放射線画像読取装置及び導光手段の製造方法
【課題】導光体の短冊部の、輝尽光の出射端面側を精度良く容易に束ね固定することができ、且つ研磨加工を不要とすることができる導光手段を備えた放射線画像読取装置を提供する。
【解決手段】前記導光手段は、入射端面より所定の距離から検出部に対向する出射端面かけて延在する短冊状に分割された複数の短冊部と、前記複数の短冊部の側面に前記出射端面から所定の距離で配置された凸状のボスと、を備えた導光体と、複数の前記短冊部の出射端面側を束ね固定する固定部材と、を備え、前記短冊部をひねり及び湾曲させることにより、前記出射端面側を厚さ方向に重畳し、前記固定部材で、前記ボスを基準にして重畳された前記短冊部を束ね固定することにより、前記出射端面を平面状に形成することを特徴とする。
【解決手段】前記導光手段は、入射端面より所定の距離から検出部に対向する出射端面かけて延在する短冊状に分割された複数の短冊部と、前記複数の短冊部の側面に前記出射端面から所定の距離で配置された凸状のボスと、を備えた導光体と、複数の前記短冊部の出射端面側を束ね固定する固定部材と、を備え、前記短冊部をひねり及び湾曲させることにより、前記出射端面側を厚さ方向に重畳し、前記固定部材で、前記ボスを基準にして重畳された前記短冊部を束ね固定することにより、前記出射端面を平面状に形成することを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射線画像読取装置に係り、特に、輝尽性蛍光体層で発生した輝尽光を検出部に伝達する導光手段を備える放射線画像読取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、X線画像等の放射線画像は、医療現場における疾病診断用などの分野で広く用いられている。この放射線画像を得る方式としては、いわゆる放射線写真方式、即ち被写体を透過した放射線を蛍光体層に照射して可視光を生じさせ、この可視光をハロゲン化銀感光材料に照射して、現像処理等を施して銀塩画像を得る方式が広く利用されてきた。
【0003】
しかし、銀資源の枯渇の問題や現像処理等の煩雑さの回避等の要請から、放射線画像を銀塩画像として得る代わりに、例えば、被写体を透過した放射線を輝尽性蛍光体プレートの輝尽性蛍光体層(以下、蛍光体層という)に吸収させた後、蛍光体層にビーム状の励起光を照射し、その励起光を走査して、蛍光体層に蓄積されている放射線エネルギーを輝尽光として発光させる手法が開発されている。そして、発生した輝尽光を読み取り、光電変換により電気信号に変換、増幅して画像情報として読み取る放射線画像読取装置が知られている(例えば、特許文献1〜4等参照)。
【0004】
このような放射線画像読取装置では、従来の放射線写真方式と比較してはるかに少ない被曝線量で情報量の豊富な放射線画像を得ることができるという利点がある。また、輝尽性蛍光体プレートの蛍光体層は、輝尽光として蓄積した放射線エネルギーを放出すると再度放射線エネルギーの蓄積を行うことが可能であるため、繰り返し放射線画像撮影に用いることができるという利点がある。
【0005】
輝尽光は、光電子増倍管(フォトマルチプライヤ、フォトマル)やCCD(Charge Coupled Device)、固体画像検出器、フォトダイオード等の受光センサを備える検出部で光電変換により電気信号に変換、増幅されて画像情報として読み取られる。
【0006】
また、輝尽光を上記の検出部に伝達する導光手段として、特許文献1〜4に示されているように種々の形態のものが提案されている。しかし、導光手段を大型化した方が、検出効率が向上することから、放射線画像読取装置の読取部における導光手段の占有範囲が比較的大きなものとなり、装置の小型化を図る際の妨げになっていた。
【0007】
そこで、図12に示すように、励起光の走査方向に平行に直線状に延在し、輝尽光が入射する入射端面101aを有する入射部101と、入射部101の入射端面101aとは反対側の端部から光電子増倍管103側に延在する透明板状の複数の短冊状部分102aからなる導光部102と、を備える導光手段100が提案されている。
【0008】
この導光手段100では、図中右側の複数の短冊状部分102aRは、入射部101から光電子増倍管103に向かう軸Aを中心として左回りに捩じられるように形成され、図中左側の複数の短冊状部分102aLは、入射部101から光電子増倍管103に向かう軸Aを中心として右回りに捩じられるように形成されている。
【0009】
そして、各短冊状部分102aは、入射部101から光電子増倍管103に向かうに従って湾曲し、光電子増倍管103側の端部がそれぞれ重畳された状態にまとめられている。そのため、透明板状の各短冊状部分102aが光ファイバのように輝尽光を伝達し、各短冊状部分102aの内部を伝達してきた輝尽光が光電子増倍管103に的確に伝達されるように構成されている(例えば、特許文献5参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2001−352430号公報
【特許文献2】特開2005−318151号公報
【特許文献3】特開昭62−10641号公報
【特許文献4】特開2001−245100号公報
【特許文献5】特開2007−121487号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
特許文献5は、短冊状に分割した導光体を小面積に束ねるため、短冊部分を加熱して塑性変形させて曲げ成形している。
【0012】
この場合、導光体の後に配設されるフィルターを、輝尽光のロスなく導光体の出射面に接合するために、各短冊部の出射端面を厚さ方向に重畳して束ねた後、端部をカットして略平面状に加工し、更に端面を磨き加工(研磨加工)する必要があった。この加工においては、削りくずや磨き剤の除去が必要な上、固定など取り扱い時に導光体表面を傷つける恐れがあった。このため、加工コストが非常に高くなる恐れがあり、組立作業性も低下する恐れがあった。
【0013】
本発明は、上記状況に鑑みなされたもので、導光体の短冊部の、輝尽光の出射端面側を精度良く容易に束ね固定することができ、且つ研磨加工を不要とすることができる導光手段を備えた放射線画像読取装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的は、下記の構成により達成される。
【0015】
