゲート配線76は、ゲート線ドライバ80に接続されている。
【0028】
なお、放射線画像検出器の一例としてTFTパネルをベースとしたFPDを用いているが、これに限られず、CCDセンサやCMOSセンサ等の固体撮像素子をベースとした各種の放射線画像検出器を用いることも可能である。
【0029】
信号処理部82は、後述するカセッテ制御部92からの制御によって動作し、各画素部74の蓄積容量68に蓄積された電荷量を行単位で検出してデジタルの画像情報を出力する。
【0030】
信号処理部82には画像メモリ90が接続されている。信号処理部82から出力された画像情報や誤差情報は画像メモリ90に順に記憶される。画像メモリ90は放射線画像を示す画像情報(放射線画像データ)を所定枚数分記憶可能な記憶容量を有しており、1ラインずつ電荷の読み出しが行われる毎に、読み出された1ライン分の画像情報が画像メモリ90に順次記憶される。
【0031】
画像メモリ90は、電子カセッテ32全体の動作を制御するカセッテ制御部92と接続されている。カセッテ制御部92はマイクロコンピュータによって実現されており、CPU92A、ROM及びRAMを含むメモリ92B、HDDやフラッシュメモリ等から成る不揮発性の記憶部92Cを備えている。
【0032】
このカセッテ制御部92には無線通信部94が接続されている。無線通信部94は、IEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers)802.11a/b/g/n等に代表される無線LAN(Local Area Network)規格に対応しており、無線通信により、外部機器との間で通信を行う。カセッテ制御部92は、無線通信部94を介してコンソール42と無線通信が可能とされており、コンソール42との間で各種情報の送受信が可能とされている。
【0033】
また、このカセッテ制御部92にはバッテリー96が接続されている。上述した各種回路や各素子(ゲート線ドライバ80、信号処理部82、画像メモリ90、無線通信部94やカセッテ制御部92として機能するマイクロコンピュータ)は、バッテリー96から供給された電力によって作動する。更に、バッテリー96は、充電可能な二次電池96Aと、二次電池96Aによる電力供給を後述する動作モードに応じて制御するバッテリー制御部96Bを備えている。なお、図3では、電源部96と各種回路や各素子を接続する配線を省略している。
【0034】
更に、バッテリー制御部96Bは、バッテリ−96が後述する通常電力モードと低電力モードのいずれの動作モードであるかを示すモードレジスタと、低電力モードにおける供給時間Mと停止時間Nを示す電力制御レジスタを有している。
【0035】
コンソール42は、サーバ・コンピュータとして構成されている。コンソール42は、操作メニューや撮影された放射線画像データ等を表示するディスプレイ100と、複数のキーを含んで構成され、各種の情報や操作指示が入力される操作パネル102と、を備えている。
【0036】
また、コンソール42は、装置全体の動作を司るCPU104と、制御プログラムを含む各種プログラム等が予め記憶されたROM106と、各種データを一時的に記憶するRAM108と、各種データを記憶して保持するHDD110と、ディスプレイ100への各種情報の表示を制御するディスプレイドライバ112と、操作パネル102に対する操作状態を検出する操作入力検出部114と、接続端子42Aに接続され、接続端子42A及び通信ケーブル35を介して放射線発生装置34との間で曝射条件や姿勢情報、放射線発生装置34の状態情報等の各種情報の送受信を行う通信インタフェース(I/F)部116と、電子カセッテ32との間で無線通信により曝射条件や放射線画像データ等の各種情報の送受信を行う無線通信部118と、を備えている。
【0037】
CPU104、ROM106、RAM108、HDD110、ディスプレイドライバ112、操作入力検出部114、通信I/F部116、及び無線通信部118は、システムバスBUSを介して相互に接続されている。従って、CPU104は、ROM106、RAM108、HDD110へのアクセスを行うことができると共に、ディスプレイドライバ112を介したディスプレイ100への各種情報の表示の制御、通信I/F部116を介した放射線発生装置34との各種情報の送受信の制御、及び無線通信部118を介した電子カセッテ32との各種情報の送受信の制御、を行うことができる。また、CPU104は、操作入力検出部114を介して操作パネル102に対するユーザの操作状態を把握することができる。
