説明

文書配信システム、文書配信装置、テンプレート検索プログラム及び記録媒体

【課題】利用者の属性に応じて最適なテンプレートを自動的に選択する。
【解決手段】ネットワークを介して接続された文書配信装置と認証装置とを備える文書配信システムであって、認証装置は、文書配信装置から受信した利用者認証情報を用いて認証を行なう認証手段と、利用者の属性情報を記憶する記憶手段と、を備え、文書配信装置は、属性情報を含む、配信フローのテンプレートを1又は複数記憶する記憶手段と、認証装置に利用者の認証を要求し、認証が成功した利用者の属性情報を取得する認証手段と、取得された前記利用者の属性情報と、記憶手段に記憶されるテンプレートの属性情報とが一致するテンプレートを検索する検索手段と、検索されたテンプレートの表示制御を行う表示制御手段と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、文書配信システム、文書配信装置、テンプレート検索プログラム及び記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、多くの企業において、多機能複合機などの画像入出力機器のネットワーク上への配置・接続が進んでいる。画像入出力機器は、業務の効率化を図る手段として大きな役割を担っている。特に、紙文書の電子化と配布を効率的に行う文書配信システムが重要になっている。
【0003】
文書配信システムを構成する大きな要素は、画像入力機器(例えばスキャナなど)と文書配信装置である。文書配信装置には、あらかじめさまざまな業務・用途にあわせた複数の配信処理メニューが登録されている。利用者は、スキャナのオペレーションパネルから、業務に適した処理メニューを選択してスキャンを行う。
【0004】
例えば、特許文献1には、配信処理や画像変換処理をプラグイン化し、利用者や管理者がそれらプラグインを任意に組み合わせて入力、画像変換、出力処理をフロー化して配信フローを作成し、作成された配信フローを利用して文書データの配信処理を行う技術が開示されている。
【0005】
一方、この文書配信システムにおいて、利用者に配信フローを始めから生成させるのは、利用者に煩雑な処理を強いることになる。そこで、配信フローを文書配信装置上に取り込むテンプレートの技術がある。
【0006】
例えば、特許文献2には、ジョブフロー(配信フローに相当)を構築し、このジョブフローを定義した指示書(テンプレートに相当)を画像処理装置に送信する技術が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、前述した特許文献2では、テンプレートを利用することはできるが、どのテンプレートを選択すればよいかの仕組みは考えられていない。例えば、テンプレートが増えた場合に、利用者はどのテンプレートを用いればよいか分からないという問題点があって。
【0008】
そこで、本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、利用者の属性に応じて最適なテンプレートを自動的に選択することができる文書配信システム、文書配信装置、テンプレート検索プログラム及び記録媒体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明における一態様の文書配信システムは、ネットワークを介して接続された文書配信装置と認証装置とを備える文書配信システムであって、前記認証装置は、前記文書配信装置から受信した利用者認証情報を用いて認証を行なう認証手段と、利用者の属性情報を記憶する記憶手段と、を備え、前記文書配信装置は、属性情報を含む、配信フローのテンプレートを1又は複数記憶する記憶手段と、前記認証装置に利用者の認証を要求し、認証が成功した利用者の属性情報を取得する認証手段と、取得された前記利用者の属性情報と、前記記憶手段に記憶されるテンプレートの属性情報とが一致するテンプレートを検索する検索手段と、検索されたテンプレートの表示制御を行う表示制御手段と、を備える。
【0010】
また、本発明における他の態様の文書配信装置は、利用者の属性情報を有する認証装置とネットワークを介して接続された文書配信装置であって、属性情報を含む、配信フローのテンプレートを1又は複数記憶する記憶手段と、前記認証装置に利用者の認証を要求し、認証が成功した利用者の属性情報を取得する認証手段と、取得された前記利用者の属性情報と、前記記憶手段に記憶されるテンプレートの属性情報とが一致するテンプレートを検索する検索手段と、検索されたテンプレートの表示制御を行う表示制御手段と、を備える。
【0011】
また、本発明における他の態様のテンプレート検索プログラムは、利用者の属性情報を有する認証装置とネットワークを介して接続された文書配信装置に実行されるテンプレート検索プログラムであって、前記認証装置に利用者の認証を要求し、認証が成功した利用者の属性情報を取得する認証ステップと、取得された前記利用者の属性情報と、記憶手段に1又は複数記憶される配信フローのテンプレートに含まれる属性情報とが一致するテンプレートを検索する検索ステップと、検索されたテンプレートの表示制御を行う表示制御ステップと、を前記文書配信装置に実行させるためのテンプレート検索プログラムである。
