説明

文書と物品の認証のための方法及び装置

【解決手段】本発明は、視角依存光反射スペクトルを呈するマーキング(M)の付いた文書、有価物品又はパッケージングを認証するための方法及び装置を開示している。認証方法は、マーキングが、異なるスペクトル特性を有する光による順次的広角度照射に応答して少なくとも2つの異なる視角で反射する光の強度の測定と、測定された強度値と対応する基準値の比較とに基づいている。認証装置(1)は、スペクトル特性が異なる少なくとも2つの光源(4)と、広角度照射光学系(3)と、前記マーキングによって少なくとも2つの異なる視角で反射された光を収集する少なくとも2つの光電検出器(5)とを有している。認証装置は、更に、基準品目の一組の反射強度値を測定して記憶するためのプログラムされた「学習モード」と、認証対象品目の対応する一組の強度値を測定し、それを、先に記憶されている一組の基準値と比較して、試験結果を導き出して標示するためのプログラムされた「試験モード」とを有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、視角依存光反射スペクトルを呈するマーキングの付いた機密文書、有価物品又はパッケージングの信憑性を判断するための方法及び対応する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
機密文書と有価物品は、特別な物理的又は化学的特性(保安的特徴)を示す材料を使ってマーキングされており、前記特性の存在を検出することによってマーキング付き品目の認証が行われる。
【0003】
機密文書又は有価物品にマーキングする一般的な方法は、証印という形態が必要な場合に、1つ又は複数のマーキング材料を、後で前記文書又は物品に塗布される印刷インク又はコーティング組成物に組み込むことである。品物にマーキングする別の方法は、1つ又は複数のマーキング材料を、品物の本体(プラスチック、紙、液体など)に組み込むことである。
【0004】
保安的特徴として用いられている物理的特性は、例えば、US3,473,027;US3,412,245;US3,582,623;US3,663,813;US3,650,400;US3,566,120;US3,455,577及びUS4,202,491に開示されているような、紫外線(UV)、可視光線及び赤外線(IR)の波長範囲内での著しい選択的スペクトル光吸収性、並びに即発及び遅発性紫外線、可視光線及び赤外線の発光である。例えば光学手段を使い非接触検出によって個々にマーキングを読み取ることのできる保安的特徴は、常に好適な選択肢として認識されてきた。
【0005】
視角依存光反射スペクトル(「光学可変装置」、OVD)を呈するマーキングは、銀行紙幣及び機密文書への有効な複写防止手段として用いられている。OVDの中でも、光学可変インク(OVI;EP 227,423 B1)は、1987年に初めて通貨の背景に導入されて以来、傑出した地位を保持している。その様なインクは、光学可変色素(OVP)をベースにして調合されるが、好適な型式のOVPは、US4,705,300;US4,705,356;US4,721,217;US4,779,898;US4,930,866;US5,084,351及び関連開示物に記載されている薄片状の薄膜光学干渉装置である。他の有用な型式のOVPとしては、US5,624,486とUS5,607,504に記載されている多重被覆粒子がある。
【0006】
更に別の有用な型式の光学可変色素は、コレステリック(即ちキラル・ネマチック)液晶材料の薄膜を光重合し、次いでポリマーの膜を、US5,807,497とUS5,824,733に記載されている様な色素に粉砕することによって得られる。前記液晶ベース(LC−)の色素は、EP 899,119 B1に開示されているように、その内部キラリティ次第で、右側又は左側何れかの円偏光を選択的に反射する追加的特性を有している。LC−色素は、右側又は左側何れかのキラリティに作ることができるので、LC−色素からの反射光の円偏向感知は、付加的な秘密の保安的特徴を文書又は品物に付与するのに利用することができる。
【0007】
更に別の型式の光学可変装置は、例えば、文書又は品物に貼り付けられる金属ポリマー箔の上に付けられる、エンボス加工されたホログラム又は同様の装置の形態をした回折格子をベースにして実現することができる。前記エンボス加工されたポリマー箔は、色素に粉砕して、コーティング組成物の「光沢材」として使用することもできる。更に別の、効率が幾分劣る方法では、回折格子が、事前成形された色素寸法の金属(アルミニウム)の薄片にエンボス加工される。これら全ての実施形態で、必要な回折格子構造は、回折光、即ち、典型的には、1mm当たり2,000又はそれ以上の線に相当する300−500ナノメーターの波長に匹敵する線間隔を有している。
【0008】
光学可変色素、インク及び印刷された特徴、並びに光学回折装置は、少なくとも2つの異なる視角に対するそのスペクトル反射特性を評価することによって識別することができる。そのような情報は、一般的に、ゴニオ分光計(例えばZeiss製)を使えば、R.MaischとM.Weigandによる「Perlglanzpigmente」、第2版(Die Bibliothek der Technik、第56巻、Verlag Modern Industrie AG、ランズバーグ/レッヒ、1992年)に記載されているように、研究室で得ることができ、同文献を、参考文献としてここに援用する。ゴニオ分光計は、照射角度とスペクトル分析角度のどの様な組み合わせの下でも、サンプルを研究することができる。
【0009】
好適な技術では、分光計の使用を避け、US4,204,765に開示されている連続カラーLED照射技法を適用することによって、検出器コストを低く抑えている。この文書は、上にカラーインプリントが施された領域を有する紙のような、カラー付保全性を試験するための装置について述べている。それぞれが異なる波長範囲の光を発する複数の発光ダイオード(LED)が、前記紙の上の、多かれ少なかれ入射光を反射する決められた領域を順次照らす。単一の光電検出器は、紙が反射した光を受け取り、受け取った光の強さに対応する電気信号を送る。様々なLEDに対して測定された信号を所定の基準値と比較して、前記紙の信憑性に関する指標が送られる。
【0010】
US4,204,765に開示されている技術は、低コストの装置には良く対応しているが、その観察角度が1つに設計されているため、光学可変性の保安的特徴には適していない。
【0011】
有価文書、銀行紙幣などの上の光学可変性の特徴を自動検証するためのシステムが、WO 01/54077に開示されている。この開示によれば、光学可変性の特徴は、少なくとも第1及び第2光線で照射され、それから反射した光が、少なくとも第1及び第2観察角度について分析される。しかしながら、WO 01/54077に開示されている自動検証技術は、特に、低コストの自動読み取り装置への実際の適用を妨げる数多くの欠点を有している。
【0012】
WO 01/54077の技術の第1の欠点は、測定の幾何学的形状に結びついている。開示されている装置は、有向性光線を使って所定の入射角度で光学可変性の特徴を照射し、照射された特徴から、前記入射角度に対する所定の反射角度で反射された光をスペクトル分析する。光学可変性のインクでは、入射光線と反射光線は概ね鏡の法則に従い、即ち、入射角度と反射角度は逆方向にほぼ等しい。これは、入射角度と反射角度が一般的には互いに異なるホログラフィー回折格子に基づく光学可変装置の場合ではない。ハードウェアのレイアウトで入射角度と反射角度の両方を固定することによって、WO 01/54077のシステムは、そのシステムのために考案された所定のOVD型式の認証にしか使用できない。
【0013】
