説明

新無機多孔体を利用した有害分子を吸着分解できる基剤

【目的】 本発明は、ホルムアルデヒドを始めとするアルデヒド類・硫化水素を中心に、トルエン・キシレン・ベンゼン等の分子も吸着・分解までパワーアップした加工基剤の開発を課題として、研究をすすめた。
【構成】 変質した長石を含有する岩石を粉砕したものに抗酸化物質・アミン系物質・界面活性剤・触媒物質を含浸・添着・ブレンドすることにより担持させ、吸着・分解作用の効果を高めたもの。

【発明の詳細な説明】
【発明の属する技術】
【0001】
本発明者は調査・研究により自然石の長石及びそれを含む岩石全般の中で花崗岩・閃緑岩・ひん岩・半花崗岩・石英斑岩・花崗斑岩・結晶片岩・片麻岩等が構造帯に有り、温度の上昇と冷却により、結晶内部に亀裂を生じたため、結晶格子の積層構造から陽イオンが溶脱した長石及び岩石に、強力な吸着効果により消臭・脱臭作用を有することを突き止め、特にアルデヒド類に対して有効な性能を持っている事が確認された。
本発明は当該岩石に抗酸化物質・アミン系物質・界面活性剤・触媒物質を含浸・添着・ブレンドすることにより担持させ、その吸着・分解作用の効果を最大限引き出すものである。
【背景技術】
【0002】
現在、社会問題化しているシックハウス症候群の症状は倦怠感、めまい、吐き気、痙攣、硬直、不眠、不安定、知覚異常、のどの渇き、湿疹、食欲不振、目がチカチカする、自律神経障害症等であるが、その症状が進んだ段階が化学物質過敏症であり、そのシックハウス症の代表的なホルムアルデヒドを始めとするアルデヒド類はこのように普段生活している居住宅環境の建材・接着剤・燃焼ガス等から発生して空気質に取り込まれ、また我々の使用する水道水にも溶け込み、飲料水・食物等を通し多少でも体内に取り込まれる事により、発ガン物質として各臓器に悪い作用(発癌性・変異原性・催奇形性。神経毒性等)を誘発する事例が多く報告されている。
最近、ホルムアルデヒド対策として建材への使用規制物質の対象外であるアセト酢酸アミド又は酢酸エチル・メチル等の薬剤利用も見受けられるがそれも分解によって、ホルムアルデヒド同様に有害なアセトアルデヒドの発生を引き起こしているのが現状況である。また日常的に嗜好されている飲酒・喫煙によるアセトアルデヒド等は二日酔の元凶であるように毒性が強く、頭痛・吐き気・顔面紅潮・動悸・発汗等不快な症状をもたらし、我々の体に少なくないダメージを与えている。
また当該長石は、主に花崗岩・閃緑岩・ひん岩・半花崗岩・石英斑岩・花崗斑岩・流紋岩・石英粗面岩等が含有し、構造帯にあり圧砕作用・変質作用を受けた、人体や環境に有害な物質は含んでいない天然の岩石である。(例えば非特許文献1・2及び特許文献1参照)
以上のように現代社会の我々人体に有用で環境に優しくホルムアルデヒド・アセトアルデヒド・アンモニア・硫化水素等に対して吸着性能を持っている既知の親水性吸着材、例えば炭・活性炭・ゼオライト・活性白土・シリカゲル等は、吸着する細孔が不揃いで悪臭ガス分子の径に対して大きい事から吸着力が不十分である事により、気温の上昇により再放出する問題があった。
また、アミン系化学物質として例えばアミド硫酸等の使用により、分解および捕捉(化合)による臭い分子の処理が可能になった。(特許文献2・特許文献3・特許文献4)
【0003】
【特許文献1】 特願2004−132239
【特許文献2】 特開平10−235130
【特許文献3】 特開平11−128329
【特許文献4】 特開2001−323637
【非特許文献1】 日本地質学会第110年学術大会講演要旨,2003年9月19日〜20日,178頁
【非特許文献2】日本地質学会第13回環境地質学シンポジュウム論文集,2003年12月6日〜7日,215頁〜226頁
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、それらの課題を解消するため、特にアセトアルデヒドを始めとするアルデヒド類・アンモニア・硫化水素等の分子を吸着作用による効果を利用し分解過程を加えた基剤の開発を課題として、研究をすすめた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
構造帯の岩石は初めに地殻のマントルで高温のマグマ(1,000℃以上)そのものがゆっくり冷却し結晶したもの、又はこのマグマと接触して出来たものであるが、構造帯に位置していたために、地下探部における温度の上昇や冷却の過程で結晶格子内に(マイクロクラック)が生じ、この亀裂を通じて酸性条件のもとで、長石の結晶格子間にあった主たる陽イオンであるナトリウム・カリウム・カルシュウムの各イオンが溶脱したために、結晶格子の積層間に微細な間隙を生じたものである。
