説明

放射線画像読取装置

【課題】大型の表示部を設けなくてもエラーを容易に認識することができる放射線画像読取装置を提供する。
【解決手段】カセッテ内の輝尽性蛍光体プレートの読取処理が正常に終了したか否かを判断し、読取処理が正常に終了した場合と読取処理が正常に終了していない場合とで排出部へのカセッテの排出位置を異ならしめる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射線画像読取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
挿入されたカセッテ内の輝尽性蛍光体プレートの画像情報を読み取った後、輝尽性蛍光体プレートの画像情報を消去し、その後カセッテを排出する放射線画像読取装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1には、画像データの読み取り中又は読み取り後にエラーが発生した場合は、放射線画像読取装置の排出口にカセッテを排出することが記載されている。また、エラーが生じた場合に、エラーの内容を示すエラーメッセージを表示部に表示することが記載されている。
【特許文献1】特開2002−156716号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1において、エラーが発生しカセッテが排出された場合、ユーザは、表示部のメッセージを確認し、その後の処置(カセッテハンドリングや患者の再撮影要否判断など)を行うことになる。
【0005】
一方、市場では、小型で安価な放射線画像読取装置が熱望されている。小型で安価な放射線画像読取装置においては、表示部としても、小型のものが設けられ、エラーメッセージを文章で表示するLCDのような大型で高価なものは採用しにくい。
【0006】
このような小型の表示部では、使用者はエラー表示を見落としてしまい、問題が発生する可能性がある。例えば、輝尽性蛍光体プレートに残留する放射線エネルギーの消去の途中でエラーが発生し不完全な消去状態でカセッテが排出された際に、使用者がそのエラーに気づかなかった場合、そのカセッテが誤ってそのまま次の患者に使用されてしまう虞がある。
【0007】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、大型の表示部を設けなくてもエラーを容易に認識することができる放射線画像読取装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の放射線画像読取装置は、輝尽性蛍光体プレートを収容するカセッテが挿入される挿入部と、前記カセッテが排出される排出部と、挿入部から挿入された前記カセッテを装置本体内に取り込むと共に、処理を終えた前記カセッテを排出部へ排出する第1搬送手段と、前記輝尽性蛍光体プレートから放射線画像の読取処理を行う処理部と、第1搬送手段から前記カセッテを受け取り、処理部へ搬送すると共に、処理を終えた前記カセッテを第1搬送手段に受け渡す第2搬送手段と、第1搬送手段、第2搬送手段、及び処理部を制御する制御部と、を有し、前記制御部は、前記処理部での読取処理が正常に終了したか否かを判断し、読取処理が正常に終了した場合と読取処理が正常に終了していない場合とで前記排出部への前記カセッテの排出位置を異ならしめることを特徴としている。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、本実施形態によれば、読取・消去未完了での排出時及び消去未完了での排出時におけるカセッテの排出位置を正常排出時の排出位置と異なるようにしたので、大型の表示部を設けなくても、カセッテの排出位置を確認することで、カセッテが読取・消去未完了又は消去未完了であることを容易に認識することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
(カセッテ構成)
特開2005−106783号公報に開示された構成を有する。
【0011】
図1は、本実施形態に係るカセッテのフロント部材(A)及びバック部材(B)が分離した状態を示す斜視図である。
【0012】
図1(A)、(B)に示すように、カセッテ90は、フロント部材910と、フロント部材910に対向するように配置されるバック部材920と、から全体として薄形の矩方体状に構成され、バック部材920側の支持板927に固定された状態で輝尽性蛍光体プレート928がその内部空間に収容可能に構成されている。フロント部材910とバック部材920とは脱着可能になっている。
【0013】
図1(A)のように、フロント部材910は、短辺側のフレーム917と長辺側のフレーム918とを有する外形枠のフレーム部材911と、フレーム部材911の内側面に内接された前面板913と、を備える。また、一方の短辺側のフレーム917のフレーム側面部9110の長手方向の略中央には、切り欠き部914が設けられている。
【0014】
図1(B)のように、バック部材920は、バック部材本体921と、輝尽性蛍光体プレート928と、輝尽性蛍光体プレート928を支持する支持板927と、を備える。また、バック部材920には、フロント部材910と係合してフロント部材910との結合をロックするためのロック爪930a、930b、932a、932d等がバック部材側面部9211にが設けられるとともに、ロック爪930a、930b、932a、932d等を連動してロックオン、ロックオフさせるためのスライド板950がフロント部材910の切り欠き部914に対応して設けられている。なお、ロック爪930a、930bが設けられた側面と反対側の側面、及びロック爪932a、932dが設けられた側面と反対側の側面にもロック爪が設けられているが図示されていない。
【0015】
カセッテ90は、フロント部材910側から放射線を照射して放射線撮影が行われ、収容された輝尽性蛍光体プレート928に放射線画像を蓄積し記録することができる。即ち、輝尽性蛍光体プレート928は、図2(A)のように、支持板927上に形成されたCsBrを母体とする輝尽性蛍光体からなる輝尽性蛍光体層928aを有し、輝尽性蛍光体層928aがシート状画像記録部を構成する。