【0038】
放射線発生装置34は、放射線Xを出力する放射線源130と、コンソール42との間で曝射条件情報や姿勢情報、放射線発生装置34の状態情報等の各種情報を送受信する通信I/F部132と、受信した曝射条件情報に基づいて放射線源130を制御する線源制御部134と、支持移動機構52に備えられた各駆動源への電力供給を制御することにより支持移動機構52の動作を制御する線源駆動制御部136と、を備えている。
【0039】
線源制御部134もマイクロコンピュータによって実現されており、受信した曝射条件情報や姿勢情報を記憶する。このコンソール42から受信する曝射条件情報には管電圧、管電流、照射時間等の情報が含まれており、姿勢情報には撮影姿勢が立位か臥位かを表す情報が含まれている。線源制御部134は、受信した姿勢情報で指定された撮影姿勢が立位であれば、線源駆動制御部136を介して放射線源130が立位撮影用の位置53A(図2参照、射出した放射線が撮影位置48に位置している患者に側方から照射される位置)に位置するように支持移動機構52を制御し、受信した姿勢情報で指定された撮影姿勢が臥位であれば、線源駆動制御部136を介して放射線源130が臥位撮影用の位置53B(図2参照、射出した放射線が撮影位置50に位置している患者に上方から照射される位置)に位置するように支持移動機構52を制御し、受信した曝射条件情報に基づいて放射線源130からX線を照射させる。
【0040】
次に、電子カセッテ32のバッテリー96の2つの動作モードについて、説明する。
【0041】
バッテリー96は、患者の放射線画像の撮影が行われる時に設定される通常電力モードと、患者の放射線画像の撮影が行われない、電子カセッテ32の待機時に設定される低電力モードとを有する。
【0042】
通常電力モードでは、バッテリー制御部96Bの制御に基づいて、少なくともカセッテ制御部92に対して常に電力を供給する。低電力モードでは、バッテリー制御部96Bの制御に基づいて、カセッテ制御部92を含めた電子カセッテ32全体に対する二次電池96Aからの電力供給を間欠的に行う(図4参照)。
【0043】
通常、バッテリー96は、低電力モードに設定されている。これはバッテリーを長持ちさせるためである。低電力モードから通常電力モードへは、コンソール42から送信される切替信号を電子カセッテ32が無線通信部94を介して受信することによって切り替わる。一方、通常電力モードから低電力モードへは、患者の放射線画像の撮影が終了し、画像メモリ90に記憶された放射線画像データを無線通信部94がコンソール42に送信した後、一定の時間が経過した場合に、自動的に切り替わる。
【0044】
なお、低電力モードにおいて、バッテリー96からの電力供給は、復帰に必要な最低限の機能のみを残しておくことが好ましい。たとえば、二次電池96Aからの電力供給が、カセッテ制御部92及び無線通信部94のみになるようにカセッテ制御部92が制御する。
【0045】
図4は、図2の放射線画像検出装置において、バッテリーが電力を供給する様子を示す図である。
【0046】
図4(a)は、低電力モードにおいて、バッテリー制御部96Bの制御に基づいて、カセッテ制御部92を含めた電子カセッテ32全体に対する二次電池96Aからの電力供給を間欠的に行う様子を示した図である。
【0047】
まず、バッテリー制御部96Bのモードレジスタが低電力モードを示している場合、バッテリー制御部96Bは、二次電池96Aから少なくともカセッテ制御部92と無線通信部94への電力供給を供給時間M(第1の時間)の間行う制御と、二次電池96Aから無線通信部94を含めた電子カセッテ32全体への電力供給を停止時間N(第2の時間)の間停止する制御を繰り返す。すなわち、低電力モードでは、バッテリー96から無線通信部94への電力供給が間欠的に行われる。ここで、供給時間M及び停止時間Nとしては、例えば、それぞれ60秒が設定されている。
【0048】
