説明

散乱防止具

【課題】 構成が簡単で廉価に製造でき、不使用時には小さく折りたためて保管に場所をとらず、軽量で体力のない高齢者にも扱いやすく、カラスや猫による食い散らし散乱被害や強風による散乱等を確実に防ぐことのできる、主にゴミ類の収集の際の散乱防止具を供すること。
【解決手段】 平面である布状体本体を二つ折りにし、当該折り線と当該布状体本体の周縁部が交差する二つの点を実質的な起点とするように二つの開閉機(スライダー)を頭合わせに有する一つの線ファスナー又は対を成す面ファスナーの両端を配し、当該線ファスナーを開いて左右に分けて当該布状体本体の周縁部に接合した散乱防止具を供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カラスや小動物等による生ゴミや収穫した農作物などの食い散らし散乱被害、又は強風下での軽量物飛翔散乱を防ぐための散乱防止具に関する。
【背景技術】
【0002】
カラスや猫などによる生ゴミの食い散らし散乱被害が社会問題化して久しく、様々な構成の散乱防止具が開発されてきたが、未だ、その問題の解消に到ってはいない。ネットに錘をつけることや様々なタイプの折りたたみ式ゴミステーションなどがあるが一長一短がある。折り畳み式ゴミステーションはコンパクトに収納できることを目的に開発されたものであるが、それさえも収納できるスペースが確保できない住民も多いというのが実情である。覆いとしてのネットのみの場合には、カラスの一羽がその端をくわえて持ち上げ、その隙間にもう一羽が侵入してゴミ袋を引き出すというような方法を学習してしまうため、効果がないという実情がある。また、その解決のために開発されたネットは構成が複雑であったり、取り扱いに一定の体力が必要であったりと、完全な解決には到っていない。また、強風下での廃品回収等に於いて紙類が飛ばされないための適切な散乱防止具がなかった。また、畑に収穫した農作物を置いておくと、鳥や小動物に食い荒らされるという問題もあった。不使用時には場所をとらずに保管しておくことが出来、使用時には強風であっても容易に飛翔散乱を防ぐことのできる散乱防止具が望まれる。
【0003】
特許第4041152号に「網や布である布状体によって構成され、投入口を有し、該投入口から横方向に延びる覆い本体内部への進入路を有する覆いであって、該投入口の形状を維持すると共に当該投入口周辺を自重で押さえて閉鎖することのできる一定の重量を有した開口補助手段を設けたことを特徴とする散乱防止用覆いにおいて、前記布状体による筒状体を横方向に伸びるように配してその側端を投入口とし、該投入口に開口補助手段を設け、該投入口に連続する筒状部分を前記進入路とすることで、把手を把持して前記開口補助手段を引き上げると収集物が筒状体の内部に滑り込み、該筒状体の底部(腹部)に切れ目を設け収納された収集物の排出用開口部としたことを特徴とする散乱防止用覆い。」とあって、合理的に構成された散乱防止具であるが、使用に際し、リング部を把持して上にバンザイをするような動作が必要であるため高齢者には多少扱いにくいという側面があった。
【0004】
特開2010−52898号に「ゴミ袋を集約するための袋状のゴミ収集ネットであって、ネットからなる袋本体を備え、袋本体は、底面部と、底面部上に多数のゴミ袋を収容する空間を形成可能な上面部及び周面部と、前記上面部及び/又は周面部に設けた、ゴミ袋を出し入れするための開閉可能な開口部とを有し、前記上面部及び周面部のネットの網目を細かく設定し、前記底面部のネットの網目を、前記上面部及び周面部よりも粗く設定して成るゴミ収集ネット。」とあって、合理的に構成されているものの、構成された面によってネットの目の細かさを変える必要があるなど構成が複雑である。単純な構成でありながらり、確実な効果の得られるネットによる散乱防止具が望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】 特許第4041152号
【特許文献2】 特開2010−52898号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
以上のような状況から、構成がシンプルで廉価に製造でき、不使用時にはコンパクトに折りたためて保管に場所をとらず、体力のない高齢者にも扱いやすく、カラスや小動物等による生ゴミや収穫した農作物などの食い散らし散乱被害、又は強風下での軽量物飛翔散乱を防ぐための散乱防止具を開発すること。
