説明

放電システム、および電動車両

【課題】組電池を構成する電池ブロック間の電圧や残容量のばらつきを補正するための放電装置の作動をより確実に行う。
【解決手段】放電依頼部22は、モータジェネレータ42に対して組電池10からの電力供給が行われていない場合であって、かつ、組電池10を構成する電池ブロック間の残容量のばらつき量が所定値より大きい場合に、電池ブロックのうち少なくとも最も残容量の大きい電池ブロックに対応する放電制御部52に対して当該電池ブロックからの電力供給の開始を指示する。放電制御部52は、電池ブロックによる電力供給の開始指示を受けて、電池ブロックによる電力供給が開始されることに対応して、放電部54に対して電池ブロックの放電を指示する。放電部54は、放電指示を受けて、電池ブロックの放電を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、組電池を構成する電池ブロック間の残容量のばらつきを補正する放電システム、および放電システムを備える電動車両に関する。
【背景技術】
【0002】
電動機により車両駆動力を得ている電気自動車(PEV)やハイブリッド電気自動車(HEV)などの電動車両は、二次電池を搭載し、この二次電池に蓄えられた電力により電動機を駆動している。このような電動車両は、回生制動、すなわち、車両制動時に電動機を発電機として機能させ、車両の運動エネルギを電気エネルギに変換することにより制動する機能を備えている。ここで変換された電気エネルギは二次電池に蓄えられ、加速を行う時などに再利用される。
【0003】
上記のような電両車両に搭載される二次電池は、複数の電池ブロックを直列接続した組電池として構成される場合が多い。電池ブロックは、例えば、複数の単電池や複数の単電池を直列接続した複数の電池モジュールから構成される。このように構成される二次電池では、使用環境等により電池ブロック間で電池容量や電池電圧にばらつきが生じることがある。
【0004】
特許文献1には、ハイブリッド電気自動車が停車している間に、組電池を構成するセル電池の平均無負荷電圧と所定の基準電圧との比較を行い、比較結果に基づいて、ばらつき補正を行う技術が開示されている。
【0005】
特許文献2には、バイパス抵抗による組電池の容量調整が行われる場合に、マイクロコンピュータからのハイレベル信号の出力により電源部をオン状態に制御し、組電池の充放電が終了した後でも当該電源部から制御回路全体へ電源供給が継続され、容量調整が中止されることなく最後まで行われる技術が開示されている。
【0006】
特許文献3には、補機用電源から電力を供給して、各セル電池のばらつきを補正するための均等化処理を行うバイパス回路や、バイパス回路を制御する制御装置を駆動するシステムにおいて、補機用電源の電圧又は残容量が所定値以下の場合には、全てのバイパス回路の作動を停止させる技術が開示されている。
【0007】
【特許文献1】特開平11−234917号公報
【特許文献2】特開2002−354698号公報
【特許文献3】特開2003−189490号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、組電池を構成する電池ブロック間の電圧や残容量のばらつきを補正するための放電回路に電力を供給する電源として、補機用電源などを用いる場合、当該電源の残容量によっては、例えば当該電源の残容量が所定値以下の場合に、正常に放電回路が作動しないおそれがある。
【0009】
本発明は、例えば、組電池を構成する電池ブロック間の電圧や残容量のばらつきを補正するために用いられる放電装置の作動をより確実に行うことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る放電システムは、組電池を構成する電池ブロックのうち放電対象の電池ブロックに接続され、当該放電対象の電池ブロックの放電を行う放電部と、前記放電対象の電池ブロックによる電力供給により作動する放電制御部であって、電力供給が開始されることに対応して、前記放電部に対して前記放電対象の電池ブロックの放電を指示する放電制御部と、前記組電池を構成する電池ブロック間の電気容量のばらつき量が所定値より大きい場合に、電池ブロックのうち最も残容量の大きい電池ブロックを少なくとも放電対象の電池ブロックとして、当該放電対象の電池ブロックから前記放電制御部への電力供給を開始させる放電依頼部と、を備えることを特徴とする。
