説明

放電灯点灯装置

【課題】 内蔵される半導体素子の電力損失を低減することにより高効率にできる放電灯点灯装置を提供する。
【解決手段】 放電灯点灯装置10は、ダイオードブリッジDBによる整流回路(直流電源回路11)と、整流回路の出力を高周波出力に変換して放電灯に供給するインバータ回路14とを備え、GaN半導体またはSiC半導体によりなるワイドギャップ半導体であるダイオードD5、D6、D7、D8によって、ダイオードブリッジDBが構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蛍光ランプ等の放電灯を点灯させる放電灯点灯装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、交流電源を整流する整流回路と、整流回路の出力を高周波出力に変換して放電灯に供給するインバータ回路とを備える放電灯点灯装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−4688号公報(図1、請求項1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1は、入力電流歪が少なく、負荷への供給電流の変動を少なくできる。
ところで、特許文献1と同様に、蛍光ランプ等の放電灯を点灯させる放電灯点灯装置が提案されている。
図6に示すように、このような従来の放電灯点灯装置100は、スイッチング素子Q1,スイッチング素子Q2が交互にオン/オフを繰り返すことにより、負荷であるランプLAを高周波点灯させるハーフブリッジ型のインバータ回路101を備える。
【0005】
放電灯点灯装置100は、ダイオードD1と、ダイオードD2およびコンデンサC2の並列回路とを備え、共振回路102を備える。
そのため、交流電源Eの1周期のほぼ全区間にわたり、スイッチング素子Q1,スイッチングQ2のオン/オフに応じて交流電源Eからインバータ回路の負荷回路を介して電流が供給される。
これにより、入力電流波形を正弦波状にできるために、入力力率が高力率で、かつ、入力電流波形歪みが改善できる。
【0006】
放電灯点灯装置100は、ダイオードD3,ダイオードD4,インダクタL2,コンデンサC3からなる部分平滑回路103を備え、降圧チョッパ回路として動作する。
部分平滑回路103は、スイッチング素子Q1がオンの時に、ダイオードD3,インダクタL2を介してコンデンサC3を充電する。
そして、部分平滑回路103は、ダイオードブリッジDBの出力電圧がコンデンサC3の充電電圧よりも低い期間に、ダイオードD4を介してコンデンサC3の電圧がインバータ回路の電源として作用する。
【0007】
放電灯点灯装置100の各部の動作波形を図7に示す。図7(A)は交流電源Eの電圧波形を示し、図7(B)は放電灯点灯装置100の入力電流波形を示している。また、図7(C)は放電灯点灯装置100におけるインバータ回路電源に相当するコンデンサC5の電圧波形を示し、図7(D)は放電灯点灯装置100から出力されるランプ電流波形を示している。
放電灯点灯装置100は、入力電流波形歪み改善機能を有するインバータ回路101の電源電圧(図7(C)参照)を部分平滑電源とする。
そのため、ランプ電流波形(図7(D)参照)が交流電源Eのピーク近傍とゼロクロス近傍で各々最大値に近づくようになる。
【0008】
従って、ランプ電流波形のクレストファクタ(ピーク値/実効値)も改善され、それに伴い、ランプ力率が改善され、ランプLAの発光効率も改善される。
【0009】
ここで、入力電流の実効値Iinとし、共振回路102に流れる電流をIとした場合に、下記の数1の数式を満足する。
【0010】
【数1】

【0011】
この条件は、インバータ回路電源に相当するコンデンサC5の両端電圧VC5が、VAC≧VC3のとき、VC5≒VACであって、VAC<VC3のとき、VC5=VC3となり、部分平滑電源(図7(C)参照)とするためのものである。
【0012】
しかし、従来の放電灯点灯装置100は、ダイオードブリッジDBでの損失に伴い、装置全体の効率が低下するという問題があった。
そして、従来の放電灯点灯装置100は、整流ダイオードでの損失による整流ダイオードそのもの温度上昇が大きくなり、信頼性が低下するという問題があった。