1.画像情報が記録された輝尽性蛍光体プレートに前記画像情報を読み出すための励起光を照射及び走査する光走査部と、前記輝尽性蛍光体プレートを前記励起光の走査方向と略直交する方向に搬送する搬送手段と、前記励起光の照射により前記輝尽性蛍光体プレートで発生した輝尽光を読み取って検出する検出部と、前記励起光の走査方向に平行に直線状に延在し前記輝尽光を入射する入射端面と前記輝尽光を出射する出射端面を備え前記入射端面が前記輝尽性蛍光体プレートに近接して配置され前記輝尽光を前記検出部に伝達する導光手段と、を有し、
前記導光手段は、前記入射端面より所定の距離から前記検出部に対向する出射端面かけて延在する短冊状に分割された複数の短冊部と前記複数の短冊部の側面に前記出射端面から所定の距離で配置された凸状のボスとを備えた導光体と、
複数の前記短冊部の出射端面側を束ね固定する固定部材と、を備え、
前記短冊部をひねり及び湾曲させることにより、前記出射端面側を厚さ方向に重畳し、 前記固定部材で、前記ボスを基準にして重畳された前記短冊部を束ね固定することにより、前記出射端面を平面状に形成することを特徴とする放射線画像読取装置。
【0016】
2.前記導光体は、金型を用いた射出成形により、前記短冊部の出射端面から所定の距離の側面に前記ボスが前記短冊部と一体的に形成されるとともに、前記出射端面には金型の鏡面加工された面の状態が転写されることを特徴とする前記1に記載の放射線画像読取装置。
【0017】
3.前記短冊部の前記出射端面は、束ね固定された後の研磨加工を要しない所定の平面性となるように前記固定部材で位置決めされ束ね固定されることを特徴とする前記1または2に記載の放射線画像読取装置。
【0018】
4.励起光の照射及び走査により画像情報が記録された輝尽性蛍光体プレートで発生した輝尽光を検出部に伝達する導光手段の製造方法であって、
金型を用いた射出成形により、励起光の走査方向に平行に直線状に延在し前記輝尽光が入射する入射端面と、前記入射端面より所定の距離から前記検出部に対向する出射端面かけて延在する短冊状に分割された複数の短冊部と、前記複数の短冊部の側面に出射端面から所定の距離で配置された凸状のボスと、を備えた導光体を一体的に成型するステップと、
複数の前記短冊部の出射端面側を重畳するステップと、
前記ボスを基準にして重畳された前記短冊部を固定部材で束ね固定するステップと、を有することを特徴とする導光手段の製造方法。
【発明の効果】
【0019】
上記により、各短冊部の出射端面の位置決めを容易に行うことができ、重畳した出射端面44を略平面状に容易に形成することができる。また、各短冊部の出射端面側を束ね固定した後の出射端面の研磨加工を不要とすることができる。
【0020】
これにより、大幅なコストダウンと、作業性の改善を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】放射線画像読取装置の主要部を示す概略図である。
【図2】導光手段の主構成を示す図である。
【図3】射出成形された直後の導光体の形態を示す図である。
【図4】各短冊部の短冊端部が重畳された状態を示す図である。
【図5】固定金具の例を示す図である。
【図6】短冊端部を固定金具で束ね固定した状態を示す図である。
【図7】上側のボスを2つとした、ボスの別形態を示す図である。
【図8】図7に示す短冊端部を上金具及び下金具で束ね固定した図である。
【図9】短冊端部が固定金具で固定された導光体と検出部を配列した模式図である。
【図10】短冊部に溝を設けた例である。
【図11】短冊部に溝を設けた場合の短冊部幅と有効光路幅の関係を示す図である。
【図12】従来例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に本発明に係る放射線画像読取装置の実施の形態について図を参照して説明する。
【0023】
なお、本発明は、以下に限定されるものではない。
【0024】
下記の実施の形態では、輝尽性蛍光体プレートPとして、輝尽性蛍光体層(蛍光体層)を有する公知の輝尽性蛍光体プレートが用いられる。また、輝尽性蛍光体プレートPには、すでに図示しない放射線画像撮影装置等により被写体を介して放射線が照射され、被写体の放射線画像が記録されているものとする。
【0025】
図1は、放射線画像読取装置の主要部を示す概略図である。放射線画像読取装置1は、光走査部2、搬送手段3、導光手段4、検出部5等を有している。
【0026】
光走査部2には、主に、レーザダイオード21、コリメートレンズ22、結像レンズ23、ポリゴンミラー24、fθレンズ25、シリンドリカルミラー26等が備えられている。
【0027】
光走査部2では、レーザダイオード21から出射されたレーザ光がコリメートレンズ22で平行光とされる。そして、平行光のごく一部がビームスプリッタ27により反射されてレーザパワーモニタ用のディテクタ28に送られ、ディテクタ28によるモニタの結果がレーザドライバ回路29にフィードバックされてレーザダイオード21からのレーザ出力が調整されるようになっている。
【0028】
また、平行光の大半は、シリンドリカルレンズからなる結像レンズ23で屈折され、ポリゴンミラー24の鏡面上で線状に結像して反射される。ポリゴンミラー24で反射された光はfθレンズ25、シリンドリカルミラー26を経て輝尽性蛍光体プレートPの像面に照射される。その際、ポリゴンミラー24の鏡面に入射するレーザ光に対する鏡面の傾きがポリゴンミラー24の回転に伴って変化することにより、輝尽性蛍光体プレートPの表面の蛍光体層に入射するレーザ光が蛍光体層の面(すなわち像面)上を走査方向X(図中の矢印X参照。主走査方向ともいう。)に移動し、読取線Zに沿って像面を走査するようになっている。このレーザ光が励起光となる。
【0029】
なお、レーザ光がポリゴンミラー24の1つの鏡面で反射されて輝尽性蛍光体プレートPの読取線Zの一方端から他方端まで、すなわち図1中で読取線Zの右側端から左側端まで走査し終わり、ポリゴンミラー24の次の鏡面で反射されるようになると、レーザ光は、再度輝尽性蛍光体プレートPの読取線Zの右側端から走査を開始し、左側端まで走査する。このようにポリゴンミラー24の回転により、輝尽性蛍光体プレートPの読取線Zに沿ったレーザ光の一方向の走査が繰り返されるようになっている。
【0030】
光走査部2は、このようにして、放射線画像の情報が記録された輝尽性蛍光体プレートPの蛍光体層(像面)から情報を読み出すための励起光としてレーザ光を照射し、走査するようになっている。
【0031】
放射線画像読取装置1の搬送手段3は、図示しない駆動モータ等の駆動装置により回転駆動される駆動ローラ31を備えており、駆動ローラ31は、従動ローラ32との間で輝尽性蛍光体プレートPを適切な圧力でニップしながら回転し、輝尽性蛍光体プレートPを搬送台33に沿って走査方向Xに略直交する搬送方向Y(図中の矢印Y参照。副走査方向ともいう。)に搬送するようになっている。
