放電灯点灯回路、及びこの放電灯点灯回路を備える放電灯点灯装置、並びに照明器具
【課題】 蛍光ランプの予熱時にフィラメント予熱電流を多くし、かつ、蛍光ランプの点灯中はフィラメントロスを低減する。
【解決手段】 直流を高周波電流に変換するインバータ回路3と、一端がインバータ回路3に接続され、他端にフィラメントを有する蛍光ランプLAが接続される2次巻線L1−2、L1−3を有するチョークコイルL1並びに結合コンデンサC3、蛍光ランプLAに並列に接続されるコンデンサC2を有する負荷回路4と、2次巻線L1−2、L1−3から電源が供給され、予熱インダクタL2a、L2b、予熱コンデンサC4a、C4b及びフィラメントの直列共振回路を形成するフィラメント予熱回路5a、5bを備え、蛍光ランプLAの予熱時のフィラメント予熱電流を予熱に必要な電流値に設定することができるとともに、蛍光ランプLAの点灯時のフィラメント予熱電流を抑制して、蛍光ランプLAのフィラメントロスを低減することができる。
【解決手段】 直流を高周波電流に変換するインバータ回路3と、一端がインバータ回路3に接続され、他端にフィラメントを有する蛍光ランプLAが接続される2次巻線L1−2、L1−3を有するチョークコイルL1並びに結合コンデンサC3、蛍光ランプLAに並列に接続されるコンデンサC2を有する負荷回路4と、2次巻線L1−2、L1−3から電源が供給され、予熱インダクタL2a、L2b、予熱コンデンサC4a、C4b及びフィラメントの直列共振回路を形成するフィラメント予熱回路5a、5bを備え、蛍光ランプLAの予熱時のフィラメント予熱電流を予熱に必要な電流値に設定することができるとともに、蛍光ランプLAの点灯時のフィラメント予熱電流を抑制して、蛍光ランプLAのフィラメントロスを低減することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放電灯点灯回路が蛍光ランプを点灯する際に、蛍光ランプのフィラメントに流れる電流を制御する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
地球規模での温暖化防止対策が求められる中、企業や公共施設では様々な省エネ製品の導入により、省エネ・CO2削減に取り組んでおり、建物におけるエネルギー消費量の大きさから、照明器具に対する省エネ期待も高まっている。
【0003】
放電灯点灯装置の総合効率の改善は、放電灯点灯装置内の回路動作による回路ロス及び蛍光ランプのフィラメントに流れる電流によるフィラメントロスを低減することにより行える。
【0004】
このフィラメントロスは、蛍光ランプの点灯中にフィラメントに流れる電流により熱に変換されるエネルギーで、フィラメントの加熱に最低限必要な電流以外をカットすることにより、低減することができる。例えば、蛍光ランプの点灯前のフィラメント予熱電流を十分に流し、蛍光ランプの点灯後の無駄なフィラメントロスを削減するようにフィラメントインバータを備える技術がある(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】
【特許文献1】特開平10−134984号公報(段落「0029」、段落「0030」、図1及び図2参照。)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、フィラメントインバータを備える場合、フィラメント予熱回路専用のトランスを使用しなければならないこと、フィラメント予熱電流がトランスの1次巻線・2次巻線の巻き数比もしくは巻き数比とコンデンサ容量で決定されることなど、設計の自由度がなく、大型の部品も必要となっていた。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係わる放電灯点灯回路は、交流電圧を直流電圧に変換する交流−直流変換回路と、上記交流−直流変換回路から供給される直流を高周波電流に変換するインバータ回路と、一端が上記インバータ回路に接続され、他端にフィラメントを有する蛍光ランプが接続される2次巻線を有するチョークコイル、上記蛍光ランプに並列に接続されるコンデンサ、及び、一端が上記インバータ回路に接続され、他端に上記蛍光ランプが接続される結合コンデンサ、を有する負荷回路と、上記チョークコイルの2次巻線から電源が供給され、予熱インダクタ、予熱コンデンサ及び、上記蛍光ランプのフィラメントが直列接続されて直列共振回路を形成するフィラメント予熱回路とを備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、蛍光ランプの予熱時のフィラメント予熱電流を予熱に必要な電流値に設定することができるとともに、蛍光ランプの点灯時のフィラメント予熱電流を抑制して、蛍光ランプのフィラメントロスを低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
実施の形態1.
図1は、本実施の形態を示す放電灯点灯回路の回路ブロック図である。
【0010】
放電灯点灯回路1は、入力される交流電圧ACを整流するとともに、平滑して平滑電圧を生成する交流−直流変換回路2と、この交流−直流変換回路2が生成する平滑電圧を高周波電圧に変換するインバータ回路3と、インバータ回路3が変換した高周波電圧を接続される蛍光ランプLAに供給する負荷回路4と、接続される蛍光ランプLAのフィラメントを予熱するフィラメント予熱回路5a、5bを備える。
【0011】
交流−直流変換回路2は、交流電圧ACを整流するダイオードブリッジDBと、ダイオードブリッジDBが整流した脈流電圧を平滑する平滑コンデンサC1を備える。
【0012】
インバータ回路3は、スイッチング素子であるMOS−FET Q1、Q2と、このMOS−FET Q1、Q2のスイッチングを制御するとともに、スイッチング周波数を決定するインバータ制御回路6を備える。このインバータ回路3は、インバータ制御回路6により、MOS−FET Q1及びQ2のスイッチングが制御され、平滑コンデンサC1に蓄えられた直流電圧を高周波電圧に変換するものである。
【0013】
インバータ制御回路6は、MOS−FET Q1とMOS−FET Q2が交互にオン/オフするようにスイッチング制御している。
【0014】
負荷回路4は、1次巻線L1−1がインバータ回路3に接続されるチョークコイルL1と、チョークコイルL1の1次巻線L1−1に接続されるコンデンサC2と、コンデンサC2に接続される結合コンデンサC3を備えている。このコンデンサC2に並列に蛍光ランプLAは接続され、チョークコイルL1の1次巻線L1−1とコンデンサC2の共振により蛍光ランプLAを点灯する。
【0015】
フィラメント予熱回路5a、5bは、チョークコイルL1の2次側に巻かれた2次巻線L1−2、L1−3と、それぞれの2次巻線L1−2、L1−3に接続される予熱インダクタL2a、L2bと、それぞれの予熱インダクタL2a、L2bに接続されるとともに蛍光ランプLAのフィラメントに接続される予熱コンデンサC4a、C4bを備える。
【0016】
このフィラメント予熱回路5a、5bは、チョークコイルL1の2次側に巻かれた2次巻線L1−2、L1−3を電源とし、予熱インダクタL2a、L2bと予熱コンデンサC4a、C4bの共振を利用して、蛍光ランプLAの放電開始前に蛍光ランプLAのフィラメントを十分に予熱して放電開始によるフィラメントの消耗を減少させ、蛍光ランプLAの点灯後は蛍光ランプLAの寿命を満足するように適度なフィラメント予熱電流を流してフィラメントを予熱するものである。
【0017】
なお、2次巻線L1−2の巻き数は、1次巻線L1−1に対して巻き数が非常に少なく、予熱インダクタL2aのL値をl2とするとき、l2≫l1−2の関係が成り立ち、後述するフィラメント予熱回路5aのLC共振の計算上ほとんど影響を受けないため、2次巻線L1−2に発生する電圧VL2Sをフィラメント予熱回路5aの電源としている。フィラメント予熱回路5bにおいてもフィラメント予熱回路5aと同様である。
【0018】
また、本実施の形態では、交流−直流変換回路2がダイオードブリッジDBと平滑コンデンサC1で構成される場合について説明したが、ダイオードブリッジDBと平滑コンデンサC1との間にアクティブフィルタ回路を備えて、ダイオードブリッジDBが整流する電圧よりも高い電圧に昇圧してもよい。
【0019】
次に、蛍光ランプLAの点灯前に蛍光ランプLAのフィラメントに流れるフィラメント予熱電流と、蛍光ランプLAの点灯後に蛍光ランプLAのフィラメントに流れるフィラメント予熱電流について説明する。
【0020】
点灯時の蛍光ランプLAに流れるランプ電流(蛍光ランプLAに放電する放電電流)をIL、インバータ回路3がスイッチング動作する動作周波数をf、角速度ω=2πf、コンデンサC2、C3の容量をc2,c3、チョークコイルL1の1次巻線L1−1のL値をl1、点灯時のランプ等価抵抗RLの抵抗値をrL、フィラメント抵抗Rfの抵抗値をrf、平滑コンデンサC1の平滑電圧をVDCとする。インバータ回路3の出力電圧Eの実効値はフーリエ展開により、以下の式1で表される。
【0021】
【数1】
【0022】
蛍光ランプLAが接続された状態の負荷回路4の回路方程式より、蛍光ランプLAの点灯時のランプ電流ILの実効値は以下の式2で表される。
【0023】
【数2】
【0024】
次に、フィラメント予熱回路5aの電源となる2次巻線L1−2に発生する電圧VL2Sを求める。まず、変数D1、F1、G1、H1、K1、M1、N1、P1を、それぞれ以下の式3に示す条件を満たすように設定する。
【0025】
【数3】
【0026】
このとき、蛍光ランプLAの点灯中に1次巻線L1−1に発生する電流IBの実効値を求めると、以下の式4で表される。
【0027】
【数4】
【0028】
したがって、2次巻線L1−2に発生する電圧VL2Sは、1次巻線L1−1に対する2次巻線L1−2の巻き数比をaとすると、以下の式5で表される。
【0029】
【数5】
【0030】
ここで、前述のように2次巻線L1−2の巻き数は、1次巻線L1−1側に対して巻き数が非常に少なく、2次巻線L1−2のL値をl1−2とするとき、l2≫l1−2の関係が成り立つ。したがって、フィラメント予熱回路5aのLC共振を計算する上で、2次巻線L1−2のL値は無視することができるので、2次巻線L1−2に発生する電圧VL2Sは、計算上電源として扱う。
【0031】
次に、変数A4、B4、D4、F4、G4、H4を、それぞれ以下の式6に示す条件を満たすように設定する。ここで、予熱コンデンサC4aの容量をc4とする。
【0032】
【数6】
【0033】
フィラメント予熱回路5aは、2次巻線L1−2に発生する電圧VL2Sを電源として、予熱インダクタL2a、予熱コンデンサC4a、フィラメント抵抗Rfの直列共振回路となるので、蛍光ランプLAの点灯中にフィラメントに流れるフィラメント予熱電流IfLの実効値は、以下の式7で表される。
【0034】
【数7】
【0035】
次に、蛍光ランプLAの予熱時のフィラメント予熱電流を求める。予熱時は、蛍光ランプLAの等価抵抗の抵抗値が∞となるので、チョークコイルL1の1次巻線L1−1に流れる電流IBpreの実効値および蛍光ランプLAに印加される電圧VLpreの実効値は、以下の式8で表される。
【0036】
【数8】
【0037】
ここで、変数A3、B3を、それぞれ以下の式9に示す条件を満たすように設定する。
