説明

放送システム

【課題】一つ又は複数の拠点で構成されるグループ毎の要望に対応した番組を個別に配信できながら、低料金の通信回線を効率的に使うことができて、回線利用料金の軽減を図ることができるようにする。
【解決手段】番組内容を配信する配信局1と、配信局1からの番組内容を受信してテレビジョン5で放映させる受信側端末装置2とが通信回線3を介して接続される。受信側端末装置2は、受信した番組内容を記憶するメモリ7と、番組内容をタイムスケジュールに従ってテレビジョン5で放映させるよう制御する制御部11とを有する。配信局1は、同一の番組内容を繰り返して放映する場合には、その番組内容を一回だけ配信する配信制御装置15を有する。配信制御装置15は、タイムスケジュールの内容を受信側端末装置2に送信し、受信側端末装置2の制御部11は、タイムスケジュールに従って、メモリ7に記憶した当該繰り返し放映の番組内容をテレビジョン5で放映させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光通信回線などの通信回線を使ってニュースや地域情報などの番組の配信を行う放送システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1〜3には、ニュースや地域情報などの番組内容を配信する配信局と、この配信局からの番組内容を受信してテレビジョンなどで放映させる受信側端末装置とが、インターネットなどの通信回線を介して接続された放送システムが開示されている。
【0003】
【特許文献1】特開2003−69984号公報(図1)
【特許文献2】特開2004−112248号公報(図1)
【特許文献3】特開2005−198138号公報(図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ホテルなどにおいては、各客室にテレビジョンを配置してあり、宿泊客が自由に番組を視聴できるようになっている。前記テレビジョンでは、通常、公共放送や民間放送の番組が視聴できるだけである。これに対して、本出願人は、宿泊客などに対するサービス向上のために、ホテル内やホテルの所在地周辺などの情報やコマーシャルメッセージなどを宿泊客やホテルの要望に合わせて柔軟に編成して放送できる放送システムを考えた。
【0005】
この場合、所定の配信局に地域情報などの番組を作成させ、特許文献1〜3に示すごとく、その番組内容を構成する動画の画像データなどを通信回線を介してホテルの各テレビジョンに配信することが考えられる。ところが、リアルタイムで番組を配信するためには、高品質かつ高速でデータ通信が可能な伝送路を使用する必要があり、この伝送路の使用料金が高額であるところに問題がある。
【0006】
そこで本発明の目的は、ホテルなどの施設毎の要望に対応した番組を個別に配信できながら、低料金の通信回線を効率的に使うことができて、回線利用料金の軽減を図ることができる放送システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、図1に示すごとく、番組内容を配信する配信局1と、この配信局1からの番組内容を受信して表示装置5で放映させる受信側端末装置2とが通信回線3を介して接続されている。受信側端末装置2は、図2に示すごとく、受信した番組内容を記憶するメモリ7と、番組内容を予め設定したスケジュールに従って表示装置5で放映させるよう制御する制御部11とを有している。配信局1は、図3に示すごとく、同一の番組内容を繰り返して放映する場合には、その番組内容を一回だけ配信する配信手段15を有している。配信手段15は、スケジュールの内容を受信側端末装置2に送信し、受信側端末装置2の制御部11は、前記スケジュールに含む放映時間などに従って、メモリ7に記憶した当該繰り返し放映の番組内容を表示装置5で放映させる。ここでの表示装置5には、テレビジョンやモニター装置などが該当する。
【0008】
詳しくは、配信局1の配信手段15には、複数の受信側端末装置2が通信回線3を介して接続されており、各受信側端末装置2は、一つ又は複数のグループGに所属していて、各グループG毎に番組内容を選択できるようになっており、配信手段15は、前記選択された番組内容を各グループGの受信側端末装置2に配信するようになっている。例えば受信側端末装置2が、二つのグループに所属している場合には、その受信側端末装置2には、予め定めた所定の放映時間に一方のグループと同一内容の番組が放映され、別の放映時間には、もう一方のグループと同一内容の番組が放映されるようにスケジュールが設定される。
【0009】
