説明

文鎮兼用拡大鏡

【課題】二つのシリンドリカルタイプの拡大鏡を、自由に開閉可能な開閉部材で接続して開閉により長さ調整でき、携帯性が悪くならないように、二つのシリンドリカルタイプの拡大鏡を閉じた際の形状寸法があまり大きくならないように、かつ幅広いレンズ面が得られる文鎮兼用拡大鏡を得る事にある。
【解決手段】曲面状に形成したレンズ面に対向した面を平面状の当接面とする。前記レンズ面と当接面に挟まれた少なくとも一方の側面を平面上の載置面とした蒲鉾型のシリンドリカルタイプの第1拡大鏡と第2拡大鏡を設ける。第1拡大鏡と第2拡大鏡の各々の当接面が当接し又離間可能に、第1拡大鏡と第2拡大鏡を連結手段により連結する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、文鎮としてかつ拡大鏡として使用できる文鎮兼用拡大鏡に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、文字等が記載された紙面に載置して細かい文字等を拡大して視認できる、ガラスや合成樹脂の透明体からなる曲面の凸部を有したシリンドリカルタイプの拡大鏡は知られている。また、登録実用新案第3049635号公報に記載されているように、こうした拡大鏡は文鎮として使用することもあることが知られている。
【0003】
こうしたシリンドリカルタイプの文鎮兼用拡大鏡は、製造が容易で曲面を有していれば自由な形状に形成でき、長手方向の長さを長くして、例えばA4版サイズの用紙に記載された文章の1行分の長さとすることにより、前記1行分の文字の全体を一度で拡大して視認することができるが、あまり長いと携帯性や保管の際の利便性が悪いという問題がある。
【0004】
ところで、文鎮において長さが長いものや短いものなど種々のものが提供されているが、押さえようとする用紙の長さによって、長さが短い文鎮では2〜3個の文鎮を必要となり、長さが長い文鎮では1個の文鎮で用が足りるが、使用する場所においてはその長さが逆に使い勝手が悪くなってしまう場合もある。そこで、習字用文鎮等において用紙の大きさに応じて長さを調整できるものとして、一方の本体と他方の本体を、自由に開閉可能な開閉部材で接続して開閉により長さ調整できるようにした習字用文鎮が、実開昭58−86399号公報により提案されている。
【0005】
従来、前記したシリンドリカルタイプの拡大鏡において、長さを調整できるような構造を有したものは提案されておらず、本発明者は、前記習字用文鎮と同様に、シリンドリカルタイプの第1拡大鏡と第2拡大鏡を設け、第1拡大鏡と第2拡大鏡を連結手段により開閉可能に連結することで、長さが調整できる文鎮兼用拡大鏡を提供することを思い立った。しかし、前記した習字用文鎮の構造を利用して、「開閉が自由にできる組み合わせ文鎮兼用拡大鏡」を得ようとすると、当然、文字等が記載された紙面上に載置する載置面に対向した面を曲面状のレンズ面となるように形成するので、一方の本体(第1拡大鏡)および他方の本体(第2拡大鏡)におけるレンズ面の幅を大きくすると閉じた状態における前記拡大鏡は、一方の本体(拡大鏡)と他方の本体(拡大鏡)の両者のレンズ面の幅を足した幅となり、極太幅となり、やはり携帯性が悪いという問題が生じてしまう。
【特許文献1】登録実用新案第3049635号公報
【特許文献2】実開昭58−86399号公報報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の解決しようとする課題は、二つのシリンドリカルタイプの拡大鏡を、自由に開閉可能な開閉部材で接続して開閉により長さ調整でき、携帯性が悪くならないように、二つのシリンドリカルタイプの拡大鏡を閉じた際の幅寸法があまり大きくならないように、かつ幅広いレンズ面が得られる文鎮兼用拡大鏡を得る事にある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、
「1.曲面状に形成したレンズ面に対向した面を平面状の当接面とし、前記レンズ面と当接面に挟まれた少なくとも一方の側面を平面上の載置面としてなる蒲鉾型のシリンドリカルタイプの第1拡大鏡と第2拡大鏡を設け、第1拡大鏡と第2拡大鏡の各々の当接面が当接しまた離間可能に、第1拡大鏡と第2拡大鏡を連結手段により連結したことを特徴とする文鎮兼用拡大鏡。
2.前記第1拡大鏡と第2拡大鏡において、各々の載置面に対向した各々の他方の側面を曲面状に形成して第2レンズ面としたことを特徴とする、請求項1に記載の文鎮兼用拡大鏡。
3.前記第1拡大鏡と第2拡大鏡の載置面に、滑り止め部材を付設したことを特徴とする、請求項1又は2に記載の文鎮兼用拡大鏡。」
