説明

文字処理装置、テープ印刷装置、文字処理装置の制御方法およびそのプログラム

【課題】簡単な操作で、範囲を絞った削除処理を行うことができる文字処理装置、テープ印刷装置、文字処理装置の制御方法およびそのプログラムを提供すること。
【解決手段】文字を入力する入力手段と、入力された文字と、その編集位置を示すカーソルと、を表示する表示手段と、「削除キー」と「カーソルキー」との同時押下により、カーソルの位置を基準として、当該「カーソルキー」の種類([↑],[↓],[←],[→])に応じた範囲の削除処理を行う削除処理手段と、を備えたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
削除キーの押下によって削除処理を行う文字処理装置、テープ印刷装置、文字処理装置の制御方法およびそのプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、文字処理装置では、入力した文字を削除する方法として、「削除キー」の押下により、1文字ずつ削除していく方法が知られている。また、テープ印刷装置では、消去機能として、文章全体を消去する「全文消去」、並びにカーソルが属する段落内の全ての文字を消去する「段落消去」が知られている(例えば、非特許文献1参照)。
【非特許文献1】株式会社キングジム、「テプラ」PRO SR616 取扱説明書、1996年、p.66,133
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、この非特許文献1に記載のテープ印刷装置において、一行分の文字を削除しようとすると、「削除キー」の押下によって、1文字ずつ削除していくしか方法がない。つまり、文章全体や段落など、大きな単位で削除する場合は、上記のような消去機能を利用すれば良いが、文字数の多い1行や数行分の文字を削除しようとする場合は、「削除キー」の押下を繰り返さなければならず、操作が煩わしいといった問題があった。当然、「全文消去」や「段落消去」と共に、行単位で文章を消去する「行消去」の機能を搭載すれば、1行分をまとめて削除することは可能である。ところが、カーソルが属する行内のカーソルより前に表示される文字など、さらに範囲を絞ろうとすると、操作が複雑になってしまい、使い勝手が悪いといった問題があった。
【0004】
本発明は、このような問題点に鑑み、簡単な操作で、範囲を絞った削除処理を行うことができる文字処理装置、テープ印刷装置、文字処理装置の制御方法およびそのプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の文字処理装置は、文字を入力する入力手段と、入力された文字と、その編集位置を示すカーソルと、を表示する表示手段と、削除キーと所定キーとの同時押下により、カーソルの位置を基準として、当該所定キーに応じた範囲の削除処理を行う削除処理手段と、を備えたことを特徴とする。
【0006】
本発明の文字処理装置の制御方法は、入力手段および表示手段を有する文字処理装置の制御方法であって、文字処理装置が、入力手段により入力された文字と、その編集位置を示すカーソルと、を表示手段に表示するステップと、削除キーと所定キーとの同時押下により、カーソルの位置を基準として、当該所定キーに応じた範囲の削除処理を行うステップと、を実行することを特徴とする。
【0007】
これらの構成によれば、削除キーと所定キーとを同時に押下するといった簡単な操作により、当該所定キーに応じた範囲の削除処理を行うことができる。また、カーソルの位置を基準とした削除処理を行うため、カーソルの移動によって、所望の範囲を削除対象とすることができる。
【0008】
上記に記載の文字処理装置において、削除処理手段は、削除キーと左方向を示すカーソルキーとの同時押下により、カーソルが属する行内のカーソルより前に表示される文字が削除され、削除キーと右方向を示すカーソルキーとの同時押下により、カーソルが属する行内のカーソルより後に表示される文字が削除されることが好ましい。
【0009】
この構成によれば、削除キーと左方向を示すカーソルキーとの同時押下により、カーソルが属する行内のカーソルより前に表示される文字が削除され、削除キーと右方向を示すカーソルキーとの同時押下により、カーソルが属する行内のカーソルより後に表示される文字が削除されるなど、簡単な操作で、行内における削除範囲を指定することができる。
【0010】
上記に記載の文字処理装置において、削除処理手段は、削除キーと上方向を示すカーソルキーとの同時押下により、カーソルが属する段落内のカーソルより前に表示される文字が削除され、削除キーと下方向を示すカーソルキーとの同時押下により、カーソルが属する段落内のカーソルより後に表示される文字が削除されることが好ましい。
