文書処理システム
【課題】 作業に係る情報を電子文書にて管理するシステムにおいて、作業の質・効率の向上に寄与することができるシステムを構築する。
【解決手段】 文書管理装置2は、診療行為に係る診療パスの各段階を示す診療パス情報と、各診療段階毎に必要な電子文書及び当該電子文書に対する操作の定義情報を時系列に沿って順序付けて格納したシーケンス情報とを文書情報保持手段22に保持しており、付加情報取得手段24が、文書処理装置1への送信対象の電子文書が属する診療段階及び当該電子文書の直前(又は直後)の位置に順序付けされた他の電子文書を特定する特定情報と、当該電子文書に対する当該診療段階における操作の定義情報とを文書情報保持手段22から抽出し、これらを含む付加情報を生成する。そして、関連付け出力手段25が、送信対象の電子文書に付加情報を関連付けて文書処理装置1に送信する。
【解決手段】 文書管理装置2は、診療行為に係る診療パスの各段階を示す診療パス情報と、各診療段階毎に必要な電子文書及び当該電子文書に対する操作の定義情報を時系列に沿って順序付けて格納したシーケンス情報とを文書情報保持手段22に保持しており、付加情報取得手段24が、文書処理装置1への送信対象の電子文書が属する診療段階及び当該電子文書の直前(又は直後)の位置に順序付けされた他の電子文書を特定する特定情報と、当該電子文書に対する当該診療段階における操作の定義情報とを文書情報保持手段22から抽出し、これらを含む付加情報を生成する。そして、関連付け出力手段25が、送信対象の電子文書に付加情報を関連付けて文書処理装置1に送信する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業に用いる電子文書及び当該電子文書に対する操作を管理する文書処理システム、当該文書処理システムを構成する文書管理装置及び文書処理装置、各装置のプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、診療行為に関する医療情報を電子的に処理することが考えられている。
例えば、医療情報を電子文書として管理する発明(特許文献1参照)や、医療情報に係る電子文書を仮想プリンタにより作成する発明(特許文献2参照)が提案されている。
また、例えば、システムに診療段階や診療パターン等を保持し、これに基づいて医師に提示する表示データを制御する発明(特許文献3参照)が提案されている。
【特許文献1】特許第3239213号公報
【特許文献2】特許第3328882号公報
【特許文献3】特開平11−066197号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記特許文献3に係る発明によると、診療段階において最適な情報を表示する効果は発現できるものの、現状の医療現場では既存サブシステムが多量に存在する場合がほとんどで、実現のために多大なコストを要することが予想されるため、現実的な方法とは言い難かった。
これに対し、上記特許文献1、2に係る発明によると、システム構築コストを下げつつ診療に必要な記録を集約することが可能であったが、診療の各段階において電子文書に対して行うべき操作の特定は医師の記憶等に頼らざるを得なかったため、複雑な診療行為の効率性を高めるには十分とはいえない。
【0004】
本発明は、上記従来の事情に鑑みなされたものであり、作業(例えば、クリニカルパスや診療ガイドラインに沿った診療行為など)に係る電子文書を扱うシステムにおいて、作業の質・効率の向上に寄与することができるシステムを構築することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載の発明は、作業の各段階毎に必要な電子文書及び当該電子文書に対する操作の定義情報を作業の時系列に沿って順序付けて格納した作業手順情報を保持する保持手段と、前記作業手順情報から電子文書を取得するにあたり、当該電子文書が属する段階及び当該電子文書の直前又は直後の位置に順序付けされた他の電子文書を特定する特定情報と当該電子文書に対する当該段階における操作の定義情報とを併せて取得する取得手段と、前記取得した電子文書と前記取得した定義情報と前記取得した特定情報とを関連付けた部分手順情報を出力する出力手段と、を備えたことを特徴とする文書処理システムである。
【0006】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の文書処理システムにおいて、前記文書処理システムは、文書管理装置と、文書処理装置と、を具備し、前記文書管理装置は、前記保持手段と、前記取得手段と、前記出力手段と、を備え、前記文書処理装置は、前記文書管理装置から出力された部分手順情報を受信する受信手段と、前記部分手順情報に係る電子文書について、当該部分手順情報に係る定義情報に基づく操作を利用者からの指示に基づいて実行する実行手段と、前記部分手順情報を前記文書管理装置に送信する送信手段と、を備え、前記文書管理装置は、前記文書処理装置から受信した部分手順情報に係る特定情報に基づいて、当該部分手順情報に係る電子文書及び定義情報を前記作業手順情報に格納する格納手段を更に備えたことを特徴とする。
【0007】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の文書処理システムにおいて、前記文書処理装置は、前記部分手順情報に係る定義情報に基づいて、当該部分手順情報に係る電子文書に対する操作を示す表示を行う表示手段を更に備えたことを特徴とする。
【0008】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の文書処理システムにおいて、前記定義情報は、当該定義情報に係る電子文書に対する複数の操作を定義すると共に、各操作を実行するために満たすべき実行条件を定義しており、前記文書処理装置は、前記定義情報に係る各操作について実行条件を満たしているか否かを判定する判定手段を備え、前記表示手段は、前記部分手順情報に係る電子文書に対する操作を示す表示を、実行条件を満たす操作と満たさない操作とを区別して行うことを特徴とする。
【0009】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の文書処理システムにおいて、前記定義情報は、当該定義情報に係る各操作が実行条件を満たさない場合に表示するための理由情報を保持しており、前記表示手段は、実行条件を満たさない操作について前記理由情報を表示することを特徴とする。
【0010】
請求項6に記載の発明は、作業の各段階毎に必要な電子文書及び当該電子文書に対する操作の定義情報を作業の時系列に沿って順序付けて格納した作業手順情報を保持する保持手段と、前記作業手順情報から電子文書を取得するにあたり、当該電子文書が属する段階及び当該電子文書の直前又は直後の位置に順序付けされた他の電子文書を特定する特定情報と当該電子文書に対する当該段階における操作の定義情報とを併せて取得する取得手段と、前記取得した電子文書と前記取得した定義情報と前記取得した特定情報とを関連付けた部分手順情報を文書処理装置に出力する出力手段と、前記文書処理装置から受信した部分手順情報に係る特定情報に基づいて、当該部分手順情報に係る電子文書及び定義情報を前記作業手順情報に格納する格納手段と、を備えたことを特徴とする文書管理装置である。
【0011】
請求項7に記載の発明は、作業の各段階毎に必要な電子文書及び当該電子文書に対する操作の定義情報を作業の時系列に沿って順序付けて格納した作業手順情報を保持する文書管理装置から、前記作業手順情報から取得した電子文書と、当該電子文書が属する段階及び当該電子文書の直前又は直後の位置に順序付けされた他の電子文書を特定する特定情報と、当該電子文書に対する当該段階における操作の定義情報とを関連付けた部分手順情報を受信する受信手段と、前記部分手順情報に係る電子文書について、当該部分手順情報に係る定義情報に基づく操作を利用者からの指示に基づいて実行する実行手段と、前記部分手順情報に係る電子文書及び定義情報を当該部分手順情報に係る特定情報に基づいて前記作業手順情報に格納させるために、当該部分手順情報を前記文書管理装置に送信する送信手段と、を備えたことを特徴とする文書処理装置である。
【0012】
請求項8に記載の発明は、コンピュータに、作業の各段階毎に必要な電子文書及び当該電子文書に対する操作の定義情報を作業の時系列に沿って順序付けて格納した作業手順情報を保持する保持機能と、前記作業手順情報から電子文書を取得するにあたり、当該電子文書が属する段階及び当該電子文書の直前又は直後の位置に順序付けされた他の電子文書を特定する特定情報と当該電子文書に対する当該段階における操作の定義情報とを併せて取得する取得機能と、前記取得した電子文書と前記取得した定義情報と前記取得した特定情報とを関連付けた部分手順情報を文書処理装置に出力する出力機能と、前記文書処理装置から受信した部分手順情報に係る特定情報に基づいて、当該部分手順情報に係る電子文書及び定義情報を前記作業手順情報に格納する格納機能と、を実現させるための文書管理プログラム。
【0013】
