説明

文字盤照明装置

【課題】隣接する光源用開口間における反射面を増加させて、前記反射面における反射・拡散作用によって自動車用計器における文字盤上の輝度ムラを減少させると共に、文字盤上の輝度を向上させることのできる文字盤照明装置を提供すること。
【解決手段】文字盤照明装置80は、文字盤10の裏に配置されて文字盤10上の文字列11に対向する底壁81aを有したケース81と、文字列11に沿う方向に間隔を開けて底壁81a上に形成された複数個の光源用開口91と、各光源用開口91に取り付けられて照明光を出射する複数個の光源94と、を備え、光源用開口91は、形状が略菱形で、且つ、一方の対角線の方向を文字列11の延在方向に一致させて配列する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車用計器における文字盤の裏に配置されて、前記文字盤の照明を行う文字盤照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図7は、文字盤照明装置の従来例を示したものである。
図7の文字盤照明装置100は、下記特許文献1に開示されたものである。
この文字盤照明装置100は、自動車用計器としての速度計における文字盤200の裏に配置されて、文字盤200の照明を行う。
この文字盤照明装置100は、ケース110と、複数個の光源用開口120と、複数個の光源130と、を備える。
【0003】
ケース110は、文字盤200の裏に配置される。このケース110は、文字盤200上に円弧形の帯状に配列された文字列210に対向する底壁111を有している。文字列210は、所定の速度間隔で割り付けた目盛り211と、目盛り211に付与した速度値212とから構成されている。文字列210は、指針軸が挿通する孔221を中心とする円弧状に配列されている。
【0004】
ケース110の底壁111の背面は、指針を駆動する指針駆動部300の取り付け部になっている。
【0005】
複数個の光源用開口120は、底壁111上に、文字列210に沿う方向に間隔を開けて形成された矩形の貫通孔である。
【0006】
光源130は、複数個の光源用開口120のそれぞれに、底壁111の背面側から取り付けられて、文字盤200に向けて照明光を出射する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2004−333360号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、隣接する光源用開口120間に位置する底壁111の表面は、光源130が出射した光を文字盤200側に反射・拡散する反射面111aとして機能し、文字盤200に照射する光量の増加と、均等化を図る上での重要な要素となっている。
言い換えると、反射面111aが小さいと、隣接する光源130間では、例えば光源130の直上部と比較して、文字盤200に照射される光量が低下し、文字盤200上での輝度の低下や、輝度ムラの発生といった問題が発生してしまう。
【0009】
上記特許文献1のように、光源130の取付け部として矩形の光源用開口120を配列する文字盤照明装置100の場合では、光源用開口120の配列向きによっては、隣接する光源用開口120間における反射面111aの面積が低減して、文字盤200における輝度の低下や、輝度ムラの増加といった問題を招く。
【0010】
そのため、矩形の光源用開口を採用する文字盤照明装置の場合は、文字盤に照射される光量のばらつきを低減させて、文字盤における輝度の増加、輝度ムラの低減が実現されるように、光源用開口の向きを工夫することが重要な課題となる。
【0011】
そこで、本発明の目的は、上記課題を解消することに係り、隣接する光源用開口間における反射面を増加させて、前記反射面における反射・拡散作用によって自動車用計器における文字盤上の輝度ムラを減少させると共に、文字盤上の輝度を向上させることのできる文字盤照明装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の前述した目的は、下記の構成により達成される。
(1)自動車用計器における文字盤の裏に配置されて、前記文字盤上に帯状に配列された文字列に対向する底壁を有したケースと、
前記底壁上に、前記文字列に沿う方向に間隔を開けて形成された複数個の光源用開口と、
前記複数個の光源用開口のそれぞれに取り付けられて照明光を出射する複数個の光源と、
を備えた文字盤照明装置であって、
前記光源用開口は、形状が略菱形で、且つ、一方の対角線の方向を前記文字列の延在方向に一致させて配列したことを特徴とする特徴とする文字盤照明装置。
【0013】
上記(1)の構成によれば、例えば、光源用開口は形状が正方形で、且つ、対角線の方向を前記文字列延在方向に対して45度傾斜させた向きに配列した場合と比較すると、隣接する光源用開口間における反射面を増加させることができる。そして、増加した反射面における反射・拡散作用によって自動車用計器における文字盤上へ照射される光量の増加と、均等化とを図ることができ、文字盤上における輝度ムラを減少させると共に、文字盤上の輝度を向上させることができる。
従って、光源の数量の増加等に頼らずに、高輝度で、且つ輝度ムラのない高品位な文字盤照明を実現することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明による文字盤照明装置によれば、光源用開口は形状が正方形で、且つ、対角線の方向を前記文字列延在方向に対して45度傾斜させた向きに配列した場合と比較すると、隣接する光源用開口間における反射面を増加させることができる。そして、増加した反射面における反射・拡散作用によって自動車用計器における文字盤上へ照射される光量の増加と、均等化とを図ることができ、文字盤上における輝度ムラを減少させると共に、文字盤上の輝度を向上させることができる。
