説明

新規なコラーゲン材料およびそれを得る方法

本発明は、新規なコラーゲン材料、具体的には、コラーゲン膜、チューブおよび糸に関する。該材料は弾性と強度の向上した特性を併せ持つ。本発明はまた、凝固および所望によりアンモニアガスの存在下でのコラーゲンの架橋を含んでなる、酸性繊維状コラーゲンを用いたコラーゲン材料の製造方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【発明の背景】
【0001】
本発明は、新規なコラーゲン材料、より詳しくは、コラーゲン膜、チューブ、フィルム、スポンジ、ゲル、マトリックスおよび糸に関する。前記材料は、弾性と機械的強度の優れた特性を併せ持つ。本発明はまた、コラーゲンの制御架橋をさらに含んでなる、腱の酸性繊維状コラーゲンを用いたコラーゲン材料の製造方法に関する。本発明はまた、長繊維を有する腱の酸性繊維状コラーゲン、それを得る方法、ならびに特にコラーゲン膜、チューブ、フィルム、スポンジ、ゲル、マトリックスおよび糸の製造におけるその適用に関する。
【0002】
コラーゲンは、古くから知られているタンパク質である。コラーゲンは長年、その著しい物理化学的特性および生物学的特性のために医療装置の製造に用いられてきた。歴史的にも止血圧定布を製造するために用いられおり、その生体適合性創傷治癒および瘢痕形成に対するその活性により、コラーゲンは、それらの組込みを助けるため、また、それらの堅牢を保証するために、歯科手術における組織再生誘導用および腹壁補強材および人工血管に用いるコーティング材料用の膜などの生体材料を製造するために選択される材料となる。
【0003】
止血圧定布、癒着防止膜および神経再生用コンジット(国際公開第WO2007/147739号、仏国特許第2810889号)などの総てコラーゲンからできた材料が市販されている。
【0004】
コラーゲン抽出プロセスが十分な精製をもたらす場合には、そのような製品は完全に生体適合性であり、それらの機能を十分満たす。
【0005】
指示、従って、体内での所望の吸収期間にもよるが、コラーゲンは架橋されていてもよい。コラーゲンの架橋方法は周知であり、広く記載されている。例えば、欧州特許第0862468号および米国特許第4931546号を挙げることができる。コラーゲン架橋剤としての酸化グリコーゲンの使用は、仏国特許第2877669号ならびにForest et al.およびRousseau et al.による刊行物にすでに記載されている。架橋剤の性質および割合、ならびに架橋条件(pH、反応時間)によって、材料の吸収時間を制御された様式で変更することは比較的容易である。しかしながら、架橋の難しさは特に架橋率の選択にあり、架橋率に選択により、所望の吸収時間を有し、その適用に適合する所定の機械的特性を有する安定で再現性のある材料の生産を可能とするものでなければならない。コラーゲン材料は架橋されればされるほど剛性が増すので、寿命の長い材料ほどこの問題は総てのおいて重要となる。この物理的特徴は、引裂きの受けやすさの増大および縫合保持強度の低下として表され、ある種の手術用途では全面的に許容されないものとなることがある。しかしながら、これまでのところ、厳密かつ再現性よくコラーゲン架橋率を制御する、従って、最終材料の剛性を制御する架橋法は存在しない。
【0006】
よって、ある特定の場合、特に、材料に外科医によって、かつ/または移植後に患者によって強い機械的応力がかけられる場合には、前記の既存のコラーゲン材料は限界に達する。例えば、仏国特許第2877669号およびForest et al. (2007)による科学刊行物に記載されている材料がそうである。この材料はそれらの機能は極めてよく満たすが、縫合糸が繊細であるか、または応力が大きいという極端な場合には、この材料は十分な強度がない。
【0007】
コラーゲン材料の機械的特性は、以下の3つの因子:
−コラーゲンの構築レベルの選択、
−網状化剤および架橋率の選択、
−材料の製造および形成方法
によって異なる。
【0008】
新しい手術技術および幅広い可能性に直面した外科医は、例えば場合によっては織布格子による補強の必要がないにもかかわらず、縫合され、張力下に置かれても十分な強度がある生分解性製品にいっそう大きな興味を持つ。特に、組織再生誘導用の膜の場合がそうである。このような材料を製造するためには、当業者ならば、高度に構造化されたコラーゲンを選択し、そのコラーゲンを強く架橋するであろう。しかしながら、その結果は、極めて硬く、崩壊しやすく、外科医にとって取扱いの難しい製品となる。選択されるコラーゲンはいわゆる繊維状コラーゲン、すなわち、あまり構造化されていないが、抽出過程で制御がされていないためにそのコラーゲンで生産された材料の可能性が限られているものであり得る。架橋は、浸漬またはホルムアルデヒドまたはグルタルアルデヒド蒸気との接触のいずれかにより、例えば、柔軟かつ制御された架橋を作らずに行われる。よって、今日、柔軟性と適合性を持ちつつ、機械的に強度(張力、縫合)のあるコラーゲン材料および好適な吸収時間(数ヶ月)を有するコラーゲン材料はない。
【0009】
架橋コラーゲン材料の製造は一般に、コラーゲン水溶液を調製すること、場合により架橋剤を添加すること、コラーゲン溶液の鋳造または成形により材料を形成すること、溶媒を蒸発させた後に得られた材料を槽内にて、蒸気中または減圧下で物理的または化学的プロセスにより処理して架橋結合を形成させること、残留する架橋剤または望まない分子を除去および/または不活性化すること、ならびにその後に、最終形態の材料が乾燥工程を必要とする場合には、材料を乾燥させる新たな工程を含む。
【0010】
当技術分野の現状のこのような方法は、コラーゲン材料の多数の操作を必要とし、特に架橋結合密度とコラーゲン構造の点で満足のいく制御ができない。特に、該方法は、コラーゲン分子の三次元組織化を可能とするために十分段階的な凝固/フィブリル形成工程または凝固/フィブリル形成/架橋工程ができない。結果として、一般に得られるこのような架橋材料は、強くて硬いか、または柔軟であるが比較的脆いかのいずれかである。
【発明の開示】
【0011】
本発明は、以下、コラーゲン材料、特に外科適用のために十分な柔軟性と弾性を保持しつつ、特に、高い引張強さと引裂強さを有するコラーゲン膜を得るための方法を記載する。
【0012】
実際に、本発明者らは、コラーゲン材料の形成中に含水繊維状コラーゲンをアンモニアガスで処理することを含んでなる、コラーゲン材料の新規な製造方法を開発した。このようなアンモニアガスでの段階的処理により、その形成中に繊維状コラーゲンの凝固とフィブリル形成の双方を得ることが可能となる。よって、本発明はまた、繊維状コラーゲンを形成する方法、特に、ゲル状コラーゲンの完全な凝固とフィブリル形成を確保するためのアンモニアガスなどの弱塩基の使用に関する。該方法はまた、鋳造または成形のよる形成の前に繊維状コラーゲン溶液に架橋剤を直接加えることによる、その形成中のコラーゲンの同時架橋を可能とする。よって、コラーゲンの架橋率を厳密かつ再現性のある様式で制御することができる。
