説明

文書編集支援装置、プログラムおよび記憶媒体

【課題】審美性に優れた配置に相当するグリッド線を生成すること。
【解決手段】文書編集支援装置は、編集対象となる文書に含まれ、レイアウト領域に配置されるテキストまたは画像の少なくとも一方を示すデータであるオブジェクトを取得するオブジェクト取得手段と、前記レイアウト領域における複数のグリッド線を取得するグリッド線取得手段と、前記グリッド線生成手段により生成された複数のグリッド線のうち、そのグリッド線に沿って前記オブジェクト取得手段により取得されたオブジェクトを配置した場合に生じる余白があらかじめ決められた条件を満たす、少なくとも1つのグリッド線を選択するグリッド線選択手段とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、文書の編集を支援する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
コンピュータ装置を用いて、ある領域内にオブジェクト(デジタルコンテンツ)を配置して文書を編集または作成する技術が知られている。オブジェクトを配置するためのガイド線として、いわゆるグリッド線が広く用いられている(例えば、特許文献1〜5)。
【0003】
特許文献1は、領域内の全面について均一なグリッド線を用いるのではなく、任意の領域のグリッド線サイズを変更する技術を開示している。特許文献2は、組版の文字組みグリッド線において、文字数、フォント種別、フォントサイズなどのパラメータに応じてグリッド線を生成する技術を開示している。特許文献3は、マウスでオブジェクトをドラッグする際、移動方向に応じて吸着対象のグリッドを選択する技術を開示している。特許文献4および5は、ユーザが、複数のグリッド線の中から所望のグリッド線を選択するシステム、および、所望のグリッド線を設定するシステムを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8−194832号公報
【特許文献2】特表2003−523014号公報
【特許文献3】特開2006−189989号公報
【特許文献4】特開昭64−17156号公報
【特許文献5】特開平3−269678号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献2に記載された技術においては、グリッド線を生成するためにはユーザがパラメータを入力する必要があった。また、特許文献1、4および5に記載された技術においては、バランスの取れた、すなわち審美性に優れた配置に相当するグリッド線を選択するのが困難であるという問題があった。また特許文献3に記載された技術によればオブジェクトの移動は円滑になるが、審美性を向上させることはできなかった。
これに対し本発明は、使用するユーザの技能や経験によらず、バランスの取れた、すなわち審美性に優れた配置に相当するグリッド線を生成する技術に関する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の課題を解決するため、本発明は、編集対象となる文書に含まれ、レイアウト領域に配置されるテキストまたは画像の少なくとも一方を示すデータであるオブジェクトを取得するオブジェクト取得手段と、前記レイアウト領域における複数のグリッド線を取得するグリッド線取得手段と、前記グリッド線取得手段により取得された複数のグリッド線のうち、そのグリッド線に沿って前記オブジェクト取得手段により取得されたオブジェクトを配置した場合に生じる余白があらかじめ決められた条件を満たす、少なくとも1つのグリッド線を選択するグリッド線選択手段とを有する文書編集支援装置を提供する。
この文書編集支援装置によれば、余白に応じてグリッド線が選択される。
【0007】
好ましい態様において、この文書編集支援装置は、複数のグリッド線を生成し、前記複数のグリッド線の各々が、互いに平行な2つの基準線の間を黄金比に分割する線であり、前記基準線が、前記オブジェクトの形状もしくは位置、または前記レイアウト領域の形状のうち少なくとも1つに基づいて定められるグリッド線生成手段を有し、前記グリッド線取得手段が、前記グリッド線生成手段により生成された複数のグリッド線を取得してもよい。
この文書編集支援装置によれば、生成された複数の黄金グリッド線の中から、余白に応じてグリッド線が選択される。
【0008】
別の好ましい態様において、この文書編集支援装置は、前記あらかじめ決められた条件が、前記オブジェクトが配置された場合の上下または左右方向の余白の比が、あらかじめ決められた比を基準としてあらかじめ決められた範囲内にあるという条件であってもよい。
この文書編集支援装置によれば、余白の比がある基準からあらかじめ決められた範囲内となるようなグリッド線が選択される。
【0009】
さらに別の好ましい態様において、この文書編集支援装置は、前記あらかじめ決められた条件が、前記オブジェクトが配置された場合の上下または左右方向の余白の比が、あらかじめ決められた比に最も近いという条件であってもよい。
この文書編集支援装置によれば、余白の比があらかじめ決められた比に最も近くなるようなグリッド線が選択される。
【0010】
さらに別の好ましい態様において、この文書編集支援装置は、前記あらかじめ決められた比が、黄金比または1:√2であってもよい。
この文書編集支援装置によれば、余白の比が黄金比または1:√2に最も近くなるようなグリッド線が選択される。
【0011】
さらに別の好ましい態様において、この文書編集支援装置は、前記グリッド線選択手段が、前記オブジェクトと前記レイアウト領域の中心線との間にある余白が、前記オブジェクトと前記中心線の間の外にある余白よりも大きくなるグリッド線を選択してもよい。
この文書編集支援装置によれば、より中心に近い余白が大きくなるようにグリッド線が選択される。
【0012】