である。
【発明の効果】
【0008】
本発明の文鎮兼用拡大鏡では、前記したような構造なので、文鎮として使用する際の紙面に載置する載置面と拡大鏡として使用する際の紙面に載置する当接面が相違しており、拡大鏡としてのレンズ面の幅を大きくしても前記載置面の幅を小さくすれば、第1拡大鏡と第2拡大鏡を閉じた状態にしても全体形状の幅寸法は大きくならず、携帯性が悪くなるという事がない。言い換えれば、前記拡大鏡を閉じた際の形状寸法の幅をあまり大きくすることなく、レンズ面の幅を大きくすることが可能である。
【0009】
また、シリンドリカルタイプの拡大鏡の倍率は、レンズ面における曲面の曲率の大小により左右されることが知られているが、前記第1拡大鏡と第2拡大鏡のレンズ面の曲率を相違させることで、第1拡大鏡と第2拡大鏡の倍率が相違した2種類の倍率を有した拡大鏡とすることができ、閉じた状態で一方のレンズ面を文字等が記載された紙面上に載置して使用すれば、また違った倍率の拡大鏡として使用することができ、数種類の違った倍率を有した拡大鏡とすることができる。
【0010】
また、前記連結した第1拡大鏡と第2拡大鏡の載置面に、滑り止め部材を付設することで、文鎮としてあるいは拡大鏡として使用した際に紙面上などを滑ることがなく、拡大鏡をわざわざ手で押さえておく必要がない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明における文鎮兼用拡大鏡は、二つの蒲鉾型のシリンドリカルタイプの拡大鏡を、閉じた際に互いに当接する当接面に対向した面がレンズ面となるように連結手段により開閉可能に連結するものである。
以下、本発明の実施例を図面を用いて説明するが、同じ部材、同じ箇所を示すものには同じ符号を付してある。
【実施例1】
【0012】
図1〜図5は、本発明の文鎮兼用拡大鏡の第1の実施例を示すものである。図1は、本実施例の文鎮兼用拡大鏡の斜視図である。図2は、本実施例の文鎮兼用拡大鏡を開いた状態を示し、紙面上等に載置する載置面側を上側にした状態を示す斜視図である。図3は、本実施例の文鎮兼用拡大鏡を、分解した状態を示す分解図である。図4は、本実施例の文鎮兼用拡大鏡を、拡大鏡として使用する際の使用状態を示す斜視図である。図5は、本実施例の文鎮兼用拡大鏡を、拡大鏡として使用する際の他の使用状態を示す斜視図である。
【0013】
実施例1の文鎮兼用拡大鏡1は、同形状に形成した蒲鉾型形状のシリンドリカルタイプの第1拡大鏡2aと第2拡大鏡2bで構成されている。前記第1拡大鏡2a及び第2拡大鏡2bは、曲面状に形成したレンズ面3に対向した面を当接可能に平面状に形成した当接面4とし、レンズ面3及び当接面4に挟まれた一方の側面5を平面上に形成し、紙面上等に載置する載置面6としてある。図2に示すように、前記載置面6上の両端部近傍には、フェルト製で円形状に形成した滑り止め部材7を付設してある。前記第1拡大鏡2a及び第2拡大鏡2bのレンズ面3となる曲面の曲率は同様の曲率で曲面を形成してある。
【0014】
第1拡大鏡2aと第2拡大鏡2bの長手方向の一方の端部8には、前記レンズ面3と当接面4を貫通した切欠部9を形成してあり、該切欠部9に貫通した係合孔10を設けてある。図2及び図3に示すように、切欠部9に収納可能な連結部材11を配し、第1拡大鏡2aに形成した係合孔10と前記連結部材11に形成した貫通した軸通孔12aにピン13を挿着して第1拡大鏡2aを前記連結部材11に対して回動可能に連結し、第2拡大鏡2bに形成した係合孔10と前記連結部材11に形成した貫通した軸通孔12bにピン13を挿着して第2拡大鏡2bを連結部材11に対して回動可能に連結して、第1拡大鏡2aおよび第2拡大鏡2bが連結部材10に対して互いに回動可能に連結してある。これにより、第1拡大鏡2aと第2拡大鏡2bを、第1拡大鏡2aと第2拡大鏡2bの互いの当接面4が当接、離間状態に開閉可能に連接して設けてある。
【0015】
実施例1の文鎮兼用拡大鏡1を文鎮として使用するには、第1拡大鏡2aと第2拡大鏡2bの互いの当接面4を当接して閉じた状態(図1に示した状態)で、または互いの当接面4を離間して開いた状態(図2に示したような状態)で、第1拡大鏡2aと第2拡大鏡2bの載置面6を下側に向けて紙面等(図示せず)に文鎮兼用拡大鏡1を載置して使用する。拡大鏡として使用するには、図4に示すように、第1拡大鏡2aと第2拡大鏡2bの互いの当接面4を当接して閉じた状態で、例えば第2拡大鏡2bのレンズ面3を下側に向けて紙面等(図示せず)に当接し、第1拡大鏡2aのレンズ面3を通して紙面等に記載された文字を見ることで、紙面等に記載された文字が拡大されて視認できる。または、図5に示すように、第1拡大鏡2aと第2拡大鏡2bの互いの当接面4を離間して開いた状態で、第1拡大鏡2a及び第2拡大鏡2bの当接面4を下側に向けて紙面等(図示せず)に当接し、第1拡大鏡2aまたは第2拡大鏡2bのレンズ面3を通して紙面等に記載された文字を見ることで、紙面等に記載された文字が拡大されて視認できる。
