説明

放電管点灯装置

【課題】 LCDインバータ電源において、アーク放電保護と過電圧保護を一つの高耐圧コンデンサで確実に動作する放電管点灯装置を提供する。
【解決手段】 放電管点灯装置の高圧側に分圧を行うコンデンサC1、コンデンサC2と、分圧点の電圧を検出する手段と、コンデンサC2の低圧側に接続されるアーク放電周波数のみを共振させるコンデンサC3とコイルL1からなる共振回路と、共振回路からアーク放電を検出する手段と、両検出手段からの信号を判断し制御回路を停止する手段とを備え、アーク放電や過電圧が発生時にインバータを安全に停止させることができ、一つの高耐圧コンデンサで動作する保護回路を提供することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、点灯時および点灯中にインバータの高圧側の過電圧およびアーク放電を検して、放電管を保護する放電管点灯装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の放電管点灯装置は、電流検出回路からアーク放電周波数を検出するハイパスフィルタ、検出信号を平滑化する整流平滑回路、さらに検出信号を保持するラッチ回路で構成され、これらによりアーク放電を検出していた。これを電流検出方式と呼ぶ。(例えば、特許文献1参照。)電流検出方式では、トランス2次側の高圧端子に発生するアーク放電をトランスの2次側のインダクタンスを通過したGND端子の電流を用いて検出を行うため、アーク放電の検出精度が原理的に低かった。この点を改善するため、電圧を検出する方式が提案された。
【0003】
この電圧を検出する方式は、2つの出力トランスの2次側のGND端同士をダイオードを介して接続し、アーク放電発生時にその接続点(中性点)の電圧が上昇し、中性点がずれることを利用することによりアーク放電を検出していた。これを中性点検出方式と呼ぶ。(例えば、特許文献2参照。)しかし、中性点検出方式は、中性点における電圧の上昇幅が小さい微小アーク放電や、左右同時に発生するアーク放電に対しては検出精度が低かった。
【0004】
この点を改善した、インバータ出力電圧から検出コンデンサを介してアーク放電周波数のみを共振させ、その信号を検出することによりアーク放電を検出する電圧検出方式がある。(例えば、特許文献3参照。)
【特許文献1】特開2002−151287号公報(図1)
【特許文献2】特開2004−054294号公報(図3)
【特許文献3】特開2007−188659号公報(図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記従来の構成では、電流検出方式や中性点検出方式においてはアーク放電保護に検出用の高耐圧コンデンサは不必要だが精度の面で劣ることとなり、電圧検出方式においては高圧出力端にアーク放電保護及び過電圧保護(OVP)の為の別々の検出用高耐圧コンデンサが必要であった。(図4)電圧検出方式は、高電圧部品が増える分だけ危険性が高く、故障の可能性も高まり、さらに安全距離関係で、装置の小型化を妨げることにもなるという課題を有していた。
【0006】
本発明は、これらの課題を解決するもので、一つの電圧検出用高耐圧コンデンサのみでアーク放電保護及び過電圧保護(OVP)を検出する放電管点灯装置を提供することを目的とする。(図3)
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の請求項1記載の放電管点灯装置は、インバータ回路が高圧側に接続されており、前記インバータ回路の高圧側に第一のコンデンサと第二のコンデンサから成る分圧コンデンサを接続し、分圧点の電圧を検出する第一の電圧検出手段と、該検出電圧と第一の所定電圧範囲とを比較する第一の電圧比較手段と、前記第二のコンデンサの分圧点より低圧側に第三のコンデンサとコイルを大地間に平行に接続した共振回路と、前記共振回路の電圧を検出する第二の電圧検出手段と、該検出電圧と第二の所定電圧範囲とを比較する第二の電圧比較手段とを備え、前記第一の電圧検出手段により検出された電圧が前記第一の所定電圧範囲外である場合と前記第二の電圧検出手段により検出された電圧が前記第二の所定電圧範囲外である場合の少なくとも何れかの場合に、前記インバータ回路を停止させる制御手段を備えたことを特徴とする。
【0008】