【0011】
この構成によれば、削除キーと上方向を示すカーソルキーとの同時押下により、カーソルが属する段落内のカーソルより前に表示される文字が削除され、削除キーと下方向を示すカーソルキーとの同時押下により、カーソルが属する段落内のカーソルより後に表示される文字が削除されるなど、簡単な操作で段落内における、削除範囲を指定することができる。
【0012】
上記に記載の文字処理装置において、削除処理手段は、削除キーとシフトキーとの同時押下後、カーソルキーが押下されることにより、カーソルの位置を基準として、当該カーソルキーに応じた削除範囲を仮決定し、選択キーの押下により、仮決定された削除範囲が削除されることが好ましい。
【0013】
この構成によれば、削除キーとシフトキーとを同時に押下した後、カーソルキーが押下されることにより、当該カーソルキーに応じた削除範囲を仮決定するため、ユーザーは削除範囲を確認した上で、削除処理を実行させることができる。また、カーソルキーで削除範囲を指定できるため、簡単な操作で範囲指定が可能である。
【0014】
本発明のテープ印刷装置は、上記に記載の文字処理装置における各手段と、文字処理装置により編集された文字を、テープ上に印刷する印刷手段と、を備えたことを特徴とする。
【0015】
この構成によれば、簡単な操作で、範囲を絞った削除処理を行うことができるテープ印刷装置を実現することができる。
【0016】
本発明のプログラムは、コンピューターに、上記に記載の文字処理装置の制御方法における各ステップを実行させるためのものであることを特徴とする。
【0017】
このプログラムを用いることにより、簡単な操作で、範囲を絞った削除処理を行うことができる文字処理装置の制御方法を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の一実施形態について、添付図面を参照しながら詳細に説明する。本実施形態では、文字処理装置および文字処理装置の制御方法を、情報入力からテープ状媒体への印刷(ラベル作成)までの一連の処理を行うテープ印刷装置に適用した場合を例示する。
【0019】
まず、本発明の第1実施形態に係るテープ印刷装置1について説明する。図1は、本実施形態に係るテープ印刷装置1の開閉蓋21を開いた状態の外観斜視図である。図1に示すようにテープ印刷装置1は、装置ケース2により外郭が形成され、装置ケース2の前部上面には各種入力キーを備えたキーボード3が配置されると共に、後部上面には、その左部に開閉蓋21が取り付けられ、その右部には表示画面41が配設されている。開閉蓋21の内側にはテープカートリッジCを装着するためのカートリッジ装着部6が窪入形成されており、テープカートリッジCは、開閉蓋21を開放した状態でカートリッジ装着部6に着脱可能に装着される。また、開閉蓋21にはこれを閉じた状態でテープカートリッジCの装着/非装着を視認するための覗き窓21aが形成されている。
【0020】
キーボード3には、文字キー群3a、および各種動作モード等を指定するための機能キー群3bが配列されている。文字キー群3aは、JIS配列に基づいたフルキー構成であり、操作するキー数の増加を抑えるためのシフトキーを備えるなど、一般のワードプロセッサー等と同様である。また、機能キー群3bには、「印刷キー」、「カーソルキー」、「選択キー」、「削除キー」および「シフトキー」が含まれる。
【0021】
「印刷キー」は、印刷実行を指示するためのキーである。「カーソルキー」は、上下左右キー([↑],[↓],[←],[→])から成り、カーソル移動やスクロール操作を行うためのキーである。また、「選択キー」は、選択候補の選択および確定操作を行うためのキーである。また、「削除キー」は、文字を削除(消去)するためのキーである。また、当該「削除キー」を長押しすることにより、同時に押下された所定キー(本実施形態では、「カーソルキー」)に応じた範囲の削除処理を行うことができる(詳細については、後述する)。また、「シフトキー」は、他のキーとの組み合わせにより、特殊な操作を行うためのキーである。
【0022】
表示画面41は、液晶ディスプレーであり、ユーザーがキーボード3を用いて入力した入力情報に基づく編集結果、および当該編集結果に基づいて生成された印刷データ等を確認したりする際に用いられる。
【0023】