このような自然石の長石及びそれを含む岩石全般の中で結晶格子の積層構造状が変質作用を受けた該岩石の分布は、これまでの検証結果では、構造帯に付随する花崗岩・閃緑岩・ひん岩・半花崗岩・石英斑岩・花崗斑岩・結晶片岩・片麻岩等が、結晶間の粒間破断、粒界破断、鉱物の伸展と折れ曲がり、粒状化や粉砕、回転等の機械的変形構造を伴って、長石を主体とする比較的大型の斑晶で顕著に、無数のマイクロクラックを生じさせ、その結晶内の微細な組織にも破砕が進行したために、長石の結晶格子内のナトリウム・カリウム・カルシウムの陽イオンが容易に溶脱されやすい素地を形成したものと考えられる。
この長石は、その後の酸性条件下の変質作用で陽イオンが脱落して、結晶格子の積層構造に、分子を吸着し易いナノオーダーの空隙が作り出されたものと考えられる。
従って、該岩石はこのような複雑な地質学的背景から生成したために、これまで知られていなかった強い吸着特性を有するに至ったものと思われる。
このような地質学的背景から恵陽石の性状は、国内に広く分布する岩石類の多くとは、その性格を異にしていることは明白であり、その分布も、構造線を構成する比較的限られた条件下で生成したものと言え、長い地質年代を経て、地下深部から地上に出現したものである。
また硫黄成分は、酸性条件下で長石の結晶格子から陽イオンが溶脱した事をうかがい知る事のできる残留物である。
本発明は自然石の長石及びそれを含む岩石全般の中で花崗岩・閃緑岩・ひん岩・半花崗岩・石英斑岩・花崗斑岩・結晶片岩・片麻岩等の他、構造帯もしくは、これと同様な地質構造の変遷史を経た場合、他に長石を含む岩石にモンゾニ岩・粗面岩・閃長岩・巨晶花崗岩・粗粒玄武岩・斑レイ岩・輝緑岩・安山岩・流紋岩・砂岩等のいづれも積層構造状に変成作用を受けて恵陽石化し、それらの岩石を粉砕し、石英質分・有色鉱物等を除去・抽出した粒状又は粉末が、分子間力(ファンデルワールス力)による該岩石の長石結晶格子間の積層を利用し天然及び人口合成の抗酸化物質・アミン系物質・界面活性剤・触媒物質を含浸・添着させた吸着分解基剤であることを特徴とする。
また、該岩石は積層構造がアルミシリケート化合物(Si・Al・Oから成る.)の1nmの厚さの板状と陽イオンであるNa・Ca・Ka等の溶脱した1nmの空隙との互層になっている事が確認できた。
これは今までに無い新発見であり、間隙の幅が1nmであり、既存する活性炭・沸石等からみると、消臭する能力は限りなく0に近付づけてくれる反面、利用の仕方にも特徴があり、臭い分子が吸着される間隙がせまいため、濃度が高い場合は分子がクラスター状になっているため、吸着効果が少ない事と、微風での使用が最大限効果を発揮する事がわかった
以上本発明は特にホルムアルデヒド・アセトアルデヒドを始めとするアルデヒド類全般まで簡単に処理してしまう機能を持った素材に抗酸化物質・アミン系物質・界面活性剤・触媒物質を含浸・添着・ブレンドさせた有効な基剤である。
【実施例】
【0006】
該岩石の粉砕した粒状又は粉末に天然・人口合成の抗酸化物質特定はしないが、タンニン・ポリフェノール・カテキン・キチン・キトサン等を含浸・添着・ブレンドして使用する事は、刺激の有る薬剤等に敏感なアレルギー体質の方々へ有効であり、使用後の廃棄による環境への影響はない。
また、該岩石にアミン系物質特定はしないが例えばアミド硫酸を含浸・添着させることで、これまでに無い強力な効果を有する親水性吸着分解基剤として利用できるものである。
または、アミド硫酸アンモニウムを該岩石に含浸・添着させ担持することで、悪臭特にアルデヒド類の吸着・化学反応による捕捉でヘキサメチレンテトラミンに変わり安定化し、処理できるものである。
あるいは該岩石に界面活性剤でO/W型、又はW/O型エマルジョンいづれでも良く、アニオン活性剤ではアルキル硫酸系・アルキルエーテル硫酸系。カチオン活性剤では塩化アルキル系・塩化ジアルキル系等が有効で含浸・添着使用しても濃淡により親水基・疎水基の現われ方で、親水・疎水いづれの臭いの分子をも取込んで分解する。
触媒物質としては磁鉄鉱・酸化鉄・銀・銅・亜鉛・コバルト・酸化チタン等が利用可能で特定はしないが、特に銀・亜鉛・酸化チタンを該岩石に添着・ブレンドすることで、殺菌・防カビ・消臭等効果を得るものとなる。
コバルトは添着・ブレンドでの使用もできるが、コバルト照射により該岩石にあらゆる薬剤を含浸させることができ持続的な効果を担持させることができるものである。
請求項2の上記基材と有機質多孔体をブレンド、又は例えば特定はしないがシートを格子状に仕切り、交互に有機・無機の多孔質材を組み合わせて隣接させる利用、あるいは有機質多孔体と無機多孔体のそれぞれのボードを作り、張り合わせても良い。このような形態で、疎水性悪臭であるトルエン・キシレン・ベンゼン等も処理可能となり万能な消臭基材として利用できるようになった。
