説明

放電を安定化する十分な高周波数のパルス列の支援による共面型プラズマディスプレイパネルの駆動方法

【課題】安定化した放電を開始するために必要とされる電圧を高くする必要なしに、より低周波数において放電を安定化できるように、従来とは異なる方法で従来の面放電型パネルの使用を提案することによって、従来技術の問題を回避することである。
【解決手段】本発明の方法によれば、一つのプレートによって担持される対になった2つの電極X、Yの間に高周波数パルス列(TSY)が印加される前に、前記電極対の電極Xと、パネルの別の表面プレートにおける電極Aとの間に少なくとも一つの維持パルスSHX、SHAを印加することに関する。維持放電Dが安定化される放電Dと同じ電極間で発生しないので、電極X、Yは間隔を離され、それにより維持電圧を増大する必要なしに安定化周波数を下げうる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラズマディスプレイパネルのアドレス方法及び駆動方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献:特開平10−171399号(日立製作所)は、面放電(共面)型プラズマパネルを記載しており、かかるパネルは、
−電極の第一アレイを備える後部プレートと、
−前記第一アレイの電極に直交する電極の対の第二アレイを備え、前記第一アレイに平行な前面プレートとを有しており、各対の電極どうしの間で、第一アレイの電極と第二アレイ電極の対との交差部に位置した放電空間ができる。
【0003】
かかるタイプのプラズマディスプレイパネルのアドレス及び駆動は、一般的に、下記の段階を含み、それらは、
−活性化される交差部領域の各々における放電を、この領域で交差する後部プレートの電極と前面プレートのある電極との間に少なくともアドレス電圧パルスを印加することによって、活性化することと、
−この領域での一連の放電を、前面プレートの前記の同じ電極とその同じプレートの対になる電極との間に一連の維持電圧パルスを印加することによって再活性化することとを含む。
【0004】
この方法によると、アドレス放電は、両プレートを隔てる放電ガスで満たされる空間中で、両プレートに実質的に垂直に延在し、対照的に、維持放電は前面プレートに沿ってプレートに実質的に平行に延在する。
【0005】
この従来の方法によると、維持パルスの瞬間周波数は、一般的に、約100乃至300kHzであり、パネルの明るさを決定する。対になった2つの電極がアドレス電極に関して常に正又はゼロの電位を有する場合、維持は"正"と呼ばれ、反対に、かかる電位が交替に正と負である(その際、同じ対の二つの電極の維持信号は半位相だけオフセットされる)場合には"負"又は"二極性"と呼ばれる。
【0006】
アドレスパルスは、行の諸グループにおいて共にグループ化されてもよく、そのとき、かかるアドレスパルスは互いに接近している。
【0007】
この種類のパネルをアドレスして駆動するために、特開平10−171399号(日立製作所)はまた、10MHzより実質的に高い、非常に高周波数のパルスを使用することを提案する。
【0008】
かかる特開平10−171399号の図3に示されるように、第一アレイの電極は、電極A、A…Aを有し、第二アレイの電極が対(X、Y)、(X、Y)…(X、Y)を有するとすると、特開平10−171399号の図1を参照して、面放電型プラズマディスプレイパネルのアドレス及び駆動は、下記の段階を含み、それらは、
−電極Yに印加された信号107と、電極Aに印加された信号108との間の差に起因しているアドレス電圧パルスの間にアドレスする又は書き込む(期間IV)ことと、
−電極Yと対の電極Xとの間に、従来の"低周波数"維持電圧パルスを生じる信号101を印加することによる二極性の維持と、
−特開平10−171399号に提供された発明にしたがって、非常に高周波数の"RF"信号100が、陰極としての役割をする電極Y又はXの一つの側で維持期間の間にさらに印加されることであって、ここで、かかる信号の印加は維持期間VIIに対応する、段階である。
【0009】
特開平10−171399号によると、従来の維持放電後に電極間に放電が一旦形成されてから非常に高周波数の信号を印加する目的は、特開平10−171399号の図4−VIIに概略して示されるように、イオン電荷が陰極に達することを防ぎ、電極間でイオン電荷を振動させることである。図5を参照するに、かかる特許文献、特開平10−171399号は、
