説明

新規なケタール架橋型アセン系化合物およびその製造方法

【課題】 規則性の高い導電性薄膜を簡易な方法で効率良く作成することができる新規なアセン系化合物前駆体およびその製造方法を提供する。
【解決手段】 一般式(1)


(式中、nは0以上の整数を表わす。Aは−C(OR)(OR)−を表わし、R、Rはそれぞれ独立したC1〜C6の低級アルキルもしくは結合したC2〜C6の低級アルキレンを表わす。RはH、C1〜C12の低級アルキル、ハロゲン化アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルコキシアルキル、アルキルチオ、またはハロゲンのいずれかを表わす。)で表されるケタール架橋型アセン系化合物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機半導体デバイス等を構成する導電性薄膜の原材料として有用な新規なケタール架橋型アセン系化合物に関する。また、本発明はかかるケタール架橋型アセン系化合物の容易な製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体デバイスのパターンは微細化しており、回路の集積度も増々高くなっていく傾向にある。従って、数ナノメートル(nm)〜数十nmの導電性薄膜を形成する技術の確立が望まれている。このような薄い導電性薄膜は、規則性の高い分子膜によって実現できる。半導体上に導電性薄膜を形成する技術の一例として、有機分子を用いて自己組織化(Self Assembling)薄膜(以下、SA薄膜と称する)を形成させる方法が近年提唱されている。この技術は有機分子が規則的な構造に配列する性質を利用したものであり、極めて欠陥が少なくかつ高い秩序性をもった薄膜を製造することができる。SA薄膜は、印刷やインクジェットなどの手法により有機分子またはその前駆体を半導体等の基体上に付与することにより形成することができる。
【0003】
SA薄膜の作成に適した材料として、アセン系化合物の一種であるペンタセンの前駆体となる各種のペンタセン付加化合物が報告されている(下記の特許文献1〜3および非特許文献1および2参照)。しかし、これらのペンタセン付加化合物をペンタセンに変換するには高価な設備を伴う光照射を要したり、150℃以上の高温での熱分解を要するなど、これらのペンタセン付加化合物を用いて規則的な構造を有する薄膜の製造を簡便安価な設備で効率良く実施するには多くの問題が存在していた。
【0004】
これらの問題に鑑み、近年ペンタセンの高温溶解による直接的なペンタセン薄膜の作成が報告されている(下記の特許文献4および非特許文献3,4参照)。これらの方法は上述のペンタセン付加化合物をペンタセンに変換する方法より若干簡便であるものの、溶解度が極めて低いペンタセンを溶解させるため、溶剤として高沸点の溶剤を用い、ペンタセンと溶剤の混合物を高温に加熱して急冷することによりペンタセン微粒子の分散液を得て、さらにこの分散液を基板上に塗布してから100℃〜200℃程度の高温に加熱する必要がある。従って、これらの方法は導電性薄膜を効率良く作成するにはいまだ充分ではない。
【特許文献1】米国特許公開第2003/0144562号公報
【特許文献2】米国特許公開第2004/0119073号公報
【特許文献3】米国特許公開第2004/0183070号公報
【特許文献4】特開2005−281180公報
【非特許文献1】Tetrahedoron Letters,46,1981(2005)
【非特許文献2】J.Am.Chem.Soc.2004,126,12740−12741(1994)
【非特許文献3】Synth.Met.,153,1(2005)
【非特許文献4】応用物理 75(3),565〜569(2006)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明はかかる従来技術の現状に鑑み創案されたものであり、その目的は規則性の高い導電性薄膜を簡易な方法で効率良く作成することができる新規なアセン系化合物前駆体およびその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、かかる目的を達成するために、高い溶解性を有し且つ簡易な操作により容易にアセン系化合物を遊離する前駆体について鋭意検討した結果、ケタール架橋型アセン系化合物が多くの有機溶媒に溶けやすいこと、およびケタール架橋型アセン系化合物は酸または塩基性反応試剤の存在下で温和な加熱操作を行なうことによりアセン系化合物を容易に生成することを見出した。さらに、本発明者らはケタール架橋型アセン系化合物がシクロペンタジエン類のDiels−Alder反応および後続する反応を組み合わせる製造方法、またはノルボルネン類のDiels−Alder反応および後続する反応を組み合わせる製造方法により容易に誘導できることを見出した。これらの知見に基づき、本発明者らは本発明を完成するに至った。
【0007】
即ち、本発明によれば、一般式(1)

(式中、nは0以上の整数を表わす。Aは−C(OR)(OR)−を表わし、R、Rはそれぞれ独立したC1〜C6の低級アルキルもしくは相互に結合したC2〜C6の低級アルキレンを表わす。RはH、C1〜C12の低級アルキル、ハロゲン化アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルコキシアルキル、アルキルチオ、またはハロゲンのいずれかを表わす。)で表されるケタール架橋型アセン系化合物が提供される。
【0008】
また、本発明によれば、一般式(2)

(式中、nは0以上の整数を表わす。Aは−C(OR)(OR)−を表わし、R、Rはそれぞれ独立したC1〜C6の低級アルキルもしくは相互に結合したC2〜C6の低級アルキレンを表わす。RはH、C1〜C12の低級アルキル、ハロゲン化アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルコキシアルキル、アルキルチオ、またはハロゲンのいずれかを表わす。X、X、X、Xはハロゲン原子を表わす。)で表されるケタール架橋型ハロゲン系化合物が提供される。
【0009】
また、本発明によれば、一般式(3)

(式中、nは0以上の整数を表わす。Aは−C(OR)(OR)−を表わし、R、Rはそれぞれ独立したC1〜C6の低級アルキルもしくは相互に結合したC2〜C6の低級アルキレンを表わす。RはH、C1〜C12の低級アルキル、ハロゲン化アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルコキシアルキル、アルキルチオ、またはハロゲンのいずれかを表わす。X、X、X、Xはハロゲン原子を表わす。)で表されるケタール架橋型ジオール系化合物が提供される。
【0010】
また、本発明によれば、一般式(4)

(式中、nは0以上の整数を表わす。Aは−C(OR)(OR)−を表わし、R、Rはそれぞれ独立したC1〜C6の低級アルキルもしくは相互に結合したC2〜C6の低級アルキレンを表わす。RはH、C1〜C12の低級アルキル、ハロゲン化アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルコキシアルキル、アルキルチオ、またはハロゲンのいずれかを表わす。X、X、X、Xはハロゲン原子を表わす。)で表されるケタール架橋型ジケト系化合物が提供される。
【0011】
また、本発明によれば、一般式(5)

(式中、nは0以上の整数を表わし、RはH、C1〜C12の低級アルキル、ハロゲン化アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルコキシアルキル、アルキルチオ、またはハロゲンのいずれかを表わす。)で表されるキノン類を
一般式(6)

(式中、Aは−C(OR)(OR)−を表わし、R、Rはそれぞれ独立したC1〜C6の低級アルキルもしくは相互に結合したC2〜C6の低級アルキレンを表わす。X、X、X、Xはハロゲン原子を表わす。)で表されるシクロペンタジエン類と反応させることを特徴とする上記一般式(4)で表されるケタール架橋型ジケト系化合物の製造方法が提供される。
【0012】
また、本発明によれば、上記一般式(4)で表されるケタール架橋型ジケト系化合物を還元することを特徴とする上記一般式(3)で表されるケタール架橋型ジオール系化合物の製造方法が提供される。
【0013】
また、本発明によれば、上記一般式(3)で表されるケタール架橋型ジオール系化合物を脱水することを特徴とする上記一般式(2)で表されるケタール架橋型ハロゲン系化合物の製造方法が提供される。
【0014】
また、本発明によれば、上記一般式(2)で表されるケタール架橋型ハロゲン系化合物を還元的に脱ハロゲン化することを特徴とする上記一般式(1)で表されるケタール架橋型アセン系化合物の製造方法が提供される。
【0015】
また、本発明によれば、一般式(7)

(式中、nは0以上の整数を表わし、RはH、C1〜C12の低級アルキル、ハロゲン化アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルコキシアルキル、アルキルチオ、またはハロゲンのいずれかを表わす。)で表される縮合ベンザイン類を
一般式(6)

(式中、Aは−C(OR)(OR)−を表わし、R、Rはそれぞれ独立したC1〜C6の低級アルキルもしくは相互に結合したC2〜C6の低級アルキレンを表わす。X、X、X、Xはハロゲン原子を表わす。)で表されるシクロペンタジエン類と反応させることを特徴とする上記一般式(2)で表されるケタール架橋型ハロゲン系化合物の製造方法が提供される。
【0016】
さらに、本発明によれば、2つのメチレン置換基を有する
一般式(9)

(式中、Aは−C(OR)(OR)−を表わし、R、Rはそれぞれ独立したC1〜C6の低級アルキルもしくは相互に結合したC2〜C6の低級アルキレンを表わす。)で
表わされるノルボルネン類を
一般式(10)

