説明

放射線画像検出装置及び放射線撮影装置

【課題】放射線画像検出装置のセンサパネルを湾曲させて画像の鮮鋭度を向上させるにあたって、蛍光体の損傷を防止する。
【解決手段】放射線露光によって蛍光を発する蛍光物質を含有した蛍光体60と、前記蛍光体が密接して設けられ、前記蛍光体が発する蛍光を検出するセンサパネル61と、を備える放射線画像検出器3であって、前記蛍光体は、前記蛍光物質の結晶が柱状に成長してなる柱状結晶82の集合体からなる柱状部を含み、前記センサパネルの前記蛍光体とは反対側に放射線入射面が設けられ、前記センサパネルは、可撓性を有し、前記放射入射面側に曲率中心が位置するように湾曲されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射線画像検出装置及び放射線撮影装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、放射線画像を検出してデジタル画像データを生成するFPD(Flat Panel Detector)を用いた放射線画像検出装置が実用化されており、従来のイメージングプレートに比べて即時に画像を確認できるといった理由から急速に普及が進んでいる。この放射線画像検出装置には種々の方式のものがあり、その一つとして、間接変換方式のものが知られている。
【0003】
間接変換方式の放射線画像検出装置は、放射線露光によって蛍光を発するCsIやNaIなどの蛍光物質によって形成されたシンチレータと、光電変換素子の2次元配列を有するセンサパネルとを備えている。被写体を透過した放射線は、シンチレータによって一旦光に変換され、シンチレータの蛍光はセンサパネルの光電変換素子の群によって光電変換され、それにより電気信号(デジタル画像データ)が生成される。
【0004】
上記の放射線画像検出装置において、感度の向上を目的とし、CsIなどの蛍光物質の柱状結晶の群によってシンチレータを形成する技術も知られている(例えば、特許文献2参照)。柱状結晶は、典型的には、気相堆積法により蛍光物質の結晶を支持体上で柱状に成長させて形成される。支持体としては、センサパネルや適宜な基板が用いられ、センサパネルを支持体とした場合には、センサパネルに柱状結晶の群が直接に形成される。また、適宜な基板を支持体とした場合には、基板に形成された柱状結晶の群はセンサパネルに貼り合わされる。気相堆積法によって形成される柱状結晶は、結合剤等の不純物を含まず、また、そこで発生した蛍光を結晶の成長方向に導光する光ガイド効果を有しており、蛍光の拡散を抑制する。それにより、放射線画像検出装置の感度の向上が図られると共に、画像の鮮鋭度の向上が図られる。
【0005】
柱状結晶は、支持体表面に対して略垂直に成長し、センサパネルを支持体とした場合は無論のこと、基板に形成された柱状結晶の群をセンサパネルに貼り合わせる場合も、各柱状結晶は、センサパネルの表面に対して略垂直に設けられる。センサパネルが平坦であると、放射線は、その照射野の中心から外れる程に、センサパネルの表面に対して垂直に設けられた柱状結晶への入射角度が大きくなる。そのため、複数の柱状結晶に跨って進行し、画像の鮮鋭度の低下をもたらす。
【0006】
そこで、特許文献2に記載された放射線画像検出装置は、可撓性のセンサパネルを用い、放射状に広がる放射線に対して各柱状結晶が平行となるようにセンサパネルが湾曲されている。照射野の各部において、放射線に対して各柱状結晶が平行となり、画像の鮮鋭度の低下が防止される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2010−025620号公報
【特許文献2】特開2011−017683号公報
【特許文献3】特開2004−064087号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献2に記載された放射線画像検出装置は、放射線がシンチレータ側から入射する、いわゆる裏面読取型(PSS:Penetoration Side Sampling)の放射線画像検出装置である。PSS型の放射線画像検出装置において、放射線に対してシンチレータの各柱状結晶が平行となるようにセンサパネルを湾曲させた場合に、柱状結晶の群の先端部間の隙間は狭まり、隣り合う柱状結晶の先端部同士が接触して損傷する虞がある。そのため、センサパネルを湾曲させる際の曲率半径が制限され、撮影距離(SID:Source-Image Distance)が比較的短い場合に、放射線に対して各柱状結晶を平行に配置することができず、画像の鮮鋭度を十分に得ることができない。
【0009】
本発明は、上述した課題に鑑みなされたものであり、放射線画像検出装置のセンサパネルを湾曲させて画像の鮮鋭度を向上させるにあたって、蛍光体の損傷を防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(1) 放射線露光によって蛍光を発する蛍光物質を含有した蛍光体と、前記蛍光体が密接して設けられ、前記蛍光体が発する蛍光を検出するセンサパネルと、を備える放射線画像検出装置であって、前記蛍光体は、前記蛍光物質の結晶が柱状に成長してなる柱状結晶の集合体からなる柱状部を含み、前記センサパネルの前記蛍光体とは反対側に放射線入射面が設けられ、前記センサパネルは、可撓性を有し、前記放射入射面側に曲率中心が位置するように湾曲された放射線画像検出装置。
(2) 上記(1)の放射線画像検出装置と、前記放射線画像検出装置に向けて放射線を照射する放射線源と、を備え、前記センサパネルの曲率中心が、前記放射線焦点に一致している放射線撮影装置。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、放射入射面側に曲率中心が位置するように湾曲されたセンサパネルに対して、蛍光体はその外径側に配置され、蛍光体を形成する柱状結晶の集合体の先端部間の隙間は拡大される。よって、隣り合う柱状結晶の先端部同士の接触が回避され、柱状結晶の損傷が防止される。それにより、撮影距離が比較的短い場合にも、撮影距離に合わせて放射線に対して各柱状結晶を平行に配置することができ、画像の鮮鋭度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施形態を説明するための、放射線画像検出装置及び放射線撮影装置の一例の構成を示す図である。
【図2】図1の放射線撮影装置の制御ブロックを示す図である。
【図3】本発明の実施形態を説明するための、放射線画像検出装置の検出部の構成を示す図である。
【図4】図3の検出部のセンサパネルの構成を示す図である。
【図5】図3の検出部の蛍光体の構成を示す図である。
【図6】図5の蛍光体のVI‐VI線断面を示す図である。
【図7】図5の蛍光体のVII−VII線断面を示す図である。
【図8】図3の検出部の製造方法の一例を示す図である。
【図9】図3の検出部の製造方法の他の例を示す図である。
【図10】図1の放射線画像検出装置の湾曲部の構成を示す図である。
【図11】図10の湾曲部の構成を示す図である。
【図12】図1の放射線画像検出装置の検出部が湾曲された状態を示す図である。
【図13】図1の放射線画像検出装置の変形例を示す図である。
【図14】図1の放射線画像検出装置の他の変形例を示す図である。
【図15】図1の放射線画像検出装置の他の変形例を示す図である。
【図16】図15の放射線画像検出装置の検出部が湾曲された状態を示す図である。
【図17】図1の放射線画像検出装置及び放射線撮影装置の変形例を示す図である。
【図18】図17の放射線画像検出装置の湾曲部の構成を示す図である。
【図19】図18の放射線画像検出装置の検出部が湾曲された状態を示す図である。
【図20】図1の放射線画像検出装置の他の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1は、本発明の実施形態を説明するための、放射線画像検出装置及び放射線撮影装置の一例の構成を示し、図2は、図1の放射線撮影装置の制御ブロックを示す。