【0032】
また、搬送手段3は、上記のように、レーザ光による読取線Zの一方端から他方端までの1回の走査が終了して次の走査に移る間に、輝尽性蛍光体プレートPを搬送方向Yに所定量だけ搬送して移動させる。このように、輝尽性蛍光体プレートPの搬送と、輝尽性蛍光体プレートPへのレーザ光の照射とを交互に繰り返すことによって、輝尽性蛍光体プレートPの像面全体が2次元的にレーザ光で走査されるようになっている。
【0033】
なお、搬送手段3により輝尽性蛍光体プレートPを一定の速度で常時搬送する状態で、レーザ光を走査方向Xに走査しながら照射するように構成することも可能である。
【0034】
本実施の形態における導光手段4の構成については後で詳しく説明する。
【0035】
放射線画像読取装置1の検出部5は、レーザ光の照射によって輝尽性蛍光体プレートPの蛍光体層(像面)で発生し、導光手段4を伝達されてきた輝尽光を読み取って、電気信号に変換、増幅して検出する受光センサで形成されている。受光センサとしては、前述したように、光電子増倍管やCCD素子、固体画像検出器、フォトダイオード等を用いることができる。
【0036】
輝尽光に基づいて検出部5で検出された電気信号は、受光センサに接続された配線(不図示)を介して図示しない増幅装置に送信されるようになっている。なお、増幅装置を検出部5内に設け、受光センサ等と一体的に形成するように構成することも可能である。
【0037】
そして、増幅装置で増幅された電気信号は、コンピュータ等で構成される図示しない画像処理装置に伝送され、画像処理装置で適宜処理されて、画像データとして取得されるようになっている。画像データは、コンピュータ画面に画像として表示されたり、或いは図示しないイメージャ等によりプリントアウトされて、疾病診断用等に用いられたりする。
【0038】
放射線画像読取装置1の導光手段4は、上記のように、輝尽性蛍光体プレートPの蛍光体層(像面)でレーザ光の照射を受けて発生した輝尽光を検出部5に伝達する。
【0039】
図2は、導光手段4の主構成を示す図である。導光手段4は、導光体40、固定部材である固定金具60を備えている。
【0040】
導光体40は、図2に示すように、励起光の走査方向Xに平行な方向に直線状に延在する入射端面41から輝尽光が入射する入射部42、入射端面41より所定の距離から検出部5に対向する出射端面44かけて延在する複数の短冊状に分割された短冊部43を備えている。この所定の距離は、導光体40の厚さ、大きさ、短冊部43の幅、また成形条件等の成形での制約等を基に、適宜設定される。
【0041】
複数の短冊部43は、隣接する短冊部43同士が、入射部42から検出部5に向かう軸Aを中心として互いに逆方向に捩じられるように形成されている。
【0042】
また、複数の短冊部43は、入射部42側から検出部5側にかけて湾曲して設けられており、それらの出射端面44側の短冊端部43aが、入射端面41の延在方向すなわち走査方向Xに重畳された状態で、固定金具60で束ね固定される。そして、導光体40の複数の短冊部43の重畳された出射面44側に検出部5が取り付けられるようになっている。
【0043】
ここで、出射端面44と検出部5の入射面の間には、必要に応じフィルター(光学フィルター)が配設される。
【0044】
次に、本実施の形態に係る放射線画像読取装置1の作用について説明する。
【0045】
前述したように、放射線画像読取装置1の光走査部2では、図1に示したように、ポリゴンミラー24の回転によりレーザ光である励起光が輝尽性蛍光体プレートPの読取線Z上を走査され、レーザ光が照射された部分の輝尽性蛍光体プレートPの蛍光体層(像面)に放射線エネルギーが蓄積されていれば、蓄積されている放射線エネルギーが輝尽光として放射される。
【0046】
放射された輝尽光は、導光体40の入射端面41(図2参照)に入射し、導光体40の入射部42を伝達していく。その際、図1に示したように、輝尽光は、輝尽性蛍光体プレートPの像面から放射状に放射されるため、蛍光体層の同一の点で発生した輝尽光が導光体40の入射部42に入射した後、導光体40の各短冊部43を伝達される際、放射状に放射された輝尽光が1つの短冊部43を伝って伝達されるとは限らず、複数の短冊部43を伝達されて検出部5に到達する場合があり得る。
【0047】
しかし、複数の短冊部43の重畳された出射端面44側に検出部5が取り付けられているため、蛍光体層の同一の点で発生した輝尽光が複数の短冊部43を伝達されても、結局、それらの短冊部43中を伝達されて検出部5に到達する。また、輝尽光は光速で短冊部43中を伝達するため、輝尽光は、輝尽性蛍光体プレートPの蛍光体層上で発生すると同時に検出部5で検出される。
【0048】
そのため、検出部5で輝尽光を検出すると、その輝尽光は、現在レーザ光が輝尽性蛍光体プレートPに入射している位置における輝尽光すなわち放射線エネルギーであると特定することができる。
【0049】
また、輝尽光は、短冊部43中を伝達される際、短冊部43の壁面で反射されながら伝達される。しかし、その場合、輝尽光は全反射されるため、ほとんど導光ロスが生じない状態で検出部5まで到達する。
【0050】
このようにして、輝尽光が発生した輝尽性蛍光体プレートP上の位置と、検出部5で検出された電気信号とを一対一に対応付けながら、輝尽性蛍光体プレートPからの放射線エネルギーの読み取りが行われる。
【0051】
導光体40はアクリル等の透明な樹脂で形成され、各短冊部43の側面で出射端面44から所定の距離の位置に凸状のボスが形成される。この凸状のボスは、複数設けられてもよい。
【0052】
導光体40の形成は、金型を用い射出成形で行われることが好ましい。この金型に予めボス構造を加工することにより、各短冊部43にボスを任意に且つ低コストで一体的に形成することができる。
【0053】
各短冊部43の側面に設けられたボスの出射端面44からの距離は、重畳される複数の短冊端部43aの合計断面積、即ち出射端面44の合計面積、固定金具60の形状等を基に設計時等に適宜設定される。
【0054】
また、導光体40の出射端面44を形成する前記金型の対向面は、出射端面44に求められる平面性に応じた鏡面加工がされる。これにより、導光体40成形時にこの鏡面加工された対向面の表面形状が出射端面44に転写され、出射端面44は求められる平面性を備えた表面とされる。
【0055】
図3は、射出成形され、金型から取り外された直後の導光体40の形態を示す図である。図3に示す例では、各短冊部43の側面で出射端面44から所定の距離の位置の上下にそれぞれ1つの凸状のボス43bが形成される。