請求項9に記載の発明は、コンピュータに、作業の各段階毎に必要な電子文書及び当該電子文書に対する操作の定義情報を作業の時系列に沿って順序付けて格納した作業手順情報を保持する文書管理装置から、前記作業手順情報から取得した電子文書と、当該電子文書が属する段階及び当該電子文書の直前又は直後の位置に順序付けされた他の電子文書を特定する特定情報と、当該電子文書に対する当該段階における操作の定義情報とを関連付けた部分手順情報を受信する受信機能と、前記部分手順情報に係る電子文書について、当該部分手順情報に係る定義情報に基づく操作を利用者からの指示に基づいて実行する実行機能と、前記部分手順情報に係る電子文書及び定義情報を当該部分手順情報に係る特定情報に基づいて前記作業手順情報に格納させるために、当該部分手順情報を前記文書管理装置に送信する送信機能と、を実現させるための文書処理プログラム。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に記載の発明によると、文書処理システムが、作業の各段階毎に必要な電子文書及び当該電子文書に対する操作の定義情報を順序付けて格納した作業手順情報を保持しており、作業手順情報から取得する電子文書には、当該電子文書が属する段階における当該電子文書に対する操作の定義情報が関連付けられるため、当該電子文書に対して作業の段階に応じた操作を行うことができる。また、作業手順情報から取得する電子文書には、当該電子文書が属する段階及び当該電子文書の直前又は直後に係る他の電子文書を特定する特定情報が関連付けられるため、当該特定情報に基づいて、当該電子文書を作業手順情報の適切な位置に再格納することができる。
つまり、作業手順情報を保持する文書管理サーバ等から独立して、電子文書に対して作業の段階に応じた操作を行うことができ、また操作後の電子文書を文書管理サーバに再格納して情報の整合性をとることができる。このように、電子文書の単位での作業を可能にすることにより、作業の質・効率の向上に寄与することができる。
【0015】
請求項2に記載の発明によると、上記の文書処理システムを、サーバとしての文書管理装置と、作業者の操作端末としての文書処理装置とにより実現することができる。
請求項3に記載の発明によると、作業者は、電子文書に対する操作を作業の段階に応じて把握することができる。
請求項4に記載の発明によると、作業者は、電子文書に対する複数の操作のうち、実行可能な操作と実行不能な操作とを区別して把握することができる。
請求項5に記載の発明によると、作業者は、実行不能な操作について、その理由を把握することができる。
【0016】
請求項6に記載の発明によると、文書処理装置と共に文書処理システムを構成する文書管理装置を実現することができる。
請求項7に記載の発明によると、文書管理装置と共に文書処理システムを構成する文書処理装置を実現することができる。
請求項8に記載の発明によると、文書処理装置と共に文書処理システムを構成する文書管理装置をコンピュータにより実現することができる。
請求項9に記載の発明によると、文書管理装置と共に文書処理システムを構成する文書処理装置をコンピュータにより実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明を、以下に例示する実施形態に基づいて具体的に説明する。
図1は、本例に係る文書処理システムの機能ブロック図を示している。
すなわち、本例に係る文書処理システムは、作業者(本例では医師)の操作端末としての文書処理装置1と、作業(本例では診療行為)に用いる電子文書を管理する文書管理サーバ(DMS)としての文書管理装置2と、を具備しており、互いにネットワークNを介して通信を行う。
【0018】
文書管理装置2は、文書処理装置1との通信を行う通信手段21、診療行為に係る診療パスの各段階(診療段階)を示す診療パス情報と、各診療段階毎に必要な電子文書及び当該電子文書に対する操作の定義情報を診療行為の時系列に沿って順序付けて格納したシーケンス情報(作業手順情報)とを保持する文書情報保持手段22、電子文書を文書情報保持手段22から取得する文書情報取得手段23、前記取得した電子文書に関連付ける付加情報を文書情報保持手段22から取得する付加情報取得手段24、前記取得した付加情報を前記取得した電子文書に関連付けて文書処理装置1に送信する関連付け出力手段25、文書処理装置1から受信した電子文書を文書情報保持手段22に格納する格納手段26、を備えている。
【0019】
本例では、テンプレートとしての電子文書と、当該テンプレートに基づいて新規作成されて文書処理装置1に提供され且つ文書処理装置1による操作状況の情報を含む診療実績としての電子文書と、を文書情報保持手段22に格納している。
また、電子文書を文書処理装置1に送信するにあたり、付加情報取得手段24が、当該電子文書が属する診療段階及び当該電子文書の直前(又は直後)の位置に順序付けされた他の電子文書を特定する特定情報と、当該電子文書に対する当該診療段階における操作の定義情報とを文書情報保持手段22から抽出し、当該抽出した特定情報及び定義情報を付加情報に格納することで、文書処理装置1に送信する電子文書に関連付ける付加情報を生成している。なお、本例では、電子文書に対する操作の定義情報を抽出する際、操作の動作主体が電子文書となるように定義情報を整形している。
【0020】
文書処理装置1は、文書管理装置2との通信を行う通信手段11、文書管理装置2から受信した電子文書及び当該電子文書に関連付けされた付加情報を保持するメモリ12、文書管理装置2から取得する電子文書の指定を医師から受け付ける文書指定受付手段13、メモリ12に保持された電子文書に対する操作を実行する指示を医師から受け付ける実行指示受付手段14、メモリ12に保持された電子文書に対する操作を実行する実行手段15、各種情報を医師に対して表示する表示手段16、医師に対する表示内容を制御する表示制御手段17、を備えている。なお、実行指示受付手段14では、電子文書に関連付けされた付加情報中の定義情報に基づく操作、すなわち診療段階に応じた操作について受け付けている。
【0021】
図2は、本例に係る文書処理システムを概念的に示している。
本例では、既存の複数のサブシステム3やスキャナ4からの医療情報を、仮想プリンタ5により電子文書化して文書管理装置(DMS)2に格納する。また、医師は、電子文書に対する操作を行う場合、文書管理装置2から文書処理装置(Client PC)1に電子文書を取得し、文書処理装置1にて当該電子文書に対して診療段階に応じた操作を行って、操作後に電子文書を文書管理装置2に送信して再格納する。
これにより、既存サブシステムを利用してシステム統合コストを下げつつ、電子文書に対して診療段階に応じた操作を適切に実行することが可能となり、医療の質・効率の向上に寄与できる。また、システムが診療パスを集中管理しなくても、各電子文書が能動的に動作することで診療パスを形成することができる。
【0022】
本例に係る文書処理システムによる電子文書に対する処理の流れを、図5の処理フロー等を参照して具体的に説明する。
なお、以下においては、診療パスにおける「Informed Cons ent後」段階、「手術前」段階、「手術」段階等の各段階のうち、「手術前」段階について説明する。ここで、「手術前」段階においては、図3に示すように、「Informed Cons ent用紙」がDMSに登録されていることを確認した後に「手術同意書」を印刷し、患者の同意を得てサインがなされた「手術同意書」をDMSに登録し、その後「麻酔同意書」を印刷し、患者の同意を得てサインがなされた「麻酔同意書」をDMSに登録するものとする。
【0023】
この場合、文書管理装置2の文書情報保持手段22には、図4に示すようなシーケンス情報が保持される。同図では、診療段階を示す情報と、当該診療段階で必要な電子文書(操作対象)と、当該電子文書に対する操作と、を組にして1件のレコードを構成し、これらを診療行為の時系列に沿って順序付けて格納している。本例では、「手術前」段階において、「Informed Cons ent用紙」に対する“DMS登録確認”、「手術同意書」に対する“新規作成”、“印刷”、“DMS登録”、“DMS登録確認”、「麻酔同意書」に対する“新規作成”、“印刷”、“DMS登録”、“DMS登録確認”の各操作を順に行うことが定義されている。
【0024】
医師は、まず、文書管理装置2から取得する電子文書の指定を行う。文書処理装置1は、この電子文書の指定を文書指定受付手段13により受け付ける。なお、本例では、医師による電子文書の指定に先立って、診療パスの各診療段階毎に必要な電子文書の情報を文書管理装置2から取得して表示手段16に表示(例えば、電子文書の画像を縮小したサムネイル画像を診療段階別に一覧表示)しており、その表示に基づいて電子文書の指定を受け付けることで、取得対象の電子文書が属する診療段階の指定も受け付けている。
【0025】
文書指定受付手段13により受け付けた診療段階及び電子文書の指定情報は文書管理装置2に送信され、文書管理装置2の文書情報取得手段23が、該当する電子文書を文書情報保持手段22から取得する(ステップS11)。ここで、診療実績としての該当電子文書が既に存在する場合には当該電子文書を取得し、存在しない場合にはテンプレートとしての該当電子文書に基づいて新規生成した電子文書を取得する。本例では、或る患者について「手術前」段階における「手術同意書」が指定されたものの、該当する「手術同意書」が存在しないため、「手術同意書」をテンプレートから新規生成して取得している。
【0026】
また、付加情報取得手段24が、当該電子文書(「手術前」段階における「手術同意書」)に係る特定情報と定義情報とを文書情報保持手段22から抽出して、これらを格納した付加情報を取得する(ステップS12)。