【0014】
X線撮影装置1は、被写体(患者)Hを立位状態で撮影するX線診断装置であって、被写体HにコーンビームX線を放射するX線源2と、X線源2に対向配置されてX線源2から被写体Hを透過したX線を検出して画像データを生成するX線画像検出装置3と、操作者の操作に基づいてX線源2の曝射動作やX線画像検出装置3の撮影動作を制御するとともに、X線画像検出装置3により取得された画像データを処理するコンソール4とに大別される。X線源2は、天井から吊り下げられたX線源保持装置5により保持されている。X線画像検出装置3は、床に設置されたスタンド6により保持されている。
【0015】
X線源2は、X線源制御部10の制御に基づき、高電圧発生器11から印加される高電圧に応じてX線を発生するX線管12と、X線管12から発せられたX線のうち、被写体Hの検査領域に寄与しない部分を遮蔽するように照射野を制限する可動式のコリメータ13を有するコリメータユニット14とから構成されている。X線管12は、陽極回転型であり、電子放出源(陰極)としてのフィラメント(図示せず)から電子線を放出して、所定の速度で回転する回転陽極15に衝突させることによりX線を発生する。この回転陽極15の電子線の衝突部分がX線焦点16となる。
【0016】
X線源保持装置5は、天井に設置された天井レール20に沿って水平方向(z方向)に移動自在に構成された台車部21と、互いに連結されて台車部21から下方向に延伸する複数の支柱部22と、台車部21を天井レールに沿って移動させるための駆動機構及び支柱部22を伸縮させるための駆動機構とを備えている。X線源2は、支柱部22の先端部に取り付けられている。X線源保持装置5が天井レール20に沿って移動することにより、X線源2とX線画像検出装置3との間の水平方向に関する距離SIDが変更され、また、支柱部22が伸縮することによって、X線源2の上下方向に関する位置が変更される。両駆動機構は、操作者の設定操作に基づき、コンソール4により制御される。
【0017】
X線源保持装置5には、天井レールに沿った台車部21の移動量を計測することにより、X線源2の水平方向に関する位置を検出するポテンショメータ等の位置センサ(図示せず)が設けられている。この位置センサの検出値は有線又は無線通信によってコンソール4に供給される。
【0018】
スタンド6は、床に設置された本体30と、本体30に上下方向に移動自在に取り付けられた保持部31と、保持部31を上下移動させるための駆動機構を備えている。X線画像検出装置3は、保持部31に取り付けられている。駆動機構は、操作者の設定操作に基づき、後述するコンソール4の制御装置40により制御される。
【0019】
スタンド6には、保持部31の移動量を計測することにより、X線画像検出装置3の上下方向に関する位置を検出するポテンショメータ等の位置センサ(図示せず)が設けられている。この位置センサの検出値は、有線又は無線通信によってコンソール4に供給される。
【0020】
コンソール4には、CPU、ROM、RAM等からなる制御装置40が設けられている。制御装置40には、操作者が撮影指示やその指示内容を入力する入力装置41と、X線画像検出装置3により取得された画像データを処理してX線画像を生成する画像処理部42と、X線画像を記憶する画像記憶部43と、X線画像等を表示するモニタ44と、X線撮影装置1の各部と接続されるインターフェース(I/F)45とを備えている。制御装置40、入力装置41、画像処理部42、記憶部43、モニタ44、及びI/F45は、バス46を介して接続されている。
【0021】
入力装置41の操作により、X線源2−X線画像検出装置3間距離(撮影距離)SIDや管電圧等のX線撮影条件、撮影タイミング等が入力される。制御装置40は、X線源保持装置5から供給されるX線源2の水平方向位置に基づいて、上記の入力された撮影距離SIDとなる位置にX線源2を移動させるように、X線源保持装置5を駆動する。また、制御装置40は、スタンド6から供給されるX画像検出装置3の上下方向位置に基づいて、X線画像検出装置3に対向する上下方向位置にX線源2を移動させるようにX線源保持装置5を駆動する。
【0022】
X線画像検出装置3は、X線露光によって蛍光を発する蛍光物質を含有したシンチレータ(蛍光体)60と、シンチレータ60が発する蛍光を光電変換する光電変換素子70の2次元配列を有するセンサパネル61と、を備えている。シンチレータ60は、シンチレータ60と光電変換素子70の群とを光学的に結合させる樹脂層を介してセンサパネル61に密着している。シンチレータ60がセンサパネル61に密着してなる検出部62は、支持体63に支持され、筐体64内に収容されている。
【0023】
以下、検出部62について説明する。
【0024】
図3は、検出部62の構成を模式的に示し、図4は検出部62のセンサパネル61の構成を模式的に示す。
【0025】
検出部62は、いわゆるISS型であり、シンチレータ60が貼り合わされたセンサパネル61において、センサパネル61がX線源2側に配置されている。X線は、センサパネル61を透過してシンチレータ60に入射する。X線が入射したシンチレータ60において蛍光が発生し、ここで発生した蛍光がセンサパネル61の光電変換素子70の群によって光電変換される。このように構成されたX線画像検出装置3においては、蛍光を多く発生させるシンチレータ60の放射線入射側がセンサパネル61に隣設されるため、感度が向上する。
【0026】
センサパネル61は、絶縁性のフレキシブル基板上に薄膜トランジスタ(TFT:Thin Film Transistor)からなるスイッチ素子71が形成されたフレキシブルTFT基板72を有しており、光電変換素子70の群はフレキシブルTFT基板72上に形成されている。そして、フレキシブルTFT基板72上には、光電変換素子70の群を覆い、フレキシブルTFT基板72の表面を平坦化するための平坦化層73が形成されている。平坦化層73は、シンチレータ60と光電変換素子70の群とを光学的に結合させる上記の樹脂層に含まれる。平坦化層73としては、ポリイミドやパリレンなどの樹脂を用いることができ、製膜性が良好なポリイミドを用いることが好ましい。なお、樹脂層の厚みは、感度、及び画像の鮮鋭度の観点から、50μm以下であることが好ましく、5μm〜30μmであることがより好ましい。
【0027】
光電変換素子70は、シンチレータ60の蛍光が入射されることにより電荷を生成する光導電層73と、この光導電層73の表裏面に設けられた一対の電極とで構成されている。光導電層73のシンチレータ60側の面に設けられた電極74は、光導電層73にバイアス電圧を印加するためのバイアス電極であり、反対側の面に設けられた電極75は、光導電層73で生成された電荷を収集する電荷収集電極である。
【0028】
スイッチ素子71は、光電変換素子70の2次元配列に対応してフレキシブルTFT基板72に2次元に配列されており、各光電変換素子70の電荷収集電極75は、対応するスイッチ素子71に接続されている。電荷収集電極75に収集された電荷は、スイッチ素子71を介して読み出される。
【0029】
フレキシブルTFT基板72には、一方向(行方向)に延設され、各スイッチ素子をオン/オフさせるための複数本のゲート線76と、ゲート線76と直交する方向(列方向)に延設され、オン状態のスイッチ素子71を介して電荷を読み出すための複数の信号線77とが設けられている。そして、フレキシブルTFT基板72の周縁部には、各ゲート線76及び各信号線77が接続された接続端子78が配置されている。この接続端子78は、接続回路79を介して回路基板(図示せず)に接続される。この回路基板は、外部回路としてのゲートドライバ、及び信号処理部を有する。
【0030】
