説明

散乱場チャンバ内の無線通信装置の絶対全等方感度の測定

SFC(散乱場チャンバ)内にあり、基地局シミュレータから通信を受信している通信装置受信機回路の絶対全等方感度を決定する方法が提供される。SFCにおける入射RF場の偏波を異なるように混合するように構成された複数の相異なる静的位置にSFC内のモード攪拌装置を順次動かすようにモード攪拌装置の運動が制御される。モード攪拌装置の複数の相異なる静止位置のそれぞれにおいて、複数の相異なる送信電力レベルを通じて基地局シミュレータからの送信電力レベルが変化される。複数の送信電力レベルのそれぞれにおいて、通信装置が基地局シミュレータから通信を受信するビット誤り率と受信信号強度とが測定される。測定されたビット誤り率と、測定された受信信号強度と、関連する送信電力レベルとに応じて通信装置受信機回路の絶対全等方感度が決定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は総括的に無線通信分野に関し、より具体的に無線通信装置受信機の特性の測定に関する。
【背景技術】
【0002】
セルラ移動体端末および他の多くのタイプの無線通信装置が市場で発売される前に厳しいオーバ・ジ・エア(OTA)テストを受ける。CTIA(セルラ通信工業会)により推奨されて、OTA検査は装置の通信コンポーネント(アンテナ、増幅器、受信機および電子機器)が用いられるだろう環境の近くでこれらの性能を測定するように試みる。
【0003】
装置がさらされるRF励起は、もはや単なるパルスまたは連続波(CW)モードのRF源ではなく、その代わりに基地局シミュレータ(BSS)により生成されうる。BSSは、グローバルスタンダード・フォ・モバイルコミュニケーション(GSM(登録商標))、汎用パケット無線サービス(GPRS)、GSMエボリューション向け発展型データレート(EDGE)、統合デジタル発展型ネットワーク(iDEN)、符号分割多元接続(CDMA)、広帯域CDMA、CDMA2000、および/またはユニバーサル移動体通信システム(UMTS)、IEEE802.11a−g標準、Bluetooth(登録商標)、および/または他の標準/非標準通信プロトコルのようなプロトコルを用いて通信するように構成されうる。
【0004】
通信装置のOTA検査のために用いられうる2つのタイプのチャンバは電波暗室(anechoic chamber)および散乱場チャンバ(SFC:Scattered Field Chamber)である。(モード攪拌チャンバ、電波反射チャンバRC(reverberation chamber)およびスウェーデン語でmodvaxlarkammareとも呼ばれる)散乱場チャンバは一部の例において電波暗室と比較して高速で、安価で、および/または高信頼の測定設定を提供する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
アンテナ効率の測定に重点を置く先行する装置検査技術とは対照的に、OTA検査はしばしば通信装置の全放射電力(TRP:total radiated power)および全等方感度(TIS:total isotropic sensitivity)の複雑なアクティブ測定に重点を置く。TISを測定するための少なくとも一部の既存の技術は実行するのが特に複雑/困難でありうる。なぜなら、これらの技術は約−110dBmに至るまでの電力レベルと、UMTS通信については0.1%単位の精度に至るまで、GSM通信については0.5−1%単位の精度に至るまでのブロック誤り率(BLER)とでの正確な検査および測定を必要としうるからである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一部の実施形態によれば、SFC(散乱場チャンバ)内にあり、基地局シミュレータから通信を受信している通信装置受信機回路の絶対全等方感度を決定する方法が提供される。前記SFCにおける入射RF場の偏波を異なるように混合するように構成された複数の相異なる静的位置に前記SFC内のモード攪拌装置を順次動かすように前記モード攪拌装置の運動が制御される。前記モード攪拌装置の複数の前記相異なる静止位置のそれぞれにおいて、複数の相異なる送信電力レベルを通じて前記基地局シミュレータからの送信電力レベルが変化される。複数の前記送信電力レベルのそれぞれにおいて、前記通信装置が前記基地局シミュレータから前記通信を受信するビット誤り率と受信信号強度とが測定される。前記測定されたビット誤り率と、前記測定された受信信号強度と、前記関連する送信電力レベルとに応じて前記通信装置受信機回路の絶対全等方感度が決定される。
【0007】
一部の更なる実施形態では、前記ビット誤り率の測定は、前記関連する送信電力レベルにおいて前記移動体端末が前記基地局シミュレータから前記通信を受信するフレーム誤り率を測定する工程を含む。
【0008】
一部の更なる実施形態では、前記ビット誤り率の測定は、前記関連する送信電力レベルにおいて前記移動体端末が前記基地局シミュレータから前記通信を受信するブロック誤り率を測定する工程を含む。
【0009】
一部の更なる実施形態では、前記全等方感度の決定は、前記モード攪拌装置の前記複数の相異なる静的位置のそれぞれについて、前記測定された受信信号強度と前記基地局シミュレータからの前記関連する送信電力レベルとを用いてCAL(合成チャンバ・アンテナ損失)値が決定されることと、前記モード攪拌装置の前記複数の相異なる静的位置のそれぞれについて、非ゼロのビット誤り率の測定に対応する前記決定されたCAL値を用いて平均CAL値が決定されることと、前記モード攪拌装置の前記複数の相異なる静的位置のそれぞれについて決定された前記平均CAL値を用いて前記通信装置受信機回路の等方感度が決定されることとを含む。
【0010】
一部の更なる実施形態では、前記モード攪拌装置の前記複数の相異なる静的位置のそれぞれについて、前記CAL値は、前記基地局シミュレータからの前記測定された受信信号強度と前記関連する測定電力レベルとの差に基づいて決定される。
【0011】