【0016】
輝尽性蛍光体層928aは、蒸着による気相成長法で形成されており、図2(B)のような気相成長法による柱状結晶からなり、その柱状結晶の成長方向Vは輝尽性蛍光体プレート928の厚さ方向表面928bに向けて延びている。柱状結晶の平均径は約3μm程度である。また、輝尽性蛍光体層928aの厚さtは、20μm乃至2mmの範囲内にある。
【0017】
図3は、図1のフロント部材910とバック部材920とが合体したカセッテの断面を模式的に示す断面図である。フロント部材910のフレーム部材911は、前面側に面するフレーム前面部9114と、フレーム前面部9114の端部から略直角に後面側へ屈曲したフレーム側面部9110と、フレーム側面部9110の端部から更に略垂直に幅方向内側へ屈曲したフレーム後面部9111と、フレーム後面部9111の端部から所定の角度の傾斜でフレーム前面部9114の方向へ屈曲した傾斜面部9112と、を有する。また、フレーム前面部9114の裏面には、フレーム側面部9110と同じ方向に突出する遮光突起9115が設けられている。また、フレーム前面部9114と、フレーム側面部9110と、傾斜面部9112と、遮光突起9115とで囲まれた空間により、フレーム部材911の内部に凹部912が形成される。
【0018】
バック部材920のバック部材本体921は、バック部材後面部9210と、バック部材後面部9210から前面側に略直角に屈曲したバック部材側面部9211と、を有する。また、バック部材後面部9210の前面には、バック部材側面部9211と同じ方向に突出する内壁9213とリブ9214が設けられている。また、図2のように、バック部材後面部9210と、バック部材側面部9211と、内壁9213とで囲まれた空間に凹部922が形成される。
【0019】
バック部材920のリブ9214には、例えば、鉛箔がPETフィルムでコーティングされた構成である裏板923が固定されている。その裏板923には両面テープや接着剤などによって張り替え可能な強さで支持板927が輝尽性蛍光体層928aの反対面927aで接着されており、支持板927の前面側には、上述のように気相成長法(蒸着)により形成された輝尽性蛍光体層928aが位置する。このようにして、輝尽性蛍光体プレート928はバック部材920側に収容されている。
【0020】
上述のカセッテ90では、バック部材920とフロント部材910とを図3のように組み合わせると、バック部材920の凹部922ヘフロント部材910の遮光突起9115が入り込むとともに、フロント部材910の凹部912ヘバック部材920のバック部材側面部9211が入り込む。このような構造により、バック部材920とフロント部材910とが一体に合体してカセッテ90を構成し、外光が輝尽性蛍光体プレート928へ到達しないように遮光を行う。また、フロント部材910の凹部912や、バック部材920の凹部922に、例えば、ビロードやスポンジなどを備え、バック部材920とフロント部材910とがより密着するようにすると、さらに遮光性を向上できる。
【0021】
また、バック部材本体921は、後述する放射線画像読み取り装置内で磁石の磁力により吸着、保持されるため、磁石に磁力で吸着可能なように、バック部材本体921自体を磁性部として、磁性体プラスチックなどで形成することが好ましい。また、バック部材本体921を通常のプラスチックで形成し、鉄箔などの磁性体シート(図示せず)を磁性部としてバック部材920の裏面924に備える構成してもよい。また、バック部材920の裏面924に、磁性体物質を塗布するなどし、磁性部を付与してもよい。
【0022】
上述のように、フロント部材910とバック部材920とは合体し、また脱着可能であるが、通常は図3に示すように合体した状態で放射線撮影などが行われる。フロント部材910とバック部材920とが分離・合体するときは、図2(A)、(B)のように輝尽性蛍光体プレート928の柱状結晶の成長方向と略同一方向にフロント部材910とバック部材920とが相対的に平面同士が離れまた近づくようにして分離しまた合体する。従って、フロント部材910とバック部材920とが脱着するとき、輝尽性蛍光体プレート928に外力が加わることが生じても、柱状結晶成長方向に略直交する方向ではなく、柱状結晶の成長方向と略同一方向に加わるので、柱状結晶が壊れ難くなる。このようにして、気相成長法により成長させた柱状結晶を用いた記録媒体に最適なカセッテ構造を有するカセッテを実現できる。
【0023】
輝尽性蛍光体プレート928の輝尽性蛍光体としては、本実施の形態では、CsBrを用いたが、本発明はこれに限定されずに、他の輝尽性蛍光体であってもよく、次の一般式(1)で表されるハロゲン化アルカリを母体とする輝尽性蛍光体を用いることができる。これらの輝尽性蛍光体を、蒸着法、スパッタリング法、CVD法、イオンプレーティング法などの気相成長法により柱状結晶に形成できる。
【0024】
一般式:M1X・aM2X’2・bM3X”3:eA (1)
上記式(1)において、M1は、Na、K、Rb及びCsの各原子から選ばれる少なくとも1種のアルカリ金属原子であり、M2は、Be、Mg、Ca、Sr、Ba、Zn、Cd、Cu及びNiの各原子から選ばれる少なくとも1種の二価金属原子であり、M3は、Sc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Al、Ga及びInの各原子から選ばれる少なくとも1種の三価金属原子であり、X、X’、X”は、F、Cl、Br及び1の各原子から選ばれる少なくとも1種のハロゲン原子であり、Aは、Eu、Tb、In、Cs、Ce、Tm、Dy、Pr、Ho、Nd、Yb、Er、Gd、Lu、Sm、Y、Tl、Na、Ag、Cu及びMgの各原子から選ばれる少なくとも1種の金属原子であり、また、a、b、eは、それぞれ、0≦a<0.5、0≦b<0.5、0≦b<0.5、0<e≦0.2である。
【0025】