【0012】
また、本発明は、前述したテンプレート検索プログラムを記録した記録媒体を、コンピュータに読み取らせて実現することも可能である。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、利用者の属性に応じて最適なテンプレートを自動的に選択することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】実施例1における文書配信システムの一例を示す図。
【図2】実施例1におけるMFPのハードウェアの一例を示すブロック図。
【図3】実施例1における文書配信装置のハードウェアの一例を示すブロック図。
【図4】実施例1におけるMFPの機能の一例を示すブロック図。
【図5】実施例1における文書配信装置の機能の一例を示すブロック図。
【図6】利用者とテンプレートとの関係の一例を示す図。
【図7】テンプレートの一例を示す図。
【図8】配信フローの一例を示す図。
【図9】関連情報の一例を示す図。
【図10】実施例1における認証装置の機能の一例を示すブロック図。
【図11】テンプレート検索処理の一例を示すフローチャート。
【図12】検索結果画面の一例を示す図。
【図13】インポート処理の一例を示すフローチャート。
【図14】変形例におけるMFPの機能の一例を示すブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付図面を参照して、本発明にかかる文書配信システム、文書配信装置、テンプレート検索プログラム及び記録媒体の実施例を詳細に説明する。
【0016】
また、以下に示す実施例では、文書データを入力する画像入力装置として、プリンタ機能、スキャナ機能、コピー機能、ファクシミリ機能を一つの筐体に搭載した複合機(MFP)を例にあげて説明する。
【0017】
[実施例1]
<システムとハードウェア>
図1は、実施例1における文書配信システム1の一例を示す図である。図1に示すように、文書配信システム1は、ネットワークを介してMFP(Multifunction Peripheral)10、MFP20、文書配信装置(配信サーバ)30、認証装置(認証サーバ)40、情報処理端末(例えば、PC(Personal Computer)、PDA(Personal Data Assistance)など)50が接続されている。
【0018】
MFP10、20は、スキャン機能、コピー機能、プリンタ機能、ファクシミリ機能などを一つの筐体に搭載したものである。MFP10、20は、スキャナ機能により紙媒体等をスキャン処理して文書データを生成し、生成された文書データを文書配信装置30に送信する。MFPの詳細については後述する。また、文書データは、文書の画像データを含む。
【0019】
文書配信装置30は、各MFPでスキャンされた文書データを受信して、指定された配信フローに従って種々の処理や配信処理を実行するワークステーション等のコンピュータである。配信フローには、メール送信、FAX送信、フォルダー配信などがある。
【0020】
また、文書配信装置30は、入力された文書データに基づいて配信フローを実行するサーバであり、利用者によって構築された配信フローに従って文書の蓄積又は配信処理を実行する。文書配信装置30の詳細については後述する。なお、文書配信装置30は、MFP10、20に組み込まれてもよい。
【0021】
認証装置40は、文書配信装置30から利用者の認証要求を受け、認証処理を行う。また、認証装置40は、必要に応じて認証が成功した利用者の属性情報を文書配信装置30に出力する。認証装置40は、例えば、ディレクトリサービスを行うWindows(登録商標)のActiveDirectoryである。ディレクトリサービスは、ネットワークを一元管理するための情報を保存し、検索できるサービスである。また、ディレクトリサービスは、利用者の属性情報を格納する。以下、認証装置40を、ディレクトリサービスともいう。
【0022】
情報処理端末50は、管理者によりデータ配信に関する管理ツールが起動され、画像変換、出力の各プラグインが順に選択されることで配信フローを作成する。作成された配信フローは、文書配信装置30に記憶される。
【0023】
なお、ネットワークを介して接続されるMFPやサーバや情報処理端末の数は、それぞれ任意の数でもよい。また、文書配信システム1は、メール配信サーバなどを有してもよい。文書配信装置30がMFPに組み込まれる場合は、MFPにおいて、配信フローを作成することも可能である。
【0024】
実施例1におけるMFP10と文書配信装置30とのハードウェアについて説明する。図2は、実施例1におけるMFP10のハードウェアの一例を示すブロック図である。図2に示すように、MFP10は、制御部11、主記憶部12、補助記憶部13、外部記録装置I/F部14、ネットワークI/F部16、操作部17、表示部18、エンジン部19を含む。これら各構成は、バスを介して相互にデータ送受信可能に接続されている。
【0025】
