説明

放送受信装置、放送送信装置、放送システムおよび放送方法

【課題】自主放送システムの放送局に関する情報をユーザが所持する放送受信装置に的確に伝達する。
【解決手段】放送受信部22は、放送を受信する。音声入力部23は、外部から音声信号を取得する。音声解析部32は、音声入力部23により取得される音声信号に、放送に関する情報が重畳されているか否か音声解析する。放送制御部33は、音声解析部32による音声解析の結果、放送に関する情報が重畳されている場合、その情報に含まれるチャンネル情報を放送受信部22に設定し、その放送を受信させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空間的、時間的に限られた放送を受信する放送受信装置、その放送を送信する放送送信装置、放送システムおよび放送方法に関する。
【背景技術】
【0002】
日本では2011年7月のアナログ放送からデジタル放送へのTV放送方式の完全移行に伴い、電波の有効利用に関する国家レベルの検討がなされている。アナログ方式による電波通信方式では、その周波数帯域が近接すると互いに干渉を起こしてしまうため、ガードバンドと呼ばれる「ホワイトスペース(空白帯域)」が設けられていた。これに対して、デジタル方式による電波通信方式では、デジタル通信技術の進歩もあり、周波数帯域が近接していたとしても、通信方式が大きく異なる場合、干渉をほとんど起こすことなく通信できるようになってきている。
【0003】
また、地域や時間帯によって、利用されていない「ホワイトスペース」も存在しており、これらの「ホワイトスペース」を有効利用するための仕組み作りが、近年、推し進められている。その利用用途のひとつとして、ローカルエリア放送(以下適宜、自主放送システムともいう)が提案されている。自主放送システムとは、主に、通常のワンセグメント放送よりも送信電力が小さい(最大で1W程度)エリアワンセグ放送を念頭においたものである。例えば、学校、病院、商店街などにおける構内放送のように、ローカルなコミュニティにおいて、その目的にあわせたコンテンツを自由に発信する用途に適したシステムである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−13274号公報
【特許文献2】特開2007−13925号公報
【特許文献2】特開2010−68437号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したように、自主放送システムは学生、患者、買物客などの視聴者へ確実に情報を伝達することが重要であるため、プッシュ型のサービス提供形態が基本である。一方、ホワイトスペースはその地域や時間帯によって利用できる周波数帯域が異なるため、選局先の物理的なチャンネル(すなわち、周波数)を予め固定的なものとして公知することは難しい。
【0006】
本発明はこうした状況に鑑みなされたものであり、その目的は、自主放送システムの放送局に関する情報をユーザが所持する放送受信装置に的確に伝達する技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のある態様の放送受信装置は、放送を受信するための放送受信部と、外部から音声信号を取得するための音声入力部と、音声入力部により取得される音声信号に、放送に関する情報が重畳されているか否か音声解析する音声解析部と、音声解析部による音声解析の結果、放送に関する情報が重畳されている場合、その情報に含まれるチャンネル情報を放送受信部に設定し、その放送を受信させる放送制御部と、を備える。
【0008】
本発明の別の態様は、放送送信装置である。この装置は、放送を送信するための放送送信部と、放送に関する情報を重畳させた音声信号を外部に出力するための音声出力部と、を備える。
【0009】
本発明のさらに別の態様は、放送システムである。この放送システムは、放送送信装置と放送受信装置を備える放送システムであって、放送送信装置は、放送を送信するための放送送信部と、放送に関する情報を重畳させた音声信号を外部に出力するための音声出力部と、を有する。放送受信装置は、放送を受信するための放送受信部と、外部から音声信号を取得するための音声入力部と、音声入力部により取得される音声信号に、放送に関する情報が重畳されているか否か音声解析する音声解析部と、音声解析部による音声解析の結果、放送に関する情報が重畳されている場合、その情報に含まれるチャンネル情報を放送受信部に設定し、その放送を受信させる放送制御部と、を有する。
