説明

新規なハイブリダイゼーションバッファーを用いた染色体異常の検出のための組成物及び方法

本発明は、染色体異常に関連する核酸配列の検出のための組成物と方法を提供する。本発明は、例えばハイブリダイゼーションにおけるホルムアミドの使用を排除し、又はそれへの依存を低減しうる。本発明で使用される組成物は、少なくとも一の核酸配列と二本鎖ヌクレオチド配列を変性させるのに十分な量の少なくとも一種の極性非プロトン溶媒を含有する水性組成物を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般にインビボ、インビトロ、及びインサイツでの染色体異常の検出のための組成物及び方法に関する。本発明は更に特定のヌクレオチド配列(正常な配列及び染色体異常及び/又は感染症に関連するものを含む)の検出のための分子プローブを含有する組成物及びハイブリダイゼーションに使用するため、特にインサイツハイブリダイゼーション(ISH)に使用するための二本鎖ヌクレオチド配列を変性させるのに十分な量で少なくとも一種の極性非プロトン溶媒を含有する水性組成物に関する。
【0002】
一実施態様では、本発明は、例えば細胞診、組織診断、及び分子生物学の分野において使用するための分子プローブ、及びそのような分子プローブを含むキットに関する。他の実施態様では、本発明は、そのような分子プローブを使用する染色体異常又は感染症の検出方法、そのような分子プローブを使用する遺伝子欠陥又は疾患状態の診断方法、及びそのような分子プローブを使用する予後の提供方法に関する。
【背景技術】
【0003】
先天性欠陥及び後天性疾患の双方の多くの病理状態には、染色体異常、例えば増幅、異数性、潜在的切断点、挿入、逆位、欠失、複製、再編成、及び転位置が伴う。更に、病原性感染症は一般に感染した生物中に感染細菌、ウイルス、又は真菌の核酸配列の存在を生じる。
【0004】
ゲノムDNA、染色体、染色体断片、又は遺伝子のインビボ、インビトロ、又はインサイツ分析を通して先天性欠陥, 後天性疾患、又は感染性病原に関連するヌクレオチド配列の存在又は不存在を樹立することは、臨床医が適切な診断に到達するのを助けうる。例えば、脆弱X精神遅滞−1(FMR1)遺伝子中のmRNAの5’UTR(未翻訳領域)の伸長CGGトリヌクレオチドリピートの伸長により臨床医が脆弱X症候群を診断することが可能になる。この伸長は遺伝子の転写発現抑制を生じる。しかしながら、他のメカニズム、例えばFMR1の欠失及び変異がまた脆弱X症候群を生じさせるかも知れない。疾患に至る遺伝子産物FMRPの不存在又は減少量の結果は、伸長により引き起こされた発現抑制及び遺伝子欠失の双方について同じである。数的異常によって生じさせられる症状の例は、トリソミー21(ダウン症の個体は2ではなく3コピーの染色体21を有している)としても知られているダウン症候群である。ターナー症候群は、個体がただ一つの性染色体Xをもって生まれたモノソミーの例である。他の例は、染色体4の短腕の部分的欠失によって引き起こされるウォルフ・ヒルシュホーン症候群、及び末端11q欠失疾患とも呼ばれるヤコブセン症候群を含む。シャルコー・マリー・トゥース病1A型のようなある症候群は、染色体17上の例えば末梢ミエリンタンパク質22(PMP22)をコードする遺伝子の複製によって引き起こされうる。ロバートソン転座のような他の症候群では、染色体全体がセントロメアの他のものに結合している。ロバートソン転座は染色体13、14、15、21及び22でのみ生じ得、ロバートソン転座のヘテロ接合性キャリアーの子孫は例えば不均衡なトリソミー21を受け継ぎ、ダウン症候群を生じさせるかもしれない。
【0005】
ゲノムDNA、染色体、染色体断片、又は遺伝子のインビボ、インビトロ、又はインサイツ分析を通して先天性欠陥、後天性疾患、又は感染性病原に関連するヌクレオチド配列の存在又は不存在を樹立することは、疾患状態が診断されている治療の適切な過程を選択する場合に臨床医にはまた貴重でありうる。例えば、HER2遺伝子が増幅された乳癌患者は、HER2タンパク質を認識するモノクローナル抗体のハーセプチンTM(トラスツズマブ)での治療から恩恵を受けうる。他の例では、臨床医は、EGFR遺伝子が増幅している結腸直腸癌患者にアービタックス(登録商標)(セツキシマブ)又はベクチビックスTM(パニツムマブ)(上皮増殖因子レセプター(EGFR)を特異的に認識する治療用モノクローナル抗体)を処方する選択をしうる。
【0006】
ゲノムDNA、染色体、染色体断片、又は遺伝子のインビボ、インビトロ、又はインサイツ分析を通して先天性欠陥、後天性疾患、又は感染性病原に関連するヌクレオチド配列の存在又は不存在を樹立することは、臨床医が予後を提供するのをまた助けうる。よって、TOP2A遺伝子が増幅され、又は欠失されている乳癌患者は、それがない患者よりも悪い予後を有している。
【0007】
ヌクレオチド配列の存在又は不存在の検出は、反対のストランドの塩基間(A+T又はG+C)における水素結合によるヌクレオチド二重螺旋構造の安定化、又はハイブリダイゼーションによる配列の認識を一般に必要とする。ハイブリダイゼーションの基本的な例では核酸断片又は配列が相補的な核酸断片又は配列に結合する。ハイブリダイゼーションによる検出は、一般に、DNA又はRNA配列のような核酸標的に結合し、又は「ハイブリダイズする」ように設計された核酸プローブの使用を含む。
【0008】
分子生物学の分野では染色体異常を検出するためによく知られた技術が存在している。かしながら、染色体異常の広範なまた常套的な検出を可能にする速やかで簡便で、安価でユーザーフレンドリーな試験法はこれまで利用できなかった。
【0009】
核酸ハイブリダイゼーションアッセイの効率と精度は、3つの因子の少なくとも一つに主に依存する:a)変性(つまり、例えば二つの核酸ストランドの分離)条件、b)再生(つまり、例えば二つの核酸ストランドの再アニーリング)条件、及びc)ハイブリダイゼーション後洗浄条件。
【0010】
伝統的なハイブリダイゼーション実験、例えばISHアッセイは、二本鎖核酸鎖を変性させるためにホルムアミド含有バッファーを使用する。ホルムアミドは、ゆるくかつ均一に結合した水和物分子を置換することによって、例えばDNA、RNA、及びそのアナログの螺旋状態に不安定化作用を有する溶媒である。更に、ホルムアミドは、塩基のワトソン・クリック結合部位の「ホルムアミド化」により塩基のワトソン・クリック結合部位の「ホルムアミド化」によりDNA、RNA、及びそのアナログのコイル状態を安定化させる。
【0011】
変性工程には、核酸鎖の二つの相補的ストランドの再アニーリングが続き、これは、これまで、ハイブリダイゼーションを使用するアッセイの最も時間を費やす側面である。例えば、伝統的な蛍光インサイツハイブリダイゼーション(FISH)プロトコルでは、再アニーリングには14−24時間かかり、72時間まででさえかかりうる。伝統的なハイブリダイゼーション時間の例は図1及び2に示す。
【0012】
核酸塩基のワトソン・クリック結合部位と干渉し、それによって相補的核酸塩基間の水素結合を乱すホルムアミドのようなカオトロピック剤(他のカオトロピック剤はグアニジウム水素及びウレアを含む)の使用は、変性工程に必要なように、相補鎖の融解温度(Tm)を低下させる唯一の方法であると今まで信じられていた。しかしながら、カオトロピック剤の使用はTmを低下させるが、これらの薬剤は、カオトロピック剤を含まない水溶液でのハイブリダイゼーションと比較して、ハイブリダイゼーション時間を有意に延長するようである。
【0013】
ホルムアミドは長い処理時間を越える欠点を有している。ホルムアミドは毒性があり、危険な物質であり、使用及び廃棄に対して厳しい規制を受ける。更に、高濃度のホルムアミドの使用は、細胞、核、及び/又は染色体構造の形態的破壊を招くようである。
【0014】
ここに記載の水性組成物は、例えば、より速いハイブリダイゼーション時間、より低いハイブリダイゼーション温度、及びより毒性の少ないハイブリダイゼーション組成物のような、先行技術に対する幾つかの潜在的な利点を有する条件下での核酸配列の検出を可能にする。
【発明の概要】
【0015】
本発明は、染色体異常に関連する核酸配列の検出のための組成物及び方法を提供する。本発明の組成物及び方法は、任意のハイブリダイゼーション技術、及び例えばDNA、RNA、PNA、LNA、及びその合成及び天然のアナログのような塩基対を使用して、ハイブリダイズ又は結合する任意の分子系に適用可能である。本発明の組成物及び方法は、染色体異常に関連する核酸配列の高度に感受性で技術的に容易で、フレキシブルで、信頼性があり、及び/又は迅速な検出を可能にする。一実施態様では、本発明は、ハイブリダイゼーション反応の温度を、先行技術の方法を使用して利用できるよりも更に大なる度合いまで変化させることにより、ハイブリダイゼーション時間を調節できる能力を提供する。本発明のハイブリダイゼーション組成物及び方法は、生物学的試料の形態を保存し、非毒性のハイブリダイゼーション組成物及び手順を提供し、低蒸発ハイブリダイゼーション技術を提供し、非特異的結合に対する必要性を低減及び/又は除去し、及び/又は例えば生物学的試料中の反復配列をブロックし、除去し、又はその結合を不可能等にする必要なく異種性プローブの使用を許容する。
【0016】
一実施態様では、本発明は、染色体異常に関連するヌクレオチド配列を検出する第一分子プローブを含有する組成物、及び二本鎖ヌクレオチド配列を変性させるのに十分な量の少なくとも一種の極性非プロトン溶媒を含有する水性組成物を提供する。別の実施態様では、本発明は、かかる組成物を含みキットを提供する。更に他の実施態様では、本発明は、染色体異常に関連するヌクレオチド配列を検出する第一分子プローブを含有する第一組成物と、第二組成物を含み、該第二組成物が、二本鎖ヌクレオチド配列を変性させるのに十分な量の少なくとも一種の極性非プロトン溶媒を含有する水性組成物であるキットを提供する。
【0017】
ここに提供される組成物及びキットは、PCR、インサイツPCR、ノーザンブロット、サザンブロット、フローサイトメトリー、オートラジオグラフィー、蛍光顕微鏡、化学発光、免疫組織化学、仮想核型、遺伝子アッセイ、DNAマイクロアレイ(例えば、アレイ比較的ゲノムハイブリダイゼーション(アレイCGH))、遺伝子発現プロファイリング、遺伝子ID、タイリングアレイ、ゲル電気泳動、キャピラリー電気泳動、及びインサイツハイブリダイゼーション、例えばFISH、SISH、CISHを使用する例えばゲノムDNA、染色体、染色体断片、及び遺伝子のような核酸のインビボ、インビトロ、及び/又はインサイツ分析に有用である。一実施態様では、組成物及びキットは、正常な症状又は疾患(例えば、先天性疾患、癌、又は感染)に関連する異数性、潜在的切断点、挿入、逆位、欠失、複製、遺伝子増幅、再編成、及び転位置のような染色体異常のための核酸のインビボ、インビトロ、及び/又はインサイツ分析に有用である。ここに提供される組成物及びキットはまた例えばmRNA及びその相補的DNA(cDNA)のようなRNA発現レベルの変化の検出に有用である。本発明の組成物及びキットは、骨髄スメア、血液スメア、パラフィン包埋組織調製物、酵素的に解離された組織試料、骨髄、羊膜細胞、サイトスピン調製物、インプリント等のようなインビトロ、インビボ、又はインサイツ試料(例えば哺乳動物試料、例えばヒト試料を含む)に使用されうる。
【0018】