制御部11は、コンピュータの中で、各装置の制御やデータの演算、加工を行うCPUである。また、制御部11は、主記憶部12に記憶されたプログラムを実行する演算装置であり、入力装置や記憶装置からデータを受け取り、演算、加工した上で、出力装置や記憶装置に出力する。
【0026】
主記憶部12は、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)などであり、制御部11が実行する基本ソフトウェアであるOSやアプリケーションソフトウェアなどのプログラムやデータを記憶又は一時保存する記憶装置である。
【0027】
補助記憶部13は、HDD(Hard Disk Drive)などであり、アプリケーションソフトウェアなどに関連するデータを記憶する記憶装置である。
【0028】
外部記録装置I/F部14は、USB(Universal Serial Bus)などのデータ伝送路を介して接続された記録媒体15(例えば、フラッシュメモリなど)とMFP10とのインタフェースである。
【0029】
また、記録媒体15に、所定のプログラムを格納し、この記録媒体15に格納されたプログラムは外部記録装置I/F部14を介してMFP10にインストールされ、インストールされた所定のプログラムはMFP10により実行可能となる。
【0030】
ネットワークI/F部16は、有線及び/又は無線回線などのデータ伝送路により構築されたLAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)などのネットワークを介して接続された通信機能を有する周辺機器とMFP10とのインタフェースである。
【0031】
操作部17や表示部18は、キースイッチ(ハードキー)とタッチパネル機能(GUIのソフトウェアキーを含む:Graphical User Interface)を備えたLCD(Liquid Crystal Display)とから構成され、MFP10が有する機能を利用する際のUI(User Interface)として機能する表示及び/又は入力装置である。
【0032】
エンジン部19は、文書データの入出力ユニットとして、紙原稿の読み取り転写紙への印刷を行う。エンジン部19は、スキャナエンジンなども含む。
【0033】
図3は、実施例1における文書配信装置30のハードウェアの一例を示すブロック図である。図3に示すように、文書配信装置30は、制御部31、主記憶部32、補助記憶部33、外部記録装置I/F部34、ネットワークI/F部36、入力部37、表示部38を含む。これら各構成は、バスを介して相互にデータ送受信可能に接続されている。
【0034】
制御部31は、コンピュータの中で、各装置の制御やデータの演算、加工を行うCPUである。また、制御部31は、主記憶部32に記憶されたプログラムを実行する演算装置であり、入力装置や記憶装置からデータを受け取り、演算、加工した上で、出力装置や記憶装置に出力する。
【0035】
主記憶部32は、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)などであり、制御部31が実行する基本ソフトウェアであるOSやアプリケーションソフトウェアなどのプログラムやデータを記憶又は一時保存する記憶装置である。
【0036】
補助記憶部33は、HDD(Hard Disk Drive)などであり、アプリケーションソフトウェアなどに関連するデータを記憶する記憶装置である。
【0037】
外部記録装置I/F部34は、USB(Universal Serial Bus)などのデータ伝送路を介して接続された記録媒体15(例えば、フラッシュメモリなど)と文書配信装置30とのインタフェースである。
【0038】
また、記録媒体15に、所定のプログラムを格納し、この記録媒体15に格納されたプログラムは外部記録装置I/F部34を介して文書配信装置30にインストールされ、インストールされた所定のプログラムは文書配信装置30により実行可能となる。
【0039】
ネットワークI/F部36は、有線及び/又は無線回線などのデータ伝送路により構築されたLAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)などのネットワークを介して接続された通信機能を有する周辺機器と文書配信装置30とのインタフェースである。
【0040】
入力部37は、カーソルキー、数字入力及び各種機能キー等を備えたキーボード、表示部38の表示画面上でキーの選択等を行うためのマウスやスライスパット等を有する。また、入力部37は、利用者が制御部11に操作指示を与えたり、データを入力したりするための利用者インタフェースである。
【0041】
表示部38は、CRTやLCD等により構成され、制御部31から入力される表示データに応じた表示が行われる。
【0042】
<機能>
1.MFP
図4は、実施例1におけるMFP10の機能の一例を示すブロック図である。図4に示すように、MFP10は、画像読込手段101、通信手段102、受付手段103、記憶手段104を含む。その他一般的なMFPが有するプリンタ機能やコピー機能やFAX機能等については図示していない。
【0043】
