説明

放射線硬化性配合物

本発明は、硬化した状態で特別な程度で金属基材用に防食性を提供する放射線硬化性のラジカル架橋性配合物中の、酸を生成する光開始剤の存在でのアルコキシシラン成分の使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、硬化した状態で特別な程度で金属基材用に防食性を提供する放射線硬化性配合物中のアルコキシシラン成分の使用に関する。
【0002】
放射線硬化性配合物は公知である。
【0003】
エチレン性不飽和プレポリマーは、例えばP. K. T. Oldring (編者), "Chemistry and Technology of UV- and EB-Formulations for Coatings, Inks and Paints", Vol. II. SITA Technology, London 1991中に記載され、例えば、エポキシアクリラート(31〜68頁)、ウレタンアクリラート(73〜123頁)及びメラミンアクリラート(208〜214頁)を基礎とする。この特許文献中にも、このような配合物はしばしば言及され、例示的にはJP 62110779及びEP 947 565が挙げられる。
【0004】
金属基材のコーティングは放射線硬化性配合物にとって特別な問題を生じさせる、それというのもこれは収縮プロセスに基づき付着欠損を生じることがあるためである。従って、このような基材用にリン酸含有付着促進剤がしばしば使用される。この例は、US 5,128,387(ビール缶のコーティング)及びJP 2001172554(様々な缶のコーティング)である。
【0005】
周知のように、エポキシアクリラートは金属基材上で優れた付着性及び良好な防食性を示す。しかしながら、このようなコーティングの欠点は硬化後のわずかな変形性である。いくつかのコーティング技術、例えばコイルコーティングにとって、コーティング中に亀裂を形成しないコートされたワークピースの変形性は決定的である。更に、このようなコーティングはその芳香族成分に基づき黄変する傾向がある。
【0006】
WO 03/022945は、放射線硬化性樹脂と、単官能性反応性希釈剤と、酸性付着促進剤とを基礎とする、金属基材用の低粘度の放射線硬化性配合物を記載する。この使用した樹脂は、この場合、通常の多様な供給元から入手できる市販品である。
【0007】
EP 902 040も放射線硬化性配合物に関する。ここでは、炭素環又は複素環を有するアルコールでエステル化されている不飽和カルボン酸の単官能性エステルを有するウレタン(メタ)アクリラートが記載されている。
【0008】
しかしながら、先行技術から公知の系は、多様な欠点を示し、特に変形性及び防食性は課せられた要求を常には満たさない。
【0009】
本発明の課題は、一方ではコーティング後に良好に変形可能であり、つまり、フレキシブルであり、他方では金属基材に対して優れた防食性をも保証する放射線硬化性のラジカル架橋性配合物を見出すことである。
【0010】
意外にも、アルコキシシラン成分が酸を生成する光開始剤と組み合わされて配合物中に含有している場合、放射線硬化性のラジカル架橋性配合物を基礎とする塗料の金属基材上での防食性が高められることが見出された。放射線硬化性のラジカル架橋性配合物は、本発明の範囲内で、UV線、電子線、マイクロ波線、レーザー光線又はプラズマによって硬化することができる配合物を意味する。
【0011】
従って、本発明の主題は、放射線硬化性のラジカル架橋性配合物中での、特に塗料中での、少なくとも1種のアルコキシシラン成分と、少なくとも1種の酸を生成する光開始剤との使用である。相応する放射線硬化性のラジカル架橋性配合物も同様に本発明の主題である。
【0012】
本発明による有利な放射線硬化性配合物は、特に、A)少なくとも1種の放射線硬化性のラジカル架橋性成分、B)全配合物に対して少なくとも2質量%の、少なくとも1種のアルコキシシラン成分、C)少なくとも1種の、酸を生成する光開始剤、D)場合により1種又は数種の付着促進剤、E)場合によりラジカル硬化のための1種又は数種の光開始剤、並びにF)場合により1種又は数種の顔料及びその他の添加物からなる配合物である。
【0013】
この本発明による放射線硬化性配合物は、適用において良好な柔軟性を維持しつつ改善された防食性を達成するという利点を有する。
【0014】
