説明

料金式精米設備

【課題】本発明は、地価の高い都市近郊にあっても軒先等にコンパクトに設置可能な設備であって、又、コンパクトな構成でありながら、利用者の操作性も良好な料金式精米設備を提供しようとするものである。
【解決手段】利用者が供給する穀物を本体ケース1内に配置する精米機2によって精米し精米後の白米を白米ホッパー17に貯留可能に構成すると共に、該白米ホッパー3に満杯検知センサー48を設け該満杯検知センサー48の検知時に精米作業を一時停止させ、満杯検知センサー48が白米ホッパー17内の白米の減少を検知すると精白度選択スイッチ21の操作を可能となし利用者による該精白度選択スイッチ21の操作により精米作業を再開する制御手段を設けたことを特徴とする料金式精米設備の構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、利用者が持参した籾や玄米等の穀物を精米処理する料金式精米設備に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、料金式精米設備を自動販売機の如く小型化することを目的として各装置をコンパクトに構成すると共に、精米後の白米取出し用のホッパーが満杯となった時に精米機を停止し、又、ホッパー内の白米が減少した時には精米機の運転を自動的に再開することにより白米のオーバーフローを防止する技術が開示されている。
【0003】
しかしながら、このような構成では利用者が持参した袋に白米を収容し終わっていない状態で精米機が再起動される場合があり、作業性の悪いものである。
又、設備を使い慣れた利用者は、白米取出し用のホッパー一杯分を基準に精白度の変更を要望する場合があるがこの要望には答えられないものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003-117410号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この発明は、上記の如き欠点を解消し料金式精米設備をコンパクトに構成すると共に、その操作性の向上を図ろうとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は、かかる技術的課題を解決するために次のような技術的手段を講じた。すなわち、請求項1の発明では、利用者が供給する穀物を本体ケース1内に配置する精米機2によって精米し精米後の白米を白米ホッパー17に貯留可能に構成すると共に、該白米ホッパー17に満杯検知センサー48を設け該満杯検知センサー48の検知時に精米作業を一時停止させ、満杯検知センサー48が白米ホッパー17内の白米の減少を検知すると精白度選択スイッチ21の操作を可能となし利用者による該精白度選択スイッチ21の操作により精米作業を再開する制御手段を設けたことを特徴とする料金式精米設備とする。
【0007】
請求項2の発明では、利用者が設定する精白度が所定精白度以上での精米作業時には白米ホッパー17の満杯検知センサー48検知により精米作業を停止させ、又、利用者が設定する精白度が所定精白度以下での精米作業時には白米ホッパー17の満杯検知センサー48検知時に精米機2内に滞留する穀粒を精米排出後に停止させる制御手段を設けてなる請求項1記載の料金式精米設備とする。
【0008】
請求項3の発明では、満杯検知センサー48の検知による精米作業の停止時間中は、利用者が投入する料金の減算処理を停止させることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の料金式精米設備とする。
【発明の効果】
【0009】
請求項1記載の発明においては、利用者が供給する穀物を本体ケース1内に配置する精米機2によって精米し精米後の白米を白米ホッパー17に貯留可能に構成すると共に、該白米ホッパー17に満杯検知センサー48を設け該満杯検知センサー48の検知時に精米作業を一時停止させ、満杯検知センサー48が白米ホッパー17内の白米の減少を検知すると精白度選択スイッチ21の操作を可能となし利用者による該精白度選択スイッチ21の再操作により精米作業を再開する制御手段を設けたものであるから、精米作業の一時停止後、利用者が再び精白度選択スイッチ21を操作しない限り精米機2は起動されることがない。従って、従来の如く利用者が持参した袋に白米を収容し終わっていない状態で精米機が再起動され、白米ホッパー17から白米を溢れさせることがない。
【0010】
又、設備を使い慣れた利用者は、白米取出し用のホッパー17一杯分を基準に精白度の変更を希望する場合があるが、この発明にあっては利用者が確実に白米ホッパー17内の白米を回収した後、再び精白度選択スイッチ21を任意に選択でき異なる精白度の精米作業が可能である。
【0011】
請求項2記載の発明では、利用者が設定する精白度が所定精白度以上での精米作業時には白米ホッパー17の満杯検知センサー48検知により精米作業を停止させ、又、利用者が設定する精白度が所定精白度以下での精米作業時には白米ホッパー17の満杯検知センサー48検知時に精米機2内に滞留する穀粒を精米排出後に停止させる制御手段を設けたものである。従って、例えば精白度が最高の無洗米の精米作業にあって、白米ホッパー17の満杯検知センサー48の検知時精米機2を停止させ白米ホッパー17の白米を回収し、次工程で精白度選択スイッチ21の七分搗きを選択した場合には精米機2内に残留する穀粒は少なくとも七分搗き以上の精米作業が行われ、前行程の無洗米が次工程の七分搗き米に少し混入するが特に問題は生じることがなく効率よく作業できる。
