説明

散光スクリーン

光が、ユーザーによって眺められる可能性が高くない視野角において、光の強さを減らすように構成されたリアプロジェクション表示画面に関連する様々な実施形態が開示される。開示された一実施形態は、光の1つ以上の波長に対し透過的なシート状構造を含む散光スクリーンを提供する。シート状構造は、表示面を有していて、スクリーンの表示面の水準に対し垂直方向に進む光の選択された波長の相殺的干渉を生成するように構成された拡散パターンを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は計算機スクリーンに関し、具体的には散光スクリーンに関する。
【背景技術】
【0002】
[0001]スクリーンからの光の方向を変え、所望される光の強さの空間分布を作り出すために散光スクリーンが使用される。画面上の入射光線は、画面から別の伝達媒体(例えば大気)へ移動したとき、屈折又は反射される。様々な表面トポグラフィーを有する画面を使用することによって、光がスクリーン面に対し広範囲な角度に渡って配光し異なる方向に送り出される。
【0003】
[0002]投影される画像の光を配光するために、映像装置のような散光スクリーンは、画像ソースと組み合わせられ得る。そのようなアプリケーションにおいては、多くの場合画面に対し広範な表示方向に渡って均等に光を配光することが所望される。従って、反射光のランバート配光などを作り出すための散光スクリーンがしばしば構成される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、1つ以上の光の波長を透過するシート状構造から成る散光スクリーンを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
[0003]光がユーザーによって眺められる可能性が高くない視野角において、光の強さを減らすように構成されたリアプロジェクション表示画面に関連する様々な実施形態が本明細書に開示される。例えば、開示された一実施形態は、光の1つ以上の波長に対し透過的なシート状構造を含む散光スクリーンを提供し、シート状構造は、表示面を有していて、表示面の水準に対し垂直方向に進む光の選択された波長の相殺的干渉を生成するように構成された拡散パターンを含む。
【0006】
[0004]この「課題を解決するための手段」は更に、「発明を実施するための形態」に後述される概念のいくつかを簡易化した形式で紹介するために提供される。この「課題を解決するための手段」は、請求対象項目の重要な機能も本質的な特徴も特定するように意図されておらず、請求対象項目の範囲を限定するために利用されることも意図されない。更に、請求対象項目は、この開示の任意の一部に記述した不都合点のいくつか又はすべてを解決する実装に限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】[0005]散光スクリーンの実施形態を含む対話型表示装置に関する実施形態のブロック図を示している。
【図2】[0006]通常の利用中、ユーザーによって眺められる図1の対話型表示装置から放射される光の空間的範囲内の図的描写を示している。
【図3】[0007]拡散パターンを有する表示面を含む表示画面の実施形態を拡大した平面図を示している。
【図4】[0008]図3の実施形態の断面図を示している。
【図5】[0009]拡散パターンを有する表示面を含む表示画面の別の実施形態を拡大した平面図を示している。
【図6】[0010]図5の実施形態の断面図を示している。
【図7】[0011]別の表示画面の実施形態を示している。
【発明を実施するための形態】
【0008】
[0012]前述したように、映像表示システム用の多くの散光スクリーンは、ランバート光又はその他の比較的一定の透過光又は反射した光の配光を作り出すように構成される。これは、多くのアプリケーションにおいて、映像が広範囲な視野角に渡って同様の明るさを有することが望ましい理由による。特定の例として、垂直に方向付けられる表示画面を有するリアプロジェクションテレビは、テレビの正面に潜在的に座る場合がある見る人に対し、広範囲な角度に渡って同様の光の強さの画像を提供するように構成される散光スクリーンを有する。
【0009】