本発明による配合物の本質的な成分は、放射線硬化性のラジカル架橋性成分A)である。成分A)として、モノマーの、オリゴマーの又はポリマーの化合物が挙げられる。適当なオリゴマーの及びポリマーの化合物は多くの場合に樹脂ともいわれる。原料に応じて、この樹脂A)は、例えばエポキシアクリラート、ポリエステルアクリラート、ポリエーテルアクリラート、ポリアクリラートアクリラート及びウレタンアクリラートの単独又は混合した形であることができる。ウレタンアクリラートの場合に、これは例えばポリエステル又はポリエーテルを基礎とすることができる。この相応するメタクリラートも公知である。他の重合性基は、エポキシド及びビニルエーテルである。これらも、様々なベース樹脂に結合されていることができる。これは当業者にとって公知の系である。放射線硬化性樹脂、オリゴマー及び/又はポリマー、及び反応性希釈剤のこの製造は、例えば、"Radiation Curing in Polymer Science & Technology, VoI I: Fundamentals and Methods", J. P. Fouassier, J. F. Rabek著, Elsevier Applied Science, London及びNew York, 1993, 第5章 第226〜236頁、及び第237〜240頁), "Lackharze", D. Stove, W. Freitag著, Hanser-Verlag, Wien, 1996, 第85, 94〜98, 169及び265頁)及びEP 947 565中に記載される。
【0015】
放射線硬化性のラジカル架橋性成分A)として、モノマー、いわゆる反応性希釈剤も使用することができる。これは、通常では、アクリラート又はメタクリラート含有物質であり、この物質は室温で液状であり、従って、この配合物の全体的な粘度を低下することができる。このような生成物の例は、特にイソボルニルアクリラート、ヒドロキシプロピルメタクリラート、トリメチロールプロパンホルマールモノアクリラート、テトラヒドロフフリルアクリラート、フェノキシエチルアクリラート、トリメチレンプロパントリアクリラート、ジプロピレングリコールジアクリラート、トリプロピレングリコールジアクリラート、ヘキサンジオールジアクリラート、ペンタエリトリトールテトラアクリラート、ラウリルアクリラート並びにプロポキシル化又はエトキシル化されたこの反応性希釈剤のバリエーション及び/又はウレタン化された反応性希釈剤、例えばEBECRYL 1039 (Cytec)等である。更に、ラジカル重合の条件下で一緒に反応できるその他の液状成分、例えばビニルエーテル又はアリルエーテルも挙げられる。
【0016】
この配合物中のA)の量は、5〜95質量%、有利には10〜85質量%で変動する。特に、樹脂の場合にポリエステルウレタンアクリラートが有利である。この例は、Dynapol R 110 IBOA 75(Evonik Degussa GmbHの市販品, ドイツ国, Coatings & Additives)及びEBECRYL 1256(Cytecの市販品)である。この反応性希釈剤の場合、特に有利にイソボルニルアクリラート及びヘキサンジオールジアクリラートである。
【0017】
本発明による配合物の他の本質的な成分は、アルコキシシラン成分B)である。全配合物に対するアルコキシシラン成分B)の割合は、特に2〜25質量%、有利に4〜15質量%である。
【0018】
適当なアルコキシシラン成分B)は、例えば一般式Iの有機官能性シランを有するグループから選択される化合物である
1−SiR′n(OR)3-n (I)
式中、R1は、線状、分枝状若しくは環状の、場合により置換された1〜20個のC原子を有するアルキル基を表し、例えばN−、O−、S−、ハロゲンを有する基、例えばフルオロアルキル、アミノアルキル、メルカプトアルキル、メタクリルオキシアルキル又はOR、つまりOH又はアルコキシ、特にメトキシ又はエトキシで置換されていて、その際、R′は、メチルを表し、基Rは独立して水素又は線状、分枝状若しくは環状の1〜6個のC原子を有するアルキル基を表し、nは0又は1である。