説明

放送通信連携受信装置

【課題】アプリケーションを受信装置上で迅速に起動させる。
【解決手段】放送通信連携受信装置6は、アプリケーションキャッシュ612と、アプリケーションを受信装置6上で起動させるためのAPL起動情報を記憶するAPL起動情報記憶手段605と、APL起動情報に記載の所在アドレスから通信ネットワークNを介して当該アプリケーションを取得するアプリケーション取得手段611と、アプリケーションがアプリケーションキャッシュ612に格納されているか検索するキャッシュメモリ検索手段731と、アプリケーションが格納されていないと判断した場合、アプリケーション取得手段611を制御して当該アプリケーションを取得する蓄積情報判断手段733と、取得したアプリケーションをアプリケーションキャッシュ612に書き込むキャッシュメモリ書込手段732と、アプリケーションを実行するアプリケーション実行手段613とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放送と通信とを連携して、アプリケーションを動作させる放送通信連携受信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、放送と通信とを連携したサービスを実現するための放送通信連携型システムが提案されている(非特許文献1参照)。この放送通信連携型システムにおいて、放送通信連携受信装置は、デジタル放送を受信する受信機であって、通信ネットワークからダウンロードしたアプリケーションを当該装置上で動作させることを想定している。
【0003】
従来、デジタル放送を受信する機能を持った装置は、例えば、デジタル放送専用テレビ、セットトップボックス、デジタル放送受信用チューナ付きのPC(Personal computer)や携帯端末等、様々な性能のものが利用されている。また、受信機には、予め蓄積(インストール)したアプリケーションであるレジデントアプリケーションを動作させるものもあった。また、BMLのスクリプトによりアプリケーションを実行する受信機もある(非特許文献2参照)。非特許文献2は、現行のデジタル放送におけるデータ放送のうち、アプリケーションの実行環境におけるモノメディアの符号化技術に関するものである。
【0004】
放送通信連携型システムにおける放送通信連携受信装置で実行可能なアプリケーションフォーマットとしては、一例として、非特許文献2に記載のARIB−J(ARIB STD-B23)を挙げることができる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】松村欣司、ほか2名、「インターネット配信情報との連動による放送番組パーソナライズシステムの検討」、映像情報メディア学会年次大会講演予稿集、2009年、No.3-8
【非特許文献2】(社)電波産業会、“デジタル放送におけるアプリケーション実行環境 標準規格 ARIB STD-B23 1.2版”、平成21年7月29日、p.76-88
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、デジタル放送専用テレビは、もともと視聴を目的として製作されていることから、ハードディスクレコーダー等を備える蓄積装置一体型のものでなければ、記憶容量がPC等に比べて格段に小さい。また、セットトップボックスも記憶容量がPC等に比べて格段に小さい。このような受信機上でアプリケーションを動作させようとしても所望の速度で動作できない場合が考えられる。そこで、受信機に充分大きな記憶装置を搭載しようとすると、製造コストが高くなってしまう。そのため、公共的な放送局には、視聴者の多様な利用形態に合わせて、アプリケーションを受信機上で迅速に起動させることのできる技術が要望されている。
【0007】
本発明は、以上のような問題点に鑑みてなされたものであり、装置上でアプリケーションを迅速に起動させることのできる放送通信連携受信装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するために、本発明のうち請求項1に記載の放送通信連携受信装置は、デジタル放送を受信すると共に当該装置上で動作するアプリケーションを通信ネットワークから取得する放送通信連携受信装置であって、キャッシュと、アプリケーション起動情報記憶手段と、アプリケーション取得手段と、キャッシュメモリ書込手段と、キャッシュメモリ検索手段と、蓄積情報判断手段と、アプリケーション実行手段と、を備えることとした。
【0009】
かかる構成によれば、放送通信連携受信装置は、キャッシュに、前記アプリケーションを記憶し、アプリケーション起動情報記憶手段に、前記アプリケーションを当該装置上で起動させるための情報であるアプリケーション起動情報を記憶する。そして、放送通信連携受信装置は、アプリケーション取得手段によって、前記アプリケーションのための前記アプリケーション起動情報に記載された所在アドレスから通信ネットワークを介して当該アプリケーションを取得する。そして、放送通信連携受信装置は、キャッシュメモリ書込手段によって、前記アプリケーション取得手段で取得したアプリケーションを前記キャッシュに書き込み、さらに、キャッシュメモリ検索手段によって、アプリケーションが前記キャッシュに格納されているか検索する。そして、放送通信連携受信装置は、蓄積情報判断手段によって、前記キャッシュにアプリケーションが格納されていないと判断した場合、前記アプリケーション取得手段を制御して当該アプリケーションを取得する。そして、放送通信連携受信装置は、アプリケーション実行手段によって、前記アプリケーションを実行する。したがって、アプリケーション起動情報の所在アドレスにURLが記載されていても、キャッシュされたアプリケーションの起動時に、通信ネットワークを介してアプリケーションの取得を開始することはなく、キャッシュの特性から、まず放送通信連携受信装置内のキャッシュを探索し、キャッシュされていれば迅速にアプリケーションを起動させることができる。
【0010】
また、請求項2に記載の放送通信連携受信装置は、請求項1に記載の放送通信連携受信装置において、アプリケーション記憶手段と、所在アドレス書換手段と、をさらに備えることとした。
【0011】
かかる構成によれば、放送通信連携受信装置は、前記アプリケーション取得手段が外部からの操作に応じて当該装置上で動作するアプリケーションを取得した場合、当該操作に応じたアプリケーションをアプリケーション記憶手段に蓄積する。つまり、放送通信連携受信装置は、キャッシュの他に、例えばハードディスク等のアプリケーション記憶手段を備えている。そして、放送通信連携受信装置は、所在アドレス書換手段によって、前記アプリケーション取得手段が前記操作に応じたアプリケーションを前記アプリケーション記憶手段に格納した場合、前記アプリケーション起動情報記憶手段に記憶されている該当するアプリケーション起動情報に記載された所在アドレスを前記アプリケーション記憶手段におけるメモリアドレスに書き換える。ここで、仮に、メモリアドレスを書き換えないとすると、放送通信連携受信装置がアプリケーション記憶手段に格納されたアプリケーションを起動させるためにアプリケーション起動情報記憶手段に記憶されているアプリケーション起動情報の所在アドレスを参照したとき、既に蓄積している装置内からではなく、通信ネットワークの先のURLから取得しようとすることになるが、本発明によれば、このような事態を未然に防ぐことができる。そして、放送通信連携受信装置は、前記アプリケーション取得手段が、前記デジタル放送の番組に連動したアプリケーションを取得した場合、当該番組に連動したアプリケーションを前記キャッシュメモリ書込手段を通じて前記キャッシュに書き込む。つまり、アプリケーションが番組に連動しているか否かによって取得したアプリケーションを異なる記憶手段に振り分けることとした。
【0012】
また、請求項3に記載の放送通信連携受信装置は、請求項1または請求項2に記載の放送通信連携受信装置において、前記アプリケーション取得手段が、前記デジタル放送の番組に連動して当該番組中で予め定められた時間内で異なる時刻に起動する複数のアプリケーションを取得した場合、前記キャッシュメモリ書込手段を通じて前記キャッシュに書き込み、前記蓄積情報判断手段が、前記キャッシュに書き込まれている前記予め定められた時間内で異なる時刻に起動する複数のアプリケーションに付加されている動作開始時刻情報、または、前記デジタル放送に多重化されている制御信号中に挿入されているアプリケーションに関する動作開始時刻情報に基づいて、前記キャッシュに格納されているアプリケーションが実行開始タイミングとなったか否かを判別し、前記アプリケーション実行手段が、前記キャッシュに格納されていて実行開始タイミングとなったと判別されたアプリケーションを順次実行することとした。
【0013】
かかる構成によれば、放送通信連携受信装置は、予め定められた時間内で異なる時刻に起動する複数のアプリケーションをキャッシュに格納し、実行開始タイミングとなったと判別されたアプリケーションを順次実行するので、アプリケーションが終了するたびに次に起動させるべきアプリケーションを取得する場合に比べて、複数アプリケーション全体として迅速に動作させることができる。また、実行開始タイミングとなる前に、アプリケーションをキャッシュしておくことができるので、通信ネットワークの輻輳による遅延の影響を低減できる。その結果、視聴者は、放送番組およびサービス中の複数のアプリケーションを提供する側の意図に沿ったタイミングでサービスを享受することができる。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に記載の発明によれば、放送通信連携受信装置は、通信ネットワークからダウンロードしたアプリケーションを格納するキャッシュを備えるので、キャッシュされているアプリケーションを迅速に起動させることができる。
