説明

放送コンテンツと対応するネットワークコンテンツとの同期化

放送コンテンツとウェブコンテンツのようなネットワークコンテンツを同期化する方法及びシステムに関する。また、放送コンテンツからネットワーク上の関連した情報及び電子商取引へのリンク付けの容易化にも関する。一つの方法においては、放送コンテンツをあるネットワークアドレスにおける動的ネットワークコンテンツと同期化する。更に、放送に識別子を埋め込み、放送に埋め込まれた識別子を抽出し、対応するネットワークコンテンツを特定するため識別子を使用する。次にネットワークアドレスにあるネットワーク装置上に対応するネットワークコンテンツ(放送局のウェブページ)を書き込む。ネットワーク装置(ウェブサーバ)はネットワークアドレスへ送信された要求に応じてネットワークを介してネットワークコンテンツを提供する。これにより放送コンテンツは対応するネットワークコンテンツと同期化される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放送コンテンツをネットワークコンテンツと同期化し、放送コンテンツに応じてネットワーク上の電子商取引を容易化するシステム及び方法に関する。
【背景及び概要】
【0002】
インターネット、TV、ラジオ及びワイヤレス通信のようなコンテンツ配信技術の融合は、消費者が異なる情報源からのエンターテイメントコンテンツと相互作用する新しい機会を生み出している。テレビ放送は、例えば、視聴者に現在のテレビ番組に関連したコンテンツのウェブサイトにログオンすることを促す。双方向性を高めるため、ある種の形式の放送番組は、視聴者が商品及びサービスを注文することを可能にするウェブサイト又はその他の双方向機能へのリンクを伝達する。当分野における譲受人の先行する業績は、(放送され、パッケージ化され、又は、ネットワークを介してデジタル配信された)種々の形式のマルチメディアコンテンツをデジタルネットワーク上の関連した情報及びサービスに関連付けるいくつかの革新的な手法を提供する。例えば、参照として本明細書に組み込まれた、米国特許第6,122,403号、第6,505,160号、第6,411,725号、及び、第6,522,769号と、米国特許出願第09/476,686号(対応する国際公開公報第01/50665号)、第09/660,756号(対応する国際公開公報第01/99325号)、第10/060,049号(米国特許第20020162118号、代理人文書P0569として発行済み)、及び、第09/571,422(対応する国際公開公報第00/70585号)とを参照されたい。
【0003】
デジタル融合を促進させる技術の進歩にもかかわらず、伝統的な放送メディアとインターネットコンテンツをユーザにとって使い易い方式で一つにまとめるという数多くの難題が残っている。一つの特有の難題は、放送コンテンツ(例えば、ラジオ又はTV番組)をワールドワイドウェブ上の関連したインターネットコンテンツと同期化することである。多くの場合、有望な新しいテクノロジーを放送コンテンツ用の既存のインフラストラクチャと統合することは難しいので、テレビ、ラジオ、及び、インターネットエンターテイメントの効果的な融合を提供するように見えるテクノロジーは市場において殆ど牽引力がない。ホームショッピング、ゲームショー、スポーツなどの番組を向上させるため、放送局は、その放送局の放送中の番組に対応するウェブサイト上に動的コンテンツを書き込むことを試みる。放送局の視聴者が適切なウェブサイトに達する従来型の手法は、同じ情報源からの様々な番組の話題の様々なURLを記憶しなければならない、或いは、関心のある話題を見つけるためにわかりにくい一連のウェブリンクを辿るというのではなく、そのウェブサイトの周知のURL、例えば、フロントページ(例えば、www.shopping.com)を訪れることである。同時に、番組及び関連したウェブサイトコンテンツはプロバイダにとって最大のインパクトがあり、消費者にアクセスするため時機が良く、かつ容易であるように思われるので、ウェブサイトプロバイダはユーザに放送と共に変化するコンテンツを見てもらいたい。このことは、プロバイダが商品又はサービスを宣伝しようと努力する電子商取引アプリケーションの場合に特にそうである。この状況の一例は、消費者が放送局のウェブサイトで商品を購入するように駆り立てる放送コンテンツを使用することを望むホームショッピングネットワークである。この使用法モデルは、ウェブサイトにおけるコンテンツは動的であるけれど、URLによって特定される放送局のウェブサイトロケーションが消費者の観点から固定されたままであることを命じる。
【0004】
本開示は、放送とネットワークコンテンツを同期化し、特に、TV又はラジオ放送をウェブサイトの動的ウェブコンテンツと同期化する方法及びシステムについて記述する。本開示はさらに、携帯電話のような遠く離れた携帯装置との連携を含む、放送コンテンツからネットワーク上の関連した情報及び電子商取引へのリンク付けを容易化する関連したテクノロジーについても記載する。