【0056】
図4は、各短冊部43の短冊端部43aが重畳された状態を示す図であり、図5は、固定金具60の例を示す図である。また、図6は、短冊端部43aを固定金具60で束ね固定した状態を示す図である。
【0057】
短冊端部43aは、図4に示すように重畳された後、固定金具60で束ね固定される。固定金具60は、図5に示す例では上金具61及び下金具62で構成され、上金具61及び下金具62には、それぞれボス43bが入り込み係合する係合溝61a、62bが設けられている。
【0058】
重畳された短冊端部43aを挟み込むように上金具61及び下金具62がそれぞれ上下から装着され、係合溝61a、62bにボス43bが係合される。更に、上金具61及び下金具62がネジ(不図示)で固定される。
【0059】
このように、各短冊端部43aはそれぞれに設けられたボス43bを基準として、上金具61及び下金具62で束ね固定される。それぞれの短冊部43に設けられたボス43bは、同一の所定の距離に形成されている。
【0060】
このようにボス43bを直線状に配置することにより、各短冊部43の出射端面44の位置決めを容易に行うことができ、重畳した出射端面44を略平面状に容易に形成することができる。
【0061】
このため、射出成形の金型は、その金型の各短冊部43のボス43bの出射端面からの距離のばらつきが、短冊端部43aが固定された時、許容される各短冊部43の出射端面44の位置のばらつきを最大値として、それ以下になるように加工される。
【0062】
図7は、ボスの別形態を示す図であり、上側のボスを2つとした例である。各短冊端部43aの上側面にボス43bに加え、ボス43cを追加したものである。ボス43cは、ボス43bとは異なる所定の距離に設けられる。図8は、図7に示す短冊端部43aを上金具61及び下金具62で束ね固定した図である。上金具61及び下金具62の係合溝61a、62bにボス43bが係合されるとともに、上金具61の一辺がボス43bとボス43cとに挟み込まれる。これにより、より正確に出射端面44の位置決めを行うことができ、重畳した出射端面44を略平面状に容易に形成することができる。
【0063】
図9は、短冊端部43aが固定金具60で固定された導光体40と検出部5を配列した模式図である。検出部5にフォトマルチプライヤを用い、導光体40と検出部5の間にフィルター51を配置している。射出端面44どうしの位置のばらつきは、射出端面44とフィルター51の間にUV接着剤を充填することにより解消している。本実施の形態では、UV接着剤の厚さを略200μmとしている。この充填に用いる充填剤は、特にUV接着剤に限定されるものではないが、充填作業のし易さや輝尽光のロスを抑制するためにはUV接着剤が好ましい。
【0064】
本実施の形態では、上記のように各短冊部43の側面に凸状のボス43bを形成し、そのボス43bと固定金具60とで各短冊部43の位置決めをして束ね固定したが、凹状の溝を各短冊部43の側面に凹状の溝を設けて行うこともできる。
【0065】
図10は、短冊部43に溝43gを設けた例である。短冊部43は、溝43gに入り込み係合する部材を備えた固定金具(不図示)で束ね固定される。しかしながら、図11に示すように、短冊部43の幅h1に対して有効光路幅h2が狭くなることから、凸状のボス43bを用いた方が有利である。
【0066】
上記のように、射出成形により各短冊部43の側面に凸状のボス43bを設け、それを基準として固定金具60で複数の短冊部43の短冊端部43aを束ね固定することにより、各短冊部43の出射端面44の位置決めを容易に行うことができ、重畳した出射端面44を略平面状に容易に形成することができる。
【0067】
また、出射端面44は、金型の鏡面加工された対向面の表面状態が転写されるため、短冊端部43aを束ね固定した後の出射端面44の研磨加工を不要とすることができる。
【0068】
これにより、大幅なコストダウンと、作業性の改善を図ることができる。
【符号の説明】
【0069】
1 放射線画像読取装置
2 光走査部
3 搬送手段
31 駆動ローラ
32 従動ローラ
4 導光手段
40 導光体
41 入射端面
42 入射部
43 短冊部
43a 短冊端部
43b、43c ボス
44 出射端面
5 検出部
60 固定金具
61 上金具
62 下金具
P 蛍光体プレート
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射線画像読取装置に係り、特に、輝尽性蛍光体層で発生した輝尽光を検出部に伝達する導光手段を備える放射線画像読取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、X線画像等の放射線画像は、医療現場における疾病診断用などの分野で広く用いられている。この放射線画像を得る方式としては、いわゆる放射線写真方式、即ち被写体を透過した放射線を蛍光体層に照射して可視光を生じさせ、この可視光をハロゲン化銀感光材料に照射して、現像処理等を施して銀塩画像を得る方式が広く利用されてきた。
【0003】
しかし、銀資源の枯渇の問題や現像処理等の煩雑さの回避等の要請から、放射線画像を銀塩画像として得る代わりに、例えば、被写体を透過した放射線を輝尽性蛍光体プレートの輝尽性蛍光体層(以下、蛍光体層という)に吸収させた後、蛍光体層にビーム状の励起光を照射し、その励起光を走査して、蛍光体層に蓄積されている放射線エネルギーを輝尽光として発光させる手法が開発されている。そして、発生した輝尽光を読み取り、光電変換により電気信号に変換、増幅して画像情報として読み取る放射線画像読取装置が知られている(例えば、特許文献1〜4等参照)。
【0004】
このような放射線画像読取装置では、従来の放射線写真方式と比較してはるかに少ない被曝線量で情報量の豊富な放射線画像を得ることができるという利点がある。また、輝尽性蛍光体プレートの蛍光体層は、輝尽光として蓄積した放射線エネルギーを放出すると再度放射線エネルギーの蓄積を行うことが可能であるため、繰り返し放射線画像撮影に用いることができるという利点がある。
【0005】
輝尽光は、光電子増倍管(フォトマルチプライヤ、フォトマル)やCCD(Charge Coupled Device)、固体画像検出器、フォトダイオード等の受光センサを備える検出部で光電変換により電気信号に変換、増幅されて画像情報として読み取られる。
【0006】
また、輝尽光を上記の検出部に伝達する導光手段として、特許文献1〜4に示されているように種々の形態のものが提案されている。しかし、導光手段を大型化した方が、検出効率が向上することから、放射線画像読取装置の読取部における導光手段の占有範囲が比較的大きなものとなり、装置の小型化を図る際の妨げになっていた。
