説明

断熱材の処理方法、及び断熱材の処理装置

【課題】二種類以上の断熱材を同時又は連続的に処理する場合に、それぞれ異なる種類の発泡ガスが封入されていたとしても、簡便かつ安全に分離し、処理する断熱材の処理方法を提供する。
【解決手段】断熱基体と発泡ガスとから構成された断熱材から、断熱基体と発泡ガスとを分けてそれぞれ処理する断熱材の処理方法であって、それぞれ異なる種類の発泡ガスが封入された二種類以上の断熱材から、断熱基体と発泡ガスとを分けて処理するに際し、二種類以上の断熱材を粉砕して、粉砕した断熱材から異なる種類の発泡ガスを混合ガスとして分け、分けられた混合ガスを、異なる種類の発泡ガスのうちの一の発泡ガスの構成分子を通過させ、かつ他の発泡ガスの構成分子を捕集することが可能な多孔質物質を有する分離手段に通気して、混合ガスを構成する異なる種類の発泡ガスをそれぞれの発泡ガス毎に分離する断熱材の処理方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、低温機器等に使用された断熱材を、例えば、発泡樹脂等の断熱基体と、断熱基体の気泡内に封入された発泡ガスとに分けて処理する断熱材の処理方法、及び断熱材の処理装置に関する。さらに詳しくは、二種類以上の断熱材を同時又は連続的に処理する場合に、二種類以上の断熱材にそれぞれ異なる種類の発泡ガスが封入されていたとしても、その異なる種類の発泡ガスを環境に悪影響を与えることなく、簡便かつ安全に分離し、処理する断熱材の処理方法、及び断熱材の処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
冷蔵庫やショーケース等の低温機器に備えられた断熱材は、その内部に気泡が形成された断熱基体と、その断熱基体の気泡に封入された発泡ガスとを有するものであり、この発泡ガスとしては、不燃性のフロン類、例えば、R11(トリクロロモノフルオロメタン:CFC11)やR141b(ジクロロモノフルオロエタン:HCFC141b)等が用いられていた。このような、塩素原子を含むフロン類は、大気への飛散に伴ってオゾン層破壊、地球温暖化を促進する原因物質であることから、法令で再度の使用が禁止又は制限されている。このため、上述した低温機器の断熱材の気泡に残存するフロン類を回収し、環境に悪影響を及ぼすことのない物質に転換する無害化処理を行う必要があり、通称、家電リサイクル法で義務づけられた。
【0003】
不燃性ガスであるフロン類の処理方法は、冷蔵庫の断熱筐体を破砕機で破砕して、内箱や意匠鋼板等の面材から脱離した断熱材の気泡の大きさ以下にする。この際、断熱材の気泡から飛散したガス状の発泡ガスを活性炭で吸着し、その活性炭を水蒸気で加熱して発泡ガスを脱離させた後、水蒸気とともに凝縮し、水と分離した下層のフロン類を回収するという方法等が開示されている(例えば、特許文献1〜5)。
【0004】
特許文献1に記載された回収方法は、発泡断熱材からの発泡ガス回収に関するものであり、特許文献2に記載された回収方法は、断熱材の気泡が破壊するに至らなかった破砕片を再度粉砕するような工程を備えたものであり、特許文献3に記載された回収装置は、粉砕機ホッパーの貯蔵レベルを安定化させて粉砕を確実に安定して行わせる手段を備えたものである。また、特許文献4に記載された処理方法は、発泡断熱材から分離した発泡ガス中の可燃性ガス(シクロペンタン等)の濃度を検知して爆発(燃焼)の危険を回避する手段に関するものであり、特許文献5に記載された回収方法は、発泡断熱材から分離した発泡ガス中の可燃性ガス(シクロペンタン等)の濃度に応じて、発泡断熱材の投入を制御する手段に関するものである。
【0005】
このようにして回収された発泡ガスとしてのフロン類は、その後、プラズマや火炎、キルン等の850℃以上の高温炉内で熱分解し、発生したフッ酸と塩酸とを炭酸カルシウム等で中和してカルシウム塩にする。このカルシウム塩は、化学的に安定であることから、地中に埋設する等の方法によって処理することができる。
【特許文献1】特開平6−184348号公報
【特許文献2】特開2001−170936号公報
【特許文献3】特開2003−103240号公報
【特許文献4】特開2001−113533号公報
【特許文献5】特開2001−219154号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
家電リサイクル法等に応じて回収された使用済み冷蔵庫は、この冷蔵庫を構成する素材の分別回収と再利用できない回収物、又は再利用してはいけない回収物について焼却や埋設等の方法により適正処理が行われており、これら分別回収を行うリサイクル工程の中でも、冷凍サイクル内に残存する冷媒とともに断熱筐体内の断熱材に残存する発泡ガスのフロン類の回収は法令で義務づけられており、必須の工程として位置付けられている。
【0007】
