説明

放電ランプの組立方法及び放電ランプ

【課題】バーナーを共通化しつつ簡単な構造によってLCLの異なる2種類の規格の放電ランプ及びその組立方法を提供する。
【解決手段】共通化された1種類のバーナーに対して、保持片をリング部の直径方向に対して第1の角度で第1の面側に傾けて、保持片の先端部を第1の面側に突き出して外管を保持する第1の保持位置と、保持片をリング部の直径方向に対して第1の角度よりも小さい第2の角度で第2の面側に傾けて、保持片の先端部を第2の面側に突き出して外管を保持する第2の保持位置とのいずれかを選択することにより、発光部の中心と基準突起間の距離を変更可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、放電ランプの組立方法及び放電ランプに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、自動車の前照灯に使用される放電ランプとして、二重管構造のバーナーをリング状のホルダーで保持した構造が知られている。バーナーはリング状ホルダーの内側に挿入され、ホルダーの中心軸側に延出する複数の保持片によって、バーナーの外管が保持されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2011/033417号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
バーナーを共通化しつつ簡単な構造によってLCL(Light Center Length)の異なる2種類の規格の放電ランプ及びその組立方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態によれば、放電ランプの組立方法は、内部に発光部を含む内管と、前記内管の外側を囲む外管とを有するバーナーと、基準突起を有する第1の面と前記第1の面の反対側の第2の面とを有するリング部と、前記リング部から前記リング部の中心軸側に延出した複数の保持片と、を有し、前記リング部の内側に挿入された前記バーナーの前記外管を、前記保持片の先端部で保持するホルダーと、を備えた放電ランプの組立方法である。前記放電ランプの組立方法によれば、前記内管の長さ及び前記外管の長さが共通化された1種類の前記バーナーに対して、前記保持片を、前記リング部の直径方向に対して第1の角度で前記第1の面側に傾けて、前記保持片の前記先端部を前記第1の面側に突き出して前記外管を保持する第1の保持位置と、前記保持片を、前記リング部の直径方向に対して、前記第1の角度よりも小さい第2の角度で前記第2の面側に傾けて、前記保持片の前記先端部を前記第2の面側に突き出して前記外管を保持する第2の保持位置と、のいずれかを選択することにより、前記発光部の中心と前記基準突起間の距離を変更可能である。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】実施形態の放電ランプの斜視図であって、バーナーが第2の保持位置でホルダーに対して保持された放電ランプの斜視図。
【図2】図1の放電ランプの断面図。
【図3】図1の放電ランプにおけるバーナー及びホルダーの斜視図。
【図4】実施形態のバーナーの断面図。
【図5】実施形態のホルダーの平面図。
【図6】実施形態のベースの斜視図。
【図7】(a)は実施形態のリフレクタの外観斜視図であり、(b)はそのリフレクタの断面図。
【図8】実施形態の放電ランプの斜視図であって、バーナーが第1の保持位置でホルダーに対して保持された放電ランプの斜視図。
【図9】図8の放電ランプの断面図。
【図10】図8の放電ランプにおけるバーナー及びホルダーの斜視図。
【図11】(a)はバーナーを第1の保持位置で保持する1つの保持片を抽出して表す模式断面図であり、(b)はバーナーを第2の保持位置で保持する1つの保持片を抽出して表す模式断面図。
【図12】バーナーが第1の保持位置でホルダーに対して保持された他の実施形態の放電ランプの斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、図面を参照し、実施形態について説明する。なお、各図面中、同じ要素には同じ符号を付している。
【0008】
図1は、実施形態の放電ランプ1aの斜視図であり、図2は、その放電ランプ1aの断面図である。
【0009】
実施形態の放電ランプ1aは、例えば自動車の前照灯に用いられるHID(High Intensity Discharge)ランプであり、バーナー10とホルダー30を備えている。また、実施形態では、放電ランプ1aが自動車に取り付けられた場合に前方となる図2に示した矢印Fの方向を前端側、その反対方向の矢印Bの方向を後端側と称して説明する。