【課題を解決するための手段】
【0007】
平面である布状体本体を二つ折りにしてできる折り線を挟んだ当該布状体本体の片方の周縁部の長さと、当該折り線を挟んだ反対側の布状体本体の周縁部の長さが同じになるように折り線を設け、当該折り線と当該布状体本体の周縁部が交差する二つの点を実質的な起点とするように二つの開閉機(スライダー)を頭合わせに有する一つの線ファスナー又は対を成す面ファスナーの両端を配し、当該線ファスナー又は面ファスナーを開いて左右に分けて当該布状体本体の周縁部に接合した散乱防止具であって、当該ファスナーを閉じて当該布状体本体を袋状と成し、当該線ファスナーを部分的に開いて開口させ、これを投入口とすることで、当該投入口を片方の端から反対側に移動させながら使用することで前記袋状の端から順に集荷物を無駄なく詰め込むことができるようにした散乱防止具を供する。
【0008】
平面である布状体本体を二つ折りにしてできる折り線を挟んだ当該布状体本体の片方の周縁部の長さと、当該折り線を挟んだ反対側の布状体本体の周縁部の長さが同じになるように折り線を設け、当該折り線を挟んで隣り合う当該周縁部どうしを当該折り線を起点として一定の長さを接合し、当該接合の終点と、当該布状体本体の周縁部と前記折り線が交差する点とを実質的な起点とするように二つの開閉機(スライダー)を頭合わせに有する一つの線ファスナー又は対を成す面ファスナーの両端を配し、当該ファスナーを開いて左右に分けて当該布状体本体の周縁部に接合した散乱防止具であって、当該線ファスナーを閉じて当該布状体本体を袋状と成し、当該ファスナーを部分的に開いて開口させ、これを投入口とすることで、当該投入口を片方の端から反対側に移動させながら使用することで前記袋状の端から順に集荷物を無駄なく詰め込むことができるようにした散乱防止具を供する。
【0009】
平面である布状体本体を二つ折りにしてできる折り線を挟んだ当該布状体本体の片方の周縁部の長さと、当該折り線を挟んだ反対側の布状体本体の周縁部の長さが同じになるように折り線を設け、当該折り線と当該布状体本体の周縁部が交差する二つの点を実質的な起点とするように、二つの開閉機(スライダー)を頭合わせに有する一つの線ファスナー又は対を成す面ファスナーの両端を配し、当該ファスナーを開いて左右に分けて当該布状体本体の周縁部に接合した散乱防止具であって、前記線ファスナーを閉じて前記布状体本体を袋状と成して前記折り線を下に位置させたとき、当該袋状の肩部の線ファスナー側近に把手を設けたことを特徴とするを供する。
【0010】
平面である布状体本体を二つ折りにしてできる折り線を挟んだ当該布状体本体の片方の周縁部の長さと、当該折り線を挟んだ反対側の布状体本体の周縁部の長さが同じになるように折り線を設け、当該折り線と当該布状体本体の周縁部が交差する二つの点を実質的な起点とするように二つの開閉機(スライダー)を頭合わせに有する一つの線ファスナー又は対を成す面ファスナーの両端を配し、当該線ファスナーを開いて左右に分けて当該布状体本体の周縁部に接合した散乱防止具であって、前記ファスナー閉じて前記布状体本体を袋状と成し、前記折り線を下に位置させたとき、当該折り線に対応する上部の線ファスナー側近に把手を列設したことを特徴とする散乱防止具を供する。
【0011】
平面である布状体本体の側部に舌片を設け、当該舌片と当該布状体本体の周縁部の双方が隣り合う周縁部どうしを接合して側壁を構成し、当該布状体本体と当該側壁上端が作る周縁部を二分する二つの点を実質的な起点とするように二つの開閉機(スライダー)を頭合わせに有する一つの線ファスナー又は対を成す面ファスナーの両端を配し、当該ファスナーを開いて左右に分けて当該布状体本体と当該側壁上端が作る周縁部に接合した散乱防止具であって、当該ファスナーを閉じて当該布状体本体を袋状と成し、当該ファスナーを部分的に開いて開口させ、これを投入口とすることで、当該投入口を片方の端から反対側に移動させながら使用することで前記袋状の端から順に集荷物を無駄なく詰め込むことができるようにした散乱防止具を供する。
【発明の効果】
【0012】
