放送実績取得システム、情報埋め込み装置、情報検出装置及び放送実績取得方法
【課題】放送素材の全体が放送されたことの確認を可能とする。
【解決手段】情報埋め込み装置100は、放送素材の先頭部から最後部にかけて、当該放送素材についての複数の属性情報を所定の順序で埋め込み、埋め込み放送素材を生成する。情報検出装置200は、放送送出システム1によって送信され、放送受信システム2により受信された埋め込み放送素材を入力し、当該埋め込み放送素材における複数の属性情報を検出し、放送素材に複数の属性情報が前記所定の順序で埋め込まれている場合に、放送素材の全体が放送されたことを示す放送実績情報を生成する。
【解決手段】情報埋め込み装置100は、放送素材の先頭部から最後部にかけて、当該放送素材についての複数の属性情報を所定の順序で埋め込み、埋め込み放送素材を生成する。情報検出装置200は、放送送出システム1によって送信され、放送受信システム2により受信された埋め込み放送素材を入力し、当該埋め込み放送素材における複数の属性情報を検出し、放送素材に複数の属性情報が前記所定の順序で埋め込まれている場合に、放送素材の全体が放送されたことを示す放送実績情報を生成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地上波デジタル放送やIP再送信における放送等において、コマーシャル(CM)等の放送素材の放送実績を取得する放送実績取得システム、当該放送実績取得システムを構成する情報埋め込み装置及び情報検出装置、当該放送実績取得システムにおける放送実績取得方法に関する。
【背景技術】
【0002】
CM等の放送素材の放送実績を取得することを目的とした方法に関しては、特許文献1及び特許文献2に記載された方法がある。特許文献1に記載された方法では、放送の受信側の装置は、実際に放送された放送素材の一部における音声信号のレベルや基本周波数等の特徴を把握し、予め用意されている放送素材における音声信号の特徴をまとめたマスタデータと比較することにより、放送された放送素材を特定している。
【0003】
また、特許文献2に記載された方法では、放送の送出側の装置は、放送素材のユニークコードを符号化し、放送素材に付加して送信する。一方、放送の受信側の装置は、放送素材の放送時に、当該放送素材に付加されたユニークコードを検出した場合、放送素材が放送されたと判定する。
【特許文献1】特許第3222103号公報
【特許文献2】特開2000−59824号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、放送素材がCMである場合、CMによる広告効果の観点からは、CMは一部だけではなく、全体が放送されることが非常に重要である。しかしながら、上述した特許文献1及び特許文献2に記載された方法では、放送素材の一部が放送されたことは確認可能であるものの、放送素材の全体が放送されたことを確認することはできない。
【0005】
上記問題点に鑑み、本発明は、放送素材の全体が放送されたことの確認が可能な放送実績取得システム、情報埋め込み装置、情報検出装置及び放送実績取得方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するために、本発明は以下のような特徴を有している。まず、本発明の第1の側面は、放送素材の放送実績を取得する放送実績取得システムであって、放送の送出システムの送出対象である放送素材に情報を埋め込む情報埋め込み装置(情報埋め込み装置100)と、放送の受信システムに接続され、前記放送素材に埋め込まれた前記情報を検出する情報検出装置(情報検出装置200)とを含み、前記情報埋め込み装置は、前記放送素材の先頭部から最後部にかけて、前記放送素材についての複数の属性情報を所定の順序で埋め込み、埋め込み放送素材を生成する情報埋め込み部(情報埋め込み処理部152及び埋め込みデータ生成部155)と、前記情報埋め込み部により生成された前記埋め込み放送素材を出力する出力部(信号出力部159)とを備え、前記情報検出装置は、前記受信システムにより受信された前記埋め込み放送素材を入力する入力部(信号入力部251)と、前記入力部により入力された前記埋め込み放送素材における前記複数の属性情報を検出し、前記放送素材に前記複数の属性情報が前記所定の順序で埋め込まれているか否かを判定する埋め込み判定部(埋め込み情報検出部253及び検出情報判定部254)と、前記埋め込み判定部により前記放送素材に前記複数の属性情報が前記所定の順序で埋め込まれていると判定された場合に、前記放送素材の全体が放送されたことを示す放送実績情報を生成する放送実績情報生成部(検出情報判定部254)とを備えることを要旨とする。
【0007】
このような放送実績取得システムによれば、情報埋め込み装置は、放送素材についての複数の属性情報を、放送素材の先頭部から最後部にかけて所定の順序で埋め込む。一方、情報検出装置は、受信した放送素材に複数の属性情報が所定の順序で埋め込まれていると判定された場合に、放送素材の全体が放送されたとみなし、その旨を示す放送実績情報を生成する。したがって、放送実績情報に基づいて、放送素材の全体が放送されたことを確認することが可能となる。
【0008】
本発明の第2の側面は、放送の送出システムの送出対象である放送素材に情報を埋め込む情報埋め込み装置であって、前記放送素材の先頭部から最後部にかけて、前記放送素材についての複数の属性情報を所定の順序で埋め込み、埋め込み放送素材を生成する情報埋め込み部と、前記情報埋め込み部により生成された前記埋め込み放送素材を出力する出力部とを備えることを要旨とする。
【0009】
このような情報埋め込み装置は、放送素材についての複数の属性情報を、放送素材の先頭部から最後部にかけて所定の順序で埋め込む。これにより、放送の受信システムに接続された情報検出装置は、放送素材に複数の属性情報が所定の順序で埋め込まれていると判定した場合に、放送素材の全体が放送されたとみなし、その旨を示す放送実績情報を生成することができる。したがって、放送実績情報に基づいて、放送素材の全体が放送されたことを確認することが可能となる。
【0010】
本発明の第3の側面は、前記放送素材は、前記放送素材の放送時の時間経過を示すタイムコード情報が多重化されており、前記放送素材に多重化された前記タイムコード情報を検出するタイムコード情報検出部(時刻情報判定部154)を備え、前記情報埋め込み部は、前記属性情報について、あらかじめ定められた埋め込み開始タイミングに対応するタイムコード情報と、前記タイムコード情報検出部により検出された前記タイムコード情報とが一致した場合に、前記放送素材への前記属性情報の埋め込みを開始することを要旨とする。
【0011】
このような情報埋め込み装置は、あらかじめ定められた属性情報の埋め込み開始タイミングに対応するタイムコード情報と、タイムコード情報検出部により検出された前記タイムコード情報とが一致した場合に、放送素材への属性情報の埋め込みを開始することで、属性情報の時間的な埋め込み位置が正確に定められ、情報検出装置において、属性情報の時間的な埋め込み位置に基づいて、放送素材の放送時刻を正確に特定することが可能となる。
【0012】
本発明の第4の側面は、前記情報埋め込み部により生成された前記埋め込み放送素材に基づいて、前記情報埋め込み部により前記放送素材への前記属性情報の埋め込みが正常に行われたか否かを判定する正常判定部(情報検出部158)を備えることを要旨とする。
【0013】
本発明の第5の側面は、前記情報埋め込み部は、前記放送素材に、前記属性情報に対応する電子透かし情報を埋め込むことを要旨とする。
【0014】
本発明の第6の側面は、前記放送素材に対応する画像の輝度及び精細度を検出する画像レベル検出部(画像解析処理部153)と、前記画像レベル検出部により検出された前記放送素材に対応する画像の輝度及び精細度に基づいて、前記電子透かし情報の埋め込み強度を設定する設定部(画像解析処理部153)とを備え、前記情報埋め込み部は、前記設定部により設定された前記埋め込み強度で、前記放送素材に、前記電子透かし情報を埋め込むことを要旨とする。
【0015】
本発明の第7の側面は、前記情報埋め込み部は、前記放送素材に対応する画像の所定領域を周波数変換して周波数領域画像を生成し、前記周波数領域画像に、単一の所定周波数成分の基底信号の所定倍となる前記電子透かし情報、又は、複数の所定周波数成分の基底信号の和の所定倍となる前記電子透かし情報を埋め込むことを要旨とする。
【0016】
本発明の第8の側面は、前記周波数変換は、離散コサイン変換であることを要旨とする。
【0017】
本発明の第9の側面は、前記情報埋め込み部は、前記放送素材に対応する画像の解像度が高いほど、前記所定領域を拡大することを要旨とする。
【0018】
本発明の第10の側面は、前記複数の属性情報は、前記放送素材の先頭部を識別可能とする情報である先頭コード、前記放送素材の時間長を示す情報である素材長コード、前記放送素材の識別情報である素材情報コード、及び、前記放送素材の最後部を識別可能とする情報である終了コードからなることを要旨とする。
【0019】
本発明の第11の側面は、放送の受信システムに接続され、放送素材に埋め込まれた情報を検出する情報検出装置であって、前記受信システムにより受信された埋め込み放送素材を入力する入力部と、前記埋め込み放送素材は、前記放送素材の先頭部から最後部にかけて、前記放送素材についての複数の属性情報を所定の順序で埋め込んで生成され、前記入力部により入力された前記埋め込み放送素材における前記複数の属性情報を検出し、前記放送素材に前記複数の属性情報が前記所定の順序で埋め込まれているか否かを判定する埋め込み判定部と、前記埋め込み判定部により前記放送素材に前記複数の属性情報が前記所定の順序で埋め込まれていると判定された場合に、前記放送素材の全体が放送されたことを示す放送実績情報を生成する放送実績情報生成部とを備えることを要旨とする。
【0020】
このような情報検出装置は、放送素材に複数の属性情報が所定の順序で埋め込まれていると判定した場合に、放送素材の全体が放送されたとみなし、その旨を示す放送実績情報を生成する。したがって、放送実績情報に基づいて、放送素材の全体が放送されたことを確認することが可能となる。
【0021】
本発明の第12の側面は、前記放送素材の切替タイミングを検出する切替タイミング検出部(素材先頭候補検出部252)を備え、前記放送実績情報生成部は、前記切替タイミング検出部により検出された前記放送素材の切替タイミングと、前記埋め込み判定部により検出された前記複数の属性情報のうちの所定の属性情報の先頭部のタイミングとの差が所定範囲内である場合に、前記所定の属性情報の先頭部のタイミングを前記放送素材の放送時刻として算出し、前記放送素材の放送時刻を含んだ前記放送実績情報を生成することを要旨とする。
【0022】
このような情報検出装置は、放送素材の放送時刻を正確に算出することができ、更には、当該放送素材の放送時刻を放送実績情報に含ませることにより、放送実績情報に基づいて、放送素材の放送時刻を確認することが可能となる。
【0023】
本発明の第13の側面は、前記埋め込み放送素材は、前記放送素材に前記属性情報に対応する電子透かし情報が埋め込まれて生成され、前記埋め込み判定部は、前記入力部により入力された前記埋め込み放送素材における前記電子透かし情報を検出することを要旨とする。
【0024】
本発明の第14の側面は、前記埋め込み放送素材は、前記放送素材に対応する画像の所定領域を離散コサイン変換して生成される周波数領域画像に、単一の所定周波数成分の基底信号の所定倍となる前記電子透かし情報、又は、複数の所定周波数成分の基底信号の和の所定倍となる前記電子透かし情報を埋め込んで生成され、前記埋め込み判定部は、前記所定領域に対応する画像信号に対して離散コサイン変換を行い、単一の所定周波数成分の基底信号の所定倍となる前記電子透かし情報、又は、複数の所定周波数成分の基底信号の和の所定倍となる前記電子透かし情報を検出することを要旨とする。
【0025】
本発明の第15の側面は、前記埋め込み放送素材は、前記放送素材に対応する画像の所定領域を周波数変換して生成される周波数領域画像に、単一の所定周波数成分の基底信号の所定倍となる前記電子透かし情報、又は、複数の所定周波数成分の基底信号の和の所定倍となる前記電子透かし情報を埋め込んで生成され、前記埋め込み判定部は、前記所定領域に対応する画像信号と、前記電子透かし情報の埋め込みに用いられた前記基底信号との相関係数を、前記電子透かし情報として検出することを要旨とする。
【0026】
本発明の第16の側面は、前記複数の属性情報は、前記放送素材の先頭部を識別可能とする情報である先頭コード、前記放送素材の時間長を示す情報である素材長コード、前記放送素材の識別情報である素材情報コード、及び、前記放送素材の最後部を識別可能とする情報である終了コードからなることを要旨とする。
【0027】
本発明の第17の側面は、放送の送出システムの送出対象である放送素材に情報を埋め込む情報埋め込み装置と、放送の受信システムに接続され、前記放送素材に埋め込まれた前記情報を検出する情報検出装置とを含み、放送素材の放送実績を取得する放送実績取得システムにおける放送実績取得方法であって、前記情報埋め込み装置が、前記放送素材の先頭部から最後部にかけて、前記放送素材についての複数の属性情報を所定の順序で埋め込み、埋め込み放送素材を生成するステップと、前記情報埋め込み装置が、生成された前記埋め込み放送素材を出力するステップとを備え、前記情報検出装置が、前記受信システムにより受信された前記埋め込み放送素材を入力するステップと、前記情報検出装置が、入力された前記埋め込み放送素材における前記複数の属性情報を検出し、前記放送素材に前記複数の属性情報が前記所定の順序で埋め込まれているか否かを判定するステップと、前記情報検出装置が、前記放送素材に前記複数の属性情報が前記所定の順序で埋め込まれていると判定された場合に、前記放送素材の全体が放送されたことを示す放送実績情報を生成するステップとを備えることを要旨とする。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、放送素材の全体が放送されたことを示す放送実績情報が生成されることにより、当該放送実績情報に基づいて、放送素材の全体が放送されたことを確認することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