関連付け出力手段25は、前記取得した付加情報を前記取得した電子文書に関連付けて文書処理装置1に送信する(ステップS13、S14)。本例では、図6に示すように、付加情報を電子文書に付加することにより、電子文書と付加情報(特定情報及び定義情報)とを関連付けて本発明に係る部分手順情報を形成している。なお、このように電子文書と付加情報とを直接的に関連付けて文書処理装置1に送信する他、付加情報を電子文書とは別個に文書処理装置1に送信すると共に付加情報の識別情報を電子文書に付加しておく等により、電子文書と付加情報とを間接的に関連付けるようにしてもよい。
【0027】
文書処理装置1は、文書管理装置2から取得した電子文書及び付加情報をメモリ12に格納し、当該電子文書に対する操作メニューを表示手段16に表示する。当該操作メニューは、後述するように付加情報中の定義情報に基づいて表示制御手段17により形成される。医師は、当該操作メニューを閲覧して、「手術前」段階における「手術同意書」に対して行う操作を把握し、当該「手術同意書」に対して行う操作を指定する。文書処理装置1は、当該操作の指定を実行指示受付手段14により受け付けると、メモリ12中の該当する電子文書に対して当該操作を実行手段15により実行し、当該電子文書の操作状況の情報を更新する。
【0028】
文書処理装置1は、電子文書を文書管理装置2に戻す指示を医師から受け付けると、該当する電子文書とこれに関連付けられた付加情報とを文書管理装置2に送信する。
文書管理装置2は、文書処理装置1から電子文書及び付加情報を受信すると、格納手段26が、当該電子文書を診療実績として、当該付加情報中の特定情報に基づいて特定される文書情報保持手段22中の位置に格納する。
【0029】
図7は、文書管理装置2から受信した電子文書に関連付けられた付加情報に基づいて特定される、操作対象の電子文書に係る操作内容を示している。
本例では、操作対象である「手術前」段階における「手術同意書」に対し、その直前又は直後の位置に順序付けされた「Informed Cons ent用紙」や「麻酔同意書」に関する操作の一部についても示している。
【0030】
なお、同図(a)は、後工程の電子文書が前工程の電子文書に操作状況を問い合わせる「pull型」について示している。すなわち、後工程文書である自分(「手術同意書」)が、前工程文書である「Informed Cons ent用紙」がサイン付きでDMS(文書管理装置2)に登録されていることを当該「Informed Cons ent用紙」に問い合わせて確認し、当該確認を条件に自分に対する操作を可能にする。
また、同図(b)は、前工程の電子文書が後工程の電子文書に操作状況を通知する「push型」について示している。すなわち、前工程文書である自分(「手術同意書」)が、後工程文書である「麻酔同意書」に対し、自分がサイン付きでDMS(文書管理装置2)に登録されたことを通知して、「麻酔同意書」に対する操作を可能にする。
【0031】
このように、電子文書が主体として動作することにより、図8のシーケンス図に示すように、各電子文書(「Informed Cons ent用紙」D1、「手術同意書」D2、「麻酔同意書」D3)は、周りの電子文書と協調動作して診療パスを進めるようにしている。
また、上記のように付加情報を電子文書に関連付けているため、文書管理装置2と接続できない環境で当該電子文書を用いた診療が行われた場合であっても、当該電子文書を基点に診療パスをつなげることが可能となる。
また、図9に示すように、電子文書を取得した文書管理装置2(DMS1)とは別環境(例えば他の医療機関)の文書管理装置2(DMS2)に電子文書を戻したとしても、電子文書に関連付けられた付加情報に基づいて、当該電子文書を基点に同様の診療パスを再開することが可能となる。
【0032】
なお、上記においては、1つの電子文書を取得する際に当該電子文書に対して付加情報を関連付ける構成について説明したが、図10に示すように、複数の電子文書を束ねた電子カルテについても本発明を適用でき、電子カルテを構成する各電子文書に対して該当する付加情報を関連付ければよい。
【0033】
図11は、診療段階を移行する判断基準を例示している。すなわち、「手術前」段階から「手術」段階への移行は、「手術同意書」及び「麻酔同意書」の両方がDMS(文書管理装置2)に格納されていることを条件に行うことが定義されている。このように、単数又は複数の電子文書の操作状況から、全体の診療段階が次工程へ移行可能かどうかを判断して、現在の診療段階を移行させることが可能となる。なお、当該判断は、文書管理装置2及び文書処理装置1のいずれで行ってもよい。また、電子文書自体に、周りの電子文書との関係から自主的に判断する機能を持たせてもよい。
【0034】
また、電子文書に対する操作の定義情報として、図12に示すように、当該操作を実行するために起動するMethod(プログラムやサブシステム)及びその引数等の情報を設定するようにしてもよい。なお、当該プログラムに引数として与える情報としては、例えば、患者ID、医師ID、診療科ID、文書ID、診療段階ID、等がある。これにより、例えば「手術同意書」の診療パスにおいて「麻酔同意書」を新規作成する場合、「麻酔同意書」作成用のプログラムを起動するにあたり、引数として与える情報を「手術同意書」から抽出して当該プログラムに提供して「麻酔同意書」を新規作成する。
【0035】
また、文書処理装置1において、複数の電子文書の操作状況に基づいて、診療パス全体としての進行状況を示す表示を行うようにしてもよい。図13(a)は、電子文書A〜Hを用いた診療行為が終了した後の表示例を示しており、これに対して同図(b)は、電子文書Eに対する操作段階の表示例を示している。このような表示を行うことにより、現段階における診療パスの進行状況を医師が一目して把握可能となり、診療ガイドライン等との齟齬を確認できる。
【0036】
次に、文書処理装置1による操作メニューの表示処理について説明する。
なお、図14に示すように、「説明前」段階において、「検査結果用紙」に対する“閲覧”、“印刷”、「インフォームドコンセント用紙」に対する“印刷”の各操作を順に行い、「説明後」段階において、「インフォームドコンセント用紙」に対する“登録”、“閲覧”、「手術同意書」に対する“印刷”、「麻酔同意書」に対する“印刷”の各操作を順に行うことが定義されているものとする。
【0037】
図15は、文書処理装置1による操作メニューの表示処理に係る処理フローを示している。
文書処理装置1の表示制御手段17は、メモリ12に保持された電子文書に対する操作メニューを表示するにあたり、当該電子文書に関連付けられた付加情報をメモリ12から取得し、当該付加情報中の定義情報に基づいて、当該電子文書に対して定義された操作を特定する(ステップS21)。例えば、「インフォームドコンセント用紙」の場合は、図16に示すように、「説明前」段階における“印刷”、「説明後」段階における“登録”、“閲覧”の各操作が特定される。
【0038】
表示制御手段17は、当該特定した各操作について実行条件を満たすか否かを判定する(ステップS22)。本例では、上述した順番に沿って各操作を行うことが定義されており、電子文書の操作状況の情報に基づいて、操作がどこまでなされたかを判別し、実行条件の適合可否を判定している。なお、このような電子文書に対する操作順に係る実行条件の他、例えば操作結果に応じて実行条件を変えるといったように、種々の実行条件を設定することができる。
【0039】
表示制御手段17は、実行条件の適合可否に応じて、実行条件を満たす操作を「表示」、それ以外の操作を「非表示」に設定し(ステップS23)、当該設定値に応じた操作メニューを表示手段16に表示する(ステップS24)。
すなわち、「インフォームドコンセント用紙」に対する操作メニューとして、「説明前」段階においては“印刷”操作が表示され、「説明後」段階においては“登録”又は“閲覧”操作が表示される。このように、電子文書に対する操作メニューを、現在の診療段階及び当該電子文書の操作状況に応じて切り替えている。
【0040】
なお、上記のように、実行条件に適合しない操作を非表示に設定する他、例えば、当該操作を実行条件に適合する操作とは異なる文字色や背景色等で表示する等の種々の態様してもよく、これらを医師が区別できればよい。なお、文字色や背景色等を異ならせる場合には、実行条件に適合しない操作が指定されても、実行手段15がその操作を実行しないようにする必要がある。ここで、実行条件に適合しない操作が指定された場合は、当該操作を実行しない理由を表示手段16に表示することが好ましく、これを実現するためには、図17に示すように、各操作の定義情報に該操作を実行しない理由の情報を含めておけばよい。
【0041】
図18は、本例の文書処理装置1及び文書管理装置2の主要なハードウェア構成を示している。
すなわち、本例の文書処理装置1及び文書管理装置2は、各種演算処理を行うCPU、CPUの作業領域となるRAM、基本的な制御プログラムを記憶するROM、本発明に係る各機能を実現するための文書処理プログラム又は文書管理プログラム等を記憶するHDD、利用者に対する情報を表示出力する液晶ディスプレイや利用者からの情報の入力を受け付けるマウス・キーボード等の機器とのインターフェースである入出力I/F、他の装置との間で通信を行うインターフェースである通信I/F、等のハードウェア資源を有するコンピュータで構成されている。
【0042】