平面である布状体本体を二つ折りにしてできる折り線を挟んだ当該布状体本体の片方の周縁部の長さと、当該折り線を挟んだ反対側の布状体本体の周縁部の長さが同じになるように折り線を設け、当該折り線と当該布状体本体の周縁部が交差する二つの点を実質的な起点とするように二つの開閉機(スライダー)を頭合わせに有する一つの線ファスナー又は対を成す面ファスナーの両端を配し、当該線ファスナー又は面ファスナーを開いて左右に分けて当該布状体本体の周縁部に接合した散乱防止具であって、当該ファスナーを閉じて当該布状体本体を袋状と成し、当該線ファスナーを部分的に開いて開口させ、これを投入口とすることで、当該投入口を片方の端から反対側に移動させながら使用することで前記袋状の端から順に集荷物を無駄なく詰め込むことができるようにした散乱防止具であるため、次の効果を奏する。
【0013】
ネット等の布状体本体を二つ折りにして周縁部を線ファスナーで閉じた構造であるため、高齢者等の体力のない者にも扱いやすい。また、座ったまま扱うことができるので体力を要しない。布状体本体と線ファスナーだけで構成されるため折り畳んだときにかさばらずに保管が容易である。軽いので運搬が容易である。線ファスナーを部分的に開いて開口させ、これを投入口とし、開閉機(スライダー)の二つを片方から反対側に向かって同方向に移動させ、開口部を片方の端から反対側に移動させながら使用することができるので、ネットを閉じて袋状とした散乱防止具を、端からは隙間を作らずに無駄なく使うことができる。
【0014】
平面である布状体本体を二つ折りにしてできる折り線を挟んだ当該布状体本体の片方の周縁部の長さと、当該折り線を挟んだ反対側の布状体本体の周縁部の長さが同じになるように折り線を設け、当該折り線を挟んで隣り合う当該周縁部どうしを当該折り線を起点として一定の長さを接合し、当該接合の終点と、当該布状体本体の周縁部と前記折り線が交差する点とを実質的な起点とするように二つの開閉機(スライダー)を頭合わせに有する一つの線ファスナー又は対を成す面ファスナーの両端を配し、当該ファスナーを開いて左右に分けて当該布状体本体の周縁部に接合した散乱防止具であって、当該線ファスナーを閉じて当該布状体本体を袋状と成し、当該ファスナーを部分的に開いて開口させ、これを投入口とすることで、当該投入口を片方の端から反対側に移動させながら使用することで前記袋状の端から順に集荷物を無駄なく詰め込むことができるようにした散乱防止具であるため次の効果を奏する。
【0015】
ネット等の布状体本体を二つ折りにして周縁部を線ファスナーで閉じた構造であるため、高齢者等の体力のない者にも扱いやすい。また、座ったまま扱うことができるので体力を要しない。布状体本体と線ファスナーだけで構成されるため折り畳んだときにかさばらずに保管が容易である。軽いので運搬が容易である。線ファスナーを部分的に開いて開口させ、これを投入口とし、開閉機(スライダー)の二つを片方から反対側に向かって同方向に移動させ、開口部を片方の端から反対側に移動させながら使用することができるので、ネットを閉じて袋状とした散乱防止具を、端からは隙間を作らずに無駄なく使うことができる効果の他、袋状の端が予め接合されていることから、収集物を詰め込む際に袋状の形状が安定していると共に、袋状にして使用するという使用方法が直感的に伝わりやすく、使い方の説明が容易である。また、線ファスナーの必要量が少なくなり、コスト削減に役立つ。袋状の片側だけが接合されているため、ネットは大きく平面的に開かれて清掃がし易い。
【0016】
平面である布状体本体を二つ折りにしてできる折り線を挟んだ当該布状体本体の片方の周縁部の長さと、当該折り線を挟んだ反対側の布状体本体の周縁部の長さが同じになるように折り線を設け、当該折り線と当該布状体本体の周縁部が交差する二つの点を実質的な起点とするように、二つの開閉機(スライダー)を頭合わせに有する一つの線ファスナー又は対を成す面ファスナーの両端を配し、当該ファスナーを開いて左右に分けて当該布状体本体の周縁部に接合した散乱防止具であって、前記線ファスナーを閉じて前記布状体本体を袋状と成して前記折り線を下に位置させたとき、当該袋状の肩部の線ファスナー側近に把手を設けたことを特徴とする請求項1又は2に記載した散乱防止具であるため次の効果を奏する。
【0017】
把手を把持して引き上げると上下の関係が規定され、底部と開口部を構成する線ファスナーの位置が規定される。そのことにより、横倒しのまま使用する者がいなくなって、投入口が上に存在することから投入が容易となる。投入口が上になることで、袋状となったネットの端から無駄なく収集物を詰め込むことができる様になり、当該ネットを有効に使うことができる。ファスナーを部分的に開いて開口させ、これを投入口とし、開口部を片方の端から反対側に移動させながら使用することができるので、ネットを閉じて袋状とした散乱防止具を、端からは隙間を作らずに無駄なく使うことができる点は前記の発明と同様である。