【0038】
【数9】
【0039】
前述のように、フィラメント予熱回路5aは、2次巻線L1−2に発生する電圧VL2Sを電源として、予熱インダクタL2a、予熱コンデンサC4a、フィラメント抵抗Rfの直列共振回路となるので、蛍光ランプLAの予熱中のフィラメント予熱電流IfLpreの実効値は、以下の式10で表される。
【0040】
【数10】
【0041】
このように、フィラメントに流れるフィラメント予熱電流IfLpreが求められる。
【0042】
なお、フィラメント予熱回路5bの各部の電圧及び電流は、フィラメント予熱回路5aの計算と同様に求められるので、説明を省略する。
【0043】
次に、フィラメント予熱回路5a、5bに予熱インダクタL2a、L2bがある場合と、フィラメント予熱回路5a、5bに予熱インダクタL2a、L2bがない場合とを比較する。
【0044】
フィラメント予熱回路5a、5bに予熱インダクタL2a、L2bがある場合をパターン1とし、フィラメント予熱回路5a、5bに予熱インダクタL2a、L2bがない場合をパターン2、パターン3とする。
【0045】
パターン1は、予熱インダクタL2a、L2bを備え、蛍光ランプLAの予熱時に必要なフィラメント予熱電流(例えば、0.4A〜0.8A)となるように、電圧値及び各電子部品の設定値を設定したものである。
【0046】
パターン2は、予熱インダクタL2a、L2bをなくし、蛍光ランプLAの予熱時に必要なフィラメント予熱電流(例えば、0.4A〜0.8A)となるように、電圧値及び各電子部品の設定値を設定したものである。
【0047】
パターン3は、パターン1の各電子部品の設定値を同じ状態にして、予熱インダクタL2a、L2bをなくしたものである。
【0048】
フィラメント予熱回路5a、5bに予熱インダクタL2a、L2bがない場合においては、2次巻線L1−2、L1−3に発生する電圧を電源として、予熱コンデンサC4a、C4b、フィラメント抵抗Rfによりフィラメント予熱電流が抑制され、蛍光ランプLAの点灯中のフィラメント予熱電流IfLの実効値は、式7において、l2、l3=0として示される。
【0049】
また、蛍光ランプLAの予熱時の関係式は、式10において、l2、l3=0として示される。
【0050】
また、使用する蛍光ランプLAとして、FHF32ランプを用いることとする。
【0051】
ここで、それぞれのパターンにおける各条件(電圧値及び電子部品の定数)を纏めたものを表1に示す。
【0052】
【表1】
【0053】
なお、本実施の形態では、蛍光ランプLAにFHF32ランプを用いる場合について説明しているが、使用する蛍光ランプLAは他の種類のものでもよく、使用する蛍光ランプLAの種類に応じたフィラメント予熱電流となるように、各条件(電圧値及び電子部品の定数)を適宜設定する。
【0054】
次に、図2〜図4を用いて、パターン1、パターン2およびパターン3を比較しながら、予熱時の特性を説明する。
【0055】
図2は、パターン1におけるフィラメント予熱回路の特性を示す特性図であり、図3は、パターン2におけるフィラメント予熱回路の特性を示す特性図であり、図4は、パターン3におけるフィラメント予熱回路の特性を示す特性図である。
【0056】
この図2〜図4に示す特性図は、表1に示す定数を式1〜式10に適用して算出したものである。
【0057】
蛍光ランプLAのフィラメントの予熱特性はJIS C 7617に規定されている。例えば、FHF32ランプについては、予熱時間を1sとしたときに、0.5A以上のフィラメント予熱電流が必要となる。また、ランプ両端間開放電圧の最小値より240V以下で予熱しないと、予熱中に蛍光ランプLAが点灯してしまい、最適な予熱ができないことになる。
【0058】
そこで、フィラメントのフィラメント予熱電流の設計値は、図2のD点、図3のD’点に示すように、例えば0.55Aに設計する。このときのランプ両端電圧は図2のC点、図3のC’点に示すように200V以下となり、蛍光ランプLAが放電開始する240V以下のため、予熱中に蛍光ランプLAが点灯することもなく、最適な予熱ができる。
【0059】
しかしながら、パターン3の場合は、予熱インダクタL2a、L2bがないため、LC共振がなく、図2に示すフィラメント予熱電流Dに対して図4に示すフィラメント予熱電流D’’点は大幅に減少する。このように、パターン3のフィラメント予熱電流は、予熱時に必要な最小値(0.5A)にも満たない。そのため、この状態から蛍光ランプLAを点灯させる始動電圧を加えると、フィラメントが充分予熱できていないため、フィラメントに塗布している陰極物質が飛散し、蛍光ランプLA(フィラメント)が短寿命となる。
【0060】
次に、図2〜図4を用いて、パターン1、パターン2およびパターン3を比較しながら、点灯時の特性を説明する。
【0061】
点灯時のフィラメント予熱電流は、フィラメントを適度に予熱できるフィラメント予熱電流であればよく、少ないほど回路効率(入力電力に対する光変換効率)がよくなる。
【0062】
パターン1、パターン2における蛍光ランプLAに流れるランプ電流は、図2のA点、図3のA’点に示すように0.4Aである。
【0063】
このときのフィラメント予熱電流は、図2のB点、図3のB’点に示すように、パターン2では0.33Aであるのに対し、パターン1では0.12Aと大幅に低減されている。
【0064】
このフィラメント予熱電流によるフィラメントロスを電力に換算すると、W=I2×2Rf(1本の蛍光ランプにフィラメントが2本あるため2Rとなる)より、フィラメント抵抗Rfの抵抗値rf=12Ωとして、パターン2は3.84W、パターン1は0.35Wとなる。
【0065】
したがって、パターン1における蛍光ランプLAの1本当たりのフィラメントロスは、パターン2のフィラメントロスに対して9%に大幅に低減している。
【0066】
また、フィラメント予熱回路5a、5bは、予熱インダクタL2aと予熱コンデンサC4a、または予熱インダクタL2bと予熱コンデンサC4bによるLC共振を用いるため、チョークコイルL1の2次側に発生する電圧は、大きな電圧を必要としない。つまり、1次側に発生する電圧の1/10以下の電圧が発生すれば、十分に動作することを示している。1次側145Tに対し2次側4Tの非常に少ない巻き数で効果を得ることができる。チョークコイルL1の一次側には、ランプ始動時に1000Vの電圧が印加されるので、チョークコイルL1の2次側には1次側に発生する電圧に応じた電圧が発生する。しかし、チョークコイルL1の1次巻線L1−1、2次巻線L1−2、L1−3の巻き数比aが1/10以下であれば、2次側に発生する電圧は100V以下となり、トランスの絶縁構造、フィラメント予熱回路の部品選択にも有利である。
【0067】
また、チョークコイルL1の1次巻線L1−1、2次巻線L1−2、L1−3の巻き数比aを1/10以下にすると、2次側に発生する電圧を100V以下に抑える事ができるので、放電灯点灯回路1を実装するプリント基板PWBの配線パターンを細くすることができ、放電灯点灯回路を実装するプリント基板PWBの配線パターン間の絶縁距離を短くすることができる。したがって、プリント基板PWBが小型化でき、後述する放電灯点灯装置10の小型化ができる。
【0068】
パターン3は、パターン1と比較すると、図4のB’’点に示す点灯中のフィラメント予熱電流は、若干の減少にとどまっている。これは、パターン1に示すフィラメント予熱回路5a、5bの予熱インダクタL2a、L2bと予熱コンデンサC4a、C4bのLC共振の影響を受けずに、点灯時は予熱コンデンサC4a、C4bのインピーダンスで概略フィラメント予熱電流が決定されることを示している。
【0069】
よって、予熱時のフィラメント予熱電流の設定は予熱インダクタL2a、L2bと予熱コンデンサC4a、C4bのLC共振で決定され、点灯時のフィラメント予熱電流は予熱コンデンサC4a、C4bの容量(インピーダンス)のみの設定で回路設計が行えるため、定数設計が容易に行える。このことより、蛍光ランプLAの点灯時のフィラメントロスを低減することができるとともに、蛍光ランプLAの予熱時にフィラメントに流すフィラメント予熱電流の設定幅を大幅に広げることができる。
【0070】
次に、フィラメント予熱回路5a、5bの予熱インダクタL2a、L2bに用いるインダクタの飽和特性について説明する。
【0071】
図5は、インダクタの飽和特性図である。
図5に示す飽和特性は、例えば、TDK製SP0508TYPE(以下、SP0508という。)のインダクタLwの飽和特性であり、SP0508の直流重畳特性を示す。
【0072】
この直流重畳特性は、一定以上の電流を流すと、急激にL値が減少する飽和特性を示しており、例えば、L値が100μHのSP0508の場合、0.5Aを越えるあたりからL値が減少し始め、0.7Aを越えると急激にL値が減少する特性であることを示している。
【0073】
蛍光ランプLAのランプフィラメントの予熱は前述のようにJIS C 7617に規定されている。例えば、FHF32ランプについては、予熱時間を2sとしたときに、0.4A以上のフィラメント予熱電流が必要となり、また、最大のフィラメント予熱電流は0.8Aとなる。
【0074】
フィラメント予熱回路5a、5bによる予熱特性は、前述のパターン1に示す予熱特性(図3)を示し、このときの予熱インダクタL2a、L2bのL値は、表1に示すように100μHであった。ここで、この予熱インダクタL2a、L2bに、飽和特性を有するインダクタLw(例えば、L値が100μHのSP0508)を使用する。
【0075】
このインダクタLwの特性は、図5に示す直流重畳特性より、0.7A以上のフィラメント予熱電流が流れた場合にL値が低下することとなる。L値が低下すると、予熱インダクタL2a、L2bと予熱コンデンサC4a、C4bのLC共振が弱まり、図5に示すようにフィラメント予熱電流が流れなくなる。フィラメント予熱電流が流れなくなると、インダクタLwの直流重畳特性により、L値が元の値に復帰してフィラメント予熱電流を流すようになる。この繰り返しにより、フィラメント予熱電流がインダクタLwの飽和電流付近でほぼ一定となり、フィラメント予熱電流の最大値を制御することができる。
【0076】
よって、フィラメント予熱回路5a、5bの予熱インダクタL2a、予熱インダクタL2bに用いるインダクタLwの直流重畳特性の飽和点を、蛍光ランプLAに必要なフィラメント予熱電流の最低値以上かつ最大値以下に設計すると、最大フィラメント予熱電流を制限することが可能となる。
【0077】
また、一般にインダクタの大きさが小型のものである場合、飽和電流も小さくなるので、フィラメント予熱電流の最低値以上かつ最大値以下に飽和点を持つようにすることにより、使用するインダクタLwを飽和電流の小さいものに選定することができ、小型のインダクタLwを使用することができる。したがって、インダクタLwをプリント基板PWBに実装する加工性が向上し、また、プリント基板PWBの小型化(後述する放電灯点灯装置10の小型化)ができる。
【0078】
このように、予熱インダクタL2a、L2bに飽和特性を有するインダクタLwを用いると、フィラメントの予熱時にフィラメント予熱電流を大きくできるとともに、インダクタLwの飽和特性によって、フィラメントに流れるフィラメント予熱電流の最大値を制御することができる。
【0079】
実施例1.
