説明

放射線検査装置

【課題】 被検体に対する熱源の熱放出量を低減し、速やかに被検体を所望の温度に昇温または下降することにある。
【解決手段】 X線発生器5から被検体1に放射線を照射し、当該被検体1から透過してくる放射線をX線検出器6で検出する放射線検査装置であって、被検体1に面接触させて熱を伝達する平板状の熱伝達部33aと、この熱伝達部33a内または熱伝達部33aの面部に密着させた状態で取り付け、当該熱伝達部33aを加熱または冷熱するヒータ31aa,31abと、このヒータ31aa,31abで加熱または冷却された当該熱伝達部33aの温度を検出する温度検出器35とで構成された発熱または冷熱ユニット3Aと、前記ヒータ31aa,31abに通電するヒータ電源32aとを備え、この熱伝達部33aを介して被検体1を加熱または冷却する放射線検査装置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被検体を所定の温度に加熱または冷却した状態で当該被検体の透視画像または断層像を収集し保存する放射線検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
新素材、マイクロデバイス、小型電子部品、複数部材接合部等の被検体を検査する場合、当該被検体を加熱または冷却した後、透過性の放射線を照射し、その透視画像または断層像を取得すれば、被検体の内部状態を含む挙動を把握でき、被検体の内部状態を解析する上で重要な検査となる。
【0003】
従来、被検体を加熱または冷却し、光源を含む放射線等を透過させて検査する検査装置としては、幾つか提案されている。
【0004】
その1つの検査装置は、斜め上方に配置された加熱装置から被検体に対して輻射熱を与える一方、真上の光源から被検体に光線を照射し、その被検体を通過した光線を真下の光線検出器で検出し映像信号に変換してモニタリングする構成である(特許文献1参照)
)。
【0005】
他の検査装置としては、斜め下方に配置される熱光源から被検体に向けて輻射熱を与える一方、被検体の真上から当該被検体に向けてX線発生部からX線を照射し、被検体を透過してくるX線を真下の検出部で検出する構成である(特許文献2参照)。
【0006】
さらに、別の検査装置としては、所要の間隔を隔てて被検体を囲むように第1の熱源及び第2の熱源を配置することによって被検体を加熱するとともに、X線発生部から被検体にX線を照射し、被検体を挟んで反対側のセンシング部でX線の透視画像を検出する構成である(特許文献3参照)。
【0007】
さらに、もう1つの検査装置は、回転体に被検体を載せて回転させるとともに、被検体の上部から接触せずに覆い被せるように筒状をなす均熱部材を非回転状態にて配置し、当該筒状均熱部材の相対する壁部にそれぞれX線の透過窓を設け、回転させつつ被検体の断層像を取得する構成である。この検査装置は、均熱部材をぺルチェ素子で常温から±60℃程度の範囲で加熱または冷却し、均熱部材からの輻射熱にって被検体を加熱または冷却する(特許文献4参照)。
【特許文献1】特開2004−340973号公報(図2参照)
【特許文献2】特開2003−149173号公報(図2参照)
【特許文献3】特開2005−274194号公報(図1参照)
【特許文献4】特開2005−274277号公報(図2参照)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、以上のような特許文献の技術は、何れも被検体が熱源または吸熱源と非接触、かつ、熱源または吸熱源の輻射熱を利用して加熱または冷却する構成であるので、熱源または吸熱源で加熱または冷却して被検体を所定温度まで昇温または下降させる場合、熱伝達速度が遅く、被検体が所望の温度になるまでに長時間かかる問題がある。
【0009】
また、熱源と被検体とが完全に離れた状態となっていることから、大気中への熱放出量が大きくなり、加熱または冷却に要する熱量を大きくしないと、被検体を所望の温度に保持させることが難しい。さらに、加熱または冷却に要する熱量を大きくすると、加熱または冷却機構が大きくなり、検査装置が大型になり易い問題がある。
【0010】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、被検体に対する熱源または吸熱源の熱放出量を低減化し、速やかに被検体を所望の温度に昇温または下降し、小型化に実現可能に寄与する放射線検査装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
(1) 上記課題を解決するために、本発明は、放射線源から被検体に放射線を照射し、当該被検体から透過してくる放射線を放射線検出器で検出する放射線検査装置において、前記被検体に面接触させて熱を伝達する平板状の熱伝達部と、この熱伝達部内または当該熱伝達部の面部に密着させた状態で取り付け、当該熱伝達部を加熱または冷熱する熱発生源と、この熱発生源で加熱または冷却された当該熱伝達部あるいは前記被検体の温度を検出する温度検出手段とで構成した発熱または冷熱ユニットと、前記熱発生源に通電する熱発生源用電源とを備え、前記熱伝達部に面接触する被検体を加熱または冷却する放射線検査装置である。
【0012】
(2) また、本発明は、以上のような構成に新たに、前記温度検出手段で検出される温度が所定の温度となるように前記熱発生源用電源を制御する温度制御手段を付加した構成である。
【0013】