画像読込手段101は、スキャン機能により原稿を読み込んで文書データを取得する。文書データの取得については、FAXで受信したり、情報処理端末50から取得したり、ネットワーク上のホットフォルダーから取得したりしてもよい。
【0044】
通信手段102は、機器情報や文書データなどの送受信を行う。特に、通信手段102は、文書データの配信フロー処理要求などが利用者から指示された場合、文書データ及びこの処理要求を文書配信装置30に送信する。
【0045】
受付手段103は、利用者からの配信フローの指定を受け付ける。配信フローの指定は、MFP10のオペレーションパネル(操作部17及び表示部18)を用いて行われる。このとき、配信フローに含まれる処理の書誌情報が利用者から入力される。書誌情報とは、例えば、画像変換処理の場合は、画像形式や画像サイズなどであり、メール配信の場合は、配信先のメールアドレスなどである。書誌情報としての利用者IDは、配信システムにログインした利用者のログイン情報から取得する。
【0046】
また、受付手段103は、配信フローを利用するためのログイン情報をユーザに入力させ、入力されたログイン情報を、通信手段102を介して文書配信装置30に送信する。
【0047】
記憶手段104は、画像変換処理、又は出力処理の各プラグインを格納し、また、各プラグインが組み合わされた配信フローを1又は複数格納する。なお、記憶手段103は必ずしも設ける必要はなく、文書配信装置30の記憶手段306から配信フローに関する情報を取得するようにしてもよい。
【0048】
画像読込手段101は、スキャナにより実現されうる。受付手段103は、制御部11により操作部17及び表示部18が制御され、通信手段102は、制御部11によりネットワークI/F部16が制御されて実現されうる。記憶手段104は、例えば、補助記憶部33により実現されうる。
【0049】
2.文書配信装置
次に、文書配信装置30の機能について説明する。図5は、実施例1における文書配信装置の機能の一例を示すブロック図である。図5に示す文書配信装置30は、配信フロー管理手段301、通信手段302、ジョブ実行手段303、配信フロー制御手段304、配信フロー処理手段305、記憶手段306、認証手段307、記憶手段308、検索手段309、表示制御手段310を含む。
【0050】
配信フロー管理手段301は、画像変換処理、又は出力処理の各プラグインを任意に組み合わせた配信フローを利用者により設定された場合、設定された配信フローを例えばXML形式で記憶手段306に記憶する。配信フロー管理手段301は、情報処理端末50に表示する配信フロー設定のためのUI画面などを制御する。また、配信フロー管理手段301は、配信システムの管理ツールとしても機能する。
【0051】
配信フロー管理手段301は、MFP10から配信システムへのログイン要求を受ける。配信フロー管理手段301は、ログイン要求を受けると認証手段307にログイン情報を出力する。
【0052】
通信手段302は、機器情報や文書データなどの送受信を行う。特に、通信手段302は、MFP10から文書データを受信したり、配信フローの配信先に対し、画像処理した文書データを送信したりする。
【0053】
また、通信手段302は、配信フローの識別情報や、配信フローの各処理の書誌情報などをMFP10から受信する。通信手段302は、MFP10から配信フローの処理要求(ジョブ要求)を受信した場合は、配信フローの識別情報や、配信フローの各処理の書誌情報などをジョブ実行手段303に出力する。
【0054】
ジョブ実行手段303は、MFP10から要求されたジョブを実行する。ジョブ実行手段303は、配信フロー制御手段304に対し、配信フローの処理要求を行うと共に、配信フローの識別情報や配信フローの各処理の書誌情報、文書データを出力する。
【0055】
配信フロー制御手段304は、ジョブ実行手段303から配信フローの処理要求を受けた場合、配信フローに含まれる各処理の実行を制御する。
【0056】
配信フロー処理手段305は、配信フロー制御手段304から配信フロー制御の指示を受けると、この指示に従って配信フローを実行し、配信処理を行う。つまり、配信フロー処理手段305は、配信フローに含まれる各処理をフロー順に実行し、配信先へ文書データを配信する。
【0057】
なお、配信フロー処理手段305が行う各処理は、画像変換処理、出力処理(配信処理)などに分けられる。画像変換処理とは、PDF変換やTIFF変換などの文書データの形式変換を行う処理や、文字認識処理(OCR)などのことを言う。出力処理とは、取得した文書データ又は画像変換された文書データを配信先(メール配信サーバや画像管理サーバなど)に配信する処理のことを言う。また、配信フロー処理手段305において、少なくとも出力処理は行われることとする。
【0058】
記憶手段306は、画像変換処理、又は出力処理の各プラグインを格納し、また、各プラグインが組み合わされた配信フローを1又は複数格納する。
【0059】
認証手段307は、配信フロー管理手段301からログイン情報を取得すると、認証装置40と通信を行なって、ログイン情報を認証装置40に対して送信するとともに認証要求を送信する。
【0060】