【0005】
本開示に詳述された一つの方法は、放送コンテンツをあるネットワークアドレスにおける動的ネットワークコンテンツと同期化する。本方法は、放送コンテンツに埋め込まれた識別子を抽出し、対応するネットワークコンテンツを特定するため識別子を使用する。本方法は次にネットワークアドレスにあるネットワーク装置上に対応するネットワークコンテンツ(例えば、放送局のURLにおけるウェブページ)を書き込む。ネットワーク装置(例えば、ウェブサーバ)はネットワークアドレスへ送信された要求に応じてネットワークを介してネットワークコンテンツを提供する。本方法を使用して、放送コンテンツは対応するネットワークコンテンツと同期化される。
【0006】
このアプローチは放送局の固定ウェブサイトにおけるコンテンツが放送と共に動的に変化することを可能にする。このアプローチは、現在の番組に関するより多くの情報を取得するため、又は、放送されている現在の番組中でその時点に宣伝されている商品を購入するため、同じURLを訪れるだけのユーザからは見えない。このプロセスが放送局の最適な仕事の流れに与える影響は限られている。
【0007】
さらなる特徴は以下の詳細な説明及び添付図面を参照して明らかになる。
【詳細な説明】
【0008】
図1は放送とネットワークコンテンツを同期化するシステムを説明する図である。具体的なネットワークアーキテクチャは実施と共に変化するが、この特定の図はネットワークがインターネットプロトコルを使用する状況に重点を置く。この状況では、ネットワークコンテンツは、HTMLコードと、スクリプトと、その他のウェブプログラミング命令及びコンテンツを含むウェブページのセットのようなウェブコンテンツに言及する。システムの説明をさらに助けるため、放送局が商品又はサービスを宣伝する生放送のホームショッピング番組を、その番組が放送されているときにこれらの商品及びサービスに関するより多くの情報を提供しこれらの商品及びサービスを購入する機会を提供するウェブコンテンツと同期化させることを望むホームショッピングネットワークの実施例を使用する。
【0009】
図1のシステムは以下の4個のコンポーネント:
1.ウェブページ作成及び識別子割り当てシステム
2.放送製作システム
3.ウェブページ公開、供給及び同期化システム
4.放送からネットワーク情報及びサービスへのリンク付けを容易化するシステム
を有する。
【0010】
[ウェブページ作成及び識別子割り当てシステム]
ウェブページ作成システムは、コンピュータ上のウェブオーサリングツールのようなウェブページ作成用コンポーネント20を含む。このコンポーネントは、放送番組の主題である話題に具体的に合わされたウェブページを作成する。例えば、ホープショッピング番組では、ウェブページは、放送中の番組の主題である品目を販売する説明と電子商取引フォームを提供する。
【0011】
システムは、ネットワークコンテンツ識別子(ID)及び関連したアドレス情報22をウェブコンテンツのセットに割り当てるコンポーネントをさらに含む。このコンポーネントは、ネットワークコンテンツ識別子と、ウェブコンテンツのセットと、関連した項目名(例えば、話題説明、ウェブページの主題と、商品名、サービス名など)と、コンテンツが蓄積された場所のアドレスとの間の関連性を蓄積する識別子データベースシステム24とインターフェイスをとる。このアドレスは、ウェブコンテンツのセットが位置するネットワークストレージロケーションへのURL、ポインタ、インデックス、又は、その他のタイプの参照の形式でもよい。ID割り当て及びデータベースシステムの一実施例は、ウェブコンテンツと、識別子と、関連情報との間の関係がリレーショナルデータベーステーブル構造に保存されたアセットマネージメントシステムである。この構造は、その他の装置及びユーザが、項目名(例えば、話題)をシステムに問い合わせ、関連したウェブコンテンツ及びそれらの識別子の1個以上のセットを取得することを可能にする。同様に、装置はウェブコンテンツのアドレスを取得するためウェブコンテンツ識別子をシステムに問い合わせることが可能である。
【0012】
ウェブコンテンツの各セットは一つ以上のウェブページを含む。このセットは、それぞれがコンテンツを異なる情報又はアクションと関連付ける2個以上の識別子が割り当てられてもよい。例えば、第1の識別子は、ウェブコンテンツのセットの書き込みを放送と同期させるためだけに使用される。第2の識別子は、番組中で伝達された番組又は商品に関するネットワーク情報へのユーザ装置(例えば、携帯電話、セットトップボックス、受信機、PDA又はPCなど)のリンク付けのようなある種のタイプの電子商取引操作を始動させるため、又は、商品を購入すべく電子商取引フォームへ直接リンク付けするために第1の識別子と共に放送コンテンツに埋め込まれる。第1の識別子と第2の識別子の機能は1個の識別子で実行してもよい。(複数の)識別子が放送コンテンツ中のデジタル透かしに埋め込まれる(又は、代替的な帯域内若しくは帯域外搬送波によって搬送される)。