スイッチ素子71は、ゲートドライバからゲート線76を介して供給される信号によって行単位で順にオン状態とされる。そして、オン状態とされたスイッチ素子71によって読み出された電荷は、信号線77を介して伝送され、信号処理部に入力される。これにより、電荷が行単位で順に読み出され、上記の信号処理部において電気信号に変換され、デジタル画像データが生成される。
【0031】
次に、シンチレータ60について説明する。
【0032】
図5は、シンチレータ60の構成を模式的に示す。
【0033】
シンチレータ60を形成する蛍光物質には、例えば、CsI:Tl(タリウム賦活ヨウ化セシウム)、NaI:Tl(タリウム賦活ヨウ化ナトリウム)、CsI:Na(ナトリウム賦活ヨウ化セシウム)、等を用いることができ、なかでも、発光スペクトルがa−Siフォトダイオードの分光感度の極大値(550nm付近)と適合する点で、CsI:Tlが好ましい。
【0034】
シンチレータ60は、柱状部80と、柱状部80のセンサパネル側に設けられた非柱状部81とで構成されている。柱状部80及び非柱状部81は、層状に重なって連続的に形成されており、詳細は後述するが、気相堆積法によって形成することができる。そして、シンチレータ60は、非柱状部81をセンサパネル61に密着させている。
【0035】
柱状部80は、上記の蛍光物質の結晶が柱状に成長してなる柱状結晶82の群によって形成されている。各柱状結晶82は、センサパネル61の表面に対して略垂直に設けられている。そして、隣り合う柱状結晶82の間には隙間が置かれ、各柱状結晶82は互いに独立して存在する。
【0036】
非柱状部81は、蛍光物質の結晶が比較的小さい結晶の群によって形成されている。比較的小径の結晶の群によって形成される非柱状部81においては、結晶同士が不規則に結合したり重なり合ったりするため、結晶間に明確な隙間は生じ難い。なお、非柱状部81には、上記の蛍光物質の非晶質体が含まれる場合もある。
【0037】
各柱状結晶82に発生した蛍光は、柱状結晶82とその周囲の隙間(空気)との屈折率差に起因して柱状結晶82内で全反射を繰り返すことで拡散を抑制され、その柱状結晶82が対向する光電変換素子70に導光される。それにより、画像の鮮鋭度が向上する。
【0038】
また、比較的小径の結晶若しくはその凝集体によって形成される非柱状部81は、柱状部80に比べて緻密であって空隙率は小さい。シンチレータ60が、この非柱状部81をセンサパネル61に密着させていることにより、シンチレータ60とセンサパネル61との密着性が向上する。それにより、シンチレータ60がセンサパネル61から剥離することが防止される。
【0039】
図6は、シンチレータ60の図5におけるVI‐VI断面を示す電子顕微鏡写真である。
【0040】
図6に明らかなように、柱状部80においては、柱状結晶82が結晶の成長方向に対しほぼ均一な断面径を示し、かつ、柱状結晶82の周囲に間隙を有し、柱状結晶82が互いに独立して存在することがわかる。柱状結晶82の結晶径(柱径)は、光ガイド効果、機械的強度、そして画素欠陥防止の観点から、2μm以上8μm以下であることが好ましい。結晶径が小さすぎると、柱状結晶82の機械的強度が不足し、衝撃等により損傷する懸念があり、結晶径が大きすぎると、光電変換素子70毎の柱状結晶82の数が少なくなり、結晶にクラックが生じた際にその素子が欠陥となる確率が高くなる懸念がある。
【0041】
ここで、柱径は、柱状結晶82の成長方向上面から観察した結晶の最大径を示す。具体的な測定方法としては、柱状結晶82の成長方向上面からSEM(走査型電子顕微鏡)で観察することで柱径を測定する。柱状結晶82が100本から200本観察できる倍率(約2000倍程度)で観察し、1撮影に含まれる結晶全てに対し、柱径の最大値を測定して平均した値を採用している。柱径(μm)は小数点以下2桁まで読み、平均値をJIS Z 8401に従い小数点以下2桁目を丸めた値とする。
【0042】
また、柱状部80の厚みは、放射線のエネルギーにもよるが、柱状部80における十分な放射線吸収及び画像の鮮鋭度の観点から、200μm以上700μm以下であることが好ましい。柱状部80の厚みが小さすぎると、放射線を十分に吸収することができず、感度が低下する虞があり、厚みが大きすぎると光拡散が生じ、柱状結晶の光ガイド効果によっても画像の鮮鋭度が低下する懸念がある。
【0043】
図7は、シンチレータ60の図5におけるVII-VII断面を示す電子顕微鏡写真である。
【0044】
図7に明らかなように、非柱状部81においては、結晶同士が不規則に結合したり重なり合ったりして結晶間の明確な隙間は、柱状部80ほどは認めらない。非柱状部81を形成する結晶の径は、密着性の観点から、7.0μm以下であることが好ましい。結晶径が大きすぎると、平坦性が低下し、センサパネル61との密着性が低下する懸念がある。
【0045】
ここで、結晶同士が結合している場合の結晶径の測定は、隣接する結晶間に生じる窪み(凹)同士を結んだ線を結晶間の境界と見なし、結合した結晶同士を最小多角形となるように分離して柱径及び柱径に対応する結晶径を測定し、柱状部80における結晶径と同様にして平均値をとり、その値を採用した。
【0046】
非柱状部81の厚みは、センサパネル61との密着性及び画質の観点から、5μm以上50μm以下であることが好ましい。非柱状部81の厚みが小さすぎると、センサパネル61との十分な密着性が得られない虞があり、また厚みが大きすぎると、非柱状部81における蛍光の寄与、及び非柱状部81での蛍光の拡散が増大し、画像の鮮鋭度が低下する懸念がある。
【0047】
次に、上述したシンチレータ60の製造方法について説明する。
【0048】
図8は、シンチレータ60の製造方法の一例を模式的に示す。
【0049】
図8に示すシンチレータ60の製造方法は、気相堆積法によってセンサパネル61の表面にシンチレータ60を直接形成するものである。気相堆積法によれば、柱状部80及び非柱状部81を連続して一体に形成することができる。以下では、蛍光物質としてCsI:Tlを用いた場合を例に説明する。
【0050】
気相堆積法によるシンチレータ60の形成は、例えば真空度0.01〜10Paの環境下、CsI:Tlを抵抗加熱式のるつぼに通電するなどの手段で加熱して気化させ、センサパネル61の温度を室温(20℃)〜300℃としてCsI:Tlをセンサパネル61上に堆積させる。
【0051】
センサパネル61上にCsI:Tlの結晶相を形成する際、当初は比較的小径の結晶を堆積させて非柱状部81を形成する(FIG.8B)。そして、真空度及びセンサパネル61の温度の少なくとも一方の条件を変更し、非柱状部81を形成した後に連続して柱状部80を形成する。具体的には、真空度を上げる、及び/又はセンサパネル61の温度を高くすることによって、柱状結晶82を成長させる(FIG.8C)。
【0052】
以上により、非柱状部81においてセンサパネル61に密着した状態に、シンチレータ60がセンサパネル61上に形成され、検出部62が構成される。
【0053】
図9は、シンチレータ60の製造方法の他の例を模式的に示す。
【0054】
図9に示すシンチレータ60の製造方法は、基板83を用い、この基板83の表面にシンチレータ60を形成し、その後に基板83に形成されたシンチレータ60をセンサパネル61に貼り合わせるものである。
【0055】
基板83としては、カーボン板、CFRP(Carbon Fiber Reinforced Plastic)、ガラス板、石英基板、サファイア基板、鉄やスズやクロムやアルミニウムなどの金属シート、等を用いることができるが、その上にシンチレータ60を形成することができる限りにおいて上記のものに限定されない。
【0056】
本例においても、シンチレータ60の形成は、気相堆積法による。真空度0.01〜10Paの環境下、CsI:Tlを抵抗加熱式のるつぼに通電するなどの手段で加熱して気化させ、支持体11の温度を室温(20℃)〜300℃としてCsI:Tlを基板83上に堆積させる。
【0057】