【0010】
本発明のさらに別の態様は、放送方法である。この方法は、放送送信装置から放送を送信する放送送信ステップと、放送送信装置から放送に関する情報を重畳させた音声信号を外部に出力する音声出力ステップと、放送受信装置が外部から音声信号を取得する音声入力ステップと、音声入力ステップにより取得される音声信号に、放送に関する情報が重畳されているか否か音声解析する音声解析ステップと、音声解析ステップによる音声解析の結果、放送に関する情報が重畳されている場合、その情報に含まれるチャンネル情報を設定し、その放送を受信する放送受信ステップと、を備える。
【0011】
なお、以上の構成要素の任意の組み合わせ、本発明の表現を方法、装置、システム、記録媒体、コンピュータプログラム等の間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、自主放送システムの放送局に関する情報をユーザが所持する放送受信装置に的確に伝達することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施の形態1に係る放送送信装置の構成を示す図である。
【図2】放送情報のデータフォーマットの一例を示す図である。
【図3】本発明の実施の形態2に係る放送受信装置の構成を示す図である。
【図4】実施の形態2に係る放送受信装置の動作例を示すフローチャート(その1)である。
【図5】実施の形態2に係る放送受信装置の動作例を示すフローチャート(その2)である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1は、本発明の実施の形態1に係る放送送信装置100の構成を示す図である。放送送信装置100は、空間的、時間的に利用可能な周波数帯域(すなわち、ホワイトスペース)を利用したローカルエリアの放送局となる装置である。放送送信装置100は、エンコーダ11、放送送信部12、アンテナ13、放送情報保持部14、重畳部15および音声出力部16を備える。
【0015】
エンコーダ11は、外部(例えば、PCやデジタルビデオカメラ)から入力される、放送されるべき映像データおよび音声データの少なくとも一方を所定の規格(例えば、動画規格としてH.264/MPEG−4 AVC、音声規格としてMPEG−2 AAC)に従い圧縮符号化する。
【0016】
放送送信部12は、エンコーダ11により生成されたデジタルストリームを変調して、デジタル放送としてアンテナ13を介して無線送信する。なお、送信電力は日本で実施されているワンセグメント放送の送信電力より低い値に設定され、例えば、1W未満に設定される。コンサート会場や競技場など比較的広い場所で利用できる「小電力タイプ」と、無線局免許を必要とせず店舗内または店舗周辺など極く狭いエリアをカバーする「微弱出力タイプ」の両方式が可能である。
【0017】
放送情報保持部14は、放送送信装置100から送信される放送に関する情報(以下、単に放送情報という)を保持する。当該放送情報には少なくともチャンネル情報が含まれる。
【0018】
図2は、放送情報のデータフォーマットの一例を示す図である。当該放送情報には、放送局ID、周波数情報、位置情報、エリア情報および放送時刻情報が含まれる。これらの情報のうち必須情報は周波数情報である。周波数情報とは、その放送局が放送に使用する物理チャンネルを示す情報である。その他、当該放送情報には、放送局の名称、番組のタイトルなどが含まれてもよい。
【0019】
図1に戻る。重畳部15は、外部(例えば、PCやCDプレーヤ)から入力される音声出力されるべき音声データに、放送情報保持部14から供給される放送情報を重畳する。当該放送情報を重畳する手法は既存の手法を用いればよい。例えば、当該音声データ内に時分割に当該放送情報を重畳させてもよいし、上記特許文献1、2に開示される手法を用いてもよいし、音声透かし等を用いてもよい。また、この音声データは人間の可聴帯域外の信号であってもよい。この場合、放送情報のみを送信してもよい。
【0020】
