説明

新規なシルセスキオキサン充填材の調製方法

本発明は、高表面積メチルシルセスキオキサン樹脂粒子の調製方法を開示する。この粒子は、メチルトリクロロシランを加水分解及び縮合した後、分離及び乾燥することによって形成される。この方法により、副生成物及び廃棄物は、商業的に有用な材料に変換される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照:なし
【0002】
本出願は、メチルシルセスキオキサン樹脂粒子の調製方法を開示する。この粒子は、モノメチルトリクロロシラン(メチルトリクロロシランとしても知られている)をHCl中で加水分解及び縮合した後、分離及び乾燥することによって形成される。この方法により、副生成物及び廃棄物は、商業的に有用な材料に変換される。
【背景技術】
【0003】
メチルトリクロロシランは、ジメチルジクロロシランの製造における副生成物として現在の市場の需要よりもはるかに多量に作られている。この材料の現在の販路は、採算価格よりも少し高い経済的収益をもたらす。従って、この材料の価値を高めることのできるメチルトリクロロシランからの製品を生産者へ開発することが望ましい。
【0004】
そのような製品は、充填材であろう。そのような充填材は、最大の有効性を有するために、小さな粒径及び高表面積を有するべきである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特に撹拌の少ない条件下で、MeSiCl3及び水が互いに接触する場合、得られる加水分解生成物は、大きくて固いシロキサンの塊である。そのような材料は、砕いて微粉にしたとしても、充填材として使用したときに250m2/gm以上の表面積を示すことがあっても補強特性を提供しない。この補強の欠如は、補強されるポリマーが入ることのできない粒子中の小さなクラック及び細孔であって、粒子がかなり低い表面積を有しているかのように振舞わせる小さなクラック及び細孔による粒子の高表面積によるものと考えられている。
【0006】
反応物であるMeSiCl3及び水がかなりの希薄条件下で一緒にされた場合、得られる加水分解物は、溶媒に一般に可溶である低分子量のものである傾向がある。そのような低分子量の樹脂は、コーティング又はコーティング製品の成分として使用され得るが、それらは、充填材として一般に適用されない。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、高温安定性を与える高分子量を有するメチルシルセスキオキサン(MeSiO3/2)だけでなく、シーラント、ゴム等における充填材用途に対して魅力的なものにする高表面積も有するそのような材料由来の粒子であるメチルシルセスキオキサンを製造した。
【0008】
本発明は、メチルトリクロロシランから大表面積を有する粒子を調製する方法を含む。この方法は、第一に、メチルトリクロロシランをHCl水溶液と反応させて、液相及び固相を形成することを含む。その固相は、液相から分離され、乾燥されて、高表面積粒子を形成する。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の方法は、メチルトリクロロシランを加水分解及び縮合させて、樹脂粒子を形成した後、樹脂粒子を分離し、それらを乾燥させることを本質的に含む。シリコーン樹脂粒子を形成するシリコーン樹脂は、単位式MeSiO3/2によって表されるメチルシルセスキオキサン樹脂を含む。メチルトリクロロシラン化合物又は他のシラン化合物の加水分解及び縮合反応における媒体は、HCl水溶液である。HClは、一般に、低分子量種の形成を抑制するのに十分な濃度であるべきである。或る実施形態において、HClは10重量%を超える濃度である。別の実施形態において、HClは20重量%を超える濃度である。別の実施形態において、HClは30重量%を超える濃度である。別の実施形態において、HClは35重量%を超える濃度である。更に別の実施形態において、HClは約37重量%の濃度である。
【0010】
或る実施形態において、メチルトリクロロシランは、撹拌しながらHCl水溶液に添加される。他の実施形態において、HClは、メチルトリクロロシランの溶液に撹拌しながら添加される。必要に応じて、メチルトリクロロシランは、反応用の溶媒中に希釈され得る。
【0011】
別の実施形態において、メチルトリクロロシラン及びHCl水溶液の反応は、HCl水溶液にガス状メチルトリクロロシランを通してバブリングすることにより実施され得る。必要に応じて、ガス状メチルトリクロロシランは、それと反応しない材料で希釈され得る。例えば、ガス状メチルトリクロロシランを窒素で希釈し、次いでこのガス状混合物をHCl水溶液に通してバブリングし得る。