【0015】
請求項2に記載の発明によれば、放送通信連携受信装置は、デジタル放送の番組に連動したアプリケーションを記憶するキャッシュ以外に、外部からの操作に応じてアプリケーションをインストールするアプリケーション記憶手段を備えているので、デジタル放送の番組に連動したアプリケーション以外にも視聴者の所望のタイミングにて当該装置上でアプリケーションを動作させることができる。
【0016】
請求項3に記載の発明によれば、放送通信連携受信装置は、サービス提供側にて予め定められた時間内で異なる時刻に起動する複数のアプリケーションをキャッシュに格納し、デジタル放送の番組に連動したスケジュールに沿って順次実行するので、視聴者は提供側の意図に沿ったタイミングでサービスを享受することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施形態に係る放送通信連携受信装置を含む放送通信連携型システムの構成の一例を示す図である。
【図2】本発明の実施形態に係る放送通信連携受信装置に表示される放送通信連携用アプリケーションの一例を示す図である。
【図3】本発明の実施形態に係る放送通信連携受信装置にレコメンドサービスが提供されるときの流れの一例を示すシーケンス図である。
【図4】本発明の実施形態に係る放送通信連携受信装置の構成例を示すブロック図である。
【図5】本発明の実施形態に係る放送通信連携受信装置に記憶する情報の一例であって、(a)は起動アプリケーション識別情報、(b)は起動スケジュール情報をそれぞれ示している。
【図6】本発明の実施形態に係る放送通信連携受信装置によるアプリケーション実行処理の流れを示すフローチャートである。
【図7】本発明の実施形態に係る放送通信連携受信装置が1サービスに含まれる3つのアプリケーションを順次実行する際のタイミングチャート例である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の放送通信連携受信装置を実施するための形態について、1.放送通信連携型システム、2.放送通信連携受信装置の画面表示例、3.各サーバと放送通信連携受信装置との動作シーケンス例、4.放送通信連携受信装置の構成、5.アプリケーション実行処理の流れ、6.アプリケーション実行時のタイミングチャートの例の各章に分けて、図面を参照して詳細に説明する。
【0019】
[1.放送通信連携型システム]
放送通信連携型システム1の構成の概念図を図1に示す。図1に示すように、放送通信連携型システム1は、電波を利用した現行の放送を行う放送局2に加えて、機能的に、放送局サーバ群4と、サービス事業者サーバ群5と、放送通信連携受信装置6と、を備えている。図1では、放送局2、放送局サーバ群4、サービス事業者サーバ群5、および放送通信連携受信装置6を1つずつ図示したが、それぞれが複数であっても構わない。
【0020】
<利用者の概要>
この放送通信連携型システム1の主な利用者は、例えば、放送局(放送事業者)と、サービス事業者と、視聴者である。
放送局は、編成を伴う番組を送出している。放送局は、電波あるいはネットにより番組を視聴者に配信する。放送局は、後記する放送通信連携サービスを充実するために、その番組に関連するメタデータをサービス事業者に提供してもよい。
サービス事業者は、放送通信連携サービスを提供する者であり、団体または個人で構成される。サービス事業者は、サービスを提供するためのコンテンツやアプリケーション(放送通信連携用アプリケーション、以下、単にアプリケーションとも言う)を制作する者、あるいは配信する者である。
視聴者は、放送通信連携受信装置6によって放送番組を視聴し、放送通信連携サービスを享受する者である。以下、ユーザという場合、この視聴者を指す。
【0021】
<サービス>
従来、サービスとは、放送事業者が編成する、スケジュールの一環として放送可能な番組の連続のことを指していた。
放送通信連携サービスは、従来の意味でのサービスの考え方を拡張したものである。
放送通信連携サービスは、見かけ上、ストリーム従属型サービスと、独立型サービスとに分けて考えることができる。
ストリーム従属型サービスは、放送や通信で伝送するAV(Audio Video)ストリームに加え、それに連動して動作する少なくとも1つのアプリケーション(放送通信連携用アプリケーション)により構成される。このストリーム従属型サービスにおいては、通信で伝送するAVストリームの選択・再生、あるいは、放送で伝送するAVストリームの選局をユーザ側で行うことによって、連動してアプリケーションを起動させることができる。この場合、ユーザによる起動や終了に加え、放送事業者などのAVコンテンツの提供者がアプリケーションの自動起動や、終了などのライフサイクルを制御することも可能である。
【0022】
独立型サービスは、リアルな映像・音声のストリームも含み、少なくとも1つのアプリケーション(放送通信連携用アプリケーション)により構成される。この独立型サービスにおいては、ユーザが選択する操作を行うことで、アプリケーションが起動される。ここで、独立型サービスにおけるアプリケーション(以下、独立アプリケーションという)は、例えば、放送局や視聴者ではない個人等の第三者が放送番組とは無関係に作成したアプリケーションであり、ディスプレイ表示される時計等を含む。なお、独立アプリケーションがシステム管理者によって承認された場合、システム管理者によって承認されたことを示すオーソライズド(Authorized)アプリケーション(以下、単にAアプリケーションという)としてもよい。その場合、Aアプリケーションをアプリケーションの集積場所を示すリポジトリに登録し、リポジトリの位置を放送通信連携受信装置6にとって既知のものとする。
【0023】
なお、独立型サービスにおいても、放送通信連携受信装置6の電源がオンしているときに、放送通信連携受信装置6が常にバーチャルな映像・音声のストリームを仮想的に受信する仮想チャンネルを備えているものと概念的に捉える場合、放送通信連携サービスは、ストリーム従属型サービスと、独立型サービスとを統合したサービス(この意味において仮想サービスとも言える)であると考えることができる。
【0024】
<放送局>
放送局2は、例えば放送波により放送コンテンツを送出する。放送局2は、放送波に放送通信連携サービスを起動させるための信号を多重化することができる。
本実施形態では、一例として、放送コンテンツの送信側において、データカルーセル方式により伝送される特定モジュールで、アプリケーション起動情報ファイル(以下、APL起動情報ファイルのように表記する)を伝送することとした。APL起動情報は、アプリケーションを起動するために必要な情報である。このAPL起動情報は、例えば、ARIB−J(ARIB STD−B23)で規定されるAIT(Application Information Table)をベースにして作成することができる。例えば、「AUTO START」と記載されたAPL起動情報を受信した放送通信連携受信装置6では、視聴者がアプリケーション起動のための特別な操作をすることなく、アプリケーションを起動させることが可能である。本実施形態のようにAPL起動情報をファイル化する場合、XML形式によるテキスト表現とすることができる。なお、SI(Service Information:番組配列情報)のテーブルで伝送する形態とする場合には、APL起動情報はバイナリ表現にすることが可能である。
【0025】
<放送局サーバ群>
放送局(放送事業者)は、放送局サーバ群4とサービス事業者サーバ群5とのうちの放送局サーバ群4、または、両方を構成し、管理運営する。つまり、放送局(放送事業者)は、サービス事業者を兼ねてもよい。
放送局サーバ群4は、図1に示すように、コンテンツ管理サーバ41と、ユーザ管理サーバ42と、コンテンツ配信サーバ43と、放送局サービスサーバ44と、DB45と、API46と、を備えている。
【0026】
コンテンツ管理サーバ41は、番組とメタデータを管理するものである。このコンテンツ管理サーバ41の番組管理機能は、既に放送された番組、または、今後放送される番組を管理する機能である。この番組管理だけを専用に行う番組管理サーバを設けるようにしてもよい。
コンテンツ管理サーバ41のメタデータ管理機能は、番組に関連するメタデータを管理する機能である。このメタデータ管理だけを専用に行うメタデータ管理サーバを設けるようにしてもよい。ここで、メタデータとは、例えば、番組タイトル、番組ID、番組概要、出演者、放送日時、台本、字幕、解説等を示す。
【0027】
ユーザ管理サーバ42は、視聴者のデータを管理するサーバである。このユーザ管理サーバ42は、ネットクラブ等の会員となった特定の視聴者のための会員情報サーバ等の特定のサーバで構成してもよいし、コンテンツ管理サーバ41の管理機能の一部に含めて構成してもよい。
【0028】
コンテンツ配信サーバ43は、コンテンツ(例えば番組やメタデータ)を配信するためのサーバである。