【0011】
本発明に係る放電システムの1つの態様では、前記放電制御部は、前記放電対象の電池ブロックの残容量が所定の基準値より小さくなった場合、前記放電部に対して前記放電対象の電池ブロックによる放電の停止を指示し、さらに前記放電対象の電池ブロックからの電力供給を停止することを特徴とする。
【0012】
本発明に係る放電システムは、組電池を構成する電池ブロックのうち放電対象の電池ブロックに接続され、当該放電対象の電池ブロックの放電を行う放電部と、前記放電対象の電池ブロックによる電力供給により作動する放電制御部であって、電力供給が開始されることに対応して、前記放電部に対して前記放電対象の電池ブロックの放電を指示する放電制御部と、端子電圧が所定の第1基準電圧を超える電池ブロックを検知した場合、検知された電池ブロックを少なくとも放電対象の電池ブロックとして、当該放電対象の電池ブロックから前記放電制御部への電力供給を開始させる放電依頼部と、を備えることを特徴とする。
【0013】
本発明に係る放電システムの1つの態様では、前記放電制御部は、前記放電対象の電池ブロックの端子電圧が所定の第2基準電圧より小さくなった場合、前記放電部に対して前記放電対象の電池ブロックによる放電の停止を指示し、さらに前記放電対象の電池ブロックからの電力供給を停止することを特徴とする。
【0014】
本発明に係る電動車両は、駆動源としてのモータジェネレータと、前記モータジェネレータに電力を供給する複数の電池ブロックから構成される組電池と、前記組電池を構成する電池ブロックのうち放電対象の電池ブロックに接続され、当該放電対象の電池ブロックの放電を行う放電部と、前記放電対象の電池ブロックによる電力供給により作動する放電制御部であって、電力供給が開始されることに対応して前記放電部に対して前記放電対象の電池ブロックの放電を指示する放電制御部と、前記モータジェネレータに対して前記組電池からの電力供給が行われていない場合であって、かつ、前記組電池を構成する電池ブロック間の電気容量のばらつき量が所定値より大きい場合に、放電条件を満たすと判定し、電池ブロックのうち最も残容量の大きい電池ブロックを少なくとも放電対象の電池ブロックとして、当該放電対象の電池ブロックからの前記放電制御部への電力供給を開始させる放電依頼部とを備えることを特徴とする。
【0015】
本発明に係る電動車両の1つの態様では、前記放電制御部は、前記放電対象の電池ブロックの残容量が所定の基準値より小さくなった場合、前記放電部に対して前記放電対象の電池ブロックの放電の停止を指示し、さらに前記放電対象の電池ブロックからの電力供給を停止することを特徴とする。
【0016】
本発明に係る電動車両は、駆動源としてのモータジェネレータと、前記モータジェネレータに電力を供給する複数の電池ブロックから構成される組電池と、前記組電池を構成する電池ブロックのうち放電対象の電池ブロックに接続され、当該放電対象の電池ブロックの放電を行う放電部と、前記放電対象の電池ブロックによる電力供給により作動する放電制御部であって、電力供給が開始されることに対応して前記放電部に対して前記放電対象の電池ブロックの放電を指示する放電制御部と、前記モータジェネレータに対して前記組電池からの電力供給が行われていない場合であって、かつ、端子電圧が所定の第1基準電圧を超える電池ブロックを検知した場合に、放電条件を満たすと判定し、検知された電池ブロックを少なくとも放電対象の電池ブロックとして、当該放電対象の電池ブロックから前記放電制御部への電力供給を開始させる放電依頼部と、を備えることを特徴とする。
【0017】
本発明に係る電動車両の1つの態様では、前記放電制御部は、前記放電対象の電池ブロックの端子電圧が所定の第2基準電圧より小さくなった場合、前記放電部に対して前記放電対象の電池ブロックによる放電の停止を指示し、さらに前記放電対象の電池ブロックからの電力供給を停止することを特徴とする。