図6は、本実施例に用いるインダクタの構成図であり、図7は、フィラメント予熱回路のインダクタをプリント基板PWBに実装したときの部品配置を示す図である。
【0080】
放電灯点灯装置10は、プリント基板PWBと、プリント基板PWB上に搭載される放電灯点灯回路1と、プリント基板PWB上に取り付けられる入力端子台CNi及び出力端子台CNoを備える。
【0081】
プリント基板PWBは、細長い長方形をなしており、長手方向の一端側に交流電圧ACを供給するための電源線が接続される入力端子台CNiが取り付けられ、長手方向の他端側に蛍光ランプLAに接続するためのランプ電線が接続される出力端子台CNoが取り付けられる。
【0082】
予熱インダクタL2a、L2bは、ドラム型のコア211に巻き線212を施した形状のアキシャル型インダクタであり、ボディ部210がプリント基板PWBの実装面に対してほぼ平行となるように、プリント基板PWBに実装される。また、予熱インダクタL2a、L2bは、ボディ部210の両端にリード線220a、220bを備えている。
【0083】
また、予熱インダクタL2a、L2bは、プリント基板PWBの短手方向の両端側、かつ出力端子台CNo側に取り付けられ、予熱インダクタL2a、L2bのボディ部210がほぼ平行になるように配置される。
【0084】
なお、出力端子台CNo側とは、プリント基板PWBの長手方向の略中央付近から出力端子台CNoが配置されるプリント基板PWBの長手方向の端部までの間をいう。
【0085】
この予熱インダクタL2a、L2bのボディ部210を並列に近接して配置した場合、互いの磁束の影響により設計値通りに回路が動作しない場合(例えば、フィラメント予熱回路のLC共振が不安定になるなど)がある。
【0086】
しかしながら、プリント基板PWBの短手方向の両端側に予熱インダクタL2a、L2bを配置するので、予熱インダクタL2aと予熱インダクタL2bとの距離が離れ、互いの磁束に影響を及ぼすことがない。
【0087】
実施例2.
図8は、フィラメント予熱回路の予熱インダクタL2a、L2bをプリント基板PWBに実装したときの部品配置を示す図である。
【0088】
本実施例は、実施例1のプリント基板PWBに予熱インダクタを実装するときの配置が異なる場合を示すものである。
【0089】
予熱インダクタL2a、L2bは、ドラム型のコア211に巻き線212を施した形状のアキシャル型インダクタであり、ボディ部210がプリント基板PWBの実装面に対してほぼ平行となるように、プリント基板PWBに実装される。
【0090】
また、予熱インダクタL2a、L2bは、プリント基板PWBの出力端子台CNo側に取り付けられ、予熱インダクタL2a、L2bのボディ部210がプリント基板PWBの長手方向に対して整列するように配置される。
【0091】
予熱インダクタL2a、L2bに発生する磁束は、ボディ部210の長手方向に対して水平方向に発生する。
【0092】
したがって、予熱インダクタL2a、L2bは、ボディ部210がプリント基板PWBの長手方向に対して整列するように配置するので、互いの磁束の影響を受けなくなる。
【0093】
実施例3.
本実施例は、実施例1のプリント基板PWBに予熱インダクタを実装するときの配置が異なる場合を示すものである。
【0094】
図9は、フィラメント予熱回路の予熱インダクタL2a、L2bをプリント基板PWBに実装したときの部品配置を示す図である。
【0095】
予熱インダクタL2a、L2bは、ドラム型のコアに巻き線を施した形状のアキシャル型インダクタであり、ボディ部210がプリント基板PWBの実装面に対してほぼ平行となるように、プリント基板PWBに実装される。
【0096】
また、予熱インダクタL2a、L2bは、プリント基板PWBの出力端子台CNo側に取り付けられ、予熱インダクタL2aと予熱インダクタL2bのボディ部210の延長線がほぼ垂直方向に交わるように配置される。
【0097】
予熱インダクタL2a、L2bに発生する磁束は、ボディ部210の長手方向に対して水平方向に発生する。
【0098】
したがって、予熱インダクタL2aと予熱インダクタL2bは、ボディ部210の延長線が垂直に交わるように配置するので、互いの磁束の影響を受けなくなる。
【0099】
実施例4.
本実施例は、実施例3のプリント基板PWBに実装する予熱インダクタの形状が異なる場合を示すものである。
【0100】
図10は、本実施例に用いる予熱インダクタの構成図であり、図11は、フィラメント予熱回路の予熱インダクタL2a、L2bをプリント基板PWBに実装したときの部品配置を示す図である。
【0101】
予熱インダクタL2aは、ドラム型のコア211に巻き線212を施した形状のアキシャル型インダクタであり、ボディ部210がプリント基板PWBの実装面に対してほぼ平行となるように、プリント基板PWBに実装される。また、予熱インダクタL2aは、ボディ部210の両端にリード線220a、220bを備えている。
【0102】
予熱インダクタL2bは、ドラム型のコア211に巻き線212を施した形状のラジアル型インダクタであり、ボディ部210がプリント基板PWBの実装面に対してほぼ垂直となるように、プリント基板PWBに実装される。また、予熱インダクタL2bは、ボディ部210の両端にリード線220c、220dを備え、一方のリード線220cは、他方のリード線220d側に折り曲げられている。
【0103】
また、予熱インダクタL2a、L2bは、それぞれプリント基板PWBの出力端子台CNo側に取り付けられる。
【0104】
したがって、予熱インダクタL2aと予熱インダクタL2bのボディ部210は、実施例3と同様に、ほぼ垂直となるようにプリント基板PWBに配置される。
【0105】
そのため、予熱インダクタL2aと予熱インダクタL2bのボディ部210は、垂直に交わるように配置するので、互いの磁束の影響を受けなくなる。
【0106】
実施の形態2.
本実施の形態は、実施の形態1に示す放電灯点灯回路に接続される蛍光ランプが2本となるものである。
【0107】
本実施の形態において、実施の形態1に示す部分と同じ構成の部分は同符号を付し、説明を省略する。
【0108】
図12は、2本の蛍光ランプを直列に接続する放電灯点灯回路の回路ブロック図である。
【0109】
放電灯点灯回路1aは、入力される交流電圧ACを整流するとともに、平滑して平滑電圧を生成する交流−直流変換回路2と、この交流−直流変換回路2が生成する平滑電圧を高周波電圧に変換するインバータ回路3と、インバータ回路3が変換した高周波電圧を接続される蛍光ランプLA、LBに供給する負荷回路4と、接続される蛍光ランプLA、LBのフィラメントを予熱するフィラメント予熱回路5a、5b、5cを備える。
【0110】
負荷回路4aは、1次巻線L1−1がインバータ回路3に接続されるチョークコイルL1aと、チョークコイルL1aの1次巻線L1−1に接続されるコンデンサC2と、コンデンサC2に接続される結合コンデンサC3を備えている。このコンデンサC2と並列に、直列接続された蛍光ランプLA、LBが接続され、チョークコイルL1aの1次巻線L1−1とコンデンサC2の共振により蛍光ランプLA、LBを点灯する。
【0111】
チョークコイルL1aは、3本の2次巻線L1−2、L1−3、L1−4を備える。
【0112】
フィラメント予熱回路5a、5b、5cは、チョークコイルL1aの2次側に巻かれた2次巻線L1−2、L1−3、L1−4と、それぞれの2次巻線L1−2、L1−3、L1−4に接続される予熱インダクタL2a、L2b、L2cと、それぞれの予熱インダクタL2a、L2b、L2cに接続されるとともに蛍光ランプLAのフィラメントに接続される予熱予熱コンデンサC4a、C4b、C4cを備える。
【0113】
蛍光ランプLA、LBは直列接続され、蛍光ランプLAと蛍光ランプLBとが接続する部分は、それぞれのフィラメントの一端同士が接続され、他端はフィラメント予熱回路5cが接続される。
【0114】
フィラメント予熱回路5aは、蛍光ランプLAのフィラメントを予熱し、フィラメント予熱回路5bは、蛍光ランプLBのフィラメントを予熱し、フィラメント予熱回路5cは、蛍光ランプLAのフィラメントと蛍光ランプLBのフィラメントをともに予熱する。
【0115】
このように、蛍光ランプLAのフィラメントと蛍光ランプLBのフィラメントをともに予熱するフィラメント予熱回路5cを備えるので、フィラメント予熱電流の最小値及び最大値の兼ね合いから、蛍光ランプLAのフィラメントを予熱するフィラメント予熱回路5a及び蛍光ランプLBのフィラメントを予熱するフィラメント予熱回路5bと同じLC共振(予熱インダクタL2c、予熱コンデンサC4cの定数を予熱インダクタL2a、L2b及び予熱コンデンサC4a、C4bと同じ定数にする。)とすることもでき、また、異なるLC共振(予熱インダクタL2c、予熱コンデンサC4cの定数を予熱インダクタL2a、L2b及び予熱コンデンサC4a、C4bと異なる定数にする。)とすることもできる。
【0116】
なお、本実施の形態では、蛍光ランプLA、LBが2本直列に接続される場合について説明したが、3本以上の蛍光ランプを直列に接続してもよい。この場合、直列接続する蛍光ランプの本数に応じてフィラメント予熱回路を追加する。
【0117】
次に、この放電灯点灯回路1aを組み込んだ照明器具について説明する。
【0118】
図13は、本実施の形態を示す放電灯点灯回路を備える照明器具である。
【0119】
照明器具100は、入力される交流電圧ACを変換して、蛍光ランプLA、LBに電力を供給する放電灯点灯装置10aと、蛍光ランプLAを機械的に保持するとともに、放電灯点灯装置10aと蛍光ランプLA、LBを電気的に接続するランプソケット200と、蛍光ランプLA、LBが発する光を反射する反射板300と、放電灯点灯装置10aと反射板300が取り付けられるとともに、天井などに固定される器具本体400から構成される。
【0120】
放電灯点灯装置10aは、放電灯点灯回路1aが実装されたプリント基板PWBを備える。
【0121】
照明器具に取り付けられる蛍光ランプLA、LBの特性は、JIS C7617に定められていることは前述の通りであるが、メーカ毎或いは蛍光ランプLA、LBの製造バラツキによって、フィラメントの特性が若干異なることがある。そのため、蛍光ランプLA、LBの交換などによって、照明器具100に取り付けられる蛍光ランプLA、LB(フィラメント)の特性にバラツキが生じることがあるので、放電灯点灯回路1を設計する上で、このバラツキを考慮した予熱時のフィラメント予熱電流及び点灯時のフィラメント予熱電流を設定する必要がある。このような場合であっても、JIS C7617に適合したフィラメント予熱電流が供給できるように、予熱インダクタL2a、L2b、L2cと予熱コンデンサC4a、C4b、C4cのLC共振を設定すればよく、設計が容易になる。
【0122】
実施例1.
図14は、フィラメント予熱回路の予熱インダクタL2a、L2b、L2cをプリント基板PWBに実装したときの部品配置を示す図である。
【0123】
放電灯点灯装置10aは、プリント基板PWBと、プリント基板PWB上に搭載される放電灯点灯回路と、プリント基板PWB上に取り付けられる入力端子台CNi及び出力端子台CNoを備える。
【0124】
プリント基板PWBは、細長い長方形をなしており、交流電圧ACを供給するための電源線が接続される入力端子台CNiが長手方向の一端側に取り付けられ、長手方向の他端側に蛍光ランプLA、LBに接続するためのランプ電線が接続される出力端子台CNoが取り付けられる。
【0125】
予熱インダクタL2a、L2b、L2cは、ドラム型のコアに巻き線を施した形状のアキシャル型インダクタであり、ボディ部210がプリント基板PWBの実装面に対してほぼ平行となるように、プリント基板PWBに実装される。
【0126】
また、予熱インダクタL2a、L2bは、プリント基板PWBの短手方向の両端側、かつ出力端子台CNo側に取り付けられ、予熱インダクタL2a、L2bのボディ部210がほぼ平行になるように配置される。
【0127】
なお、出力端子台CNo側とは、プリント基板PWBの長手方向の略中央付近から出力端子台CNoが配置されるプリント基板PWBの長手方向の端部までの間をいう。
【0128】
また、予熱インダクタL2cは、プリント基板PWBの出力端子台CNo側に取り付けられ、予熱インダクタL2cのボディ部210の長手方向が、予熱インダクタL2a、L2bのボディ部210の長手方向に対してプリント基板PWBの長手方向に整列するように配置される。
【0129】
プリント基板PWBの短手方向の両端側に予熱インダクタL2a、L2bを配置するので、予熱インダクタL2aと予熱インダクタL2bとの距離が離れ、互いの磁束に影響を及ぼすことがない。
【0130】
予熱インダクタL2a、L2b、L2cに発生する磁束は、ボディ部210の長手方向に対して水平方向に発生する。
【0131】
したがって、予熱インダクタL2cのボディ部210は、予熱インダクタL2a、L2bのボディ部210の長手方向に対して整列するように配置するので、互いの磁束の影響を受けなくなる。
【0132】
実施例2.