式Iの場合に、有利にメトキシシラン又はエトキシシランを使用することができ、これらは特に、メトキシ、エトキシ、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、n−オクチル、i−オクチル、トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチルの群からなる(いくつかの例を挙げただけである)官能基R1を有し、例えば、これだけではないが、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、n−オクチルトリメトキシシラン、n−オクチルエトキシシラン、ヘキサデシルトリメトキシシラン、ヘキサデシルトリエトキシシラン、トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチルトリメトキシシラン、トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチルトリエトキシシラン、メタクリルオキシプロピルトリエトキシシラン、メタクリルオキシプロピルトリエトキシシラン、メルカプトプロピルトリメトキシシラン、メルカプトプロピルトリエトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシランである。
【0019】
本発明の他の実施態様の場合には、このアルコキシシラン成分B)は、一般式II
2−SiR′m(OR)3-m (II)
[式中、R2は基
【化1】

又は
【化2】

を表し、基R、R′並びにR″は同じ又は異なり、それぞれ水素(H)又は線状、分枝状若しくは環状の、場合により置換された1〜6個のC原子を有するアルキル基、有利にH、メチル、エチル、n−プロピル、n−ブチルを表し、基A及びA′は同じ又は異なり、それぞれ1〜10個のC原子を有する二価のアルキル基を表し、有利にA′については−(CH2)−、−(CH22−、−(CH23−、−(CH2)(CH)(CH3)(CH2)−を表し、Aについては−(CH2)−を表し、mは0又は1である]のエポキシ官能化シランを有するグループの化合物から選択することができる。
【0020】
特に、一般式IIのグリシジルプロピルアルコキシシランは、グリシジルオキシプロピルトリメトキシ−又は−エトキシシランが有利である。
【0021】
同様にアルコキシシラン成分として、一般式Iの化合物及び/又は一般式IIの化合物の混合物が適しており、特に、一般式IIの少なくとも1種のエポキシ官能性シランの、場合による一般式Iの化合物の存在での制御された加水分解及び縮合により得られるオリゴマーのシロキサン成分も特に適している。この前記のオリゴマーのシロキサン成分は、特に相応するシランのホウ酸の存在での加水分解及び縮合により得られる。本発明において特に適したこの種のアルコキシシラン成分は、例えばDE 102007038314.4に記載されており、この開示内容は引用により本発明に組み込まれている。
【0022】
酸を生成する光開始剤C)は、例えば、"Radiation Curing in Polymer Science & Technology, VoI II: Photonitiating Systems", J. P. Fouassier, J. F. Rabek著, Elsevier Applied Science, London und New York, 1993, 第8〜10章、第435〜554頁に記載されている。このような光開始剤は、例えば特許明細書のWO 98/18868、WO 95/17476、US 5,721,020、EP 0721477、EP 0825218、EP 0764691、EP 0764690、EP 0736555、EP 0688804及びEP 0667381にも記載されていて、この開示内容は引用により本願発明に組み込まれている。
【0023】
一般に、ヘキサフルオロアンチモン酸アニオン、ヘキサフルオロリン酸アニオン又はテトラフルオロホウ酸アニオンを有するジアリールヨードニウム塩、フェロセニウム塩又はトリアリールスルホニウム塩を有するグループからなる化合物である。このような放射線(UV線又は電子線)のもとで酸を生成する光開始剤の例は、Deuteron UV 1240, UV 1242及びUV 2257(全てDeuteron社)、並びにIrgacure 250(CIBA)である。C)の量は、一般に、全配合物に対して0.5〜5質量%、有利に1〜3質量%である。
【0024】
放射線により生成された酸はアルコキシシランの硬化を促進し、それにより架橋密度が高まり、更にアルコキシシランの付着を促進する作用が改善される。
【0025】