放送局サービスサーバ44は、放送局(放送事業者)がサービス事業者に対してサービスを提供する場合に用いるサーバである。放送局(放送事業者)がサービス事業者に対して提供するサービスは、例えば、放送局が運営するソーシャルネットサービスや、放送番組毎のブログサービス等が挙げられる。
【0029】
DB45は、データ蓄積部であって、放送局が所有しているコンテンツやメタデータを格納する部分と、一般的なデータベースと、から構成される。なお、DB45に蓄積されたデータは、管理している事業者(放送事業者)のみがアクセスでき、他者はアクセスできないようになっている。
【0030】
API(Application Programming Interface)46は、サービス事業者サーバ群5からの要求に応じてデータを提供するためのAPIである。このAPIのフオーマットは、放送局とサービス事業者間の合意により予め決定されている。放送局サーバ群4とサービス事業者サーバ群5間の通信は、例えばREST(Representational State Transfer)形式とすることができる。なお、API46は、放送局サーバ群4に含まれる各サーバが共通に備えるものであるが、各サーバが備えるAPIが完全に同一である必要はない。
【0031】
<サービス事業者サーバ群>
サービス事業者は、サービス事業者サーバ群5を構成し、管理運営する。このサービス事業者サーバ群5は、図1に示すように、アプリケーションサーバ51と、サービスサーバ52と、コンテンツ配信サーバ53と、DB54と、API55と、を備えている。
【0032】
アプリケーションサーバ51は、放送通信連携受信装置6上で動作するアプリケーション(以下、受信機アプリケーションともいう)を管理配信するサーバである。
【0033】
サービスサーバ52は、前記受信機アプリケーションからの要求によりサービスを提供するためのサーバである。このサービスサーバ52は、例えば、多言語字幕サーバ、話速変換音声サーバ、ソーシャルTVサーバ、レコメンドサーバ、番組レビューサーバ、ブックマークサーバ等を表す。
【0034】
多言語字幕サーバは、放送通信連携受信装置6に映像音声コンテンツ(以下、AVコンテンツという)が提示されるときに、多言語の中から所望の字幕を選択できるようにメニュー表示するサービスを提供するためのサーバである。
話速変換音声サーバは、放送通信連携受信装置6にAVコンテンツが提示されるときに、話し言葉の本来の速度を低速に変換して音声出力するサービスを提供するためのサーバである。
ソーシャルTVサーバは、例えばつぶやきのような視聴者投稿を放送通信連携受信装置6の画面にオーバーレイして表示可能なサービスを提供するためのサーバである。
レコメンドサーバは、インターネットで提供される番組ライブラリの中から視聴者にお薦めのVOD(Video On Demand)番組の情報を、お薦め番組として知らせるサービスを提供するためのサーバである。
番組レビューサーバは番組を実際に視聴した視聴者が書き込んだ講評や感想、レビュー評価点を放送通信連携受信装置6に表示可能なサービスを提供するためのサーバである。
ブックマークサーバは、例えば視聴者にお薦め番組を知らせたときに視聴者がすぐに視聴するのではなく後で視聴できるようにお薦め番組の情報を登録しておくサービスを提供するためのサーバである。
【0035】
コンテンツ配信サーバ53は、前記受信機アプリケーションからの要求によりコンテンツを提供するためのサーバである。このコンテンツ配信サーバ53は、例えば、VOD配信サーバ、字幕配信サーバ、マルチビュー配信サーバ等を表す。
VOD配信サーバは、例えば視聴者にお薦めのVOD番組のAVコンテンツを配信するためのサーバである。
字幕配信サーバは、放送通信連携受信装置6にAVコンテンツが提示されるときに、AVコンテンツにオーバーラップする字幕を配信するためのサーバである。
マルチビュー配信サーバは、放送通信連携受信装置6に提示されるAVコンテンツにオーバーラップして表示させるマルチビューのカメラ映像を配信するためのサーバである。なお、マルチビューのカメラ映像については後記する。
【0036】
DB54は、コンテンツ、メタデータ、サービス事業者が作成したデータ、ユーザデータ、アプリケーション等を保存するデータ蓄積部である。なお、DB54に蓄積されたデータは、管理しているサービス事業者のみがアクセスでき、他者はアクセスできないようになっている。
【0037】
API55は、前記受信機アプリケーションからの要求により、アプリケーション、コンテンツ、サービスを提供するためのAPIである。なお、API55は、前記したAPI46とは異なるものであり、サービス事業者サーバ群5に含まれる各サーバがサービス事業者ごとに共通に備えるものである。ただし、サービス事業者毎に、また、サーバによって、APIが異なっていてもよいことはもちろんである。
【0038】
<放送通信連携受信装置>
放送通信連携受信装置6は、デジタル放送を受信すると共に当該装置上で動作するアプリケーションを通信ネットワークから取得するものであり、例えば、TV、セットトップボックス、PC(Personal computer)、携帯端末等から構成される。放送通信連携受信装置6は、基本機能61と、放送通信連携用機能62と、API63と、を備える。
【0039】
基本機能61は、地上デジタル放送、BSデジタル放送、データ放送等の現行方式の放送を受信し、表示する機能と、インターネットに接続できる機能とを含む。
放送通信連携用機能62は、API63に基づき動作する。つまり、放送通信連携受信装置6の中にアプリケーション実行環境としてインストールされているOS(Operating System)が、予め定められたAPI63を実行することで、放送通信連携用機能62を実現する。この放送通信連携用機能62は、放送通信連携用基本機能と、オプション機能とを含む。
放送通信連携用基本機能は、放送通信連携サービスを実現するために必要な機能である。放送通信連携用基本機能は、例えば、アプリケーション制御機能、描画機能、同期制御機能、セキュリティ機能等を含む。
【0040】
アプリケーション制御機能は、アプリケーションの起動や終了といったライフサイクルを制御するアプリケーションマネージャーとしての機能を示す。
描画機能は、AVコンテンツを提示している放送通信連携受信装置6の画面の所定位置にアプリケーションを描画する機能を示す。
同期制御機能は、放送によりリアルタイムに受信したAVコンテンツの提示時刻と、通信ネットワークNを経由して取得したアプリケーションやコンテンツとの提示時刻とを同期させる制御を行う機能を示す。つまり、同期制御機能は、放送ストリームとして入力するデータのタイムスタンプと、通信ストリームとして入力するデータのタイムスタンプとを比較し、放送ストリームの所定のポイントと、通信ストリームの対応するポイントとを合わせる制御を行う。
【0041】
セキュリティ機能は、予め定められたポリシーレベルに従ってアプリケーションの画面提示の仕方を変更する制御を行う機能を示す。例えば、システム管理者によって承認されたアプリケーションをAアプリケーションとし、承認されていないものをAアプリケーション以外の一般アプリケーションとしたときに、Aアプリケーションならば、放送通信連携受信装置6に提示されたAVコンテンツにオーバーラップすることを許可し、一般アプリケーションならば、オーバーラップを許可しないといった制御を行う。
【0042】
オプション機能は、必要に応じて実装するものであり、例えば携帯端末連携サービスを実現するための機能等を挙げることができる。
携帯端末連携サービスには、例えば、番組お薦めサービス等のために、携帯端末と据え置き型のテレビを連携させることで視聴者個人がASP(Application Service Provider)等にログインする手続きを簡素化するサービスを含む。
【0043】
アプリケーション64は、例えばアプリケーションサーバ51から放送通信連携受信装置6にダウンロードされ、API63を通して放送通信連携用機能62を利用する。すべてのアプリケーション64はAPI63を介さずに放送通信連携受信装置6固有の機能にアクセスすることはできない。
【0044】
API63は、放送通信連携受信装置6に依存することなくアプリケーション64の動作が同じになるように予め規定されたものであり、各放送通信連携受信装置6に共通のAPIである。以下に、放送通信連携受信装置6がAPI63として、例えばARIB−Jに規定されたAPI以外に用いるAPIの一例を挙げる。
【0045】
(1)getRunningApplications():実行中のアプリケーションの情報を取得する
戻り値:
apps[]: 実行中アプリケーションのリスト
(以下アプリケーションごと)
application_id: アプリケーションID(一般アプリケーションの場合はnull)
running_level: 実行レベル(認証結果およびユーザ設定の状態)
(2)queryApplicationInfo():指定したアプリケーションの情報を取得する
(3)saveApplicationToCache():サーバ上のアプリケーションをキャッシュに保存する
(4)queryApplicationInCache():キャッシュ中のアプリケーションを検索する
引数:
application_id: 認証機関から発行されたアプリケーションID
(5)getCurrentSTC():現在のSTC値を取得する
(6)getCurrentPositionInProgram():番組開始からの経過時間を取得する