[0013]しかしながら、別のアプリケーションにおいては、表示画面が水平方向に方向付けられ得る。例えば、いくつかの対話的計算装置は、ユーザーが座った近くのテーブル面と同様に水平に向けられたリアプロジェクション画面を有するように構成され得る。そのような機器のユーザーは、そのような表示画面を表示画面表面に対し主に斜めに眺めるので、画面に対し垂直方向に投影される光は、そのような機器の近くに着席した見る人に到達せず、従って無駄になる。
【0010】
[0014]そのような無駄な光を減らすことが、様々な利点をもたらし得る。例えば、比較的により明るいところでは、アーク灯のようなより高電力の光源が使用されていて、そのような無駄な光を減らすことが、より効率的な電力利用をもたらす。同様に、比較的により薄暗いところでは、LEDアレイのような、より低電力の光源が使用されていて、そのような無駄な光を減らすることが、より多くの光が見る人に向けられることを可能にし、その結果、表示によって知覚される明るさを改善する。
【0011】
[0015]それ故に、光がユーザーによって眺められる可能性が高くない視野角において、光の強さを減らすように構成されたリアプロジェクション表示画面に関連した様々な実施形態を本明細書に開示する。これらの実施形態を詳細に論述する前に、水平表示画面を利用する装置に関する例を説明する。
【0012】
[0016]図1は、表面計算システム(10)形式の対話型表示装置の実施形態に関する図的描写を示している。表面計算システム(10)は、画像ソース(12)を有する映像表示システム及び画像が投影される表示画面(14)を含む。画像ソース(12)は、表示画面(14)上に画像を投影可能な背面投影機であり得る。画像ソース(12)は、示されている広帯域光源アーク灯(16)のような光源(16)、3色(例えば三原色)の光を放射するように構成された複数のLED、及び/又はその他適切な任意の光源などを含み得る。画像ソース(12)は、示されているLCD(液晶表示)、LCOS(エルコス:liquid crystal on silicon)表示、DLP(digital light processing)表示、又はその他適切な任意の画像を生成するエレメントのような画像生成エレメント(18)も含み得る。
【0013】
[0017]表示画面(14)は、本明細書において、透明な透過部(20)全域に配置される、散光スクリーンレイヤ(22)として参照されるガラスシート及び散光板シート状の透明な透過部(20)を含み得る。実施形態の中には、円滑に動くルックアンドフィールを表示画面に提供するための(示されていない)付加的な透明レイヤが、散光スクリーンレイヤ(22)上に配置され得るものもある。このように透過部(20)及び散光スクリーンレイヤ(22)は、表示画面(14)の接触感知領域の非限定的な例を形成し得る。散光スクリーンレイヤは、透明な透過部(20)から分離した一部か、又は透明な透過部(20)の表面に形成され得るか、又は別にそれと統合され得るか、どれか一方であり得ることが理解されよう。
【0014】
[0018]図1を続けると、表面計算システム(10)は更に、論理サブシステム(24)及び論理サブシステム(24)と作動可能に接続されたデータ保持サブシステム(26)を含み得る。表面計算システム(10)は、別の機器と通信するように構成された無線送信機及び受信機のような(示されていない)ユーザー入力装置を含み得る。
【0015】
[0019]表示画面(14)と接触しているオブジェクト又は近くのオブジェクトを感知するための表面計算システム(10)は、表示画面(14)の背面画像をキャプチャし、論理サブシステム(24)に画像を提供するように構成された1つ以上の画像キャプチャ装置(例えば、センサー(28)、センサー(30)、センサー(32)、センサー(34)、及びセンサー(36))を含み得る。散光スクリーンレイヤ(22)は、表示画面(14)と接触していないオブジェクト又は数ミリメートル範囲内か若しくはその他適切な距離の範囲内に位置付けられているオブジェクトの画像化を減らすか又はそれを回避する役割を果たし得、従って、表示画面(14)に接触しているオブジェクトが画像キャプチャ装置によって検出されることを少なくとも保証する支援をする。開示された実施形態が、視覚に基づくマルチタッチ表示システムの文脈で記載されているが、実施形態が、容量性及び抵抗性システムを含むがこれらに限定しないその他適切な任意の接触検知型表示システム上に実装され得ることを理解されよう。
