説明

整列搬送装置

【課題】対象物の姿勢を常に安定姿勢に維持したまま、整列供給装置から搬送装置へと受け渡すことができる整列搬送装置を提供する。
【解決手段】対象物を一列に整列させて搬出部23から搬出する整列供給装置10と、整列供給装置10により整列された対象物が載置される2つの突条部32を備えた搬送ベルト31によって対象物を搬送する搬送装置30と、整列供給装置10から搬出された対象物Tを前記搬送装置30へと受け渡す受渡板50と、前記搬送装置30により搬送されている対象物に対して検査を実行する検査装置60とを備える。受渡板50は、その先端部から下方に傾斜するように延設された舌片部51を備え、この舌片部51は、その下端が突条部32の上面より下方に位置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対象物を一列に整列させて搬送する整列搬送装置であって、更に詳しくは、対象物が整列供給装置から搬送装置へ受け渡されるように構成された整列搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
前記整列搬送装置は、錠剤などの対象物を整列装置により一列に整列させて、搬送装置により整列状態を維持させたまま搬送することができる装置であり、例えば、対象物の形状等を検査するための検査装置を別途設置することで、対象物を搬送させつつ様々な検査を実行することができる。
【0003】
このような整列搬送装置として、従来、例えば、特開平8−168727号公報に開示されたものが知られている。
【0004】
図6に示すように、この整列搬送装置70は、対象物Tを整列させるフィーダ71と、整列させた対象物Tを搬送するベルトコンベア75と、対象物Tの表面を検査する検査装置79などからなる。フィーダ71は、水平回転自在に設けられたターンテーブル72と、このターンテーブル72上に設けられ、対象物Tを整列させるための整流翼73と、整列させた対象物Tをベルトコンベア75に送り出すための送出口74とが設けられている。ベルトコンベア75は、その長さ方向にスリット76が形成され、対象物Tが載置される搬送面を備えた2本一対の搬送用ベルト77が、送出口74の下方に位置するようにスリット76の両側に設けられている。また、スリット76の下方には負圧手段により負圧にされる負圧室78が形成されている。
【0005】
この整列搬送装置70によれば、ターンテーブル72上に投入された対象物Tは、ターンテーブル72の回転と整流翼73との協働作用によって一列に整列され、送出口74の先端部から搬送用ベルト77上に搬出される。そして、搬送用ベルト77上に搬出された対象物Tは、スリット76を介して作用する負圧室78の吸引作用により搬送用ベルト77上に吸着された状態で搬送され、その搬送過程で検査装置79により検査される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平8−168727号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
図7(a)は、図6におけるF部を拡大した拡大図であり、同図7(b)は、(a)における矢視G−G方向の断面図であるが、(b)に示すように、上記従来の整列搬送装置70では、送出口74を構成する底板74aが所定の厚みを有し、更に、底板74aの下面と搬送用ベルト77の上面とが接触しないようにこれらの間に所定の隙間を設けていることから、必然的に、底板74aの上面と搬送用ベルト77の上面との間に大きな段差dが存在している。
【0008】
このため、図8に示すように、対象物Tは、送出口74上を移動しているときには、底板74aの上面によって安定した状態で支持されているが、送出口74の先端部から搬出された後、搬送用ベルト77の上面に受け渡されるまでの間については、これを安定して支持するものが無いため、極めて不安定な状態となっている。
【0009】