(7)delayStreamPresentation():提示中の放送ストリームの遅延提示を開始する
(8)getCurrentDelay():提示中の放送ストリームの(本来の提示時刻からの)遅延時間量を取得する
【0046】
[2.放送通信連携受信装置の画面表示例]
ここでは、図2に示す画面表示例を通して、放送通信連携サービスと、アプリケーションと、コンテンツとの関係の一例や、放送通信連携受信装置6における放送通信連携用機能62の一例について説明する。図2は、本発明の実施形態に係る放送通信連携受信装置に表示されるアプリケーションの一例を示す図である。図2(a)に示すように、視聴者が放送通信連携受信装置6にてAVコンテンツ(デジタル放送番組)100を視聴しているときに、例えばリモコン操作を行うことによって、放送通信連携サービスにおけるメインメニュー101が画面に表示される。
【0047】
この例では、画面の下方に横長のツールバー形状に表示されたメインメニュー101に、字幕102と、コメント103と、レコメンド104と、ブックマーク105と、が表示されている。
字幕102は、多言語の中から所望の字幕を選択できるようにメニュー表示するサービスを選択するためのボタンである。
コメント103は、例えばつぶやきやコメントを投稿するサービスを選択するためのボタンである。
レコメンド104は、お薦めのVOD番組の情報を表示するサービスを選択するためのボタンである。
ブックマーク105は、お薦め番組をすぐに視聴するのではなく後で視聴できるようにお薦め番組の情報を登録しておくサービスを選択するためのボタンである。
【0048】
図2(a)に表示されたメインメニュー101を横スクロールすることで、上記各サービス以外のその他のサービスを選択することが可能である。その他のサービスとして、例えばマルチビューサービスを挙げることができる。マルチビューサービスでは、放送通信連携受信装置6にAVコンテンツが提示されるときに、当該AVコンテンツ中の被写体を別々の位置にそれぞれ配置された複数のカメラで撮影した複数のカメラ映像の中から視聴者が選択したカメラ映像を、マルチビューのカメラ映像として配信し、AVコンテンツにオーバーラップして表示させる。
【0049】
図2(a)に表示されたメインメニュー101を横スクロールすることで、マルチビューサービスが選択されたときの画面表示例を図2(b)に示す。ここでは、1つのマルチビューサービスは、メインメニュー101上の図示しないマルチビューボタン(アプリケーション)と、マルチビューワの選択肢データである静止画像106,107,108と、マルチビューワの動画109(図2(c)参照)とを備えている。このうち、静止画像と、動画コンテンツとは、コンテンツ配信サーバ53としてのマルチビュー配信サーバから配信される。
【0050】
図2(b)に示す例では、AVコンテンツ100がサッカーの試合において攻撃側から見たサッカーゴール周辺の様子を表している。また、静止画像106は観客席の攻撃側サポータの様子、静止画像107は攻撃側チームの監督の様子、静止画像108はゴールキーパの正面の様子をそれぞれ示している。ここで、視聴者が例えば静止画像108を選択した場合、図2(c)に示すように、該当するゴールキーパの正面の映像が、AVコンテンツ100の全表示画面のうちの一部にオーバーラップして表示されながら、AVコンテンツ100と同期した動画109となって再生される。
【0051】
なお、ゴールキーパの正面の映像と、攻撃側から見たサッカーゴール周辺の映像(AVコンテンツ100)との同期は、放送通信連携受信装置6の放送通信連携用機能62によるものである。詳細には放送通信連携用機能62の放送通信連携用基本機能としての同期制御機能によるものである。放送通信連携受信装置6上で動作するアプリケーションは、APIとして例えばgetCurrentSTC()やdelayStreamPresentation()を呼び出すことで、放送通信連携用機能62(図1参照)を利用することができる。
【0052】
[3.各サーバと放送通信連携受信装置との動作シーケンス例]
ここでは、図3に示す動作シーケンス例を通して、放送通信連携サービスと、アプリケーションと、コンテンツとの関係の一例や、放送通信連携受信装置6における放送通信連携用機能62の一例について説明する。図3は、本発明の実施形態に係る放送通信連携受信装置にレコメンドサービスが提供されるときの流れの一例を示すシーケンス図である。
【0053】
図2(a)に表示されたメインメニュー101から視聴者によってレコメンド104が選択された場合、図示は省略するが、レコメンドの種類として、例えば、「今視聴している番組に関連したお薦め番組」、「貴方へのお薦め番組」、「ネットで話題の番組」、「ネットで好評な番組」、といった項目が表示され、項目毎にスクロールすることにより該当する番組の情報が選択可能に表示される。この状態で、視聴者が、例えば、「今視聴している番組に関連したお薦め番組」を選択した場合、放送通信連携受信装置6は、サービス事業者サーバ群5に対して、お薦め番組の要求を行う(S1)。
【0054】
そして、サービス事業者サーバ群5は、放送局サーバ群4のインターフェース部(API46:図1参照)に対して、視聴者が「今視聴している番組に関連したお薦め番組」の要求を行う(S2)。そして、放送局サーバ群4は、該当の推薦番組(お薦め番組)等をサービス事業者サーバ群5に送信する(S3)。そして、サービス事業者サーバ群5は、要求されたデータ(お薦め番組)等を放送通信連携受信装置6に送信する(S5)。なお、サービス事業者サーバ群5は、要求されたデータ(お薦め番組)に連動するアプリケーション(連動アプリケーション)がある場合には必要に応じて放送通信連携受信装置6に送信することもできる(S4)。
【0055】
以上の流れは一例であって、前記した順序で動作することに限定されるものではない。また、放送通信連携受信装置6とサービス事業者サーバ群5との間でだけやりとりをする場合もある。例えば、サービス事業者サーバ群5において、必要なコンテンツを予め放送局サーバ群4から取得しておいてもよい。
【0056】
また、例えば、放送通信連携受信装置6がアプリケーションの実行時にその都度アプリケーションを通信から取得する場合(オンザフライで取得する場合)、受信する放送波に多重化された情報をもとにして、アプリケーションサーバ51等のサービス事業者サーバ群5にアプリケーションの要求を行う(S1)。そして、サービス事業者サーバ群5において、アプリケーションサーバ51は、放送通信連携受信装置6からの要求により、アプリケーションの保存場所を放送通信連携受信装置6に知らせるとともに、アプリケーションを送信する(S4)。そして、放送通信連携受信装置6は、アプリケーションがダウンロードされたら、アプリケーションを起動・実行して、コンテンツ配信サーバ53等のサービス事業者サーバ群5にコンテンツを要求し(S1)、コンテンツを取得する(S5)。
【0057】
[4.放送通信連携受信装置の構成]
放送通信連携受信装置6は、チューナのほか、例えば、CPU(Central Processing Unit)等の演算装置と、メモリやハードディスク等の記憶装置と、外部との間で各種情報の送受信を行うインターフェース装置とを備え、図4に示すように、放送受信手段601と、放送信号解析手段602と、映像音声復号手段603と、データ放送復号手段604と、APL起動情報記憶手段605と、通信送受信手段606と、APL起動情報取得手段607と、リスト制御手段608と、アプリケーション制御手段609と、アプリケーション蓄積手段610と、アプリケーション取得手段611と、アプリケーションキャッシュ612と、アプリケーション実行手段613と、合成表示手段614と、を備えている。
【0058】
ここで、各手段601〜614を、図1に示す放送通信連携受信装置6の基本機能61と、放送通信連携用機能62とのいずれか一方にだけ分類するとしたら、例えば、基本機能61が、放送受信手段601と、放送信号解析手段602と、映像音声復号手段603と、データ放送復号手段604と、通信送受信手段606と、を備え、放送通信連携用機能62が、APL起動情報記憶手段605と、APL起動情報取得手段607と、リスト制御手段608と、アプリケーション制御手段609と、アプリケーション蓄積手段610と、アプリケーション取得手段611と、アプリケーションキャッシュ612と、アプリケーション実行手段613と、合成表示手段614と、を備える。ただし、これは一例であって、単純に分離できるものではない。
【0059】
放送受信手段601は、放送波により送信されるデジタル放送の放送コンテンツ(番組データ)をアンテナATNを介して受信するものであって、一般的なデジタル放送用チューナである。この放送受信手段601は、受信・復調した放送コンテンツを放送信号解析手段602に出力する。
【0060】
放送信号解析手段602は、放送受信手段601で受信した放送コンテンツに多重化されている、映像音声ストリームと、SI(番組配列情報)と、データ放送コンテンツとを分離し、このうち映像音声ストリームを映像音声復号手段603に出力すると共に、データ放送コンテンツをデータ放送復号手段604に出力する。ここで、SIは図示しない番組表生成手段により番組表に加工され、例えばユーザがリモコン等からなる操作入力手段620を操作したときに、合成表示手段614を介して、出力手段630に提示される。なお、放送信号解析手段602は、操作入力手段620からのチャンネル切替指示により提示するチャンネルを切り替えることができる。ここで、出力手段630は、映像および音声を提示するものであって、例えば液晶ディスプレイ等の表示モニタやスピーカ等からなる。
