説明

放送通信融合システムのメッセージ受信装置および視聴者端末

【課題】ネットワークを介して受信されるメッセージに対する応答のトラヒックを削減できる放送通信融合システムのメッセージ受信装置および視聴者端末を提供する。
【解決手段】メッセージ受信部32は、各視聴者端末2から送信されるメッセージを正常受信できたか否かの受信結果を送信元IDと共に応答選択部35へパケットごとに通知し、さらに正常受信できたパケットをメッセージ処理部33へ転送する。メッセージ処理部33は、正常受信したメッセージパケットを適宜に処理して放送局1へ提供する。応答部36は、正常受信できなかったパケットに対して否定応答(NACK)を返信する否定応答部361と、正常受信できたパケットに対して確認応答(ACK)を返信する確認応答部362とを含む。応答選択部35は、メッセージ受信部32から通知される受信結果に基づいて否定応答部361または確認応答部362による応答を選択する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放送局から送信された放送コンテンツの視聴者が、その端末からメッセージを放送局側へ送信する放送通信融合システムを対象とし、特に、メッセージを受信するメッセージ受信装置および視聴者端末に関する。
【背景技術】
【0002】
放送通信融合システムでは、放送番組と連動した世論調査、アンケート、懸賞応募、視聴者参加型クイズ等における視聴者側から放送局側へのメッセージ、あるいは放送内容を補完する情報を視聴者が放送局側へ要求するメッセージが、各視聴者端末から受付センタ(メッセージ受付サーバ)へ送信される。
【0003】
このような放送通信システムでは、メッセージの送受信が一時期に集中するのみならず、全てのメッセージにはメッセージ受付サーバから受信応答(ACK)または否定応答(NACK)が一斉に返信される。したがって、これら応答パケットのトラヒックを前記メッセージ自身のトラヒックと合わせればネットワークに輻輳の発生が予測される。そして、メッセージ受付サーバやネットワークに輻輳が発生すると、視聴者からの通信が完了しないなど、番組運営に致命的な支障をきたすのみならず、他の通信サービスにも悪影響を与える可能性がある。
【0004】
このような技術課題に対して、特許文献1には、複数の送信元が情報を同報送信するシステムにおいて、異なる送信元から到着した複数の情報に対する受信応答を1つのパケットにまとめて同報送信することにより、ネットワークに流れるトラヒック量を削減する技術が開示されている。
【特許文献1】特開平9−261255号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1では、複数の端末から送信される情報に対する受信応答が一つのパケットにまとめられて返信されるので、これを否定応答に適用すれば否定応答のトラヒック量は削減できる。しかしながら、これを上記した広帯域ネットワークを利用した双方向サービスに適用すると、メッセージの集中により既にネットワークに輻輳が生じている場合には、否定応答を確実に返信することが難しくなる。
【0006】
本発明の目的は、上記した従来技術の課題を解決し、ネットワークを介して受信されるメッセージに対する応答のトラヒックを削減できる放送通信融合システムのメッセージ受信装置および視聴者端末を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記した目的を達成するために、本発明は、放送コンテンツを受信した視聴者端末からネットワーク経由で送信されるメッセージを受信する放送通信融合システムのメッセージ受信装置および視聴者端末において、以下のような手段を含むことを特徴とする。
【0008】
(1)本発明のメッセージ受信装置は、メッセージをパケット単位で受信するメッセージ受信手段と、受信パケットに確認応答を返信するか否かで応答する第1応答手段と、受信パケットに否定応答を返信するか否かで応答する第2応答手段と、受信パケットに対する応答手段として前記第1または第2応答手段を選択する応答選択手段とを含む。
【0009】
(2)前記応答選択手段は、パケットの送信元IDが予め記憶された送信元データベースと、受信パケットの送信元IDが前記送信元データベースに既登録であるか否かを判定する登録判定手段と、前記送信元データベースに送信元IDが未登録の受信パケットに対して第1応答手段を選択し、既登録の受信パケットに対して第2応答手段を選択する応答方式決定手段とを含む。
【0010】
