説明

文字表示装置及び文字表示方法

【課題】2バイト以上の文字コードに対応したCCデータに基づいて、多言語のクローズドキャプションを表示することが可能な文字表示装置及び文字表示方法を提供する。
【解決手段】映像データの所定期間に、1バイトの制御コード及び2バイトのUnicodeを1バイト毎に分割した分割文字コードを備えたCCデータが、重畳された映像信号を受け付ける信号入力部31と、映像信号から、複数のCCデータを分離するCCデータ分離部35と、各CCデータから分割文字コードを抽出し、2つの分割文字コードを組み合わせてUnicodeを取得するCUP20と、Unicodeに対応するOSD画像データを生成するOSD表示制御部39と、OSD画像データを投写する投写光学系13と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クローズドキャプションを表示することが可能な文字表示装置及び文字表示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
米国のテレビ放送では、クローズドキャプションと呼ばれる字幕情報が垂直帰線期間等を利用してビデオ信号に挿入され、放送波として送信されている。放送波を受信したテレビ受信機はこの字幕情報をビデオ信号から分離し、ビデオ信号の有効走査線期間において得られる画像情報と一緒に表示する。
【0003】
また、映画等のコンテンツを収録したDVDやビデオテープのような記録媒体については、字幕情報がビデオ信号に挿入され、記録媒体に記録されている。ビデオ再生装置はこの記録媒体から再生されるビデオ信号から字幕情報を分離し、ビデオ信号から得られる画像情報と一緒に出力する。
【0004】
特許文献1には、クローズドキャプションデータとして、映像信号の各フィールドの垂直帰線期間において例えば21番目の走査線に、16ビット(2文字分)の文字情報等を重畳させることが記載されている。また、クローズドキャプション対応のテレビジョン受信装置やビデオテープレコーダーには、クローズドキャプション用のデコーダーを備えており、このデコーダーによって映像信号に多重されたクローズドキャプションデータを抽出し、対応する文字コードのキャラクター信号を生成して表示映像にスーパーインポーズ表示することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平2002−325218号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したように、従来のクローズドキャプションデータ(以下、「CCデータ」と記載する。)は、映像信号の例えば21番目の走査線に、16ビット、すなわち2バイト分のデータとして重畳されている。2バイトのうちファーストバイトに制御コードが、セカンドバイトに文字コードが含まれている。このため、クローズドキャプションには1バイトで表現できる文字コードが採用されている。
【0007】
1バイトで表現できる文字コードの具体例としては、ASCII(American Standard Code for Information Interchange)コードが挙げられる。ASCIIコードは、数字、アルファベット、特定の記号に対応しているものの、日本語における漢字のように英語以外の他の言語で使用する文字には対応していない。したがって、CCデータは英語圏のデータには対応しているものの、その他の言語には対応できていなかった。
【0008】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであって、2バイト以上の文字コードに対応したCCデータに基づいて、多言語のクローズドキャプションを表示することが可能な文字表示装置及び文字表示方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決することのできる本発明の文字表示装置は、1バイトの制御コードと、2バイト以上の文字コードを1バイト毎に分割した分割文字コードと、を含む制御データが映像データに重畳された入力信号を受け付ける入力部と、前記入力信号から、前記制御データを分離するデータ分離部と、前記入力信号から分離された前記制御データから、前記分割文字コードを抽出する分割文字コード抽出部と、前記抽出された分割文字コードに基づき前記文字コードを生成する文字コード生成部と、前記文字コードに対応する画像データを生成する画像データ生成部と、前記画像データを表示する表示部と、を有することを特徴とする。