(式中、nは0以上の整数を表わす。RはH、C1〜C12の低級アルキル、ハロゲン化アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルコキシアルキル、アルキルチオ、またはハロゲンのいずれかを表わす。)で表される縮合ベンザイン類と反応させて
一般式(8)

(式中、nは0以上の整数を表わす。Aは−C(OR)(OR)−を表わし、R、Rはそれぞれ独立したC1〜C6の低級アルキルもしくは相互に結合したC2〜C6の低級アルキレンを表わす。RはH、C1〜C12の低級アルキル、ハロゲン化アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルコキシアルキル、アルキルチオ、またはハロゲンのいずれかを表わす。)で表されるケタール架橋型ジヒドロアセン系化合物を製造し、これを酸化することを特徴とする上記一般式(1)で表されるケタール架橋型アセン系化合物の製造方法が提供される。
【0017】
また、本発明によれば、一般式(1)で表されるケタール架橋型アセン系化合物を原料とすることを特徴とする
一般式(11)

(式中、nは0以上の整数を表わす。Bは−C(=O)−を表わし、RはH、C1〜C12の低級アルキル、ハロゲン化アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルコキシアルキル、アルキルチオ、またはハロゲンのいずれかを表わす。)で表されるCO架橋型アセン系化合物の製造方法が提供される。
【0018】
また、本発明によれば、
一般式(11)

(式中、nは0以上の整数を表わす。Bは−C(=O)−を表わし、RはH、C1〜C12の低級アルキル、ハロゲン化アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルコキシアルキル、アルキルチオ、またはハロゲンのいずれかを表わす。)で表されるCO架橋型アセン系化合物からCOを遊離させることを特徴とする
一般式(12)

(式中、nは0以上の整数を表わし、RはH、C1〜C12の低級アルキル、ハロゲン化アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルコキシアルキル、アルキルチオ、またはハロゲンのいずれかを表わす。)で表されるアセン系化合物の製造方法が提供される。
【発明の効果】
【0019】
本発明のケタール架橋型アセン系化合物は、高い溶解性を有し且つ簡易な操作により容易にアセン系化合物を遊離するため、有機半導体デバイス等の分野で有用な規則性の高い導電性薄膜の材料となるアセン系化合物を簡単な方法で効率良く製造するために用いることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明のケタール架橋型アセン系化合物は、ケタール型の架橋、即ち−C(OR)(OR)−型の架橋を有するアセン系化合物である。この化合物は、次の製造方法(A)または製造方法(B)のいずれかの方法によって製造されることができる。
製造方法(A)では、本発明のケタール架橋型アセン系化合物は、まず対応するケタール架橋型ジケト系化合物を還元することによりケタール架橋型ジオール系化合物に変換し、次に、このジオール系化合物を脱水することによりケタール架橋型ハロゲン系化合物に変換し、最後にこのハロゲン系化合物を還元的脱ハロゲン化することにより製造される(後記反応式(II)〜(IV))。この一連の合成反応の中間原料となるケタール架橋型ジケト系化合物は、キノン類をシクロペンタジエン類と反応させることにより合成することができる(後記反応式(I))。また、この一連の合成反応の中間体であるケタール架橋型ハロゲン系化合物は、縮合ベンザイン類をシクロペンタジエン類と反応させることにより直接合成することもできる(後記反応式(V))。
製造方法(B)では、本発明のケタール架橋型アセン系化合物は、2つのメチレン置換基を有するケタール型ノルボルネン類を出発原料として縮合ベンザイン類と環化付加させ、次いで酸化することによって製造される(後記反応式(VI)、(VII))。
上記の製造方法により製造されたケタール架橋型アセン系化合物は、例えば酸または塩基性反応試剤と反応させることによりCO架橋型アセン系化合物に変換される。この化合物は極めて不安定な中間体であり、通常直ちにCOを遊離してアセン系化合物に変換される。そしてこのアセン系化合物が自己組織化して導電性薄膜を形成する。
【0021】
以下、本発明のケタール架橋型アセン系化合物の製造方法(A)及び(B)を具体的に説明する。
<製造方法(A)>
中間原料となる一般式(4)のケタール架橋型ジケト系化合物は一般式(5)のキノン類と一般式(6)のシクロペンタジエン類とのDiels−Alder反応によって容易に製造することができる。その反応を下記の反応式(I)に示す。

【0022】
このジケト系化合物を還元すると、一般式(3)のケタール架橋型ジオール系化合物が得られる。その反応を下記の反応式(II)に示す。

【0023】
次に、このジオール系化合物を脱水すると、一般式(2)のケタール架橋型ハロゲン系化合物が得られる。その反応を下記の反応式(III)に示す。

【0024】
最後に、このハロゲン系化合物を還元的脱ハロゲン化すると、一般式(1)の本発明のケタール架橋型アセン系化合物が得られる。その反応を下記の反応式(IV)に示す。

【0025】
なお、上記反応式(I)〜(IV)中、nは0以上の整数を表わす。Aは−C(OR)(OR)−を表わし、R、Rはそれぞれ独立したC1〜C6の低級アルキルもしくは相互に結合したC2〜C6の低級アルキレンを表わす。RはH、C1〜C12の低級アルキル、ハロゲン化アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルコキシアルキル、アルキルチオ、またはハロゲンのいずれかを表わす。X、X、X、Xはハロゲン原子を表わす。
【0026】
上記一般式(2)のケタール架橋型ハロゲン系化合物は、一般式(7)の縮合ベンザイン類を一般式(6)のシクロペンタジエン類と反応させることによっても製造することができる。その反応を下記の反応式(V)に示す。

式中、n、A、R、X、X、X、X、Xは反応式(I)〜(IV)について定義されるものと同じである。

【0027】
<製造方法(B)>
一般式(1)のケタール架橋型アセン系化合物は2つのメチレン置換基を有する一般式(9)のケタール型ノルボルネン類と一般式(10)の縮合ベンザイン類とのDiels−Alder反応および後続する酸化反応によっても製造することができる。その反応を下記の反応式(VI)(VII)に示す。

式中、n、A、Rは反応式(I)〜(IV)について定義されるものと同じである。
【0028】
以上のようにして製造された一般式(1)のケタール架橋型アセン系化合物は、酸または塩基性反応試剤の存在下に温和な加熱操作を行なうことにより一般式(11)の不安定なCO架橋型アセン系化合物中間体を経て一般式(12)のアセン系化合物に容易に変換することができる。その反応を下記の反応式(VIII)に示す。