本実施例は、実施例1のプリント基板PWBに予熱インダクタを実装するときの配置が異なる場合を示すものである。
【0133】
図15は、フィラメント予熱回路の予熱インダクタL2a、L2b、L2cをプリント基板PWBに実装したときの部品配置を示す図である。
【0134】
予熱インダクタL2a、L2bは、ドラム型のコアに巻き線を施した形状のアキシャル型インダクタであり、ボディ部210がプリント基板PWBの実装面に対してほぼ平行となるように、プリント基板PWBに実装される。
【0135】
また、予熱インダクタL2a、L2bは、プリント基板PWBの短手方向の両端側、かつ出力端子台CNo側に取り付けられ、予熱インダクタL2a、L2bのボディ部210がほぼ平行になるように配置される。
【0136】
予熱インダクタL2cは、プリント基板PWBの短手方向の両端側、かつ出力端子台CNo側に取り付けられ、予熱インダクタL2cのボディ部210の延長線が予熱インダクタL2a、L2bのボディ部210にほぼ垂直に交わるように配置される。
【0137】
予熱インダクタL2a、L2b、L2cに発生する磁束は、ボディ部210の長手方向に対して水平方向に発生する。
【0138】
したがって、予熱インダクタL2cのボディ部210の延長線は、予熱インダクタL2a、L2bにほぼ垂直に交わるように配置するので、互いの磁束の影響を受けなくなる。
【0139】
また、プリント基板PWBの短手方向の両端側に予熱インダクタL2a、L2bを配置するので、予熱インダクタL2aと予熱インダクタL2bとの距離が離れ、互いの磁束に影響を及ぼすことがない。
【0140】
実施例3.
本実施例は、実施例1と実施例2を組み合わせるときのプリント基板PWBに予熱インダクタを実装する場合を示すものである。
【0141】
図16は、フィラメント予熱回路の予熱インダクタL2a、L2b、L2cをプリント基板PWBに実装したときの部品配置を示す図である。
【0142】
予熱インダクタL2aは、プリント基板PWBの短手方向の一端側、かつ出力端子台CNo側に取り付けられる。
【0143】
予熱インダクタL2bは、プリント基板PWBの出力端子台CNo側に取り付けられ、予熱インダクタL2bのボディ部210の長手方向が、予熱インダクタL2aのボディ部210の長手方向に対してプリント基板PWBの長手方向に整列するように配置される。
【0144】
予熱インダクタL2cは、プリント基板PWBの短手方向の両端側、かつ出力端子台CNo側に取り付けられ、予熱インダクタL2cのボディ部210の延長線が予熱インダクタL2a、L2bのボディ部210にほぼ垂直に交わるように配置される。
【0145】
予熱インダクタL2a、L2b、L2cに発生する磁束は、ボディ部210の長手方向に対して水平方向に発生する。
【0146】
したがって、予熱インダクタL2bのボディ部210は、予熱インダクタL2aのボディ部210の長手方向に対して整列するように配置するので、互いの磁束の影響を受けなくなる。
【0147】
また、予熱インダクタL2cのボディ部210の延長線は、予熱インダクタL2a、L2bにほぼ垂直に交わるように配置するので、互いの磁束の影響を受けなくなる。
【0148】
実施例4.
本実施例は、実施例3のプリント基板PWBに実装する予熱インダクタの形状が異なる場合を示すものである。
【0149】
図17は、フィラメント予熱回路の予熱インダクタL2a、L2b、L2cをプリント基板PWBに実装したときの部品配置を示す図である。
【0150】
予熱インダクタL2a、L2bは、ドラム型のコア211に巻き線212を施した形状のアキシャル型インダクタであり、ボディ部210がプリント基板PWBの実装面に対してほぼ平行となるように、プリント基板PWBに実装される。
【0151】
また、予熱インダクタL2a、L2bは、プリント基板PWBの短手方向の両端側、かつ出力端子台CNo側に取り付けられ、予熱インダクタL2a、L2bのボディ部210がほぼ平行になるように配置される。
【0152】
予熱インダクタL2cは、ドラム型のコア211に巻き線212を施した形状のラジアル型インダクタであり、ボディ部210がプリント基板PWBの実装面に対してほぼ垂直となるように、プリント基板PWBに実装される。
【0153】
また、予熱インダクタL2a、L2b、L2cは、それぞれプリント基板PWBの出力端子台CNo側に取り付けられる。
【0154】
したがって、予熱インダクタL2cと予熱インダクタL2a、L2bのボディ部210は、実施例2と同様に、ほぼ垂直となるようにプリント基板PWBに配置される。
【0155】
そのため、予熱インダクタL2cと予熱インダクタL2a、L2bのボディ部210は、垂直に交わるように配置するので、互いの磁束の影響を受けなくなる。
【0156】
なお、本実施例では、予熱インダクタL2a、L2bにアキシャル型インダクタを用い、予熱インダクタL2cにラジアル型インダクタを用いる場合について説明したが、予熱インダクタL2a、L2bにラジアル型インダクタ、予熱インダクタL2cにアキシャル型インダクタを用いてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0157】
【図1】実施の形態1に示す放電灯点灯回路の回路ブロック図である。
【図2】実施の形態1を示す放電灯点灯回路の特性図である。
【図3】実施の形態1を示す放電灯点灯回路の特性と比較するための特性図である。
【図4】実施の形態1を示す放電灯点灯回路の特性と比較するための他の特性図である。
【図5】実施の形態1を示す放電灯点灯回路のインダクタの特性図である。
【図6】実施の形態1を示す放電灯点灯回路のインダクタの構造を示す側面図である。
【図7】実施の形態1を示す放電灯点灯回路を実装する放電灯点灯装置の実施例を示す上視図である。
【図8】実施の形態1を示す放電灯点灯回路を実装する放電灯点灯装置の他の実施例を示す上視図である。
【図9】実施の形態1を示す放電灯点灯回路を実装する放電灯点灯装置の他の実施例を示す上視図である。
【図10】実施の形態1を示す放電灯点灯回路のインダクタの他の構造を示す側面図
【図11】実施の形態1を示す放電灯点灯回路を実装する放電灯点灯装置の他の実施例を示す上視図である。である。
【図12】実施の形態2に示す放電灯点灯回路の回路ブロック図である。
【図13】実施の形態2に示す照明器具の斜視図である。
【図14】実施の形態2を示す放電灯点灯回路を実装する放電灯点灯装置の実施例を示す上視図である。
【図15】実施の形態2を示す放電灯点灯回路を実装する放電灯点灯装置の他の実施例を示す上視図である。
【図16】実施の形態2を示す放電灯点灯回路を実装する放電灯点灯装置の他の実施例を示す上視図である。
【図17】実施の形態2を示す放電灯点灯回路を実装する放電灯点灯装置の他の実施例を示す上視図である。
【符号の説明】
【0158】
1、1a 放電灯点灯回路、2 交流−直流変換回路、3 インバータ回路、4、4a 負荷回路、5a、5b、5c フィラメント予熱回路、6 インバータ制御回路、100 照明器具、200 ランプソケット、300 反射板、400 器具本体、210 ボディ部、211 コア、212 巻き線、220a、220b、220c、220d リード線、AC 交流電圧、DB ダイオードブリッジ、C1 平滑コンデンサ、C2 コンデンサ、C3 結合コンデンサ、C4a、C4b、C4c 予熱コンデンサ、Q1、Q2 MOS−FET、L1、L1a チョークコイル、L1−1 1次巻線、L1−2、L1−3、L1−4 2次巻線、L2a、L2b、L2c 予熱インダクタ、LA、LB 蛍光ランプ、PWB プリント基板、CNi 入力端子台、CNo 出力端子台。
【技術分野】
【0001】
本発明は、放電灯点灯回路が蛍光ランプを点灯する際に、蛍光ランプのフィラメントに流れる電流を制御する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
地球規模での温暖化防止対策が求められる中、企業や公共施設では様々な省エネ製品の導入により、省エネ・CO2削減に取り組んでおり、建物におけるエネルギー消費量の大きさから、照明器具に対する省エネ期待も高まっている。
【0003】
放電灯点灯装置の総合効率の改善は、放電灯点灯装置内の回路動作による回路ロス及び蛍光ランプのフィラメントに流れる電流によるフィラメントロスを低減することにより行える。
【0004】
このフィラメントロスは、蛍光ランプの点灯中にフィラメントに流れる電流により熱に変換されるエネルギーで、フィラメントの加熱に最低限必要な電流以外をカットすることにより、低減することができる。例えば、蛍光ランプの点灯前のフィラメント予熱電流を十分に流し、蛍光ランプの点灯後の無駄なフィラメントロスを削減するようにフィラメントインバータを備える技術がある(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】
【特許文献1】特開平10−134984号公報(段落「0029」、段落「0030」、図1及び図2参照。)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、フィラメントインバータを備える場合、フィラメント予熱回路専用のトランスを使用しなければならないこと、フィラメント予熱電流がトランスの1次巻線・2次巻線の巻き数比もしくは巻き数比とコンデンサ容量で決定されることなど、設計の自由度がなく、大型の部品も必要となっていた。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係わる放電灯点灯回路は、交流電圧を直流電圧に変換する交流−直流変換回路と、上記交流−直流変換回路から供給される直流を高周波電流に変換するインバータ回路と、一端が上記インバータ回路に接続され、他端にフィラメントを有する蛍光ランプが接続される2次巻線を有するチョークコイル、上記蛍光ランプに並列に接続されるコンデンサ、及び、一端が上記インバータ回路に接続され、他端に上記蛍光ランプが接続される結合コンデンサ、を有する負荷回路と、上記チョークコイルの2次巻線から電源が供給され、予熱インダクタ、予熱コンデンサ及び、上記蛍光ランプのフィラメントが直列接続されて直列共振回路を形成するフィラメント予熱回路とを備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、蛍光ランプの予熱時のフィラメント予熱電流を予熱に必要な電流値に設定することができるとともに、蛍光ランプの点灯時のフィラメント予熱電流を抑制して、蛍光ランプのフィラメントロスを低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
実施の形態1.
