説明

文書生成装置、文書生成方法、文書生成プログラムおよび文書提供システム

【課題】アクセス制限の緩い項目に対するユーザーの認識を容易とする。
【解決手段】複数の項目のそれぞれについてアクセス制限を特定するアクセス制限特定手段と、第1の前記項目よりも前記アクセス制限が緩い第2の前記項目に対応する表示要素を、前記第1の前記項目に対応する前記表示要素よりも優先して表示させるように文書における前記表示要素の配置順序を設定する配置順序設定手段と、前記配置順序に基づいて前記表示要素を配置した前記文書を生成する文書生成手段と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アクセス制限が設定された文書を生成する文書生成装置、文書生成方法、文書生成プログラムおよび文書提供システムに関する。
【背景技術】
【0002】
ユーザーごとに入力可否や表示可否等のアクセス制限を設定する技術が知られている(特許文献1、参照)。特許文献1では、ユーザーごとにアクセス制限を設定することができるため、各ユーザーは自らに対して許可された範囲で文書を閲覧・入力することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平2000−181776号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、引用文献1の図11(E)に示されるように、アクセス制限により閲覧が禁止された項目が最もユーザーに目立つ左端の列に表示されてしまい、閲覧が許可された項目が認識しづらいという問題があった。すなわち、アクセス制限が緩い項目であるにも拘わらず、ユーザーが認識しづらいという問題があった。
本発明は、前記課題にかんがみてなされたもので、アクセス制限の緩い項目に対するユーザーの認識を容易とする技術の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記目的を達成するため、本発明の文書生成装置において、アクセス制限特定手段は、複数の項目のそれぞれについてアクセス制限を特定する。配置順序設定手段は、第1の項目よりもアクセス制限が緩い第2の項目に対応する表示要素を、第1の前記項目に対応する表示要素よりも優先して表示させるように表示要素の配置順序を設定する。さらに、文書生成手段は、配置順序に基づいて、複数の項目のそれぞれに対応する表示要素を配置して文書を生成する。アクセス制限が緩い項目に対応する表示要素を優先して表示させるように表示要素の配置順序が設定されるため、アクセス制限の緩い項目に対するユーザーの認識を容易とすることができる。例えば、アクセス制限が緩い項目に対応する表示要素をスクロールされる文書のスクロール初期位置に近い位置に配置することにより、アクセス制限が緩い項目に対応する表示要素を先に表示させることができる。また、文書が複数のページによって構成される場合、アクセス制限が緩い項目に対応する表示要素ほど先頭に近いページに配置してもよい。
【0006】
また、アクセス制限がユーザーごとに設定される場合には、ユーザーごとに最適な配置順序で表示要素が配置された文書を生成するのが望ましい。すなわち、配置順序設定手段はユーザーごとに配置順序を設定するとともに、文書生成手段はユーザーごとの配置順序に基づいてユーザーごとに文書を生成する構成を採用してもよい。
【0007】
また、ユーザーごとに文書を生成するのではなく、複数のユーザーについてのアクセス制限を平均的に考慮した配置順序で表示要素が配置された文書を生成してもよい。ユーザーごとに文書を生成しなくても済むため、処理負荷や文書の記憶容量を抑えることができる。すなわち、配置順序設定手段は複数のユーザーについて設定されたアクセス制限を平均した平均アクセス制限に基づいて複数のユーザー間で共通する配置順序を設定するとともに、文書生成手段は配置順序に基づいて複数のユーザー間で共通する文書を生成する構成を採用してもよい。例えば、すべてのユーザーについての平均アクセス制限に基づいて、すべてのユーザー間で共通する文書を生成してもよい。
【0008】