式中、n、A、Rは反応式(I)〜(IV)について定義されるものと同じであり、Bは−C(=O)−を表わす。なお、一般式(1)の化合物から一般式(12)の化合物への変換が一般式(11)の中間体を介することは下記の公知文献1〜5から推定される。
公知文献1:J.Org.Chem.,35,1562−1576(1970)
公知文献2:J.Org.Chem.,35,2410−2411(1970)
公知文献3:Tetrahedoron Letters,4331−4334(1970)
公知文献4:Australian Journal of Chemistry,
26,1751−1762(1973)
公知文献5:J.Org.Chem.,44,1002−1003(1979)
【0029】
次に前記の反応式(I)〜(VIII)によって示される各化合物の製造方法について具体的に説明する。
反応式(I)によって示される一般式(4)のケタール架橋型ジケト系化合物の製造方法
反応式(I)において、一般式(4)の化合物の一方の原料である一般式(5)の化合物は1,4−ナフトキノン、1,4−アントラキノン、テトラセン−1,4−ジオン、ペンタセン−1,4−ジオン、ヘキサセン−1,4−ジオン等のキノン類である。これらの化合物は、市販試薬として容易に入手することができ、あるいは下記の公知文献6〜9を参考に容易に合成することができる。
公知文献6:特開平7−118194
公知文献7:Synthesis,326−8(1986)
公知文献8:J.Org.Chem.,53,6106−9(1988)
公知文献9:J.Org.Chem.,67,2907(2002)
【0030】
反応式(I)において、一般式(4)の化合物の他方の原料である一般式(6)の化合物は1,1−ジメトキシ−2,3,4,5−テトラクロロシクロペンタジエン、1,1−ジエトキシ−2,3,4,5−テトラクロロシクロペンタジエン、1,1−ジメトキシ−2,3,4,5−テトラブロモシクロペンタジエン、1,1−ジプロピル−2,3,4,5−テトラブロモシクロペンタジエンなどのシクロペンタジエン類である。これらの化合物は市販試薬として容易に入手することができ、あるいは公知文献10(J.Am.Chem.Soc.,71,946−951(1949))を参考にシクロペンタジエンのハロゲン化およびアルコキシ化により容易に合成することができる。
【0031】
一般式(6)の化合物の使用量は一般式(5)の化合物1重量部に対して0.5〜10重量部であることが好ましく、さらに好ましくは0.8〜5重量部である。
【0032】
反応式(I)の反応は一般的には常圧〜加圧の条件下、10〜200℃、好ましくは30〜160℃、0.5〜50時間、好ましくは1〜20時間で行うことができる。反応を加速するためにはマイクロ波を効果的に利用することもできる。
【0033】
反応式(I)の反応では必要に応じて溶媒を使用する。溶媒としては、例えばベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、ジエチルベンゼン等の芳香族炭化水素系溶媒;クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼン、フルオロベンゼン、ジフルオロベンゼン、ヘキサフルオロベンゼン、α、α、α−トリフルオロトルエン等のハロゲン化芳香族炭化水素系溶媒;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジグライム、アニソール、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル等のエーテル系溶媒;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン等のアミド系溶媒、アセトニトリル、ブチロニトリル等のニトリル系溶媒などを使用することができる。これらの溶媒は1種単独で使用してもよいし、2種以上を同時に使用してもよい。溶媒の使用量は原料の一般式(5)の化合物1重量部に対して5〜500重量部であることが好ましく、さらに好ましくは5〜300重量部である。
【0034】
反応式(I)の反応生成物の単離方法としては抽出、晶析、カラムクロマトグラフィーもしくはこれらを組み合わせた操作を用いることができる。場合によっては濃縮や溶媒置換を行ってからこれらの操作を行うことが適当である。また、さらに高純度の目的物を得る必要がある場合には単離物に対して抽出、晶析、カラムクロマトグラフィーなどの精製操作をさらに行うことができる。
【0035】
反応式(II)によって示される一般式(3)のケタール架橋型ジオール系化合物の製造方法
一般式(3)の化合物は上記の反応式(I)により得られる一般式(4)の化合物を還元することにより製造される。この反応については、上述の公知文献7〜9を参考にすることができる。
【0036】
反応式(II)の反応に使用できる還元剤としてはホウ素、ケイ素、リチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、鉛、亜鉛、スズ、アンチモニー、バリウム、ゲルマニウム、サマリウム、インジウム、ビスマス等を主要な成分とする多くの試剤を挙げることができるが、特に水素化ホウ素リチウム、水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素カリウム、ボラン、ジメチルアミンボラン、トリメチルアミンボラン、ピリジンボラン等のホウ素系還元剤、水素化リチウムアルミニウム、ジ−i−ブチル水素化アルミウム、トリ−i−プロポキシアルミウム等のアルミニウム系還元剤を好適に使用できる。また、ニッケル、パラジウム、ルテニウム、ロジウム等の遷移金属触媒を使用する均一系もしくは不均一系水素添加反応を利用して反応式(II)の還元反応を行わせることもできる。
【0037】
還元剤としてホウ素系もしくはアルミニウム系還元剤を使用する場合、その使用量は一般式(4)の化合物1重量部に対して2〜12重量部であることが好ましく、さらに好ましくは2〜6重量部である。
【0038】
一般式(3)の化合物の製造に関する反応は一般的には常圧〜加圧の条件下、5〜120℃、好ましくは5〜80℃、0.5〜20時間、好ましくは1〜10時間で行うことができる。反応を加速するためにはマイクロ波を効果的に利用することもできる。
【0039】
反応式(II)の反応では必要に応じて溶媒を使用する。溶媒としては、例えばベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、ジエチルベンゼン等の芳香族炭化水素系溶媒;クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼン、フルオロベンゼン、ジフルオロベンゼン、ヘキサフルオロベンゼン、α、α、α−トリフルオロトルエン等のハロゲン化芳香族炭化水素系溶媒;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジグライム、アニソール、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル等のエーテル系溶媒;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン等のアミド系溶媒などを使用することができる。これらの溶媒は1種単独で使用してもよいし、2種以上を同時に使用してもよい。溶媒の使用量は原料の一般式(4)の化合物1重量部に対して5〜500重量部であることが好ましく、さらに好ましくは5〜300重量部である。
【0040】
反応式(II)の反応生成物の単離方法としては抽出、晶析、カラムクロマトグラフィーもしくはこれらを組み合わせた操作を用いることができる。場合によっては濃縮や溶媒置換を行ってからこれらの操作を行うことが適当である。また、さらに高純度の目的物を得る必要がある場合には単離物に対して抽出、晶析、カラムクロマトグラフィーなどの精製操作をさらに行うことができる。
【0041】
反応式(III)によって示される一般式(2)のケタール架橋型ハロゲン系化合物の製造方法
一般式(2)の化合物は上記の反応式(II)により得られる一般式(3)の化合物を脱水することにより製造される。この反応については、下記の公知文献11、12や前記の公知文献7を参考に行なうことができる。公知文献7のように酸塩化物や酸無水物を反応試剤として適用する場合にはエステル型の反応中間体を経て反応が進行し、反応中間体を単離することなく実質的に1段階的に脱水反応が進行する。なお、反応式(III)の脱水反応については、下記の公知文献13に記載されているように1段階反応以外の種々の方法も適用が可能であり、脱水反応や縮合反応の一般的な手法を広く利用することができる。
公知文献11:J.Org.Chem.,29,123(1964)
公知文献12:J.Org.Chem.,47,2590(1982)
公知文献13:第5版 実験化学講座 13,211〜226(2004)
【0042】
反応式(III)の反応に使用できる反応試剤としてはSOCl−ピリジン、POCl−ピリジン、MeSOCl−SO−コリジン、(MeSO)O−コリジン、無水硫酸、無水硫酸コバルト、無水硫酸銅などのイオウ系反応試剤、無水フタル酸、無水酢酸、無水トリフルオロ酢酸−トリエチルアミンなどのカルボン酸系反応試剤、ポリリン酸、ポリリン酸トリメチルシリルエステルなどのリン酸系反応試剤などを挙げることができる。これらの反応試剤は1種単独で使用してもよいし、2種以上を同時に使用してもよい。これらの反応試剤の使用量は原料の一般式(3)の化合物1重量部に対して2〜40重量部であることが好ましく、さらに好ましくは2〜20重量部である。
【0043】
一般式(2)の化合物の製造に関する反応は一般的には常圧〜加圧の条件下、−30〜300℃、好ましくは−10〜200℃、0.5〜100時間、好ましくは1〜50時間で行うことができる。反応を加速するためにはマイクロ波を効果的に利用することもできる。
【0044】
反応式(III)の反応において酸塩化物や酸無水物を反応試剤として使用する場合には反応を促進するために有機アミン塩基を添加することが有効である。使用できる有機アミン塩基としてはトリメチルアミン、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、N−メチルピペリジン、N−エチルピペリジン、N−メチルモルホリン、N,N−ジメチルピペラジン、1,4−ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン、1−アザビシクロ[2,2,2]オクタン、ジアザビシクロウンデカン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N”,N”−ペンタメチルジエチレントリアミン、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジエチルアニリン、N,N−ジメチルベンジルアミン、ピリジン、ピコリン、コリジン、4−(N,N−ジメチルアミノ)ピリジン、2−(N,N−ジエチルアミノ)ピリジンなどを挙げることができる。これらの有機アミン塩基は1種単独で使用してもよいし、2種以上を同時に使用してもよい。有機アミン塩基の使用量は原料の一般式(3)の化合物1重量部に対して10重量部以上であることが好ましく、溶媒を兼ねて使用することもできる。
【0045】
また、反応式(III)の反応では必要に応じて溶媒を使用する。溶媒としては、例えばベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、ジエチルベンゼン等の芳香族炭化水素系溶媒;クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼン、フルオロベンゼン、ジフルオロベンゼン、ヘキサフルオロベンゼン、α、α、α−トリフルオロトルエン等のハロゲン化芳香族炭化水素系溶媒;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジグライム、アニソール、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル等のエーテル系溶媒;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン等のアミド系溶媒、アセトニトリル、ブチロニトリル等のニトリル系溶媒などを使用することができる。これらの溶媒は1種単独で使用してもよいし、2種以上を同時に使用してもよい。溶媒の使用量は原料の一般式(3)の化合物1重量部に対して5〜500重量部であることが好ましく、さらに好ましくは5〜300重量部である。
【0046】
反応式(III)の反応生成物の単離方法としては抽出、晶析、カラムクロマトグラフィーもしくはこれらを組み合わせた操作を用いることができる。場合によっては濃縮や溶媒置換を行ってからこれらの操作を行うことが適当である。また、さらに高純度の目的物を得る必要がある場合には単離物に対して抽出、晶析、カラムクロマトグラフィーなどの精製操作をさらに行うことができる。
【0047】
