説明

新品検知装置、現像ユニット、画像定着ユニット、潜像担持ユニットおよび画像形成装置

【課題】 消耗材の簡略化を図るとともに、第三者の模造品・海賊品を使用することによる、動作不具合などの異常防止を図ることができる新品検知装置を提供する。
【解決手段】 薄膜弾性体1に内包されている着色液体2を検知する液体検知手段3と、着色液体に衝撃を加える衝撃付加手段4とを備えた新品検知装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置の各ユニットに好適な新品検知装置に関する。
【背景技術】
【0002】
消耗材が所定量充填されている新品のユニットか否かを検知する新品検知装置として、機械的、電気的な構成が種種提案されている。その例として特開2001−265176公報には、画像形成装置は画像形成装置本体と、これに設けた新品検知装置と、装置本体に着脱自在の感光体ユニット、現像ユニットおよび、クリーニングユニットを備えている。各ユニットの適所に有機色素膜を塗布することにより被検知部を形成する。新品検知装置(検知機構)として光センサを設ける。これらの光センサは、光照射により上記被検知部の光反射率を増大させるための光源を兼ねている。これら光センサの発光素子は、出射光パワーが高いときには上記光源として作用する。新品ユニットを使用した場合には、光源からの出射光により上記被検知部の反射率を初期値よりも高い値に変化させる。セットされたユニットが新品であるか否かの確認は、上記光センサによる反射率測定により行う技術について開示されている。
【特許文献1】特開2001−265176公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来の機械的、電気的な新品検知装置においては、消耗材となる構成部品の取り付けが複雑であった。また、第三者による再セットが容易であるという不具合があった。
また特許文献1に記載の従来技術は、新品確認を上記光センサによる反射率測定により行うものであり、装置が複雑となりコスト的に高くなるといった問題がある。
本発明は、消耗材の簡略化を図るとともに、第三者の模造品・海賊品を使用することによる、動作不具合などの異常防止を図ることができる新品検知装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明は、薄膜弾性体に内包されている着色液体を検知する液体検知手段と、着色液体に衝撃を加える衝撃付加手段とを備えた新品検知装置を最も主要な特徴とする。
請求項2記載の発明は、請求項1に記載の新品検知装置において、衝撃付加手段には液体吸収材が備えられている新品検知装置を主要な特徴とする。
請求項3記載の発明は、請求項1または2に記載の新品検知装置において、薄膜弾性体の周りには液体吸収材が備えられている新品検知装置を主要な特徴とする。
請求項4記載の発明は、請求項1に記載の新品検知装置において、着色液体を内包している薄膜弾性体の周囲を囲むようにして薄膜弾性体が設けられており、その中に液体吸収材が備えられている新品検知装置を主要な特徴とする。
請求項5記載の発明は、請求項1に記載の新品検知装置において、磁性体からの磁気を検知する磁性体検知手段を備え、前記着色液体には一定量の磁性体を混入させ、前記磁性体検知手段により前記着色液体から磁性体を検知した場合、該着色液体を新品であると判断することを特徴とする。
請求項6記載の発明は、請求項1乃至5の何れか一項に記載の新品検知装置を用いたことを特徴とする現像ユニット。
請求項7記載の発明は、請求項1乃至5の何れか一項に記載の新品検知装置を用いたことを特徴とする画像定着ユニット。
請求項8記載の発明は、請求項1乃至5の何れか一項に記載の新品検知装置を用いたことを特徴とする潜像担持ユニット。
請求項9記載の発明は、請求項6乃至8に記載の現像ユニット、画像定着ユニット、潜像担持ユニットの何れかを備えたことを特徴とする画像形成装置。
請求項10記載の発明は、請求項9に記載の画像形成装置において、着色液体の検知を行う液体検知手段と、着色液体に衝撃を加える衝撃付加手段が画像形成装置側に取り付けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0005】
本発明の新品検知装置は、薄膜弾性体に内包されている着色液体を検知する液体検知手段と、着色液体に衝撃を加える衝撃付加手段とを備えたことで、所期の目的を達成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下、本発明の各実施例を図面に従って説明する。
(実施例1)
図1は実施例1に係る新品検知装置における新品検知状態を示す図、図2は同、非新品検知状態を示す図、図3は実施例1に係る新品検知装置の動作を示すフローチャートである。
薄膜弾性体1に着色液体2を内包しており、近傍に液体検知センサ3を配している。着色液体2近傍には、衝撃付加手段としてのピストン4を配置している。着色液体2はピストン4のストローク範囲に入っている。液体検知センサ3とピストン4で新品検知装置を構成する。
図3において、着色液体2の量を液体検知センサ3が検知し、着色液体2が多いことを検知すると(S1でY)(図1の状態)、新品であると判定する。そのピストン4が着色液体2に衝撃を与える(S2)。着色液体2はその場より退けられ、液体検知センサ3は着色液体2が少なくなったことを検知し新品でないと判定する(S3)(図2の状態)。
ここで、薄膜弾性体1には厚さ0.03mmのPETを用いた。着色液体2は水溶性インクを用いた。着色液体溜りは直径5mmとした。その下には直径8mmの受け皿8を設け(図2参照)、その受け皿8の中には、液体吸収材としてフェルトを用いた。液体検知センサ3として反射型の光センサを用いた。着色液体近傍には、直径8mmのピストン4を配置した。
着色液体2がある場合、液体検知センサ3は反射光量が少ないことを以って新品であると検知する。その後、図2のようにピストン4により着色液体2に衝撃を与えた。着色液体4を内包するPETは破裂し、着色液体2は下の受け皿8に落ちた。液体検知センサ3は反射光量が多くなったことを以って新品でないことを検知する。
【0007】
(実施例2)