1個の識別子が他の複数の識別子をもつデータベースエントリーへのインデックスになり、このようにして、数層の間接かつ動的なリンク付けが一つの識別子をその他の識別子と関連付けるため用いられ、以下同様である。各識別子は、順々に、装置、ユーザ、時刻、番組、場所、言語、又は、その他のコンテキスト情報に依存して、特定のウェブコンテンツ、並びに、異なるシステム応答をフェッチするため使用される。携帯装置が、携帯電話のカメラを用いて映像の写真を撮影する、又は、携帯電話のマイクロホンを用いて音声を記録するなどのレンダリング後に、コンテンツを捕捉するならば、第2の識別子はレンダリングプロセスの後まで存続する必要があるので、2個の識別子は異なる態様を有する。1個の識別子の状況では、1個の識別子は放送とレンダリングプロセスのため十分に頑強性がある。(携帯受信機がチューナを有するならば、識別子はレンダリングの後まで存続する必要がなく、ウェブ同期化の状況のように放送されるだけである)。
【0013】
図2は、ネットワークコンテンツを作成し、識別子をコンテンツと関連付ける方法を説明するフローチャートである。本方法は、ウェブ書き込み作業を放送と同期化するため使用されるデータベースを作成する。後で説明されるように、データベースは、放送に応じてユーザ装置とネットワーク情報又はサービスとの間のリンク付けを容易化するためにも使用される。
【0014】
ステップ100では、放送番組の主題である項目のウェブページが作成される。これらの番組は、未だ放送されていない生番組でもよく、予め録画された番組でもよく、生放送のセグメントでもよい。生番組の場合、ウェブサイト上に陳列されるべき品目は前もってわかっているが、これらの品目が生放送中で陳列される正確なタイミング及び順序はわからない。この場合、ウェブコンテンツは生放送の予想される話題又は主題を見込んで準備され、放送製作中に話題又は主題の指定に基づいて放送時に動的に選択される。
【0015】
次にステップ102では、(複数の)識別子が上記のような対応するウェブコンテンツのセットに割り当てられる。ウェブコンテンツの生放送への動的割り当てを容易化するため、割り当てフェーズは、放送局が放送時にウェブコンテンツに素早く索引を付けることができるようにウェブコンテンツの豊富な記述のセットを規定する。これらの記述は、放送時に容易に識別可能であるキーワード、商品名又はサービス名、俳優、シーン名などを含むことができる。
【0016】
最後に、準備されたウェブコンテンツは、指定されたURLにある放送局のウェブサイトに書き込むため公開される。この公開は、選択的なウェブサイトのバージョンを表現するウェブページの様々なセットを作成し記憶し、それらを公開用メモリロケーションに書き込むことにより実行される。公開用メモリロケーションではウェブページの様々なセットは、ウェブサイトホームページ(例えば、ドメイン名のような固定の、周知のURL)の要求を、公開用メモリロケーション中の望ましいウェブページへ宛先変更することにより、直ちに「ウェブサイト」にアップロードされるか、又は、スワップされる。これらの公開用ロケーションは、2台以上のサーバ又は公開用メモリロケーション上にミラー化され、及び/又は、分散される。この公開は、事前に実行され、又は、コンテンツの公開用ロケーションへの配置、及び/又は、ホームページの要求を公開用メモリ中の適切なロケーションへ導くために更新された宛先変更テーブルの準備を始動させる埋め込みウェブコンテンツ識別子に関する放送のモニタリングに応じて実行される。
【0017】
或いは、フロントページは、その時点にライブTV上で扱われている項目の画像及び/又は簡単な説明を含み、この情報が、ウェブサイトのより奥深くにあるその項目の完全なウェブページにリンク付けされる。
【0018】
[放送製作システム]
放送製作システムは、放送コンテンツの作成、識別子のコンテンツへの埋め込み、及び、コンテンツの放送を管理する。このシステムは、TV(ケーブル、衛星、無線放送)及びラジオ(衛星又は無線放送)を含む多種多様の形式の放送及びメディアコンテンツタイプ、並びに、これらの放送チャンネルを介して伝送された多種多様の形式の映像及び音声番組を包含するため十分に一般的である。識別子は、映像番組の映像トラック若しくは音声トラック、又は、音声番組の音声信号に埋め込まれる。
【0019】
本実施例では、番組作成システム30は、生の上演、並びに、放送用の番組にリアルタイムで組み立てられた予め記録されたコンテンツを捕捉する機器を含む。例えば、ホームショッピングチャンネルの場合、商品は、ビデオカメラによって撮影された生の上演、又は、時には予め記録された題材の一部によって組み立てられた生の上演によって宣伝される。
【0020】