一方で、塩素原子を含むフロン類は大気への飛散に伴ってオゾン層を破壊し、地球温暖化を促す原因物質であることから法令で使用を禁止又は制限されている。環境への悪影響を抑止する発泡ガスの段階的な代替手段として、塩素原子を含まないフロン類の使用では地球温暖化への悪影響を排除できないうえに高価格、需要量を満たせない生産状況であることから可燃性の炭化水素が選択され、冷熱機器の中でも特に断熱性能が重要な特性となる冷蔵庫が用いる断熱材は、ガス状態で最も低熱伝導率のシクロペンタンを発泡ガスとして用いている。
【0008】
しかしながら、このシクロペンタンは、ガソリンと同程度の高い可燃性を有していることから、これを発泡ガスとする断熱材を備えた冷蔵庫が使用済みとなって回収され、素材回収を行うために上述した方法で回収を行った場合には、断熱筐体の破砕時に離脱したシクロペンタンによって、燃焼や爆発等の危険があるという問題が生じていた。また、従来の方法においては、発泡ガスとしてのフロン類とシクロペンタンとを完全に分離して回収することは困難であり、その分離が不完全であることから混合ガス状態で回収を行うため、爆発(燃焼)の危険があるという問題があった。
【0009】
以上に述べた破砕及び回収時における爆発等の危険を回避するために、断熱材に含まれる発泡ガスの種類別に使用済み冷蔵庫を分別して、それぞれの発泡ガスの種類毎に、例えば、シクロペンタン等の炭化水素系発泡ガスと、フロン類系発泡ガスとを分別して処理する必要があるが、シクロペンタンを断熱材の発泡ガスとして用いた冷蔵庫は、扉と筐体の各部位のいずれかのみを代替したものもあり、さらに筐体に記載されるべき「シクロペンタン使用」の表記が、代替初期の段階では行われていなかったため、シクロペンタンを断熱材の発泡ガスとして用いた冷蔵庫と、フロン類を断熱材の発泡ガスとして用いた冷蔵庫とを分別して回収する処理を行うことは不可能であった。
【0010】
シクロペンタン自体の環境への影響が少ないことに加えて、シクロペンタンを用いた使用済み冷蔵庫の回収台数が少ない状況を鑑みれば、燃焼の下限濃度以下で大気に放出することも可能である。しかし、現実問題として、不燃性ではあるが、環境への悪影響を及ぼす従来のフロン類を用いた冷蔵庫とともに回収処理を行うため、大気への放出を行うことはできず、シクロペンタンとフロン類とが相溶した状態で発泡ガスを処理することとなる。
【0011】
この場合には、シクロペンタンをフロン類と同時に回収することを必須とする状況を排除できずに、両発泡ガスが相溶した状態を保持して容易に分離することができないので、上述した問題に加え、回収したフロン類を燃焼して処理する際に、シクロペンタンも同時に燃焼されるため爆発等の危険があるという問題があった。
【0012】
本発明は、上述した問題に鑑みてなされたものであって、低温機器等に使用された断熱材を、例えば、発泡樹脂等の断熱基体と、断熱基体の気泡内に封入された発泡ガスとに分けて処理するに際し、特に、二種類以上の断熱材を同時又は連続的に処理する場合に、二種類以上の断熱材にそれぞれ異なる種類の発泡ガスが封入されていたとしても、その異なる種類の発泡ガスを環境に悪影響を与えることなく、簡便かつ安全に分離し、処理することができる断熱材の処理方法、及び断熱材の処理装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、以下の断熱材の処理方法、及び断熱材の処理装置を提供するものである。
【0014】
[1]その内部に気泡を有する断熱基体と、前記気泡に封入された発泡ガスと、から構成された断熱材から、前記断熱基体と前記発泡ガスとを分けてそれぞれ処理する断熱材の処理方法であって、それぞれ異なる種類の発泡ガスが封入された二種類以上の断熱材から、前記断熱基体と前記発泡ガスとを分けて処理するに際し、前記二種類以上の断熱材を粉砕して、粉砕した前記二種類以上の断熱材から前記異なる種類の発泡ガスを混合ガスとして分け、分けられた前記混合ガスを、前記異なる種類の発泡ガスのうちの一の発泡ガスの構成分子を通過させ、かつ他の発泡ガスの構成分子を捕集することが可能な多孔質物質を有する分離手段に通気して、前記混合ガスを構成する前記異なる種類の発泡ガスをそれぞれの発泡ガス毎に分離する断熱材の処理方法(以下、「第一の発明」ということがある)。
【0015】
[2]前記異なる種類の発泡ガスのうちの前記一の発泡ガスが炭化水素系発泡ガスであるとともに、前記異なる種類の発泡ガスのうちの前記他の発泡ガスが炭化水素系発泡ガスであり、平均気孔径が0.36〜0.44nmの前記多孔質物質を有する前記分離手段によって、前記炭化水素系発泡ガスと前記フロン類系発泡ガスとを分離する前記[1]に記載の断熱材の処理方法。
【0016】
[3]前記分離手段の前記多孔質物質が、不燃性である前記[1]又は[2]に記載の断熱材の処理方法。
【0017】