WO 01/54077の技術の第2の欠点は、使用する構成要素が本質的に費用が掛かることである。2つ又はそれ以上の異なる反射角度で集められた光を分析するのに、2つ又はそれ以上の分光計が必要なことに注目すべきである。分光計を含む認証装置のコストは、低コスト製品用の自動販売機での装置の使用を妨げることになる。
【0014】
WO 01/54077技術の第3の重大な欠点は、最終的に、小型化能力の欠如にある。注目すべきは、近俯角入射でのスペクトル反射データの分析では、測定条件の設定が物理的に拡張する結果になりがちなことである。このことは、厳しい空間的制約が課される自動販売機では、受容し難い制約になる。
【特許文献1】US3,473,027
【特許文献2】US3,412,245
【特許文献3】US3,582,623
【特許文献4】US3,663,813
【特許文献5】US3,650,400
【特許文献6】US3,566,120
【特許文献7】US3,455,577
【特許文献8】US4,202,491
【特許文献9】EP 227,423 B1
【特許文献10】US4,705,300
【特許文献11】US4,705,356
【特許文献12】US4,721,217
【特許文献13】US4,779,898
【特許文献14】US4,930,866
【特許文献15】US5,084,351
【特許文献16】US5,624,486
【特許文献17】US5,607,504
【特許文献18】US5,807,497
【特許文献19】US5,824,733
【特許文献20】EP 899,119
【特許文献21】US4,204,765
【特許文献22】WO 01/54077
【特許文献23】WO 01/60924
【特許文献24】WO 02/073250
【非特許文献1】R.Maisch、M.Weigand著「Perlglanzpigmente」、第2版(Die Bibliothek der Technik、第56巻、Verlag Modern Industrie AG、ランズバーグ/レッヒ、1992年)
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、文書又は品物、特に商業用物品パッケージング上の光学可変性特徴の認証のための、先行技術の欠点を克服している方法及び対応する装置について開示している。開示している装置は、小型化能力及びそのコストの低減に関して、特に、販売機、自動読み取り器、及び携帯型試験装置の用途に適している。更に、1つの同じハードウェア・レイアウトを使って、どの様な型式のOVDの認証にも広く適用できることを目指している。
【0016】
視角依存光反射スペクトルを呈するマーキングの付いた機密文書、有価物品又はパッケージングの様な品目の信憑性を判断するための装置は、
−前記マーキングを照射するための、異なるスペクトル特性を有する少なくとも2つの光源と、
−前記光源の光を前記マーキングに案内するための広角度照射光学系と、
−前記マーキングによって、少なくとも2つの所定の異なる観察角度で反射された光を収集し、収集された光の強度に対応する電気信号を送るための、随意の収集光学系を備えた少なくとも2つの光電検出器と、
−全て所定のアルゴリズムに従い且つ事前に確立された決定基準を使って、光源を制御し、反射された強度の値をデジタル化して記憶し、前記強度の値を予め記憶した対応する基準値と比較し、比較結果から信憑性の標識を導き出すのに適したアナログ対デジタル変換手段、処理手段、制御手段及び記憶手段と、を備えている。装置は、前記光源の光を前記マーキングに案内するための広角度照射光学系を備えていることを特徴としている。好適に、広角度照射光学系は、マーキングを、同時に、直交入射から俯角入射までの範囲の複数の入射角度で照射することができる。
【0017】
本発明によれば、光学可変装置(OCD)、即ち試験対象のマーキングは、比較的単純で低コストの広角度照射光学系によって照射される。前記広角度照射光学系には、異なる照射、即ち、スイッチが連続的にオンとオフに切り替えられる、LEDの様な複数のスペクトル的に異なる光源からの光、が供給される。従って、OVDは、全入射角度、即ち実質的に直交入射から俯角入射までの、継続的に変化するカラーの光を同時に受け取る。
【0018】
従って、全ての角度カラー識別は、専ら検出チェーンで実行され、OVDから反射された光は、2つ又はそれ以上の異なる所定の角度で集められ、その強度は、光電検出器によって対応する電気信号に変換される。この処理方法は、OVDが「光学可変インク」又は「回折格子」式であれば、本発明の装置を、全ての型式のOVDの認証に修正すること無く使用できるという利点を有している。
【0019】
本発明の広角度照射光学系は、1つ又は複数の所定の「点」光源の光によって、全入射角度で同時に表面の一部分を拡散照射することができる全ての種類の装置から選択することができる。広角度照射光学系装置は、当該技術では既知であり、例えば拡散器プレート、拡散照明球、非結像光学系要素などの形態で市販されている。本発明の関係で好適な広角度照射光学系装置は、R.Winstonらによる「非結像光学系に関する選択された文書」(SPIE出版MS106、1995年)に記載されているような複合型放物線状集光器(CPC、「光学受光角変成器」)である。
【0020】
複合型放物線状集光器(CPC)は、平行な軸を有し、2つの放物線要素の焦点(f、f)がそれぞれ他方の放物線要素上に在るように配置されている、2つの放物線要素(P1、P2、図1c)によって境界が定められている長手方向断面を特徴としている。CPCは、二次元のスラブ又は3次元の円錐(回転体)の形態に作ることができる。CPCは、内部反射する中空体、又は中実の誘電体の何れかとして作ることができ、後者の場合、その外側表面の一部に反射性コーティング又は鏡面が設けられることになる。
【0021】
CPCは、第1(A1)及び第2(A2)のアパーチャ領域と、出入りする光のための第1及び第2受光角を有しており、前記第1アパーチャ領域は広くて受光角は狭く、前記第2アパーチャ領域は狭くて受光角は広い。CPCの第1アパーチャ領域にその受光角内で入ってくる光は、CPCの第2アパーチャ領域からその受光角内で放射され、逆の場合もまた然りである。
【0022】
CPCに入ってくる光は、更に、CPCの前記第1アパーチャ領域の前方のどこに配置されている一つの光源でも、受光角の範囲内に含まれる全ての角度でCPCの第2アパーチャ領域全体を照射するようにかき混ぜられる。この様に、CPC、及びより一般的には適していればどの様な非結像光学系装置でも、第1の大きいアパーチャ領域の前方に配置されている複数のLEDの放射を、第2の小さいアパーチャ領域の前方に配置されているサンプルの半球形の散乱照射に変換するために巧く使用することができる。
【0023】
本発明によれば、CPC又は他の非結像光学系の要素は、アクリルガラス(PMMA)又は同様の光学ポリマーの様な中実の誘電性材料で作られるのが望ましい。こうすると、装置全体に耐久性を与え、一方では機械的に組み立て易くなり好都合である。照射器の光源は、CPCの大きいアパーチャ領域の前方、例えばその本体に設けられているボア内に組み立てられる。前記光源は、広角度発光型となるよう選定されるのが望ましい。
【0024】
少なくとも2つのスペクトル的に異なる光源が必要であり、それらは、発光タイオード(LED)として選択されるのが望ましい。本発明の或る好適な実施形態では、装置は、複数のLED、即ち放射波長が異なる4個から12個のLEDを備えている。LEDは、望ましくはUV(300nm)から遠隔NIR(2,500nm)までの範囲で、更に望ましくはUV(300nm)から近接NIR(1,100nm)までの範囲で放射するように選択される。随意的に、前記発光ダイオード(LED)は、より特定のスペクトル放射プロファイルを得るため、その元々の放射スペクトルの一部を取り除く光学フィルターを装着してもよい。前記光学フィルターは、高域通過型又は低域通過型の帯域通過(多重帯域通過を含む)フィルターである。