さらに別の好ましい態様において、この文書編集支援装置は、前記文書が、前記オブジェクト以外の他のオブジェクトを複数含み、前記オブジェクトおよび前記他のオブジェクトが各々その属性を示す属性情報を有し、前記グリッド線選択手段が、前記オブジェクトおよび前記複数の他のオブジェクトの属性情報に基づいて、グリッド線を選択してもよい。
この文書編集支援装置によれば、オブジェクトの属性情報に基づいてグリッド線が選択される。
【0013】
さらに別の好ましい態様において、この文書編集支援装置は、前記属性情報が、オブジェクトの種類を示し、前記グリッド線選択手段が、前記複数の他のオブジェクトのうち、前記オブジェクトと同じ種類のオブジェクトとの距離が近くなるグリッド線を選択してもよい。
この文書編集支援装置によれば、種類が同じオブジェクトにより近い余白が小さくなるようにグリッド線が選択される。
【0014】
さらに別の好ましい態様において、この文書編集支援装置は、前記グリッド線選択手段により選択されたグリッド線に従って、前記オブジェクトの配置を決定する配置手段を有してもよい。
この文書編集支援装置によれば、選択されたグリッド線に従ってオブジェクトが配置される。
【0015】
また、本発明は、コンピュータ装置に、編集対象となる文書に含まれ、レイアウト領域に配置されるテキストまたは画像の少なくとも一方を示すデータであるオブジェクトを取得するステップと、前記レイアウト領域における複数のグリッド線を取得するステップと、前記生成された複数のグリッド線のうち、そのグリッド線に沿って前記取得されたオブジェクトを配置した場合に生じる余白があらかじめ決められた条件を満たす、少なくとも1つのグリッド線を選択するステップとを実行させるプログラムを提供する。
さらに、本発明は、上記のプログラムを記憶した記憶媒体を提供する。
このプログラムによれば、余白に応じてグリッド線が選択される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】一実施形態に係る文書編集装置100の機能構成を示す図である。
【図2】文書編集装置100のハードウェア構成を示す図である。
【図3】文書編集装置100の動作を示すフローチャートである。
【図4】取得される文書を例示する図である。
【図5】グリッド線生成処理の詳細を示すフローチャートである。
【図6】生成されるグリッド線を例示する図である。
【図7】グリッド線選択処理の詳細を示すフローチャートである。
【図8】対象オブジェクトと対象グリッド線の位置関係を示す図である。
【図9】編集された文書を例示する図である。
【図10】変形例1に係るグリッド線選択処理を示すフローチャートである。
【図11】編集された文書を例示する図である。
【図12】変形例2に係るグリッド線選択処理を示すフローチャートである。
【図13】編集された文書を例示する図である。
【図14】変形例3に係る余白の定義を例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
1.構成
図1は、一実施形態に係る文書編集装置100の機能構成を示す図である。文書編集装置100は、文書を編集する機能、および、それに付随して、文書の編集を支援する機能を有する。特に、文書編集装置100は、処理の対象となるオブジェクト(以下「対象オブジェクト」という)の配置を決定するものである。「文書」とは、レイアウト領域内に配置される少なくとも1のオブジェクトおよびレイアウト領域におけるオブジェクトの配置を示すレイアウト情報を含むデータ、またはそのデータに従って出力された結果物をいう。「オブジェクト」とは、テキスト(文字列)もしくは画像の少なくとも一方を示すデータ、またはそのデータにより示されるテキストもしくは画像をいう。「レイアウト領域」とは、出力される文書の物理的な境界をいう。レイアウト領域は、例えば、文書が印刷される1または複数の紙、1つのページ、連続する複数のページ、またはページのうち一部分の領域、版面をいう。
【0018】
オブジェクト取得部101は、編集対象となる文書に含まれるオブジェクトを取得する。グリッド線生成部102は、レイアウト領域におけるグリッド線を複数生成する。グリッド線取得部103は、生成された複数のグリッド線を取得する。グリッド線選択部104は、複数のグリッド線の中から、少なくとも1つのグリッド線を選択する。選択されるグリッド線は、そのグリッド線に沿ってオブジェクトを配置した場合に生じる余白があらかじめ決められた条件を満たすグリッド線である。配置決定部105は、選択されたグリッド線に従って、オブジェクトの配置を決定する。
【0019】
図2は、文書編集装置100のハードウェア構成を示す図である。CPU(Central Processing Unit)110は、文書編集装置100の各要素を制御する制御装置である。ROM(Read Only Memory)120は、文書編集装置100の起動に必要なデータおよびプログラムを記憶する記憶装置である。RAM(Random Access Memory)130は、CPU110がプログラムを実行する際の作業領域として機能する記憶装置である。I/F(Interface)140は、種々の入出力装置や記憶装置との間でデータおよび制御信号の入出力をするインターフェースである。HDD(Hard Disk Drive)150は、各種プログラムおよびデータを記憶する記憶装置である。本実施形態に関して、HDD150は、グリッド線を生成する文書編集プログラムを記憶している。キーボード・マウス160は、ユーザが文書編集装置100に対して指示入力を行うための入力装置である。ディスプレイ170は、データの内容あるいは処理の状況などを表示する出力装置である。本実施形態において、ディスプレイ170は、オブジェクト、レイアウト領域、およびグリッド線を表示する。