【0018】
平面である布状体本体を二つ折りにしてできる折り線を挟んだ当該布状体本体の片方の周縁部の長さと、当該折り線を挟んだ反対側の布状体本体の周縁部の長さが同じになるように折り線を設け、当該折り線と当該布状体本体の周縁部が交差する二つの点を実質的な起点とするように二つの開閉機(スライダー)を頭合わせに有する一つの線ファスナー又は対を成す面ファスナーの両端を配し、当該線ファスナーを開いて左右に分けて当該布状体本体の周縁部に接合した散乱防止具であって、前記ファスナー閉じて前記布状体本体を袋状と成し、前記折り線を下に位置させたとき、当該折り線に対応する上部の線ファスナー側近に把手を列設したことを特徴とするであるため次の効果を奏する。
【0019】
把手を把持して引き上げると上下の関係が規定され、底部と開口部を構成する線ファスナーの位置が規定される。そのことにより、横倒しのまま使用する者がいなくなって、投入口が上に存在することから投入が容易となる。投入口が上になることで、袋状となったネットの端から無駄なく収集物を詰め込むことができる様になり、当該ネットを有効に使うことができる点は前記の発明と同様であるが、把手を列設することで、ファスナーを部分的に開いて開口させ、これを投入口とし、開口部を片方の端から反対側に移動させながら使用する際に、投入口の移動に伴って、把持する把手を順次持ち替える事ができ、常に投入口を上に位置させることができて投入を容易にすると共に開閉機の動きを滑らかにして、使い易い状体を維持できる。
【0020】
平面である布状体本体の側部に舌片を設け、当該舌片と当該布状体本体の周縁部の双方が隣り合う周縁部どうしを接合して側壁を構成し、当該布状体本体と当該側壁上端が作る周縁部を二分する二つの点を実質的な起点とするように二つの開閉機(スライダー)を頭合わせに有する一つの線ファスナー又は対を成す面ファスナーの両端を配し、当該ファスナーを開いて左右に分けて当該布状体本体と当該側壁上端が作る周縁部に接合した散乱防止具であって、当該ファスナーを閉じて当該布状体本体を袋状と成し、当該ファスナーを部分的に開いて開口させ、これを投入口とすることで、当該投入口を片方の端から反対側に移動させながら使用することで前記袋状の端から順に集荷物を無駄なく詰め込むことができるようにした散乱防止具であるため次の効果を奏する。
【0021】
平面である布状体本体の側部に舌片を設け、当該舌片と当該布状体本体の周縁部の双方が隣り合う周縁部どうしを接合して側壁を構成することから、当該舌片と布状体本体との平面時に於ける境界線が底部の端を構成するため、上部と下部とが規定され、投入口が上に位置するため使い易くなる。また、収集物を詰め込む際に袋状の形状が安定し、袋状にして使用する使用方法が直感的に伝わりやすくなり、使い方の説明が容易である。また、線ファスナーの必要量が少なくなりかつ容積が増えるためコスト削減に役立つ。袋状の片側だけが接合されているため、ネットは大きく平面的に開かれて清掃がし易い。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】 線ファスナーが開かれて平面状となった散乱防止具本体の一部断面を含む斜視図である。
【図2】 線ファスナーを閉じて袋状を成した散乱防止具本体の斜視図である。
【図3】 開口した状態の散乱防止具本体の斜視図である。
【図4】 開かれて平面状となった異形の散乱防止具本体の斜視図である。
【図5】 開口した状態の異形の散乱防止具本体の斜視図である。
【図6】 布状体本体の端部を接合することを図示した布状体本体の斜視図である。
【図7】 端部を接合し、残りの周縁部に線ファスナーを配した散乱防止具本体の斜視図である。
【図8】 肩部の線ファスナー側近に把手を設けた、開かれて平面状を呈する散乱防止具本体の斜視図である。
【図9】 肩部の線ファスナー側近に把手を設けた散乱防止具本体の斜視図である。
【図10】 線ファスナー側近に把手を列設させ、開かれて平面状となった散乱防止具本体の斜視図である。
【図11】 線ファスナー側近に把手を列設させた散乱防止具本体の斜視図である。
【図12】 布状体本体の平面状の段階にある布状体本体と舌片の斜視図である。