図4は実施例2、3に係る新品検知装置における非新品検知状態を示すである。ピストン4の先端周りには、フェルト材からなる液体吸収材5を備えている。ピストン4により着色液体2はその場より退けられる、退けられた着色液体2は液体吸収材5により吸収される。
(実施例3)
図4に示すように、着色液体2を内包している薄膜弾性体1の周りに、液体吸収材5を備えている。ピストン4により退けられた着色液体2は、着色液体2を内包している薄膜弾性体1周りの液体吸収材5で吸収される。
(実施例4)
図5は実施例4に係る新品検知装置における新品検知状態を示す図、図6は同、非新品検知状態を示す図である。着色液体2を内包している薄膜弾性体1の周りには、2重に(リング状に)薄膜弾性体1を設け、その中に液体吸収材5を備えているピストン4により退けられた着色液体2は、薄膜弾性体1内の液体吸収材5で吸収される。
【0008】
(実施例5)
図7は実施例5に係る新品検知装置における新品検知状態を示す図、図8は実施例5に係る新品検知装置の動作を示すフローチャートである。着色液体2には一定量の磁性体(磁性粉)6を混入し、液体検知センサ3近傍には、磁性体検知センサ7を設けている。
図8に示すように、着色液体2が一定量の磁性体6を含んでいるときのみ(S1、S2でY)、磁性体検知センサ7がこれを検知し、新品であると判定する(S3)。着色液体2が存在しない場合は新品でないと判定する(S4)。磁性体6が存在しない場合は新品でない、もしくは偽物と判定する(S5)。
本発明は、上記新品検知装置を用いた現像ユニット、画像定着ユニット、潜像担持ユニットをその対象とし、さらにその現像ユニット、画像定着ユニット、潜像担持ユニットを備えた画像形成装置も対象とする。
ここで着色液体2の検知を行う液体検知センサ3と、着色液体2に衝撃を加えるピストン4が画像形成装置側に取り付けられていると、現像ユニット、画像定着ユニット、潜像担持ユニット毎に液体検知センサ3とピストン4を設けなくて済み、装置の簡略化とコスト低減を図ることができる。
【0009】
本発明では、着色液体2が一定量ある場合、液体検知センサ3が着色液体2を検知して新品であると判定し、その後ピストン4が着色液体2に衝撃を与え着色液体2の量を減少させた場合、液体検知センサ3が着色液体2を検知しないことで、新品でないと判定するので、新品検知判定を簡便に行うことができる。
また、ピストン4により退けられた着色液体2を液体吸収材5で吸収することで、着色液体2の飛散による新品検知装置の著しい汚れを防止することができる。また、着色液体2を内包する薄膜弾性体1と一緒に汚れた液体吸収材を回収することができる。
また、着色液体2に磁性体6が一定量含まれている場合、磁性体検知センサ7が磁性体6を検知して新品検知動作を行い、着色液体2に磁性体6が一定量含まれていない場合は、磁性体検知センサ7は磁性体を検知せず、新品検知動作を行わないようにしたので、着色液体2の誤検知と、磁性体6を含まない偽物の着色液体の検知を防止することができる。
また、現像ユニット、画像定着ユニット、潜像担持ユニットが新品であるか否かも同様にして検知、判定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】実施例1に係る新品検知装置における新品検知状態を示す図。
【図2】実施例1に係る新品検知装置における非新品検知状態を示す図。
【図3】実施例1に係る新品検知装置の動作を示すフローチャート。
【図4】実施例2、3に係る新品検知装置における非新品検知状態を示す。
【図5】実施例4に係る新品検知装置における新品検知状態を示す図。
【図6】実施例4に係る新品検知装置における非新品検知状態を示す図。
【図7】実施例5に係る新品検知装置における新品検知状態を示す図。
【図8】実施例5に係る新品検知装置の動作を示すフローチャート。
【符号の説明】
【0011】
1 薄膜弾性体
2 着色液体
3 液体検知センサ(液体検知手段)
4 ピストン(衝撃付加手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
薄膜弾性体に内包されている着色液体を検知する液体検知手段と、着色液体に衝撃を加える衝撃付加手段とを備えたことを特徴とする新品検知装置。
【請求項2】
請求項1に記載の新品検知装置において、前記衝撃付加手段には液体吸収材が備えられていることを特徴とする新品検知装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の新品検知装置において、前記薄膜弾性体の周りには液体吸収材が備えられていることを特徴とする新品検知装置。
【請求項4】
請求項1に記載の新品検知装置において、着色液体を内包している薄膜弾性体の周囲を囲むようにして前記薄膜弾性体が設けられており、その中に液体吸収材が備えられていることを特徴とする新品検知装置。
【請求項5】
請求項1に記載の新品検知装置において、磁性体からの磁気を検知する磁性体検知手段を備え、前記着色液体には一定量の磁性体を混入させ、前記磁性体検知手段により前記着色液体から磁性体を検知した場合、該着色液体を新品であると判断することを特徴とする新品検知装置。
【請求項6】
請求項1乃至5の何れか一項に記載の新品検知装置を用いたことを特徴とする現像ユニット。
【請求項7】
請求項1乃至5の何れか一項に記載の新品検知装置を用いたことを特徴とする画像定着ユニット。
【請求項8】
請求項1乃至5の何れか一項に記載の新品検知装置を用いたことを特徴とする潜像担持ユニット。
【請求項9】
請求項6乃至8に記載の現像ユニット、画像定着ユニット、潜像担持ユニットの何れかを備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項10】
請求項9に記載の画像形成装置において、着色液体の検知を行う液体検知手段と、着色液体に衝撃を加える衝撃付加手段が画像形成装置側に取り付けられていることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−71933(P2006−71933A)
【公開日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−254777(P2004−254777)
【出願日】平成16年9月1日(2004.9.1)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】