ネットワークIF180は、ネットワーク(図示略)を介して接続された他の装置との間でデータの送受信を行うためのインターフェースである。文書編集装置100は、例えば、ネットワークおよびネットワークIF180を介して文書(正確には、文書を示す電子データ)を受信することができる。CPU110、ROM120、RAM130、およびI/F140は、バス190を介して接続されている。CPU110が文書編集プログラムを実行することにより、文書編集装置100は、図1に示される機能構成を備える。文書編集装置100は、図1に示される機能構成および図2に示されるハードウェア構成を含むものであれば、どのような装置であってもよい。例えば、文書編集装置100は、いわゆるパーソナルコンピュータである。あるいは、文書編集装置100は、プリンタのような画像形成措置であってもよい。なお、図2に示されるハードウェア構成の一部は省略されてもよい。
【0020】
2.動作
図3は、文書編集装置100の動作を示すフローチャートである。ステップS100において、CPU110は、オブジェクトを取得する。本実施形態において、CPU110は、オブジェクトを編集対象となる文書(以下「対象文書」という)として取得する。HDD150は、文書を記憶している。CPU110は、HDD150から文書を読み出す。
【0021】
図4は、取得される文書を例示する図である。文書D1は、レイアウト領域L内に、オブジェクトT1およびI1を含む。オブジェクトT1は、「ワークスタイルイノベーション」という文字列およびその属性を含む。オブジェクトT1は、その属性として、オブジェクトの種類「テキスト」、およびオブジェクトのサイズを示す情報を有する。オブジェクトI1は、画像およびその属性を含む。オブジェクトI1は、その属性として、オブジェクトの種類「画像」、およびオブジェクトのサイズを示す情報を有する。また、文書D1は、レイアウト領域Lにおけるオブジェクトの配置を示す情報(以下「レイアウト情報」という)を含む。本実施形態において、対象オブジェクトはオブジェクトT1である。
【0022】
再び図3を参照して説明する。ステップS110において、CPU110は、複数のグリッド線を生成する。本実施形態において、グリッド線は2つの基準線の間を黄金比に分割するグリッド線(以下「黄金グリッド線」という)である。なお、「黄金比」とは、次式(1)で示される比(約1:1.618)をいう。式(1)の右項と左項は入れ替えられてもよい。
【数1】

【0023】
図5は、グリッド線生成処理の詳細を示すフローチャートである。ステップS111において、CPU110は、レイアウト領域を黄金分割するグリッド線を生成する。詳細には次のとおりである。CPU110は、互いに平行な2つの基準線を特定する。どの線を基準線として用いるかは、あらかじめ決められている。この例では、レイアウト領域の上辺および下辺、ならびに左辺および右辺が基準線として用いられる。CPU110は、まず、レイアウト領域Lの上辺および下辺を基準線として特定する。CPU110は、2つの基準線の間を黄金比に分割する線を生成する。次に、CPU110は、レイアウト領域Lの左辺および右辺を基準線として特定し、同様に黄金分割線を生成する。こうして生成される線がグリッド線である。なお「グリッド線を生成する」とはグリッド線を特定するのに必要なパラメータ、例えば、基準点の座標および直線の方向ベクトルを算出することをいい、グリッド線がディスプレイ170に表示される必要はない。
【0024】
ステップS112において、CPU110は、文書D1に配置済みオブジェクトが存在するか判断する。「配置済みオブジェクト」とは、既にその配置が決定しているオブジェクト、すなわち、対象オブジェクト以外のオブジェクトをいう。配置済みオブジェクトが存在すると判断された場合(S112:YES)、CPU110は、処理をステップS113に移行する。配置済みオブジェクトが存在しないと判断された場合(S112:NO)、CPU110は、図5に示される処理を終了する。文書D1は対象オブジェクト以外にオブジェクトI1を有するので、CPU110は、処理をステップS113に移行する。
【0025】
ステップS113において、CPU110は、配置済みオブジェクトを基準として、グリッド線を生成する領域を決定する。複数の配置済みオブジェクトが存在する場合、CPU110は、その中から1つの配置済みオブジェクトを選択し、選択した配置済みオブジェクトについて以下の処理を行う。CPU110は、配置済みオブジェクトから、1つの基準線を特定する。どの線を基準線として用いるかは、あらかじめ決められている。この例では、配置済みオブジェクトの外接矩形の上辺、下辺、左辺、および右辺(以下、単にオブジェクトの上辺、下辺、左辺、および右辺という)が基準線として用いられる。まずCPU110は、配置済みオブジェクト、この例ではオブジェクトI1の上辺を基準線として特定する。CPU110は、基準線に対してあらかじめ決められた方向、例えば上辺に対しては上方向に、他の基準線を検索する。配置済みオブジェクトの上辺に対する他の基準線の候補となるのは、レイアウト領域の上辺、および他の配置済みオブジェクトの下辺である。他の基準線を検出すると、CPU110は、基準線と他の基準線との間の領域をグリッド線を生成する領域として決定する。CPU110は、下辺、左辺、および右辺を基準線とした場合についても同様の処理を行う。なお、基準線と、他の基準線を検索する方向(以下「検索方向」という)と、他の基準線の候補(以下「候補線」という)とを示すデータは、HDD150に記憶されている。HDD150は、例えば、基準線「上辺」に対して検索方向「上方向」および候補線「レイアウト領域の上辺」および「他の配置済みオブジェクトの下辺」を、基準線「下辺」に対して検索方向「下方向」および候補線「レイアウト領域の下辺」および「他の配置済みオブジェクトの上辺」を、基準線「右辺」に対して検索方向「右方向」および候補線「レイアウト領域の右辺」および「他の配置済みオブジェクトの左辺」を、基準線「左辺」に対して検索方向「左方向」および候補線「レイアウト領域の左辺」および「他の配置済みオブジェクトの右辺」を記憶している。