−パルス101に対応する従来の維持放電が、電極を覆う誘電体層上の電荷の完全な反転に帰着する前に、RF信号100の印加を開始することが必要であり、したがって、RF信号の最初の立ち上がりからパルス立ち上がり101を分離する時間tは、維持放電及び電荷の完全な反転の累積時間よりも実質的に短いことと、
−RF信号100の半周期tが、半周期の間にイオン電荷が陰極に戻る時間を有しないほど十分に短い必要があり、この条件は、一般的に、使用することが困難な非常に高い周波数に帰着すること、を教示している。
【0010】
特開平10−171399号によると、前述の状況下において、RF信号によって安定化された放電が得られ、かかる放電は、より低い周波数の従来の放電で得られるよりも非常に高い発光効率で光を発する。
【0011】
特開平10−171399号によると、実施例として、放電点において2つの維持電極を分離する距離が約100μmであり、放電ガスが0.4×10Paの圧力のNe/Xe混合である場合、上述の条件は下記のようである。tはほぼ1μs未満であり、tはほぼ0.1μs未満であり、20MHz以上の周波数に対応する。
【0012】
特開平10−171399号によると、プラズマディスプレイパネルの駆動方法において、各維持段階は、次のような従来の維持放電及び安定化放電の連続を含む:
−活性化領域でのイオン電荷の生成を目的とする、従来の維持パルスによって発生する第一放電と、
−活性化領域で生成されるイオン電荷を安定化するために適切な高周波数のパルス列によって発生する安定化放電。
【0013】
このようにして、維持放電は、安定化放電を活性化又は"点火"するように使用される。
【0014】
高周波数の使用は、プラズマディスプレイパネルを駆動するためのかかる方法の使用を限定する、主要な電子工学上の問題を提起する。より低周波数で安定化放電を得るために、各対の電極Xと電極Yを分離する距離を増大することが必要であるが、しかしながら、そうすると、従来の維持放電を得るために必要とされる電圧が増大し、別の問題を提起する。
【0015】
より詳細には、
−"高周波数"信号の印加前に放電を開始する役割の従来の"低周波数"維持信号を印加するためには、開始のために必要とされる電圧を制限するために十分に接近している電極を使用することが有益であり、
−"高周波数"信号を印加するためには、1交番期間の間に電極の一つにイオンが達することを防ぐように十分離れた電極を使用し、それによりあまり高くない周波数について所望の安定化作用を得ることが有益である。
【0016】
特に図2において、米国特許第5233272号は、永続するメモリ効果を有し、誘電体層が電極を分離せず、短い持続期間の偽メモリ効果、すなわち、以前の放電によって又は主要な粒子の隣接する供給源によって条件付けるメモリ効果だけを得ることが可能である、従来の面放電型パネルと違って、各放電空間において陽極40と、共面〔同一平面上〕で同一プレートによって担持される補助電極と、他方のプレートによって担持される陰極とを有する、面放電型パネルと類似のプラズマパネルを記載する。かかるパネルを駆動するために、米国特許第5233272号によると、一連の放電を得るために十分に高い振幅のパルスが陽極と陰極との間で印加され、これらのパルスの印加中において、維持されたパルスと同様に、イオンの移動を妨害し電極間にそれらイオンを拡散させるように、より高周波数のパルスが共面の電極40と50との間に印加される(第2コラムの20乃至21行及び40乃至41行、第3コラムの38乃至39行及び57乃至58行)。この妨害は、特開平10−171399号におけるような、かかるイオンの安定化ではなく、単に電極間のイオン経路の拡張に結びつく(第3コラムの66行から第4コラムの4行まで)。ここで、より高周波数のパルスを印加する目的は、短い持続期間のメモリ効果を改良すること及び放電を得るために必要なパルス振幅を低くすることである(第5コラム)。米国特許第5233272号(特に第4コラムの"表")及び図によると、所望の効果を獲得するためには、より高い周波数信号が印加される電極(この場合、陽極と補助電極)間を隔てる距離を、従来の維持型の信号が印加される電極間を隔てる距離よりも短くすることが重要である。かかる配置は、永続するメモリ効果をもつプラズマパネルでの放電の安定化が望ましい場合の特開平10−171399号に関する上の記載とは反対である。
【0017】
特開平11−273576号、特開平2000−047631号、特開平2000−047632号及び特開平2000−173482号は、高周波数パルス列の支援で安定した放電を得るのに特に適合するプラズマパネル構造を記載しているが、しかしながら、特定のパネル構造の使用は別のコスト問題を提起する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