一部の更なる実施形態では、前記等方感度の決定は、前記モード攪拌装置の前記複数の相異なる静的位置のそれぞれについて、前記測定されたビット誤り率と前記平均CAL値とを用いて前記通信装置受信機回路の前記等方感度を決定する工程を含む。
【0012】
一部の更なる実施形態では、前記等方感度の決定は、前記モード攪拌装置の前記複数の相異なる静的位置のそれぞれについて、前記通信装置受信機回路の前記等方感度を、前記測定されたビット誤り率と前記平均CAL値との差に基づいて決定する工程を更に含む。
【0013】
一部の更なる実施形態では、前記等方感度の決定は、前記モード攪拌装置の前記複数の相異なる静的位置について決定された複数の前記等方感度値を通じて直線当てはめを実行する工程を更に含む。
【0014】
一部の更なる実施形態では、前記方法は、前記基地局シミュレータから通信を受信する前記通信装置受信機回路のアクティブアンテナ効率を決定する工程と、前記決定された等方感度と前記決定されたアクティブアンテナ効率とに応じて前記通信装置受信機回路の前記絶対全等方感度を決定する工程とを更に有する。
【0015】
一部の更なる実施形態では、前記通信装置受信機回路の前記絶対全等方感度の決定は、前記決定された等方感度と前記決定されたアクティブアンテナ効率とを合計する工程を含む。
【0016】
一部の更なる実施形態では、前記通信装置受信機回路の前記アクティブアンテナ効率の決定は、前記基地局シミュレータからの送信電力レベルをほぼ一定に維持している間に、前記SFCにおける入射RF場の偏波を混合するように前記モード攪拌装置を動かしつつ、前記通信装置が前記基地局シミュレータから前記通信を受信する受信信号強度を測定する工程と、前記受信信号強度の複数の前記測定を時間に関して平均化する工程と、前記平均化された受信信号強度に基づいて前記アクティブアンテナ効率を決定する工程とを含む。
【0017】
一部の更なる実施形態では、前記方法は、前記SFCの伝達関数を決定する工程を更に有する。次いで、前記アクティブアンテナ効率は、前記基地局シミュレータからの前記送信電力レベルと、前記SFCの前記伝達関数及び前記平均化された受信信号強度の合計との差に基づいて決定される。
【0018】
一部の他の実施形態は、基地局シミュレータとTIS測定コンピュータとを含むシステムを対象とする。前記基地局シミュレータは、SFC(散乱場チャンバ)内の通信装置受信機回路と通信するように構成される。前記TIS測定コンピュータは、前記SFCにおける入射RF場の偏波が異なるように混合するように構成された複数の相異なる静的位置に前記SFC内のモード攪拌装置を順次動かすように前記モード攪拌装置の運動を制御し、前記モード攪拌装置の複数の前記相異なる静止位置のそれぞれにおいて、複数の相異なる送信電力レベルを通じて前記基地局シミュレータからの送信電力レベルを変化させ、複数の前記送信電力レベルのそれぞれにおいて、前記通信装置が前記基地局シミュレータから前記通信を受信するビット誤り率と受信信号強度とを測定し、前記測定されたビット誤り率と、前記測定された受信信号強度と、前記関連する送信電力レベルとに応じて前記通信装置受信機回路の絶対全等方感度を決定するように構成される。
【0019】
一部の更なる実施形態では、前記TIS測定コンピュータは、前記モード攪拌装置の前記複数の相異なる静的位置のそれぞれについて、前記測定された受信信号強度と前記基地局シミュレータからの前記関連する送信電力レベルとの差に基づいてCAL(合成チャンバ・アンテナ損失)値を決定し、前記モード攪拌装置の前記複数の相異なる静的位置のそれぞれについて、非ゼロのビット誤り率の測定に対応する前記決定されたCAL値を用いて平均CAL値を決定し、前記モード攪拌装置の前記複数の相異なる静的位置のそれぞれについて決定された前記平均CAL値を用いて前記通信装置受信機回路の等方感度を決定するように更に構成される。
【0020】
一部の更なる実施形態では、前記TIS測定コンピュータは、前記モード攪拌装置の前記複数の相異なる静的位置のそれぞれについて、前記測定されたビット誤り率と前記平均CAL値との差に基づいて前記通信装置受信機回路の前記等方感度を決定するように更に構成される。
【0021】
一部の更なる実施形態では、前記TIS測定コンピュータは、前記基地局シミュレータから通信を受信する前記通信装置受信機回路のアクティブアンテナ効率を決定し、前記決定された等方感度と前記決定されたアクティブアンテナ効率とに応じて前記通信装置受信機回路の前記絶対全等方感度を決定するように更に構成される。
【0022】
一部の更なる実施形態では、前記TIS測定コンピュータは、前記決定された等方感度と前記決定されたアクティブアンテナ効率とを合計に基づいて前記通信装置受信機回路の前記絶対全等方感度を決定するように更に構成される。
【0023】
一部の更なる実施形態では、前記TIS測定コンピュータは、前記基地局シミュレータからの送信電力レベルがほぼ一定に維持されている間に、前記SFCにおける入射RF場の偏波を混合するように前記モード攪拌装置を動かしつつ、前記通信装置が前記基地局シミュレータから前記通信を受信する受信信号強度を測定し、前記受信信号強度の複数の前記測定を時間に関して平均化し、前記平均化された受信信号強度に基づいて前記アクティブアンテナ効率を決定するように更に構成される。
【0024】
一部の更なる実施形態では、前記TIS測定コンピュータは、前記SFCの伝達関数を決定し、前記基地局シミュレータからの前記送信電力レベルと、前記SFCの前記伝達関数及び前記平均化された受信信号強度の合計との差に基づいて前記アクティブアンテナ効率を決定するように更に構成される。
【0025】