さらに、従来の放電灯点灯装置100は、整流ダイオードの温度低減のために、例えば、放熱シートによるケース外郭への放熱等による放熱対策を行う場合、装置の組立作業性を損なうとともにコスト面で不利になるという問題があった。
【0013】
本発明は、前述した課題を解決するためになされたものであり、その目的は、内蔵される半導体素子の電力損失を低減することにより高効率にできる放電灯点灯装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明に係る放電灯点灯装置は、GaN半導体またはSiC半導体によりなるワイドギャップ半導体を具備する。
【0015】
本発明に係る放電灯点灯装置は、前記ワイドギャップ半導体は、バンドギャップEgが、Eg≧2.0eVである。
【0016】
本発明に係る放電灯点灯装置は、交流電源を整流する整流回路と、前記整流回路の出力を高周波出力に変換して放電灯に供給するインバータ回路とを備え、前記インバータ回路は、互いに直列接続され、交互にオンオフされる一対のスイッチング素子と、前記整流回路の直流出力端間と前記一対のスイッチング素子の直列回路との間に介装されたインピーダンス回路と、コンデンサおよびインダクタを備え、前記インピーダンス回路との直列回路が一方のスイッチング素子の両端間に接続されるとともに前記放電灯への出力を取り出す共振回路と、前記整流回路の直流出力電圧の高い期間に、前記インバータ回路の出力の一部を蓄積し、前記直流出力電圧の低い期間に、蓄積エネルギーにより決まる電圧を前記一対のスイッチング素子の直列回路の両端に印加する谷埋回路とを備え、前記共振回路に流れる電流の実効値が交流電源から前記整流回路への入力電流のピーク値の2倍以下になるように回路定数が設定され、交流電源を直流電圧に整流するダイオードが、GaN半導体またはSiC半導体のワイドギャップ半導体である。
【0017】
本発明に係る放電灯点灯装置は、前記整流回路は、ダイオードブリッジを有してなり、前記整流回路の直流出力端間にコンデンサが接続されるとともに、前記整流回路の直流出力端と前記インバータ回路との間に順方向に、GaN半導体またはSiC半導体によりなるワイドギャップ半導体であるダイオードが挿入される。
【0018】
本発明に係る放電灯点灯装置は、前記共振回路は、直流カット用の第1のコンデンサと、共振用のインダクタおよび第2のコンデンサと、2次側に負荷を接続し1次巻線が第1のコンデンサおよび前記インダクタに直列接続されたトランスとを有してなり、前記第2のコンデンサは負荷に並列接続され、前記共振回路に流れる電流の実効値が交流電源から前記整流回路への入力電流のピーク値の2倍以下になるように前記トランスの巻比が設定される。
【0019】
本発明に係る放電灯点灯装置は、前記共振回路は、直流カット用の第1のコンデンサと、共振用のインダクタおよび第2のコンデンサと、2次側に負荷を接続し1次巻線が第1のコンデンサおよび前記インダクタに直列接続されたトランスとを有してなり、第2のコンデンサは前記トランスの1次巻線の両端間に接続され、前記共振回路に流れる電流の実効値が交流電源から前記整流回路への入力電流のピーク値の2倍以下になるように前記トランスの巻比が設定される。
【0020】
本発明に係る放電灯点灯装置は、前記谷埋回路は、前記一方のスイッチング素子を介して前記整流回路の直流出力端間に接続された平滑コンデンサを備え、前記スイッチング素子のオン時に前記平滑コンデンサが充電される。
【発明の効果】
【0021】
本発明に係る放電灯点灯装置によれば、内蔵される半導体素子の電力損失を低減することにより高効率にできるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明に係る第1実施形態の放電灯点灯装置の回路構成図
【図2】本発明に係る第2実施形態の放電灯点灯装置の回路構成図
【図3】本発明に係る第3実施形態の放電灯点灯装置の回路構成図
【図4】本発明に係る第4実施形態の放電灯点灯装置の回路構成図
【図5】本発明に係る第5実施形態の放電灯点灯装置の回路構成図
【図6】従来の放電灯点灯装置の回路構成図
【図7】(A),(B),(C),(D)は従来の放電灯点灯装置のそれぞれ特性波形図