そして、文書処理装置1では、本発明に係る文書処理プログラムをHDDから読み出してRAMに展開し、これをCPUにより実行させることで、本発明に係る受信手段(主に通信手段11)、実行手段(主に実行指示受付手段14及び実行手段15)、送信手段(主に通信手段11)等の各機能を、文書処理装置1のコンピュータに実現している。
また、文書管理装置2では、本発明に係る文書管理プログラムをHDDから読み出してRAMに展開し、これをCPUにより実行させることで、本発明に係る保持手段(主に文書情報保持手段22)、取得手段(主に文書情報取得手段23及び付加情報取得手段24)、出力手段(主に通信手段21)、格納手段(主に格納手段26)等の各機能を、文書管理装置2のコンピュータに実現している。
【0043】
なお、本発明に係る文書処理プログラム及び文書管理プログラムは、例えば、当該プログラムを記憶したCD−ROM等の外部記憶媒体を配布する形式や、ネットワークを介して配信する形式により、本発明の実施者に提供される。
また、本発明に係る文書処理装置1及び文書管理装置2の各機能手段は、本例のようなソフトウェア構成により実現する態様に限られず、それぞれ専用のハードウエアモジュールで構成してもよい。
また、本発明に係る文書処理装置1及び文書管理装置2の各機能手段は、本例のように各1台のコンピュータに設ける態様に限られず、複数台のコンピュータに分散して設けてもよい。
【0044】
また、上記では、診療行為に係る電子文書を扱うシステムを例に説明したが、本発明はこのようなシステムに限定されるものではなく、例えば営業行為に係る電子文書を扱うシステムなど、作業の各段階毎に必要な電子文書及び当該電子文書に対する操作の定義が時系列に沿って定義された作業に係る電子文書を扱うシステムについて適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の一実施形態に係る文書処理システムの機能ブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る文書処理システムを概念的に示す図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る診療行為のフローの一部を示す図である。
【図4】本発明の一実施形態に係るシーケンス情報のデータ例を示す図である。
【図5】本発明の一実施形態に係る文書管理装置による電子文書の送信処理に係る処理フロー図である。
【図6】本発明の一実施形態に係る文書管理装置が送信する電子文書のデータ構成を示す図である。
【図7】本発明の一実施形態に係る電子文書に対する操作内容を示す図である。
【図8】本発明の一実施形態に係る電子文書を動作主体としたシーケンス図である。
【図9】本発明の一実施形態に係る文書処理システムの動作態様を例示する図である。
【図10】本発明の一実施形態に係る電子カルテの構成を示す図である。
【図11】本発明の一実施形態に係る診療段階を移行する判断基準を例示する図である。
【図12】本発明の一実施形態に係る定義情報の構成例を示す図である。
【図13】本発明の一実施形態に係る診療パスの進行状況の表示例を示す図である。
【図14】本発明の一実施形態に係る電子文書に対する操作内容を示す図である。
【図15】本発明の一実施形態に係る操作メニューの表示処理に係る処理フロー図である。
【図16】本発明の一実施形態に係る電子文書に対する操作内容を示す図である。
【図17】本発明の一実施形態に係る電子文書に対する操作の不能理由を示す図である。
【図18】本発明の一実施形態に係る文書管理装置及び文書処理装置のハードウェア構成図である。
【符号の説明】
【0046】
1:文書処理装置、
2:文書管理装置、
11:通信手段、
12:メモリ、
13:文書指定受付手段、
14:実行指示受付手段、
15:実行手段、
16:表示手段、
17:表示制御手段、
21:通信手段、
22:文書情報保持手段、
23:文書情報取得手段、
24:付加情報取得手段、
25:関連付け出力手段、
26:格納手段
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業に用いる電子文書及び当該電子文書に対する操作を管理する文書処理システム、当該文書処理システムを構成する文書管理装置及び文書処理装置、各装置のプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、診療行為に関する医療情報を電子的に処理することが考えられている。
例えば、医療情報を電子文書として管理する発明(特許文献1参照)や、医療情報に係る電子文書を仮想プリンタにより作成する発明(特許文献2参照)が提案されている。
また、例えば、システムに診療段階や診療パターン等を保持し、これに基づいて医師に提示する表示データを制御する発明(特許文献3参照)が提案されている。
【特許文献1】特許第3239213号公報
【特許文献2】特許第3328882号公報
【特許文献3】特開平11−066197号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記特許文献3に係る発明によると、診療段階において最適な情報を表示する効果は発現できるものの、現状の医療現場では既存サブシステムが多量に存在する場合がほとんどで、実現のために多大なコストを要することが予想されるため、現実的な方法とは言い難かった。
これに対し、上記特許文献1、2に係る発明によると、システム構築コストを下げつつ診療に必要な記録を集約することが可能であったが、診療の各段階において電子文書に対して行うべき操作の特定は医師の記憶等に頼らざるを得なかったため、複雑な診療行為の効率性を高めるには十分とはいえない。
【0004】
本発明は、上記従来の事情に鑑みなされたものであり、作業(例えば、クリニカルパスや診療ガイドラインに沿った診療行為など)に係る電子文書を扱うシステムにおいて、作業の質・効率の向上に寄与することができるシステムを構築することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載の発明は、作業の各段階毎に必要な電子文書及び当該電子文書に対する操作の定義情報を作業の時系列に沿って順序付けて格納した作業手順情報を保持する保持手段と、前記作業手順情報から電子文書を取得するにあたり、当該電子文書が属する段階及び当該電子文書の直前又は直後の位置に順序付けされた他の電子文書を特定する特定情報と当該電子文書に対する当該段階における操作の定義情報とを併せて取得する取得手段と、前記取得した電子文書と前記取得した定義情報と前記取得した特定情報とを関連付けた部分手順情報を出力する出力手段と、を備えたことを特徴とする文書処理システムである。
【0006】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の文書処理システムにおいて、前記文書処理システムは、文書管理装置と、文書処理装置と、を具備し、前記文書管理装置は、前記保持手段と、前記取得手段と、前記出力手段と、を備え、前記文書処理装置は、前記文書管理装置から出力された部分手順情報を受信する受信手段と、前記部分手順情報に係る電子文書について、当該部分手順情報に係る定義情報に基づく操作を利用者からの指示に基づいて実行する実行手段と、前記部分手順情報を前記文書管理装置に送信する送信手段と、を備え、前記文書管理装置は、前記文書処理装置から受信した部分手順情報に係る特定情報に基づいて、当該部分手順情報に係る電子文書及び定義情報を前記作業手順情報に格納する格納手段を更に備えたことを特徴とする。
【0007】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の文書処理システムにおいて、前記文書処理装置は、前記部分手順情報に係る定義情報に基づいて、当該部分手順情報に係る電子文書に対する操作を示す表示を行う表示手段を更に備えたことを特徴とする。
【0008】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の文書処理システムにおいて、前記定義情報は、当該定義情報に係る電子文書に対する複数の操作を定義すると共に、各操作を実行するために満たすべき実行条件を定義しており、前記文書処理装置は、前記定義情報に係る各操作について実行条件を満たしているか否かを判定する判定手段を備え、前記表示手段は、前記部分手順情報に係る電子文書に対する操作を示す表示を、実行条件を満たす操作と満たさない操作とを区別して行うことを特徴とする。
【0009】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の文書処理システムにおいて、前記定義情報は、当該定義情報に係る各操作が実行条件を満たさない場合に表示するための理由情報を保持しており、前記表示手段は、実行条件を満たさない操作について前記理由情報を表示することを特徴とする。
【0010】
請求項6に記載の発明は、作業の各段階毎に必要な電子文書及び当該電子文書に対する操作の定義情報を作業の時系列に沿って順序付けて格納した作業手順情報を保持する保持手段と、前記作業手順情報から電子文書を取得するにあたり、当該電子文書が属する段階及び当該電子文書の直前又は直後の位置に順序付けされた他の電子文書を特定する特定情報と当該電子文書に対する当該段階における操作の定義情報とを併せて取得する取得手段と、前記取得した電子文書と前記取得した定義情報と前記取得した特定情報とを関連付けた部分手順情報を文書処理装置に出力する出力手段と、前記文書処理装置から受信した部分手順情報に係る特定情報に基づいて、当該部分手順情報に係る電子文書及び定義情報を前記作業手順情報に格納する格納手段と、を備えたことを特徴とする文書管理装置である。