【0026】
ステップS114において、CPU110は、各領域を黄金分割するグリッド線を生成する。すなわち、CPU110は、グリッド線の識別子と、グリッド線を特定するのに必要なパラメータとをRAM130に記憶する。ステップS115において、CPU110は、すべての配置済みオブジェクトについて処理が完了したか判断する。まだ処理が済んでいない配置済みオブジェクトがあると判断された場合(S115:NO)、CPU110は、処理の対象となる配置済みオブジェクトを変更し、処理をステップS113に移行する。すべての配置済みオブジェクトについて処理が完了したと判断された場合(S115:YES)、CPU110は、図5に示される処理を終了する。
【0027】
図6は、生成されるグリッド線を例示する図である。グリッド線G1は、レイアウト領域Lの上辺とオブジェクトI1の上辺の間を1:1.618に分割するグリッド線である。グリッド線G2は、レイアウト領域Lの上辺と下辺の間を1:1.618に分割するグリッド線である。グリッド線G3は、レイアウト領域Lの上辺とオブジェクトI1の上辺の間を1.618:1に分割するグリッド線である。グリッド線G4は、レイアウト領域Lの左辺と右辺との間を1:1.618に分割するグリッド線である。グリッド線G5は、レイアウト領域Lの左辺と右辺との間を1.618:1に分割するグリッド線である。なお、説明を簡単にするため、グリッド線G1〜G5以外のグリッド線は図示していない。
【0028】
再び図3を参照して説明する。ステップS120において、CPU110は、複数のグリッド線から、最適なグリッド線を選択する。
【0029】
図7は、グリッド線選択処理の詳細を示すフローチャートである。ステップS121において、CPU110は、処理の対象となるグリッド線(以下「対象グリッド線」という)を1つ選択する。ここで、CPU110は、識別子の若い順に1つずつ順番にグリッド線を選択する。
【0030】
ステップS122において、CPU110は、対象オブジェクトを対象グリッド線の上に配置した場合における、対象オブジェクトの上下の余白の比rを算出する。CPU110は、グリッド線の識別子と、オブジェクトとグリッド線の位置関係を示す情報とともに、算出した比rをRAM130に記憶する。
【0031】
ステップS123において、CPU110は、対象オブジェクトを対象グリッド線の下に配置した場合における、対象オブジェクトの上下の余白の比rを算出する。CPU110は、グリッド線の識別子と、オブジェクトとグリッド線の位置関係を示す情報とともに、算出した比rをRAM130に記憶する。
【0032】
図8は、対象オブジェクトと対象グリッド線の位置関係を示す図である。この例ではグリッド線G1が対象グリッド線である。図8(A)はオブジェクトT1をグリッド線G1の上に配置した例を、図8(B)はオブジェクトT1をグリッド線G1の下に配置した例を示している。ここで「対象グリッド線の上」とは、対象オブジェクトの下辺が対象グリッド線に接することをいう。「対象グリッド線の下」とは、対象オブジェクトの上辺が対象グリッド線に接することをいう。
【0033】
ここで、「余白」は、ある方向における、オブジェクトと、他のオブジェクトまたはレイアウト領域の境界線との最短距離として定義される。図8(A)の例では、オブジェクトT1の上辺とレイアウト領域Lの上辺の距離d1が上方向の余白であり、オブジェクトT1の下辺とオブジェクトI1の上辺の距離d2が下方向の余白である。図8(B)の例では、オブジェクトT1の上辺とレイアウト領域Lの上辺の距離d3が上方向の余白であり、オブジェクトT1の下辺とオブジェクトI1の上辺の距離d4が下方向の余白である。
【0034】
再び図7を参照して説明する。ステップS124において、CPU110は、すべてのグリッド線について処理が完了したか判断する。まだ処理が済んでいないグリッド線があると判断された場合(S124:NO)、ステップS125において、CPU110は、対象グリッド線を次のグリッド線に変更する。対象グリッド線を変更すると、CPU110は、処理をステップS122に移行する。
【0035】
すべてのグリッド線について処理が完了したと判断された場合(S124:YES)、ステップS126において、CPU110は、比rとあらかじめ決められた比rrefとの差の絶対値が最小となるグリッド線および位置関係を、以降の処理に用いることを決定する。
【0036】
再び図3を参照して説明する。ステップS130において、CPU110は、選択されたグリッド線に従って、対象オブジェクトの配置を決定する。すなわち、CPU110は、グリッド線との位置関係がステップS126で決定されたものになるように、対象オブジェクトの位置を決定する。CPU110は、この決定に従ってレイアウト情報を更新する。
【0037】
図9は、編集された文書を例示する図である。この例では、オブジェクトT1は、グリッド線G3の上に配置されている。オブジェクトT1の上方向の余白はd5であり、下方向の余白はd6である。比rrefとして黄金比が用いられている。すなわち、rref=1.618である。グリッド線と位置関係の複数の組み合わせの中で、この組み合わせによる比r=d5/d6が比rrefに最も近い。
以上で説明したように本実施形態によれば、対象オブジェクトは余白の比が黄金比に近くなる位置に配置される。
【0038】
3.他の実施形態
本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、種々の変形実施が可能である。なお、以下において実施形態と共通する事項についてはその説明を省略する。また、実施形態と共通する要素については共通の参照番号を用いて説明する。また、以下の変形例のうち2つ以上のものが組み合わせて適用されてもよい。