【0016】
[0020]画像キャプチャ装置は、適切な任意の画像感知機構を含み得る。適切な画像感知機構の例は、CCD及びCMOSイメージセンサーを含むがこれらに限定しない。更に、画像感知機構は、表示画面(14)全域に渡ってオブジェクトの動作を検出するための十分な周波数又はフレームレートで表示画面(14)の画像をキャプチャし得る。別の実施形態において、表示画面(14)の画像を取得するための走査型レーザーが、適切な光線検出器と組み合わせて利用され得る。表示画面(14)は、代替か又は更に、有線又は無線接続(38)を介し接触入力を論理サブシステムへ伝達し得る任意の容量性、抵抗性、又は別の電磁性の接触感知機構を含み得る。
【0017】
[0021]画像キャプチャ装置は、赤外線及び可視光線の波長を含むがこれらに限定しないその他適切な任意の波長の反射エネルギー又は放射エネルギーを検出するように構成され得る。表示画面(14)上に配置されるオブジェクト検出の支援をするための画像キャプチャ装置は更に、1つ以上の発光ダイオード(LED)のような発光体を含み得る。図1は、赤外光を作り出すように構成された赤外線光源(40)及び赤外線光源(42)を示している。発光体からの光が表示画面(14)と接触しているオブジェクト又は近くのオブジェクトによって反射され得、その後、画像キャプチャ装置によって検出され得る。可視光線LEDと対照的な赤外線LEDの利用が、表示画面(14)上の映像の外観を不鮮明にすることを回避する支援をし得る。
【0018】
[0022]例の中には、赤外線光源(90)及び/又は赤外線光源(42)のうち1つ以上が、表面計算システム(10)内部の適切な任意の位置に位置付けられ得るものもある。図1の例において、赤外線光源(42)が、表示画面(14)の面に沿って配置され得る。この位置において赤外光源からの光が、内部反射を介し表示画面(14)を通って進み得るが、表示画面(14)上のオブジェクトによって反射するためにいくらかの光が表示画面(14)から漏れ得る。別の例においては、赤外線光源(40)が表示画面(14)下に配置され得る。
【0019】
[0023]指、スタイラス、携帯電話、カメラ、別の携帯用電子家電、バーコード、及びその他の光学的読込み可能なタグなどを含むが、これらに限定しないその他適切な任意のオブジェクトを検出するための表面計算装置(10)が利用され得ることを理解されよう。
【0020】
[0024]図2は、表面計算装置のユーザー(200)に関する利用環境を示している。表面計算装置(10)は、既に説明した水平配向の表示画面(14)を支援している筺体(220)を含む。表示画面(14)は、表面計算装置(10)のユーザーに向かって外側に面している表示面(230)を有するシート状構造を含む。前述したように、表示面は、散光スクリーンレイヤ(22)の表面を含み得、及び/又は散光スクリーンレイヤ(22)上に配置される透過的かつ平らなレイヤを含み得る。本明細書において、用語「表示面」も使用され得、散光スクリーンレイヤ(22)の表面が表示画面(14)の実際に最も外側の面であるか否かに関係なく、利用中、見る人に面する散光スクリーンレイヤ(22)の表面を説明している。
【0021】
[0025]前述したように透過光の強さに関するランバート配光を用いた散光スクリーンの利用は、表面計算装置(10)に座っているユーザー(200)によって通常、眺められない方向に沿った透過光をもたらし得る。従って、散光スクリーンレイヤ(22)は、そのような散光スクリーンを含み得、光源からそのような方向に沿って、可視光線の選択された波長の相殺的干渉を生成するように構成され得る。
【0022】
[0026]示した実施形態において、例えば、ランバート散光スクリーンが表面計算装置(10)の散光スクリーンレイヤ(22)として使用された場合、表示面(230)を介した放射光及び/又は透過光の大部分が、表示画面(240)及び/又は表示面(230)面に対し垂直方向に(すなわち方向Nに沿って)映し出される。しかしながら、図2に示したように、ユーザー(200)は、斜めに向いた角度Vの範囲内で表示画面(14)に表示される画像を見がちである。従って、垂直方向Nに沿って方向付けられた光は、角度Vの範囲で方向付けされた光ほど有用でない。