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明に係る複数の実施形態の放電灯点灯装置について図面を参照して説明する。
(第1実施形態)
図1に示すように、本発明に係る第1実施形態の放電灯点灯装置10は、フィルター回路12およびダイオードブリッジDBを有する直流電源回路11を備える。
また、放電灯点灯装置10は、インバータ回路14,部分平滑回路(谷埋回路)15を有する高周波変換回路13を備える。
そして、放電灯点灯装置10は、共振回路16と、インピーダンス回路17と、ドライブ回路18と、デューティ制御回路19と、周波数制御回路20とを備える。
【0024】
フィルター回路12は、交流電源Eに、コンデンサC7と、トランスL3と、インダクタL4とが接続され、ダイオードブリッジDBの交流入力端子が接続されている。
ダイオードブリッジDBは、例えば、GaN半導体、SiC半導体等により構成されるワイドギャップ半導体であるダイオードD5とダイオードD6とダイオードD7とダイオードD8とを備える。
ワイドギャップ半導体は、バンドギャップEgが、Eg≧2.0eVであり、従来用いられているシリコン系の半導体よりも導通損失が1桁から2桁小さい。
【0025】
そのため、ダイオードD5,ダイオードD6,ダイオードD7,ダイオードD8に生じる電力損失を、ほぼ無視できるレベルにできる。
従って、ダイオードブリッジDBに、バンドギャップEgが、Eg≧2.0eVであるワイドギャップ半導体が適用されることにより、放電灯点灯装置10の電力損失を少なくして高効率にできる。
【0026】
ダイオードD5,ダイオードD6,ダイオードD7,ダイオードD8にワイドギャップ半導体を採用しているのは、損失低減による効率改善効果が大きいことによる。
さらに、ワイドギャップ半導体は、通常用いられているスイッチング素子と比較して、オン/オフ制御が不要であるので採用し易い。
従って、放電灯点灯装置10は、直流電源回路11を構成するダイオードブリッジDBでの損失が無視できるので、高効率にできる。
【0027】
また、放電灯点灯装置10は、ダイオードD5,ダイオードD6,ダイオードD7,ダイオードD8での損失による、そのものの温度上昇が、従来のものと比べて低減できるので、信頼性を向上できる。
そして、放電灯点灯装置10は、ダイオードD5,ダイオードD6,ダイオードD7,ダイオードD8の温度低減のための放熱対策が不要であるために、装置の組立作業性を損なうことがなく、コスト面で不利にならない。
【0028】
ダイオードブリッジDBの直流出力端子に、コンデンサC1が接続されている。このコンデンサC1は小容量であり、ダイオードブリッジDBの出力電圧が脈流電圧となる。
ダイオードブリッジDBの+側の出力端子と−側の出力端子との間には、スイッチング素子Q1,スイッチング素子Q2の直列回路と、ダイオードD2,ダイオードD1の直列回路とが接続される。
スイッチング素子Q1,スイッチング素子Q2の接続点と、ダイオードD1,ダイオードD2の接続点との間に、インダクタL1とコンデンサC4とを介して、負荷であるランプLAとコンデンサC6との並列回路が接続される。
スイッチング素子Q1,スイッチング素子Q2の直列回路には、平滑コンデンサC5が並列接続される。
【0029】
また、平滑コンデンサC3が放電用のダイオードD4を介して並列に接続される。
ダイオードD4と平滑コンデンサC3との接続点と、スイッチング素子Q1,スイッチング素子Q2との接続点の間に、充電用のダイオードD3と、限流用のインダクタL2の直列回路が接続される。
【0030】
部分平滑回路15は、ダイオードD3,ダイオードD4,インダクタL2,平滑コンデンサC3から構成される。
部分平滑回路15は、スイッチング素子Q1のオン/オフに伴って、いわゆる降圧チョッパ回路として動作する。
【0031】
すなわち、ダイオードブリッジDBの出力電圧が高い期間において、スイッチング素子Q1がオンされると、スイッチング素子Q1→ダイオードD3→インダクタL2→平滑コンデンサC3を介して電流が流れて、平滑コンデンサC3が充電される。
これに対して、スイッチング素子Q1がオフされると、インダクタL2の蓄積エネルギーにより、インダクタL2から、平滑コンデンサC3→スイッチング素子Q2の逆方向ダイオード→ダイオードD3を介してインダクタL2に戻る経路で回生電流が流れる。