【0039】
3−1.変形例1
図10は、変形例1に係るグリッド線選択処理を示すフローチャートである。変形例1において、図7のフローに代わり図10のフローが用いられる。このフローによれば、対象オブジェクトの位置に応じてグリッド線が選択される。
【0040】
ステップS200において、CPU110は、フラグFuの値を設定する。フラグFuは、レイアウト領域における対象オブジェクトの位置を示す。対象オブジェクトがレイアウト領域Lの上半分、すなわち水平方向の中心線よりも上に配置されている場合、CPU110は、フラグFuをFu=1に設定する。それ以外の場合、CPU110は、フラグFuをFu=0に設定する。ステップS201において、CPU110は、複数のグリッド線から、対象グリッド線を1つ選択する。
【0041】
ステップS202において、CPU110は、対象グリッド線の上に対象オブジェクトを配置した場合における、対象オブジェクトの上下の余白の比rを算出する。ステップS203において、CPU110は、フラグFuの値に応じて次の処理を決定する。フラグFuの値が「1」の場合、かつ、対象オブジェクトの上下の余白のうち下方向の余白の方が大きい場合、ステップS204において、CPU110は、グリッド線の識別子と、オブジェクトとグリッド線の位置関係を示す情報とともに、算出した比rをRAM130に記憶する。また、フラグFuの値が「0」の場合、かつ、対象オブジェクトの上下の余白のうち上方向の余白の方が大きい場合、ステップS204において、CPU110は、グリッド線の識別子と、オブジェクトとグリッド線の位置関係を示す情報とともに、算出した比rをRAM130に記憶する。それ以外の場合、CPU110は、算出した比rを記憶せずに、処理をステップS205に移行する。
【0042】
ステップS205において、CPU110は、対象グリッド線の下に対象オブジェクトを配置した場合における、対象オブジェクトの上下の余白の比rを算出する。ステップS206において、CPU110は、フラグFuの値に応じて次の処理を決定する。フラグFuの値が「1」の場合、かつ、対象オブジェクトの上下の余白のうち下方向の余白の方が大きい場合、ステップS207において、CPU110は、グリッド線の識別子と、オブジェクトとグリッド線の位置関係を示す情報とともに、算出した比rをRAM130に記憶する。また、フラグFuの値が「0」の場合、かつ、対象オブジェクトの上下の余白のうち上方向の余白の方が大きい場合、ステップS207において、CPU110は、グリッド線の識別子と、オブジェクトとグリッド線の位置関係を示す情報とともに、算出した比rをRAM130に記憶する。それ以外の場合、CPU110は、算出した比rを記憶せずに、処理をステップS208に移行する。
【0043】
ステップS208において、CPU110は、すべてのグリッド線について処理が完了したか判断する。まだ処理が完了していないグリッド線があると判断された場合(S208:NO)、ステップS209において、CPU110は、対象グリッド線を次のグリッド線に変更する。対象グリッド線を変更すると、CPU110は、処理をステップS202に移行する。
【0044】
すべてのグリッド線について処理が完了したと判断された場合(S208:YES)、CPU110は、比rとあらかじめ決められた比rrefとの差が最小となるグリッド線および位置関係を、以降の処理に用いることを決定する。
【0045】
図11は、編集された文書を例示する図である。この例では、オブジェクトT1は、グリッド線G1の下に配置されている。オブジェクトT1の上方向の余白はd7であり、下方向の余白はd8である。比rrefとして黄金比が用いられている。すなわち、rref=1/1.618=0.618である。グリッド線と位置関係の複数の組み合わせの中で、この組み合わせによる比r=d7/d8が比rrefに最も近い。また、オブジェクトT1はレイアウト領域Lの上半分にあるので、オブジェクトT1の下の余白が上の余白よりも広くなるように配置される。
このように変形例1によれば、オブジェクトの配置に応じて最適なグリッド線が選択される。
【0046】
なお処理の具体的なフローは図10に示されるものに限定されない。対象オブジェクトの配置に応じてグリッド線の選択条件が変わるものであれば、どのようなフローで処理が行われてもよい。
【0047】
3−2.変形例2
図12は、変形例2に係るグリッド線選択処理を示すフローチャートである。変形例2において、図7のフローに代わり図12のフローが用いられる。このフローによれば、近接オブジェクトの属性(この例では特にオブジェクトの種類)に応じてグリッド線が選択される。ここで、「近接オブジェクト」とは、対象オブジェクトとの距離が最も近いオブジェクトをいう。
【0048】
ステップS300において、CPU110は、フラグFoの値を設定する。フラグFoは、近接オブジェクトの種類を示す。近接オブジェクトが対象オブジェクトの上にあり、かつ、近接オブジェクトの種類が対象オブジェクトと同じである場合、CPU110は、フラグFoをFo=1に設定する。近接オブジェクトが対象オブジェクトの下にあり、かつ、近接オブジェクトの種類が対象オブジェクトと同じである場合、CPU110は、フラグFoをFo=−1に設定する。近接オブジェクトの種類が対象オブジェクトと異なる場合、CPU110は、フラグFoをFo=0に設定する。ステップS301において、CPU110は、複数のグリッド線から、対象グリッド線を1つ選択する。すなわち、フラグFoは、対象オブジェクトと同じ種類のオブジェクトの存在に応じて設定される。
【0049】