一部の他の実施形態は、基地局シミュレータから通信を受信しているSFC(散乱場チャンバ)内の通信装置受信機回路の特性を決定するコンピュータプログラム製品を対象とする。前記コンピュータプログラム製品はコンピュータで読み取り可能なプログラムコードを具現化するコンピュータで読み取り可能な記憶媒体を有する。前記コンピュータで読み取り可能なプログラムコードは、前記SFCにおける入射RF場の偏波を異なるように混合するように構成された複数の相異なる静的位置に前記SFC内のモード攪拌装置を順次動かすように前記モード攪拌装置の運動を制御するように構成され、前記コンピュータで読み取り可能なプログラムコードは、前記モード攪拌装置の複数の前記相異なる静止位置のそれぞれにおいて、複数の相異なる送信電力レベルを通じて前記基地局シミュレータからの送信電力レベルを変化させるように構成され、前記コンピュータで読み取り可能なプログラムコードは、複数の前記送信電力レベルのそれぞれにおいて、前記通信装置が前記基地局シミュレータから前記通信を受信するビット誤り率と受信信号強度とを測定するように構成され、前記コンピュータで読み取り可能なプログラムコードは、前記測定されたビット誤り率と、前記測定された受信信号強度と、前記関連する送信電力レベルとに応じて前記通信装置受信機回路の絶対全等方感度を決定するように構成される。
【0026】
例示の実施形態に従う他の装置、システム、方法および/またはコンピュータプログラム製品が以下の図面および詳細な説明の検討によって当業者に明らかであるか、明らかになるだろう。このようなすべての追加のシステム、方法および/またはコンピュータプログラム製品は、本明細書に含まれ、本発明の範囲に含まれ、添付の特許請求の範囲によって保護されることが意図される。
【0027】
本発明の更なる理解を提供するために含まれ、本出願に組み込まれてその一部を構成する添付の図面は本発明の所定の実施形態を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の一部の実施形態に従う移動体端末のような通信装置の全等方感度を測定するシステムのブロック図である。
【図2】図1の散乱場チャンバ内の複数の相異なる測定位置のそれぞれについての移動体端末の感度曲線のグラフである。
【図3】図2の感度曲線が互いに重なったグラフである。
【図4】一部の実施形態に従う図1の散乱場チャンバ内の1回の停止についての基地局シミュレータの出力電力と移動体端末の測定されたBERおよびRSレベルの例示の表を説明する。
【図5】一部の実施形態に従う計算された感度および2.49BER点とともに、例示の等方感度曲線と測定データを通じた直線当てはめとのグラフである。
【図6】1つ以上のフィールド攪拌器を介して一定且つ低速な攪拌にさらされる移動体端末についての例示の平均RSSI測定のグラフであり、Nは平均化に用いられるRSSI値の個数を表す。
【図7】図6の平均RSSI測定の例示の標準偏差のグラフである。
【図8】移動体端末の各チャネルを測定する際に観察されうる例示の時間の表を説明する。
【図9】電源がオンの際に移動体端末の受信機チェーンに望ましくない影響を与えるカメラを有する移動体端末に関して実行された測定を示す表である。
【図10】カメラが電源オン・オフされて電波暗室でとられたものと、カメラが電源オン・オフされてSFCでとられたものとの例示の移動体端末の様々なチャネルについてのTIS測定のグラフである。
【図11A】、
【図11B】本発明の一部の実施形態に従って図1のTIS測定コンピュータおよび基地局シミュレータにより実行されてもよい例示の動作および方法を示すフローチャートを説明する。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明の実施形態を示す添付の図面を参照しつつ以下に本発明が十分に記載される。しかしながら、本発明は多くの代替形態で具現化されてもよく、本明細書で説明される実施形態に限定されるとみなされるべきではない。
【0030】
従って、本発明は様々な変更および代替形態を受け入れつつ、その特定の実施形態が図面に例示の方法で示され、本明細書で詳細に記載される。しかしながら、開示される特定の形態に本発明が限定される意図はなく、それどころか本発明は特許請求の範囲で規定される本発明の精神および範囲に含まれるすべての変形、均等物および代替をカバーすることが理解されるべきである。図面の説明を通じて同様の要素は同様の符号で参照される。
【0031】
本明細書で用いる用語は特定の実施形態を記載することだけを目的とし、本発明を限定する意図はない。本明細書で用いる際に、単数形「a」、「an」および「the」は、そうでないことが文脈で明示的に示されない限り、複数形も同様に含むことが意図される。「備える」、「備えている」、「含む」および/または「含んでいる」という用語は、本明細書で用いる場合に、記載された特徴、整数、ステップ、動作、要素および/またはコンポーネントの存在を特定するが、1つ以上の他の特徴、整数、ステップ、動作、要素、コンポーネントおよび/またはこれらのグループの存在または追加を排斥するものでないことが更に理解されるだろう。さらに、ある要素が別の要素に「応答して」または「接続された」と言及される場合に、当該別の要素に直接に応答し、または直接に接続されてもよいし、介在する要素が存在してもよい。対照的に、ある要素が別の要素に「直接に応答して」または「直接に接続された」と言及される場合に、介在する要素は存在しない。本明細書で用いる際に、「および/または」という用語は、関連する列挙された項目の1つ以上の任意且つすべての組合せを含み、「/」と省略されてもよい。
【0032】
第1、第2などという用語が本明細書で様々な要素を記載するために用いられうるが、これらの要素はこれらの用語によって限定されるべきでないことが理解されるだろう。これらの用語は単に、ある要素と別の要素とを区別するために用いられる。例えば、本開示の教示を逸脱することなく、第1要素は第2要素と名づけられてもよく、同様に第2要素は第1要素と名づけられてもよい。図面の一部は通信の主要な方向を示す通信経路上の矢印を含むが、図示された矢印とは反対方向に通信が生じてもよいことが理解される。
【0033】
一部の実施形態は、ブロック図および動作フローチャートに関して記載され、これらにおける各ブロックは回路素子、モジュール、または特定された論理機能(群)を実施する1つ以上の実行可能な命令を含むコードの部分を表す。他の実施において、ブロック内に示される機能(群)は、示された順序から外れて起こってもよいことも留意されるべきである。例えば、連続して示される2つのブロックは、関与する機能に依存して、実際にはほぼ同時に実行されてもよいし、ブロックは時として逆の順序で実行されてもよい。