また、アクセス制限の傾向はユーザーの属性に大きく依存する。すなわち、同一の属性のユーザー間では類似するアクセス制限が設定される可能性が高い。従って、同一の属性のユーザー間で表示要素の配置順序を共通させれば、すべてのユーザーごとに配置順序を異ならせる場合よりも処理負荷等を抑えることができるともに、すべてのユーザー間で配置順序を共通させる場合よりも各ユーザーに適した文書を生成できる。すなわち、配置順序設定手段はユーザーの属性ごとにアクセス制限を平均した平均アクセス制限に基づいて同一の属性のユーザー間で共通する配置順序を設定するとともに、文書生成手段は配置順序に基づいて同一の属性のユーザー間で共通する文書を生成する構成を採用してもよい。
【0009】
アクセス制限の種類の例として、入力許可と入力禁止とが挙げられる。入力許可の方が入力禁止よりもアクセス制限が緩く入力禁止の項目に対応する表示要素よりも入力許可の項目に対応する表示要素を先に表示させるように表示要素の配置順序を設定するのが望ましい。これにより、単に表示されている項目よりも、入力できる項目を認識ができる。
【0010】
なお、請求項に記載された各手段の機能は,構成自体で機能が特定されるハードウェア資源、プログラムにより機能が特定されるハードウェア資源、または、それらの組み合わせにより実現される。また,これら各手段の機能は、各々が物理的に互いに独立したハードウェア資源で実現されるものに限定されない。さらに、本発明は方法としても成立するし、前記した機能をサーバーおよびプリンターに実現させるコンピュータープログラムとしても成立するし、そのプログラムの記録媒体としても成立する。むろん、そのコンピュータープログラムの記録媒体は、磁気記録媒体であってもよいし光磁気記録媒体であってもよいし、今後開発されるいかなる記録媒体であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】文書提供システムのブロック図である。
【図2】(2A)はユーザー情報、(2B)は項目情報、(2C)はアクセス制限情報を示す表である。
【図3】文書提供処理のフローチャートである。
【図4】(4A),(4B)は文書の例を示す図である。
【図5】平均アクセス制限情報を示す表である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態を添付図面を参照しながら以下の順に説明する。
(1)第1実施形態:
(1−1)サーバーの構成:
(1−2)クライアントPCの構成:
(1−3)文書提供処理:
(2)第2実施形態:
(4)他の実施形態:
【0013】
(1)第1実施形態:
図1は、本発明の第1実施形態にかかる文書生成装置としての文書提供システム1のブロック図である。文書提供システム1は、サーバー10とクライアントPC20とを含む。サーバー10には複数のクライアントPC20が接続されており、各クライアントPC20にはユーザーがログインしている。
【0014】
(1−1)サーバーの構成:
サーバー10は、制御部11と記録媒体12と通信部13とを含む。制御部11は、CPUとROMとRAM等を含み、ROMや記録媒体12に記録されたプログラムデータに基づいて、文書生成プログラムP1を実行する。通信部13は、無線通信または有線通信によりクライアントPC20とサーバー10とを通信させるための回路を含む。記録媒体12は、各種プログラムを実行するためのプログラムデータ(不図示)と、ユーザー情報12aと項目情報12bとアクセス制限情報12cとを記録する。
【0015】
図2Aは、ユーザー情報12aを示す図である。ユーザー情報12aは、複数のユーザーのそれぞれについて固有のユーザーIDを対応付けるとともに、各ユーザーIDにユーザーの属性を対応付けた情報である。本実施形態においてユーザーの属性として所属部署と性別と年齢と役職等が設けられている。
【0016】
図2Bは、項目情報12bを示す図である。本実施形態では、文書を構成する項目を特定する項目情報12bが予め記録されている。項目情報12bにおいては、文書を構成する各項目に対応する記述内容(テキスト,参照ファイルのリンク,アイコン等を描画させるためのコマンド等)を特定する情報である。
【0017】
図2Cは、アクセス制限情報12cを示す図である。アクセス制限情報12cは、項目情報12bに示される各項目について、ユーザーの属性ごとにアクセス制限を規定した情報である。本実施形態において、アクセス制限は3種類設けられており、制限が緩い順に、入力許可,閲覧許可,閲覧禁止となっている。なお、入力許可の項目に対してユーザーは入力も閲覧も許可され、閲覧許可の項目に対してユーザーは入力が禁止されるが閲覧は許可され、閲覧禁止の項目に対してユーザーは入力も閲覧も禁止される。従って、閲覧許可と閲覧禁止とは双方とも入力禁止に該当する。また、入力とは、新規に情報を入力することであってもよいし、既存の情報を編集することであってもよい。