【0023】
[0027]それ故に、表面計算装置(10)のユーザーによって通常、眺められない垂直方向の透過光量を減らすために、散光スクリーンレイヤ(22)は、表示面(230)の面に対し垂直方向Nに進む光の選択された波長の相殺的干渉を生成するように構成された拡散パターンを含み得る。
【0024】
[0028]表示面(230)の拡散パターンは、画像ソースの特質に従って構成され得る。例えば、画像ソースがアーク灯を含むとき、拡散パターンは、光の波長の分布の全域に渡って、例えば、520ナノメートル(nm)と590nmとの間の波長を有する緑色の光のピークに集中する相殺的干渉を生成するように構成され得る。更なる例において、画像ソースが複数のLEDを含むとき、拡散パターンは、3色(例えば、赤、緑、及び青)に対応する3つの光の波長それぞれの近くにおいて相殺的干渉を生成するように構成され得る。
【0025】
[0029]また更に、拡散パターンは、様々な角度(例えば角度範囲V)の範囲内の可視光線の1つ以上の波長に対し建設的干渉を生成することによって、画像の建設的干渉を生成するように構成され得る。実施形態の中には、角度範囲が、第1の角度から第2の角度(例えば表示面(230)から15度〜75度)の分布であり得るものもあって、最大の強さが所望される角度付近に集中され得るものもある。特定の一実施形態において、角度範囲は、表示面(230)から最大51度の角度に集中する極大値分布又はベル分布であり得る。代替構成において、角度範囲及び散光パターン構成が、例えば、ユーザーの予測位置、表面(230)の構成及び向きなどに従って変化し得、相殺的干渉及び建設的干渉が表示面水準に対し相対的に適切な任意の角度で生成され得ることを理解されよう。
【0026】
[0030]散光スクリーンレイヤ(22)は、表示面水準に対し垂直方向に進む光の選択された波長の相殺的干渉を生成するように構成された適切な任意の構造を有し得る。実施形態の中には、例えば、拡散パターンが、複数のパターンエレメントを含み得るものもある。回折エレメント及び/又は表示面トポグラフィーエレメントを含むがこれらに限定しない様々な機構によって、方向Nに沿って相殺的干渉を生成するためのパターンエレメントが配置され得る。実施形態の中には、拡散パターンが、スクリーンと大気、又は異なる2つ以上の画面材料など2つの異なる光学屈折率の媒体間境界に存在するテラストポグラフィーを含み得るものもある。実施形態の中には、更に、拡散パターンが、表示画面(240)のシート状構造の内部に形成され得るか又はその内部に埋め込まれ得るものもあるが、別の実施形態において、拡散パターンが、表示面(230)上又は表示面の反対側の散光スクリーンレイヤ(22)表面上に形成され得るものもある。そのような実施形態の更なる例を以下、本明細書に説明する。
【0027】
[0031]図3は、散光スクリーンに形成される拡散パターン(300)の実施形態例を示している。拡散パターン(300)は、散光スクリーンの表示面に形成され、表示面トポグラフィーを形成する複数のパターンエレメントを含む。パターンエレメント(310)それぞれは、可視光線の選択された波長の半分に可視光線の選択された波長の整数倍を加えたものに相当する、表示面水準に対し垂直方向の距離分だけ分離された第1のテラス(320)及び第2のテラス(330)を含む。(例えば、相殺的干渉が単一波長に集中される)実施形態の中には、それぞれのパターンエレメント(310)が同一の分離距離を有し得るものもある。別の(例えば、相殺的干渉が一波長よりも大きい付近に集中した)実施形態において、異なるパターンエレメント(310)は、異なる分離距離を有するテラスを含み得る。
【0028】
[0032]パターンエレメントそれぞれは、適切な任意の大きさを有し得る。例えば、利用中、画面から平均のビューイング距離に座って、ビューを眺めることができないほど、十分に小さなサイズのパターンエレメントを有することが望まれ得る。実施形態の中には、個々のパターンエレメントが、0.1ミクロンと0.4ミクロンとの間の形状(312)を有し得るものもある。別の実施形態は、この範囲よりも、より大きな形状又はより小さな形状を有し得る。