【0025】
しかしながら、必要な光学フィルターを備えた白熱光源の様なLED以外の光源も使用することができる。レーザーダイオードは、特に狭いスペクトル照射プロファイルが必要な場合の光源の選択肢として使用される。レーザーダイオードの出力は、本発明では、レーザー光線を形成するように光学要素でコリメートされるのではなく、発散モードで用いられ、照射器光学系で更に拡散される。装置は、更に、200nm未満のUV波長、又は2,500nmを上回るIR波長で放射する光源を備えることができる。
【0026】
本発明によれば、光学可変性特徴からの反射光を、マーキングの面への垂線に対して、直交に近い角度(望ましくは0°から45°、更に望ましくは0°から35°)と、俯角に近い角度(望ましくは45°から90°、更に望ましくは50°から80°)の両方で収集するために、少なくとも2つの光ファイバーを使うことによって、小型化の課題は解決する。光ファイバは、顕著に曲げることができ、俯角角度で検出に必要なレイアウトの物理的なサイズを減少することができる。
【0027】
小型化の課題は、中実の誘電性非結像光学系照射器要素を、その本体内にしっかり埋め込まれた少なくとも2つの光収集ファイバーと組み合わせることによって、もっと好都合に解決される。そのようなアッセンブリの収集角度は、例えば非常に耐久性のある設計になるように、照射器の機械的レイアウトによって固定されたまま維持される。前記少なくとも2つの光収集ファイバーは、所定の視角下の、各ファイバー端部の光学アパーチャ円錐内にあるサンプルからの光を収集し、それを、CPCの大きいアパーチャ領域の前方、例えばその本体内に設けられたボアの中に配置されている対応する光電検出器まで導く。
【0028】
前記光電検出器は、フォトダイオードであるのが望ましい。電子測定ノイズを低減するには、光電検出器は、フォトダイオードと後続の信号増幅器、及び随意的に光学フィルターを備えた一体型の光電検出器ユニットとして作らるのが更に望ましい。信号増幅器は、トランスインピーダンス式である。光学フィルターは、高域通過又は低域通過型の帯域通過(多重帯域通過を含む)型である。対応する光電検出器と光電検出器ユニットは、当業者には既知であり、例えば日本の浜松市の数社から販売されている。
【0029】
シリコン製のフォトダイオードは、UVから近接NIR(200nmから1,100nm)までの波長範囲に用いられることは注目すべきである。ゲルマニウム及びInGaAsのフォトダイオードも、遠隔NIRの波長範囲(900nmから、それぞれ1,700又は2,500nm)に用いられる。GaAsPフォトダイオードは、UV及び可視光線の波長範囲(200nmから700nm)に適している。最後に、GaN、SiC及びGaPフォトダイオードは、UVの波長範囲(400nm未満)に用いられる。
【0030】
或る特定の実施形態では、前記光電検出器は、反射され収集される光の左又は右側の断片の何れかを通す円形偏光フィルターを備えている。コレステリック液晶(CLC)材料をベースにしているOVDの場合は、円形偏光の識別が興味深く、両方の光の円形偏光の何れか一方だけを反射するか、両方を反射するように作られている。対応する認証装置は、4つの光電検出器、即ち、直交に近い観察角度と俯角に近い観察角度それぞれに、左側偏光感知性及び右側偏光感知性の光電検出器を備えるように作られる。これにより、円形偏光器は、反射するマーキングから、収集及び案内光学系を経由して、前記光電検出器に到る光の経路のどこにでも挿入することができる。
【0031】
文書及び物品の認証を行うための前記装置は、(光電検出器の主要な出力信号からデジタルの記憶可能な値を導き出すための)アナログ対デジタル変換手段、(プログラム、基準値及び測定データを記憶するための)記憶手段、(外部負荷をオン及びオフに切り替えるための)駆動手段、(ユーザー入力を受け入れるための)制御手段、及び(出力をユーザーに表示するための)標示手段を備えたプロセッサー(例えばマイクロコントローラーICを備えた電子回路によって作られている)、並びに必要な電源(例えばバッテリー)を更に備えている。前記プロセッサーは、照射器の個々のLEDをオン又はオフに切り替え、光電検出器の出力信号を読み取り、デジタル化し、記憶し、ユーザーからの(例えば、2つ又はそれ以上の手動押しボタンからの)入力を受け取り、(例えば「合格」及び「不合格」標識LEDに)出力を表示することができる。内部に記憶されているプログラムによって、前記プロセッサーは、最終的な結果の標示を含む完全な測定/認証サイクルを実行することができる。そのような実施の専門的事項は、マイクロコントローラーを扱う当業者には既知である。
【0032】
前記内部に記憶されているプログラムは、装置が、関連品目の反射率の強度値を測定し、それらを内部メモリ内に永久に記憶するための「学習モード」と、試験対象品目の信憑性を判定するための「試験モード」を、その反射率の強度値を測定し、それらを前記先に測定され記憶されている基準値と比較し、これによって結果を導き出して標示することによって、サポートするようにレイアウトされている。両方のモードは、それぞれ、対応する制御スイッチによって起動することができる。
【0033】
品目を認証するための装置は、別の制御手段(例えば更に複雑なユーザー入力のためのキーボード)、別の標示手段(例えば英数字表示パネル、ブザー)、電源及びデータ伝送のための電気及び/又は光学コネクタ、通信手段(例えばIR及び/又は無線リンク)、並びに独立して作動できるようにする内部電源(例えばバッテリー又は蓄電池)を、更に備えることができる。
【0034】
手動制御手段は、電源の起動又は作動停止、基準取得手順又は試験手順の起動、好適な基準値の選択などの役を果たす。標示手段は、装置の状態と実行された測定サイクルの結果を標示する役を果たす。コネクタは、装置を外部電源に接続するだけでなく、装置と外部ユニットの間でデータを伝送できるようにする。通信手段は、装置と外部ユニットの間でデータを無線伝送(即ち、保守のため)できるようにしている。
【0035】
本発明の関係では、光学可変特性を追加的光学保全特性と組み合わせて評価するために認証装置を装備することもできる。処理手段の異なるプログラミングを使えば、同じ装置が、遅発ルミネッセンス放射の時間依存性の上昇及び減衰の特性の測定値を含む、UV、可視光線又はIRの範囲のスペクトルの即発又は遅発の光ルミネッセンス放射のような追加的光学特性を測定し評価する役を果たす。これは、WO 01/60924に開示されているようなルミネッセンスの光学可変装置の認証に特に有用である。
【0036】
別の変更例では、装置は、上記開示の光学センサー要素を、磁気センサー要素と組み合わせるようにレイアウトすることができる。このことは、WO 02/073250に開示されているような磁気光学可変装置の認証に特に有用である。
【0037】
本開示の関連の中では、紫外線放射線(UV)は200nmから400nmの間の波長を有しており、可視光放射線は400nmから700nmの間の波長を有しており、近接近赤外線放射線は700nmから1,100nmの間の波長を有しており、遠隔近赤外線放射線は1,100nmから2,500nmの間の波長を有しているものとする。赤外線(IR)は、700nmを超える波長を有する放射線を意味している。
【0038】
即発性ルミネッセンス放射又は蛍光発光は、1マイクロ秒より短い特徴的ルミネッセンス強度減衰時間を有すると定義されている。遅発性ルミネッセンス放射又は燐光発光は、1マイクロ秒より長い特徴的ルミネッセンス強度減衰時間を有すると定義されている。