(3) さらに、本発明は、前記(1)項または前記(2)項の構成に新たに、前記放射線検出器で検出された前記被検体から透過してくる放射線の透視画像を所定のタイミングで収集し、記憶手段に保存する画像データ保存手段を付加した構成である。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、被検体に対する熱源または吸熱源の熱放出量を低減化でき、速やかに被検体を所望の温度に昇温または下降させることができ、装置の小型化に貢献する放射線検査装置を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
(第1の実施の形態)
図1ないし図2は本発明に係る放射線検査装置の第1の実施の形態を説明する図であって、図1は放射線検査装置の全体構成図、図2は温度制御系を含む発熱ユニットの構成図である。
【0016】
放射線検査装置は、被検体1を挟んだ状態でテーブル2上に載置する発熱ユニット3Aと、温度制御器4と、テーブル2の例えば真下から被検体1に向けてX線5aを照射するX線発生器5と、被検体1の例えば真上に配置され、被検体1を透過してくるX線5aを検出して透視画像信号を出力するX線検出器6と、パソコンなどの画像データ保存端末7とで構成される。なお、X線発生器5とX線検出器6とを上下逆に配置した構成であっても構わない。
【0017】
発熱ユニット3Aの一部を構成する加熱手段としては、ヒータ31aa,31abとヒータ電源32とで構成される。ヒータ31aa,31abは、それぞれ例えばセラミックヒータが用いられ、直列接続した状態でヒータ電源32aに接続する。
【0018】
加熱手段を除く発熱ユニット3Aは、図2に示すように所定の厚さを有する任意形状、例えば四角形の平板状に形成された熱伝達部33aを有する。熱伝達部33aは、例えばアルミニューム等の材料が用いられ、相対する2つの側端面側から内側中心方向に向けて断面凹形状をなす凹陥部または断面所定形状の盲貫孔が形成され、これら凹陥部または盲貫孔に熱伝達損失が生じないようにそれぞれヒータ31aa,31abを嵌め込むか、或いは埋め込む。
【0019】
そして、熱伝達部33aの各凹陥部に嵌め込んだヒータ31aa,31abを覆うように熱伝達部33aの一方面部に高耐熱温度の紙基材からなる断熱材34を貼着する。また、熱伝達部33aの適宜な一方端面から内側中心方向に盲貫孔が形成され、当該盲貫孔には温度検出器35が挿入される。温度検出器35としては、例えば熱電対や測温抵抗体が用いられるが、例えば非接触状態で熱伝達部33aの温度を測定する場合には赤外線温度検出器を用いてもよい。また、温度検出器35は被検体1の温度を直接測定するようにしてもよい。
【0020】
前記熱伝達部33aにおける断熱材34設置面とは反対側面部は、被検体1の面部と面接触する面部であって、当該面部には複数の鋼製のねじ体36a,36bが突設されている。これらねじ体36a,36bには両面に高耐熱温度の紙基材からなる断熱材37,38を貼着した押え板39が進退可能に装着される。押え板39としては、例えばアルミニューム等の材料が用いられる。
【0021】
発熱ユニット3Aは、押え板39と熱伝達部33aとで被検体1を挟み込んだ後、ナット40a,40bにて締め付け固定する。なお、熱伝達部33aと被検体1との間には熱伝達特性を改善するためにグリス等を塗布してもよい。
【0022】
前記温度制御器4は、ヒータ電源32aをオン制御するとともに、前記温度検出器35の検出温度を取り込んで表示し、かつ、検出温度が例えば所定の温度に達するようにヒータ電源32aを制御する。
【0023】
X線発生器5は例えばテーブル2の下部から被検体1に向けてX線を照射するが、被検体1が発熱ユニット3Aに挟み込まれた状態で設定されている。そのため、発熱ユニット3Aとしては、平板状の熱伝達部33aの面方向がX線5aの透視方向(X線5aの照射方向)となるようにカーボン製のテーブル2上に載置される。
【0024】
X線検出器6は、二次元分解能をもつ検出器であって、例えばX線I.I.(X線イメージ.インテンシファイア)とテレビカメラとで構成される。X線I.I.は、被検体1を透過してくるX線5aを鮮明な可視光に変換する機能を持っている。テレビカメラは、X線I.I.で変換された可視光像を撮像し、映像化された透視画像信号に変換する。テレビカメラで撮像された透視画像信号はアナログ透視画像信号またはデジタル透視画像信号の何れにも変換可能である。
【0025】
このX線検出器6にはパソコンなどの透視画像保存端末7が接続されている。
画像データ保存端末7は、X線検出器6から透視画像信号を取り込んでディスク装置8に電子的に保存するが、X線検出器6からアナログ透視画像信号を取り込んだ場合には多値化(256値)によるデジタル透視画像信号に変換した後、ディスク装置8に保存する。
【0026】
また、画像データ保存端末7には、温度検出器35の出力端が接続され、温度検出器35で検出された温度を取り込み、透視画像信号とともにディスク装置8に保存する。
【0027】
前述したテーブル2には従来公知の位置調整機構(図示せず)が設けられている。位置調整機構は、テーブル2を直交する3軸方向,つまり上下方向、左右方向および前後方向に変位可能に動かすことにより、透視拡大率を可変し、或いは観察位置を変更することができる。
【0028】
また、テーブル2と発熱ユニット3Aの間には図示していないが角度調整機構が設けられている、角度調整機構は、発熱ユニット3Aの傾斜角度や首振り角度を微調整するもので、X線5aが被検体1に最適な透過方向で透過するように調整する機能を持っている。
【0029】
次に、以上のように構成された放射線検査装置の動作について説明する。
【0030】
操作者は、熱伝達部33aと押え板39とで被検体1を挟み込んだ後、ナット40a,40bを螺進させながら押え板39をねじ体36a,36bに沿って前進させ、被検体1を熱伝達部33aに押さえ付けるように締め付け固定する。