このシステムは、放送の主題を指定する話題識別子コンポーネント32を含む。放送の主題である項目(例えば、商品、サービス、話し合いの話題、人物など)は、自動的に特定され、又は、スタジオ技術者によって手動で特定される。自動識別のための一部のスキームは、商品上のデジタル透かし又はその他の機械読み取り可能なキューを含み、セット、若しくは、カメラやその他の記録用機器によって挿入され(例えば、カメラ若しくは音声レコーダ中の透かし埋め込み器が映像若しくは音声ストリームにラベルを付けるため使用される)、並びに、物体、顔若しくは声の機械認識を含む。この状況では、話題識別子コンポーネントは映像又は音声コンテンツから主題を自動的に検出する。例えば、デジタル透かし検出器は、映像又は音声ストリームから、映像又は音声ストリーム中に描かれた項目の項目識別子を提供する透かしを抽出する。
【0021】
コンポーネント32で使用されるテーブルは、ウェブ作成側から放送側へネットワークを介して取得されるか、又は、その他の方法で移される(例えば、ボックス32と22を連結する破線)。テーブルの簡単な実施形態は、次に示す通りである。
【表1】

【0022】
主題の手動による特定の場合、システムは、(話題、人名、場所、シーン、ゲーム、プレーヤなどを含む)項目名、ID、又は、特定のウェブコンテンツアドレスの素早い入力を可能にするパーソナルコンピュータ又はPDAのようなユーザ入力装置を含む。入力装置は項目を列挙する簡単なドロップダウンメニューを有することもある。
【0023】
或いは、オペレータは、単にデジタルファイル又は印刷物としてスプレッドシートを持ち、正しいIDを埋め込み器又は埋め込み器のコントローラへ直接入力する。
【0024】
図1に示された実施例は、データベースシステム24とネットワーク型構造構成にされている、放送の主題を指定する話題識別子コンポーネント30を表す。これはシステムのそれらの部品が同時に使用される一つの可能な実施例に過ぎない。これらの部品は、同じ場所にあってもよく、互いに離れていて、インターネットのようなワイドエリアネットワークを介して通信してもよい。
【0025】
アセットマネージメントシステムは、放送番組に埋め込まれるべきウェブコンテンツ識別子の素早い検索を容易化する。例えば、技術者は項目名に基づいて問い合わせをタイプ入力可能であり、アセットマネージメントシステムは、関連したウェブコンテンツ及び関連付けられたウェブコンテンツ識別子の1個以上の選択肢を返す。ユーザは記述子に基づいて適切なコンテンツを選択し、それに応じて、コンピュータは放送番組中の項目の出現と同期化された時点で埋め込み器34にウェブコンテンツ識別子を映像又は音声ストリームに埋め込むように命令する。ウェブサーバがウェブコンテンツを同期化させるため十分な時間を可能にするため準備時間が設けられる。これは、放送に僅かな遅延を置き、対応する項目が実際に出現するときより前に識別子をコンテンツに挿入することにより実現される。
【0026】
放送機器36は次に番組を識別子と共に放送する。
【0027】
予め記録されたコンテンツが生放送と混合される場合、このコンテンツは、生放送に関して説明したのと同じように前もって識別子が埋め込まれる。
【0028】
[ウェブページ公開、供給及び同期化システム]
図1は、ウェブページ公開、供給及び同期化システムのコンポーネントを示す。図3は、ウェブサイトのコンテンツを放送コンテンツと同期化させるため放送コンテンツ中でウェブコンテンツ識別子を使用するプロセスを説明するフローチャートである。この節では、これらの図と併せて同期化システム及び方法について検討する。
【0029】
同期化システムは放送受信機40とID抽出器42とを含む。受信機は放送を選局し、ウェブコンテンツ識別子が埋め込まれたコンテンツ(音声又は映像)のストリームを捕捉する。ステップ110に示されるように、ID抽出器は、受信された番組から埋め込み識別子を抽出する。抽出器は、デジタル透かし、又は、その他の埋め込み識別子のような、IDを埋め込むため使用されたテクノロジーと互換性がある。特に、抽出器は、各透かしをコンテンツ中の他の透かしと相対的に独立にする異なるキー及び/又は疑似ランダム変換関数を用いて埋め込まれた埋め込みデータを抽出する1台以上の透かしデコーダを含む。デジタル透かしは、メッセージペイロードの一部として明示的なタイミング情報を搬送すること、又は、コンテンツの時間座標又は空間座標中に出現する透かしの場所及びパターンに基づいて暗黙的なタイミング情報を搬送することも可能である。
【0030】
図1における同期化システムは、ネットワークを介してデータベース及びその他のコンポーネントと通信するように示されているが、このタイプの構成は必須ではない。
【0031】
同期化システムは、ウェブコンテンツのローディング及び公開用メモリからの開放を管理するウェブコンテンツ公開用システム50と、ウェブサイトへの要求を管理し、そのウェブサイトのウェブページコンテンツを返すウェブサーバ52とをさらに含む。
【0032】