【0011】
請求項7に記載の発明は、作業の各段階毎に必要な電子文書及び当該電子文書に対する操作の定義情報を作業の時系列に沿って順序付けて格納した作業手順情報を保持する文書管理装置から、前記作業手順情報から取得した電子文書と、当該電子文書が属する段階及び当該電子文書の直前又は直後の位置に順序付けされた他の電子文書を特定する特定情報と、当該電子文書に対する当該段階における操作の定義情報とを関連付けた部分手順情報を受信する受信手段と、前記部分手順情報に係る電子文書について、当該部分手順情報に係る定義情報に基づく操作を利用者からの指示に基づいて実行する実行手段と、前記部分手順情報に係る電子文書及び定義情報を当該部分手順情報に係る特定情報に基づいて前記作業手順情報に格納させるために、当該部分手順情報を前記文書管理装置に送信する送信手段と、を備えたことを特徴とする文書処理装置である。
【0012】
請求項8に記載の発明は、コンピュータに、作業の各段階毎に必要な電子文書及び当該電子文書に対する操作の定義情報を作業の時系列に沿って順序付けて格納した作業手順情報を保持する保持機能と、前記作業手順情報から電子文書を取得するにあたり、当該電子文書が属する段階及び当該電子文書の直前又は直後の位置に順序付けされた他の電子文書を特定する特定情報と当該電子文書に対する当該段階における操作の定義情報とを併せて取得する取得機能と、前記取得した電子文書と前記取得した定義情報と前記取得した特定情報とを関連付けた部分手順情報を文書処理装置に出力する出力機能と、前記文書処理装置から受信した部分手順情報に係る特定情報に基づいて、当該部分手順情報に係る電子文書及び定義情報を前記作業手順情報に格納する格納機能と、を実現させるための文書管理プログラム。
【0013】
請求項9に記載の発明は、コンピュータに、作業の各段階毎に必要な電子文書及び当該電子文書に対する操作の定義情報を作業の時系列に沿って順序付けて格納した作業手順情報を保持する文書管理装置から、前記作業手順情報から取得した電子文書と、当該電子文書が属する段階及び当該電子文書の直前又は直後の位置に順序付けされた他の電子文書を特定する特定情報と、当該電子文書に対する当該段階における操作の定義情報とを関連付けた部分手順情報を受信する受信機能と、前記部分手順情報に係る電子文書について、当該部分手順情報に係る定義情報に基づく操作を利用者からの指示に基づいて実行する実行機能と、前記部分手順情報に係る電子文書及び定義情報を当該部分手順情報に係る特定情報に基づいて前記作業手順情報に格納させるために、当該部分手順情報を前記文書管理装置に送信する送信機能と、を実現させるための文書処理プログラム。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に記載の発明によると、文書処理システムが、作業の各段階毎に必要な電子文書及び当該電子文書に対する操作の定義情報を順序付けて格納した作業手順情報を保持しており、作業手順情報から取得する電子文書には、当該電子文書が属する段階における当該電子文書に対する操作の定義情報が関連付けられるため、当該電子文書に対して作業の段階に応じた操作を行うことができる。また、作業手順情報から取得する電子文書には、当該電子文書が属する段階及び当該電子文書の直前又は直後に係る他の電子文書を特定する特定情報が関連付けられるため、当該特定情報に基づいて、当該電子文書を作業手順情報の適切な位置に再格納することができる。
つまり、作業手順情報を保持する文書管理サーバ等から独立して、電子文書に対して作業の段階に応じた操作を行うことができ、また操作後の電子文書を文書管理サーバに再格納して情報の整合性をとることができる。このように、電子文書の単位での作業を可能にすることにより、作業の質・効率の向上に寄与することができる。
【0015】
請求項2に記載の発明によると、上記の文書処理システムを、サーバとしての文書管理装置と、作業者の操作端末としての文書処理装置とにより実現することができる。
請求項3に記載の発明によると、作業者は、電子文書に対する操作を作業の段階に応じて把握することができる。
請求項4に記載の発明によると、作業者は、電子文書に対する複数の操作のうち、実行可能な操作と実行不能な操作とを区別して把握することができる。
請求項5に記載の発明によると、作業者は、実行不能な操作について、その理由を把握することができる。
【0016】
請求項6に記載の発明によると、文書処理装置と共に文書処理システムを構成する文書管理装置を実現することができる。
請求項7に記載の発明によると、文書管理装置と共に文書処理システムを構成する文書処理装置を実現することができる。
請求項8に記載の発明によると、文書処理装置と共に文書処理システムを構成する文書管理装置をコンピュータにより実現することができる。
請求項9に記載の発明によると、文書管理装置と共に文書処理システムを構成する文書処理装置をコンピュータにより実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明を、以下に例示する実施形態に基づいて具体的に説明する。
図1は、本例に係る文書処理システムの機能ブロック図を示している。
すなわち、本例に係る文書処理システムは、作業者(本例では医師)の操作端末としての文書処理装置1と、作業(本例では診療行為)に用いる電子文書を管理する文書管理サーバ(DMS)としての文書管理装置2と、を具備しており、互いにネットワークNを介して通信を行う。
【0018】
文書管理装置2は、文書処理装置1との通信を行う通信手段21、診療行為に係る診療パスの各段階(診療段階)を示す診療パス情報と、各診療段階毎に必要な電子文書及び当該電子文書に対する操作の定義情報を診療行為の時系列に沿って順序付けて格納したシーケンス情報(作業手順情報)とを保持する文書情報保持手段22、電子文書を文書情報保持手段22から取得する文書情報取得手段23、前記取得した電子文書に関連付ける付加情報を文書情報保持手段22から取得する付加情報取得手段24、前記取得した付加情報を前記取得した電子文書に関連付けて文書処理装置1に送信する関連付け出力手段25、文書処理装置1から受信した電子文書を文書情報保持手段22に格納する格納手段26、を備えている。
【0019】
本例では、テンプレートとしての電子文書と、当該テンプレートに基づいて新規作成されて文書処理装置1に提供され且つ文書処理装置1による操作状況の情報を含む診療実績としての電子文書と、を文書情報保持手段22に格納している。
また、電子文書を文書処理装置1に送信するにあたり、付加情報取得手段24が、当該電子文書が属する診療段階及び当該電子文書の直前(又は直後)の位置に順序付けされた他の電子文書を特定する特定情報と、当該電子文書に対する当該診療段階における操作の定義情報とを文書情報保持手段22から抽出し、当該抽出した特定情報及び定義情報を付加情報に格納することで、文書処理装置1に送信する電子文書に関連付ける付加情報を生成している。なお、本例では、電子文書に対する操作の定義情報を抽出する際、操作の動作主体が電子文書となるように定義情報を整形している。
【0020】
文書処理装置1は、文書管理装置2との通信を行う通信手段11、文書管理装置2から受信した電子文書及び当該電子文書に関連付けされた付加情報を保持するメモリ12、文書管理装置2から取得する電子文書の指定を医師から受け付ける文書指定受付手段13、メモリ12に保持された電子文書に対する操作を実行する指示を医師から受け付ける実行指示受付手段14、メモリ12に保持された電子文書に対する操作を実行する実行手段15、各種情報を医師に対して表示する表示手段16、医師に対する表示内容を制御する表示制御手段17、を備えている。なお、実行指示受付手段14では、電子文書に関連付けされた付加情報中の定義情報に基づく操作、すなわち診療段階に応じた操作について受け付けている。
【0021】
図2は、本例に係る文書処理システムを概念的に示している。
本例では、既存の複数のサブシステム3やスキャナ4からの医療情報を、仮想プリンタ5により電子文書化して文書管理装置(DMS)2に格納する。また、医師は、電子文書に対する操作を行う場合、文書管理装置2から文書処理装置(Client PC)1に電子文書を取得し、文書処理装置1にて当該電子文書に対して診療段階に応じた操作を行って、操作後に電子文書を文書管理装置2に送信して再格納する。
これにより、既存サブシステムを利用してシステム統合コストを下げつつ、電子文書に対して診療段階に応じた操作を適切に実行することが可能となり、医療の質・効率の向上に寄与できる。また、システムが診療パスを集中管理しなくても、各電子文書が能動的に動作することで診療パスを形成することができる。
【0022】
本例に係る文書処理システムによる電子文書に対する処理の流れを、図5の処理フロー等を参照して具体的に説明する。
なお、以下においては、診療パスにおける「Informed Cons ent後」段階、「手術前」段階、「手術」段階等の各段階のうち、「手術前」段階について説明する。ここで、「手術前」段階においては、図3に示すように、「Informed Cons ent用紙」がDMSに登録されていることを確認した後に「手術同意書」を印刷し、患者の同意を得てサインがなされた「手術同意書」をDMSに登録し、その後「麻酔同意書」を印刷し、患者の同意を得てサインがなされた「麻酔同意書」をDMSに登録するものとする。