装置ケース2の左側部には、カートリッジ装着部6と外部とを連通するテープ排出口22が形成され、このテープ排出口22には、送り出した印刷テープTを切断するためのテープカッター23が臨んでいる。そして、テープ排出口22から印刷済みの印刷テープTが所定長さだけ送り出され、送りを一旦停止させた状態で、この印刷済みの印刷テープTをテープカッター23により切断されて、短冊状のラベルL(図3(b)参照)を作成する。なお、切断処理については、自動カットを「する」または「しない」の選択肢により、カッターモーター25(図2参照)の駆動を設定できる。
【0024】
一方、カートリッジ装着部6には、ヘッドカバー61a内にサーマルタイプの印刷ヘッド7が内蔵されたヘッドユニット61と、印刷ヘッド7に対峙するプラテン駆動軸62と、後述のインクリボンRを巻き取る巻き取り駆動軸63と、後述のテープリール17の位置決め突起64とを備えている。また、カートリッジ装着部6の下側には、プラテン駆動軸62および巻き取り駆動軸63を回転させるテープ送りモーター26(図2参照)が内蔵されている。
【0025】
テープカートリッジCは、カートリッジケース51内部の上部中央部に、一定の幅(4mm〜48mm程度)の印刷テープTを巻回したテープリール17と、右下部にインクリボンRを巻回したリボンリール19とを収容して構成されており、印刷テープTとインクリボンRは同じ幅で構成されている。また、テープリール17の左下部には前記ヘッドユニット61を覆うヘッドカバー61aが差し込まれるための貫通孔55が形成されている。さらに、貫通孔55に差し込まれたヘッドユニット61は、印刷テープTとインクリボンRとが重なる部分に対応して、前記プラテン駆動軸62に嵌合されて回転駆動するプラテンローラー53が配置されている。一方、前記リボンリール19に近接してリボン巻き取りリール54が配置され、リボンリール19から繰り出されたインクリボンRは、ヘッドカバー61aを周回するように配置され、リボン巻き取りリール54に巻き取られるようになっている。
【0026】
テープカートリッジCがカートリッジ装着部6に装着されると、ヘッドカバー61aに貫通孔55が、位置決め突起64にテープリール17の中心孔が、巻き取り駆動軸63にリボン巻き取りリール54の中心孔がそれぞれ差し込まれ、印刷テープTおよびインクリボンRを挟み込んで印刷ヘッド7がプラテンローラー53に当接して印刷が可能になる。その後、ユーザーが表示画面41の編集結果を確認しながらキーボード3により所望のテキスト(文字、数字、記号、簡易図形等のキャラクタ)や画像を入力し、「印刷キー」の押下によって印刷を指示すると、テープ印刷装置1は、テープ送りモーター26によりテープカートリッジCから印刷テープTを繰り出し、印刷ヘッド7の発熱素子を選択的に発熱させることにより印刷テープTに所望の印刷を行う。印刷テープTの印刷済み部分はテープ排出口22から随時外部に送り出され、印刷を完了すると、テープ送りモーター26は、余白分を含むテープ長さの位置まで印刷テープTの送りを行った後、その送りを停止する(その後、切断処理に移行する)。
【0027】
一方、印刷テープTは、裏面に粘着剤層が形成された記録テープTaと、この粘着剤層により記録テープTaに貼り付けられた剥離テープTbとから構成されている。そして、印刷テープTは、記録テープTaを外側にし、かつ剥離テープTbを内側にしてロール状に巻回されてカートリッジケース51内に収容されている。また、印刷テープTは、テープ種別(テープ幅、テープの地色、地模様、材質など)が異なる複数種のものが用意されており、各カートリッジケース51には、このうち1種類の印刷テープT(およびインクリボンR)が収容されている。また、カートリッジケース51の裏面にはテープカートリッジCの種別を特定する複数の孔(図示省略)が設けられている。また、複数の孔に対応してカートリッジ装着部6には、これらを検出するテープ識別センサー(マイクロスイッチ等)27(図2参照)が、複数設けられており、このテープ識別センサー27により複数の孔の状態を検出することで、テープ種別を判別できるようになっている。
【0028】
次に、図2の制御ブロック図を参照し、テープ印刷装置1の制御構成について説明する。テープ印刷装置1は、中央処理装置であるCPU(Central Processing Unit)110、RAM(Random Access Memory)120、ROM(Read Only Memory)130、表示画面41、キーボード3、カッターモーター25、テープカッター23、テープ送りモーター26、印刷ヘッド7およびテープ識別センサー27を備え、各構成要素は、バス150を介して接続されている。
【0029】