ステップ112に示されているように、抽出された識別子は関連したウェブコンテンツを調べるため使用される。図1のシステムにおいて、ID抽出器は、対応するウェブコンテンツを特定し、公開用システム及びサーバ(50,52)に公開するため必要とされる情報を提供するデータベース24に問い合わせを行う。この情報は単に望ましいウェブコンテンツのセットのアドレスでもよい。この状況では、ウェブコンテンツ公開用システム50は、ステップ114に示されるように、未だ公開用メモリになければ、特定されたウェブコンテンツを公開用メモリに収容する。ウェブサーバ50中の宛先変更テーブルは、ステップ116に示されるように、ホームページURLが公開用メモリ内の望ましいウェブコンテンツのセットを指し示すように更新される。或いは、望ましいウェブコンテンツはウェブサイトへアップロードされる(例えば、旧くなる既存のコンテンツを置き換える)。好ましくは、ウェブサイトコンテンツは数ヶ所のロケーション上でミラー化され、適切な負荷バランシングが新しいウェブコンテンツへの切り換えを気付かれない(例えば、サービスの重大な中断を伴わない)ようにするため使用される。上記のように、これは、更新が望まれる直前にメモリの公開用領域に新しいバージョンのウェブサイトを準備することによって実現される。次に、ウェブサイトが放送又はオペレータ入力中の埋め込みフラグ(又はその他のトリガー)によって始動された時点でライブになるとき、ウェブサーバはホームページへのウェブページ要求を新しいバージョンのウェブサイトのロケーションへ宛先変更する。
【0033】
ウェブサイトコンテンツを動的に更新するこの自動化プロセスの代わりとして、ID抽出器は、ウェブサイトコンテンツが特定の時刻に特定のコンテンツ又はアドレスのセットへ宛先変更されるべきであることをオペレータに通知する警告メッセージをウェブサイトオペレータに送信することができる。ウェブサイトオペレータは、次に、新しいコンテンツが完全に公開され、新しいウェブサイトがライブになるときにピークウェブサイト要求を可能にするためミラー化された後、宛先変更テーブルへの変更をセットアップすることが可能である。
【0034】
ウェブページ自体は、特定の放送のため公開されるべきウェブページのセットの一部を形成する他のウェブページにリンク付けするように、(米国特許第6,122,403号に記載されているようにデジタル透かし中で搬送されるような)リンクが埋め込まれてもよい。これらの埋め込みリンクは動的であってもよい(例えば、新しいバージョンのコンテンツが長期に亘って作成されるときに新しいページの更新可能なアドレスを記憶するデータベースを指し示す)。一実施例では、ウェブサイトのためのウェブページの各セットは埋め込みリンクをもつ「ホームページ」を有し、その埋め込みリンクがセット内の他のウェブページをそのホームページへ動的にリンク付けする。このアプローチを用いて、異なるウェブサイトバージョンのそれぞれは、新しいページを作成し、それらを指定されたアドレスに格納し、次に、ホームページをセット内の新しいページのアドレスにリンク付けするため各ホームページのためのリンク付けテーブルを更新することにより更新される。
【0035】
付加的に、ウェブサイト上の画像には、放送中に含まれる同じコンテンツIDが埋め込まれる。これは、ウェブサイト上のコンテンツが正しいという第2の検証を可能にする。よって、検証は、コンテンツと、コンテンツIDにリンク付けされたそのネットワークアドレスの両方に基づいて行われる。
【0036】
[放送からネットワーク情報及びサービスへのリンク付けを容易化するシステム]
図1に示されたシステムの付加的な利点は、埋め込み識別子が放送コンテンツからネットワーク情報及びサービスへのリンクとしての役目も果たすことである。譲受人による上記の特許及び特許出願に詳述されるように、埋め込み識別子は放送コンテンツをネットワーク情報及びサービスへのポータルに変換する。識別子が頑強性のあるデジタル透かし又はフィンガープリントを含む場合、識別子は、チューナ(TVチューナ又はラジオチューナ)によって供給された受信信号から、又は、他の装置によって表現され、マイクロホン若しくはカメラによって捕捉されたアンビエントオーディオ若しくはビデオから抽出される。
【0037】
同期化システムとコンテンツからネットワークへのリンク付けをサポートするため必要とされるインフラストラクチャとの間には相乗作用がある。同期化システムをセットアップするプロセスは、強制的なウェブサイトを前もって製作し、そのウェブサイトを放送及び関連した商品又はサービスと関連付ける。したがって、同じ又は類似したデータベース構造が、抽出された識別子を受信し、関連したネットワーク情報を提供するため使用される。
【0038】
図4は、放送に埋め込まれた識別子の検出に応じてユーザ装置とネットワーク情報又はサービスとの間のリンク付けを容易化するプロセスを説明するフローチャートである。このプロセスを説明するため、ホームショッピングチャンネルの実施例を続ける。この使用法シナリオでは、ユーザは、放送から音声又は映像を受信し、抽出された識別子を使用してその音声又は映像を関連情報にリンク付けするプロセスを開始する装置を有する。装置の一部の実施例は、(TV又はその他の装置によって表現された)放送の音声を捕捉するマイクロホン、又は、無線で放送を受信するチューナを備えた携帯電話、PDA、パーソナルコンピュータ、セットトップボックスなどを含む。