【0029】
[0033]第2のテラスに対する第1のテラスの位置及び空間的配置は、(図3に示されているように)上から下に向かって眺められたとき、エレメントそれぞれに対し擬似的に不規則な配列に変化し得る。代替として、単一エレメントが繰り返してパターン化され得、周期的配列を作り出す。また更に、エレメントそれぞれの第2のテラスに対する第1のテラスの位置は、別の拡散パターンエレメントすべてに影響されずに決定され得、パターンは不規則に配置される。図3は、直線的に形成されたテラスを示しているが、本開示に従ったパターンエレメントが、多角形、楕円形、円形、多曲線、及び/又はその組み合わせを含むがこれらに限定しないその他適切な任意の形状を有することを理解されよう。曲線パターンエレメントの利用は、散光スクリーンを介した透過光において、周期的効果を回避することを支援し得る。
【0030】
[0034]第1のテラス(320)及び第2のテラス(330)は、適切な任意の相対的な表面積を有し得る。例えば、実施形態の中には、第1のテラス(320)の表面積が、第2のテラス(330)の表面積と等しいものもある。別の実施形態において、第1のテラス(320)及び第2のテラス(330)は、達成される相殺的干渉の所望した大きさに従った異なる表面積を有し得る。実施形態の中には、更に、第1のテラス(330)すべての表面積の合計が、第2のテラス(320)のすべての表面積の合計と等しい場合があるが、別の実施形態においては、これらの合計が等しくない場合もある。
【0031】
[0035]ここで図4に移ると、図3の概略図が提供している実施形態が示されている。第1のテラス(320)は、相殺的干渉が所望される光の波長の半分の遷移部の高さを有する遷移部分(transition)(450)だけ第2のテラス(330)から分離されて示されている。示した遷移部(450)は、垂直方向に対して実質的に平行な段を含む。別の実施形態において、代替として遷移部は、垂直方向に平行でない傾斜をテラスの間に含み得る。
【0032】
[0036]表示面例に対し垂直に進む光(460)が、第1のテラス(320)及び第2のテラス(330)を介し透過される。選択された波長を有する位相(464)を持つ第1の光線(462)の例が示されている。選択された波長を有する位相(468)を持つ第2の光線(466)の例が示されている。2つの光線の位相は、例えば、点線(480)に沿って加えると0になる。遷移部の高さが、所望した波長が前述した方法で所望される波長で相殺的干渉を被るように調整され得る。このように拡散パターンは、表示面に対し垂直に進む光の選択された波長の光に対する相殺的干渉を生成し得る。更に、そのようなパターンは、見る人の方向に建設的干渉も生成し得、その結果、見る人に対し見かけ上の光の強さも増大し得る。
【0033】
[0037]図5は、散光スクリーンに対する別の拡散パターンの実施形態を示している。図3〜4の実施形態に関する拡散パターン(500)は、表示面トポグラフィーを形成する複数のパターンエレメント(510)を含むシート状構造の表示面例に形成される。パターンエレメント(510)それぞれは、第1のテラス(520)、可視光線の選択された波長の半分及び可視光線の選択された波長の整数倍に加えたものに相当する距離分だけ第1のテラス(520)から分離された第2のテラス(530)、及び可視光線の選択された波長の整数倍に対応する距離分、第2のテラスから分離された第3のテラス(540)を含む。上記、図3の説明と同様に、それぞれのエレメントは、同一の分離距離を有し得るか、又は波長若しくは相殺的干渉は、所望されている波長に従った異なる分離距離を有し得る。更に、図3の文脈で前述したように、パターンエレメント(510)は、0.1ミクロンと0.4ミクロンとの間の大きさを含むがこれに限定しない適切な任意の形状(512)を有し得る。
【0034】