【0018】
文書生成プログラムP1は、アクセス制限特定部P1aと配置順序設定部P1bと文書情報生成部P1cとを含む。アクセス制限特定部P1aは、複数の項目のそれぞれについてアクセス制限を特定する機能を制御部11に実行させるモジュールである。すなわち、アクセス制限特定部P1aの機能により制御部11は、文書の提供要求を行ったクライアントPC20のログインしているユーザーのユーザーIDを特定し、ユーザー情報12aにおいて当該ユーザーIDに対応付けられた属性を特定する。さらに、アクセス制限特定部P1aの機能により制御部11は、アクセス制限情報12cを参照することにより、各項目についてユーザーの属性に対応するアクセス制限を特定し、その内容を示すアクセス制限情報AIを生成する。
【0019】
配置順序設定部P1bは、第1の項目よりもアクセス制限が緩い第2の項目に対応する表示要素を、第1の項目に対応する表示要素よりも優先して表示させるように文書における表示要素の配置順序を設定する機能を制御部11に実行させるモジュールである。すなわち、配置順序設定部P1bの機能により制御部11は、文書を提供するユーザーについてのアクセス制限情報AIを取得する。そして、配置順序設定部P1bの機能により制御部11は、各項目をアクセス制限の緩い順にソートし、ソートされた順が若い項目についての表示要素であるほど、文書のスクロール初期位置(上端)に近い位置に配置されるように配置順序を設定する。なお、本実施形態の文書は、クライアントPC20のUI部24によって上下方向にスクロール表示され、最初に表示されるスクロール初期位置が文書の上端を含む位置となる。配置順序設定部P1bの機能により制御部11は、当該配置順序を特定した配置順序情報LIを生成する。なお、配置順序設定部P1bの機能により制御部11は、アクセス制限が閲覧禁止の項目については配置順序を設定しない(表示対象としない)。従って、表示要素が表示対象となるアクセス制限は入力許可と閲覧許可の2種類であり、入力許可の項目(第2の項目)に対応する表示要素が閲覧許可の項目(第1の項目)に対応する表示要素よりもスクロール初期位置に近い位置に配置されるように配置順序が設定される。
【0020】
文書情報生成部P1cは、配置順序情報LIに基づいて表示要素を配置させる文書情報DIを生成する機能を制御部11に実行させるモジュールである。すなわち、文書情報生成部P1cの機能により制御部11は、アクセス制限が閲覧禁止の項目を除く各項目の記述内容を項目情報12bから抽出した記述情報RIと、配置順序情報LIと、アクセス制限情報AIとを含む文書情報DIを生成する。記述情報RIに基づいて各項目の記述内容を画像化した表示要素を描画でき、当該表示要素を配置順序情報LIに基づく配置順序で配置することができるため、文書情報DIに基づいて文書を示す画像を生成することができる。さらに、文書情報DIのアクセス制限情報AIに基づいて各項目についての表示要素に対するアクセス制限を実施することができる。
【0021】
(1−2)クライアントPCの構成:
クライアントPC20は、制御部21と記録媒体22と通信部23とUI部24とを含む。制御部21は、CPUとROMとRAM等を含み、ROMや記録媒体22に記録されたプログラムデータに基づいて、文書提供プログラムP2を実行する。記録媒体22は、文書情報DIを記録する。文書情報22aは、サーバー10から受信した文書情報DIと基本的に一致するが、クライアントPC20において文書情報DIは編集され得る。通信部23は、無線通信または有線通信によりクライアントPC20とサーバー10とを通信させるための回路を含む。UI部24は、画像を表示させるディスプレイ等と、ユーザーから操作を受け付けるマウスやキーボード等を含む。
【0022】
文書提供プログラムP2は、文書生成部P2aと文書提供部P2bとを含む。文書生成部P2aは、配置順序情報LIに基づいて表示要素を配置した文書を生成する機能を制御部21に実行させるモジュールである。すなわち、文書生成部P2aの機能により制御部21は、サーバー10から文書情報DIを受信する。そして、文書生成部P2aの機能により制御部21は、文書情報DIの記述情報RIに基づいて各項目の記述内容を画像化した表示要素を描画し、当該表示要素を配置順序情報LIに基づく配置順序で配置することにより、UI部24にて表示可能な画像データとしての文書データを生成する。