なお、バッテリー制御部96Bのモードレジスタが通常通常電力モードを示している場合、バッテリー制御部96Bによる制御に基づいて、二次電池96Aから無線通信部94とカセッテ制御部92への電力供給が常に行われる。
【0049】
また、バッテリー制御部96Bの電力制御レジスタの供給時間Mと停止時間Nはカセッテ制御部92により書き換え可能になっている。更に、コンソール42からの無線通信を通じて書き換え可能となっている。
【0050】
図4(b)は、バッテリー96が低電力モードから通常電力モードに切り替わる一例を示した図である。
【0051】
低電力モードにおいて、バッテリー96が停止時間Nの間は、電子カセッテ32全体への電力供給が停止するため、無線通信部94への電力供給も停止している。従って、停止時間Nの間に、低電力モードから通常電力モードへの切替を行うための切替信号をコンソール42が送信しても、無線通信部94がこの切替信号を受信することができない。
【0052】
このため、図4(b)に示すように、切替信号が無線通信部94に受信されるまで、コンソール42はこの切替信号42を送信し続ける。そして、バッテリー96が停止時間Nから供給時間Mに移ると、バッテリー96からカセッテ制御部92への電力供給が復帰し、無線通信部94の機能も復帰する。これにより、コンソール42からの切替信号が無線通信部94を介して受信される。カセッテ制御部92は、この受信した切替信号に基づき、バッテリー制御部96Bのモードレジスタを低電力モードから通常電力モードに書き換える。以後、通常電力モードに切り替えられたバッテリー制御部96Bは、二次電池96Aからカセッテ制御部92への電力供給が常に行われるように制御する。
【0053】
図4(c)は、バッテリー96が低電力モードに切り替わる他の例を示した図である。
【0054】
低電力モードにおいて、バッテリー96が停止時間Nから供給時間Mに遷移した場合、復帰したカセッテ制御部92は無線通信部94を通じて、外部に電子カセッテ32が通信可能であることを示す通信可能信号を外部に発信するように制御する。この通信可能信号を受信したコンソール42は、所定時間内に操作パネル102から患者の放射線画像の撮影指示を受けると切替信号を電子カセッテ32に送信する。これにより、コンソール42からの切替信号が無線通信部94を介して受信される。以下、上述の場合と同様に、カセッテ制御部92は、この受信した切替信号に基づき、バッテリー制御部96Bのモードレジスタを低電力モードから通常電力モードに書き換える。以後、通常電力モードに切り替えられたバッテリー制御部96Bは、二次電池96Aからカセッテ制御部92への電力供給が常に行われるように制御する。
【0055】
なお、図4(c)の場合において、電力制御レジスタの停止時間Nが所定時間よりも短い場合には、カセッテ制御部92は、通信可能信号を外部に発信しないように制御してもよい。このようにすれば、頻繁に通信可能信号を送信するのを防ぎ、かえってバッテリー96の電力を消費してしまうのを防ぐことができる。
【0056】
カセッテ制御部92が、通信可能信号を外部に発信しないように制御している時には、図4(b)に示すように、切替信号が無線通信部94に受信されるまで、コンソール42はこの切替信号42を送信し続けるようにしてもよい。この場合、コンソール42の制御の切替がスムーズに移行するように、カセッテ制御部92が通信可能信号を外部に発信しなくなる上述の所定時間をコンソール42が予め把握しているとよい。
【0057】
以上、本放射線撮影システム10によれば、低電力モードにおいて、バッテリー96から電子カセッテ32全体への電力供給が間欠的に行われるため、低電力モードからの復帰の容易性を確保しながらバッテリー96の長寿命化を図ることができる。また、低電力モードから通常電力モードへの復帰において、一定周期で電子カセッテ32が通信可能な状態になっているため、電子カセッテ32に設けられたスイッチをオンにするなどの操作をすることなく容易に電子カセッテ32を復帰することができる。また、図4(b)や図4(c)のような復帰処理を行うことで、スムーズに通常電力モードへ復帰することができる。また、電力制御レジスタの供給時間Mと停止時間Nを設定可能にすることによって、電子カセッテ32の使用頻度の応じた、最適な電力供給を行うことができる。