【0034】
本明細書で用いる場合に、「無線移動体端末」または省略して「端末」は、無線周波数通信信号を受信するように構成された任意の電子装置を含むがこれに限定されない。例示の端末はセルラ電話、PDA、および他の通信装置と通信するように構成された移動体コンピュータを含むがこれらに限定されない。
【0035】
図1は本発明の一部の実施形態に従う移動体端末110のTISを測定する例示のシステム100を説明する。図1を参照して、移動体端末110は、導体壁を有しうる散乱場チャンバ(SFC)120内に配置される。基地局シミュレータ122は、SFC120内にあり且つ移動体端末100の近くに位置するアンテナ122を通じて移動体端末100と通信するように構成される。
【0036】
基地局シミュレータ150は、グローバルスタンダード・フォ・モバイルコミュニケーション(GSM)、汎用パケット無線サービス(GPRS)、GSMエボリューション向け発展型データレート(EDGE)、統合デジタル発展ネットワーク(iDEN)、符号分割多元接続(CDMA)、広帯域CDMA、CDMA2000、および/またはユニバーサル移動体通信システム(UMTS)、IEEE802.11a−g標準、Bluetooth、および/または他の標準/非標準通信プロトコルを含んでもよいがこれらには限定されない1つ以上のプロトコルに従ってアンテナ152を通じてRF通信シグナリングを生成するように構成されうる。基地局シミュレータ150は、高速フェージング環境を検査するように動作できるアジレント8960タイプの基地局シミュレータを含んでもよいが、これに限定されない。基地局シミュレータ150により実行されるプロトコルステップの選択および/またはタイミングはTIS測定コンピュータ140により制御されてもよい。
【0037】
移動体端末110はSFC120内のアクチュエータ124に取り付けられてもよく、アクチュエータ124はアンテナ122に対して移動体端末110を回転および/または再配置するように構成されうる。TIS測定コンピュータ140はアンテナ122に対する移動体端末100の角度および/または位置を制御するようにアクチュエータ124を調整(例えば、回転アセンブリの回転を制御し、および/または可動アームの位置を制御)するように構成される。
【0038】
SFC120内に1つ以上のモード攪拌装置126、128が含まれてもよい。モード攪拌器126、128は、含まれる場合に、例えば入射RF場の偏波を混合するように構成されてもよい。モード攪拌器126、128は、空間的および時間的に一様であるがランダムに移動体端末110の付近のRF場を変えるように例えば回転することによって運動してもよい。例えば、モード攪拌器126、128は、SFC120内の多くの位置におけるRF場が、時間とともに(例えばモード攪拌器126、128の1回転の間に)ほぼ同じ最大RF場強度および平均RF場強度を有するようにしてもよい。これにかえて、またはこれに加えて、モード攪拌器126,128は、マルチパス干渉および/または高速フェージング(例えば都市型の)環境の他の影響をシミュレーションするために、RF場強度の高速フェージングを生じさせるように移動体端末110の近くのRF場を吸収するように構成されてもよい。モード攪拌器126、128は例えば吸収材および/または誘電体で被覆されてもよく、回転式ファン、振り子などのように回転/運動するように構成されてもよい。モード攪拌器126、128の運動はTIS測定コンピュータ140によって制御されてもよい。例えば、TIS測定コンピュータ140は後述される様々な検査作業の間にモード攪拌器126、128の運動を開始および停止してもよい。
【0039】
移動端末110に隣接し、TIS測定コンピュータ140および/または基地局制御装置150に接続された較正プローブ130がSFC120内に含まれてもよく、それによって較正プローブ130は基地局シミュレータ150による出力電力レベルおよび電力測定を較正し、基地局シミュレータ150とアンテナ122との間の経路損失を測定し、および/またはSFCアンテナ122と移動体端末110のアンテナとの間の空間損失を測定するために用いられる。
【0040】
一部の実施形態に従うと、TIS測定コンピュータ100は感度曲線を生成し、アクティブアンテナ効率を決定するように構成される。感度曲線を決定するために、等方感度および合成チャンバ・アンテナ損失(CAL:combined Chamber and Antenna Loss)がともに、共通の測定動作の間に決定されうる。この動作により見つかる等方感度は、アンテナから信号経路を通って移動体端末110のRF受信機に至るまでを含む移動体端末110における損失を表す損失係数だけが足された伝導感度(conducted sensitivity)に対応しうる。それ故、これらの測定はアクティブアンテナ効率を表す。
【0041】
アクティブアンテナ効率を決定した後に、移動体端末110のエア・アンテナ・インタフェースでの等方感度レベルを決定するために、これは合成チャンバ・アンテナ損失から減算されうる。
【0042】
等方感度およびCALがTIS測定コンピュータ100によってどのように決定され、移動体端末110についてのTISを決定するためにどのように用いられうるかについて以下に様々な異なる実施形態が記載される。後述されるように、TISおよび/またはフェージングTISを決定するために曲線当てはめアルゴリズムが用いられうる。これは、測定精度を向上し、および/または移動体端末または未知の特性を有する他の通信装置の測定の冗長性を向上しうる。
【0043】
一部の実施形態では、TISを決定するために移動体端末110の受信機信号レベルが測定され用いられてもよい。受信信号レベルはGSMプロトコル通信について受信信号強度表示(RSSI)として測定されてもよく、UMTSプロトコルについて受信信号符号電力(RSCP)として測定されてもよく、これらは以下で集合的に「受信信号(RS:Received Signal)」と呼ばれる。