音声出力部16は、放送情報が重畳された音声信号を外部に音声出力する。音声出力部16には一般的なスピーカを採用することができる。なお、音声出力部16から出力される音声は、放送送信部12により送信される放送音声と同じであってもよいし、異なっていてもよい。例えば、音声出力部16から外部出力される音声として、店舗内外に流れているBGMであってもよい。
【0021】
図3は、本発明の実施の形態2に係る放送受信装置200の構成を示す図である。実施の形態2に係る放送受信装置200は、ホワイトスペースを利用したローカルエリア放送システムの受信端末機となる装置である。放送受信装置200の例として、携帯電話機、スマートフォン、携帯型音楽プレーヤ、カーナビゲーション装置、ゲーム機、放送受信専用機、電子辞書などが挙げられる。以下の説明では、携帯電話機またはスマートフォンを想定して説明する。
【0022】
放送受信装置200は、放送受信用アンテナ21、放送受信部22、音声入力部23、通信用アンテナ24、通信部25、操作部26、位置検出部27、表示部28、音声出力部29、制御部30および記憶部40を備える。
【0023】
放送受信部22は、放送受信用アンテナ21を介してデジタル放送を受信し、その放送信号を復調し、得られたデジタルストリームを制御部30に出力する。本実施の形態では、主に放送送信装置100により送信されたデジタル放送を受信することを想定するが、ワンセグメント放送など、ローカルエリア放送以外の放送を受信することも可能である。
【0024】
音声入力部23は、外部から音声信号を取得し、制御部30に出力する。音声入力部23には一般的なマイクを採用することができる。本実施の形態では、放送受信装置200の電源がオンの間、音声入力部23は、放送送信装置100の音声出力部16から出力される音声信号を検知するために、原則的に集音を続ける。
【0025】
通信部25は、通信用アンテナ24を介して外部装置とデータの送受信を行う。外部装置との通信には様々な形態があるが、ここでは図面を簡略化するため一つにまとめて描いている。例えば、携帯電話網を介しての基地局との通信、無線LANおよびアクセスポイントを介してのインターネットへのアクセス、近距離無線通信(例えば、Bluetooth(登録商標)、赤外線通信)を用いた携帯端末との通信などが挙げられる。
【0026】
操作部26は、ユーザ操作を受け付け、制御部30に出力する。例えば、後述する様々な設定を受け付ける。位置検出部27は、放送受信装置200の現在位置を検出し、制御部30に出力する。例えば、位置検出部27はGPSを用いて放送受信装置200の現在位置を検出できる。
【0027】
表示部28は、制御部30から供給される映像を表示する。表示部28には液晶ディスプレイや有機ELディスプレイを採用することができる。音声出力部29は、制御部30から供給される音声を外部に出力する。音声出力部29には一般的なスピーカやヘッドフォン出力を採用することができる。
【0028】
制御部30は、判定部31、音声解析部32、放送制御部33、通話処理部34、アプリケーション実行部35および通信制御部36を含む。これらの構成は、ハードウェア的には、任意のプロセッサ、メモリ、その他のLSIで実現でき、ソフトウェア的にはメモリにロードされたプログラムなどによって実現されるが、ここではそれらの連携によって実現される機能ブロックを描いている。したがって、これらの機能ブロックがハードウェアのみ、ソフトウェアのみ、またはそれらの組み合わせによっていろいろな形で実現できることは、当業者には理解されるところである。
【0029】
記憶部40は、放送情報保持部41およびアプリケーション保持部42を含む。放送情報保持部41は、上述した放送情報を保持する。放送情報は、音声入力部23により取得される音声信号から取得されたものであってもよいし、通信部25および通信制御部36を用いて外部装置(例えば、自主放送システムの放送局を統括的に管理するサーバ)からインターネットを介して取得されたものであってもよいし、ユーザ自身により入力されたものであってもよい。
【0030】
アプリケーション保持部42は、アプリケーション実行部35により実行されるべき様々なアプリケーションプログラム(以下、単にアプリケーションという)を保持する。アプリケーションは、予め保持されたものであってもよいし、事後的に通信部25および通信制御部36を介してダウンロードされたものであってもよい。