他の使用は、FRET及び他のクエンチング技術を使用する;例えばインサイツDako GenPointTM増幅検出システム又はTyramideシグナル増幅(TSA)システム(K0620、Dako)を使用する、ストレプトアビジンコンジュゲートでのビオチン標識の検出;又は例えば金及び銀のよな金属での直接標識を使用する溶液ベースのハイブリダイゼーションアッセイを含む。
【0019】
一実施態様では、本発明は、染色体DNA中の標的を検出する方法において、
− 染色体DNA中の標的にハイブリダイズする少なくとも一の分子プローブを提供し、
− 染色体DNAを提供し、
− 二本鎖ヌクレオチド配列を変性させるのに十分な量の少なくとも一種の極性非プロトン溶媒を含有し、極性非プロトン溶媒がジメチルスルホキシド(DMSO)ではないハイブリダイゼーション組成物を提供し、
− 分子プローブ、染色体DNA及びハイブリダイゼーション組成物を標的に分子プローブをハイブリダイズさせるのに少なくとも十分な時間の間、組合せ、
− 標的を検出する
ことを含む方法を提供する。
【0020】
他の実施態様では、本発明は、核酸配列中における染色体異常の存在を決定する方法において、
− 少なくとも一の分子プローブを提供し、
− 核酸配列を提供し、
− 二本鎖ヌクレオチド配列を変性させるのに十分な量の少なくとも一種の極性非プロトン溶媒を含有し、極性非プロトン溶媒がジメチルスルホキシド(DMSO)ではないハイブリダイゼーション組成物を提供し、
− 分子プローブ及び核酸配列及びハイブリダイゼーション組成物を、分子プローブ及び核酸配列をハイブリダイズさせるのに少なくとも十分な時間の間、組合せ、
− 少なくとも一の分子プローブを検出し、
− 染色体異常の存在を決定する
ことを含む方法を提供する。
【0021】
更に他の実施態様では、本発明は、核酸配列中における染色体異常の存在を決定する方法において、
− 核酸配列を提供し、
− 少なくとも一の分子プローブと二本鎖ヌクレオチド配列を変性させるのに十分な量の少なくとも一種の極性非プロトン溶媒を含有するハイブリダイゼーション組成物を提供し、
− ハイブリダイゼーション組成物を上記核酸に、分子プローブと核酸配列をハイブリダイズさせるのに少なくとも十分な時間の間、適用し、
− 少なくとも一の分子プローブを検出し、
− 染色体異常の存在を決定する
ことを含み、極性非プロトン溶媒がジメチルスルホキシド(DMSO)ではない方法を提供する。
【0022】
他の実施態様では、本発明は、核酸配列中の染色体異常の存在を決定する方法において、
− 核酸配列を提供し、
− 請求項1から50の何れか一に記載の組成物を前記核酸配列に、分子プローブ及び核酸配列をハイブリダイズさせるのに少なくとも十分な時間の間、適用し、
− 染色体異常が核酸中に存在するかどうかを決定する
ことを含む方法を提供する。
【0023】
更なる実施態様では、本発明は、染色体異常に関連する先天性遺伝子疾患、癌、又は感染を診断する方法において、患者からの組織試料を提供し、ここで、組織試料は核酸を含み、染色体異常が核酸配列中に存在するかどうかを決定し、及び染色体異常が組織試料中に存在する場合に先天性遺伝子疾患、癌、又は感染を診断することを含む方法を提供する。試料は哺乳動物試料でありうる。一実施態様では、試料はヒト試料である。
【0024】
本発明のハイブリダイゼーション組成物及び方法は、ホルムアミドの使用を排除し、又はそれへの依存性を低減しうる。例えば、本発明の方法及び組成物は、ホルムアミドを使用しないでハイブリダイゼーションに対するエネルギー障壁を低下させうる。より低いエネルギー障壁は、ハイブリダイゼーションに必要な時間及び/又は温度を減少させうる。例えば、本発明は、室温を含む低い温度でのハイブリダイゼーションを可能にし得、又はより高い温度での速やかなハイブリダイゼーションを可能にしうる。よって、ある態様では、本発明は、ハイブリダイゼーションアッセイにおける主要な時間を要する工程を克服する。
【0025】
本発明の一態様は、ハイブリダイゼーションにおける使用のための組成物又は溶液である。本発明に使用される組成物は、少なくとも一の核酸配列と二本鎖ヌクレオチド配列を変性させるのに十分な量の少なくとも一種の極性非プロトン溶媒を含む水性組成物を含む。二本鎖ヌクレオチド配列を変性させるために有効な量は、ハイブリダイゼーションを可能にする量である。例えば、極性非プロトン溶媒がハイブリダイゼーションをなすのに効果的かどうかを試験する一方法は、極性非プロトン溶媒が、例えば実施例1におけるように、ここに記載のハイブリダイゼーション方法及び組成物に使用される場合、検出可能なシグナル及び/又は増幅された核酸産物を生じるかどうかを決定することである。
【0026】
極性非プロトン溶媒の有効量の非限定的例は、例えば約1%から約95%(v/v)を含む。ある実施態様では、極性非プロトン溶媒の濃度は5%から60%(v/v)である。他の実施態様では、極性非プロトン溶媒の濃度は10%から60%(v/v)である。更に他の実施態様では、極性非プロトン溶媒の濃度は30%から50%(v/v)である。1%から5%、5%から10%、10%、10%から20%、20%から30%、30%から40%、40%から50%、又は50%から60%(v/v)の濃度もまた適している。ある実施態様では、極性非プロトン溶媒は0.1%、0.25%、0.5%、1%、2%、3%、4%、又は5%(v/v)の濃度で存在するであろう。他の実施態様では、極性非プロトン溶媒は7%、7.5%、8%、8.5%、9%、9.5%、10%、10.5%、11%、11.5%、12%、12.5%、13%、13.5%、14%、14.5%、15%、15.5%、16%、16.5%、17%、17.5%、18%、18.5%、19%、19.5%、又は20%(v/v)の濃度で存在するであろう。
【0027】
本発明の別の態様によれば、極性非プロトン溶媒を含有する水性組成物は減少した毒性を有している。例えば、伝統的なハイブリダイゼーション溶液よりも毒性の少ない組成物は、組成物がホルムアミドを含まない条件、又は組成物が10%未満、又は5%未満、又は2%未満、又は1%未満、又は0.5%未満、又は0.1%未満、又は0.05%未満、又は0.01%未満のホルムアミドを含む条件の組成物を含みうる。毒性の少ない組成物は、組成物がジメチルスルホキシド(DMSO)を含まない条件、又は組成物が10%、5%、2%未満、又は1%未満、又は0.5%未満、又は0.1%未満、又は0.05%未満、又は0.01%未満のDMSOを含む条件の組成物を含みうる。
【0028】
本発明の一態様では、本発明での使用のために適した極性非プロトン溶媒は、そのハンセン溶解度パラメータに基づき選択されうる。例えば、適切な極性非プロトン溶媒は、17.7から22.0MPa1/2の分散溶解度パラメータ、13から23MPa1/2の極性溶解度パラメータ、及び3から13MPa1/2の水素結合溶解度パラメータを有しうる。
【0029】
本発明の一態様によれば、本発明において使用される適切な極性非プロトン溶媒は環状化合物である。環状化合物は環状塩基構造を有する。例にはここに開示された環状化合物を含む。他の実施態様では、極性非プロトン溶媒は以下の式1−4から選択されうる:

ここで、XはOであり、R1はアルキルジイルである。
【0030】
本発明の他の態様によれば、本発明において使用される適切な極性非プロトン溶媒は以下の式5から選択されうる:

ここで、Xは任意であり、存在する場合は、O又はSから選択され;
Zは任意であり、存在する場合は、O又はSから選択され;
A及びBは独立してO又はN又はS又はアルキルジイルの一部又は第1級アミンであり;
Rはアルキルジイルであり;
YはO又はS又はCである。
【0031】
式5に記載の適切な極性非プロトン溶媒の例を以下の式6−9に提供する:

【0032】
本発明の更に他の実施態様によれば、極性非プロトン溶媒はラクトン、スルホン, ニトリル, サルファイト,又はカーボネート官能性を有する。かかる化合物は、その比較的高い比誘電率、高い双極子モーメント及び水への溶解度によって区別される。
【0033】
本発明の他の態様によれば、ラクトン官能性を有する極性非プロトン溶媒はγ−ブチロラクトン(GBL)であり、スルホン官能性を有する極性非プロトン溶媒はスルホラン(SL)であり、ニトリル官能性を有する極性非プロトン溶媒はアセトニトリル(AN)であり、サルファイト官能性を有する極性非プロトン溶媒はグリコールサルファイト/エチレンサルファイト(GS)であり、カーボネート官能性を有する極性非プロトン溶媒はエチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、又はエチレンチオカーボネート(ETC)である。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】図1は、ホルムアルデヒド固定パラフィン包埋組織片(組織検体)での一次標識FISHプローブを用いた単一遺伝子座検出の典型的な時間経過を示す。バーは、伝統的な溶液(上)を使用して実施されたハイブリダイゼーションと、本発明の組成物(下)を使用して実施されたハイブリダイゼーションに対する典型的な時間経過を表す。各時間経過中の左側の最初のバーは脱パラフィン工程を表し;二番目のバーは加熱前処理工程を表し;三番目のバーは消化工程を表し;四番目のバーは変性及びハイブリダイゼーション工程を表し;五番目のバーはストリンジェンシー洗浄工程を表し;六番目のバーはマウント工程を表す。
【図2】図2は、細胞検体での一次標識FISHプローブを用いた単一遺伝子座検出の典型的な時間経過を示す。バーは、伝統的な溶液(上)を使用して実施されたハイブリダイゼーションと、本発明の組成物(下)を使用して実施されたハイブリダイゼーションに対する典型的な時間経過を表す。各時間経過中の左側の最初のバーは固定工程を表し;二番目のバーは変性及びハイブリダイゼーション工程を表し;三番目のバーはストリンジェンシー洗浄工程を表し;四番目のバーはマウント工程を表す。
【発明を実施するための形態】
【0035】
I.定義
本発明の文脈において、次の用語は次の通りに理解されなければならない:
「生物学的試料」は、一又は複数の細胞又は細胞断片の任意のインビボ、インビトロ、又はインサイツ試料として理解されなければならない。これは、例えば単細胞又は多細胞生物、組織片、細胞試料、染色体スプレッド、精製核酸配列、例えば生物学ベースのシステム又は化学合成、マイクロアレイ、又は核酸チップの他の形態によって作製された人工的に作製された核酸配列でありうる。一実施態様では、試料は哺乳動物試料、例えば ヒト、マウス、ネコ、ラット、又はイヌ試料である。
【0036】
「核酸」、「核酸鎖」、及び「核酸配列」は、天然に生じるヌクレオチドから形成された骨格を有するオリゴマー又はポリマー及び/又は非標準核酸塩基及び/又は非標準骨格を含む核酸アナログ(例えば、ペプチド核酸(PNA)又はロックド核酸(LNA))、又は核酸の任意の誘導体化形態を含む、塩基対形成を使用して結合又はハイブリダイズする任意のものを意味する。
【0037】
