説明

放射能検出器収納容器

【課題】 簡単な構成で放射能を帯びた雨滴、粉塵或いは研究員や作業員の汗などの外来因子が放射能検出器本体の内部に侵入することによる射能検出値の誤表示を防止する放射能検出器収納容器の提供。
【解決手段】 放射能検出器収納容器の容器壁体Aは外来因子の放射能検出器本体1への侵入を防止する材質で作られた防止膜4と、検出放射能表示部Cを除く全周面で放射能検出器本体1の外周面と接着膜5との二層構造で、検出放射能表示部Cの近傍の防止膜4を矢印X方向に移動させると、接着剤Bが離脱自在に接着膜5表面に接着し、収納容器内に放射能検出器本体1が密封収納され、同心的に対接し互いに弾性嵌合された接続線取出口8a、8bにより、接続線6は収納容器内では外来因子の侵入から防止される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射能検出器本体の放射能値の誤表示を防止する放射能検出器収納容器に関する。
【背景技術】
【0002】
放射線源や放射性物質を取り扱う研究施設や製造施設では、放射線による不慮の事故を防止するために研究員や作業員に放射能検出器を携帯させ、規定値を越える放射能が検出されると警報信号を発生させて研究員や作業員に危険を通報することが行なわれている。
【0003】
また放射線源や放射性物質を取り扱う研究施設や製造施設では、研究員や作業員を含む関係者が頻繁に立ち入る領域に、監視用の放射線検出器を設置しておき、この放射線検出器が規定値を越える放射能を検出すると、研究施設や製造施設の管理者に通報して、施設全体での対応を取るようにしている。
【0004】
以上に説明した研究員や作業員が携帯保持する放射能検出器は、放射能を検出するセンサに接続線を介してセンサの検出値を表示する放射能検出器本体が接続された構成となっている。このような構成の放射能検出器では、従来から放射能検出器本体を周囲の物品にぶつけずに研究員や作業員の身体に密着させた状態で安定に保持するために内面が射能検出器本体の外面に接着し放射能検出器本体を内部に安定に収納する収納袋が使用されている。
【0005】
ところで、研究員や作業員が携帯する放射能検出器本体に、放射能を帯びた雨滴、粉塵或いは研究員や作業員の汗などの外来因子が、外部から本体の間隙を介して放射能検出器本体の内部に侵入すると、放射能検出器本体が誤動作を起し、検出した放射能を誤表示することが知られている。
従来は研究員や作業員が収納袋に収納した放射能検出器本体を手に保持し、或いは胸ポケットなどに収めた状態で、研究施設や作業施設内で業務に従事し汗をかいた状態となると、顔や手からの汗が収納袋にしみこみ、さらにしみこんだ汗が収納袋内の放射能検出器本体の間隙を介して本体の内部に侵入することがあった。このような状態になると、汗の水分や塩分によって放射能検出器本体の回路部品が損傷し、センサが検出した放射能値を誤表示することがある。
【0006】
この場合研究員や作業員は収納袋の表面に付着した汗を拭き取る程度の後処理をして、研究施設や作業施設の所定の放射能検出器保管場所に放射能検出器を返還して業務を終了する。このため、もし汗の成分によって放射能検出器本体が故障していると、次回にその放射能検出器を放射器保管場所から取り出して使用した研究員や作業員が放射線により不不慮の事故を起こすおそれがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、前述したような放射能検出器の検出放射能の表示動作の現状に鑑みてなされたものであり、その目的は簡単な構成で放射能を帯びた雨滴、粉麈或いは研究員や作業員の汗などの外来因子が放射能検出器本体の内部に間隙を介して外部から侵入することを防止し、放射能検出器本体の誤動作を防ぎ、放射能検出器本体に常に正確な放射能検出値を表示させる放射能検出器収納容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するために、請求項1記載の本発明は、放射能を検出するセンサと、該センサに接続され検出した放射能値を表示する放射能検出器本体とで構成される放射能検出器に適用され、前記放射能検出器本体を密封自在に収納する放射能検出器収納容器であり、該放射能検出器収納容器は、前記放射能検出器本体に外部から侵入して前記放射能値の誤表示の原因となる外来因子の侵入を防止する防止膜と、該防止膜に対接配置され離脱自在に、前記放射能検出器本体の外面に接着する接着膜とからなり、前記放射能検出器収納容器の外面には、前記センサと前記放射能検出器本体とを接続する接続線を、前記外来因子の前記放射能検出器収納容器への侵入を防止するように取り外し自在に密封保持する密封手段が設けられていることを特徴とするものである。