【0031】
判定部31は、音声入力部23により集音された音声信号に付加された放送情報に含まれるローカルエリア放送におけるチャンネル情報、位置情報や放送時間情報など、受信に必要なパラメータを解析するか否かを判定する。以下、より具体的に説明する。
【0032】
判定部31は、通話または音声入力関連アプリケーションが実行中であるか否か判定する(特許請求の範囲における第1判定部に相当)。音声入力関連アプリケーションの例として、音声認識入力、録音などが挙げられる。音声解析部32は、音声入力部23により取得される音声信号を解析する。音声解析部32は、音声入力部23により取得される音声信号に、放送情報が重畳されているか否か音声解析する。また、判定部31は、通話または音声入力関連アプリケーションが実行中であるとき、音声解析部32による音声解析を停止させる。反対に、通話または音声入力関連アプリケーションが実行中でないとき、原則として音声解析部32に音声解析を実行させる。
【0033】
放送制御部33には、放送受信部22により受信され、図示しないデコーダにより伸張復号された映像データおよび音声データが入力される。また、放送制御部33は、音声解析部32による音声解析の結果、放送情報が重畳されている場合、その情報に含まれるチャンネル情報を放送受信部22に設定し、その放送を受信させる。その際、選局処理のトリガとなるタイミングも制御する。この制御の具体例は後述する。通話処理部34は、通信部25、音声入力部23および音声出力部29を制御して、携帯電話網を利用した相手方端末装置との通話を実現させる。
【0034】
アプリケーション実行部35は、各種のアプリケーションを実行する。アプリケーションには、上述した音声入力部23を使用する音声入力関連アプリケーション、表示部28および音声出力部29を使用する映像音声出力関連アプリケーション、表示部28を使用し、音声出力部29を使用しない映像出力関連アプリケーション、および表示部28を使用せず、音声出力部29を使用する音声出力関連アプリケーションがある。
【0035】
映像音声出力関連アプリケーションの例としては、ゲーム(音声付き)、動画再生(音声付き)、音楽再生(映像あり)などが挙げられる。映像出力関連アプリケーションの例としては、ウェブ閲覧、電子メール、動画再生(音声なし)、ゲーム(音声なし)などが挙げられる。音声出力関連アプリケーションの例としては、音楽再生(映像なし)、ラジオ視聴(文字情報なし)などが挙げられる。
【0036】
通信制御部36は、通話以外の通信を制御する。例えば、外部サーバからアプリケーションをダウンロードしてアプリケーション保持部42に格納する処理や、アプリケーション実行部35により電子メールの送受信処理などを制御する。
【0037】
判定部31は、位置検出部27から得られる位置や時間情報、または放送情報そのものの有無により、ローカルエリア放送が行われていない場合には、音声信号の解析処理を停止させる。以下、より具体的に説明する。判定部31は、位置検出部27により検出された位置から受信可能な放送が存在しないと判定したとき、音声解析部32による音声解析を停止させてもよい(特許請求の範囲における第2判定部に相当)。この処理の前提として、放送情報保持部41に少なくとも放送エリアを含む放送情報を保持している必要がある。また、判定部31は、現在時刻に受信可能な放送が存在しないと判定したとき、音声解析部32による音声解析を停止させてもよい(特許請求の範囲における第3判定部に相当)。この処理の前提として、放送情報保持部41に少なくとも放送時刻を含む放送情報を保持している必要がある。
【0038】
放送制御部33は、新たに取得された放送情報が、最後に選局されたローカルエリア放送と同じチャンネルの放送情報の場合、新たな選局は行わない。すなわち、それまでの状態を維持する。また、視聴に耐え得る十分な信号強度または電界強度が得られない場合、放送制御部33は、放送映像表示および音声出力を行わない。
【0039】