【0031】
しかる後、操作者は、角度調整機構(図示せず)を介して発熱ユニット3Aをテーブル2上に載置する。このとき、発熱ユニット3Aは、平板状の熱伝達部33aの面方向がX線発生器5からのX線5aの透視方向と一致するように設置する。
【0032】
以上のように発熱ユニット3Aをテーブル2上に載置した後、X線発生器5からX線5aを照射し、X線発生器5とは反対側に配置されるX線検出器6で被検体1を透過してくるX線5aを検出する。ここで、X線検出器6は、被検体1から出てくるX線5aを検出した後、例えばデジタル化された透視画像信号に変換し出力する。画像データ保存端末7は、X線検出器6で変換された透視画像信号を取り込んで表示し、操作者は被検体1を透過してくるX線5aの透視画像を見ながらテーブル2および発熱ユニット3Aの位置及び角度の調整を実施する。
【0033】
すなわち、テーブル2および発熱ユニット3Aの位置および角度は、常温状態で所望の透視画像が得られるように、図示しない位置調整機構および角度調整機構を用いてテーブル2および発熱ユニット3Aの微調整を行う。このとき、X線5aの透視方向は、前述したように平板状の熱伝達部33aの面方向とし、熱伝達部33aが被検体1の透視画像にとって邪魔にならない範囲となるようにテーブル2および発熱ユニット3Aの微調整を行いつつ、最適な透視状態に設定する。
【0034】
また、操作者は、温度制御器4を操作することによってヒータ電源32aをオン状態とし、ヒータ31aa,31abを発熱させる。このヒータ31aa,31abによる発熱は、熱伝達部33aを経由して被検体1に伝わる。温度制御器4は、所定の周期ごとに温度検出器35の検出温度を取り込んで表示するとともに、検出温度が所定の温度となるようにヒータ電源32aを制御し、ヒータ31aa,31abの発熱を制御する。
【0035】
これにより、熱伝達部33aに面接触している被検体1の温度を速やかに所定の温度に昇温する。このとき、発熱ユニット3Aとしては、熱伝達部33aの外表面および押え板39の両面にそれぞれ断熱材34,37,38が貼着されているので、熱伝達部33aから外部に放出される熱量が小さく、また、押え板39側の断熱材38で被検体1からの放出熱を遮断するので、被検体1を効率よく加熱することができる。
【0036】
なお、熱伝達部33aはそれ自身が発熱体であってもよい。その場合、温度検出器35は熱伝達部33aまたは被検体1に密着するように取り付ける。
【0037】
操作者は、温度制御器4に表示される現在温度を観察し、当該現在温度が所定の温度に達したとき、または透視画像が所望の透視状態或いは透視画像に変化が現れたとき、画像データ保存端末7に対して画像収集指令を入力する。画像データ保存端末7は、画像収集指令が入力されると、X線検出器6から出力される透視画像を取り込んでディスク装置8に保存する。
【0038】
なお、画像データ保存端末7は透視画像の画質改善機能を備えている。画質改善機能としては、例えばノイズを含む透視画像である多値化変換されたデジタルデータフレームを複数回取り込み、各フレームの同一画素のデジタル値を加算平均処理することにより、透視画像に含むノイズを低減するとか、フレームに現れる透視画像の近隣画素間のデジタル値の差を強調することにより、透視画像のエッジを強調処理するなどである。
【0039】
よって、操作者は、適宜に画像データ保存端末7の画質改善機能を透視画像に適用し、当該透視画像の画質を改善した後、ディスク装置8に保存する。
【0040】
従って、以上のような実施の形態によれば、ヒータ31aa,31abを埋め込んだ熱伝達部33aの外側表面に断熱材34を貼着すると共に、当該熱伝達部33aの内側表面を被検体1に面接触させ、前記ヒータ31aa,31abにて熱伝達部33aを加熱しつつ被検体1に伝達するので、被検体1の加熱に要する熱量を比較的少なくでき、また、ヒータ31aa,31abの発熱を短時間に被検体1に伝達することが可能となり、被検体1の温度を迅速に所定の温度に加熱することができる。
【0041】
さらに、被検体1への熱伝達面部を除く熱伝達部33aおよび押え板3の他の面部は断熱材34,37,38で覆っており、かつ、熱伝達部33aが被検体1に面接触しているので、ヒータ31aa,31abの発熱の外部消失熱量を小さく抑えることが可能であり、よって被検体1を効率良く加熱でき、被検体1全体を均一な温度に加熱することができ、装置の小型化にも貢献する。
【0042】
さらに、熱伝達部33aおよび押え板39の不必要な面部を断熱材34,37,38で覆うことにより、被検体1の近傍にあるX線発生器5およびX線検出器6などの機器に与える温度の影響を軽減化できる。
【0043】
また、被検体1、熱伝達部33a、ヒータ31aa、31abを一体にして発熱ユニット3Aを構成し、発熱ユニット3Aをあたかも1つの被検体のように扱うことができるので、操作が容易になるとともに加熱のための装置の改造も極めて容易になる。また、加熱手段を持たない装置へ容易に切換えることができ、汎用性の高い装置とすることができる。
【0044】
(第1の実施の形態における変形例)
(1) なお、上記実施の形態では、熱伝達部33a側にセラミックヒータなどのヒータ31aa,31abを設けたが、例えば押え板39側にも同様に複数のヒータを設けてもよい。押え板39側に複数のヒータを設けた場合、熱伝達部33a側のヒータ31aa,31abと押え板39側の複数のヒータ、つまり4つのヒータを直列に接続し、ヒータ電源32aに接続する。また、押え板39側に複数のヒータを設けた場合、押え板39の内側表面に断熱材38を貼らずに被検体1に直接接触させる構成とする。
【0045】