ここで使用される場合、「ペプチド核酸」又は「PNA」なる用語は、限定するものではないが、例えば全てが出典明示によりここに援用される米国特許第5539082号、第5527675号、第5623049号、第5714331号、第5718262号、第5736336号、第5773571号、第5766855号、第5786461号、第5837459号、第5891625号、第5972610号、第5986053号、第6107470号、第6201103号、第6228982号及び第6357163号、国際公開第96/04000号又はそこで引用されている文献の任意のものにおいてペプチド核酸として言及され又は請求項に記載されたオリゴマー又はポリマーセグメントの任意のものを含むペンダント核酸塩基と共にポリアミド骨格を有する合成ポリマー(天然に生じるもの及び修飾されたもの)を意味する。例えばPNA上のプリン又はピリミジン塩基のようなペンダント核酸塩基は、例えばPCT/US02/30573又はそこに引用された文献の任意のものに教示されているリンカーの一つのようなリンカーを介して骨格に連結されうる。一実施態様では、PNAはN−(2−アミノエチル)−グリシン)骨格を有している。PNAは、PCT/US02/30573又はそこに引用された文献の任意のものに教示されているようにして合成され(場合によっては標識され)うる。PNAは、PNA骨格が変わらないので、DNA及びRNAと堅固にかつ高い配列特異性をもってハイブリダイズする。よって、短いPNAプローブは長いDNA又はRNAプローブに匹敵する特異性を示しうる。PNAプローブはまた相補DNA又はRNAへの結合において大なる特異性を示しうる。
【0038】
ここで使用される場合、「ロックド核酸」又は「LNA」なる用語は、少なくとも一又は複数のLNAサブユニットを含むオリゴマー又はポリマーを意味する。ここで使用される場合、「LNAサブユニット」なる用語は、リボースの2’−酸素を4’−炭素と結合させるメチレン架橋を含むリボヌクレオチドを意味する。一般に、Kurreck, Eur. J. Biochem., 270:1628-44 (2003)を参照のこと。
【0039】
核酸及び核酸アナログの例はまた二本鎖及び一本鎖デオキシリボヌクレオチド(DNA)、リボヌクレオチド(RNA)、そのα−アノマー型、その合成及び天然アナログ等々を含むヌクレオチドモノマーのポリマーを含む。核酸鎖は全体がデオキシリボヌクレオチド、リボヌクレオチド、ペプチド核酸(PNA)、ロックド核酸(LNA)、その合成又は天然アナログ、又はその混合物から構成されうる。DNA、RNA、又はここに定義される他の核酸を本発明の方法及び組成物において使用することができる。
【0040】
「極性非プロトン溶媒」は、雰囲気温度又はその近傍、例えば約20℃で、少なくとも5%(体積)の水溶性、約2デバイ単位以上の双極子モーメントを有し、略中性のpH、つまりpH5から9の範囲、又は6から8の範囲で有意な水素交換を受けない有機溶媒を意味する。極性非プロトン溶媒は以下に検討される ハンセン溶解度パラメータに従って定義されるものを含む。
【0041】
「アルキルジイル」は、親のアルカン、アルケン、又はアルキンの二つの異なった炭素原子から一つの水素原子を除去することによって誘導された二つの一価ラジカル中心を有する飽和又は不飽和、分枝、直鎖又は環状炭化水素基を意味する。
【0042】
「水溶液」は、例え少量の水でさえ、水を含む溶液として理解されなければならない。例えば、1%の水を含む溶液は水溶液として理解されなければならない。
【0043】
「ハイブリダイゼーション」は、別の定義がなされない限り、ハイブリダイゼーション手順の変性及び再アニーリング工程を双方とも含むものと理解されなければならない。
【0044】
「ハイブリダイゼーション組成物」は、例えば核酸配列にプローブを結合させるためにハイブリダイゼーション手順を実施するための本発明の水溶液を意味する。ハイブリダイゼーション組成物は、例えば少なくとも一種の極性非プロトン溶媒、少なくとも一つの核酸配列、及びハイブリダイゼーション溶液を含みうる。ハイブリダイゼーション組成物は、酵素又は例えば生物学的試料中の核酸を増幅させるためのデオクシヌクレオシド三リン酸(dNTPs)のような他の成分を含まない。
【0045】
「ハイブリダイゼーション溶液」は、本発明のハイブリダイゼーション組成物において使用される水溶液を意味する。ハイブリダイゼーション溶液は以下に詳細に検討され、例えば緩衝剤、促進剤、キレート剤、塩、洗浄剤、及びブロッキング剤を含みうる。
【0046】
「PCR組成物」は、核酸配列を増幅させるためにハイブリダイゼーション手順を実施するための本発明の水溶液を意味する。PCR組成物は、例えば少なくとも一種の極性非プロトン溶媒、核酸を増幅させるための少なくとも一種の酵素、核酸オリゴヌクレオチドプライマーのセット、dNTPsの混合物、及びPCR溶液溶液を含みうる。
【0047】
「PCR溶液」は本発明のPCR組成物において使用される水溶液を意味する。PCR溶液は例えば緩衝剤、促進剤、キレート剤、塩及び洗浄剤を含みうる。
【0048】
例えば染色体異常に関連するヌクレオチド配列を検出する分子プローブの文脈において使用される「検出する」なる用語は、分子プローブが、ヌクレオチド配列の少なくとも一部又はかかる配列に近接するヌクレオチド配列にハイブリダイズし、それによって使用者が配列の存在又は不存在を決定することが可能になることを意味する。
【0049】
染色体異常のためのマーカーのような、「マーカー」なる用語は、一又は複数の他のマーカーの使用を伴うか伴わないで、染色体異常の存在又は不存在を検出するために使用することができる染色体異常に関連する任意の配列である。
【0050】
「ハンセン溶解度パラメータ」及び「HSP」は次の凝集エネルギー(溶解度)パラメータを意味する:(1)原子間力から誘導された非極性相互作用を測定する分散溶解度パラメータ(δ、「Dパラメータ」);(2)永久双極子−永久双極子相互作用を測定する極性溶解度パラメータ(δ、「Pパラメータ」);及び(3)電子交換を測定する水素結合溶解度パラメータ(δ、「Hパラメータ」)。ハンセン溶解度パラメータは更に以下に定義する。
【0051】
「反復配列」は、哺乳動物ゲノムの成分を急速に再アニールする(およそ25%)及び/又は中間的に再アニールする(およそ30%)ことを意味するものと理解されなければならない。急速に再アニールする成分は、通常はタンデムで見出される(例えばサテライトDNA)小さい(数ヌクレオチド長)高度に反復性の配列を含む一方、中間的に再アニールする成分は散在反復DNAを含む。散在反復配列はSINEs(短い散在反復配列)又はLINEs(長い散在反復配列)の何れかとして分類され、その双方が霊長類においてレトロトランスポゾンとして分類される。SINEs及びLINEsは、限定しないが、Alu−リピート、Kpn−リピート、ジヌクレオチドリピート、トリヌクレオチドリピート、テトラヌクレオチドリピート、ペンタヌクレオチドリピート及びヘキサヌクレオチドリピートを含む。AluリピートはヒトSINEsの大部分を構成し、ヘッドトゥーテール二量体として配された二つの類似配列からなるおよそ280から300bpのコンセンサス配列によって特徴付けられる。SINEs及びLINEsに加えて、リピート配列は染色体の末端の染色体テロメア及び染色体セントロメアにもまた存在し、これは、染色体の中心領域にのみ存在する別のリピート配列を含む。しかしながら、ゲノム全体にわたって無作為に分散しているSINEs及びLINEsとは異なり、テロメア及びセントロメアリピート配列は染色体のある領域内に局在化している。
【0052】
「非毒性」及び「減少した毒性」は、ホルムアミドの毒性標識に関して、"Directive 1999/45/EC of the European Parliament and of the Council of 31 May 1999 concerning the approximation of the laws, regulations及びadministrative provisions of the Member States relating to the classification, packaging, and labelling of dangerous preparations" (ecb.jrc.it/legislation/1999L0045EC.pdf) (「Directive」)に従って定義される。Directiveに従えば、毒性は次の分類順を使用して定義される:T+「非常に毒性」;T「毒性」、C「腐食性」、Xn「有害」、Xi「刺激性」。リスクフレーズ(「Rフレーズ」)は分類された毒性のリスクを記述する。ホルムアミドはT(毒性)及びR61(胎児に害を及ぼしうる)としてリストされている。次の化学物質の全てがホルムアミドよりも毒性が少ないものとして分類されている:アセトニトリル(Xn、R11、R20、R21、R22、R36);スルホラン(Xn、R22);γ−ブチロラクトン(Xn、R22、R32);及びエチレンカーボネート(Xi、R36、R37、R38)。本出願の出願時には、エチレントリチオカーボネート及びグリコールサルファイトは現在は分類されていない。
【0053】
「分子プローブ」は「核酸」プローブ又は「核酸アナログ」プローブを意味する。ここで使用される場合、「プローブ」なる用語は、核酸鎖として理解されるべきであり、これは、全体が特定のヌクレオチド配列を検出するDNA、RNA、PNA、LNA、その合成又は天然アナログ、又はその混合物から構成されうる。また、プローブ中の塩基は、それがハイブリダイゼーションを妨げない限り、ホスホジエステル結合によって結合されうる。特定の変異を検出する分子プローブは、その変異の標的配列に結合するものである。「結合する」という用語は「ハイブリダイズする」と同義である。二つの分子がハイブリダイズする場合、それらは一又は複数のタイプの化学結合を介して、相補塩基対形成を介して、又は水素結合形成を介して2分子の組合せを形成する。「標的配列」なる用語は決定されることが求められている核酸塩基配列を意味する。
【0054】
「染色体異常」又は染色体異常性は、正常な染色体配列からの変動、例えば染色体数の変化(異数性)、遺伝子コピー数の変化(増幅、欠失、複製、異数性)、潜在的切断点、挿入、逆位、再編成、又は転座である。
【0055】
II.組成物
本発明は、ハイブリダイゼーションにおいて使用するための分子プローブを含有する組成物と(二本鎖ヌクレオチド配列を変性させるのに十分な量の少なくとも一種の極性非プロトン溶媒を含有する)水性組成物を提供する。一般に、かかる組成物はここに記載の任意の分子プローブ及び任意の水性組成物を含みうる。
【0056】
A.分子プローブ
本発明において使用するために適した分子プローブは、例えば、出典明示によりここに援用される米国特許出願公開第2005/0266459号に記載されている。一般に、分子プローブは典型的には例えばDNA、RNA、PNA、及びLNAを含む二本鎖又は一本鎖核酸である。プローブは、標的を検出するための任意の適切な長さでありうる。一般に、プローブは、プローブが全体で約30kbから約2Mbに及ぶように様々なサイズ(例えばそれぞれ約50bpから約500bp)の小さな断片から構成される。例えば、プローブは、1−100、1−10、7−15、10−200、10−20、10−30、10−50、20−40、30−50、40−60、50−70、50−100、50−150、60−80、70−90、又は80−100kb長でありうる。プローブは、該プローブに結合する核酸分子又は他の分子を検出し、定量し、同定し、又は分析するために使用できる。
【0057】