認証手段307は、認証装置40からログインの認証結果を受信する。認証手段307は、認証結果が認証成功を示していれば、認証装置40と再度通信を行ない、認証成功した利用者の属性情報を取得する。
【0061】
記憶手段308は、配信フローのテンプレートを記憶する。図6は、利用者とテンプレートとの関係の一例を示す図である。図6に示すように、利用者の属性情報は、名前、業種、業務、企業規模などを含む。テンプレートは、属性情報として名前、業種・業務、企業規模、対応バージョン、モード、仕向けなどを含む。テンプレートには、1以上の配信フローが関連付けられる。
【0062】
テンプレートの属性情報は、名前、業種・業務、企業規模などの利用場面に関する利用情報と、対応バージョン、モード、仕向けなどの配信システムに関するシステム情報とに分けられる。
【0063】
図7は、テンプレートの一例を示す図である。図7に示すテンプレートの利用情報は、「名前」が「調剤薬局文書管理」であり、「業種・業務」が「医療・社会福祉」であり、「企業規模」が「指定なし」である。
【0064】
また、図7に示すテンプレートのシステム情報は、「対応バージョン」が「V1.3以上」であり、「モード」が「スタンダードモード、ライトモード」であり、「仕向け」が「国内」である。また、図7に示すテンプレートは、1つの配信フローを含む。
【0065】
「スタンダードモード」とは、配信サーバを利用する配信システムであり、「ライトモード」とは、サーバを不要とする配信システムである。スタンダードモードでは、OCR(Optical Character Recognition)等の高機能を利用することができる。なお、スタンダードモードは、実施例1に対応するモードであり、ライトモードは、後述する変形例に対応するモードである。
【0066】
ここで、配信フローは、図8に示すような各処理の手順を示す。図8は、配信フローの一例を示す図である。図8に示す配信フローは、和暦への変換をテーブル置換で行って、画像をPDFに変換し、変換したPDFをフォルダーに配信する配信フローである。このような配信フローがテンプレートに関連付けられている。
【0067】
図5に戻り、検索手段309は、認証手段307が取得した利用者の属性情報と、テンプレートに含まれる属性情報とがマッチングするテンプレートを検索する。検索の仕方としては、例えば以下の4つがある。
【0068】
(その1)
検索手段309は、利用者の属性情報のうち「業種」、「業務」、「企業規模」の属性情報と、テンプレートの属性情報のうち「業種・業務」、「企業規模」の属性情報とを比較し、所定数以上一致するテンプレートを検索結果とする。テンプレートの属性情報「業種・業務」は、「業種」と「業務」に分けて比較が行われる。
【0069】
所定数とは、対象とする属性情報の全てを示す「3」でもよいし、「2」などの値でもよい。所定数は予め設定されているとする。
【0070】
(その2)
検索手段309は、まず、利用者の属性情報と配信フローとを用いてテンプレートの絞込みを行う。ここで、文書配信装置30は、絞込みを行うための関連情報を保持する。
【0071】
図9は、関連情報の一例を示す図である。図9に示すように、関連情報は、利用者の属性情報及びその属性値に関連付けて処理が保持されている。検索手段309は、例えば、利用者属性の「業務」が「銀行業務」であれば、処理「パスワード付PDF」を含む配信フローを選択する。また、検索手段309は、利用者属性「役職」が「一般」であれば、利用期限付きPDFを含む配信フローを選択する。
【0072】
次に、検索手段309は、選択された配信フローを有するテンプレートに対して、(その1)と同様の処理を行い、テンプレートを検索する。なお、関連情報は、記憶手段308やその他のメモリに記憶されていればよい。これにより、利用者の属性情報と配信フローに基づいてテンプレートの絞込みを行った後に検索を行うことができる。
【0073】
(その3)
検索手段309は、自装置で適用される文書配信システムに関するシステム情報を取得する。このシステム情報は、システムプログラムに設定されている設定値から取得可能である。例えば、システム情報は、「対応バージョン」、「モード」、「仕向け」を含む。
【0074】
検索手段309は、取得したシステム情報及び利用者の属性情報と、テンプレートの属性情報とを比較し、所定数以上一致するテンプレートを検索結果とする。全て一致するテンプレートだけを検索結果にしたい場合は、所定数は、「業種」、「業務」、「企業規模」、「対応バージョン」、「モード」、「仕向け」の合計6に設定されればよい。これにより、システム情報も検索条件に加えることができ、より適切なテンプレートを検索することができる。
【0075】
(その4)
検索手段309は、利用者の利用履歴を取得する。利用者の利用履歴は、ジョブログを参照すれば取得できる。ジョブログには、利用した配信フローの情報に加えて、スキャン条件、スキャンデータのサイズ等が記録される。スキャン条件は、解像度、カラー指定、用紙などを含む。検索手段309は、利用者IDを用いて、ジョブログから利用履歴を取得する。
【0076】