次に、図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。具体的には、(1)放送実績取得システムの構成及び動作、(2)作用・効果、(3)その他の実施形態について説明する。以下の実施形態における図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。
【0030】
(1)放送実績取得システムの構成及び動作
(1.1)放送実績取得システムの全体概略構成及び動作
図1は、本発明の実施形態に係る放送実績取得システムを含んだ放送システムの全体概略構成図である。
【0031】
図1に示すように、放送システム10は、放送送出システム1、放送受信システム2、情報埋め込み装置100及び情報検出装置200を含む。放送実績取得システムは、これら放送送出システム1、放送受信システム2、ビデオテープ3、情報埋め込み装置100及び情報検出装置200のうち、情報埋め込み装置100及び情報検出装置200によって構成される。これらのうち、情報検出装置200は、家庭内のテレビ受像機等である放送受信システム2に接続されている。
【0032】
コマーシャル(CM)の放送素材は、情報埋め込み装置100によってビデオテープ3に記憶される。ここでビデオテープ3とはハードディスクや不揮発性メモリなど、記憶媒体すべてを意味し、一般的なビデオテープに限定されるものではない。このビデオテープ3は、放送送出システム1へ搬送される。更に、ビデオテープ3に記憶されたCM放送素材は、放送送出システム1によって再生され、当該放送送出システム1から送信(放送)される。更に、CM放送素材は、放送受信システム2によって受信され、当該放送受信システム2から情報検出装置200へ出力される。
【0033】
(1.2)情報埋め込み装置の構成及び動作
次に、情報埋め込み装置100の構成及び動作について、(1.2.1)情報埋め込み装置100の概略構成及び動作、(1.2.2)情報埋め込み装置100の詳細構成及び動作の順に説明する。
【0034】
(1.2.1)情報埋め込み装置の概略構成及び動作
図2は、情報埋め込み装置100の概略構成図である。図2に示すように、情報埋め込み装置100は、制御部102、記憶部103、I/F部104及びI/F部106を含む。
【0035】
制御部102は、例えばCPUによって構成され、情報埋め込み装置100が具備する各種機能を制御する。記憶部103は、例えばメモリによって構成される。記憶部103は、情報埋め込み装置100における制御等に用いられる情報を記憶する。
【0036】
I/F部104は、外部機器に接続される。このI/F部104は、不図示の外部機器からのCM放送素材を入力する。I/F部106は、ビデオテープ3への記憶のために、CM放送素材を出力する。
【0037】
(1.2.2)情報埋め込み装置の詳細構成及び動作
次に、情報埋め込み装置100の詳細構成及び動作、具体的には、制御部102の機能ブロック構成及び動作について説明する。図3は、情報埋め込み装置100の制御部102の機能ブロック構成図である。
【0038】
図3に示すように、制御部102は、信号入力部151、情報埋め込み処理部152、画像解析処理部153、時刻情報判定部154、埋め込みデータ生成部155、入出力制御部156、外部通信部157、情報検出部158及び信号出力部159を含む。
【0039】
信号入力部151は、情報の埋め込み対象となるCM放送素材を含んだ放送素材信号を外部の機器から入力する。CM放送素材に埋め込まれる情報は、当該CM放送素材に関する複数の属性情報である。また、放送素材信号のフォーマットは、画像及び音声からなる放送素材に、タイムコード情報等が時分割多重によって多重化されたシリアルデジタル信号の形態である。タイムコード情報は、CM放送素材の放送時の時間経過を示す情報である。
【0040】
信号入力部151は、入力した放送素材信号に基づいて、クロック信号や同期信号を生成する。更に、信号入出力部151は、クロック信号や同期信号に基づいて、放送素材信号をパラレル信号の形態に変換する。
【0041】
更に、信号入力部151は、パラレル信号に変換された放送素材信号を、情報埋め込み処理部152、画像解析処理部153及び時刻情報判定部154へ出力する。
【0042】
画像解析処理部153は、放送素材信号に含まれるCM放送素材に対応する画像において、情報が埋め込まれる所定領域の座標を示す、テンプレート(後述)を記憶部103から読み出す。次に、画像解析処理部153は、CM放送素材に対応する画像において、テンプレートによって示される座標によって定まる所定領域の画像、又は、テンプレートによって示される座標に基づいて算出される座標によって定まる所定領域の画像を抽出する。
【0043】
画像解析処理部153は、抽出した所定領域の画像を周波数変換して周波数領域画像を生成する。次に、画像解析処理部153は、当該周波数領域画像の係数値によって示される所定領域の画像の輝度及び精細度に対応して、属性情報の埋め込み強度を設定する。この際、画像解析処理部153は、可能な限り、画質への影響が抑えられるような埋め込み強度を設定することが好ましい。画像解析処理部153は、設定した埋め込み強度を埋め込みデータ生成部155へ出力する。
【0044】
時刻情報判定部154は、放送素材信号において、多重化されたタイムコード情報を抽出する。更に、時刻情報判定部154は、タイムコード情報を、入出力制御部156を介して、埋め込みデータ生成部155へ出力する。
【0045】
外部通信部157は、CM放送素材の属性情報を含むコマンドを外部の機器から入力する。更に、外部通信部157は、コマンドを、入出力制御部156を介して埋め込みデータ生成部155へ出力する。
【0046】
埋め込みデータ生成部155は、画像解析処理部153からの埋め込み強度と、時刻情報判定部154からのタイムコード情報と、外部通信部157からのコマンドとを入力する。次に、埋め込みデータ生成部155は、タイムコード情報に基づいて、コマンドに含まれる各属性情報の埋め込み開始タイミングのタイムコード情報を生成する。更に、埋め込みデータ生成部155は、埋め込み強度に応じて、各属性情報に対応する電子透かし情報を生成する。
【0047】
図4は、放送素材のフォーマットと、属性情報と、当該属性情報の埋め込み開始タイミングとの一例を示す図である。この例は、社団法人日本民間放送連盟及び社団法人日本広告業協会のCM搬入規準により規定された、一般的なCM放送素材のフォーマットを基本としたものである。
【0048】
放送素材は、クレジット、ファーストカット、CM放送素材及びラストカットによって構成される。クレジットは、CM放送素材の先頭部のタイミング(IN点)の15秒前から3秒前までの12秒間存在する。このクレジットは、CM放送素材の名称、スポンサー名、素材長等の情報が含まれている。ファーストカットは、クレジットの後、IN点の3秒前からIN点までの3秒間存在する。このファーストカットは、送出時のタイミング揺らぎを吸収するためのものである。
【0049】
CM放送素材は、CMの本編であり、ファーストカットの後、IN点から素材秒数(ここでは15秒間)存在する。ラストカットは、CM放送素材の後、IN点の15秒後から3秒間存在する。
【0050】
属性情報は、先頭コード、素材長コード、素材情報コード及び終了コードからなる。先頭コード、素材長コード、素材情報コード及び終了コードは、この順序で、対応する電子透かし情報が、情報埋め込み処理部152によってCM放送素材に埋め込まれる。
【0051】
先頭コードは、CM放送素材の先頭部を示す属性情報であり、先頭コードであることを示す識別子を含む。先頭コードに対応する電子透かし情報は、IN点−α秒からIN点+β秒までのα+β秒間、すなわち、CM放送素材の先頭部のタイミング(IN点)を含む時間帯に、ファーストカット及びCM放送素材に埋め込まれる。
【0052】
素材長コードは、CM放送素材の時間長を示す属性情報であり、素材長コードであることを示す識別子を含む。素材長コードに対応する電子透かし情報は、先頭コードに対応する電子透かし情報の後、IN点+β秒からIN点+β+γ秒までのγ秒間、CM放送素材に埋め込まれる。
【0053】
素材情報コードは、CM放送素材の識別情報としての属性情報であり、素材情報コードであることを示す識別子を含む。素材情報コードに対応する電子透かし情報は、素材長コードに対応する電子透かし情報の後、IN点+β+γ秒からラストカットの先頭部のタイミング−δ秒の間、CM放送素材に埋め込まれる。
【0054】
終了コードは、CM放送素材の最後部を示す属性情報であり、終了コードであることを示す識別子を含む。終了コードに対応する電子透かし情報は、素材情報コードに対応する電子透かし情報の後、ラストカットの先頭部のタイミング−δ秒からラストカットの先頭部+αまでのδ+α秒間、すなわち、ラストカットの先頭部のタイミングを含む時間帯に、CM放送素材及びラストカットに埋め込まれる。
【0055】
埋め込みデータ生成部155は、これらの先頭コード、素材長コード、素材情報コード及び終了コードに対応する電子透かし情報の埋め込み開始タイミングのタイムコード情報を、外部機器からのコマンドのパラメータである素材秒数を基準にあらかじめ計算しておく。
【0056】
更に、埋め込みデータ生成部155は、先頭コード、素材長コード、素材情報コード及び終了コードのそれぞれについて、時刻情報判定部154からのタイムコード情報が、対応する埋め込み開始タイミングのタイムコード情報と一致したタイミングで、そのコードに対応する電子透かし情報を生成し、情報埋め込み処理部152へ出力する。
【0057】
また、埋め込みデータ生成部155は、画像解析処理部153によって生成された周波数領域画像を取得し、当該周波数領域画像における、単一の所定周波数成分の基底信号の所定倍となる電子透かし情報、又は、複数の所定周波数成分の和の所定倍となる電子透かし情報を生成する。この場合、電子透かし情報は、デジタル放送等の放送経路上における、MPEG2、H.264等の画像圧縮の影響を受けにくくなり、圧縮耐性を向上させることができる。
【0058】
周波数領域画像に対応する所定領域は、CM放送素材の解像度が高いほど、拡大される。例えば、CM放送素材がHD(High Definition)フォーマットの場合、当該CM放送素材がダウンコンバートされた際にも、情報検出装置200によって、電子透かし情報の検出が可能となるように、周波数領域画像に対応する所定領域は、SD(Standard-Definition)の場合よりも拡大される。
【0059】
「0」又は「1」のビットに対応する電子透かし情報が埋め込まれる際には、後述するテンプレートに基づいて、各ビットに対応する電子透かし情報を埋め込む、画像上の位置を特定することが可能である。あるいは、「0」又は「1」のビット情報に応じて、電子透かし情報の波形パターンの極性を変えることにより、画像上の同じ位置に対して、異なる電子透かし情報を埋め込むことも可能である。
【0060】
情報埋め込み処理部152は、埋め込みデータ生成部155からの先頭コード、素材長コード、素材情報コード及び終了コードに対応する電子透かし情報のそれぞれを入力する毎に、当該入力した電子透かし情報をCM放送素材に埋め込む。
【0061】
具体的には、記憶部103に記憶されているテンプレートは、CM放送素材に対応する画像において、電子透かし情報の埋め込み位置の候補として予め定められた所定領域、例えば、情報検出装置200における電子透かし情報の検出可能範囲の座標を示す。なお、情報検出装置200も、同一のテンプレートを保持している。
【0062】
情報埋め込み処理部152は、テンプレートによって示される座標によって定まる所定領域を埋め込み位置とし、当該所定領域の画像の画素値に対して、電子透かし情報に応じた加算又は減算を行う。あるいは、情報埋め込み処理部152は、テンプレートによって示される座標に基づいて算出される座標によって定まる所定領域を埋め込み位置として、当該所定領域の画像の画素値に対して、電子透かし情報に応じた加算又は減算を行う。このようにして、電子透かし情報は、CM放送素材に埋め込まれる。情報埋め込み処理部152は、電子透かし情報が埋め込まれた放送素材信号(埋め込み放送素材信号)を信号出力部159及び情報検出部158へ出力する。
【0063】
なお、テンプレートは、N個のパターンの埋め込み位置の座標を有している。情報埋め込み処理部152は、これらN個のパターンの埋め込み位置の座標を、巡回的に選択する。これにより、電子透かし情報の埋め込み位置は、Nフレームの画像を単位として巡回的に変化する。したがって、画像の特定の箇所へ電子透かし情報が集中的に埋め込まれることが防止され、更には、視覚的積分効果による画質劣化が防止される。
【0064】
また、テレビジョン放送の場合、放送時間帯によっては時刻がスーパーで表示されることがある。したがって、電子透かし情報の埋め込み位置が、Nフレームの画像を単位として巡回的に変化することにより、当該時刻表示の影響が抑制される。
【0065】
図5は、N=4の場合の埋め込み位置の候補の例を示す図である。連続する第1フレーム乃至第4フレームの画像に電子透かし情報が埋め込まれる場合、第1フレームの画像における埋め込み位置は領域1、第2フレームの画像における埋め込み位置は領域2、第3フレームの画像における埋め込み位置は領域3、第4フレームの画像における埋め込み位置は領域4である。
【0066】
なお、図5は、1個の情報(ビット)に対応する埋め込み位置を示しており、複数個の情報(ビット)が埋め込まれる場合には、それぞれの情報の個数分あるいはそれぞれの情報の個数分以上の埋め込み位置が存在するようにしてもよい。また、テンプレートは、埋め込まれる電子透かし情報に対応する属性情報毎に用意されるようにしてもよい。