【0012】
逆に、七分搗き精米作業の一時停止後、次工程で精白度が最高の無洗米作業を選択した場合には、精米機2内に残留する七分搗きの白米が混入する恐れがあり、無洗米中に七分搗きの白米が混入すると視覚的に目立つばかりか、食感等も異なり不評である。この場合には、白米ホッパー17の満杯検知センサー48検知時に精米機2内に残留する穀粒を精米排出した後、精米機2を停止させるので次工程で無洗米中に七分搗き米が混入することがない。
【0013】
請求項3記載の発明では、満杯検知センサー48の検知による精米作業の停止時間中は、利用者が投入する料金の減算処理を停止させる構成としたものであるから、適正な料金体系を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】正面図である。
【図2】側面図である。
【図3】各扉を開放状態の正面図である。
【図4】牽制体9の説明図である。
【図5】機械室3の左側断面図である。
【図6】機械室3の右側断面図である。
【図7】フローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
この料金式精米設備は、地価の高い都市近郊にあっても軒先等にコンパクトに設置可能な設備であって、又、保守点検等の管理作業を効率的に且つ防犯性等も考慮するものであ、更に、コンパクトな構成でありながら、利用者の操作性の向上をも配慮するものである。
【0016】
本体ケース1は左右幅広で上下に長い箱型の直方体状をなし、本体ケース1内左右に精米機2等を備える広幅の機械室3と糠を収容する狭幅の糠室4とを区画して配設し該機械室3と糠室4の前面には夫々中央から左右方向へ向け開放可能な開閉扉5,6を設けてある。14,14は各扉5,6の回動中心となるヒンジである。
【0017】
機械室3の開閉扉5と糠室4の開閉扉6には夫々異なる錠7,8を設け、更に、糠室4の開閉扉6側から機械室3の開閉扉5側へ牽制体9を突設し該糠室4の開閉扉6の開放時のみ機械室3の開閉扉5を開放可能に構成してある。
【0018】
牽制体9の具体構造を説明すると、図4に示すように糠室4の開閉扉6の左端と機械室3の開閉扉5の右端の接合部に開閉扉6側が前方に位置する重合部9を設け、糠室4の開閉扉6が機械室3の開閉扉5の開閉を牽制すべく構成してある。 なお、牽制体9は、開放する糠室4内側から操作可能で、機械室3の開閉扉5側へ出退自在の操作部材9によって開閉扉5の開放を牽制する構成でもよい。
【0019】
従って、設備のメンテナンスや料金の回収を行う管理業者と、糠を再利用するため糠の回収のみを行う糠回収業者を各別に設定した場合にも、糠回収業者は糠室4の錠8に合う鍵のみを持てばよく、他の利用者と無用なトラブルを起こすがない。
【0020】
更に、機械室3の開閉扉5を開ける時には、まず糠室4の錠8を解錠し糠室4の開閉扉6を開放することにより牽制体9の規制を解除でき、次に機械室3の錠7を別の鍵を使って解錠し開閉扉5を開放する。従って、機械室3の開放には二種類の鍵と二重の工程を必要とし料金等の貴重品の管理を安全に行うことができ、防犯性も向上する。
【0021】
機械室3の開閉扉5面の左側上部には、利用者が米供給時に開閉する供給扉15を設け、その右側上部には操作表示部16を、又、その操作表示部16の下方には内装する精米機2から排出される白米の取出しホッパー17と白米取出しシュート18を設けてある。
【0022】
供給扉15は隣接の操作表示部16との境界部に設置する縦方向のヒンジ19.19を中心に右方向へ開閉可能で、料金投入口20へ料金を投入することにより開放可能である。
【0023】
操作表示部16には、精白度選択スイッチ21を精白度に応じ複数個配置し、又、22は作業工程表示ランプであり、該精米設備の作業工程の経過を表示する。
機械室3の上方には各種制御装置からなる制御部10を設けてあり、該制御部10の前面にメンテナンス用の上部開閉扉11を設けると共に、機械室3の開閉扉5開放時のみに上部開閉扉11を開放操作可能な開閉操作具12を設けてある。
【0024】
該開閉操作具12は、機械室3内のピン23を中心に回動可能に構成し、その先端を上方に回動位置させた時上部開閉扉11内に設ける規制板24の前側に接当して該上部開閉扉11の前方への回動を規制する。25は上部開閉扉11の回動中心となるヒンジである。
【0025】
従って、この上部開閉扉11に専用の錠を設ける必要がなく、低コストで、防水性にも優れ、且つ、この部分に看板機能を備える際にデザイン性の向上を図ることができる。
次に、本体ケース1の内部を説明する。機械室3の供給扉15を開放すると内部に投入空間26が設けてあり、その下方に投入ホッパー27が設けてある。28は玄米有無センサーであり、投入料金に対応する設定作業時間経過後、玄米が投入ホッパー1内に残っている場合に追加料金の投入を案内する。
【0026】
投入ホッパー1の下方には石抜き機29を設けてあり、該石抜き機29は前側の石排出路30側を高く傾斜した状態で揺動され通気性を有する選別棚31と、該選別棚31を駆動するモータ32及び駆動装置33と、該選別棚31に下方から送風するファン34等から構成してある。揺動選別棚31の傾斜下方側には選別される玄米の取出通路35を設けてあり、その下端は昇降機36に連通してある。
【0027】