図1は、本実施の形態を示す放電灯点灯回路の回路ブロック図である。
【0010】
放電灯点灯回路1は、入力される交流電圧ACを整流するとともに、平滑して平滑電圧を生成する交流−直流変換回路2と、この交流−直流変換回路2が生成する平滑電圧を高周波電圧に変換するインバータ回路3と、インバータ回路3が変換した高周波電圧を接続される蛍光ランプLAに供給する負荷回路4と、接続される蛍光ランプLAのフィラメントを予熱するフィラメント予熱回路5a、5bを備える。
【0011】
交流−直流変換回路2は、交流電圧ACを整流するダイオードブリッジDBと、ダイオードブリッジDBが整流した脈流電圧を平滑する平滑コンデンサC1を備える。
【0012】
インバータ回路3は、スイッチング素子であるMOS−FET Q1、Q2と、このMOS−FET Q1、Q2のスイッチングを制御するとともに、スイッチング周波数を決定するインバータ制御回路6を備える。このインバータ回路3は、インバータ制御回路6により、MOS−FET Q1及びQ2のスイッチングが制御され、平滑コンデンサC1に蓄えられた直流電圧を高周波電圧に変換するものである。
【0013】
インバータ制御回路6は、MOS−FET Q1とMOS−FET Q2が交互にオン/オフするようにスイッチング制御している。
【0014】
負荷回路4は、1次巻線L1−1がインバータ回路3に接続されるチョークコイルL1と、チョークコイルL1の1次巻線L1−1に接続されるコンデンサC2と、コンデンサC2に接続される結合コンデンサC3を備えている。このコンデンサC2に並列に蛍光ランプLAは接続され、チョークコイルL1の1次巻線L1−1とコンデンサC2の共振により蛍光ランプLAを点灯する。
【0015】
フィラメント予熱回路5a、5bは、チョークコイルL1の2次側に巻かれた2次巻線L1−2、L1−3と、それぞれの2次巻線L1−2、L1−3に接続される予熱インダクタL2a、L2bと、それぞれの予熱インダクタL2a、L2bに接続されるとともに蛍光ランプLAのフィラメントに接続される予熱コンデンサC4a、C4bを備える。
【0016】
このフィラメント予熱回路5a、5bは、チョークコイルL1の2次側に巻かれた2次巻線L1−2、L1−3を電源とし、予熱インダクタL2a、L2bと予熱コンデンサC4a、C4bの共振を利用して、蛍光ランプLAの放電開始前に蛍光ランプLAのフィラメントを十分に予熱して放電開始によるフィラメントの消耗を減少させ、蛍光ランプLAの点灯後は蛍光ランプLAの寿命を満足するように適度なフィラメント予熱電流を流してフィラメントを予熱するものである。
【0017】
なお、2次巻線L1−2の巻き数は、1次巻線L1−1に対して巻き数が非常に少なく、予熱インダクタL2aのL値をl2とするとき、l2≫l1−2の関係が成り立ち、後述するフィラメント予熱回路5aのLC共振の計算上ほとんど影響を受けないため、2次巻線L1−2に発生する電圧VL2Sをフィラメント予熱回路5aの電源としている。フィラメント予熱回路5bにおいてもフィラメント予熱回路5aと同様である。
【0018】
また、本実施の形態では、交流−直流変換回路2がダイオードブリッジDBと平滑コンデンサC1で構成される場合について説明したが、ダイオードブリッジDBと平滑コンデンサC1との間にアクティブフィルタ回路を備えて、ダイオードブリッジDBが整流する電圧よりも高い電圧に昇圧してもよい。
【0019】
次に、蛍光ランプLAの点灯前に蛍光ランプLAのフィラメントに流れるフィラメント予熱電流と、蛍光ランプLAの点灯後に蛍光ランプLAのフィラメントに流れるフィラメント予熱電流について説明する。
【0020】
点灯時の蛍光ランプLAに流れるランプ電流(蛍光ランプLAに放電する放電電流)をIL、インバータ回路3がスイッチング動作する動作周波数をf、角速度ω=2πf、コンデンサC2、C3の容量をc2,c3、チョークコイルL1の1次巻線L1−1のL値をl1、点灯時のランプ等価抵抗RLの抵抗値をrL、フィラメント抵抗Rfの抵抗値をrf、平滑コンデンサC1の平滑電圧をVDCとする。インバータ回路3の出力電圧Eの実効値はフーリエ展開により、以下の式1で表される。
【0021】
【数1】
【0022】
蛍光ランプLAが接続された状態の負荷回路4の回路方程式より、蛍光ランプLAの点灯時のランプ電流ILの実効値は以下の式2で表される。
【0023】
【数2】
【0024】
次に、フィラメント予熱回路5aの電源となる2次巻線L1−2に発生する電圧VL2Sを求める。まず、変数D1、F1、G1、H1、K1、M1、N1、P1を、それぞれ以下の式3に示す条件を満たすように設定する。
【0025】
【数3】
【0026】
このとき、蛍光ランプLAの点灯中に1次巻線L1−1に発生する電流IBの実効値を求めると、以下の式4で表される。
【0027】
【数4】
【0028】
したがって、2次巻線L1−2に発生する電圧VL2Sは、1次巻線L1−1に対する2次巻線L1−2の巻き数比をaとすると、以下の式5で表される。
【0029】
【数5】
【0030】
ここで、前述のように2次巻線L1−2の巻き数は、1次巻線L1−1側に対して巻き数が非常に少なく、2次巻線L1−2のL値をl1−2とするとき、l2≫l1−2の関係が成り立つ。したがって、フィラメント予熱回路5aのLC共振を計算する上で、2次巻線L1−2のL値は無視することができるので、2次巻線L1−2に発生する電圧VL2Sは、計算上電源として扱う。
【0031】
次に、変数A4、B4、D4、F4、G4、H4を、それぞれ以下の式6に示す条件を満たすように設定する。ここで、予熱コンデンサC4aの容量をc4とする。
【0032】
【数6】
【0033】
フィラメント予熱回路5aは、2次巻線L1−2に発生する電圧VL2Sを電源として、予熱インダクタL2a、予熱コンデンサC4a、フィラメント抵抗Rfの直列共振回路となるので、蛍光ランプLAの点灯中にフィラメントに流れるフィラメント予熱電流IfLの実効値は、以下の式7で表される。
【0034】
【数7】
【0035】
次に、蛍光ランプLAの予熱時のフィラメント予熱電流を求める。予熱時は、蛍光ランプLAの等価抵抗の抵抗値が∞となるので、チョークコイルL1の1次巻線L1−1に流れる電流IBpreの実効値および蛍光ランプLAに印加される電圧VLpreの実効値は、以下の式8で表される。
【0036】
【数8】
【0037】
ここで、変数A3、B3を、それぞれ以下の式9に示す条件を満たすように設定する。
【0038】
【数9】
【0039】
前述のように、フィラメント予熱回路5aは、2次巻線L1−2に発生する電圧VL2Sを電源として、予熱インダクタL2a、予熱コンデンサC4a、フィラメント抵抗Rfの直列共振回路となるので、蛍光ランプLAの予熱中のフィラメント予熱電流IfLpreの実効値は、以下の式10で表される。
【0040】
【数10】
【0041】
このように、フィラメントに流れるフィラメント予熱電流IfLpreが求められる。
【0042】
なお、フィラメント予熱回路5bの各部の電圧及び電流は、フィラメント予熱回路5aの計算と同様に求められるので、説明を省略する。
【0043】
次に、フィラメント予熱回路5a、5bに予熱インダクタL2a、L2bがある場合と、フィラメント予熱回路5a、5bに予熱インダクタL2a、L2bがない場合とを比較する。
【0044】
フィラメント予熱回路5a、5bに予熱インダクタL2a、L2bがある場合をパターン1とし、フィラメント予熱回路5a、5bに予熱インダクタL2a、L2bがない場合をパターン2、パターン3とする。
【0045】
パターン1は、予熱インダクタL2a、L2bを備え、蛍光ランプLAの予熱時に必要なフィラメント予熱電流(例えば、0.4A〜0.8A)となるように、電圧値及び各電子部品の設定値を設定したものである。
【0046】
パターン2は、予熱インダクタL2a、L2bをなくし、蛍光ランプLAの予熱時に必要なフィラメント予熱電流(例えば、0.4A〜0.8A)となるように、電圧値及び各電子部品の設定値を設定したものである。
【0047】
パターン3は、パターン1の各電子部品の設定値を同じ状態にして、予熱インダクタL2a、L2bをなくしたものである。
【0048】
フィラメント予熱回路5a、5bに予熱インダクタL2a、L2bがない場合においては、2次巻線L1−2、L1−3に発生する電圧を電源として、予熱コンデンサC4a、C4b、フィラメント抵抗Rfによりフィラメント予熱電流が抑制され、蛍光ランプLAの点灯中のフィラメント予熱電流IfLの実効値は、式7において、l2、l3=0として示される。
【0049】
また、蛍光ランプLAの予熱時の関係式は、式10において、l2、l3=0として示される。
【0050】
また、使用する蛍光ランプLAとして、FHF32ランプを用いることとする。
【0051】
ここで、それぞれのパターンにおける各条件(電圧値及び電子部品の定数)を纏めたものを表1に示す。
【0052】
【表1】
【0053】
なお、本実施の形態では、蛍光ランプLAにFHF32ランプを用いる場合について説明しているが、使用する蛍光ランプLAは他の種類のものでもよく、使用する蛍光ランプLAの種類に応じたフィラメント予熱電流となるように、各条件(電圧値及び電子部品の定数)を適宜設定する。
【0054】
次に、図2〜図4を用いて、パターン1、パターン2およびパターン3を比較しながら、予熱時の特性を説明する。
【0055】
図2は、パターン1におけるフィラメント予熱回路の特性を示す特性図であり、図3は、パターン2におけるフィラメント予熱回路の特性を示す特性図であり、図4は、パターン3におけるフィラメント予熱回路の特性を示す特性図である。
【0056】
この図2〜図4に示す特性図は、表1に示す定数を式1〜式10に適用して算出したものである。
【0057】
蛍光ランプLAのフィラメントの予熱特性はJIS C 7617に規定されている。例えば、FHF32ランプについては、予熱時間を1sとしたときに、0.5A以上のフィラメント予熱電流が必要となる。また、ランプ両端間開放電圧の最小値より240V以下で予熱しないと、予熱中に蛍光ランプLAが点灯してしまい、最適な予熱ができないことになる。
【0058】
そこで、フィラメントのフィラメント予熱電流の設計値は、図2のD点、図3のD’点に示すように、例えば0.55Aに設計する。このときのランプ両端電圧は図2のC点、図3のC’点に示すように200V以下となり、蛍光ランプLAが放電開始する240V以下のため、予熱中に蛍光ランプLAが点灯することもなく、最適な予熱ができる。
【0059】
しかしながら、パターン3の場合は、予熱インダクタL2a、L2bがないため、LC共振がなく、図2に示すフィラメント予熱電流Dに対して図4に示すフィラメント予熱電流D’’点は大幅に減少する。このように、パターン3のフィラメント予熱電流は、予熱時に必要な最小値(0.5A)にも満たない。そのため、この状態から蛍光ランプLAを点灯させる始動電圧を加えると、フィラメントが充分予熱できていないため、フィラメントに塗布している陰極物質が飛散し、蛍光ランプLA(フィラメント)が短寿命となる。
【0060】
次に、図2〜図4を用いて、パターン1、パターン2およびパターン3を比較しながら、点灯時の特性を説明する。
【0061】
点灯時のフィラメント予熱電流は、フィラメントを適度に予熱できるフィラメント予熱電流であればよく、少ないほど回路効率(入力電力に対する光変換効率)がよくなる。
【0062】
パターン1、パターン2における蛍光ランプLAに流れるランプ電流は、図2のA点、図3のA’点に示すように0.4Aである。
【0063】
このときのフィラメント予熱電流は、図2のB点、図3のB’点に示すように、パターン2では0.33Aであるのに対し、パターン1では0.12Aと大幅に低減されている。
【0064】