本発明の目的は、安定化した放電を開始するために必要とされる電圧を高くする必要なしに、より低周波数において放電を安定化できるように、特開平10−171399号の提案とは異なる方法で従来の面放電型パネルの使用を提案することによって、前述の問題を回避することである。
【課題を解決するための手段】
【0019】
かかる目的のために、本発明の主題は、
−少なくとも電極の第一アレイを備えた第一プレートと、
−第一アレイの電極の方向にほぼ垂直な全体的な方向である電極の対の、少なくとも第二アレイを備え、前記第一アレイに平行な第二のプレートを有し、各対の電極どうしの間で、第一アレイの電極と第二アレイ電極の対との交差部の位置に放電空間ができる、面放電型プラズマディスプレイパネルの駆動方法であり、かかる方法は、
−放電を維持することが望まれる交差部領域の各々で維持放電を発生するように少なくとも一連の維持電圧パルスの印加と、
−維持放電を発生する前記パルスのうちの少なくとも一つのパルスの後に、前記領域を通る対の2つの電極の間で、前記放電を安定化するために十分に高い周波数をもつパルス列の印加とを含み、
前記維持電圧パルスは、前記対になっている電極の一方と前記領域を通る第一プレートの電極との間に印加され、
パネルの各放電領域において、対になっている電極どうしを分離する距離は、前記領域を通る第一プレートの電極と、前記対になっている電極のうち維持電圧パルスが印加されるほうの電極とを分離する距離よりも長いことを特徴とする。
【0020】
一般的に、第一プレートは"後部"プレートであり、第二プレートは表示されるべき画像を観察する観察者に面する"前面"プレートであり、電極の交差部の領域はパネルの放電セルを形成し、かかるセルは電極に印加された電圧パルスに従って、互いから独立して、活性化されたたり活性化されなかったりして駆動されることができる。
【0021】
維持電圧パルスが放電安定のパルス列と同じ電極間に印加されないので、維持のために必要とされる電圧に影響することなく、前面プレートの安定化電極間の距離を増大することが可能である。このようにして従来の共面(coplanar)構造が使用されるが、従来技術とは違って、
−維持パルスは第一プレートの電極と第二プレートの電極との間で印加される。好ましくは、プレートは、従来の維持電圧と従来の電子構成部分を使用することができるような間隔を置かれるよう選択される。かかる間隔は一般的に100乃至150μmである。各プレートが40μmの厚さの誘電体層を設けられる場合、第二プレートの対になった電極のアレイから第一プレートの電極のアレイを隔てる距離は180乃至230μmである。絶対に必要な場合には、これらの電極間で90μmほど短い距離を想定することができるかもしれない。
【0022】
−第二プレートの対になった電極を分離する距離は、維持パルスが印加される第二プレート電極から第一プレートの電極を分離する距離よりも長く、したがって、
−共面電極間のギャップ、すなわち対になった電極を分離する距離は、従来技術よりも低周波数のパルス列によって放電を安定できるよう、従来技術よりもずっと長く、500μm以上のギャップが想定されてもよい。
【0023】
本発明はまた、次のうちの一つ以上の特徴を有する。
−第二アレイの対になった電極が誘電体層で被膜され、このようにして、面放電型パネルの従来のメモリ効果が獲得され、
−第一プレートは、薄い保護する二次電子放出層によって被膜され、さらに、放電からの紫外線を吸収してパネル前面に面するプレートを通じて可視光線を放出するように位置される発光層を設けられ、これらの層は、電極の交差の各領域において裂け目を有しており、裂け目において、下にある薄い保護膜の表面を露出する。
【0024】
第一プレートが後部プレートである場合、各交差部領域すなわち各セルにおいて、後部プレート及び場合に応じてこれらの領域を分離する障壁の壁は、赤、緑、青の異なる放射色の発光体を提供される。従来技術と異なり、維持放電は前面プレートと後部プレートとの間で点火される。後部プレートでの点火を容易にするために、放電の基部において、プレートの表面が、イオン衝突によって二次電子を放出できるマグネシア(MgO)などの物質から構成されることが必要である。この目的のために、これらの領域では、MgOベースの下の薄層を露出するよう発光体層が除去される。
−一連の維持電圧パルスの印加前に、前記領域のアドレス放電を生ずるように、対になった電極の一つの電極と第一プレートの電極との間のアドレス電圧パルスが印加される。