【0023】
文書提供部P2bは、文書を表示させるとともに、各項目に対するアクセスをアクセス制限情報AIに基づいて制限する機能を制御部21に実行させるモジュールである。すなわち、文書提供部P2bの機能により制御部21は、文書生成部P2aの機能により作成された文書データに基づいてUI部24を制御することにより文書を表示させる。すなわち、各項目に対応する表示要素を配置順序情報LIに基づく配置順序で配置した文書を表示させる。なお、アクセス制限が閲覧禁止の項目については配置順序が設定されないため、閲覧禁止の項目に対応する表示要素は表示されず、閲覧禁止とされる。さらに、文書提供部P2bの機能により制御部21は、アクセス制限が入力禁止の項目に対応する表示要素に含まれるテキストボックス等の入力用要素に対するクリックや文字入力等の操作は無効とする。一方、文書提供部P2bの機能により制御部21は、アクセス制限が入力許可の項目に対応する表示要素に含まれるテキストボックス等の入力用要素に対するクリックや文字入力等の操作は有効とし、当該操作に応じて文書情報DIにおける記述情報RIを更新する。
【0024】
以上説明したように、本実施形態では、アクセス制限が緩い項目に対応する表示要素であるほど、文書におけるスクロール初期位置(上端)に近い位置に配置される。すなわち、UI部24に表示された文書を下方が表示されるように順次スクロールしていった場合に、アクセス制限が入力許可である項目に対応する表示要素の方が、アクセス制限が閲覧許可である項目に対応する表示要素よりも先に表示されることとなる。すなわち、アクセス制限が入力許可である項目をユーザーは容易に認識できる。従って、アクセス制限が入力許可である項目を効率よく認識し、当該項目に対する入力操作を効率よく行うことができる。また、表示要素の配置順序は、文書を提供するユーザーについてのアクセス制限に基づいて設定されるため、どのユーザーもアクセス制限が緩い項目を容易に認識できる。
【0025】
(1−3)文書提供処理:
図3は文書提供処理のフローチャートである。サーバー10の制御部11は、ステップS105において文書情報DIの提供要求が受信されるまで待機する。なお、クライアントPC20の制御部21は、ユーザーの操作等に応じて、サーバー10に対して文書情報DIの提供要求を送信する。本実施形態では、文書としての商談案件管理書を示す文書情報DIの提供要求がされたこととする。なお、この段階で、クライアントPC20はユーザーのログインを受け付けており、制御部21は、文書情報DIの提供要求にユーザーIDを示す情報を添付して送信する。ステップS105において文書情報DIの提供要求を受信すると、ステップS110においてサーバー10の制御部11は、文書情報DIの提供要求を行ったクライアントPC20にログインしているユーザーのユーザーIDを取得し、ユーザー情報12a(図2A)を参照することにより、ユーザーIDに対応付けられたユーザーの属性を特定する。ステップS115において制御部11は、アクセス制限情報12cを参照することにより、ユーザーの属性に対応するアクセス制限を特定し、その内容を示すアクセス制限情報AIを生成する。
【0026】
ステップS120において制御部11は、アクセス制限情報AIが示すアクセス制限に基づいて、各項目をアクセス制限の緩い順にソートし、ソートされた順が若い項目についての表示要素であるほど、商談案件管理書における上端に近い位置に配置されるように配置順序を設定する。そして、制御部11は、当該配置順序を特定した配置順序情報LIを生成する。なお、制御部11は、アクセス制限が閲覧禁止の項目については、配置の対象外とし、配置順序を設定しない。ステップS125において制御部11は、商談案件管理書についての項目情報12bから各項目の記述内容を抽出した記述情報RIと、配置順序情報LIと、アクセス制限情報AIとを含む文書情報DIを生成する。ステップS130において制御部11は、商談案件管理書の提供要求を送信したクライアントPC20に対して文書情報DIを送信する。
【0027】