【0044】
CALを見つけるために、TIS測定コンピュータ140は攪拌器126、128を固定(すなわち、運動を停止)することによってチャンバ内に静的環境を作成し、感度曲線を生成するために測定を実行する。感度曲線は、基地局シミュレータの電力レベル(PBS)を減らし、フレーム誤り率(FER)および/またはブロック誤り率(BLER)のようなビット誤り率(BER)およびRSを記録する(register)ことによって生成される。これらの測定を通じて、SFC内の静的環境がTIS測定のための所望の等方環境に似ているか否かについて判定がなされうる。
【0045】
図2は、図1のSFC120内の複数の相異なる測定位置のそれぞれにおいて測定されたGSM900バンドで動作する移動体端末110の感度曲線200のグラフである。感度曲線202は942.4MHzで動作する移動体端末110の伝導感度に対応する。図3は図2の感度曲線200、202が互いに重なったグラフである。
【0046】
図2、図3を参照して、曲線202は静的なSFC120においてランダムに測定された複数の曲線と比較されうる。SFC120に静的な環境を提供するために攪拌器126、128は運動していないが、曲線の各点が特定の低い標準偏差へ収束することを保証するために十分に多数のビットで曲線200、202内の各点を測定することが重要であり続ける。測定された点を通じて曲線当てはめアルゴリズムを用いることによって、測定点の個数は比較的少なくあり続けてもよく、それによって測定時間が省かれる。
【0047】
測定を通じて、移動体端末110の受信機回路は、感度曲線全体を測定し、この曲線から受信機感度を見つけることによって、幅広い動作環境に亘ってロバストに特徴付けられうる。TIS測定コンピュータ140により用いられうる別のアプローチは動作検査環境内の測定点間を最適にホップすることであり、これは十分に正確な値に到達するために各測定位置における多くの良好な測定値を平均化することを含みうる。
【0048】
図2、図3に見られるように、導電曲線202とSFC120内の静的曲線200とは同じ変動を有する。しかしながら、1つの大きな違いが存在し、この違いは静的曲線200がSFC120において測定され、アンテナ、ストリップ線およびLNAチェーンを含む移動体端末110の受信機信号経路全体が測定に含まれることである。これは、移動体端末110のすべての受信機特性が含まれ、それによって感度低下のような影響がこれらの測定を通じて容易に特徴付けられうることを意味する。
【0049】
TISと曲線200、202内の測定された感度との差を定量化するためにTIS測定コンピュータ140により実行されうる動作が以下に説明される。
【0050】
[合成アンテナ・チャンバ損失(CAL)]
CALは基地局電力PBSと受信機信号レベルRSとの差であり、以下の式で表されうる。
CAL(stop)=PBS(stop)-RS(stop)
【0051】
CAL(stop)はSFC120における各停止(攪拌停止位置)について計算される。次いで、これらの値から、(これは、RSSI 0が−110dBmに等しく、例示の受信機は低い値で飽和するため最小値であってもよいことに留意して)非ゼロのRSSI値およびBER値を表す曲線点を抽出することによって、各位置について平均CALが計算される。
【0052】
図4は攪拌器126、128の1つの停止位置について基地局シミュレータ150の出力電力と移動体端末110の測定されたBERおよびRSレベルとの例示の表を説明する。これらの測定値を用いて、CALベクトルは、CAL=5,5,5,4,5,5,4として決定されえ、平均CALは4.7dBであると決定される。TIS測定コンピュータ140は測定精度を向上するために、様々な攪拌停止(静的)位置についてこれらの動作を繰り返し実行しうる。
【0053】
関数PBS(RS)が完全線形変動を有する高いレベルにおいてCALを測定するために追加の動作が実行されうる。測定値は同数のサンプルについて平均化されるべきである。BER=0値は遥かに少ない個数のサンプルで測定されうる。サンプル数は測定動作時間に影響する。
【0054】
[等方感度(IS)]
等方感度曲線はTIS測定コンピュータ140によって、上述の測定された感度曲線と平均CALとの差として決定され、以下の式で表されうる。

【0055】
IS曲線が計算されると、直線当てはめによってIS値が見つかる。例えば、図5は等方感度曲線500のグラフであり、計算された感度とともに測定データを通じた直線当てはめ502と、これに沿った2.49BER点504とを更に説明する。
【0056】
[アクティブアンテナ効率]
別の動作ステップで、基地局シミュレータ150からの電力PBSは固定され(静的であり)、アクティブアンテナ効率がTIS測定コンピュータ140により決定される。この決定は非常に低速な信号フェージングの下で、受信機信号レベルを記録し、それを平均化することによって実行されてもよい。これらの値は処理が収束するまで平均化され、最終平均値とチャンバ伝達関数

とがPBSから減算される。これらの計算は以下の式で表されうる。

【0057】

という用語は基地局シミュレータ150から移動体端末110のアンテナへの損失として定義され、SFC120の損失に対応しうる。この計算の精度は、基地局シミュレータ150の様々な出力電力PBS値について測定および関連する計算を繰り返すことによって向上しうる。
【0058】
図6はフィールド攪拌器126、128の規定された運動を介して一定且つ低速な攪拌にさらされる移動体端末についての例示の平均RSSI測定のグラフであり、Nという用語は平均化に用いられるRSSI値の個数を表す。図7は図6の平均RSSI測定の標準偏差のグラフである。
【0059】
[絶対全等方感度]
絶対全等方感度(ATIS:absolute Total Isotropic Sensitivity)は以下の式に基づいてTIS測定コンピュータ140により決定されうる。