【図13】 布状体本体と舌片の周縁部どうしを接合して側壁を構成し、周縁部に線ファスナーを接合した散乱防止具本体の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下図に基づいて実施の形態について説明する。なお本文中に於ける布状体とはネットや不織布、シート、布等の柔軟で、ものを包むことのできる平面状のものを指す。各図に於ける線ファスナーは、対を成す面ファスナーに置き換え可能とし、二つ折りにした布状体の片方の周縁部に面ファスナーの雄部を配した場合、対応するもう片方の周縁部には雌部の面ファスナーを配するものとする。
【実施例1】
【0024】
図1は実施例1における、布状体本体1の周縁部11に線ファスナー2を接合し、線ファスナー2が開かれて平面状となった散乱防止具本体の一部断面を含む斜視図である。平面である布状体本体1を二つ折りにしてできる折り線12を挟んだ当該布状体本体1の片方にできる一の周縁部111の長さと、当該折り線を挟んだ反対側にできる布状体本体の二の周縁部112の長さが同じになるように折り線12を設け、当該折り線12と当該布状体本体1の周縁部11が交差する二つの点13を実質的な起点とするように二つの開閉機(スライダー)3を頭合わせに有する一つの線ファスナー2の両端を配し、当該線ファスナー2を開いて左右に分けて当該布状体本体1の周縁部11に接合した散乱防止具である。図に於ける断面図部分は当該布状体本体1を一部切り欠いた状態を示すものであって、布状体本体1の端部を巻き折りにして補強部15とした縁部11の構成を示すものである。
【0025】
開閉機(スライダー)3を矢印4の方向に進め、更に方向を転じて周縁部に沿って移動させると線ファスナー2が閉じられ、布状体本体1は二つ折りになって図2に於ける袋状体10(1)を形成する。構成が単純であり、収集物を取り出す際には当該線ファスナー2を開いて布状体本体1を平面とするため、内部にゴミなどが残りにくく、汚れた場合であっても、清掃が容易である。ここで言う実質的な起点とは線ファスナー2が布状体本体1を閉じて袋状と成すための作用を開始する位置であって、線ファスナーの起点とは異なる。線ファスナー2は、通常、布状体本体1の周縁部11よりも長く、あまりが出るように配される。
【0026】
図2は布状体本体1の周縁部11に接合された当該線ファスナー2の開閉機3を一ヶ所に集めることで当該線ファスナー2を閉じて袋状体10となった布状体本体1、すなわち散乱防止具本体の完成した状態を示す斜視図である。構成が単純であり、製造が容易である。収集物を取り出す際には当該線ファスナー2を開いて図1に示す如く、平面状に開く。布状体本体1は平面となるため、内部にゴミなどが残りにくく、汚れた場合であっても、清掃が容易である。
【0027】
図3は布状体本体1の周縁部11に接合された当該線ファスナー2の開閉機3を一ヶ所に集めることで当該線ファスナー2を閉じて袋状体10となった散乱防止具本体に於いて、一の開閉機31と二の開閉機32との間隔を広げることで開口部5を形成し、当該一の開閉機31と二の開閉機32の二つを当該袋状体10の片側の一の肩部141(14)から反対側の二の肩部142(14)に向かって同方向に移動しながら前記線ファスナー2を部分的に開いて開口させ、これを投入口とすることで、開口部5を当該袋状体10の片側の一の肩部141(14)から反対側の二の肩部142(14)に向かって移動させながら使用する。袋状体10の形状が横長に細長いものであっても前記袋状体10の端から順に、ゴミ袋等の集荷物6を無駄なく詰め込むことができるようになる。なお、線ファスナーを面ファスナーに置き換えた場合、当該面ファスナー上の開口したい部分を手で押し広げる事で開口部を形成し、その位置をずらしながら使用するものとする。
【0028】
図4は実施例1の異形であって、布状体本体1の周縁部11の形状をゆがめて、ひょうたん型のような周縁部の凹凸113を設けたものである。布状体本体1の周縁部11の形状をゆがめたことにより、使用時には図5の如く布状体1は立体的な凹凸101を有する袋状体10となる。当該袋状体10が小さく区分けされた状態となるため、利用者に対し、収集物を端から順にきちんと詰め込むことを促す効果が生じる。本実施例では布状体本体1の形状を折り線12を挟んで左右対称としているが必ずしもその必要はなく、左右の形状が異なっていても折り線12によって分けられた線ファスナー2の長さが左右同一であれば布状体本体1は袋状体10を形成し、散乱防止具として使用可能となる。
【実施例2】
【0029】