一般に、プローブは、化学合成により、又はクローニングにより特異的DNA配列を増幅させ、ベクター中にDNAを挿入し、ベクターを適切な宿主細胞中で増幅させることにより、調製することができる。一般的に使用されるベクターは細菌プラスミド、コスミド、細菌人工染色体(BACs)、PI転用人工染色体(PACs)、又は酵母人工染色体(YACs)を含む。ついで、増幅されたDNAは抽出され、プローブとしての使用のために精製される。プローブを調製し及び/又は合成するための方法は、例えばPCT/US02/30573に開示されているように、当該分野で知られている。
【0058】
本発明の方法及び組成物に使用されるプローブは、一実施態様では、独特の断片並びに反復断片の双方を含む。核酸アナログプローブ、例えばPNAプローブは、一般に、約10から15の核酸塩基を含む短いよく十分に定まったプローブである。PNAプローブは通常はそれぞれ10から25の核酸塩基単位を有する幾つかの個々のプローブから構成される。
【0059】
一実施態様では、本発明は、単一の分子プローブを提供する。別の実施態様では、本発明は一対の分子プローブを提供する。他の実施態様では、本発明は、2、3、4、5、10、又はそれ以上のプローブ又は対のプローブを提供する。一実施態様では、出典明示によりここに援用される米国特許第6730474号に教示されるように、区別されバランスがとれたプローブ対が使用される。区別されバランスがとれたプローブ対の各々は、例えば転座に関与する異なった染色体に、又は潜在的切断点のフランキング領域にハイブリダイズしうる。別の実施態様では、二つのセットのハイブリダイゼーションプローブを用いることができ、その一又は複数は、ここに出典明示により援用される米国特許第7105294号におけるようなPNAプローブを含む。一実施態様では、少なくとも二つのセットのハイブリダイゼーションプローブが使用され、少なくとも一つのセットは染色体中の潜在的な異常に関連した特異的核酸配列にハイブリダイズ可能であり、少なくとも別のセットは、染色体中の他の又は同じ潜在的異常に関連した特異的核酸配列にハイブリダイズ可能である。
【0060】
核酸試料にハイブリダイズさせるために使用できる幾つかのタイプのプローブがある(一般には、Szeles, Acta Microbiol. Immunol. Hungarica, 49:69-80 (2002)を参照のこと)。これらプローブはゲノムDNA又はcDNA、全染色体彩色、染色体リピート、及び全ゲノムの短配列を含む。ゲノムプローブの場合、哺乳動物ゲノム中の頻繁に反復される配列は、比較的僅かの進化的保存しか有していない。よって、全核又はゲノムDNAを種特異的プローブとして使用することができる。染色体彩色は、単一の染色体タイプから誘導されたDNA配列の収集物であり、分裂中期及び静止期の核中のその特定の染色体を同定できる。異なった染色体タイプはまたプローブハイブリダイゼーションの標的とされうる独特の反復配列を有する (Cremer 等, Hum. Genet., 74:346-52 (1986)を参照)。独特の単一コピー配列を標的とする大きな挿入プローブは、ハイブリダイゼーションアッセイにおいて使用することができるプローブタイプの別の例である。これらのプローブは、コスミド、細菌人工染色体(BACs)、PI転用人工染色体(PACs)、又は酵母人工染色体(YACs)においてでありうる。これらの大きなプローブでは、ハイブリダイゼーション効率はプローブサイズに逆比例する。にもかかわらず、2kbほどの小さいプローブが使用されている(Idを参照)。
【0061】
一般に、プローブのタイプが、プローブが検出できる特徴のタイプを決定する。染色体全体(全染色体彩色)に沿ってハイブリダイズするプローブは、ある種の染色体の数を計算し、転座を示し、又はクロマチンの 染色体外断片を同定するために使用される。同様のプローブを、欠失、増幅、逆位、複製、及び異数性のような異常を検出するために使用することもできる。他の例では、遺伝子座特異的プローブ混合物を用いて特異的染色体を検出し計数することができる。二以上の異なった着色の遺伝子座特異的プローブは、例えばスプリット-シグナルインサイツハイブリダイゼーションを介して転座を検出するために使用でき、反復配列特異的セントロメアプローブ混合物を特異的染色体を検出し計数するために使用できる。
【0062】
一般に、密接に関連した配列を区別する能力は、プローブ長が増加するにつれて熱安定性の差が野生型と変異複合体間で減少するので、ハイブリダイゼーションプローブの長さに逆比例する。10bp長より大きいプローブが、一般に、関心ある独特の生物又は臨床状態を正しく同定するのに必要な配列多様性を得るのに必要とされる。例えば、ABL遺伝子のような特定のDNA配列は、15kb長であるプローブを使用して信頼的に染色されうる。他方、非常に短いオリゴマー(<10塩基対)における単一の塩基(点突然変異)のような微妙な配列差は、非標的配列と比較した相補的核酸標的配列へのハイブリダイゼーションの識別を可能にするのに十分であり得る。
【0063】
一実施態様では、インサイツハイブリダイゼーションプローブの少なくとも一セットは、米国特許第7105294号に記載されているように、一又は複数のPNAプローブを含みうる。PNAは、ペンダントプリン及びピリミジン塩基を持つペプチド(N−(2−アミノエチル)−グリシン)骨格を有する合成ポリマーである。PNA骨格は未変化であるため、DNA及びRNAとは異なり、PNA/DNA及びPNA/RNA相互作用は、対応するDNA/DNA又はDNA/RNA相互作用よりも強い。従って、PNAプローブは、同様の特異性を保持しながら、DNA又はRNAプローブよりも短くてもよい。PNA/DNA(又はPNA/RNA)塩基ミスマッチがDNA/DNA(又はRNA/RNA)二本鎖における同様のミスマッチよりもより不安定化するので、PNAプローブまた相補DNA又はRNAへの結合において大なる特異性を示す。加えて、PNAsはプロテアーゼ及びヌクレアーゼによる酵素的分解に対して比較的耐性である。
【0064】
あるいは、又は加えて、上で検討された技術の何れかにおけるハイブリダイゼーションプローブの少なくとも一セットは、出典明示によりここに援用されるWO99/14226に記載されているように、一又は複数のロックド核酸(LNA)プローブを含みうる。LNAsは、2’及び4’炭素間に更なる架橋結合を含み、堅牢な3’−エンドコンフォメーション及びその結果としてのハイブリダイゼーションのためのヌクレオチド骨格の事前の組織化を生じる。LNA/DNA及びLNA/RNA相互作用は、高融解温度によって示されるように、対応するDNA/DNA及びDNA/RNA相互作用より強い。よって、ハイブリダイゼーションに対して必要とされるエネルギーを減少させる本発明の方法及び組成物は、LNAプローブを用いたハイブリダイゼーションに対して特に有用である。
【0065】
一実施態様では、プローブは検出可能な標識(プローブ−標的ハイブリッドの検出を可能にする分析的に同定可能なシグナルを提供する分子)を含みうる。ここで使用される場合、検出可能な標識は、オリゴマー又はポリマーに直接的に又は間接的に結合されうる部分を意味し、よって、オリゴマー又はポリマーを機器又は方法によって検出可能にする。酵素及び化学プロセスを含む当業者に知られた任意の標識方法を、本発明の方法及び組成物に使用されるプローブを標識するのに使用することができる。
【0066】
一実施態様では、検出可能な標識はプローブに直接結合されうる。別の実施態様では、検出可能な標識はプローブに間接的に、例えばリンカーを使用することによって結合されうる。他の実施態様では、プローブは標識されない。
【0067】
検出可能な標識は、例えば蛍光色素、発色団、スピン標識、放射性同位体、酵素、ハオウテン、量子ドット、ビーズ、アミノヘキシル、ピレン、及び化学発光化合物、例えばアクリジンオレンジでありうる。本発明の方法において使用することができる蛍光色素は、限定しないが、IR染料、Dyomics染料、フィコエリトリン、カスケードブルー、オレゴングリーン488、パシフィックブルー、ローダミングリーン、5(6)−カルボキシフルオレセイン、シアニン染料(つまり、Cy2、Cy3、Cy3.5、Cy5、Cy5.5、Cy7)(ジエチル−アミノ)クマリン、フルオレセイン(つまり、FITC)、テトラメチルローダミン、リサミン、テキサスレッド、AMCA、TRITC、及びAlexa染料を含む。本発明で使用されうるハプテンは、限定しないが、5(6)−カルボキシフルオレセイン、2,4−ジニトロフェニル、ジゴキシゲニン、ローダミン、ブロモデオキシウリジン、アセチルアミノフルーレン、水銀トリニトロフェノール、エストラジオール、及びビオチンを含む。本発明において使用することができる酵素は、限定しないが、ダイズペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、及び西洋わさびペルオキシダーゼを含む。一実施態様では、標識は放射性標識、例えば31P、33P、又は32Sである。別の実施態様では、プローブは、ハプテン、例えばジゴキシゲニン又はビオチンで標識されうる。プローブはまた重金属粒子で、又は発色性又は蛍光発色性基質を有する酵素で標識されうる。プローブはまた当業者に知られている任意の他の標識で標識されうる。
【0068】
一を越えるプローブが存在する場合、各プローブは別個の標識で標識されうる。例えば、一実施態様では、米国特許第6730474号に記載されているように、FISHが実施され、ハイブリダイゼーション混合物が、別個のバランスがとれた対のプローブのセットを含んでいる場合、プローブは比較できる強度の別の標識で標識されうる。
【0069】
発色性インサイツハイブリダイゼーション(CISH)を使用する実施態様では、ハイブリダイゼーション混合物は、一又は複数の一般的な有機色素原での検出に対して構成された少なくとも一のセットのプローブを含み得、Powell RD等, "Metallographic in situ hybridization" Hum. Pathol., 38:1145-59 (2007)に記載されたように、銀インサイツハイブリダイゼーション(SISH)に対しては、ハイブリダイゼーション混合物は、銀粒子での検出に対して構成された少なくとも一セットのプローブを含みうる。
【0070】
一実施態様では、プローブ-核酸配列ハイブリッドの形成は、可視化試薬、例えば抗体(モノクローナルであり得、またそれ自体が標識を含みうる)、酵素のための蛍光発生又は色素発生基質、又は当業者に知られた任意の他の適切な可視化試薬の添加で検出される。
【0071】
ある実施態様では、プローブは、正常なコントロール試料と比較した試料の染色パターンの変化を検出することにより染色体構造中の変化を検出するために使用されうる。分子プローブを用いて検出することができる染色体異常の非網羅的例は、異数性、遺伝子増幅、欠失、例えば遺伝子欠失、遺伝子融合、転座、複製、挿入、又は逆位を含む。ここで使用される場合、異数性は、正常な正倍数体状態からの任意のずれ又は染色体の正常な二倍体数よりも少なく又は多く有する状態を意味する。ここで使用される場合、増幅は特定のDNA断片のコピー数の増加を意味する。かかるDNA断片は、例えば遺伝子又は染色体全体を意味する。ここで使用される場合、欠失は、ある核酸配列が染色体から除去されている遺伝子事象を意味する。ここで使用される場合、遺伝子融合は2つの遺伝子のDNAを偶発的に結合させることを意味する。遺伝子融合は転座又は逆位によって生じ得、他の遺伝子のシス調節エレメント(例えばエンハンサー又はプロモーター)の近位のため一つの遺伝子の転写の誤制御又はハイブリッドタンパク質を生じうる。ここで使用される場合、転座は、一つの染色体の核酸配列の一部がその染色体から取り除かれ、異なった染色体に結合させられる遺伝子事象を意味する。ここで使用される場合、複製は、染色体又は染色体セグメントにおけるヌクレオチド配列の反復を意味する。複製は、複製配列に対して線形的に近位するヌクレオチド配列の反復を生じうる。ここで使用される場合、挿入は、染色体中の二つの点の間に核酸配列が導入される遺伝子事象を意味する。ここで使用される場合、逆位は、染色体中の核酸配列配向が逆にされた遺伝子事象である。ここで使用される場合、染色体切断点は染色体が二つの片に壊れる染色体中の位置を意味する。