【0010】
図3は、バーナー10及びホルダー30の斜視図である。
図4は、バーナー10の断面図である。
図5(a)は、バーナー10及びホルダー30の前端側から見た平面図であり、図5(b)は、ホルダー30における金属部41の平面図である。
【0011】
後述するように、実施形態によれば、バーナー10をホルダー30に対して第1の保持位置で保持させることもでき、あるいは、同じバーナー10をホルダー30に対して第2の保持位置でも保持させることができる。
【0012】
図1〜3は、ホルダー30に対してバーナー10が第2の保持位置で保持された第2の規格の放電ランプ1aを表す。バーナー10の構造は、第1の保持位置で保持される場合も、第2の保持位置で保持される場合でも同じである。
【0013】
バーナー10は、内管11と、内管11の外側を囲む外管12とを有する二重管構造を有する。内管11は、例えば石英ガラスなどの透光性と耐熱性を具備した材料からなる。
【0014】
内管11の長手方向(図4において上下方向)の中央付近には、発光部13が設けられている。発光部13の両端には板状のシール部16が設けられ、さらにシール部16における発光部13に対する反対側の端には円筒部17a、17bが設けられている。発光部13、シール部16および円筒部17a、17bは一体に連続している。
【0015】
発光部13の内部には、放電空間14が形成されている。放電空間14には、放電媒体が封入されている。放電媒体14は、例えば、金属ハロゲン化物と希ガスを含み、水銀は含んでいない、いわゆる水銀フリーの媒体である。
【0016】
発光部13を挟んで一対のシール部16が設けられている。それぞれのシール部16には、電極マウント21が封じ込められている。図3にも示されるように、電極マウント21は、電極22、コイル23、金属箔24およびリード線25を含む。
【0017】
一対の電極22のそれぞれの一端は、放電空間14内で所定の電極間距離を保って対向している。コイル23は、電極22に巻回されている。
【0018】
金属箔24は、電極22とリード線25とを接続している。一対のリード線25のそれぞれの端部は、内管11の外部に延出している。そのうち、バーナー10の前端側に延出したリード線25には、サポートワイヤ26の一端が例えばレーザー溶接により接続されている。すなわち、放電空間14に臨む一対の電極22のうちの一方は、電極マウント21を介してサポートワイヤ26と電気的に接続されている。サポートワイヤ26において、バーナー10の二重管の管軸に対して平行に延びる部分には、例えばセラミックからなるスリーブ27が装着されている。
【0019】
一対の電極22のうちの他方は、電極マウント21から後端側に延出するリード線25と電気的に接続されている。
【0020】
内管11の外側には、筒状の外管12が内管11と同心状に設けられている。外管12は、内管11の円筒部17a、17b付近に溶着されている。内管11と外管12との間には気密に保たれた空間15が形成され、その空間15には、例えば、ネオン、アルゴン、キセノン、窒素から選択された一種のガスまたは混合ガスが封入されている。外管12の材料は、例えば、チタン、セリウム、アルミニウム等の酸化物を添加した石英ガラスなど、内管11に熱膨張係数が近く、かつ紫外線遮断性を有する材料が望ましい。
【0021】
外管12の内部空間15に封入されたガスの圧力は、内管11の放電空間14内のガス圧力よりも低い。このため、点灯始動時に外管12の内部空間15で誘電体バリア放電が発生し、絶縁破壊が補助される。すなわち、より低い放電開始電圧で確実に発光させることができる。
【0022】
バーナー10において発光部13よりも後端側には、図1〜3に示される金属バンド55が装着されている。リング状の金属バンド55の両端どうしは溶接され、金属バンド55は外管12の外周面に固定されている。
【0023】
金属バンド55の周辺には、ホルダー30が設けられている。ホルダー30は、樹脂部31と金属部41とを組み合わせた構成を有する。
【0024】
図5(a)に示すように、樹脂部31は、ホルダー30の外縁側に設けられたリング部35を有する。リング部35は、第1の面と、その反対側の第2の面とを有する。第1の面は放電ランプ1aの前端側を向き、第2の面は放電ランプ1aの後端側を向く。
【0025】