本発明の請求項2記載の放電管点灯装置は、インバータ回路が高圧側に接続されており、前記インバータ回路の高圧側に第一のコンデンサと第二のコンデンサから成る分圧コンデンサを接続し、分圧点にダイオードと抵抗を大地間に平行に接続した平滑回路を接続し、平滑後の電圧を検出する第一の電圧検出手段と、該検出電圧と第一の所定電圧範囲とを比較する第一の電圧比較手段と、前記第二のコンデンサの分圧点より低圧側に第三のコンデンサとコイルを大地間に平行に接続した共振回路と、前記共振回路の電圧を検出する第二の電圧検出手段と、該検出電圧と第二の所定電圧範囲とを比較する第二の電圧比較手段とを備え、前記第一の電圧検出手段により検出された電圧が前記第一の所定電圧範囲外である場合と前記第二の電圧検出手段により検出された電圧が前記第二の所定電圧範囲外である場合の少なくとも何れかの場合に、前記インバータ回路を停止させる制御手段を備えたことを特徴とする放電管点灯装置。
【0009】
本発明の請求項3記載の放電管点灯装置は、請求項1または請求項2において、第一の電圧比較手段と、第二の電圧比較手段と、制御手段がマイコンであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明の放電管点灯装置によれば、危険な高電圧部品を削減でき、特に高電圧コンデンサが一つになったことで、安全性の向上と故障率の低減を図りながらも、装置の小型化を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下に、本発明の放電管点灯装置の実施の形態を図面とともに詳細に説明する。
【0012】
(実施の形態1)
図1は、本発明の第1の実施の形態における放電管点灯装置の構成図を示す。
【0013】
図1において、高耐圧コンデンサC1は、交流電圧を発生するインバータ回路の高圧側に接続され、他方に過電圧検出回路1、アーク放電検出回路2が接続されている。マイコンには前記過電圧検出回路1、アーク放電検出回路2および制御回路が接続され、誤動作時に検出信号をマイコンが検出し制御回路に停止信号を送ることでインバータ出力を停止し、放電管を消灯する。
【0014】
過電圧検出回路1は、前記交流電圧を検出コンデンサC1とコンデンサC2とで分圧した信号を入力とし、ダイオードD1、抵抗R7により信号を半波整流し、さらに抵抗R8、コンデンサC7で信号を平滑化している。過電圧検出回路1は、入力信号を平滑化する平滑回路の役割をもち、平滑後の直流信号をマイコンへ出力する。過電圧時には出力信号が大きくなり、その変化量をマイコンで検出することにより、過電圧検出を可能とする。
【0015】
例えばコンデンサC1の高圧側に過電圧が発生した時、その電圧を分圧しているコンデンサC1、C2の接続点の電圧が上昇し、ダイオードD1により正の半周期の電圧信号が抵抗R7にかかり、抵抗R7により電流量が決定され、その電流が抵抗R8を通してコンデンサC7に通常時以上の電荷がチャージされ、そのチャージされた電圧をマイコンにより検出する。
【0016】
アーク放電検出回路2は、検出コンデンサC1、コンデンサC2を介した前記交流電圧を入力とし、コイルL1、コンデンサC3からなる共振回路3で共振動作を行い、その共振信号をコンデンサC4を介したトランジスタQ1、トランジスタQ2による保持回路で保持し、抵抗6、コンデンサ6による平滑化回路で平滑化し、その直流信号をマイコンへ出力する。アーク放電発生時には直流出力信号が大きくなり、その変化量をマイコンで検出することにより、アーク放電の検出を可能とする。
【0017】
例えばコンデンサC1の高圧側にアーク放電が発生した時、コンデンサC1、コンデンサC2を介して高周波を含む電圧信号が共振回路3にかかる。共振回路3では、コンデンサC3、コイルL1によりアーク放電周波数帯域の信号を増幅し、コンデンサC4を介して抵抗R1、R2、R3によりバイアス供給されているトランジスタQ1のゲート端子に共振信号が入力され、アーク放電発生時の共振信号によりトランジスタQ1がON動作し、ON動作中にトランジスタQ2のゲート端子にVccが入力され、トランジスタQ2がOFF動作し、抵抗R5,R6を介してコンデンサC6に通常時以上の電荷がチャージされ、そのチャージされた電圧信号をマイコンにより検出する。
【0018】
以上のように、実施の形態1においては、アーク放電検出と過電圧検出両方の検出を同じ入力信号から行うことができ、インバータの高圧出力に接続される高耐圧コンデンサを一つにすることもでき、コスト低減及び信頼性の向上を図ることができる。
【0019】
また、実施の形態1では、共振回路によりアーク放電の放電周波数のみを検出することにより他のノイズ成分による影響が小さくなり、誤動作を防止することもできる。