【0072】
ある実施態様では、分子プローブは、遺伝子の各側の例えば約500000bpの領域に隣接しうる。約500000bpフランキング領域を含むTYMSマーカーに対するプローブの例は、CTD−2304H22;RP11−841C6;RP11−464L8;RP11−631M21;CTD−2573M23;CTD−3162G8G8;CTD−3232F7;RP11−170J2;RP11−252G7;RP11−699P24;RP11−805B24;CTD−3237F7;RP11−230P17;CTD−2359H18;RP11−1120H10;CTD−2509F1;RP11−431C15;RP11−361O6;RP11−1066C16;CTD−2359H18;RP11−1066G14;RP11−1034P14;RP11−1034P22;CTD−3114P12;RP11−787A12;RP11−787C12;CTD−3149J12;RP11−195P12;CTD−2595P20;CTD−2168E8;RP11−621G7;CTD−3023M8;RP11−748B19;CTD−2064P19;RP11−461K16;RP11−630F5;CTD−3021E11;CTD−3028I7;RP11−1021K17;RP11−729G15;RP11−104I5;RP11−595D13;RP11−436O7;CTD−2646F10;RP11−104A15;CTD−2024F12;CTD−2169M24;RP11−140D22;RP11−848A7;CTD−2060D6;CTD−2298K5;CTD−3022J6;RP11−29P22;RP11−790O10;RP11−89P6;RP11−91I8;RP11−694N4;RP11−752I11;RP11−324G2;CTA−186D6;RP11−88C10;RP11−608N7;RP11−732L14;RP11−324G2;RP11−705O1;RP11−839O23;RP11−683J11;RP11−815L4;RP11−720L2;RP11−179K3;RP11−778P8;RP11−823F8;RP11−791M5;RP11−672L10;RP11−827M19;RP11−19J12;RP11−607C2;RP11−267C19;CTD−3214N24;RP11−1035E2;CTD−2004F18;CTD−3155L20;CTD−2281A22;CTD−3231L23;CTD−2014P18;RP11−1150C18;RP11−170J1;CTC−790I9;RP11−76H24;RP11−48I21;CTC−775A10;CTD−2034O18;RP11−431C11;RP11−50C2;CTD−2208G7;CTD−2345G8;RP11−797C9;RP11−133D9;RP11−655D4;RP11−14P20;RP11−103B23;RP11−806L2;RP11−145B19;CTD−2593J12;CTD−3215I7;RP11−381D10;RP11−769O8;RP11−95H4;RP11−552E8;RP11−914P23;RP11−904F1;RP11−164C14;CTD−3040A20;RP11−1152E8;CTD−3065D24;CTD−3243B17;CTD−3243D18;CTD−3243D19;CTD−3113H2;RP11−1120E20;CTD−3046I16;RP11−635J20;RP11−114M20;RP11−1018M4;CTA−344N3;RP11−137K7;RP11−689C9;RP11−1005B18;RP11−126M20;CTD−2134I3;RP11−701F4;CTD−3236J23;CTD−3047L19;CTD−3240G16;CTD−3148N6;RP11−22J24;RP11−1094D2;CTD−2182K19;RP11−107A13;RP11−134P22;RP11−636P15;RP11−78F17;CTD−2221P22;CTD−2011M14;RP11−626B11;及びRP11−27K24である。
【0073】
他の実施態様では、プローブは遺伝子をコードするか又は遺伝子をコードしない染色体領域内に結合しうる。例えば、プローブは、チミジル酸シンターゼ(TYMS)、ジヒドロ葉酸レダクターゼ(DHFR)、チミジンホスホリラーゼ(TP)、ジヒドロピリミジンデヒドロゲナーゼ(DPD)、メチレンテトラヒドロ葉酸レダクターゼ(MTHFR)、チミジンキナーゼ(TK)、及び5−メチルテトラヒドロ葉酸−ホモシステインメチルトランスフェラーゼ(メチオニンシンターゼ、MTR)を含む5−FU経路に関連する染色体領域に結合しうる。
【0074】
一実施態様では、分子プローブは、先天性遺伝子疾患、例えば脆弱X症候群を検出する。検出されうる他の先天性遺伝子疾患は、例えばダウン症候群、ターナー症候群、ウォルフ・ヒルシュホーン症候群、ヤコブセン症候群、シャルコー・マリー・トゥース病1A型、及びロバートソン転座を含む。
【0075】
一実施態様では、分子プローブは癌状態、例えば固形腫瘍、例えば膀胱癌、乳癌、子宮頚癌、結腸直腸癌、肝臓癌、肺癌、膵臓癌、前立腺癌、皮膚癌又は子宮癌を検出する。一実施態様では、分子プローブは、造血器腫瘍、例えば急性 リンパ性白血病、慢性リンパ性白血病, リンパ腫、多発性骨髄腫、又は非ホジキンリンパ腫を検出する。一実施態様では、分子プローブは、B細胞悪性腫瘍又はT細胞悪性腫瘍を検出する。
【0076】
他の実施態様では、分子プローブは感染性病原、例えば細菌、ウイルス、又は真菌を検出する。例えば、病原は、例えばエプスタイン・バーウイルス、ヒトパピローマウイルス、又は単純ヘルペスウイルスでありうる。他の例では、病原は、例えば大腸菌、肺炎桿菌、緑膿菌、ピロリ菌、ヒストプラズマ・カプスラーツム、ブラストミセス・デルマチチジス、コクシジオイデス種、クリプトコッカス・ネオフォルマンス、クリプトコッカス・ガッティ、又は単純ヘルペスウイルスでありうる。
【0077】
一実施態様では、分子プローブは、ALK、BCL2、BCL3、BCL6、BCL10、BCL12、BCR(22q11)、CCND1、サイクリンD1(11q23)、E2A(19p13)、EGFR(7p11.2)、ETV6(TEL)(12p13)、FIP1L1、HER2(ERBB2)(17q21.1)、IGH(14q32)、IGK(2p11)、IGL(22q11)、MALT1、MLL(ALL−1、HTRX1、HRX)(11q23)、MYC(c−Myc)(8q24)、PAX5、PDGFRA、PDGFRB、SIL、TCF3(E2A、ITF1)、TCL1A、TCRAD、TCRB、TCRG,テロメア、TLX1、TLX3(HOX11L2、RNX)、又はTOP2Aの異常(例えば再編成、増幅、又は欠失を含む)を検出する。例えば、プローブは、ETV6及びAML1(RUNX1及びCBFA2としても知られている)の融合によって特徴付けられる小児癌における一般的な遺伝子再編成を検出するために使用することができる。
【0078】
(例えば造血器腫瘍の文脈を含む)一実施態様では、分子プローブは転座、例えばt(1;14)(q34;q11)、t(1;19)(q23;p13)、t(2;5)、t(2;18)(q12;q21)、t(2;8)、t(4;11)、t(4;11)(q21;q23)、t(6;11)(q27;q23)、t(7;22)(p22;q12)、t(8;14)、t(8;22)、t(9;11)(p22;q23)、t(9;22)(q34;q11)、t(10;14)(q24;q11)、t(11;14)、t(11;14)(p13;q11)、t(11;19)(q23;p13)、t(14;18)(q23;q21)、t(14;18)、t(18;22)(q21;q11)、及びt(21;22)(q22;q12)から選択される転座を検出する。他の実施態様では、分子プローブは、欠失、例えばTAL1の欠失を検出する。更に他の実施態様では、分子プローブは、遺伝子増幅、例えばEGFR、MYC、TOP2A、又はHER2の増幅を検出する。かかる場合、プローブは参照プローブと対をなしうる。例えば、EGFRを検出するプローブは、CEN−7を検出するプローブと対をなし得、MYCを検出するプローブは、CEN−8を検出するプローブと対をなし得、HER2を検出するプローブは、CEN−17を検出するプローブと対をなし得る。
【0079】
非血液学的疾患を検出するための本発明の組成物及び方法において使用されうるプローブに対する例示的な標的は、例えばBASE、BRCA1、CCND1、CCNE1、DCD、E2F3、n−MYC/MYCN、COX−2/PTGS2、LRIG1、ERa、hTERT、MLN64/STARD3、PGR、SNAI1、SRC、TOP1、TUBB1、AIB1、DLC−1、EDD、Pip4k2b/5k、Sil、TBX2、c−Kit、VEGF、VCAM−1、Tie−1、Ts/TYMS、PSMA、PSA、PAP、P15、P16、BCL1、BCL2、MTOR、TIMP1、ESR1、PTEN、MDM2/CDK4、MET、C−MET、ERB1、FGFR1、IGF1R、NET、FGFR3、ABCB1、TMPRSS2、BRCA2、TOP2B、ERCC1、AKT1、AKT2、AKT3、HRAS、NRAS、RAF1、HER3、HER4、ENT1、RRM1、RRM2、RRM2B、PIK3CA、AURK4、AURKB、AURKC、MAPT/tau、TTBK1、TUBB、VEGFR、CCND3、CDK6、CDK2、CDC2、HDAC、ESR2、SCUBE2、BIRC5、FASN、DHFR、TP/ECGF1、TYMP、DPYD、TK1、HMGIC、ABCA2、ABCB11、ABCC1、ABCC2、ABCC3、ABCC4、ABCC5、ABCG2、MVP、ATP7A、ATP7B、SLC29A1、SLC28A1、SLC19A1、TUBB4、TUBA、MAP4、MAP7、STMN1、KIF5B、HSPA5、PSMD14、FPGS、GSTP1、GPX、GCLC、GGT2、MT、AKR1B1、HMGB1、HMGB2、XPA、XPD、MSH2、MLH1、PMS2、APEX1、MGMT、GLO1、RB1、GML、CDKN1A、CDKN2A、CDKN1B、ERBB2、KRAS2、ITGB1、JUN、FOS、NFKB1、TP53、TP73、BCL2L1、MCL1、BAX、BIRC4、TNFRSF6、CASP3、CASP8、HSPB1、MALAT1(α)t(11;19)(q11;q13.4)、MHLB1 t(11;19)(q11;q13.4)、COL1A1 t(17;22)(q22;q13)、PDGFB t(17;22)(q22;q13)、FKHR t(2;13)及びt(1;13)、ETV6 t(12;15)(p13;q25)、NTRK3 t(12;15)(p13;q25)、TLS/FUS t(12;16)(q13;p11)、CHOP t(12;16)(q13;p11)、EWS t(12;22)(q13;q12)、EWS/FLI1 t(11;22)(q24;q12)、及びFLI1 t(11;22)(q24;q12)を含む。