(3)メッセージ受信に先立って視聴者端末と通信手順を決定するネゴシエーションにおいて第1および第2応答手段のいずれか一方による応答を決定する応答方式決定手段をさらに設け、前記応答選択手段は、パケットの送信元IDを管理する送信元データベースと、ネゴシエーションにおいて前記第1および第2応答手段の一方による応答が決定された視聴者端末のIDを送信元データベースに登録する登録手段と、受信パケットの送信元IDが送信元データベースに既登録であるか否かを判定する登録判定手段と、送信元データベースに送信元IDが既登録の受信パケットに対して第1および第2応答手段の一方を選択し、未登録の受信パケットに対して他方を選択する応答方式選択手段とを含む。
【0011】
(4)上記した特徴(3)に加えてさらに、パケットの受信状況を監視する監視手段を設け、応答方式決定手段が、受信状況が所定の状況よりも良好な状況下では第2応答手段による応答を決定し、受信状況が所定の状況よりも不良な状況下では第1応答手段による応答を決定する。
【0012】
(5)本発明の視聴者端末は、メッセージをパケット単位で送信するメッセージ送信手段と、送信パケットに対してメッセージ受信装置から返信される応答を受信する応答受信手段と、確認応答を受信できない送信パケットをエラーパケットとして処理する確認応答処理手段と、否定応答を受信した送信パケットをエラーパケットとして処理する否定応答処理手段と、メッセージ送信に先立ってメッセージ受信装置と通信手順を決定するネゴシエーションにおいて前記各応答処理手段のいずれか一方による応答処理を決定する応答処理方式決定手段と、前記応答処理方式の決定結果に基づいて、確認応答処理手段および否定応答処理手段のいずれか一方でエラーパケットを処理させる選択手段とを含む。
【発明の効果】
【0013】
上記した特徴(1)のメッセージ受信装置によれば、受信メッセージに対する応答方式として、否定応答(NACK)による対応と確認応答(ACK)による対応とを使い分けることができるので、応答回数を少なくできる応答方式を採用すれば応答パケットのトラヒック量を減じることができる。
【0014】
上記した特徴(2)のメッセージ受信装置によれば、否定応答に対応可能としてメッセージ受信装置に予め登録済みの視聴者端末から受信したメッセージには否定応答で対応し、それ以外の視聴者端末には一般的な確認応答で対応するようにしたので、視聴者端末ごとに対応方式が異なる場合であっても適正な応答が可能になる。
【0015】
上記した特徴(3)のメッセージ受信装置によれば、メッセージ交換に先立って視聴者端末とメッセージ受付サーバとの間で実施されるネゴシエーションにおいて応答方式を自由に選択できるので、視聴者端末の能力やネットワークの状態等に応じて応答方式を適応的に選択できるようになる。
【0016】
上記した特徴(4)のメッセージ受信装置によれば、メッセージの受信状況が良好なときには否定応答が選択され、受信状況が不良なときには確認応答が選択されるので、応答のためのトラヒックを減ぜられるようになる。
【0017】
上記した特徴(5)の視聴者端末によれば、メッセージ受信装置へ送信したメッセージパケットに対して、確認応答方式への対応および否定応答方式への対応のいずれもが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、図面を参照して本発明の最良の実施の形態について詳細に説明する。図1は、本発明が適用される通信放送融合システムのネットワーク構成を示したブロック図であり、テレビ映像用のコンテンツとデータ映像用およびデータ通信用のコンテンツとが多重化された放送コンテンツを送信する放送局1と、この放送局1から送信される放送波を受信して放送コンテンツを再生するテレビ2a、コンピュータ2b、携帯端末2c等の視聴者端末2と、これらの視聴者端末2とインターネット等のIPネットワーク4を介して接続された双方向のメッセージ受付サーバ3とを主要な構成としている。
【0019】
前記放送局1は、放送コンテンツを供給する放送サーバ1aと、この放送コンテンツをデジタル変調して送信するOFDM送信機1bとを含む。各視聴者端末2は、例えばクイズ番組の視聴中に回答を送信する操作が視聴者によりなされると、メッセージ受付サーバ3との間にコネクションを確立するコネクション確立機能と、このコネクションを利用して回答(メッセージ)を送信するメッセージ送信機能とを備えている。なお、各視聴者端末2から送信されるメッセージは、上記したクイズ番組やアンケートに対する回答に限らず、放送内容に関して補完情報が必要であるか否かを放送内で問われた各視聴者が、これに応答するために送信するメッセージも含まれる。視聴者がメッセージで補完情報を要求すれば、要求した補完情報がメッセージ受付サーバ3からネットワーク4を介して各視聴者端末2へ送信される。