従って、送出口74から搬送用ベルト77の上面に載り移るまでの受け渡し過程で振動などの外乱を受けると、対象物Tは、当該外乱によってその搬送姿勢が乱され、乱された姿勢、例えば、前後方向に傾いた姿勢や左右方向に傾いた姿勢で搬送用ベルト77上に受け渡され、当該搬送用ベルト77上に吸引されることになる。この整列搬送装置70では、ターンテーブル72や搬送用ベルト77を駆動する駆動機構が備えられており、このような外乱振動を生じ易い。また、対象物Tは、搬送用ベルト77上に移載される際の衝撃でその姿勢が乱れることもある。
【0010】
斯くして、対象物Tが、このように乱れた姿勢で搬送用ベルト77上に移載され、当該搬送用ベルト77上に吸引されて搬送されると、前記検査装置79によって正確な検査を行うことができないという問題を生じる。
【0011】
本発明は、以上の実情に鑑みなされたもので、対象物を安定した姿勢で、整列装置から搬送装置に受け渡すことができる整列搬送装置の提供を、その目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するための本発明は、
複数の対象物を一列に整列させて搬出部から搬出する整列供給装置と、
前記搬出部より下方に位置する一又は複数の無端環状の搬送ベルトを具備したベルト搬送機構を備え、該ベルト搬送機構は前記搬送ベルトによって形成される2本の平行な環状の突条部を有し、前記整列供給装置から搬出された対象物を前記搬送ベルトの突条部上に載置した状態で搬送する搬送装置と、
基部が前記整列供給部の搬出部に連接されるとともに、先端部が前記搬送ベルトの上方に延設され、前記整列供給装置から搬出された対象物を前記搬送ベルトの突条部に受け渡す受渡板とから構成される整列搬送装置において、
前記受渡板は、その先端部から下方に傾斜するように延設された舌片部を備えるとともに、該舌片部の下端は、前記突条部上面より下方の、該突条部間に位置していることを特徴とする整列搬送装置に係る。
【0013】
本発明によれば、まず、複数の対象物が整列供給装置により一列に整列されて順次搬出部から受渡板へと搬出される。ついで、受渡板に搬出された対象物は、当該受渡板上を移動した後、搬送ベルト上に載り移り、前記ベルト搬送機構によって搬送される。その際、前記受渡板が、その先端部から下方に傾斜するように延設された舌片部を備え、当該舌片部の下端が、搬送ベルトの突条部上面より下方の、当該突条部間に位置するように設けられているので、対象物は、常にこの舌片部上面に接触し、これに支えられた状態で下方に移動して前記2本の突条部上に移載される。
【0014】
このように、本発明によれば、整列した対象物を順次受渡板から2本の突条部上に受け渡すその過程において、当該対象物を受渡板の舌片部により常に支持するようにしているので、例え外乱が生じたとしても、当該対象物を安定した姿勢で前記突条部上に受け渡すことができ、搬送装置によって搬送される対象物の姿勢を所定姿勢の安定したものにすることができる。
【0015】
また、前記整列搬送装置は、前記受渡板の上方に、該受渡板上の対象物の進行方向に沿って設けられて、該対象物の移動を案内する3つのガイド部材であって、前記対象物が通過可能な間隔で相互に対峙するように設けられて、前記対象物の進行方向に対する左右方向の移動を制限する一対の側部ガイド部材と、前記受渡板との間隔が前記対象物が通過可能な間隔となるように配設されて、前記対象物の上方への移動を制限する上部ガイド部材とを更に備えていることが好ましい。
【0016】
このようにすれば、受渡板上を移動する対象物は、その上面側に配設された上部ガイド部材により、その上方向への移動が制限されるとともに、一対の側部ガイド部材により、その左右方向の移動が制限され、その結果、当該対象物を受渡板から逸脱させることなく所定の軌道上を移動させることができる。
【0017】
加えて、前記搬送装置は、前記対象物を搬送する突条部間に、当該搬送ベルトの環状内側から負圧を作用させる負圧手段を備え、この負圧手段による負圧が、前記受渡板の舌片部にも作用するように構成されていることが好ましい。
【0018】