このような構成によれば、被検体1の相対する2面を、熱伝達部33a側のヒータ31aa,31abと押え板39側の複数のヒータで加熱するので、これらヒータから発する熱量を効果的に被検体1に伝達でき、より早期に被検体1の温度を所定温度、かつ、均一な温度に設定でき、小型化にも大きく貢献する。
【0046】
(2) また、他の変形例としては、例えば発熱ユニット3A全体または被検体1の外部に面する周囲を、板材で囲い込んで空気の対流を防ぐ構成としてもよい。このとき、板材として、透視画像に写り込む部分にはX線透過性がよいカーボン板や紙基材の断熱材を用い、他の部分は断熱性のよいロックウール材等を用いる。
【0047】
このような構成によれば、X線透視画像の画質をほとんど劣化させることなく、また被検体1の周りの空気対流で生じる被検体1の温度低下を防止でき、被検体1全体をより一層短時間で均一な温度とすることができる。
【0048】
(3) 本発明に係る放射線検査装置に適用する発熱ユニット3Aとしては、例えば図3に示すような構成のものであってもよい。
【0049】
図3に示す発熱ユニット3Aは、前述同様に熱伝達部33aと押え板39とを用いて被検体1を挟み込む構成とした点は変わらないが、この変形例では、熱伝達部33a内にヒータ31aa,31abを設けることなく、また押え板39の内側表面に貼着した断熱材38を取り除いた状態で、当該熱伝達部33aと押え板39とで被検体1を挟み込むものである。
【0050】
そして、被検体1を挟んだ際当該熱伝達部33aと押え板39との間に形成される空間部にセラミックヒータ等のヒータ31ac,31adと熱伝達体41a、41bとを重ね合わせて介在する。すなわち、熱伝達部33aと押え板39との間に形成される空間部の一方側面から内側中央部分に配置される被検体1近傍に向けて、ヒータ31ac及び熱伝達体41aとを重ね合わせた状態で介在し、当該一方側面と相対する他方側面から内側中央部分の被検体1近傍に向けて、ヒータ31ad及び熱伝達体41bとを重ね合わせた状態で介在する。
【0051】
熱伝達体41a,41bとしては、例えば熱伝導性が良く高温状態でも弾力性を維持できる耐熱ゴムなどが使用される。
【0052】
このような構成によれば、熱伝達部33aと押え板39との間に形成される空間部の相対する側面から内側中央部分に挿入される2つのヒータ31ac,31adから発生する発熱が僅かな空隙を通して被検体1に付与され、また、2つのヒータ31ac,31adから発生する発熱が熱伝達部33aおよび押え板39を通して当該熱伝達部33a、押え板39の内側面部から直接面接触状態で被検体1に付与することができる。その結果、被検体1の4面方向から被検体1を同時に加熱するので、被検体1以外の外部への熱損失を大幅に減少させることができ、被検体1を加熱するための供給電力を小さくでき、それに伴って装置の小型化にも貢献する。
【0053】
また、被検体1の4面方向から当該被検体1を同時に加熱することから、ヒータ31ac,31adの発熱を被検体1に効率良く伝達でき、当該被検体1の温度をより短時間に均一な温度に近づけることができる。
【0054】
(4) さらに、上記実施形態では、熱伝達部33aと押え板39とで被検体1を挟み込んだ状態に設定した後、ナット40a,40bを螺進させつつ押え板39を前進させて被検体1を締め付け固定したが、締め付けの程度や何らかの原因で検査中に被検体1の位置が多少ずれることも考えられる。
【0055】
そこで、本実施の形態の別の変形例としては、熱伝達部33aの内側面部および押え板39の内側面部の何れか一方の面部または両面部の被検体1の下位相当位置から僅かな長さのストッパーを取り付け、被検体1の下位の位置決めに用いる構成であってもよい。
【0056】
これにより、検査中に被検体1の位置ずれが無くなり、また被検体1が落下するような事態を未然に回避できる。さらに、熱伝達部33aと押え板39との間に被検体1を設置する際、簡便、かつ、迅速に被検体1を位置決めしつつ設置できる。
【0057】
(第2の実施の形態)
図4は本発明に係る放射線検査装置における第2の実施の形態を示す発熱ユニットの概略構成図である。
この実施の形態では、テーブル2の上面部に平板状の熱伝達部33aと平板状の断熱材34とを重ね合わせて水平に載置する発熱ユニット3Bの例である。
【0058】
発熱ユニット3Bは、具体的には、水平に配置される例えば四角形の平板状の熱伝達部33bの下面部に当該熱伝達部33bとほぼ同様な形状の平板状の断熱材34が貼着される。熱伝達部33bには、例えばアルミニウムまたはカーボンなどのごとく熱伝導度が良く、X線吸収係数の少ない材質のものが平板状化して使用される。
【0059】
そして、発熱ユニット3Bは、平板状の熱伝達部33bの上面中央部分に被検体1を載置するとともに、当該熱伝達部33b上面部の被検体1を除く面部に対称的に4つのヒータ31aa,31ab,31ac,31ad(31adは図示せず)を密着させた状態で配置し、これらヒータ31aa,31ab,31ac,31adの発熱を熱伝達部33bに均等に伝達し、被検体1を加熱する構成である。これらヒータ31aa,31ab,31ac,31adは、直列に接続され、ヒータ電源32aに接続される。
【0060】
さらに、発熱ユニット3Bは、平板状の熱伝達部33bの上面部に測温抵抗体などの温度検出器35が密着状態で配置する。温度検出器35は、熱伝達部33bによる被検体1への伝達温度を検出し、温度制御器4および画像データ保存端末7に送出する。
【0061】
テーブル2に対する発熱ユニット3Bの配置例は、熱伝達部33bの平板面部がX線発生器5から発するX線5aの透視方向と直交するように配置され、かつ、図示しない角度調整機構を介してテーブル2上に配置される。