ここで、この式の成分値は上述のように決定されうる。
【0060】
[測定時間]
一部の実施形態では、記載された測定に必要な総時間は検査される通信装置の特定のタイプと、測定を通じて取得される所望の精度とに強く依存しうる。以下の表は比較的良好な測定反復可能性についての平均ATIS時間を示す。この精度は、数多くの要因によって向上されえ、例えば感度曲線の本数を増やすことや、曲線の測定データにおいて高い分解能を用いることや、RSサンプルの個数を増やすことによって向上されうる。
【0061】
図8は移動体端末110のような移動体端末の各チャネルを測定する際に観察されるおおよその時間の表を説明する。分/チャネルにおける測定時間がGSM850/900、GSM1800/1900およびUMTS1について示される。
【0062】
[感度低下の影響の測定]
様々な実施形態に関連する動作は非常に高速および/または正確な感度低下測定を可能にしうる。感度低下測定は、通信装置の様々なコンポーネントが有する通信装置の受信機チェーンへの影響を見つけるために非常に有用で有りうる。図9は、電源がオンにされ、移動体端末の受信機チェーンに望ましくない影響を生じさせるカメラを有する移動体端末に関してSFCにおいて実行された測定を示す表を説明する。1〜2dBのオーダの精度でTISを測定するために、移動体端末は電波暗室(SELD)でも測定されている。
【0063】
図9を参照して、カメラの電源がオフ且つ電波暗室で行われた測定(「SELDクイックTIS−カメラ・オフ」)、カメラの電源がオン且つ電波暗室で行われた測定(「SELクイックTIS−カメラ・オン)、カメラの電源がオフ且つSFCで行われた測定(「ATIS−カメラ・オフ」)、およびカメラの電源がオン且つSFCで行われた測定(「ATIS−カメラ・オン」)である移動体端末の様々なチャネルに関する測定についてデータが提供される。これらの測定を参照して、絶対的な感度低下の影響がATISで迅速に測定され、アルゴリズムのダイナミックレンジがこれらの迅速な測定を可能にすることが見られる。このデータはまた、図10のグラフで視覚的に説明される。
【0064】
[測定精度]
一般に、SFCにおける測定精度および測定の反復可能性は通信装置に関して行われるサンプル測定の回数に依存し、従って総測定時間を増やし、関連する測定の回数を増やすことによって、より正確な結果が取得されうる。全放射電力TRPについて、1000個〜2000個のサンプルによりATISの測定におけるハイレベルな反復可能性が提供されうることが観察されている。
【0065】
この発見はまた、より密な測定グリッドがより正確な結果につながる電波暗室測定について成り立ちうる。CTIAにより採用される電波暗室測定設定はK=2について±2dBの測定不確実性を有し、この誤差への大きな寄与は±5dBのクイット・ゾーン・リップル(quit zone ripple)である。
【0066】
[更なる例示のATIS測定動作]
本発明の一部の実施形態に従ってATISを測定するために図1のTIS測定コンピュータ140および基地局シミュレータ150により実行されうる様々な動作および方法が以下に記載される。これらの動作の一部はまた、以下で参照される図11A、図11Bのフローチャートで説明される。
【0067】
これらの例示の動作の説明のためだけに、以下の入力パラメータが以下の意味を有するように定義される。

【0068】
図11A、図11Bを参照して、ブロック1100で、攪拌器126、128が回転している間に、基地局シミュレータ150は移動体端末110との通信接続を確立するためにそこへシグナリングを送信する。
【0069】
ブロック1102で、所望の数N_curvesに対応する規定の攪拌位置の規定の回数で攪拌器126、128が順次停止しつつ、BER、PS(基地局シミュレータ150の送信電力レベル)およびRSがこれらの攪拌位置において移動体端末110について測定される。各位置について、N_PS(すなわち局電力レベルの個数)において曲線を形成するためにN_samplesにおける各電力レベルについて測定が用いられる。次いで、TIS測定コンピュータ140は各PSについて、N_samples個の平均BER、PS、およびRSを決定する(ブロック1104)。
【0070】
次いで、TIS測定コンピュータ140はブロック1106で以下の式に基づいて各攪拌位置sについて合成チャンバ・アンテナ損失CAL(s)を計算する。

【0071】
RS(s)という用語は誤りなしRS値の平均であり、ブロック1108で以下に従って決定されうる。
RS_db{s}=-110+RS{s};
RS_db2{s}=RS_db{s}(find(BER{s}≒0)).
ここで、「≒」はほぼ等しいことを意味する。
【0072】
CAL(s)はmean_KL{s}として示されえ、ブロック1110で以下に従って決定されうる。
KL{s}=P_S{s}-RS_db{s};
KL2{s}=KL{s}(find(RS{s}≒0));
mean_KL(s)=mean(KL3{s}).
【0073】
次いで、TIS測定コンピュータ140はブロック1112で以下に従ってアンテナポートにおける感度関数を計算できる。
P_BS2{s}=P_BS{s}(find(BER{s}≒0));
Sens{s}=P_BS2{s}-mean_KL(s).
【0074】
次いで、TIS測定コンピュータ140はブロック1114で以下に従って所定のBER_level値における感度を計算できる。
p=polyfit(BER_dB{s},Sens{s},degree);
Sens_new(s)=polyval(p,10*log10(BER_level)).
【0075】
次いで、TIS測定コンピュータ140はブロック1116で以下に従ってこのデータを用いて感度曲線をプロットし、表示/印刷/通信できる。
BER_v_fitted_db(:,s)=linspace(BER_dB{s}(1),BER_dB{s}(end),100);
S_value_fitted(:,s)=polyval(p,BER_v_fitted_db(:,s)).