配信手段15が、受信側端末装置2の表示装置5での放映中の番組とは別の番組内容を配信し、受信側端末装置2が、表示装置5に番組を放映させる制御動作に並行して、前記別の番組内容をメモリ7に記憶するようにしてもよい。
【0010】
配信手段15が、前記繰り返して放映される番組の二回目以降の放映時間に、この放映されている番組とは別の番組内容を配信するようにしてもよい。
【0011】
各受信側端末装置2は、緊急性や即時性を有するなどの情報が配信されてきたときには、表示装置5での放映中の番組に割り込ませて、配信手段15から配信されてきた情報を表示装置5で表示できる。ここでの表示装置5の表示には、テロップで表示する場合や、画面を分割して表示する場合や、番組を中断して表示する場合などが含まれる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、同一の番組内容を繰り返して放映する場合には、配信局1は、その番組内容を一回だけ配信すればよく、番組の放映毎にリアルタイムで番組内容の配信を行わなくても済むので、その分だけ通信回線3の利用率を軽減できる。つまり、配信すべき番組内容の映像データなどを少なくできて、通信容量の小さい低料金の通信回線3であっても、その通信回線3を効率的に使って番組内容を配信できる。したがって、低料金の通信回線3を有効に使って回線利用料金の軽減などを図ることができる。
【0013】
各グループG毎に番組内容を選択できると、要望に対応した番組を個別に配信できながら、回線利用料金の軽減などを図ることができる本放送システムが、ホテルなどのあらゆる施設で採用され易くなる。
【0014】
配信手段15が、受信側端末装置2の表示装置5で放映している番組内容とは別の番組内容を配信して受信側端末装置2に記憶させると、通信回線3をより有効に使うことができる。
【0015】
例えば繰り返して放映される番組の二回目以降の放映時間では、通信回線3が必ず空いているので、その空いている放映時間に別の番組内容を配信することで、通信回線3の空いている時間を有効に使うことができる。
【0016】
表示装置5での放映中の番組に割り込ませて、配信手段15から配信されてきた情報を表示装置5で表示できると、情報伝達の手段としての通信回線3をさらに有効に使うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
図1ないし図3は、本発明が対象とする放送システムの実施例を示しており、図1に示すごとく、ニュースや地域情報などの番組内容を配信する配信局1と、複数台の受信側端末装置2とが光通信回線などの一般の通信回線3を介して接続されている。
【0018】
各受信側端末装置2は、ホテルなどに配されていて、そのホテルの各客室などに配置した各テレビジョン(表示装置)5にそれぞれ接続されている。各受信側端末装置2は、配信局1からの番組内容を受信して各テレビジョン5で放映させる。
【0019】
各受信側端末装置2は、一つ又は複数のグループGに所属しており、各グループGは、大阪や京都などの所定の地域ごとや、ホテルチェーンごとなどに分かれている。配信局1は、グループG毎に、例えば同一内容の番組を配信する。グループG内には、受信側端末装置2が1台だけ配されていてもよい。
【0020】
各受信側端末装置2は、図2に示すごとく、通信回線3を介して配信局1と通信するための通信部6と、タイムスケジュールや番組内容などを記憶するメモリ7と、番組を各テレビジョン5に送信するための送信部9と、公共放送や民間放送などを受信するためのチューナー10と、番組内容をタイムスケジュールに応じて予め設定した放映時間に各テレビジョン5で放映させるなどの制御を行う制御部11とを含む。
【0021】
各受信側端末装置2は、前記チューナー10で受信した公共放送などの番組も各テレビジョン5に送信する。各テレビジョン5は、市販のテレビジョンなどが用いられており、受信側端末装置2から送られてきた番組内容を放映する。
【0022】
配信局1は、図3に示すごとく、番組内容の配信などを制御する配信制御装置(配信手段)15と、番組素材の編成などを行うための編集装置17と、前記番組内容を構成する映像データや音声データなどを記憶する記憶装置19などを有する。配信制御装置15や編集装置17は、汎用のコンピュータなどからなる。配信制御装置15と編集装置17と記憶装置19とは、ハブなどを介して接続される。
【0023】
配信制御装置15は、必要に応じて交通情報や航空機予約状況などの情報を各受信側端末装置2に配信しており、各受信側端末装置2は、配信制御装置15から送信された天気予報や交通情報や航空機予約状況などの情報を、例えば画面を分割して各テレビジョン5に表示できる。
【0024】