【0062】
この実施の形態における放射線検査装置の動作について説明する。
X線発生器5からX線5aを照射し、図示しないテーブル2及び発熱ユニット3Bを挟んでX線発生器5とは反対側に配置されるX線検出器6で被検体1を透過してくるX線5aを検出する。画像データ保存端末7は、前述したようにX線検出器6によって変換された透視画像信号を取り込んで表示する。操作者は、被検体1を透過してくるX線5aの透視画像を見ながらテーブル2および発熱ユニット3Bの位置及び角度の調整を実施し、常温状態において適切な透視画像を得るように設定する。このとき、X線5aは、断熱材34、熱伝達部33bおよび被検体1を透過するが、特に断熱材34、熱伝達部33bのX線透過距離が長くなり過ぎないように発熱ユニット3Bの角度を微調整し、適切な透視状態に設定する。
【0063】
テーブル2及び発熱ユニット3Bの位置決めを行った後、温度制御器4からヒータ電源32aをオン状態とし、4つのヒータ31aa,31ab,31ac,31adに電流を通電する。この通電によるヒータ31aa,31ab,31ac,31adの発熱は熱伝達部33bに伝導し、当該熱伝達部33bに面接触状態で接する被検体1に伝達される。このとき、ヒータ31aa,31ab,31ac,3adは、熱伝達部33bの上面部に対称的に配置されているので、熱伝達部33bを通して4つの方向から被検体1を加熱する。その結果、被検体1は4つの方向から伝達されてくる伝達熱によって均一な温度に加熱される。
【0064】
一方、X線発生器5から照射されたX線5aは、断熱材34、熱伝達部33bおよび被検体1を透過し、X線検出器6に到達する。X線検出器6は、被検体1を透過してくるX線5aを検出した後、例えばデジタル化された透視画像信号に変換し出力する。なお、X線検出器6は、アナログ化された透視画像信号を出力し、画像データ保存端末7側でデジタル透視画像信号に変換しても良い。
【0065】
画像データ保存端末7は、画像収集指令が入力されると、X線検出器6から出力される透視画像を取り込み、温度検出器35の検出温度とともに、ディスク装置8に保存する。
【0066】
この実施の形態によれば、熱伝達部33bの上面部に対称的に配置される4つのヒータ31aa,31ab,31ac,31adから当該熱伝達部33bを通して被検体1の大きな面積部分を加熱する一方、その被検体1の大きな面に垂直な方向からX線を照射し、被検体1の透視画像をX線検出器6で検出する。このとき、透視画像には、断熱材34および熱伝達部33bの画像も写り込むが、これら断熱材34および熱伝達部33bはX線吸収係数が小さいことから透視画像に与える影響は少ない。
【0067】
このような構成とすることにより、被検体1に対する熱源の熱伝達速度を速めることにより、速やかに被検体1を所望の温度に昇温でき、小型化に実現可能な放射線検査装置を提供できる。
【0068】
なお、この実施の形態では、平板状の熱伝達部33bと平板状の断熱材34との積層体上に密着状態で被検体1を載置した例であるが、さらに被検体1の上面部に押え板を配置した構成であってもよい。これにより、被検体1を熱伝達部33bに向けて押さえることで密着度が上がり熱伝達を速めることができる。
【0069】
その他、第1の実施の形態で述べた変形例と同様な変形が可能であり、かつ、第1の実施の形態と同様の効果を奏する。
【0070】
(第3の実施の形態)
図5は本発明に係る放射線検査装置における第3の実施の形態を示す発熱ユニットの概略構成図である。
この実施の形態では、図2ないし図4に示すヒータ31aa,31ab,31ac,31adを取り除き、熱伝達部33c自体に対して直接通電し、熱伝達部33c自体を直接加熱する発熱ユニット3Cの例である。その他の構成は第2の実施の形態と同様である。
【0071】
発熱ユニット3Cは、具体的には、水平に配置される例えば四角形の平板状の熱伝達部33cの下面部に当該熱伝達部33cとほぼ同様な形状の平板状の断熱材34が貼着される。すなわち、発熱ユニット3Cは、第2の実施の形態と同様であるが、特にカーボン製の熱伝達部33cが使用され、当該カーボン製の熱伝達部33cが加熱電源32bに接続される。これにより、加熱電源32bによって熱伝達部33cを直接発熱する。なお、断熱材34としては、前述したように高耐熱温度の紙基材が使用される。
【0072】
この実施の形態における動作について説明する。
本実施の形態では、温度制御器4からの指令に基づいて加熱電源32bをオン状態とし、カーボン製の熱伝達部33cに電流を通電すると、熱伝達部33c自体が発熱し、被検体1が加熱する。熱伝達部33cの構成材であるカーボンは、耐熱温度が高く、熱伝導度が良く、X線吸収が少ないので、X線の被検体1に対する透視画像に与える影響が少ない。その他の動作ついては前述した実施の形態と同様である。
【0073】
従って、この実施の形態によれば、熱伝達部33c自体が発熱するので、熱伝達部33cに密着している被検体1の接触面がほぼ均一に加熱でき、被検体1全体を均一な温度にすることができる。その他の効果については、第2の実施の形態と同じである。
【0074】
なお、第3の実施の形態では、平板状の熱伝達部33cと平板状の断熱材34との積層体上に被検体1を載置した構成であるが、第2の実施の形態の変形例で述べたように被検体1の上面側に押え板を配置した構成であってもよい。これにより、被検体1と熱伝達部33cとの熱伝達を高めることができる。
【0075】
また、被検体1の上面側に密着状態でカーボン製の熱伝達部を設置した構成であってもよい。そして、被検体1が載置されるカーボン製の熱伝達部33cと被検体1の上面側に配置されるカーボン製の熱伝達部とを直列に接続し、加熱電源32bに接続する。なお、このとき、被検体1の上面側に配置されるカーボン製の熱伝達部の上面に断熱材34と同様の断熱材を貼着する。