【0080】
血液学的疾患を検出するための本発明の組成物及び方法において使用されうるプローブに対する例示的な標的は、例えば慢性骨髄増殖性疾患の標的、例えばABL t(9;22)(q34;q11)、PRDM16 del(1p36.32)、del(21q22.12)、RUNX1/AML1 del(1p36.32)、del(21q22.12)、CEP8、PDGFRB、NUP98、FGFR1、及びASSを検出するためのプローブ;急性骨髄性白血病の標的、例えばETO t(8;21)(q22;q22)、AML1 t(8;21)(q22;q22)、CBFβ inv(16)(p13q22)又はt(16;16)(p13;q22)、MYH11 inv(16)(p13q22)又はt(16;16)(p13;q22)、AF9 t(9;11)、PML t(15;17)(q22;q21)、PLZF t(11;17)(q23;q21)、NuMA t(11;17)(q13;q21)、NPM t(5;17)(q23;q12)、RARα t(15;17)(q22;q21)t(11;17)(q23;q21)t(11;17)(q13;q21)t(5;17)(q23;q21)、EVI1 t(3;v)(q26;v)、GR6 t(3;3)(q21;q26)、RPN1 t(3;3)(q21;q26)、DEK t(6;9)、CAN t(6;9)、MLF1 t(3;5)(…;q23)、FUS t(16;21)、ERG t(16;21)、NUP98 t(7;11)、HOX9A t(7;11)、MOZ/MYST3 t(8;16)(p11;p13)、CBP t(8;16)(p11;p13)、p300 t(8;22)(p11;q13)、TIF2/GRIP−1/NCoA−2 inv(8)(p11q13)、及びMKL1を検出するためのプローブ;前駆体B及びT細胞腫瘍の標的、例えばPBX1 t(1;19)(q23;p13.3)+var.、ABL t(9;22)(q34;q11)、AF4/AFF1 t(4;11)(q21;q23)、AML1/RUNX1 t(12;21)(p13;q22)、IL3 t(5;14)(q31;q32)、HLF t(17;19)、IKZF1del(7)(p12.2)、CDKN2A/CDKN2Bdel(9)(p21.3)、TAL1 1p32異常、LMO2 t(11;14)(p13;q11)+var.、LMO1 t(11;14)(p15;q11)、HOX11 t(10;14)(q24;q11)+var.、TAL2 t(7;9)(q34;q32)、及びTAN1 t(7;9)(q34;q34)を検出するためのプローブ;成熟B細胞腫瘍の標的、例えばCEP12、ATM、D13S25、D13S319、TP53、P53、TNFAIP3del(6)(q23.3−q24.1)、CDK6 BCL1 t(11;14)(q13;q32)+var.、IRF4 t(6;14)(p25;q32)、C−MAF t(14;16)(q32;q23)、FGFR3 t(4;14)(p16;q32)、及びMUM2/3 t(1;14)(q21;q32)を検出するためのプローブ;及び成熟T細胞及びNK細胞腫瘍の標的、例えばNPM t(2;5)(p23;q35)、ASS、RB1、及びATMを検出するためのプローブを含む。
【0081】
セントロメアを検出するための本発明の組成物及び方法において使用されうるプローブに対する例示的な標的は、例えばCEP1、CEP2、CEP3、CEP4、CEP5、CEP6、CEP7、CEP8、CEP9、CEP10、CEP11、CEP12、CEP13、CEP14、CEP15、CEP16、CEP17、CEP18、CEP19、CEP20、CEP21、CEP22、CEP23、CEP X、及びCEP Yを含む。
【0082】
本発明の組成物及び方法において使用されうるプローブに対する例示的な標的はまた例えばCEP18(18p11.1−q11.1)、CEPX(Xp11.1−q11.1)、CEP Y(Yp11.1−q11.1)、LSI13(13q14)、LSI21(21q22.13−q22.2)、CEP3(3p11.1−q11.1)、CEP7(7p11.1−q11.1)、LSI(p16 9p21)、CEP17(17p11.1−q11.1)、CEP1(D1Z5)1p11.1−q11.1、CEP1 1q12、CEP2(D2Z1)2p11.1−q11.1、CEP3(D3Z1)3p11.1−q11.1、CEP4 4p11−q11、CEP6(D6Z1)6p11.1−q11、CEP6(D6Z1)6p11.1−q11.1、CEP7(D7Z1)7p11.1−q11.1、CEP8(D8Z2)8p11.1−q11.1、CEP9 9p11−q11、CEP10 10p11.1−q11.1、CEP11(D11Z1)11p11.11−q11.11、CEP11(D11Z1)11p11.11−q11、CEP12(D12Z3)12p11.1−q11、LSI13(13q14)、LSI13(RB1)、CEP15(D15Z1)15p11.2、CEP15(D15Z4)15p11.1−q11.1、CEP16(D16Z3)16q11.2、CEP17(D17Z1)17p11.1−q11.1、CEP18(D18Z1)18p11.1−q11.1、CEP20(D20Z1)20p11.1−q11.1、LSI21、LSI22(BCR)、CEP X(DXZ1)Xp11.1−q11.1、CEP X(DXZ1)/Y(DYZ1)*Xp11.1−q11.1Yq12、CEP X(DXZ1)/Y(DYZ3)Xp11.1−q11.1Yp11.1−q11.1、CEP Y(DYZ1)Yq12、CEP Y(DYZ1)、CEP Y(DYZ3)Yp11.1−q11.1、LSI 1p36/LSI 1q25及びLSI 19q13/19p13、LSI 4q12、LSI 9q34、LSI13(RB1)13q14、LSI13(RB1)、LSI(13q34)、LSI13(13q14)、LSI21、LSI22(BCR)、LSI ALK、LSI AML1/ETO、LSIアンドロゲンレセプター遺伝子(Xq12)、LSI API2/MALT1 t(11;18)(q21;q21)、LSI ATM(11q22.3)、LSI ATM/CEP11、LSI BCL2、LSI BCR/ABL+9q34、LSI BCR/ABL、LSI CBFB、LSI CCND1(11q13)、LSI CHOP(12q13)、LSI CSF1R(5q33−q34)/D5S23,D5S721、LSI C−MYC(8q24.12−q24.13)、LSIサイクリンD1(11q13)/CEP11、LSI D13S25(13q14.3)、LSI D13S319(13q14.3)、LSI D13S319(13q14.3)/LSI13q34、LSI D20S108(20q12)、LSI D5S23/D5S721、CEP9、CEP15、LSI D7S486(7q31)/CEP7、LSI D7S522(7q31)/CEP7、LSI EGFR/CEP7、LSI EGR1(5q31)/D5S23、D5S721、LSI ETV6(TEL)(12p13)、LSI EWSR1(22q12)、LSI FKHR(13q14)、LSI FUS(16p11)、LSI IGH、LSI IGH/BCL2、LSI IGH/CCND1、LSI IGH/FGFR3、LSI IGH/MAF、LSI IGH/MALT1 t(14;18)(q32;q21)、LSI IGH/MYC、CEP8、LSIMALT1(18q21)、LSIMLL、LSIMYB(6q23)、LSIMYC、LSI N−MYC(2p24.1)、LSI N−MYC(2p24)/CEP2S、LSI p16(9p21)/CEP9、LSI p53(17p13.1)、LSI p53/LSI ATM及びLSI D13S319/LSI13q34/CEP12、LSI PML/RARA、LSI PTEN(10q23)/CEP10、LSI RARA、LSI SYT(18q11.2)、LSI TEL/AML1、LSI TCF3/PBX1、LSI TCRα/delta、LSI TOP2A、LSI TP53/CEP17、LSI ZNF217(20q13.2)、LSI p58(1p36)LSI 1q25、LSI D5S23、D5S721、LSI EGR1/LSI D5S23、D5S721、LSI N25/ARSA、LSI TUPLE1/LSI ARSA、LSI TUPLE1(HIRA)/TelVysion22q S、LSI KAL/CEP X、LSI LIS1/LSI RARA、LSI D15S10/CEP15(D15Z1)/PML、LSI D15S11/CEP15(D15Z1)、LSI GABRB3/CEP15(D15Z1)、LSI SNRPN/CEP15(D15Z1)/LSI PML、LSI SMS Region/LSI RARA、LSI NSD1(5q35)、LSI SRY/CEP X、LSI SRY、LSI STS/LSI CEP X、LSI ELNe/LSI D7S486、D7S522、LSI WHS/CEP4、CEB108/T7 1p、VIJ2yRM2052(U32389)2p、3PTEL25(D3S4559)3p、4p022(D4S3359、6244599)4p、C84c11/T7 5p、6PTEL48 6p、VIJ2yRM2185(G31341)7p、AFM197XG5(D8S504、199153)8p、305J7−T7 9p、10p006(Z96139)10p、VIJ2(D11S2071、U12896)11p、VIJ3(sAVH27,U57865)12p、STSG608831 STSG608938 16p、282M16/SP6 17p、VIJ2yRM2102(D18S552)18p、129F16/SP6 19p、20p18(D20S1157)20p、DXYS129,DXYS153Xp/Yp、VIJ2yRM2123 1QTEL10(D1S3738、9043912)1q、VIJ2yRM2112(D2S447)2QTEL47 2q、3QTEL05(D3S4560)3q、AFM A224XH1(D4S2930)4q、GS35o8/T7 5QTEL702(D5S2907)5q、VIJ2yRM2158 6q、VIJ2yRM2185(STS2000H、G31341)7q、VIJ2yRM2053 8q、VIJ2yRM2241(D9S325)9q、10QTEL24(D10S2490、6244631)10q、D11S1037 11q、VIJ2yRM2196 12q、VIJ2yRM2002(D13S327)13q、D14S1420 14q、WI−5214(D15S396)(G04801)15q、16q013(Z96319)16q、D17S928 Z23646 17q、VIJ2yRM2050 18QTEL11 STSG193 AFM254VD5 CU18−010L/CU18−010R STS−F04195 TIGR−A008P37 STSG52963 18q、D19S238E19q、20QTEL14 20q、VIJ2yRM2029 21q、MS607(X58044)ACR22q、及びSYBL1に対するEST Cdy16c07−コスミドC8.2(Z43206)Xq/Yq内のマップを含む。