従って、光源の数量の増加等に頼らずに、高輝度で、且つ輝度ムラのない高品位な文字盤照明を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明に係る文字盤照明装置を搭載した自動車用計器の一実施形態である速度計の正面から見た外観図である。
【図2】図1に示した速度計の構成の説明図である。
【図3】図2のA−A断面図である。
【図4】図3に示した文字盤照明装置の斜視図である。
【図5】図4に示した文字盤照明装置における光源用開口の配列を示すケース底壁の正面図である。
【図6】光源用開口の配列の比較例として、正方形の光源用開口を、文字盤における文字列延在方向に対して45度傾斜させた向きに設定したケース底壁の正面図である。
【図7】従来の速度計における文字盤照明装置の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係る文字盤照明装置の好適な実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0017】
図1及び図2は本発明に係る文字盤照明装置を搭載した自動車用計器の一実施形態である速度計の説明図で、図1は速度計の正面から見た外観図、図2は図1に示した速度計の構成の説明図である。
【0018】
図1及び図2に示した速度計1は、帯状の文字盤10と、指針部材20と、ガイドレール30と、針駆動装置40と、針格納カバー50と、文字盤照明装置80と、を備え、帯状の文字盤10上の計測値に対応する目盛11aを指針部材20により指し示すことで計測値を教示する。
【0019】
帯状の文字盤10は、図2にも示すように、両側縁が所定の線形12に延びる帯状域13上に、線形12の長さ方向に適宜間隔を開けて、目盛11aと速度値11bとを付与した構成である。線形12の長さ方向に適宜間隔で並ぶ目盛11aや速度値11bは、帯状の文字盤10上に帯状に配列された文字列11を構成している。
【0020】
本実施形態の場合、上記の線形12は、上に凸の湾曲線状である。更に、本実施形態の帯状の文字盤10では、目盛11aの始端側の線形12が、図2に示すように、垂直線Vを漸近線とする曲線に設定されている。
【0021】
指針部材20は、帯状の文字盤10上の目盛11aを指し示すための部材である。この指針部材20は、図2に示すように、線形12に沿って移動可能に後述のガイドレール30によって案内される本体部21と、該本体部21から線形12に直交する方向に延出した指針部22とを備えている。
【0022】
ガイドレール30は、線形12に沿って上に凸の湾曲線状に延設されている。このガイドレール30は、指針部材20を、目盛11aの始端の外側の待機位置P2から目盛11aの終端まで移動可能に案内する。
【0023】
ガイドレール30の始端側には、図2に示すように、指針部材20が待機位置P2に移動したときに、指針部材20が当接して指針部材20を待機位置P2に位置決めするストッパ34が設けられている。
【0024】
針駆動装置40は、ガイドレール30上の指針部材20を、計測データに応じた目盛11aの位置に移動させる装置である。
本実施形態の場合、針駆動装置40は、線条体41と、始端側リール42と、終端側リール43と、終端側リール43を駆動する不図示のモータと、を備える。
【0025】
線条体41は、樹脂製又は金属製の糸状体で、ガイドレール30に沿って走行可能に、ガイドレール30上に布設される。この線条体41は、中間部に指針部材20が固定される。従って、線条体41の走行により、指針部材20が文字列11に沿って移動する。
【0026】
始端側リール42は、図2に示すように、待機位置P2側に位置するガイドレール30の一端側に配置される。この始端側リール42は、指針部材20が待機位置P2に位置するように、線条体41の一端側を巻き取る。本実施形態の場合、始端側リール42は、内蔵のぜんまいバネ(渦巻きバネ)により、線条体41の巻き取り方向に付勢されている。
【0027】
終端側リール43は、図2に示すように、目盛11aの終端側に位置するガイドレール30の他端側に配置されている。この終端側リール43は、線条体41の他端側の巻取量を調整することで、指針部材20を任意の目盛11a位置に位置決め可能である。
【0028】
終端側リール43を駆動する不図示のモータは、終端側リール43を回転駆動して、終端側リール43における線条体41の巻取量を調整して、指針部材20の位置を制御する。
このモータの動作は、車両の走行速度の検出部を有する不図示の制御部からの信号で、制御される。
【0029】
以上に説明したガイドレール30や針駆動装置40は、帯状の文字盤10の内側に配置される見返し60によって覆われて、隠される。
本実施形態の場合、図1及び図2に示すように、見返し60の中央部には、速度以外の情報を表示するためのLCD表示器70が配置される。
【0030】
針格納カバー50は、見返し60の上に配置され、待機位置P2に移動した指針部材20の上を覆って隠す。
従って、本実施形態の速度計1は、非計測時には針格納カバー50内に指針部材20を隠す。
【0031】
本実施形態の速度計1の場合、非計測時には、図1に示すように、指針部材20は始端側リール42のぜんまいバネによる巻き取り力で、待機位置P2に位置しており、針格納カバー50の下に隠れて、ユーザからは視認することができない。
速度計1の計測時には、計測データに応じてモータが終端側リール43を駆動して、指針部材20が計測データに相応する目盛11aの位置に移動する。