【0061】
映像音声復号手段603は、放送信号解析手段602で分離された映像音声ストリームを復号するものである。この映像音声復号手段603は、映像・音声が例えば、MPEG2の符号化方式によって符号化されている場合は、MPEG2の復号を行い表示可能な出力形式の映像・音声データとして、合成表示手段614へ出力する。
【0062】
データ放送復号手段604は、放送信号解析手段602で分離されたデータ放送コンテンツを復号するものであって、データ放送のデータカルーセル方式により伝送されるモジュールからファイルを抽出する機能と、データ放送コンテンツを閲覧するためのBMLブラウザ機能とを備えている。データ放送復号手段604は、復号したデータ放送コンテンツを合成表示手段614へ出力する。
【0063】
また、本実施形態では、データ放送復号手段604は、データカルーセル方式により伝送される特定モジュールからAPL起動情報ファイルを抽出し、APL起動情報記憶手段605に格納することとした。また、データ放送復号手段604は、APL起動情報ファイルが更新された場合、その旨をアプリケーション制御手段609に通知する。
【0064】
APL起動情報記憶手段605は、APL起動情報を記憶するものであって、例えばRAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)等の一般的なメモリやハードディスク等の記憶装置から構成される。ここで、APL起動情報は、アプリケーションを当該放送通信連携受信装置6上で起動させるための情報であって、例えば、アプリケーションの識別子(ID)、アプリケーションの配置場所(URL等の所在アドレス)等のアプリケーションを特定するための情報、ならびに、当該アプリケーションを制御するための付加的な情報である。このAPL起動情報は、データ放送復号手段604により抽出されたものか、または、APL起動情報取得手段607により取得されたものである。
【0065】
また、本実施形態では、APL起動情報記憶手段605は、放送通信連携受信装置6上で起動中のアプリケーションの識別情報の一覧(起動アプリケーション識別情報)も記憶することとした。この起動アプリケーション識別情報は、アプリケーション制御手段609が作成する。起動アプリケーション識別情報の一例を図5(a)に示す。
【0066】
図5(a)に示すように、起動アプリケーション識別情報110は、テーブルの項目として、アプリケーションID111と、起動元112と、サービス種別113と、を備えている。
アプリケーションID111は、アプリケーションを一意に識別する識別情報を示す。同じ種類のアプリケーションが複数起動する場合も想定されるので、この識別情報は、アプリケーションの種類やアプリケーション名ではなく、オブジェクトIDとする。
起動元112は、当該アプリケーションを起動した原因が、APL起動情報であるのか、他のアプリケーションであるのかを示す情報である。他のアプリケーションである場合、例えばそのアプリケーションID(親のコンテンツID)が記載される。このような子アプリケーションとしては、例えばデコーダが挙げられる。また、1つのサービスに対してバックグラウンド処理用のアプリケーションを含めて複数のアプリケーションがライブラリ化されている場合に、あるアプリケーションが他のアプリケーションを起動させる場合がある。
サービス種別113は、アプリケーションを含むサービスが、ストリーム従属型サービスであるのか、または、独立型サービスであるのかを示す情報である。
【0067】
図5(a)に示す例では、放送通信連携受信装置6において現在3つのアプリケーションが起動中であって、「001」のアプリケーションと、「002」のアプリケーションとがストリーム従属型サービスにおけるアプリケーションであって、「001」のアプリケーションはAPL起動情報によって起動され、「002」のアプリケーションは、「001」のアプリケーションによって起動されたことが分かる。また、「003」のアプリケーションが独立型サービスにおけるアプリケーションであり、APL起動情報によって起動されたことが分かる。
【0068】
また、本実施形態では、APL起動情報記憶手段605は、放送通信連携受信装置6上で提供される1つのサービス内で順次起動する複数のアプリケーションの起動スケジュールを示す起動スケジュール情報も記憶することとした。この起動スケジュール情報は、放送通信連携受信装置6において、アプリケーション取得手段611によって実際に取得したアプリケーションに付加されている動作開始時刻情報を元に、アプリケーション制御手段609が作成することができる。あるいは、例えば放送局側で予め作成して、放送コンテンツに多重化される制御信号の中に挿入されているアプリケーションに関する動作開始時刻情報を含めて放送通信連携受信装置6に送ることもできる。起動スケジュール情報の一例を図5(b)に示す。
【0069】
図5(b)に示すように、起動スケジュール情報120は、項目として、名称121と、アプリケーションID122と、URL123と、開始時刻124と、終了時刻125と、サービスID126と、を備えている。
名称121は、当該アプリケーションの名称を示す。なお、バージョンや作成者等の詳細情報を含めてもよい。
アプリケーションID122は、アプリケーションを一意に識別する識別情報であって、例えば、オブジェクトIDで表される。
URL123は、アプリケーションが保存されているアプリケーションサーバ51のアドレスを示す情報である。
開始時刻124は、アプリケーションが起動を開始する時刻を示す。ここでは一例として時分で表したが、年月日時分秒のほか、放送コンテンツのタイムスタンプに合わせたタイムコード等でも構わない。
終了時刻125は、アプリケーションが実行を終了する時刻を示す。ここでは一例として時分で表したが、年月日時分秒のほか、放送コンテンツのタイムスタンプに合わせたタイムコード等でも構わない。
サービスID126は、アプリケーションと、当該アプリケーションが連動しているAVコンテンツ(放送コンテンツ)とを含むストリーム従属型サービスを識別する情報を示す。このサービスIDは、例えば、連動しているAVコンテンツの識別情報や番組名、あるいは放送局の識別情報で表される。
【0070】
図5(b)に示す例では、サービスID「001」には3つのアプリケーション(A,B,C)が含まれており、アプリケーションAが終了するとアプリケーションBが起動し、アプリケーションBが終了すると、アプリケーションCが起動するようになっていることが分かる。
【0071】
図4に戻って、放送通信連携受信装置6の構成の説明を続ける。
通信送受信手段606は、通信ネットワークNを介して、例えばサービス事業者サーバ群5との間で通信データを送受信するものであって、例えば、通信制御ボードである。
【0072】
APL起動情報取得手段607は、APL起動情報を、通信送受信手段606および通信ネットワークNを介して、既知のURLから取得し、APL起動情報記憶手段605に格納するものである。本実施形態では、APL起動情報取得手段607は、ユーザがアプリケーションを選択する操作を行った場合に、当該アプリケーションについてのAPL起動情報を、通信送受信手段606および通信ネットワークNを介して、既知のURLから取得し、APL起動情報記憶手段605に格納することした。
【0073】
また、APL起動情報取得手段607は、アプリケーション取得手段611からAPL起動情報書き換え指示を受けた場合、後記するように、APL起動情報記憶手段605に記憶されている該当するAPL起動情報(外部からの操作に応じたアプリケーションに関するAPL起動情報)に記載された所在アドレス(URL)を放送通信連携受信装置6内部のアプリケーション蓄積手段610におけるメモリアドレスに書き換える。この意味で、本実施形態では、APL起動情報取得手段607は、所在アドレス書換手段として機能する。もちろん、所在アドレス書換手段を別に設けてもよいし、他の手段が兼ねるようにしてもよい。なお、アプリケーション蓄積手段610は、ハードディスク等のディスク装置を示す。
【0074】
リスト制御手段608は、APL起動情報記憶手段605に格納されているAPL起動情報に基づいて、放送通信連携受信装置6にて利用可能なアプリケーションの一覧をアプリケーション一覧リスト(以下、単にリストという)として作成し、合成表示手段614へ出力する。このリスト制御手段608は、例えばレジデントアプリケーションのローンチャーにより実現することができる。なお、リスト制御手段608は、操作入力手段620からのリスト表示・選択指示により提示するリストを表示し、その選択操作を受け付けることができる。ここで、放送通信連携受信装置6上で動作するアプリケーションは、APIとして例えばgetRunningApplicationsを呼び出すことで、リスト制御手段608の機能(放送通信連携用機能62:図1参照)を利用することができる。
【0075】
なお、ローンチャーは、通信で取得する放送通信連携用アプリケーションではない。このローンチャーは、例えば出荷時等において、アプリケーション蓄積手段610等に予めインストールしておいてもよい。また、本実施形態では、リスト制御手段608は、放送通信連携受信装置6にて利用可能なアプリケーションのうち、バックグランド処理を行っているアプリケーションについてはリストから除外することとした。