【0083】
本発明の組成物及び方法において使用されうる例示的プローブは、また例えばHIVサブタイプA、B、C、D、AE、F、AG、G及びOのPOL遺伝子のIN領域内に結合するプローブ;PR遺伝子内及びHIV−1のPOL遺伝子のRT領域内に結合するプローブ;及びトラコーマクラミジアの潜在的プラスミドを検出するためのプローブ;淋菌のOpa遺伝子を検出するためのプローブ;染色体1−12及び16−20のp及びqサブテロメア、末端動原体染色体13、14、15、21、及び22のqサブテロメア、及びXp/Yp及びXq/Yq偽常染色体領域サブテロメアに結合するプローブ;HLA−Aのエキソン2又は3に結合するプローブ;HLA−Bのエキソン2又は3に結合するプローブ;HLA−Cのエキソン2又は3に結合するプローブ;HLA−DRB1のエキソン2に結合するプローブ;HLA−DPB1のエキソン2に結合するプローブ;及びHLA−DQB1のエキソン2に結合するプローブを含む。
【0084】
B.水性組成物
(1)溶媒選択
本発明に使用される適切な極性非プロトン溶媒は、そのハンセン溶解度パラメータに基づいて選択することができる。ある溶媒に対してHSPを実験的に決定し及び/又は計算するための方法は当該分野で知られており、HSPは1200を越える化学物質に対して報告されている。
【0085】
例えば、Dパラメータは、屈折率に基づいて合理的な精度で計算することができ、又は臨界温度及びモル体積を樹立した後、類似のサイズ、形状、及び組成の既知の溶媒と比較したチャートから誘導することができる。Pパラメータは、式1を使用して既知の双極子モーメント(例えばMcClellan A.L., Tables of Experimental Dipole Moments (W.H. Freeman 1963)を参照)から推定することができる:
式1: δ=37.4(双極子モーメント)/V1/2
ここで、Vはモル体積である。Hパラメータを計算するための式はない。その代わりに、Hパラメータは通常グループ寄与に基づいて決定される。
【0086】
HSP特徴付けは、球の中心の実験的に決定された適切な参照溶媒のHSPを用いて、簡便には球標示を使用して可視化される。球半径(R)は、「良好な」相互作用が起こるのを尚可能にする参照溶媒のHSPからの最大の許容可能な変動を示す。良好な溶媒は球の内部にあり悪いものは外である。その各HSP値に基づく2つの溶媒間の距離 Raは、式2を使用して決定することができる:
式2: (R)=4(δD1−δD2)+(δP1−δP2)H1−δH2)
ここで、添え字1は参照試料を示し、添え字2は試験化学物質を示し、全ての値はMPa1/2である。良好な溶解度は、Rが溶解度球の実験的に決定された半径Rよりも少ないことを必要とする。2つの溶媒間の相対的なエネルギー差、つまりRED数は、式3に示すように、Rに対するRの比をとることによって計算することができる。
式3: RED=R/R
1.0未満のRED数は高親和性を示し;1.0に等しいか近いRED数は境界条件を示し;漸次高くなるRED数は漸次低くなる親和性を示している。
【0087】
ある実施態様では、本発明の極性非プロトン溶媒のDパラメータは、17.7から22.0MPa1/2である。このような相対的に高いDパラメータは一般に環状構造及び/又は硫黄又はハロゲンを持つ構造の溶媒に関連する。直鎖状化合物は本発明で使用されるための最も適した溶媒にはなり得ないが、そのP及びHパラメータが以下に検討する範囲内にあれば考慮されうる。Dパラメータは式2において4倍されているので、限界はRの半分である。また、約21又はそれ以上のD値はしばしば固体の特徴であることに留意されなければならない。
【0088】
ある実施態様では、本発明の極性非プロトン溶媒のPパラメータは13から23MPa1/2である。そのような指数的に高いPパラメータは、一般に、高い双極子モーメント及びおそらくは相対的に低いモル体積を有する溶媒に関連する。例えば、60cc/モルに近いVでは、双極子モーメントは4.5と3.1の間である。90cc/モルに近いVでは、双極子モーメントは5.6と3.9の間でなければならない。
【0089】
ある実施態様では、本発明の極性非プロトン溶媒のHパラメータは3から13MPa1/2である。一般に、アルコール基を有する極性非プロトン溶媒は、かかる溶媒のHパラメータが余りに高いので、本発明の組成物及び方法においては有用ではない。
【0090】
極性非プロトン溶媒のモル体積は、それが3つのハンセン溶解度パラメータ全ての評価に入るので、また関係している。モル体積が小さくなるにつれて、液体は急速に蒸発する傾向にある。モル体積が大きくなるにつれ、液体が上述のD及びPパラメータの範囲の固体領域に入る傾向がある。よって、本発明の極性非プロトン溶媒は、HSP空間における液体/固体境界にむしろ近い。
【0091】
ある実施態様では、本発明の極性非プロトン溶媒は、ラクトン、スルホン、ニトリル、サルファイト、及び/又はカーボネート官能性を有する。かかる化合物は、その相対的に高い比誘電率、高い双極子モーメント、及び水への溶解度によって区別される。ラクトン官能性を有する例示的な極性非プロトン溶媒はγ−ブチロラクトン(GBL)であり、スルホン官能性を有する例示的な極性非プロトン溶媒はスルホラン(SL;テトラメチレンスルフィド−ジオキシド)であり、ニトリル官能性を有する例示的な極性非プロトン溶媒はアセトニトリル(AN)であり、サルファイト官能性を有する例示的な極性非プロトン溶媒はグリコールサルファイト/エチレンサルファイト(GS)であり、カーボネート官能性を有する例示的な極性非プロトン溶媒はエチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、又はエチレントリチオカーボネート(ETC)である。これらの例示的な溶媒の構造を以下に提供し、そのハンセン溶解度パラメータ、RED数、及びモル体積を表1にまとめる。
【0092】


【0093】
本発明で使用されうる他の適切な極性非プロトン溶媒は環状化合物、例えばε−カプロラクトン及びN−メチルピロリドンである。また、置換ピロリジノン及び5−又は6−員環の窒素を含む関連構造、及び二つのニトリル基、又は一つの臭素及び一つのニトリル基を持つ環状構造がまた本発明の使用に適している場合がある。他の適切な極性非プロトン溶媒は環ウレタン基(NHCOO−)を含みうる。しかしながら、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンは本発明のハイブリダイゼーション組成物において使用される場合シグナルを生じないので、必ずしも全てのかかる化合物が適切な訳ではない。当業者はここに記載の本発明の組成物及び方法に有用な化合物をスクリーニングしてもよい。本発明における使用に適していよう例示的な化学物質を以下の表2及び3に記載する。
【0094】


【0095】
表2はそのハンセン溶解度パラメータに基づき本発明の組成物及び方法において使用される潜在的な化学物質の例示的なリストを記載する。勿論、他の化合物もこれらの要件を満たしうる。これらの化学物質の幾らかは先行技術においてハイブリダイゼーション及び/又はPCR溶液中に使用されている(例えば、ジメチルスルホキシド(DMSO)はハイブリダイゼーション及びPCR溶液に使用されており、スルホラン(SL)はPCR溶液に使用されている)が、殆どは使用されていない。しかしながら、先行技術には、これらの化合物が、本願に開示したように、ハイブリダイゼーション時間及び/又は温度を低減させるために有利に使用することができることは認識されてはいなかった。
【0096】

【0097】
表2及び3に列挙される化学物質の必ずしも全てが本発明の組成物及び方法での使用に適しているものではない。例えば、そのハンセン溶解度パラメータ(HSPs)が上に記載の範囲に入っているので、DMSOが表2に列挙されているが、本発明の組成物及び方法において、DMSOはハイブリダイゼーション時間及び/又は温度を減少させるように機能しない。よって、ある実施態様では、水性組成物は極性非プロトン溶媒としてDMSOを含んでいない。しかしながら、提供された実施例の一つにおける化合物の試験を含むここで提供されるガイドを使用して適切な化合物をスクリーニングすることは当業者の技量の範囲である。例えば、ある実施態様では、適切な極性非プロトン溶媒は、上に記載された範囲のHSPsと上記の式1−9に示された構造を有している。
【0098】
(2)組成物、バッファー、及び溶液
(a)ハイブリダイゼーション溶液
伝統的なハイブリダイゼーション溶液は当該分野で知られている。かかる溶液は、例えば緩衝剤、促進剤、キレート剤、塩、洗浄剤、及びブロッキング剤を含みうる。
例えば、緩衝剤は、SSC、HEPES、SSPE、PIPES、TMAC、TRIS、SET、リン酸カリウム、クエン酸、ピロリン酸ナトリウム等を含みうる。緩衝剤は0.5xから50xの濃度で存在しうる。典型的には、緩衝剤は2xから10xの濃度で存在する。
【0099】
促進剤は、ポリマー、例えばFICOLL、PVP、ヘパリン、デキストラン硫酸、タンパク質、例えばBSA、グリコール、例えばエチレングリコール、グリセロール、1,3プロパンジオールグリセロール、プロピレングリコール、又はジエチレングリコール、その組合せ、例えばデンハート溶液及びBLOTTO、及び有機溶媒、例えばホルムアミド、ジメチルホルムアミド、DMSO等を含みうる。促進剤は、1%から80%又は0.1xから10xの濃度で存在しうる。典型的には、ホルムアミドは25%から75%の濃度で存在する一方、DMSO、デキストラン硫酸、及びグリコールは5%から10%の濃度で存在する。
【0100】
キレート剤は、EDTA、EGTA等を含みうる。キレート剤は0.1mMから10mMの濃度で存在しうる。典型的には、キレート剤は0.5mMから5mMの濃度で存在する。
塩は塩化ナトリウム、リン酸ナトリウム、リン酸マグネシウム等を含みうる。塩は1mMから750mMの濃度で存在しうる。典型的には、塩は10mMから500mMの濃度で存在する。
【0101】
洗浄剤は、Tween、SDS、トリトン、CHAPS、デオキシコール酸等を含みうる。洗浄剤は0.01%から10%の濃度で存在しうる。典型的には、洗浄剤は0.1%から1%の濃度で存在する。
核酸ブロッキング剤は、酵母tRNA、ホモポリマーDNA、変性サケ精液DNA、ニシン精液DNA、全ヒトDNA、COT1 DNA等を含みうる。ブロッキング核酸は、0.05mg/mLから100mg/mLの濃度で存在しうる。
【0102】
伝統的なハイブリダイゼーション溶液に関する文献には様々な変形例が存在している。例えば、伝統的なハイブリダイゼーション溶液は5x又は6xのSSC、0.01MのEDTA、5×デンハート液、0.5%のSDS、及び100mg/mLの剪断変性サケ精液DNAを含みうる。他の伝統的なハイブリダイゼーション溶液は、50mMのHEPES、0.5MのNaCl、及び0.2mMのEDTAを含みうる。RNA検出のための生物学的検体でのFISHの典型的な.ハイブリダイゼーション溶液は、例えば2xSSC、10%のデキストラン硫酸、2mMのバナジル−リボヌクレオシド複合体、50%ホルムアミド、0.02%のRNAse不含有BSA、及び1mg/mLの大腸菌tRNAを含みうる。DNA検出のための生物学的検体でのFISHの典型的なハイブリダイゼーション溶液は、例えば2xSSC、10%のデキストラン硫酸、50%のホルムアミド、及び例えば0.3mg/mLのサケ精液DNA又は0.1mg/mLのCOT1 DNAを含みうる。他の典型的なハイブリダイゼーション溶液は、40%ホルムアミド、10%のデキストラン硫酸、30mMのNaCl、5mMのリン酸バッファー、ブロッキングPNA又はCOT−1 DNAを含み得、ある場合には0.1μg/μLの全ヒトDNA(THD)を含みうる。