上記構成によれば、2バイト以上の文字コードを、1バイト毎に分割した分割文字コードとして受信すると、その分割文字コードを2以上組み合わせて、2バイトの文字コードを取得する。つまり、2以上の分割文字コードに基づいて、分割前の2バイト以上の文字コードを復元することができる。したがって、2バイト以上を要する文字コードに対応した、多言語のクローズドキャプションを表示することが可能となる。
【0010】
また、本発明の文字表示装置において、前記制御コードは、前記分割文字コードの転送開始と転送終了を示すコードを含むことが好ましい。
上記構成によれば、制御コードを解析すれば、分割文字コードの転送開始と転送終了を認識することができる。これにより、全ての制御データについて分割文字コードを抽出する処理を行う必要がなく、実際に分割文字コードを含む制御データについてのみ上記処理を実行することができる。
【0011】
また、本発明の文字表示装置において、前記制御コードは、前記分割文字コードをメモリーに書き込む際の書き込み方式を指定するコードを含むことが好ましい。
書き込み方式としては、2バイト以上の制御データを1バイト毎に分割して最上位のバイトから順番にメモリーに書き込むビッグエンディアン、最下位のバイトから順番にメモリーに書き込むリトルエンディアンがある。上記構成によれば、何れの方式によってメモリーにデータを書き込むかを自由に設定することができる。したがって、各装置が備えるメモリーに対応した書き込み方式を設定することができる。
【0012】
また、本発明の文字表示装置において、前記制御コードは、前記分割文字コードのヘッダーを示すコードであることが好ましい。
上記構成によれば、分割文字コードを含む制御データか否かを容易に判定することができる。これにより例えば、分割文字コードの転送開始から転送終了までの間に、分割文字コードのヘッダーを示す制御コードが含まれていない制御データを受信した場合は、エラーを表示する等の対応が可能となる。
【0013】
また、本発明の文字表示装置において、前記文字コードは、Unicodeであることが好ましい。
上記構成によれば、Unicodeに対応した文字を表示することができる。Unicodeは、1つの文字を16ビット(2バイト)で表現するため、世界の主要な言語のほとんどの文字を表現することができる。したがって従来のように、1バイトで表現されるASCII文字に限定されることなく、多言語に対応したクローズドキャプションを表示することが可能となる。
【0014】
また、上記課題を解決することのできる本発明の文字表示方法は、1バイトの制御コードと、2バイト以上の文字コードを1バイト毎に分割した分割文字コードと、を含む制御データが映像データに重畳された入力信号を受信するステップと、前記入力信号から、前記制御データを分離するステップと、前記入力信号から分離された前記制御データから、前記分割文字コードを抽出するステップと、前記抽出された分割文字コードに基づき前記文字コードを生成するステップと、前記文字コードに対応する画像データを生成するステップと、前記画像データを表示するステップと、を有することを特徴とする。
上記構成によれば、2以上の分割文字コードに基づいて、分割前の2バイト以上の文字コードを復元することができる。したがって、2バイト以上を要する文字コードに対応した、多言語のクローズドキャプションを表示することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本実施形態のプロジェクターの内部構成を示すブロック図である。
【図2】本実施形態における制御コードの一例を示した図である。
【図3】本実施形態における文字コードの符号化方法を示した図である。
【図4】本実施形態において投写させる用字と文字コードとの対応表を示した図である。
【図5】本実施形態の文字表示方法を説明するためのフローチャートである。
【図6】本実施形態の映像信号の一例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係る文字表示装置及び文字表示方法の好適な実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。以下の実施形態では、文字表示装置として、映像とともにクローズドキャプションを表示することができるプロジェクターを例として説明する。
【0017】
(プロジェクターの内部構成について)
まず、本実施形態のプロジェクターの内部構成について図1を参照して説明する。
図1に示すように、プロジェクター1は、ランプ駆動部10と、光源であるランプ11と、光変調手段である液晶ライトバルブ12R,G,Bと、投写光学系13と、液晶ライトバルブ駆動部14と、CPU20と、RAM21と、ROM23と、信号入力部31と、同期信号分離部33と、CCデータ分離部35と、映像処理部37(A/D変換部)と、OSD表示制御部39と、フォントテーブル40と、を備えている。