【0076】
アプリケーション制御手段609は、アプリケーションの起動や終了などのライフサイクルを制御するアプリケーションマネージャーであって、起動制御手段710と、終了制御手段720と、蓄積管理手段730と、を備えている。
【0077】
起動制御手段710は、アプリケーションの起動を制御するものである。
起動制御手段710は、起動させようとするアプリケーションが、デジタル放送の番組に連動した連動アプリケーションであって、そのAPL起動情報に「AUTO START」と記載されている場合、メモリにロードされているアプリケーションを起動し、スタートさせる。起動制御手段710は、起動させようとするアプリケーションのAPL起動情報に「AUTO START」が記載されていない場合、ユーザの操作にしたがって、アプリケーションを起動させる。
起動制御手段710は、APL起動情報に「PRESENT」と記載されている場合、アプリケーションが起動前であればメモリにロードされている状態(スタンバイ)を維持し、アプリケーションが動作中であれば一時停止させ、メモリにロードされている状態(スタンバイ)とする。
【0078】
終了制御手段720は、アプリケーションの終了を制御するものである。
終了制御手段720は、APL起動情報に「DESTROY」と記載されている場合、当該APL起動情報でライフサイクルをコントロールされているアプリケーションを終了させるために必要な後処理を行った上で当該アプリケーションを終了する。
終了制御手段720は、APL起動情報に「KILL」と記載されている場合、当該APL起動情報でライフサイクルをコントロールされているアプリケーションを強制的に終了する。
終了制御手段720は、APL起動情報に「KILL ALL」と記載されている場合、当該APL起動情報でライフサイクルをコントロールされているアプリケーションに限らず、また、連動/非連動に関わらず放送通信連携受信装置6上で動作中の全アプリケーションを強制的に終了する。
終了制御手段720は、ユーザの操作にしたがって、アプリケーションを終了することもできる。
【0079】
蓄積管理手段730は、アプリケーションの蓄積に係る処理として、書込み、読込み、消去を制御するものである。この蓄積管理手段730は、キャッシュメモリ検索手段731と、キャッシュメモリ書込手段732と、蓄積情報判断手段733と、を備えている。
【0080】
キャッシュメモリ書込手段732は、アプリケーション取得手段611で取得したアプリケーションをアプリケーションキャッシュ612に書き込むものである。本実施形態では、キャッシュメモリ書込手段732は、アプリケーション取得手段611で取得した連動アプリケーションをアプリケーションキャッシュ612に書き込むこととした。ここで、アプリケーションキャッシュ612は、キャッシュメモリを示す。
なお、放送通信連携受信装置6上で動作するアプリケーションは、APIとして例えばsaveApplicationToCache()を呼び出すことで、キャッシュメモリ書込手段732の機能(放送通信連携用機能62:図1参照)を利用することができる。
【0081】
キャッシュメモリ検索手段731は、アプリケーションがアプリケーションキャッシュ612に格納されているか検索するものである。なお、放送通信連携受信装置6上で動作するアプリケーションは、APIとして例えばqueryApplicationInCache()を呼び出すことで、キャッシュメモリ検索手段731の機能(放送通信連携用機能62:図1参照)を利用することができる。
【0082】
蓄積情報判断手段733は、アプリケーションキャッシュ612にアプリケーションが格納されていないと判断した場合、アプリケーション取得手段611を制御して当該アプリケーションを取得するものである。この蓄積情報判断手段733は、キャッシュメモリ検索手段731がキャッシュヒットしなかった場合、アプリケーションが格納されていないと判断し、キャッシュメモリ検索手段731が、キャッシュヒットした場合、アプリケーションが格納されていると判断する。
また、蓄積情報判断手段733は、アプリケーションキャッシュ612に実行タイミングのアプリケーションがあるか否かを判別し、実行タイミングのアプリケーションがない場合、アプリケーション取得手段611に通知して当該アプリケーションを取得する制御を行い、実行タイミングのアプリケーションがある場合、アプリケーション実行手段613に通知して当該アプリケーションを実行させる。
【0083】
また、本実施形態では、蓄積情報判断手段733は、APL起動情報記憶手段605に記憶されている起動スケジュール情報120(図5(b)参照)におけるアプリケーションの動作開始時刻情報に基づいて、アプリケーションキャッシュ612に格納されているアプリケーションが実行開始タイミングとなったか否かを判別することとした。これにより、アプリケーション実行手段613は、アプリケーションキャッシュ612に格納されていて実行開始タイミングとなったと判別されたアプリケーションを順次実行することができる。
【0084】
アプリケーション蓄積手段610は、アプリケーション取得手段611が外部からの操作に応じて当該放送通信連携受信装置6上で動作するアプリケーションを取得した場合、当該操作に応じたアプリケーションを蓄積するものであって、例えば一般的なハードディスク等から構成される。このアプリケーション蓄積手段610は、デジタル放送の番組に連動していない非連動アプリケーションまたは独立アプリケーションを記憶する。アプリケーション蓄積手段610に蓄積される非連動アプリケーションは、アプリケーション取得手段611が取得した当初から非連動アプリケーションであったものと、アプリケーション取得手段611が取得した当初は連動アプリケーションであったがその動作終了後にユーザによる蓄積操作が行われて格納されたことで非連動アプリケーションになったものと、を含む。なお、非連動アプリケーションがアプリケーション蓄積手段610に蓄積された場合、APL起動情報記憶手段605に記憶されている該当するAPL起動情報は、後記するようにAPL起動情報取得手段607によって書き換えられる。
【0085】
アプリケーション取得手段611は、アプリケーション制御手段609の制御の下、通信送受信手段606および通信ネットワークNを介して、アプリケーションのAPL起動情報に記載された所在アドレス(URL)から当該アプリケーションを取得するものである。本実施形態では、アプリケーション取得手段611は、デジタル放送の番組に連動した連動アプリケーションを取得した場合、アプリケーション制御手段609の制御の下、キャッシュメモリ書込手段732を通じてアプリケーションキャッシュ612に当該連動アプリケーションを格納する。
【0086】
アプリケーション取得手段611は、デジタル放送の番組に連動して当該番組中で予め定められた時間内で異なる時刻に起動する複数のアプリケーションを取得した場合、キャッシュメモリ書込手段732を通じてアプリケーションキャッシュ612に書き込む。
【0087】
また、アプリケーション取得手段611は、外部からの操作に応じて非連動アプリケーションを取得した場合、アプリケーション制御手段609の制御の下、アプリケーション蓄積手段610に格納する。この場合、なんら特別な処理をしなければ、アプリケーション蓄積手段610に格納された非連動アプリケーションを起動しようとしてAPL起動情報記憶手段605に記憶されている該当するAPL起動情報をアプリケーション制御手段609が参照したとき、該当するAPL起動情報に記載されたアプリケーションの格納場所は、通信ネットワークNの先のURLを示していることになる。そこで、このような事態を未然に防ぐため、アプリケーション取得手段611は、APL起動情報取得手段607に対して、APL起動情報書き換え指示を出力する。これにより、アプリケーション蓄積手段610に格納された非連動アプリケーションを起動させることができる。
【0088】
アプリケーションキャッシュ612は、アプリケーション取得手段611で取得されたアプリケーションを記憶するキャッシュである。ここで、キャッシュは、記憶階層の実現手段であって、例えば半導体メモリのようなキャッシュメモリで構成される。例えば、連動アプリケーションの場合、APL起動情報記憶手段605にAPL起動情報が格納された後、当該APL起動情報で起動する連動アプリケーションがアプリケーションキャッシュ612に格納される。このとき、この連動アプリケーションのAPL起動情報は書き換える必要が無い。つまり、アプリケーションキャッシュ612は、アプリケーション蓄積手段610とは異なって、アプリケーションを記憶したときに、APL起動情報記憶手段605に格納されている当該アプリケーションのAPL起動情報において、記載されている所在アドレス(URL)の書き換えが不要な記憶手段である。
【0089】
アプリケーション実行手段613は、アプリケーションを実行するものであって、アプリケーション制御手段609の制御の下、アプリケーションキャッシュ612に格納された連動アプリケーション、または、アプリケーション蓄積手段610に格納された非連動アプリケーションを放送通信連携受信装置6上で動作させる。このアプリケーション実行手段613によって動作するアプリケーションのデータは、合成表示手段614へ出力される。
【0090】