場合により、本発明による配合物は付着促進剤D)を含有することができる。一般に、金属基材用の放射線硬化性配合物のための付着促進剤は、リン酸及び/又はホスホン酸及び/又は官能化されたアクリラートを有するその反応生成物(例えばエステル)からなる。この遊離リン酸基が金属に対する直接的な付着を担う一方で、このアクリラート基はコーティングマトリックスとの結合を行う。このような生成物は、例えばWO 01/98413、JP 08231564及びJP 06313127に記載されていて、この開示は引用により本願発明に組み込まれている。
【0026】
典型的な市販生成物は、EBECRYL 169及び170(Cytecによる)、ALDITOL VxI 6219(VIANOVAによる)、CD 9050及びCD 9052(Sartomerによる)、SIPOMER PAM-100, SIPOMER PAM-200及びSIPOMER PAM-300(Rhodiaによる)及びGENORAD 40(Rahnによる)である。この配合物中でのC)の量は、0.1〜10質量%、有利には1〜5質量%である。
【0027】
同様に、本発明による配合物中に、ラジカル硬化のための光開始剤E)を含有することができる。適当な光開始剤及びその製造は、例えば、"Radiation Curing in Polymer Science & Technology, VoI II:Photoinitiating Methods"(J. P. Fouassier, J. F. Rabek , Elsevier Applied Science, London und New York, 1993、第1〜374頁)中に記載されている。これは、しばしば、α−ヒドロキシケトン又はその誘導体である。この光開始剤は、存在する場合には、0.2〜10質量%の量で含有されていることができる。このようなラジカルを生成する光開始剤は、UV線のもとで硬化を促進するが、しかしながら電子線の使用下では必要とされない、それというのも、この開始ラジカルは光開始剤なしで生じるためである。
【0028】
本発明による放射線硬化性配合物のために適当な顔料F)は、例えば、"Radiation Curing in Polymer Science & Technology, VoI IV: Practical Aspects and Application" von J. P. Fouassier, J. F. Rabek , Elsevier Applied Science, London及びNew York, 1993, 第5章、第87〜105頁中に記載され、かつ、1〜40質量%の量で含有されていることができる。耐食性顔料のための例は、例えば、Pigment + Fuellstoff Tabellen, O. Lueckert, Vincentz Verlag Hannover,第6版 2002中に見出される。例示的に次のものが挙げられる:SHIELDEX C 303 (Grace Davison)及びHALOX Coil X 100, HALOX Coil X 200及びHALOX CW 491 (Erbsloeh), HEUCOPHOS SAPP又はZPA (Heubach), K-White TC 720 (Tayca)及びHOMBICOR (Sachtleben)。もちろん、単純な無機塩、例えばリン酸亜鉛も挙げられる。
【0029】
放射線硬化性配合物のためのその他の添加物F)は多様な組成物中に存在し、かつ多様な目的のために、例えばレベリング剤、つや消し剤、脱気剤及びその他である。
【0030】
このうちのいくつかが、Tego Coating & Ink Additives, Essen, 2003により提出されたパンフレット"SELECTED DEGUSSA PRODUCTS FOR RADIATION CURING AND PRINTING INKS"中に記載されている。このような添加剤の量は、存在する場合には0.01〜5質量%で変動する。
【0031】
本発明による配合物の製造は、個々の配合物成分の混合により行われる。このために、この種の配合物の製造のために当業者に公知の全ての方法が適している。最も簡単な実施態様の場合には、上記の配合物成分を、撹拌機、例えば磁気撹拌機を用いて相互に混合する。
【0032】
本発明による他の主題は、本発明による放射線硬化性配合物の、プライマー、中間層、上塗塗料、透明塗料としての及び/又はコーティング中での使用である。特に、
A) 少なくとも1種の放射線硬化性のラジカル架橋性の成分、
B) 全配合物に対して少なくとも2質量%の、少なくとも1種のアルコキシシラン成分、
C) 少なくとも1種の酸を生成する光開始剤、