【0025】
したがって、従来のアドレス方法を使用できる。それは、パネルのすべての行が最初の維持パルスより前にアドレスされる方法("ADS"若しくは"ADM"と呼ばれる方法)であっても、当業者によく知られている別のアドレス方法であってもよい。
−好ましくは、維持パルスが印加される第二プレートの電極から第一プレートの電極を分離する距離は250μm未満であり、さらにかかる交差部での同じ対の電極どうしを分離する距離は250μm以上である。好ましくは、放電安定化パルス列の周波数は150MHz未満であるか、又はさらには60MHz未満であるか、若しくは60MHzに等しい。
【0026】
−前記パルス列は一連の各維持パルスの後に印加されるか、あるいは一連の維持パルスの印加を通して印加され続ける。この後者の構成は維持放電によって生じる最大数のイオンを安定化することを有利に可能にして、それによってパネルの発光効率がさらに増大されることを可能にする。さらに、高周波数出力回路の切り換えによって引き起こされる電気的な損失を制限することを可能にする。
【0027】
本発明の主題はまた、本発明による駆動方法を適用するために設計された面放電型プラズマディスプレイパネルであり、かかるパネルは
−少なくとも第一アレイ電極を備えた第一プレートと、
−第一アレイ電極の方向にほぼ垂直な全体的方向をもつ、少なくとも第二アレイの電極対を備え、第一アレイ電極に平行で、各対の電極の間に、第一アレイの電極と第二アレイの電極対との交差部に位置する放電領域ができるような、第二プレートとを有し、各放電領域において、対になった電極を分離する距離は、前記領域と交差する第一プレートの電極を対になった電極のいずれか1つと分離する距離よりも長いことを特徴とする。
【0028】
本発明による方法の維持電圧パルスが印加されるのは、対になった電極の一つと、第一プレートのかかる電極との間である。
【0029】
本発明はまた、下記に記載の一つ以上の特徴を有してもよく、それらは
−第一アレイ電極と第二アレイの電極対との間の距離は250μm未満であり、さらに交差部での同一対の電極を分離する距離は250μm以上であること、
−第二アレイの電極対は誘電体層で被覆されており、該誘電体層自身は保護層によって概括的に被覆されること、
−第一プレートは薄い保護する二次電子放出層によって被膜され、さらに、放電からの紫外線を吸収しパネル前面に面するプレートを通じて可視光線を放出するように位置される発光層を備え、これらの層は、裂け目において、下にある薄い保護膜の表面を露出するよう、電極の各交差領域において裂け目を有すること、である。
本発明は、限定しない実施例を用いて、さらに添付図を参照して、下記に与えられる記載によってさらに明白に理解されるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明を実行するために有利に使用され得る、面放電型ディスプレイパネルの3つの隣接する放電領域のグループにおける一つの実施態様を概略する平面図である。
【図2】本発明を実行するために有利に使用され得る、面放電型ディスプレイパネルの3つの隣接する放電領域のグループにおける一つの実施態様を概略する断面図である。
【図3】本発明を実行する一つの態様によって、放電(矢印)の拡散を例示する、図1及び2に示されるグループの放電領域を示す、縦断面図である。
【図4】本発明を実行する一つの態様によって、図1、2及び3に示されるパネルの様々な電極に印加される電圧についてのタイミングダイアグラムを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
好ましい実施態様にしたがい、図1及び2を参照をするに、本発明を実行するために使用される面放電型パネルは、
−障壁21、22のアレイを設けられた誘電体層1で被覆されている、電極の電極Aのアレイを設けられた後部プレート(示されていない)と、
−電極X、Yのアレイを設けられ、該アレイが誘電体層3で被覆されている前面プレート(示されていない)とを有する。
【0032】
前面プレートの電極X、Yの全体的な方向は、後部プレートの電極Aの全体的な方向に対して垂直である。
【0033】
誘電体層1、3自身は、保護のため及び二次電子放出のために非常に薄い層で被覆されており、かかる薄層(示されていない)は、ここでMgOベースである。
【0034】
障壁のアレイは、後部プレートの電極Aに平行に延在する壁21及び前面プレートの電極X、Yに平行に延在する壁22によって形成され、それにより電極Aと、対になった電極X及びYとの交差部で放電領域4R、4G、4Bが画定される。