次に、検索手段309は、利用履歴から所定数以上のデータをスキャン配信していることが分かれば、メール配信を配信フローに含まないテンプレートを選択する。このときの所定数は、予めシステムの属性として設定される。
【0077】
また、検索手段309は、利用履歴に近いスキャン条件がプリセットされた配信フローを含むテンプレートを選択する。ここでのスキャン条件は、例えば、両面スキャン、モノクロなどである。
【0078】
次に、検索手段309は、選択されたテンプレートに対して、(その1)と同様の処理を行い、テンプレートを検索する。これにより、利用履歴も検索条件に加えることができ、より適切なテンプレートを検索することができる。
【0079】
なお、(その2)と(その4)については、(その1)の処理を行わずに、つまり、利用者の属性情報を用いずに選択されたテンプレートを検索結果としてもよい。また、(その2)から(その4)の処理の一部を組み合わせて検索を行ってもよい。例えば、システム情報と、利用履歴と、利用者の属性情報を用いて、テンプレートの検索を行ってもよい。検索手段309は、検索結果を表示制御手段310に出力する。
【0080】
図5に戻り、表示制御手段310は、検索手段309から配信フロー管理手段301を介して検索結果を取得すると、表示部18又は表示部38に対して検索結果を表示するための検索結果UIの制御を行う。なお、利用者は、この検索結果UIからテンプレートを選択することができる。選択されたテンプレートに含まれる配信フローは、記憶手段306にインポートされる。これにより、文書処理装置30で自動選択されたテンプレートを、利用者は利用できるようになる。
【0081】
3.認証装置
次に、認証装置40の機能について説明する。図10は、実施例1における認証装置40の機能の一例を示すブロック図である。図10に示すように、認証装置40は、認証手段401、記憶手段402を含む。
【0082】
認証手段401は、文書配信装置30の認証手段307からログイン情報を取得すると、認証処理を行い、認証結果を文書配信装置30の認証手段307に返す。また、認証手段401は、文書配信装置30の認証手段307からログインユーザの属性情報の取得要求を受けた場合、ログインユーザに対応する属性情報を記憶手段402から読み出す。認証手段401は、読み出した属性情報を、文書配信装置30の認証手段307に送信する。
【0083】
記憶手段402は、利用者の属性情報を記憶する。属性情報は、例えば、利用者の名前、業種、業務、企業規模、役職などである。この属性情報は、認証手段401から読み出される。
【0084】
<動作>
次に、実施例1における文書配信システムの動作について説明する。図11は、実施例1におけるテンプレート検索処理の一例を示すフローチャートである。図11に示すステップS101で、利用者は、MFP10を介して文書配信装置30にログイン情報を送信する。ログイン情報は、利用者名やパスワードを含む。
【0085】
ステップS102で、配信フロー管理手段301は、利用者が入力したログイン情報を取得すると、認証手段307に対し、ログイン情報を出力するとともに認証要求を行う。
【0086】
ステップS103で、認証手段307は、ディレクトリサービス(認証装置)40に対し、ログイン情報を送信し、認証を要求する。
【0087】
ステップS104で、ディレクトリサービス40は、取得したログイン情報に基づいて、認証処理を行い、認証結果を認証手段307に返す。
【0088】
ステップS105で、認証手段307は、認証結果が認証成功を示す場合、利用者の属性情報を取得するため、ディレクトリサービス40に利用者の属性情報の取得要求を送信する。
【0089】
ステップS106で、ディレクトリサービス40は、要求された利用者の属性情報を認証手段307に送信する。
【0090】
ステップS107で、認証手段307は、ディレクトリサービス40から取得した利用者の属性情報を配信フロー管理手段301に出力する。
【0091】
ステップS108で、配信フロー管理手段301は、利用者の属性情報を利用した検索を行うよう検索手段309に指示する。
【0092】
ステップS109で、検索手段309は、記憶手段308に記憶されているテンプレートに対し、利用者の属性情報をキーとして検索する。このとき、前述した検索の仕方のうち、予め一つを利用者に設定させておく。また、どの検索方法を用いるかを利用者にその都度選択させるようにしてもよい。
【0093】
ステップS110で、検索手段309は、記憶手段308から利用者の属性情報にマッチングしたテンプレートを結果として取得する。ステップS111で、検索手段309は、テンプレートを含む検索結果を生成する。
【0094】
ステップS112で、検索手段309は、検索結果を配信フロー管理手段301に出力する。
【0095】
ステップS113で、配信フロー管理手段301は、検索結果を表示制御手段310に出力する。
【0096】
ステップS114で、表示制御手段310は、検索結果をMFP10の表示部18又は文書管理装置30の表示部38上に表示するよう制御する。
【0097】