基板83上にCsI:Tlの結晶相を形成する際、当初は柱状結晶82を成長させ、柱状部80を形成する(FIG.9B)。そして、真空度を下げる、及び/又は基板83の温度を低くすることによって、柱状部80を形成した後に連続して非柱状部81を形成する(FIG.9C)。
【0058】
基板83上にシンチレータ60を形成した後、接着層を介在させ、非柱状部81においてシンチレータ60をセンサパネル61に密着させる(FIG.9D)。そして、基板83を剥離し、検出部62を構成する(FIG.9E)。接着層としては、シンチレータ60の蛍光を減衰させることなくセンサパネル61に到達させ得るものであれば特に制限はなく、例えば、UV硬化接着剤や加熱硬化型接着剤や室温硬化型接着剤やホットメルト型接着剤などの接着剤、若しくはゴム系粘着剤やシリコン系粘着剤やアクリル系粘着剤などの粘着剤、又はこれらの接着剤や粘着剤が両面に設けられた両面接着/粘着シート、等によって形成することができる。なお、接着剤としては、画像の鮮鋭度を低下させないという観点から、素子サイズに対して十分に薄い接着層を形成し得る低粘度エポキシ樹脂製の接着剤を用いることが好ましい。また、粘着剤としては、光や酸化による劣化が少ないアクリル系粘着剤が好ましい。なお、接着層によってシンチレータ60とセンサパネル61とを密着させる場合に、この接着層は、シンチレータ60とセンサパネル61の光電変換素子70の群とを光学的に結合させる上記の樹脂層に含まれる。
【0059】
X線画像検出装置3は、以上により構成される検出部62を湾曲させるための湾曲部65を更に備えている。以下、湾曲部65について説明する。
【0060】
図10及び図11は、湾曲部65の構成を示す。
【0061】
湾曲部65は、検出部62を支持する支持体63と、この支持体63に設けられ、物理的刺激に応じて湾曲する被駆動部材90と、この被駆動部材90に上記の物理的刺激を与える駆動部91とを含んでいる。
【0062】
支持体63は、遮光性を有し、検出部62のシンチレータ60側、即ち、X線入射側とは反対側を覆うカバー部92と、検出部62の一組の辺(図示の例ではy方向に沿う一組の辺)を係止する係止部93とで構成されている。支持体63は、自己支持可能な程度の可撓性を有する材料で形成されており、例えば、ゴムやピッチ系炭素繊維などを好適に用いることができる。
【0063】
被駆動部材90は、本例においては、物理的刺激としての熱によって湾曲する帯状のバイメタル90が用いられている。バイメタル90は、カバー部92の裏面に複数添設されており、これらのバイメタル90は、互いに平行にy方向に延在し、x方向に適宜な間隔をおいて設けられている。
【0064】
駆動部91は、各バイメタル90に適宜な電流を印加する。駆動部91より電流が印加されたバイメタル90は、その抵抗による自己発熱によって、検出部62におけるX線入射側に曲率中心が位置するように湾曲する。そして、駆動部91は、コンソール4にて設定された撮影距離SIDに応じて各バイメタル90に電流を印加するように構成されており、駆動部91より電流を印加されたバイメタル90は、X線焦点16を通るx方向に平行な直線を中心軸とした円筒面にほぼ沿うように湾曲する。
【0065】
バイメタル90が湾曲するのに伴って、支持体63、及びこれに支持された検出部62もまた湾曲する。バイメタル90が、X線焦点16を通るx方向に平行な直線を中心軸とした円筒面にほぼ沿うように湾曲することで、検出部62もまた、同様に湾曲し、その曲率中心は、X線焦点16にほぼ一致した位置に配置される。
【0066】
図12は、湾曲した検出部62を模式的に示す。
【0067】
シンチレータ60の各柱状結晶82は、上述の通り、その周囲に隙間をおいて互いに独立して存在する。センサパネル61の湾曲によっても、各柱状結晶82は、その周囲の隙間を拡縮して、センサパネル61の表面に対して垂直を保つ。そして、センサパネル61は、X線焦点16を通るx方向に平行な直線を中心軸とした略円筒面に沿うように湾曲されている。よって、各柱状結晶82は、上記の中心軸を指向し、平面視においてそこに入射するX線に対してほぼ平行とされる。それにより、X線が複数の柱状結晶82に跨ってシンチレータ60内を進行することが軽減され、画像の鮮鋭度が向上する。
【0068】
そして、X線入射面側に曲率中心が位置するように湾曲された検出部62において、シンチレータ60は外径側に位置しており、検出部62の上記のような湾曲に伴って、柱状結晶82の群の先端部間の隙間は拡大される。それにより、隣り合う柱状結晶82の先端部同士の接触が回避され、柱状結晶82の損傷が防止される。
【0069】
また、シンチレータ60は、柱状部80に比べて空隙率が小さい非柱状部81においてセンサパネル61に密着しており、その密着性が高められている。それにより、センサパネル61の湾曲によってシンチレータ60が剥離することが防止される。
【0070】
なお、上述したX線画像検出装置3においては、露呈した検出部62(シンチレータ60及びセンサパネル61)を支持体63で直接支持して湾曲させるものであり、支持体63が検出部62を覆って遮光するものとして説明したが、図13に示すように、検出部62が遮光性を有する柔軟なケース100に収納されている場合には、支持体63に遮光性は不要である。
【0071】
また、図13に示す例では、ゲート線76(図4参照)や信号線77(図4参照)が電気的に接続する外部回路としてのゲートドライバ及び信号処理部を有する回路基板を収納した制御部101が、検出部62の一辺に沿って設けられている。ゲートドライバや信号処理部には、典型的にはシリコン等の無機半導体材料で形成された硬質なICが用いられ、これらを収納する制御部全体を湾曲させることは困難である。そこで、この場合には、X線焦点16を通るx方向に平行な直線を中心軸とした円筒面にほぼ沿うように湾曲する支持体63に対して、制御部101が並設される検出部62の一辺をx方向と平行に配し、検出部62のみを支持体63によって支持して、検出部62のみを湾曲させればよい。
【0072】
また、ゲートドライバについては、無機半導体材料で形成された硬質なICに替えて柔軟な有機TFTでゲートドライバ回路を形成することもできる。そこで、図14に示すように、センサパネル61のフレキシブルTFT基板72に有機TFTからなるゲートドライバ回路102を設けてもよく、その場合に、ゲートドライバ回路102が柔軟であることから、検出部62の湾曲が阻害されることはない。
【0073】
また、上述したX線画像検出装置3においては、バイメタル90に通電し、その自己発熱によってバイメタル90を湾曲させる例を説明したが、例えば、ペルチェ素子などの調温素子を用いてバイメタル90の温度を制御するようにしてもよい。また、物理的刺激としての熱により湾曲する被駆動部材として、バイメタル90を用いた例を説明したが、形状記憶合金を用いることもできる。
【0074】
図15及び図16は、上述したX線画像検出装置3の変形例を示す。
【0075】
図15及び図16に示すX線画像検出装置103において、検出部62を支持する支持体63のカバー部92には、そのほぼ全体を覆う大きさに形成された一つのバイメタル90が設けられている。コンソール4にて設定された撮影距離SIDに応じて駆動部91から電流を印加されたバイメタル90は、X線焦点16を中心とする球面に沿うように湾曲する。バイメタル90が湾曲するのに伴って、支持体63、及びこれに支持された検出部62もまた、X線焦点16を中心とする球面に沿うように湾曲する。それにより、各柱状結晶82は、X線焦点16を指向し、そこに入射するX線に対してほぼ平行とされる。それにより、X線が複数の柱状結晶82に跨ってシンチレータ60内を進行することが防止され、画像の鮮鋭度がより向上する。
【0076】
図17は、上述したX線撮影装置1の変形例を示し、図18は、図17のX線撮影装置のX線画像検出装置の構成を示す。
【0077】
X線撮影装置201は、複数のX線源202を有している。コンソール4の制御装置40によって制御され、これらのX線源202からX線が順次放射され、X線焦点位置は、X線源202の切り換えに伴って順次移動する。