D) 場合による付着促進剤、
E) 場合による、ラジカル硬化のための光開始剤、
F) 場合による顔料及びその他の添加物
からなる放射線硬化性配合物の、プライマー、中間層、上塗塗料及び透明塗料としての使用が有利である。
【0033】
上記の適用において、特に引き続く貯蔵又は放射線により硬化されたコーティングの加熱は、室温〜100℃の間で、5分〜4週間の間の貯蔵期間又は加熱期間で行われる。
【0034】
これにより、アルコキシシラン基の改善された変換及びそれにより高められた架橋密度及び改善された付着が生じる。これは、高められた耐食性も生じさせる。
【0035】
特に1日の(室温で)及び1時間(80℃で)の貯蔵が有利である。
【0036】
放射線硬化性配合物の塗布は、塗料工業において公知の適用技術により行われることができ、例えばブレード塗布、ローラ塗布、噴霧塗布又は吹付け塗布である。
【0037】
金属基材として、特に、鋼(場合により前処理されているか)又はアルミニウム及びその他の金属又は合金が適しており、これは腐食保護の理由からコーティングを備えている。
【0038】
この硬化は、UV光のもとでの光開始剤の存在で又は光開始剤の不在で、電子線のもとでのラジカル硬化により行われる。プラズマ中で又はマイクロ波照射もとでの硬化も可能である。硬化された塗料のこの特性は、広範囲に、硬化方法とは無関係である。
【0039】
UV硬化及びUVランプは、例えば、"Radiation Curing in Polymer Science & Technology, VoI I: Fundamentals and Methods"(J. P. Fouassier, J. F. Rabek , Elsevier Applied Science, London und New York, 1993, Chapter 8, 第453〜507頁)中に記載されている。電子線硬化及び電子硬化剤は、例えば、"Radiation Curing in Polymer Science & Technology, VoI I: Fundamentals and Methods"(J. P. Fouassier, J. F. Rabek , Elsevier Applied Science, London und New York, 1993, Chapter 4, 第193〜225頁及びChapter 9, 第503〜555頁)中に記載されている。
【0040】
同様に、本発明による主題は、コイル被覆法によるコーティングの製造のための本発明による放射線硬化性配合物の使用であり、その際、この上記された優先的形態は、本発明のこの主題のためにも適用することができる。
【0041】
本発明の他の主題は、本発明による放射線硬化性配合物を含むか又はベースとするコーティングである。この場合、本発明の範囲内に、放射線硬化性配合物を含有するか又は前記配合物を基礎とする硬化されたコーティングも含まれる。
【0042】
本発明によるコーティングは、単独で使用できるか又は多層構造の一つの層であることができる。このコーティングは、例えばプライマー、中間層又は上塗塗料又は透明塗料として塗布されていることができる。本発明によるコーティングの下又は上にある層は、通常では熱硬化されることができるか、又は、放射線によっても硬化されることができる。
【0043】
他に説明がなくても、当業者は上述の記載を最も広い範囲で利用できることが前提とされる。それゆえ有利な実施態様及び実施例は、単に説明するものとしてあり、何らかの形で限定する開示内容として把握されるべきでない。
【0044】
次に、本発明を、実施例を用いて詳説する。本発明の他の実施態様は同様の方法で得られる。
【0045】
実施例:
【表1】

【0046】
UV塗料の配合及び硬化のための一般的製造方法
全ての配合物成分を合わせ、20分間磁気撹拌機で撹拌する。
【0047】
この使用可能な配合物を鋼板(Q-Panel R36)にブレード塗布し、引き続きUVランプ(3m/分、Minicure、水銀灯、80W/cm、Technigraf)のもとで硬化させる。
【0048】
全ての質量%での記載は、この配合物の全質量に対する。
【表2】

*本発明によらない比較試験。
【0049】