RAM120は、CPU110と直接接続されており、CPU110が各種制御を行う際のワークエリアとして用いられる。ROM130は、CPU110が各種制御を行うための制御プログラムおよび各種情報を記憶している。制御プログラムとしては、具体的に、表示画面41の表示制御を行うための表示制御プログラム、「削除キー」と同時押下される所定キーの種類に応じた削除処理を実現するための削除処理プログラム、および印刷処理を行うための印刷処理プログラム等を記憶している(図示省略)。また、ROM130は、表示画面41への表示、および印刷テープTへの印刷に用いられる多数のキャラクタを記憶するキャラクタ記憶領域131を有している。
【0030】
表示画面41は、編集結果や印刷レイアウトを表示するための表示手段として機能する。キーボード3は、ユーザーが情報を入力するための入力手段、削除操作を含む編集処理を行うための編集手段、各種設定を行うための設定手段、などとして機能する。
【0031】
カッターモーター25は、テープカッター23と接続され、切断手段として機能する。また、テープ送りモーター26および印刷ヘッド7は、印刷テープT上に印刷を行うための印刷手段として機能する。上記のとおり、印刷ヘッド7およびテープ識別センサー27は、カートリッジ装着部6に設けられ、テープ識別センサー27は、テープカートリッジCに収容された印刷テープTの種別を検出する。CPU110は、このテープ識別センサー27の検出結果に基づいて(テープ幅等に基づいて)、テキストとして入力可能な行数および文字数の制限や、装着されたテープカートリッジCの適合性の判別、などの制御を行う。その他、CPU110は、表示画面41の表示処理、編集処理および印刷処理を制御する。
【0032】
次に、図3および図4を参照し、ユーザーによる削除操作と、当該削除操作に基づく削除結果(表示画面41に表示される編集結果)について説明する。図3(a)は、入力されたテキストの一例を示したものである。ここでは、2段落に分割され、1段落目に3行、2段落目に2行の文字が入力された場合を示している。なお、「段落」とは、テープ幅に積み重ねて印刷される「行の集まり(または1行)」を指す。なお、1つのラベルLに印刷される全ての段落(全ての行、全ての文字)を指して、以下「文章」と称する。つまり、「文字<行<段落<文章」の順で、その単位が大きくなるものとする。
【0033】
図3(b)は、図3(a)に示したテキストに基づく印刷結果(ラベルLの作成例)を示したものである。このように、1つのラベルLの中に複数の段落を設けることで、いろいろな行数を混在させたり、段落ごとにデザインを変えたりすることができる。
【0034】
図3(c)は、図3(a)に示したテキストに基づく、表示画面41への表示結果を示したものである。ここでは、2行目に入力された文字「た」に、カーソルKが付加されている場合を示している。表示画面41の表示領域の関係上、1段落目の一部しか表示されていないが、「カーソルキー」によるカーソルKの右移動によって、1段落目の後半を表示させたり、カーソルKの下移動によって、2段落目を表示させたりすることができるようになっている。なお、符号M1,M2,M3は、各行の行頭マークを示している。同一段落内において、行頭マークが黒色で表示(行数を示す数字が白色で表示)されている場合は、黒色表示された行以降に文字が入力されており、同一段落内において、行頭マークが白色で表示(行数を示す数字が黒色で表示)されている場合は、白色表示された行以降には、文字が入力されていないことを意味している(後者の行頭マークについては、図4のD5等参照)。
【0035】
図4は、ユーザーの削除操作に伴うテキスト編集画面Dの遷移を示したものである。図3(c)に示した状態(画面D1)で、ユーザーにより「削除キー」が押下されると、文字「た」が削除され、カーソルKは文字「そ」に移動する(D2)。
【0036】
また、画面D1の状態で、ユーザーにより「削除キー」と左方向を示す「カーソルキー」(以下、単に「←」と記載する)が押下されると、カーソルKが属する行(以下、「同一行」とも称する)内の、文字「た」以前の文字が削除され、カーソルKは2行目の行頭マークM2に移動する(D3)。実際には、まず文字「た」を1文字削除し、「削除キー」の押下が継続され、かつ「←」が押されることで、同一行内の文字「そ」以前の文字を削除する。
【0037】
また、画面D1の状態で、ユーザーにより「削除キー」と「→」が押下されると、カーソルKが属する行内の、文字「た」以降の文字を削除し、カーソルKを文字「そ」に付加する(D4)。この場合も、実際には、まず文字「た」を1文字削除し、「削除キー」の押下が継続され、かつ「→」が押されることで、同一行内の文字「ち」以降の文字を削除する。
【0038】
また、画面D1の状態で、ユーザーにより「削除キー」と「↑」が押下されると、カーソルKが属する段落(以下、「同一段落」とも称する)内の、文字「た」以前の文字を削除し、カーソルKを2行目の行頭マークM2に付加する(D5)。この場合も、文字「た」を1文字削除した後、同一段落内の文字「そ」以前の文字を削除するといった、2段階の削除処理を行う。