【0009】
本発明に係る放射能検出器収納容器は、放射能を検出するセンサと、該センサに接続され検出した放射能値を表示する放射能検出器本体とで構成される放射能検出器に使用されるが、放射能検出器収納容器の防止膜が、放射能検出器本体に本体の間隙を介して外部から侵入して、誤表示を起こす外部因子の侵入を防止する。
この状態で防止膜に対接配置される接着膜が、放射能検出器本体の外面に接着して、放射能検出器本体は離脱自在に放射能検出器収納容器に安定に保持収納される。
また、放射能検出器収納容器の外面に設けられた密封手段によって、センサと放射能検出器本体とを接続する接続線の収納容器内に位置する部分は、外来因子の放射能検出器収納容器の侵入が防止された状態で取外し自在に密封保持される。
【発明の効果】
【0010】
放射能を検出するセンサと、該センサに接続され検出した放射能値を表示する放射能検出器本体とで構成される放射能検出器を収納する本発明に係る放射能検出器収納容器は、収納容器の外面が防止膜で形成され、防止膜に対接配置される接着膜が、放射能検出器本体の外面に接着して、放射能検出器本体を収納容器内に安定に保持収納される。
この状態で、放射能検出器収納容器の間隙を介して収納容器内部に侵入して、放射能検出器に誤動作を起こさせる外来因子の侵入は防止膜で完全に防止される。
センサと放射能検出器本体とを接続する接続線の収納容器内に位置する部分は、外来因子の放射能検出器収納容器内への侵入を防止した状態で、密封手段によって収納容器の外面に対して取り外し自在に密封収納される。
【00011】
このように放射能検出器収納容器の外面が、防止膜として外部因子の放射能検出器本体を防止する材質で形成され、センサと放射能検出器本体とを接続する接続線の放射能収納容器内に位置する部分が、外来因子の放射能検出器収納容器内への侵入を防止した状態で、密封手段によって放射能検出器収納容器の外面に取り外し自在に密封される簡単な構造であり、低製造費での製造も可能になる。
また簡単な操作で、放射能検出器本体を収納容器内に安定に固定収納した状態で、外来因子の侵入による放射能検出器本体の誤表示を完全に防止しながら、研究員や作業員は研究施設や作業施設内を、放射能検出器本体を身体に安定に固定させて携帯保持した状態で携帯保持して、研究員や作業員は研究施設や作業施設内を正確な警報動作を受けながら安全に移動して研究・作業業務を行なうことが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】 本発明の一実施例の全体構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
放射能を帯びた雨滴、粉塵或いは研究員や作業員の汗などの外来因子が放射能検出器本体内部に間隙を介して外部から侵入することを防止し、放射能検出器本体の誤動作を防いで放射能検出器本体に常に正確な放射能検出値を表示させるように、放射能検出器本体を放射能検出器収納容器内に安定に収納する操作と、放射能検出器本体とセンサの接続線の主要部を外来因子と非接触状態に放射能検出器収納容器内に密封する操作とが簡単に行なわれ、構造が簡単で製造費用の低減も可能で、研究員や作業員が放射線による不慮の事故を受けることなく安全に業務に従事することが可能になる放射能検出器収納容器の一実施例を、以下に図1を参照して説明する。
【実施例】
【0014】
図1に示すように、本実施例に係る放射能検出器収納容器3が使用される放射能検出器は、放射能を検出するセンサ2とセンサ2に接続線6で接続され、センサ2が検出した放射能値を表示する検出放射能表示部Cを備えた放射能検出器本体1とで構成されている。
放射能検出器本体1は、ほぼ長方体状に形成されており、放射能検出器収納容器3の内底面上に下面が載置される放射能検出器本体1の上面には、センサ2が検出した放射能値を表示する放射能検出値表示部Cが設けられている。放射能検出器本体1を収納した放射能検出器収納容器3を携帯する研究員或いは作業員は、収納容器の上方から検出放射能表表示部Cの表示値の確認が可能な構成になっている。