【0018】
本発明に係る電動車両の1つの態様では、補機用バッテリを備え、前記放電制御部は、さらに、前記補機用バッテリからの電力供給が開始されることに対応して前記放電部に対して前記放電対象の電池ブロックの放電を指示し、前記放電依頼部は、前記放電条件を満たし、かつ、前記補機用バッテリの残容量が所定値以上の場合には、前記補機用バッテリから前記放電制御部への電力供給を開始させ、前記放電条件を満たし、かつ、前記補機用バッテリの残容量が所定値より小さい場合には、前記放電対象の電池ブロックから前記放電制御部への電力供給を開始させることを特徴とする。
【0019】
本発明に係る電動車両の1つの態様では、前記放電制御部が、前記補機用バッテリからの電力供給が開始されることに対応して前記放電部に対して前記放電対象の電池ブロックの放電を指示した場合、前記放電部は、当該放電対象の電池ブロックからの電力で前記補機用バッテリを充電することにより、当該放電対象の電池ブロックに対する放電を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、例えば、組電池を構成する電池ブロック間の電圧や残容量のばらつきを補正する際に用いられる放電装置の作動をより確実に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明を実施するための最良の形態を具体的に示した第1の実施形態について、ハイブリッド電気自動車を例に、図面を参照して説明する。なお、第1の実施形態では、電動車両の1つであるハイブリッド電気自動車を例に説明するが、駆動源としてモータジェネレータを備える他の電動車両にも第1の実施形態は適用可能である。
【0022】
図1は、第1の実施形態に係るハイブリッド電気自動車の概略構成を示す図である。図1において、電池電子制御ユニット(以下、電池ECUと称す)20は、組電池10から電池電圧、電池温度などの情報を受けて、組電池10のSOCを計時的に推定し、推定したSOCや電池電圧、電池温度などの情報をハイブリッド電子制御ユニット(以下、HV−ECUと称す)30に送信する。HV−ECU30は、インバータ40、駆動力分配機構46、エンジン48を制御する。なお、電池ECU20は、組電池10から電圧センサ、電流センサ、温度センサ(各センサは図示せず)を介して、電池情報を所定の周期で取得する。ここで、例えば、組電池10からモータジェネレータ42への電力供給が行われていない期間は、電力供給が行われている期間と比べて、組電池10の電圧や電流などの変化が緩やかとなる。そこで、組電池10からモータジェネレータ42への電力供給が行われている期間よりも、電力供給が行われていない期間のほうを長くなるように、電池情報の取得周期を設定してもよい。これにより、電池情報の取得により電池ECU20が消費する電力を低減することができる。例えば、電池ECU20は、モータジェネレータ42の停止信号を受信することに対応して電池情報の取得周期を、モータジェネレータ42が起動中における周期よりも長い周期に切り替えればよい。
【0023】
また、電池ECU20は、放電依頼部22を備える。放電依頼部22は、各センサを介して組電池10から電池ブロックごとに電池電圧、充放電電流、電池温度などの電池情報を取得して、電池ブロック間の電気容量のばらつきを測定する。例えば、放電依頼部22は、電池ブロックのうち、最大の残容量の電池ブロックと最小の残容量の電池ブロックを特定し、その差が所定値以上の場合、電池ブロックの残容量にばらつきが生じていると判定する。判定後、放電依頼部22は、ばらつきが生じている場合には、最大の残容量の電池ブロックに対応する放電装置50に対して放電依頼を送信する。放電装置50については後述する。ここで、電池ブロックに対して放電を行うと、放電により熱が発生する。一方、ハイブリッド電気自動車が、組電池10による電力供給を受けてモータジェネレータ42を駆動して走行している場合、組電池10や各ECUにおいて熱が発生する。