【0018】
ランプ駆動部40は、ランプ11を点灯又は消灯させる点灯手段であり、例えばランプ11が高圧放電灯の場合には、始動電圧を印加する点灯回路や、適正なランプ電流を供給する安定器などにより構成される。
【0019】
なお、本実施形態では、光源としてランプ11を用いたが、本発明はこれに限らず、LED光源やレーザー光源など任意の光源を用いても良い。
【0020】
不揮発性の記憶部であるROM23には、プロジェクター1の各種動作を制御するための制御プログラム、設定メニュー、台形歪補正量の表示などのOSD映像を生成するためのOSD情報を記憶するとともに、プロジェクター1の各種設定値等が記憶されている。RAM21は、CPU20が各種演算を行なう際に直接アクセスすることができる主記憶部である。CPU20は、ROM23に記憶された制御プログラム等を実行して、プロジェクター1の動作を統括制御し、各部から入力される各種データを演算するとともに、演算結果を各部に出力する。
【0021】
投写光学系13(表示部)は投写レンズ5を有している。プロジェクター1は、信号入力部31に入力される映像信号(入力信号)に応じた映像光を投写し、投写レンズ5を介して、スクリーン、白壁又はホワイトボード等の被投写体(以下、本実施形態では「スクリーンSC」という。)に拡大して投写する。
【0022】
液晶ライトバルブ駆動部14は、入力されたRGB信号に応じて、液晶ライトバルブ12R,12G,12Bを駆動する。各液晶ライトバルブ12R,G,Bは、マトリクス状の複数の画素を備えている。この複数の画素に光学像が形成される。液晶ライトバルブ駆動部14により各画素の透過率が調整されることにより、ランプ11から射出され、色光分離光学系によって各色光に分離された、R(赤)、G(緑),B(青)の各色光を対応する液晶ライトバルブ12R,G,Bによって変調する。液晶ライトバルブ12R,G,Bから射出される映像光は、クロスダイクロイックプリズムなどの合成光学系により合成され、投写光学系13の投写レンズ5によってスクリーンSC上に拡大投写される。
【0023】
本実施形態の信号入力部31は、NTSC(National Television System Committee)方式のアナログの映像信号の入力を受け付ける。なお、映像信号には、CCデータが含まれている。具体的には、映像信号の各フィールドの垂直帰線期間に、例えば21番目の走査線に、1バイトの制御コード及び2バイトの文字コードを1バイト毎に分割した分割文字コードを備えた制御データとして、重畳されている。つまり、各CCデータは、1バイトの制御コード及び1バイトの分割文字コードからなる合計16ビットの制御データである。2バイトの文字コードの具体例としては、Unicodeがある。
【0024】
また映像信号には、画像を描画する際に垂直方向のタイミングを計るための信号(垂直同期信号)や、水平方向のタイミングを計るための信号(水平同期信号)が含まれており、同期信号分離部33は、映像信号からこれらの同期信号を分離し抽出する。
【0025】
CCデータ分離部35(データ分離部)は、同期信号分離部33が分離した垂直同期信号に同期して、映像信号からCCデータを分離する。CCデータ分離部35は、CCデータ用バッファ35aを備えており、映像信号から分離されたCCデータはCCデータ用バッファ35aに一時的に保存される。
【0026】
映像処理部37は、信号入力部31から入力されたアナログの映像信号をデジタル信号に変換するA/D変換部である。また、映像処理部37は、色信号及び輝度信号を含む映像信号を、光の三原色(赤、緑、青)に対応したRGB形式の映像信号へ変換したり、インターレース走査信号をプログレッシブ走査信号の映像信号に変換する。インターレース走査方式は、1フレームを奇数フィールドと偶数フィールドに分け、それぞれ1本おきに走査して毎秒60フィールド、つまり毎秒30フレームを伝送する方式である。
【0027】
これに対して、プログレッシブ走査方式は、1本おきに走査することなく順に走査するため、インターレース走査方式のように奇数フィールドと偶数フィールドのように分離することがない。本実施形態のプロジェクター1は液晶ライトバルブ12R,G,Bを採用しており、固定画素に光学像を形成するため、1枚のプログレッシブ信号に変換する必要がある。
【0028】
OSD表示制御部39(画像データ生成部)は、CPU20からの指示に応じてCCデータに含まれている分割文字コードを組み合わせてなる文字コードに対応するOSD画像データを生成する。OSD表示制御部39は、フォントテーブル40に基づいてOSD画像データを生成する。フォントテーブル40は、2バイトの文字コードであるUnicodeとフォントデータであるOSD画像データとの対応テーブルである。