ステップS135においてクライアントPC20の制御部21は、文書情報DIを受信する。文書情報DIを受信すると、ステップS140において制御部21は、文書情報DIに基づいて文書データを生成する。すなわち、制御部21は、文書情報DIの記述情報RIに基づいて閲覧禁止とされた項目を除く各項目について表示要素を描画するとともに、各表示要素を配置順序情報LIに基づいて各ページに配置することにより、商談案件管理書を表示させるための画像データである文書データを生成する。ステップS145において制御部21は、文書データに基づいてUI部24を制御することにより、商談案件管理書を表示させる。ステップS150において制御部21は、UI部24を介してユーザーによる入力許可の項目に対する入力操作を受け付ける。そして、ステップS155において制御部21は、入力許可の項目に対する入力操作に応じて文書情報DIを更新する。
【0028】
図4Aは所属部署が営業部のユーザー(役職なし)に提供される商談案件管理書を示し、図4Bは所属部署が営業部以外の部である製造部のユーザー(役職なし)に提供される商談案件管理書を示す。アクセス制限情報12c(図2C)において、製造部のユーザー(役職なし)についてアクセス制限が閲覧禁止とされた項目(個人情報や営業秘密に該当する顧客電話番号や顧客住所や優先顧客度等)については配置順序が設定されないため、これらの項目についての表示要素が図4Bに示す商談案件管理書に含まれていない。
【0029】
また、アクセス制限情報12cにおいて、営業部に属するユーザー(役職なし)に対して、顧客名と顧客担当者名と営業担当課と営業担当者名と商品名と顧客希望納期と売上金額とが入力許可であり、顧客電話番号や顧客住所や優先顧客度と製造可能納期と製造部コメントとが閲覧許可であると設定されている。従って、顧客名と顧客担当者名と営業担当課と営業担当者名と商品名と顧客希望納期と売上金額に対応する表示要素が、顧客電話番号や顧客住所や優先顧客度と製造可能納期と製造部コメントに対応する表示要素よりも上方に配置されている。なお、入力可能である場合、矩形太枠で示すテキストボックスが設けられ、テキストボックス内にてテキストを入力する入力操作が受け付けられる。一方、アクセス制限情報12cにおいて、製造部に属するユーザー(役職なし)に対して、顧客名と顧客担当者名と営業担当課と営業担当者名と商品名と顧客希望納期と売上金額とが閲覧許可であり、製造可能納期と製造部コメントとが入力許可であると設定されている。従って、顧客名と顧客担当者名と営業担当課と営業担当者名と商品名と顧客希望納期と売上金額に対応する表示要素よりも、製造可能納期と製造部コメントに対応する表示要素が上方に配置されている。
【0030】
上述のように、入力許可である項目に対応する表示要素の方が、閲覧許可である項目に対応する表示要素よりも商談案件管理書においてスクロール初期位置(上端)に近い位置に配置されるため、営業部のユーザー(役職なし)は図4Aの商談案件管理書を参照して、入力許可の項目を容易に認識して入力できる。同様に、製造部のユーザー(役職なし)は、図4Bの商談案件管理書を参照して、入力許可の項目を容易に認識して入力できる。なお、スクロール初期位置をUI部24の画面上端に位置するように商談案件管理書を初期表示すると、破線で示すページ境界を境界として、配置順序が遅い表示要素は2ページ目以降に含まれることになる。
【0031】
(2)第2実施形態:
第1実施形態では、文書の提供要求を行ったユーザーごとにアクセス制限を特定し、当該アクセス制限に基づいて表示要素の配置順序を設定するため、ユーザーごとに異なる配置順序の文書を生成されることとなる。一方、複数のユーザー間で共通の配置順序を設定することにより処理負荷を軽減してもよい。
【0032】
図5は、第2実施形態において、制御部11が配置順序を設定する際に参照する平均アクセス制限情報を示す。この平均アクセス制限情報においては、項目情報12bに規定された各項目について、入力許可とされたユーザーの比率である入力許可比率が所属部署(部)ごとに規定されている。すなわち、ある所属部署(部)に属するすべてのユーザーがN(Nは自然数)人であり、そのうちある項目についてM(MはN以下の自然数)人に対して入力許可が設定されている場合には、M/Nが当該項目についての入力許可比率となる。例えば、同一の所属部署(部)に属するユーザーであっても、一般的に、役職が高いユーザーや、文書が対応する案件との関連性が高いチームに属するユーザーほど入力許可の項目が多く設定される。
【0033】