【0013】
さらに、この方法は材料において認め得るほど均一な架橋を可能とし、すなわち、架橋率が材料の外部と内部で事実上同一であり得る。これにより、特に、該材料は、架橋が外部よりも内部ではるかに高い、またはさらには内部には存在しない材料に比べて向上した特性を持つことが可能となる。
【0014】
よって、該方法は、機械的特性および/または吸収特性が向上した材料を提供し得る。この理論に縛られるものではないが、吸収速度は、材料のその体積における架橋および/または構造的均一性によってより良く制御される可能性がある。特に、本発明の文脈で「よりよく制御される」とは、その材料のあるサンプルと他のサンプル、特に、2つの異なる製造バッチと他のバッチ、および/またはある患者と他の患者で、吸収速度が従来技術の既知の方法から得られる材料の場合よりも小さい差を示すことを意味する。
【0015】
さらに、該材料は、時間の関数として認め得るほど一定または直線的である吸収を持ち得る。よって、これは分解された部分の段階的放出をもたらし得る。
【0016】
他方、架橋がその体積中で均一でない既存の材料の場合には、分解は突然起こり得る。この理論に縛られるものではないが、おそらく、一度、外部分が分解されれば、架橋度のより低い内部分ははるかに急速に、またはさらには極めて急速に分解される。よって、これは分解産物の量の急速な増加を招き、炎症反応、またはさらには突然の炎症激発を引き起こし得る。
【0017】
好ましくは、該方法は繊維状コラーゲン、好ましくは長繊維を有するコラーゲンを用いて実施される。本発明者らはまた、特に長い、弾性繊維の特徴を有する腱の酸性繊維状コラーゲンを製造する方法も開発した。得られた繊維状コラーゲンは、本発明によるコラーゲン材料、特に、膜、フィルム、スポンジ、ゲル、マトリックス、糸およびチューブを製造するために使用可能である。
【0018】
本発明による方法は、機械的強度、弾性、縫合可能性および適合性の点で、標準的なコラーゲン材料製造法では決して達成できない特性を備えた医療装置、特に、膜、フィルム、スポンジ、ゲル、マトリックス、糸およびチューブの製造を可能とする。本発明による方法によって得られる材料は、このようにして製造された材料が採り得る形態にかかわらず、一般的な、また特殊な手術において、特に、泌尿器科手術、婦人科手術、心臓手術、胸部手術、血管手術、関節手術、消化器手術、形成手術、脊髄手術、神経科手術、整形外科手術、外傷手術、歯科手術、口腔手術および顎顔面手術のため、瘢痕形成誘導または組織置換(硬膜、歯肉、骨、神経、腱、靱帯、内臓、心膜、腹膜、結合組織、一般には、真皮、筋肉、軟骨)用に使用可能である。
【0019】
該材料は、それらの特徴を考えれば、例えば、神経および腱の再生に関連する対象に合わせて外科医が作製するチューブまたはスリーブ形態の再生ガイド、またはコラーゲンがスポンジ形態の場合には組織工学用の再生マトリックスなど、瘢痕形成期に2つの臓器または組織の分離が必要な手術において、瘢痕形成誘導および/または接着防止バリアとして膜またはフィルムの形態で使用可能である。材料の適合性は、それらの製造に用いられるコラーゲンのために、それらの使用が容易となり、必要であれば適切な位置に維持されるように、縫合可能であるとともに、それらにそれらが配置される組織の輪郭をたどることを可能とする。移植部位および所望の吸収時間によって、架橋は、架橋剤の反応性基の割合および最初のコラーゲン溶液中のコラーゲンの割合を変更することによって、(および/またはアンモニア量を増加もしくは減少させ、かつ/もしくはアンモニア接触時間を延長もしくは短縮することによって)調節することができる。材料の厚さもまた、同じ目的で調節することができる。
【0020】
好ましい適用は、膜(多くのタイプの手術において組織再生誘導および組織置換(硬膜、心膜など)用)、チューブ(神経再生用、例えば、腱および靱帯再生用)およびマトリックス(例えば、組織工学用)の取得である。
【0021】
発明の概要
本発明は、腱の酸性繊維状コラーゲンを製造する方法であって、
a)ブタ、仔ウシ、仔ヒツジ、仔ウマの腱またはその混合物を0.1M〜0.5M酢酸水溶液中で少なくとも7日間膨潤させる工程、
b)それらの腱を機械的に摩砕して水性懸濁液を得る工程、
c)工程b)の水性懸濁液から繊維状コラーゲンを沈殿させ、洗浄する工程、
d)コラーゲンを脱水する工程、
e)酸性繊維状コラーゲンを得る工程
を含んでなる方法に関する。
【0022】
好ましくは、工程a)は10か月未満のブタの腱を膨潤させることを含む。
【0023】
好ましくは、工程c)において、コラーゲンは0.45〜1.2M NaCl溶液中で沈殿させ、洗浄する。
【0024】
一般に、工程d)において、コラーゲンの脱水は、アセトンによる処理を含む。
【0025】
本発明はまた、本発明による方法によって得ることができる腱の酸性繊維状コラーゲンに関する。有利には、本発明は、0.1%水溶液において、その溶液中に含まれる繊維の20%、15%または10%未満が50μmナイロンフィルター上に保持され、20%、25%または30%超が5μmナイロンフィルターを通過するような長繊維を有する繊維状コラーゲンに関する。
【0026】
本発明はまた、コラーゲン材料を製造する方法であって、
a)酸型のコラーゲンの水溶液を調製する工程、
b)場合により酸性pHで反応性のないアルデヒド架橋剤を添加する工程、
c)該コラーゲン水溶液を成形または鋳造する工程、
d)アンモニアガスで処理することによって該コラーゲン水溶液を凝固、および場合により架橋させる工程、
e)余分なアンモニアを除去し、コラーゲン材料を乾燥によって得る工程
を含んでなる方法に関する。
【0027】
好ましくは、工程a)の水溶液は、0.05〜3重量%の酸型コラーゲンを含んでなる。
【0028】
好ましくは、該酸型コラーゲンは天然コラーゲンまたは変性コラーゲンである。
【0029】
好ましくは、工程a)の水溶液は、ブタ腱、仔ウシ腱、仔ヒツジ腱および仔ウマ腱のコラーゲンから選択される酸性繊維状コラーゲンを用いて調製される。
【0030】
有利な実施態様において、コラーゲン溶液の凝固および場合による架橋は、アンモニアガスで少なくとも24時間処理することによって行われる。
【0031】
有利な実施態様において、該方法は、酸性pHで反応性のないアルデヒド架橋剤を添加すること、ならびにアンモニアガスで処理することによってコラーゲン水溶液を凝固および架橋することを含んでなる。
【0032】
有利には、該アルデヒド架橋剤はグリコーゲンおよびアルデヒドアミロペクチンから選択される。
【0033】
より有利には、アルデヒド架橋剤は酸化グリコーゲンである。
【0034】
好ましくは、アルデヒド架橋剤は、コラーゲンのNHに対するアルデヒド架橋剤のCHO比が0.05〜5の範囲の割合で添加される。
【0035】
本発明による方法の好ましい実施態様では、コラーゲン材料は膜であり、工程c)においてコラーゲン水溶液は平板鋳型に付着され、工程e)において余分なアンモニアが除去され、コラーゲン膜が乾燥により得られる。