昇降機36はモータ37により駆動され、その上端の排出シュート38から精米機2のタンク39へ供給可能に構成してある。
精米機2はモー40により伝道装置41を介して駆動される公知の摩擦式のものであり、下方の排出口42から排出される白米を白米ホッパー17へ供給し貯留する。この白米ホッパー17上部には、貯留される白米が満杯若しくは、それに近い量貯留されたときにこれを検知し、白米の取り出しを促す満杯検知センサー48を設けてある。白米ホッパー10の下部には基端を中心に先端を下方へ回動可能の取出シュート18を設けてあり、該取出シュート18を回動させることにより白米ホッパー17内の白米を本体ケース1外へ案内し、利用者が持参する袋等に回収可能に構成してある。
【0028】
43はファンであり、その吸気側を精米機2周囲の糠室に吸気通路44を介して連通し、その排気側を糠室34上部に設置するサイクロン45外周に沿って連通してある。従って、この渦巻き流により比重選別される糠は下方の糠袋46に回収可能に構成してある。
【0029】
この糠室4前面の開閉扉6は、ヒンジ14.14中心に右方へ回動開放でき、糠回収業者は必要に応じ糠袋46を新しいものと交換し糠を回収する。47は糠袋46の満杯検出センサーであり、該センサー47の検知時に携帯電話で糠回収業者に糠袋46の交換の必要を報知し、又、糠回収業者は糠袋46の交換を行った時には糠室4内のリセットスイッチ13を操作することにより、満杯検出センサー47をリセットできる。
【0030】
又、供給扉15は、料金投入口20からの料金投入により開放可能であり、玄米投入後供給扉15を閉鎖することによりにより操作表示部16の精白度選択スイッチ21が点灯するよう構成してあり。次に該精白度選択スイッチ21を選択すると設備が駆働され、投入料金に対応する時間が経過すると停止する。この時、玄米有無センサー28が検出している場合には料金の追加投入を促し、投入されると再び設備が駆動され作業を続け、玄米有無センサー28が玄米の無を検出すると所定時間の終了処理工程経過後に作業を終了する。
【0031】
次に、白米の取出しに係る制御プロセスを図7のフローチャートに基づき説明する。精米作業中に白米ホッパー17の上部に設ける満杯検知センサー48が白米の満杯、若しくはそれに近い量を検知すると(S2)、精白度選択スイッチ21が所定以上の精白度(S3)、一例を挙げると精白度が最高の無洗米の場合には、即、精米機2の一時停止と料金の減算停止制御(S6)が行われる。この間に利用者は取り出しシュート18を下方に押し下げ白米ホッパー17内の白米を持参する袋等に収容することができる。又、この時、精米料金の減算は行われない為利用者はあわてることなく白米の収容を行うことができる。
【0032】
次に、精米作業を再開する場合には、再び精白度選択スイッチ21を選択(S7)するが、この時前工程と同じく無洗米を選択しても、又、精白度の低い七分搗きを選択した場合でも、精米機2中に残留する白米は精白度の高い無洗米であるので、次の工程に若干の無洗米が混入しても視覚上も品質上も問題なく迅速に作業を継続(S8)できる。
【0033】
又、ステップ(S3)において、精白度選択スイッチ21が所定の精白度以下の場合、例えば、七分搗きの場合には精米機2への供給のみ停止し(S4)精米機2を一定時間(S5)駆動し精米機2内の穀粒を排出し、その後ステップ(S6)に復帰し精米機2の一時停止と料金減算中止処理が行われ、この間に前述と同様に白米の回収をおこなう。
【0034】
次に、精白度選択スイッチ21を選択して作業を再開(S8)するが、精米機2内の穀粒は全て排出してあり、どの精白度選択スイッチ21を選択しても前工程の白米が混入することはない。
【符号の説明】
【0035】
1 本体ケース
2 精米機
17 白米ホッパー
21 精白度選択スイッチ
48 満杯検知センサー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者が供給する穀物を本体ケース(1)内に配置する精米機(2)によって精米し精米後の白米を白米ホッパー(17)に貯留可能に構成すると共に、該白米ホッパー(17)に満杯検知センサー(48)を設け、該満杯検知センサー(48)の検知時に精米作業を一時停止させ、満杯検知センサー(48)が白米ホッパー(17)内の白米の減少を検知すると精白度選択スイッチ(21)の操作を可能となし利用者による該精白度選択スイッチ(21)の操作により精米作業を再開する制御手段を設けたことを特徴とする料金式精米設備。
【請求項2】
利用者が設定する精白度が所定精白度以上での精米作業時には白米ホッパー(17)の満杯検知センサー(48)検知により精米作業を停止させ、又、利用者が設定する精白度が所定精白度以下での精米作業時には白米ホッパー(17)の満杯検知センサー(48)検知時に精米機(2)内に滞留する穀粒を精米排出後に停止させる制御手段を設けてなる請求項1記載の料金式精米設備。
【請求項3】
満杯検知センサー(48)の検知による精米作業の停止時間中は、利用者が投入する料金の減算処理を停止させることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の料金式精米設備。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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