そのため、平滑コンデンサC3が充電される。
【0032】
また、ダイオードブリッジDBの出力電圧が低い期間では、平滑コンデンサC3に充電された電荷がダイオードD4を介してインバータ回路14の電源電圧として放出される。
そのため、インバータ回路14の入力電源電圧としての平滑コンデンサC5の電圧Vdcは、交流電源電圧を全波整流した脈流電圧の谷部(低電圧期間)を平滑コンデンサC3の直流電圧で谷埋めする部分平滑電源電圧となる。
【0033】
インバータ回路14のスイッチング素子Q1,スイッチング素子Q2は、ドライブ回路18の出力により高周波で交互にオン/オフされるようにスイッチングされる。
そのため、スイッチング素子Q1,スイッチング素子Q2の接続点の電位が高周波的に振動する。
【0034】
そして、コンデンサC6とインダクタL1とのLC直列共振回路に、直流カット用のコンデンサC4を介して高周波電圧が印加されるために、コンデンサC6の両端に発生する共振電圧が、インバータ回路14の出力電圧としてランプLAに供給される。
【0035】
スイッチング素子Q1,スイッチング素子Q2の動作周波数は、コンデンサC2の両端に発生する電圧Vfeの検出値に応じて、周波数制御回路20により制御される。
また、スイッチング素子Q1,スイッチング素子Q2のオンデューティ(スイッチングの1周期に占めるオン時間の割合)は、インバータ回路14の入力電圧Vdcの検出値に応じて、デューティ制御回路19により制御される。
【0036】
前述したように、放電灯点灯装置10は、交流電源Eを整流するダイオードブリッジ(整流回路)DBを備え、インバータ回路14が、ダイオードブリッジDBの出力を高周波出力に変換して放電灯LAに供給する。
また、放電灯点灯装置10は、インバータ回路14が、互いに直列接続され、交互にオン/オフされる一対の、スイッチング素子Q1,スイッチング素子Q2を備える。
そして、放電灯点灯装置10は、インピーダンス回路17が、ダイオードブリッジDBの直流出力端間とスイッチング素子Q1,スイッチング素子Q2の直列回路との間に介装される。
【0037】
さらに、放電灯点灯装置10は、共振回路16が、コンデンサC4およびインダクタL1を備え、インピーダンス回路17との直列回路がスイッチング素子Q1,スイッチング素子Q2の両端間に接続されるとともに放電灯LAへの出力を取り出す。
加えて、放電灯点灯装置10は、部分平滑回路15が、ダイオードブリッジDBの直流出力電圧の高い期間に、インバータ回路14の出力の一部を蓄積する。
【0038】
また、部分平滑回路15が、直流出力電圧の低い期間に、蓄積エネルギーにより決まる電圧をスイッチング素子Q1,スイッチング素子Q2の直列回路の両端に印加する。
さらにまた、放電灯点灯装置10は、共振回路16に流れる電流の実効値が交流電源EからダイオードブリッジDBへの入力電流のピーク値の2倍以下になるように回路定数が設定される。
【0039】
加えて、放電灯点灯装置10は、部分平滑回路15が、スイッチング素子Q1,スイッチング素子Q2を介してダイオードブリッジDBの直流出力端間に接続された平滑コンデンサC3を備える。
そして、放電灯点灯装置10は、スイッチング素子Q1,スイッチング素子Q2のオン時に平滑コンデンサC3が充電される。
【0040】
以上、説明したように第1実施形態の放電灯点灯装置10によれば、ダイオードブリッジDBが、GaN半導体、SiC半導体のワイドギャップ半導体を具備することにより、ダイオードブリッジDBでの損失が無視できるので、高効率にできる。
【0041】
また、第1実施形態の放電灯点灯装置10によれば、ワイドギャップ半導体のバンドギャップEgが、Eg≧2.0eVであるために、温度低減のための放熱対策が不要になり、装置の組立作業性を損なうことがなく、コスト面で有利にできる。
【0042】
そして、第1実施形態の放電灯点灯装置10によれば、交流電源Eを直流電圧に整流するダイオードブリッジDBにワイドギャップ半導体を具備するために、損失が無視できるので、高効率にできる。
【0043】
さらに、第1実施形態の放電灯点灯装置10によれば、放電灯LAへの供給電流の変動が少なくなり、放電灯LAにおける光出力の変動に伴うちらつきを防止できる。