【0036】
本発明はまた、本発明による方法によって得ることができ、かつ/または本明細書に記載されているようなコラーゲン材料に関する。より詳しくは、該材料は該方法によって得られ、実際に、該材料は該方法によって直接得られる。
【0037】
その態様の別のものによれば、本発明はまた、均一な架橋を有するコラーゲン材料、特に膜に関する。
【0038】
本発明の文脈において「均一な架橋」とは、外表の架橋と内部の架橋の間の差が、特に実際に材料の中央部に対して、25%以下、特に20%以下、特に15%以下、実際に10%以下、さらに特には5%以下であることを意味する。
【0039】
架橋パーセンテージの差は、[((外部架橋−内部架橋)/(内部架橋+外部架橋))×100]の絶対値に相当し得る。
【0040】
架橋は、特に実施例7に記載されているように、材料1mg当たりの遊離リシンのモル数によって評価することができる。
【0041】
均一な架橋を有する材料、特に膜は少なくとも50μmの乾燥膜厚を有し、さらに特には、その長さ、幅および高さがそれぞれ50μm以上である。
【0042】
さらに特には、該材料は乾燥膜厚が少なくとも50μmの膜の形態である。この膜の長さおよび幅は1cm以上、実際には5cmであり得る。
【0043】
その態様のさらに別のものによれば、本発明は、非架橋コラーゲン材料に比べて3℃以上、特に5℃以上、実際には7℃以上の変性温度上昇を有するコラーゲン材料に関する。この架橋温度の違いは、特に実施例8に記載されているように、示差走査熱量測定法(DSC)によって測定することができる。
【0044】
架橋コラーゲン材料は、非架橋材料に比べて少なくとも5%、特に8%、特に少なくとも10%の変性温度上昇を持ち得る。
【0045】
この温度上昇のパーセンテージは、次式:
[((架橋材料変性温度/非架橋材料温度)−1)×100]
に相当する。
【0046】
非架橋材料の変性温度に比べて架橋材料の変性温度の上昇は、該材料が実際に架橋されていることを確認するために使用することができる。
【0047】
好ましくは、該コラーゲン材料はコラーゲン膜、コラーゲンフィルム、コラーゲン糸、コラーゲンチューブ、コラーゲンスポンジまたはコラーゲンゲルからなり得る。
【0048】
好ましい実施態様では、本発明は、本発明による方法によって得ることができ、かつ、30μm〜200μm、好ましくは80μm〜120μmの乾燥膜厚を有するコラーゲン膜に関する。
【0049】
好ましくは、乾燥膜厚が50μm〜150μm、好ましくは80μm〜120μmである無孔質コラーゲン単層コラーゲン膜からなる。
【0050】
本発明に従って得られるコラーゲン膜は、有利には、密度が12mg/cm〜16mg/cmであり、膨潤率が6未満であり、縫合保持強度が1Nより大きく、降伏強度が4MPaより大きく、トリプシンによる酵素分解率%が35%未満である。
【0051】
本発明はまた、乾燥膜厚が80μm〜120μmであり、密度が12mg/cm〜16mg/cmであり、膨潤率が6未満であり、縫合保持強度が1Nより大きく、降伏強度が4MPaより大きく、トリプシンによる酵素分解率%が35%未満であるコラーゲン膜に関する。
【0052】
より好ましくは、本発明は、膨潤率が4〜6であり、縫合保持強度が1N〜2.5Nであり、降伏強度が4Mpa〜7MPaであり、トリプシンによる酵素分解率%が20%〜35%であるコラーゲン膜に関する。
【0053】
有利には、得られるコラーゲン膜は、吸収性または非吸収性織布で補強される。
【0054】
発明の具体的説明
よって、本発明は、繊維長および弾性が、医療装置の製造において用いる際に、機械的強度があり、弾性があり、縫合可能であり、適合性のある材料を得ることを可能とするコラーゲンをもたらす、幼動物の腱からコラーゲンを抽出する方法に関する。
【0055】
よって、本発明の1つの目的は、腱の酸性繊維状コラーゲンを製造する方法であって、
a)ブタ、仔ウシ、仔ヒツジ、仔ウマの腱またはその混合物を0.1M〜0.5M酢酸水溶液中で少なくとも7日間膨潤させる工程、
b)それらの腱を機械的に摩砕して水性懸濁液を得る工程、
c)工程b)の水性懸濁液から繊維状コラーゲンを沈殿させ、洗浄する工程、
d)コラーゲンを脱水する工程、
を含んでなる方法に関する。
【0056】
好ましくは、繊維状コラーゲンの抽出は、10か月未満の動物の腱から、より好ましくは10か月未満のブタの腱から行われる。
【0057】
よって、第一工程は、10か月未満のブタの脚から腱を採取すること(また、腱は仔ウシ、仔ヒツジおよび仔ウマから採取してもよい)、洗浄すること、結合組織および他の非腱性組織を十分除去すること、次いで、それらの腱を切断しておよそ1cm長の細片とすること、およびそれらを水ですすぐことを含んでなる。
【0058】
膨潤は、20L〜30L、好ましくは25Lの容量において腱1kgの割合で、攪拌下、0.1M〜0.5M、好ましくは0.3Mの酢酸槽にて、少なくとも7日間、15日間まで、好ましくは15日間行う。
【0059】
第二工程は、穏やかに摩砕して、膨潤した腱断片から長い腱繊維の遊離を可能とすることからなる。膨潤した腱の細片を含む一定容量の膨潤槽の摩砕は例えば3000rpmで2分間行い、その後、各回、水で媒体を希釈した後に同じ条件下で摩砕する一連の工程を、乾物濃度が4.8g/kg〜6.5g/kgのペーストが得られるまで行う。
【0060】
第三工程は、前記の摩砕から得られたペーストから繊維状コラーゲンを沈殿させ、その後、標準的な方法に従ってそれを精製することからなる。この工程は、0.45M〜1.2Mの終濃度、より詳しくは0.6Mの濃度の塩化ナトリウムを用いる1回以上の沈殿形成と沈殿したコラーゲンの、0.45M〜1.2M、好ましくは0.6MのNaCl溶液中での1回以上の洗浄工程を含んでなり得る。一般に、該方法はまた、1N水酸化ナトリウム溶液中、20℃で1時間のウイルス不活性化工程も含んでなる。非コラーゲン性タンパク質のその加水分解作用によって、この工程は、さらなる精製となる。この工程の終了時には、0.6M NaClで新たな洗浄を行う。コラーゲンを脱水するため、また、塩を除去するために、その後アセトン処理を行い、次いで乾燥繊維を得る。
【0061】
腱に適用されるこの特定の方法は、組織片を含まない長繊維からなり、かつ、可溶性コラーゲンの一部を保持しているという点で、既存のコラーゲンとは異なるコラーゲンをもたらす。
【0062】
よって、本発明はまた、本発明による方法によって得ることができる腱の酸性繊維状コラーゲンに関する。
【0063】
本発明はまた、0.1%水溶液において、その溶液中に含まれる繊維の20%、15%または10%未満が50μmナイロンフィルター上に保持され、20%、25%または30%超が5μmナイロンフィルターを通過するような繊維状コラーゲンに関する。
【0064】
本発明に従って得られる繊維状コラーゲンの、5μm未満および50μmより大きい画分を測定するプロトコールは次の通りである:
−0.1%コラーゲン水溶液を16〜24時間の磁気攪拌または機械的攪拌下で調製する(500mgを使用)。
−この溶液を、直径9cmの円形基板に取り付けた5μmまたは50μmナイロンメッシュ状に付着させる。これらの分子は大気圧でメッシュ内に拡散する。このメッシュにかかる圧力は、63cmの切片に対してその水柱の高さが4cmを超えないので無視できると考えられる。
−このメッシュ上の溶液を、布に擦れず、布の数ミクロメートル(せいぜい5ミクロメートル)上に配置された平角ブレードで攪拌する。攪拌速度は80rpmである。
−ブレードの幅は7cmである。このブレードは円形基板の中央に配置される。
−コラーゲン溶液がメッシュを流れなくなった後に、流れが止まるまで圧力差を見ながら、その保持液を50mlの0.05M酢酸で洗浄する。この操作を3回繰り返す。
−その後、画分を回収し(濾液および保持液)、NaClを終濃度0.6Mとなるように加えることよって各画分からコラーゲンを沈殿させる。
【0065】
その後、この沈殿を遠心分離または濾過によって回収し、次いで、アセトンで脱水し、減圧下で乾燥させ、秤量する。
【0066】
本発明はまた、コラーゲン材料の製造を目的とした酸性コラーゲンの形成のための方法に関する。
【0067】
第一の実施態様において、本発明は、
a)0.05〜3重量%の酸型コラーゲンを含んでなる水溶液を調製する工程、
b)コラーゲン水溶液を成形または鋳造する工程、
c)コラーゲン水溶液をアンモニアガスで処理することによって凝固させる工程、
d)アンモニアを除去し、コラーゲン材料を得る工程
を含んでなる、コラーゲン材料の製造方法に関する。
【0068】
よって、特に有利な実施態様において、本発明は、
a)酸型コラーゲンの水溶液を調製する工程、
b)酸性pHで反応性のないアルデヒド架橋剤を添加する工程、
c)コラーゲン水溶液を成形または鋳造する工程、
d)コラーゲン水溶液をアンモニアガスで処理することによって凝固させ、架橋させる工程、
e)アンモニアを除去し、コラーゲン材料を得る工程
を含んでなる、コラーゲン材料の製造方法に関する。
【0069】
本発明による方法の第一工程は、コラーゲン水溶液を調製することからなる。「コラーゲン水溶液」はまた、コラーゲン懸濁液も意味する。
【0070】
本発明による方法では、酸型コラーゲンを用いる。「酸型コラーゲン」とは、ほとんどのカルボン酸官能基がプロトン化され、水溶液または水性懸濁液中で酸性pHを有するコラーゲンを意味する。
【0071】
好ましくは、本発明によるコラーゲン材料の製造方法では酸性繊維状コラーゲンを用いる。
【0072】
「繊維状コラーゲン」とは、コラーゲン分子が個別化されない、または個別化されにくい、従って、弱い共有結合によって、また、このような構造の凝集によって自然状態で互いに結合しているコラーゲン分子からなる繊維およびフィブリルから構成されるコラーゲンを意味する。繊維状コラーゲンは特に大粒子(水和した場合、主要なものが5μmを超える)からなり、これにより、水性媒体中に分散させることによって均一な懸濁液が得られる。
【0073】
繊維状コラーゲンは特に、皮膚の繊維状コラーゲンまたは腱の繊維状コラーゲンであり得る。皮膚の繊維状コラーゲンは、組織の自然な組織化のために比較的短い繊維と酸可溶性コラーゲンと少量の凝集を含んでなる。腱のコラーゲンは長繊維とごく少量の可溶性コラーゲンを含んでなる。
【0074】
好ましくは、本発明による方法は、腱の繊維状コラーゲン、好ましくはブタ腱の繊維状コラーゲン、より好ましくは10か月未満のブタの腱のコラーゲンを用いて実施される。
【0075】
有利には、本発明の方法では、上記の方法に従って製造され、かつ、長繊維を有する、腱の酸性繊維状コラーゲンを使用する。
【0076】
よって、第一工程は、コラーゲンを水に溶解させることからなる。これは文献に記載されている標準的な方法に従って行う。コラーゲンが酸性繊維状コラーゲンである場合、この工程により、微小繊維コラーゲンおよびフィブリル形成に必要な構造が維持されている、いわゆる可溶性コラーゲンに取り囲まれた繊維の懸濁が可能となる。
【0077】
一般に、コラーゲン水溶液は、0.05〜3重量%のコラーゲン、好ましくは0.05、0.1、0.8、1、1.5、2、2.5〜3重量%のコラーゲンを含んでなる。有利には、この水溶液は、0.8重量%のコラーゲンを含んでなる。該溶解は通常、水中で、好ましくは減圧下で、機械的に攪拌することによって行う。この懸濁液または溶液はまた、コラーゲンを部分的にまたは完全に変性させるために30℃〜100℃の温度で2分〜20分間加熱してもよい。
【0078】
本発明による方法は、成形または鋳造の際に、選択された形態に応じて種々のコラーゲン材料を得ることを可能とする。よって、該コラーゲン材料は特に膜、マトリックス、フィルム、糸、ゲル、チューブまたはスポンジの形態を採り得る。
【0079】
コラーゲン水溶液の鋳造または成形は当業者に周知であり、文献に記載されている。よって、第二工程は鋳型でのコラーゲン溶液の鋳造または成形であり、ここで、その厚さは所望の材料および鋳型の表面に応じて様々である。
【0080】
コラーゲン膜は、ある割合の繊維およびフィブリルを含有する均一な懸濁液またはコラーゲン溶液を平板鋳型内で乾燥させることから得られる二次元材料である。コラーゲンは架橋されていても、されていなくてもよい。乾燥懸濁液の濃度は最終材料の厚さを決定し、数ミクロン〜数百ミクロンの範囲であり得る。
【0081】
コラーゲンフィルムは、均一なコラーゲン溶液を平板鋳型内で乾燥させることから得られる二次元材料である。コラーゲンは架橋されていても、されていなくてもよい。乾燥溶液の濃度が最終的な材料の厚さを決定する。フィルムおよび膜は、必要であれば縫合糸または接着剤によって閉じることができるスリーブを形成するように折りたたむことができる。その厚さは数ミクロン〜数百ミクロンの範囲であり得る。
【0082】
コラーゲンチューブは、壁面がコラーゲンフィルムまたは膜であり得る中空の三次元円柱体である。チューブは、鋳型周囲の成形により、または押出しにより得ることができる。コラーゲンは架橋されていても、されていなくてもよい。壁厚は鋳型に付着させる、または押出し溶液に用いるコラーゲンの量によって決定される。
【0083】
コラーゲン糸は、機械的強度がより大規模な多線撚り糸の組成である、複合もしくは非複合織布または別のコラーゲン材料の一部とするに十分なものである、コラーゲンの大規模アセンブリである。
【0084】
コラーゲンスポンジは、コラーゲン溶液または懸濁液(またはその2つの混合物)を凍結乾燥させることによって得ることができる。凍結乾燥の前または後に、コラーゲンを架橋させることができる。凍結乾燥は一般に三次元材料または粉末をもたらす。
【0085】
膜またはフィルムを得るためには、溶液または懸濁液を乾燥させた後に二次元材料が得られるように、コラーゲン溶液を平板鋳型に付着させればよい。フィルムまたは膜は溶媒を蒸発させることによって得ることができる。