【0007】
そこで、図12に示すように、励起光の走査方向に平行に直線状に延在し、輝尽光が入射する入射端面101aを有する入射部101と、入射部101の入射端面101aとは反対側の端部から光電子増倍管103側に延在する透明板状の複数の短冊状部分102aからなる導光部102と、を備える導光手段100が提案されている。
【0008】
この導光手段100では、図中右側の複数の短冊状部分102aRは、入射部101から光電子増倍管103に向かう軸Aを中心として左回りに捩じられるように形成され、図中左側の複数の短冊状部分102aLは、入射部101から光電子増倍管103に向かう軸Aを中心として右回りに捩じられるように形成されている。
【0009】
そして、各短冊状部分102aは、入射部101から光電子増倍管103に向かうに従って湾曲し、光電子増倍管103側の端部がそれぞれ重畳された状態にまとめられている。そのため、透明板状の各短冊状部分102aが光ファイバのように輝尽光を伝達し、各短冊状部分102aの内部を伝達してきた輝尽光が光電子増倍管103に的確に伝達されるように構成されている(例えば、特許文献5参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2001−352430号公報
【特許文献2】特開2005−318151号公報
【特許文献3】特開昭62−10641号公報
【特許文献4】特開2001−245100号公報
【特許文献5】特開2007−121487号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
特許文献5は、短冊状に分割した導光体を小面積に束ねるため、短冊部分を加熱して塑性変形させて曲げ成形している。
【0012】
この場合、導光体の後に配設されるフィルターを、輝尽光のロスなく導光体の出射面に接合するために、各短冊部の出射端面を厚さ方向に重畳して束ねた後、端部をカットして略平面状に加工し、更に端面を磨き加工(研磨加工)する必要があった。この加工においては、削りくずや磨き剤の除去が必要な上、固定など取り扱い時に導光体表面を傷つける恐れがあった。このため、加工コストが非常に高くなる恐れがあり、組立作業性も低下する恐れがあった。
【0013】
本発明は、上記状況に鑑みなされたもので、導光体の短冊部の、輝尽光の出射端面側を精度良く容易に束ね固定することができ、且つ研磨加工を不要とすることができる導光手段を備えた放射線画像読取装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的は、下記の構成により達成される。
【0015】
1.画像情報が記録された輝尽性蛍光体プレートに前記画像情報を読み出すための励起光を照射及び走査する光走査部と、前記輝尽性蛍光体プレートを前記励起光の走査方向と略直交する方向に搬送する搬送手段と、前記励起光の照射により前記輝尽性蛍光体プレートで発生した輝尽光を読み取って検出する検出部と、前記励起光の走査方向に平行に直線状に延在し前記輝尽光を入射する入射端面と前記輝尽光を出射する出射端面を備え前記入射端面が前記輝尽性蛍光体プレートに近接して配置され前記輝尽光を前記検出部に伝達する導光手段と、を有し、
前記導光手段は、前記入射端面より所定の距離から前記検出部に対向する出射端面かけて延在する短冊状に分割された複数の短冊部と前記複数の短冊部の側面に前記出射端面から所定の距離で配置された凸状のボスとを備えた導光体と、
複数の前記短冊部の出射端面側を束ね固定する固定部材と、を備え、
前記短冊部をひねり及び湾曲させることにより、前記出射端面側を厚さ方向に重畳し、 前記固定部材で、前記ボスを基準にして重畳された前記短冊部を束ね固定することにより、前記出射端面を平面状に形成することを特徴とする放射線画像読取装置。
【0016】
2.前記導光体は、金型を用いた射出成形により、前記短冊部の出射端面から所定の距離の側面に前記ボスが前記短冊部と一体的に形成されるとともに、前記出射端面には金型の鏡面加工された面の状態が転写されることを特徴とする前記1に記載の放射線画像読取装置。
【0017】
3.前記短冊部の前記出射端面は、束ね固定された後の研磨加工を要しない所定の平面性となるように前記固定部材で位置決めされ束ね固定されることを特徴とする前記1または2に記載の放射線画像読取装置。
【0018】
4.励起光の照射及び走査により画像情報が記録された輝尽性蛍光体プレートで発生した輝尽光を検出部に伝達する導光手段の製造方法であって、
金型を用いた射出成形により、励起光の走査方向に平行に直線状に延在し前記輝尽光が入射する入射端面と、前記入射端面より所定の距離から前記検出部に対向する出射端面かけて延在する短冊状に分割された複数の短冊部と、前記複数の短冊部の側面に出射端面から所定の距離で配置された凸状のボスと、を備えた導光体を一体的に成型するステップと、
複数の前記短冊部の出射端面側を重畳するステップと、
前記ボスを基準にして重畳された前記短冊部を固定部材で束ね固定するステップと、を有することを特徴とする導光手段の製造方法。
【発明の効果】
【0019】
上記により、各短冊部の出射端面の位置決めを容易に行うことができ、重畳した出射端面44を略平面状に容易に形成することができる。また、各短冊部の出射端面側を束ね固定した後の出射端面の研磨加工を不要とすることができる。
【0020】
これにより、大幅なコストダウンと、作業性の改善を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】放射線画像読取装置の主要部を示す概略図である。
【図2】導光手段の主構成を示す図である。
【図3】射出成形された直後の導光体の形態を示す図である。
【図4】各短冊部の短冊端部が重畳された状態を示す図である。
【図5】固定金具の例を示す図である。
【図6】短冊端部を固定金具で束ね固定した状態を示す図である。
【図7】上側のボスを2つとした、ボスの別形態を示す図である。
【図8】図7に示す短冊端部を上金具及び下金具で束ね固定した図である。
【図9】短冊端部が固定金具で固定された導光体と検出部を配列した模式図である。
【図10】短冊部に溝を設けた例である。
【図11】短冊部に溝を設けた場合の短冊部幅と有効光路幅の関係を示す図である。
【図12】従来例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に本発明に係る放射線画像読取装置の実施の形態について図を参照して説明する。