【0032】
次に、上記帯状の文字盤10と、文字盤照明装置80とについて、図3〜図6に基づいて、詳細に説明する。
図3は図2のA−A断面図、図4は図3に示した文字盤照明装置の斜視図、図5は図4に示した文字盤照明装置における光源用開口の配列を示すケース底壁の正面図である。また、図6は、光源用開口の配列の比較例として、正方形の光源用開口を、文字盤における文字列延在方向に対して45度傾斜させた向きに設定したケース底壁の正面図である。
【0033】
帯状の文字盤10は、図3及び図4に示すように、文字列11を付与した文字板10aと、文字板10aの下に積層される意匠板10bと、意匠板10bの下に積層される拡散板10cとの3層構造になっている。
拡散板10cは、後述の文字盤照明装置80から照射された照明光を、意匠板10bに均質に拡散して照射する。
【0034】
文字盤照明装置80は、帯状の文字盤10の裏に配置されて、帯状の文字盤10の照明を行う装置である。
この文字盤照明装置80は、ケース81と、複数個の光源用開口91と、数個の光源94とを、備えている。
【0035】
ケース81は、文字盤10上に帯状に配列された文字列11に対向する底壁81aと、この底壁81aの両側に立設された側壁81bとで、略コ字状の断面形状を形成した筐体で、底壁81aに対向する開口部が帯状の文字盤10によって覆われるように、文字盤10の裏に配置される。
【0036】
複数個の光源用開口91は、底壁81a上に、文字列11に沿う方向に間隔を開けて形成されている。
本実施形態の場合、光源用開口91は、図5にも示すように、形状が略菱形で、且つ、一方の対角線91aの方向を文字列11の延在方向(即ち、帯状の文字盤10における線形12の方向で、図5に示す矢印Y1方向)に一致させて配列している。
【0037】
また、本実施形態の場合、光源用開口91は、4つの内角が全て等しい(直角な)4角形で、所謂、正方形になっているが、内角が直角ではない一般的な菱形状としても良い。
【0038】
光源94は、光源用開口91の中心にそれぞれに1つずつ取り付けられて、照明光を出射する。光源94には、例えば、LED(発光ダイオード)が好適である。光源94は、図3に示すように、底壁81aの裏面に固定される配線基板96に固定されていて、配線基板96上のプリント回路から給電される。
【0039】
図5に示した光源用開口91の配列では、隣接する光源用開口91間には、ハッチングをして示した領域S1が、光源94から出射された照明光を帯状の文字盤10側に反射する反射面82となる。
【0040】
図6は、光源用開口91の向きが変わると、反射面82になる領域が変化することを示すために開示した比較例を示している。
図6に示したケース81の場合は、底壁81aに形成する光源用開口91は、形状が正方形で、且つ、一方の対角線91aの方向を文字列11の延在方向(即ち、図6に示す矢印Y2方向)に対して45度傾斜させた向きに配列している。
この場合は、隣接する光源用開口91間に確保される反射面82は、図6にハッチングをして示した領域S2となり、図5に示した領域S1よりも小さくなってしまう。
【0041】
以上に説明した一実施形態の文字盤照明装置80では、図6に示したように光源用開口91は形状が正方形で、且つ、対角線91aの方向を文字列11延在方向に対して45度傾斜させた向きに配列した場合と比較すると、隣接する光源用開口91間における反射面82の面積を増加させることができる。そして、増加した反射面82における反射・拡散作用によって文字盤10上へ照射される光量の増加と、均等化とを図ることができ、文字盤10上における輝度ムラを減少させると共に、文字盤10上の輝度を向上させることができる。
従って、光源94の数量の増加等に頼らずに、高輝度で、且つ輝度ムラのない高品位な文字盤照明を実現することができる。
【0042】
なお、本発明の文字盤照明装置は、前述した実施形態に限定されるものでなく、適宜な変形、改良等が可能である。
例えば、帯状の文字盤は、実施形態の線形に限るものではなく、例えば、高速側が上方に立ち上がるような曲線状、或いは、法定速度部分にピークを持つ曲線状など、種々の形態に設定することができる。
更に、本発明の文字盤照明装置は、図7に示したような円盤形の文字盤に対する照明にも利用することができる。
【符号の説明】
【0043】
1 速度計(自動車用計器)
10 文字盤
11 文字列
11a 目盛
11b 速度値
12 線形
13 帯状域
20 指針部材
30 ガイドレール
40 針駆動装置
41 線条体
42 始端側リール
43 終端側リール
50 針格納カバー
60 見返し
80 文字盤照明装置
81 ケース
81a 底壁
91 光源用開口
91a 対角線
94 光源
P2 待機位置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車用計器における文字盤の裏に配置されて、前記文字盤上に帯状に配列された文字列に対向する底壁を有したケースと、
前記底壁上に、前記文字列に沿う方向に間隔を開けて形成された複数個の光源用開口と、
前記複数個の光源用開口のそれぞれに取り付けられて照明光を出射する複数個の光源と、
を備えた文字盤照明装置であって、
前記光源用開口は、形状が略菱形で、且つ、一方の対角線の方向を前記文字列の延在方向に一致させて配列したことを特徴とする特徴とする文字盤照明装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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