[4]前記分離手段の前記多孔質物質が、DDR(Deca-Dodecasil 3R)型ゼオライトを含む前記[1]〜[3]のいずれかに記載の断熱材の処理方法。
【0018】
[5]その内部に気泡を有する断熱基体と、前記気泡に封入された発泡ガスと、から構成された断熱材から、前記断熱基体と前記発泡ガスとを分けてそれぞれ処理する断熱材の処理装置であって、前記断熱材を粉砕する破砕部と、前記断熱基体の前記気泡に封入されていたガス状の前記発泡ガスを回収する発泡ガス回収部とを備え、前記発泡ガス回収部が、多孔質物質を有する分離手段を有し、それぞれ異なる種類の発泡ガスが封入された二種類以上の断熱材から、前記断熱基体と前記発泡ガスとを分けて処理するに際し、前記二種類以上の断熱材を前記破砕部で粉砕して、粉砕した前記二種類以上の断熱材から前記異なる種類の発泡ガスを混合ガスとして分け、前記発泡ガス回収部の前記分離手段に前記混合ガスを通気して、前記異なる種類の発泡ガスのうちの一の発泡ガスの構成分子を通過させ、かつ他の発泡ガスの構成分子を捕集することにより、前記異なる種類の発泡ガスが混合した混合ガスをそれぞれの発泡ガス毎に分離する断熱材の処理装置(以下、「第二の発明」ということがある)。
【0019】
[6]前記発泡ガス回収部の前記分離手段が、平均気孔径が0.36〜0.44nmの前記多孔質物質を有し、前記一の発泡ガスとしての炭化水素系発泡ガスと、前記他の発泡ガスとしてのフロン類系発泡ガスとを分離する前記[5]に記載の断熱材の処理装置。
【0020】
[7]前記発泡ガス回収部の前記分離手段の前記多孔質物質が、不燃性である前記[5]又は[6]に記載の断熱材の処理装置。
【0021】
[8]前記発泡ガス回収部の前記分離手段の前記多孔質物質が、DDR(Deca-Dodecasil 3R)型ゼオライトを含む前記[5]〜[7]のいずれかに記載の断熱材の処理装置。
【発明の効果】
【0022】
本発明の断熱材の処理方法、及び断熱材の処理装置によれば、低温機器等に使用された断熱材を、発泡樹脂等の断熱基体と、断熱基体の気泡内に封入された発泡ガスとに分けて処理するに際し、特に、二種類以上の断熱材を同時又は連続的に処理する場合に、二種類以上の断熱材にそれぞれ異なる種類の発泡ガスが封入されていたとしても、その異なる種類の発泡ガスを環境に悪影響を与えることなく、簡便かつ安全に分離し、処理することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、図面を参照して、本発明の断熱材の処理方法、及び断熱材の処理装置の実施の形態について詳細に説明するが、本発明は、これに限定されて解釈されるものではなく、本発明の範囲を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づいて、種々の変更、修正、改良を加え得るものである。
【0024】
本発明(第一の発明)の断熱材の処理方法の一の実施の形態は、低温機器等に使用された断熱材を、発泡樹脂等の断熱基体と、その断熱基体の気泡内に封入された発泡ガスとに分けて処理する断熱材の処理方法であり、特に、二種類以上の断熱材を同時又は連続的に処理する場合に、二種類以上の断熱材にそれぞれ異なる種類の発泡ガスが封入されていたとしても、その異なる種類の発泡ガスを環境に悪影響を与えることなく、簡便かつ安全に分離し、処理するための断熱材の処理方法である。
【0025】
図1は、本発明(第一の発明)の断熱材の処理方法の一の実施の形態によって処理される断熱材の構成を模式的に示す説明図である。本実施の形態の断熱材の処理方法は、図1に示すように、その内部に気泡4を有する断熱基体3と、断熱基体3の気泡4に封入された発泡ガス5と、から構成された断熱材2から、断熱基体3と発泡ガス5とを分けてそれぞれ処理する断熱材の処理方法であって、それぞれ異なる種類の発泡ガスが封入された二種類以上の断熱材から、断熱基体と発泡ガスとを分けて処理するに際し、二種類以上の断熱材を粉砕して、粉砕した二種類以上の断熱材から異なる種類の発泡ガスを混合ガスとして分け、分けられた混合ガスを、異なる種類の発泡ガスのうちの一の発泡ガスの構成分子を通過させ、かつ他の発泡ガスの構成分子を捕集することが可能な多孔質物質を有する分離手段に通気して、混合ガスを構成する異なる種類の発泡ガスをそれぞれの発泡ガス毎に分離する断熱材の処理方法である。
【0026】
本実施の形態の断熱材の処理方法は、上述した異なる種類の発泡ガスのうちの一の発泡ガスが炭化水素系発泡ガスであるとともに、異なる種類の発泡ガスのうちの他の発泡ガスがフロン類系発泡ガスであり、平均気孔径が0.36〜0.44nmの多孔質物質を有する分離手段によって、炭化水素系発泡ガスとフロン類系発泡ガスとを分離し、処理する処理方法として好適に用いることができる。なお、フロン類系発泡ガスとは、従来公知の断熱材の発泡ガスとして使用されていた、クロロフルオロカーボン(CFC)、ハイドロクロロフルオロカーボン(HCFC)、及びハイドロフルオロカーボン(HFC)等のうちの少なくともいずれか一種を含む発泡ガスのことである。また、炭化水素系発泡ガスとは、シクロペンタン等を含む発泡ガスのことである。