【0023】
この場合、文書管理装置2の文書情報保持手段22には、図4に示すようなシーケンス情報が保持される。同図では、診療段階を示す情報と、当該診療段階で必要な電子文書(操作対象)と、当該電子文書に対する操作と、を組にして1件のレコードを構成し、これらを診療行為の時系列に沿って順序付けて格納している。本例では、「手術前」段階において、「Informed Cons ent用紙」に対する“DMS登録確認”、「手術同意書」に対する“新規作成”、“印刷”、“DMS登録”、“DMS登録確認”、「麻酔同意書」に対する“新規作成”、“印刷”、“DMS登録”、“DMS登録確認”の各操作を順に行うことが定義されている。
【0024】
医師は、まず、文書管理装置2から取得する電子文書の指定を行う。文書処理装置1は、この電子文書の指定を文書指定受付手段13により受け付ける。なお、本例では、医師による電子文書の指定に先立って、診療パスの各診療段階毎に必要な電子文書の情報を文書管理装置2から取得して表示手段16に表示(例えば、電子文書の画像を縮小したサムネイル画像を診療段階別に一覧表示)しており、その表示に基づいて電子文書の指定を受け付けることで、取得対象の電子文書が属する診療段階の指定も受け付けている。
【0025】
文書指定受付手段13により受け付けた診療段階及び電子文書の指定情報は文書管理装置2に送信され、文書管理装置2の文書情報取得手段23が、該当する電子文書を文書情報保持手段22から取得する(ステップS11)。ここで、診療実績としての該当電子文書が既に存在する場合には当該電子文書を取得し、存在しない場合にはテンプレートとしての該当電子文書に基づいて新規生成した電子文書を取得する。本例では、或る患者について「手術前」段階における「手術同意書」が指定されたものの、該当する「手術同意書」が存在しないため、「手術同意書」をテンプレートから新規生成して取得している。
【0026】
また、付加情報取得手段24が、当該電子文書(「手術前」段階における「手術同意書」)に係る特定情報と定義情報とを文書情報保持手段22から抽出して、これらを格納した付加情報を取得する(ステップS12)。
関連付け出力手段25は、前記取得した付加情報を前記取得した電子文書に関連付けて文書処理装置1に送信する(ステップS13、S14)。本例では、図6に示すように、付加情報を電子文書に付加することにより、電子文書と付加情報(特定情報及び定義情報)とを関連付けて本発明に係る部分手順情報を形成している。なお、このように電子文書と付加情報とを直接的に関連付けて文書処理装置1に送信する他、付加情報を電子文書とは別個に文書処理装置1に送信すると共に付加情報の識別情報を電子文書に付加しておく等により、電子文書と付加情報とを間接的に関連付けるようにしてもよい。
【0027】
文書処理装置1は、文書管理装置2から取得した電子文書及び付加情報をメモリ12に格納し、当該電子文書に対する操作メニューを表示手段16に表示する。当該操作メニューは、後述するように付加情報中の定義情報に基づいて表示制御手段17により形成される。医師は、当該操作メニューを閲覧して、「手術前」段階における「手術同意書」に対して行う操作を把握し、当該「手術同意書」に対して行う操作を指定する。文書処理装置1は、当該操作の指定を実行指示受付手段14により受け付けると、メモリ12中の該当する電子文書に対して当該操作を実行手段15により実行し、当該電子文書の操作状況の情報を更新する。
【0028】
文書処理装置1は、電子文書を文書管理装置2に戻す指示を医師から受け付けると、該当する電子文書とこれに関連付けられた付加情報とを文書管理装置2に送信する。
文書管理装置2は、文書処理装置1から電子文書及び付加情報を受信すると、格納手段26が、当該電子文書を診療実績として、当該付加情報中の特定情報に基づいて特定される文書情報保持手段22中の位置に格納する。
【0029】
図7は、文書管理装置2から受信した電子文書に関連付けられた付加情報に基づいて特定される、操作対象の電子文書に係る操作内容を示している。
本例では、操作対象である「手術前」段階における「手術同意書」に対し、その直前又は直後の位置に順序付けされた「Informed Cons ent用紙」や「麻酔同意書」に関する操作の一部についても示している。
【0030】
なお、同図(a)は、後工程の電子文書が前工程の電子文書に操作状況を問い合わせる「pull型」について示している。すなわち、後工程文書である自分(「手術同意書」)が、前工程文書である「Informed Cons ent用紙」がサイン付きでDMS(文書管理装置2)に登録されていることを当該「Informed Cons ent用紙」に問い合わせて確認し、当該確認を条件に自分に対する操作を可能にする。
また、同図(b)は、前工程の電子文書が後工程の電子文書に操作状況を通知する「push型」について示している。すなわち、前工程文書である自分(「手術同意書」)が、後工程文書である「麻酔同意書」に対し、自分がサイン付きでDMS(文書管理装置2)に登録されたことを通知して、「麻酔同意書」に対する操作を可能にする。
【0031】
このように、電子文書が主体として動作することにより、図8のシーケンス図に示すように、各電子文書(「Informed Cons ent用紙」D1、「手術同意書」D2、「麻酔同意書」D3)は、周りの電子文書と協調動作して診療パスを進めるようにしている。
また、上記のように付加情報を電子文書に関連付けているため、文書管理装置2と接続できない環境で当該電子文書を用いた診療が行われた場合であっても、当該電子文書を基点に診療パスをつなげることが可能となる。
また、図9に示すように、電子文書を取得した文書管理装置2(DMS1)とは別環境(例えば他の医療機関)の文書管理装置2(DMS2)に電子文書を戻したとしても、電子文書に関連付けられた付加情報に基づいて、当該電子文書を基点に同様の診療パスを再開することが可能となる。
【0032】
なお、上記においては、1つの電子文書を取得する際に当該電子文書に対して付加情報を関連付ける構成について説明したが、図10に示すように、複数の電子文書を束ねた電子カルテについても本発明を適用でき、電子カルテを構成する各電子文書に対して該当する付加情報を関連付ければよい。
【0033】
図11は、診療段階を移行する判断基準を例示している。すなわち、「手術前」段階から「手術」段階への移行は、「手術同意書」及び「麻酔同意書」の両方がDMS(文書管理装置2)に格納されていることを条件に行うことが定義されている。このように、単数又は複数の電子文書の操作状況から、全体の診療段階が次工程へ移行可能かどうかを判断して、現在の診療段階を移行させることが可能となる。なお、当該判断は、文書管理装置2及び文書処理装置1のいずれで行ってもよい。また、電子文書自体に、周りの電子文書との関係から自主的に判断する機能を持たせてもよい。
【0034】
また、電子文書に対する操作の定義情報として、図12に示すように、当該操作を実行するために起動するMethod(プログラムやサブシステム)及びその引数等の情報を設定するようにしてもよい。なお、当該プログラムに引数として与える情報としては、例えば、患者ID、医師ID、診療科ID、文書ID、診療段階ID、等がある。これにより、例えば「手術同意書」の診療パスにおいて「麻酔同意書」を新規作成する場合、「麻酔同意書」作成用のプログラムを起動するにあたり、引数として与える情報を「手術同意書」から抽出して当該プログラムに提供して「麻酔同意書」を新規作成する。
【0035】
また、文書処理装置1において、複数の電子文書の操作状況に基づいて、診療パス全体としての進行状況を示す表示を行うようにしてもよい。図13(a)は、電子文書A〜Hを用いた診療行為が終了した後の表示例を示しており、これに対して同図(b)は、電子文書Eに対する操作段階の表示例を示している。このような表示を行うことにより、現段階における診療パスの進行状況を医師が一目して把握可能となり、診療ガイドライン等との齟齬を確認できる。
【0036】
次に、文書処理装置1による操作メニューの表示処理について説明する。
なお、図14に示すように、「説明前」段階において、「検査結果用紙」に対する“閲覧”、“印刷”、「インフォームドコンセント用紙」に対する“印刷”の各操作を順に行い、「説明後」段階において、「インフォームドコンセント用紙」に対する“登録”、“閲覧”、「手術同意書」に対する“印刷”、「麻酔同意書」に対する“印刷”の各操作を順に行うことが定義されているものとする。
【0037】
図15は、文書処理装置1による操作メニューの表示処理に係る処理フローを示している。
文書処理装置1の表示制御手段17は、メモリ12に保持された電子文書に対する操作メニューを表示するにあたり、当該電子文書に関連付けられた付加情報をメモリ12から取得し、当該付加情報中の定義情報に基づいて、当該電子文書に対して定義された操作を特定する(ステップS21)。例えば、「インフォームドコンセント用紙」の場合は、図16に示すように、「説明前」段階における“印刷”、「説明後」段階における“登録”、“閲覧”の各操作が特定される。
【0038】