【0023】
なお、本発明は、以下に限定されるものではない。
【0024】
下記の実施の形態では、輝尽性蛍光体プレートPとして、輝尽性蛍光体層(蛍光体層)を有する公知の輝尽性蛍光体プレートが用いられる。また、輝尽性蛍光体プレートPには、すでに図示しない放射線画像撮影装置等により被写体を介して放射線が照射され、被写体の放射線画像が記録されているものとする。
【0025】
図1は、放射線画像読取装置の主要部を示す概略図である。放射線画像読取装置1は、光走査部2、搬送手段3、導光手段4、検出部5等を有している。
【0026】
光走査部2には、主に、レーザダイオード21、コリメートレンズ22、結像レンズ23、ポリゴンミラー24、fθレンズ25、シリンドリカルミラー26等が備えられている。
【0027】
光走査部2では、レーザダイオード21から出射されたレーザ光がコリメートレンズ22で平行光とされる。そして、平行光のごく一部がビームスプリッタ27により反射されてレーザパワーモニタ用のディテクタ28に送られ、ディテクタ28によるモニタの結果がレーザドライバ回路29にフィードバックされてレーザダイオード21からのレーザ出力が調整されるようになっている。
【0028】
また、平行光の大半は、シリンドリカルレンズからなる結像レンズ23で屈折され、ポリゴンミラー24の鏡面上で線状に結像して反射される。ポリゴンミラー24で反射された光はfθレンズ25、シリンドリカルミラー26を経て輝尽性蛍光体プレートPの像面に照射される。その際、ポリゴンミラー24の鏡面に入射するレーザ光に対する鏡面の傾きがポリゴンミラー24の回転に伴って変化することにより、輝尽性蛍光体プレートPの表面の蛍光体層に入射するレーザ光が蛍光体層の面(すなわち像面)上を走査方向X(図中の矢印X参照。主走査方向ともいう。)に移動し、読取線Zに沿って像面を走査するようになっている。このレーザ光が励起光となる。
【0029】
なお、レーザ光がポリゴンミラー24の1つの鏡面で反射されて輝尽性蛍光体プレートPの読取線Zの一方端から他方端まで、すなわち図1中で読取線Zの右側端から左側端まで走査し終わり、ポリゴンミラー24の次の鏡面で反射されるようになると、レーザ光は、再度輝尽性蛍光体プレートPの読取線Zの右側端から走査を開始し、左側端まで走査する。このようにポリゴンミラー24の回転により、輝尽性蛍光体プレートPの読取線Zに沿ったレーザ光の一方向の走査が繰り返されるようになっている。
【0030】
光走査部2は、このようにして、放射線画像の情報が記録された輝尽性蛍光体プレートPの蛍光体層(像面)から情報を読み出すための励起光としてレーザ光を照射し、走査するようになっている。
【0031】
放射線画像読取装置1の搬送手段3は、図示しない駆動モータ等の駆動装置により回転駆動される駆動ローラ31を備えており、駆動ローラ31は、従動ローラ32との間で輝尽性蛍光体プレートPを適切な圧力でニップしながら回転し、輝尽性蛍光体プレートPを搬送台33に沿って走査方向Xに略直交する搬送方向Y(図中の矢印Y参照。副走査方向ともいう。)に搬送するようになっている。
【0032】
また、搬送手段3は、上記のように、レーザ光による読取線Zの一方端から他方端までの1回の走査が終了して次の走査に移る間に、輝尽性蛍光体プレートPを搬送方向Yに所定量だけ搬送して移動させる。このように、輝尽性蛍光体プレートPの搬送と、輝尽性蛍光体プレートPへのレーザ光の照射とを交互に繰り返すことによって、輝尽性蛍光体プレートPの像面全体が2次元的にレーザ光で走査されるようになっている。
【0033】
なお、搬送手段3により輝尽性蛍光体プレートPを一定の速度で常時搬送する状態で、レーザ光を走査方向Xに走査しながら照射するように構成することも可能である。
【0034】
本実施の形態における導光手段4の構成については後で詳しく説明する。
【0035】
放射線画像読取装置1の検出部5は、レーザ光の照射によって輝尽性蛍光体プレートPの蛍光体層(像面)で発生し、導光手段4を伝達されてきた輝尽光を読み取って、電気信号に変換、増幅して検出する受光センサで形成されている。受光センサとしては、前述したように、光電子増倍管やCCD素子、固体画像検出器、フォトダイオード等を用いることができる。
【0036】
輝尽光に基づいて検出部5で検出された電気信号は、受光センサに接続された配線(不図示)を介して図示しない増幅装置に送信されるようになっている。なお、増幅装置を検出部5内に設け、受光センサ等と一体的に形成するように構成することも可能である。
【0037】
そして、増幅装置で増幅された電気信号は、コンピュータ等で構成される図示しない画像処理装置に伝送され、画像処理装置で適宜処理されて、画像データとして取得されるようになっている。画像データは、コンピュータ画面に画像として表示されたり、或いは図示しないイメージャ等によりプリントアウトされて、疾病診断用等に用いられたりする。
【0038】
放射線画像読取装置1の導光手段4は、上記のように、輝尽性蛍光体プレートPの蛍光体層(像面)でレーザ光の照射を受けて発生した輝尽光を検出部5に伝達する。
【0039】
図2は、導光手段4の主構成を示す図である。導光手段4は、導光体40、固定部材である固定金具60を備えている。
【0040】
導光体40は、図2に示すように、励起光の走査方向Xに平行な方向に直線状に延在する入射端面41から輝尽光が入射する入射部42、入射端面41より所定の距離から検出部5に対向する出射端面44かけて延在する複数の短冊状に分割された短冊部43を備えている。この所定の距離は、導光体40の厚さ、大きさ、短冊部43の幅、また成形条件等の成形での制約等を基に、適宜設定される。
【0041】
複数の短冊部43は、隣接する短冊部43同士が、入射部42から検出部5に向かう軸Aを中心として互いに逆方向に捩じられるように形成されている。
【0042】
また、複数の短冊部43は、入射部42側から検出部5側にかけて湾曲して設けられており、それらの出射端面44側の短冊端部43aが、入射端面41の延在方向すなわち走査方向Xに重畳された状態で、固定金具60で束ね固定される。そして、導光体40の複数の短冊部43の重畳された出射面44側に検出部5が取り付けられるようになっている。
【0043】
ここで、出射端面44と検出部5の入射面の間には、必要に応じフィルター(光学フィルター)が配設される。
【0044】
次に、本実施の形態に係る放射線画像読取装置1の作用について説明する。
【0045】