【0027】
従来の断熱材の処理方法では、例えば、シクロペンタン等の炭化水素系発泡ガスとフロン類系発泡ガスとを同時に含んだ混合ガスを処理する場合には、シクロペンタンの燃焼や爆発といった問題があり、安全に両者を処理することは困難であった。本実施の形態の断熱材の処理方法によれば、異なる種類の発泡ガスのうちの一の発泡ガスの構成分子を通過させ、かつ他の発泡ガスの構成分子を捕集することが可能な多孔質物質を有する分離手段に通気して、それぞれの発泡ガス毎に分離し、処理することが可能であり、簡便かつ安全に発泡ガスの処理を行うことができる。
【0028】
また、本実施の形態の断熱材の処理方法においては、分離手段の多孔質物質が、不燃性であることが好ましい。このように構成することによって、万が一、シクロペンタン等の炭化水素系発泡ガスが燃焼した場合でも、分離手段に被害が及ぶことがなく、炭化水素系発泡ガスの燃焼を分離手段で食い止めることができる。
【0029】
また、本実施の形態の断熱材の処理方法においては、分離手段の多孔質物質が、DDR(Deca-Dodecasil 3R)型ゼオライトを含むことが好ましい。従来、フロン類系発泡ガスとして使用されていたものとしては、例えば、冷蔵等の断熱材には、CFC12(CCl22)やHCFC134a(CF3CH2F)等を挙げることができる。このCFC12(CCl22)の分子径は5.8Åであり、HCFC134a(CF3CH2F)の分子径は4.9Åであり、一般的に、フロン類系発泡ガスの構成分子の分子径は、4〜6Åである。また、炭化水素系発泡ガスとして主に用いられているシクロペンタンの分子径は、概ね2〜3Å程度であり、上述したDDR(Deca-Dodecasil 3R)型ゼオライトを含む多孔質物質によって、好適に分離して回収することができる。
【0030】
本実施の形態の断熱材の処理方法は、断熱材を処理するためのものであるが、「特定家庭用機器再商品化法」等によって実施されている使用済みの低温機器、例えば、冷蔵庫等をリサイクルする際に好適に用いられる処理方法である。具体的には、断熱材が配設された低温機器から、圧縮機、ドアパッキン、冷媒、内装部品等を取り除き、得られた断熱筐体から各素材を回収するために好適に用いることができる。以下、本実施の形態の断熱材の処理方法について、さらに具体的に説明する。
【0031】
まず、回収された冷蔵庫等の使用済み低温機器から各構成部材を分けて回収するため、例えば、手作業によって冷媒、圧縮機、ドアパッキン、内装部品等を除去してほぼ断熱筐体のみの状態とする。なお、使用済み低温機器を、断熱筐体のみの状態とするための方法は、上述した手作業に限定されることはなく、例えば、機械等によって行ってもよい。断熱筐体は、例えば、冷蔵庫等の本体の外枠部分に、少なくとも断熱材が配設されたものである。
【0032】
低温機器から除去された圧縮機、ドアパッキン、冷媒、及び内装部品等は、所定の方法によって再利用し、再利用不可能なものについては適切かつ安全な方法で廃棄することが好ましい。
【0033】
次に、断熱材が配設された状態の断熱筐体を、破砕機等を用いて破砕する。本実施の形態の断熱材の処理方法において、破砕を行う際には、異なる種類の発泡ガス、例えば、フロン類系発泡ガスと、シクロペンタン等の炭化水素系発泡ガス等とを分別して行う必要はなく、同時又は連続して二以上の断熱筐体を破砕することができる。
【0034】
断熱筐体を破砕する破砕機については、特に制限はないが、例えば、破砕機に所定の速度、例えば、300〜500rpmで回転する鋼鉄製ハンマーを備え、破砕機内に断熱筐体を投下し、鋼鉄製ハンマーによる衝撃力によって断熱筐体を破砕するものを挙げることができる。さらに、この破砕機は、回転する鋼鉄製ハンマー、例えば、直径2.5mの鋼鉄製ハンマーを備えたものとすることにより、破砕した各部材が破砕機内で、互いが衝突や擦合うことを繰り返すことによって、接着箇所や嵌合箇所が開放されたり、塗装や粘着紙による表示類等が削ぎ落とされながら、より破砕が進行する。破砕によって生じた破砕物は、例えば、破砕機の下部に設けられた任意の大きさに開口するスクリーンを通じて排出されるように、任意の大きさ、例えば、50mm以下になるまで破砕することが好ましい。この際、断熱基体の気泡に封入された発泡ガスはガスとして飛散し、異なる種類の発泡ガスが含まれている場合には混合ガスとなる。
【0035】
破砕機によって破砕された破砕物は、磁性、帯電性、比重等の物理的特性の差異を用いて、鉄、非鉄金属、樹脂類等に分けて処理、例えば、回収することができる。
【0036】