【0078】
X線画像検出装置203において、検出部62を支持する支持体63のカバー部92は、複数の領域に区分されており、各領域にバイメタル90が設けられている。図示の例では、x方向及びy方向に、それぞれ3つの領域に区分されており、各領域にバイメタル90が設けられている。そして、駆動部91は、X線焦点位置に応じて、各バイメタル90への印加電流をバイメタル90毎に独立して制御するように構成されている。
【0079】
図19は、X線画像検出装置203における検出部62の湾曲を模式的に示す。
【0080】
駆動部91から各バイメタル90に独立に制御された電流が印加されることによって、検出部62の曲率半径、及び検出部62の中心と曲率中心とを結ぶ直線の方向を種々に変化させることができる。
【0081】
例えば、各領域のバイメタル90への印加電流が等しい場合には、検出部62の中心部に関して略対称に検出部62が湾曲する。その際の検出部62の中心部とこの中心部における曲率中心とを結ぶ直線は、z方向に略沿っている(FIG.19A)。一方、y方向に関して中央の列領域のバイメタル90への印加電流に対して、いずれか一方の側の列領域のバイメタル90への印加電流を大きくし、他方の側の列領域のバイメタル90への印加電流を小さくした場合には、検出部62の中心に関して非対称に検出部62が湾曲する。その際の検出部62の中心と曲率中心とを結ぶ直線は、z方向に対して傾斜する(FIG.19B,C)。
【0082】
このように、X線焦点位置に応じて各バイメタル90への印加電流を独立して制御することにより、X線源202の切り換えに伴って順次移動するX線焦点位置に検出部62の曲率中心を一致させることができる。それにより、異なるX線焦点位置から放射線に対して、シンチレータ60の各柱状結晶82を、そこに入射するX線に対してほぼ平行とすることができる。
【0083】
図20は、上述したX線画像検出装置3の他の変形例を示す。
【0084】
上述したX線画像検出装置3及びその変形例においては、検出部62を湾曲させるための被駆動部材として、外部刺激としての熱により湾曲するバイメタル等を用いた例を説明したが、外部刺激により伸縮する被駆動部材を用いることができ、そのような被駆動部材としては、例えば高分子ゲルの体積相転移を利用した人工筋肉やピエゾ素子が例示でき、これらは、外部刺激としての印加電圧によって伸縮する。
【0085】
図18に示すX線画像検出装置303において、検出部62を支持する支持体63の外周部は、筐体64の内壁に固定されている。そして、支持体63のカバー部92の中央部に人工筋肉390が設けられている。
【0086】
人工筋肉390は、その伸縮方向の一端を支持体63に接続され、他端を支持体63に対向する筐体64の内壁に固定されている。駆動部(図示せず)は、撮影距離SIDに応じて、人工筋肉390への印加電圧を制御するように構成されている。撮影距離SIDに応じて駆動部91から電圧を印加された人工筋肉390が収縮することによって、支持体63は、X線焦点16を中心とする球面に沿うように湾曲し、これに支持された検出部62もまた、X線焦点16を中心とする球面に沿うように湾曲する。それにより、各柱状結晶82は、X線焦点16を指向し、そこに入射するX線に対してほぼ平行とされる。
【0087】
なお、支持体63のカバー部92の中心部を筐体64に固定し、支持体63の外周部を複数の人工筋肉390によって支持するように構成し、各人工筋肉390への印加電圧を人工筋肉390毎に独立して制御するように構成することもできる。それによれば、上述したX線撮影装置201におけるX線画像検出装置203と同様に、X線焦点位置に応じて各人工筋肉390への印加電圧を独立して制御することによって、X線源202の切り換えに伴って順次移動するX線焦点位置に検出部62の曲率中心を一致させることができる。
【0088】
上述の各放射線画像検出装置は、放射線画像を高感度、高精細に検出しうるため、低放射線照射量で鮮鋭な画像を検出することを要求される、マンモグラフィなどの医療診断用のX線撮影装置をはじめ、様々な装置に組み込んで使用することができる。例えば、工業用のX線撮影装置として非破壊検査に用いたり、或いは、電磁波以外の粒子線(α線、β線、γ線)の検出装置として用いたりすることができ、その応用範囲は広い。
【0089】
以下、センサパネル61を構成する各要素に用いることのできる材料について説明する。
【0090】
[光電変換素子]
上述した光電変換素子70の光導電層73(図3参照)としては、例えばアモルファスシリコン等の無機半導体材料が用いられることが多いが、例えば特開2009−32854号公報に記載された有機光電変換(OPC;Organic photoelectric conversion)材料も用いることができる。このOPC材料により形成された膜(以下、OPC膜という)を光導電層73として使用できる。OPC膜は、有機光電変換材料を含み、蛍光体層から発せられた光を吸収し、吸収した光に応じた電荷を発生する。このように有機光電変換材料を含むOPC膜であれば、可視域にシャープな吸収スペクトルを持ち、蛍光体層による発光以外の電磁波がOPC膜に吸収されることがほとんどなく、X線等の放射線がOPC膜で吸収されることによって発生するノイズを効果的に抑制することができる。
【0091】
OPC膜を構成する有機光電変換材料は、蛍光体層で発光した光を最も効率良く吸収するために、その吸収ピーク波長が、蛍光体層の発光ピーク波長と近いほど好ましい。有機光電変換材料の吸収ピーク波長と蛍光体層の発光ピーク波長とが一致することが理想的であるが、双方の差が小さければ蛍光体層から発された光を十分に吸収することが可能である。具体的には、有機光電変換材料の吸収ピーク波長と、蛍光体層の放射線に対する発光ピーク波長との差が、10nm以内であることが好ましく、5nm以内であることがより好ましい。
【0092】
このような条件を満たすことが可能な有機光電変換材料としては、例えば、アリーリデン系有機化合物、キナクリドン系有機化合物、及びフタロシアニン系有機化合物が挙げられる。例えばキナクリドンの可視域における吸収ピーク波長は560nmであるため、有機光電変換材料としてキナクリドンを用い、蛍光体層の材料としてCsI(Tl)を用いれば、上記ピーク波長の差を5nm以内にすることが可能となり、OPC膜で発生する電荷量をほぼ最大にすることができる。
【0093】
バイアス電極74及び電荷収集電極75の間に設けられる有機層の少なくとも一部をOPC膜によって構成することができる。この有機層は、より具体的には、電磁波を吸収する部位、光電変換部位、電子輸送部位、正孔輸送部位、電子ブロッキング部位、正孔ブロッキング部位、結晶化防止部位、電極、及び層間接触改良部位等の積み重ね若しくは混合により形成することができる。
【0094】
上記有機層は、有機p型化合物又は有機n型化合物を含有することが好ましい。有機p型半導体(化合物)は、主に正孔輸送性有機化合物に代表されるドナー性有機半導体(化合物)であり、電子を供与しやすい性質がある有機化合物をいう。更に詳しくは2つの有機材料を接触させて用いたときにイオン化ポテンシャルの小さい方の有機化合物をいう。したがって、ドナー性有機化合物としては、電子供与性のある有機化合物であればいずれの有機化合物も使用可能である。例えば、トリアリールアミン化合物、ベンジジン化合物、ピラゾリン化合物、スチリルアミン化合物、ヒドラゾン化合物、トリフェニルメタン化合物、カルバゾール化合物、ポリシラン化合物、チオフェン化合物、フタロシアニン化合物、シアニン化合物、メロシアニン化合物、オキソノール化合物、ポリアミン化合物、インドール化合物、ピロール化合物、ピラゾール化合物、ポリアリーレン化合物、縮合芳香族炭素環化合物(ナフタレン誘導体、アントラセン誘導体、フェナントレン誘導体、テトラセン誘導体、ピレン誘導体、ペリレン誘導体、フルオランテン誘導体)、含窒素ヘテロ環化合物を配位子として有する金属錯体等を用いることができる。なお、これらに限らず、n型(アクセプター性)化合物として用いた有機化合物よりもイオン化ポテンシャルの小さい有機化合物であればドナー性有機半導体として用いることができる。