配信制御装置15は、天気予報や交通情報や航空機予約状況などの情報をインターネット16などを介して読み取る。各受信側端末装置2は、天気予報や交通情報や航空機予約状況などの情報の場合には、所定のチャンネルで各テレビジョン5に表示してもよい。
【0025】
配信制御装置15が、地震や火災などの災害情報のような緊急性や即時性などを有する情報を配信したときには、各受信側端末装置2は、その配信制御装置15から配信されてきた情報を、放映中の番組に割り込ませて表示装置5で表示できる。つまり、各受信側端末装置2は、各テレビジョン5にテロップや画面の分割などで表示する。
【0026】
次に、前記放送システムの作用を説明すると、配信局1は、番組配信に先立って前記受信側端末装置2を備えた各グループGに番組編成の予定表を通知する。各グループGは、番組編成の予定表に基づいて配信を希望する番組内容を選択し、この選択結果を配信局1に通知する。
【0027】
番組編成の予定表の通知手段としては、各グループGの受信側端末装置2を介してホテルの管理室などに配したテレビジョン5に表示させるものでもよく、前記通信回線3などに接続した汎用のコンピュータを前記管理室などに配し、そのコンピュータの出力装置に表示させたりプリンタで印刷させたりするものでもよい。この場合、前記コンピュータを使って番組内容の選択および通知を行えるようにしてもよい。
【0028】
番組編成の予定表としては、例えば図4に示すごとく、月曜日から金曜日の午後6時から午後6時50分までは「ニュース」の番組、午後6時50分から午後7時までは「天気予報」と「交通情報」との番組、午後7時から午後7時30分までは「地域情報」の番組および午後7時30分から午後8時までは「ホテル館内情報」の番組を予定してある旨が提示される。
【0029】
さらに番組編成の予定表としては、土曜日の午後6時から午後8時までは「ホテルチェーン情報」の番組、日曜日の午後6時から午後8時までは「今週のダイジェスト」の番組を予定してある旨などが提示される。
【0030】
「地域情報」や「今週のダイジェスト」の番組は、同一内容のものが一ヶ月や一シーズンなどの所定期間内に繰り返して放映される。「ホテル館内情報」や「ホテルチェーン情報」の番組は、長期間にわたって繰り返して放映される。
【0031】
そして、配信局1は、各グループGから通知された選択結果に応じて各グループGごとの番組編成を行うとともに、その番組編成に応じたタイムスケジュールを作成して各グループGの各受信側端末装置2に配信する。
【0032】
つまり、配信局1の配信制御装置15は、先の「地域情報」、「ホテル館内情報」および「ホテルチェーン情報」の番組に関しては、それぞれ各グループGが選択した内容の番組が、当該グループGの各受信側端末装置2に配信されるよう編成する。
【0033】
例えば大阪を所在地とするホテルでまとめたグループGには、選択に応じて「地域情報」の番組として、大阪の季節毎の観光案内などの地域情報を編集した番組が編成されて配信される。また、例えばホテルチェーンでまとめたグループGには、「ホテルチェーン情報」の番組として、当該ホテルチェーンの情報が編成されて配信され、またホテル単体のグループGには、当該ホテル内のレストランやルームサービスの情報などに特化した情報が編成されて配信される。
【0034】
例えば、受信側端末装置2が、大阪を所在地とするホテルでまとめたグループGと、全国に所在するホテルチェーンでまとめたグループGとに所属している場合には、大阪の「地域情報」の番組を配信し、全国の「ホテルチェーン情報」の番組を配信してもよい。
【0035】
「ニュース」や「天気予報」などの番組は、それぞれ番組内容が画一的に決めらるために、同一内容の番組が各グループGに配信される。「交通情報」は、各テレビジョン5にテロップなどで表示される。
【0036】
タイムスケジュールには、各番組の放映日時およびその番組内容の説明や、番組内容を構成する映像データや音声データなどの配信日時などが含まれる。
【0037】
前述のごとく配信局1と、各グループGのコンピュータとが、番組内容の選択および通知を行う場合には、配信局1の配信制御装置15は、その選択内容に基づいてタイムスケジュールを自動作成できる。
【0038】
ここで、配信局1でのタイムスケジュールの作成手法を説明すると、最新のニュースや天気予報で編集される「ニュース」や「天気予報」などの番組では、その番組内容の配信時間として、受信側端末装置2での処理時間などを考慮して当該番組の開始より少し前の時間に配信を完了できるようタイムスケジュールに設定する。
【0039】