このとき、断熱材を構成する断熱基体は、鉄や非鉄金属、各種樹脂等の他の部材と比較して靭性に劣るので、容易に破砕されるとともに、極めて軽量で嵩密度が低いことから破砕機内の渦巻状に回転する空気流に滞留してより破砕が進行する。このため、破砕機から排出される際には、他の破砕物と比較してより小さくなるまで破砕される、という傾向がある。
【0037】
破砕機から排出された断熱筐体(断熱基体)の破砕物は、例えば、振動コンベア等を用いて分類することが好ましい。上述したように、断熱基体の破砕物は、断熱材以外の断熱筐体を構成する金属や樹脂類等よりも小さく破砕され、その嵩密度が低いことから、他の破砕物との混合状態から上層に分離されるので、風力選別、例えば、吸引等によって選択的に処理することができる。
【0038】
上述した破砕機によって断熱基体を破砕することによって、断熱基体の気泡を破壊して発泡ガスを飛散させることは可能であるが、本実施の形態の断熱材の処理方法においては、断熱基体の気泡の破壊し残しがないように、上述した破砕機から回収した断熱基体の破砕物を、例えば、さらに小さく、具体的には、1mm以下になるまで粉砕することが可能な微粉砕機を用いて、さらに小さくなるまで粉砕して、断熱基体の気泡中に封入された発泡ガスを飛散させることが好ましい。もちろん、一回の破砕により、上述した大きさ程度まで小さく破砕してもよい。
【0039】
なお、上述した破砕を行う際には、冷蔵庫等の断熱材に含まれるシクロペンタンの量が、例えば、大型の冷蔵庫の場合でも600g以下であることを考慮して、冷蔵庫を一台破砕するに場合に、15m3以上の空気と混合し、シクロペンタンの燃焼下限濃度である1.4%以下までシクロペンタン濃度を低下させることが好ましい。このように構成することによって、シクロペンタンの急激な燃焼である爆発を有効に回避することができる。
【0040】
次に、異なる種類の発泡ガスから構成された混合ガスを、異なる種類の発泡ガスのうちの一の発泡ガスの構成分子を通過させ、かつ他の発泡ガスの構成分子を捕集することが可能な多孔質物質を有する分離手段に通気して、混合ガスを構成する異なる種類の発泡ガスをそれぞれの発泡ガス毎に分離し、処理する。
【0041】
この分離手段は、気孔径が所定の大きさの多孔質物質を有するものであり、一の発泡ガスの構成分子、例えば、シクロペンタン等の炭化水素系発泡ガスを通過させ、かつ他の発泡ガスの構成分子、例えば、フロン類系発泡ガスを捕集することができる。分離手段としては、特に限定されることはないが、所定の気孔径のセラミックフィルタや、ゼオライト等の分離膜を好適例として挙げることができる。
【0042】
また、本実施の形態の断熱材の処理方法においては、例えば、分離手段としてのセラミック等のフィルタを複数用意して、使用するフィルタを切り替えながら分離を行うことが好ましい。セラミック等のフィルタは、フロン類系発泡ガスを捕集することにより目詰まりし、その分離能力が低下したり、圧力損失が増加することがあるため、一のフィルタにて混合ガスを分離している間に、分離能力が低下した他のフィルタを再生可能な構成とする。具体的には、目詰まりした他のフィルタに対し、流路の下流側から空気等を逆流させて通気し、他のフィルタに蓄積したフロン類系発泡ガスを排除して再生するとともに、逆流させた空気を排出するための流路を別途設け、逆流させた空気に含まれたフロン類系発泡ガスを、活性炭を充填した活性炭チャンバー等に流入し、吸着させて回収するものを好適例として挙げることができる。このようにしてフロン類系発泡ガスを回収しながら、順次フィルタを再生して、高い分離能力を常に維持できるようにする。
【0043】
活性炭チャンバー等に充填した活性炭に吸着させて回収したフロン類系発泡ガスは、再利用が禁止されている物質を含んでいる可能性があるため、分解して処理することが好ましい。具体的な方法としては、例えば、活性炭チャンバーに約120℃の水蒸気を導入して活性炭を加熱し、吸着させたフロン類系発泡ガスを離脱させる。次に、離脱させたフロン類系発泡ガスを、プラズマや火炎、又はキルン等の高温雰囲気下に、水蒸気とともに投入する。フロン類系発泡ガスは、水蒸気と反応しながら分解して、フッ酸と塩酸を生成する。生成したフッ酸と塩酸は、炭酸カルシウム等で中和処理し、フッ化カルシウムや塩化カルシウム等の無害で化学的に安定な非水溶性塩化物として処理することが好ましい。フッ化カルシウムや塩化カルシウム等の非水溶性塩化物は、地中に埋設する等の方法で廃棄することができる。
【0044】
また、分離手段によって捕集されずに通過したシクロペンタン等の炭化水素系発泡ガス(一の発泡ガス)は、オゾン層破壊や地球温暖化等の環境への影響が極めて少ないことから、大気中に放出してもよい。
【0045】