また、カセッテ90には、そのカセッテ90のサイズ等を表したバーコードが付されている。カセッテ90のサイズとしては、14インチ×17インチ(半切サイズ)、10インチ×12インチ(四切サイズ)、8インチ×10インチ(六切サイズ)がある。
【0026】
(装置構成)
図4は、本実施形態における放射線画像読取装置1の上面、正面及び左側面を示した斜視図である。
【0027】
図4に示すように、放射線画像読取装置1はほぼ直方体箱状に設けられた筐体2を有し、筐体2内に種々の部材、機構が設けられることで放射線画像読取装置1が構成されている。
【0028】
筐体2の左側面は、開閉自在な蓋21として設けられている。筐体2の上面22には、左右方向に長尺な矩形状の挿入排出口23が貫通している。この挿入排出口23を通じて、図1に示したカセッテ90を筐体2内に挿入することができる。挿入排出口23は、本発明の挿入部及び排出部に相当する。
【0029】
図5及び図6を用いて、挿入排出口23の周囲の挿入排出口の構造について説明する。図5は、放射線画像読取装置1の上面図であり、図6は、図5の切断線IV−IVに沿った面の矢視断面図である。
【0030】
図5及び図6に示すように、挿入排出口23の前側の縁には、下方に向けて側壁24が筐体2に一体に形成されている。挿入排出口23の後側の縁には、下方に向けて側壁27が筐体2に一体形成されている。挿入排出口23の後側の縁から右側の縁にかけては、L字状の凸部25が筐体2に一体に形成されている。
【0031】
筐体2の内側であって側壁27の後側には、板ばね30が設けられている。板ばね30には、コロ31が取り付けられ、コロ31は左右方向の軸周りに回転可能に設けられている。なお、複数のコロ31が左右方向に配列されており、それぞれのコロ31に対応して板ばね30が設けられている。
【0032】
側壁27には貫通孔32がそれぞれのコロ31に対応して形成されており、コロ31の一部が側壁27の後ろから貫通孔32を通じて側壁27の前に突出している。
【0033】
また、挿入排出口23には、カセッテ90のバーコードを読み取るバーコードリーダ24が設けられている。バーコードリーダ24は、カセッテ90の側部を挿入排出口23の右側の縁に当接させながら挿入したときに、カセッテ90に設けられたバーコードが対向するような位置に設けられている。
【0034】
図7を用いて、筐体2の内側の構成について説明する。図7は、筐体2を図5の切断線V−Vに沿った面の矢視断面図である。この放射線画像読取装置1の筐体2の内側には、輝尽性蛍光体プレート928を走査することで輝尽性蛍光体プレート928の放射線画像を読み取る走査型の画像読取ヘッド8が設けられている。更に、この放射線画像読取装置1の筐体2の内側には、カセッテ90の取込排出装置9が設けられている。取込排出装置9は、挿入排出口23を通じてカセッテ90を筐体2内に取り込んで、バック部材920及び輝尽性蛍光体プレート928を画像読取ヘッド8にとって走査可能な位置にローディングし、画像読取後のカセッテ90をイジェクトするものである。以下、画像読取ヘッド8及び取込排出装置9について説明する。
【0035】
まず、取込排出装置9の構成について説明する。図7に示すように、挿入排出口23の下側には蓋部材28が配設され、蓋部材28が開閉モータ33によって左右方向の軸周りに回転することによって、挿入排出口23が蓋部材28によって開閉されるようになっている。
【0036】
図8は、筐体2の内側の構造を示した図面であって、前面側の構造の背面、上面及び左側面を示した斜視図である。図9は、筐体2の内側の構造を示した図面であって、前面側の構造の正面、上面及び左側面を示した斜視図である。
【0037】
図7〜図9に示すように、挿入排出口23の直下よりやや前側には、フレーム板34が垂直に立設されている。フレーム板34の背面であってその左右中央部には、上下に延在した直動ガイド40が取り付けられている。この直動ガイド40には昇降台41が設けられ、昇降台41が直動ガイド40に対して上下方向に摺動可能となっており、直動ガイド40に沿って昇降台41が案内される。一方、フレーム板34の前面であってその上部には駆動部としての昇降モータ42が取り付けられ、昇降モータ42の上方においてプーリー43が左右方向の軸回りに回転可能となってフレーム板34に取り付けられている。昇降モータ42の動力取出軸とプーリー43には無端ベルト44がリング状に掛けられている。また、プーリー43にはプーリー45が直結され、プーリー45の後方においてプーリー46が左右方向の軸回りに回転可能となってフレーム板34に取り付けられている。フレーム板34の下端部には、プーリー47が左右方向の軸回りに回転可能となって取り付けられており、プーリー45、プーリー46及びプーリー47に無端ベルト48がリング状に掛けられている。この無端ベルト48が昇降台41に連結され、昇降モータ42の動力がプーリー43、プーリー45〜47及び無端ベルト44、48によって昇降台41に伝達することによって、昇降台41が昇降するようになっている。
【0038】
フレーム板34の背面であってその右部には、固定ガイド部56が凸設されている。この固定ガイド部56は、上下方向に長尺な直線突条状に形成されている。固定ガイド部56には、ロック解除ピン58が設けられており、ロック解除ピン58がモータ59によって左に突出するとともに右に引き込むようになっている。このロック解除ピン58が突出すると、カセッテ90のスライド板950が押し込まれ、フロント部材910とバック部材920とをロックしているロック爪930a、930b、932a、932d等が解除されることにより、カセッテ90のフロント部材910とバック部材920とが分離可能となる。
【0039】