【0039】
入射角度は、光学可変性特徴の面への垂線、即ち、観察点における光学可変性特徴の接平面に直交する線に対して示される。実質的直交入射は、入射角度が、特徴の垂線から10°以上逸れないことを意味する。実質的俯角入射は、入射角度が、特徴の面から10°以上逸れないことを意味する。
【0040】
本発明は、視角依存光反射スペクトルを示すマーキングの付いた機密文書、有価物品又はパッケージングのような品目の信憑性を判定するための方法を更に含んでおり、前記方法は、
a)前記マーキングを、少なくとも、第1スペクトル特性を有する第1光源で照射する段階と、
b)前記マーキングによって、マーキングの面に対して少なくとも2つの所定の異なる観察角度で反射された光を収集し、そのそれぞれの強度を測定する段階と、
c)段階b)で測定した強度値を永久デジタルメモリ内に随意的に記憶する段階と、
d)前記マーキングを、少なくとも、第2スペクトル特性を有する第2光源で照射する段階と、
e)前記マーキングによって、マーキングの面に対して少なくとも2つの所定の異なる観察角度で反射された光を収集し、そのそれぞれの強度を測定する段階と、
f)段階e)で測定した強度値を永久デジタルメモリ内に随意的に記憶する段階と、
g)前記段階b)とe)で測定された強度値を、所定のアルゴリズムに従って、予め記憶されている対応する基準値と比較し、事前確立済みの決定基準を使って比較結果から信憑性の標識を導き出す段階と、を含んでいる。前記方法は、特に、段階a)とd)の照射が、広角度照射であることを特徴としている。段階a)とd)は、互いに順次的に実行されるのが望ましい。
【0041】
強度の測定は、所与の測定手順に従って実行され、代表的なデジタル値を得るための主要信号の後処理、値の中間的記憶、及び、計器の特性、背景の強度などのような体系的測定エラーに対する値の補正のような各段階を含んでいる。
【0042】
具体的には、主な測定された反射強度値は、光学密度D=log10(I/I)について表示され、ここに、Iは白色基準背景で反射された光の強度であり、Iはマーキングで反射された光の強度である。光学密度の値Dは、印刷された吸収体の濃度に比例する特性を有している。
【0043】
本発明の方法は、本来的に、開示されている装置だけでなく、光学可変性特徴を認証するために提示される要件にも関係している。光学可変マーキングの照射は、実質的に直交(0°)入射から実質的に俯角(90°)入射までの全入射角度で同時に行われる。これは、非結像光学部品要素のような広角度照射光学系、望ましくは複合型放物線状集光器(CPC)、を使用することによって実現される。
【0044】
本方法は、更に、少なくとも2つの所定の観察角度、即ち、直交に近い第1角度(望ましくは0°から45°、更に望ましくは0°から35°)と、俯角に近い第2角度(望ましくは45から90°、更に望ましくは50°から80°)で反射光が収集されることを特徴としている。前記反射光は、光を対応する光電検出器に導く光ファイバーによって収集されるのが更に望ましい。
【0045】
照射、即ち、異なるスペクトル特性を有する光の性質は、発光ダイオード(LED)、レーザーダイオード(LD)又は他の光源から放射される放射線によって実現される。本発明の関係では、便利な光学フィルターによって調整された光も用いることができる。本発明の関係では、必ずしもスペクトル的に狭帯域の光を使用する必要はなく、唯一の要件は、異なる連続的に行われる照射、即ち光の性質が、使用されている光電検出器の感度範囲内で実質的に異なる光のスペクトルを有していて、適切に色付けされたマーキング上で測定可能な効果を検出できる、ということである。
【0046】
更に、本発明の関係では、光学可変特性の認証を、追加の光学保全要素の測定及び評価と組み合わせることもできる。異なるプログラミングを使うことによって、同じ方法が、遅発性ルミネッセンス放射の時間依存の上昇及び減衰の特性の測定を含む、UV、可視光線又はIRの範囲のスペクトルの即発又は遅発性の光ルミネッセンス放射のような光学特性の測定と評価を含むことができる。これは、WO 01/60924に開示されているようなルミネッセンス光学可変装置の認証に特に有用である。
【0047】
別の変更例では、本方法は、開示されている光学可変性特徴の認証を、磁気保全要素の追加的認証と組み合わせている。これは、WO 02/073250に開示されているような磁気光学可変装置の認証に特に有用である。
【0048】
更に別の変更例では、本発明の方法は、マーキングから反射された右側と左側の円形偏向光を識別できるようになっている。
【0049】
別の変更例では、本発明の方法は、一つの同じ物理的測定値と認証装置を使って、試験対象の光学可変性特徴を認証するのに必要な基準値を定義し、記憶することができる。
【0050】
先行技術の認証方法及び装置の重要な別の欠点は、それら器具の全体的な特性(同じ型式の異なる装置の間の製造許容値)の広がりから生じることに注目頂きたい。この全体的な特性の広がりは、装置の個々の電気及び光学的構成要素、特にLED、フォトダイオード及びアナログ電子部品の特性の広がりによるものであり、回避できない。この広がりの結果、同じ型式の異なる認証装置は、同じ保全的特徴を、僅かに異なる方法で認識する。先行技術の許容度の問題を克服するには、明細事項に合わせるため、各装置の包括的な最終較正を必要とした。
【0051】
この欠点は、本発明によれば、「学習モード」と「試験モード」を、装置内に備えられている対応するプログラム済みアルゴリズムの形で実施することによって克服される。
【0052】
前記「学習モード」は、基準品目の反射光の強度が、少なくとも2つの所定の異なる観察角度と少なくとも2つの異なる照射の性質について測定され、対応する結果が、デジタル値として認証装置の内部永久メモリ回路内に記憶される、基準取得手順として実現されていることは注目すべきでる。
【0053】
随意的に、前記基準取得手順は、更に、統計的平均値(期待値)と受容分岐点(標準偏差)の自動的判定を提供する。この目的で、所定の数の認証済みサンプルが装置に「示され」、装置がそれらを測定して前記統計値を計算し、これが受容/排除基準として作用する。
【0054】
前記「試験モード」は、認証対象品目の反射光の強度が、少なくとも2つの所定の異なる観察角度と少なくとも2つの異なる照射の性質について測定され、対応する結果が、所定の比較アルゴリズムを使用して、先に記憶されている基準品目の各値と比較され、試験結果が導き出される、試験手順として実現されている。
【0055】
事前に確立されている決定基準に従って両方の組の値が一致する場合、サンプルの信憑性を示す、即ち試験の合格を示す第1出力信号が生成され、そうでない場合は、サンプルの非信憑性又は試験の不合格を示す第2出力信号が生成される。
【0056】
同じ方法の中に「学習モード」と「試験モード」を設けているので、認証装置の、柔軟性と融通性のある活用が可能になり、異なる用途毎にハードウェアを再プログラムする必要が無く、基準データの拡張ライブラリを含んでいる必要も無いことに注目頂きたい。装置の再プログラミングは、1つ又は複数の認証済みサンプルを装置に単に「示す」ことで、考えられる最も簡単な方法で実行することができる。
【0057】
同じ型式の文書又は物品を検査する場合、基準取得の後、膨大な数の試験作業が続く。基準取得を試験作業から独立して実行できるのは、製造業者がサービス実施地点で基準値を定義したい場合にも有用で、基準品目(「オリジナル」)をその試験員に提供する必要が無い。
【0058】
本方法を実現する認証装置は、様々に異なる「嗜好」で製作することができ、即ち、異なる顧客の要求及び用途に対応するため、異なる種類の認証装置のハードウェアに、発光及び受光要素、並びにプログラミング(実装アルゴリズム)が様々に装備できるものと理解頂きたい。