次に、本発明(第二の発明)の断熱材の処理装置の一の実施の形態について説明する。図2は、本発明(第二の発明)の断熱材の処理装置の一の実施の形態を用いた断熱材の処理を模式的に示す説明図である。本実施の形態の断熱材の処理装置は、上述した第一の発明の断熱材の処理方法の一の実施の形態に好適に用いることが可能な断熱材の処理装置である。本実施の形態の断熱材の処理装置は、図1及び図2に示すように、その内部に気泡4を有する断熱基体3と、断熱基体3の気泡4に封入された発泡ガス5と、から構成された断熱材2から、断熱基体3と発泡ガス5とを分けてそれぞれ処理する断熱材の処理装置1であって、断熱材2を粉砕する破砕部11と、断熱基体3の気泡4に封入されていたガス状の発泡ガス5を回収する発泡ガス回収部12とを備え、発泡ガス回収部12が、多孔質物質を有する分離手段13を有している。この断熱材の処理装置1は、それぞれ異なる種類の発泡ガス5が封入された二種類以上の断熱材2(図2は、二種類以上の断熱材のうちの一つを示している)から、断熱基体3と発泡ガス5とを分けて処理するに際し、二種類以上の断熱材2を破砕部11で粉砕して、粉砕した二種類以上の断熱材2から異なる種類の発泡ガス14a,14bを混合ガス14として分け、上述した発泡ガス回収部12の分離手段13に混合ガス14を通気して、異なる種類の発泡ガス14a,14bのうちの一の発泡ガス14aの構成分子を通過させ、かつ他の発泡ガス14bの構成分子を捕集することにより、混合ガス14を異なる種類の発泡ガス14a,14bに分離することが可能な断熱材の処理装置1である。
【0046】
本実施の形態の断熱材の処理装置1によれば、二種類以上の低温機器15等に使用された断熱材2を同時又は連続的に処理する場合に、二種類以上の断熱材2のそれぞれに、異なる種類の発泡ガス14a,14b、例えば、炭化水素系発泡ガスとフロン類系発泡ガスとが封入されていたとしても、その異なる種類の発泡ガス5を環境に悪影響を与えることなく、簡便かつ安全に分離し、処理することができる。
【0047】
本実施の形態の断熱材の処理装置1においては、発泡ガス回収部12の分離手段13が、平均気孔径が0.36〜0.44nmの多孔質物質を有し、一の発泡ガス14aとしての炭化水素系発泡ガスと、他の発泡ガス14bとしてのフロン類系発泡ガスとを分離し、処理することが好ましい。
【0048】
また、本実施の形態の断熱材の処理装置1においては、発泡ガス回収部12の分離手段13の多孔質物質が、不燃性であることが好ましい。このように構成することによって、万が一、シクロペンタン等の炭化水素系発泡ガスの一の発泡ガス14aが燃焼した場合でも、分離手段に被害が及ぶことがなく、一の発泡ガス14aの燃焼を分離手段で食い止めることができる。
【0049】
また、本実施の形態の断熱材の処理装置1においては、発泡ガス回収部12の分離手段13の多孔質物質が、DDR(Deca-Dodecasil 3R)型ゼオライトを含むことが好ましい。第一の発明の実施の形態で説明したように、多孔質物質がDDR(Deca-Dodecasil 3R)型ゼオライトを含むことにより、異なる種類の発泡ガス14a,14bを好適に分離し、処理することができる。
【0050】
本実施の形態の断熱材の処理装置1は、断熱材2を処理するためのものであるが、「特定家庭用機器再商品化法」等によって実施されている使用済みの低温機器15、例えば、冷蔵庫等をリサイクルする際に好適に用いられる処理方法である。具体的には、断熱材2が配設された低温機器15から、圧縮機16、ドアパッキン17、冷媒(図示せず)、内装部品(図示せず)等を取り除き、得られた断熱筐体18から各素材を回収するために好適に用いることができる。以下、本実施の形態の断熱材の処理装置1について、さらに具体的に説明する。
【0051】
本実施の形態の断熱材の処理装置1を用いて、低温機器15から断熱材2を処理する場合には、その低温機器15から、圧縮機16、ドアパッキン17、冷媒(図示せず)、内装部品(図示せず)等を取り除き、断熱筐体18の状態で破砕部11に投入する。この破砕部11の構成については、第一の発明の実施の形態で説明した破砕機と同様に構成されたものを好適に用いることができる。
【0052】
なお、低温機器15から除去された圧縮機16、ドアパッキン17、冷媒(図示せず)、内装部品(図示せず)等は、所定の方法によって再利用し、再利用不可能なものについては適切かつ安全な方法で廃棄することが好ましい。また、破砕部11によって破砕された破砕物は、磁性、帯電性、比重等の物理的特性の差異を用いて、鉄20、非鉄金属(図示せず)、樹脂類21等に分けて処理、例えば、回収することができる。
【0053】
本実施の形態の断熱材の処理装置1においては、破砕部11から排出された断熱筐体(断熱基体)の破砕物19は貯留ホッパ22に集められ、例えば、振動コンベア(図示せず)等を用いて分類することが好ましい。上述したように、断熱基体の破砕物19は、断熱材2以外の断熱筐体を構成する金属や樹脂等よりも小さく破砕され、その嵩密度が低いことから、他の破砕物との混合状態から上層に分離されるので、風力選別、例えば、吸引等によって選択的に処理することができる。