【0039】
また、画面D1の状態で、ユーザーにより「削除キー」と「↓」が押下されると、カーソルKが属する段落内の、文字「た」以降の文字が削除され、カーソルKは文字「そ」に移動する(D6)。また、この削除に伴って3行目の文字が削除されたため、行頭マークM3を白色で表示する。この場合も、文字「た」が1文字削除された後、同一段落内の文字「ち」以降の文字を削除するといった、2段階の削除処理を行う。なお、特に図示していないが、画面D6において、「↓」が押下された場合、2段落目のテキスト(図3(a)参照)を表示させることが可能である(「削除キー」と「↓」との同時押下によって、2段落目の文字まで削除されることはない)。
【0040】
次に、図5のフローチャートを参照し、本実施形態の削除処理の流れについて説明する。まず、ユーザーによってテキストが編集され(S01)、「削除キー」が短押しされると(S02:Yes)、カーソル位置を検出し(S03)、検出したカーソル位置の直前の1文字を削除する(S04)。一方、「削除キー」が継続して押下されている場合は(S02:No,S05:Yes)、カーソル位置を検出して(S06)、カーソル位置の直前の1文字を削除した後(S07)、「削除キー」と同時に押下される「所定キー」に応じた削除処理を行う。
【0041】
例えば、「削除キー」と同時に「←」が押下された場合は(S08:Yes)、同一行内のカーソル位置より前の文字を削除する(S09)。また、「削除キー」と同時に「→」が押下された場合は(S10:Yes)、同一行内のカーソル位置より後の文字を削除する(S11)。また、「削除キー」と同時に「↑」が押下された場合は(S12:Yes)、同一段落内のカーソル位置より前の文字を削除する(S13)。また、「削除キー」と同時に「↓」が押下された場合は(S14:Yes)、同一段落内のカーソル位置より後の文字を削除する(S15)。その後、「削除キー」から指が離されたか否かを判別し(S16)、離された場合は(S16:Yes)、S01に戻り、離されていない場合は(S16:No)、S08に戻り、それ以降の処理を繰り返す。
【0042】
なお、上記のフローチャートでは、S09、S11、S13、S15の処理後、S01に戻って処理を繰り返すものとしたが、S09の後S10に進み、S11の後S12に進み、S13の後S14に進み、さらにS015の後S16に進むようにしても良い。この構成によれば、「削除キー」を押下したまま、異なる「カーソルキー」を次々に押下していくことで、段階的な削除処理を行うことができる。また、その場合、削除動作を行う度に、カーソル位置を検出したり(S06に相当)、カーソル直前の1文字を削除したり(S07に相当)といった処理を必要としないため、制御が容易である。
【0043】
また、図3および図4に示した例では、「削除キー」と同時押下する「カーソルキー」の種類に応じて、削除範囲を決定するものとしたが、「削除キー」と同時押下する「所定キー」は、「カーソルキー」以外のものであっても良い。また、当該「所定キー」を、ユーザーが任意に設定しても良い。
【0044】
図6は、「所定キー」の設定例を示したものである。同図に示すように、「同一行内のカーソル位置より前の文字」、「同一行内のカーソル位置より後の文字」、「同一段落内のカーソル位置より前の文字」、「同一段落内のカーソル位置より後の文字」、「同一段落内の全ての文字」、「文章内の全ての文字」の6項目に分けて、「所定キー」を設定することができる。図6に示した設定例では、「削除キー」+「数字キー[1]」により、「同一行内のカーソル位置より前の文字」を削除し、「削除キー」+「数字キー[2]」により、「同一行内のカーソル位置より後の文字」を削除し、などの削除処理が実現できる。
【0045】
また、本実施形態では、「BS(Back Space)キー」に相当する「削除キー」の押下により削除処理を行ったが、他のキー(例えば「Deleteキー」)で実現しても良い。また、「削除キー」として機能するキーを、ユーザーが任意に設定可能としても良い。さらに、「BSキー」+「数字キー[1]」により、「同一行内のカーソル位置より前の文字」を削除し、「Deleteキー」+「数字キー[1]」により、「同一行内のカーソル位置より後の文字」を削除し、・・・といった、複数の「削除キー」と「所定キー」との組み合わせによる削除処理を実現可能としても良い。
【0046】