【0029】
また、OSD表示制御部39は、生成したOSD画像データと、映像信号処理部37によって各種処理された映像信号と、を合成し、液晶ライトバルブ駆動部14へ出力する。
【0030】
CPU20は、垂直同期信号による割り込みに同期して、CCデータ用バッファ35aから順次CCデータを読み出して、RAM21に書き込む。そして、各CCデータに含まれる制御コードと分割文字コードを分離・抽出する。CPU20はRAM21にCCデータを2個書き込む毎に1つの文字コードを生成し、OSD表示制御部39を制御してOSD画像データを生成させる。つまり、分割文字コードは2バイトの文字コードを1バイト毎に分割したものであるため、CPU20はRAM21にCCデータを2個書き込むことで、2つの分割文字コードを組み合わせ、2バイトの文字コードを生成する。生成される文字コードは、1バイト毎に分割される前の文字コードと一致する。したがって、CPU20は、分割文字コード抽出部および文字コード生成部として機能する。
【0031】
次に、CCデータのデータ構造について説明する。上述したように、各CCデータは、1バイトの制御コード及び2バイトのUnicodeで符号化された文字コードを1バイト毎に分割した分割文字コードを備えている。本実施形態では、2バイトの文字コードを転送するために利用する制御コードとして[0x0200],[0x0400],[0x1000],[0x1E00]が割り当てられている。ここで、ブラケット記号[]で囲まれた0xで始まる数値を、16進数の整数とする。
【0032】
図2は、本実施形態における制御データの一例である。例えば、制御データが[0x10XX]の場合は、2バイトの文字コードが1バイト毎に分割された分割文字コードの転送開始を表す。つまり、[0x10]は、分割文字コードの転送開始を示す制御コードである。なお、[0x10]で始まる制御データのセカンドバイト(下位バイト)のXXは、Don’t careを表す記号である。すなわち、制御データの上位バイトに[0x10]が含まれていれば、下位バイトに関係なく分割文字コードの転送開始を指定する。
【0033】
また、制御データが[0x02XX]の場合はRAM21にデータを書き込む際の書き込み方式(エンディアン)を指定する。つまり、[0x02]は、RAM21に分割文字コードを書き込む際の書き込み方式を指定する制御コードである。例えば、本実施形態のプロジェクター1にデフォルトとしてビッグエンディアンが設定されている。エンディアンの設定を変更する場合は、下位バイトに[0x01]を含める、すなわち制御データを[0x0201]とすることにより、ビッグエンディアンからリトルエンディアンへ設定が変更される。
【0034】
また、制御データが[0x1EXX]の場合は、分割文字コードの転送終了を表す。つまり、[0x1E]は、分割文字コードの転送終了を示す制御コードである。なお、[0x1E]で始まる制御データのセカンドバイト(下位バイト)のXXは、Don’t careを表す記号である。すなわち、制御データの上位バイトに[0x1E]が含まれていれば、下位バイトに関係なく分割文字コードの転送終了を指定する。
【0035】
なお、分割文字コードを転送するには、1バイトの文字コードヘッダー[0x04]と、1バイトの分割文字コードとに基づいて生成される2バイトの制御データを送信する。ここで、文字コードヘッダーの最下位ビットは、転送する分割文字コードの最上位ビットを表すものとする。図3は、本実施形態における文字コードの符号化方法を示す図である。値が[0x7F]以下である分割文字コードの最上位ビットは0なので、制御データのファーストバイトすなわち文字コードヘッダーは、[0x04]となる(図3(a)参照)。一方、値が[0x80]以上である分割文字コードの最上位ビットは1なので、制御データのファーストバイトすなわち文字コードヘッダーは[0x05]となる(図3(b)参照)。要するに、制御データは、分割文字コードの最上位ビットの情報を、ファーストバイトの最下位ビットで表現する。なお、図3に示すように、分割文字コードの最上位ビットは0に置換されて、制御データのセカンドバイトを構成する。例えば、Unicode[0x30CF](対応する文字は[ハ])を転送するには、制御データとして[0x0430](下位バイトは文字コードの上位バイトである0x30)と、[0x054F](下位バイトは文字コードの下位バイトである0xCFの最上位ビットを落とした0x4F)と、をそれぞれ生成すればよい。このような制御データを受け取ったプロジェクター1は、制御データのセカンドバイトの最上位ビットを、制御データのファーストバイトの最下位ビットと差し替えることによって、元の分割文字コードを得ることができる。