【0067】
また、テンプレートに含まれるN個のパターンの埋め込み位置の座標のそれぞれについて、当該埋め込み位置の座標(基準位置)を所定のずれ量だけずらした領域を示す埋め込みブロックが複数構成されてもよい。この場合、各埋め込みブロックに対応するずれ量が記憶部103に記憶される。
【0068】
図6は、埋め込みブロックの一例を示す図である。図6における細い実線の領域は、情報検出装置200における電子透かし情報の検出可能範囲を示す。また、電子透かし情報の検出可能範囲内の太い実線に囲まれた領域は、埋め込みブロックを示す。図6に示す6個の埋め込みブロック#1乃至#6には、それぞれに異なるずれ量が対応しており、検出可能範囲内における位置が異なっている。
【0069】
情報埋め込み処理部152は、CM放送素材に対応する1フレームの画像の電子透かし情報の検出可能範囲における、埋め込み位置の基準位置のそれぞれに、あるいは、埋め込み位置の基準位置から記憶部103内のずれ量だけずらした埋め込みブロックのそれぞれに、電子透かし情報を埋め込む。
【0070】
信号出力部159は、情報埋め込み処理部152からの埋め込み放送素材信号をビデオテープ3に記憶させるために、I/F部106を介して、ビデオテープ3へ出力する。放送送出システム1は、ビデオテープ3に記憶された埋め込み放送素材信号を再生して、送出する。
【0071】
情報検出部158は、情報埋め込み処理部152からの埋め込み放送素材信号を入力する。更に、情報検出部158は、CM放送素材に対する電子透かし情報の埋め込みが正常に行われているか否かを判定する。
【0072】
具体的には、情報検出部158は、先頭コード、素材長コード、素材情報コード及び終了コードのそれぞれに対応する電子透かし情報の時間的な埋め込み位置が図4に従っているか否かを判定する。更に、電子透かし情報の時間的な埋め込み位置が図4に従っていない場合、情報検出部158は、入出力制御部156及び外部通信部157を介して、外部の機器へ異常を通知する。これにより、外部の機器のオペレータは、異常を認識することができ、電子透かし情報の埋め込みのやり直し等の対策を迅速に行うことが可能となる。
【0073】
(1.3)情報検出装置の構成及び動作
次に、情報検出装置200の構成及び動作について、(1.3.1)情報検出装置200の概略構成及び動作、(1.3.2)情報検出装置200の詳細構成及び動作の順に説明する。
【0074】
(1.3.1)情報検出装置の概略構成及び動作
図7は、情報検出装置200の概略構成図である。図7に示すように、情報検出装置200は、制御部202、記憶部203及びI/F部204を含む。
【0075】
制御部202は、例えばCPUによって構成され、情報検出装置200が具備する各種機能を制御する。記憶部203は、例えばメモリによって構成される。記憶部203は、情報検出装置200における制御等に用いられる情報を記憶する。
【0076】
I/F部204は、放送受信システム2に接続される。このI/F部204は、放送受信システム2からの埋め込み放送素材信号を入力し、制御部202へ出力する。
【0077】
(1.3.2)情報検出装置の詳細構成及び動作
次に、情報検出装置200の詳細構成及び動作、具体的には、制御部202の機能ブロック構成及び動作について説明する。図8は、情報検出装置200の制御部202の機能ブロック構成図である。
【0078】
図8に示すように、制御部202は、信号入力部251、素材先頭候補検出部252、埋め込み情報検出部253、検出情報判定部254、入出力制御部255及び外部通信部256を含む。
【0079】
信号入力部251は、埋め込み放送素材信号を入力する。この信号入力部251は、埋め込み放送素材信号に含まれる画像信号及び音声信号を、アナログ/デジタル変換する変換器と、アナログ/デジタル変換に必要となるクロックを再生する再生器とにより構成される。また、信号入力部251は、画像信号の同期信号成分を検出し、当該画像信号がHDフォーマット及びSDフォーマットの何れかであることを判別する機能を有する。
【0080】
また、信号入力部251は、伝送方式に応じた処理を行い、埋め込み放送素材信号に含まれる画像信号と音声信号とを分離して、それぞれデジタル信号として取り出す。更に、信号入力部251は、デジタル化された画像信号及び音声信号を、後段の素材先頭候補検出部252及び埋め込みデータ検出部253へ出力する。
【0081】
素材先頭候補検出部252は、信号入力部251からの画像信号及び音声信号を分析し、CM放送素材の先頭候補を検出する。画像信号に基づいてCM放送素材の先頭候補を検出する場合、素材先頭候補検出部252は、放送素材が切り替わるタイミングで発生する可能性が極めて高いシーンチェンジを検出する。また、音声信号に基づいてCM放送素材の先頭候補を検出する場合、素材先頭候補検出部252は、放送素材が切り替わるタイミングで発生する可能性が極めて高い無音区間を検出、あるいは、モノラル、ステレオといった音声モードの変化を検出する。ここで、シーンチェンジ及び無音区間は、CM放送素材の先頭部の0.5秒間である。
【0082】
素材先頭候補検出部252は、上述した処理によってCM放送素材の先頭候補を検出した場合、当該CM放送素材の先頭候補を検出した時刻の情報(タイムスタンプ情報)を検出情報判定部254へ出力する。
【0083】
埋め込み情報検出部253は、信号入力部151からの画像信号を常時監視し、CM放送素材に埋め込まれている、属性情報に対応する電子透かし情報を検出する。
【0084】
具体的には、図5に示す電子透かし情報がCM放送素材に埋め込まれている場合、埋め込み情報検出部253は、CM放送素材に対応する画像から、記憶部203に記憶されているテンプレートによって示される座標によって定まる所定領域(例えば検出可能範囲)を抽出する。更に、埋め込み情報検出部253は、抽出した所定領域に対して、離散コサイン変換を行い、埋め込み処理に対応した周波数成分を取り出すことにより、電子透かし情報を検出する。あるいは、埋め込み情報検出部253は、抽出した所定領域に対応する画像信号と、埋め込み処理で利用した基底信号との相関係数を、属性情報に対応する電子透かし情報として検出する。
【0085】
なお、上述したように、CM放送素材に対応する画像における、各属性情報の埋め込み位置は、テンプレートに応じて、図5に示すように周期的に変化する。したがって、埋め込み情報検出部253は、CM放送素材に対応する画像のフレーム毎に、記憶部203に記憶されたN個のパターンの埋め込み位置において、属性情報に対応する電子透かし情報の検出を試みるようにすればよい。
【0086】
また、属性情報に対応する電子透かし情報の埋め込みに、図6に示す埋め込みブロックが用いられる場合には、記憶部203に各埋め込みブロックに対応するずれ量が記憶される。
【0087】
そして、埋め込み情報検出部253は、CM放送素材に対応する画像において、ずれ量毎に、対応する埋め込み位置の基準位置を検出位置として、電子透かし情報の検出を試みる。
【0088】
そして、埋め込み位置の基準位置のいずれかに埋め込まれた電子透かし情報を検出した場合、埋め込み情報検出部253は、その電子透かし情報が埋め込まれた埋め込み位置の基準位置に対応するずれ量を、放送経路上で発生したずれ量として測定する。更に、埋め込み情報検出部253は、その後の電子透かし情報の検出においては、測定したずれ量の分だけ、埋め込み位置の基準位置からすらした位置を検出位置として定めて、電子透かし情報を検出する。これにより、電子透かし情報の検出精度を保つことができる。
【0089】
埋め込み情報検出部253は、属性情報に対応する電子透かし情報を検出する毎に、当該電子透かし情報を検出情報判定部254へ出力する。
【0090】
検出情報判定部254は、素材先頭候補検出部252からのCM放送素材の先頭候補に対応するタイムスタンプ情報を入力する。更に、検出情報判定部254は、属性情報に対応する電子透かし情報を入力する。
【0091】
次に、検出情報判定部254は、入力した属性情報に対応する電子透かし情報を、テンプレートにおける埋め込み位置の候補のパターン数に応じて定まる時間だけ保持する。更に、検出情報判定部254は、属性情報に対応する電子透かし情報の有意性判定を行う。
【0092】
図5に示すように、テンプレートにおける埋め込み位置のパターン数N=4の場合、4フレームの画像を単位とした、埋め込み位置の巡回パターンは、「領域1→領域2→領域3→領域4」、「領域2→領域3→領域4→領域1」、「領域3→領域4→領域1→領域2」、「領域4→領域1→領域2→領域3」の4パターンである。検出情報判定部254は、これら4パターンの全てについて、有意性判定の演算を行う。
【0093】
4個の連続する画像のフレームにおいて、電子透かし情報の埋め込み位置の巡回パターンは上述の4パターンの何れかに当てはまるはずである。上述の4パターンの何れかにおいて、電子透かし情報が有意判定された場合、CM放送素材には、フレーム欠落等が生じていないことを確認可能である。
【0094】
次に、検出情報判定部254は、CM放送素材の全体が放送されたか否かの判定処理を行う。図9は、CM放送素材の全体が放送されたか否かの判定処理を示すフローチャートである。また、図10は、CM放送素材の全体が放送されたか否かの判定処理の概略を示す図である。
【0095】
検出情報判定部254は、属性情報に対応する電子透かし情報が、埋め込み時の順序で検出されているか否かを判定する。具体的には、まず、検出情報判定部254は、識別子に基づいて先頭コードを検出したか否かを判定する(S101)。先頭コードが検出された場合、次に、検出情報判定部254は、識別子に基づいて、素材長コードを検出したか否かを判定する(S102)。
【0096】
素材長コードが検出された場合、検出情報判定部254は、先頭コードの最後部を検出してからγ秒以内に素材長コードの最後部を検出したか否かを判定する(S103)。先頭コードの最後部を検出してからγ秒以内に素材長コードの最後部を検出した場合、更に、検出情報判定部254は、素材長コードの最後部のタイミングからβ+γ秒だけ遡った時間位置に対応する時刻を、CM放送素材の放送時刻として算出する(S104)。
【0097】
ここで、素材長コードの検出は、画像信号と基底信号との相関係数の累積値の有意性判定により行われる。図11は、過去γ秒間の相関係数の累積値の時間推移を示す図である。図11に示すように、過去γ秒間の累積値が最大となるタイミングは、素材長コードの最後部のタイミングとなる。これは、累積範囲γ秒が素材長コードの時間長γ秒と一致するタイミングである、素材長コードの最後部でピークとなることによる。
【0098】
この検出方法が採用されることにより、検出情報判定部254は、全ての属性コードを正常に検出することができないような条件下においても、素材長コードの最後部を検出可能となる。したがって、検出情報判定部254は、素材長コードの最後部のタイミングから逆算することで、先頭コードの最後部のタイミング、更には、先頭コードの最後部のタイミングに基づくCM放送素材についての正確な放送時刻の算出が可能となる。
【0099】
更には、検出情報判定部254は、先頭候補検出部252により検出されたシーンチェンジや無音区間の発生時刻を一時的に記憶しておいてもよい。この場合、検出情報判定部254は、素材長コードの最後部のタイミングからβ+γ秒だけ遡った時間位置を、CM放送素材の先頭候補のタイミングとしてを求める。更に、検出情報判定部254は、求めたCM放送素材の先頭候補のタイミングの前後0.5秒の範囲で、シーンチェンジや無音区間が発生している場合には、放送時の再生タイミングのずれに起因する再生時刻の誤差を吸収し、CM放送素材の先頭候補のタイミングをCM放送素材の放送時刻とすることにより、CM放送素材についての非常に正確な放送時刻の算出が可能となる。
【0100】
CM放送素材の放送時刻の算出後、次に、検出情報判定部254は、素材長コードの最後部の検出タイミングから素材長に対応する時間内に、識別子に基づいて素材情報コードの最後部を検出したか否かを判定する(S105)。素材情報コードの最後部が検出された場合、次に、検出情報判定部254は、素材長コードの最後部の検出タイミングから素材長に対応する時間内に、識別子に基づいて、終了コードの最後部を検出したか否かを判定する(S106)。
【0101】
S106において、終了コードの最後部が検出されたということは、属性情報に対応する電子透かし情報が、埋め込み時の順序で検出されたことを意味する。この場合、検出情報判定部254は、算出した放送時刻と、検出した素材情報コードとからなる放送実績情報を生成する(S107)。生成された放送実績情報は、所定のタイミングで、不図示の収集装置へ送信される。収集装置は、複数の情報検出装置200からの放送実績情報を収集し、集計処理等を行う。なお、情報検出装置200は、生成した放送実績情報に基づいて、更に所定の集計情報を生成し、当該集計情報を不図示の収集装置へ送信するようにしてもよい。
【0102】
(2)作用・効果
このように、本発明の実施形態に係る放送実績取得システム10によれば、情報埋め込み装置100が、CM放送素材についての複数の属性情報を、当該CM放送素材の先頭部から最後部にかけて所定の順序で埋め込んで送信し、情報検出装置200は、受信したCM放送素材に複数の属性情報が所定の順序で埋め込まれている場合には、CM放送素材の全体が放送されたと判定し、対応する放送実績情報を生成する。したがって、放送実績情報に基づいて、放送素材の全体が放送されたことを確認することが可能となる。
【0103】
また、本発明の実施形態に係る放送実績取得システム10によれば、情報埋め込み装置100が、先頭コード、素材長コード、素材情報コード及び終了コードのそれぞれについて、対応するタイムコード情報が、予め定められた埋め込み開始タイミングのタイムコード情報と一致したタイミングで、そのコードに対応する電子透かし情報を生成し、CM放送素材への電子透かし情報を埋め込むことで、属性情報の時間的な埋め込み位置が正確に定められ、情報検出装置200において、属性情報の時間的な埋め込み位置に基づいて、CM放送素材の放送時刻を正確に特定することが可能となる。