【0044】
(第2実施形態)
次に、本発明に係る第2実施形態の放電灯点灯装置について説明する。
なお、以下の各実施形態において、前述した第1実施形態と重複する構成要素や機能的に同様な構成要素については、図中に同一符号あるいは相当符号を付することによって説明を簡略化あるいは省略する。
【0045】
図2に示すように、本発明に係る第2実施形態の放電灯点灯装置30は、高周波変換回路13を構成するハーフブリッジインバータのスイッチング素子Q11,スイッチング素子Q12がワイドギャップ半導体である。
【0046】
そして、第2実施形態の放電灯点灯装置30によれば、高周波変換回路13のスイッチング素子Q11,スイッチング素子Q12での電力損失を低減できる。
従って、第1実施形態に比べて、さらに、高効率であって信頼性を高くできる。
【0047】
(第3実施形態)
次に、本発明に係る第3実施形態の放電灯点灯装置について説明する。
図3に示すように、本発明に係る第3実施形態の放電灯点灯装置40は、ダイオードブリッジDBの直流出力端間にコンデンサC1が接続される。
また、放電灯点灯装置40は、ダイオードブリッジDBの直流出力端とインバータ回路14との間に順方向に、GaN半導体またはSiC半導体のワイドギャップ半導体であるダイオードD40が挿入される。
【0048】
コンデンサC1およびダイオードD40は、ダイオードブリッジDBのファーストリカバリ機能を持たせるために設けられる。
つまり、コンデンサC1に蓄積された電荷を用いてダイオードブリッジDBに内在する容量成分に蓄積される電荷を打ち消する。
そして、ダイオードブリッジDBを構成するダイオードD5,ダイオードD6,ダイオードD7,ダイオードD8の逆方向回復に要する時間を短縮する。
【0049】
第3実施形態の放電灯点灯装置40によれば、高周波電流が流れるダイオードブリッジDBに高周波用の高価なものを用いる必要がなく、比較的安価にできる。
【0050】
(第4実施形態)
次に、本発明に係る第4実施形態の放電灯点灯装置について説明する。
図4に示すように、本発明に係る第4実施形態の放電灯点灯装置50は、放電灯LAへの電力供給にトランスT1を介在させた。
つまり、トランスT1は、1次巻線TAが、コンデンサC4と、インダクタL1との間に挿入され、2次巻線TBが、放電灯LAおよびコンデンサC6に接続される。
【0051】
トランスT1は、1次巻線TAと2次巻線TBとの巻比が、1:nであって、nを1よりも大きい値に設定することにより、放電灯LAに対して比較的高い電圧の印加が要求されるものを用いることができる。
例えば、放電灯LAを負荷とする場合には、比較的高い始動電圧を要するから、nを1より大きく設定しておくことにより、交流電源Eの電圧よりも始動電圧がかなり高い場合でも対応できる。
【0052】
また、電源側と負荷側とがトランスT1により絶縁されるために、放電灯LAの交換時等に、万が一に感電する虞がない。
ここで、回路定数の条件設定は、入力電流の実効値Iinとし、共振回路102に流れる電流をIとした場合に、下記の数2の数式を満足する。
【0053】
【数2】

【0054】
第4実施形態の放電灯点灯装置50によれば、平滑コンデンサC5の両端電圧をダイオードブリッジDBの出力電圧よりも、常に高く保つことができ、結果的に、入力電流歪を少なくできる。
【0055】
(第5実施形態)
次に、本発明に係る第5実施形態の放電灯点灯装置について説明する。
図5に示すように、本発明に係る第5実施形態の放電灯点灯装置60は、共振回路16において、コンデンサC6をトランスT1の1次巻線TAに並列接続した。
ここで、回路定数の条件設定は、入力電流の実効値Iinとし、共振回路102に流れる電流をIとした場合に、下記の数3の数式を満足する。
【0056】
【数3】

【0057】
第5実施形態の放電灯点灯装置60によれば、コンデンサC2がトランスT1の1次巻線TA側に設けられるために、コンデンサC6の耐圧を低く設定できる。
【0058】
なお、本発明の放電灯点灯装置においてフィルター回路,部分平滑回路,ドライブ回路,デューティ制御回路,周波数制御回路等は、前述した各実施形態に限定されるものでなく、適宜な変形や改良等が可能である。
【符号の説明】
【0059】