ステップS302において、CPU110は、対象グリッド線の上に対象オブジェクトを配置した場合における、対象オブジェクトの上下の余白の比rを算出する。ステップS303において、CPU110は、フラグFoの値に応じて次の処理を決定する。フラグFoの値が「1」の場合、かつ、対象オブジェクトの上下の余白のうち下方向の余白の方が大きい場合、ステップS304において、CPU110は、グリッド線の識別子と、オブジェクトとグリッド線の位置関係を示す情報とともに、算出した比rをRAM130に記憶する。フラグFoの値が「−1」の場合、かつ、対象オブジェクトの上下の余白のうち上方向の余白の方が大きい場合、ステップS304において、CPU110は、グリッド線の識別子と、オブジェクトとグリッド線の位置関係を示す情報とともに、算出した比rをRAM130に記憶する。フラグFoの値が「0」の場合、ステップS304において、CPU110は、グリッド線の識別子と、オブジェクトとグリッド線の位置関係を示す情報とともに、算出した比rをRAM130に記憶する。それ以外の場合、CPU110は、算出した比rを記憶せずに、処理をステップS305に移行する。
【0050】
ステップS305において、CPU110は、対象グリッド線の下に対象オブジェクトを配置した場合における、対象オブジェクトの上下の余白の比rを算出する。ステップS306において、CPU110は、フラグFoの値に応じて次の処理を決定する。フラグFoの値が「1」の場合、かつ、対象オブジェクトの上下の余白のうち下方向の余白の方が大きい場合、ステップS304において、CPU110は、グリッド線の識別子と、オブジェクトとグリッド線の位置関係を示す情報とともに、算出した比rをRAM130に記憶する。フラグFoの値が「−1」の場合、かつ、対象オブジェクトの上下の余白のうち上方向の余白の方が大きい場合、ステップS304において、CPU110は、グリッド線の識別子と、オブジェクトとグリッド線の位置関係を示す情報とともに、算出した比rをRAM130に記憶する。フラグFoの値が「0」の場合、ステップS304において、CPU110は、グリッド線の識別子と、オブジェクトとグリッド線の位置関係を示す情報とともに、算出した比rをRAM130に記憶する。それ以外の場合、CPU110は、算出した比rを記憶せずに、処理をステップS308に移行する。
【0051】
ステップS308において、CPU110は、すべてのグリッド線について処理が完了したか判断する。まだ処理が完了していないグリッド線があると判断された場合(S308:NO)、ステップS309において、CPU110は、対象グリッド線を次のグリッド線に変更する。対象グリッド線を変更すると、CPU110は、処理をステップS302に移行する。
【0052】
すべてのグリッド線について処理が完了したと判断された場合(S308:YES)、CPU110は、比rとあらかじめ決められた比rrefとの差が最小となるグリッド線および位置関係を、以降の処理に用いることを決定する。
【0053】
図13は、編集された文書を例示する図である。この例では、オブジェクトT3が対象オブジェクトである。オブジェクトT2およびT3は共にテキストのオブジェクトであり、すなわちオブジェクトの種類が等しい。オブジェクトI2は画像のオブジェクトである。グリッド線G6はオブジェクトT2とオブジェクトI2との間の余白を1:1.618に分割するグリッド線である。グリッド線G7はオブジェクトT2とオブジェクトI2との間の余白を1.618:1に分割するグリッド線である。グリッド線G8およびG9は、レイアウト領域Lの左辺と右辺の間を1:1.618および1.618:1に分割するグリッド線である。この例では、オブジェクトT3の上(同じ種類のオブジェクトがある方向)の余白がオブジェクトT3の下(同じ種類のオブジェクトがない方向)よりも小さくなるように、オブジェクトT3の配置が決定される。
このように変形例2によれば、オブジェクトの属性に応じて最適なグリッド線が選択される。
【0054】
なお処理の具体的なフローは図12に示されるものに限定されない。対象オブジェクトの属性に応じてグリッド線の選択条件が変わるものであれば、どのようなフローで処理が行われてもよい。また、あらかじめ決められた方向において対象オブジェクトとの距離が最も近いオブジェクトを近接オブジェクトとして処理が行われてもよい。
【0055】
3−3.変形例3
余白の定義は、上述の実施形態で説明したものに限定されない。上述の実施形態では余白は長さの次元を有していたが、余白は面積の次元を有していてもよい。例えば、(1)ある方向におけるオブジェクトと他のオブジェクトまたはレイアウト領域の境界線との最短距離と、その方向と直交する方向におけるオブジェクトまたはレイアウト領域の境界線の間の最短距離の積を余白と定義してもよい。あるいは、(2)オブジェクト群に内接する楕円の面積、またはオブジェクトの基づいて定められる基準点を中心とする楕円を余白と定義してもよい。さらにあるいは、(3)オブジェクト群に内接する多角形を余白と定義してもよい。要するに、視覚的に余白、すなわち空間が空いていると認識される領域に対応する量であれば、どのような量が余白の定義として用いられてもよい。
【0056】
図14は、変形例3に係る余白の定義を例示する図である。図14(A)は、上述の定義(1)を用いた例を示す。いまオブジェクトO1の下方向の余白について考える。オブジェクトO3は、オブジェクトO1の下方向において近接するオブジェクトである。距離d9は、オブジェクトO1とオブジェクトO3との間の距離である。距離d10は、オブジェクトO2とレイアウト領域Lの左辺との間の距離である。この例では、余白はd9×d10で定義される。図14(B)は、上述の定義(2)を用いた例を示す。楕円Cは、オブジェクトO1〜O3に内接する楕円である。この例では、余白は楕円Cの面積(斜線部分)で定義される。
【0057】
3−4.変形例4