放送制御部33は、上記映像音声出力関連アプリケーションが実行中のとき、受信された放送映像を表示部28に表示させず、受信された放送音声を音声出力部29にも出力させないよう制御してもよい。また、放送制御部33は、上記映像出力関連アプリケーションが実行中のとき、受信された放送映像を表示部28に表示させず、受信された放送音声を音声出力部29に出力させるよう制御してもよい。また、放送制御部33は、上記音声出力関連アプリケーションが実行中のとき、受信された放送映像を表示部28に表示させ、受信された放送音声を音声出力部29に出力させないよう制御してもよい。
【0040】
なお、操作部26からのユーザ操作に起因して、これらの制御と異なる設定や操作がなされている場合、放送制御部33はその設定や操作にしたがう。例えば、上述した上記映像音声出力関連アプリケーション、映像出力関連アプリケーションまたは音声出力関連アプリケーションの実行中であっても、自動的または強制的にローカルエリア放送の視聴へ切り換える設定がなされている場合、放送制御部33はそのように制御する。
【0041】
また、音声解析処理、選局処理、放送映像表示処理および放送音声出力処理の有効/無効を、ユーザ操作に起因してそれぞれ独立に設定できる仕様であってもよい。その際、操作部26に備えられるボタンの押下などにより、ユーザが任意のタイミングでその有効/無効を設定できてもよい。また、音声解析部32が音声解析処理を、放送制御部33が選局処理、放送映像表示処理または放送音声出力処理を開始するに先立ち、OSD(On Screen Display)のポップアップメッセージ、報知音、LEDなどの周辺デバイスを用いてユーザに処理の開始承認を求めてもよい。さらに、その処理結果をその周辺デバイスに通知してもよい。
【0042】
図4、図5は、実施の形態2に係る放送受信装置200の動作例を示すフローチャートである。上述したように、ローカルエリア放送(図4、図5ではLA放送と表記している)は、その地域や時間帯によって、行われているか否かが不確定であるため、放送受信装置200の位置と現在時刻を得ることが重要である。
【0043】
判定部31は、放送受信装置200の現在位置がローカルエリア放送の実施地域内に存在するか否か判定する(S10)。ローカルエリア放送の実施地域に存在しない場合(S10のN)、以下の処理には進まない。ステップS10の判定処理を定期的(例えば、1分おき)に継続する。
【0044】
ローカルエリア放送の実施地域に存在する場合(S10のY)、判定部31は、現在の時刻がローカルエリア放送の実施時間に該当するか否か判定する(S11)。現在の時刻がローカルエリア放送の実施時間に該当しない場合(S11のN)、以下の処理には進まず、ステップS10に戻る。現在の時刻がローカルエリア放送の実施時間に該当する場合(S11のY)、以下の処理に進む。
【0045】
放送受信装置200の現在位置や時刻情報は、放送受信部22内の放送チューナ、通信部25内のモデム、ネットワークモジュールまたはBluetooth、位置検出部27内のGPSといった外部通信モジュールから取得することが可能である。例えば、モデムを介して、放送受信装置200の直近の基地局位置から現在位置を推定することができる。また、GPSを用いて、高精度な現在位置を取得することもできる。これらの情報から、確度の高い情報を抽出し、総合的な判定処理を行ってもよい。また、ローカルエリア放送が行われている地域や時間帯の情報は、あらかじめ取得することもできるが、これらの外部通信モジュールを介して、逐次取得することも可能である。
【0046】
つぎに、判定部31は音声入力部23が優先機能中であるか否か判定する(S12)。ここで、優先機能中とは上記音声入力関連アプリケーションの実行中に相当する。音声入力部23が優先機能中である場合(S12のY)、上記音声入力関連アプリケーションの実行を継続し(S13)、そのアプリケーションが終了すると、ステップS10に戻る。例えば、ユーザがSkype(登録商標)を使用している場合、音声入力部23を使用する必要がある。もちろん、一般的な電話の場合も同様に音声入力部23を使用する必要がある。
【0047】
音声入力部23が優先機能中でない場合(S12のN)、音声解析部32は、音声入力部23により取得される音声信号から放送情報を抽出する(S14)。放送情報が付加された音楽などから、例えば、上記特許文献1、2に開示された手法を用いてその放送情報を抽出できる。
【0048】
音声解析部32は、音声入力部23により取得される音声信号から放送情報を抽出完了できない場合(S15のN)。ステップS10に戻る。抽出完了できた場合(S15のY)、以下の処理に進む。