図6は実施例2の斜視図であって、布状体本体1を二つ折りにしてできる折り線12を挟んだ当該布状体本体1の片方にできる一の周縁部111の長さと、当該折り線を挟んだ反対側にできる布状体本体の二の周縁部112の長さが同じになるように折り線を設けた図であって、当該折り線12を挟んで隣り合う当該一の周縁部111と二の周縁部112どうしの、片側一方の一定の距離を接合することを示したものである。
【0030】
図7は前記一の周縁部111と二の周縁部112どうしの一定の距離、本図に於いては折り線12で折り合わせた側部の片側を接合したものであって、当該接合の終点114と当該布状体本体の折り線12と周縁部11が交差する点13を実質的な起点とするように一の開閉機31(3)と二の開閉機32(3)を頭合わせに有する一つの線ファスナー2の両端を配し、当該線ファスナー2を開いて左右に分け、当該布状体本体1の周縁部11に接合したものである。使用に当たっては実施例1に於ける図3と同様に一の開閉機31(3)と二の開閉機32(3)を一ヶ所に集めることで当該線ファスナーを閉じて当該布状体本体1を袋状体と成し、当該線ファスナー2の前記開閉機3の二つを当該袋状体の片側の肩部から反対側の肩部に向かって同方向に移動しながら前記線ファスナー2を部分的に開き、開口部を設けて投入口とする。周縁部11上の開口部を片方の端から反対側に移動させながら使用することで前記袋状体の端から順に集荷物を無駄なく詰め込むことができるようになる。
【実施例3】
【0031】
図8は実施例3の斜視図であって、平面である布状体本体1を二つ折りにしてできる折り線12を挟んだ当該布状体本体1の片方にできる一の周縁部111の長さと、当該折り線を挟んで反対側にできる布状体本体の二の周縁部112の長さが同じになるように折り線12を設け、当該折り線12と当該布状体本体1の周縁部11が交差する二つの点13を実質的な起点とするように二つの開閉機(スライダー)3を頭合わせに有する一つの線ファスナー2の両端を配し、当該線ファスナー2を開いて左右に分けて当該布状体本体1の周縁部11に接合し前記線ファスナーを閉じて前記布状体本体1を袋状体とし、前記折り線12を下に位置させたとき、肩部14相当位置の線ファスナー2側近に把手7を設けたことを示す斜視図である。前記布状体本体1の形状が楕円形であったり不定形であった場合に於ける肩とは、同形状に外接する4角形を想定し、上端の角の角度を二分する線と前記形状の端部との交わる点、又は、上端の角と底部中心を結ぶ線と前記形状の端部との交わる点付近にあって、前記形状の端部を支えやすい位置を指す。
【0032】
図9は布状体本体1の周縁部11に接合された当該線ファスナー2の開閉機3を一ヶ所に集めることで当該線ファスナー2を閉じて袋状体10(1)とした散乱防止具本体に於いて、一の開閉機31(3)と二の開閉機32との間隔を開けることで開口部5形成し、当該一の開閉機31と二の開閉機32(3)の二つを当該袋状体10の片側の一の肩部141(14)から反対側の二の肩部142(14)に向かって同方向に移動しながら前記線ファスナー2を部分的に開いて開口部5とし、これを投入口する点は実施例1の図3と同じであるが、把手7を矢印4の示す方向に引き上げることで折り線12が下となり、開口部5の位置が上に来るため、投入が容易となる。
【実施例4】
【0033】
図10は実施例4の斜視図であって、平面である布状体本体1を二つ折りにしてできる折り線12を挟んだ当該布状体本体1の片方にできる一の周縁部111の長さと、当該折り線を挟んだ反対側にできる布状体本体の二の周縁部112の長さが同じになるように折り線12を設け、当該折り線12と当該布状体本体1の周縁部11が交差する二つの点13を実質的な起点とするように二つの開閉機3を頭合わせに有する一つの線ファスナー2の両端を配し、当該線ファスナー2を開いて左右に分けて当該布状体本体1の周縁部11に接合し、前記線ファスナー2を閉じて前記布状体本体1を袋状体にして前記折り線12を下に位置させたとき、当該折り線12に対応する上部の線ファスナー2の側近に把手7を列設したことを示すものである。この図では把手7をパイプ状の硬質の把手70としている。
【0034】