【0076】
このような構成によれば、被検体1の上下2面が熱伝達部で加熱されるので、さらに被検体1全体の温度を均一な状態で加熱することができる。
【0077】
その他については、第2の実施の形態と同様の効果を奏する。
【0078】
(第4の実施の形態)
前述した各実施の形態では、ヒータ電源32a,加熱電源32bを用いて、熱伝達部33a,33b、33cを加熱する構成であるが、例えば熱伝達部33a,33bを冷熱手段を用いて所定温度に冷却する構成であってもよい。
【0079】
冷熱手段としては、冷却効果のある面を熱伝達部33a,33bに密着状態で接続する例えばペルチエ素子と、このペルチエ素子に電流を通電するヒータ電源32に代わるペルチエ素子用電源とで構成される。ペルチエ素子用電源は、ペルチエ素子の他、図2に示すように温度制御器4にも接続されている。
【0080】
なお、ペルチエ素子は、被検体1の検査対象領域の透視画像と重なって写ることがないように熱伝達部33a,33bに接合する。すなわち、ペルチエ素子は、被検体1の透視画像と重複しないように、熱伝達部33aまたは33bに貼着される。その他は第1、第2の実施の形態と同様の構成である。
【0081】
この実施の形態における動作について説明する。
操作者は、第1の実施の形態と同様に常温状態で所望の透視画像が得られるように、位置調整機構(図示せず)および角度調整機構(図示せず)にてテーブル2および冷熱ユニットの位置および角度を調整する。操作者は、温度制御器4を動作させるために必要な操作を行うと、オン指令に基づきペルチエ素子用電源がオン状態となり、ペルチエ素子に対して電流を通電する。その結果、ペルチエ素子は、被検体1の熱を吸熱し、被検体1の温度を降下させていく。このとき、温度制御器4は、温度検出器35の検出温度が所定の設定温度となるようにペルチエ素子用電源を制御し、被検体1を所望の温度となるように冷却する。
【0082】
操作者は、温度制御器4に表示される現在温度を観察するが、当該現在温度が所望の温度となったとき、または透視画像が所望とする状態或いは透視画像に変化が見られたとき、画像収集指令を画像データ保存端末7に入力する。画像データ保存端末7は、入力される画像収集指令に基づき、X線検出器6から透視画像を収集し、温度検出器35で検出される現在温度データとともに、ディスク装置8に保存する。その他の動作の詳細については第1の実施の形態と同様であるので、それらの説明に譲る。
【0083】
このような実施の形態によれば、ペルチエ素子を用いて、透視画像の観察に必要な部分にペルチエ素子の画像を写し込むことなく被検体1の透視画像を取り出すことができ、また、被検体1の温度を常温よりも低い所望の温度に下降させることができる。
【0084】
(第4の実施の形態における変形例)
(1) ペルチエ素子は、ペルチエ素子に流す電流の向きに応じて、当該ペルチエ素子の熱伝達部33a,33bに密着する面の温度を下降させたり、上昇させることができる。つまり、前述した第4の実施の形態と同じ構成において、ペルチエ素子用電源からペルチエ素子へ供給する電流の向きを第4の実施の形態とは反対の向きとなるようにすれば、ペルチエ素子の熱伝達部33a,33bに密着する面を発熱させることができる。
【0085】
よって、ペルチエ素子用電源からの通電電流の向きに応じて、ペルチエ素子が吸熱または発熱し、熱伝達部33a,33b等を常温よりも低い、または高い温度に変更することができる。
【0086】
この変形例においては、ペルチエ素子およびペルチエ素子用電源は加・冷熱手段とも言える。
【0087】
この変形例によれば、前述する第1および第2の実施の形態の構成を変更することなく、熱伝達部33a,33bの温度を、常温を境とし、自在に上下動させることができる。その他は第1および第2の実施の形態と同様の効果を奏する。
【0088】
(2) また、別の変形例としては、例えば図2に示す構成から断熱材38を取り除き、前述した熱伝達部33a,33b側に接続した第1のペルチエ素子とは別に、押え板39にも同様に第2のペルチエ素子を密着するように接続させた構成であってもよい。
【0089】
このような構成によれば、被検体1に対して、当該被検体1を挟み込む熱伝達部33a,33bと押え板39とによる両面から吸熱または加熱制御を行うので、常温を境とし、被検体1全体をより均一な上下の所定温度に冷却または加熱することができる。
【0090】
(第5の実施の形態)
図6は本発明に係る放射線検査装置における第5の実施の形態を説明する図であって、特に画像データ保存端末7による透視画像の保存例を示す構成図である。
【0091】
画像データ保存端末7は、X線検出器6および温度検出器35からデジタル化された透視画像および温度情報を取得する信号変換及びマルチプレクサ等の機能を持つインタフェース手段7aと、被検体名称等を入力したり、画像収集指令を入力するキーボード、マウスなどの入力手段7bと、透視画像や温度情報を保存処理するCPUで構成される画像保存処理部7cと、ディスク装置8と、表示部7dとで構成される。
【0092】
ディスク装置8には、透視画像記憶部8aとファイル名記憶部8bとが設けられている。なお、ファイル名記憶部8bは、透視画像を保存する際のファイル名を格納する領域であって、ディスク装置8の適宜な領域または別の適宜なメモリ、例えば一時的にデータを保存するバッフアメモリを用いてもよい。ファイル名記憶部8bには、操作者が入力手段7bから入力する被検体名称を記憶する被検体名称記憶領域8ba、保存すべき透視画像を取得した際に温度検出器35から取り込んだ検出温度を記憶する検出温度記憶領域8bb、透視画像を取得した時の日付データを記憶する日付記憶領域8bcおよびファイル形式例えばビットマップによる画像ファイル形式データを記憶するファイル形式データ記憶領域8bd等によって構成されている。