【0049】
判定部31は、抽出された放送情報に含まれる放送時間情報より、現在の時刻がローカルエリア放送の実施時間に該当するか否か判定する(S16)。現在の時刻がローカルエリア放送の実施時間に該当しない場合(S16のN)、ステップS10に戻る。現在の時刻がローカルエリア放送の実施時間に該当する場合(S16のY)、以下の処理に進む。なお、ステップS11の判定処理は、上記外部通信モジュールから、ローカルエリア放送および詳細な放送情報も合わせて確定的に取得できる場合に音声解析処理をスキップする判定処理であり、ステップS16の判定処理とは異なる。
【0050】
つぎに、放送制御部33は、抽出された放送情報に含まれるチャンネルと、最後に選局を行ったローカルエリア放送のチャンネルとが異なるか否か判定する(S17)。同一の場合(S17のN)、新たな選局は行わず、ステップS10に戻る。異なる場合(S17のY)、新たなチャンネルを選局する(S18)。放送制御部33は、新たな選局先のチャンネルにおいて、視聴に耐え得る十分な信号強度または電界強度を得えられるか否か判定する(S19)。すなわち、視聴可能か否か判定する。視聴不可の場合(S19のN)、放送映像を表示部28に、放送音声を音声出力部29に出力させずに、ステップS10に戻る。視聴可能な場合(S19のY)、以下の処理に進む。
【0051】
図5に移る。放送制御部33は、表示部28が優先機能中であるか否か判定する(S20)。ここで、優先機能中とは上記映像出力関連アプリケーションの実行中に相当する。表示部28が優先機能中である場合(S20のY)、音声出力部29が優先機能中であるか否か判定する(S21)。ここで、優先機能中とは上記音声出力関連アプリケーションの実行中に相当する。音声出力部29が優先機能中である場合(S21のY)、上記映像音声出力関連アプリケーションの実行を継続し(S22)、そのアプリケーションが終了すると、ステップS10に戻る。例えば、ユーザがゲームをしている場合、表示部28および音声出力部29の両方を使用する必要がある。音声出力部29が優先機能中でない場合(S21のN)、放送制御部33は放送音声を音声出力部29に出力する(S23)。それとともに、上記映像出力関連アプリケーションの実行を継続し(S24)、そのアプリケーションが終了すると、ステップS10に戻る。例えば、ユーザがメール作成をしている場合、表示部28は使用する必要があるが、音声出力部29は使用する必要がない。
【0052】
表示部28が優先機能中でない場合(S20のN)、放送制御部33は放送映像を表示部28に出力する(S25)。つぎに、放送制御部33は音声出力部29が優先機能中であるか否か判定する(S26)。音声出力部29が優先機能中である場合(S26のY)、上記音声出力関連アプリケーションの実行を継続し(S27)、そのアプリケーションが終了すると、ステップS10に戻る。例えば、ユーザが音楽再生している場合、表示部28は使用する必要はないが、音声出力部29は使用する必要がある。音声出力部29が優先機能中でない場合(S26のN)、放送制御部33は放送音声を音声出力部29に出力する(S28)。
【0053】
判定部31は、放送情報の集音処理の終了指示がなされたか否か判定する(S29)。終了指示がなされない間(S29のN)、ステップS10に戻り、上述した処理を継続する。終了指示がなされた場合(S29のY)、放送情報の集音処理を終了する。
【0054】
このように、表示部28および音声出力部29の利用状況によって、放送映像および放送音声の出力制御を独立に行なう。なお、ステップS12、ステップS20、ステップS21、ステップS26における優先機能判定の基準をユーザ設定可能に設計してもよい。例えば、ローカルエリア放送の視聴を最優先という設定を行なえば、放送制御部33は、ユーザが何らかの作業(例えば、メール作成やゲーム)を行っていたとしても、自動的または強制的にローカルエリア放送の視聴へ切り換える。また、音声解析処理、選局処理、放送映像表示処理、放送音声出力処理の有効/無効をユーザが任意に設定できるようにすることにより、放送情報の集音によるローカルエリア放送の自動選局機能そのものを無効化することも可能である。
【0055】