反応式(IV)によって示される一般式(1)のケタール架橋型アセン系化合物の製造方法
一般式(1)の化合物は上記の反応式(III)により得られる一般式(2)の化合物を還元剤を用いて脱ハロゲン化することにより製造される。この反応については、下記の公知文献14〜16を参考に行うことができる。
公知文献14:J.Org.Chem.,36,1996(1971)
公知文献15:J.Am.Chem.Soc.,109,3258(1987)
公知文献16:特開2001−218866
【0048】
反応式(IV)の反応に使用可能な還元剤は実質的にハイドライドを生成するものであり、その例としては金属とアルコール類の組合せ、金属水素化物、ホウ素系還元剤、アルミニウム系還元剤などを挙げることができる。金属とアルコール類の組み合わせを還元剤として使用する場合、使用可能な金属としてはリチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、アンチモニー、バリウム、ゲルマニウム、サマリウム、インジウム、ビスマス等などを挙げることができ、使用可能なアルコール類としてはメタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、アミルアルコール、ベンジルアルコールなどを挙げることができる。この場合、金属の使用量は原料の一般式(2)の化合物1重量部に対して2〜200重量部であることが好ましく、さらに好ましくは4〜80重量部である。アルコール類の使用量は原料の一般式(2)の化合物1重量部に対して4重量部以上であることが好ましく、溶媒を兼ねて使用することもできる。
【0049】
反応式(IV)の反応に使用できるその他の還元剤としてはホウ素、ケイ素、リチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、アンチモニー、バリウム、ゲルマニウム、サマリウム、インジウム、ビスマス等を主要な成分とする多くの試剤を挙げることができるが、特に水素化リチウム、水素化ナトリウム、水素化カルシウム、水素化ホウ素リチウム、水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素カリウム、ボラン、ジメチルアミンボラン、トリメチルアミンボラン、ピリジンボラン、水素化リチウムアルミニウム、ジ−i−ブチル水素化アルミウム等を好適に使用できる。
【0050】
これらの還元剤の使用量は一般式(2)の化合物1重量部に対して2〜200重量部であることが好ましく、さらに好ましくは4〜80重量部である。
【0051】
一般式(1)の化合物の製造に関する反応は一般的には常圧〜加圧の条件下、−50〜200℃、好ましくは−30〜150℃、0.5〜100時間、好ましくは1〜60時間で行うことができる。反応を加速するためにはマイクロ波を効果的に利用することもできる。
【0052】
反応式(IV)の反応では必要に応じて溶媒を使用する。溶媒としては、例えばベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、ジエチルベンゼン等の芳香族炭化水素系溶媒;クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼン、フルオロベンゼン、ジフルオロベンゼン、ヘキサフルオロベンゼン、α、α、α−トリフルオロトルエン等のハロゲン化芳香族炭化水素系溶媒;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジグライム、アニソール、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル等のエーテル系溶媒;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン等のアミド系溶媒、ピリジン、ピコリン、コリジン等のピリジン系溶媒を使用することができる。これらの溶媒は1種単独で使用してもよいし、2種以上を同時に使用してもよい。溶媒の使用量は原料の一般式(2)の化合物1重量部に対して5〜500重量部であることが好ましく、さらに好ましくは5〜300重量部である。
【0053】
反応式(IV)の反応では、還元反応性を高めるために必要に応じて相間移動触媒を併用する。使用できる相間移動触媒としては例えばテトラ−N−ブチルアンモニウムブロミド、N−ベンジルトリメチルアンモニウムクロリド、N−ベンジルトリメエチルモニウムブロミドなどの四級アンモニウム塩類、18−クラウン−5、18−クラウン−6、ベンゾ−15−クラウン−5、ベンゾ−18−クラウン−6、ジベンゾ−18−クラウン−6、5,6−ベンゾ−4,7,13,16,21,24−ヘキサオクサ−1,10−ジアザビシクロ[8,8,8]ヘキサコサンなどのクラウンエーテル類、[(MeN)P=N]]OH、[(MeN)P=N]]Cl、[(MeN)P=N]]Brなどのホスファゼン塩を挙げることができる。相間移動触媒の使用量は原料の一般式(2)の化合物1重量部に対して0.0001〜0.1重量部であることが好ましく、さらに好ましくは0.0005〜0.05重量部である。
【0054】
反応式(IV)の反応生成物の単離方法としては抽出、晶析、カラムクロマトグラフィーもしくはこれらを組み合わせた操作を用いることができる。場合によっては濃縮や溶媒置換を行ってからこれらの操作を行うことが適当である。また、さらに高純度の目的物を得る必要がある場合には単離物に対して抽出、晶析、カラムクロマトグラフィーなどの精製操作をさらに行うことができる。
【0055】
反応式(V)によって示される一般式(2)のケタール架橋型ハロゲン系化合物の製造方法
一般式(2)の化合物は上記反応式(I)の原料である一般式(6)の化合物を一般式(7)の化合物と反応させることによっても製造することができる。一般式(7)の化合物は下記の公知文献17、18を参考にアセン系3−ジアゾニウム−2−カルボン酸類から反応系内において活性中間体として得ることができる。また、一般式(7)の化合物は下記の公知文献19を参考にアセン系2,3−ジハロゲン化物から反応系内において活性中間体として得ることもできる。
公知文献17:J.Chem.Soc.(C),2162(1970)
公知文献18:European Polym.J.,27,27−33(1991)
公知文献19:Tetrahedron,59,6609−6614(2003)
【0056】
反応式(V)の反応で用いる一般式(7)の化合物の原料として用いられるアセン系3−ジアゾニウム−2−カルボン酸類は前記の公知文献17、18を参考にナフタレン−2−アミノ−3−カルボン酸、アントラセン−2−アミノ−3−カルボン酸、テトラセン−2−アミノ−3−カルボン酸等のアセン系2−アミノ−3−カルボン酸類に亜硝酸シクロヘキシル、亜硝酸イソアミル、亜硝酸イソプロピル等の亜硝酸エステル類を反応させることにより得ることができる。アセン系3−ジアゾニウム−2−カルボン酸類は結晶として単離することができるが単離せずに使用することも可能である。
アセン系3−ジアゾニウム−2−カルボン酸類は加熱条件下でNおよびCOガスを遊離して一般式(7)の化合物に転化される。一般式(7)の化合物は高い反応性を有し、原料の一般式(6)の化合物(前記反応式(I)参照)と反応して目的とする一般式(2)のケタール架橋型ハロゲン系化合物を生成する。
【0057】
反応式(V)の反応に用いられるアセン系3−ジアゾニウム−2−カルボン酸類の使用量は原料の一般式(6)の化合物1重量部に対して1〜10重量部であることが好ましく、さらに好ましくは1〜5重量部である。アセン系3−ジアゾニウム−2−カルボン酸類をアセン系2−アミノ−3−カルボン酸類から反応系内で調製してそのまま使用する場合、アセン系2−アミノ−3−カルボン酸類の使用量は原料の一般式(6)の化合物1重量部に対して1〜12重量部であることが好ましく、さらに好ましくは1〜6重量部であり、亜硝酸エステル類の使用量は原料の一般式(6)の化合物1重量に対して1〜20重量部であることが好ましく、さらに好ましくは1〜10重量部である。
【0058】
アセン系3−ジアゾニウム−2−カルボン酸類を使用する場合、一般式(2)の化合物の製造に関する反応は一般的には常圧条件下、0〜200℃、好ましくは0〜140℃、0.1〜20時間、好ましくは0.2〜10時間で行うことができる。
【0059】
また、反応式(V)の反応の一般式(7)の化合物の原料としては、2−フルオロ−3−ヨードナフタレン、2−フルオロ−3−ブロモナフタレン、2−クロロ−3−ヨードナフタレン、2−クロロ−3−ブロモナフタレン、2,3−ジヨードナフタレン、2,3−ジブロモナフタレン、2,3−ジヨードアントラセン、2,3−ジブロモアントラセン、2,3−ジブロモアントラセン、2,3−ジヨードテトラセン、2,3−ジブロモテトラセンなどのアセン系2,3−ジハロゲン化物を用いることもできる。これらは反応系内においてLi,Na,Kなどのアルカリ金属類もしくはMeLi,n−BuLi,t−BuLi,(i−Pr)NLiなどアルカリ有機金属類との反応により縮合ベンザイン類に転化されると直ちに原料の一般式(6)の化合物と反応して目的とする一般式(2)のケタール架橋型ハロゲン系化合物を生成する。
【0060】
反応式(V)の反応に用いられるアセン系2,3−ジハロゲン化物の使用量は原料の一般式(6)の化合物1重量部に対して1〜4重量部であることが好ましく、さらに好ましくは1〜2重量部であり、アルカリ金属類もしくはアルカリ有機金属類の使用量は原料の一般式(6)の化合物1重量に対して1〜6重量部であることが好ましく、さらに好ましくは1〜3重量部である。
【0061】
アセン系2,3−ジハロゲン化物を使用する場合、一般式(2)の化合物の製造に関する反応は一般的には常圧〜加圧の条件下、−90〜120℃、好ましくは−60〜100℃、1〜50時間、好ましくは1〜30時間で行うことができる。
【0062】
反応式(V)の反応では必要に応じて溶媒を使用する。溶媒としては、例えばベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、ジエチルベンゼン等の芳香族炭化水素系溶媒;クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼン、フルオロベンゼン、ジフルオロベンゼン、ヘキサフルオロベンゼン、α、α、α−トリフルオロトルエン等のハロゲン化芳香族炭化水素系溶媒;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジグライム、アニソール、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル等のエーテル系溶媒;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン等のアミド系溶媒、アセトニトリル、ブチロニトリル等のニトリル系溶媒などを使用することができる。これらの溶媒は1種単独で使用してもよいし、2種以上を同時に使用してもよい。溶媒の使用量は原料の一般式(6)の化合物1重量部に対して5〜500重量部であることが好ましく、さらに好ましくは5〜300重量部である。
【0063】
反応式(V)の反応生成物の単離方法としては抽出、晶析、カラムクロマトグラフィーもしくはこれらを組み合わせた操作を用いることができる。場合によっては濃縮や溶媒置換を行ってからこれらの操作を行うことが適当である。また、さらに高純度の目的物を得る必要がある場合には単離物に対して抽出、晶析、カラムクロマトグラフィーなどの精製操作をさらに行うことができる。
【0064】
反応式(VI)によって示される一般式(8)のケタール架橋型ジヒドロアセン系化合物の製造方法
一般式(8)のケタール架橋型ジヒドロアセン系化合物は2つのメチレン置換基を有する一般式(9)のケタール型ノルボルネン類および一般式(10)の縮合ベンザイン類を用いてDiels−Alder反応を行うことによって製造することができる。本
反応に用いる縮合ベンザイン類(10)は高い反応性を有し、ケタール型ノルボルネン類(9)のジエンと反応してケタール架橋型ジヒドロアセン系化合物(8)を生成する。
【0065】
出発原料のケタール型ノルボルネン類(9)は下記の公知文献20を参考に容易に得ることができる。また、縮合ベンザイン類(10)との環化反応は下記の公知文献21を参考にすることができる。本反応に用いられる縮合ベンザイン類(10)は前記の反応式(V)に用いられる縮合ベンザイン類(7)と同類であり、前記の公知文献17、18に記載されているようにアセン系3−ジアゾニウム−2−カルボン酸類から、あるいは前記の公知文献19を参考にアセン系2,3−ジハロゲン化物から反応系内において活性中間体として得ることができる。
公知文献20:Helvetica Chimica Acta,68,236−247(1985)
公知文献21:J.Am.Chem.Soc.,128,9612−9613(2006)
【0066】
縮合ベンザイン類(10)は前記の反応式(V)に用いられる一般式(7)の縮合ベンザイン類と同様に調製し、反応に用いることができる。