図11は布状体本体1の周縁部11に接合された当該線ファスナー2の開閉機3を一ヶ所に集めることで当該線ファスナー2を閉じて袋状体10とした散乱防止具本体を示すものである。一の開閉機31(3)と二の開閉機32(3)との間隔を開けることで開口部5を形成し、当該一の開閉機31(3)と二の開閉機32(3)の二つを同時に、当該袋状体10の片側の一の肩部141(14)から反対側の二の肩部142(14)に向かって同方向に移動させながら、前記線ファスナー2を部分的に開いて開口部5とし、これを投入口とする。把手7を矢印4の方向に引き上げることで折り線部12が下となり、開口部5の位置が上に来るため、投入が容易となる点は実施例3の図7と同じであるが、折り線12に対応する上部の線ファスナー2の側近に把手7が列設されているため、開口部5の移動と共に引き上げる把手7も、端の把手71から反対側の把手75に向かって順次持ち替えて使用するものとする。
【0035】
把手7の数は、上部の線ファスナー2の長さに応じて適宜設けるものとするが上部の線ファスナー2の長さが例えば2mであった場合、これに対しては少なくとも3以上が適当である。この図に於いては把手7をパイプ状の硬質の把手70にしているが、把手を硬質で水分が浸透しない物質で作ることにより、汚水をはじいて衛生を保つと同時に、雨に濡れたような状態での使用に於いて利用者の不快感を和らげる効果がある。
【実施例5】
【0036】
図12は実施例5に於ける、素材が平面状になっている段階を示す斜視図であって、布状体本体1の側部に舌片8を設け、当該舌片8の周縁部81と当該布状体本体1の周縁部11とが隣り合う周縁部どうしを接合することを示したものである。当該接合により当該舌片8は図13に於ける側壁82を形成して立体的構成となる。
【0037】
図13は前記舌片8の周縁部81と前記布状体本体1の周縁部11とが隣り合う周縁部どうしを接合するすることで側壁82を構成して立体的な構成となった実施例5の斜視図である。当該立体となった布状体本体1の周縁部を二分する点131と当該側壁82の上端が作る周縁部821を二分する点822を実質的な起点とするように二つの開閉機(スライダー)3を頭合わせに有する一つの線ファスナー2の両端を配し、当該線ファスナー2を開いて左右に分け、当該布状体本体1の周縁部11と当該側壁上端が作る周縁部821に接合する。
【0038】
当該線ファスナー2の前記開閉機(スライダー)3を一ヶ所に集めることで当該線ファスナー2を閉じて当該布状体本体1を袋状体と成し、当該線ファスナー2の前記開閉機3の二つを袋状体の片側の肩部から反対側の肩部に向かって同方向に移動させ、前記線ファスナー2を部分的に開いて開口させて投入口とし、これを片側の肩部から反対側の肩部に向かって移動させながら使用することで、前記袋状体の端から順に集荷物を無駄なく詰め込むことができるようにした点は実施例1と同様である。
【0039】
上記構成の実施例5によれば、前記舌片8と布状体本体1との平面時に於ける境界線115が底部9の端91を構成するため、前記袋状体の上部と下部とが規定され、投入口が上に位置するため使い易くなる。また、上記同様に収集物を詰め込む際に、袋状体10の形状が安定して、袋状にして使用するという本発明の使用方法が利用者に直感的に伝わりやすく、使い方の説明が容易である。
【0040】
また、実施例1に比べ線ファスナー2の必要量が少なくなり、容量も増えるのでコスト削減に役立つ。前記袋状の片側だけが接合されているため、布状体1は大きく平面的に開かれて清掃がし易い。なお、前記側壁上端が作る周縁部821は当該周縁部821を二分する点822で折れて、当該折れた周縁部821どうしが向き合うが、当該折れた周縁部821どうしを縫合等によって固着しても、端部が左右に開きにくくなるという点を除けば、ほぼ同様の効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0041】
1 布状体本体
10 袋状体
101 立体的な凹凸
11 布状体本体の周縁部
111 一の周縁部
112 二の周縁部
113 周縁部の凹凸
114 接合の終点
115 舌片と布状体本体との平面時に於ける境界線
12 折り線
13 折り線と周縁部が交差する点
131 布状体本体1の周縁部を二分する点
14 肩部
141 一の肩部
142 二の肩部
15 補強部
2 線ファスナー
3 開閉機(スライダー)
31 一の開閉機
32 二の開閉機
4 矢印
5 開口部
6 集荷物
7 把手
8 舌片
81 舌片の周縁部
82 側壁
821 側壁の上端が作る周縁部
822 側壁の上端が作る周縁部を二分する点
9 底部
91 底部の端