【0035】
後部プレートの障壁の上部は前面プレートを支持する。
【0036】
障壁の壁及び後部プレートの誘電体層1は、それぞれの領域4R、4G及び4Bにおける局在した放電からの紫外線放射によって励起される場合にそれぞれ赤、緑及び青で放射できる、発光体層5R、5G及び5Bで被覆される。したがって、図1及び2に示される3つの隣接する放電領域のグループは、本発明を実行するための画像表示パネルにおける一つの画素又はピクセルに対応する。
【0037】
後部プレートの電極Aは、パネルの高さ全体にわたって障壁下で延在する伝導性バス61を含み、該伝導性バスは各放電領域において突出しているブランチ62を設けられ、所与の領域4R、4G又は4Bの各ブランチ62は、その領域と交差し、かかる領域の中央近くに位置する、対X、Yの電極Xの反対に位置され、電極Xの各ブランチ62の自由端の反対において、誘電体層1は発光体を含まず、発光体層5R、5G及び5Bの層の裂け目7を形成し、かかる裂け目で、薄く、保護する二次的な電子放出層のマグネシア(MgO)ベースの表面を露出するようになっており、したがって、この層のマグネシアに放電が近づいてマグネシアが二次電子を放出できるようにしやすくなる。これは点火電圧の減少に好ましい。したがって、上述の裂け目7において、MgOベースの保護層の表面は、放電領域4R、4G又は4Bに直接的に接触し、最後に、パネルは、ピクセルのカラムごとに一つの電極Aを含む。
【0038】
対になった電極X、Yはパネルの幅全体にわたって延在し、パネルはピクセルの行ごとに一つの対X、Yを有する。代替となる実施態様によると、米国特許第5162701号(NEC)に記載のように、一つの電極Xが、2つの隣接するピクセル列に対して共通であってよい。
【0039】
最後に、本発明の重要な特徴により、各ピクセルでの対になっている電極X、Y間の距離は、後部プレートのアレイ電極Aと前面プレートの対になった電極X、Yとの間の距離よりも長い、すなわち、プレート間の距離とアレイに加えられる層の厚さとの合計よりも長い。正確な値は後に与えられる。
【0040】
上に記載した面放電型パネルを製造するためには既知の従来の諸方法が使用されるが、ここでは記載されない。
【0041】
本発明により、かかる面放電型パネルを使用するために、電極は、第一アレイのカラム電極A及び第二アレイの対になった電極X、Yのための電圧供給システムに接続される。この種類の供給システムそのものは既知であるので、ここでは記載しない。従来通りに、かかるシステムを使用して、パネルを1行ずつ又は行のグループごとにスキャニングすることによって画像がパネルに表示される。従来通りに、各スキャン自体が、所望数のグレーレベルの獲得を可能にするいくつかのサブスキャンに分割される。図3及び4を参照するに、各サブスキャンは、少なくとも下記の段階を含み、それらは、
−第一に、活性化される各列の放電領域において、この放電領域でアドレス放電D(示されていない)を生じるように、問題となる行の電極Xと、この放電領域と交差する電極Aとの間のアドレス電圧パルスの印加。かかる電圧パルスは、電極A及びXにそれぞれ信号SAA及びSAXを同時印加することによって得られる。
【0042】
−次に、本発明にしたがって、再度、前述の放電領域において、この放電領域で維持放電D(図3に示されている)を生じるように、問題となる列の同じ電極Xと、この放電領域を交差する同じ電極Aとの間の一連の維持電圧パルスの印加であり、かかる電圧パルスは、電極A及びXにそれぞれ正信号SHX及びSHAを交互に印加することによって得られる。この形態において、電極A及びXは陰極及び陽極として交互に使用されて、さらに維持は"二極性"と呼ばれる。従来技術から既知の別の維持形態は、欧州特許第855692号(NEC)に記載のような"正の"維持又は"負の"維持などが考えられる。
【0043】
−最後に、維持パルスと同時に、問題となる行の電極Xとそれと対になる電極Yとの間に、これらの電極間で維持放電を移動させ、安定した放電Dを形成するために、十分に高い周波数で少なくとも一つのパルス列を印加すること。このパルス列は、ここでは電極Yに対して無線周波信号TSYを印加することによって得られる。特開平10−171399号でのように、維持パルス、信号SHX又はSHAの印加と、パルス列TSYの印加の開始との間に経過する時間間隔は、維持放電から帰結する電荷を反対にするために必要とされる時間よりも短くなるべきであり、好ましくは特開平10−171399号に記載の方法と異なり、特開平10−171399号では各維持パルス以前に高周波数パルス列が中断されるが、今の場合では、高周波数パルス列は、問題となるサブスキャンに関連する維持期間の最後まで中断されずに印加される。エネルギーを消費する高周波数の切り換え操作の数が制限されるので、この構成は、維持放電によって発生する最大数のイオンを安定化し、パネルの発光効率をさらに改善し、したがって電気効率を改善することを可能にする。