【0104】
また、本発明の実施形態に係る放送実績取得システム10によれば、情報検出装置200が、CM放送素材の切替タイミングであるシーンチェンジ及び無音区間のタイミングと、素材長コードの最後部から逆算して求められる、CM放送素材の先頭候補のタイミングとの差が0.5秒の範囲内である場合に、CM放送素材の先頭候補のタイミングをCM放送素材の放送時刻とすることにより、CM放送素材についての非常に正確な放送時刻の算出が可能となる。
【0105】
また、本発明の実施形態に係る放送実績取得システム10によれば、CM放送素材に対応する画像において、電子透かし情報の埋め込み位置の候補として予め定められた所定領域の座標を示すテンプレートが備えられている。情報埋め込み装置100は、CM放送素材に対応する画像において、テンプレートによって示される座標によって定まる所定領域、あるいは、テンプレートによって示される座標に基づいて算出される座標によって定まる所定領域(例えば検出可能範囲)を埋め込み位置とし、当該所定領域の画像に対して、電子透かし情報を埋め込む。テンプレートは、N個のパターンの座標を有しており、情報埋め込み装置100は、これらN個のパターンの埋め込み位置の座標を、巡回的に選択する。したがって、電子透かし情報の埋め込み位置は、Nフレームの画像を単位として巡回的に変化する。したがって、画像の特定の箇所へ電子透かし情報が集中的に埋め込まれ、更に、その埋め込み位置に、放送経路上で不要な信号が継続的に混入すること等によって、情報検出装置200が、電子透かし情報を検出することができなくなることを抑制することができる。また、視覚的積分効果による画質劣化が防止される。
【0106】
また、本発明の実施形態に係る放送実績取得システム10によれば、テンプレートに含まれるN個のパターンの埋め込み位置の座標のそれぞれについて、基準位置からのずれ量を示す埋め込みブロックが構成されている。情報埋め込み装置100は、CM放送素材に対応する1フレームの画像に対し、埋め込み位置の基準位置からずらした埋め込みブロックのそれぞれに、電子透かし情報を埋め込む。一方、情報検出装置200は、CM放送素材に対応する画像における、埋め込み位置の基準位置を検出位置として、電子透かし情報の検出を試みる。そして、各埋め込みブロックに対応する埋め込み位置の基準位置のいずれかに埋め込まれた電子透かし情報を検出した場合、情報検出装置200は、その埋め込みブロックに対応するずれ量を、放送経路上で発生したずれ量として測定する。更に、情報検出装置200は、その後の電子透かし情報の検出においては、測定したずれ量の分だけ、埋め込み位置の基準位置からシフトさせた位置を検出位置として定めて、電子透かし情報を検出する。これにより、電子透かし情報の検出精度を保つことができる。
【0107】
(3)その他の実施形態
上記のように、本発明は実施形態によって記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面はこの発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施形態、実施例及び運用技術が明らかとなる。
【0108】
上述した実施形態では、CM放送素材の全体が放送されたか否かについての判定が行われたが、CM以外の他の放送素材の全体が放送されたか否かについても判定可能である。
【0109】
また、上述した実施形態では、画像に対してのみ情報が埋め込まれ、当該情報が検出されたが、画像に加え、音声信号やその他付随される信号に対しても、同様の方法で、情報を埋め込む機能、及び、受信側で情報を検出する機能を追加することにより、両信号を含めた判定も可能となる。
【0110】
このように本発明は、ここでは記載していない様々な実施形態等を包含するということを理解すべきである。したがって、本発明はこの開示から妥当な特許請求の範囲の発明特定事項によってのみ限定されるものである。
【図面の簡単な説明】
【0111】
【図1】本発明の実施形態に係る放送実績取得システムの全体概略構成図である。
【図2】本発明の実施形態に係る情報埋め込み装置の概略構成図である。
【図3】本発明の実施形態に係る、情報埋め込み装置における制御部の機能ブロック構成図である。
【図4】放送素材のフォーマットと、属性情報と、当該属性情報の埋め込み開始タイミングとの一例を示す図である。
【図5】本発明の実施形態に係る、無線基地局における制御部の第1の機能ブロック構成図である。
【図6】埋め込みブロックの一例を示す図である。
【図7】本発明の実施形態に係る情報検出装置の概略構成図である。
【図8】本発明の実施形態に係る、情報検出装置における制御部の機能ブロック構成図である。
【図9】CM放送素材の全体が放送されたか否かの判定処理を示すフローチャートである。
【図10】CM放送素材の全体が放送されたか否かの判定処理の概略を示す図である。
【図11】過去γ秒間の相関係数の累積値の時間推移を示す図である。
【符号の説明】
【0112】
1…放送送出システム、2…放送受信システム、3…ビデオテープ、10…放送システム、100…情報埋め込み装置、102…制御部、103…記憶部、104…I/F部、106…I/F部、151…信号入力部、152…情報埋め込み処理部、153…画像解析処理部、154…時刻情報埋め込み判定部、155…埋め込みデータ生成部、156…入出力制御部、157…外部通信部、158…情報検出部、159…信号出力部、200…情報検出装置、202…制御部、203…記憶部、204…I/F部、251…信号入力部、252…素材先頭候補検出部、253…埋め込み情報検出部、254…検出情報判定部、255…入出力制御部、256…外部通信部
【技術分野】
【0001】
本発明は、地上波デジタル放送やIP再送信における放送等において、コマーシャル(CM)等の放送素材の放送実績を取得する放送実績取得システム、当該放送実績取得システムを構成する情報埋め込み装置及び情報検出装置、当該放送実績取得システムにおける放送実績取得方法に関する。
【背景技術】
【0002】
CM等の放送素材の放送実績を取得することを目的とした方法に関しては、特許文献1及び特許文献2に記載された方法がある。特許文献1に記載された方法では、放送の受信側の装置は、実際に放送された放送素材の一部における音声信号のレベルや基本周波数等の特徴を把握し、予め用意されている放送素材における音声信号の特徴をまとめたマスタデータと比較することにより、放送された放送素材を特定している。
【0003】
また、特許文献2に記載された方法では、放送の送出側の装置は、放送素材のユニークコードを符号化し、放送素材に付加して送信する。一方、放送の受信側の装置は、放送素材の放送時に、当該放送素材に付加されたユニークコードを検出した場合、放送素材が放送されたと判定する。
【特許文献1】特許第3222103号公報
【特許文献2】特開2000−59824号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、放送素材がCMである場合、CMによる広告効果の観点からは、CMは一部だけではなく、全体が放送されることが非常に重要である。しかしながら、上述した特許文献1及び特許文献2に記載された方法では、放送素材の一部が放送されたことは確認可能であるものの、放送素材の全体が放送されたことを確認することはできない。
【0005】
上記問題点に鑑み、本発明は、放送素材の全体が放送されたことの確認が可能な放送実績取得システム、情報埋め込み装置、情報検出装置及び放送実績取得方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するために、本発明は以下のような特徴を有している。まず、本発明の第1の側面は、放送素材の放送実績を取得する放送実績取得システムであって、放送の送出システムの送出対象である放送素材に情報を埋め込む情報埋め込み装置(情報埋め込み装置100)と、放送の受信システムに接続され、前記放送素材に埋め込まれた前記情報を検出する情報検出装置(情報検出装置200)とを含み、前記情報埋め込み装置は、前記放送素材の先頭部から最後部にかけて、前記放送素材についての複数の属性情報を所定の順序で埋め込み、埋め込み放送素材を生成する情報埋め込み部(情報埋め込み処理部152及び埋め込みデータ生成部155)と、前記情報埋め込み部により生成された前記埋め込み放送素材を出力する出力部(信号出力部159)とを備え、前記情報検出装置は、前記受信システムにより受信された前記埋め込み放送素材を入力する入力部(信号入力部251)と、前記入力部により入力された前記埋め込み放送素材における前記複数の属性情報を検出し、前記放送素材に前記複数の属性情報が前記所定の順序で埋め込まれているか否かを判定する埋め込み判定部(埋め込み情報検出部253及び検出情報判定部254)と、前記埋め込み判定部により前記放送素材に前記複数の属性情報が前記所定の順序で埋め込まれていると判定された場合に、前記放送素材の全体が放送されたことを示す放送実績情報を生成する放送実績情報生成部(検出情報判定部254)とを備えることを要旨とする。
【0007】
このような放送実績取得システムによれば、情報埋め込み装置は、放送素材についての複数の属性情報を、放送素材の先頭部から最後部にかけて所定の順序で埋め込む。一方、情報検出装置は、受信した放送素材に複数の属性情報が所定の順序で埋め込まれていると判定された場合に、放送素材の全体が放送されたとみなし、その旨を示す放送実績情報を生成する。したがって、放送実績情報に基づいて、放送素材の全体が放送されたことを確認することが可能となる。
【0008】
本発明の第2の側面は、放送の送出システムの送出対象である放送素材に情報を埋め込む情報埋め込み装置であって、前記放送素材の先頭部から最後部にかけて、前記放送素材についての複数の属性情報を所定の順序で埋め込み、埋め込み放送素材を生成する情報埋め込み部と、前記情報埋め込み部により生成された前記埋め込み放送素材を出力する出力部とを備えることを要旨とする。
【0009】
このような情報埋め込み装置は、放送素材についての複数の属性情報を、放送素材の先頭部から最後部にかけて所定の順序で埋め込む。これにより、放送の受信システムに接続された情報検出装置は、放送素材に複数の属性情報が所定の順序で埋め込まれていると判定した場合に、放送素材の全体が放送されたとみなし、その旨を示す放送実績情報を生成することができる。したがって、放送実績情報に基づいて、放送素材の全体が放送されたことを確認することが可能となる。
【0010】
本発明の第3の側面は、前記放送素材は、前記放送素材の放送時の時間経過を示すタイムコード情報が多重化されており、前記放送素材に多重化された前記タイムコード情報を検出するタイムコード情報検出部(時刻情報判定部154)を備え、前記情報埋め込み部は、前記属性情報について、あらかじめ定められた埋め込み開始タイミングに対応するタイムコード情報と、前記タイムコード情報検出部により検出された前記タイムコード情報とが一致した場合に、前記放送素材への前記属性情報の埋め込みを開始することを要旨とする。
【0011】
このような情報埋め込み装置は、あらかじめ定められた属性情報の埋め込み開始タイミングに対応するタイムコード情報と、タイムコード情報検出部により検出された前記タイムコード情報とが一致した場合に、放送素材への属性情報の埋め込みを開始することで、属性情報の時間的な埋め込み位置が正確に定められ、情報検出装置において、属性情報の時間的な埋め込み位置に基づいて、放送素材の放送時刻を正確に特定することが可能となる。
【0012】
本発明の第4の側面は、前記情報埋め込み部により生成された前記埋め込み放送素材に基づいて、前記情報埋め込み部により前記放送素材への前記属性情報の埋め込みが正常に行われたか否かを判定する正常判定部(情報検出部158)を備えることを要旨とする。
【0013】
本発明の第5の側面は、前記情報埋め込み部は、前記放送素材に、前記属性情報に対応する電子透かし情報を埋め込むことを要旨とする。
【0014】
本発明の第6の側面は、前記放送素材に対応する画像の輝度及び精細度を検出する画像レベル検出部(画像解析処理部153)と、前記画像レベル検出部により検出された前記放送素材に対応する画像の輝度及び精細度に基づいて、前記電子透かし情報の埋め込み強度を設定する設定部(画像解析処理部153)とを備え、前記情報埋め込み部は、前記設定部により設定された前記埋め込み強度で、前記放送素材に、前記電子透かし情報を埋め込むことを要旨とする。
【0015】
本発明の第7の側面は、前記情報埋め込み部は、前記放送素材に対応する画像の所定領域を周波数変換して周波数領域画像を生成し、前記周波数領域画像に、単一の所定周波数成分の基底信号の所定倍となる前記電子透かし情報、又は、複数の所定周波数成分の基底信号の和の所定倍となる前記電子透かし情報を埋め込むことを要旨とする。
【0016】
本発明の第8の側面は、前記周波数変換は、離散コサイン変換であることを要旨とする。
【0017】
本発明の第9の側面は、前記情報埋め込み部は、前記放送素材に対応する画像の解像度が高いほど、前記所定領域を拡大することを要旨とする。
【0018】
本発明の第10の側面は、前記複数の属性情報は、前記放送素材の先頭部を識別可能とする情報である先頭コード、前記放送素材の時間長を示す情報である素材長コード、前記放送素材の識別情報である素材情報コード、及び、前記放送素材の最後部を識別可能とする情報である終了コードからなることを要旨とする。
【0019】