[0038]第2及び第3のテラスに対する第1のテラスの位置(同様に第1及び第3に対する第2のテラス位置)は、(図5に示されているように)上から下に向かって眺めたとき、エレメントが擬似的に不規則な配置を形成し得るようにパターンエレメントそれぞれに対し変化し得る。代替として、単一パターンエレメントの配置が散光スクリーン全域に渡って繰り返され得、周期的配列を作り出す。また更に、第2のテラスに対する第1のテラス(及び同様に第3のテラスと関連する第2のテラス)の位置は、別の拡散パターンエレメントすべてに影響せずに、エレメントそれぞれに対しするパターンが不規則に配置されるように決定され得る。更に、図3に関して前述したように、図5は、直線的な形状のテラスを示しているが、別の実施形態において、テラス及びエレメントそれぞれはその他適切な任意の形状を有し得る。
【0035】
[0039]第1のテラス(520)、第2のテラス(530)、及び第3のテラス(540)は、適切な任意の相対的な表面積を有し得る。実施形態の中には、例えば、第1のテラス(520)と第3のテラス(540)との表面積の合計が、第2のテラス(530)の表面積と等しいものもある。別の実施形態において、第1のテラス(520)、第2のテラス(530)、及び第3のテラス(540)の相対的な表面積は、所望されている相殺的干渉の大きさに従ったその他適切な任意の値を有し得る。同様に、実施形態の中には、散光スクリーン全域に渡って第1のテラス(520)と第3のテラス(540)すべての表面積の合計が、第2のテラスすべての表面積の合計と等しい場合があるが、別の実施形態において、これらの合計が等しくない場合もある。
【0036】
[0040]ここで図6に移ると、図5の概略図が提供している実施形態が示されている。第1のテラス(520)は、選択された波長の例の半分の遷移部の高さを有する遷移部(650)分だけ第2のテラス(530)から分離されて示されている。更に、第3のテラス(540)は、選択された波長の1つ分、第1のテラス(520)から分離され、選択された波長の半分だけ第2のテラス(530)から分離されて示されている。第3のテラスは、第2の遷移部(652)分だけ第2のテラスから分離されている。
【0037】
[0041]示されている遷移部(650)及び(652)は、垂直方向に対し実質的に平行な段を含む。別の実施形態においては、遷移部が垂直方向に対し平行でないテラス間に傾斜を含み得る。また更に例の中には、遷移部(650)及び(652)が、このような例の拡散パターンを更に無作為に選び、異なる波長に対応し得るものもある。
【0038】
[0042]図6を続けると、表示面の例に対し垂直に進む光(660)が、第1のテラス(520)、第2のテラス(530)、及び第3のテラス(540)を介し透過される。選択された波長を有する位相(664)を持つ第1の例の光線(662)が示されている。選択された波長を有する位相(668)を持つ第2の例の光線(666)が示されている。選択された波長を有する位相(672)((664)と同一位相)を持つ第3の例の光線(670)が示されている。位相(672)及び(662)は、点線(680)などに沿って、位相(668)の対照的である。このように拡散パターンは、表示面に対し垂直に進む光の選択された波長の光に対する相殺的干渉を生成し得る。更に、そのようなパターンは、見る人に向かった方向にも建設的干渉を生成し得、その結果、見る人に見かけ上の光の強さを増大する。
【0039】
[0043]第1、第2、及び第3のテラスが、示した実施形態において、空間的に連続しているように示されているが、別の実施形態において、これらの構造は、空間的に連続しない場合がある。例えば、第2のテラス(すなわち中間的な高さを有するテラス)が第1のテラスから第3のテラスよりもっと遠い場合がある。
【0040】
[0044]前述したスクリーントポグラフィーは、適切な任意の方法で形成され得る。一実施形態において、例えば、このようなテラストポグラフィーは、例えば、ガラスの固形化処理、又は重合化、架橋結合、及び/又はポリマーの固形化処理中の光学原材料をローラーで延ばすことによって形成され得る。更に、このようなトポグラフィーもまた鋳造、様々な成形技術、エッチング加工など介し形成され得る。
【0041】