【0086】
コラーゲンチューブは、溶液または懸濁液を円柱鋳型に付着させ、乾燥または凍結乾燥させることによって得られる。
【0087】
スポンジを得るには、液体状の溶媒を蒸発させることによるのではなく、凍結乾燥させることによって溶媒を除去してもよい。
【0088】
コラーゲンを凝固および形成させるためのアンモニアを使用することがこれまでに知られていたが、一般に既知の方法は、例えば押出しの際に溶液またはゲルを凝固させるためのアンモニアの使用を含んでいた。従って、アンモニアによる処理は極めて迅速に、槽内で行われた。本発明による方法はコラーゲン溶液におけるアンモニアの拡散速度に頼るが、この速度は主として、溶液の表面上でのこの塩基の濃度に依存する。このコラーゲンとアンモニアは、コラーゲンの凝固だけでなく、処理された溶液全体のそのフィブリル形成を可能とするに十分な時間接触したままとなる。これにより、引張強度、弾性および縫合保持強度の点で現況技術の方法では得られない機械的特性を有するコラーゲン材料の製造がもたらされた。
【0089】
よって、第三工程は、コラーゲンの凝固とフィブリル形成の双方を可能とするに十分な時間、アンモニアで処理することによってコラーゲンを凝固させることである。一般に、アンモニア処理は4時間、8時間、12時間、24時間、36時間または48時間行う。好ましくは、処理時間は24時間または36時間を超える。
【0090】
アンモニアの量は、酸性pHコラーゲンゲルのpHを少なくとも8を超えるpHに引き上げるように調整する。実際、コラーゲンの架橋は、コラーゲンゲルが少なくとも8を超えるpHに達した際に始まる。この長い処理は、コラーゲンのpHの段階的上昇を可能とし、その凝固をもたらすだけでなく、そのフィブリル形成ももたらす。用いるコラーゲン繊維の長さに応じて、該フィブリル形成は材料に機械的強度と弾性の双方を与える網を形成する。
【0091】
好ましい実施態様では、アンモニアガスはアンモニア溶液から生じ、アンモニア溶液から放出される。好適な量のアンモニアガスは一般に、10℃〜25℃の温度で少なくとも30%のアンモニア溶液から得られる。好ましくは、この工程は密閉容器内で、アンモニアガスがその容器内に拡散し、アンモニア溶液と接触していないコラーゲン溶液と接触するようになるような方法で行われる。
【0092】
得られたコラーゲンゲルは余分なアンモニアを除去すべく処理し、そのまま保存するか、または脱水状態で保存する。そのためには、このゲルを、水分を除去するシステムおよび/またはアンモニア吸収剤を備えた密閉容器に入れればよい。余分なアンモニアを除去した後、膜、フィルムおよびチューブは乾風流下でゲルを脱水することにより得られ、スポンジ、3Dマトリックスおよびチューブはゲルを凍結乾燥させることによって得られる。ゲルは水和状態で維持してもよい。
【0093】
コラーゲン材料を製造するための該方法では、フィブリル形成プロセスは極めて粘稠な液体媒体中で行う。該フィブリル形成は溶液の外側から内部へ向かって起こり、アンモニアの拡散によるpHの上昇とともに進行する。フィブリル形成はpHが4または5より大きい値に達した際に起こる。このアンモニア蒸気法の利点は、材料を中和溶液に浸漬する必要がないということであり、これにより、時間が節約され、収益性および均一性が増す。
【0094】
コラーゲン医療装置の吸収時間の延長、また、その機械的特性の強化が望まれる場合には、コラーゲン材料を架橋すればよい。当業者に周知の多くのコラーゲン架橋法が存在する。それらは、例えば熱による脱水などの物理的架橋と、架橋剤の添加または架橋剤との接触による化学的架橋の、2つの主要なカテゴリーに分類される。最もよく知られているコラーゲン架橋剤はアルデヒド剤、特に、ホルムアルデヒドおよびグルタルアルデヒドである。該架橋方法は、当然のことながら、上記で得られるコラーゲン材料に対して使用可能である。
【0095】
よって、コラーゲンおよびコラーゲン材料は、それらの機械的強度を高めるために架橋することができる。よって、該架橋工程は、コラーゲン材料の取得に至る該方法の最後の工程d)の後に行われる。架橋工程は例えば、ホルムアルデヒド、グルタルアルデヒド、酸化グリコーゲンおよび酸化アミロペクチンから選択される架橋剤を含んでなる槽内にコラーゲン材料を浸漬することによって行われる。
【0096】
特に有利には、架橋は、対照的に、一工程ではあるが、コラーゲンの凝固およびフィブリル形成を含む一連の方式で行うことができる。この場合、酸性pHではコラーゲンと反応しないアルデヒド剤を最初のコラーゲン溶液に加えた後、少なくとも8を超えるpHが得られるようにアンモニア処理を行う。
【0097】
アルデヒド架橋剤は好ましくは、多糖類、より詳しくは、酸化多糖類から選択される。好ましくは、アルデヒド架橋剤は酸化グリコーゲンおよび酸化アミロペクチンから選択される。本発明による方法において使用可能な架橋剤は、例えば、当業者に公知の酸化デンプン、酸化デキストランおよび酸化セルロースである。好ましくは、該アルデヒド架橋剤は酸化グリコーゲンである。
【0098】
架橋剤は、コラーゲンのNHに対するアルデヒド架橋剤のCHO比が0.05、0.1、0.5、1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5〜5の範囲の割合で添加される。架橋剤の割合は、所望の架橋率に応じ、当業者によって調整することができる。従って、コラーゲン溶液に添加する架橋剤の量は、当業者の一般知識を用いて決定することができる。
【0099】
よって、好ましくは、選択された酸化多糖の、一定濃度(15%)の水溶液を調製する。酸化速度および添加する架橋剤の量は、所望の吸収および求める機械的特性に応じて決定される。よって、コラーゲンに架橋剤を、完全に制御され、再現性のある量で添加することができる(例えばホルムアルデヒド上記、または槽への浸漬による架橋とは異なる)。ここで、添加された架橋剤のみが反応可能である。架橋溶液は、鋳造または形成前、すなわち、減圧下でのホモジナイゼーションの終了時にコラーゲン溶液に添加される。得られた媒体はコラーゲンと架橋剤の均一な混合物であるが、この混合物は塩基性pHに達したことはないので、この両者の間の結合は形成されたことはない。
【0100】
次の工程はコラーゲンのフィブリル形成の場合と同じであり、この場合、フィブリル形成と架橋はこの順序で連続的に行われる。
【0101】
当業者ならば、アンモニアの量および曝露時間を、所望のフィブリル形成および架橋を達成するように適合させることができる。
【0102】
本発明による方法のこの工程は、いくつかの理由で注目すべきものである。アルデヒド多糖類による架橋は、すでに文献に記載されている(Gagnieu CH and Forest PO, EP0862468)。該架橋は、架橋する材料を酸化多糖溶液中に浸漬するか、または材料に酸化多糖に添加した後に、乾燥産物を、架橋反応を可能とする(pHの上昇)槽中に浸漬することによって行うことができる。一般に、pHの変更はバッファーによって行われる。周知の架橋原理(メイラード反応 → 架橋剤のCHO基とコラーゲンのNH基との反応)を考えれば、それ自体がアミン残基を有する塩基を用いたpH変更は避けられる。従って、アンモニアの存在下では、この理論によれば、酸化多糖はアンモニアのアミンと反応し、その結果、不活性化されると推測される。従って、架橋は起こり得ない。
