説明

放電回路

【課題】商用電源1が停止してゲート6Gにトリガが与えられてサイリスタ6がオン状態になった後、サイリスタ6がオフ状態に戻る前に商用電源1が再度作動すると、サイリスタ6の自己保持機能により、サイリスタ6はオン状態のままで保持されコンデンサ3が放電され続けてしまう。
【解決手段】サイリスタ6のアノード6A−カソード6C間をトランジスタ7を介して連結し、サイリスタ6が自己保持によりオン状態の時に商用電源1の作動が再開した際に、トランジスタ7をオンさせてサイリスタ6の自己保持を解除し、サイリスタ6をオフ状態に復帰させるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、交流電源を整流してコンデンサで平滑する電源回路に設けられ、このコンデンサにサイリスタを並列に接続し、交流電源が停止した際にサイリスタにトリガを与えてオンさせてコンデンサに充電されている電荷を放電させる放電回路に関する。
【背景技術】
【0002】
上述のような電源回路には平滑用のコンデンサが用いられており、整流後の脈動をこのコンデンサを用いて平滑化している。したがって、電源回路が作動中はコンデンサに電荷が充電される。そして、電源回路が停止してもコンデンサには電荷が充電されたままの状態になる。
【0003】
コンデンサに電荷が充電されたままの状態であれば、たとえ電源回路が停止している状態でも電源回路に触れると感電するおそれがある。また、プラズマディスプレイパネルの駆動用の電源回路では、電源回路が停止した後、再度電源回路が作動するまでに平滑用のコンデンサを放電しておかなければならないという要請がある。
【0004】
そこで、コンデンサを放電させるためのサイリスタを設け、電源回路が停止するとこのサイリスタのゲートにトリガを与えてサイリスタをオン状態にすることにより、サイリスタを通してコンデンサを放電させるようにしたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平8−194547号公報(図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
サイリスタは自己保持機能を備えており、ゲートにトリガを与えるとアノード−カソード間がオン状態になり、その後トリガがなくなってもアノード−カソードに電流が流れ続けている限りオン状態を自己保持する。そして、上記の回路ではコンデンサの電荷が放電され、アノード−カソード間に電流が流れなくなると、オフ状態に戻る特性を有している。
【0006】
このような機能を備えているため、電源回路が停止してゲートにトリガが与えられてサイリスタがオン状態になった後、オフ状態に戻る前に電源回路が再度作動すると、サイリスタの自己保持機能により、サイリスタはオン状態のままで保持されコンデンサが放電され続けてしまうという不具合が生じる。
【0007】
そこで本発明は、上記の問題点に鑑み、サイリスタを用いてコンデンサを放電する放電回路において、サイリスタがオン状態のまま保持され続けることのない放電回路を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために本発明による放電回路は、交流電源を整流してコンデンサで平滑する電源回路に設けられ、このコンデンサにサイリスタを並列に接続し、交流電源が停止した際にサイリスタにトリガを与えてオンさせてコンデンサに充電されている電荷を放電させる放電回路において、サイリスタのアノード−カソード間をトランジスタを介して連結し、サイリスタが自己保持によりオン状態の時に交流電源が復帰した際に、トランジスタをオンさせてサイリスタの自己保持を解除し、サイリスタをオフ状態に復帰させる復帰手段を設けたことを特徴とする。
【0009】
上記構成によれば、サイリスタがオフ状態に戻る前に電源回路が作動しても、トランジスタがサイリスタをオフ状態に復帰させる。
【発明の効果】
【0010】
以上の説明から明らかなように、本発明は、瞬間停電のように電源回路が作動を停止したあと、すぐに作動を再開した場合であっても確実にサイリスタをオフ状態に復帰させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
図1を参照して、1は交流電源である商用電源である。この商用電源1から供給される交流電力はブリッジ回路である整流部2で整流される。整流部2から出力される波形は脈動成分を有しているので、コンデンサ3によって平滑化される。なお、商用電源1の作動状態は商用電源検知回路4によって常にモニターされており、その作動状態は商用電源検知回路4からマイコン5に出力されている。
【0012】
平滑用のコンデンサ3は商用電源1が作動している状態では常に充電されており、商用電源1が作動を停止しても、コンデンサ3には電荷が充電されたままの状態なる。したがって、商用電源1が作動を停止したからといって、不用意に回路を触ると感電して驚く場合が生じる。
【0013】
そこで、コンデンサ3には抵抗を介してサイリスタ6を接続し、商用電源1の作動が停止したことをマイコン5が検知すると、サイリスタ6のゲート6Gにトリガを入力させ、アノード6Aとカソード6Cとの間が連通するオン状態にすることにより、コンデンサ3の電荷を放電させる放電回路を設けた。なお、サイリスタ6はオン状態になるとトリガの入力が停止しても、アノード6Aとカソード6Cとの間に電流が流れている間はオン状態を保持する自己保持機能を有している。そのため、トリガの入力が停止してもコンデンサ3の電荷が放電されるまでサイリスタ6はオン状態を保持し、放電が終了すると、アノード6Aとカソード6Cとの間が導通しないオフ状態に戻る。したがって、再度商用電源1が作動を開始した時点ではサイリスタ6はオフ状態に戻っている。
【0014】
但し、瞬時停電のように、商用電源1が作動を停止し、サイリスタ6がオン状態になった後、コンデンサ3の放電が途中の状態で商用電源1が作動を再開すると、商用電源1が再度作動を開始した後もサイリスタ6はオン状態のままになるという不具合が生じる。
【0015】
そこで、サイリスタ6にトランジスタ7を接続し、商用電源1の停止から再度の作動開始までの間が所定時間より短く、サイリスタ6がオン状態のままになるおそれがあるとマイコン5が判断した場合に、トランジスタ7のベース7Bに所定幅のパルス信号を入力して、トランジスタ7のコレクタ7C−エミッタ7E間が導通するオン状態にした。トランジスタ7がオン状態になると、サイリスタ6のアノード6Aとカソード6Cとが短絡され、サイリスタ6に電流が流れない状態になるので、サイリスタ6の自己保持が解除され、オフ状態に戻すことができる。
【0016】
なお、本発明は上記した形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更を加えてもかまわない。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施の形態の構成を示す図
【符号の説明】
【0018】
1 商用電源
2 整流部
3 コンデンサ
4 商用電源検知回路
5 マイコン
6 サイリスタ
6A アノード
6C カソード
6G ゲート
7 トランジスタ
7B ベース
7C コレクタ
7E エミッタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
交流電源を整流してコンデンサで平滑する電源回路に設けられ、このコンデンサにサイリスタを並列に接続し、交流電源が停止した際にサイリスタにトリガを与えてオンさせてコンデンサに充電されている電荷を放電させる放電回路において、サイリスタのアノード−カソード間をトランジスタを介して連結し、サイリスタが自己保持によりオン状態の時に交流電源が復帰した際に、トランジスタをオンさせてサイリスタの自己保持を解除し、サイリスタをオフ状態に復帰させる復帰手段を設けたことを特徴とする放電回路。

【図1】
image rotate