【0044】
上に記載した本発明を実行する方法は、図4での最後のタイミングダイアグラムに示されるように、放電D、次いで一連のD、Dという連続を与える。したがって、維持放電Dが安定放電Dを点火又は強化するために使用されると見ることができる。
【0045】
裂け目7が、放電領域と直接接触するようMgOベースの保護層のあるエリアを露出するので、放電を獲得するために必要とされる維持電圧は依然として従来値を有しており、さらに、それら裂け目の存在は発光体層の損傷を制限することを可能にする。
【0046】
高周波数パルスの使用、さらにそれから得られる放電の安定性のおかげで、パネルの発光効率は、きわめて著しく改善される。
【0047】
本発明によると、維持放電D及び安定放電Dが同じ電極間に延在するのではないので(第一の放電の場合にはXとA、第二の放電の場合にはXとYの間)、下記の距離を独立して選択することができる。
−プラズマパネルのための通常の電子構成部品と互換性のある従来の維持電圧値を使用できるように十分に短い、電極XとAとの間の距離、
−放電を安定化するために低周波数を使用できるように十分に長い、電極XとYとの間の距離。好ましくは、この距離は250μm以上であり、500μmと1000μmとの間の距離も、放電安定周波数をさらに低くするために想定されてよい。共面電極間のギャップの高い値は、そのようなギャップが前面プレートを通じた十分な光学的な開口を提供するので、これらの電極について透明な伝導物質を使用する必要性を有利に回避する。このようにして、これは、図1に示されるような、狭く不透明であり、したがって高価でない共面電極につながる。
【0048】
共面電極X及びYの間の500μm乃至1000μmのギャップで従来の組成及び圧力の放電ガスを使用して、一般的に100MHzより低く、特に60MHz乃至30MHzの間で放電を安定化することが可能である。
【0049】
好ましくは、維持パルスの周波数SHX、SHAは、一般的に1kHz乃至50kHz間である。
【0050】
このようにして、本発明のおかげで、共面電極間のギャップを広げるなどの簡素で高価でない調節手段によって、従来の維持電圧及び比較的低い安定化周波数を用いながら、安定したプラズマ放電を得るために従来の面放電型パネルを使用することが可能である。
【0051】
多数の電極アレイを有するパネル、行電極が放電領域の2つの隣接する行に共通であるパネル、米国特許第5825128号(フジ)に記載のような放電領域が互い違いの構成に配列されたパネル、及び欧州特許第945890号(トムソン)に記載のような共面電極対が背面に位置されたパネルなど、上に記載した以外の他種類の面放電型パネルを本発明を実行するために使用してもよい。
【0052】
上に記載した以外のアドレス方法、特に点火準備段階及び/又は消去段階を設ける方法を、本発明を実行するために使用してもよい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも電極の第一アレイを備えた第一プレートと、
少なくとも電極対の第二アレイを備えた、前記第一プレートに平行な第二プレートとを有する面放電型プラズマディスプレイパネルの駆動方法であって、前記対の電極の方向は前記第一アレイの電極の方向にほぼ垂直であり、各対の電極の間に、前記第一アレイの電極と前記第二アレイの電極の対との交差部に位置する放電領域ができており、
当該方法は、
放電を維持することが望まれる前記交差部領域の各々において維持放電(D)を発生させるように少なくとも一連の維持電圧パルス(SHA、SHX)を印加することと、
維持放電(D)を発生させる前記維持電圧パルスのうちの少なくとも一つの後に、前記交差部領域と交差する対の2つの電極の間に、安定化された放電(D)の生成につながる周波数をもつパルス列(TSY)を印加することとを含み、
前記維持電圧パルス(SHA、SHX)は、前記第二プレートの前記対になっている電極の一方の電極と前記交差部領域と交差する前記第一プレートの電極との間に印加され、