【0012】
上記プロセスのいずれにおいても、添加速度は重要ではない。例えば、反応媒体が反応容器内に収容されるという条件で、素早く添加され得る(例えば、5秒から5分のような数秒間から数分間で)。他の例において、メチルトリクロロシラン及びHCl水溶液は、数分間から数時間(例えば、5分から24時間)にわたって、例えば滴下による添加又は低速ガス状添加(slow gaseous addition)によりゆっくり混合され得る。
【0013】
反応で使用されるHCl水溶液とメチルトリクロロシランとの割合は、広い範囲にわたって変化し得る。例えば、HCl:メチルトリクロロシランの割合は、100:1〜1:100のモル比であり得る。他の実施形態において、その割合は、1:25〜1:75であり得る。他の実施形態において、その割合は、5:1〜1:5のモル比であり得る。
【0014】
メチルトリクロロシランが加水分解及び縮合反応にさらされる反応媒体の温度は、0〜100℃の範囲であり、又は、別の実施形態において、0〜40℃の範囲である。0℃よりも低い温度の水性媒体は、より遅い反応速度をもたらすであろう。反応媒体の温度が高過ぎる場合、反応速度はかなり速くなり、より大きな粒子をもたらす可能性がある。
【0015】
必要に応じて、少量の他のシラン類が反応媒体中に含まれ得る。これらとしては、例えば、ジメチルジクロロシラン、四塩化ケイ素、トリメチルクロロシラン、メチルハイドロジェンジクロロシラン及びトリクロロシランが挙げられ得る。これらは、副生成物若しくは不純物としてメチルトリクロロシランに入っている可能性があるか、又は目的とする樹脂の組成物をわずかに変質させるために意図的に添加される可能性がある。或る実施形態において、他のシラン類は、10重量%未満で含まれることができ、或いは1重量%未満で含まれることができ、或いは0.1重量%未満で含まれることができる。
【0016】
加水分解及び縮合反応が一旦生じると、固相が形成される。これは、固体粒子、フォーム等の形態であり得る。本発明の方法によれば、固相は、液相から除去され、乾燥されて、粒子を形成する。しかしながら、必要に応じて、反応生成物は、乾燥前に、様々な粒子を形成するために操作され得る。例えば、固相及び液相の混合物を混合してより小さな粒子を形成し得る。
【0017】
本発明の実施形態において、固相及び液相を含む反応生成物も分離前に水で希釈される。これは、任意の残留酸を希釈し、更なる処理を容易にする。この段階で添加される水の量は重要ではない。
【0018】
次いで、固相は、液相から除去される。これは、水性媒体の少なくとも一部を除去するために、常圧若しくは減圧下での加熱、粒子の重力沈降、熱気流中での湿潤粒子の流動化、分散液の噴霧乾燥のような公知の手法又はろ過、遠心分離、デカンテーション等のような慣用の固液分離手段により達成され得る。
【0019】
粒子は、通常、機械的手段、熱等(例えば、乾燥器又はマイクロ波)により更に乾燥される。乾燥樹脂粒子が緩いケーキ(loose cakes)の形態である場合、そのケーキは、ジェットミル、ボールミル、ハンマーミル等のような慣用の粉砕機を用いることにより粉砕してばらばらの粒子にするのが一般的である。
【0020】
必要に応じて、固相を水又は別の希釈剤で更に洗浄又はフラッシュすることができる。これは、材料の純度を改善する可能性がある。
【0021】
シリコーン樹脂粒子はメチルシルセスキオキサンを基本的に含むものの、そのシリコーン樹脂は、式R1SiO3/2の他の三官能単位、式R12SiO2/2の二官能単位、式R13SiO1/2の一官能単位及び式SiO4/2の四官能単位(ここで、各R1は独立して水素又は例えばアルキル、アルケニル、アリール等のような炭素原子1〜20個の炭化水素基)を包含する他の種類のシロキサン単位を更に含む可能性がある。或る実施形態において、三官能単位のモル分率は少なくとも80%である。
【0022】
得られた粒子は、通常、約100m2/gを超える表面積、或いは約150m2/gを超える表面積、或いは約200m2/gを超える表面積を有する。
【0023】
以下の実施例は、本発明の好ましい実施形態を明示するために挙げられる。後に続く実施例で開示される手法は、発明者により見出された手法を説明し、発明の実施において十分な役割を果たし、従ってその実施に関する好ましい態様を構成するものであると見なされ得るということが当業者に十分理解されるべきである。しかしながら、本開示を考慮すると、当業者は、開示され且つ本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく同等又は同様の結果を得る特定の実施態様において様々な改変が為され得るということを十分に理解すべきである。パーセントは全て重量%である。