【0076】
次いで、TIS測定コンピュータ140はブロック1118で基地局シミュレータ150の電力を最初のP_S_rot値に設定し、攪拌器126、128の電圧をV_stirに設定できる。
【0077】
P_S_rot register N_rs RS値のそれぞれの値について、TIS測定コンピュータ140はブロック1120で以下の式に基づいてアクティブアンテナ効率を計算できる。

【0078】
ここで、CTFは較正ファイルから得られるSFC120の伝達関数である。アクティブアンテナ効率および/またはその平均は連続してユーザへ表示されてもよい。
【0079】
TIS測定コンピュータ140はブロック1122で以下の式に基づいて最終的なATIS値を計算できる。

【0080】
TIS測定コンピュータ140はブロック1124でS曲線、線形表現、および同じグラフの各曲線についてのATIS値を表示してもよい。
【0081】
説明および検討を容易にするために様々な個別に規定された要素を用いて例示の測定システム100が図1で説明されたが、本発明はそれに限定されないことが理解されるだろう。その代わりに、本明細書で別々の機能要素において記載された様々な機能は単一の機能要素に合成されてもよく、その逆に本明細書で単一の機能要素において記載された機能が複数の別々の機能要素により実行されてもよい。
【0082】
さらに、例示の実施形態は移動体端末についてATISを測定する文脈で記載されてきたが、任意のタイプの通信装置の受信機を測定するために本装置、本動作および本方法が用いられてもよいことが理解されるだろう。
【0083】
当業者に理解されるように、本発明は装置(測定コンピュータ、シミュレータ、移動体端末)、方法およびコンピュータプログラム製品として具現化されてもよい。従って、本発明は完全にハードウェアの実施形態の形式をとってもよいし、ソフトウェアの実施形態の形式をとってもよいし、ハードウェアの側面とソフトウェアの側面との組合せの実施形態をとってもよく、これらはすべて本明細書では総括的に「回路」または「モジュール」として参照される。本明細書で説明されるフローチャートの説明および/またはブロック図の各ブロックならびにフローチャートの説明および/またはブロック図のブロックの組合せはコンピュータプログラム命令として実装されうることが理解されるだろう。これらのコンピュータプログラム命令は、コンピュータまたは他のプログラム可能データ処理装置を介して実行する命令がフローチャート特定された機能/動作および/またはブロック図のブロック(群)を実施する手段を作成するように、マシンを製造するために、汎用コンピュータ、特殊用途コンピュータまたは他のプログラム可能データ処理装置のプロセッサに提供されてもよい。
【0084】
コンピュータプログラム命令は、ハードディスク、CD−ROM、光記憶装置または集積回路メモリ装置のようなコンピュータで読み取り可能な記憶媒体に記録されうる。コンピュータで読み取り可能な記憶媒体上のこれらのコンピュータプログラム命令は、コンピュータで読み取り可能な記憶媒体に格納された命令がフローチャートおよび/またはブロック図のブロック(群)で特定された機能/動作を実施する命令手段を含む製品を製造するように、コンピュータまたは他のプログラム可能データ処理装置に特定の方法で機能するように命令する。
【0085】
コンピュータプログラム命令はまた、コンピュータまたは他のプログラム可能装置上で実行する命令が、フローチャートおよび/またはブロック図のブロック(群)で特定された機能/動作を実施するステップを提供するように、処理が実装されたコンピュータを製造するためにコンピュータまたは他のプログラム可能装置上で一連の動作ステップを実行させるコンピュータまたは他のプログラム可能データ処理装置にロードされてもよい。
【0086】
図面および明細書では、本発明の実施形態が開示され、特定の用語が採用されたが、これらは汎用的かつ説明的な意味でのみ用いられ、限定の目的はなく、本発明の範囲は以下の特許請求の範囲で説明される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基地局シミュレータから通信を受信しているSFC(散乱場チャンバ)内の通信装置受信機回路の特性を決定する方法であって、
前記SFCにおける入射RF場の偏波を異なるように混合するように構成された複数の相異なる静的位置に前記SFC内のモード攪拌装置を順次動かすように前記モード攪拌装置の運動を制御する工程と、
前記モード攪拌装置の複数の前記相異なる静止位置のそれぞれにおいて、複数の相異なる送信電力レベルを通じて前記基地局シミュレータからの送信電力レベルを変化させる工程と、
複数の前記送信電力レベルのそれぞれにおいて、前記通信装置が前記基地局シミュレータから前記通信を受信するビット誤り率と受信信号強度とを測定する工程と、
前記測定されたビット誤り率と、前記測定された受信信号強度と、前記関連する送信電力レベルとに応じて前記通信装置受信機回路の絶対全等方感度を決定する工程と
を有することを特徴とする方法。
【請求項2】
前記ビット誤り率の測定は、前記関連する送信電力レベルにおいて前記移動体端末が前記基地局シミュレータから前記通信を受信するフレーム誤り率を測定する工程を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ビット誤り率の測定は、前記関連する送信電力レベルにおいて前記移動体端末が前記基地局シミュレータから前記通信を受信するブロック誤り率を測定する工程を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記全等方感度の決定は、
前記モード攪拌装置の前記複数の相異なる静的位置のそれぞれについて、前記測定された受信信号強度と前記基地局シミュレータからの前記関連する送信電力レベルとを用いてCAL(合成チャンバ・アンテナ損失)値を決定する工程と、
前記モード攪拌装置の前記複数の相異なる静的位置のそれぞれについて、非ゼロのビット誤り率の測定に対応する前記決定されたCAL値を用いて平均CAL値を決定する工程と、
前記モード攪拌装置の前記複数の相異なる静的位置のそれぞれについて決定された前記平均CAL値を用いて前記通信装置受信機回路の等方感度を決定する工程と
を含むことを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記モード攪拌装置の前記複数の相異なる静的位置のそれぞれについて、前記CAL値は、前記基地局シミュレータからの前記測定された受信信号強度と前記関連する測定電力レベルとの差に基づいて決定されることを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記等方感度の決定は、前記モード攪拌装置の前記複数の相異なる静的位置のそれぞれについて、前記測定されたビット誤り率と前記平均CAL値とを用いて前記通信装置受信機回路の前記等方感度を決定する工程を含むことを特徴とする請求項4又は5に記載の方法。
【請求項7】
前記等方感度の決定は、前記モード攪拌装置の前記複数の相異なる静的位置のそれぞれについて、前記通信装置受信機回路の前記等方感度が、前記測定されたビット誤り率と前記平均CAL値との差に基づいて決定されることを更に含むことを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記等方感度の決定は、前記モード攪拌装置の前記複数の相異なる静的位置について決定された複数の前記等方感度値を通じて直線当てはめを実行する工程を更に含むことを特徴とする請求項6又は7に記載の方法。
【請求項9】
前記基地局シミュレータから通信を受信する前記通信装置受信機回路のアクティブアンテナ効率を決定する工程と、