上述の実施形態および変形例において、あらかじめ決められた比rrefが黄金比である例について説明したが、比rrefは黄金比に限定されない。例えば、rref=√2、またはrref=1/√2が用いられてもよい。すなわち、式(1)の比に代わり、1:√2が用いられてもよい。
【0058】
3−5.変形例5
上述の実施形態および変形例において、レイアウト領域Lの上下方向の位置を決定する例について説明したが、同様に左右方向の位置が決定されてもよい。あるいは、上下方向および左右方向の位置が両方決定されてもよい。要するに、複数のグリッド線から最適なグリッド線が少なくとも1つ選択されればよい。
【0059】
3−6.変形例6
文書編集装置100は、グリッド線を生成しなくてもよい。この場合、ステップS110において、CPU110は、グリッド線を特定するパラメータを取得する。グリッド線の位置および間隔などグリッド線を特定するパラメータはあらかじめ決められている。HDD150は、グリッド線を特定するパラメータを記憶している。CPU110は、HDD150からパラメータを読み出すことによりグリッド線を特定する。また、グリッド線は黄金グリッド線に限定されない。レイアウト領域を等間隔に分割する線がグリッド線として用いられてもよい。
【0060】
3−7.変形例7
文書編集装置100は、オブジェクトの配置を決定しなくてもよい。この場合、ステップS130において、CPU110は、選択されたグリッド線を示す情報を他の装置に出力する。他の装置は、選択されたグリッド線に従ってオブジェクトの配置を決定する。
【0061】
3−8.変形例8
ステップS126、S210またはS310において選択されるグリッド線は、あらかじめ決められた比rrefに最も近いものに限定されない。CPU110は、比rrefを基準としてあらかじめ決められた範囲内にある比rに対応するグリッド線を選択してもよい。すなわちCPU110は、rref−rth≦r≦rref+rthを満たす比rに対応するグリッド線を選択してもよい。ここでrthはしきい値である。なお、複数のグリッド線がこの条件を満たす場合、CPU110は、その旨を示すメッセージをディスプレイ170に表示してもよい。あるいは、CPU110は、条件を満たすグリッド線の中から最も比rrefに近いものを選択してもよい。また、条件を満たすグリッド線が存在しない場合、CPU110は、その旨を示すメッセージをディスプレイ170に表示してもよい。
【0062】
3−9.その他の変形例
ステップS100において、オブジェクトは、対象文書と一緒に取得されなくてもよい。すなわち、各オブジェクトおよびレイアウト情報は、同一の出所から同時に取得されなくてもよい。オブジェクトおよび対象文書は、例えば、ネットワークおよびネットワークIF180を介して他の装置から取得されてもよい。あるいは、オブジェクトおよび対象文書は、ユーザがキーボード・マウス160を操作することにより入力されてもよい。
【0063】
ステップS121、S201またはS301において、複数のグリッド線から対象グリッド線を選択する際、選択の対象となるグリッド線の絞込みが行われてもよい。例えば、CPU110は、配置済みオブジェクトに対してあらかじめ決められた方向にあるグリッド線のみを、選択の対象として絞り込んでもよい。
【0064】
ステップS303またはS305において、フラグFoの値が「0」の場合の処理は変形例2で説明したものに限定されない。フラグFoの値が「0」の場合、変形例1で説明した処理が行われてもよい。
【0065】
オブジェクトおよび対象オブジェクトの数は、実施形態および変形例で説明したものに限定されない。例えば、対象オブジェクトの数が1つである例について説明したが、対象オブジェクトの数は複数であってもよい。また、文書には、あらかじめ決められたルールまたはレイアウト情報に従って配置されるオブジェクトと、上述の実施形態または変形例に従って配置されるオブジェクトが混在してもよい。例えば上述の実施形態では、オブジェクトI1、T2、およびI2の配置はあらかじめ決められており、オブジェクトT1またはT3の配置がグリッド線に従って決定される。あるいは、文書に含まれるすべてのオブジェクトの位置が、実施形態または変形例で説明した処理により決定されてもよい。この場合、処理対象となるオブジェクトが1つずつ順番に特定され、上述の処理が行われる。
【0066】
各オブジェクトが有する属性情報は、上述の実施形態または変形例で説明したものに限定されない。例えば以下のものが属性として用いられてもよい。(1)オブジェクトの種類(「テキスト」、「画像」など)、(2)オブジェクトのカテゴリ(「タイトル」、「サブタイトル」、「本文」、「メイン画像」、「サブ画像」など)、(3)フォントサイズ、(4)フォントの種類(「明朝」、「ゴシック」など)、(5)フォントのスタイル(「標準」、「太字」、「斜体」など)、(6)オブジェクトのサイズ(面積、文字数、画素数など)、(7)オブジェクトの優先度(「高」、「中」、「低」、または指数など)、(8)画像の内容(「人物」、「風景」、「山」、「花」など)。なお、各オブジェクトは以上に例示した属性情報のすべてを有している必要はない。
【0067】
各オブジェクトは、属性情報を有していなくてもよい。オブジェクトの属性は、レイアウト情報などオブジェクトとは別のデータにより定められてもよい。あるいは、オブジェクトの属性はあらかじめ決められていてもよい。
【0068】
上述の実施形態および変形例においてHDD150に記憶されているデータ、情報およびパラメータの類は、HDD150以外の装置に記憶されていてもよい。例えば、デザインルールは、文書編集装置100以外の他の装置に記憶されていてもよい。この場合文書編集装置100は、ネットワークを介した通信または直接接続により他の装置からデザインルールを取得する。なおこの場合文書編集装置100はあらかじめデザインルールを記憶している必要はない。あるいは、データ、情報およびパラメータの類は、ユーザにより入力されてもよい。