請求項3のシート状・ボード状・フィルター状・ネット入り・容器入りで利用する形態は、材質は特定しないが、薄くシート状及び厚さ20mm位までのボード状、形状の特定はしないがフィルター状及びネット・容器に入れて上記加工基剤のみ、又は有機多孔質体との組合せ等でより効果的で、利用し易くなった。
【0007】
また該請求項は該岩石を粉砕した粒状又は粉末に天然及び人口合成の抗酸化物質・アミン系物質・界面活性剤・触媒物質を含浸・添着させた基剤とは、特に特定はしないが例えば、抗酸化物質とはタンニン・ポリフェノール・カテキン(以上植物性)・キチン・キトサン(以上動物性)等、アミン系物質とはアミド硫酸系・ヒドラジド系・ポリアミン等。界面活性剤とはO/W型、又はW/O型エマルジョンいづれでも良く、アニオン活性剤ではアルキル硫酸系・アルキルエーテル硫酸系。カチオン活性剤では塩化アルキル系・塩化ジアルキル系等が有効である。触媒物質としては磁鉄鉱・酸化鉄・銀・銅・亜鉛・コバルト・酸化チタン等が利用可能である。
これら含浸・添着物質は該岩石の吸着作用とは異なる、臭いの分子を分解してしまう作用が有り、吸着と分解の異なった効果を組み合わせる事で臭いの分子の処理能力は、格段の効果が期待でき、該基剤の利用期間も数倍延長できるものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、以上のような構成のため、ホルムアルデヒド・アセトアルデヒド・硫化水素等の吸着分解作用を期待できるものである。天然・人口合成の抗酸化物質は特定はしないが、タンニン・ポリフェノール・カテキン・キチン・キトサン等を含浸・添着・ブレンドして使用する事は、刺激の有る薬剤等に敏感なアレルギー体質の方々へ有効であり、また使用後の廃棄による環境への影響はなく、環境およびわれわれにも優しい素材である。
また、該岩石にアミン系物質特定はしないが例えばアミド硫酸を含浸・添着させることで、これまでに無い強力な効果を有する親水性吸着分解基剤として利用できるものである。
あるいは該岩石に界面活性剤でO/W型、又はW/O型エマルジョンいづれでも良く、アニオン活性剤ではアルキル硫酸系・アルキルエーテル硫酸系。カチオン活性剤では塩化アルキル系・塩化ジアルキル系等が有効で含浸・添着使用しても濃淡により親水基・疎水基の現われ方で、親水・疎水いづれの臭いの分子をも取込んで分解するものである。
触媒物質としては磁鉄鉱・酸化鉄・銀・銅・亜鉛・コバルト・酸化チタン等が利用可能で特定はしないが、特に銀・亜鉛・酸化チタンを該岩石に添着・ブレンドすることで、殺菌・防カビ・消臭として利用することでシックハウス症、又は生活環境内での殺菌・悪臭も除去できるものであり、ペット臭・老人臭・体臭あるいはオナラ等も消臭してしまい、効果を得られるものである。
コバルトは添着・ブレンドでの使用もできるが、コバルト照射により該岩石にあらゆる薬剤を含浸させることができ持続的な効果を期待できるものである。
上記基材と有機質多孔体をブレンド、又は交互に組み合わせて隣接させ利用することで、親水性悪臭のホルムアルデヒドが代表するアルデヒド系全般と硫化水素及びブタン等のほかに、疎水性悪臭であるトルエン・キシレン・ベンゼン等も処理可能となり現代の居住空間に発生する悪臭に、万能な消臭基材として利用できるものである。
請求項3のシート状・ボード状・フィルター状・ネット入り・容器入りで利用する形態は、材質は特定しないが、薄くシート状及び厚さ20mm位までのボード状、材質・形状の特定はしないがフィルター状及びネット・容器に入れて上記加工基剤のみ、又は有機多孔質体との組合せ等利用する事で、生活空間全般必要に応じて形状を変え消臭が可能になるものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
変質した長石を含有する岩石を粉砕した粒状又は粉末を担体とし、天然及び人口合成の抗酸化物質・アミン系物質・界面活性剤・触媒物質を含浸・添着・ブレンドさせ、担持した基剤。
【請求項2】
有機質多孔体とブレンド、又は交互に組み合わせて隣接させ利用する請求項1。
【請求項3】
シート状・ボード状・フィルター状・ネット入り・容器入りで利用する請求項1及び請求項2。

【公開番号】特開2006−130488(P2006−130488A)
【公開日】平成18年5月25日(2006.5.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−349117(P2004−349117)
【出願日】平成16年11月2日(2004.11.2)
【出願人】(503054513)
【Fターム(参考)】