【実施例】
【0024】
<例1(比較)>
105.3gのMeSiCl3及び804.5gのn−ペンタンを3.8Lのジャグ中で混合した。磁気撹拌棒を添加し、8.4gの水を1時間にわたって滴下しながらジャグの内容物を磁気撹拌機で撹拌した。次いで、ジャグの内容物を一晩撹拌した。ジャグの内容物を磁気撹拌機で撹拌しながら、17.4g以上の水が添加されるまで水の滴下による添加を続けた。次いで、添加なしで、ジャグの内容物を1時間撹拌した。次いで、撹拌を止め、ジャグの内容物を分離させた。ペンタン相を捨てて、約半ガロンの水を残留ゲルに添加した。ジャグ中で白色ゲルが水相から分離した。一時的に撹拌した後、ジャグの内容物を空け、分離されてペーパータオル上に載ったゲルを乾燥させた。粉末の状態まで乾燥させた後、250℃、ヘリウムパージ下で一晩脱ガスした後にBET法を用いてゲルの表面積を分析した。193.7m2/gの表面積が求められた。
【0025】
<例2(比較)>
74gのMeSiCl3及び567.2gのペンタンを2Lの三つ口フラスコに添加した後、磁気撹拌機で4時間にわたって激しく撹拌しながら、54.5mLの水を滴下して添加した。その間に、83gのMeSiCl3を三等分に分けて更に添加した。4時間の撹拌の終了時に347gの水を更に添加し、フラスコの内容物を10分間更に撹拌した。次いで、フラスコの内容物を分液漏斗に空け、ここで固体樹脂材料は水相及びペンタンから分離された。樹脂を空気乾燥させた後、例1と同様に表面積を分析した。表面積は79.0m2/gであった。
【0026】
<例3(比較)>
133gのMeSiCl3及び762.4gのペンタンを2Lの三つ口フラスコに添加した。激しく混合しながら、9.2gの水を34分間掛けてゆっくり添加した。次いで、得られたスラリーを187分間撹拌した。25mLの水を80分間かけてゆっくり更に添加した。フラスコの内容物を一晩撹拌した後、1Lの水を添加し、撹拌を100分間続けた。水相及びペンタンから固体を分離し、空気乾燥させた。空気乾燥後、樹脂を1000ワットの電子レンジ内で6分間加熱し、水分を追い出した。得られた乾燥白色粉末の表面積は、例1の方法によって測定して147m2/gであった。
【0027】
<例4>
1961gの37%HCl水溶液を4Lの蓋無し容器に入れ、磁気撹拌機を用いて撹拌した。容器から溢れ出す程のフォームを発生させずに、550gのMeSiCl3を可能な限り素早く添加した(約5分間)。次いで、約4Lの水を添加し、酸を希釈した。5ミクロンのポリエステルフェルトフィルターバッグを用いて、このスラリーから固体をろ過した。ろ過された樹脂を水中でスラリー化し、スラリーを家庭用ブレンダー内に約1分間入れ、粒径を減少させた。同じフィルターバッグを用いて、このブレンドされたスラリーを再びろ過した。約10Lの水をフィルターバッグ中の樹脂全体に注ぐことにより固体を更に洗浄した。バッグ中の樹脂をプレス乾燥させた後、150℃の乾燥器中に数時間入れ、続いて1000ワットの電子レンジ中で12分間加熱した。乾燥樹脂粉末の固形分は、99.3重量%であり、HCl含有量は280ppmであった。乾燥樹脂の表面積は、例1の方法によって測定して227m2/gであった。
【0028】
<例5>
2.5Lの37%HCl水溶液を18.93Lのプラスチックバケツに添加し、酸をプラスチック棒で撹拌しながら、MeSiCl3をゆっくり添加した。得られたスラリーの撹拌が難くなった場合には、水を添加してスラリーを希釈した。合計で約3LのMeSiCl3を添加した。このスラリーを水中で50:50に希釈した後、樹脂を5ミクロンのポリエステルフェルトフィルターバッグでろ過して除去した。ろ過された樹脂を水で再びスラリー化し、スラリーをブレンダー中で30秒間混合して粒径を減少させた。スラリーを再びろ過し、空気乾燥させた後、1000ワットの電子レンジを用いて樹脂を乾燥状態にした。乾燥樹脂は、99.5重量%の固形分であり、150ppmのHClを含み且つ例1の方法によって測定して147.5m2/gの表面積を有していた。この樹脂の5gの試料を350℃の乾燥器中に23時間入れ、表面積を再び測定したところ、例1の方法によって測定し、284.2m2/gであった。24時間後に再試験したところ、同じ試料を例1の方法によって測定して282.7m2/gであった。
【0029】
フォーム反応器の例
<例6>