このような熱の発生により、組電池10の充放電能力が低下するおそれがある。よって、熱の発生を抑制することが好ましい場合がある。また、組電池10による電力供給を受けてモータジェネレータ42が駆動している時は、各電池ブロックの端子電圧は変動が比較的大きく、充放電電流も比較的大きい。一方、組電池10による電力供給を受けてモータジェネレータ42が駆動していない時は、各電池ブロックの端子電圧は比較的安定しており、充放電電流も比較的小さい。そこで、放電依頼部22は、組電池10による電力供給を受けてモータジェネレータ42が駆動していない時、例えば、車両停止中あるいは、エンジン48のみでの走行中に、放電依頼を送信してもよい。
【0024】
なお、放電依頼部22は、例えばHV−ECU30からインバータ40の駆動に関する制御信号を受信して、その制御信号に基づいて、組電池10による電力供給を受けてモータジェネレータ42が駆動しているか否かを検知することができる。放電依頼部22は、当該制御信号に基づいて、モータジェネレータ42への充電や放電が行われているか否かを判定し、モータジェネレータ42への充電や放電が行われていない場合に、モータジェネレータ42が組電池10による電力供給を受けていないと判定する。また、放電依頼部22は、組電池10の充放電電流を電流センサを介して取得して、その充放電電流の大きさに基づいて検知することもできる。つまり、放電依頼部22は、充放電電流が所定値より小さい場合に、モータジェネレータ42が組電池10による電力供給を受けていないと判定することができる。
【0025】
組電池10は、複数の電池ブロックBを直列に接続して構成される。各電池ブロックBはそれぞれ、2個の電池モジュールを電気的に直列接続して構成されており、更に、各電池モジュールは、6個の単電池を電気的に直列に接続して構成されている。なお、電池ブロック、電池モジュール、単電池の数は特に限定されるものではない。組電池の構成も上記した例に限定されるものではない。組電池10は、具体的には、ニッケル水素二次電池、リチウムイオン二次電池などである。
【0026】
組電池10は、インバータ40を介してモータジェネレータ(M/G)42に接続される。モータジェネレータ42は、遊星ギア機構を含む駆動力分配機構46を介してエンジン(内燃機関)48と接続される。
【0027】
さらに、第1の実施形態では、電池ブロック間の電圧あるいは残容量のばらつきを補正するための放電装置50が、電池ブロックごとに備えられる。
【0028】
放電装置50は、上記の通り、放電依頼部22から送信される放電依頼を受けて、自身に接続された電池ブロックBに対する放電を行う。
【0029】
放電装置50は、放電制御部52と、放電部54と、電圧センサVとを備える。放電制御部52および放電部54は、放電対象の電池ブロックの両端子に並列接続される。放電制御部52は、例えばマイクロコンピュータにより構成され、電力供給ラインLを介して電池ブロックの両端子に接続され、電池ブロックから電力の供給を受けて駆動する。電力供給ラインLには、電池ブロックからの電力供給のオンオフを制御するためのスイッチSWbが設けられる。スイッチSWbは、放電依頼部22からの放電依頼を受けると、オン状態となる。
【0030】
放電制御部52は、スイッチSWbがオンして電池ブロックからの電力供給が開始されると、システムを起動する。起動が完了すると、放電部54に対して放電指示を出力する。
【0031】
放電部54は、電池ブロックと並列接続され、放電素子RとスイッチSWaとから構成される。放電部54は、放電制御部52からの放電指示を受けて、スイッチSWaをオンする。スイッチSWaがオンされると、電池ブロックから放電素子Rに電流が流れ、電池ブロックの放電が行われる。
【0032】
放電制御部52は、電圧センサVを介して電池ブロックの端子電圧を検知し、電池ブロックの端子電圧が所定の電圧値より小さくなった時点、あるいは電池ブロックの残容量が所定の基準値より小さくなった時点(なお、端子電圧が所定の電圧値より小さくなった時点を、残容量が所定の基準値より小さくなった時点と捉えてもよい。)で、放電部54に対して放電停止指示を出力するとともに、スイッチSWbをオフして、電池ブロックからの電力供給を遮断し、システムを停止する。