また、本実施形態では、カーソル位置直前の1文字を削除した後、「カーソルキー」の種類に応じた範囲の削除処理を行うものとしたが、押下開始時から押下継続時間をカウントし、長押しの場合は、対象となる削除範囲を一度に削除するようにしても良い。
【0047】
以上、説明したとおり、本発明の第1実施形態のテープ印刷装置1によれば、「削除キー」と「所定キー」との同時押下といった簡単な操作により、「所定キー」の種類に応じた範囲の削除処理を行うことができる。また、カーソルKの位置を基準とした削除処理を行うため、カーソルKの移動方向によって、所望の範囲を削除対象とすることができる。さらに、「所定キー」を、ユーザーが任意に設定することができるため、使い勝手が良い。
【0048】
次に、本発明の第2実施形態について説明する。上記の第1実施形態では、「削除キー」と「所定キー」との同時押下により、「所定キー」に応じた削除処理がそのまま実行されるものとしたが、本実施形態では、削除処理の実行前に、仮決定した削除範囲を表示画面41に表示する点で異なる。以下、第1実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0049】
図7は、第2実施形態に係る削除処理の画面遷移図である。図3(c)に示した状態(D11)で、ユーザーにより「削除キー」と「シフトキー」が同時押下されると、消去メニュー画面を表示する(D12)。消去メニュー画面では、選択候補「段落消去」、「全文消去」および「範囲消去」の中からいずれか1の候補を選択可能となっている。ここで、「段落消去」が選択された場合は、カーソルKが属する段落内の全ての文字を削除(消去)する。また、「全文消去」が選択された場合は、文章全体を削除する。さらに、「範囲消去」が選択された場合は、ユーザーが指定した範囲を削除する。
【0050】
画面D12の状態で、「↓」が押下されると、「範囲消去」を選択対象として点滅表示し(D13)、この状態で「選択キー」が押下されると、削除範囲選択画面を表示する(D14)。削除範囲選択画面では、画面上部に、操作方法を知らせるメッセージ(「削除範囲を選択して選択ボタン」)を表示すると共に、画面下部に、入力されているテキストの一部を表示する。削除範囲選択画面において、「シフトキー」と「←」が同時押下されると(長押しでなくても良い)、同一行内のカーソル位置より前の文字を削除範囲として仮決定し、反転表示する(D15)。さらに、この仮決定状態において、ユーザーにより「選択キー」が押下されると、仮決定した削除範囲の文字を削除する(D16)。当該画面D16は、図4に示した画面D3と同様の表示となる。
【0051】
なお、削除範囲選択画面における削除範囲の指定は、「シフトキー」+「←」が長押しされた場合に、同一行内のカーソル位置より前の文字を削除範囲として仮決定し、「シフトキー」+「←」が短押しされた場合は、その短押しごとに、カーソル位置より前の文字を1文字ずつ削除範囲として拡大させていくようにしても良い。
【0052】
また、削除範囲選択画面(D14)において、「シフトキー」と「↑」が同時押下されると、同一段落内のカーソル位置より前の文字を削除範囲として仮決定し、反転表示する(D17)。さらに、この仮決定状態において、ユーザーにより「選択キー」が押下されると、仮決定した削除範囲の文字を削除する(D18)。当該画面D18は、図4に示した画面D5と同様の表示となる。
【0053】
なお、特に図示しないが、削除範囲選択画面(D14)において、「シフトキー」と「→」が同時押下されると、同一行内のカーソル位置より後の文字を削除範囲として仮決定し、当該仮決定状態において、ユーザーにより「選択キー」が押下されると、仮決定した削除範囲の文字を削除する(図4のD4参照)。また、削除範囲選択画面(D14)において、「シフトキー」と「↓」が同時押下されると、同一段落内のカーソル位置より後の文字を削除範囲として仮決定し、当該仮決定状態において、ユーザーにより「選択キー」が押下されると、仮決定した削除範囲の文字を削除する(図4のD6参照)。
【0054】
また、特に図示しないが、削除範囲選択画面(D14)において、「カーソルキー」が単独で押下されると、その方向に応じてカーソルKが移動する。すなわち、削除範囲の基準位置を、「カーソルキー」の押下によって指定した後、「シフトキー」と「カーソルキー」の同時押下で、削除範囲を指定することが可能である。
【0055】
以上、説明したとおり、第2実施形態のテープ印刷装置1によれば、「削除キー」と「シフトキー」との同時押下後、「シフトキー」と「カーソルキー」が同時押下されることにより、当該「カーソルキー」に応じた削除範囲を仮決定するため、ユーザーは削除範囲を確認した上で、削除処理を実行させることができる。これにより、ユーザーが意図しない範囲を削除してしまうなどの誤操作を防止することができる。