窒素を約0.6L/分でMeSiCl3に通してバブリングし、得られた窒素/MeSiCl3を反応器に入れた。濃HCl水溶液も18mL/分の速度で反応器に入れた。窒素/MeSiCl3蒸気流は、球状のガスディスパーションストーン(spherical gas dispersion stone)を通って反応器に入った。6.5時間掛けて433gのMeSiCl3を入れた。メチルシルセスキオキサンフォーム及び余剰の酸が反応器から溢れ出て、捕集容器中に捕集された。相分離によりメチルシルセスキオキサンフォームは酸から分離され、フィルターバッグに捕集され、水で洗浄され、吸着表面上に広げられ、室温で乾燥させた。乾燥後に約95gの白色粉末が残され、それは98.8重量%の固形分であり且つ426ppmのHClを含むものであった。粉末の表面積は、例1の方法によって測定して260.9m2/gであった。
【0030】
<例7>
反応は、例6と同様の速度で、数時間、例6に記載されたものと同じ装置にて行った。この時間の終了時にフォームを慎重に穏やかに洗浄し、フォーム捕集容器中の酸性水溶液と混ぜ合わさっているメチルシルセスキオキサンから、フォームとして残るメチルシルセスキオキサンを分離した。生成物の各部分を乾燥させた後、フォーム相中に残った25gのメチルシルセスキオキサンが回収されるとともに、酸性水溶液相からろ過された48gのメチルシルセスキオキサンが回収された。フォームからのメチルシルセスキオキサンは、98.5重量%の固形分であり、788ppmのHClを含み、例1の方法によって測定して203.9m2/gの表面積を有するものであった。酸性水溶液相からのメチルシルセスキオキサンは、99重量%の固形分であり、630ppmのHClを含み、例1の方法によって測定して247.8m2/gの表面積を有するものであった。
【0031】
<例8>
窒素を約2L/分で800mLのステンレス製シリンダー中のMeSiCl3に通してバブリングし、得られた窒素/MeSiCl3を直径7.62cm、高さ30.38cmの反応器に入れた。濃HCl水溶液を約20mL/分で反応器に入れた。窒素/MeSiCl3蒸気流は、球状のガスディスパーションストーン(spherical gas dispersion stone)を通って反応器に入った。メチルシルセスキオキサンフォーム及び余剰の酸が反応器から溢れ出て、捕集容器中に捕集された。6時間20分掛けて合計で690gのMeSiCl3を入れた。フォームは、捕集され、洗浄され、水流吸引器を用いて真空にするブフナー吸引漏斗に捕集され、室温で乾燥させた。134gの乾燥粉末が捕集され、これは、98.6重量%の固形分であり、677ppmのHClを含み且つ例1の方法によって測定して237.2m2/gの表面積を有するものであった。
【0032】
<例9>
直径2.54cm及び高さ30.48cmである反応器とともに、例8に記載されるような装置を用いた。窒素の流速は約1L/分であり、酸の流速は約20mLであった。窒素/MeSiCl3蒸気流は、球状のガスディスパーションストーン(spherical gas dispersion stone)を通って反応器に入った。4時間半掛けて311gのMeSiCl3を入れた。フォームは、例8のように、捕集され、洗浄され、室温で乾燥させた。72gの乾燥粉末が捕集され、これは、98.9重量%の固形分であり、648ppmのHClを含み且つ例1の方法によって測定して249.5m2/gの表面積を有するものであった。
【0033】
<例10>
窒素を約2L/分で800mLのステンレス製シリンダー中のMeSiCl3に通してバブリングし、得られた窒素/MeSiCl3を直径7.62cm、高さ30.38cmの反応器に入れた。濃HCl水溶液を約100mL/分で反応器に入れた。窒素/MeSiCl3蒸気流は、球状のガスディスパーションストーン(spherical gas dispersion stone)を通って反応器に入った。4.5時間掛けて958gのMeSiCl3を入れた。メチルシルセスキオキサンフォーム及び余剰の酸が反応器から溢れ出て、捕集容器中に捕集された。余剰の酸は所定の速度で反応器に再循環された。フォームは、捕集され、洗浄され、水流吸引器を用いて真空にするブフナー吸引漏斗に捕集され、室温で乾燥させた。264gの乾燥粉末が捕集され、これは、98.5重量%の固形分であり、1140ppmのHClを含み且つ例1の方法によって測定して262.5m2/gの表面積を有するものであった。
【0034】
<例11>