本発明の第11の側面は、放送の受信システムに接続され、放送素材に埋め込まれた情報を検出する情報検出装置であって、前記受信システムにより受信された埋め込み放送素材を入力する入力部と、前記埋め込み放送素材は、前記放送素材の先頭部から最後部にかけて、前記放送素材についての複数の属性情報を所定の順序で埋め込んで生成され、前記入力部により入力された前記埋め込み放送素材における前記複数の属性情報を検出し、前記放送素材に前記複数の属性情報が前記所定の順序で埋め込まれているか否かを判定する埋め込み判定部と、前記埋め込み判定部により前記放送素材に前記複数の属性情報が前記所定の順序で埋め込まれていると判定された場合に、前記放送素材の全体が放送されたことを示す放送実績情報を生成する放送実績情報生成部とを備えることを要旨とする。
【0020】
このような情報検出装置は、放送素材に複数の属性情報が所定の順序で埋め込まれていると判定した場合に、放送素材の全体が放送されたとみなし、その旨を示す放送実績情報を生成する。したがって、放送実績情報に基づいて、放送素材の全体が放送されたことを確認することが可能となる。
【0021】
本発明の第12の側面は、前記放送素材の切替タイミングを検出する切替タイミング検出部(素材先頭候補検出部252)を備え、前記放送実績情報生成部は、前記切替タイミング検出部により検出された前記放送素材の切替タイミングと、前記埋め込み判定部により検出された前記複数の属性情報のうちの所定の属性情報の先頭部のタイミングとの差が所定範囲内である場合に、前記所定の属性情報の先頭部のタイミングを前記放送素材の放送時刻として算出し、前記放送素材の放送時刻を含んだ前記放送実績情報を生成することを要旨とする。
【0022】
このような情報検出装置は、放送素材の放送時刻を正確に算出することができ、更には、当該放送素材の放送時刻を放送実績情報に含ませることにより、放送実績情報に基づいて、放送素材の放送時刻を確認することが可能となる。
【0023】
本発明の第13の側面は、前記埋め込み放送素材は、前記放送素材に前記属性情報に対応する電子透かし情報が埋め込まれて生成され、前記埋め込み判定部は、前記入力部により入力された前記埋め込み放送素材における前記電子透かし情報を検出することを要旨とする。
【0024】
本発明の第14の側面は、前記埋め込み放送素材は、前記放送素材に対応する画像の所定領域を離散コサイン変換して生成される周波数領域画像に、単一の所定周波数成分の基底信号の所定倍となる前記電子透かし情報、又は、複数の所定周波数成分の基底信号の和の所定倍となる前記電子透かし情報を埋め込んで生成され、前記埋め込み判定部は、前記所定領域に対応する画像信号に対して離散コサイン変換を行い、単一の所定周波数成分の基底信号の所定倍となる前記電子透かし情報、又は、複数の所定周波数成分の基底信号の和の所定倍となる前記電子透かし情報を検出することを要旨とする。
【0025】
本発明の第15の側面は、前記埋め込み放送素材は、前記放送素材に対応する画像の所定領域を周波数変換して生成される周波数領域画像に、単一の所定周波数成分の基底信号の所定倍となる前記電子透かし情報、又は、複数の所定周波数成分の基底信号の和の所定倍となる前記電子透かし情報を埋め込んで生成され、前記埋め込み判定部は、前記所定領域に対応する画像信号と、前記電子透かし情報の埋め込みに用いられた前記基底信号との相関係数を、前記電子透かし情報として検出することを要旨とする。
【0026】
本発明の第16の側面は、前記複数の属性情報は、前記放送素材の先頭部を識別可能とする情報である先頭コード、前記放送素材の時間長を示す情報である素材長コード、前記放送素材の識別情報である素材情報コード、及び、前記放送素材の最後部を識別可能とする情報である終了コードからなることを要旨とする。
【0027】
本発明の第17の側面は、放送の送出システムの送出対象である放送素材に情報を埋め込む情報埋め込み装置と、放送の受信システムに接続され、前記放送素材に埋め込まれた前記情報を検出する情報検出装置とを含み、放送素材の放送実績を取得する放送実績取得システムにおける放送実績取得方法であって、前記情報埋め込み装置が、前記放送素材の先頭部から最後部にかけて、前記放送素材についての複数の属性情報を所定の順序で埋め込み、埋め込み放送素材を生成するステップと、前記情報埋め込み装置が、生成された前記埋め込み放送素材を出力するステップとを備え、前記情報検出装置が、前記受信システムにより受信された前記埋め込み放送素材を入力するステップと、前記情報検出装置が、入力された前記埋め込み放送素材における前記複数の属性情報を検出し、前記放送素材に前記複数の属性情報が前記所定の順序で埋め込まれているか否かを判定するステップと、前記情報検出装置が、前記放送素材に前記複数の属性情報が前記所定の順序で埋め込まれていると判定された場合に、前記放送素材の全体が放送されたことを示す放送実績情報を生成するステップとを備えることを要旨とする。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、放送素材の全体が放送されたことを示す放送実績情報が生成されることにより、当該放送実績情報に基づいて、放送素材の全体が放送されたことを確認することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
次に、図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。具体的には、(1)放送実績取得システムの構成及び動作、(2)作用・効果、(3)その他の実施形態について説明する。以下の実施形態における図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。
【0030】
(1)放送実績取得システムの構成及び動作
(1.1)放送実績取得システムの全体概略構成及び動作
図1は、本発明の実施形態に係る放送実績取得システムを含んだ放送システムの全体概略構成図である。
【0031】
図1に示すように、放送システム10は、放送送出システム1、放送受信システム2、情報埋め込み装置100及び情報検出装置200を含む。放送実績取得システムは、これら放送送出システム1、放送受信システム2、ビデオテープ3、情報埋め込み装置100及び情報検出装置200のうち、情報埋め込み装置100及び情報検出装置200によって構成される。これらのうち、情報検出装置200は、家庭内のテレビ受像機等である放送受信システム2に接続されている。
【0032】
コマーシャル(CM)の放送素材は、情報埋め込み装置100によってビデオテープ3に記憶される。ここでビデオテープ3とはハードディスクや不揮発性メモリなど、記憶媒体すべてを意味し、一般的なビデオテープに限定されるものではない。このビデオテープ3は、放送送出システム1へ搬送される。更に、ビデオテープ3に記憶されたCM放送素材は、放送送出システム1によって再生され、当該放送送出システム1から送信(放送)される。更に、CM放送素材は、放送受信システム2によって受信され、当該放送受信システム2から情報検出装置200へ出力される。
【0033】
(1.2)情報埋め込み装置の構成及び動作
次に、情報埋め込み装置100の構成及び動作について、(1.2.1)情報埋め込み装置100の概略構成及び動作、(1.2.2)情報埋め込み装置100の詳細構成及び動作の順に説明する。
【0034】
(1.2.1)情報埋め込み装置の概略構成及び動作
図2は、情報埋め込み装置100の概略構成図である。図2に示すように、情報埋め込み装置100は、制御部102、記憶部103、I/F部104及びI/F部106を含む。
【0035】
制御部102は、例えばCPUによって構成され、情報埋め込み装置100が具備する各種機能を制御する。記憶部103は、例えばメモリによって構成される。記憶部103は、情報埋め込み装置100における制御等に用いられる情報を記憶する。
【0036】
I/F部104は、外部機器に接続される。このI/F部104は、不図示の外部機器からのCM放送素材を入力する。I/F部106は、ビデオテープ3への記憶のために、CM放送素材を出力する。
【0037】
(1.2.2)情報埋め込み装置の詳細構成及び動作
次に、情報埋め込み装置100の詳細構成及び動作、具体的には、制御部102の機能ブロック構成及び動作について説明する。図3は、情報埋め込み装置100の制御部102の機能ブロック構成図である。
【0038】
図3に示すように、制御部102は、信号入力部151、情報埋め込み処理部152、画像解析処理部153、時刻情報判定部154、埋め込みデータ生成部155、入出力制御部156、外部通信部157、情報検出部158及び信号出力部159を含む。
【0039】
信号入力部151は、情報の埋め込み対象となるCM放送素材を含んだ放送素材信号を外部の機器から入力する。CM放送素材に埋め込まれる情報は、当該CM放送素材に関する複数の属性情報である。また、放送素材信号のフォーマットは、画像及び音声からなる放送素材に、タイムコード情報等が時分割多重によって多重化されたシリアルデジタル信号の形態である。タイムコード情報は、CM放送素材の放送時の時間経過を示す情報である。
【0040】
信号入力部151は、入力した放送素材信号に基づいて、クロック信号や同期信号を生成する。更に、信号入出力部151は、クロック信号や同期信号に基づいて、放送素材信号をパラレル信号の形態に変換する。
【0041】
更に、信号入力部151は、パラレル信号に変換された放送素材信号を、情報埋め込み処理部152、画像解析処理部153及び時刻情報判定部154へ出力する。
【0042】
画像解析処理部153は、放送素材信号に含まれるCM放送素材に対応する画像において、情報が埋め込まれる所定領域の座標を示す、テンプレート(後述)を記憶部103から読み出す。次に、画像解析処理部153は、CM放送素材に対応する画像において、テンプレートによって示される座標によって定まる所定領域の画像、又は、テンプレートによって示される座標に基づいて算出される座標によって定まる所定領域の画像を抽出する。
【0043】
画像解析処理部153は、抽出した所定領域の画像を周波数変換して周波数領域画像を生成する。次に、画像解析処理部153は、当該周波数領域画像の係数値によって示される所定領域の画像の輝度及び精細度に対応して、属性情報の埋め込み強度を設定する。この際、画像解析処理部153は、可能な限り、画質への影響が抑えられるような埋め込み強度を設定することが好ましい。画像解析処理部153は、設定した埋め込み強度を埋め込みデータ生成部155へ出力する。
【0044】
時刻情報判定部154は、放送素材信号において、多重化されたタイムコード情報を抽出する。更に、時刻情報判定部154は、タイムコード情報を、入出力制御部156を介して、埋め込みデータ生成部155へ出力する。
【0045】
外部通信部157は、CM放送素材の属性情報を含むコマンドを外部の機器から入力する。更に、外部通信部157は、コマンドを、入出力制御部156を介して埋め込みデータ生成部155へ出力する。
【0046】
埋め込みデータ生成部155は、画像解析処理部153からの埋め込み強度と、時刻情報判定部154からのタイムコード情報と、外部通信部157からのコマンドとを入力する。次に、埋め込みデータ生成部155は、タイムコード情報に基づいて、コマンドに含まれる各属性情報の埋め込み開始タイミングのタイムコード情報を生成する。更に、埋め込みデータ生成部155は、埋め込み強度に応じて、各属性情報に対応する電子透かし情報を生成する。
【0047】
図4は、放送素材のフォーマットと、属性情報と、当該属性情報の埋め込み開始タイミングとの一例を示す図である。この例は、社団法人日本民間放送連盟及び社団法人日本広告業協会のCM搬入規準により規定された、一般的なCM放送素材のフォーマットを基本としたものである。
【0048】
放送素材は、クレジット、ファーストカット、CM放送素材及びラストカットによって構成される。クレジットは、CM放送素材の先頭部のタイミング(IN点)の15秒前から3秒前までの12秒間存在する。このクレジットは、CM放送素材の名称、スポンサー名、素材長等の情報が含まれている。ファーストカットは、クレジットの後、IN点の3秒前からIN点までの3秒間存在する。このファーストカットは、送出時のタイミング揺らぎを吸収するためのものである。
【0049】
CM放送素材は、CMの本編であり、ファーストカットの後、IN点から素材秒数(ここでは15秒間)存在する。ラストカットは、CM放送素材の後、IN点の15秒後から3秒間存在する。
【0050】
属性情報は、先頭コード、素材長コード、素材情報コード及び終了コードからなる。先頭コード、素材長コード、素材情報コード及び終了コードは、この順序で、対応する電子透かし情報が、情報埋め込み処理部152によってCM放送素材に埋め込まれる。
【0051】
先頭コードは、CM放送素材の先頭部を示す属性情報であり、先頭コードであることを示す識別子を含む。先頭コードに対応する電子透かし情報は、IN点−α秒からIN点+β秒までのα+β秒間、すなわち、CM放送素材の先頭部のタイミング(IN点)を含む時間帯に、ファーストカット及びCM放送素材に埋め込まれる。
【0052】
素材長コードは、CM放送素材の時間長を示す属性情報であり、素材長コードであることを示す識別子を含む。素材長コードに対応する電子透かし情報は、先頭コードに対応する電子透かし情報の後、IN点+β秒からIN点+β+γ秒までのγ秒間、CM放送素材に埋め込まれる。
【0053】
素材情報コードは、CM放送素材の識別情報としての属性情報であり、素材情報コードであることを示す識別子を含む。素材情報コードに対応する電子透かし情報は、素材長コードに対応する電子透かし情報の後、IN点+β+γ秒からラストカットの先頭部のタイミング−δ秒の間、CM放送素材に埋め込まれる。
【0054】
終了コードは、CM放送素材の最後部を示す属性情報であり、終了コードであることを示す識別子を含む。終了コードに対応する電子透かし情報は、素材情報コードに対応する電子透かし情報の後、ラストカットの先頭部のタイミング−δ秒からラストカットの先頭部+αまでのδ+α秒間、すなわち、ラストカットの先頭部のタイミングを含む時間帯に、CM放送素材及びラストカットに埋め込まれる。
【0055】
埋め込みデータ生成部155は、これらの先頭コード、素材長コード、素材情報コード及び終了コードに対応する電子透かし情報の埋め込み開始タイミングのタイムコード情報を、外部機器からのコマンドのパラメータである素材秒数を基準にあらかじめ計算しておく。
【0056】
更に、埋め込みデータ生成部155は、先頭コード、素材長コード、素材情報コード及び終了コードのそれぞれについて、時刻情報判定部154からのタイムコード情報が、対応する埋め込み開始タイミングのタイムコード情報と一致したタイミングで、そのコードに対応する電子透かし情報を生成し、情報埋め込み処理部152へ出力する。
【0057】
また、埋め込みデータ生成部155は、画像解析処理部153によって生成された周波数領域画像を取得し、当該周波数領域画像における、単一の所定周波数成分の基底信号の所定倍となる電子透かし情報、又は、複数の所定周波数成分の和の所定倍となる電子透かし情報を生成する。この場合、電子透かし情報は、デジタル放送等の放送経路上における、MPEG2、H.264等の画像圧縮の影響を受けにくくなり、圧縮耐性を向上させることができる。
【0058】
周波数領域画像に対応する所定領域は、CM放送素材の解像度が高いほど、拡大される。例えば、CM放送素材がHD(High Definition)フォーマットの場合、当該CM放送素材がダウンコンバートされた際にも、情報検出装置200によって、電子透かし情報の検出が可能となるように、周波数領域画像に対応する所定領域は、SD(Standard-Definition)の場合よりも拡大される。
【0059】
「0」又は「1」のビットに対応する電子透かし情報が埋め込まれる際には、後述するテンプレートに基づいて、各ビットに対応する電子透かし情報を埋め込む、画像上の位置を特定することが可能である。あるいは、「0」又は「1」のビット情報に応じて、電子透かし情報の波形パターンの極性を変えることにより、画像上の同じ位置に対して、異なる電子透かし情報を埋め込むことも可能である。
【0060】
情報埋め込み処理部152は、埋め込みデータ生成部155からの先頭コード、素材長コード、素材情報コード及び終了コードに対応する電子透かし情報のそれぞれを入力する毎に、当該入力した電子透かし情報をCM放送素材に埋め込む。
【0061】
具体的には、記憶部103に記憶されているテンプレートは、CM放送素材に対応する画像において、電子透かし情報の埋め込み位置の候補として予め定められた所定領域、例えば、情報検出装置200における電子透かし情報の検出可能範囲の座標を示す。なお、情報検出装置200も、同一のテンプレートを保持している。
【0062】
情報埋め込み処理部152は、テンプレートによって示される座標によって定まる所定領域を埋め込み位置とし、当該所定領域の画像の画素値に対して、電子透かし情報に応じた加算又は減算を行う。あるいは、情報埋め込み処理部152は、テンプレートによって示される座標に基づいて算出される座標によって定まる所定領域を埋め込み位置として、当該所定領域の画像の画素値に対して、電子透かし情報に応じた加算又は減算を行う。このようにして、電子透かし情報は、CM放送素材に埋め込まれる。情報埋め込み処理部152は、電子透かし情報が埋め込まれた放送素材信号(埋め込み放送素材信号)を信号出力部159及び情報検出部158へ出力する。
【0063】
なお、テンプレートは、N個のパターンの埋め込み位置の座標を有している。情報埋め込み処理部152は、これらN個のパターンの埋め込み位置の座標を、巡回的に選択する。これにより、電子透かし情報の埋め込み位置は、Nフレームの画像を単位として巡回的に変化する。したがって、画像の特定の箇所へ電子透かし情報が集中的に埋め込まれることが防止され、更には、視覚的積分効果による画質劣化が防止される。
【0064】
また、テレビジョン放送の場合、放送時間帯によっては時刻がスーパーで表示されることがある。したがって、電子透かし情報の埋め込み位置が、Nフレームの画像を単位として巡回的に変化することにより、当該時刻表示の影響が抑制される。
【0065】
図5は、N=4の場合の埋め込み位置の候補の例を示す図である。連続する第1フレーム乃至第4フレームの画像に電子透かし情報が埋め込まれる場合、第1フレームの画像における埋め込み位置は領域1、第2フレームの画像における埋め込み位置は領域2、第3フレームの画像における埋め込み位置は領域3、第4フレームの画像における埋め込み位置は領域4である。
【0066】
なお、図5は、1個の情報(ビット)に対応する埋め込み位置を示しており、複数個の情報(ビット)が埋め込まれる場合には、それぞれの情報の個数分あるいはそれぞれの情報の個数分以上の埋め込み位置が存在するようにしてもよい。また、テンプレートは、埋め込まれる電子透かし情報に対応する属性情報毎に用意されるようにしてもよい。
【0067】
また、テンプレートに含まれるN個のパターンの埋め込み位置の座標のそれぞれについて、当該埋め込み位置の座標(基準位置)を所定のずれ量だけずらした領域を示す埋め込みブロックが複数構成されてもよい。この場合、各埋め込みブロックに対応するずれ量が記憶部103に記憶される。
【0068】
図6は、埋め込みブロックの一例を示す図である。図6における細い実線の領域は、情報検出装置200における電子透かし情報の検出可能範囲を示す。また、電子透かし情報の検出可能範囲内の太い実線に囲まれた領域は、埋め込みブロックを示す。図6に示す6個の埋め込みブロック#1乃至#6には、それぞれに異なるずれ量が対応しており、検出可能範囲内における位置が異なっている。
【0069】
情報埋め込み処理部152は、CM放送素材に対応する1フレームの画像の電子透かし情報の検出可能範囲における、埋め込み位置の基準位置のそれぞれに、あるいは、埋め込み位置の基準位置から記憶部103内のずれ量だけずらした埋め込みブロックのそれぞれに、電子透かし情報を埋め込む。
【0070】
信号出力部159は、情報埋め込み処理部152からの埋め込み放送素材信号をビデオテープ3に記憶させるために、I/F部106を介して、ビデオテープ3へ出力する。放送送出システム1は、ビデオテープ3に記憶された埋め込み放送素材信号を再生して、送出する。
【0071】
情報検出部158は、情報埋め込み処理部152からの埋め込み放送素材信号を入力する。更に、情報検出部158は、CM放送素材に対する電子透かし情報の埋め込みが正常に行われているか否かを判定する。
【0072】
具体的には、情報検出部158は、先頭コード、素材長コード、素材情報コード及び終了コードのそれぞれに対応する電子透かし情報の時間的な埋め込み位置が図4に従っているか否かを判定する。更に、電子透かし情報の時間的な埋め込み位置が図4に従っていない場合、情報検出部158は、入出力制御部156及び外部通信部157を介して、外部の機器へ異常を通知する。これにより、外部の機器のオペレータは、異常を認識することができ、電子透かし情報の埋め込みのやり直し等の対策を迅速に行うことが可能となる。
【0073】
(1.3)情報検出装置の構成及び動作
次に、情報検出装置200の構成及び動作について、(1.3.1)情報検出装置200の概略構成及び動作、(1.3.2)情報検出装置200の詳細構成及び動作の順に説明する。
【0074】
(1.3.1)情報検出装置の概略構成及び動作
図7は、情報検出装置200の概略構成図である。図7に示すように、情報検出装置200は、制御部202、記憶部203及びI/F部204を含む。
【0075】
制御部202は、例えばCPUによって構成され、情報検出装置200が具備する各種機能を制御する。記憶部203は、例えばメモリによって構成される。記憶部203は、情報検出装置200における制御等に用いられる情報を記憶する。
【0076】
I/F部204は、放送受信システム2に接続される。このI/F部204は、放送受信システム2からの埋め込み放送素材信号を入力し、制御部202へ出力する。
【0077】
(1.3.2)情報検出装置の詳細構成及び動作
次に、情報検出装置200の詳細構成及び動作、具体的には、制御部202の機能ブロック構成及び動作について説明する。図8は、情報検出装置200の制御部202の機能ブロック構成図である。
【0078】
図8に示すように、制御部202は、信号入力部251、素材先頭候補検出部252、埋め込み情報検出部253、検出情報判定部254、入出力制御部255及び外部通信部256を含む。
【0079】
信号入力部251は、埋め込み放送素材信号を入力する。この信号入力部251は、埋め込み放送素材信号に含まれる画像信号及び音声信号を、アナログ/デジタル変換する変換器と、アナログ/デジタル変換に必要となるクロックを再生する再生器とにより構成される。また、信号入力部251は、画像信号の同期信号成分を検出し、当該画像信号がHDフォーマット及びSDフォーマットの何れかであることを判別する機能を有する。
【0080】
また、信号入力部251は、伝送方式に応じた処理を行い、埋め込み放送素材信号に含まれる画像信号と音声信号とを分離して、それぞれデジタル信号として取り出す。更に、信号入力部251は、デジタル化された画像信号及び音声信号を、後段の素材先頭候補検出部252及び埋め込みデータ検出部253へ出力する。
【0081】
素材先頭候補検出部252は、信号入力部251からの画像信号及び音声信号を分析し、CM放送素材の先頭候補を検出する。画像信号に基づいてCM放送素材の先頭候補を検出する場合、素材先頭候補検出部252は、放送素材が切り替わるタイミングで発生する可能性が極めて高いシーンチェンジを検出する。また、音声信号に基づいてCM放送素材の先頭候補を検出する場合、素材先頭候補検出部252は、放送素材が切り替わるタイミングで発生する可能性が極めて高い無音区間を検出、あるいは、モノラル、ステレオといった音声モードの変化を検出する。ここで、シーンチェンジ及び無音区間は、CM放送素材の先頭部の0.5秒間である。
【0082】
素材先頭候補検出部252は、上述した処理によってCM放送素材の先頭候補を検出した場合、当該CM放送素材の先頭候補を検出した時刻の情報(タイムスタンプ情報)を検出情報判定部254へ出力する。
【0083】
埋め込み情報検出部253は、信号入力部151からの画像信号を常時監視し、CM放送素材に埋め込まれている、属性情報に対応する電子透かし情報を検出する。
【0084】
具体的には、図5に示す電子透かし情報がCM放送素材に埋め込まれている場合、埋め込み情報検出部253は、CM放送素材に対応する画像から、記憶部203に記憶されているテンプレートによって示される座標によって定まる所定領域(例えば検出可能範囲)を抽出する。更に、埋め込み情報検出部253は、抽出した所定領域に対して、離散コサイン変換を行い、埋め込み処理に対応した周波数成分を取り出すことにより、電子透かし情報を検出する。あるいは、埋め込み情報検出部253は、抽出した所定領域に対応する画像信号と、埋め込み処理で利用した基底信号との相関係数を、属性情報に対応する電子透かし情報として検出する。
【0085】
なお、上述したように、CM放送素材に対応する画像における、各属性情報の埋め込み位置は、テンプレートに応じて、図5に示すように周期的に変化する。したがって、埋め込み情報検出部253は、CM放送素材に対応する画像のフレーム毎に、記憶部203に記憶されたN個のパターンの埋め込み位置において、属性情報に対応する電子透かし情報の検出を試みるようにすればよい。
【0086】
また、属性情報に対応する電子透かし情報の埋め込みに、図6に示す埋め込みブロックが用いられる場合には、記憶部203に各埋め込みブロックに対応するずれ量が記憶される。
【0087】
そして、埋め込み情報検出部253は、CM放送素材に対応する画像において、ずれ量毎に、対応する埋め込み位置の基準位置を検出位置として、電子透かし情報の検出を試みる。
【0088】
そして、埋め込み位置の基準位置のいずれかに埋め込まれた電子透かし情報を検出した場合、埋め込み情報検出部253は、その電子透かし情報が埋め込まれた埋め込み位置の基準位置に対応するずれ量を、放送経路上で発生したずれ量として測定する。更に、埋め込み情報検出部253は、その後の電子透かし情報の検出においては、測定したずれ量の分だけ、埋め込み位置の基準位置からすらした位置を検出位置として定めて、電子透かし情報を検出する。これにより、電子透かし情報の検出精度を保つことができる。
【0089】
埋め込み情報検出部253は、属性情報に対応する電子透かし情報を検出する毎に、当該電子透かし情報を検出情報判定部254へ出力する。
【0090】
検出情報判定部254は、素材先頭候補検出部252からのCM放送素材の先頭候補に対応するタイムスタンプ情報を入力する。更に、検出情報判定部254は、属性情報に対応する電子透かし情報を入力する。
【0091】
次に、検出情報判定部254は、入力した属性情報に対応する電子透かし情報を、テンプレートにおける埋め込み位置の候補のパターン数に応じて定まる時間だけ保持する。更に、検出情報判定部254は、属性情報に対応する電子透かし情報の有意性判定を行う。
【0092】
図5に示すように、テンプレートにおける埋め込み位置のパターン数N=4の場合、4フレームの画像を単位とした、埋め込み位置の巡回パターンは、「領域1→領域2→領域3→領域4」、「領域2→領域3→領域4→領域1」、「領域3→領域4→領域1→領域2」、「領域4→領域1→領域2→領域3」の4パターンである。検出情報判定部254は、これら4パターンの全てについて、有意性判定の演算を行う。
【0093】
4個の連続する画像のフレームにおいて、電子透かし情報の埋め込み位置の巡回パターンは上述の4パターンの何れかに当てはまるはずである。上述の4パターンの何れかにおいて、電子透かし情報が有意判定された場合、CM放送素材には、フレーム欠落等が生じていないことを確認可能である。
【0094】
次に、検出情報判定部254は、CM放送素材の全体が放送されたか否かの判定処理を行う。図9は、CM放送素材の全体が放送されたか否かの判定処理を示すフローチャートである。また、図10は、CM放送素材の全体が放送されたか否かの判定処理の概略を示す図である。
【0095】