【0058】
なお、放射線撮影システム10では、低電力モードにおける停止時間Nの間は、電子カセッテ32全体に対する電力供給が停止されるような、高機能なバッテリー96を用いているが、これに限られるものではない。
【0059】
例えば、バッテリー制御部96Bを有していないような通常のバッテリーであってもよい。この場合、カセッテ制御部92がモードレジスタ及び電力制御レジスタを有する。ここで、カセッテ制御部92には、低電力モードであっても、常にバッテリーからの電力が供給されるようにする。そして、カセッテ制御部92は、モードレジスタが低電力モードとなった時には、バッテリーからの電力が間欠的に無線通信部94に供給されるように制御する。これにより、少なくとも無線通信部94による電力消費を抑えることができる。
【0060】
また、電子カセッテ32のカセッテ制御部92は、コンソール42からの切替信号の受信頻度をログとして記憶部92Cに記憶してもよい。記憶部92Cにログとして記憶される項目としては、少なくとも切替信号の日時を記憶しておけばよい。定期的に、カセッテ制御部92が、このログを集計して、電子カセッテ32の使用頻度を計算する。そして、計算された使用頻度に基づいて、電源制御レジスタの供給時間Mと停止時間Nを設定しなおす。たとえば、電子カセッテ32の使用頻度が低いのであれば、供給時間Mを短くしたり、停止時間Nを長くしたりする。逆に、電子カセッテ32の使用頻度が高いのであれば、供給時間Mを長くしたり、停止時間Nを短くしたりする。
【0061】
このように電子カセッテ32にログ機能を持たせることによって、より使用頻度に合わせて、低電力モードにおけるバッテリー96からの電力供給を最適化することができる。
【0062】
なお、ログの記憶とログの集計・計算機能は、コンソール42が有していてもよい。
【0063】
以上、説明したように、本明細書には、下記に記載する放射線撮影装置及び放射線撮影システムが開示されている。
【0064】
(1)放射線を検出し、該検出した放射線を電荷に変換し、該変換した電荷から放射線画像データを出力する放射線検出器と、外部との通信を行う通信部と、制御部と、前記放射線検出器、前記通信部及び前記制御部に電力を供給するバッテリーを備え、前記制御部は、その待機時において前記バッテリーからの電力が間欠的に前記通信部に供給されるように制御する放射線検出装置。
(2)(1)に記載の放射線検出装置であって、前記制御部は、通常電力モードと低電力モードに切り替える設定が可能であり、前記通常電力モードでは、前記バッテリーが常に前記通信部に電力を供給するモードであり、前記低電力モードは、前記バッテリーがその待機時において間欠的に前記通信部に電力を供給するモードであり、前記制御部が前記低電力モードに設定すると、前記バッテリーからは、第1の時間では前記通信部への電力供給を行い、第2の時間では前記通信部への電力供給の停止し、前記第1の時間と前記第2の時間は交互に繰り返される放射線検出装置。
(3)(2)に記載の放射線検出装置であって、前記低電力モードの第1の時間において、外部から前記低電力モードから前記通常電力モードへの切り替えを行う切替信号を前記通信部が受信したときに、前記制御部は前記低電力モードから前記通常電力モードに設定する放射線検出装置。
(4)(3)に記載の放射線検出装置であって、前記低電力モードにおいて、前記第2の時間から前記第1の時間になったときには、前記通信部は、前記切替信号が受信可能であることを示す通信可能信号を外部に発信する放射線検出装置。
(5)(4)に記載の放射線検出装置であって、前記第2の時間が所定の時間よりも短いときには、前記制御部は、前記通信部に対して前記通信可能信号を外部に発信しないように制御する放射線検出装置。
(6)(2)から(5)のいずれか1つに記載の放射線検出装置であって、前記低電力モードにおける前記第1の時間は前記制御部により設定可能である放射線検出装置。
(7)(2)から(6)のいずれか1つに記載の放射線検出装置であって、前記低電力モードにおける前記第2の時間は前記制御部により設定可能である放射線検出装置。