このフィラメント予熱電流によるフィラメントロスを電力に換算すると、W=I2×2Rf(1本の蛍光ランプにフィラメントが2本あるため2Rとなる)より、フィラメント抵抗Rfの抵抗値rf=12Ωとして、パターン2は3.84W、パターン1は0.35Wとなる。
【0065】
したがって、パターン1における蛍光ランプLAの1本当たりのフィラメントロスは、パターン2のフィラメントロスに対して9%に大幅に低減している。
【0066】
また、フィラメント予熱回路5a、5bは、予熱インダクタL2aと予熱コンデンサC4a、または予熱インダクタL2bと予熱コンデンサC4bによるLC共振を用いるため、チョークコイルL1の2次側に発生する電圧は、大きな電圧を必要としない。つまり、1次側に発生する電圧の1/10以下の電圧が発生すれば、十分に動作することを示している。1次側145Tに対し2次側4Tの非常に少ない巻き数で効果を得ることができる。チョークコイルL1の一次側には、ランプ始動時に1000Vの電圧が印加されるので、チョークコイルL1の2次側には1次側に発生する電圧に応じた電圧が発生する。しかし、チョークコイルL1の1次巻線L1−1、2次巻線L1−2、L1−3の巻き数比aが1/10以下であれば、2次側に発生する電圧は100V以下となり、トランスの絶縁構造、フィラメント予熱回路の部品選択にも有利である。
【0067】
また、チョークコイルL1の1次巻線L1−1、2次巻線L1−2、L1−3の巻き数比aを1/10以下にすると、2次側に発生する電圧を100V以下に抑える事ができるので、放電灯点灯回路1を実装するプリント基板PWBの配線パターンを細くすることができ、放電灯点灯回路を実装するプリント基板PWBの配線パターン間の絶縁距離を短くすることができる。したがって、プリント基板PWBが小型化でき、後述する放電灯点灯装置10の小型化ができる。
【0068】
パターン3は、パターン1と比較すると、図4のB’’点に示す点灯中のフィラメント予熱電流は、若干の減少にとどまっている。これは、パターン1に示すフィラメント予熱回路5a、5bの予熱インダクタL2a、L2bと予熱コンデンサC4a、C4bのLC共振の影響を受けずに、点灯時は予熱コンデンサC4a、C4bのインピーダンスで概略フィラメント予熱電流が決定されることを示している。
【0069】
よって、予熱時のフィラメント予熱電流の設定は予熱インダクタL2a、L2bと予熱コンデンサC4a、C4bのLC共振で決定され、点灯時のフィラメント予熱電流は予熱コンデンサC4a、C4bの容量(インピーダンス)のみの設定で回路設計が行えるため、定数設計が容易に行える。このことより、蛍光ランプLAの点灯時のフィラメントロスを低減することができるとともに、蛍光ランプLAの予熱時にフィラメントに流すフィラメント予熱電流の設定幅を大幅に広げることができる。
【0070】
次に、フィラメント予熱回路5a、5bの予熱インダクタL2a、L2bに用いるインダクタの飽和特性について説明する。
【0071】
図5は、インダクタの飽和特性図である。
図5に示す飽和特性は、例えば、TDK製SP0508TYPE(以下、SP0508という。)のインダクタLwの飽和特性であり、SP0508の直流重畳特性を示す。
【0072】
この直流重畳特性は、一定以上の電流を流すと、急激にL値が減少する飽和特性を示しており、例えば、L値が100μHのSP0508の場合、0.5Aを越えるあたりからL値が減少し始め、0.7Aを越えると急激にL値が減少する特性であることを示している。
【0073】
蛍光ランプLAのランプフィラメントの予熱は前述のようにJIS C 7617に規定されている。例えば、FHF32ランプについては、予熱時間を2sとしたときに、0.4A以上のフィラメント予熱電流が必要となり、また、最大のフィラメント予熱電流は0.8Aとなる。
【0074】
フィラメント予熱回路5a、5bによる予熱特性は、前述のパターン1に示す予熱特性(図3)を示し、このときの予熱インダクタL2a、L2bのL値は、表1に示すように100μHであった。ここで、この予熱インダクタL2a、L2bに、飽和特性を有するインダクタLw(例えば、L値が100μHのSP0508)を使用する。
【0075】
このインダクタLwの特性は、図5に示す直流重畳特性より、0.7A以上のフィラメント予熱電流が流れた場合にL値が低下することとなる。L値が低下すると、予熱インダクタL2a、L2bと予熱コンデンサC4a、C4bのLC共振が弱まり、図5に示すようにフィラメント予熱電流が流れなくなる。フィラメント予熱電流が流れなくなると、インダクタLwの直流重畳特性により、L値が元の値に復帰してフィラメント予熱電流を流すようになる。この繰り返しにより、フィラメント予熱電流がインダクタLwの飽和電流付近でほぼ一定となり、フィラメント予熱電流の最大値を制御することができる。
【0076】
よって、フィラメント予熱回路5a、5bの予熱インダクタL2a、予熱インダクタL2bに用いるインダクタLwの直流重畳特性の飽和点を、蛍光ランプLAに必要なフィラメント予熱電流の最低値以上かつ最大値以下に設計すると、最大フィラメント予熱電流を制限することが可能となる。
【0077】
また、一般にインダクタの大きさが小型のものである場合、飽和電流も小さくなるので、フィラメント予熱電流の最低値以上かつ最大値以下に飽和点を持つようにすることにより、使用するインダクタLwを飽和電流の小さいものに選定することができ、小型のインダクタLwを使用することができる。したがって、インダクタLwをプリント基板PWBに実装する加工性が向上し、また、プリント基板PWBの小型化(後述する放電灯点灯装置10の小型化)ができる。
【0078】
このように、予熱インダクタL2a、L2bに飽和特性を有するインダクタLwを用いると、フィラメントの予熱時にフィラメント予熱電流を大きくできるとともに、インダクタLwの飽和特性によって、フィラメントに流れるフィラメント予熱電流の最大値を制御することができる。
【0079】
実施例1.
図6は、本実施例に用いるインダクタの構成図であり、図7は、フィラメント予熱回路のインダクタをプリント基板PWBに実装したときの部品配置を示す図である。
【0080】
放電灯点灯装置10は、プリント基板PWBと、プリント基板PWB上に搭載される放電灯点灯回路1と、プリント基板PWB上に取り付けられる入力端子台CNi及び出力端子台CNoを備える。
【0081】
プリント基板PWBは、細長い長方形をなしており、長手方向の一端側に交流電圧ACを供給するための電源線が接続される入力端子台CNiが取り付けられ、長手方向の他端側に蛍光ランプLAに接続するためのランプ電線が接続される出力端子台CNoが取り付けられる。
【0082】
予熱インダクタL2a、L2bは、ドラム型のコア211に巻き線212を施した形状のアキシャル型インダクタであり、ボディ部210がプリント基板PWBの実装面に対してほぼ平行となるように、プリント基板PWBに実装される。また、予熱インダクタL2a、L2bは、ボディ部210の両端にリード線220a、220bを備えている。
【0083】
また、予熱インダクタL2a、L2bは、プリント基板PWBの短手方向の両端側、かつ出力端子台CNo側に取り付けられ、予熱インダクタL2a、L2bのボディ部210がほぼ平行になるように配置される。
【0084】
なお、出力端子台CNo側とは、プリント基板PWBの長手方向の略中央付近から出力端子台CNoが配置されるプリント基板PWBの長手方向の端部までの間をいう。
【0085】
この予熱インダクタL2a、L2bのボディ部210を並列に近接して配置した場合、互いの磁束の影響により設計値通りに回路が動作しない場合(例えば、フィラメント予熱回路のLC共振が不安定になるなど)がある。
【0086】
しかしながら、プリント基板PWBの短手方向の両端側に予熱インダクタL2a、L2bを配置するので、予熱インダクタL2aと予熱インダクタL2bとの距離が離れ、互いの磁束に影響を及ぼすことがない。
【0087】
実施例2.
図8は、フィラメント予熱回路の予熱インダクタL2a、L2bをプリント基板PWBに実装したときの部品配置を示す図である。
【0088】
本実施例は、実施例1のプリント基板PWBに予熱インダクタを実装するときの配置が異なる場合を示すものである。
【0089】
予熱インダクタL2a、L2bは、ドラム型のコア211に巻き線212を施した形状のアキシャル型インダクタであり、ボディ部210がプリント基板PWBの実装面に対してほぼ平行となるように、プリント基板PWBに実装される。
【0090】
また、予熱インダクタL2a、L2bは、プリント基板PWBの出力端子台CNo側に取り付けられ、予熱インダクタL2a、L2bのボディ部210がプリント基板PWBの長手方向に対して整列するように配置される。
【0091】
予熱インダクタL2a、L2bに発生する磁束は、ボディ部210の長手方向に対して水平方向に発生する。
【0092】
したがって、予熱インダクタL2a、L2bは、ボディ部210がプリント基板PWBの長手方向に対して整列するように配置するので、互いの磁束の影響を受けなくなる。
【0093】
実施例3.
本実施例は、実施例1のプリント基板PWBに予熱インダクタを実装するときの配置が異なる場合を示すものである。
【0094】
図9は、フィラメント予熱回路の予熱インダクタL2a、L2bをプリント基板PWBに実装したときの部品配置を示す図である。
【0095】
予熱インダクタL2a、L2bは、ドラム型のコアに巻き線を施した形状のアキシャル型インダクタであり、ボディ部210がプリント基板PWBの実装面に対してほぼ平行となるように、プリント基板PWBに実装される。
【0096】
また、予熱インダクタL2a、L2bは、プリント基板PWBの出力端子台CNo側に取り付けられ、予熱インダクタL2aと予熱インダクタL2bのボディ部210の延長線がほぼ垂直方向に交わるように配置される。
【0097】
予熱インダクタL2a、L2bに発生する磁束は、ボディ部210の長手方向に対して水平方向に発生する。
【0098】
したがって、予熱インダクタL2aと予熱インダクタL2bは、ボディ部210の延長線が垂直に交わるように配置するので、互いの磁束の影響を受けなくなる。
【0099】
実施例4.
本実施例は、実施例3のプリント基板PWBに実装する予熱インダクタの形状が異なる場合を示すものである。
【0100】
図10は、本実施例に用いる予熱インダクタの構成図であり、図11は、フィラメント予熱回路の予熱インダクタL2a、L2bをプリント基板PWBに実装したときの部品配置を示す図である。
【0101】
予熱インダクタL2aは、ドラム型のコア211に巻き線212を施した形状のアキシャル型インダクタであり、ボディ部210がプリント基板PWBの実装面に対してほぼ平行となるように、プリント基板PWBに実装される。また、予熱インダクタL2aは、ボディ部210の両端にリード線220a、220bを備えている。
【0102】
予熱インダクタL2bは、ドラム型のコア211に巻き線212を施した形状のラジアル型インダクタであり、ボディ部210がプリント基板PWBの実装面に対してほぼ垂直となるように、プリント基板PWBに実装される。また、予熱インダクタL2bは、ボディ部210の両端にリード線220c、220dを備え、一方のリード線220cは、他方のリード線220d側に折り曲げられている。
【0103】
また、予熱インダクタL2a、L2bは、それぞれプリント基板PWBの出力端子台CNo側に取り付けられる。
【0104】
したがって、予熱インダクタL2aと予熱インダクタL2bのボディ部210は、実施例3と同様に、ほぼ垂直となるようにプリント基板PWBに配置される。
【0105】
そのため、予熱インダクタL2aと予熱インダクタL2bのボディ部210は、垂直に交わるように配置するので、互いの磁束の影響を受けなくなる。
【0106】
実施の形態2.