【0059】
開示している方法及び対応する装置の、先行技術を上回る利点は、
(i)1つの同じ種類の装置が、多数の異なる用途に対応できること(多用途技術)と、
(ii)試験及び基準特性は全く同じハードウェアを使って測定されるので、測定値から計器の影響、従って対応する性能のばらつきを排除できること(安全技術)と、
(iii)保全マーキングの組成及び特性について補足的開示を行う必要が無く;試験を実行するための唯一の要件を証明済みのオリジナルマーキングに保持させることができる(確実な技術)と、であることに注目頂きたい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0060】
本発明を、図面と代表的な実施形態を使って更に説明する。
【0061】
図1a及び図2による携帯型バッテリー駆動式認証装置は、品目Iに付けられている光学可変マーキングMを、対応する基準マーキングと電子的に比較(認証)するように作られている。
【0062】
認証装置1(図1a、1b)は、ペン型ハウジング2内に含まれており、検査対象のマーキングMの上に当てられる感光ヘッド3を有している。前記前端部3は、アクリルガラス(PMMA)で作られた平坦な複合型放物線状集光器(CPC)である。前記CPCは、マーキングMを、スペクトル的に異なる複数の光源4’、4”…それぞれによって、実質的に直交入射から実質的に俯角入射まで全ての入射角度で広角度照射する。2つの光ガイド0’、0”が、マーキング面への垂線に対して0°(直交視近くに対応)と60°(俯角視近くに対応)の角度に配置されており、マーキングからの反射光を集め、それを2つの光電検出器5’、5”に送る。
【0063】
図1bに示すように、複合型放物線状集光器(CPC)は、180°の光線の出口角度開度を作り、これによって、反対側の端部の光源(LED)の位置に関係なく、確実に、光学可変マーキングMを全入射角度の下で、均一に広角度照射できるように設計されている。CPC3は、2次元スラブ型であり、同じ形状の2つのアクリル性ガラススラブ31、32を備えており、その2つのスラブは、アクリル糊を使って内側表面で一体に接着されている。スラブの内側表面に刻まれている溝は、マーキングの表面から直交に近い角度(0°)と俯角に近い角度(90°)でそれぞれ反射光を集め、それを光電検出器5’、5”に送るための2つの光ファイバー0’、0”を収容する役目を有する。CPC3は、更に、光の伝送には関係しない外側表面に反射性金属被覆を有している。
【0064】
図1cに示している変更例では、望ましくアルミニウム製の、内側表面P1及びP2が研磨されている中空のCPC3’が、PMMA−CPC3の代わりに用いられている。光源(図示せず)によって供給された光(矢印で示している)は、アパーチャA1を通ってCPC3’に入り、アパーチャA2を通って出る。随意的に、円錐形(回転体)CPCは、中実のPMMA誘電性円錐の外側表面を反射するように被覆又は鏡面化した形態か、或いは、望ましくは研磨した内側表面を有している中空のCPCの形態か、の何れかを使用することもできる。
【0065】
光源4’、4”...は、UV(300nm)から中間IR(5,000nm以上)の範囲の放射波長用の、市販のLEDの中で選択されるのが望ましい。それらは広角度放射LEDであるのが望ましい。
【0066】
或る好適な実施形態では、8個のLEDが、350nmから2,500nmの波長範囲内で選択されており、例えばオーストリア、ウィーンのRoithner Lasertechikから入手可能な以下のセットのLEDのように、350nmから1,100nmであれば更に望ましい。
【0067】
【表1】

【0068】
これらの波長は、以下に開示する装置の実施形態と適合性があるだけでなく、ほぼ等しく間隔を空ける方式で350nmから1,100nmの領域をカバーするように選択されている。
【0069】
或る特定の用例では、LEDは、特定の波長領域、例えば700nmから1,100nmのIR領域で、以下(上記と同じ供給元からのLED)のように、より多くのLEDを備えるように選択される。
【0070】
【表2】

【0071】
この実施形態は、700nmから1,100nmの範囲の様々な非可視赤外線特徴(「赤外線カラー」)を、長波(360から400nm)UV光で励起可能な赤外線ルミネッセンス放射と共に感知するのに特に適している。
【0072】
実施形態は、更に、以下のような(同一供給元)更に遠い赤外線(1,100から2,500nm)のLED放射を選択することもできる。
【0073】
【表3】

【0074】
本発明による装置は、少なくとも2つの光電検出器を備えている。或る好適な実施形態では、前記光電検出器は、200nmから2,500nmの波長範囲内にある光に感応するが、この範囲の上又は下の波長に感応する検出器を使用することもできる。光電検出器は、更に、どの様なソリッドステート、又は他の型式、即ち、フォトダイオード、アバランシェダイオード、フォトトランジスタ、フォトレジスタ、電荷結合デバイス、フォトマルチプライヤ、ボロメトリック、サーモパイル又はパイロ電気検出器などであってもよく、広帯域又は狭帯域のスペクトル感度を有している。
【0075】
或る好適な実施形態では、光電検出器は、有用な電圧範囲内にある信号を後続のアナログ対デジタル変換回路に送るため、電流対電圧(トランスインピーダンス)型増幅器に接続されているフォトダイオードである。PN又はPIN型のシリコンのフォトダイオードは、殆どの好適な実施形態に用いられており、200nmから1,100nmの波長範囲内では本質的に感応する。この種の装置は、供給元の中でも、とりわけハママツフォトニクスから販売されており、例えば、以下のようである。
【0076】
【表4】

【0077】
特定の用途には、電気環境ノイズの影響を制限するため、前置増幅器と一体化したフォトダイオードが好ましく、例えば、ハママツS8745か、ハママツS8746型の統合型光電検出器が該当する。
【0078】
拡張IR範囲(900nmから2,500nm)でのスペクトル感知には、InGaAsフォトダイオード、例えばハママツG8372−03 900nmから2,100nmが用いられる。可視光線範囲(400nmから760nm)には、GaAsPフォトダイオード、例えばハママツG1736装置が適しており、UVから緑の範囲(190nmから550nm)には、GaPフォトダイオード、例えばハママツG1962装置が適している。Laser Components USAのSiC検出器は、本質的に、UV(210nmから380nm)波長範囲だけに感応する。
【0079】
本実施形態の認証装置は、PIC16F872プロセッサー7の回りに構築された電子回路を備えている。このプロセッサーは、35要素のRISCインストラクションセットと、2Kx14ワードのフラッシュプログラムメモリと、128x8バイトのRAMデータメモリと、64x8バイトのEEPROMデータメモリと、ビルトインの5チャンネル10ビットA/D変換器を有しており、20MHzまでのクロック速度で作動することができる。プロセッサーは、更に、完全に回路内で連続的にプログラム可能で、製造に関係なく、プログラミング又は再プログラミングすることができる。それは、単一の5V電源で走るDIL28−ピンパッケージ内の標準チップとして入手することができる。
【0080】
本実施形態では、PICプロセッサー7は、異なる放射波長の8つまでの照射器LED4’、4”...(ピン21から28に割り当てられている)と、2つの標識LED91、92(例えば緑と赤のLED;ピン17、18に割り当てられている)と、随意的に可聴出力用のブザー(例えばピン15に割り当てられている)を駆動する。別の出力線(ピン16)は、電力管理回路8を介して、自動電力保持機能専用になっている。プロセッサーの出力ピンは、電流シンクモードで25mAの負荷までサポートして、LEDとブザーを直接バッファ無しで駆動できるようにしている。