【0103】
実際には、アンモニアの存在は、フィブリル形成だけでなく架橋も可能とするようにコラーゲンゲルのpHを上手く改変することが分かっている。アンモニアと架橋剤のアルデヒドとの間で起こらなければならなかった、従って後者を不活性化するメイラード反応は、存在しないか、極めて弱いか、または酸化多糖のアルデヒド基とコラーゲンのリシンアミンとの間の架橋反応と競合しないので、全く驚くべき様式で、架橋は効果的な速度で起こる。このことは、このようにして架橋された材料がもはや酸性水性媒体中で可溶でなく、非架橋材料の場合よりもタンパク質分解酵素と接触した分解が少ないということ、および水和型の材料の機械的特性、特に機械的強度も非架橋材料に比べて改良されているということによって照明される。
【0104】
本発明はまた、本発明による方法によって得ることができるコラーゲン材料に関する。好ましくは、該コラーゲン材料は架橋されている。該コラーゲン材料は、例えば、コラーゲン膜、コラーゲン糸、コラーゲンチューブ、コラーゲンスポンジまたはコラーゲンゲルからなる。
【0105】
よって、本発明はまた、本発明による方法によって得ることができるコラーゲンフィルム、糸およびチューブに関する。本発明は、本発明による方法によって得ることができるコラーゲン膜に関する。
【0106】
本発明による方法は、数ミクロン〜数百ミクロンの範囲の可変膜厚の乾燥膜の製造を可能とする。瘢痕形成誘導(へき開面の保存)または組織置換を保証するため、泌尿器科手術、婦人科手術、心臓手術、胸部手術、血管手術、関節手術、消化器手術、形成手術、脊髄手術、神経科手術、整形外科手術、外傷手術、歯科手術、口腔手術および顎顔面手術において、組織の瘢痕形成誘導(硬膜、歯肉、骨、神経、腱、靱帯、内臓、心膜、腹膜、結合組織、一般には、真皮、筋肉、軟骨)のために一般に用いられる膜厚は、30μm〜200μmである。
【0107】
よって、本発明は、本発明による方法によって得ることができる、乾燥膜厚が30μm〜200μmのコラーゲン膜に関する。好ましくは、該膜は架橋されている。
【0108】
有利には、該膜は、乾燥膜厚が50μm〜150μmの無孔質コラーゲン単層からなる。
【0109】
一実施態様において、本発明の目的は、乾燥膜厚が80μm〜120μmであり、密度が12mg/cm〜16mg/cmであり、膨潤率が6未満であり、縫合保持強度が1Nより大きく、降伏強度が4MPaより大きく、トリプシンによる酵素分解率%が35%未満であるコラーゲン膜に関する。
【0110】
好ましい実施態様において、本発明は、膨潤率が4〜6であり、縫合保持強度が1N〜2.5Nであり、降伏強度が4Mpa〜7MPaであり、トリプシンによる酵素分解率%が20%〜35%である、上記のコラーゲン膜に関する。
【0111】
膨潤率は次のように測定される。20mgの材料を37℃で60分間、1×リン酸緩衝生理食塩水pH7.4中に浸漬する。その後、余分な水を給水紙で除去し、サンプルを再び秤量する。膨潤率は、乾燥材料の重量に対する含水材料の重量の比として計算する。
【0112】
機械的応力(縫合保持強度および降伏強度)の測定は、引張強度試験ベンチを用い、5mm幅の試験チューブに対して行う。縫合保持強度に関しては、編んだ3−0ポリアミド縫合糸を膜に通し、次いで、縫合糸を切断する最大適用力を、引張強度試験ベンチを用いて測定する。
【0113】
トリプシンによる酵素分解を測定するため、10mg〜20mgの重さの材料断片を3mlの1×PBS pH7.6中に浸漬し、このサンプルに500単位のトリプシンを加える。分解48時間後に、消化されたサンプルを回収し、脱水し、秤量する。次いで、最初の重量に対する重量減少を計算する。
【0114】
本発明はまた、吸収性または非吸収性織布で補強されたコラーゲン膜に関する。該織布補強膜は腹壁補強を構成し、内臓手術および泌尿器婦人科手術に、または靱帯または腱を補強、拡張もしくは置換するための靱帯パッチに特に適合される。
【0115】
よって、本発明のもう1つの目的は、片側が上記のようなコラーゲン材料によって覆われた織布を含んでなる、またはそれからなる複合材料に関する。
【0116】
それは特に、その片側に本発明によるコラーゲン膜を有する織布であってもよい。このような補綴織布およびそれを製造する方法は、例えば、US6451032に記載されている。
【0117】
本発明による織布補強コラーゲン膜は、当業者に周知の方法に従ってさらに製造することができる。
【0118】
本発明の文脈において、このような方法は、
−酸型コラーゲンの水溶液を調製する工程、
−酸性pHで反応性のないアルデヒド架橋剤を添加する工程、
−該コラーゲン水溶液を成形または鋳造する工程、
−該コラーゲン上に織布を置く工程、
−アンモニアで処理することによって、該コラーゲン水溶液を凝固および架橋させる工程、
−アンモニアを除去し、コラーゲン材料を得る工程
を含んでなり得る。
【0119】
上記の方法に従って得られた、片側を織布で補強された膜は、腹壁手術に特に適合される。
【0120】
あるいは、該方法は
−酸型コラーゲンの水溶液を調製する工程、
−酸性pHで反応性のないアルデヒド架橋剤を添加する工程、
−該コラーゲン水溶液を成形または鋳造する工程、
−該コラーゲンに織布を含ませる工程、
−アンモニアで処理することによって、該コラーゲン水溶液を凝固および架橋させる工程、
−アンモニアを除去し、コラーゲン材料を得る工程
を含んでなり得る。
【0121】
このように両側に本発明による膜を含んでなる織布は、例えば靱帯手術に特に適合される。
【0122】
よって、本発明のもう1つの目的は、両側、特に片側が上記のものなどのコラーゲン材料によって覆われた織布を含んでなる、実際にはそれからなる複合材料に関し、ここで、特に、この織布はコラーゲン材料に含まれていてもよい。
【0123】
本発明によるコラーゲン材料と織布を組み合わせる他の方法も当業者に知られている。
【0124】
よって、本発明はまた、織布と組み合わせられた本発明によるコラーゲン材料、特に膜に関する。
【0125】
本発明による方法はまた、神経手術、腱手術、靱帯手術および血管手術において臓器の誘導を確保するためのチューブの製造につながる。この適用のための膜はまた、巻いて、縫合糸および/または接着剤で封じ、スリーブ型としてもよい。
【0126】
最後に、これらの方法は厚さ200μmを超える多孔質または無孔質3Dマトリックスの製造を可能とし、このマトリックスは、とりわけ、再生医療における適用のための材料の外科移植前または移植時の細胞の播種を可能とし、また、心臓適用、硬膜再生ならびに軟組織および硬組織の誘導のための、縫合可能な弾性のあるパッチの取得を可能とする。