このようにすれば、対象物が舌片部上を移動する際に、当該対象物に下方側への吸引力が作用し、かかる吸引力によって当該対象物をより安定した姿勢とすることができる。また、このように突条部に受け渡される前から徐々に吸引力を作用させることで、突条部に受け渡されたときから吸引力を作用させる場合に比べて、当該対象物に作用する作用力の急激な変動を緩和することができ、吸引作用に起因した姿勢の乱れを防止することができる。
【発明の効果】
【0019】
以上のように、本発明の整列搬送装置によれば、対象物を安定した姿勢で整列供給装置から搬送装置へと受け渡すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施形態に係る整列搬送装置の平面図である。
【図2】(a)図1における矢視A方向から見た背面図であり、(b)はその矢視C−C方向の断面拡大図である。尚、(a),(b)ともに整列供給装置については、フランジ,第一側部ガイド,第二側部ガイド及び上部ガイドのみ図示した。
【図3】図1におけるB部を拡大した拡大図である。尚、第一側部ガイド,第二側部ガイド及び上部ガイドは二点鎖線で示した。
【図4】(a)は図3における矢視D−D方向の断面図であり、(b)はその矢視E−E方向の断面図である。
【図5】本発明の実施形態に係る整列搬送装置における対象物の受け渡し過程を示す説明図である。
【図6】従来例に係る整列搬送装置の平面図である。
【図7】(a)は図6におけるF部を拡大した拡大図であり、(b)はその矢視G−G方向の断面図である。
【図8】図7(b)における矢視H−H方向の断面図であり、従来例に係る整列搬送装置における対象物の受け渡し過程を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の具体的な実施の態様につき、図面に基づいて説明する。
【0022】
図1乃至図4に示すように、本発明の整列搬送装置1は、対象物Tを一列に整列させて搬出部23から搬出する整列供給装置10と、前記搬出部23に接続され、前記整列供給装置10から搬出された対象物Tを搬送ベルト31によって搬送する搬送装置30と、整列供給装置10の搬出部23から搬出された対象物Tを前記搬送装置30の搬送ベルト31上に受け渡す受渡板50と、前記搬送装置30によって搬送される対象物Tを検査する検査装置60とから構成される。
【0023】
前記整列供給装置10は、基台11上に設けられたボール12と、上面に対象物Tが供給される回転テーブル14と、対象物Tの搬送路を画定するガイド機構15と、対象物Tを受渡板50へと搬出する前記搬出部23とを備えている。
【0024】
前記ボール12は、その開口部外周縁に形成されたフランジ13を具備し、ボール駆動機構(図示せず)により垂直な回転軸を中心に回転される。
【0025】
前記回転テーブル14は、その縁部の一部がフランジ13の上面と同じ高さとなるようにボール12の内側に傾斜をつけて設けられ、テーブル駆動機構(図示せず)により傾斜した回転軸を中心に回転される。以下、フランジ13の上面と回転テーブル14の縁部とが同じ高さである位置を単に、「移載位置」といい、図1では、符号14aで示した部分が移載位置に該当する。
【0026】
前記ガイド機構15は、前記移載位置14aにおいて回転テーブル14からフランジ13上に移動した対象物Tを前記搬出部23に向けて導く搬送路を画定するガイドであって、前記フランジ13の内周縁より外側に設けられる外周ガイド16、これから延設される第二側部ガイド20、並びにこの外周ガイド16及び及び第二側部ガイド20に対向するように設けられる第一側部ガイド18と、これら外周ガイド16、並びに第一及び第二側部ガイド18,20によって画定される搬送路の高さを画定する上部ガイド22とからなり、それぞれ支持部材(図示せず)により支持されている。
【0027】
前記外周ガイド16は、前記ボール12の中心側(以下、単に「中心側」という)の側面が、円弧状をした凹曲面状の案内面17となっており、この案内面17と前記フランジ13の内周縁との間隔が、前記フランジ13の回転方向(図1における矢示方向)(以下、単に「回転方向」という)において、その下流側に向かうにしたがって広くなるように設けられている。