【0095】
有機n型半導体(化合物)は、主に電子輸送性有機化合物に代表されるアクセプター性有機半導体(化合物)であり、電子を受容しやすい性質がある有機化合物をいう。更に詳しくは2つの有機化合物を接触させて用いたときに電子親和力の大きい方の有機化合物をいう。したがって、アクセプター性有機化合物は、電子受容性のある有機化合物であればいずれの有機化合物も使用可能である。例えば、縮合芳香族炭素環化合物(ナフタレン誘導体、アントラセン誘導体、フェナントレン誘導体、テトラセン誘導体、ピレン誘導体、ペリレン誘導体、フルオランテン誘導体)、窒素原子、酸素原子、硫黄原子を含有する5ないし7員のヘテロ環化合物(例えばピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、トリアジン、キノリン、キノキサリン、キナゾリン、フタラジン、シンノリン、イソキノリン、プテリジン、アクリジン、フェナジン、フェナントロリン、テトラゾール、ピラゾール、イミダゾール、チアゾール、オキサゾール、インダゾール、ベンズイミダゾール、ベンゾトリアゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、カルバゾール、プリン、トリアゾロピリダジン、トリアゾロピリミジン、テトラザインデン、オキサジアゾール、イミダゾピリジン、ピラリジン、ピロロピリジン、チアジアゾロピリジン、ジベンズアゼピン、トリベンズアゼピン等)、ポリアリーレン化合物、フルオレン化合物、シクロペンタジエン化合物、シリル化合物、含窒素ヘテロ環化合物を配位子として有する金属錯体などが挙げられる。なお、これらに限らず、ドナー性有機化合物として用いた有機化合物よりも電子親和力の大きな有機化合物であればアクセプター性有機半導体として用いることができる。
【0096】
p型有機色素又はn型有機色素としては、公知のものを用いることができるが、好ましくは、シアニン色素、スチリル色素、ヘミシアニン色素、メロシアニン色素(ゼロメチンメロシアニン(シンプルメロシアニン)を含む)、3核メロシアニン色素、4核メロシアニン色素、ロダシアニン色素、コンプレックスシアニン色素、コンプレックスメロシアニン色素、アロポーラー色素、オキソノール色素、ヘミオキソノール色素、スクアリウム色素、クロコニウム色素、アザメチン色素、クマリン色素、アリーリデン色素、アントラキノン色素、トリフェニルメタン色素、アゾ色素、アゾメチン色素、スピロ化合物、メタロセン色素、フルオレノン色素、フルギド色素、ペリレン色素、フェナジン色素、フェノチアジン色素、キノン色素、インジゴ色素、ジフェニルメタン色素、ポリエン色素、アクリジン色素、アクリジノン色素、ジフェニルアミン色素、キナクリドン色素、キノフタロン色素、フェノキサジン色素、フタロペリレン色素、ポルフィリン色素、クロロフィル色素、フタロシアニン色素、金属錯体色素、縮合芳香族炭素環系色素(ナフタレン誘導体、アントラセン誘導体、フェナントレン誘導体、テトラセン誘導体、ピレン誘導体、ペリレン誘導体、フルオランテン誘導体)等が挙げられる。
【0097】
1対の電極間に、p型半導体層とn型半導体層とを有し、該p型半導体とn型半導体の少なくともいずれかが有機半導体であり、かつ、それらの半導体層の間に、該p型半導体及びn型半導体を含むバルクヘテロ接合構造層を中間層として有する光電変換膜(感光層)を好適に用いることができる。このように、光電変換膜において、バルクへテロ接合構造層を含ませることにより有機層のキャリア拡散長が短いという欠点を補い、光電変換効率を向上させることができる。なお、上記バルクへテロ接合構造については、特開2005−303266号公報において詳細に説明されている。
【0098】
光電変換膜の厚みは、蛍光体層からの光を吸収する点では膜厚は大きいほど好ましいが、電荷分離に寄与しない割合を考慮すると、30nm以上300nm以下が好ましく、より好ましくは、50nm以上250nm以下、特に好ましくは80nm以上200nm以下である。
上述したOPC膜に関するその他の構成は、例えば、特開2009−32854号公報の記載が参考となる。
【0099】
[スイッチ素子]
スイッチ素子71の活性層としては、例えばアモルファスシリコン等の無機半導体材料が使われることが多いが、例えば特開2009−212389号公報に記載されたように、有機材料を使用することができる。有機TFTはいかなるタイプの構造でもよいが、最も好ましいのは電界効果型トランジスタ(FET)構造である。このFET構造は、絶縁性基板上面の一部にゲート電極を設け、更に該電極を覆い、かつ電極以外の部分で基板と接するように絶縁体層を設けている。更に絶縁体層の上面に半導体活性層を設け、その上面の一部に透明ソース電極と透明ドレイン電極とを隔離して配置している。なお、この構成はトップコンタクト型素子と呼ばれるが、ソース電極とドレイン電極とが半導体活性層の下部にあるボトムコンタクト型素子も好ましく用いることができる。また、キャリアが有機半導体膜の膜厚方向に流れる縦型トランジスタ構造であってもよい。
【0100】
(活性層)
ここでいう有機半導体材料とは、半導体の特性を示す有機材料のことであり、無機材料からなる半導体と同様に、正孔(ホール)をキャリアとして伝導するp型有機半導体材料(あるいは単にp型材料、正孔輸送材料とも言う。)と、電子をキャリアとして伝導するn型有機半導体材料(あるいは単にn型材料、電子輸送材料とも言う。)がある。有機半導体材料は一般にp型材料の方が良好な特性を示すものが多く、また、一般に大気下でのトランジスタ動作安定性もp型トランジスタの方が優れているため、ここでは、p型有機半導体材料について説明する。
【0101】
有機薄膜トランジスタの特性の一つに、有機半導体層中のキャリアの動きやすさを示すキャリア移動度(単に移動度とも言う)μがある。用途によっても異なるが、一般に移動度は高い方がよく、1.0×10-7cm2/Vs以上であることが好ましく、1.0×10-6cm2/Vs以上であることがより好ましく、1.0×10-5cm2/Vs以上であることが更に好ましい。移動度は電界効果トランジスタ(FET)素子を作製したときの特性や飛行時間計測(TOF)法により求めることができる。
【0102】
前記p型有機半導体材料は、低分子材料でも高分子材料でも良いが、好ましくは低分子材料である。低分子材料は、昇華精製や再結晶、カラムクロマトグラフィーなどの様々な精製法が適用できるため高純度化が容易であること、分子構造が定まっているため秩序の高い結晶構造を取りやすいこと、などの理由から高い特性を示すものが多い。低分子材料の分子量は、好ましくは100以上5000以下、より好ましくは150以上3000以下、更に好ましくは200以上2000以下である。
【0103】
このようなp型有機半導体材料としては、フタロシアニン化合物又はナフタロシアニン化合物を例示することができ、具体例を以下に示す。なお、Mは金属原子、Buはブチル基、Prはプロピル基、Etはエチル基、Phはフェニル基をそれぞれ表す。
【0104】
【化1】

【0105】
(活性層以外のスイッチ素子の構成要素)
ゲート電極、ソース電極、又はドレイン電極を構成する材料としては、必要な導電性を有するものであれば特に制限はないが、例えば、ITO(インジウムドープ酸化スズ)、IZO(インジウムドープ酸化亜鉛)、SnO2、ATO(アンチモンドープ酸化スズ)、ZnO、AZO(アルミニウムドープ酸化亜鉛)、GZO(ガリウムドープ酸化亜鉛)、TiO2、FTO(フッ素ドープ酸化スズ)などの透明導電性酸化物、PEDOT/PSS(ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)/ポリスチレンスルホン酸)などの透明導電性ポリマー、カーボンナノチューブなどの炭素材料が挙げられる。これらの電極材料は、例えば真空蒸着法、スパッタリング、溶液塗布法等の方法で成膜することができる。