即ち、原料として用いられるアセン系3−ジアゾニウム−2−カルボン酸類は前記の公知文献17、18を参考にナフタレン−2−アミノ−3−カルボン酸、アントラセン−2−アミノ−3−カルボン酸、テトラセン−2−アミノ−3−カルボン酸等のアセン系2−アミノ−3−カルボン酸類に亜硝酸シクロヘキシル、亜硝酸イソアミル、亜硝酸イソプロピル等の亜硝酸エステル類を反応させることにより得ることができる。アセン系3−ジアゾニウム−2−カルボン酸類は結晶として単離することができるが単離せずに使用することも可能である。
アセン系3−ジアゾニウム−2−カルボン酸類は加熱条件下でNおよびCOガスを遊離して一般式(10)の化合物に転化される。一般式(10)の化合物は高い反応性を有し、原料の一般式(9)の化合物と反応して目的とする一般式(8)のケタール架橋型ジヒドロアセン系化合物を生成する。
【0067】
本反応に用いられるアセン系3−ジアゾニウム−2−カルボン酸類の使用量は原料の一般式(9)の化合物1重量部に対して1〜10重量部であることが好ましく、さらに好ましくは1〜5重量部である。アセン系3−ジアゾニウム−2−カルボン酸類をアセン系2−アミノ−3−カルボン酸類から反応系内で調製してそのまま使用する場合、アセン系2−アミノ−3−カルボン酸類の使用量は原料の一般式(9)の化合物1重量部に対して1〜12重量部であることが好ましく、さらに好ましくは1〜6重量部であり、亜硝酸エステル類の使用量は原料の一般式(9)の化合物1重量に対して1〜20重量部であることが好ましく、さらに好ましくは1〜10重量部である。
【0068】
アセン系3−ジアゾニウム−2−カルボン酸類を使用する場合、一般式(8)の化合物の製造に関する反応は一般的には常圧条件下、0〜200℃、好ましくは0〜140℃、0.1〜20時間、好ましくは0.2〜10時間で行うことができる。
【0069】
また、反応式(VI)の反応の一般式(10)の化合物の原料としては、2−フルオロ−3−ヨードナフタレン、2−フルオロ−3−ブロモナフタレン、2−クロロ−3−ヨードナフタレン、2−クロロ−3−ブロモナフタレン、2,3−ジヨードナフタレン、2,3−ジブロモナフタレン、2,3−ジヨードアントラセン、2,3−ジブロモアントラセン、2,3−ジブロモアントラセン、2,3−ジヨードテトラセン、2,3−ジブロモテトラセンなどのアセン系2,3−ジハロゲン化物を用いることもできる。これらは反応系内においてLi,Na,Kなどのアルカリ金属類もしくはMeLi,n−BuLi,t−BuLi,(i−Pr)NLiなどアルカリ有機金属類との反応により縮合ベンザイン類に転化されると直ちに原料の一般式(9)の化合物と反応して目的とする一般式(8)のジヒドロ型中間体を生成する。
【0070】
反応式(VI)の反応に用いられるアセン系2,3−ジハロゲン化物の使用量は原料の一般式(9)の化合物1重量部に対して1〜4重量部であることが好ましく、さらに好ましくは1〜2重量部であり、アルカリ金属類もしくはアルカリ有機金属類の使用量は原料の一般式(9)の化合物1重量に対して1〜6重量部であることが好ましく、さらに好ましくは1〜3重量部である。
【0071】
アセン系2,3−ジハロゲン化物を使用する場合、一般式(8)の化合物の製造に関する反応は一般的には常圧〜加圧の条件下、−90〜120℃、好ましくは−60〜100℃、0.5〜50時間、好ましくは1〜30時間で行うことができる。
【0072】
反応式(VI)の反応では必要に応じて溶媒を使用する。溶媒としては、例えばベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、ジエチルベンゼン等の芳香族炭化水素系溶媒;クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼン、フルオロベンゼン、ジフルオロベンゼン、ヘキサフルオロベンゼン、α、α、α−トリフルオロトルエン等のハロゲン化芳香族炭化水素系溶媒;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジグライム、アニソール、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル等のエーテル系溶媒;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン等のアミド系溶媒、アセトニトリル、ブチロニトリル等のニトリル系溶媒などを使用することができる。これらの溶媒は1種単独で使用してもよいし、2種以上を同時に使用してもよい。溶媒の使用量は原料の一般式(9)の化合物1重量部に対して5〜500重量部であることが好ましく、さらに好ましくは5〜300重量部である。
【0073】
反応式(VI)の反応生成物の単離方法としては抽出、晶析、カラムクロマトグラフィーもしくはこれらを組み合わせた操作を用いることができる。場合によっては濃縮や溶媒置換を行ってからこれらの操作を行うことが適当である。また、さらに高純度の目的物を得る必要がある場合には単離物に対して抽出、晶析、カラムクロマトグラフィーなどの精製操作をさらに行うことができる。
【0074】
反応式(VII)によって示される一般式(1)のケタール架橋型アセン系化合物の製造方法
一般式(1)のケタール架橋型アセン系化合物は反応式(VI)により製造されるジヒドロ型アセン系化合物(8)を酸化することにより製造することができる。この酸化反応は前記の公知文献(21)を参考にすることができる。
【0075】
本反応に用いられる酸化剤としては2,3,5,6−テトラクロロ−p−ベンゾキノン,2,3−ジクロロ−5,6−ジシアノ−1,4−ベンゾキノン等のベンゾキノン類、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル、4,4’−アゾビス−4−シアノ吉草酸、1−アゾビス−1−シクロヘキサンカルボニトリル、ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレート等の低温分解性のアゾ化合物が挙げられる。
【0076】
酸化剤の使用量は一般式(8)の化合物1重量部に対して1〜10重量部であることが好ましく、さらに好ましくは1〜5重量部である。
【0077】
前記の酸化剤を使用する場合、一般式(1)の化合物の製造に関する反応は一般的には常圧条件下、0〜200℃、好ましくは0〜150℃、1〜50時間、好ましくは1〜30時間で行うことができる。
【0078】
反応式(VII)の反応では必要に応じて溶媒を使用する。溶媒としては、例えばベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、ジエチルベンゼン等の芳香族炭化水素系溶媒;クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼン、フルオロベンゼン、ジフルオロベンゼン、ヘキサフルオロベンゼン、α、α、α−トリフルオロトルエン等のハロゲン化芳香族炭化水素系溶媒;ジクロロメチレン、クロロホルム、ジクロロエタン等のハロゲン系炭化水素、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジグライム、アニソール、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル等のエーテル系溶媒;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン等のアミド系溶媒、アセトニトリル、ブチロニトリル等のニトリル系溶媒などを使用することができる。これらの溶媒は1種単独で使用してもよいし、2種以上を同時に使用してもよい。溶媒の使用量は原料の一般式(8)の化合物1重量部に対して5〜500重量部であることが好ましく、さらに好ましくは5〜300重量部である。
【0079】
反応式(VII)の反応生成物の単離方法としては抽出、晶析、カラムクロマトグラフィーもしくはこれらを組み合わせた操作を用いることができる。場合によっては濃縮や溶媒置換を行ってからこれらの操作を行うことが適当である。また、さらに高純度の目的物を得る必要がある場合には単離物に対して抽出、晶析、カラムクロマトグラフィーなどの精製操作を行うことができる。
【0080】
反応式(VIII)によって示される一般式(12)のアセン系化合物の製造方法
本発明の製造方法が最終目的とする一般式(12)の化合物は一般式(1)のケタール架橋型アセン系化合物を原料として、例えば酸を反応させることにより容易に製造することができる。この反応については、前記の公知文献1〜5を参考にすることができる。一般式(1)の化合物のように分子内にケタール構造を有する化合物は一般的にプロトン触媒の存在下に分解しやすい性質があり、酸を反応させるとアルコールが遊離して反応式(VIII)に示すように一般式(11)のケトン反応中間体になるものと考えられる。このケトン反応中間体は前記の公知文献1〜5に記載されているように極めて不安定な化合物であり、直ちにCOを遊離して一般式(12)のアセン系化合物に変換される。
反応式(VIII)の反応に使用できる酸は無機酸、有機酸のいずれであってもよく、例えば塩酸、硫酸、硝酸、ヨウ化水素酸、フッ化水素酸、ギ酸、酢酸、フルオロ酢酸、トリフルオロ酢酸、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、およびこれらの水溶液を挙げることができる。
また、反応式(VIII)の反応はケタール構造の活性な炭素原子に求核反応性を有する塩基性反応試剤の作用によっても進行する可能性がある。
反応式(VIII)の反応に使用できる塩基性反応試剤としては無機塩基や、有機アミン類を挙げることができ、具体的には水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、ヒドラジン、およびこれらの水溶液を挙げることができる。
【0081】
これらの酸または塩基性反応試剤の使用量は一般式(1)の化合物1重量部に対して酸の場合は0.001〜100重量部であることが好ましく、塩基性反応試剤の場合は0.001〜100重量部であることが好ましい。水の使用量は1〜100重量部であることが好ましいが、反応の進行に問題ない場合は溶媒を兼ねて過剰量を使用することもできる。
【0082】
一般式(12)の化合物の製造に関する反応は一般的には常圧条件下、0〜120℃、好ましくは−10〜100℃、0.001〜3時間、好ましくは0.001〜1時間で行うことができる。
【0083】
反応式(VIII)の反応では必要に応じて溶媒を使用する。溶媒としては、例えばベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、ジエチルベンゼン等の芳香族炭化水素系溶媒;クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼン、フルオロベンゼン、ジフルオロベンゼン、ヘキサフルオロベンゼン、α、α、α−トリフルオロトルエン等のハロゲン化芳香族炭化水素系溶媒;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジグライム、アニソール、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル等のエーテル系溶媒;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン等のアミド系溶媒、アセトニトリル、ブチロニトリル等のニトリル系溶媒などを使用することができる。これらの溶媒は1種単独で使用してもよいし、2種以上を同時に使用してもよい。溶媒の使用量は一般式(1)の化合物1重量部に対して0〜500重量部であることが好ましく、さらに好ましくは0〜300重量部である。
【0084】
反応式(VIII)の反応生成物の単離方法としては抽出、晶析、カラムクロマトグラフィーもしくはこれらを組み合わせた操作を用いることができる。場合によっては濃縮や溶媒置換を行ってからこれらの操作を行うことが適当である。また、さらに高純度の目的物を得る必要がある場合には単離物に対して抽出、晶析、カラムクロマトグラフィーなどの精製操作をさらに行うことができる。
【0085】
反応式(VIII)の反応は実際には、一般式(1)のケタール架橋型アセン系化合物を溶媒に溶解させて溶液とし、この溶液をデバイスの製造に適した基板(例えばガラス、サファイヤ、ジルコニアなどのセラミックス、シリコン、アルミニウムなどの無機系材料、あるいはプラスチックスなどの有機系材料)に付与し、次に酸または塩基性反応試剤で処理して温和に加熱することによって実施することができる。溶液中の一般式(1)のケタール架橋型アセン系化合物は酸または塩基性反応試剤の存在下で加熱によりアセン系化合物に変換され、自己組織化して基体上に導電性薄膜を形成する。従って、本発明の方法によれば規則性の高い導電性薄膜を簡易な方法で効率良く作成することができる。
【実施例】
【0086】
以下本発明の内容を実施例により具体的に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
本実施例で合成もしくは検討した化合物例(I−a)〜(VII−a)および(I−b)〜(VII−b)を以下に示す。