前述したように、放射線画像読取装置1の光走査部2では、図1に示したように、ポリゴンミラー24の回転によりレーザ光である励起光が輝尽性蛍光体プレートPの読取線Z上を走査され、レーザ光が照射された部分の輝尽性蛍光体プレートPの蛍光体層(像面)に放射線エネルギーが蓄積されていれば、蓄積されている放射線エネルギーが輝尽光として放射される。
【0046】
放射された輝尽光は、導光体40の入射端面41(図2参照)に入射し、導光体40の入射部42を伝達していく。その際、図1に示したように、輝尽光は、輝尽性蛍光体プレートPの像面から放射状に放射されるため、蛍光体層の同一の点で発生した輝尽光が導光体40の入射部42に入射した後、導光体40の各短冊部43を伝達される際、放射状に放射された輝尽光が1つの短冊部43を伝って伝達されるとは限らず、複数の短冊部43を伝達されて検出部5に到達する場合があり得る。
【0047】
しかし、複数の短冊部43の重畳された出射端面44側に検出部5が取り付けられているため、蛍光体層の同一の点で発生した輝尽光が複数の短冊部43を伝達されても、結局、それらの短冊部43中を伝達されて検出部5に到達する。また、輝尽光は光速で短冊部43中を伝達するため、輝尽光は、輝尽性蛍光体プレートPの蛍光体層上で発生すると同時に検出部5で検出される。
【0048】
そのため、検出部5で輝尽光を検出すると、その輝尽光は、現在レーザ光が輝尽性蛍光体プレートPに入射している位置における輝尽光すなわち放射線エネルギーであると特定することができる。
【0049】
また、輝尽光は、短冊部43中を伝達される際、短冊部43の壁面で反射されながら伝達される。しかし、その場合、輝尽光は全反射されるため、ほとんど導光ロスが生じない状態で検出部5まで到達する。
【0050】
このようにして、輝尽光が発生した輝尽性蛍光体プレートP上の位置と、検出部5で検出された電気信号とを一対一に対応付けながら、輝尽性蛍光体プレートPからの放射線エネルギーの読み取りが行われる。
【0051】
導光体40はアクリル等の透明な樹脂で形成され、各短冊部43の側面で出射端面44から所定の距離の位置に凸状のボスが形成される。この凸状のボスは、複数設けられてもよい。
【0052】
導光体40の形成は、金型を用い射出成形で行われることが好ましい。この金型に予めボス構造を加工することにより、各短冊部43にボスを任意に且つ低コストで一体的に形成することができる。
【0053】
各短冊部43の側面に設けられたボスの出射端面44からの距離は、重畳される複数の短冊端部43aの合計断面積、即ち出射端面44の合計面積、固定金具60の形状等を基に設計時等に適宜設定される。
【0054】
また、導光体40の出射端面44を形成する前記金型の対向面は、出射端面44に求められる平面性に応じた鏡面加工がされる。これにより、導光体40成形時にこの鏡面加工された対向面の表面形状が出射端面44に転写され、出射端面44は求められる平面性を備えた表面とされる。
【0055】
図3は、射出成形され、金型から取り外された直後の導光体40の形態を示す図である。図3に示す例では、各短冊部43の側面で出射端面44から所定の距離の位置の上下にそれぞれ1つの凸状のボス43bが形成される。
【0056】
図4は、各短冊部43の短冊端部43aが重畳された状態を示す図であり、図5は、固定金具60の例を示す図である。また、図6は、短冊端部43aを固定金具60で束ね固定した状態を示す図である。
【0057】
短冊端部43aは、図4に示すように重畳された後、固定金具60で束ね固定される。固定金具60は、図5に示す例では上金具61及び下金具62で構成され、上金具61及び下金具62には、それぞれボス43bが入り込み係合する係合溝61a、62bが設けられている。
【0058】
重畳された短冊端部43aを挟み込むように上金具61及び下金具62がそれぞれ上下から装着され、係合溝61a、62bにボス43bが係合される。更に、上金具61及び下金具62がネジ(不図示)で固定される。
【0059】
このように、各短冊端部43aはそれぞれに設けられたボス43bを基準として、上金具61及び下金具62で束ね固定される。それぞれの短冊部43に設けられたボス43bは、同一の所定の距離に形成されている。
【0060】
このようにボス43bを直線状に配置することにより、各短冊部43の出射端面44の位置決めを容易に行うことができ、重畳した出射端面44を略平面状に容易に形成することができる。
【0061】
このため、射出成形の金型は、その金型の各短冊部43のボス43bの出射端面からの距離のばらつきが、短冊端部43aが固定された時、許容される各短冊部43の出射端面44の位置のばらつきを最大値として、それ以下になるように加工される。
【0062】
図7は、ボスの別形態を示す図であり、上側のボスを2つとした例である。各短冊端部43aの上側面にボス43bに加え、ボス43cを追加したものである。ボス43cは、ボス43bとは異なる所定の距離に設けられる。図8は、図7に示す短冊端部43aを上金具61及び下金具62で束ね固定した図である。上金具61及び下金具62の係合溝61a、62bにボス43bが係合されるとともに、上金具61の一辺がボス43bとボス43cとに挟み込まれる。これにより、より正確に出射端面44の位置決めを行うことができ、重畳した出射端面44を略平面状に容易に形成することができる。
【0063】
図9は、短冊端部43aが固定金具60で固定された導光体40と検出部5を配列した模式図である。検出部5にフォトマルチプライヤを用い、導光体40と検出部5の間にフィルター51を配置している。射出端面44どうしの位置のばらつきは、射出端面44とフィルター51の間にUV接着剤を充填することにより解消している。本実施の形態では、UV接着剤の厚さを略200μmとしている。この充填に用いる充填剤は、特にUV接着剤に限定されるものではないが、充填作業のし易さや輝尽光のロスを抑制するためにはUV接着剤が好ましい。
【0064】
本実施の形態では、上記のように各短冊部43の側面に凸状のボス43bを形成し、そのボス43bと固定金具60とで各短冊部43の位置決めをして束ね固定したが、凹状の溝を各短冊部43の側面に凹状の溝を設けて行うこともできる。
【0065】
図10は、短冊部43に溝43gを設けた例である。短冊部43は、溝43gに入り込み係合する部材を備えた固定金具(不図示)で束ね固定される。しかしながら、図11に示すように、短冊部43の幅h1に対して有効光路幅h2が狭くなることから、凸状のボス43bを用いた方が有利である。
【0066】
上記のように、射出成形により各短冊部43の側面に凸状のボス43bを設け、それを基準として固定金具60で複数の短冊部43の短冊端部43aを束ね固定することにより、各短冊部43の出射端面44の位置決めを容易に行うことができ、重畳した出射端面44を略平面状に容易に形成することができる。