リング部35の第1の面には、前端側に突出した基準突起33が設けられている。例えば、3つの基準突起33が、リング部35の周方向に120°間隔で設けられている。
【0026】
バーナー10がホルダー30に保持された状態で、基準突起33の先端から発光部13内の電極間中心までの距離(図2におけるD2)は、放電ランプのLCL(Light Center Length)と規定されている。
【0027】
リング部35の外周側には、例えば3つの外周側切欠き32が形成されている。リング部35の内周側には、例えば6つの内周側切欠き34が形成されている。
【0028】
ホルダー30の金属部41は、例えばステンレスなどからなる金属板である。金属部41の外周側の部分が樹脂部31に埋め込まれ、金属部41と樹脂部31とは一体にされる。
【0029】
図5(b)は、樹脂部31と組み合わされる前の金属部41の平面形状を表す。金属部41は、例えば金属板の打ち抜き加工により形成することができる。図5(b)は、打ち抜き加工後の板状の状態を表し、保持片43が曲げ加工される前の状態を表す。
【0030】
金属部41は、リング部42と、リング部42からリング部42の中心軸側に延出した複数の保持片43とを有する。例えば、4つの保持片43がリング部42の周方向に90°間隔で設けられている。
【0031】
リング部42の内周側に、スリーブ保持部44が設けられている。スリーブ保持部44は、周方向で隣り合う保持片43の間に設けられている。スリーブ保持部44には貫通孔44aが形成され、その貫通孔44aにバーナー10のスリーブ27が挿通される。
【0032】
リング部42の外周側には、例えば3つの切欠き45が形成されている。金属部41のリング部42の切欠き45と、樹脂部31のリング部35の外周側切欠き32との周方向位置を一致させて、金属部41と樹脂部31は組み合わされる。
【0033】
金属部41のリング部42には、リング部42の表裏を貫通する例えば6つのスリット46が形成されている。スリット46と、樹脂部31に形成された内周側切欠き34との周方向位置を一致させて、金属部41と樹脂部31は組み合わされる。
【0034】
図1〜3に示すように、バーナー10は、金属部41のリング部42の内側に挿入され、複数(実施形態では4つ)の保持片43によって保持される。バーナー10は、リング部42の中心位置で、リング部42から離間した状態で保持される。バーナー10は、管軸をリング部42の中心軸に対して平行にした姿勢で保持される。
【0035】
図11(b)は、1つの保持片43を抽出して表す模式断面図である。リング部42は、第1の面42aと、その反対側の第2の面42bとを有する。第1の面42aは前端側を向き、第2の面42bは後端側を向く。
【0036】
保持片43におけるリング部42側の根元部は後端側に折り曲げられている。すなわち、保持片43は、リング部42の直径方向dに対して第2の面42b側に傾けられ、保持部43の先端部43aが第2の面42b側に突出している。保持部43の先端部43aは、さらに後端側に折り曲げられ、金属バンド55に対して例えばレーザー溶接により接合されている。
【0037】
図1〜3では、バーナー10は第2の保持位置でホルダー30に対して保持されている。図2に示すように、第2の保持位置では、バーナー10において保持片43によって支えられる部分となる金属バンド55は、ホルダー30よりも後端側に位置する。第2の保持位置の場合、LCL(図2におけるD2)は、例えば18.0mmとなる。
【0038】
図11(b)に示すように、保持片43は、リング部42の直径方向dに対して第2の角度βで第2の面42b側に傾けられ、保持片43の先端部43aは第2の面42bよりも後端側で金属バンド55に接合されている。第2の角度βは、例えば40°である。
【0039】
また、保持片43におけるリング部42に埋め込まれた基端部43bと、先端部43aと金属バンド55との接合部との距離L2は、後述する第1の保持位置の場合における対応する距離L1より短い。
【0040】
図1及び図2に示すように、ホルダー30の後端側にはベース50が設けられている。ベース50は、例えば導電性材料からなり、図6に示すように、ハウジング51とリング52とを備えている。
【0041】
ハウジング51の内部には、放電ランプ1aを始動および安定点灯させるための点灯回路(図示せず)などが収容される。その点灯回路の端子には、図2に示される、後端側に延出するリード線25の一端およびサポートワイヤ26の一端が接続される。
【0042】