【0087】
実施例1:反応式(I)に従った化合物(I−a)の合成
窒素で置換した四つ口フラスコに1,4−ナフトキノン6.38g、1,1−ジメトキシ−2,3,4,5−テトラクロロシクロペンタジエン5.28g、キシレン60mlを仕込み、3時間加熱還流した。反応終了後、反応液を冷却すると結晶が析出した。結晶をろ過、洗浄してから乾燥することにより白色粉状の目的化合物(I−a)を6.51g(収率77%)得た。そのNMRデータを以下に示す。
H−NMR](CDCl3:δ)3.60(s,3H),3.70(s,3H),3.87(s2H),7.72〜7.76(m,2H),7.97〜8.01(m,2H)
【0088】
実施例2:反応式(I)に従った化合物(I−b)の合成
窒素で置換した四つ口フラスコにテトラセン−1,4−ジオン2.58g、1,1−ジメトキシ−2,3,4,5−テトラクロロシクロペンタジエン5.28g、キシレン15mlを仕込み、20時間加熱還流した。反応終了後、反応液を冷却すると黄色結晶が析出した。結晶をろ過、洗浄してから乾燥することにより目的化合物(I−b)を2.30g(収率44%)得た。そのNMRデータを以下に示す。
H−NMR](CDCl3:δ)3.61(s,3H),3.73(s,3H),3.95(s,2H),7.57〜7.64(m,2H),8.05〜8.12(2H,m),8.67(s,2H),8.76(s,2H)
【0089】
実施例3:反応式(II)に従った化合物(II−a)の合成
窒素で置換した四つ口フラスコに実施例1で合成した化合物(I−a)6.03gをメタノール100mlに溶解し、−3℃に冷却してから水素化ホウ素ナトリウム2.20gを添加し、−5〜0℃で1時間攪拌した。反応終了後、反応液を大量の氷水中に希釈すると結晶が析出した。結晶をろ過、洗浄してから乾燥することにより白色粉状の目的化合物(II−a)を5.56g(収率84%)得た。そのNMRデータを以下に示す。
H−NMR](CDCl3:δ)2.98〜3.00(m,2H),3.22〜3.24(m,2H),3.56(s,3H),3.59(s,3H),4.98〜5.02(m,2H),7.36〜7.39(m,4H)
【0090】
実施例4:反応式(II)に従った化合物(II−b)の合成
窒素で置換した四つ口フラスコに実施例2で合成した化合物(I−b)2.60gをジメチルホルムアミド50mlに溶解し、氷水で冷却してから水素化ホウ素ナトリウム760mgを添加し、常温で1時間攪拌した。反応終了後、反応液を大量の氷水中に希釈すると黄色結晶が析出した。結晶をろ過、洗浄してから乾燥することにより目的化合物(II−b)を2.29g(収率87%)得た。そのNMRデータを以下に示す。
H−NMR](CDCl3:δ)3.09〜3.11(m,2H),3.36〜3.40(m,2H),3.58(s,3H),3.61(s,3H),5.25(d,2H),7.48〜7.53(m,2H),7.97(s,2H),8.00〜8.05(m,2H),8.42(s,2H)
【0091】
実施例5:反応式(III)に従った化合物(III−a)の合成
窒素で置換した四つ口フラスコに前記の実施例3で合成した化合物(II−a)940mg、キシレン25ml、無水硫酸銅1.50gを仕込み、140℃で3時間加熱攪拌した。反応終了後、反応液を減圧濃縮してからアルミナカラムクロマトグラフィーを行い、さらに単離した粗生成物をヘプタン再結晶により精製することにより白色粉状の目的化合物(III−a)を560mg(収率72%)得た。そのNMRデータを以下に示す。
H−NMR](CDCl3:δ)3.39(s,3H),3.69(s,3H),7.50〜7.55(m,2H),7.78(s,2H),7.84〜7.89(m,2H)
【0092】
実施例6:反応式(III)に従った化合物(III−b)の合成
窒素で置換した四つ口フラスコに前記の実施例4で合成した化合物(II−b)2.20g、キシレン90ml、無水硫酸銅3.15gを仕込み、140℃で6時間加熱攪拌した。反応終了後、不溶物をろ過により除いてから反応液を減圧濃縮し、次いでアルミナカラムクロマトグラフィーを行った。単離した粗生成物をさらにヘプタン再結晶により精製することにより黄色結晶の目的化合物(III−b)を800mg(収率39%)得た。そのNMRデータを以下に示す。そのNMRデータを以下に示す。
H−NMR](CDCl3:δ)3.45(s,3H),3.72(s,3H),7.41−7.46(m,2H),7.85(s,2H),8.00−8.04(m,2H),8.61(s,2H),8.65(s,2H)
【0093】
実施例7:反応式(IV)に従った化合物(IV−a)の合成
窒素で置換した四つ口フラスコに前記の実施例5で合成した化合物(III−a)780mg、テトラヒドロフラン20ml、および水素化リチウムアルミニウム3.53gを仕込み、常温にて2日間攪拌した。反応終了後、不溶物をろ過により除いてから反応液を濃縮した。さらに濃縮物についてトルエン抽出および再結晶を行なうことにより白色粉状の目的化合物(IV−a)を260mg(収率52%)得た。そのNMRデータを以下に示す。
H−NMR](CDCl3:δ)3.08(s,3H),3.30(s,3H),4.08〜4.11(m,2H),6.68〜6.71(m,2H),7.36〜7.40(m,2H),7.59(s,2H),7.69〜7.73(m,2H)
【0094】
実施例8:反応式(IV)に従った化合物(IV−b)の合成
窒素で置換した四つ口フラスコに前記の実施例6で合成した化合物(III−b)980mg、テトラヒドロフラン100mlをし込み、−20℃に冷却してから水素化リチウムアルミニウム3.53gを添加した。次いで−20〜0℃の冷却下に40時間反応した。反応終了後、不溶物をろ過により除いてから反応液を濃縮した。さらに濃縮物についてトルエン抽出および再結晶を行なうことにより黄色粉状の目的化合物(IV−b)を230mg(収率33%)得た。そのNMRデータを以下に示す。
H−NMR](CDCl3:δ)3.13(s,3H),3.36(s,3H),4.14〜4.17(m,2H),6.75〜6.78(m,2H),7.40〜7.44(m,2H),7.66(s,2H),7.76〜7.80(m,2H),8.36(s,2H),8.40(s,2H)
【0095】
実施例9:反応式(VIII)に従った化合物(VI−a)の合成
アルゴンガスで置換した四つ口フラスコに前記の実施例7で合成した化合物(IV−a)25mg、テトラヒドロフラン5mlをし込み、50℃に加熱してから酢酸0.1gを加え、さらに10分間加熱攪拌した。反応終了後、反応液を濃縮し、含水メタノールを加えると白色結晶が析出した。析出物をろ過、乾燥し、12mg(収率67%)を単離した。得られた結晶についてMassスペクトル(M178)およびH−NMRを測定し、アントラセン(化合物VI−a)であることを確認した。そのNMRデータを以下に示す。
H−NMR](CDCl3:δ)7.41〜7.48(m,4H),7.95〜8.02(m,4H),8.41(s,2H)
なお、本反応の中間生成物と推定される化合物(V−a)の検出反応をNMR測定用のガラスチューブ中、CDClおよびトリフルオロ酢酸を用いて−90℃の低温で行ったが化合物(V−a)を検出することはできなかった。
【0096】
実施例10:反応式(VIII)に従った化合物(VI−b)の合成
アルゴンガスで置換した四つ口フラスコに前記の実施例8で合成した化合物(IV−b)35mg、テトラヒドロフラン10mlをし込み、50℃に加熱してから酢酸0.2gを加え、さらに10分間加熱攪拌すると黒青色の結晶が析出した。反応終了後、反応液を濃縮し、析出物をろ過、乾燥して黒青色の粉状結晶16mg(収率58%)を単離した。得られた結晶についてTOFF−Massスペクトル(M278)を測定し、ペンタセン(VI−b)であることを確認した。
なお、本反応の中間生成物と推定される化合物(V−b)の検出反応をNMR測定用のガラスチューブ中、CDClおよびトリフルオロ酢酸を用いて−90℃の低温で行ったが実施例10と化合物(V−b)を同様に検出することはできなかった。
【0097】
実施例11:反応式(V)に従った化合物(III−a)の直接的合成
窒素で置換した四つ口フラスコに1,1−ジメトキシ−2,3,4,5−テトラクロロシクロペンタジエン1.00g、1,2−ジメトキシエタン20mlを仕込み、84〜88℃に加熱してからナフトエ酸ジアゾニウム塩1.50gの1,2−ジメトキシエタン溶液50mlを滴下し、さらに84〜88℃で3時間加熱攪拌した。反応終了後、反応液のHPLC分析により目的化合物(III−a)の生成(収率66%)が確認された。
【0098】
実施例12:反応式(VI)に従った化合物(VII−a)の合成
窒素で置換した四つ口フラスコに7,7−ジメトキシ−2,3−ジメチリデン−5−ノルボルネン360mg、2,3−ジブロモベンゼン480mg、トルエン40mlを仕込み、−50℃に冷却してからn−ブチルリチウムのヘキサン溶液(3mmol)を滴下した。次いで−60〜−40℃で5時間攪拌し、さらに室温で一晩攪拌した。反応後、少量のメタノールを添加してから反応液を濃縮し、濃縮物についてトルエン抽出および再結晶を行なうことにより白色粉状の目的化合物(VII−a)を350mg(収率69%)得た。そのNMRデータを以下に示す。
H−NMR](CDCl3:δ)3.02(s,3H),3.24(s,3H),3.74(s,4H),4.02〜4.06(m,2H),6.66〜6.70(m,2H),7.35〜7.40(m,2H),7.66〜7.72(m,2H)
【0099】
実施例13:反応式(VII)に従った化合物(IV−a)の合成
窒素で置換した四つ口フラスコに実施例12で得た化合物(VII−a)250mg、2,3−ジクロロ−5,6−ジシアノ−1,4−ベンゾキノン450mg、トルエン40mlを仕込み、3時間加熱還流した。一晩放置後に不溶物をろ過し、得られた反応ろ液を濃縮した。濃縮物についてさらに再結晶を行なうことにより白色粉状の目的化合物(IV−a)を200mg(収率79%)得た。実施例7で得られた化合物と同じであることをNMRデータにより確認した。この化合物のNMRデータは実施例7と同じであることを確認した。
【0100】
実施例14:反応式(VI)に従った化合物(VII−b)の合成
窒素で置換した四つ口フラスコに7,7−ジメトキシ−2,3−ジメチリデン−5−ノルボルネン360mg、2,3−ジブロモアントラセン740mg、トルエン50mlを仕込み、−50℃に冷却してからn−ブチルリチウムのヘキサン溶液(3mmol)を滴下した。次いで−60〜−40℃で5時間攪拌し、さらに室温で一晩攪拌した。反応後、少量のメタノールを添加してから反応液を濃縮し、濃縮物についてトルエン抽出および再結晶を行なうことにより白色粉状の目的化合物(VII−b)を450mg(収率64%)
得た。[H−NMR](CDCl3:δ)3.06(s,3H),3.29(s,3H),3.78(s,4H),4.05〜4.08(m,2H),6.71〜6.74(m,2H),7.41〜7.45(m,2H),7.62(s,2H),7.72〜7.75(m,2H),8.30(s,2H)
【0101】
実施例15:反応式(VII)に従った化合物(IV−b)の合成
窒素で置換した四つ口フラスコに実施例14で得た化合物(VII−b)350mg、2,3−ジクロロ−5,6−ジシアノ−1,4−ベンゾキノン450mg、トルエン40mlを仕込み、3時間加熱還流した。一晩放置後に不溶物をろ過し、得られた反応ろ液を濃縮した。濃縮物についてさらに再結晶を行なうことにより黄色粉状の目的化合物(IV−b)を270mg(収率77%)得た。この化合物のNMRデータは実施例8と同じであることを確認した。
【0102】
溶解度試験
本発明の一般式(1)のケタール架橋型アセン系化合物が対応するアセン系化合物より極めて高い溶解度を有することを確認するため、実施例7、8、9および10で合成した化合物(IV−a)、(IV−b)、(VIa)および(VI−b)の溶解度を25℃にて測定した。結果を以下の表に示す。