【0020】
また、実施の形態1では、前記放電管をPWM調光により点灯させる時、マイコンでPWM動作周波数に同期させて保護検出動作を行うことにより、調光時の誤動作を防止することもできる。
【0021】
(実施の形態2)
図2は、本発明の第2の実施の形態における放電管点灯装置の構成図を示す。
【0022】
図1は片側ランプ駆動方式、図2は両側ランプ駆動方式での保護方式を示す。
【0023】
両側ランプ駆動方式において、アーク保護回路は図1のように片側のみへ挿入すればよいが、検出回路がついているランプの反対側端のアーク検出の精度を上げるため、両側にアーク保護を挿入することがある。
【0024】
図2において、過電圧検出回路5は過電圧検出回路1と同様の動作をし、マイコンへ検出信号を送る。アーク放電検出回路6は、アーク放電検出回路2と同様の動作を行うが、トランジスタQ1とトランジスタQ10の合成信号をトランジスタQ2の入力することにより、アーク放電検出回路の一部を共用化し、回路の簡素化を図っている。
【産業上の利用可能性】
【0025】
本発明にかかる放電管点灯装置は、LCDディスプレイ用バックライト電源において低コストのアーク放電保護および過電圧保護を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の実施の形態1における放電管点灯装置の構成図
【図2】本発明の実施の形態2における放電管点灯装置の構成図
【図3】本発明の放電管点灯装置の概略図
【図4】従来の放電管点灯装置の概略図
【符号の説明】
【0027】
1、5 過電圧検出回路
2、6 アーク放電検出回路
3 共振回路
4 放電管
7 高耐圧コンデンサ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
インバータ回路の高圧側に放電管が接続された放電管点灯装置において、前記インバータ回路の高圧側に第一のコンデンサと第二のコンデンサから成る分圧コンデンサを接続し、分圧点の電圧を検出する第一の電圧検出手段と、該検出電圧と第一の所定電圧範囲とを比較する第一の電圧比較手段と、前記第二のコンデンサの分圧点より低圧側に第三のコンデンサとコイルを大地間に平行に接続した共振回路と、前記共振回路の電圧を検出する第二の電圧検出手段と、該検出電圧と第二の所定電圧範囲とを比較する第二の電圧比較手段とを備え、前記第一の電圧検出手段により検出された電圧が前記第一の所定電圧範囲外である場合と前記第二の電圧検出手段により検出された電圧が前記第二の所定電圧範囲外である場合の少なくとも何れかの場合に、前記インバータ回路を停止させる制御手段を備えたことを特徴とする放電管点灯装置。
【請求項2】
インバータ回路の高圧側に放電管が接続された放電管点灯装置において、前記インバータ回路の高圧側に第一のコンデンサと第二のコンデンサから成る分圧コンデンサを接続し、分圧点にダイオードと抵抗を大地間に平行に接続した平滑回路を接続し、平滑後の電圧を検出する第一の電圧検出手段と、該検出電圧と第一の所定電圧範囲とを比較する第一の電圧比較手段と、前記第二のコンデンサの分圧点より低圧側に第三のコンデンサとコイルを大地間に平行に接続した共振回路と、前記共振回路の電圧を検出する第二の電圧検出手段と、該検出電圧と第二の所定電圧範囲とを比較する第二の電圧比較手段とを備え、前記第一の電圧検出手段により検出された電圧が前記第一の所定電圧範囲外である場合と前記第二の電圧検出手段により検出された電圧が前記第二の所定電圧範囲外である場合の少なくとも何れかの場合に、前記インバータ回路を停止させる制御手段を備えたことを特徴とする放電管点灯装置。
【請求項3】
前記第一の電圧比較手段と、前記第二の電圧比較手段と、前記制御手段がマイコンであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の放電管点灯装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−135060(P2009−135060A)
【公開日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−312110(P2007−312110)
【出願日】平成19年12月3日(2007.12.3)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】