【0020】
図2は、各視聴者端末2の主要部の構成を示した機能ブロック図であり、放送波を受信、デコードして放送コンテンツを再生し、テレビ映像およびデータ映像をスピーカ26および表示部25から出力するコンテンツ再生部21と、放送コンテンツに登録されているメッセージ受付サーバ3のIPアドレスを識別する宛先アドレス識別部22と、宛先アドレスとの間にコネクションを確立してメッセージを送信するメッセージ送信部23と、当該メッセージを受信したメッセージ受付サーバ3から、メッセージパケットごとに返信される確認応答(ACKパケット)や否定応答(NACKパケット)を処理する応答処理部24とを含む。
【0021】
図3は、前記メッセージ受付サーバ3の主要部の構成を示した機能ブロック図であり、ここでは、本発明の説明に必要な構成のみを示し、他の構成は図示を省略している。
【0022】
メッセージ受信部32は、前記各視聴者端末2から送信されるメッセージをWAN側のインターフェース(I/F)31を介して受信し、メッセージを正常受信できたか否かの受信結果を送信元IDと共に応答選択部35へパケットごとに通知し、さらに正常受信できたパケットをメッセージ処理部33へ転送する。メッセージ処理部33は、正常受信したメッセージパケットを適宜に処理あるいは集計し、LAN側のI/F34を介して放送局1へ提供する。
【0023】
応答部36は、正常受信できなかったパケットに対して否定応答(NACK)をI/F31経由で返信する否定応答部361と、正常受信できたパケットに対して確認応答(ACK)をI/F31経由で返信する確認応答部362とを含む。応答選択部35は、前記メッセージ受信部32から通知される受信結果に基づいて、前記否定応答部361および確認応答部362のいずれかによる応答を選択する。
【0024】
図4は、前記応答選択部35の第1実施形態の構成を示した機能ブロック図であり、前記と同一の符号は同一または同等部分を表している。
【0025】
送信元データベース(DB)351には、正常受信できなかったパケットに否定応答(NACK)の返信で応答する視聴者端末のIDが予め格納されている。登録判定部352は、正常受信できなかったパケットの送信元IDが前記送信元DB351に登録されているか否かを判定する。応答方式選択部353は、正常受信できなかったパケットの送信元IDが送信元DB351に既登録と判定されると、前記否定応答部361に対して否定応答(NACK)の返信を指示する。また、正常受信できたパケットの送信元IDが前記送信元DB351に未登録であれば、前記確認応答部362に対して確認応答(ACK)の返信を指示する。なお、正常受信できなかったパケットの送信元IDが前記送信元DB351に未登録であったり、あるいは正常受信できたパケットの送信元IDが前記送信元DB351に既登録であれば、否定応答(NACK)および確認応答(ACK)のいずれも返信させない。
【0026】
図5は、上記したメッセージパケットの受信結果および送信元DB351への送信元IDの登録状態と応答方法との関係を示した図である。なお、上記した実施形態では、パケットを正常受信できなかったときのみ否定応答(NACK)で応答する送信元IDが格納されているものとして説明したが、これとは逆に、パケットを正常受信できたときのみ確認応答(ACK)で応答する送信元IDが格納されるようにしても良い。その際のパケットの受信結果および送信元DB351への登録状態と応答方法との関係は図6の通りになる。
【0027】
次いで、本実施形態の動作を図7,8,9のフローチャートを参照して説明する。図7,8は、前記視聴者端末2a,2bの動作を示したフローチャートであり、図9は、前記メッセージ受付サーバ3の動作を示したフローチャートである。本実施形態では、前記メッセージ受付サーバ3の送信元DB351には、メッセージパケットを正常受信できなかったときのみ否定応答(NACK)で応答する送信元IDとして、視聴者端末2aのIDが登録されているものとして説明する。
【0028】
放送局1は、視聴者にメッセージ送信を要求するコンテンツを、当該メッセージの宛先アドレスと共に放送波として送信する。図7,8に示したように、送信元IDが送信元DB351に登録済みの視聴者端末(以下、既登録端末と表現する場合もある)2a、および送信元IDが未登録の視聴者端末(以下、未登録端末と表現する場合もある)2bのいずれにおいても、ステップS1で放送波を受信すると、ステップS2では放送コンテンツがデコードされ、テレビ映像およびデータ映像はステップS3で再生される。放送コンテンツに登録されているメッセージ受付サーバ3のIPアドレスは、ステップS4において抽出される。ステップS5では、クイズ番組やアンケート調査での回答、あるいは補完情報の要求がメッセージとして視聴者により入力されたか否かが判定される。メッセージの入力が検知されなければ、ステップS1へ戻って各処理が繰り返される。