【0106】
絶縁層に用いられる材料としては、必要な絶縁効果を有するものであれば特に制限はないが、例えば、二酸化ケイ素、窒化ケイ素、アルミナなどの無機材料、ポリエステル(PEN(ポリエチレンナフタレート)、PET(ポリエチレンテレフタレート)など)、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリアミド、ポリアクリレート、エポキシ樹脂、ポリパラキシリレン樹脂、ノボラック樹脂、PVA(ポリビニルアルコール)、PS(ポリスチレン)、などの有機材料が挙げられる。これらの絶縁膜材料は、例えば真空蒸着法、スパッタリング、溶液塗布法等の方法で成膜することができる。
上述した有機TFTに関するその他の構成は、例えば、特開2009−212389号公報の記載が参考となる。
【0107】
また、スイッチ素子71の活性層には、例えば特開2010−186860号公報に記載された非晶質酸化物も使用することができる。ここで、特開2010−186860号に記載された電界効果型トランジスタが有する非晶質酸化物含有の活性層について示す。この活性層は、電子又はホールの移動する電界効果型トランジスタのチャネル層として機能する。
【0108】
活性層は、非晶質酸化物半導体を含んだ構成とされている。この非晶質酸化物半導体は、低温で成膜可能であるために、可撓性のある基板上に好適に形成される。活性層に用いられる非晶質酸化物半導体としては、好ましくはIn、Sn、Zn、又はCdよりなる群より選ばれる少なくとも1種の元素を含む非晶質酸化物であり、より好ましくは、In、Sn、Znよりなる群より選ばれる少なくとも1種を含む非晶質酸化物、更に好ましくは、In、Znよりなる群より選ばれる少なくとも1種を含む非晶質酸化物である。
【0109】
活性層に用いられる非晶質酸化物としては、具体的には、In、ZnO,SnO、CdO,Indium−Zinc−Oxide(IZO)、Indium−Tin−Oxide(ITO)、Gallium−Zinc−Oxide(GZO)、Indium−Gallium−Oxide(IGO)、Indium−Gallium−Zinc−Oxide(IGZO)が挙げられる。
【0110】
活性層の成膜方法としては、酸化物半導体の多結晶焼結体をターゲットとして、気相成膜法を用いるのが好ましい。気相成膜法の中でも、スパッタリング法、パルスレーザー蒸着法(PLD法)が適している。更に、量産性の観点から、スパッタリング法が好ましい。例えば、RFマグネトロンスパッタリング蒸着法により、真空度及び酸素流量を制御して成膜される。
【0111】
成膜された活性層は、周知のX線回折法によりアモルファス膜であることが確認される。活性層の組成比は、RBS(ラザフォード後方散乱)分析法により求められる。
【0112】
また、この活性層の電気伝導度は、好ましくは10−4Scm−1以上10Scm−1未満であり、より好ましくは10−1Scm−1以上10Scm−1未満である。この活性層の電気伝導度の調整方法としては、公知の酸素欠陥による調整方法や、組成比による調整方法、不純物による調整方法、酸化物半導体材料による調整方法が挙げられる。
上述した非晶質酸化物に関するその他の構成は、例えば、特開2010−186860号公報の記載が参考となる。
【0113】
[絶縁性フレキシブル基板]
絶縁性フレキシブル基板としては、プラスチックフィルムなどが挙げられる。プラスチックフィルムとしては、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンスルフィド、ポリアリレート、ポリイミド、ポリカーボネート(PC)、セルローストリアセテート(TAC)、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)等からなるフィルム等が挙げられる。また、これらのプラスチックフィルムに、有機あるいは無機のフィラーを含有させてもよい。また、フレキシブルでかつ低熱膨張、高強度といった、既存のガラスやプラスチックでは得られない特性を有するアラミド、バイオナノファイバーなどを用いて形成されたフレキシブル基板も好適に使用しうる。
【0114】
(アラミド)
アラミド材料は、ガラス転移温度315℃という高い耐熱性、ヤング率が10GPaという高い剛性、熱膨張率が−3〜5ppm/℃という高い寸法安定性を有する。このため、アラミド製のフィルムを用いると、一般的な樹脂フィルムを用いる場合と比べて、半導体層の高品質の成膜が容易に行える。また、アラミド材料の高耐熱性により、電極材料を高温硬化させて低抵抗化できる。更に、ハンダのリフロー工程を含むICの自動実装にも対応できる。また更に、ITO(indium tin oxide)やガス・バリア膜、ガラス基板と熱膨張係数が近いために、製造後の反りが少ない。そして、割れにくい。ここで、ハロゲンを含まないハロゲンフリー(JPCA−ES01−2003の規定に適合)なアラミド材料を用いることが環境負荷低減の点で好ましい。アラミドフィルムは、ガラス基板やPET基板と積層されてもよいし、デバイスの筐体に貼り付けられてもよい。
【0115】
アラミドの分子間の凝集力(水素結合力)の高さによる溶媒への低溶解性を分子設計によって解決することにより、無色透明で薄いフィルムへの成形が容易とされたアラミド材料についても、好適に用いることができる。モノマーユニットの秩序性、及び芳香環上の置換基種・位置を制御する分子設計により、アラミド材料の高剛性や寸法安定性に繋がる直線性の高い棒状の分子構造を維持しつつ、溶解性が良い成形の容易さが得られる。この分子設計により、ハロゲンフリーをも実現できる。
【0116】
また、フィルムの面内方向の特性が最適化されたアラミド材料についても、好適に用いることができる。成型中に逐次変化するアラミドフィルムの強度に応じて、溶液キャスト、縦延伸、横延伸の工程ごとに張力条件を制御することにより、直線性の高い棒状分子構造であって物性に異方性が生じやすいアラミドフィルムの面内方向の特性をバランスできる。
【0117】
具体的に、溶液キャスト工程では、溶媒の乾燥速度の制御による面内厚み方向の物性の等方化、溶媒を含んだ状態のフィルムの強度とキャスト・ドラムからの剥離強度の最適化、を図る。縦延伸工程では、延伸中に逐次変化するフィルムの強度、溶媒の残留量に応じた延伸条件を精密に制御する。横延伸工程では、加熱によって変化するフィルム強度の変化に応じた横延伸の条件の制御、フィルムの残留応力を緩和するための横延伸の条件の制御を図る。このようなアラミド材料の使用により、成型後のアラミドフィルムがカールしてしまう問題を解決できる。
【0118】
上記の成形容易さに対する工夫、及びフィルム面内方向の特性のバランスに対する工夫のいずれにおいても、アラミドならではの直線性の高い棒状の分子構造が維持されているので、熱膨張係数を低く維持できる。製膜時の延伸条件の変更などにより、熱膨張係数を更に低減することも可能である。
【0119】
(バイオナノファイバー)
ナノファイバーは、光の波長に対して十分に小さなコンポーネントは光散乱を生じないことから、透明でフレキシブルな樹脂材料の補強として用いることができる。そして、ナノファイバーの中でも、バクテリア(酢酸菌、Acetobacter Xylinum)が産出するセルロースミクロフィブリル束は、幅50nmと、可視光波長に対して約1/10のサイズでかつ、高強度、高弾性、低熱膨である特徴を有しており、このバクテリアセルロースと透明樹脂との複合材料(バイオナノファイバーということがある)を好適に用いることができる。
【0120】