図12は、検索結果画面の一例を示す図である。図12に示すように、利用者の属性にマッチングしたテンプレートとして、「調剤薬局文書管理」と「カルテ文書管理」とが表示されている。図12に示す例では、「調剤薬局文書管理」が選択されている状態を示す。この状態で、インポートボタン501を利用者がクリックすると、図13に示すインポート処理が行われる。
【0098】
図13は、インポート処理の一例を示すフローチャートである。図13に示すステップS201で、利用者は、表示されている検索結果画面を介して、表示制御手段310に対し、選択したテンプレートのインポート要求を行う(図12参照)。
【0099】
ステップS202で、表示制御手段310は、配信フロー管理手段301に対し、利用者が選択したテンプレートのインポート要求を行う。
【0100】
ステップS203で、配信フロー管理手段301は、検索手段309に対し、選択されたテンプレートのデータの取得要求を行う。テンプレートのデータとは、例えば、テンプレートに含まれる配信フローである。
【0101】
ステップS204で、検索手段309は、配信フロー管理手段301に対し、選択されたテンプレートに含まれる配信フローを出力する。
【0102】
ステップS205で、配信フロー管理手段301は、取得した配信フローを記憶手段306にインポートする。
【0103】
ステップS206で、配信フロー管理手段301は、インポート結果を取得する。
【0104】
ステップS207で、配信フロー管理手段301は、インポート結果を表示制御手段310に出力する。
【0105】
ステップS208で、表示制御手段310は、インポート結果を表示部18又は表示部38に表示するよう制御する。
【0106】
これにより、テンプレートの配信フローを記憶手段306に記憶するため、次回からインポートした配信フローを使用することができる。
【0107】
以上、実施例1によれば、利用者の属性に応じて最適なテンプレートを自動的に選択することができる。また、実施例1によれば、利用履歴を加えて最適なテンプレートを自動的に選択することもできる。また、実施例1によれば、システム情報を加えて最適なテンプレートを自動的に選択することもできる。また、実施例1によれば、利用者の属性から配信フローを絞り込んで、最適なテンプレートを自動的に選択することもできる。
【0108】
[変形例]
次に、変形例におけるMFPについて説明する。変形例では、前述した文書配信装置がMFPに組み込まれている。変形例は、前述したライトモードの場合である。なお、変形例におけるMFPのハードウェアは、実施例1と同様であるため、説明を省略する。
【0109】
<機能>
図14は、変形例におけるMFP60の機能の一例を示すブロック図である。MFP60は、文書を配信するという意味で文書配信装置でもある。変形例における文書配信装置が組み込まれたMFP60の各機能は、基本的には図4に示すMFPの機能及び図5に示す文書配信装置の機能と同様である。
【0110】
変形例の機能で、実施例1と異なるところは、表示制御手段310が、MFP60の表示部18(オペレーションパネル)に対する表示を制御するところである。
【0111】
これにより、変形例におけるMFPによれば、MFP単体で、実施例1に示した処理を行なうことができる。
【0112】
実施例1の文書配信装置や変形例のMFPで実行されるプログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD−ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD−R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録されて提供される。
【0113】
また、実施例1の文書配信装置や変形例のMFPで実行されるプログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成してもよい。また、実施例1の文書配信装置や変形例のMFPで実行されるプログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成してもよい。
【0114】
また、実施例1の文書配信装置や変形例のMFPで実行されるプログラムを、ROM等に予め組み込んで提供するように構成してもよい。
【0115】
実施例1の文書配信装置や変形例のMFPで実行されるプログラムは、前述した各手段を含むモジュール構成となっており、実際のハードウェアとしてはCPU(プロセッサ)が補助記憶部からプログラムを読み出して実行することにより上記各手段のうち1又は複数の各手段が主記憶部上にロードされ、1又は複数の各手段が主記憶部上に生成されるようになっている。
【0116】
なお、本発明は、上記実施例そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化することができる。また、上記実施例に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成することができる。例えば、実施例に示される全構成要素からいくつかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施例にわたる構成要素を適宜組み合わせても良い。