【0093】
このような構成の動作について説明する。
【0094】
被検体1の検査時または検査の必要なタイミングで入力手段7bから被検体名称を入力するか、或いは表示部7dに表示されるメッセージのもとに被検体名称を入力すると、画像保存処理部7cは、被検体名称を取り込んでファイル名記憶部8bの被検体名称記憶領域8baに格納する。
【0095】
しかる後、画像保存処理部7cは、被検体1の検査の段階において、入力手段7bまたは温度制御器4から画像収集指令を受けると、インタフェース手段7aを介して温度検出器35のデジタル化された温度情報を取り込んで検出温度記憶領域8bbに格納し、かつ、画像データ保存端末7の図示しない時計機能から日付データを取り込んで日付記憶領域8bcに格納する。さらに、透視画像のファイル形式(ビットマップ)のファイル形式データをファイル形式データ記憶領域8bdに格納する。
【0096】
そして、画像保存処理部7cは、X線検出器6からインタフェース手段7aを経由してデジタル透視画像を取り込んでディスク装置8の透視画像記憶部8aに保存するが、このとき、前記ファイル名記憶部8bに格納されるデータを用いて自動的にファイル名を生成し、この生成されたファイル名を付して透視画像を保存する。
【0097】
例えば一例を挙げると、「sample1 150deg 06−04−15 10−30−25.bmp」なるファイル名を生成する。ここで、「sample1」は被検体の名称、「150deg」は温度検出器35で測定した検出温度、「06−04−15」は日付2006年4月15日、「10−30−25」は時刻10時30分25秒、「bmp」は透視画像の画像ファイル形式(ビットマップ)である。
【0098】
このように被検体1の透視画像をディスク装置8に保存する際、以上のようなファイル名を生成し、当該透視画像をディスク装置8に保存すれば、操作者が被検体の名称を入力するか、或いは表示部7dに表示される複数種類の被検体1の中から選択入力するだけで、温度および日付を含めたファイル名とすることができ、当該ファイル名を見ただけでそれぞれの透視画像を収集したときの温度等を把握することができる。
【0099】
(その他の変形例)
(1) 第1ないし第4の実施の形態では、透過性の放射線としてX線を用いているが、他の放射線、例えばγ線,中性子線,マイクロ波等を発生する機器を用いて、被検体1の透視画像を得る構成としてもよい。
【0100】
(2) また、第1ないし第4の実施の形態では、操作者が温度制御器4に表示される温度が所望の温度となったとき、または透視画像が所望とする状態或いは透視画像に変化が見られたとき、画像収集指令を画像データ保存端末7に入力し、透視画像を収集する例について説明したが、例えば温度制御器4に予め所定温度を設定し、温度検出器35で検出される温度が所定温度となったとき、画像データ保存端末7に画像収集指令を送出する構成であってもよい。
【0101】
(3) また、温度制御器4としては、予め時間と温度との関係(以下、温度プロファイルと呼ぶ)を設定し、温度検出器35で検出される温度に基づき、前記温度プロファイルに従ってヒータ電源32a、ペルチエ素子用電源を制御し、時間の経過とともに被検体1の加熱温度を変更させる構成であってもよい。
【0102】
(4) 第1ないし第4の実施の形態では、温度制御を行っているが、これは必須ではない。温度制御器4をなくし、温度表示器を付加し、ヒータ電源にヒータ電流(発熱量)を変えるダイヤルを付加するようにしてもよい。
【0103】
この構成で、操作者は、温度表示を見ながらダイヤルを回して温度を調整する。あるいは、ダイヤルを固定して温度を成り行きで変化させながら検査を行う。温度制御器4を省くことで、装置はより簡易なものになる。
【0104】
(5) さらに、画像データ保存端末7としては、必ずしも一定間隔でない複数の時刻または必ずしも一定間隔でない複数の温度を設定しておき、これら設定時刻または設定温度となったとき、自動的に被検体1の透視画像を収集し、ディスク装置8に保存する構成としてもよい。
【0105】
このような構成によれば、操作者の操作に依存することなく、操作者の意図する透視画像を自動的に収集することができる。
【0106】
(6) 前述した第1ないし第4の実施の形態では、テーブル2及び発熱ユニット3A,3B等の位置及び角度の微調整を実施する例について述べたが、例えば被検体1を載置するテーブル2または発熱ユニット3A,3B自体を、X線の透視方向と直交する方向の所定の軸に対し、所定角度ごとに回転させつつ被検体1の透視画像を収集し保存すれば、1回転分の透視画像が揃った後に周知の再構成処理を実施することにより、多数の断層像を取得することができる。
【0107】
よって、このような構成によれば、再構成された被検体1の断層像から温度変化による当該被検体1の挙動を三次元的に把握することができる。
【0108】
その他、本発明は、上記実施の形態に限定されるものでなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施できる。
【図面の簡単な説明】
【0109】
【図1】本発明に係る放射線検査装置の第1の実施の形態を示す全体構成図。
【図2】本発明に係る放射線検査装置の第1の実施の形態として説明する発熱ユニットの構成図であって、同図(a)は発熱ユニットの上面図、同図(b)は発熱ユニットの側面図。