【0039】
信号がチューナ、マイクロホン又はその他の捕捉装置によって捕捉されると、システムは、ステップ120に示されるように、識別子を抽出することができる形式で放送番組の少なくとも一部分を有する。抽出は捕捉装置で実行されてもよく、又は、システム内の(サーバ)のような、信号が転送されたある種の他の装置で実行されてもよい。ステップ122に示されるように、抽出された識別子は適切なアクションを調べるためデータベースに転送される。識別子は、ユーザ及び装置への応答のフォーマットのカスタマイズを助け、ユーザのアカウント番号に関連して電子商取引を容易化するため、装置ID、装置フォーマット、アカウント番号、GPS座標、時刻、ユーザ嗜好などのユーザ及び装置情報と共に転送される。例えば、装置がホームショッピング番組と相互作用する携帯電話である状況では、携帯電話は、ユーザのID及び/又はアカウント情報(又は、安全なレジストリに記憶されたこの情報へのインデックス)を提供する。
【0040】
これに応じて、システムは、番組中で描かれた商品に関係するウェブページを調べ、ユーザの情報で部分的に占められたウェブフォームを生成し、ユーザが携帯電話上のボタンを押すことにより商品を購入することを可能にする。ユーザは、ステップ124に示されるように、装置上でこのフォーム及び/又はその他の情報、ウェブリンクなどを受信する。好ましくは、この情報はユーザの装置(携帯電話ディスプレイ対PCディスプレイ対TVセットトップボックスディスプレイ)を目的として書式設定される。ユーザは、取引を完結することを選択し(例えば、「購入ボタン」オプションを選択し)、ウェブページ中に返された表示ウェブリンクによって他の情報に接続し(例えば、「もっとよく知る」オプションを選択し)、又は、何もしない。
【0041】
商品を購入するユーザの選択に応じて、システムはステップ126に示されるように取引を実施する。特に、システムは、ユーザの装置によって返された電子フォームが完全であり、ユーザのアカウントが有効であることを確認し、次に注文を処理する。商品は、有形的な品目であるならば、ユーザの請求書送付アドレス又は届け先アドレスへ自動的に出荷され、ユーザの携帯電話アカウント(又は、その他のデビット又はクレジット口座)がその商品に対し課金される。音楽及びその他のエンターテイメントコンテンツのような電子商品の場合、商品はユーザの装置、電子メールボックス、メディアライブラリ、ホームコンピュータなどへ電子的に配信される。
【0042】
以上の説明では、ホームショッピング番組と相互作用する携帯電話の具体的な実施例を使用した。しかし、組み込まれた譲受人による特許及び特許出願において明示されているように、リンク付けと応答のシナリオは殆ど無限である。類似した取引がリモートコントロール及びセットトップボックスシステムによって、又は、パーソナルコンピュータによって実行される。
【0043】
[デジタル透かし入れに関する背景]
上記のように、埋め込み識別子の一形式はデジタル透かしである。デジタル透かし入れは、隠された機械読み取り可能なコードを媒体に埋め込むため物理的又は電子的媒体を変更するプロセスである。媒体は、埋め込みコードがユーザに気付かれないか、又は、殆ど気付かれないけれど、自動化検出プロセスによって検出されるように変更される。通常、デジタル透かし入れは、画像、音声信号、及び、映像信号のような媒体信号に適用される。しかし、デジタル透かし入れは、(例えば、行、単語又は文字のシフトによる)文書、ソフトウェア、多次元グラフィックスモデル、及び、物体の表面テクスチャを含むその他のタイプの媒体オブジェクトにも適用される。
【0044】
デジタル透かし入れシステムは、典型的に、二つの基本的なコンポーネント、すなわち、透かしをホスト媒体信号に埋め込むエンコーダと、透かしを含むことが疑われる信号(被疑信号)から埋め込み透かしを検出し読み取るデコーダとを有する。エンコーダは、ホスト媒体信号を微妙に変更する透かしを埋め込む。読み取りコンポーネントは、透かしが存在するかどうかを検出するため被疑信号を解析する。透かしが情報を符号化するアプリケーションでは、読み取り器は検出された透かしからこの情報を抽出する。
【0045】
いくつかの特有の透かし入れ技術が開発されている。読者はこの分野における文献に精通していると思われる。媒体信号に気付かれない程度の透かしを埋め込み、検出する特有の技術は、参照として本明細書に組み込まれた、譲受人による米国特許第6,122,403号及び第6,614,914号に詳述されている。
【0046】
[結論]
特定の実施に関してテクノロジーの原理が記述され明らかにされているが、このテクノロジーが多数のその他の異なる形式で実施され得ることが認められる。明細書を過度に長くすることなく包括的な開示を提供するため、出願人は、上記の特許及び特許出願を参照によって組み込む。