検出情報判定部254は、属性情報に対応する電子透かし情報が、埋め込み時の順序で検出されているか否かを判定する。具体的には、まず、検出情報判定部254は、識別子に基づいて先頭コードを検出したか否かを判定する(S101)。先頭コードが検出された場合、次に、検出情報判定部254は、識別子に基づいて、素材長コードを検出したか否かを判定する(S102)。
【0096】
素材長コードが検出された場合、検出情報判定部254は、先頭コードの最後部を検出してからγ秒以内に素材長コードの最後部を検出したか否かを判定する(S103)。先頭コードの最後部を検出してからγ秒以内に素材長コードの最後部を検出した場合、更に、検出情報判定部254は、素材長コードの最後部のタイミングからβ+γ秒だけ遡った時間位置に対応する時刻を、CM放送素材の放送時刻として算出する(S104)。
【0097】
ここで、素材長コードの検出は、画像信号と基底信号との相関係数の累積値の有意性判定により行われる。図11は、過去γ秒間の相関係数の累積値の時間推移を示す図である。図11に示すように、過去γ秒間の累積値が最大となるタイミングは、素材長コードの最後部のタイミングとなる。これは、累積範囲γ秒が素材長コードの時間長γ秒と一致するタイミングである、素材長コードの最後部でピークとなることによる。
【0098】
この検出方法が採用されることにより、検出情報判定部254は、全ての属性コードを正常に検出することができないような条件下においても、素材長コードの最後部を検出可能となる。したがって、検出情報判定部254は、素材長コードの最後部のタイミングから逆算することで、先頭コードの最後部のタイミング、更には、先頭コードの最後部のタイミングに基づくCM放送素材についての正確な放送時刻の算出が可能となる。
【0099】
更には、検出情報判定部254は、先頭候補検出部252により検出されたシーンチェンジや無音区間の発生時刻を一時的に記憶しておいてもよい。この場合、検出情報判定部254は、素材長コードの最後部のタイミングからβ+γ秒だけ遡った時間位置を、CM放送素材の先頭候補のタイミングとしてを求める。更に、検出情報判定部254は、求めたCM放送素材の先頭候補のタイミングの前後0.5秒の範囲で、シーンチェンジや無音区間が発生している場合には、放送時の再生タイミングのずれに起因する再生時刻の誤差を吸収し、CM放送素材の先頭候補のタイミングをCM放送素材の放送時刻とすることにより、CM放送素材についての非常に正確な放送時刻の算出が可能となる。
【0100】
CM放送素材の放送時刻の算出後、次に、検出情報判定部254は、素材長コードの最後部の検出タイミングから素材長に対応する時間内に、識別子に基づいて素材情報コードの最後部を検出したか否かを判定する(S105)。素材情報コードの最後部が検出された場合、次に、検出情報判定部254は、素材長コードの最後部の検出タイミングから素材長に対応する時間内に、識別子に基づいて、終了コードの最後部を検出したか否かを判定する(S106)。
【0101】
S106において、終了コードの最後部が検出されたということは、属性情報に対応する電子透かし情報が、埋め込み時の順序で検出されたことを意味する。この場合、検出情報判定部254は、算出した放送時刻と、検出した素材情報コードとからなる放送実績情報を生成する(S107)。生成された放送実績情報は、所定のタイミングで、不図示の収集装置へ送信される。収集装置は、複数の情報検出装置200からの放送実績情報を収集し、集計処理等を行う。なお、情報検出装置200は、生成した放送実績情報に基づいて、更に所定の集計情報を生成し、当該集計情報を不図示の収集装置へ送信するようにしてもよい。
【0102】
(2)作用・効果
このように、本発明の実施形態に係る放送実績取得システム10によれば、情報埋め込み装置100が、CM放送素材についての複数の属性情報を、当該CM放送素材の先頭部から最後部にかけて所定の順序で埋め込んで送信し、情報検出装置200は、受信したCM放送素材に複数の属性情報が所定の順序で埋め込まれている場合には、CM放送素材の全体が放送されたと判定し、対応する放送実績情報を生成する。したがって、放送実績情報に基づいて、放送素材の全体が放送されたことを確認することが可能となる。
【0103】
また、本発明の実施形態に係る放送実績取得システム10によれば、情報埋め込み装置100が、先頭コード、素材長コード、素材情報コード及び終了コードのそれぞれについて、対応するタイムコード情報が、予め定められた埋め込み開始タイミングのタイムコード情報と一致したタイミングで、そのコードに対応する電子透かし情報を生成し、CM放送素材への電子透かし情報を埋め込むことで、属性情報の時間的な埋め込み位置が正確に定められ、情報検出装置200において、属性情報の時間的な埋め込み位置に基づいて、CM放送素材の放送時刻を正確に特定することが可能となる。
【0104】
また、本発明の実施形態に係る放送実績取得システム10によれば、情報検出装置200が、CM放送素材の切替タイミングであるシーンチェンジ及び無音区間のタイミングと、素材長コードの最後部から逆算して求められる、CM放送素材の先頭候補のタイミングとの差が0.5秒の範囲内である場合に、CM放送素材の先頭候補のタイミングをCM放送素材の放送時刻とすることにより、CM放送素材についての非常に正確な放送時刻の算出が可能となる。
【0105】
また、本発明の実施形態に係る放送実績取得システム10によれば、CM放送素材に対応する画像において、電子透かし情報の埋め込み位置の候補として予め定められた所定領域の座標を示すテンプレートが備えられている。情報埋め込み装置100は、CM放送素材に対応する画像において、テンプレートによって示される座標によって定まる所定領域、あるいは、テンプレートによって示される座標に基づいて算出される座標によって定まる所定領域(例えば検出可能範囲)を埋め込み位置とし、当該所定領域の画像に対して、電子透かし情報を埋め込む。テンプレートは、N個のパターンの座標を有しており、情報埋め込み装置100は、これらN個のパターンの埋め込み位置の座標を、巡回的に選択する。したがって、電子透かし情報の埋め込み位置は、Nフレームの画像を単位として巡回的に変化する。したがって、画像の特定の箇所へ電子透かし情報が集中的に埋め込まれ、更に、その埋め込み位置に、放送経路上で不要な信号が継続的に混入すること等によって、情報検出装置200が、電子透かし情報を検出することができなくなることを抑制することができる。また、視覚的積分効果による画質劣化が防止される。
【0106】
また、本発明の実施形態に係る放送実績取得システム10によれば、テンプレートに含まれるN個のパターンの埋め込み位置の座標のそれぞれについて、基準位置からのずれ量を示す埋め込みブロックが構成されている。情報埋め込み装置100は、CM放送素材に対応する1フレームの画像に対し、埋め込み位置の基準位置からずらした埋め込みブロックのそれぞれに、電子透かし情報を埋め込む。一方、情報検出装置200は、CM放送素材に対応する画像における、埋め込み位置の基準位置を検出位置として、電子透かし情報の検出を試みる。そして、各埋め込みブロックに対応する埋め込み位置の基準位置のいずれかに埋め込まれた電子透かし情報を検出した場合、情報検出装置200は、その埋め込みブロックに対応するずれ量を、放送経路上で発生したずれ量として測定する。更に、情報検出装置200は、その後の電子透かし情報の検出においては、測定したずれ量の分だけ、埋め込み位置の基準位置からシフトさせた位置を検出位置として定めて、電子透かし情報を検出する。これにより、電子透かし情報の検出精度を保つことができる。
【0107】
(3)その他の実施形態
上記のように、本発明は実施形態によって記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面はこの発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施形態、実施例及び運用技術が明らかとなる。
【0108】
上述した実施形態では、CM放送素材の全体が放送されたか否かについての判定が行われたが、CM以外の他の放送素材の全体が放送されたか否かについても判定可能である。
【0109】
また、上述した実施形態では、画像に対してのみ情報が埋め込まれ、当該情報が検出されたが、画像に加え、音声信号やその他付随される信号に対しても、同様の方法で、情報を埋め込む機能、及び、受信側で情報を検出する機能を追加することにより、両信号を含めた判定も可能となる。
【0110】
このように本発明は、ここでは記載していない様々な実施形態等を包含するということを理解すべきである。したがって、本発明はこの開示から妥当な特許請求の範囲の発明特定事項によってのみ限定されるものである。
【図面の簡単な説明】
【0111】
【図1】本発明の実施形態に係る放送実績取得システムの全体概略構成図である。
【図2】本発明の実施形態に係る情報埋め込み装置の概略構成図である。
【図3】本発明の実施形態に係る、情報埋め込み装置における制御部の機能ブロック構成図である。
【図4】放送素材のフォーマットと、属性情報と、当該属性情報の埋め込み開始タイミングとの一例を示す図である。
【図5】本発明の実施形態に係る、無線基地局における制御部の第1の機能ブロック構成図である。
【図6】埋め込みブロックの一例を示す図である。
【図7】本発明の実施形態に係る情報検出装置の概略構成図である。
【図8】本発明の実施形態に係る、情報検出装置における制御部の機能ブロック構成図である。
【図9】CM放送素材の全体が放送されたか否かの判定処理を示すフローチャートである。
【図10】CM放送素材の全体が放送されたか否かの判定処理の概略を示す図である。
【図11】過去γ秒間の相関係数の累積値の時間推移を示す図である。
【符号の説明】
【0112】
1…放送送出システム、2…放送受信システム、3…ビデオテープ、10…放送システム、100…情報埋め込み装置、102…制御部、103…記憶部、104…I/F部、106…I/F部、151…信号入力部、152…情報埋め込み処理部、153…画像解析処理部、154…時刻情報埋め込み判定部、155…埋め込みデータ生成部、156…入出力制御部、157…外部通信部、158…情報検出部、159…信号出力部、200…情報検出装置、202…制御部、203…記憶部、204…I/F部、251…信号入力部、252…素材先頭候補検出部、253…埋め込み情報検出部、254…検出情報判定部、255…入出力制御部、256…外部通信部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
放送素材の放送実績を取得する放送実績取得システムであって、
放送の送出システムの送出対象である放送素材に情報を埋め込む情報埋め込み装置と、
放送の受信システムに接続され、前記放送素材に埋め込まれた前記情報を検出する情報検出装置とを含み、
前記情報埋め込み装置は、
前記放送素材の先頭部から最後部にかけて、前記放送素材についての複数の属性情報を所定の順序で埋め込み、埋め込み放送素材を生成する情報埋め込み部と、
前記情報埋め込み部により生成された前記埋め込み放送素材を出力する出力部と
を備え、
前記情報検出装置は、
前記放送送出システムによって送出され、前記受信システムにより受信された前記埋め込み放送素材を入力する入力部と、
前記入力部により入力された前記埋め込み放送素材における前記複数の属性情報を検出し、前記放送素材に前記複数の属性情報が前記所定の順序で埋め込まれているか否かを判定する埋め込み判定部と、
前記埋め込み判定部により前記放送素材に前記複数の属性情報が前記所定の順序で埋め込まれていると判定された場合に、前記放送素材の全体が放送されたことを示す放送実績情報を生成する放送実績情報生成部と
を備える放送実績取得システム。
【請求項2】
放送の送出システムの送出対象である放送素材に情報を埋め込む情報埋め込み装置であって、
前記放送素材の先頭部から最後部にかけて、前記放送素材についての複数の属性情報を所定の順序で埋め込み、埋め込み放送素材を生成する情報埋め込み部と、
前記情報埋め込み部により生成された前記埋め込み放送素材を出力する出力部と
を備える情報埋め込み装置。
【請求項3】
前記放送素材は、前記放送素材の放送時の時間経過を示すタイムコード情報が多重化されており、
前記放送素材に多重化された前記タイムコード情報を検出するタイムコード情報検出部を備え、
前記情報埋め込み部は、前記属性情報について、あらかじめ定められた埋め込み開始タイミングに対応するタイムコード情報と、前記タイムコード情報検出部により検出された前記タイムコード情報とが一致した場合に、前記放送素材への前記属性情報の埋め込みを開始する請求項2に記載の情報埋め込み装置。
【請求項4】
前記情報埋め込み部により生成された前記埋め込み放送素材に基づいて、前記情報埋め込み部により前記放送素材への前記属性情報の埋め込みが正常に行われたか否かを判定する正常判定部を備える請求項2又は3に記載の情報埋め込み装置。
【請求項5】
前記情報埋め込み部は、前記放送素材に、前記属性情報に対応する電子透かし情報を埋め込む請求項2乃至4の何れかに記載の情報埋め込み装置。
【請求項6】
前記放送素材に対応する画像の輝度及び精細度を検出する画像レベル検出部と、
前記画像レベル検出部により検出された前記放送素材に対応する画像の輝度及び精細度に基づいて、前記電子透かし情報の埋め込み強度を設定する設定部と
を備え、
前記情報埋め込み部は、前記設定部により設定された前記埋め込み強度で、前記放送素材に、前記電子透かし情報を埋め込む請求項5に記載の情報埋め込み装置。
【請求項7】
前記情報埋め込み部は、前記放送素材に対応する画像の所定領域を周波数変換して生成される周波数領域画像に、単一の所定周波数成分の基底信号の所定倍となる前記電子透かし情報、又は、複数の所定周波数成分の基底信号の和の所定倍となる前記電子透かし情報を埋め込む請求項4乃至6の何れかに記載の情報埋め込み装置。
【請求項8】
前記周波数変換は、離散コサイン変換である請求項7に記載の情報埋め込み装置。
【請求項9】