【実施例】
【0127】
実施例1:腱の酸性繊維状コラーゲンの製造
→腱の膨潤
ブタの脚からの腱1kgを洗い、筋肉および腱膜組織を取り除く。それらを20℃(±2℃)、低速攪拌下で、25Lの0.3M酢酸水溶液に10日間浸漬する。
【0128】
→腱の誘導
得られた懸濁液3Lをナイフミルにて3000rpmで2分間摩砕する。この媒体を2Lの水で希釈した後、1分間ホモジナイズする。この媒体を孔径200μmのフィルターで濾過し、濾液を0.6M NaClでコラーゲンを沈殿させるように調整する。
【0129】
→コラーゲンの回収および洗浄
前記懸濁液を濾過または遠心分離して、上清から沈殿を分離する。沈殿を回収し、10Lの0.6M NaCl中、攪拌下で少なくとも1時間洗浄し、この沈殿を織布での濾過または遠心分離によって再び回収する。この洗浄工程は、所望の純度の最終コラーゲンに応じて望まれる回数行えばよい(理想的には2回)。
【0130】
→ウイルスの不活性化および洗浄
沈殿および遠心脱水コラーゲンを、攪拌下で16時間、水に1%まで溶解させる。この媒体の濃度を1M NaOHとし、この溶液を20℃で1時間攪拌する。この不活性化工程が終わったところで、溶液を6M塩酸で、コラーゲンが沈殿するまで中和する。コラーゲンを濾過または遠心分離によって回収する。コラーゲンを10Lの0.6M NaCl中で再び洗浄し、その後、織布での濾過または遠心分離によって回収してもよい。洗浄工程は、所望の純度の最終コラーゲンに応じて望まれる回数行えばよい(理想的には2回)。
【0131】
→採集および乾燥
この精製プロセスが終わったところで、沈殿したコラーゲンを遠心脱水した後、アセトン槽中で乾燥させる。このコラーゲンを最後に、制御された気流下で乾燥させて残留するアセトンを除去し、その後、例えば−20℃で保存する。
【0132】
実施例2:腱の酸性繊維状コラーゲンバッチの特性決定
水分含量が17.05%である腱の酸性繊維状コラーゲン603mgを、磁気攪拌下で16時間、脱塩水500mlに溶解させる。孔径50μmの織布を、容器上の直径9cmの円形支持体上に置く。一定容量のコラーゲン溶液をこの織布の上に、高さ4cmを超えないように注ぐ。直径7cmのブレードをこの織布から2mmのところに置き、80rpmで回転させ、コラーゲン溶液をこの織布に徐々に流す。上のチャンバーに入っている容量がそれ以上減らなくなれば、この系を、高さ4cmを超えないように再充填する。この操作を、調製した溶液が無くなるまで行う。系の平衡化の際は、保持液、圧力差に注意しながら、同じ系を用いて3×50mlの0.05M酢酸で洗浄する。上の画分を回収する。
【0133】
下の画分を回収し、孔径5μmの織布で同様にして分析を続ける。保持液ならびに濾液を回収する。
【0134】
3つの画分、すなわち、50μm濾過からの保持液、および5μm濾過からの保持液と濾液を0.6M NaClとし、遠心分離によってコラーゲンを回収した後、2槽の70%アセトンおよび3槽の100%アセトン中で乾燥させる。余分なアセトンを気流下で乾燥させることによって除去する。これらの画分を秤量し、回収した全重と比較する。分析したところ、6.5%の繊維が50μmフィルター上に保持され、27%の繊維が5μmフィルターを通過し、従って、66.5%が5μm〜50μmである。
【0135】
実施例3:架橋コラーゲンフィルム/膜#1の製造
腱の酸性繊維状コラーゲン800mgの調製物を機械的攪拌下で水100mlに16時間懸濁させる。この粘稠な懸濁液をコラーゲン4mg/cmの密度で鋳型に注ぐ。コラーゲン溶液の入った鋳型を、2mlの30%アンモニアが入った3Lの密閉容器内に20℃で24時間入れる。膜厚およそ40μmのフィルムを得るために、このゲルを、アンモニアおよび吸湿剤で余分なアンモニアを除去するための容器に入れる。このフィルムはそのまま使用してもよいし、または種々の濃度のホルムアルデヒド、グルタルアルデヒド、酸化グリコーゲンまたは酸化アミロペクチン槽に2分〜24時間の範囲の時間、浸漬することによって架橋してもよい。このフィルムを0.1Mグリシン溶液pH8中に2時間浸漬することによって架橋剤を不活性化する。その後、このフィルムを再び乾燥させる。
【0136】
例えば、最初の乾燥の後に得られたフィルムを0.1%ホルムアルデヒド槽pH8中に1時間浸漬し、次いで、0.1Mグリシン槽pH8中で2時間すすぐ。水ですすいだ後に、フィルムを再び乾燥させる。
【0137】
実施例4:架橋コラーゲン膜#2の製造
コラーゲン10mg/cmを含有する膜を得るために、100gのコラーゲンを機械的攪拌下で水12.5Lに16時間懸濁させる。同時に、pH7.7リン酸バッファーに2.5gの酸化グリコーゲンを溶かした15%溶液を調製し、16時間が終わったところで懸濁液に加える。ホモジナイゼーション後、この溶液を1mの鋳型(または同等のもの)に注ぐ。コラーゲン溶液の入った鋳型を、20℃にて、160mlの32%アンモニアが均一に分布したおよそ300Lの密閉容器に48時間入れた。フィブリル形成および架橋期の後に、膜厚およそ100μmの膜を得るために、アンモニアおよび吸湿剤で余分なアンモニアを除去するための容器にゲルを入れた。
【0138】
実施例5:実施例4で製造した膜の膨潤率の測定
20.5mg、22mgおよび20mgの材料の3つのサンプルを正確に秤量し、37℃、3mlの1×PBS pH7.4中に1時間浸漬する。この時間が終わったところで、各サンプルからの余分な水を除去し、サンプルを再び秤量する。結果は次の通りである。
【0139】
【表1】

【0140】
実施例6:酸化アミロペクチンにより架橋された酸性繊維状コラーゲンのスポンジ
酸性繊維状コラーゲンの水溶液を、0.8gの酸性繊維状コラーゲンを100mlの水と混合することにより得る。この媒体を20℃で16時間攪拌する。1.4モルのアルデヒド/モルの糖を含有する28mgのアミロペクチンを1mlの0.1Mリン酸バッファーpH7.7中、75℃で、完全に溶解するまで加熱する。20℃に冷却した後、該溶液を攪拌下で0.8%コラーゲン溶液に注ぐ。この均一な媒体を鋳型に高さ5mmまで注ぎ、3mlの28%アンモニアの入ったおよそ3L容の密閉容器に16時間移す。次に、このゲルの入った装置を、アンモニア吸収剤の入った密閉容器に、容器内のアンモニアが総て除去されるまで入れる。その後、コラーゲンゲルを冷凍し、次いで、凍結乾燥して架橋アテロコラーゲンのスポンジを得る。
【0141】
実施例7:架橋の均一性の測定
架橋工程まで実施例4に記載されている方法によって、厚さおよそ1cmのゲルを製造した。
【0142】
前記の架橋工程が終わったところで、ゲルを型からはずし、水平方向のおよそ中央で2つに切断し、この2片を別個に乾燥させた。
【0143】
材料の「外部」および「内部」サンプル(各およそ10mg)をそれぞれ、ゲルの外部部分および内部部分に相当する領域から採取する。
【0144】