【符号の説明】
【0117】
10、20、60 MFP
30 文書配信装置
40 認証装置
50 情報処理端末
101 画像読込手段
102 通信手段
103 受付手段
104 記憶手段
301 配信フロー管理手段
302 通信手段
303 ジョブ実行手段
304 配信フロー制御手段
305 配信フロー処理手段
306 記憶手段
307 認証手段
308 記憶手段
309 検索手段
310 表示制御手段
401 認証手段
402 記憶手段
【先行技術文献】
【特許文献】
【0118】
【特許文献1】特開2006−018640号公報
【特許文献2】特開2009−009567号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークを介して接続された文書配信装置と認証装置とを備える文書配信システムであって、
前記認証装置は、
前記文書配信装置から受信した利用者認証情報を用いて認証を行なう認証手段と、
利用者の属性情報を記憶する記憶手段と、を備え、
前記文書配信装置は、
属性情報を含む、配信フローのテンプレートを1又は複数記憶する記憶手段と、
前記認証装置に利用者の認証を要求し、認証が成功した利用者の属性情報を取得する認証手段と、
取得された前記利用者の属性情報と、前記記憶手段に記憶されるテンプレートの属性情報とが一致するテンプレートを検索する検索手段と、
検索されたテンプレートの表示制御を行う表示制御手段と、
を備える文書配信システム。
【請求項2】
前記文書配信装置の前記記憶手段は、
前記利用者の属性情報と配信フローに含まれる処理とを関連付けた関連情報をさらに記憶し、
前記検索手段は、
前記関連情報に基づき、前記利用者の属性情報に対応する処理を含む配信フローのテンプレートの中から、前記利用者の属性情報と、前記テンプレートの属性情報とが一致するテンプレートを検索する請求項1記載の文書配信システム。
【請求項3】
前記検索手段は、
認証成功した利用者が配信フローを利用した利用履歴を取得し、前記利用履歴に対応する属性情報を有するテンプレートの中から、前記利用者の属性と、前記テンプレートの属性情報とが一致するテンプレートを検索する請求項1記載の文書配信システム。
【請求項4】
前記検索手段は、
適用される文書配信システムの属性情報を取得し、取得した文書配信システムの属性情報及び前記利用者の属性情報と、前記テンプレートの属性情報とが一致するテンプレートを検索する請求項1記載の文書配信システム。
【請求項5】
利用者の属性情報を有する認証装置とネットワークを介して接続された文書配信装置であって、
属性情報を含む、配信フローのテンプレートを1又は複数記憶する記憶手段と、
前記認証装置に利用者の認証を要求し、認証が成功した利用者の属性情報を取得する認証手段と、
取得された前記利用者の属性情報と、前記記憶手段に記憶されるテンプレートの属性情報とが一致するテンプレートを検索する検索手段と、
検索されたテンプレートの表示制御を行う表示制御手段と、
を備える文書配信装置。
【請求項6】
前記記憶手段は、
前記利用者の属性情報と配信フローに含まれる処理とを関連付けた関連情報をさらに記憶し、
前記検索手段は、
前記関連情報に基づき、前記利用者の属性情報に対応する処理を含む配信フローのテンプレートの中から、前記利用者の属性情報と、前記テンプレートの属性情報とが一致するテンプレートを検索する請求項5記載の文書配信装置。
【請求項7】
前記検索手段は、
認証成功した利用者が配信フローを利用した利用履歴を取得し、前記利用履歴に対応する属性情報を有するテンプレートの中から、前記利用者の属性と、前記テンプレートの属性情報とが一致するテンプレートを検索する請求項5記載の文書配信装置。
【請求項8】
前記検索手段は、
適用される文書配信システムの属性情報を取得し、取得した文書配信システムの属性情報及び前記利用者の属性情報と、前記テンプレートの属性情報とが一致するテンプレートを検索する請求項5記載の文書配信装置。
【請求項9】
利用者の属性情報を有する認証装置とネットワークを介して接続された文書配信装置に実行されるテンプレート検索プログラムであって、
前記認証装置に利用者の認証を要求し、認証が成功した利用者の属性情報を取得する認証ステップと、
取得された前記利用者の属性情報と、記憶手段に1又は複数記憶される配信フローのテンプレートに含まれる属性情報とが一致するテンプレートを検索する検索ステップと、
検索されたテンプレートの表示制御を行う表示制御ステップと、
を前記文書配信装置に実行させるためのテンプレート検索プログラム。
【請求項10】
請求項9記載のテンプレート検索プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−44386(P2012−44386A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−182854(P2010−182854)
【出願日】平成22年8月18日(2010.8.18)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】