【0033】
なお、上記では、電池ブロックごとに放電装置50を設ける構成について説明した。しかし、例えば、図2に示すように、マルチプレクサ58を介して、1つの放電装置50に対して少なくとも2つの電池ブロックを接続することで、放電装置50の数を削減してもよい。図2では、1つのマルチプレクサ58を設けて、組電池10を構成するすべての電池ブロックを1つの放電装置50に接続する構成を示している。しかし、複数のマルチプレクサを設けて、電池ブロックを複数のグループに分けて、グループごとに放電装置を設けてもよい。
【0034】
以上、第1の実施形態によれば、放電装置50は、放電対象の電池ブロックから直接電力の供給を受けて、電池ブロックの放電を行う。上記の通り、放電依頼部22からの放電指示は、他の電池ブロックに比べて余剰の残容量をもつ電池ブロックに対して送信される。例えば、補機用バッテリから電力を供給を受けて放電装置50が作動する場合には、補機用バッテリの残容量によって正常に作動しないおそれがある。しかし、第1の実施形態によれば、余剰の残容量をもつ電池ブロックから電力供給を受けるため、放電装置50が電力の供給を受けられないことが原因で作動しないことはない。よって、第1の実施形態によれば、組電池を構成する電池ブロック間の残容量のばらつきを補正するための放電装置の作動をより確実に行うことができる。
【0035】
続いて、第2の実施形態について、以下、図面を用いて説明する。
【0036】
図3は、第2の実施形態に係るハイブリッド電気自動車の概略構成を示す図である。第2の実施形態に係るハイブリッド電気自動車では、放電装置50は、電力供給ラインL’を介して、電池ECU20やHV−ECU30などに電力を供給する補機用バッテリ60と接続される。電力供給ラインL’には、補機用バッテリ60からの電力供給をオンオフするスイッチSWcが設けられる。第2の実施形態では、スイッチSWcをオンすることで、放電装置50が補機用バッテリ60から電力供給を受けることができる点で第1の実施形態と異なる。なお、図3では図1に示した各部と共通部分については同一符号を付して説明を省略する。
【0037】
第2の実施形態では、放電依頼部22は、放電依頼を送信する場合、まず、補機用バッテリ60から補機用バッテリ60の残容量の情報を取得して、残容量が所定値より大きいか否かの判定を行う。なお、放電依頼部22は、例えば、補機用バッテリ60の端子電圧を検知して、その検知結果に基づいて残容量を算出すればよい。判定の結果、残容量が所定値より大きい場合には、放電依頼部22は、放電対象の電池ブロックが接続された放電装置50のスイッチSWcをオンして、補機用バッテリ60から放電装置50への電力供給を開始する。その後、放電装置50は、第1の実施形態と同様に、電池ブロックの放電を行う。
【0038】
一方、放電依頼部22は、補機用バッテリ60の残容量が所定値以下の場合には、放電対象の電池ブロックが接続された放電装置50のスイッチSWbをオンして、電池ブロックから放電装置50への電力供給を開始する。その後は、放電装置50は、第1の実施形態と同様に、電池ブロックの放電を行う。
【0039】
以上、第2の実施形態によれば、放電装置50は、電池ブロックから直接電力供給を受けることもでき、補機用バッテリ60からも電力供給を受けることができる。よって、放電装置の作動をより確実に行うことができる。
【0040】
なお、第2の実施形態では、電池ブロックから直接電力供給を受ける場合にも、放電素子Rに電流を流すことで、電池ブロックの放電を行っている。しかし、放電素子Rに電流を流す代わりに、電池ブロックからの電力を補機用バッテリ60に供給して、補機用バッテリ60の充電を行うことで、電池ブロックの放電を行ってもよい。これにより、電池ブロック間の残容量のばらつきを抑えつつ、補機用バッテリ60の充電も行うことができる。
【0041】