[0045]図3〜6を参照し説明したトポロジーは、散光スクリーン表示面に形成され得るか又は見る人から見て外方に向いた散光スクリーン表面上に形成され得る。実施形態の中には更に、例えば、第1の材料シートの表面において干渉を誘発する破壊的散光トポロジーを形成し、その後、第1のシート材料の散光面の別の材料シート若しくはレイヤを適用又は形成することによって、トポロジーが散光スクリーンに対し内部的に形成され得るものもある。散光に関し所望される視覚効果をもたらす適切な屈折率を有する別の材料が選択されることを理解されよう。更に、前述したもの以外の表示画面に対し垂直方向の相殺的干渉を生成するための別の構造が、散光スクリーンに使用され得ることを理解されよう。例えば、回折格子は、選択された可視光線波長又は相殺的干渉が集中される波長に対し、例えば透過的でない適切な材料を用いた格子パターンを散光スクリーン上に印刷することを介し形成され得る。
【0042】
[0046]本明細書において、水平リアプロジェクション表示システムの文脈で開示されているが、本明細書に記載した散光スクリーンが適切な反射投影システムを用いるか、及び/又は縦形スクリーンを含むがこれに限定しないその他適切な任意の角度で方向付けられた画面を有する表示システムを用いて使用され得ることを理解されよう。
【0043】
[0047]図7は、散光表示画面(700)の例を示していて、前述した散光スクリーンと様々な組み合わせによって使用され得るいくつかの任意構造を例示している。表示画面(700)は、ガラスシート又は硬い透明のプラスティックのような散光スクリーンレイヤ(702)及び透過支援構造(704)を含む。散光スクリーンレイヤ(702)は、前述したような表示面の水準に対し垂直方向に進む光の選択された波長の相殺的干渉を生成するように構成された第1の散光板(706)を含む。散光スクリーンレイヤは、任意に、前述の(示されていない)第1の散光板又は(図7に示されるような)第1の散光板どちらか一方に位置付けられた第2の散光板(708)も含み得る。第2の散光板は、画面を通過する付加的な光の均質化を提供するように構成され得る。
【0044】
[0048]散光スクリーンレイヤ(702)は、更に任意に、散光板(706)の下に位置付けられるレンチキュラーレンズアレイ(710)を含み得、外乱光を受け入れない支援をし、画像コントラストを改善し得る。実施形態の中には、マイクロレンズアレイが、レンチキュラーレンズアレイに置換するか又はそれに追加し使用され得るものもある。様々な実施形態において更に、表示画面システム(700)は任意に、フレネルレンズ構造(712)、反射防止膜(714)、及び/又はその他適切な任意の構造も含み得る。
【0045】
[0049]本明細書において特定の実施形態例の文脈で開示されているが、本明細書に記載された構成及び/又はアプローチは、実際は、例示的であって、多くの変形があり得るので、これらの特定の実施形態又は例が限定した意味で考えられないことが十分に理解されよう。本開示の対象項目は、本明細書に開示した様々なプロセス、システム、及び構成、並びにその他の特徴、機能、動作、及び/又は特性に関する新規的な自明でない組み合わせ及び部分的な組み合わせすべて、並びにその同等物のいくつか及びすべてを含む。
【符号の説明】
【0046】
10 表面計算システム
12 画像ソース
14 表示画面
16 光源
18 画像生成エレメント
20 透過部
22 散光スクリーンレイヤ
24 論理サブシステム
26 データ保持サブシステム
28 センサー
30 センサー
32 センサー
34 センサー
36 センサー
38 有線又は無線接続
40 赤外線光源
42 赤外線光源
200 表面計算装置の利用者
220 筺体
230 表示面
300 パターン
310 パターンエレメント
312 パターンエレメント形状
320 第1のテラス
330 第2のテラス
450 遷移部
460 光
462 第1の光線
464 位相
466 第2の光線
468 位相
480 点線
500 拡散パターン
510 パターンエレメント
512 パターンエレメント形状
520 第1のテラス
530 第2のテラス
540 第3のテラス
650 遷移部
652 遷移部
660 光
662 光線
664 位相
666 光線
668 位相
670 光線
672 位相
680 点線
700 散光表示画面
702 散光スクリーンレイヤ
704 透過支持構造
706 第1の散光板
708 第2の散光板
710 レンズアレイ
712 フレネルレンズ構造
714 反射防止膜