以上説明したように実施の形態1、2によれば、放送情報を音声信号に重畳して出力することにより、自主放送システムの放送局に関する情報をユーザが所持する放送受信装置に的確に伝達することができる。また、実施の形態1に係る放送送信装置100と実施の形態2に係る放送受信装置200とを組み合わせた放送システムは、プッシュ型の放送サービスに最適である。プッシュ型の放送サービスとは、視聴者へ確実に情報を伝えることである。すなわち、強制的に視聴を促すことが重要である。当該放送システムでは、放送送信装置100は、音声信号に選局先となる物理チャンネルおよび放送時間情報等を付加して出力する。放送受信装置200は、この音声信号を受信して解析することにより、自動選局が可能である。
【0056】
また、放送受信装置200において音声入力部23が通話やアプリケーションにより使用中の場合、音声解析処理を停止させることにより、消費電力を低減することができる。また、放送映像と放送音声を分けて取り扱うことにより、表示部28または音声出力部29を使用したアプリケーションの実行を妨げない範囲で、ローカルエリア放送を最大限にプッシュすることができる。
【0057】
当該放送システムとして、例えば、以下のような利用形態が考えられる。商店街において、売り手が集客を促すための宣伝や特売情報を買い手に伝えたい場合に、構内スピーカより、アナウンスや音楽を流す。このアナウンスや音楽にあらかじめローカルエリア放送を行っているチャンネル情報を付加しておくことで、買い手が所持する放送受信装置200に、詳細な情報を放送しているチャンネルを自動的に選局させる。
【0058】
以上、本発明をいくつかの実施の形態をもとに説明した。これらの実施の形態は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【0059】
例えば、音声信号に付加する放送情報に、重要度や緊急度を示すプライオリティ情報をパラメータとしてさらに追加してもよい。この場合、放送受信装置200において以下のような処理を行うことができる。判定部31は、そのプライオリティレベルに従って、自動選局するか否か決定してもよい。例えば、プライオリティレベルが最大の場合(災害などの非常用緊急放送が想定される)、放送受信装置200で通話やアプリケーションが実行されていても、ローカルエリア放送を映像音声出力する。また、プライオリティレベルが最小の場合、アプリケーションを実行していなくても電池残量が所定値以下の場合、ローカルエリア放送を映像音声出力しない。
【0060】
また、放送情報が検出された場合において、放送制御部33はローカルエリア放送を自動選局せずに、その放送情報を放送情報保持部41に保持するだけでもよい。ユーザは任意のタイミングでその放送情報を使用して、当該ローカルエリア放送を視聴することが可能である。また、放送情報が検出された場合において、放送制御部33はローカルエリア放送を自動選局するが、映像音声を表示部28および音声出力部29に出力させずに、記憶部40に記録してもよい。ユーザは任意のタイミングでその映像音声を再生することができる。
【0061】
また、放送情報は音声信号から取得する手法に限るものではない。例えば、通信部25が、携帯電話網、無線LAN、短距離無線通信などを用いて、放送情報を保持する別の装置から当該放送情報を取得してもよい。
【符号の説明】
【0062】
100 放送送信装置、 12 放送送信部、 16 音声出力部、 200 放送受信装置、 22 放送受信部、 23 音声入力部、 27 位置検出部、 28 表示部、 29 音声出力部、 30 制御部、 31 判定部、 32 音声解析部、 33 放送制御部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
放送を受信するための放送受信部と、
外部から音声信号を取得するための音声入力部と、
前記音声入力部により取得される音声信号に、放送に関する情報が重畳されているか否か音声解析する音声解析部と、
前記音声解析部による音声解析の結果、前記放送に関する情報が重畳されている場合、その情報に含まれるチャンネル情報を前記放送受信部に設定し、その放送を受信させる放送制御部と、
を備えることを特徴とする放送受信装置。
【請求項2】
通話または音声入力関連アプリケーションが実行中であるか否か判定する第1判定部をさらに備え、