【0029】
その後、視聴者によってメッセージが入力され、これがステップS5で検知されると、ステップS6では、前記メッセージ送信部23が宛先アドレスにアクセスしてメッセージ受付サーバ3と視聴者端末2との間にTCPコネクションが確立される。ステップS7では、前記TCPコネクションを利用して所定のネゴシエーションが実施され、その後、メッセージ受付サーバ3へのメッセージ送信がパケット単位で開始される。
【0030】
メッセージ受付サーバ3は、図9のステップS31において前記パケットを受信すると、ステップS32ではパケットを正常受信できたか否かが判定される。ステップS33では、受信パケットの送信元IDが識別される。前記パケット受信の成否および送信元IDは、受信結果として応答選択部35へ通知される。ステップS34では、登録判定部352において、受信パケットの送信元IDが送信元DB351に登録されているか否かが判定される。
【0031】
ここで、受信パケットの送信元が既登録端末2aであれば、その送信元IDが既登録と判定されるのでステップS35へ進み、パケットの受信結果が判定される。パケットが正常受信されていなければステップS36へ進み、否定応答部361に対してNACKパケットの返信が指示される。否定応答部361は、当該指示に応答してNACKパケットを返信する。これに対して、パケットが正常受信されていれば、いずれの応答パケットも返信することなく次のメッセージパケットの受信に備える。
【0032】
一方、受信パケットの送信元が未登録端末2bであれば、その送信元IDが未登録と判定されるのでステップS37へ進み、パケットの受信結果が判定される。パケットが正常受信されていればステップS38へ進み、確認応答部362に対してACKパケットの返信が指示される。確認応答部362は、当該指示に応答してACKパケットを返信する。これに対して、パケットが正常受信されていなければ、いずれの応答パケットも返信することなく次のメッセージパケットの受信に備える。
【0033】
図7へ戻り、既登録端末2aは、ステップS7でパケットの送信を開始した後、ステップS8aではNACKパケットが返信されたか否かが判定される。ここで、前記メッセージ受付サーバから返信されたNACKパケットが受信されていれば、当該NACKパケットに登録されているシーケンス番号で特定されるエラーパケットが再送信される。ステップS9aでは、パケット送信が完了したか否かが判定され、未送信のパケットが残っていれば、ステップS7へ進んで残りのパケット送信が継続される。
【0034】
図8へ戻り、未登録端末2bは、ステップS7でメッセージパケットの送信を開始した後、ステップS8bではACKパケットが返信されたか否かが判定される。ここで、前記メッセージ受付サーバからACKパケットを返信されないエラーパケットがあれば、当該エラーパケットが再送信される。ステップS9bでは、パケット送信が完了したか否かが判定され、未送信のメッセージパケットが残っていれば、ステップS7へ進んで残りのパケット送信が継続される。
【0035】
図10は、本実施形態におけるメッセージパケットおよび応答パケットの送受信タイミングを示したシーケンス図であり、パケット(X:Y)は送信元IDが「X」、シーケンス番号が「Y」のパケットであることを示している。
【0036】
メッセージ受付サーバ3では、パケット(2a:1)を受信した後、パケット(2a:2)が受信されるよりも前にパケット(2a:3)が受信されると、パケット(2a:2)の再送を要求するNACKパケットを既登録端末2aへ返信する。既登録端末2aでは、このNACKパケットを受信してエラーパケットを特定し、当該エラーパケット(2a:2)を再送信する。
【0037】
未登録端末2bは、パケット(2b:4)の送信後、所定時間が経過してもメッセージ受付サーバ3からACKパケットを受信できないと、パケット(2b:4)がメッセージ受付サーバで正常受信されていないと判断し、当該メッセージパケット(2b:4)を再送信する。
【0038】
図11は、本発明の第2実施形態の構成を示した機能ブロック図であり、前記と同一の符号は同一または同等部分を表している。
【0039】