(8)(6)又は(7)に記載の放射線検出装置であって、前記切替信号の受信記録を記憶する記憶部を更に備え、前記制御部は、この記憶された受信記録に基づいて、前記第1の時間又は前記第2の時間の設定を変更する放射線検出装置。
(9)(2)から(8)のいずれか1つに記載の前記放射線検出装置と、前記放射線検出装置と通信を行うコンソールを備え、前記コンソールは、前記切替信号を前記通信部に送信し、前記通信部が前記切替信号を受信したときに、前記制御部は前記通常電力モードに設定する放射線撮影システム。
(10)(9)に記載の放射線撮影システムであって、前記低電力モードにおいて、前記コンソールは、前記切替信号が前記通信部に受信されるまで、繰り返し前記切替信号を送信する放射線撮影システム。
【符号の説明】
【0065】
32 電子カセッテ
34 放射線発生装置
42 コンソール
60 放射線検出器
92 カセッテ制御部
94 無線通信部
96 バッテリー
96A 二次電池
96B バッテリー制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射線を検出し、該検出した放射線を電荷に変換し、該変換した電荷から放射線画像データを出力する放射線検出器と、
外部との通信を行う通信部と、
制御部と、
前記放射線検出器、前記通信部及び前記制御部に電力を供給するバッテリーを備え、
前記制御部は、その待機時において前記バッテリーからの電力が間欠的に前記通信部に供給されるように制御する放射線検出装置。
【請求項2】
請求項1に記載の放射線検出装置であって、
前記制御部は、通常電力モードと低電力モードに切り替える設定が可能であり、
前記通常電力モードでは、前記バッテリーが常に前記通信部に電力を供給するモードであり、
前記低電力モードは、前記バッテリーがその待機時において間欠的に前記通信部に電力を供給するモードであり、
前記制御部が前記低電力モードに設定すると、前記バッテリーからは、第1の時間では前記通信部への電力供給を行い、第2の時間では前記通信部への電力供給の停止し、
前記第1の時間と前記第2の時間は交互に繰り返される放射線検出装置。
【請求項3】
請求項2に記載の放射線検出装置であって、
前記低電力モードの第1の時間において、外部から前記低電力モードから前記通常電力モードへの切り替えを行う切替信号を前記通信部が受信したときに、前記制御部は前記低電力モードから前記通常電力モードに設定する放射線検出装置。
【請求項4】
請求項3に記載の放射線検出装置であって、
前記低電力モードにおいて、前記第2の時間から前記第1の時間になったときには、前記通信部は、前記切替信号が受信可能であることを示す通信可能信号を外部に発信する放射線検出装置。
【請求項5】
請求項4に記載の放射線検出装置であって、
前記第2の時間が所定の時間よりも短いときには、前記制御部は、前記通信部に対して前記通信可能信号を外部に発信しないように制御する放射線検出装置。
【請求項6】
請求項2から5のいずれか一項に記載の放射線検出装置であって、
前記低電力モードにおける前記第1の時間は前記制御部により設定可能である放射線検出装置。
【請求項7】
請求項2から6のいずれか一項に記載の放射線検出装置であって、
前記低電力モードにおける前記第2の時間は前記制御部により設定可能である放射線検出装置。
【請求項8】
請求項6又は7に記載の放射線検出装置であって、
前記切替信号の受信記録を記憶する記憶部を更に備え、
前記制御部は、この記憶された受信記録に基づいて、前記第1の時間又は前記第2の時間の設定を変更する放射線検出装置。
【請求項9】
請求項2から8のいずれか一項に記載の前記放射線検出装置と、
前記放射線検出装置と通信を行うコンソールを備え、
前記コンソールは、前記切替信号を前記通信部に送信し、
前記通信部が前記切替信号を受信したときに、前記制御部は前記通常電力モードに設定する放射線撮影システム。
【請求項10】
請求項9に記載の放射線撮影システムであって、
前記低電力モードにおいて、前記コンソールは、前記切替信号が前記通信部に受信されるまで、繰り返し前記切替信号を送信する放射線撮影システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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