【0081】
PICプロセッサー7は、統合された10ビットA/D変換器(通常は、0Vと安定的な5V供給源として使われている2つの選択可能な電圧基準の間に1024個のデジタルステップを作る)を有しており、そのアナログ入力は、5つの異なるI/Oピンに割り当てられる。従って、検出装置には、2つ又はそれ以上の光電検出器5’、5” が装備されており、それぞれ、対応する電流対電圧変換器/増幅器ステージ6’、6”の入力に接続している。本実施形態の光電検出器5’、5”は、光起電モード又は光導電モードの何れかで駆動されるフォトダイオードであり;所与の例(図2)では、光起電モードが用いられている。電流対電圧変換器6’、6”は、有効電圧範囲内の信号をプロセッサーのA/D変換器入力(ピン2から5)に送るため、適切に調整された増幅因子を有している。必要であれば、これらの増幅器用の、プロセッサー7によって制御されている可変利得機能も実行することができる。
【0082】
反射された右側と左側の円形偏向光を識別するための或る特定の実施形態では、4つの円形偏光フィルターの後ろに取り付けられている4つのフォトダイオードが用いられており、直交及び俯角視点用の各フォトダイオードは、それぞれ左側及び右側の円形偏光フィルターの後ろに取り付けられていることに注目頂きたい。円形偏光フィルターは、勿論、反射マーキングとフォトダイオードの間の光学経路の別の場所に挿入してもよい。
【0083】
PICプロセッサー7の2つのデジタル入力線(ピン11、12)は、「基準」と「試験」プッシュボタンスイッチR及びTを読み取るのに用いられる。前記スイッチは、両方共、それらの標示された機能に加えて、電力管理回路8を介して装置を独立して起動し、間接的にPICプロセッサー7の自動リセット機能を始動させる。起動機能は、装置の全体電源回路8に作用する電子スイッチの形態で実行される。
【0084】
起動後、プロセッサー7は、自身を初期化し、電力保持ピンをオン状態に設定し、その後、スイッチRとTを読み取り、適切な処理シーケンス(「基準取得」又は「試験」)を開始する。プッシュボタンがその間に解除されても、電力保持ピンは、全体電源スイッチをオンに維持する。
【0085】
所定の待ち時間の間の作動結果の出力を含め、処理シーケンスの終了後に、プロセッサー7は、電力保持ピンをオフ状態に切り替え、認証装置全体をオフに切り替えさせる。
【0086】
従って、PICプロセッサーのI/O機能は、
照射器LEDを駆動するための8つのピン(出力)
電力保持スイッチを駆動するための1つのピン(出力)
標識LEDを駆動するための2つのピン(出力)
ブザーを駆動するための1つのピン(出力)
プッシュボタンを読み取るための2つのピン(入力)
4つのフォトダイオードまで読み取るための4つのピン(入力A/D)
回路内プログラミングのための2つのピン(入力)
のように付与され、結果的に、合計して19又は20のI/O線を使用することになる。プロセッサーの追加のI/O線は、補助機能、即ち、通信、監視及びデバッグ目的用のシリアルデータ伝送コネクタに割り当てられることに注目頂きたい。
【0087】
図1aに示すように、装置の電子回路には、印刷回路基板(PCB)、PIC16F872プロセッサー7、5V電力安定器8、水晶共振器(4MHz、図示せず)、自動電力保持機能用の構成要素、2つのプッシュボタンスイッチ(R,T)、抵抗器を備えた2つの標識LED91、92、(随意の)ブザー(図示せず)、対応する抵抗器を備えた異なる波長(UV、青、緑、黄色、オレンジ、赤、IR1、IR2)の8つの照射器LED4’、4”...、2つのフォトダイオード5’、5”、対応するフィードバック抵抗器を備えた2つのトランスインピーダンス演算増幅器6’、6”、並びに、回路内プログラミング及び監視目的のコネクタ(図示せず)が含まれている。
【0088】
認証装置は、更に、2つのプッシュボタンスイッチRとT(「基準」及び「試験」と標示されている)を備えており、両方共、押すと、それぞれ「規準値定義」及び「サンプル試験」という固有の機能を開始するのに加え、装置の電源8を稼動させることができる。電源8は、プッシュボタンを放した後も、プロセッサー7が作動終了後に自身を停止させるまで、作動状態に留まる。
【0089】
装置は、作業の結果を示すために、「合格」用の緑のLED標識91と「不合格」用の赤いLED標識92の2つのLED標識を備えている。随意的に、可聴制御信号を出力するためにブザーがあってもよい。プッシュボタンR(「基準」)を押すと、装置は、基準サンプルの光学特性を測定し、対応するデジタル値をプロセッサー7の永久メモリに記憶する。「合格」標識91は、基準の取得が上手くいったことを標示するように設定されている。装置は、所定の短い待ち時間の後、自分でスイッチを切る。プッシュボタンT(「試験」)を押すと、装置は、試験サンプルの光学特性を測定し、プロセッサー7のメモリ内に記憶されている所定のアルゴリズムに従って、対応するデジタル値を、先に記憶されている基準サンプルの値と比較する。事前に確立されている基準に従って、緑の「合格」標識91は、肯定的認証結果を示すように設定されており、赤い「不合格」標識92は、否定的認証結果を示すように設定されている。装置は、所定の短い待ち時間の後、自分でスイッチを切る。
【0090】
代表的な実施形態の装置は、標準的な9Vのバッテリーブロック10で作動するように設計されており、この電圧は、必要な5Vの作動電圧を得るため電力管理回路8によって降圧安定化される。回路基板全体(PCB)はハウジング2内に配置されており、ハウジング2内には、この他にも、9Vの電池又はバッテリ−用のバッテリーホルダー10と、照射/収集光学構成要素であるPMMA CPC3が配置されている。
【0091】
本発明の方法を具現化しているこのモジュール式認証装置は、第1例では、反射光の強度を、スペクトルのUV、可視光線又はNIR部分で8つ又はそれ以上の異なる性質の照射毎に2つの異なる角度で比較することによって、サンプルを保証済みの基準品目に対比して認証するようレイアウトされている。これらの照射の性質は、対応する照射器LED4’、4”...の放射スペクトルによって付与されるので、どの様な特定の種類の用途に合うようにでも選択できことに注目頂きたい。
【0092】
当業者であれば、本明細書の開示に基づいて数多くの代替実施形態を想起することができる。当業者は、スペクトル識別を強化するために9つ以上のLEDを使用することを選択することもできるし、7つ以下のLEDを使用し、自由なI/Oピンを、追加の光電検出器又は表示ユニットのような補助入力又は出力機能に割り当てることを選択することもできる。当業者は、角度依存スペクトル可変性特徴に対する装置の識別力を更に強化するため、3つ以上の収集ファイバーOと光電検出器5’を使用するよう選択することもできる。
【0093】
所定の特定の光学特性を示すマーキングの付いた品目を認証するための方法について述べる。詳しく言えば、本方法は、第1の「基準取得」部分と第2の「試験」部分から成ると考えることができ、両者は、独立して実行され、時間及び空間においても互いに分離され得る。
【0094】
図3a及び図3bは、本方法の基準取得部分を詳細に示しており、認証装置は、基準品目のマーキングの基準反射率データを測定し、記憶するために用いられており、
a)少なくとも2つの照射、即ち、異なるスペクトル特性を有する光の性質を使って、前記マーキングを順次照射する段階と、
b)段階a)の各照射段階毎に、前記マーキングが、マーキングの面に対して少なくとも2つの所定の異なる観察角度で反射した光を収集し、その強度を測定する段階と、