【0103】
表から明らかな通り、本発明のケタール架橋型アセン系化合物はいずれも対応するアセン系化合物より溶解度が高いことがわかる。従って、本発明のケタール架橋型アセン系化合物を用いると、対応するアセン系化合物を用いる従来の方法のように予め微粒子化して高温加熱する必要がなく、効率良く導電性薄膜を形成させることができる。具体的には、例えば本発明のケタール架橋型アセン系化合物は、常温もしくは低温加熱下で溶剤に溶解させて基板上に塗布し、酸もしくはアルカリを処理することによりアセン系化合物を遊離させることができるので、高品質の配向構造を有する導電性薄膜を簡易な方法で効率良く形成させることができる。
【0104】
また、本発明のケタール架橋型アセン系化合物は、実施例9および10に示されるように酸または塩基性反応試剤の存在下で80℃以下の低温に加熱するだけで簡単に対応するアセン系化合物へと変換される。従って、本発明のケタール架橋型アセン系化合物を用いると、特許文献1〜3や非特許文献1、2に記載のようなペンタセン付加体化合物に光を照射したりペンタセン付加体化合物を150℃以上の高温で熱分解したりする従来の方法より簡便安価な設備で導電性薄膜を形成させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0105】
本発明のケタール架橋型アセン系化合物は規則性の高い導電性薄膜を簡易な方法で効率良く作成することができるので、有機半導体デバイス、有機トランジスタ等の広範囲の分野において極めて有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(1)