また、上記の各実施形態では、電池ブロック間の残容量のばらつきが生じた場合に、放電依頼部22が他の電池ブロックに比べて余剰の残容量をもつ電池ブロックに対して放電を依頼する例について説明した。しかし、放電を依頼する条件は上記に限られない。例えば、他の電池ブロックとの間での残容量のばらつきは少ない場合でも、電池ブロックの端子電圧が高い場合に、その電池ブロックに好ましくない影響を与えることがある。例えば、リチウムイオン二次電池の単セルを電池ブロックとして用いると、その電池ブロックの端子電圧が、所定の第1基準電圧(例えば、4.2V)を超える場合、その電池ブロックの正極に金属リチウムの析出が生じるおそれがある。そこで、放電依頼部22は、各電池ブロックの端子電圧を監視し、端子電圧が所定の第1基準電圧を超える電池ブロックを検知した場合、当該電池ブロックを放電対象の電池ブロックとして、その電池ブロックが接続された放電装置50のスイッチSWbをオンして、電池ブロックから放電装置50への電力供給を開始してもよい。この場合においても、放電制御部52は、放電対象の電池ブロックが所定の第2基準電圧(第1基準電圧と同じ値でもよい)より小さくなったことを検知した場合、放電部54に対して放電停止指示を出力するとともに、スイッチSWbをオフして、電池ブロックからの電力供給を遮断し、システムを停止する。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】第1の実施形態に係るハイブリッド電気自動車の概略構成を示す図である。
【図2】第1の実施形態の変形例に係るハイブリッド電気自動車の概略構成を示す図である。
【図3】第2の実施形態に係るハイブリッド電気自動車の概略構成を示す図である。
【符号の説明】
【0043】
10 組電池、20 電池ECU、22 放電依頼部、30 HV−ECU、40 インバータ、42 モータジェネレータ、46 駆動力分配機構、48 エンジン、50 放電装置、52 放電制御部、54 放電部、58 マルチプレクサ、60 補機用バッテリ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
組電池を構成する電池ブロックのうち放電対象の電池ブロックに接続され、当該放電対象の電池ブロックの放電を行う放電部と、
前記放電対象の電池ブロックによる電力供給により作動する放電制御部であって、電力供給が開始されることに対応して、前記放電部に対して前記放電対象の電池ブロックの放電を指示する放電制御部と、
前記組電池を構成する電池ブロック間の電気容量のばらつき量が所定値より大きい場合に、電池ブロックのうち最も残容量の大きい電池ブロックを少なくとも放電対象の電池ブロックとして、当該放電対象の電池ブロックから前記放電制御部への電力供給を開始させる放電依頼部と、
を備える放電システム。
【請求項2】
請求項1に記載の放電システムにおいて、
前記放電制御部は、
前記放電対象の電池ブロックの残容量が所定の基準値より小さくなった場合、前記放電部に対して前記放電対象の電池ブロックによる放電の停止を指示し、さらに前記放電対象の電池ブロックからの電力供給を停止する、
ことを特徴とする放電システム。
【請求項3】
組電池を構成する電池ブロックのうち放電対象の電池ブロックに接続され、当該放電対象の電池ブロックの放電を行う放電部と、
前記放電対象の電池ブロックによる電力供給により作動する放電制御部であって、電力供給が開始されることに対応して、前記放電部に対して前記放電対象の電池ブロックの放電を指示する放電制御部と、
端子電圧が所定の第1基準電圧を超える電池ブロックを検知した場合、検知された電池ブロックを少なくとも放電対象の電池ブロックとして、当該放電対象の電池ブロックから前記放電制御部への電力供給を開始させる放電依頼部と、
を備える放電システム。
【請求項4】
請求項3に記載の放電システムにおいて、
前記放電制御部は、
前記放電対象の電池ブロックの端子電圧が所定の第2基準電圧より小さくなった場合、前記放電部に対して前記放電対象の電池ブロックによる放電の停止を指示し、さらに前記放電対象の電池ブロックからの電力供給を停止する、
ことを特徴とする放電システム。
【請求項5】