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光の1つ以上の波長に透過的なシート状構造(14)であって、前記シート状構造が、表示面(230)を有していて、前記表示面(230)の面に対し垂直方向(N)に進む光の選択された波長の相殺的干渉を生成するように構成された拡散パターン(300)を含むもの、
を含むリアプロジェクション表示画面。
【請求項2】
前記拡散パターンが、不規則に配置されることを特徴とする請求項1記載のリアプロジェクション表示画面。
【請求項3】
前記拡散パターンが、疑似的に不規則に配置されることを特徴とする請求項1記載のリアプロジェクション表示画面。
【請求項4】
前記拡散パターンが、周期的に配置されることを特徴とする請求項1記載のリアプロジェクション表示画面。
【請求項5】
前記拡散パターンが、回折格子を含むことを特徴とする請求項1記載のリアプロジェクション表示画面。
【請求項6】
前記拡散パターンが、前記シート状構造に埋め込まれることを特徴とする請求項1記載のリアプロジェクション表示画面。
【請求項7】
前記拡散パターンが、前記シート状構造の前記表示面に形成されることを特徴とする請求項1記載のリアプロジェクション表示画面。
【請求項8】
筺体(220)と、
前記筺体(220)と接続される表示画面(14)であって、前記表示画面(14)は表示面(230)及び散光スクリーンレイヤ(22)を含み、前記散光スクリーンレイヤ(22)はパターン(300)を含み、前記パターン(300)は可視光線の選択された波長の半分に前記可視光線の選択された波長の整数倍を加えたものに相当する距離分だけ分離された第1のテラス(320)及び第2のテラス(330)をそれぞれ含む複数のパターンエレメント(310)を含み、前記パターン(300)は前記表示面(230)に対し垂直方向(N)に可視光線の前記選択された波長の相殺的干渉を生成するように構成されたものと、
前記筺体(230)内部に配置され、前記表示画面(14)上に画像を投影するように構成された画像ソース(14)と、を含む表示システム(10)。
【請求項9】
前記パターンが更に、緑色の光のピークに集中する分布全域に渡って相殺的干渉を生成するように構成されていて、前記緑色の光のピークが、520ナノメートルと590ナノメートルとの間の波長を有することを特徴とする請求項8記載の表示画面。
【請求項10】
前記パターンが更に、3色に対応する光の3つの波長の周りにおいて相殺的干渉を生成するように構成されることを特徴とする請求項8記載の表示画面。
【請求項11】
前記パターンが更に、テラスの間の遷移部を含んでいて、前記遷移部が、前記垂直方向に対し実質的に平行な段を含むことを特徴とする請求項8記載の表示画面。
【請求項12】
前記パターンが更に、テラスの間の遷移部を含んでいて、前記遷移部が、前記垂直方向に対し平行でないテラス間の傾斜を含むことを特徴とする請求項8記載の表示画面。
【請求項13】
前記第1のテラスの表面積が、前記第2のテラスの表面積と等しいことを特徴とする請求項8記載の表示画面。
【請求項14】
前記距離が第1の距離であって、パターンエレメントそれぞれが更に、可視光線の選択された波長の整数倍に対応する第2の距離分だけ前記第1のテラスから分離された第3のテラスを含むことを特徴とする請求項8記載の表示画面。
【請求項15】
第1のテラスの表面積と前記第3のテラスの表面積との合計が、前記第2のテラスの表面積と等しいことを特徴とする請求項14記載の表示画面。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2012−517026(P2012−517026A)
【公表日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−548047(P2011−548047)
【出願日】平成22年1月15日(2010.1.15)
【国際出願番号】PCT/US2010/021268
【国際公開番号】WO2010/088078
【国際公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【出願人】(500046438)マイクロソフト コーポレーション (3,165)
【Fターム(参考)】