フレーム板34の背面であってその左部には、左右方向に延在した直動ガイド57が取り付けられている。この直動ガイド57には移動ガイド部51が設けられ、移動ガイド部51が直動ガイド57に対して左右方向に摺動可能となっており、直動ガイド57に沿って移動ガイド部51が案内される。一方、フレーム板34の前面であってその右部には、幅調整モータ52が取り付けられている。フレーム板34の前面であって幅調整モータ52のすぐ左には、プーリー55が前後方向の軸回りに回転可能となって取り付けられており、幅調整モータ52が伝動機構を介してプーリー55に連結されている。フレーム板34の前面であってその左端部には、プーリー53が前後方向の軸回りに回転可能となって取り付けられている。プーリー53、プーリー55には無端ベルト54がリング状に掛けられている。無端ベルト54が移動ガイド部51に連結され、幅調整モータ52の動力がプーリー53,55及び無端ベルト54によって移動ガイド部51に伝達することによって、移動ガイド部51が固定ガイド部56に対して接離するようになっている。
【0040】
図10は、筐体2の内側の構造を示した図面であって、昇降台41よりも後側の構造の正面、上面及び左側面を示した斜視図である。図11は、筐体2の内側の構造を示した図面であって、昇降台41よりも後側の構造の背面、上面及び左側面を示した斜視図である。
【0041】
図10及び図11に示すように、昇降台41及び移動ガイド部51の後方には、移動板61が配設され、移動板61の前面には磁石60が貼り付けられている。移動板61の上部には貫通孔62が形成され、貫通孔62にガイド柱64が挿入されている。ガイド柱64は、筐体2内の後側において筐体2に固定されたフレーム63の上部から前方に向かって突出するよう立設されており、ガイド柱64によって移動板61が案内されて前後に移動可能となっている。
【0042】
図11及び図12に示すように、移動板61は、リンク機構65によって、筐体2の背面に平行な状態で前後に移動可能となっている。リンク機構65は、移動板61の後方に配設されたリンク片66、2つのリンク片67、2つの軸部材68、軸部材69、2つの摺動軸70、軸部材71、2つの摺動軸72から構成されている。ここで、図12は、リンク機構65が開いた状態の正面、上面及び左側面を示した斜視図である。
【0043】
リンク片67の中間部が軸部材68によってリンク片66の中間部に回転可能に連結され、リンク片67の一端部が軸部材71によってフレーム63の上部に回転可能に連結され、リンク片67の他端部は摺動軸72によって移動板61の下部に対して上下に移動可能に連結されている。
【0044】
リンク片66の一端部は軸部材69によって移動板61の上部に回転可能に連結され、リンク片66の他端部は摺動軸70によってフレーム63の下部に対して上下に移動可能に連結されている。
【0045】
また、リンク片66の他端部には移動体73が連結され、リンク片66の他端部は移動体73に対して左右方向の軸回りに回転可能となっている。移動体73は上下方向に延在したボールネジ74に螺合し、このボールネジ74がその軸回りに回転可能となってフレーム63に取り付けられている。ボールネジ74の上端部には、ウォームホイール75が設けられており、このウォームホイール75にはウォーム76が噛み合っており、ウォーム76はモータ77の動力取出軸に直結されている。
【0046】
移動板61がモータ77及びリンク機構65によって前方に移動することにより、昇降台41に載置されたカセッテ90のバック部材920が磁石60に吸着し、その後の移動板61が後方に移動することによってバック部材920が移動板61とともに後方に移動するようになっている。なお、移動板61が移動可能範囲内で最も後ろのホームポジションに位置した場合において、その移動板61に吸着したバック部材920及び輝尽性蛍光体プレート928が、画像読取ヘッド8にとって走査可能な位置にある。
【0047】
次に、図7及び図10を用いて画像読取ヘッド8について説明する。画像読取ヘッド8は、本発明の処理部に相当し、読取処理及び消去処理を実行する。画像読取ヘッド8は、フレーム63と昇降台41との間に設けられ、リニアモータ81によって左右方向に移動するようになっている。図においては画像読取ヘッド8のケース82が図示され、このケース82内には、走査型励起光照射機構及び光検出器が設けられ、更にケース82には消去光照射機構が取り付けられている。走査型励起光照射機構は、レーザダイオード、コリメータレンズ、ポリゴンミラー、反射鏡、シリンドリカルレンズ及びモータ等から構成されている。走査型励起光照射機構は、輝尽性蛍光体プレート928を励起する波長帯域のレーザ光を後方に向けて照射し、そのレーザ光の照射箇所を上下方向に移動させるものである。光検出器は、導光体、集光管及び受光センサ等から構成されている。光検出器は、輝尽性蛍光体プレート928から発した輝尽発光光を走査型励起光照射機構の照射範囲(走査範囲)で受光するとともに受光した光の光電変換を行うものである。消去光照射機構は、輝尽性蛍光体プレート928の放射線エネルギーを消去する波長帯域の消去光を後方に向けて照射するものである。
【0048】
尚、前述した2分割構造のカセッテにおける半切サイズのカセッテの14インチの辺が挿入部の挿入方向となるよう放射線画像読取装置1の各部のレイアウトを構成することで、放射線画像読取装置1の上面にある挿入位置を低くすることができ、カセッテ挿入時に技師等がカセッテを重力に抗して持ち上げることが不要となり、ユーザの操作性(カセッテ着脱操作性)が大幅に向上する、本実施例の構成では、床面からカセッテ挿入口まで約700mmである。
【0049】
(制御構成と基本動作)
図13に示すように、この放射線画像読取装置1は、全体を制御するコントローラ10を備える。このコントローラ10は、取込排出装置9の制御部も兼ねている。
【0050】
コントローラ10は、CPU、RAM、論理回路、ドライバ、シーケンサー等を備えており、開閉モータ33、昇降モータ42、幅調整モータ52、モータ59、モータ77及びリニアモータ81を制御するものである。コントローラ10は、本発明の制御部に相当する。
【0051】