【図3】本発明に係る放射線検査装置の第1の実施の形態の変形例として説明する発熱ユニットの構成図であって、同図(a)は発熱ユニットの上面図、同図(b)は発熱ユニットの側面図。
【図4】本発明に係る放射線検査装置の第2の実施の形態として説明する発熱ユニットの構成図であって、同図(a)は発熱ユニットの正面図、同図(b)は同図(a)に示す発熱ユニットの右側面図。
【図5】本発明に係る放射線検査装置の第3の実施の形態として説明する加熱電源を含む発熱ユニットの構成図であって、同図(a)は発熱ユニットの正面図、同図(b)は同図(a)に示す発熱ユニットの右側面図。
【図6】本発明に係る放射線検査装置の第5の実施の形態として説明する画像データ保存端末の一例を示す構成図。
【図7】透視画像のファイル名を自動生成するためのデータを記憶するファイル名記憶部のデータ記憶領域を示す図。
【符号の説明】
【0110】
1…被検体、2…テーブル、3A,3B,3C…発熱ユニット(冷熱ユニット)、4…温度制御器、5…X線発生器、6…X線検出器、7…画像データ保存端末、7a…インタフェース手段、7c…画像保存処理部、8…ディスク装置、8a…透視画像記憶部、8b…フィルタ名記憶部、31aa,31ab,31ac、31ad…ヒータ(熱発生源)、32a…ヒータ電源、32b…加熱電源、33a〜33c…熱伝達部、34…断熱材、35…温度検出器、37,38…断熱材、39…押え板、41a,41b…熱伝達体。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射線源から被検体に放射線を照射し、当該被検体から透過してくる放射線を放射線検出器で検出する放射線検査装置において、
前記被検体に面接触させて熱を伝達する平板状の熱伝達部と、この熱伝達部内または当該熱伝達部の面部に密着させた状態で取り付け、当該熱伝達部を加熱または冷熱する熱発生源と、この熱発生源で加熱または冷却された当該熱伝達部或いは前記被検体の温度を検出する温度検出手段とで構成された発熱または冷熱ユニットと、
前記熱発生源に通電する熱発生源用電源とを備え、
前記熱伝達部を介して前記被検体を加熱または冷却することを特徴とする放射線検査装置。
【請求項2】
前記熱伝達部はX線吸収係数の少ない材料で構成したことを特徴とする請求項1に記載の放射線検査装置。
【請求項3】
前記熱伝達部は、平板状であって、当該平板状の面が前記放射線源から照射される放射線の照射方向に沿った方向に配置し、当該熱伝達部が前記被検体から透過してくる透視画像に影響を与えないようにしたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の放射線検査装置。
【請求項4】
前記熱伝達部は、平板状であって、当該平板状の面が前記放射線源から照射される放射線の照射方向と直交するように配置し、当該熱伝達部が前記被検体から透過してくる透視画像に影響を与えないようにしたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の放射線検査装置。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4の何れか一項に記載の放射線検査装置において、
前記温度検出手段で検出される温度が所定の温度となるように前記熱発生源用電源を制御する温度制御手段を付加したことを特徴とする放射線検査装置。
【請求項6】
前記温度制御手段は、予め時間と温度との関係が定められ、前記温度検出手段で検出される温度が前記時間と温度との関係で変化するように前記熱発生源用電源を制御する請求項5に記載の放射線検査装置。
【請求項7】
前記熱発生源に代わって、前記熱伝達部自体が前記熱発生源用電源からの通電で発熱または冷却するものであることを特徴とする請求項1ないし請求項6の何れか一項に記載の放射線検査装置。
【請求項8】
前記熱発生源と前記熱発生源用電源は、それぞれペルチエ素子とペルチエ素子用電源とで構成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項7の何れか一項に記載の放射線検査装置。
【請求項9】
請求項1ないし請求項8の何れか一項に記載の放射線検査装置において、
前記放射線検出器で検出された前記被検体から透過してくる放射線の透視画像を所定のタイミングで収集し、記憶手段に保存する画像データ保存手段を付加したことを特徴とする放射線検査装置。
【請求項10】
前記画像データ保存手段は、少なくとも外部から入力される前記被検体の名称、前記温度検出手段で検出される温度に関する情報を用いてファイル名を生成し、この生成されたファイル名を用いて前記収集された透視画像を前記記憶手段に保存することを特徴とする請求項9に記載の放射線検査装置。
【請求項11】
前記画像データ保存手段は、外部から画像収集指令を受けたとき、または予め定める任意の時刻ごと或いは予め定める任意の温度ごとに、前記放射線検出器で検出された前記被検体から透過してくる放射線の透視画像を収集し保存することを特徴とする請求項9または請求項10に記載の放射線検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−309790(P2007−309790A)
【公開日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−139303(P2006−139303)
【出願日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【出願人】(391017540)東芝ITコントロールシステム株式会社 (107)
【Fターム(参考)】