前記情報埋め込み部は、前記放送素材に対応する画像の解像度が高いほど、前記所定領域を拡大する請求項7又は8に記載の情報埋め込み装置。
【請求項10】
前記複数の属性情報は、前記放送素材の先頭部を識別可能とする情報である先頭コード、前記放送素材の時間長を示す情報である素材長コード、前記放送素材の識別情報である素材情報コード、及び、前記放送素材の最後部を識別可能とする情報である終了コードからなる請求項2乃至9の何れかに記載の情報埋め込み装置。
【請求項11】
放送の受信システムに接続され、放送素材に埋め込まれた情報を検出する情報検出装置であって、
前記受信システムにより受信された埋め込み放送素材を入力する入力部と、
前記埋め込み放送素材は、前記放送素材の先頭部から最後部にかけて、前記放送素材についての複数の属性情報を所定の順序で埋め込んで生成され、
前記入力部により入力された前記埋め込み放送素材における前記複数の属性情報を検出し、前記放送素材に前記複数の属性情報が前記所定の順序で埋め込まれているか否かを判定する埋め込み判定部と、
前記埋め込み判定部により前記放送素材に前記複数の属性情報が前記所定の順序で埋め込まれていると判定された場合に、前記放送素材の全体が放送されたことを示す放送実績情報を生成する放送実績情報生成部と
を備える情報検出装置。
【請求項12】
前記放送素材の切替タイミングを検出する切替タイミング検出部を備え、
前記放送実績情報生成部は、前記切替タイミング検出部により検出された前記放送素材の切替タイミングと、前記埋め込み判定部により検出された前記複数の属性情報のうちの所定の属性情報の先頭部のタイミングとの差が所定範囲内である場合に、前記所定の属性情報の先頭部のタイミングを前記放送素材の放送時刻として算出し、前記放送素材の放送時刻を含んだ前記放送実績情報を生成する請求項11に記載の情報検出装置。
【請求項13】
前記埋め込み放送素材は、前記放送素材に前記属性情報に対応する電子透かし情報が埋め込まれて生成され、
前記埋め込み判定部は、前記入力部により入力された前記埋め込み放送素材における前記電子透かし情報を検出する請求項11又は12に記載の情報検出装置。
【請求項14】
前記埋め込み放送素材は、前記放送素材に対応する画像の所定領域を離散コサイン変換して生成される周波数領域画像に、単一の所定周波数成分の基底信号の所定倍となる前記電子透かし情報、又は、複数の所定周波数成分の基底信号の和の所定倍となる前記電子透かし情報を埋め込んで生成され、
前記埋め込み判定部は、前記所定領域に対応する画像信号に対して離散コサイン変換を行い、単一の所定周波数成分の基底信号の所定倍となる前記電子透かし情報、又は、複数の所定周波数成分の基底信号の和の所定倍となる前記電子透かし情報を検出する請求項13に記載の情報検出装置。
【請求項15】
前記埋め込み放送素材は、前記放送素材に対応する画像の所定領域を周波数変換して生成される周波数領域画像に、単一の所定周波数成分の基底信号の所定倍となる前記電子透かし情報、又は、複数の所定周波数成分の基底信号の和の所定倍となる前記電子透かし情報を埋め込んで生成され、
前記埋め込み判定部は、前記所定領域に対応する画像信号と、前記電子透かし情報の埋め込みに用いられた前記基底信号との相関係数を、前記電子透かし情報として検出する請求項13に記載の情報検出装置。
【請求項16】
前記複数の属性情報は、前記放送素材の先頭部を識別可能とする情報である先頭コード、前記放送素材の時間長を示す情報である素材長コード、前記放送素材の識別情報である素材情報コード、及び、前記放送素材の最後部を識別可能とする情報である終了コードからなる請求項11乃至15の何れかに記載の情報検出装置。
【請求項17】
放送の送出システムの送出対象である放送素材に情報を埋め込む情報埋め込み装置と、放送の受信システムに接続され、前記放送素材に埋め込まれた前記情報を検出する情報検出装置とを含み、放送素材の放送実績を取得する放送実績取得システムにおける放送実績取得方法であって、
前記情報埋め込み装置が、前記放送素材の先頭部から最後部にかけて、前記放送素材についての複数の属性情報を所定の順序で埋め込み、埋め込み放送素材を生成するステップと、
前記情報埋め込み装置が、生成された前記埋め込み放送素材を出力するステップと
を備え、
前記情報検出装置が、前記受信システムにより受信された前記埋め込み放送素材を入力するステップと、
前記情報検出装置が、入力された前記埋め込み放送素材における前記複数の属性情報を検出し、前記放送素材に前記複数の属性情報が前記所定の順序で埋め込まれているか否かを判定するステップと、
前記情報検出装置が、前記放送素材に前記複数の属性情報が前記所定の順序で埋め込まれていると判定された場合に、前記放送素材の全体が放送されたことを示す放送実績情報を生成するステップと
を備える放送実績取得方法。
【請求項1】
放送素材の放送実績を取得する放送実績取得システムであって、
放送の送出システムの送出対象である放送素材に情報を埋め込む情報埋め込み装置と、
放送の受信システムに接続され、前記放送素材に埋め込まれた前記情報を検出する情報検出装置とを含み、
前記情報埋め込み装置は、
前記放送素材の先頭部から最後部にかけて、前記放送素材についての複数の属性情報を所定の順序で埋め込み、埋め込み放送素材を生成する情報埋め込み部と、
前記情報埋め込み部により生成された前記埋め込み放送素材を出力する出力部と
を備え、
前記情報検出装置は、
前記放送送出システムによって送出され、前記受信システムにより受信された前記埋め込み放送素材を入力する入力部と、
前記入力部により入力された前記埋め込み放送素材における前記複数の属性情報を検出し、前記放送素材に前記複数の属性情報が前記所定の順序で埋め込まれているか否かを判定する埋め込み判定部と、
前記埋め込み判定部により前記放送素材に前記複数の属性情報が前記所定の順序で埋め込まれていると判定された場合に、前記放送素材の全体が放送されたことを示す放送実績情報を生成する放送実績情報生成部と
を備える放送実績取得システム。
【請求項2】
放送の送出システムの送出対象である放送素材に情報を埋め込む情報埋め込み装置であって、
前記放送素材の先頭部から最後部にかけて、前記放送素材についての複数の属性情報を所定の順序で埋め込み、埋め込み放送素材を生成する情報埋め込み部と、
前記情報埋め込み部により生成された前記埋め込み放送素材を出力する出力部と
を備える情報埋め込み装置。
【請求項3】
前記放送素材は、前記放送素材の放送時の時間経過を示すタイムコード情報が多重化されており、
前記放送素材に多重化された前記タイムコード情報を検出するタイムコード情報検出部を備え、
前記情報埋め込み部は、前記属性情報について、あらかじめ定められた埋め込み開始タイミングに対応するタイムコード情報と、前記タイムコード情報検出部により検出された前記タイムコード情報とが一致した場合に、前記放送素材への前記属性情報の埋め込みを開始する請求項2に記載の情報埋め込み装置。
【請求項4】
前記情報埋め込み部により生成された前記埋め込み放送素材に基づいて、前記情報埋め込み部により前記放送素材への前記属性情報の埋め込みが正常に行われたか否かを判定する正常判定部を備える請求項2又は3に記載の情報埋め込み装置。
【請求項5】
前記情報埋め込み部は、前記放送素材に、前記属性情報に対応する電子透かし情報を埋め込む請求項2乃至4の何れかに記載の情報埋め込み装置。
【請求項6】
前記放送素材に対応する画像の輝度及び精細度を検出する画像レベル検出部と、
前記画像レベル検出部により検出された前記放送素材に対応する画像の輝度及び精細度に基づいて、前記電子透かし情報の埋め込み強度を設定する設定部と
を備え、
前記情報埋め込み部は、前記設定部により設定された前記埋め込み強度で、前記放送素材に、前記電子透かし情報を埋め込む請求項5に記載の情報埋め込み装置。
【請求項7】
前記情報埋め込み部は、前記放送素材に対応する画像の所定領域を周波数変換して生成される周波数領域画像に、単一の所定周波数成分の基底信号の所定倍となる前記電子透かし情報、又は、複数の所定周波数成分の基底信号の和の所定倍となる前記電子透かし情報を埋め込む請求項4乃至6の何れかに記載の情報埋め込み装置。
【請求項8】
前記周波数変換は、離散コサイン変換である請求項7に記載の情報埋め込み装置。
【請求項9】
前記情報埋め込み部は、前記放送素材に対応する画像の解像度が高いほど、前記所定領域を拡大する請求項7又は8に記載の情報埋め込み装置。
【請求項10】
前記複数の属性情報は、前記放送素材の先頭部を識別可能とする情報である先頭コード、前記放送素材の時間長を示す情報である素材長コード、前記放送素材の識別情報である素材情報コード、及び、前記放送素材の最後部を識別可能とする情報である終了コードからなる請求項2乃至9の何れかに記載の情報埋め込み装置。
【請求項11】
放送の受信システムに接続され、放送素材に埋め込まれた情報を検出する情報検出装置であって、
前記受信システムにより受信された埋め込み放送素材を入力する入力部と、
前記埋め込み放送素材は、前記放送素材の先頭部から最後部にかけて、前記放送素材についての複数の属性情報を所定の順序で埋め込んで生成され、
前記入力部により入力された前記埋め込み放送素材における前記複数の属性情報を検出し、前記放送素材に前記複数の属性情報が前記所定の順序で埋め込まれているか否かを判定する埋め込み判定部と、
前記埋め込み判定部により前記放送素材に前記複数の属性情報が前記所定の順序で埋め込まれていると判定された場合に、前記放送素材の全体が放送されたことを示す放送実績情報を生成する放送実績情報生成部と
を備える情報検出装置。
【請求項12】
前記放送素材の切替タイミングを検出する切替タイミング検出部を備え、
前記放送実績情報生成部は、前記切替タイミング検出部により検出された前記放送素材の切替タイミングと、前記埋め込み判定部により検出された前記複数の属性情報のうちの所定の属性情報の先頭部のタイミングとの差が所定範囲内である場合に、前記所定の属性情報の先頭部のタイミングを前記放送素材の放送時刻として算出し、前記放送素材の放送時刻を含んだ前記放送実績情報を生成する請求項11に記載の情報検出装置。
【請求項13】
前記埋め込み放送素材は、前記放送素材に前記属性情報に対応する電子透かし情報が埋め込まれて生成され、
前記埋め込み判定部は、前記入力部により入力された前記埋め込み放送素材における前記電子透かし情報を検出する請求項11又は12に記載の情報検出装置。
【請求項14】
前記埋め込み放送素材は、前記放送素材に対応する画像の所定領域を離散コサイン変換して生成される周波数領域画像に、単一の所定周波数成分の基底信号の所定倍となる前記電子透かし情報、又は、複数の所定周波数成分の基底信号の和の所定倍となる前記電子透かし情報を埋め込んで生成され、
前記埋め込み判定部は、前記所定領域に対応する画像信号に対して離散コサイン変換を行い、単一の所定周波数成分の基底信号の所定倍となる前記電子透かし情報、又は、複数の所定周波数成分の基底信号の和の所定倍となる前記電子透かし情報を検出する請求項13に記載の情報検出装置。
【請求項15】
前記埋め込み放送素材は、前記放送素材に対応する画像の所定領域を周波数変換して生成される周波数領域画像に、単一の所定周波数成分の基底信号の所定倍となる前記電子透かし情報、又は、複数の所定周波数成分の基底信号の和の所定倍となる前記電子透かし情報を埋め込んで生成され、
前記埋め込み判定部は、前記所定領域に対応する画像信号と、前記電子透かし情報の埋め込みに用いられた前記基底信号との相関係数を、前記電子透かし情報として検出する請求項13に記載の情報検出装置。
【請求項16】
前記複数の属性情報は、前記放送素材の先頭部を識別可能とする情報である先頭コード、前記放送素材の時間長を示す情報である素材長コード、前記放送素材の識別情報である素材情報コード、及び、前記放送素材の最後部を識別可能とする情報である終了コードからなる請求項11乃至15の何れかに記載の情報検出装置。
【請求項17】
放送の送出システムの送出対象である放送素材に情報を埋め込む情報埋め込み装置と、放送の受信システムに接続され、前記放送素材に埋め込まれた前記情報を検出する情報検出装置とを含み、放送素材の放送実績を取得する放送実績取得システムにおける放送実績取得方法であって、
前記情報埋め込み装置が、前記放送素材の先頭部から最後部にかけて、前記放送素材についての複数の属性情報を所定の順序で埋め込み、埋め込み放送素材を生成するステップと、
前記情報埋め込み装置が、生成された前記埋め込み放送素材を出力するステップと
を備え、
前記情報検出装置が、前記受信システムにより受信された前記埋め込み放送素材を入力するステップと、
前記情報検出装置が、入力された前記埋め込み放送素材における前記複数の属性情報を検出し、前記放送素材に前記複数の属性情報が前記所定の順序で埋め込まれているか否かを判定するステップと、
前記情報検出装置が、前記放送素材に前記複数の属性情報が前記所定の順序で埋め込まれていると判定された場合に、前記放送素材の全体が放送されたことを示す放送実績情報を生成するステップと
を備える放送実績取得方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2010−157914(P2010−157914A)
【公開日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−335108(P2008−335108)
【出願日】平成20年12月26日(2008.12.26)
【出願人】(591101434)株式会社ビデオリサーチ (52)
【出願人】(000208891)KDDI株式会社 (2,700)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年12月26日(2008.12.26)
【出願人】(591101434)株式会社ビデオリサーチ (52)
【出願人】(000208891)KDDI株式会社 (2,700)
【Fターム(参考)】
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