【0069】
上述の実施形態および変形例において「あらかじめ決められている」とされたデータ、情報およびパラメータの類は、ユーザの指示に応じて決定されてもよい。あるいは、これらのデータ、情報およびパラメータの類は、あらかじめ決められたアルゴリズムに従ってCPU110により決定されてもよい。
【0070】
上述の実施形態および変形例において、文書編集プログラムはHDD150に記憶されていた。しかし、文書編集プログラムは、CD−ROM(Compact Disk Read Only Memory)などの記憶媒体により提供されてもよい。
【符号の説明】
【0071】
100…文書編集装置、101…オブジェクト取得部、102…グリッド線生成部、103…グリッド線取得部、104…グリッド線選択部、105…配置決定部、110…CPU、120…ROM、130…RAM、140…I/F、150…HDD、160…キーボード・マウス、170…ディスプレイ、180…ネットワークIF、190…バス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
編集対象となる文書に含まれ、レイアウト領域に配置されるテキストまたは画像の少なくとも一方を示すデータであるオブジェクトを取得するオブジェクト取得手段と、
前記レイアウト領域における複数のグリッド線を取得するグリッド線取得手段と、
前記グリッド線取得手段により取得された複数のグリッド線のうち、そのグリッド線に沿って前記オブジェクト取得手段により取得されたオブジェクトを配置した場合に生じる余白があらかじめ決められた条件を満たす、少なくとも1つのグリッド線を選択するグリッド線選択手段と
を有する文書編集支援装置。
【請求項2】
複数のグリッド線を生成し、前記複数のグリッド線の各々が、互いに平行な2つの基準線の間を黄金比に分割する線であり、前記基準線が、前記オブジェクトの形状もしくは位置、または前記レイアウト領域の形状のうち少なくとも1つに基づいて定められるグリッド線生成手段を有し、
前記グリッド線取得手段が、前記グリッド線生成手段により生成された複数のグリッド線を取得する
ことを特徴とする請求項1に記載の文書編集支援装置。
【請求項3】
前記グリッド線選択手段が、前記オブジェクトと前記レイアウト領域の中心線との間にある余白が、前記オブジェクトと前記中心線の間の外にある余白よりも大きくなるグリッド線を選択する
ことを特徴とする請求項1または2に記載の文書編集支援装置。
【請求項4】
前記あらかじめ決められた条件が、前記オブジェクトが配置された場合の上下または左右方向の余白の比が、あらかじめ決められた比を基準としてあらかじめ決められた範囲内にあるという条件である
ことを特徴とする請求項1または2に記載の文書編集支援装置。
【請求項5】
前記あらかじめ決められた条件が、前記オブジェクトが配置された場合の上下または左右方向の余白の比が、あらかじめ決められた比に最も近いという条件である
ことを特徴とする請求項1または2に記載の文書編集支援装置。
【請求項6】
前記あらかじめ決められた比が、黄金比または1:√2である
ことを特徴とする請求項4または5に記載の文書編集支援装置。
【請求項7】
前記文書が、前記オブジェクト以外の他のオブジェクトを複数含み、
前記オブジェクトおよび前記他のオブジェクトが各々その属性を示す属性情報を有し、
前記グリッド線選択手段が、前記オブジェクトおよび前記複数の他のオブジェクトの属性情報に基づいて、グリッド線を選択する
ことを特徴とする請求項1または2に記載の文書編集支援装置。
【請求項8】
前記属性情報が、オブジェクトの種類を示し、
前記グリッド線選択手段が、前記複数の他のオブジェクトのうち、前記オブジェクトと同じ種類のオブジェクトとの距離が近くなるグリッド線を選択する
ことを特徴とする請求項7に記載の文書編集支援装置。
【請求項9】
前記グリッド線選択手段により選択されたグリッド線に従って、前記オブジェクトの配置を決定する配置手段
を有する請求項1または2に記載の文書編集支援装置。
【請求項10】
コンピュータ装置に、
編集対象となる文書に含まれ、レイアウト領域に配置されるテキストまたは画像の少なくとも一方を示すデータであるオブジェクトを取得するステップと、
前記レイアウト領域における複数のグリッド線を取得するステップと、
前記生成された複数のグリッド線のうち、そのグリッド線に沿って前記取得されたオブジェクトを配置した場合に生じる余白があらかじめ決められた条件を満たす、少なくとも1つのグリッド線を選択するステップと
を実行させるプログラム。
【請求項11】
コンピュータ装置に、
編集対象となる文書に含まれ、レイアウト領域に配置されるテキストまたは画像の少なくとも一方を示すデータであるオブジェクトを取得するステップと、
前記レイアウト領域における複数のグリッド線を取得するステップと、
前記生成された複数のグリッド線のうち、そのグリッド線に沿って前記取得されたオブジェクトを配置した場合に生じる余白があらかじめ決められた条件を満たす、少なくとも1つのグリッド線を選択するステップと
を実行させるプログラムを記憶した記憶媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2009−157947(P2009−157947A)
【公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−96931(P2009−96931)
【出願日】平成21年4月13日(2009.4.13)
【分割の表示】特願2007−33888(P2007−33888)の分割
【原出願日】平成19年2月14日(2007.2.14)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】