【0047】
上記の方法、プロセス及びシステムは、ハードウェア、ソフトウェア、又は、ハードウェアとソフトウェアの組み合わせで実施される。例えば、識別子符号化プロセスは、プログラマブルコンピュータ又は専用デジタル回路で実施される。同様に、識別子抽出は、ソフトウェア、ファームウェア、ハードウェア、又は、ソフトウェアとファームウェアとハードウェアの組み合わせで実施される。上記の方法及びプロセスは、システムのメモリ(電子、光又は磁気記憶装置のようなコンピュータ読み取り可能な媒体)から実行されるプログラムで実施される。
【0048】
詳述した実施形態における要素及び特徴の特有の組み合わせは典型に過ぎず、これらの教示事項と、本願及び参照として組み込まれた特許/出願におけるその他の教示事項との交換及び置換は同様に考えられている。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】放送とネットワークコンテンツを同期化するシステムを説明する図である。
【図2】動的ネットワークコンテンツの書き込みを放送と同期化させ、放送に応じてユーザ装置とネットワーク情報及びサービスとの間のリンク付けを容易化するため識別子をネットワークコンテンツと関連付ける方法を説明するフローチャートである。
【図3】ウェブサイトにおけるコンテンツを放送コンテンツと同期化するため放送コンテンツ中のウェブコンテンツ識別子を使用するプロセスを説明するフローチャートである。
【図4】放送に埋め込まれた識別子の検出に応じてユーザ装置とネットワーク情報又はサービスとの間のリンク付けを容易化するプロセスを説明するフローチャートである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
放送コンテンツをネットワークアドレスにおける動的ネットワークコンテンツと同期化する方法であって、
放送コンテンツに埋め込まれた識別子を抽出するステップと、
対応するネットワークコンテンツを特定するため前記識別子を使用するステップと、
前記ネットワークアドレスに位置し、前記ネットワークアドレスに送信された要求に応じてネットワークに前記ネットワークコンテンツを提供するネットワーク装置に前記対応するネットワークコンテンツを書き込むステップと、
を備え、
前記放送コンテンツが前記対応するネットワークコンテンツと同期させられる方法。
【請求項2】
前記放送コンテンツが映像番組を含み、前記識別子が前記映像番組に埋め込まれる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
実質的に気付かれないように映像フレーム中で前記識別子を符号化するため、前記識別子が映像データのフレームを変更する映像透かしを用いて前記映像番組の映像トラックに埋め込まれる、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
実質的に気付かれないように音声信号中で前記識別子を符号化するため、前記識別子が音声信号を変更する音声透かしを用いて前記映像番組の音声トラックに埋め込まれる、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記識別子が前記対応するネットワークコンテンツの自動書き込みを始動させる、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記動的ネットワークコンテンツが、各セットが特定の項目に対応し、各セットが前記特定の項目に関係する番組の放送前に準備される、HTMLコンテンツのセットを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記特定の項目が商品又はサービスを含み、前記番組が前記商品又はサービスを販売するため放送されるショッピング番組を含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記番組の放送が生放送であり、前記識別子が前記生放送を前記ネットワークアドレスでアクセスされる動的HTMLコンテンツと同期化させるため前記生放送に埋め込まれる、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記放送コンテンツがラジオ放送を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記放送コンテンツが衛星ラジオ放送を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記識別子が単一のURLでユーザによってアクセスされる動的ネットワークコンテンツを放送コンテンツと同期化させ、前記放送コンテンツに関するネットワーク情報へのリンクをさらに提供する、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記リンクが前記ユーザからの要求に応じて前記放送に関係するコンテンツをユーザの装置へ返すため使用される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記ユーザの装置へ返された前記コンテンツが前記ユーザに前記番組に関係する電子商取引を実施させる、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記電子商取引が前記番組中で宣伝された品目を購入する電子注文を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記ユーザからの前記要求が前記放送コンテンツからの前記識別子の抽出に部分的に基づいて生成される、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
前記要求を生成するため使用される前記識別子の抽出が前記ユーザの装置上で実行される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記ユーザの装置が携帯電話である、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記ユーザの装置が前記ユーザの装置に受信された放送コンテンツに埋め込まれた識別子を抽出するプロセスを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項19】
識別子を抽出する前記プロセスが、放送番組の音声又は映像信号に実質的に気付かれないように埋め込まれたデジタルデータを抽出するデジタル透かし復号化プロセスを備える、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記ユーザの装置が、前記ユーザに返された情報が前記ユーザの装置にカスタマイズされるように前記ユーザの装置に関する情報を提供する、請求項12に記載の方法。
【請求項21】
前記ユーザの装置が、前記ユーザに返された情報が前記ユーザにカスタマイズされるように前記ユーザに関する情報を提供する、請求項12に記載の方法。
【請求項22】
前記ユーザに関する前記情報が前記放送コンテンツに関係する前記装置上の電子商取引を容易化するためアカウント番号を提供する、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記識別子が、ネットワークコンテンツが前記放送コンテンツと適切に同期化されていないことをネットワークオペレータに通知するため使用される、請求項1に記載の方法。
【請求項24】
URLでアクセスされるウェブコンテンツを放送コンテンツと同期化させるシステムであって、
ウェブコンテンツ識別子を放送番組の主題である項目に関係する対応したウェブコンテンツと関連付けるデータベースと、
放送番組に埋め込むウェブコンテンツ識別子を選択するため前記放送番組の主題である前記項目を使用して、前記ウェブコンテンツ識別子を放送番組に埋め込む埋め込み器と、
を備え、
対応する放送番組が放送されるときに前記対応したウェブコンテンツが書き込まれ前記URLによってアクセスされることを保証するため、前記ウェブコンテンツ識別子がウェブサイトコントロールで抽出されるシステム。
【請求項25】
前記埋め込み器が音声又は映像信号中で実質的に気付かれないように前記識別子を符号化するため放送番組の音声又は映像信号を変更するデジタル透かし埋め込み器を備える、請求項24に記載のシステム。
【請求項26】
前記識別子がコンシューマー装置を前記放送番組に関係するネットワークコンテンツにリンク付けするため前記コンシューマー装置によって復号化される、請求項24に記載のシステム。
【請求項27】
生放送の前記主題である項目の項目名をオペレータから受信するように動作し、それに応じて、前記項目名と関連付けられた対応するウェブコンテンツ識別子を調べる入力装置を含む、請求項24に記載のシステム。
【請求項28】
生放送の主題である項目のウェブコンテンツ識別子をオペレータから受信するように動作する入力装置を含む、請求項24に記載のシステム。
【請求項29】
前記放送が項目に関係した生番組及び予め記録された番組を含み、前記予め記録された番組が前記生番組より前に前記項目のウェブコンテンツ識別子が埋め込まれる、請求項24に記載のシステム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公表番号】特表2008−501255(P2008−501255A)
【公表日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−504140(P2007−504140)
【出願日】平成17年3月18日(2005.3.18)
【国際出願番号】PCT/US2005/009074
【国際公開番号】WO2005/089476
【国際公開日】平成17年9月29日(2005.9.29)
【出願人】(500111792)ディジマーク コーポレイション (25)
【Fターム(参考)】