そして、配信局1の配信制御装置15は、タイムスケジュールに従って、各番組の配信時間に番組内容を構成する映像データや音声データなどを配信する。各受信側端末装置2は、タイムスケジュールに従って、各番組の配信時間に前記番組内容の画像データなどを受信して記憶し、各番組の放映時間にその番組内容を各テレビジョン5に送信する。つまり、各テレビジョン5では、その番組の放送時間に当該番組が放映される。各受信側端末装置2は、各番組の放映予定の日時やその番組内容の簡単な説明をタイムスケジュールに基づいてテロップなどで各テレビジョン5に表示できる。
【0040】
「地域情報」や「ホテル館内情報」や「ホテルチェーン情報」や「今週のダイジェスト」の番組は、前述のごとく同一内容のものが繰り返して放映されるため、配信局1の配信制御装置15は番組内容を一回だけ配信する。受信側端末装置2は、その番組内容を記憶して、タイムスケジュールに従って放映時間毎に記憶した番組内容を各テレビジョン5に送信する。
【0041】
前記繰り返して放映する番組では、二回目以降の放映の際には受信側端末装置2に記憶した番組内容が各テレビジョン5で放映されており、この放映の間は、番組配信に通信回線3が使われておらず空いている。タイムスケジュールでは、通信回線3が空いている前記二回目以降の放映時間を、別の未放送などの番組内容の配信時間に設定する。
【0042】
なお、配信制御装置15は、前記繰り返して放映される番組以外の番組が各テレビジョン5で放映中の場合であっても、その番組とは別の未放送などの番組内容を配信し、各受信側端末装置2が、前記各テレビジョン5に番組を放映させる制御動作に並行して、前記別の番組内容をメモリ7に記憶するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明にかかる放送システムのブロック構成図
【図2】受信側端末装置のブロック構成図
【図3】配信局のブロック構成図
【図4】番組編成の予定表の例を示す説明図
【符号の説明】
【0044】
1 配信局
2 受信側端末装置
3 通信回線
5 テレビジョン
7 メモリ
11 制御部
15 配信制御装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
番組内容を配信する配信局(1)と、この配信局(1)からの番組内容を受信して表示装置(5)で放映させる受信側端末装置(2)とが通信回線(3)を介して接続されており、
受信側端末装置(2)は、前記受信した番組内容を記憶するメモリ(7)と、前記番組内容を予め設定したスケジュールに従って表示装置(5)で放映させるよう制御する制御部(11)とを有しており、
配信局(1)は、同一の番組内容を繰り返して放映する場合には、その番組内容を一回だけ配信する配信手段(15)を有しており、
配信手段(15)は、前記スケジュールの内容を受信側端末装置(2)に送信し、
受信側端末装置(2)の制御部(11)は、前記スケジュールに従って、メモリ(7)に記憶した当該繰り返し放映の番組内容を表示装置(5)で放映させることを特徴とする放送システム。
【請求項2】
配信局(1)の配信手段(15)には、複数の受信側端末装置(2)が通信回線(3)を介して接続されており、
各受信側端末装置(2)は、一つ又は複数のグループ(G)に所属していて、各グループ(G)毎に番組内容を選択できるようになっており、
配信手段(15)は、前記選択された番組内容を各グループ(G)の受信側端末装置(2)に配信する請求項1記載の放送システム。
【請求項3】
配信手段(15)は、受信側端末装置(2)の表示装置(5)での放映中の番組内容とは別の番組内容を配信し、
受信側端末装置(2)は、表示装置(5)に番組を放映させる制御動作に並行して、前記別の番組内容をメモリ(7)に記憶させる請求項1又は2記載の放送システム。
【請求項4】
配信手段(15)は、前記繰り返して放映される番組の二回目以降の放映時間に、この放映されている番組とは別の番組内容を配信する請求項3記載の放送システム。
【請求項5】
各受信側端末装置(2)は、表示装置(5)での放映中の番組に割り込ませて、配信手段(15)から配信されてきた情報を表示装置(5)で表示できるようにした請求項1又は2又は3又は4記載の放送システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−158690(P2007−158690A)
【公開日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−350784(P2005−350784)
【出願日】平成17年12月5日(2005.12.5)
【出願人】(000163394)株式会社コミューチュア (12)
【出願人】(505450180)株式会社全関西ケーブルテレビジヨン (1)
【Fターム(参考)】