第2実施形態において、図3のステップS120において制御部11は、ユーザー情報12aを参照することにより、文書の提供要求を行ったユーザーの所属部署(部)を特定する。そして、図5の平均アクセス制限情報を参照することにより、文書の提供要求を行ったユーザーの所属部署(部)についての入力許可比率を各項目について特定する。そして、各項目を入力許可比率の大きい順にソートし、ソートされた順が若い項目についての表示要素であるほど、文書における上端に近い位置に配置されるように配置順序を設定する。そして、制御部11は、当該配置順序を特定した配置順序情報LIを生成する。なお、文書の提供要求を行ったユーザーの所属部署(部)全体についてのアクセス制限を考慮すれば、入力許可比率の大きい項目であるほどアクセス制限が平均して緩い項目であると捉えることができる。また、ある入力許可比率となる第1の項目よりも大きい入力許可比率の第2の項目に対応する表示要素は、第1の項目に対応する表示要素よりも文書における上端に近い位置に優先して配置されるように配置順序を設定されることとなる。
【0034】
以上説明した第2実施形態においては、所属部署(部)内で表示要素の配置順序を共通させることができるため、処理負荷を軽減させることができる。なお、所属部署(部)内においてもユーザーごとにアクセス制限が異なるが、同一の所属部署(部)内においてはアクセス制限が似た傾向となるということができる。例えば、図4A,4Bに示した商談案件管理書の各項目についてのアクセス制限の傾向は、役職等の属性にも依存するが、所属部署(営業部または製造部)に最も大きく依存する。このように、アクセス制限の依存度が最も大きい属性に注目した入力許可比率に基づいて各項目をソートした配置順序を設定することにより、複数のユーザー間で共通する配置順序を設定しても、多くのユーザーに適した配置順序の文書を提供できる。なお、図5に示す平均アクセス制限情報は予め作成されていてもよいし、文書提供処理において入力許可比率を逐次算出してもよい。
【0035】
(3)他の実施形態:
前記実施形態においては、同一の所属部署(部)に属する複数のユーザー間で文書における表示要素の配置順序を共通させることとしたが、すべてのユーザーについて文書における表示要素の配置順序を共通させもよい。すなわち、図5の最右欄に示すように、所属部署ごとではなく、すべてのユーザー(全部署)を対象として入力許可比率を特定しておき、当該入力許可比率が大きい順に項目をソートした配置順序を設定してもよい。すなわち、すべてのユーザーがX(Xは自然数)人であり、そのうちある項目についてY(YはX以下の自然数)人に対して入力許可が設定されている場合には、Y/Xが当該項目についての入力許可比率となる。例えば、ユーザーの属性に対するアクセス制限の依存度が所定基準よりも小さい場合(例えば、所属部署ごとの入力許可比率の標準偏差が所定閾値以下である場合等)には、すべてのユーザーについて表示要素の配置順序を共通させてもよい。
【0036】
なお、前記実施形態においてはアクセス制限の種類として、入力許可と閲覧許可と閲覧禁止とが設定されたが、より多くの種類のアクセス制限が設定されてもよい。例えば、閲覧許可が、制限が緩い順に、全部閲覧許可と一部閲覧許可とに細分化されてもよい。また、前記実施形態では、サーバー10が文書情報DIを生成し、クライアントPCが文書情報DIに基づいて文書を提供したが、むろん単一の装置にて文書情報DIを生成し、当該文書情報DIに基づく文書を提供してもよい。
【0037】
さらに、アクセス制限が緩い項目に対応する表示要素ほど優先して表示されるように配置順序を設定すればよく、例えばアクセス制限が緩い項目に対応する表示要素ほど少ない操作により表示される位置や早く表示される位置に配置してもよい。むろん、アクセス制限が緩い項目に対応する表示要素ほど優先して表示されるように配置順序を設定するとともに、例えば色を強調したり拡大したりすることにより、ユーザーによる認識を容易としてもよい。また、本発明の表示には、表示装置に限らず、記録媒体上に印刷表示される場合も含まれる。
【符号の説明】
【0038】