そして、放射能検出器本体1はこの検出放射能表示部Cを除いて、全周面が放射能検出器収納容器3の容器壁体Aで覆われて収納容器内に収納されている。
【0015】
容器壁体Aは図1に示すように、外部から放射能検出器本体1の間隙を介して、放射能検出器本体1の内部に侵入し放射能検出器本体1に誤動作を発生させ、検出した放射能値の誤表示を起こす外来因子、即ち放射能を帯びた雨滴や粉塵、或いは研究員や作業員の汗などの侵入を防止する防止膜4を備えている。
この防止膜4には検出放射能表示部Cを除いた全面で接着膜5が対接配置されており、接着膜5は放射能検出器本体1の全周面と離脱自在に接着できるものであり、容器壁体Aは防止膜4と接着膜5との二層構造になっている。
【0016】
図1に示すように、放射能検出器収納容器3の底面では、放射能検出器本体1が安定に配置されるように防止膜4が厚く形成されており、接着膜5の一側面には、放射能検出器本体1に接続される接続線6が導出される接続線取出口8aが形成されている。
また、放射能検出器収納容器3に放射能検出器本体1が密封収納された状態で接着膜5に形成された接続線取出口8aに同心的に一致する接続線取出口8bが、防止膜5に一体に突出形成されている。
【0017】
防止膜4に一体に突出形成される接続線取出口8bの内周面には、円筒状の接続線取出口7aが嵌合配置され、接続線取出口8bの外周面には、円筒状の接続線取出口7bが嵌合配置されている。これら円筒状の接続線取出口7a、7b間には、互いに嵌合固定される弾性嵌合部が設けられていて、接続線取出口7a、7bを防止膜4に近付ける方向に押し込むと、弾性嵌合部によって接続線取出口7a、7bは互いに弾性嵌合して、接続線取出口7a、7bから放射能検出器収納容器3内への外来因子の侵入は完全に防止される。
図1は放射能検出器収納容器3に放射能検出器1が密封収納される直前の状態を示しており、この状態から検出放射能表示部C近傍の防止膜4を矢印X方向に移動させると、この防止膜4の端部に塗布されている接着剤Bが、離脱自在に接着膜5の表面に接着して放射能検出器収納容器3に放射能検出器1が密封収納されることになる。
【0018】
放射能検出器収納容器3に放射能検出器本体1が密封収納された状態では、接続線取出口8aと接続線線取出口8bとが中心線を一致させて対接し、放射能検出器本体に接続された接続線6は同心的に対接した接続線取出口8a、8bを介して、検出器収納容器3から導出され接続6の他端にセンサ2が接続された状態となる。
そして、接続線取出口7a、7bは互いに弾性嵌合されるので、外来因子が接続線取出口7a、7b部分から放射能選出器収納容器3内に侵入することも完全に防止される。
【0019】
このようにして本実施例によると、放射能検出器を放射器保管場所から取り出して使用する研究員や作業員は、容器壁体Aの表面が防止膜4で内面が接着膜5で形成された二層構造の放射能検出器収納容器3を使用し、密封状態を解除した該容器の他面よりも厚い底面上に放射能検出器本体1を載置すると、放射能検出器本体1は収納容器内面の接着膜5によって底面上に安定に接着保持される。
次いで検出放射能表示部Cの近傍の防止膜5を、図1の矢印X方向に移動し接着剤Bで防止膜4を接着膜5に接着させる簡単な操作によって接着膜5の接続線取出口8aと防止膜4の接続線取出口8bとが、同心的に一致し放射能検出器本体1の接続線6は、接続線取出口8a、8bを介して放射能検出器本体1の外部に導出され、接続線6の他端はセンサ2に接続されている状態となる。
この状態では、接続線取出口7a、7bは相互の弾性嵌合により密封されており、放射能検出器収納容器3内に密封された放射能検出器本体1に誤動作を発生させ、検出した放射能値を誤表示するおそれのある放射能を帯びた雨滴や粉塵、或いは研究員や作業員の汗などの外来因子の放射能検出器収納容器3内への侵入は完全に防止される。
【0020】
接着膜5の放射能検出器本体1及び防止膜4との接着は離脱自在であり、検出放射能表示部Cの近傍の防止膜4の接着剤Bによる接着膜5への密封も取り外し自在なので、研究員や作業員は必要に応じて簡単な操作で、防止膜4と接着膜5の密封や、射能検出器本体1の放射能検出器収納器3内面への接着固定を解除することができる。
研究員や作業員は、それぞれ自己の放射能検出器収納容器3を所有しており、研究施設や作業施設で放射能検出器本体1を携帯して業務を行なう場合には、研究施設或いは作業施設の所定の放射能検出器保管場所から取り出した放射能検出器本体1を、簡単な操作で自己の放射能検出器収納容器3内に安定に固定収納し、身近に保持し検出放射能表示部Cの表示を監視しながら安全に業務を行なうことが可能になる。