c)段階b)の測定された強度値を永久デジタルメモリ内に記憶する段階と、で構成されている。
【0095】
図3aによれば、基準取得は、異なる基準品目U、V...毎に個別に実行される。認証装置は、一度に、1つの決まった品目の認証だけに使用することができる。
【0096】
図3bによれば、基準取得の第2の例では、幾つかの基準品目U、V...が測定され、それらのデータは、同じ認証装置内に一緒に記憶され、複数の異なる品目の認証に使われる。
【0097】
図4aと4bは、本発明による認証方法の試験部分を詳細に示しており、予め記憶された基準データを備えた認証装置を使って、試験対象品目上のマーキングの反射率データを、前記予め記憶されている反射率データと比較し、
d)段階a)でのように、少なくとも2つの照射、即ち、異なるスペクトル特性を有する光の性質を使って、前記マーキングを順次照射する段階と、
e)段階d)の各照射段階毎に、前記マーキングが、マーキングの面に対して少なくとも2つの所定の異なる観察角度で反射した光を収集し、その強度を測定する段階と、
f)段階e)の前記測定された強度値を、予め記憶されている対応する規準値値と、所定のアルゴリズムに従って比較し、事前に確立された決定基準を使って、比較結果から信憑性指標を導き出す段階と、で構成されている。
【0098】
図4aに示す実施形態では、ユーザーは、自分で、基準データを予め取得するか、又は認証装置を較正する必要無しに、保全マーキングを検査することができる。U’から取得された対応するデータは、Uからの記憶されているデジタル基準データと、事前にプログラムされたアルゴリズム及び決定基準に従って比較され、マーキングの信憑性に関する標示が表示される(「合格」又は「不合格」)。
【0099】
図4bに示す実施形態では、ユーザーは、自分で、基準反射率データを基準品目Uから取得し、その後、同じ認証装置を使って試験品目U’の信憑性を検査することができる。同様に、試験データと基準データは、事前にプログラムされたアルゴリズムと決定基準を使ってデジタル形態で比較され、保全マーキングの信憑性に関する標示が導き出され、表示される(「合格」又は「不合格」)。
【0100】
ここに開示する方法の先行技術を超える固有の利点は、装置のハードウェア仕様の変動に対する許容幅が大きいことであり、つまり、同じ装置を使って、試験対象品目を、保証済みの認証基準品目と比較することである。そのようなタスクには、測定し比較する物理的な量の絶対値は必要無く、当該認証装置が見た試験対象品目を、同じ認証装置が見た基準品目と比較するだけで十分である。これによって、厳格な構成要素仕様が緩和され、従って認証装置の製造コストを下げることができる。
【0101】
本発明による認証装置は、光学可変(色が変化する)表面の拡散反射特性に加えて、補助的な光学特性を測定し比較するようにレイアウトされており、そのような特性には、即発性及び遅発性のルミネッセンス放射と、時間依存ルミネッセンス特性が含まれる。これは、必要な照射−検出シーケンスと信号分析ルーチンを実行するために、プロセッサー又はコントローラーの適切なプログラミングを、対応するハードウェアと結び付けることによって達成することができる。
【0102】
磁気特性は、装置に磁気センサーを加え、その出力を、適切な事前増幅後にマイクロコントローラー回路のA/D変換器の入力に接続し、装置に適切なプログラミングを施すことによって、類似的に評価することができる。
【0103】
認証方法の或る実施形態によれば、図2に示すように、視角依存光反射スペクトルを呈するマーキングを有するサンプルが認証される。認証装置は、プロセッサー7の8つの出力線(ピン21から28)に接続され、UV、可視光線及び赤外線(350から1,050nm)の範囲のスペクトルで発光する8つの異なるLED4’、4”...4””””を備えた図1bによるプローブヘッドを有している。装置は、更に、前記LEDの放射の範囲全体(350から1,050nm)を感知する2つのフォトダイオード5’、5”を有している。前記フォトダイオード5’、5”は、中程度の増幅係数を有するトランスインピーダンス増幅器6’、6”に接続されており、前記増幅器は、それらの出力信号を、プロセッサー7のアナログ対デジタル変換器(A/D)へ送る(ピン2、3)。
【0104】
認証装置のプローブヘッドをマーキングの上にかざし、プッシュボタン「試験」又はプッシュボタン「基準」の何れかを押すと、認証手順が開始される。電力供給を開始して初期化した後、プロセッサー7は、8つのLED4’、4”...に順次スイッチを入れ、このシーケンスの各段階i毎に、その作動しているメモリの中に、フォトダイオード5’、5”によって増幅器6’、6”を通してプロセッサー7のA/D変換器(ピン2、3)へ送られる信号から得られる2つのデジタル値Io(i)とIg(i)を読み込む。前記値は、所与の照射の性質iに対し、マーキングの表面から直交に近い角度(Io(i))と俯角に近い角度(Ig(i))で反射された光の強度を示している。最終的に、8つのLEDの強度の結果に対応する16の値を入手して、検査に使用される照射の性質に対して、直交に近い反射角度と俯角に近い反射角度の両方でサンプル拡散反射スペクトルの未加工の表示を構成する。
【0105】
本方法の代替実施形態では、前記測定値は、更に、背景の放射線、又は緩慢に変化する計器のパラメーター(光度など)の影響のような体系的測定エラーに対して訂正される。そのような訂正を実行するためのデータ、アルゴリズム及びパラメーターは、装置の内部メモリに入っている。
【0106】
或る変更例では、基準取得は、白色基準に対して行われ、式D=log10(I/I)に従って光学密度値Dが導き出され、ここに、Iは白色基準の反射強度、Iは同じ条件の下でのマーキングの反射強度である。白色基準値Iは、後続の試験作業において同じ目的を果たすように、記憶されているのが望ましい。
【0107】
「基準取得」サイクルで、入手した値は、基準値IoR(i)、IgR(i)としてプロセッサー7の永久メモリ内に転送され、作業の終了が認知される。短い待ち時間の後、プロセッサー7は、装置を停止する。
【0108】
「試験」サイクルでは、値の対Io(i)、Ig(i)が、先に基準サンプルから入手され、記憶されている基準値の対IoR(i)、IgR(i)と、同じ測定の幾何学的配置、条件及び装置を使って比較される。前記比較は、差do(i)=Io(i)−IoR(i)、dg(i)=Ig(i)−IgR(i)を求め、更に、例えば、偏差の二乗を加え合わせ、
S=Σdo(i)+ dg(i) (全てのiについて加え合わせる)
又は、替わりに、絶対値を加え合わせる
S=Σ|do(i)|+|dg(i)| (全てのiについて加え合わせる)
ことによって行われる。
【0109】
Sは、測定値と基準値の適合度の尺度であり、最終的に、試験対象サンプルが本物か否かを決定するため、所定の基準に対して試験される。認証結果が表示され、作業の終了が認知される。短い待ち時間の後、プロセッサー7は装置を停止する。
【0110】
光の照射に対する反射の力学の即時応答性、及び比較的大きい有効信号強度により、測定サイクル又はシーケンス全体が非常に迅速に実行され、通常、約1ミリ秒を超えることはない。このことが、本方法及び装置を、高速及び低速認証用途に等しく相応しいものとしている。
【図面の簡単な説明】
【0111】
【図1】図1aは、認証装置の代表的な実施形態の物理的レイアウトを概略的に示している。
【0112】
図1bは、図1aの装置のプローブヘッドの拡大概略図である。
【0113】
図1cは、複合型放物線状集光器(CPC)の作動原理を概略的に示している。
【図2】装置の代表的な実施形態の概略電子回路図である。
【図3】図3aは、異なる基準品目で実行される基準取得段階のフローチャートである。