ROM11には、表1に示すようなデータテーブルが格納されている。このデータテーブルは、カセッテ90のサイズごとに突出長さが対応づけられている。ここで、突出長さとは、挿入排出口23からカセッテ90が排出された場合において筐体2の上面22から突出した長さである。本実施形態においては、サイズが半切であっても、四切であっても、六切であっても、データテーブルの突出長さが同じとされている。具体的には、図14においては、半切サイズにおける突出長さH1、四切サイズにおける突出長さH2及び六切サイズにおける突出長さH3は同じ値とされている。
【0052】
【表1】

【0053】
なお、カセッテ90のサイズごとに突出長さが対応づけられたデータテーブルの代わりに、カセッテ90のサイズごとに上昇距離が対応づけられたデータテーブルを用いても良い。ここで、上昇距離とは、昇降台41の上昇により挿入排出口23からカセッテ90が排出される場合における移動距離である。サイズが半切であっても、四切であっても、六切であっても、そのデータテーブルの上昇距離だけ上昇させた場合において上面22から突出長さが同じとなる。
【0054】
コントローラ10は、バーコードリーダ24によって読み取られたバーコードからカセッテ90のサイズを認識する機能を有する。コントローラ10は、認識したサイズに対応した突出長さをデータテーブルから読み込む機能を有する。更に、コントローラ10は、読み込んだ突出長さだけカセッテ90が上面22の挿入排出口23から突出するように昇降モータ42を制御する機能を有する。コントローラ10は、画像読取ヘッド8に走査を行わせることで画像を読み取り、コントローラ10は、画像読取ヘッド8によって読み取った画像を不揮発性メモリ12に記録する機能を有する。
【0055】
続いて、放射線画像読取装置1の使用方法及び動作について説明する。
【0056】
カセッテ90を挿入排出口23に投入する前の初期状態では、昇降台41が移動可能範囲内で最も上のホームポジションに位置し、2つの移動ガイド部51は移動可能範囲内で固定ガイド部56から最も離れたホームポジションに位置し、移動板61は移動可能範囲内で最も後ろのホームポジション(走査可能位置)に位置し、画像読取ヘッド8は移動可能範囲内で最も右のホームポジションに位置し、蓋部材28によって挿入排出口23が閉塞されている。
【0057】
まず、ユーザがカセッテ90のバック部材920を後ろに向けてカセッテ90を挿入排出口23に挿入し、ユーザがカセッテ90を放せば、カセッテ90が自重により落下し、カセッテ90が蓋部材28に載置される。コロ31はカセッテ90に従動するよう回転する。なお、カセッテ90の挿入に際しては、特に最大サイズ(半切サイズ)のカセッテ90の挿入に際しては、カセッテ90の短辺を上下方向とし、カセッテ90の長辺が蓋部材28に載置されるように、カセッテ90を挿入することが好ましい。カセッテ90が蓋部材28に載置され、カセッテ90のバーコードがバーコードリーダ24によって読み取られることにより蓋部材28は開放する。
【0058】
もし、カセッテ90のフロント部材910を後ろに向けてカセッテ90を挿入排出口23に挿入すると、カセッテ90のバーコードがバーコードリーダ24によって読み取られないので、蓋部材28が閉じたままである。その場合には、ユーザは、カセッテ90を挿入排出口23から一旦出して、カセッテ90の裏表を返して、カセッテ90を挿入排出口23に再び挿入すれば良い。
【0059】
また、もし、カセッテ90の裏表を正しくしてカセッテ90を挿入排出口23に挿入した場合でも、カセッテ90が左寄りにあるとカセッテ90のバーコードがバーコードリーダ24によって読み取られないので、蓋部材28が閉じたままである。その場合には、ユーザは、カセッテ90を挿入排出口23に挿入した状態でカセッテ90を右に動かせば良い。
【0060】
カセッテ90が蓋部材28に載置されて、カセッテ90のバーコードがバーコードリーダ24によって読み取られると、コントローラ10がそのカセッテ90のサイズを認識する。そして、コントローラ10はそのサイズに対応した突出長さを表1のデータテーブルから読み込み、そのサイズとその突出長さをRAMに一時記憶する。
【0061】
次に、コントローラ10は、開閉モータ33を作動させることによって蓋部材28が開く。蓋部材28が開くことによってカセッテ90が自重により落下し、カセッテ90が昇降台41に載置される。
【0062】
次に、コントローラ10が昇降モータ42を作動させることによって昇降台41とともにカセッテ90が下降し、カセッテ90が固定ガイド部56と移動ガイド部51の間に位置したら、昇降モータ42が停止する。昇降台41及び昇降モータ42は、本発明の第1搬送手段に相当する。
【0063】
次に、コントローラ10が幅調整モータ52を作動させることによって移動ガイド部51が右方の固定ガイド部56に向かって近づき、移動ガイド部51と固定ガイド部56との間にカセッテ90が挟まれる。これにより、カセッテ90の左右方向に沿った位置が正確に調整される。
【0064】
次に、コントローラ10が昇降モータ42を作動させることによって昇降台41が更に下降するが、カセッテ90は移動ガイド部51及び固定ガイド部56によって案内されながら昇降台41とともに下降する。カセッテ90全体が筐体2の中に入ると、コントローラ10が開閉モータ33を作動させることによって蓋部材28が閉じ、更にコントローラ42が昇降モータ42を停止させる。
【0065】
次に、コントローラ10がモータ77を作動させることによってボールネジ74が回転され、移動体73が上昇する。移動体73の上昇により、リンク機構65が開き、移動板61が筐体2の背面にほぼ平行な状態で前方に移動する。移動板61が前方に移動すると、磁石60がカセッテ90のバック部材920に当接し、磁石60にバック部材920が貼り付く。モータ77、移動体73、ボールネジ74、リンク機構65、移動板61等が、本発明の第2搬送手段に相当する。
【0066】
次に、コントローラ10がモータ59を作動させることによってこのロック解除ピン58が左に突出し、カセッテ90のスライド板950が押し込まれ、フロント部材910とバック部材920とをロックしているロック爪930a、930b、932a、932d等が解除されることにより、カセッテ90のフロント部材910とバック部材920とが分離可能となる。