【0028】
前記第二側部ガイド20は、外周ガイド16から前記搬出部23に向けて延設されるもので、回転方向下流側の端部は前記搬送装置30の上方に至っている。また、外周ガイド16の案内面17に連接する案内面21を具備しており、この案内面21は、案内面17と連接する円弧状をした凹曲面状の案内面21aと、この案内面21aから搬送装置30の上方へと延びる直線状の案内面21bとからなる。
【0029】
また、前記第一側部ガイド18は、回転方向上流側の端部が外周ガイド16と対向する位置から搬出部23を通り搬送装置30の上方に向かうように前記第二側部ガイド20に対して並設されており、一つの対象物Tが通過できる間隔を隔てて、案内面21と対向するように案内面19が備えられている。尚、第一及び第二側部ガイド18,20は、前記フランジ13及び前記搬送ベルト31と干渉しないように僅かな間隔をあけてそれぞれの上方に設けられている。
【0030】
前記上部ガイド22は、第一,第二側部ガイド18,20間に、これらと前記外周ガイド16によって画定される搬送路に沿って、前記第一側部ガイド18より回転方向上流側の位置から前記搬出部23へ向けて延設されている。尚、この上部ガイド22の下面と前記フランジ13の上面との間隔は、一段の対象物Tが通過できる間隔となっている。
【0031】
前記搬出部23は、前記上部ガイド22,第一側部ガイド18及び第二側部ガイド20が通過するフランジ13の外周縁部であり、僅かな間隙を隔てて前記受渡板50の基部が連接されている。
【0032】
前記搬送装置30は、受渡板50から受け渡された対象物Tを搬送する前記搬送ベルト31と、この搬送ベルト31を駆動するベルト駆動機構35と、搬送ベルト31の移動を制限する2つのガイド38と、前記搬送ベルト31上に負圧による吸引力を作用させる負圧機構39とを備えている。
【0033】
前記負圧機構39は、直方体状の負圧ボックス40と、負圧ボックス40内の空気を吸引する吸引ポンプ(図示せず)とからなり、負圧ボックス40は、上面部材に外部から空気を吸引するためのスリット41が設けられている。
【0034】
前記搬送ベルト31は、前記スリット41に沿ってその上方を覆うように負圧ボックス40を取り囲み、全体が前記受渡板50の下方に位置するように設けられた無端環状のタイミングベルトであり、外周面には、対象物Tが載置されるテーパ状の2つの突条部32が溝33を隔てて備えられている。また、溝33の下方には、搬送ベルト31の外周面から内周面に向けて貫通した円形の吸引口34が搬送ベルト31の長さ方向に沿って等間隔に設けられており、この吸引口34は、吸引力を均一に作用させるための溝42を隔てた下方に、スリット41が位置するように配置されている。また、前記ガイド38は、搬送ベルト31の両側に沿うように前記負圧ボックス40の上面に設置されている。
【0035】
前記ベルト駆動機構35は、前記搬送ベルト31の内周面と噛合する歯面を備え、前記負圧ボックス40と搬送ベルト31との間に長方形の頂点位置となるように配置された4つのプーリ36と、この4つのプーリ36のうち1つを回転駆動させる駆動モータ37とを備えている。尚、上面を除く5面からなる外部ボックス43により、前記搬送ベルト31、プーリ36及び負圧ボックス40は、その周囲が囲われている。
【0036】
前記受渡板50は、前記搬送ベルト31の突条部32の上方に位置するように前記第一及び第二側部ガイド18,20により支持されており、受渡板50の基部は、フランジ13の回転に干渉しないように僅かな間隙を隔てて前記搬送部23に連接されている。
【0037】
更に、受渡板50の先端部には、前記突条部32間の溝33に向けて下方に傾斜するように延設され、下端が一頂点となる平面視三角形状の舌片部51を備えている。この舌片部51は、その下端が前記突条部32の上面より下方に位置するように配設されている。尚、舌片部51にも、前記負圧機構39による吸引力が作用している。