HClを約4.3L/分で、加熱されて25℃の一定温度に保持された800mLのステンレス製シリンダー中のMeSiCl3に通してバブリングし、得られたHCl/MeSiCl3を直径3.81cm、高さ60.96cmの反応器に入れた。濃HCl水溶液を約100mL/分で反応器に入れた。HCl/MeSiCl3蒸気流は、球状のガスディスパーションストーン(spherical gas dispersion stone)を通って反応器に入った。3時間掛けて約300gのMeSiCl3を入れた。メチルシルセスキオキサンフォーム及び余剰の酸が反応器から溢れ出て、18.93Lの捕集容器中に捕集された。余剰の酸性水溶液は所定の速度で反応器に再循環された。HClガスはガス洗浄機に送られた。フォームは、捕集され、洗浄され、水流吸引器を用いて真空にするブフナー吸引漏斗に捕集され、室温で乾燥させた。目的とする樹脂は、97.9重量%の固形分であり、1875ppmのHClを含み且つ例1の方法によって測定して192.9m2/gの表面積を有するものであった。
【0035】
<例12>
本実験は、大きさの異なる反応器を用いることを除いて、例11に記載されるものと同じ装置にて行った。MeSiCl3中に10モル%のSiCl4を含む混合物を調製した。SiCl4/MeSiCl3混合物を、加熱されて20℃の温度に保持された800mLのステンレス製シリンダー内に充填した。反応器は、直径約5.08cm及び高さ66.04cmであった。HCl流れを約2L/分に設定し、濃酸性水溶液流れは約137mL/分であった。HCl/SiCl4/MeSiCl3蒸気流は、球状のガスディスパーションストーン(spherical gas dispersion stone)を通って反応器に入った。2.75時間掛けて約300gのSiCl4/MeSiCl3混合物を反応器に入れた。フォームは、捕集され、洗浄され、水流吸引器を用いて真空にするブフナー吸引漏斗に捕集され、室温で乾燥させた。目的とする樹脂は、97.9重量%の固形分であり、920ppmのHClを含み且つ例1の方法によって測定して219.6m2/gの表面積を有するものであった。
【0036】
<例13>
本実験は、例12に記載されるものと同じ装置にて行った。MeSiCl3中に10モル%のMe2SiCl2を含む混合物を調製した。Me2SiCl2/MeSiCl3混合物を、加熱されて20℃の温度に保持された800mLのステンレス製シリンダー内に充填した。HCl流れを約2L/分に設定し、濃酸性水溶液流れは約137mL/分であった。2.5時間掛けて約300gのMe2SiCl2/MeSiCl3混合物を反応器に入れた。フォームは、捕集され、洗浄され、水流吸引器を用いて真空にするブフナー吸引漏斗に捕集され、室温で乾燥させた。目的とする樹脂は、98.8重量%の固形分であり、572ppmのHClを含み且つ例1の方法によって測定して106.8m2/gの表面積を有するものであった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
メチルトリクロロシランをHCl水溶液と反応させて液相及び固相を形成することと、
該液相から該固相を分離することと、
該固相を乾燥させて大表面積を有する粒子を形成することと
を含む、メチルトリクロロシランから大表面積を有する粒子を調製する方法。
【請求項2】
前記HCl水溶液は、30重量%を超える濃度である請求項1の方法。
【請求項3】
前記HCl水溶液は、35重量%を超える濃度である請求項2の方法。
【請求項4】
前記HClは、約37重量%の濃度である請求項3の方法。
【請求項5】
前記固相は、前記粒子の大きさを減少させるために操作される請求項1の方法。
【請求項6】
前記メチルトリクロロシランを前記HCl水溶液に添加するとともに反応物を撹拌することにより、前記メチルトリクロロシランを前記HCl水溶液と反応させる請求項1の方法。
【請求項7】
前記HCl水溶液にメチルトリクロロシランを通してバブリングすることにより、前記メチルトリクロロシランを前記HCl水溶液と反応させる請求項1の方法。

【公表番号】特表2010−516857(P2010−516857A)
【公表日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−547220(P2009−547220)
【出願日】平成19年11月30日(2007.11.30)
【国際出願番号】PCT/US2007/024729
【国際公開番号】WO2008/091324
【国際公開日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【出願人】(596012272)ダウ・コーニング・コーポレイション (347)
【Fターム(参考)】