【0067】
次に、コントローラ10がモータ77を逆回転に駆動することによってボールネジ74が逆に回転され、移動体73が下降してリンク機構65が閉じ、移動板61が筐体2の背面にほぼ平行な状態で後方に移動する。バック部材920が磁石60に貼り付いているので、移動板61とともにバック部材920及び輝尽性蛍光体プレート928も後方に移動し、バック部材920がフロント部材910から分離される。移動板61が後ろのホームポジションに到着してコントローラ10がモータ77を停止する。この状態では輝尽性蛍光体プレート928が前方に向いた状態で露出するが、コントローラ10がリニアモータ81を作動させることによって画像読取ヘッド8が輝尽性蛍光体プレート928の前を右から左へ移動する。画像読取ヘッド8の左への移動中には、コントローラ10が画像読取ヘッド8の走査型励起光照射機構及び光検出器を駆動することによって、輝尽性蛍光体プレート928の面内の輝尽発光光の強度分布が画像データとして画像読取ヘッド8によって読み取られ、輝尽性蛍光体プレート928に記録された放射線画像がコントローラ10に入力される。コントローラ10はその画像データを不揮発性メモリ12に記録する。
【0068】
画像読取ヘッド8が輝尽性蛍光体プレート928の左まで到着すると、コントローラ10が画像読取ヘッド8の消去光照射機構を点灯させた状態でリニアモータ81を逆向きに作動させる。これにより、画像読取ヘッド8が右のホームポジションへ移動し、輝尽性蛍光体プレート928に残留する放射線エネルギーが消去光により放出される。
【0069】
画像読取ヘッド8が右のホームポジションに到着すると、コントローラ10がモータ77を作動させることによって移動体73が上昇してリンク機構65が開き、移動板61が筐体2の背面にほぼ平行な状態で前方に移動する。移動板61が前方に移動し、バック部材920がフロント部材910に嵌め込まれると、コントローラ10がモータ59を作動させることによってこのロック解除ピン58が右に引っ込み、押し込まれていたカセッテ90のスライド板950が復帰し、フロント部材910とバック部材920とをロックするロック爪930a、930b、932a、932d等が突出することにより、カセッテ90のフロント部材910とバック部材920とが結合する。次に、コントローラ10がモータ77を逆回転に駆動することよってボールネジ74が逆に回転し、移動板61が後方に移動し、磁石60がバック部材920から剥がれる。
【0070】
次に、コントローラ10が開閉モータ33を作動させることによって蓋部材28が開く。次に、コントローラ10が昇降モータ42を作動させることによって昇降台41がホームポジションよりも下方の位置まで上昇する。そして、コントローラ10が幅調整モータ52を作動させることによって移動ガイド部51が固定ガイド部56から左へ離れ、移動ガイド部51及び固定ガイド部56によるカセッテ90の挟持が解除される。そして、再び、コントローラ10が昇降モータ42を作動させることによって昇降台41が上昇する。そして、カセッテ90のサイズに応じた突出長さ(表1のデータテーブルから読み出した突出長さ)だけカセッテ90が挿入排出口23から突出すると、コントローラ10が昇降モータ42を停止させる。そして、ユーザは、カセッテ90の挿入排出口23から突出した部分を掴み、カセッテ90を挿入排出口23から抜く。
【0071】
コントローラ10は、カセッテ90のサイズを認識し、そのサイズに応じた突出長さを表1のデータテーブルから読み込み、その読み込んだ突出長さに従って昇降モータ42を制御している。そのため、その読み込んだ突出長さだけカセッテ90が筐体2の上面から突出する。そして、データテーブルにおいては、カセッテ90のサイズにかかわらず突出長さが同じ値とされているから、カセッテ90のサイズにかかわらず同じ長さだけカセッテ90が筐体2の上面22から突出される。そのため、カセッテ90のサイズにかかわらず、挿入排出口23から排出されたカセッテ90を取り出しやすくなる。
【0072】
例えば、図14には排出後の状態を示した概略図であるが、図14(A)のようにカセッテ90が半切サイズである場合には、カセッテ90が筐体2の上面22から突出長さH1だけ突出し、図14(B)のようにカセッテ90が四切サイズである場合には、カセッテ90が筐体2の上面から突出長さH2だけ突出し、図14(C)のようにカセッテ90が六切サイズである場合には、カセッテ90が筐体2の上面から突出長さH3だけ突出している。これら突出長さH1〜H3は等しいから、ユーザがカセッテ90の端を掴む位置もサイズに関わらず同じとなり、どのようなサイズのカセッテ90でも取り出しやすくなっている。
【0073】
(エラー処理)
図15は、本実施形態に係るエラー処理の制御フロー図である。一例であり、これに限定されない。本エラー処理は、コントローラ10がROM11に記憶されたプログラムに基づいて処理を行うことにより実行される。エラーとしては、静電的なノイズによるコントローラ10の暴走(駆動モータ停止等を誘発する結果につながる)等がある。
【0074】
まず、コントローラ10は、エラーの発生を監視し、エラーが発生したか否かを判断する(ステップS1)。例えば、各動作毎にタイムアウト時間が設定されており、タイムアウト時間内に動作が終了していなければ、エラー信号を出力する。
【0075】
エラーが発生したと判断すると(ステップS1;Yes)、コントローラ10は、画像データの読み取りが完了しているか否かを判断する(ステップS2)。エラーが発生していないと判断すると(ステップS1;No)、コントローラ10は、エラーの発生の監視を継続する。
【0076】
ステップS2において、カセッテ90の読み取りが完了していると判断すると(ステップS2;Yes)、コントローラ10は、カセッテ90の消去が完了しているか否かを判断する(ステップS3)。
【0077】