本実施の形態は、実施の形態1に示す放電灯点灯回路に接続される蛍光ランプが2本となるものである。
【0107】
本実施の形態において、実施の形態1に示す部分と同じ構成の部分は同符号を付し、説明を省略する。
【0108】
図12は、2本の蛍光ランプを直列に接続する放電灯点灯回路の回路ブロック図である。
【0109】
放電灯点灯回路1aは、入力される交流電圧ACを整流するとともに、平滑して平滑電圧を生成する交流−直流変換回路2と、この交流−直流変換回路2が生成する平滑電圧を高周波電圧に変換するインバータ回路3と、インバータ回路3が変換した高周波電圧を接続される蛍光ランプLA、LBに供給する負荷回路4と、接続される蛍光ランプLA、LBのフィラメントを予熱するフィラメント予熱回路5a、5b、5cを備える。
【0110】
負荷回路4aは、1次巻線L1−1がインバータ回路3に接続されるチョークコイルL1aと、チョークコイルL1aの1次巻線L1−1に接続されるコンデンサC2と、コンデンサC2に接続される結合コンデンサC3を備えている。このコンデンサC2と並列に、直列接続された蛍光ランプLA、LBが接続され、チョークコイルL1aの1次巻線L1−1とコンデンサC2の共振により蛍光ランプLA、LBを点灯する。
【0111】
チョークコイルL1aは、3本の2次巻線L1−2、L1−3、L1−4を備える。
【0112】
フィラメント予熱回路5a、5b、5cは、チョークコイルL1aの2次側に巻かれた2次巻線L1−2、L1−3、L1−4と、それぞれの2次巻線L1−2、L1−3、L1−4に接続される予熱インダクタL2a、L2b、L2cと、それぞれの予熱インダクタL2a、L2b、L2cに接続されるとともに蛍光ランプLAのフィラメントに接続される予熱予熱コンデンサC4a、C4b、C4cを備える。
【0113】
蛍光ランプLA、LBは直列接続され、蛍光ランプLAと蛍光ランプLBとが接続する部分は、それぞれのフィラメントの一端同士が接続され、他端はフィラメント予熱回路5cが接続される。
【0114】
フィラメント予熱回路5aは、蛍光ランプLAのフィラメントを予熱し、フィラメント予熱回路5bは、蛍光ランプLBのフィラメントを予熱し、フィラメント予熱回路5cは、蛍光ランプLAのフィラメントと蛍光ランプLBのフィラメントをともに予熱する。
【0115】
このように、蛍光ランプLAのフィラメントと蛍光ランプLBのフィラメントをともに予熱するフィラメント予熱回路5cを備えるので、フィラメント予熱電流の最小値及び最大値の兼ね合いから、蛍光ランプLAのフィラメントを予熱するフィラメント予熱回路5a及び蛍光ランプLBのフィラメントを予熱するフィラメント予熱回路5bと同じLC共振(予熱インダクタL2c、予熱コンデンサC4cの定数を予熱インダクタL2a、L2b及び予熱コンデンサC4a、C4bと同じ定数にする。)とすることもでき、また、異なるLC共振(予熱インダクタL2c、予熱コンデンサC4cの定数を予熱インダクタL2a、L2b及び予熱コンデンサC4a、C4bと異なる定数にする。)とすることもできる。
【0116】
なお、本実施の形態では、蛍光ランプLA、LBが2本直列に接続される場合について説明したが、3本以上の蛍光ランプを直列に接続してもよい。この場合、直列接続する蛍光ランプの本数に応じてフィラメント予熱回路を追加する。
【0117】
次に、この放電灯点灯回路1aを組み込んだ照明器具について説明する。
【0118】
図13は、本実施の形態を示す放電灯点灯回路を備える照明器具である。
【0119】
照明器具100は、入力される交流電圧ACを変換して、蛍光ランプLA、LBに電力を供給する放電灯点灯装置10aと、蛍光ランプLAを機械的に保持するとともに、放電灯点灯装置10aと蛍光ランプLA、LBを電気的に接続するランプソケット200と、蛍光ランプLA、LBが発する光を反射する反射板300と、放電灯点灯装置10aと反射板300が取り付けられるとともに、天井などに固定される器具本体400から構成される。
【0120】
放電灯点灯装置10aは、放電灯点灯回路1aが実装されたプリント基板PWBを備える。
【0121】
照明器具に取り付けられる蛍光ランプLA、LBの特性は、JIS C7617に定められていることは前述の通りであるが、メーカ毎或いは蛍光ランプLA、LBの製造バラツキによって、フィラメントの特性が若干異なることがある。そのため、蛍光ランプLA、LBの交換などによって、照明器具100に取り付けられる蛍光ランプLA、LB(フィラメント)の特性にバラツキが生じることがあるので、放電灯点灯回路1を設計する上で、このバラツキを考慮した予熱時のフィラメント予熱電流及び点灯時のフィラメント予熱電流を設定する必要がある。このような場合であっても、JIS C7617に適合したフィラメント予熱電流が供給できるように、予熱インダクタL2a、L2b、L2cと予熱コンデンサC4a、C4b、C4cのLC共振を設定すればよく、設計が容易になる。
【0122】
実施例1.
図14は、フィラメント予熱回路の予熱インダクタL2a、L2b、L2cをプリント基板PWBに実装したときの部品配置を示す図である。
【0123】
放電灯点灯装置10aは、プリント基板PWBと、プリント基板PWB上に搭載される放電灯点灯回路と、プリント基板PWB上に取り付けられる入力端子台CNi及び出力端子台CNoを備える。
【0124】
プリント基板PWBは、細長い長方形をなしており、交流電圧ACを供給するための電源線が接続される入力端子台CNiが長手方向の一端側に取り付けられ、長手方向の他端側に蛍光ランプLA、LBに接続するためのランプ電線が接続される出力端子台CNoが取り付けられる。
【0125】
予熱インダクタL2a、L2b、L2cは、ドラム型のコアに巻き線を施した形状のアキシャル型インダクタであり、ボディ部210がプリント基板PWBの実装面に対してほぼ平行となるように、プリント基板PWBに実装される。
【0126】
また、予熱インダクタL2a、L2bは、プリント基板PWBの短手方向の両端側、かつ出力端子台CNo側に取り付けられ、予熱インダクタL2a、L2bのボディ部210がほぼ平行になるように配置される。
【0127】
なお、出力端子台CNo側とは、プリント基板PWBの長手方向の略中央付近から出力端子台CNoが配置されるプリント基板PWBの長手方向の端部までの間をいう。
【0128】
また、予熱インダクタL2cは、プリント基板PWBの出力端子台CNo側に取り付けられ、予熱インダクタL2cのボディ部210の長手方向が、予熱インダクタL2a、L2bのボディ部210の長手方向に対してプリント基板PWBの長手方向に整列するように配置される。
【0129】
プリント基板PWBの短手方向の両端側に予熱インダクタL2a、L2bを配置するので、予熱インダクタL2aと予熱インダクタL2bとの距離が離れ、互いの磁束に影響を及ぼすことがない。
【0130】
予熱インダクタL2a、L2b、L2cに発生する磁束は、ボディ部210の長手方向に対して水平方向に発生する。
【0131】
したがって、予熱インダクタL2cのボディ部210は、予熱インダクタL2a、L2bのボディ部210の長手方向に対して整列するように配置するので、互いの磁束の影響を受けなくなる。
【0132】
実施例2.
本実施例は、実施例1のプリント基板PWBに予熱インダクタを実装するときの配置が異なる場合を示すものである。
【0133】
図15は、フィラメント予熱回路の予熱インダクタL2a、L2b、L2cをプリント基板PWBに実装したときの部品配置を示す図である。
【0134】
予熱インダクタL2a、L2bは、ドラム型のコアに巻き線を施した形状のアキシャル型インダクタであり、ボディ部210がプリント基板PWBの実装面に対してほぼ平行となるように、プリント基板PWBに実装される。
【0135】
また、予熱インダクタL2a、L2bは、プリント基板PWBの短手方向の両端側、かつ出力端子台CNo側に取り付けられ、予熱インダクタL2a、L2bのボディ部210がほぼ平行になるように配置される。
【0136】
予熱インダクタL2cは、プリント基板PWBの短手方向の両端側、かつ出力端子台CNo側に取り付けられ、予熱インダクタL2cのボディ部210の延長線が予熱インダクタL2a、L2bのボディ部210にほぼ垂直に交わるように配置される。
【0137】
予熱インダクタL2a、L2b、L2cに発生する磁束は、ボディ部210の長手方向に対して水平方向に発生する。
【0138】
したがって、予熱インダクタL2cのボディ部210の延長線は、予熱インダクタL2a、L2bにほぼ垂直に交わるように配置するので、互いの磁束の影響を受けなくなる。
【0139】
また、プリント基板PWBの短手方向の両端側に予熱インダクタL2a、L2bを配置するので、予熱インダクタL2aと予熱インダクタL2bとの距離が離れ、互いの磁束に影響を及ぼすことがない。
【0140】
実施例3.
本実施例は、実施例1と実施例2を組み合わせるときのプリント基板PWBに予熱インダクタを実装する場合を示すものである。
【0141】
図16は、フィラメント予熱回路の予熱インダクタL2a、L2b、L2cをプリント基板PWBに実装したときの部品配置を示す図である。
【0142】
予熱インダクタL2aは、プリント基板PWBの短手方向の一端側、かつ出力端子台CNo側に取り付けられる。
【0143】
予熱インダクタL2bは、プリント基板PWBの出力端子台CNo側に取り付けられ、予熱インダクタL2bのボディ部210の長手方向が、予熱インダクタL2aのボディ部210の長手方向に対してプリント基板PWBの長手方向に整列するように配置される。
【0144】
予熱インダクタL2cは、プリント基板PWBの短手方向の両端側、かつ出力端子台CNo側に取り付けられ、予熱インダクタL2cのボディ部210の延長線が予熱インダクタL2a、L2bのボディ部210にほぼ垂直に交わるように配置される。
【0145】
予熱インダクタL2a、L2b、L2cに発生する磁束は、ボディ部210の長手方向に対して水平方向に発生する。
【0146】
したがって、予熱インダクタL2bのボディ部210は、予熱インダクタL2aのボディ部210の長手方向に対して整列するように配置するので、互いの磁束の影響を受けなくなる。
【0147】
また、予熱インダクタL2cのボディ部210の延長線は、予熱インダクタL2a、L2bにほぼ垂直に交わるように配置するので、互いの磁束の影響を受けなくなる。
【0148】
実施例4.