【0038】
前記検査装置60は、前記搬送装置30の上方に設けられ、対象物Tの形状が所定の形状であるか否かを検査する一般的な検査装置である。
【0039】
次に、以上の構成を備えた整列搬送装置1により前記対象物Tを整列搬送する態様について説明する。
【0040】
先ず、前記回転テーブル14上に供給された対象物Tは、回転テーブル14の回転による遠心力が働くことで回転テーブル14の外周方向に移動され、回転テーブル14の外周縁部まで移動した対象物Tは、移載位置14aにて回転テーブル14から前記フランジ13上に移載される。移載された対象物Tは、ボール12の回転に伴いフランジ13上に載置されたまま、前記外周ガイド16の案内面17に沿って移動する。
【0041】
次いで、フランジ13上の対象物Tは、前記上部ガイド22の下方に進入する。この際、二段以上に積み重なった状態や起立した状態である場合には、その状態が解消されて前記ボール12内に戻され、所定の高さの範囲内にある対象物Tのみが上部ガイド22の下方に進入する。そして、上部ガイド22の下方に進入した対象物Tは、第一側部ガイドの案内面19に当接する。このとき、案内面19よりフランジの内周側を搬送されている対象物Tも、前記ボール12内に戻される。更に、外周ガイド16の案内面17から離反すると同時に第二側部ガイドの案内面21に当接することで、フランジ13,第一側部ガイド18,第二側部ガイド20及び上部ガイド22で周囲を囲まれた搬送路内をフランジ13の回転により搬送され、前記搬出部23から前記受渡板50へと搬出される。
【0042】
受渡板50へと搬出された対象物Tは、後方からの押力により受渡板50上を移動し、前記舌片部51から前記搬送ベルト31の突条部32の上面に受け渡される。
【0043】
詳述すると、図5に示すように、対象物Tは、受渡板50の先端部から下方に向かって緩やかに傾斜した舌片部51上を搬送ベルト31の突条部32に向かって下っていき、突条部32の上面に接して搬送されることで、舌片部51から突条部32へと受け渡される。対象物Tが舌片部51上を下っているときは、前記負圧機構の吸引力により対象物Tが舌片部51上にしっかりと接せられ、舌片部51により安定して支持された状態となる。対象物Tは、この安定して支持された状態を維持したまま突条部32と接するため、受け渡し過程において、常に安定して支持された状態が維持されることになる。また、破線で示すように、対象物Tの移動経路は、舌片部51の傾斜に沿って緩やかに下降する軌道を描く。
【0044】
受渡板50から搬送ベルト31の突条部32へ受け渡された対象物Tは、前記搬送ベルト31の駆動により前記検査装置60に向かって搬送され、当該検査装置60により所定の検査が実行される。このとき、突条部32上の対象物Tは、前記負圧機構39の吸引力により突条部32上に吸着された状態で搬送される。
【0045】
以上のように、本例の整列搬送装置1によれば、整列した対象物Tを受渡板50から搬送ベルト31の突条部32へと受け渡す過程において、対象物Tは、受渡板50の舌片部51により常に安定した状態で支持される。これにより、仮に外乱が生じたとしても、対象物Tはその姿勢を乱すことなく安定した姿勢で突条部32へ受け渡される。また、対象物Tは、緩やかな下り傾斜の軌道で突条部32へ受け渡されるため、突条部32の上面に接する際の衝撃が抑えられ、突条部32の上面に受け渡される際の対象物Tの姿勢変化を防止することができる。これらにより、搬送装置30により搬送される対象物Tの姿勢を所定姿勢の安定したものとすることができるので、検査装置60における検査実行時の誤差を減らすことができる。
【0046】
また、受渡板50及び搬送ベルト31の上方に第一側部ガイド18,第二側部ガイド20及び上部ガイド22を設けたことで、受け渡し過程における対象物Tの積み重なりや受渡板50からの脱落を防止でき、対象物Tを所定の軌道上を移動させることができる。
【0047】