【0054】
さらに、本実施の形態の断熱材の処理装置1においては、断熱基体の気泡の破壊し残しがないように、上述した破砕部11から回収した断熱基体の破砕物19を、例えば、さらに小さく、具体的には、1mm以下になるまで粉砕することが可能な微破砕部(図示せず)を用いて、さらに小さくなるまで粉砕して、断熱基体の気泡中に封入された発泡ガス14a,14bを飛散させることが好ましい。もちろん、一つの破砕部11で、上述した大きさ程度まで小さく破砕してもよい。
【0055】
破砕部11にて破砕を行う際には、冷蔵庫等の断熱材に含まれるシクロペンタンの量が、例えば、大型の冷蔵庫の場合でも600g以下であることを考慮して、冷蔵庫を一台破砕するに場合に、15m3以上の空気と混合し、シクロペンタンの燃焼下限濃度である1.4%以下までシクロペンタン濃度を低下させることができるように、破砕部11に送風設備等を配設することが好ましい。このように構成することによって、シクロペンタンの急激な燃焼である爆発を有効に回避することができる。
【0056】
発泡ガス回収部12の分離手段13は、所定の大きさの気孔径の多孔質物質を有するものであり、一の発泡ガス14aの構成分子、例えば、シクロペンタン等の炭化水素系発泡ガスを通過させ、かつ他の発泡ガス14bの構成分子、例えば、フロン類系発泡ガスを捕集することができる。分離手段13としては、特に限定されることはないが、所定の気孔径のセラミックフィルタや、ゼオライト等の分離膜を好適例として挙げることができる。
【0057】
また、本実施の形態の断熱材の処理装置1においては、例えば、分離手段13としてのセラミック等のフィルタ13a,13bを複数用意し、一のフィルタ13aにて、混合ガス14を分離している間に、フロン類系発泡ガス(他の発泡ガス14b)を捕集することにより目詰まりした他のフィルタ13bを再生することができるようにすることが好ましい。具体的には、例えば、目詰まりした他のフィルタ13bに対して流路の下流側から空気等を逆流させて通気し、捕集したフロン類系発泡ガス(他の発泡ガス14b)を排除して再生するとともに、逆流させた空気を排出することが可能な、フロン類系発泡ガス回収用流路23と、逆流させた空気に含まれたフロン類系発泡ガス(他の発泡ガス14b)を吸着させて回収することが可能な、活性炭25を充填した活性炭チャンバー24と、をさらに有し、フロン類系発泡ガス(他の発泡ガス14b)を回収しながら、順次、フィルタ13a,13bを再生して、高い分離能力を常に維持できるものを挙げることができる。
【0058】
活性炭チャンバー24等に充填した活性炭25に吸着させて回収したフロン類系発泡ガス(他の発泡ガス14b)は、再利用が禁止されている物質を含んでいる可能性があるため、分解して処理することが好ましい。具体的な方法としては、例えば、活性炭チャンバー24に約120℃の水蒸気を導入して活性炭25を加熱し、吸着させたフロン類系発泡ガス(他の発泡ガス14b)を離脱させる。次に、離脱させたフロン類系発泡ガス(他の発泡ガス14b)を、図示は省略するが、プラズマや火炎、又はキルン等の高温雰囲気下に、水蒸気とともに投入する。このフロン類系発泡ガス(他の発泡ガス14b)は、水蒸気と反応しながら分解して、フッ酸と塩酸を生成する。生成したフッ酸と塩酸は、炭酸カルシウム等で中和処理し、フッ化カルシウムや塩化カルシウム等の無害で化学的に安定な非水溶性塩化物として処理することが好ましい。なお、処理したフッ化カルシウムや塩化カルシウム等の非水溶性塩化物は、地中に埋設する等の方法で廃棄することができる。
【0059】
本実施の形態の断熱材の処理装置1においては、分離手段13によって捕集されずに通過したシクロペンタン等の炭化水素系発泡ガス(一の発泡ガス14a)は、オゾン層破壊や地球温暖化等の環境への影響が極めて少ないことから、大気中に放出してもよい。
【0060】
なお、本発明は、以上述べた実施の形態において説明し、かつ図面に示した断熱材の処理方法、及び断熱材の処理装置に限定されるものではなく、例えば、冷蔵庫の冷媒回路からイソブタンとHCFC134a等の限定した複数の種類を混合して回収する場合においても、本発明の一部又は全部を使用することができ、その要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明の断熱材の処理方法、及び断熱材の処理装置によれば、低温機器等に使用された断熱材を、例えば、発泡樹脂等の断熱基体と、断熱基体の気泡内に封入された発泡ガスとに分けて処理するに際し、特に、二種類以上の断熱材を同時又は連続的に処理する場合に、二種類以上の断熱材にそれぞれ異なる種類の発泡ガスが封入されていたとしても、その異なる種類の発泡ガスを環境に悪影響を与えることなく、簡便かつ安全に分離し、処理することができる。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明(第一の発明)の断熱材の処理方法の一の実施の形態によって処理する断熱材の構成を模式的に示す断面図である。