バクテリアセルロースシートにアクリル樹脂、エポキシ樹脂等の透明樹脂を含浸・硬化させることで、繊維を約60〜70%と高い比率で含有しながら、波長500nmで約90%の光透過率を示す透明バイオナノファイバーが得られる。このバイオナノファイバーにより、シリコン結晶に匹敵する低い熱膨張係数(約3〜7ppm)、鋼鉄並の強度(約460MPa)、及び高弾性(約30GPa)が得られる。
上述したバイオナノファイバーに関する構成は、例えば、特開2008−34556号公報の記載が参考となる。
【0121】
以上、説明したように、本明細書には、下記(1)から(9)の放射線画像検出装置が開示されている。
【0122】
(1) 放射線露光によって蛍光を発する蛍光物質を含有した蛍光体と、前記蛍光体が密接して設けられ、前記蛍光体が発する蛍光を検出するセンサパネルと、を備える放射線画像検出器であって、前記蛍光体は、前記蛍光物質の結晶が柱状に成長してなる柱状結晶の集合体からなる柱状部を含み、前記センサパネルの前記蛍光体とは反対側に放射線入射面が設けられ、前記センサパネルは、可撓性を有し、前記放射入射面側に曲率中心が位置するように湾曲された放射線画像検出装置。
(2) 上記(1)に記載の放射線画像検出装置であって、前記センサパネルを支持し、曲率中心の位置を可変に前記センサパネルを湾曲させる湾曲部を更に備える放射線画像検出装置。
(3) 上記(2)に記載の放射線画像検出装置であって、前記湾曲部は、前記センサパネルの曲率半径を可変に前記センサパネルを湾曲させる放射線画像検出装置。
(4) 上記(2)又は(3)に記載の放射線画像検出装置であって、前記湾曲部は、前記センサパネルの中心と曲率中心とを結ぶ直線の方向を可変に前記センサパネルを湾曲させる放射線画像検出装置。
(5) 上記(2)から(4)のいずれか一つに記載の放射線画像検出装置であって、前記湾曲部は、物理的刺激に応じて湾曲し、前記センサパネルに添着された少なくとも一つの被駆動体を含む放射線画像検出装置。
(6) 上記(2)から(4)のいずれか一つに記載の放射線画像検出装置であって、前記湾曲部は、物理的刺激に応じて伸縮し、一端を前記センサパネルに接続され、他端を固定された少なくとも一つの被駆動体を含む放射線画像検出装置。
(7) 上記(5)又は(6)に記載の放射線画像検出装置であって、前記湾曲部は、複数の前記被駆動体を有し、各被駆動体に対して独立に前記物理的刺激を与える放射線画像検出装置。
(8) 上記(1)から(7)のいずれか一つに記載の放射線画像検出装置であって、前記蛍光体は、柱状部に比べて隙間率が小さい非柱状部を更に含み、前記非柱状部において前記センサパネルに密接している放射線画像検出装置。
(9) 上記(8)に記載の放射線画像検出装置であって、前記非柱状部の厚みは、5μm〜50μmである放射線画像検出装置。
【0123】
また、本明細書には、下記(10)及び(11)の放射線撮影装置が開示されている。
【0124】
(10) 上記(1)から(9)に記載の放射線画像検出装置と、前記放射線画像検出装置に向けて放射線を照射する放射線源と、を備え、前記センサパネルの曲率中心が、前記放射線焦点に一致している放射線撮影装置。
(11) 上記(2)から(7)に記載の放射線画像検出装置と、前記放射線画像検出装置に向けて放射線を照射する放射線源と、前記放射線画像検出装置に対する前記放射線源の相対位置を検出する検出手段と、を備え、前記湾曲部は、前記検出手段によって検出される放射線源の相対位置に応じて前記センサパネルの曲率中心の位置が変化するように、前記センサパネルを湾曲させる放射線撮影装置。
【符号の説明】
【0125】
1 X線撮影システム
2 X線源
3 X線画像検出装置
4 コンソール
5 X線源保持装置
6 スタンド
10 X線源制御部
11 高電圧発生器
12 X線管
13 コリメータ
14 コリメータユニット
15 回転陽極
16 X線焦点
20 天井レール
21 台車部
22 支柱部
30 本体
31 保持部
40 制御装置
41 入力装置
42 画像処理部
43 記憶部
44 モニタ
46 バス
60 シンチレータ
61 センサパネル
62 検出部
63 支持体
64 筐体
65 湾曲部
70 光電変換素子
71 スイッチ素子
72 フレキシブルTFT基板
73 平坦化層
73 光導電層
74 バイアス電極
75 電荷収集電極
76 ゲート線
77 信号線
78 接続端子
79 接続回路
80 柱状部
81 非柱状部
82 柱状結晶
83 基板
90 バイメタル(被駆動部材)
91 駆動部
92 カバー部
93 係止部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射線露光によって蛍光を発する蛍光物質を含有した蛍光体と、
前記蛍光体が密接して設けられ、前記蛍光体が発する蛍光を検出するセンサパネルと、
を備える放射線画像検出器であって、
前記蛍光体は、前記蛍光物質の結晶が柱状に成長してなる柱状結晶の集合体からなる柱状部を含み、
前記センサパネルの前記蛍光体とは反対側に放射線入射面が設けられ、
前記センサパネルは、可撓性を有し、前記放射入射面側に曲率中心が位置するように湾曲された放射線画像検出装置。
【請求項2】
請求項1に記載の放射線画像検出装置であって、
前記センサパネルを支持し、曲率中心の位置を可変に前記センサパネルを湾曲させる湾曲部をさらに備える放射線画像検出装置。
【請求項3】
請求項2に記載の放射線画像検出装置であって、
前記湾曲部は、前記センサパネルの曲率半径を可変に前記センサパネルを湾曲させる放射線画像検出装置。
【請求項4】
請求項2又は3に記載の放射線画像検出装置であって、
前記湾曲部は、前記センサパネルの中心と曲率中心とを結ぶ直線の方向を可変に前記センサパネルを湾曲させる放射線画像検出装置。
【請求項5】
請求項2から4のいずれか一項に記載の放射線画像検出装置であって、
前記湾曲部は、物理的刺激に応じて湾曲し、前記センサパネルに添着された少なくとも一つの被駆動体を含む放射線画像検出装置。
【請求項6】
請求項2から4のいずれか一項に記載の放射線画像検出装置であって、
前記湾曲部は、物理的刺激に応じて伸縮し、一端を前記センサパネルに接続され、他端を固定された少なくとも一つの被駆動体を含む放射線画像検出装置。
【請求項7】
請求項5又は6に記載の放射線画像検出装置であって、
前記湾曲部は、複数の前記被駆動体を有し、各被駆動体に対して独立に前記物理的刺激を与える放射線画像検出装置。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一項に記載の放射線画像検出装置であって、
前記蛍光体は、柱状部に比べて隙間率が小さい非柱状部をさらに含み、前記非柱状部において前記センサパネルに密接している放射線画像検出装置。
【請求項9】
請求項8に記載の放射線画像検出装置であって、
前記非柱状部の厚みは、5μm〜50μmである放射線画像検出装置。
【請求項10】
請求項1から9に記載の放射線画像検出装置と、
前記放射線画像検出装置に向けて放射線を照射する放射線源と、
を備え、
前記センサパネルの曲率中心が、前記放射線焦点に一致している放射線撮影装置。
【請求項11】
請求項2から7に記載の放射線画像検出装置と、
前記放射線画像検出装置に向けて放射線を照射する放射線源と、
前記放射線画像検出装置に対する前記放射線源の相対位置を検出する検出手段と、
を備え、
前記湾曲部は、前記検出手段によって検出される放射線源の相対位置に応じて前記センサパネルの曲率中心の位置が変化するように、前記センサパネルを湾曲させる放射線撮影装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−173128(P2012−173128A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−35227(P2011−35227)
【出願日】平成23年2月21日(2011.2.21)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】