【0036】
<文字表示方法について>
次に、本実施形態のプロジェクター1による文字表示方法について図5及び6を参照して説明する。以下では、クローズドキャプションとして投写する文字列として「本日ハ晴天ナリ」を例として挙げる。以下では、前述の文字列をUnicodeで符号化したCCデータを含む映像信号を受信した場合に、プロジェクター1がどのようにクローズドキャプションとして投写するのかを説明する。
【0037】
なお、図4に示すように文字列の各用字に対応する文字コードは、[本]→[0x672C]、[日]→[0x65E5]、[ハ]→[0x30CF]、[晴]→[0x6674]、[天]→[0x5929]、[ナ]→[0x30CA]、[リ]→[0x30EA]である。
【0038】
まず、信号入力部31に映像信号の入力があると(ステップS11:Yes)、同期信号分離部33は、映像信号から垂直同期信号及び水平同期信号を分離し、抽出する(ステップS13)。さらに、CCデータ分離部35が映像信号からCCデータを分離し、CCデータ用バッファ35aに抽出する(ステップS15)。なお、CCデータ分離部35で分離されたCCデータのファーストバイトが[0x02]である場合は、セカンドバイトの値に応じて、エンディアンを設定する。本実施形態においては、RAM21へのデータ書き込みはデフォルトのままビッグエンディアン方式によって行なう。
【0039】
映像信号には、各フィールド間の垂直帰線期間を利用してCCデータが重畳されている。具体的には、図6に示すように、映像信号のNフィールドとN+1フィールドの間にはCCデータ[0x1000]が、N+1フィールドとN+2フィールドの間にはCCデータ[0x0467]が、N+2フィールドとN+3フィールドの間にはCCデータ[0x042C]が、N+3フィールドとN+4フィールドの間にはCCデータ[0x0465]が、N+4フィールドとN+5フィールドの間にはCCデータ[0x0565]が、N+5フィールドとN+6フィールドの間にはCCデータ[0x0430]が、N+6フィールドとN+7フィールドの間にはCCデータ[0x054F]が、N+7フィールドとN+8フィールドの間にはCCデータ[0x0466]が、N+8フィールドとN+9フィールドの間にはCCデータ[0x0474]が、N+9フィールドとN+10フィールドの間にはCCデータ[0x0459]が、N+10フィールドとN+11フィールドの間にはCCデータ[0x0429]が、N+11フィールドとN+12フィールドの間にはCCデータ[0x0430]が、N+12フィールドとN+13フィールドの間にはCCデータ[0x054A]が、N+13フィールドとN+14フィールドの間にはCCデータ[0x0430]が、N+14フィールドとN+15フィールドの間にはCCデータ[0x056A]が、N+15フィールドとN+16フィールドの間にはCCデータ[0x1E00]が、重畳されている。
【0040】
CPU20は、CCデータ用バッファ35aからCCデータを読み出して解析する。初めに、CCデータ[0x1000]を読み出してRAM21に書き込むと、ファーストバイトの制御コードが[0x01]であるため、CPU20は2バイトの文字コードの転送開始を認識する。
【0041】
そして、CPU20は次のCCデータ[0x0467]をRAM21に書き込む。ファーストバイトの最下位ビットを除く制御コードが[0x04]であるため、CPU20は読み出した制御コードが文字コードヘッダーであると判定し、2つ目のCCデータ[0x042C]を読み出してRAM21に書き込む。そして、各CCデータから分割文字コードであるセカンドバイトをそれぞれ抽出し、さらに、抽出したセカンドバイトの最上位ビットを、制御コードすなわち文字コードヘッダーの最下位ビットに置換する(ステップS17)。この場合、それぞれのCCデータのセカンドバイト([0x67]および[0x2C])の最上位ビットは、いずれも制御コードの最下位ビットである0に置換される。つづいて、[0x67]及び[0x2C]を組み合わせて、2バイトの文字コード[0x672C]を生成する(ステップS19)。
【0042】
CPU20は、生成した文字コード[0x672C]に対応するOSD画像データを生成するようOSD表示制御部39へ指示し、OSD表示制御部39は、フォントテーブル40を参照して文字コード[0x672C]に対応するフォントデータ[本]を生成する(ステップS21)。さらに、OSD表示制御部39は、映像処理部37によってA/D変換後の映像データにOSD画像データを合成し、液晶ライトバルブ14へ出力する(ステップS23)。