図6に示すように、ハウジング51の前端部にはハウジング51の内部に通じる開口54が形成され、その開口54の周縁部にリング52が設けられている。リング52の前端側には、例えば6つの突起部53が設けられている。
【0043】
それら突起部53は、図3及び図5(b)に示されるホルダー30の金属部41のスリット46に第2の面側から差し込まれ、図1及び図5(a)に示すように、ホルダー30の外周側に向けて折り曲げられる。折り曲げられた突起部53は、樹脂部31の内周側切欠き34に収まる。
【0044】
これにより、ベース50に対してホルダー30が取り付けられる。なお、折り曲げられた突起部53と金属部41との重なり部分にレーザー溶接等をして、突起部53を金属部41に接合させてもよい。あるいは、突起部53をスリット46に挿入した後、折り曲げることなく溶接して金属部41に対して接合してもよい。
【0045】
放電ランプは、図7(a)及び(b)に示すように、リフレクタ60に対して取り付けられる。リフレクタ60は、いずれも中空構造のネック部61と反射部62とを有する。
【0046】
ネック部61の後端側の内壁には段差が形成され、ネック部61の後端側には、放電ランプのホルダー30が取り付けられる取付面63が設けられている。取付面63は、図7(a)に示すように、環状に形成されている。取付面63よりも後端側のネック部61の内周壁には、例えば3つの係止片64が設けられている。
【0047】
反射部62は、ネック部61の前端側に、ネック部61に連続して設けられている。反射部62の前端にはレンズホルダー71が設けられ、そのレンズホルダー71にはレンズ72が保持されている。
【0048】
ネック部61の後端側からバーナー10をリフレクタ60内に挿入し、ホルダー30の第1の面を取付面63に対向させる。ホルダー30の切欠き32と係止片64との周方向位置を一致させて、基準突起33を取付面63に接触させる。そして、放電ランプをベース50ごと取付面63に対して回転させると、ホルダー30の樹脂部31が取付面63と係止片64との間に狭持される。これにより、放電ランプは、リフレクタ60に対して固定される。
【0049】
以上説明したバーナー10は第2の保持位置でホルダー30に対して保持されているが、ホルダー30における保持片43の曲げ方向を第2の保持位置とは逆方向にすることで、バーナー10を第1の保持位置で保持させることができる。
【0050】
図8は、バーナー10がホルダー30に対して第1の保持位置で保持された第1の規格の放電ランプ1bの斜視図であり、図9は、その断面図である。図10は、それらバーナー10及びホルダー30の斜視図である。図11(a)は、バーナー10を第1の保持位置で保持する1つの保持片43を抽出して表す模式断面図である。
【0051】
バーナー10は、金属部41のリング部42の内側に挿入され、4つの保持片43によって保持される。バーナー10は、リング部42の中心位置で、リング部42から離間した状態で保持される。バーナー10は、管軸をリング部42の中心軸に対して平行にした姿勢で保持される。
【0052】
保持片43におけるリング部42側の根元部は、前述した第2の保持位置とは逆方向の前端側に折り曲げられている。すなわち、図11(a)に示すように、保持片43は、リング部42の直径方向dに対して第1の面42a側に傾けられ、保持部43の先端部43aが第1の面42a側に突出している。保持部43の先端部43aは、さらに前端側に折り曲げられ、金属バンド55に対して例えばレーザー溶接により接合されている。
【0053】
第1の保持位置では、バーナー10において保持片43によって支えられる部分となる金属バンド55は、ホルダー30よりも前端側に位置する。第1の保持位置の場合、LCL(図9におけるD1)は、例えば27.1mmとなる。
【0054】
図11(a)に示すように、保持片43は、リング部42の直径方向dに対して第1の角度αで第1の面42a側に傾けられ、保持片43の先端部43aは第1の面42aよりも前端側で金属バンド55に接合されている。第1の角度αは、前述した第2の保持位置の場合の第2の角度βよりも大きく、例えば55°である。
【0055】
また、保持片43におけるリング部42に埋め込まれた基端部43bと、先端部43aと金属バンド55との接合部との距離L1は、前述した第2の保持位置の場合の距離L2より長く、例えば5〜6mmである。
【0056】
この放電ランプ1bも、リフレクタ60の取付面63に対して、前述した放電ランプ1aと同じようにして取り付けることができる。
【0057】
図8〜10に表される第1の規格の放電ランプ1bと、図1〜3に表される第2の規格の放電ランプ1aとで、少なくともバーナー10は構成及びサイズが同じである。