【実施例2】
【0016】
図6は、実施例2の文鎮兼用拡大鏡を示す斜視図である。
実施例2の文鎮兼用拡大鏡21は、実施例1の文鎮兼用拡大鏡1と同様に、同形状に形成した蒲鉾型形状のシリンドリカルタイプの第1拡大鏡22aと第2拡大鏡22bで構成されている。実施例1の文鎮兼用拡大鏡1と同様に形成した紙面等に載置する際の載置面26に対向した他方の側面27を曲面状に形成した第2レンズ面28とした以外は、実施例1の文鎮兼用拡大鏡1と同様に形成してある。前記第1拡大鏡22a及び第2拡大鏡22bのレンズ面23と第2レンズ面28における曲面の曲率は相違しており、レンズとしての倍率は当然相違している。
【0017】
実施例2の文鎮兼用拡大鏡21を文鎮として使用するには、実施例1の文鎮兼用拡大鏡1の場合と同様であり、拡大鏡として使用する場合には、実施例1の文鎮兼用拡大鏡1の場合と同様以外に、第1拡大鏡22aと第2拡大鏡22bを閉じた状態で、互いの載置面26を下側に向けて紙面等(図示せず)に当接することで、第1拡大鏡22aまたは第2拡大鏡22aの第2レンズ面28を通して紙面等に記載された文字を見るとことで、紙面等に記載された文字が拡大されて視認でき、拡大鏡として使用できる。
【0018】
実施例2の文鎮兼用拡大鏡21では、第1拡大鏡22a及び第2拡大鏡22bにおけるレンズ面23と第2レンズ面28との曲面の曲率が相違しているので倍率が異なる。従って、少なくとも拡大鏡として3種類の倍率が得られる拡大鏡となる。
【0019】
前記した実施例の文鎮兼用拡大鏡では、第1拡大鏡のレンズ面と第2拡大鏡のレンズ面の曲面の曲率や、あるいは実施例2の文鎮兼用拡大鏡における第1拡大鏡の第2レンズ面と第2拡大鏡22bの第2レンズ面の曲面の曲率を同一に形成してあるが、各々相違させることでさらに複数の倍率を有した文鎮兼用拡大鏡とすることが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0020】
本発明の文鎮兼用拡大鏡は、文鎮としてあるいは拡大鏡として使用することができ、用途に応じて2つの拡大鏡を開閉することで長さが調整できるので携帯性に優れている。また、拡大鏡におけるレンズ面の曲面の曲率を各々変えることにより倍率も容易に変更することができ、1つの拡大鏡で何種類の倍率を有した拡大鏡することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】実施例1の文鎮兼用拡大鏡の斜視図である。
【図2】実施例1の文鎮兼用拡大鏡を開いた状態を示し、紙面上等に載置する載置面側を上側にした状態を示す斜視図である。
【図3】実施例1の文鎮兼用拡大鏡を、分解した状態を示す分解図である。
【図4】実施例1の文鎮兼用拡大鏡を、拡大鏡として使用する際の使用状態を示す斜視図である。
【図5】実施例1の文鎮兼用拡大鏡を、拡大鏡として使用する際の他の使用状態を示す斜視図である。
【図6】実施例2の文鎮兼用拡大鏡の斜視図である。
【符号の説明】
【0022】
1、21 文鎮兼用拡大鏡
2a、22a 第1拡大鏡
2b、22b 第2拡大鏡
3、23 レンズ面
4 当接面
6、26 載置面
7 滑り止め部材
9 切り欠き部
11 連結部材
13 ピン
28 第2レンズ面


【特許請求の範囲】
【請求項1】
曲面状に形成したレンズ面に対向した面を平面状の当接面とし、前記レンズ面と当接面に挟まれた少なくとも一方の側面を平面上の載置面としてなる蒲鉾型のシリンドリカルタイプの第1拡大鏡と第2拡大鏡を設け、第1拡大鏡と第2拡大鏡の各々の当接面が当接しまた離間可能に、第1拡大鏡と第2拡大鏡を連結手段により連結したことを特徴とする文鎮兼用拡大鏡。
【請求項2】
前記第1拡大鏡と第2拡大鏡において、各々の載置面に対向した各々の他方の側面を曲面状に形成して第2レンズ面としたことを特徴とする、請求項1に記載の文鎮兼用拡大鏡。
【請求項3】
前記第1拡大鏡と第2拡大鏡の載置面に、滑り止め部材を付設したことを特徴とする、請求項1又は2に記載の文鎮兼用拡大鏡。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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