架橋率は、TNBS(2,4,6−トリニトロベンゼンスルホン酸)による、コラーゲン中に遊離のままで存在するアミンのアッセイによって測定する。該TNBS試薬は、リシン残基のアミンおよび遊離末端アミノ酸と特異的に反応する。
【0145】
内部サンプルと外部サンプルを採取し、水/プロパノール溶液(1ml)中、60℃で1時間インキュベートする。500μlの8%重炭酸塩および1mlの1/120希釈TNBSを加える。40℃で3時間反応させる。
【0146】
冷却後、200μlの6N HClを加えて反応を急冷する。余分なTNBSを5mlの酢酸エチルで抽出する。酸加水分解(3mlの6N HClで1.25時間)を行い、総てのアミノ酸を遊離させる。N−TNBS末端アミノ酸を、余分なTNBSの場合と同様の方法で抽出する。
【0147】
十分に希釈した後、水相の吸光度を345nmで測定する。Kakade et al.によって記載されているプロトコールに従って測定した345nmにおける該複合体のモル消衰係数は1.46・10−4−1・cm−1であり、これにより、膜の中に遊離のままで存在するリシンの量が計算可能となる。結果は、膜1mg当たりの遊離リシンのμmolで表す。
【0148】
酸化グリコーゲンで架橋されている(NH1個につき酸化グリコーゲンのCHO 0.4個の割合)膜について、結果は次の通りである。
【0149】
【表2】

【0150】
従って、架橋の差は、((0.161−0.150)/(0.161+0.150)×100)で3.5%である。よって、外部部分と内部部分の架橋率はほぼ同じである。従って、材料のどの厚みでも架橋は全く均一である。
【0151】
実施例8:架橋の測定
いわゆる「架橋」膜は、アンモニア添加工程を含め、実施例4に記載されている方法に従って製造した。
【0152】
いわゆる「非架橋」膜は、アンモニア添加工程を省き、実施例4に記載されている方法に従って製造した。
【0153】
架橋は示差走査熱量測定法(DSC)を用いて測定することができる。この方法では、分析サンプルと参照との間の熱の移動の違いを測定する。
【0154】
DSCは相転移を検出するために用いる。
・ガラス転移温度(Tg)
・融合または変性温度
・反応エンタルピー(ポリマーの架橋率を求める)
【0155】
これらの分析は、供試材料が炉の大気と反応するのを避けるため、不活性ガス(例えば、窒素またはアルゴン)流下で行う。
【0156】
コラーゲンに関しては、架橋は変性温度を上昇させる。架橋薬剤を含むコラーゲン溶液をアンモニア蒸気中でインキュベートすると、コラーゲンと架橋剤の間に安定な化学滴架橋結合が形成されることを実証するために、架橋膜と非架橋膜のDSC特性を求めた。
【0157】
【表3】

【0158】
従って、架橋膜の変性温度は、非架橋膜の変性温度よりも明らかに高い。よって、アンモニア蒸気中で溶液をインキュベートした際に、アルデヒド架橋剤とコラーゲンの間の反応は明らかに起こる。
【0159】
【表4】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
コラーゲン材料の製造方法であって、
a)酸型の天然または変性コラーゲンの水溶液を調製する工程、
b)酸性pHで反応性のないアルデヒド架橋剤を添加する工程、
c)該コラーゲン水溶液を成形または鋳造する工程、
d)アンモニアガスで処理することによって該コラーゲン水溶液を凝固および架橋させる工程、
e)余分なアンモニアを除去し、コラーゲン材料を乾燥によって得る工程
を含んでなる、方法。
【請求項2】
工程a)の水溶液が0.05〜3重量%の酸型コラーゲンを含んでなる、請求項1に記載のコラーゲン材料の製造方法。
【請求項3】
工程a)の水溶液が、ブタ腱、仔ウシ腱、仔ヒツジ腱および仔ウマ腱のコラーゲンから選択される酸性繊維状コラーゲンを用いて調製される、請求項1または2に記載のコラーゲン材料の製造方法。
【請求項4】
工程d)におけるコラーゲン溶液の凝固および架橋が、少なくとも24時間アンモニアガスで処理することによって行われる、請求項1〜3のいずれか一項に記載のコラーゲン材料の製造方法。
【請求項5】
酸性pHで反応性のないアルデヒド架橋剤を添加すること、ならびにアンモニアガスで処理することによってコラーゲン水溶液を凝固および架橋することを含んでなる、請求項1〜4のいずれか一項に記載のコラーゲン材料の製造方法。
【請求項6】
アルデヒド架橋剤が、グリコーゲンおよびアルデヒドアミロペクチンから選択される、請求項5に記載のコラーゲン材料の製造方法。
【請求項7】
アルデヒド架橋剤が酸化グリコーゲンである、請求項6に記載のコラーゲン材料の製造方法。
【請求項8】
アルデヒド架橋剤が、コラーゲンのNHに対するアルデヒド架橋剤のCHO比が0.05〜5の範囲の割合で添加される、請求項5〜7のいずれか一項に記載のコラーゲン材料の製造方法。
【請求項9】
コラーゲン材料が膜であり、工程c)においてコラーゲン水溶液が平板鋳型に付着され、工程e)において余分なアンモニアが除去され、コラーゲン膜が乾燥によって得られる、請求項1〜8のいずれか一項に記載のコラーゲン材料の製造方法。
【請求項10】
コラーゲン膜、コラーゲンフィルム、コラーゲン糸、コラーゲンチューブ、コラーゲンスポンジまたはコラーゲンゲルからなる、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法によって得られるコラーゲン材料。
【請求項11】
均一な架橋を有する、特に、外表の架橋と材料内部の架橋の差が25%以下である、特に請求項10に記載の、コラーゲン材料。
【請求項12】
非架橋コラーゲン材料に比べて3℃以上の変性温度上昇を有する、特に請求項10または11に記載の、コラーゲン材料。
【請求項13】
非架橋材料に対する変性温度の上昇が少なくとも5%である、特に請求項10〜12のいずれか一項に記載の、架橋コラーゲン材料。
【請求項14】
乾燥膜厚が80μm〜120μmであり、密度が12mg/cm〜16mg/cmであり、膨潤率が6未満であり、縫合保持強度が1Nより大きく、降伏強度が4MPaより大きく、トリプシンによる酵素分解パーセンテージが35%未満である、コラーゲン膜。
【請求項15】
請求項10〜13のいずれか一項に記載の材料によって、その片側または各側が覆われている織布(特に、この織布はコラーゲン材料中に含まれていてもよい)を含んでなる、複合材料。

【公表番号】特表2012−525176(P2012−525176A)
【公表日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−507724(P2012−507724)
【出願日】平成22年4月28日(2010.4.28)
【国際出願番号】PCT/EP2010/055681
【国際公開番号】WO2010/125086
【国際公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【出願人】(511260724)
【氏名又は名称原語表記】BIOM’UP
【Fターム(参考)】