10,30,40,50,60 放電灯点灯装置
14 インバータ回路
15 部分平滑回路(谷埋回路)
16 共振回路
17 インピーダンス回路
D40 ダイオード
DB ダイオードブリッジ(整流回路)
LA ランプ(放電灯)
Q1,Q2,Q11,Q12 スイッチング素子
T1 トランス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
GaN半導体またはSiC半導体によりなるワイドギャップ半導体を具備する放電灯点灯装置。
【請求項2】
請求項1に記載の放電灯点灯装置において、
前記ワイドギャップ半導体は、バンドギャップEgが、Eg≧2.0eVである放電灯点灯装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の放電灯点灯装置において、
交流電源を整流する整流回路と、
前記整流回路の出力を高周波出力に変換して放電灯に供給するインバータ回路とを備え、
前記インバータ回路は、互いに直列接続され、交互にオンオフされる一対のスイッチング素子と、前記整流回路の直流出力端間と前記一対のスイッチング素子の直列回路との間に介装されたインピーダンス回路と、コンデンサおよびインダクタを備え、前記インピーダンス回路との直列回路が一方のスイッチング素子の両端間に接続されるとともに前記放電灯への出力を取り出す共振回路と、前記整流回路の直流出力電圧の高い期間に、前記インバータ回路の出力の一部を蓄積し、前記直流出力電圧の低い期間に、蓄積エネルギーにより決まる電圧を前記一対のスイッチング素子の直列回路の両端に印加する谷埋回路とを備え、
前記共振回路に流れる電流の実効値が交流電源から前記整流回路への入力電流のピーク値の2倍以下になるように回路定数が設定され、
交流電源を直流電圧に整流するダイオードが、GaN半導体またはSiC半導体のワイドギャップ半導体である放電灯点灯装置。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のうちのいずれか1項に記載の放電灯点灯装置において、
前記整流回路は、ダイオードブリッジを有してなり、前記整流回路の直流出力端間にコンデンサが接続されるとともに、前記整流回路の直流出力端と前記インバータ回路との間に順方向に、GaN半導体またはSiC半導体によりなるワイドギャップ半導体であるダイオードが挿入される放電灯点灯装置。
【請求項5】
請求項3に記載の放電灯点灯装置において、
前記共振回路は、直流カット用の第1のコンデンサと、共振用のインダクタおよび第2のコンデンサと、2次側に負荷を接続し1次巻線が第1のコンデンサおよび前記インダクタに直列接続されたトランスとを有してなり、前記第2のコンデンサは負荷に並列接続され、前記共振回路に流れる電流の実効値が交流電源から前記整流回路への入力電流のピーク値の2倍以下になるように前記トランスの巻比が設定される放電灯点灯装置。
【請求項6】
請求項3に記載の放電灯点灯装置において、
前記共振回路は、直流カット用の第1のコンデンサと、共振用のインダクタおよび第2のコンデンサと、2次側に負荷を接続し1次巻線が第1のコンデンサおよび前記インダクタに直列接続されたトランスとを有してなり、第2のコンデンサは前記トランスの1次巻線の両端間に接続され、前記共振回路に流れる電流の実効値が交流電源から前記整流回路への入力電流のピーク値の2倍以下になるように前記トランスの巻比が設定される放電灯点灯装置。
【請求項7】
請求項3ないし請求項6のうちのいずれか1項に記載の放電灯点灯装置において、
前記谷埋回路は、前記一方のスイッチング素子を介して前記整流回路の直流出力端間に接続された平滑コンデンサを備え、前記スイッチング素子のオン時に前記平滑コンデンサが充電される放電灯点灯装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−221743(P2012−221743A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−86444(P2011−86444)
【出願日】平成23年4月8日(2011.4.8)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】