前記メッセージ受信部32において、応答方式決定部321は、メッセージ受信に先立って視聴者端末2と通信手順や各種パラメータを決定するネゴシエーションで応答方式について協議し、受信メッセージに対する応答方式を否定応答および確認応答のいずれかに決定する。ここでは、応答方式が否定応答方式に決定される場合を例にして説明する。
【0040】
応答選択部35において、ID登録部354は、前記ネゴシエーションにおいて否定応答による応答が決定された視聴者端末のIDを送信元データベース351に登録する。登録判定部352は、受信パケットの送信元IDが送信元データベース351に既登録であるか否かを判定する。応答方式選択部353は、送信元データベース351に送信元IDが既登録の受信パケットに対して否定応答方式による応答を選択し、未登録の受信パケットに対して確認応答方式による応答を選択する。
【0041】
図12は、本実施形態における視聴者端末2の主要部の構成を示した機能ブロック図であり、前記と同一の符号は同一または同等部分を表している。
【0042】
メッセージ送信部23において、応答処理方式決定部231は、メッセージ送信に先立ってメッセージ受付サーバ3と実施するネゴシエーションにおいて、応答処理方式を確認応答および否定応答のいずれかに決定する。
【0043】
応答処理部24において、応答受信部241は、送信パケットに対してメッセージ受付サーバ3から返信される応答を受信する。確認応答処理部243は、確認応答を受信できない送信パケットをエラーパケットとして処理する。否定応答処理部244は、否定応答を受信した送信パケットをエラーパケットとして処理する。選択部242は、前記応答処理方式の決定結果に基づいて、確認応答処理部243および否定応答処理部244のいずれか一方でエラーパケットを処理させる。
【0044】
次いで、本実施形態の動作を図13,14のフローチャートを参照して説明する。図13は、前記視聴者端末2の動作を示したフローチャートであり、図14は、メッセージ受付サーバ3の動作を示したフローチャートである。本実施形態では、前記メッセージ受付サーバ3の送信元DB351には、メッセージパケットを正常受信できなかったときのみ否定応答(NACK)の返信で応答する視聴者端末の送信元IDが登録される。
【0045】
図13において、視聴者端末2では、ステップS1で放送波を受信すると、ステップS2では放送コンテンツがデコードされ、テレビ映像およびデータ映像はステップS3で再生される。放送コンテンツに登録されているメッセージ受付サーバ3のIPアドレスは、ステップS4において抽出される。ステップS5では、クイズ番組やアンケート調査での回答、あるいは補完情報の要求がメッセージとして視聴者により入力されたか否かが判定される。メッセージの入力が検知されなければ、ステップS1へ戻って各処理が繰り返される。
【0046】
その後、視聴者によってメッセージが入力され、これがステップS5で検知されると、ステップS6では、前記メッセージ送信部23が宛先アドレスにアクセスしてメッセージ受付サーバ3と視聴者端末2との間にTCPコネクションが確立される。
【0047】
ステップS7cでは、前記TCPコネクションを利用してメッセージ受付サーバ3との間でネゴシエーションが実施される。本実施形態では、このネゴシエーションにおいて通信手順や各種パラメータが従来技術と同様に協議、決定される他、前記応答処理方式決定部231において、応答方式として確認応答および否定応答のいずれを選択するかが協議、決定される。そして、例えば視聴者端末2が確認応答方式および否定応答方式のいずれにも対応可能であれば否定応答方式が決定され、確認応答のみに対応可能であれば、必然的に確認応答方式が決定される。
【0048】
ステップS8cでは、前記応答処理方式の決定結果が参照され、否定応答方式に決定されていれば、ステップS9cで応答方式フラグFresがセットされる。これに対して、確認応答方式に決定されていれば、ステップS10cで応答方式フラグFresがリセットされる。ステップS11cでは、メッセージ受付サーバ3へのメッセージ送信がパケット単位で開始される。
【0049】
メッセージ受付サーバ3は、図14のステップS51において、視聴者端末2との間にコネクションが新規に確立されたことを検知すると、ステップS52では、応答方式決定部321により、視聴者端末2とのネゴシエーションにおいて応答方式が協議、決定される。ステップS53では、前記応答方式の決定結果が参照され、否定応答方式の採用が決定されていればステップS54へ進む。ステップS54では、視聴者端末2のIDが送信元IDとして送信元DB351に登録される。
【0050】