表示制御手段17は、当該特定した各操作について実行条件を満たすか否かを判定する(ステップS22)。本例では、上述した順番に沿って各操作を行うことが定義されており、電子文書の操作状況の情報に基づいて、操作がどこまでなされたかを判別し、実行条件の適合可否を判定している。なお、このような電子文書に対する操作順に係る実行条件の他、例えば操作結果に応じて実行条件を変えるといったように、種々の実行条件を設定することができる。
【0039】
表示制御手段17は、実行条件の適合可否に応じて、実行条件を満たす操作を「表示」、それ以外の操作を「非表示」に設定し(ステップS23)、当該設定値に応じた操作メニューを表示手段16に表示する(ステップS24)。
すなわち、「インフォームドコンセント用紙」に対する操作メニューとして、「説明前」段階においては“印刷”操作が表示され、「説明後」段階においては“登録”又は“閲覧”操作が表示される。このように、電子文書に対する操作メニューを、現在の診療段階及び当該電子文書の操作状況に応じて切り替えている。
【0040】
なお、上記のように、実行条件に適合しない操作を非表示に設定する他、例えば、当該操作を実行条件に適合する操作とは異なる文字色や背景色等で表示する等の種々の態様してもよく、これらを医師が区別できればよい。なお、文字色や背景色等を異ならせる場合には、実行条件に適合しない操作が指定されても、実行手段15がその操作を実行しないようにする必要がある。ここで、実行条件に適合しない操作が指定された場合は、当該操作を実行しない理由を表示手段16に表示することが好ましく、これを実現するためには、図17に示すように、各操作の定義情報に該操作を実行しない理由の情報を含めておけばよい。
【0041】
図18は、本例の文書処理装置1及び文書管理装置2の主要なハードウェア構成を示している。
すなわち、本例の文書処理装置1及び文書管理装置2は、各種演算処理を行うCPU、CPUの作業領域となるRAM、基本的な制御プログラムを記憶するROM、本発明に係る各機能を実現するための文書処理プログラム又は文書管理プログラム等を記憶するHDD、利用者に対する情報を表示出力する液晶ディスプレイや利用者からの情報の入力を受け付けるマウス・キーボード等の機器とのインターフェースである入出力I/F、他の装置との間で通信を行うインターフェースである通信I/F、等のハードウェア資源を有するコンピュータで構成されている。
【0042】
そして、文書処理装置1では、本発明に係る文書処理プログラムをHDDから読み出してRAMに展開し、これをCPUにより実行させることで、本発明に係る受信手段(主に通信手段11)、実行手段(主に実行指示受付手段14及び実行手段15)、送信手段(主に通信手段11)等の各機能を、文書処理装置1のコンピュータに実現している。
また、文書管理装置2では、本発明に係る文書管理プログラムをHDDから読み出してRAMに展開し、これをCPUにより実行させることで、本発明に係る保持手段(主に文書情報保持手段22)、取得手段(主に文書情報取得手段23及び付加情報取得手段24)、出力手段(主に通信手段21)、格納手段(主に格納手段26)等の各機能を、文書管理装置2のコンピュータに実現している。
【0043】
なお、本発明に係る文書処理プログラム及び文書管理プログラムは、例えば、当該プログラムを記憶したCD−ROM等の外部記憶媒体を配布する形式や、ネットワークを介して配信する形式により、本発明の実施者に提供される。
また、本発明に係る文書処理装置1及び文書管理装置2の各機能手段は、本例のようなソフトウェア構成により実現する態様に限られず、それぞれ専用のハードウエアモジュールで構成してもよい。
また、本発明に係る文書処理装置1及び文書管理装置2の各機能手段は、本例のように各1台のコンピュータに設ける態様に限られず、複数台のコンピュータに分散して設けてもよい。
【0044】
また、上記では、診療行為に係る電子文書を扱うシステムを例に説明したが、本発明はこのようなシステムに限定されるものではなく、例えば営業行為に係る電子文書を扱うシステムなど、作業の各段階毎に必要な電子文書及び当該電子文書に対する操作の定義が時系列に沿って定義された作業に係る電子文書を扱うシステムについて適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の一実施形態に係る文書処理システムの機能ブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る文書処理システムを概念的に示す図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る診療行為のフローの一部を示す図である。
【図4】本発明の一実施形態に係るシーケンス情報のデータ例を示す図である。
【図5】本発明の一実施形態に係る文書管理装置による電子文書の送信処理に係る処理フロー図である。
【図6】本発明の一実施形態に係る文書管理装置が送信する電子文書のデータ構成を示す図である。
【図7】本発明の一実施形態に係る電子文書に対する操作内容を示す図である。
【図8】本発明の一実施形態に係る電子文書を動作主体としたシーケンス図である。
【図9】本発明の一実施形態に係る文書処理システムの動作態様を例示する図である。
【図10】本発明の一実施形態に係る電子カルテの構成を示す図である。
【図11】本発明の一実施形態に係る診療段階を移行する判断基準を例示する図である。
【図12】本発明の一実施形態に係る定義情報の構成例を示す図である。
【図13】本発明の一実施形態に係る診療パスの進行状況の表示例を示す図である。
【図14】本発明の一実施形態に係る電子文書に対する操作内容を示す図である。
【図15】本発明の一実施形態に係る操作メニューの表示処理に係る処理フロー図である。
【図16】本発明の一実施形態に係る電子文書に対する操作内容を示す図である。
【図17】本発明の一実施形態に係る電子文書に対する操作の不能理由を示す図である。
【図18】本発明の一実施形態に係る文書管理装置及び文書処理装置のハードウェア構成図である。
【符号の説明】
【0046】
1:文書処理装置、
2:文書管理装置、
11:通信手段、
12:メモリ、
13:文書指定受付手段、
14:実行指示受付手段、
15:実行手段、
16:表示手段、
17:表示制御手段、
21:通信手段、
22:文書情報保持手段、
23:文書情報取得手段、
24:付加情報取得手段、
25:関連付け出力手段、
26:格納手段
【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業の各段階毎に必要な電子文書及び当該電子文書に対する操作の定義情報を作業の時系列に沿って順序付けて格納した作業手順情報を保持する保持手段と、
前記作業手順情報から電子文書を取得するにあたり、当該電子文書が属する段階及び当該電子文書の直前又は直後の位置に順序付けされた他の電子文書を特定する特定情報と当該電子文書に対する当該段階における操作の定義情報とを併せて取得する取得手段と、
前記取得した電子文書と前記取得した定義情報と前記取得した特定情報とを関連付けた部分手順情報を出力する出力手段と、
を備えたことを特徴とする文書処理システム。
【請求項2】
前記文書処理システムは、文書管理装置と、文書処理装置と、を具備し、
前記文書管理装置は、前記保持手段と、前記取得手段と、前記出力手段と、を備え、
前記文書処理装置は、
前記文書管理装置から出力された部分手順情報を受信する受信手段と、
前記部分手順情報に係る電子文書について、当該部分手順情報に係る定義情報に基づく操作を利用者からの指示に基づいて実行する実行手段と、
前記部分手順情報を前記文書管理装置に送信する送信手段と、を備え、
前記文書管理装置は、前記文書処理装置から受信した部分手順情報に係る特定情報に基づいて、当該部分手順情報に係る電子文書及び定義情報を前記作業手順情報に格納する格納手段を更に備えたことを特徴とする請求項1に記載の文書処理システム。
【請求項3】
前記文書処理装置は、前記部分手順情報に係る定義情報に基づいて、当該部分手順情報に係る電子文書に対する操作を示す表示を行う表示手段を更に備えたことを特徴とする請求項2に記載の文書処理システム。
【請求項4】
前記定義情報は、当該定義情報に係る電子文書に対する複数の操作を定義すると共に、各操作を実行するために満たすべき実行条件を定義しており、
前記文書処理装置は、前記定義情報に係る各操作について実行条件を満たしているか否かを判定する判定手段を備え、
前記表示手段は、前記部分手順情報に係る電子文書に対する操作を示す表示を、実行条件を満たす操作と満たさない操作とを区別して行うことを特徴とする請求項3に記載の文書処理システム。
【請求項5】
前記定義情報は、当該定義情報に係る各操作が実行条件を満たさない場合に表示するための理由情報を保持しており、
前記表示手段は、実行条件を満たさない操作について前記理由情報を表示することを特徴とする請求項4に記載の文書処理システム。
【請求項6】
作業の各段階毎に必要な電子文書及び当該電子文書に対する操作の定義情報を作業の時系列に沿って順序付けて格納した作業手順情報を保持する保持手段と、
前記作業手順情報から電子文書を取得するにあたり、当該電子文書が属する段階及び当該電子文書の直前又は直後の位置に順序付けされた他の電子文書を特定する特定情報と当該電子文書に対する当該段階における操作の定義情報とを併せて取得する取得手段と、
前記取得した電子文書と前記取得した定義情報と前記取得した特定情報とを関連付けた部分手順情報を文書処理装置に出力する出力手段と、