前記第1判定部は、前記通話または前記音声入力関連アプリケーションが実行中であるとき、前記音声解析部による音声解析を停止させることを特徴とする請求項1に記載の放送受信装置。
【請求項3】
少なくとも放送エリアを含む放送に関する情報を保持する保持部と、
前記放送受信装置の位置を検出する位置検出部と、
前記位置検出部により検出された位置から受信可能な放送が存在するか否か判定する第2判定部と、をさらに備え、
前記第2判定部は、前記位置検出部により検出された位置から受信可能な放送が存在しないと判定したとき、前記音声解析部による音声解析を停止させることを特徴とする請求項1または2に記載の放送受信装置。
【請求項4】
少なくとも放送時刻を含む放送に関する情報を保持する保持部と、
現在時刻に受信可能な放送が存在するか否か判定する第3判定部と、をさらに備え、
前記第3判定部は、現在時刻に受信可能な放送が存在しないと判定したとき、前記音声解析部による音声解析を停止させることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の放送受信装置。
【請求項5】
映像を表示するための表示部と、
外部に音声を出力するための音声出力部と、をさらに備え、
前記放送制御部は、前記表示部および前記音声出力部を使用する映像音声出力関連アプリケーションが実行中のとき、受信された放送映像を前記表示部に表示させず、受信された放送音声を前記音声出力部に出力させないことを特徴とする請求項1に記載の放送受信装置。
【請求項6】
映像を表示するための表示部と、
外部に音声を出力するための音声出力部と、をさらに備え、
前記放送制御部は、前記表示部を使用する映像出力関連アプリケーションが実行中のとき、受信された放送映像を前記表示部に表示させず、受信された放送音声を前記音声出力部に出力させることを特徴とする請求項1に記載の放送受信装置。
【請求項7】
映像を表示するための表示部と、
外部に音声を出力するための音声出力部と、をさらに備え、
前記放送制御部は、前記音声出力部を使用する音声出力関連アプリケーションが実行中のとき、受信された放送映像を前記表示部に表示させ、受信された放送音声を前記音声出力部に出力させないことを特徴とする請求項1に記載の放送受信装置。
【請求項8】
放送を送信するための放送送信部と、
前記放送に関する情報を重畳させた音声信号を外部に出力するための音声出力部と、
を備えることを特徴とする放送送信装置。
【請求項9】
放送送信装置と放送受信装置を備える放送システムであって、
前記放送送信装置は、
放送を送信するための放送送信部と、
前記放送に関する情報を重畳させた音声信号を外部に出力するための音声出力部と、を有し、
前記放送受信装置は、
前記放送を受信するための放送受信部と、
外部から音声信号を取得するための音声入力部と、
前記音声入力部により取得される音声信号に、放送に関する情報が重畳されているか否か音声解析する音声解析部と、
前記音声解析部による音声解析の結果、放送に関する情報が重畳されている場合、その情報に含まれるチャンネル情報を前記放送受信部に設定し、その放送を受信させる放送制御部と、を有することを特徴とする放送システム。
【請求項10】
放送送信装置から放送を送信する放送送信ステップと、
前記放送送信装置から前記放送に関する情報を重畳させた音声信号を外部に出力する音声出力ステップと、
放送受信装置が外部から音声信号を取得する音声入力ステップと、
前記音声入力ステップにより取得される音声信号に、前記放送に関する情報が重畳されているか否か音声解析する音声解析ステップと、
前記音声解析ステップによる音声解析の結果、前記放送に関する情報が重畳されている場合、その情報に含まれるチャンネル情報を設定し、その放送を受信する放送受信ステップと、
を備えることを特徴とする放送方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−147156(P2012−147156A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−2863(P2011−2863)
【出願日】平成23年1月11日(2011.1.11)
【出願人】(308036402)株式会社JVCケンウッド (1,152)
【Fターム(参考)】