【0043】
なお、NTSC方式の映像信号は毎秒30フレーム、つまり毎秒60フィールドの映像信号を送出する。CPU20は、2バイトの文字コードの転送終了を示すCCデータ[0x1E00]を受信するまで、フィールド間に挿入されて順次転送されるCCデータを読み出し、分割文字コードを抽出し、2つの分割文字コードから1つの文字コードを取得し、OSD画像データを生成する。
【0044】
同様の手順で、CPU20は、CCデータ[0x0465]からセカンドバイト[0x65]を抽出し、その最上位ビットを制御コード[0x04]の最下位ビットである0と置換することによって分割文字コード[0x65]を得るとともに、続く制御データ[0x0565]からセカンドバイト[0x65]を抽出し、その最上位ビットを制御コード[0x05]の最下位ビットである1と置換することによって分割文字コード[0xE5]を得る。このようにして生成された分割文字コードを組み合わせて1つの文字コード[0x65E5]を取得し、文字コード[0x65E5]に対応するフォントデータ[日]を生成する。また、CCデータ[0x0430]及び[0x054F]から文字コード[0x30CF]を取得し、文字コード[0x30CF]に対応するフォントデータ[ハ]を生成する。また、CCデータ[0x4066]及び[0x4074]から文字コード[0x6674]を取得し、文字コード[0x6674]に対応するフォントデータ[晴]を生成する。また、CCデータ[0x0459]及び[0x0429]から文字コード[0x5929]を取得し、文字コード[0x5929]に対応するフォントデータ[天]を生成する。また、CCデータ[0x0430]及び[0x054A]から文字コード[0x30CA]を取得し、文字コード[0x30CA]に対応するフォントデータ[ナ]を生成する。また、CCデータ[0x0430]及び[0x056A]から文字コード[0x30EA]を取得し、文字コード[0x30EA]に対応するフォントデータ[リ]を生成する。
【0045】
上述したように、生成された各フォントデータ「本日ハ晴天ナリ」は、OSD表示制御部39によって、映像データに合成され、液晶ライトバルブ14へ出力される。液晶ライトバルブ14は、液晶ライトバルブ12R,G,Bに光学像を形成し、投写光学系13によってスクリーンSCに拡大投写される。
【0046】
このように、本実施形態のプロジェクター1は2バイトの文字コードを、1バイト毎に分割した分割文字コードとして受信すると、その分割文字コードを2つ組み合わせて、2バイトの文字コードを取得する。つまり、1バイト毎に分割された情報に基づいて、分割前の2バイトの文字コードを復元することができる。したがって、本実施形態のプロジェクター1によれば2バイトのUnicodeに対応した、多言語のクローズドキャプションを表示することが可能となる。
【0047】
また、CPU20がCCデータに含まれる制御コードを解析すれば、分割文字コードの転送開始と転送終了を認識することができる。これにより、全てのCCデータについて分割文字コードを抽出する処理を行う必要がなく、実際に分割文字コードを含むCCデータについてのみ上記処理を実行することができる。
【0048】
また、ビッグエンディアンやリトルエンディアンの何れの方式によってRAM21にデータを書き込むかを自由に設定することができる。したがって、プロジェクター1が備えるRAM21に対応する書き込み方式を設定することができる。
【0049】
また、CCデータに含まれる制御コードを解析すれば、分割文字コードを含むCCデータか否かを容易に判定することができる。例えば、分割文字コードの転送開始から転送終了までの間に、分割文字コードのヘッダーを示す制御コードが含まれていないCCデータを受信した場合は、エラーを表示する等の処理を行ってもよい。
【0050】
また、Unicodeに対応した文字を表示することができる。Unicodeは、1つの文字を16ビット(2バイト)で表現するため、世界の主要な言語のほとんどの文字を表現することができる。したがって従来のように、1バイトで表現されるASCII文字に限定されることなく、多言語に対応したクローズドキャプションを表示することが可能となる。
【0051】