ステップS55においてパケットが受信されると、ステップS56ではパケットを正常受信できたか否かが判定される。ステップS57では、受信パケットの送信元IDが識別される。前記パケット受信の成否および送信元IDは、受信結果として応答選択部35へ通知される。ステップS58では、登録判定部352において、受信パケットの送信元IDが送信元DB351に登録されているか否かが判定される。
【0051】
ここで、受信パケットの送信元IDが未登録であれば、ステップS59で受信結果が判定され、正常受信されていれば、ステップS60でACKパケットが返信される。
【0052】
これに対して、受信パケットの送信元IDが送信元DB351に既登録であれば、ステップS62で受信結果が判定され、正常受信されていなければ、ステップS63でNACKパケットが返信される。ステップS61では、メッセージ受信が完了したか否かが判定され、未受信のパケットがあればステップS55へ戻って次のパケットが受信される。未受信のパケットがなければステップS51へ戻り、次のメッセージ受信に備える。
【0053】
図13へ戻り、視聴者端末2は、ステップS11cでパケットの送信を開始した後、ステップS12cでは前記応答方式フラグFresが参照されて現在の応答方式が確認応答方式(Fres=0)および否定応答方式(Fres=1)のいずれであるかが判定される。確認応答方式が選択されていればステップS14cへ進み、否定応答方式が選択されていればステップS13cへ進む。
【0054】
ステップS14cではACKパケットが返信されたか否かが判定される。ここで、前記メッセージ受付サーバ3からACKパケットを返信されないエラーパケットがあれば、当該エラーパケットが再送信される。これに対して、ステップS13cではNACKパケットが返信されたか否かが判定される。前記メッセージ受付サーバ3から返信されたNACKパケットが受信されていれば、当該NACKパケットに登録されているシーケンス番号で特定されるエラーパケットが再送信される。ステップS15cでは、パケット送信が完了したか否かが判定され、未送信のパケットが残っていれば、ステップS11cへ戻って残りのパケット送信が継続される。
【0055】
図15は、本発明の第3実施形態の構成を示した機能ブロック図であり、前記と同一の符号は同一または同等部分を表している。
【0056】
本実施形態では、受信パケットのパケットロス、誤り率、遅延時間あるいはジッタ等を監視してパケットの受信状況を判断する受信状況監視部37を設け、メッセージ受信部32の応答方式決定部321は、視聴者端末2が確認応答および否定応答のいずれにも対応可能であれば、ネゴシエーションにおいて応答方式を、受信状況が所定の基準状態よりも良好であれば否定応答方式に決定し、受信状況が所定の基準状態よりも不良であれば確認応答方式に決定するようにした点に特徴がある。前記受信状況監視部37は、一定期間のタイムウィンドウで受信状況を監視して誤り率等を逐次更新し、監視結果を基準状態と比較することにより応答方式を決定する。
【0057】
なお、上記した第2、第3実施形態では、視聴者端末2とメッセージ受付サーバ3とがメッセージ交換に先立ってネゴシエーションを実施し、その中で応答方式が協議、決定されるものとして説明したが、本発明はこれのみに限定されるもにではなく、応答メッセージ受付サーバ3から放送局1を経由して現在選択中の応答方式を放送波で全ての視聴者端末へ予め告知しておき、ネゴシエーションでは、その確認のみが行われるようにしても良い。このようにすれば、ネゴシエーションに要する時間やトラヒック量を減じることができる。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明が適用される放送通信融合システムのネットワーク構成を示した機能ブロック図である。
【図2】視聴者端末の主要部の構成を示した機能ブロック図である。
【図3】メッセージ受付サーバの主要部の構成を示した機能ブロック図である。
【図4】応答選択部の第1実施形態の構成を示した機能ブロック図である。
【図5】メッセージパケットの受信結果および送信元IDの登録状態と応答方法との関係(その1)を示した図である。
【図6】メッセージパケットの受信結果および送信元IDの登録状態と応答方法との関係(その2)を示した図である。
【図7】第1実施形態における視聴者端末(既登録端末)の動作を示したフローチャートである。
【図8】第1実施形態における視聴者端末(未登録端末)の動作を示したフローチャートである。
【図9】第1実施形態におけるメッセージ受付サーバの動作を示したフローチャートである。