【0058】
放電ランプ1aと放電ランプ1bとは、ホルダー30に対してバーナー10が第1の保持位置で保持されるか第2の保持位置で保持されるかが異なる。この保持位置の違いによって、放電ランプ1aのLCL(図2におけるD2)と、放電ランプ1bのLCL(図9におけるD1)とが相違する。
【0059】
実施形態によれば、保持片43の曲げ方向(突き出し方向)を逆にすることで、第1の保持位置と第2の保持位置とのいずれかを選択することができる。そして、その保持位置の違いによって、発光部13の中心と基準突起33間の距離(LCL)を変えることができる。すなわち、構造及びサイズが共通化された1種類のバーナー10を使いつつ、保持片43の曲げ方向を逆にするという簡単な対応で、LCLが異なる2つの規格の放電ランプを選択して組み立てることができる。
【0060】
LCLがD1の放電ランプ1bと、LCLがD2(<D1)の放電ランプ1aとで、内管11の長さ、太さ、放電空間14内の封入ガス、外管12の長さ、太さ、空間15内の封入ガスは、同じである。
【0061】
また、放電ランプ1bと放電ランプ1aとで、金属バンド55は外管12の長手方向の同じ位置に装着されている。すなわち、第1の保持位置及び第2の保持位置で、保持片43の先端部は外管12の長手方向の同じ位置を保持する。
【0062】
また、放電ランプ1bと放電ランプ1aとで、スリーブ27の長さが同じである。サポートワイヤ26の長さは、放電ランプ1bと放電ランプ1aとで、同じ場合もあるし、異なる場合もある。リード線25の長さも、放電ランプ1bと放電ランプ1aとで、同じ場合もあるし、異なる場合もある。
【0063】
実施形態によれば、同種同規格のバーナー10を使うことによる部品共通化によって、製造の効率化及びコストダウンを図れる。すなわち、LCLの違いに合わせてバーナーを個別に製作したり用意せずに、バーナー10を共通化しつつ保持片43の加工による対応だけで、LCLの異なる2種類の規格の放電ランプのどちらにも容易に対応することができる。結果として、安価な放電ランプの提供が可能となる。
【0064】
例えば、第1の規格の放電ランプ1bのLCL(=D1)は27.1mmであり、第2の規格の放電ランプ1aのLCL(=D2)は18.0mmである。
【0065】
ここで、LCLが27.1mmである図8〜10に示される放電ランプ1bにおいて、保持片43を単純に後端側に折り曲げてバーナー10を保持しても、LCLを18.0mmにすることはできない。LCLが27.1mmの放電ランプ1bは、図11(a)における距離L1が例えば5〜6mmである。その、保持片43を同じ角度αで後端側に曲げると(傾けると)、図11(b)における距離L2もL1と同じ(例えば5〜6mm)になってしまい、LCL(=D2)が18mm以下になってしまう。
【0066】
そこで、実施形態によれば、第2の保持位置のときの保持片43の曲げ角度(傾斜角度)βを、第1の保持位置のときの保持片43の曲げ角度(傾斜角度)αよりも小さくする。例えば、55°のαに対して、βを40°にすることで、LCL(=D2)を18.0mmに調整することができる。
【0067】
また、α>βとし、α及びβのそれぞれを適切に設定することで、保持片43の先端部43aを金属バンド55に対して同じ位置で重ね合わせることができ、保持位置が異なっても溶接を行いやすくなる。
【0068】
相対的に曲げ角度βが小さい放電ランプ1aでは、相対的に曲げ角度αが大きい放電ランプ1bに比べて、バーナー10の保持強度が高くなり、ディフレクション特性(変位しにくさ)に優れる。
【0069】
ホルダー30の金属部41は、例えば、一枚の金属板を打ち抜き加工することで得ることができる。これにより、図5(b)に示すように、複数の保持片43を一体成形でき、部品点数を減らすことができる。
【0070】
ホルダー30は、樹脂部31と金属部41とを組み合わせた構成に限らず、金属のみから構成してもよい。また、放電ランプ1bと放電ランプ1aとで、ホルダー30の構造は全く同じでなくてもよい。
【0071】
また、例えば、図12に示すように、4つの独立した保持片81を樹脂部82に対して組み込んでもよい。すなわち、図12に示すホルダー80は、リング状の樹脂部82と、一方の端部が樹脂部82に埋め込まれて、他方の端部(先端部)が金属バンド55に向けて延出して接合された複数の保持片81とを有する。また、このホルダー80では、樹脂部82の内周側にスリーブ保持部83が設けられている。
【0072】