カセッテ90の読み取りが完了していないと判断すると(ステップS2;No)、コントローラ10は、カセッテ90を正常排出時の高さよりも低い第1の高さで排出する(ステップS4)。その後、ステップS7に進む。
【0078】
ステップS3において、カセッテ90の消去が完了していると判断すると(ステップS3;Yes)、コントローラ10は、カセッテ90を正常排出時の高さと同じ高さで排出する(ステップS5)。その後、ステップS7に進む。
【0079】
カセッテ90の消去が完了していないと判断すると(ステップS3;No)、コントローラ10は、カセッテ90を正常排出時の高さよりも低く且つ第1の高さよりも高い第2の高さで排出する(ステップS6)。その後、ステップS7に進む。
【0080】
図16は、正常排出時、読取・消去未完了での排出時、及び消去未完了での排出時におけるカセッテ90の排出高さを示した模式図である。読取・消去未完了及び消去未完了での排出時においては、正常排出時よりもカセッテ90の排出高さが低くなっている。また、読取・消去未完了での排出時においては、消去未完了での排出時よりもカセッテ90の排出高さが低くなっている。
【0081】
このようにカセッテ90の排出高さを制御するにあたって、ROM11には、表1で説明したデータテーブルに対して、読取・消去未完了での排出時及び消去未完了での排出時の突出長さが付加された表2に示すようなデータテーブルが格納されている。
【0082】
【表2】

【0083】
本実施形態においては、サイズが半切であっても、四切であっても、六切であっても、データテーブルの突出長さが同じ(H1=H2=H3)としているので、半切サイズ、四切サイズ及び六切サイズにおける突出長さは同じとなる。同様に、読取・消去未完了での排出時の突出長さもH1’=H2’=H3’で同じであり、消去未完了での排出時の突出長さもH1”=H2”=H3”で同じである。
【0084】
ステップS7において、コントローラ10は、リセット処理の実行指示がされたか否かを判断する。
【0085】
リセット処理の実行指示は、例えば、ステップS4〜S6において排出されたカセッテ90を掴んで正常排出時の高さまで引き出した後、カセッテ90を挿入排出口23に沿って一旦左に移動させ、その後再び挿入排出口23の基準となる右側の縁に当接するように移動させることにより行う。このようなカセッテ90の移動動作により、カセッテ90のバーコードは、バーコードリーダ24に対向して検出された後、一旦検出されなくなり、その後再び検出されるようになる。つまりバーコードリーダ24の検出信号は、ON→OFF→ONと変化する。バーコードリーダ24によりこのような信号の変化が検出された場合には、リセット処理の実行が指示されたと判断することができる。この他にも、挿入排出口23の基準となる右側の縁にマイクロスイッチを設けることによっても、上記の移動動作を検出することができる。また、不図示の操作部にリセットボタンを設けることによってもリセット処理の実行指示を行うことができる。
【0086】
リセット処理の実行指示がされたと判断すると(ステップS7;Yes)、コントローラ10は、リセット処理を実行する(ステップS8)。これにより、コントローラ10が正常動作可能となる。リセット処理の実行指示がされていないと判断すると(ステップS7;No)、コントローラ10は、リセット処理の実行がされるまで待機する。尚、カセッテ90を抜き取ると、バーコードリーダ24による検出がOFFとなり、次の新たなカセッテを挿入し、バーコードリーダ24による検出完了後、コントローラ10は正常動作が可能となる。
【0087】
以上のように、本実施形態によれば、読取・消去未完了での排出時及び消去未完了での排出時におけるカセッテ90の排出高さを正常排出時の排出高さと異なるようにしたので、大型の表示部を設けなくても、カセッテ90の排出位置を確認することで、カセッテ90が読取・消去未完了又は消去未完了であることを容易に認識することができる。
【0088】
また、読取・消去未完了での排出時及び消去未完了での排出時においては、正常排出時よりもカセッテ90の排出高さよりも低くしたので、使用者がカセッテ90を掴みにくくなり、掴みにくくなることでカセッテ90が読取・消去未完了及び消去未完了であることを使用者がさらに気づきやすくなる。
【0089】
また、読取・消去未完了での排出時と消去未完了での排出時とでカセッテ90の排出高さを異なるようにしたので、両者を区別することができる。さらに、読取・消去未完了での排出時においては、消去未完了での排出時よりも排出高さを低くしカセッテ90を掴みにくくしたので、使用者がより重大なエラーであることを認識することができる。消去未完了の場合には、画像データは既に取得されており当該画像データを利用することができるが、読取・消去未完了の場合には、未だ画像データが取得されていない状況にあり、当該カセッテ90が読取処理されなかった場合には、画像データが取得できず、患者を再度被爆させることになり好ましくないからである。
【0090】
本実施形態では、正常排出時と読取・消去未完了での排出時及び消去未完了での排出時とでカセッテ90の排出高さ変えるようにしたが、例えば、正常排出時には挿入排出口23の右側の縁に当接させ、読取・消去未完了での排出時及び消去未完了での排出時には挿入排出口23の左側に寄せて、挿入排出口23に沿った異なる位置に排出させるようにしてもよい。
【0091】
本実施形態では、カセッテ90を挿入する挿入口とカセッテ90を排出する排出口とが同じ挿入排出口23であったが、挿入口と排出口とを別に設けてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0092】
【図1】本実施形態に係るカセッテのフロント部材(A)及びバック部材(B)が分離した状態を示す斜視図である。
【図2】カセッテ内に収容される輝尽性蛍光体プレートの概略的な断面図(A)及びシート状画像記録部の表面近傍の拡大断面図(B)である。
【図3】図1のフロント部材とバック部材とが合体したカセッテの断面を模式的に示す断面図である。