【0067】
また、出射端面44は、金型の鏡面加工された対向面の表面状態が転写されるため、短冊端部43aを束ね固定した後の出射端面44の研磨加工を不要とすることができる。
【0068】
これにより、大幅なコストダウンと、作業性の改善を図ることができる。
【符号の説明】
【0069】
1 放射線画像読取装置
2 光走査部
3 搬送手段
31 駆動ローラ
32 従動ローラ
4 導光手段
40 導光体
41 入射端面
42 入射部
43 短冊部
43a 短冊端部
43b、43c ボス
44 出射端面
5 検出部
60 固定金具
61 上金具
62 下金具
P 蛍光体プレート
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像情報が記録された輝尽性蛍光体プレートに前記画像情報を読み出すための励起光を照射及び走査する光走査部と、前記輝尽性蛍光体プレートを前記励起光の走査方向と略直交する方向に搬送する搬送手段と、前記励起光の照射により前記輝尽性蛍光体プレートで発生した輝尽光を読み取って検出する検出部と、前記励起光の走査方向に平行に直線状に延在し前記輝尽光を入射する入射端面と前記輝尽光を出射する出射端面を備え前記入射端面が前記輝尽性蛍光体プレートに近接して配置され前記輝尽光を前記検出部に伝達する導光手段と、を有し、
前記導光手段は、前記入射端面より所定の距離から前記検出部に対向する出射端面かけて延在する短冊状に分割された複数の短冊部と前記複数の短冊部の側面に前記出射端面から所定の距離で配置された凸状のボスとを備えた導光体と、
複数の前記短冊部の出射端面側を束ね固定する固定部材と、を備え、
前記短冊部をひねり及び湾曲させることにより、前記出射端面側を厚さ方向に重畳し、 前記固定部材で、前記ボスを基準にして重畳された前記短冊部を束ね固定することにより、前記出射端面を平面状に形成することを特徴とする放射線画像読取装置。
【請求項2】
前記導光体は、金型を用いた射出成形により、前記短冊部の出射端面から所定の距離の側面に前記ボスが前記短冊部と一体的に形成されるとともに、前記出射端面には金型の鏡面加工された面の状態が転写されることを特徴とする請求項1に記載の放射線画像読取装置。
【請求項3】
前記短冊部の前記出射端面は、束ね固定された後の研磨加工を要しない所定の平面性となるように前記固定部材で位置決めされ束ね固定されることを特徴とする請求項1または2に記載の放射線画像読取装置。
【請求項4】
励起光の照射及び走査により画像情報が記録された輝尽性蛍光体プレートで発生した輝尽光を検出部に伝達する導光手段の製造方法であって、
金型を用いた射出成形により、励起光の走査方向に平行に直線状に延在し前記輝尽光が入射する入射端面と、前記入射端面より所定の距離から前記検出部に対向する出射端面かけて延在する短冊状に分割された複数の短冊部と、前記複数の短冊部の側面に出射端面から所定の距離で配置された凸状のボスと、を備えた導光体を一体的に成型するステップと、
複数の前記短冊部の出射端面側を重畳するステップと、
前記ボスを基準にして重畳された前記短冊部を固定部材で束ね固定するステップと、を有することを特徴とする導光手段の製造方法。
【請求項1】
画像情報が記録された輝尽性蛍光体プレートに前記画像情報を読み出すための励起光を照射及び走査する光走査部と、前記輝尽性蛍光体プレートを前記励起光の走査方向と略直交する方向に搬送する搬送手段と、前記励起光の照射により前記輝尽性蛍光体プレートで発生した輝尽光を読み取って検出する検出部と、前記励起光の走査方向に平行に直線状に延在し前記輝尽光を入射する入射端面と前記輝尽光を出射する出射端面を備え前記入射端面が前記輝尽性蛍光体プレートに近接して配置され前記輝尽光を前記検出部に伝達する導光手段と、を有し、
前記導光手段は、前記入射端面より所定の距離から前記検出部に対向する出射端面かけて延在する短冊状に分割された複数の短冊部と前記複数の短冊部の側面に前記出射端面から所定の距離で配置された凸状のボスとを備えた導光体と、
複数の前記短冊部の出射端面側を束ね固定する固定部材と、を備え、
前記短冊部をひねり及び湾曲させることにより、前記出射端面側を厚さ方向に重畳し、 前記固定部材で、前記ボスを基準にして重畳された前記短冊部を束ね固定することにより、前記出射端面を平面状に形成することを特徴とする放射線画像読取装置。
【請求項2】
前記導光体は、金型を用いた射出成形により、前記短冊部の出射端面から所定の距離の側面に前記ボスが前記短冊部と一体的に形成されるとともに、前記出射端面には金型の鏡面加工された面の状態が転写されることを特徴とする請求項1に記載の放射線画像読取装置。
【請求項3】
前記短冊部の前記出射端面は、束ね固定された後の研磨加工を要しない所定の平面性となるように前記固定部材で位置決めされ束ね固定されることを特徴とする請求項1または2に記載の放射線画像読取装置。
【請求項4】
励起光の照射及び走査により画像情報が記録された輝尽性蛍光体プレートで発生した輝尽光を検出部に伝達する導光手段の製造方法であって、
金型を用いた射出成形により、励起光の走査方向に平行に直線状に延在し前記輝尽光が入射する入射端面と、前記入射端面より所定の距離から前記検出部に対向する出射端面かけて延在する短冊状に分割された複数の短冊部と、前記複数の短冊部の側面に出射端面から所定の距離で配置された凸状のボスと、を備えた導光体を一体的に成型するステップと、
複数の前記短冊部の出射端面側を重畳するステップと、
前記ボスを基準にして重畳された前記短冊部を固定部材で束ね固定するステップと、を有することを特徴とする導光手段の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2011−112685(P2011−112685A)
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−266131(P2009−266131)
【出願日】平成21年11月24日(2009.11.24)
【出願人】(303000420)コニカミノルタエムジー株式会社 (2,950)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年11月24日(2009.11.24)
【出願人】(303000420)コニカミノルタエムジー株式会社 (2,950)
【Fターム(参考)】
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