なお、上記実施形態では、文字コードとして2バイト構成のUnicodeを例示して説明したが、2バイトを超える拡張された文字コードにも適用することができる。また、Unicodeのように多言語を表現する文字コードに限定されることなく、特定の言語をマルチバイトで表現する文字コードに適用することもできる。さらに、転送可能な文字コードは固定長の符号に限定されない。これから転送する文字コードの符号長に対応する転送開始コードを追加することによって、可変長の文字コードに対応させることができる。また、これから転送する文字コードの符号長を表す制御コードを追加することによって、可変長の文字コードに対応させることができる。
【0052】
上述した上記実施形態では、光源からの光を光変調部である液晶ライトバルブ12R,G,Bによって変調し投写する液晶ライトバルブ方式のプロジェクターを例示したが、本発明はその他の方式を採用するプロジェクターにも適用することもできる。具体的には、DMD(Digital Micro mirror Device)を用いた投写方式、所謂、DLP(Digital Light Processing)(登録商標)方式である。すなわち、DLP方式は白色に光るランプの光をレンズで集光してDMDに当て、DMDの個々のミラーがオン状態に傾いているときの光を他のレンズで拡大し、スクリーンに投影する方式であり、本発明はこのような方式のプロジェクターにも適用することができる。
【0053】
また、上記実施形態では文字表示装置としてプロジェクター1を例示したが、プロジェクター1に限定されない。例えば、映像信号を受信して表示することができる、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイのような表示装置一般にも適用することができる。
【符号の説明】
【0054】
1:プロジェクター、10:ランプ駆動部、11:ランプ、12R,G,B:液晶ライトバルブ、13:投写光学系(表示部)、14:液晶ライトバルブ駆動部、20:CPU(文字コード取得部)、21:RAM、23:ROM、31:信号入力部(入力部)、33:同期信号分離部、35:CCデータ分離部(データ分離部)、35a:CCデータ用バッファ、37:映像処理部、39:OSD表示制御部(画像データ生成部)、40:フォントテーブル、SC:スクリーン。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1バイトの制御コードと、2バイト以上の文字コードを1バイト毎に分割した分割文字コードと、を含む制御データが映像データに重畳された入力信号を受け付ける入力部と、
前記入力信号から、前記制御データを分離するデータ分離部と、
前記入力信号から分離された前記制御データから、前記分割文字コードを抽出する分割文字コード抽出部と、
前記抽出された分割文字コードに基づき前記文字コードを生成する文字コード生成部と、
前記文字コードに対応する画像データを生成する画像データ生成部と、
前記画像データを表示する表示部と、を有することを特徴とする文字表示装置。
【請求項2】
請求項1に記載の文字表示装置であって、
前記制御コードは、前記分割文字コードの転送開始と転送終了を示すコードを含むことを特徴とする文字表示装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の文字表示装置であって、
前記制御コードは、前記分割文字コードをメモリーに書き込む際の書き込み方式を指定するコードを含むことを特徴とする文字表示装置。
【請求項4】
請求項1〜3の何れかに記載の文字表示装置であって、
前記制御コードは、前記分割文字コードのヘッダーを示すコードであることを特徴とする文字表示装置。
【請求項5】
請求項1〜4の何れかに記載の文字表示装置であって、
前記文字コードは、Unicodeであることを特徴とする文字表示装置。
【請求項6】
1バイトの制御コードと、2バイト以上の文字コードを1バイト毎に分割した分割文字コードと、を含む制御データが映像データに重畳された入力信号を受信するステップと、
前記入力信号から、前記制御データを分離するステップと、
前記入力信号から分離された前記制御データから、前記分割文字コードを抽出するステップと、
前記抽出された分割文字コードに基づき前記文字コードを生成するステップと、
前記文字コードに対応する画像データを生成するステップと、
前記画像データを表示するステップと、を有することを特徴とする文字表示方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−188067(P2011−188067A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−48846(P2010−48846)
【出願日】平成22年3月5日(2010.3.5)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】