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面である布状体本体を二つ折りにしてできる折り線を挟んだ当該布状体本体の片方の周縁部の長さと、当該折り線を挟んだ反対側の布状体本体の周縁部の長さが同じになるように折り線を設け、当該折り線と当該布状体本体の周縁部が交差する二つの点を実質的な起点とするように二つの開閉機(スライダー)を頭合わせに有する一つの線ファスナー又は対を成す面ファスナーの両端を配し、当該線ファスナー又は面ファスナーを開いて左右に分けて当該布状体本体の周縁部に接合した散乱防止具であって、当該ファスナーを閉じて当該布状体本体を袋状と成し、当該線ファスナーを部分的に開いて開口させ、これを投入口とすることで、当該投入口を片方の端から反対側に移動させながら使用することで前記袋状の端から順に集荷物を無駄なく詰め込むことができるようにした散乱防止具。
【請求項2】
平面である布状体本体を二つ折りにしてできる折り線を挟んだ当該布状体本体の片方の周縁部の長さと、当該折り線を挟んだ反対側の布状体本体の周縁部の長さが同じになるように折り線を設け、当該折り線を挟んで隣り合う当該周縁部どうしを当該折り線を起点として一定の長さを接合し、当該接合の終点と、当該布状体本体の周縁部と前記折り線が交差する点とを実質的な起点とするように二つの開閉機(スライダー)を頭合わせに有する一つの線ファスナー又は対を成す面ファスナーの両端を配し、当該ファスナーを開いて左右に分けて当該布状体本体の周縁部に接合した散乱防止具であって、当該線ファスナーを閉じて当該布状体本体を袋状と成し、当該ファスナーを部分的に開いて開口させ、これを投入口とすることで、当該投入口を片方の端から反対側に移動させながら使用することで前記袋状の端から順に集荷物を無駄なく詰め込むことができるようにした散乱防止具。
【請求項3】
平面である布状体本体を二つ折りにしてできる折り線を挟んだ当該布状体本体の片方の周縁部の長さと、当該折り線を挟んだ反対側の布状体本体の周縁部の長さが同じになるように折り線を設け、当該折り線と当該布状体本体の周縁部が交差する二つの点を実質的な起点とするように、二つの開閉機(スライダー)を頭合わせに有する一つの線ファスナー又は対を成す面ファスナーの両端を配し、当該ファスナーを開いて左右に分けて当該布状体本体の周縁部に接合した散乱防止具であって、前記線ファスナーを閉じて前記布状体本体を袋状と成して前記折り線を下に位置させたとき、当該袋状の肩部の線ファスナー側近に把手を設けたことを特徴とする請求項1又は2に記載した散乱防止具。
【請求項4】
平面である布状体本体を二つ折りにしてできる折り線を挟んだ当該布状体本体の片方の周縁部の長さと、当該折り線を挟んだ反対側の布状体本体の周縁部の長さが同じになるように折り線を設け、当該折り線と当該布状体本体の周縁部が交差する二つの点を実質的な起点とするように二つの開閉機(スライダー)を頭合わせに有する一つの線ファスナー又は対を成す面ファスナーの両端を配し、当該線ファスナーを開いて左右に分けて当該布状体本体の周縁部に接合した散乱防止具であって、前記ファスナー閉じて前記布状体本体を袋状と成し、前記折り線を下に位置させたとき、当該折り線に対応する上部の線ファスナー側近に把手を列設したことを特徴とする請求項1又は2に記載した散乱防止具。
【請求項5】
平面である布状体本体の側部に舌片を設け、当該舌片と当該布状体本体の周縁部の双方が隣り合う周縁部どうしを接合して側壁を構成し、当該布状体本体と当該側壁上端が作る周縁部を二分する二つの点を実質的な起点とするように二つの開閉機(スライダー)を頭合わせに有する一つの線ファスナー又は対を成す面ファスナーの両端を配し、当該ファスナーを開いて左右に分けて当該布状体本体と当該側壁上端が作る周縁部に接合した散乱防止具であって、当該ファスナーを閉じて当該布状体本体を袋状と成し、当該ファスナーを部分的に開いて開口させ、これを投入口とすることで、当該投入口を片方の端から反対側に移動させながら使用することで前記袋状の端から順に集荷物を無駄なく詰め込むことができるようにした散乱防止具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−101939(P2012−101939A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−260551(P2010−260551)
【出願日】平成22年11月5日(2010.11.5)
【出願人】(510309248)株式会社上総創研 (1)
【出願人】(508036983)
【Fターム(参考)】