【0021】
この場合検出放射能表示部Cの表示が規定値を越えている時は、速やかに業務を中止し対応する施設の管理者に該放射能検出器本体1の表示値の異常を連絡し、連絡を受けた管理者は施設の所定場所に設置される監視用の放射線検出器の放射能値の表示を確認し、規定値を越える表示が確認された場合には、連絡を受けた研究員或いは作業員に直らに施設からの退去を指示して不慮の事故の発生を防止することが可能になる。
【0022】
一方連絡を受けた管理者により、監視用の放射線検出器の放射能値の表示が規定値以内であることが確認されると、研究員或いは作業員が現在使用している放射能検出器本体1の表示機能かセンサ2の検出機能が故障していると判定され、研究員或いは作業員には放射能検出器保管場所から他の放射能検出器を選択して使用するように指示が出され、故障指定された放射能検出器は故障処理部門に引き取られる。このために放射能検出器保管場所からは、不良な放射能検出器は常に撤去され研究員或いは作業員の業務能率を向上させることが可能になる。
【0023】
また、簡単な操作で接着膜5の接続線取出口8aと防止膜4の接続線取出口8bとを一致させ、円筒状の接続線取出口7a、7bを弾性嵌合部で互いに弾性嵌合させることにより、放射能検出器本体1の接続線6は、放射能検出器収納容器3内に密封され、放射能検出器本体1に誤動作を発生させ、検出した放射能値を誤表示するおそれのある放射能を帯びた雨滴や粉塵、或いは研究員や作業員の汗などの外来因子の放射能検出器収納容器3内への侵入を完全に防止することが可能になる。
放射能検出器収納容器3は研究員或いは作業員の自己所有物であり、使用後は表面の防止膜4に付着しているおそれのある放射能を帯びた雨滴や粉塵、或いは研究員や作業員の汗などの外来因子を洗浄除去することにより、常に最良の収納条件で放射能検出器本体1を使用することが可能になる。
【0024】
このようにして、放射能を帯びた雨滴、粉塵或いは研究員や作業員の汗などの外来因子が、放射能検出器収納容器3の内部に間隙を介して外部から侵入することを完全に防止し、放射能検出器本体1の誤動作を防ぎ、放射能検出器本体1に常に正確な放射能表示動作を行なわせることが可能で、放射能検出器のセンサ2と放射能検出器本体1の何れが故障しているかの判定も迅速に行なうことが可能になる。
放射能検出器収納容器3は放射能検出器本体1を簡単な操作で安全に収納することができ、構造も簡単で製造費用の低減も可能で、研究員や作業員が放射線による不慮の事故を受けることなく安全に業務に従事することが可能になる
【0025】
以上に説明した実施例では、研究員や作業員が放射線検出器収納容器3内に放射能検出器本体1を収納して施設内で業務を行なう場合を説明したが、本発明はこの実施例に限定されるものではない。例えば研究員や作業員がセンサ2を収納した放射線検出器収納容器3を胸ポケットに収めた状態で、施設内を移動して業務を行いセンサには接続線6を介して、施設を総合的に監視する監視用の放射線検出器を続続することも可能である。
【符号の説明】
【0026】
1 放射能検出器本体
2 センサ
3 放射能検出器収納容器
4 防止膜
5 接着膜
6 接続線
7a、7b 密封円筒
8 接続線取出口
A 壁体
B 接着剤
C 検出放射能表示部
X 矢印

【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射能を検出するセンサと、該センサに接続され検出した放射能値を表示する放射能検出器本体とで構成される放射能検出器に適用され、前記放射能検出器本体を密封自在に収納する放射能検出器収納容器であり、
該放射能検出器収納容器は、前記放射能検出器本体に外部から侵入して前記放射能値の誤表示の原因となる外来因子の侵入を防止する防止膜と、該防止膜に対接配置され離脱自在に、前記放射能検出器本体の外面に接着する接着膜とからなり、
前記放射能検出器収納容器の外面には、前記センサと前記放射能検出器本体とを接続する接続線を、前記外来因子の前記放射能検出器本体への侵入を防止して取り外し自在に密封保持する密封手段が設けられていることを特徴とする放射能検出器収納容器。

【図1】
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