更に、負圧機構39による吸引力を舌片部51及び搬送ベルト31に作用させるように構成したことで、舌片部51の上面を移動中の対象物Tに対しても吸引力が作用するようになり、対象物Tを舌片部51上により安定した状態で支持し、突条部32の上面に受け渡すことができる。また、突条部32に受け渡される前から対象物Tに対して徐々に吸引力を作用させることで、突条部32に受け渡されたときから吸引力を作用させる場合と比べて、対象物Tに作用する作用力の急激な変動を緩和することができ、吸引作用に起因する姿勢の乱れを防止することができる。搬送ベルト31によって搬送されている対象物Tの微細な動きが防止されることで検査装置60における検査を正確に実行することができる。
【0048】
以上、本発明の具体的な実施形態について説明したが、本発明が採り得る具体的な態様は、何らこれらに限定されるものではない。
【0049】
例えば、前記搬送ベルト31は、複数個の突条部32を備えたものから構成され、それぞれの溝の下方にスリット41が設けられていても良い。この場合、対象物Tを複数列に分けて搬送することができるため、一度により多くの搬送することができ、単位時間当たりの処理個数を増やすことができる。
【0050】
また、前記搬送ベルト31は、前記負圧ボックス40の上面部材に設けられたスリット41を挟むように備えられた2本一対の搬送ベルトから構成され、それぞれが突条部をなす構成であっても良い。
【符号の説明】
【0051】
1 整列搬送装置
10 整列供給装置
12 ボール
13 フランジ
14 回転テーブル
18 第一側部ガイド
20 第二側部ガイド
22 上部ガイド
23 搬出部
30 搬送装置
31 搬送ベルト
32 突条部
33 溝
34 吸引口
50 受渡板
51 舌片部
60 検査装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の対象物を一列に整列させて搬出部から搬出する整列供給装置と、
前記搬出部より下方に位置する一又は複数の無端環状の搬送ベルトを具備したベルト搬送機構を備え、該ベルト搬送機構は前記搬送ベルトによって形成される2本の平行な環状の突条部を有し、前記整列供給装置から搬出された対象物を前記搬送ベルトの突条部上に載置した状態で搬送する搬送装置と、
基部が前記整列供給部の搬出部に連接されるとともに、先端部が前記搬送ベルトの上方に延設され、前記整列供給装置から搬出された対象物を前記搬送ベルトの突条部に受け渡す受渡板とから構成される整列搬送装置において、
前記受渡板は、その先端部から下方に傾斜するように延設された舌片部を備えるとともに、該舌片部の下端は、前記突条部上面より下方の、該突条部間に位置していることを特徴とする整列搬送装置。
【請求項2】
前記受渡板の上方に、該受渡板上の対象物の進行方向に沿って設けられて、該対象物の移動を案内する3つのガイド部材であって、前記対象物が通過可能な間隔で相互に対峙するように設けられて、前記対象物の進行方向に対する左右方向の移動を制限する一対の側部ガイド部材と、前記受渡板との間隔が前記対象物が通過可能な間隔となるように配設されて、前記対象物の上方への移動を制限する上部ガイド部材とを更に備えることを特徴とする請求項1記載の整列搬送装置。
【請求項3】
前記搬送装置は、前記搬送ベルトの、前記対象物を搬送する突条部間に、該搬送ベルトの環状内側から負圧を作用させる負圧手段を更に備えてなり、前記負圧手段による負圧は、前記受渡板の舌片部にも作用するように構成されていることを特徴とする請求項1又は2記載の整列搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−116588(P2012−116588A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−266266(P2010−266266)
【出願日】平成22年11月30日(2010.11.30)
【出願人】(305021292)第一実業ビスウィル株式会社 (23)
【Fターム(参考)】