【図2】本発明(第二の発明)の断熱材の処理装置の一の実施の形態を用いた断熱材の処理を模式的に示す説明図である。
【符号の説明】
【0063】
1…断熱材の処理装置、2…断熱材、3…断熱基体、4…気泡、5…発泡ガス、11…破砕部、12…発泡ガス回収部、13…分離手段、13a,13b…フィルタ、14…混合ガス、14a…発泡ガス(一の発泡ガス)、14b…発泡ガス(他の発泡ガス)、15…低温機器、16…圧縮機、17…ドアパッキン、18…断熱筐体、19…破砕物、20…鉄、21…樹脂類、22…貯留ホッパ、23…フロン類系発泡ガス回収用流路、24…活性炭チャンバー、25…活性炭。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
その内部に気泡を有する断熱基体と、前記気泡に封入された発泡ガスと、から構成された断熱材から、前記断熱基体と前記発泡ガスとを分けてそれぞれ処理する断熱材の処理方法であって、
それぞれ異なる種類の発泡ガスが封入された二種類以上の断熱材から、前記断熱基体と前記発泡ガスとを分けて処理するに際し、
前記二種類以上の断熱材を粉砕して、粉砕した前記二種類以上の断熱材から前記異なる種類の発泡ガスを混合ガスとして分け、分けられた前記混合ガスを、前記異なる種類の発泡ガスのうちの一の発泡ガスの構成分子を通過させ、かつ他の発泡ガスの構成分子を捕集することが可能な多孔質物質を有する分離手段に通気して、前記混合ガスを構成する前記異なる種類の発泡ガスをそれぞれの発泡ガス毎に分離する断熱材の処理方法。
【請求項2】
前記異なる種類の発泡ガスのうちの前記一の発泡ガスが炭化水素系発泡ガスであるとともに、前記異なる種類の発泡ガスのうちの前記他の発泡ガスがフロン類系発泡ガスであり、
平均気孔径が0.36〜0.44nmの前記多孔質物質を有する前記分離手段によって、前記炭化水素系発泡ガスと前記フロン類系発泡ガスとを分離する請求項1に記載の断熱材の処理方法。
【請求項3】
前記分離手段の前記多孔質物質が、不燃性である請求項1又は2に記載の断熱材の処理方法。
【請求項4】
前記分離手段の前記多孔質物質が、DDR(Deca-Dodecasil 3R)型ゼオライトを含む請求項1〜3のいずれかに記載の断熱材の処理方法。
【請求項5】
その内部に気泡を有する断熱基体と、前記気泡に封入された発泡ガスと、から構成された断熱材から、前記断熱基体と前記発泡ガスとを分けてそれぞれ処理する断熱材の処理装置であって、
前記断熱材を粉砕する破砕部と、前記断熱基体の前記気泡に封入されていたガス状の前記発泡ガスを回収する発泡ガス回収部とを備え、
前記発泡ガス回収部が、多孔質物質を有する分離手段を有し、
それぞれ異なる種類の発泡ガスが封入された二種類以上の断熱材から、前記断熱基体と前記発泡ガスとを分けて処理するに際し、
前記二種類以上の断熱材を前記破砕部で粉砕して、粉砕した前記二種類以上の断熱材から前記異なる種類の発泡ガスを混合ガスとして分け、
前記発泡ガス回収部の前記分離手段に前記混合ガスを通気して、前記異なる種類の発泡ガスのうちの一の発泡ガスの構成分子を通過させ、かつ他の発泡ガスの構成分子を捕集することにより、前記異なる種類の発泡ガスが混合した混合ガスをそれぞれの発泡ガス毎に分離する断熱材の処理装置。
【請求項6】
前記発泡ガス回収部の前記分離手段が、平均気孔径が0.36〜0.44nmの前記多孔質物質を有し、前記一の発泡ガスとしての炭化水素系発泡ガスと、前記他の発泡ガスとしてのフロン類系発泡ガスとを分離する請求項5に記載の断熱材の処理装置。
【請求項7】
前記発泡ガス回収部の前記分離手段の前記多孔質物質が、不燃性である請求項5又は6に記載の断熱材の処理装置。
【請求項8】
前記発泡ガス回収部の前記分離手段の前記多孔質物質が、DDR(Deca-Dodecasil 3R)型ゼオライトを含む請求項5〜7のいずれかに記載の断熱材の処理装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−142709(P2006−142709A)
【公開日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−337664(P2004−337664)
【出願日】平成16年11月22日(2004.11.22)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【出願人】(000004064)日本碍子株式会社 (2,325)
【Fターム(参考)】