1…文書提供システム、10…サーバー、11…制御部、12…記録媒体、12a…ユーザー情報、12b…項目情報、12c…アクセス制限情報、12c1…平均アクセス制限情報、13…通信部、21…制御部、22…記録媒体、23…通信部、24…UI部、P1…文書生成プログラム、P1a…アクセス制限特定部、P1b…配置順序設定部、P1c…文書情報生成部、P2…文書提供プログラム、P2a…文書生成部、P2b…文書提供部、20…クライアントPC、AI…アクセス制限情報、DI…文書情報、LI…配置順序情報、RI…記述情報。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の項目のそれぞれについてアクセス制限を特定するアクセス制限特定手段と、
第1の前記項目よりも前記アクセス制限が緩い第2の前記項目に対応する表示要素を、前記第1の前記項目に対応する前記表示要素よりも優先して表示させるように文書における前記表示要素の配置順序を設定する配置順序設定手段と、
前記配置順序に基づいて前記表示要素を配置した前記文書を生成する文書生成手段と、
を備える文書生成装置。
【請求項2】
前記アクセス制限特定手段は、前記文書を提供するユーザーごとに設定された前記アクセス制限を特定し、
前記配置順序設定手段は、前記ユーザーごとに前記配置順序を設定する、
請求項1に記載の文書生成装置。
【請求項3】
前記アクセス制限特定手段は、前記文書を提供するユーザーごとに設定された前記アクセス制限を特定し、
前記配置順序設定手段は、複数の前記ユーザーについての前記アクセス制限を平均した平均アクセス制限に基づいて複数の前記ユーザー間で共通する前記配置順序を設定する、
請求項1に記載の文書生成装置。
【請求項4】
前記アクセス制限特定手段は、前記文書を提供するユーザーごとに設定された前記アクセス制限を特定し、
前記配置順序設定手段は、同一の属性に属する複数の前記ユーザーについての前記アクセス制限を平均した平均アクセス制限に基づいて同一の前記属性に属する複数の前記ユーザー間で共通する前記配置順序を設定する、
請求項1に記載の文書生成装置。
【請求項5】
前記アクセス制限特定手段は、前記アクセス制限の種類として少なくとも入力許可と入力禁止とを特定し、
前記配置順序設定手段は、前記入力禁止の前記項目に対応する前記表示要素よりも前記入力許可の前記項目に対応する前記表示要素を優先して表示させるように前記表示要素の前記配置順序を設定する、
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の文書生成装置。
【請求項6】
複数の項目のそれぞれについてアクセス制限を特定し、
第1の前記項目よりも前記アクセス制限が緩い第2の前記項目に対応する表示要素を、前記第1の前記項目に対応する前記表示要素よりも優先して表示させるように文書における前記表示要素の配置順序を設定し、
前記配置順序に基づいて前記表示要素を配置した前記文書を生成する、
文書生成方法。
【請求項7】
複数の項目のそれぞれについてアクセス制限を特定するアクセス制限特定機能と
第1の前記項目よりも前記アクセス制限が緩い第2の前記項目に対応する表示要素を、前記第1の前記項目に対応する前記表示要素よりも優先して表示させるように文書における前記表示要素の配置順序を設定する配置順序設定機能と、
前記配置順序に基づいて、複数の前記項目のそれぞれに対応する前記表示要素を配置した前記文書を生成する文書生成機能と、
をコンピューターに実行させる文書生成プログラム。
【請求項8】
複数の項目のそれぞれについてアクセス制限を特定するアクセス制限特定手段と、
第1の前記項目よりも前記アクセス制限が緩い第2の前記項目に対応する表示要素を、前記第1の前記項目に対応する前記表示要素よりも優先して表示させるように文書における前記表示要素の配置順序を設定する配置順序設定手段と、
前記配置順序に基づいて前記表示要素を配置させる文書情報を生成する文書情報生成手段と、を備える文書情報生成装置と、
前記配置順序に基づいて前記表示要素が配置された前記文書を表示させるとともに、前記項目に対するアクセスを前記アクセス制限に基づいて制限する文書提供手段と、を備える文書提供装置と、
を含む文書提供システム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−178109(P2012−178109A)
【公開日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−41497(P2011−41497)
【出願日】平成23年2月28日(2011.2.28)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】