本実施例は、実施例3のプリント基板PWBに実装する予熱インダクタの形状が異なる場合を示すものである。
【0149】
図17は、フィラメント予熱回路の予熱インダクタL2a、L2b、L2cをプリント基板PWBに実装したときの部品配置を示す図である。
【0150】
予熱インダクタL2a、L2bは、ドラム型のコア211に巻き線212を施した形状のアキシャル型インダクタであり、ボディ部210がプリント基板PWBの実装面に対してほぼ平行となるように、プリント基板PWBに実装される。
【0151】
また、予熱インダクタL2a、L2bは、プリント基板PWBの短手方向の両端側、かつ出力端子台CNo側に取り付けられ、予熱インダクタL2a、L2bのボディ部210がほぼ平行になるように配置される。
【0152】
予熱インダクタL2cは、ドラム型のコア211に巻き線212を施した形状のラジアル型インダクタであり、ボディ部210がプリント基板PWBの実装面に対してほぼ垂直となるように、プリント基板PWBに実装される。
【0153】
また、予熱インダクタL2a、L2b、L2cは、それぞれプリント基板PWBの出力端子台CNo側に取り付けられる。
【0154】
したがって、予熱インダクタL2cと予熱インダクタL2a、L2bのボディ部210は、実施例2と同様に、ほぼ垂直となるようにプリント基板PWBに配置される。
【0155】
そのため、予熱インダクタL2cと予熱インダクタL2a、L2bのボディ部210は、垂直に交わるように配置するので、互いの磁束の影響を受けなくなる。
【0156】
なお、本実施例では、予熱インダクタL2a、L2bにアキシャル型インダクタを用い、予熱インダクタL2cにラジアル型インダクタを用いる場合について説明したが、予熱インダクタL2a、L2bにラジアル型インダクタ、予熱インダクタL2cにアキシャル型インダクタを用いてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0157】
【図1】実施の形態1に示す放電灯点灯回路の回路ブロック図である。
【図2】実施の形態1を示す放電灯点灯回路の特性図である。
【図3】実施の形態1を示す放電灯点灯回路の特性と比較するための特性図である。
【図4】実施の形態1を示す放電灯点灯回路の特性と比較するための他の特性図である。
【図5】実施の形態1を示す放電灯点灯回路のインダクタの特性図である。
【図6】実施の形態1を示す放電灯点灯回路のインダクタの構造を示す側面図である。
【図7】実施の形態1を示す放電灯点灯回路を実装する放電灯点灯装置の実施例を示す上視図である。
【図8】実施の形態1を示す放電灯点灯回路を実装する放電灯点灯装置の他の実施例を示す上視図である。
【図9】実施の形態1を示す放電灯点灯回路を実装する放電灯点灯装置の他の実施例を示す上視図である。
【図10】実施の形態1を示す放電灯点灯回路のインダクタの他の構造を示す側面図
【図11】実施の形態1を示す放電灯点灯回路を実装する放電灯点灯装置の他の実施例を示す上視図である。である。
【図12】実施の形態2に示す放電灯点灯回路の回路ブロック図である。
【図13】実施の形態2に示す照明器具の斜視図である。
【図14】実施の形態2を示す放電灯点灯回路を実装する放電灯点灯装置の実施例を示す上視図である。
【図15】実施の形態2を示す放電灯点灯回路を実装する放電灯点灯装置の他の実施例を示す上視図である。
【図16】実施の形態2を示す放電灯点灯回路を実装する放電灯点灯装置の他の実施例を示す上視図である。
【図17】実施の形態2を示す放電灯点灯回路を実装する放電灯点灯装置の他の実施例を示す上視図である。
【符号の説明】
【0158】
1、1a 放電灯点灯回路、2 交流−直流変換回路、3 インバータ回路、4、4a 負荷回路、5a、5b、5c フィラメント予熱回路、6 インバータ制御回路、100 照明器具、200 ランプソケット、300 反射板、400 器具本体、210 ボディ部、211 コア、212 巻き線、220a、220b、220c、220d リード線、AC 交流電圧、DB ダイオードブリッジ、C1 平滑コンデンサ、C2 コンデンサ、C3 結合コンデンサ、C4a、C4b、C4c 予熱コンデンサ、Q1、Q2 MOS−FET、L1、L1a チョークコイル、L1−1 1次巻線、L1−2、L1−3、L1−4 2次巻線、L2a、L2b、L2c 予熱インダクタ、LA、LB 蛍光ランプ、PWB プリント基板、CNi 入力端子台、CNo 出力端子台。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
交流電圧を直流電圧に変換する交流−直流変換回路と、
上記交流−直流変換回路から供給される直流を高周波電流に変換するインバータ回路と、
一端が上記インバータ回路に接続され、他端にフィラメントを有する蛍光ランプが接続される2次巻線を有するチョークコイル、上記蛍光ランプに並列に接続されるコンデンサ、及び、一端が上記インバータ回路に接続され、他端に上記蛍光ランプが接続される結合コンデンサ、を有する負荷回路と、
上記チョークコイルの2次巻線から電源が供給され、予熱インダクタ、予熱コンデンサ及び、上記蛍光ランプのフィラメントが直列接続されて直列共振回路を形成するフィラメント予熱回路と、
を備えることを特徴とする放電灯点灯回路。
【請求項2】
チョークコイルの巻数比を、1次巻線の巻数に対して、2次巻線の巻数を1/10以下とすることを特徴とする請求項1に記載の放電灯点灯回路。
【請求項3】
蛍光ランプを点灯しているときは、フィラメント予熱回路の予熱インダクタ、予熱コンデンサ及びフィラメントの直列共振状態を弱くしてフィラメント予熱電流を小さくすることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の放電灯点灯回路。
【請求項4】
フィラメント予熱回路の予熱インダクタの直流重畳特性は、蛍光ランプのフィラメントに必要なフィラメント予熱電流の最低値以上かつ最大値以下に飽和点を持つことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の放電灯点灯回路。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の放電灯点灯回路、この放電灯点灯回路を実装するプリント基板を備える放電灯点灯装置と、
蛍光ランプを機械的に固定するとともに、上記放電灯点灯装置と上記蛍光ランプを電気的に接続するランプソケットと、
上記放電灯点灯装置と上記ランプソケットが取り付けられる器具本体と、
を備えることを特徴とする照明器具。
【請求項6】
請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の放電灯点灯回路と、
上記放電灯点灯回路を実装するプリント基板と、を備え、
上記放電灯点灯回路は、フィラメント予熱回路を2つ以上有し、
上記フィラメント予熱回路の予熱インダクタは、それぞれのフィラメント予熱回路のインダクタのボディ部を同方向にするとともに、並列方向に並ばないように上記プリント基板上に配置することを特徴とする放電灯点灯装置。
【請求項7】
請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の放電灯点灯回路と、
上記放電灯点灯回路を実装するプリント基板と、を備え、
上記放電灯点灯回路は、フィラメント予熱回路を2つ以上有し、
上記フィラメント予熱回路の予熱インダクタは、それぞれのフィラメント予熱回路のインダクタのボディ部を略垂直方向となるように上記プリント基板上に配置することを特徴とする放電灯点灯装置。
【請求項8】
請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の放電灯点灯回路と、
上記放電灯点灯回路を実装するプリント基板と、を備え、
上記放電灯点灯回路は、フィラメント予熱回路を3つ以上有し、
上記フィラメント予熱回路の予熱インダクタは、少なくとも2つのフィラメント予熱回路のインダクタのボディ部を同方向に配置するとともに、並列方向に並ばないようにし、かつ、他のフィラメント予熱回路の予熱インダクタのボディ部を略垂直方向となるように上記プリント基板上に配置することを特徴とする放電灯点灯装置。
【請求項9】
請求項6乃至請求項8のいずれかに記載の放電灯点灯装置と、
蛍光ランプを機械的に固定するとともに、上記放電灯点灯装置と上記蛍光ランプを電気的に接続するランプソケットと、
上記放電灯点灯装置と上記ランプソケットが取り付けられる器具本体と、
を備えることを特徴とする照明器具。
【請求項1】
交流電圧を直流電圧に変換する交流−直流変換回路と、
上記交流−直流変換回路から供給される直流を高周波電流に変換するインバータ回路と、
一端が上記インバータ回路に接続され、他端にフィラメントを有する蛍光ランプが接続される2次巻線を有するチョークコイル、上記蛍光ランプに並列に接続されるコンデンサ、及び、一端が上記インバータ回路に接続され、他端に上記蛍光ランプが接続される結合コンデンサ、を有する負荷回路と、
上記チョークコイルの2次巻線から電源が供給され、予熱インダクタ、予熱コンデンサ及び、上記蛍光ランプのフィラメントが直列接続されて直列共振回路を形成するフィラメント予熱回路と、
を備えることを特徴とする放電灯点灯回路。
【請求項2】
チョークコイルの巻数比を、1次巻線の巻数に対して、2次巻線の巻数を1/10以下とすることを特徴とする請求項1に記載の放電灯点灯回路。
【請求項3】
蛍光ランプを点灯しているときは、フィラメント予熱回路の予熱インダクタ、予熱コンデンサ及びフィラメントの直列共振状態を弱くしてフィラメント予熱電流を小さくすることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の放電灯点灯回路。
【請求項4】
フィラメント予熱回路の予熱インダクタの直流重畳特性は、蛍光ランプのフィラメントに必要なフィラメント予熱電流の最低値以上かつ最大値以下に飽和点を持つことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の放電灯点灯回路。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の放電灯点灯回路、この放電灯点灯回路を実装するプリント基板を備える放電灯点灯装置と、
蛍光ランプを機械的に固定するとともに、上記放電灯点灯装置と上記蛍光ランプを電気的に接続するランプソケットと、
上記放電灯点灯装置と上記ランプソケットが取り付けられる器具本体と、
を備えることを特徴とする照明器具。
【請求項6】
請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の放電灯点灯回路と、
上記放電灯点灯回路を実装するプリント基板と、を備え、
上記放電灯点灯回路は、フィラメント予熱回路を2つ以上有し、
上記フィラメント予熱回路の予熱インダクタは、それぞれのフィラメント予熱回路のインダクタのボディ部を同方向にするとともに、並列方向に並ばないように上記プリント基板上に配置することを特徴とする放電灯点灯装置。
【請求項7】
請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の放電灯点灯回路と、
上記放電灯点灯回路を実装するプリント基板と、を備え、
上記放電灯点灯回路は、フィラメント予熱回路を2つ以上有し、
上記フィラメント予熱回路の予熱インダクタは、それぞれのフィラメント予熱回路のインダクタのボディ部を略垂直方向となるように上記プリント基板上に配置することを特徴とする放電灯点灯装置。
【請求項8】
請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の放電灯点灯回路と、
上記放電灯点灯回路を実装するプリント基板と、を備え、
上記放電灯点灯回路は、フィラメント予熱回路を3つ以上有し、
上記フィラメント予熱回路の予熱インダクタは、少なくとも2つのフィラメント予熱回路のインダクタのボディ部を同方向に配置するとともに、並列方向に並ばないようにし、かつ、他のフィラメント予熱回路の予熱インダクタのボディ部を略垂直方向となるように上記プリント基板上に配置することを特徴とする放電灯点灯装置。
【請求項9】
請求項6乃至請求項8のいずれかに記載の放電灯点灯装置と、
蛍光ランプを機械的に固定するとともに、上記放電灯点灯装置と上記蛍光ランプを電気的に接続するランプソケットと、
上記放電灯点灯装置と上記ランプソケットが取り付けられる器具本体と、
を備えることを特徴とする照明器具。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2010−135264(P2010−135264A)
【公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−312277(P2008−312277)
【出願日】平成20年12月8日(2008.12.8)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【出願人】(390014546)三菱電機照明株式会社 (585)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年12月8日(2008.12.8)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【出願人】(390014546)三菱電機照明株式会社 (585)
【Fターム(参考)】
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