【0114】
図3bは、異なる基準品目で実行された基準取得段階と、或る認証装置のメモリ内の測定データの記憶のフローチャートである。
【図4】図4aは、認証プロセスのフローチャートである。
【0115】
図4bは、先に取得され記憶されている基準値を使った認証プロセスのフローチャートである。




【特許請求の範囲】
【請求項1】
視角依存光反射スペクトルを呈するマーキングの付いた機密文書、有価物品又はパッケージングのような品目の信憑性を判断するための方法において、
a)前記マーキングを、少なくとも、第1スペクトル特性を有する第1光源で照射する段階と、
b)前記マーキングによって、前記マーキングの面に対して少なくとも2つの所定の異なる観察角度で反射された光を収集し、そのそれぞれの強度を測定する段階と、
c)段階b)で測定した強度値を永久デジタルメモリ内に随意的に記憶する段階と、
d)前記マーキングを、少なくとも、第2スペクトル特性を有する第2光源で照射する段階と、
e)前記マーキングによって、前記マーキングの面に対して少なくとも2つの所定の異なる観察角度で反射された光を収集し、そのそれぞれの強度を測定する段階と、
f)段階e)で測定した強度値を永久デジタルメモリ内に随意的に記憶する段階と、
g)段階b)とe)で測定された前記強度値を、所定のアルゴリズムに従って、予め記憶されている対応する基準値と比較し、事前確率済みの決定基準を使って比較結果から信憑性の標識を導き出す段階と、から成り、前記段階a)とd)の照射は、広角度照射であることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記マーキングの前記広角度照射は、「非結像光学部品」装置、望ましくは複合型放物線状集光器(CPC)、を通して提供されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記少なくとも2つの所定の観察角度の内の第1の角度は、前記マーキングの面への垂線に対して0°から45°の間で、より望ましくは0°から35°の間で選定され、前記観察角度の内の第2の角度は、45から90°の間で、より望ましくは50°から80°の間で選択されることを特徴とする、上記請求項の何れかに記載の方法。
【請求項4】
前記マーキングによって前記観察角度で反射された前記光は、光ファイバーによって収集されることを特徴とする、上記請求項の何れかに記載の方法。
【請求項5】
前記マーキングによって前記観察角度で反射された前記光の強度は、前記光が光学フィルターを通過した後に測定されることを特徴とする、上記請求項の何れかに記載の方法。
【請求項6】
前記光学フィルターは、左又は右側円形偏光フィルターであることを特徴とする、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
異なるスペクトル特性を有する前記照射の内の少なくとも1つは、発光ダイオード(LED)で与えられていることを特徴とする、上記請求項の何れかに記載の方法。
【請求項8】
異なるスペクトル特性を有する前記照射の内の少なくとも1つは、レーザーダイオード(LD)で与えられていることを特徴とする、上記請求項の何れかに記載の方法。
【請求項9】
異なるスペクトル特性を有する前記照射の内の少なくとも1つは、光学フィルターを装着した光源で与えられていることを特徴とする、上記請求項の何れかに記載の方法。
【請求項10】
前記マーキングからの、UV、可視光線又はIRの範囲の電磁スペクトルでの即発又は遅発性の光ルミネッセンス放射も、前記視角依存光反射スペクトルに加えて測定されることを特徴とする、上記請求項の何れかに記載の方法。
【請求項11】
前記マーキングの磁気特性も、前記視角依存光反射スペクトルに加えて測定されることを特徴とする、上記請求項の何れかに記載の方法。
【請求項12】
前記測定値と前記予め記憶されている対応する基準値は、同じ物理的装置を使って入手されることを特徴とする、上記請求項の何れかに記載の方法。
【請求項13】
視角依存光反射スペクトルを呈するマーキングの付いた機密文書、有価物品又はパッケージングのような品目の信憑性を判断するための装置おいて、
−前記マーキングを逐次照射するための、異なるスペクトル特性を有する少なくとも2つの光源と、
−前記マーキングによって、少なくとも2つの所定の異なる観察角度で反射された光を収集し、前記収集された光の強度に対応する電気信号を送るための、随意の収集光学系を備えた少なくとも2つの光電検出器と、
−全て所定のアルゴリズムに従い且つ事前に確定された決定基準を使って、光源を制御し、反射された強度の値をデジタル化して記憶し、前記強度の値を予め記憶した対応する基準値と比較し、比較結果から信憑性の標識を導き出すための、アナログ対デジタル変換、処理、制御及び記憶手段と、を備えており、前記装置は、前記光源の光を前記マーキングに案内するための広角度照射光学系を備えていることを特徴とする装置。
【請求項14】
前記広角度照射光学系は、「非結像光学部品」装置、望ましくは複合型放物線状集光器(CPC)であることを特徴とする、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
前記少なくとも2つの所定の観察角度の内の第1の角度は、前記マーキングの面への垂線に対して0°から45°の間で、より望ましくは0°から35°の間で選定され、前記観察角度の内の第2の角度は、45から90°の間で、より望ましくは50°から80°の間で選択されることを特徴とする、請求項13又は14記載の装置。
【請求項16】
前記マーキングによって前記観察角度で反射された前記光を収集するための、少なくとも1つの光ファイバーを備えていることを特徴とする、請求項13から15の何れかに記載の装置。
【請求項17】
少なくとも1つの光学フィルターを備えており、前記フィルターを通して、前記マーキングによって前記観察角度で反射された前記光を測定することを特徴とする、請求項13から16の何れかに記載の装置。
【請求項18】
前記光学フィルターは、左又は右側円形偏光フィルターであることを特徴とする、請求項17に記載の装置。
【請求項19】
前記光源の内の少なくとも1つは、発光ダイオード(LED)であることを特徴とする、請求項13から18の何れかに記載の装置。
【請求項20】
前記光源の内の少なくとも1つは、レーザーダイオード(LD)であることを特徴とする、請求項13から19の何れかに記載の装置。
【請求項21】
前記光源の内の少なくとも1つには、光学フィルターが装備されていることを特徴とする、請求項13から20の何れかに記載の装置。
【請求項22】
基準品目上の反射強度値を求め、それらを基準値としてデジタルメモリ内に記憶するためのプログラムされた「学習モード」と、認証対象品目上の反射強度値を求め、それを、前記先に求められ記憶されている基準値と比較して、前記信憑性の標識を導き出すためのプログラムされた「試験モード」をサポートすることを特徴とする、請求項13から21の何れかに記載の装置。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2006−524849(P2006−524849A)
【公表日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−505003(P2006−505003)
【出願日】平成16年4月5日(2004.4.5)
【国際出願番号】PCT/EP2004/003600
【国際公開番号】WO2004/097716
【国際公開日】平成16年11月11日(2004.11.11)
【出願人】(500269417)シクパ・ホールディング・ソシエテ・アノニム (23)
【Fターム(参考)】