駆動源としてのモータジェネレータと、
前記モータジェネレータに電力を供給する複数の電池ブロックから構成される組電池と、
前記組電池を構成する電池ブロックのうち放電対象の電池ブロックに接続され、当該放電対象の電池ブロックの放電を行う放電部と、
前記放電対象の電池ブロックによる電力供給により作動する放電制御部であって、電力供給が開始されることに対応して前記放電部に対して前記放電対象の電池ブロックの放電を指示する放電制御部と、
前記モータジェネレータに対して前記組電池からの電力供給が行われていない場合であって、かつ、前記組電池を構成する電池ブロック間の電気容量のばらつき量が所定値より大きい場合に、放電条件を満たすと判定し、電池ブロックのうち最も残容量の大きい電池ブロックを少なくとも放電対象の電池ブロックとして、当該放電対象の電池ブロックからの前記放電制御部への電力供給を開始させる放電依頼部と、
を備える電動車両。
【請求項6】
請求項5に記載の電動車両において、
前記放電制御部は、
前記放電対象の電池ブロックの残容量が所定の基準値より小さくなった場合、前記放電部に対して前記放電対象の電池ブロックの放電の停止を指示し、さらに前記放電対象の電池ブロックからの電力供給を停止する、
ことを特徴とする電動車両。
【請求項7】
駆動源としてのモータジェネレータと、
前記モータジェネレータに電力を供給する複数の電池ブロックから構成される組電池と、
前記組電池を構成する電池ブロックのうち放電対象の電池ブロックに接続され、当該放電対象の電池ブロックの放電を行う放電部と、
前記放電対象の電池ブロックによる電力供給により作動する放電制御部であって、電力供給が開始されることに対応して前記放電部に対して前記放電対象の電池ブロックの放電を指示する放電制御部と、
前記モータジェネレータに対して前記組電池からの電力供給が行われていない場合であって、かつ、端子電圧が所定の第1基準電圧を超える電池ブロックを検知した場合に、放電条件を満たすと判定し、検知された電池ブロックを少なくとも放電対象の電池ブロックとして、当該放電対象の電池ブロックから前記放電制御部への電力供給を開始させる放電依頼部と、
を備える電動車両。
【請求項8】
請求項7に記載の電動車両において、
前記放電制御部は、
前記放電対象の電池ブロックの端子電圧が所定の第2基準電圧より小さくなった場合、前記放電部に対して前記放電対象の電池ブロックによる放電の停止を指示し、さらに前記放電対象の電池ブロックからの電力供給を停止する、
ことを特徴とする電動車両。
【請求項9】
請求項5乃至8のいずれか1つに記載の電動車両において、
補機用バッテリを備え、
前記放電制御部は、さらに、前記補機用バッテリからの電力供給が開始されることに対応して前記放電部に対して前記放電対象の電池ブロックの放電を指示し、
前記放電依頼部は、
前記放電条件を満たし、かつ、前記補機用バッテリの残容量が所定値以上の場合には、前記補機用バッテリから前記放電制御部への電力供給を開始させ、
前記放電条件を満たし、かつ、前記補機用バッテリの残容量が所定値より小さい場合には、前記放電対象の電池ブロックから前記放電制御部への電力供給を開始させる、
ことを特徴とする電動車両。
【請求項10】
請求項9に記載の電動車両において、
前記放電制御部が、前記補機用バッテリからの電力供給が開始されることに対応して前記放電部に対して前記放電対象の電池ブロックの放電を指示した場合、前記放電部は、当該放電対象の電池ブロックからの電力で前記補機用バッテリを充電することにより、当該放電対象の電池ブロックに対する放電を行う、
ことを特徴とする電動車両。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−199789(P2008−199789A)
【公開日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−32294(P2007−32294)
【出願日】平成19年2月13日(2007.2.13)
【出願人】(399107063)パナソニックEVエナジー株式会社 (193)
【Fターム(参考)】