ここで、アプリケーション実行手段613は、同時に複数のアプリケーションを実行することが可能である。この場合、同一サービスに属する複数のアプリケーションを実行したり、異なるサービスに属する複数のアプリケーションを実行したりすることができる。また、複数のアプリケーションが実行されているときに、少なくとも1つがバックグランド処理を行うアプリケーションであってもよい。
【0091】
また、アプリケーションの実行に伴って、当該アプリケーションの属するサービスにデータやコンテンツ(動画、音声、静止画)が含まれる場合、これらもサービス内で実行される。これらをアプリケーションのデータ等とよぶ。アプリケーションのデータ等は合成表示手段614へ出力される。例えば、アプリケーション実行手段613が、アプリケーションを実行した結果、装置上で動作するアプリケーションが通信ネットワークNを介してコンテンツ配信サーバ53等に映像・音声コンテンツを要求した場合、映像・音声コンテンツの通信ストリームを取得し、再生して合成表示手段614へ出力する。同様に、装置上で動作するアプリケーションが静止画等の画像データや音声データを要求して取得した場合も、合成表示手段614へ出力する。なお、アプリケーションのデータ等もアプリケーションキャッシュ612に格納される。
【0092】
合成表示手段614は、映像音声復号手段603から通知される映像音声データ、データ放送復号手段604から通知されるデータ放送画面(データ放送コンテンツ)、リスト制御手段608から通知されるリストデータ、アプリケーション実行手段613から通知されるアプリケーションのデータ等を合成し、画像データおよび音声データとして、出力手段630へ出力するものである。なお、画像データの合成は、例えば、一般的なGDC(Graphic Display Controller)で実現することができる。
【0093】
また、音声データの合成とは、例えば、一般的な野球中継番組の実況と、副音声サービスとの切り替えまたは合成処理と同様にして、映像音声復号手段603から通知される映像音声データのうちの音声データと、アプリケーションのデータ等に含まれる音声データとの一方を、ユーザの操作で切り替え可能または合成可能として出力手段630へ出力することを意味する。
【0094】
また、合成表示手段614は、不図示の放送コンテンツ用のバッファと、通信コンテンツ用のバッファとを備えて同期を図ることができる。
放送通信連携受信装置6上で動作するアプリケーションは、APIとして例えばgetCurrentSTC()やdelayStreamPresentation()を呼び出すことで、放送通信連携用機能62(図1参照)としての同期制御機能を利用することができる。
【0095】
[5.アプリケーション実行処理の流れ]
ここでは、放送通信連携受信装置6によるアプリケーション実行処理の流れについて図6を参照(適宜図4参照)して説明する。
まず、放送通信連携受信装置6のアプリケーション制御手段609は、起動制御手段710によって、APL起動情報記憶手段605からAPL起動情報を取得する(ステップS11)。そして、アプリケーション制御手段609は、キャッシュメモリ検索手段731によって、アプリケーションキャッシュ612に当該アプリケーションはキャッシュされているか否かを判別する(ステップS12)。当該アプリケーションがキャッシュされていない場合(ステップS12:No)、起動制御手段710は、APL起動情報に記載のURLからアプリケーションを取得する(ステップS13)。具体的には、起動制御手段710がURLをアプリケーション取得手段611に通知することによって、アプリケーション取得手段611が通信ネットワークNを介して当該URLのアプリケーションサーバ51に対してアプリケーションを要求して取得する。
【0096】
そして、アプリケーション制御手段609は、キャッシュメモリ書込手段732によって、取得アプリケーションをアプリケーションキャッシュ612に書き込む(ステップS14)。このステップS14に続いて、または前記ステップS12において当該アプリケーションがキャッシュされている場合(ステップS12:Yes)、アプリケーション制御手段609は、蓄積情報判断手段733によって、アプリケーションキャッシュ612に実行タイミングのアプリケーションがあるか否かを判別する(ステップS15)。実行タイミングのアプリケーションがあれば(ステップS15:Yes)、起動制御手段710は、実行すべきアプリケーションを起動させる(ステップS16)。一方、実行タイミングのアプリケーションがなければ(ステップS15:No)、アプリケーション制御手段609は、ステップS11に戻る。
【0097】
[6.アプリケーション実行時のタイミングチャートの例]
ここでは、放送通信連携受信装置6によるアプリケーション実行時のタイミングチャートの例について図7を参照(適宜図4参照)して説明する。図7は、本発明の実施形態に係る放送通信連携受信装置が1サービスに含まれる3つのアプリケーションを順次実行する際のタイミングチャート例である。
【0098】
まず、具体的な説明を行うためにいくつかの前提を述べる。放送通信連携受信装置6は、一例として、図5(b)に示す起動スケジュール情報120を記憶しているものとする。また、放送通信連携受信装置6を利用する視聴者が、サービスID「001」に含まれるAVコンテンツを19:00から19:30まで視聴したものとする。また、19:05から19:30は、3つのアプリケーション(A,B,C)が順次実行中となるように当該サービスにて予め定められた時間幅であるものとする。具体的には、19:00から19:30まで放映されるAVコンテンツは、プロローグに続いて19:05から19:10にかけて1つの番組コーナーが存在し、続いて19:10から10分毎に番組コーナーが切り替わり、それに対応して3つのアプリケーション(A,B,C)を順番に起動させて放送コンテンツと通信コンテンツとを連携させるように制作されている。
【0099】
また、例えば、放送コンテンツに多重されている1つのAPL起動情報ファイルに、アプリケーションA、アプリケーションB、アプリケーションCのそれぞれのAPL起動情報を埋め込んでいるものとする。この場合、例えば19:00−19:05に伝送するAPL起動情報ファイルにおいて、アプリケーションA、アプリケーションB、アプリケーションCについて「PRESENT」と記載しておくことで、このAPL起動情報ファイルを受信した放送通信連携受信装置6は各アプリケーションを取得し、各アプリケーションをメモリにローディングして待機状態にすることが可能である。このように番組冒頭から送出し続ける制御信号によって、放送通信連携受信装置6は、例えばアプリケーションAを取得してアプリケーションキャッシュ612にローディングしておく。また、放送通信連携受信装置6は、起動スケジュール情報120にしたがって、アプリケーションB、アプリケーションCも事前に取得してアプリケーションキャッシュ612にローディングしておくことができる。
【0100】
また、例えば、19:05に伝送するAPL起動情報ファイルにおいて、アプリケーションAについて「AUTO START」と記載しておくことで、放送通信連携受信装置6のアプリケーション制御手段609は、19:05に各アプリケーションを所望の状態にすることができる。例えば、アプリケーションAの開始時刻になると、放送通信連携受信装置6は、アプリケーションAを起動させる。
【0101】
また、例えば19:10に伝送するAPL起動情報ファイルにおいて、アプリケーションAについて「DESTROY」、アプリケーションBについて「AUTO START」、アプリケーションCについて「PRESENT」と記載しておくことで、放送通信連携受信装置6のアプリケーション制御手段609は、19:10に各アプリケーションを所望の状態にすることができる。例えば、アプリケーションBの開始時刻になると、放送通信連携受信装置6は、アプリケーションAを終了してアプリケーションBを迅速に起動させることができる。
【0102】
また、APL起動情報ファイルを更新することで、同様に、アプリケーションCの開始時刻になると、放送通信連携受信装置6は、アプリケーションBを終了してアプリケーションCを迅速に起動させることができる。
【0103】
仮に、放送通信連携受信装置6が、アプリケーションAを終了してから通信ネットワークNを介してアプリケーションBの取得を開始すると、すぐにはアプリケーションBを起動させることができない。しかしながら、本実施形態の放送通信連携受信装置6は、アプリケーションキャッシュ612を備えており、これにより、アプリケーションBの開始時刻よりも前に、アプリケーションBを取得してアプリケーションキャッシュ612にローディングしておくことで、迅速な起動が可能となる。
【0104】
また、キャッシュされたアプリケーションBの起動時に、アプリケーションBのAPL起動情報にURLが記載されていても通信ネットワークNを介してアプリケーションBの取得を開始することはなく、まず放送通信連携受信装置6内のキャッシュメモリ(アプリケーションキャッシュ612)を探索することができる。仮に、内部のハードディスクのような蓄積手段にアプリケーションBを格納していた場合、アプリケーションBのAPL起動情報においてURLを、ローカルアドレス(内部のハードディスクのディレクトリ)に書き換える必要が生じるが、本実施形態では、連動アプリケーションをアプリケーションキャッシュ612に格納することとしたので、連動アプリケーションをキャッシュした場合、キャッシュの特性から、このような書き換えをする必要が無い。