前記決定された等方感度と前記決定されたアクティブアンテナ効率とに応じて前記通信装置受信機回路の前記絶対全等方感度を決定する工程と
を更に有することを特徴とする請求項4乃至8の何れか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記通信装置受信機回路の前記絶対全等方感度の決定は、前記決定された等方感度と前記決定されたアクティブアンテナ効率とを合計する工程を含むことを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記通信装置受信機回路の前記アクティブアンテナ効率の決定は、
前記基地局シミュレータからの送信電力レベルをほぼ一定に維持している間に、前記SFCにおける入射RF場の偏波を混合するように前記モード攪拌装置を動かしつつ、前記通信装置が前記基地局シミュレータから前記通信を受信する受信信号強度を測定する工程と、
前記受信信号強度の複数の前記測定を時間に関して平均化する工程と、
前記平均化された受信信号強度に基づいて前記アクティブアンテナ効率を決定する工程と
を含むことを特徴とする請求項9又は10に記載の方法。
【請求項12】
前記SFCの伝達関数を決定する工程を更に有し、
前記アクティブアンテナ効率は、前記基地局シミュレータからの前記送信電力レベルと、前記SFCの前記伝達関数及び前記平均化された受信信号強度の合計との差に基づいて決定される
ことを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項13】
SFC(散乱場チャンバ)内の通信装置受信機回路と通信するように構成された基地局シミュレータと、
TIS測定コンピュータと
を備えるシステムであって、
前記TIS測定コンピュータは、
前記SFCにおける入射RF場の偏波が異なるように混合するように構成された複数の相異なる静的位置に前記SFC内のモード攪拌装置を順次動かすように前記モード攪拌装置の運動を制御し、
前記モード攪拌装置の複数の前記相異なる静止位置のそれぞれにおいて、複数の相異なる送信電力レベルを通じて前記基地局シミュレータからの送信電力レベルを変化させ、
複数の前記送信電力レベルのそれぞれにおいて、前記通信装置が前記基地局シミュレータから前記通信を受信するビット誤り率と受信信号強度とを測定し、
前記測定されたビット誤り率と、前記測定された受信信号強度と、前記関連する送信電力レベルとに応じて前記通信装置受信機回路の絶対全等方感度を決定する
ように構成されることを特徴とするシステム。
【請求項14】
前記TIS測定コンピュータは、
前記モード攪拌装置の前記複数の相異なる静的位置のそれぞれについて、前記測定された受信信号強度と前記基地局シミュレータからの前記関連する送信電力レベルとの差に基づいてCAL(合成チャンバ・アンテナ損失)値を決定し、
前記モード攪拌装置の前記複数の相異なる静的位置のそれぞれについて、非ゼロのビット誤り率の測定に対応する前記決定されたCAL値を用いて平均CAL値を決定し、
前記モード攪拌装置の前記複数の相異なる静的位置のそれぞれについて決定された前記平均CAL値を用いて前記通信装置受信機回路の等方感度を決定する
ように更に構成されることを特徴とする請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記TIS測定コンピュータは、前記モード攪拌装置の前記複数の相異なる静的位置のそれぞれについて、前記測定されたビット誤り率と前記平均CAL値との差に基づいて前記通信装置受信機回路の前記等方感度を決定するように更に構成されることを特徴とする請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記TIS測定コンピュータは、前記基地局シミュレータから通信を受信する前記通信装置受信機回路のアクティブアンテナ効率を決定し、前記決定された等方感度と前記決定されたアクティブアンテナ効率とに応じて前記通信装置受信機回路の前記絶対全等方感度を決定するように更に構成されることを特徴とする請求項14又は15に記載のシステム。
【請求項17】
前記TIS測定コンピュータは、前記決定された等方感度と前記決定されたアクティブアンテナ効率とを合計に基づいて前記通信装置受信機回路の前記絶対全等方感度を決定するように更に構成されることを特徴とする請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
前記TIS測定コンピュータは、
前記基地局シミュレータからの送信電力レベルがほぼ一定に維持されている間に、前記SFCにおける入射RF場の偏波を混合するように前記モード攪拌装置を動かしつつ、前記通信装置が前記基地局シミュレータから前記通信を受信する受信信号強度を測定し、
前記受信信号強度の複数の前記測定を時間に関して平均化し、
前記平均化された受信信号強度に基づいて前記アクティブアンテナ効率を決定する
ように更に構成されることを特徴とする請求項16又は17に記載のシステム。
【請求項19】
前記TIS測定コンピュータは、前記SFCの伝達関数を決定し、前記基地局シミュレータからの前記送信電力レベルと、前記SFCの前記伝達関数及び前記平均化された受信信号強度の合計との差に基づいて前記アクティブアンテナ効率を決定するように更に構成されることを特徴とする請求項18に記載のシステム。
【請求項20】
基地局シミュレータから通信を受信しているSFC(散乱場チャンバ)内の通信装置受信機回路の特性を決定するコンピュータプログラム製品であって、
前記コンピュータプログラム製品はコンピュータで読み取り可能なプログラムコードを具現化するコンピュータで読み取り可能な記憶媒体を有し、
前記コンピュータで読み取り可能なプログラムコードは、前記SFCにおける入射RF場の偏波を異なるように混合するように構成された複数の相異なる静的位置に前記SFC内のモード攪拌装置を順次動かすように前記モード攪拌装置の運動を制御するように構成され、
前記コンピュータで読み取り可能なプログラムコードは、前記モード攪拌装置の複数の前記相異なる静止位置のそれぞれにおいて、複数の相異なる送信電力レベルを通じて前記基地局シミュレータからの送信電力レベルを変化させるように構成され、
前記コンピュータで読み取り可能なプログラムコードは、複数の前記送信電力レベルのそれぞれにおいて、前記通信装置が前記基地局シミュレータから前記通信を受信するビット誤り率と受信信号強度とを測定するように構成され、
前記コンピュータで読み取り可能なプログラムコードは、前記測定されたビット誤り率と、前記測定された受信信号強度と、前記関連する送信電力レベルとに応じて前記通信装置受信機回路の絶対全等方感度を決定するように構成される
ことを特徴とするコンピュータプログラム製品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11A】
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【図11B】
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【公表番号】特表2012−517726(P2012−517726A)
【公表日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−548795(P2011−548795)
【出願日】平成21年8月4日(2009.8.4)
【国際出願番号】PCT/IB2009/053382
【国際公開番号】WO2010/092442
【国際公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【出願人】(502087507)ソニーモバイルコミュニケーションズ, エービー (823)
【Fターム(参考)】