【0056】
なお、上記の各実施形態では、文字処理装置の一例として、テープ印刷装置1を例示したが、これに限らず、本実施形態における削除処理プログラムにしたがって、削除処理を実行可能な情報処理装置に、本発明を適用可能である。
【0057】
また、上記の各実施形態に示した、テープ印刷装置1の各構成要素をプログラムとして提供することが可能である。また、そのプログラムを各種記録媒体(CD−ROM、フラッシュメモリ等)に格納して提供することも可能である。すなわち、コンピューターを、テープ印刷装置1の各手段として機能させるためのプログラム、およびそれを記録した記録媒体も、本発明の権利範囲に含まれるものである。その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、適宜変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】開蓋状態のテープ印刷装置の外観斜視図である。
【図2】テープ印刷装置の制御ブロック図である。
【図3】テキスト作成例、並びにその印刷例および表示例を示す図である。
【図4】第1実施形態に係る削除処理を示す画面遷移図である。
【図5】第1実施形態に係る削除処理を示すフローチャートである。
【図6】「所定キー」の設定例を示す図である。
【図7】第2実施形態に係る削除処理を示す画面遷移図である。
【符号の説明】
【0059】
1…テープ印刷装置 3…キーボード 41…表示画面 110…CPU 120…RAM 130…ROM 131…キャラクタ記憶領域 D…テキスト編集画面 K…カーソル L…ラベル M1,M2,M3…行頭マーク T…印刷テープ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
文字を入力する入力手段と、
入力された文字と、その編集位置を示すカーソルと、を表示する表示手段と、
削除キーと所定キーとの同時押下により、前記カーソルの位置を基準として、当該所定キーに応じた範囲の削除処理を行う削除処理手段と、を備えたことを特徴とする文字処理装置。
【請求項2】
前記削除処理手段は、前記削除キーと左方向を示すカーソルキーとの同時押下により、前記カーソルが属する行内の前記カーソルより前に表示される文字が削除され、前記削除キーと右方向を示すカーソルキーとの同時押下により、前記カーソルが属する行内の前記カーソルより後に表示される文字が削除されることを特徴とする請求項1に記載の文字処理装置。
【請求項3】
前記削除処理手段は、前記削除キーと上方向を示すカーソルキーとの同時押下により、前記カーソルが属する段落内の前記カーソルより前に表示される文字が削除され、前記削除キーと下方向を示すカーソルキーとの同時押下により、前記カーソルが属する段落内の前記カーソルより後に表示される文字が削除されることを特徴とする請求項1または2に記載の文字処理装置。
【請求項4】
前記削除処理手段は、前記削除キーとシフトキーとの同時押下後、カーソルキーが押下されることにより、前記カーソルの位置を基準として、当該カーソルキーに応じた削除範囲を仮決定し、選択キーの押下により、前記仮決定された前記削除範囲が削除されることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の文字処理装置。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか1項に記載の文字処理装置における各手段と、
前記文字処理装置により編集された文字を、テープ上に印刷する印刷手段と、を備えたことを特徴とするテープ印刷装置。
【請求項6】
入力手段および表示手段を有する文字処理装置の制御方法であって、
前記文字処理装置が、
前記入力手段により入力された文字と、その編集位置を示すカーソルと、を前記表示手段に表示するステップと、
削除キーと所定キーとの同時押下により、前記カーソルの位置を基準として、当該所定キーに応じた範囲の削除処理を行うステップと、を実行することを特徴とする文字処理装置の制御方法。
【請求項7】
コンピューターに、請求項6に記載の文字処理装置の制御方法における各ステップを実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−146272(P2010−146272A)
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−322528(P2008−322528)
【出願日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】