また、図12に示すように、ベース91は、内部に点灯回路を有していないソケットタイプのものであってもよい。
【0073】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0074】
1a,1b…放電ランプ、10…バーナー、11…内管、12…外管、13…発光部、30,80…ホルダー、31,82…樹脂部、33…基準突起、41…金属部、42…リング部、42a…第1の面、42b…第2の面、43,81…保持片、50,91…ベース、51…ハウジング、55…金属バンド、60…リフレクタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に発光部を含む内管と、前記内管の外側を囲む外管とを有するバーナーと、
基準突起を有する第1の面と前記第1の面の反対側の第2の面とを有するリング部と、前記リング部から前記リング部の中心軸側に延出した複数の保持片と、を有し、前記リング部の内側に挿入された前記バーナーの前記外管を、前記保持片の先端部で保持するホルダーと、
を備えた放電ランプの組立方法であって、
前記内管の長さ及び前記外管の長さが共通化された1種類の前記バーナーに対して、
前記保持片を、前記リング部の直径方向に対して第1の角度で前記第1の面側に傾けて、前記保持片の前記先端部を前記第1の面側に突き出して前記外管を保持する第1の保持位置と、
前記保持片を、前記リング部の直径方向に対して、前記第1の角度よりも小さい第2の角度で前記第2の面側に傾けて、前記保持片の前記先端部を前記第2の面側に突き出して前記外管を保持する第2の保持位置と、のいずれかを選択することにより、
前記発光部の中心と前記基準突起間の距離を変更可能である放電ランプの組立方法。
【請求項2】
前記第1の保持位置及び前記第2の保持位置で、前記保持片の前記先端部は前記外管の長手方向の同じ位置を保持する請求項1記載の放電ランプの組立方法。
【請求項3】
内部に発光部を含む内管と、前記内管の外側を囲む外管とを有するバーナーと、
基準突起を有する第1の面と前記第1の面の反対側の第2の面とを有するリング部と、前記リング部から前記リング部の中心軸側に延出した複数の保持片と、を有し、前記リング部の内側に挿入された前記バーナーの前記外管を、前記保持片の先端部で保持するホルダーと、
を備え、
前記保持片を、前記リング部の直径方向に対して第1の角度で前記第1の面側に傾けて、前記保持片の前記先端部を前記第1の面側に突き出して、前記内管の長さ及び前記外管の長さが共通化された1種類の前記バーナーの前記外管を第1の保持位置で保持し、前記発光部の中心と前記基準突起間の距離が第1の規格の放電ランプと、
前記保持片を、前記リング部の直径方向に対して、前記第1の角度よりも小さい第2の角度で前記第2の面側に傾けて、前記保持片の前記先端部を前記第2の面側に突き出して、前記内管の長さ及び前記外管の長さが共通化された1種類の前記バーナーの前記外管を第2の保持位置で保持し、前記発光部の中心と前記基準突起間の距離が前記第1の規格と異なる第2の規格の放電ランプと、
を含む放電ランプ。

【図1】
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【図3】
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【図5】
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【図6】
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【図8】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図2】
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【図4】
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【図7】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−89587(P2013−89587A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−232545(P2011−232545)
【出願日】平成23年10月24日(2011.10.24)
【出願人】(000111672)ハリソン東芝ライティング株式会社 (995)
【Fターム(参考)】