前記文書処理装置から受信した部分手順情報に係る特定情報に基づいて、当該部分手順情報に係る電子文書及び定義情報を前記作業手順情報に格納する格納手段と、
を備えたことを特徴とする文書管理装置。
【請求項7】
作業の各段階毎に必要な電子文書及び当該電子文書に対する操作の定義情報を作業の時系列に沿って順序付けて格納した作業手順情報を保持する文書管理装置から、前記作業手順情報から取得した電子文書と、当該電子文書が属する段階及び当該電子文書の直前又は直後の位置に順序付けされた他の電子文書を特定する特定情報と、当該電子文書に対する当該段階における操作の定義情報とを関連付けた部分手順情報を受信する受信手段と、
前記部分手順情報に係る電子文書について、当該部分手順情報に係る定義情報に基づく操作を利用者からの指示に基づいて実行する実行手段と、
前記部分手順情報に係る電子文書及び定義情報を当該部分手順情報に係る特定情報に基づいて前記作業手順情報に格納させるために、当該部分手順情報を前記文書管理装置に送信する送信手段と、
を備えたことを特徴とする文書処理装置。
【請求項8】
コンピュータに、
作業の各段階毎に必要な電子文書及び当該電子文書に対する操作の定義情報を作業の時系列に沿って順序付けて格納した作業手順情報を保持する保持機能と、
前記作業手順情報から電子文書を取得するにあたり、当該電子文書が属する段階及び当該電子文書の直前又は直後の位置に順序付けされた他の電子文書を特定する特定情報と当該電子文書に対する当該段階における操作の定義情報とを併せて取得する取得機能と、
前記取得した電子文書と前記取得した定義情報と前記取得した特定情報とを関連付けた部分手順情報を文書処理装置に出力する出力機能と、
前記文書処理装置から受信した部分手順情報に係る特定情報に基づいて、当該部分手順情報に係る電子文書及び定義情報を前記作業手順情報に格納する格納機能と、
を実現させるための文書管理プログラム。
【請求項9】
コンピュータに、
作業の各段階毎に必要な電子文書及び当該電子文書に対する操作の定義情報を作業の時系列に沿って順序付けて格納した作業手順情報を保持する文書管理装置から、前記作業手順情報から取得した電子文書と、当該電子文書が属する段階及び当該電子文書の直前又は直後の位置に順序付けされた他の電子文書を特定する特定情報と、当該電子文書に対する当該段階における操作の定義情報とを関連付けた部分手順情報を受信する受信機能と、
前記部分手順情報に係る電子文書について、当該部分手順情報に係る定義情報に基づく操作を利用者からの指示に基づいて実行する実行機能と、
前記部分手順情報に係る電子文書及び定義情報を当該部分手順情報に係る特定情報に基づいて前記作業手順情報に格納させるために、当該部分手順情報を前記文書管理装置に送信する送信機能と、
を実現させるための文書処理プログラム。
【請求項1】
作業の各段階毎に必要な電子文書及び当該電子文書に対する操作の定義情報を作業の時系列に沿って順序付けて格納した作業手順情報を保持する保持手段と、
前記作業手順情報から電子文書を取得するにあたり、当該電子文書が属する段階及び当該電子文書の直前又は直後の位置に順序付けされた他の電子文書を特定する特定情報と当該電子文書に対する当該段階における操作の定義情報とを併せて取得する取得手段と、
前記取得した電子文書と前記取得した定義情報と前記取得した特定情報とを関連付けた部分手順情報を出力する出力手段と、
を備えたことを特徴とする文書処理システム。
【請求項2】
前記文書処理システムは、文書管理装置と、文書処理装置と、を具備し、
前記文書管理装置は、前記保持手段と、前記取得手段と、前記出力手段と、を備え、
前記文書処理装置は、
前記文書管理装置から出力された部分手順情報を受信する受信手段と、
前記部分手順情報に係る電子文書について、当該部分手順情報に係る定義情報に基づく操作を利用者からの指示に基づいて実行する実行手段と、
前記部分手順情報を前記文書管理装置に送信する送信手段と、を備え、
前記文書管理装置は、前記文書処理装置から受信した部分手順情報に係る特定情報に基づいて、当該部分手順情報に係る電子文書及び定義情報を前記作業手順情報に格納する格納手段を更に備えたことを特徴とする請求項1に記載の文書処理システム。
【請求項3】
前記文書処理装置は、前記部分手順情報に係る定義情報に基づいて、当該部分手順情報に係る電子文書に対する操作を示す表示を行う表示手段を更に備えたことを特徴とする請求項2に記載の文書処理システム。
【請求項4】
前記定義情報は、当該定義情報に係る電子文書に対する複数の操作を定義すると共に、各操作を実行するために満たすべき実行条件を定義しており、
前記文書処理装置は、前記定義情報に係る各操作について実行条件を満たしているか否かを判定する判定手段を備え、
前記表示手段は、前記部分手順情報に係る電子文書に対する操作を示す表示を、実行条件を満たす操作と満たさない操作とを区別して行うことを特徴とする請求項3に記載の文書処理システム。
【請求項5】
前記定義情報は、当該定義情報に係る各操作が実行条件を満たさない場合に表示するための理由情報を保持しており、
前記表示手段は、実行条件を満たさない操作について前記理由情報を表示することを特徴とする請求項4に記載の文書処理システム。
【請求項6】
作業の各段階毎に必要な電子文書及び当該電子文書に対する操作の定義情報を作業の時系列に沿って順序付けて格納した作業手順情報を保持する保持手段と、
前記作業手順情報から電子文書を取得するにあたり、当該電子文書が属する段階及び当該電子文書の直前又は直後の位置に順序付けされた他の電子文書を特定する特定情報と当該電子文書に対する当該段階における操作の定義情報とを併せて取得する取得手段と、
前記取得した電子文書と前記取得した定義情報と前記取得した特定情報とを関連付けた部分手順情報を文書処理装置に出力する出力手段と、
前記文書処理装置から受信した部分手順情報に係る特定情報に基づいて、当該部分手順情報に係る電子文書及び定義情報を前記作業手順情報に格納する格納手段と、
を備えたことを特徴とする文書管理装置。
【請求項7】
作業の各段階毎に必要な電子文書及び当該電子文書に対する操作の定義情報を作業の時系列に沿って順序付けて格納した作業手順情報を保持する文書管理装置から、前記作業手順情報から取得した電子文書と、当該電子文書が属する段階及び当該電子文書の直前又は直後の位置に順序付けされた他の電子文書を特定する特定情報と、当該電子文書に対する当該段階における操作の定義情報とを関連付けた部分手順情報を受信する受信手段と、
前記部分手順情報に係る電子文書について、当該部分手順情報に係る定義情報に基づく操作を利用者からの指示に基づいて実行する実行手段と、
前記部分手順情報に係る電子文書及び定義情報を当該部分手順情報に係る特定情報に基づいて前記作業手順情報に格納させるために、当該部分手順情報を前記文書管理装置に送信する送信手段と、
を備えたことを特徴とする文書処理装置。
【請求項8】
コンピュータに、
作業の各段階毎に必要な電子文書及び当該電子文書に対する操作の定義情報を作業の時系列に沿って順序付けて格納した作業手順情報を保持する保持機能と、
前記作業手順情報から電子文書を取得するにあたり、当該電子文書が属する段階及び当該電子文書の直前又は直後の位置に順序付けされた他の電子文書を特定する特定情報と当該電子文書に対する当該段階における操作の定義情報とを併せて取得する取得機能と、
前記取得した電子文書と前記取得した定義情報と前記取得した特定情報とを関連付けた部分手順情報を文書処理装置に出力する出力機能と、
前記文書処理装置から受信した部分手順情報に係る特定情報に基づいて、当該部分手順情報に係る電子文書及び定義情報を前記作業手順情報に格納する格納機能と、
を実現させるための文書管理プログラム。
【請求項9】
コンピュータに、
作業の各段階毎に必要な電子文書及び当該電子文書に対する操作の定義情報を作業の時系列に沿って順序付けて格納した作業手順情報を保持する文書管理装置から、前記作業手順情報から取得した電子文書と、当該電子文書が属する段階及び当該電子文書の直前又は直後の位置に順序付けされた他の電子文書を特定する特定情報と、当該電子文書に対する当該段階における操作の定義情報とを関連付けた部分手順情報を受信する受信機能と、
前記部分手順情報に係る電子文書について、当該部分手順情報に係る定義情報に基づく操作を利用者からの指示に基づいて実行する実行機能と、
前記部分手順情報に係る電子文書及び定義情報を当該部分手順情報に係る特定情報に基づいて前記作業手順情報に格納させるために、当該部分手順情報を前記文書管理装置に送信する送信機能と、
を実現させるための文書処理プログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2009−75660(P2009−75660A)
【公開日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−241440(P2007−241440)
【出願日】平成19年9月18日(2007.9.18)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年9月18日(2007.9.18)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】
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