(式中、nは0以上の整数を表わす。Aは−C(OR)(OR)−を表わし、R、Rはそれぞれ独立したC1〜C6の低級アルキルもしくは相互に結合したC2〜C6の低級アルキレンを表わす。RはH、C1〜C12の低級アルキル、ハロゲン化アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルコキシアルキル、アルキルチオ、またはハロゲンのいずれかを表わす。)で表されるケタール架橋型アセン系化合物。
【請求項2】
一般式(2)

(式中、nは0以上の整数を表わす。Aは−C(OR)(OR)−を表わし、R、Rはそれぞれ独立したC1〜C6の低級アルキルもしくは相互に結合したC2〜C6の低級アルキレンを表わす。RはH、C1〜C12の低級アルキル、ハロゲン化アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルコキシアルキル、アルキルチオ、またはハロゲンのいずれかを表わす。X、X、X、Xはハロゲン原子を表わす。)で表されるケタール架橋型ハロゲン系化合物。
【請求項3】
一般式(3)

(式中、nは0以上の整数を表わす。Aは−C(OR)(OR)−を表わし、R、Rはそれぞれ独立したC1〜C6の低級アルキルもしくは相互に結合したC2〜C6の低級アルキレンを表わす。RはH、C1〜C12の低級アルキル、ハロゲン化アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルコキシアルキル、アルキルチオ、またはハロゲンのいずれかを表わす。X、X、X、Xはハロゲン原子を表わす。)で表されるケタール架橋型ジオール系化合物。
【請求項4】
一般式(4)

(式中、nは0以上の整数を表わす。Aは−C(OR)(OR)−を表わし、R、Rはそれぞれ独立したC1〜C6の低級アルキルもしくは相互に結合したC2〜C6の低級アルキレンを表わす。RはH、C1〜C12の低級アルキル、ハロゲン化アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルコキシアルキル、アルキルチオ、またはハロゲンのいずれかを表わす。X、X、X、Xはハロゲン原子を表わす。)で表されるケタール架橋型ジケト系化合物。
【請求項5】
一般式(5)

(式中、nは0以上の整数を表わし、RはH、C1〜C12の低級アルキル、ハロゲン化アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルコキシアルキル、アルキルチオ、またはハロゲンのいずれかを表わす。)で表されるキノン類を
一般式(6)

(式中、Aは−C(OR)(OR)−を表わし、R、Rはそれぞれ独立したC1〜C6の低級アルキルもしくは相互に結合したC2〜C6の低級アルキレンを表わす。X、X、X、Xはハロゲン原子を表わす。)で表されるシクロペンタジエン類と反応させることを特徴とする請求項4に記載のケタール架橋型ジケト系化合物の製造方法。
【請求項6】
請求項4に記載のケタール架橋型ジケト系化合物を還元することを特徴とする請求項3に記載のケタール架橋型ジオール系化合物の製造方法。
【請求項7】
請求項3に記載のケタール架橋型ジオール系化合物を脱水することを特徴とする請求項2に記載のケタール架橋型ハロゲン系化合物の製造方法。
【請求項8】
請求項2に記載のケタール架橋型ハロゲン系化合物を還元的に脱ハロゲン化することを特徴とする請求項1に記載のケタール架橋型アセン系化合物の製造方法。
【請求項9】
一般式(7)

(式中、nは0以上の整数を表わし、RはH、C1〜C12の低級アルキル、ハロゲン化アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルコキシアルキル、アルキルチオ、またはハロゲンのいずれかを表わす。)で表される縮合ベンザイン類を
一般式(6)

(式中、Aは−C(OR)(OR)−を表わし、R、Rはそれぞれ独立したC1〜C6の低級アルキルもしくは相互に結合したC2〜C6の低級アルキレンを表わす。X、X、X、Xはハロゲン原子を表わす。)で表されるシクロペンタジエン類と反応させることを特徴とする請求項2に記載のケタール架橋型ハロゲン系化合物の製造方法。
【請求項10】
一般式(8)

(式中、nは0以上の整数を表わす。Aは−C(OR)(OR)−を表わし、R、Rはそれぞれ独立したC1〜C6の低級アルキルもしくは相互に結合したC2〜C6の低級アルキレンを表わす。RはH、C1〜C12の低級アルキル、ハロゲン化アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルコキシアルキル、アルキルチオ、またはハロゲンのいずれかを表わす。)で表されるケタール架橋型ジヒドロアセン系化合物。
【請求項11】
一般式(9)

(式中、Aは−C(OR)(OR)−を表わし、R、Rはそれぞれ独立したC1〜C6の低級アルキルもしくは相互に結合したC2〜C6の低級アルキレンを表わす。)で
表わされるノルボルネン類を
一般式(10)

(式中、nは0以上の整数を表わす。RはH、C1〜C12の低級アルキル、ハロゲン化アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルコキシアルキル、アルキルチオ、またはハロゲンのいずれかを表わす。)で表される縮合ベンザイン類と反応させることを特徴とする請求項10に記載のケタール架橋型ジヒドロアセン系化合物の製造方法。
【請求項12】
請求項10に記載のケタール架橋型ジヒドロアセン系化合物を酸化することを特徴とする請求項1に記載のケタール架橋型アセン系化合物の製造方法。
【請求項13】
請求項1に記載のケタール架橋型アセン系化合物を原料とすることを特徴とする
一般式(11)

(式中、nは0以上の整数を表わす。Bは−C(=O)−を表わし、RはH、C1〜C12の低級アルキル、ハロゲン化アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルコキシアルキル、アルキルチオ、またはハロゲンのいずれかを表わす。)で表されるCO架橋型アセン系化合物の製造方法。
【請求項14】
請求項1に記載のケタール架橋型アセン系化合物に酸または塩基性反応試剤を作用させることを特徴とする請求項13に記載のCO架橋型アセン系化合物の製造方法。
【請求項15】
一般式(11)

(式中、nは0以上の整数を表わす。Bは−C(=O)−を表わし、RはH、C1〜C12の低級アルキル、ハロゲン化アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルコキシアルキル、アルキルチオ、またはハロゲンのいずれかを表わす。)で表されるCO架橋型アセン系化合物からCOを遊離させることを特徴とする
一般式(12)

(式中、nは0以上の整数を表わし、RはH、C1〜C12の低級アルキル、ハロゲン化アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルコキシアルキル、アルキルチオ、またはハロゲンのいずれかを表わす。)で表されるアセン系化合物の製造方法。
【請求項16】
CO架橋型アセン系化合物が請求項13または14に記載の製造方法によって製造されたものであることを特徴とする請求項15に記載のアセン系化合物の製造方法。

【公開番号】特開2008−88124(P2008−88124A)
【公開日】平成20年4月17日(2008.4.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−272523(P2006−272523)
【出願日】平成18年10月4日(2006.10.4)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【出願人】(394004860)ダイトーケミックス株式会社 (14)
【Fターム(参考)】