【図10】第1実施形態におけるメッセージパケットおよび応答パケットの送受信タイミングを示したシーケンス図である。
【図11】本発明の第2実施形態におけるメッセージ受付サーバの主要部の構成を示した機能ブロック図である。
【図12】本発明の第2実施形態における視聴者端末の主要部の主要部の構成を示した機能ブロック図である。
【図13】第2実施形態における視聴者端末の動作を示したフローチャートである。
【図14】第2実施形態におけるメッセージ受付サーバの動作を示したフローチャートである。
【図15】本発明の第3実施形態におけるメッセージ受付サーバの主要部の構成を示した機能ブロック図である。
【符号の説明】
【0059】
1…放送局,2…視聴者端末,2a…テレビ,2b…コンピュータ,2c…携帯端末,3…メッセージ受付サーバ,4…IPネットワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
放送コンテンツを受信した視聴者端末からネットワーク経由で送信されるメッセージを受信する放送通信融合システムのメッセージ受信装置において、
メッセージをパケット単位で受信するメッセージ受信手段と、
受信パケットに確認応答を返信するか否かで応答する第1応答手段と、
受信パケットに否定応答を返信するか否かで応答する第2応答手段と、
受信パケットに対する応答手段として前記第1または第2応答手段を選択する応答選択手段とを含むことを特徴とする放送通信融合システムのメッセージ受信装置。
【請求項2】
前記応答選択手段は、
パケットの送信元IDが予め記憶された送信元データベースと、
受信パケットの送信元IDが前記送信元データベースに既登録であるか否かを判定する登録判定手段と、
前記送信元データベースに送信元IDが未登録の受信パケットに対して第1および第2応答手段の一方を選択し、既登録の受信パケットに対して他方を選択する応答方式決定手段とを含むことを特徴とする請求項1に記載の放送通信融合システムのメッセージ受信装置。
【請求項3】
メッセージ受信に先立って視聴者端末と通信手順を決定するネゴシエーションにおいて前記第1および第2応答手段のいずれか一方による応答を決定する応答方式決定手段をさらに含み、
前記応答選択手段は、
パケットの送信元IDを管理する送信元データベースと、
前記ネゴシエーションにおいて前記第1および第2応答手段の一方による応答が決定された視聴者端末のIDを前記送信元データベースに登録する登録手段と、
受信パケットの送信元IDが前記送信元データベースに既登録であるか否かを判定する登録判定手段と、
前記送信元データベースに送信元IDが既登録の受信パケットに対して第1および第2応答手段の一方を選択し、未登録の受信パケットに対して他方を選択する応答方式選択手段とを含むことを特徴とする請求項1に記載の放送通信融合システムのメッセージ受信装置。
【請求項4】
パケットの受信状況を監視する監視手段をさらに含み、
前記応答方式決定手段は、前記受信状況が所定の状況よりも良好な状況下では第2応答手段による応答を決定し、受信状況が所定の状況よりも不良な状況下では第1応答手段による応答を決定することを特徴とする請求項3に記載の放送通信融合システムのメッセージ受信装置。
【請求項5】
放送コンテンツを受信して所定のメッセージ受信装置へネットワーク経由でメッセージを送信する放送通信融合システムの視聴者端末において、
メッセージをパケット単位で送信するメッセージ送信手段と、
送信パケットに対してメッセージ受信装置から返信される応答を受信する応答受信手段と、
確認応答を受信できない送信パケットをエラーパケットとして処理する確認応答処理手段と、
否定応答を受信した送信パケットをエラーパケットとして処理する否定応答処理手段と、
メッセージ送信に先立ってメッセージ受信装置と通信手順を決定するネゴシエーションにおいて前記各応答処理手段のいずれか一方による応答処理を決定する応答処理方式決定手段と、
前記応答処理方式の決定結果に基づいて、確認応答処理手段および否定応答処理手段のいずれか一方でエラーパケットを処理させる選択手段とを含むことを特徴とする放送通信融合システムの視聴者端末。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2007−274367(P2007−274367A)
【公開日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−97749(P2006−97749)
【出願日】平成18年3月31日(2006.3.31)
【出願人】(000208891)KDDI株式会社 (2,700)
【Fターム(参考)】