前記プラズマディスプレイパネルの各放電領域において、対になっている電極を分離する距離は、前記維持電圧パルス(SHA、SHX)が印加される、前記交差部領域と交差する前記第一プレートの前記電極と前記対になっている前記電極の前記一方の電極とを分離する距離よりも長いことを特徴とする、
面放電型プラズマディスプレイパネルの駆動方法。
【請求項2】
前記パルス列は無線周波数のパルス列であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第二アレイの電極(X、Y)は、誘電体層(3)で被膜されていることを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記維持電圧パルスが印加される、前記第二プレートの電極から前記第一プレートの前記電極を分離する距離は、250μm未満であり、
前記交差部における同じ対の電極どうしを分離する距離は、250μm以上であることを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項5】
前記パルス列(TSY)の周波数は150MHz未満であることを特徴とする請求項1ないし4のうちいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記パルス列(TSY)の周波数は、60MHz以下であることを特徴とする請求項1ないし5のうちいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記パルス列(TSY)の周波数が、前記安定化された放電のイオンが前記パルス列の1交番期間の間に前記対になっている2つの電極の一つに達するのを防ぎ、前記安定化された放電のイオンが前記対になっている2つの電極間で振動するようにするのに十分高いことを特徴とする、請求項5記載の方法。
【請求項8】
前記パルス列(TSY)は、前記一連の維持電圧パルス(SHX、SHA)のそれぞれの後に印加されることを特徴とする、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記パルス列(TSY)は、前記一連の維持電圧パルスの前記印加を通して印加され続けることを特徴とする、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
面放電型プラズマディスプレイパネルであって、当該プラズマディスプレイパネルは、
少なくとも第一アレイの電極を備えた第一プレートと、
少なくとも第二アレイの電極対を備えた、前記第一プレートに平行な第二プレートとを有しており、前記対の電極の方向は前記第一アレイの電極の方向にほぼ垂直であり、各対の電極の間に、前記第一アレイの電極と前記第二アレイの対になった電極との交差部に位置する放電領域ができており、
前記各放電領域において、前記対になった電極を分離する距離は、前記対になった電極のいずれの1つから前記交差部領域と交差する前記第一プレートの前記電極を分離する距離よりも長く、当該プラズマディスプレイパネルの駆動が請求項1乃至9のうちいずれか一項に記載の駆動方法を実装することを特徴とする、面放電型プラズマディスプレイパネル。
【請求項11】
前記第一アレイの電極と前記第二アレイの対になった電極との間の距離は250μm未満であり、前記交差部での同じ対の電極どうしを分離する距離は250μm以上であることを特徴とする請求項10に記載のプラズマディスプレイパネル。
【請求項12】
前記第二アレイの電極は、誘電体層(3)で被覆されていることを特徴とする請求項11に記載のプラズマディスプレイパネル。
【請求項13】
前記第一プレートは二次電子を放出する薄い保護層によって被膜され、さらに、前記放電からの紫外線を吸収し、前記プラズマディスプレイパネルの前面にある前記第二プレートを通して可視光線を放出するように位置される発光層を備えられ、前記発光層は、裂け目(7)において、下にある前記薄い保護層の表面を露出するよう、前記電極の各交差部領域に裂け目(7)を有することを特徴とする請求項12に記載のプラズマディスプレイパネル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−61149(P2010−61149A)
【公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−244124(P2009−244124)
【出願日】平成21年10月23日(2009.10.23)
【分割の表示】特願2002−565288(P2002−565288)の分割
【原出願日】平成14年2月14日(2002.2.14)
【出願人】(599038949)
【Fターム(参考)】