全ての塗料は、十分な柔軟性を有する(>5mmのエリクセン深さ(DIN 53156))。本発明による配合物だけが、240時間の塩吹付け試験(DIN 53167)後に、十分な耐食性(<5cmのクリープ腐食)を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射線硬化性のラジカル架橋性配合物中での少なくとも1種のアルコキシシラン成分及び少なくとも1種の、酸を生成する光開始剤の使用。
【請求項2】
A)少なくとも1種の放射線硬化性のラジカル架橋性成分、B)全配合物に対して少なくとも2質量%の、少なくとも1種のアルコキシシラン成分、C)少なくとも1種の、酸を生成する光開始剤、D)場合により1種又は数種の付着促進剤、E)場合によりラジカル硬化のための1種又は数種の光開始剤、並びにF)場合により1種又は数種の顔料及びその他の添加物からなる、放射線硬化性のラジカル架橋性配合物。
【請求項3】
前記成分A)はエポキシアクリラート、ポリエステルアクリラート、ポリエーテルアクリラート、ポリアクリラートアクリラート、及びウレタンアクリラートから、単独で又は混合した形で選択されることを特徴とする、請求項2記載の放射線硬化性の配合物。
【請求項4】
前記アルコキシシラン成分は、一般式I
1−SiR′n(OR)3-n (I)
[式中、R1は、線状、分枝状若しくは環状の、場合により置換された1〜20個のC原子を有するアルキル基を表し、例えばN−、O−、S−、ハロゲンを有する基、例えばフルオロアルキル、アミノアルキル、メルカプトアルキル、メタクリルオキシアルキル又はOR、つまりOH又はアルコキシ、特にメトキシ又はエトキシで置換されていて、その際、R′は、メチルを表し、基Rは独立して、水素又は線状、分枝状若しくは環状の、1〜6個のC原子を有するアルキル基を表し、nは0又は1である]の有機官能性シランを有するグループから選択されるか、及び/又は一般式II
2−SiR′m(OR)3-m (II)
[式中、R2は、基
【化1】

又は
【化2】

を表し、基R、R′並びにR″は、同じ又は異なり、それぞれ水素(H)又は線状、分枝状若しくは環状の、場合により置換された1〜6個のC原子を有するアルキル基を表し、基A及びA′は、同じ又は異なり、それぞれ1〜10個のC原子を有する二価のアルキル基を表し、mは0又は1である]のエポキシ官能性シランを有するグループから選択されることを特徴とする、請求項2又は3記載の放射線硬化性の配合物。
【請求項5】
前記アルコキシシラン成分は、一般式IIの少なくとも1種のエポキシ官能性シランを、場合により一般式Iによる化合物の存在で、加水分解及び縮合することにより得られたオリゴマーのシロキサン成分を有することを特徴とする、請求項2から4までのいずれか1項記載の放射線硬化性配合物。
【請求項6】
酸を生成する光開始剤が、ヘキサフルオロアンチモン酸アニオン、ヘキサフルオロリン酸アニオン又はテトラフルオロホウ酸アニオンを有するジアリールヨードニウム塩、フェロセニウム塩又はトリアリールスルホニウム塩を有するグループから選択されることを特徴とする、請求項2から5までのいずれか1項記載の放射線硬化性配合物。
【請求項7】
プライマー、中間層、上塗塗料、透明塗料としての及び/又はコーティング中での又はコイル被覆法によるコーティングの製造のための、請求項2から6までのいずれか1項記載の放射線硬化性配合物の使用。
【請求項8】
引き続く貯蔵又は放射線により硬化されたコーティングの加熱を、室温〜100℃の間で、5分〜4週間の間の貯蔵期間又は加熱期間で行うことを特徴とする、請求項7記載の使用。
【請求項9】
請求項2から6までのいずれか1項記載の放射線硬化性配合物を含有するか又は前記配合物を基礎とするコーティング。

【公表番号】特表2011−517465(P2011−517465A)
【公表日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−500135(P2011−500135)
【出願日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際出願番号】PCT/EP2009/051299
【国際公開番号】WO2009/115369
【国際公開日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【出願人】(501073862)エボニック デグサ ゲーエムベーハー (837)
【氏名又は名称原語表記】Evonik Degussa GmbH
【住所又は居所原語表記】Rellinghauser Strasse 1−11, D−45128 Essen, Germany
【Fターム(参考)】