【図4】本実施形態に係る放射線画像読取装置の上面、正面及び左側面を示した外観斜視図である。
【図5】本実施形態に係る放射線画像読取装置の上面図である。
【図6】図5の切断線IV−IVに沿った面の矢視断面図である。
【図7】図5の切断線V−Vに沿った面の矢視断面図である。
【図8】本実施形態に係る放射線画像読取装置の内部前側の構成の上面、背面及び左側面を示した斜視図である。
【図9】本実施形態に係る放射線画像読取装置の内部前側の構成の上面、正面及び左側面を示した斜視図である。
【図10】本実施形態に係る放射線画像読取装置の内部後側の構成の上面、正面及び左側面を示した斜視図である。
【図11】本実施形態に係る放射線画像読取装置の内部後側の構成の上面、背面及び左側面を示した斜視図である。
【図12】リンク機構65が開いた状態の正面、上面及び左側面を示した斜視図である。
【図13】本実施形態に係る放射線画像読取装置のブロック図である。
【図14】(A)は半切サイズのカセッテ90を排出した状態の正面図であり、(B)は四切サイズのカセッテ90を排出した状態の正面図であり、(C)は六切サイズのカセッテ90を排出した状態の正面図である。
【図15】本実施形態に係るエラー処理の制御フロー図である。
【図16】正常排出時、読取・消去未完了での排出時、及び消去未完了での排出時におけるカセッテ90の排出高さを示した模式図である。
【符号の説明】
【0093】
1 放射線画像読取装置
8 画像読取ヘッド
10 コントローラ
23 挿入排出口
41 昇降台
42 昇降モータ
61 移動板
65 リンク機構
73 移動体
74 ボールネジ
77 モータ
90 カセッテ
928 輝尽性蛍光体プレート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
輝尽性蛍光体プレートを収容するカセッテが挿入される挿入部と、
前記カセッテが排出される排出部と、
挿入部から挿入された前記カセッテを装置本体内に取り込むと共に、処理を終えた前記カセッテを排出部へ排出する第1搬送手段と、
前記輝尽性蛍光体プレートから放射線画像の読取処理を行う処理部と、
第1搬送手段から前記カセッテを受け取り、処理部へ搬送すると共に、処理を終えた前記カセッテを第1搬送手段に受け渡す第2搬送手段と、
第1搬送手段、第2搬送手段、及び処理部を制御する制御部と、
を有し、
前記制御部は、前記処理部での読取処理が正常に終了したか否かを判断し、読取処理が正常に終了した場合と読取処理が正常に終了していない場合とで前記排出部への前記カセッテの排出位置を異ならしめることを特徴とする放射線画像読取装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記処理部での、読取処理が正常に終了していない場合の前記排出部への前記カセッテの排出高さが、読取処理が正常に終了した場合の前記カセッテの排出高さよりも低くなるように前記第1搬送手段を制御することを特徴とする請求項1に記載の放射線画像読取装置。
【請求項3】
前記処理部は、前記輝尽性蛍光体プレートの消去処理が可能であり、
前記制御部は、前記処理部での消去処理が正常に終了したか否かを判断し、消去処理が正常に終了した場合と消去処理が正常に終了していない場合とで前記排出部への前記カセッテの排出位置を異ならしめることを特徴とする請求項1又は2に記載の放射線画像読取装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記処理部での、消去処理が正常に終了していない場合の前記排出部への前記カセッテの排出高さが、消去処理が正常に終了した場合の前記カセッテの排出高さよりも低くなるように前記第1搬送手段を制御することを特徴とする請求項3に記載の放射線画像読取装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記処理部での、読取処理が正常に終了した場合と、読取処理及び消去処理が共に正常に終了していない場合と、読取処理は正常に終了したが消去処理が正常に終了していない場合とで前記排出部へのカセッテの排出位置を異ならしめることを特徴とする請求項3又は4に記載の放射線画像読取装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記処理部での、読取処理及び消去処理が共に正常に終了していない場合の前記排出部へのカセッテの排出高さが、読取処理は正常に終了したが消去処理が正常に終了していない場合のカセッテの排出高さよりも低く、且つ、読取処理は正常に終了したが消去処理が正常に終了していない場合のカセッテの排出高さが、正常に終了した場合のカセッテの排出高さよりも低くなるように前記第1搬送手段を制御することを特徴とする請求項5に記載の放射線画像読取装置。
【請求項7】
前記挿入部は複数のサイズのカセッテの挿入が可能であり、
各サイズにおけるカセッテの排出高さは、同一であることを特徴とする請求項2、4又は6に記載の放射線画像読取装置。
【請求項8】
前記挿入部及び前記排出部が装置の上部に設けられていることを特徴とする請求項1〜7の何れか一項に記載の放射線画像読取装置。
【請求項9】
前記挿入部が前記排出部を兼ねることを特徴とする請求項1〜8の何れか一項に記載の放射線画像読取装置。
【請求項10】
前記カセッテは、フロント部材とバック部材とに分割可能であり、
前記カセッテに収容される前記輝尽性蛍光体プレートは、柱状結晶構造を有することを特徴とする請求項1〜9の何れか一項に記載の放射線画像読取装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2008−15238(P2008−15238A)
【公開日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−186484(P2006−186484)
【出願日】平成18年7月6日(2006.7.6)
【出願人】(303000420)コニカミノルタエムジー株式会社 (2,950)
【Fターム(参考)】