【0105】
以上により、本実施形態の放送通信連携受信装置6によれば、通信ネットワークNからダウンロードしたアプリケーションを格納するアプリケーションキャッシュ612を備えるので、アプリケーション制御手段609により、キャッシュされているアプリケーションを迅速に起動させることができる。
【0106】
また、放送通信連携受信装置6は、アプリケーションの実行時に通信ネットワークNからアプリケーションを取得し(オンザフライで取得し)、例えば放送番組の終了に合わせてアプリケーションが終了すると、終了したアプリケーションを捨てるといった処理をすることができる。したがって、放送通信連携型システム1においては、放送番組に連動するアプリケーションを蓄積(インストール)しない利用形態をスタンダードとすることで、セットトップボックス等の記憶容量がPC等に比べて格段に小さいタイプの放送通信連携受信装置上でもアプリケーションを迅速に起動させることができる。
【0107】
また、放送通信連携受信装置6は、アプリケーションキャッシュ612とは別にアプリケーション蓄積手段610を備えることで、充分な記憶容量を有するタイプの放送通信連携受信装置において、前記したスタンダードな利用形態の拡張として、放送番組に必ずしも連動しないアプリケーションを蓄積(インストール)する利用形態をも可能としている。したがって、放送通信連携型システム1の利用者である視聴者の多様な利用形態に合わせて、アプリケーションを放送通信連携受信装置6上で迅速に起動させることができる。
【0108】
以上、実施形態に基づいて本発明を説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、放送通信連携受信装置6は、チューナを備えた一般的なコンピュータを、前記した各手段として機能させるプログラムにより動作させることで実現することができる。このプログラム(放送通信連携受信装置のアプリケーション実行制御用プログラム)は、通信回線を介して配布することも可能であるし、DVDやCD−ROM等の記録媒体に書き込んで配布することも可能である。
【0109】
また、本実施形態の放送通信連携受信装置6では、視聴者がデジタル放送番組を視聴中に、「AUTO START」と記載されたAPL起動情報を受信したときにアプリケーションを自動起動させるものとして説明したが、さらに、次の(1)や(2)の機能を追加してもよい。
(1)デジタル放送の提示中に、リモコンに予め設けられたHボタン(放送通信連携サービス画面移行ボタン)をユーザが押下操作することで放送通信連携サービス画面に遷移する。
(2)BMLから放送通信連携サービス画面に遷移するための放送通信連携サービス画面遷移専用APIを新たに設けて用意しておく。デジタル放送の提示中に、リモコンに設けられたDボタン(データ放送移行ボタン)をユーザが押下操作することでデータ放送画面に遷移し、その後、データ放送画面上に、放送通信連携サービス画面遷移専用APIに対応して設けられた専用ボタンを選択する操作をユーザが行うことで、放送通信連携サービス画面に遷移する。
【0110】
また、本実施形態では、放送コンテンツの送信側において、データカルーセル方式により伝送される特定モジュールで、APL起動情報ファイルを伝送することとして説明したが、放送でAPL起動情報を送る場合、イベント情報テーブル(EIT:Event Information Table)に、APL起動情報のための記述子を追加して伝送するようにしてもよいし、APL起動情報のための専用のエレメンタリストリーム(ES:Elementary Stream)を放送TS(Transport Stream)に多重化してもよいし、あるいは、APL起動情報の所在アドレスを示す情報だけを伝送するようにしてもよい。さらには、放送ではなく、通信ネットワークからAPL起動情報ファイルを伝送するようにしてもよい。
【0111】
また、放送通信連携受信装置6は、オンザフライでアプリケーションを取得した後、例えば放送番組の終了に合わせてアプリケーションが終了すると、終了したアプリケーションをアプリケーションキャッシュ612からそのまま消去する前に、ユーザに問い合わせ、ユーザが蓄積を希望する場合、放送番組に連動するアプリケーションであってもアプリケーション蓄積手段610に蓄積(インストール)し、その後、アプリケーションキャッシュ612から当該アプリケーションを消去するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0112】
1 放送通信連携型システム
2 放送局(デジタル放送送信装置)
4 放送局サーバ群
41 コンテンツ管理サーバ
42 ユーザ管理サーバ
43 コンテンツ配信サーバ
44 放送局サービスサーバ
45 DB
46 API
5 サービス事業者サーバ群
51 受信機アプリケーションサーバ
52 サービスサーバ
53 コンテンツ配信サーバ
54 DB
55 API
6 放送通信連携受信装置
61 基本機能
62 放送通信連携用機能
63 API
64 アプリケーション(放送通信連携用アプリケーション)
601 放送受信手段
602 放送信号解析手段
603 映像音声復号手段
604 データ放送復号手段
605 APL起動情報記憶手段
606 通信送受信手段
607 APL起動情報取得手段
608 リスト制御手段
609 アプリケーション制御手段
610 アプリケーション蓄積手段
611 アプリケーション取得手段
612 アプリケーションキャッシュ
613 アプリケーション実行手段
614 合成表示手段
620 操作入力手段
630 出力手段
710 起動制御手段
720 終了制御手段
730 蓄積管理手段
731 キャッシュメモリ検索手段
732 キャッシュメモリ書込手段
733 蓄積情報判断手段
ATN アンテナ
N 通信ネットワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
デジタル放送を受信すると共に当該装置上で動作するアプリケーションを通信ネットワークから取得する放送通信連携受信装置であって、
前記アプリケーションを記憶するキャッシュと、
前記アプリケーションを当該装置上で起動させるための情報であるアプリケーション起動情報を記憶するアプリケーション起動情報記憶手段と、
前記アプリケーションのための前記アプリケーション起動情報に記載された所在アドレスから通信ネットワークを介して当該アプリケーションを取得するアプリケーション取得手段と、
前記アプリケーション取得手段で取得したアプリケーションを前記キャッシュに書き込むキャッシュメモリ書込手段と、
アプリケーションが前記キャッシュに格納されているか検索するキャッシュメモリ検索手段と、
前記キャッシュにアプリケーションが格納されていないと判断した場合、前記アプリケーション取得手段を制御して当該アプリケーションを取得する蓄積情報判断手段と、
前記アプリケーションを実行するアプリケーション実行手段と、
を備えることを特徴とする放送通信連携受信装置。
【請求項2】
前記アプリケーション取得手段が外部からの操作に応じて当該装置上で動作するアプリケーションを取得した場合、当該操作に応じたアプリケーションを蓄積するアプリケーション記憶手段と、
前記アプリケーション取得手段が前記操作に応じたアプリケーションを前記アプリケーション記憶手段に格納した場合、前記アプリケーション起動情報記憶手段に記憶されている該当するアプリケーション起動情報に記載された所在アドレスを前記アプリケーション記憶手段におけるメモリアドレスに書き換える所在アドレス書換手段と、
をさらに備え、
前記アプリケーション取得手段は、前記デジタル放送の番組に連動したアプリケーションを取得した場合、当該番組に連動したアプリケーションを前記キャッシュメモリ書込手段を通じて前記キャッシュに書き込むことを特徴とする請求項1に記載の放送通信連携受信装置。
【請求項3】
前記アプリケーション取得手段は、前記デジタル放送の番組に連動して当該番組中で予め定められた時間内で異なる時刻に起動する複数のアプリケーションを取得した場合、前記キャッシュメモリ書込手段を通じて前記キャッシュに書き込み、
前記蓄積情報判断手段は、前記キャッシュに書き込まれている前記予め定められた時間内で異なる時刻に起動する複数のアプリケーションに付加されている動作開始時刻情報、または、前記デジタル放送に多重化されている制御信号中に挿入されているアプリケーションに関する動作開始時刻情報に基づいて、前記キャッシュに格納されているアプリケーションが実行開始タイミングとなったか否かを判別し、
前記アプリケーション実行手段は、前記キャッシュに格納されていて実行開始タイミングとなったと判別されたアプリケーションを順次実行することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の放送通信連携受信装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−9358(P2013−9358A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−114222(P2012−114222)
【出願日】平成24年5月18日(2012.5.18)
【出願人】(000004352)日本放送協会 (2,206)
【Fターム(参考)】