【0103】
本発明の組成物は、上述の伝統的なハイブリダイゼーション溶液の成分の何れかを少なくとも一種の極性非プロトン溶媒と組み合わせて含有するハイブリダイゼーション溶液を含みうる。伝統的な成分は伝統的なハイブリダイゼーション溶液において使用されるものと同じ濃度で存在し得、又はより高いかもしくはより低い濃度で存在し得、あるいは完全に省かれてもよい。
例えば、本発明の組成物がNaCl及び/又はリン酸バッファーを含む場合、それらは、0−1200mMのNaCl及び/又は0−200mMのリン酸バッファーの濃度で存在しうる。ある実施態様では、塩の濃度は、例えば300mMのNaCl及び5mMのリン酸バッファー、又は600mMのNaCl及び10mMのリン酸バッファーでありうる。
【0104】
本発明の組成物がデキストラン硫酸、グリコール、又はDMSOのような促進剤を含む場合、デキストラン硫酸は5%から40%の濃度で存在し得、グリコールは0.1%から10%の濃度で存在し得、DMSOは0.1%から10%でありうる。ある実施態様では、デキストラン硫酸の濃度は10%又は20%であり得、エチレングリコール、1,3プロパンジオール、又はグリセロールの濃度は1%から10%でありうる。ある実施態様では、DMSOの濃度は1%でありうる。ある実施態様では、水性組成物は促進剤としてDMSOを含まない。ある実施態様では、水性組成物は促進剤としてホルムアミドを含まず、又はホルムアミドを含むが、但し、10%未満、又は5%未満、又は2%未満、又は1%未満、又は0.5%未満、又は0.1%未満、又は0.05%未満、又は0.01%未満である。
【0105】
本発明の組成物がクエン酸を含む場合、濃度は1mMから50mMの範囲であり得、pHは5.0から8.0の範囲であり得る。ある実施態様では、クエン酸の濃度は10mM及びpHは6.2でありうる。
本発明の組成物は、例えば細胞膜への非特異的結合を減少させる薬剤、例えばサケ精液又は少量の全ヒトDNAを含み得、又は例えばそれらは標的への例えば反復配列の結合をブロックするためのブロッキング剤、例えば多量の全ヒトDNA又はリピートリッチ化DNA又は特異的ブロッキング剤、例えばPNA又はLNA断片及び配列を含みうる。これらの薬剤は0.01−100μg/μL又は0.01−100μMの濃度で存在しうる。例えば、ある実施態様では、これらの薬剤は0.1μg/μLの全ヒトDNA、又は0.1μg/μLの非ヒトDNA、例えばニシン精液、サケ精液、又はウシ胸腺DNA、又は5μMのブロッキングPNAであろう。
【0106】
本発明の一態様はハイブリダイゼーションに使用される組成物又は溶液である。本発明において使用される組成物は、核酸配列及び二本鎖ヌクレオチド配列を変性させるのに十分な量の少なくとも一種の極性非プロトン溶媒を含む水性組成物を含む。二本鎖ヌクレオチド配列を変性させるのに有効な量がハイブリダイゼーションを可能にする量である。例えば、極性非プロトン溶媒の量がハイブリダイゼーションを可能にするのに有効かどうかを試験する一方法は、実施例1のようにここに記載のハイブリダイゼーション方法及び組成物に使用される場合、極性非プロトン溶媒が検出可能なシグナル及び/又は増幅された核酸産物を生じるかどうかを決定することである。
【0107】
極性非プロトン溶媒の有効量の非限定的な例は、例えば約1%から約95%(v/v)を含む。ある実施態様では、極性非プロトン溶媒の濃度は5%から60%(v/v)である。他の実施態様では、極性非プロトン溶媒の濃度は10%から60%(v/v)である。更に他の実施態様では、極性非プロトン溶媒の濃度は30%から50%(v/v)である。1%から5%、5%から10%、10%、10%から20%、20%から30%、30%から40%、40%から50%、又は50%から60%(v/v)の濃度がまた適切である。ある実施態様では、極性非プロトン溶媒は0.1%、0.25%、0.5%、1%、2%、3%、4%、又は5%(v/v)の濃度で存在する。他の実施態様では、極性非プロトン溶媒は7%、7.5%、8%、8.5%、9%、9.5%、10%、10.5%、11%、11.5%、12%、12.5%、13%、13.5%、14%、14.5%、15%、15.5%、16%、16.5%、17%、17.5%、18%、18.5%、19%、19.5%、又は20%(v/v)の濃度で存在する。
【0108】
一又は複数の核酸プローブが本発明の組成物に存在する場合、上に記載したように、プローブは直接的に検出可能な化合物(例えば酵素、発色団、蛍光色素、及びハプテン)で間接的に標識されうる。DNAプローブは0.1から100ng/μLの濃度で存在しうる。例えば、ある実施態様では、プローブは1から10ng/μLの濃度で存在しうる。PNAプローブは0.5から5000nMの濃度で存在しうる。例えば、ある実施態様では、プローブは5から1000nMの濃度で存在しうる。
【0109】
一実施態様では、本発明の組成物は、40%の極性非プロトン溶媒(v/v)(例えばエチレンカーボネート、「EC」)、10%のデキストラン硫酸、300mMのNaCl、5mMのリン酸バッファー、及び1−10ng/μLプローブの混合物を含有する。本発明の他の例示的な組成物は、15%のEC、20%のデキストラン硫酸、600mMのNaCl、10mMのリン酸バッファー、及び0.1μg/μlの全ヒトDNAの混合物を含有する。更に他の例示的な組成物は、15%のEC、20%のデキストラン硫酸、600mMのNaCl、10mMのクエン酸pH6.2、及び0.1μg/μLの非ヒトDNA(例えばニシン精子、サケ精液、又はウシ胸腺)又は0.5%ホルムアミド又は1%のグリコール(例えばエチレングリコール、1,3プロパンジオール、又はグリセロール)を含む。
【0110】
(b)極性非プロトン溶媒
異なった極性非プロトン溶媒は本発明の組成物に異なった性質を付与しうる。例えば、極性非プロトン溶媒の選択は、ある種の極性非プロトン溶媒は経時的に分解しうるので、組成物の安定性に寄与しうる。例えば、極性非プロトン溶媒のエチレンカーボネートは比較的安定な分子であるエチレングリコールと、水と相互作用して炭酸を形成しうる二酸化炭素に分解し、本発明の組成物の酸性を変える。理論に拘束されるものではないが、エチレンカーボネートの分解時のpH変化は本発明の組成物をハイブリダイゼーションに対して効果的ではないものにすると思われる。しかしながら、安定性は、典型的には約pH7.4で使用される伝統的なリン酸バッファーの代わりにpH6.2のバッファーとしてクエン酸を添加し、及び/又は例えば0.1%から10%、又は0.5%から5%、例えば1%、2%、3%等の濃度でエチレングリコールを添加することにより、組成物のpHを減少させることによって改善することができる。例えば、10mMのクエン酸バッファーでは、本発明の組成物はおよそ8ヶ月の間、2−8℃で安定している。安定性はまた組成物を低い温度(例えば−20℃)に保存すると、改善されうる。
【0111】
また、ある種の極性非プロトン溶媒は、ある条件下で本発明の組成物を多相系に分離せしめうる。多相系が得られる条件は、異なった極性非プロトン溶媒に対して異なりうる。しかしながら、一般に、極性非プロトン溶媒の濃度が増加すると、相の数が増加する。例えば、低濃度のエチレンカーボネート(つまり、20%未満)を含む組成物は一相として存在しうるが、より高濃度のエチレンカーボネートを含有する組成物は二、又は三相にさえ分離しうる。例えば、15%のエチレンカーボネートを半有する組成物は室温で単一相として存在するが、40%のエチレンカーボネートを含有する組成物は室温で粘性のある下相(全容量のおよそ25%)と粘性の少ない上相(全容量のおよそ75%)からなる。
他方、ある種の極性非プロトン溶媒は低濃度においてさえ二相で存在しうる。例えば、スルホラン、γ−ブチロラクトン、エチレントリチオカーボネート、グリコールサルファイト、及びプロピレンカーボネートは、室温で10、15、20、又は25%(20%のデキストラン硫酸、600mMのNaCl、10mMのクエン酸バッファー)の濃度で二相として存在する。
【0112】
本発明の組成物の温度を調節することにより相の数を変更することもまたできうる。一般に、温度が上昇すると、相の数は減少する。例えば、2−8℃では、40%のエチレンカーボネートを含有する組成物は三相系に分離しうる。
組成物中のデキストラン硫酸及び/又は塩の濃度を調節することにより相の数を変更することもまたできうる。一般に言えば、デキストラン硫酸濃度(伝統的な濃度が10%である)及び/又は塩濃度の低下は相の数を減少させうる。しかしながら、組成物中の特定の極性非プロトン溶媒及びその濃度に応じて、単一相をたとえ高濃度の塩及びデキストラン硫酸ででも製造できる。例えば、低量のEC(例えば15%、10%、5%)を含有する組成物は、デキストラン硫酸及び塩濃度を増加させることにより、一相系を尚維持しながら、良好に作用しうる。特定の実施態様では、HER2遺伝子DNAプローブ、CEN7 PNAプローブ、15%のEC、20%のデキストラン硫酸、600mMのNaCl、及び10mMのリン酸バッファーを含有する組成物は、たとえ−20℃でさえ一相として存在する。他の実施態様では、組成物は−20℃で液体である。
【0113】
ある極性非プロトン溶媒は、ある相又は他の相に強いシグナルを生じうる。例えば、40%のグリコールサルファイトは下相に強いシグナルを生じ、上相にシグナルを生じない。同様に、あるタイプのプローブはある相又は他の相に強いシグナルを生じうる。例えば、PNAプローブは上相より下相に強いシグナルを示す傾向がある。
従って、本発明の多相系は、試料の異なった側面を簡便に検査するために使用することができる。例えば、二相系を使用して、DNAプローブで標識された試料からPNAプローブで標識された試料を分離することができよう。他には、単離された相が単一相系として使用できるようなある種のハイブリダイゼーションの利点を示す特定の相の単離が含まれる。プローブ及び/又は試料は特定の相の単離の前、又は後に加えることができる。
【0114】
ハイブリダイゼーションは、本発明の一相組成物を用いて、本発明の多相組成物の個々の相を用いて、又は本発明の多相組成物中の相の何れか一又は複数の混合物で実施されうる。例えば、一相系では、ある容量の試料がハイブリダイゼーションにおいて使用するために抽出されうる。多相系では、ハイブリダイゼーションに使用するために関心のある相(例えば上、下、又は中間相)からある容量の試料を抽出することができる。あるいは、多相系中の相を、ハイブリダイゼーションでの使用に対して混合試料のある容量を抽出する前に混合することができる。しかしながら、多相系は、組成物に応じて、強く不均等な局所的バックグラウンド染色を生じうる。低量のホルムアミドの添加は一相系におけるバックグラウンドを低減させる一方、高濃度(例えば40%)の極性非プロトン溶媒を含む多相系には殆ど効果がない。また、ホルムアミドの濃度が増加するにつれて、より高濃度のプローブ及び/又はより長いハイブリダイゼーション時間が強いシグナル強度を維持するために必要とされる。
【0115】
(c)特定の応用に対する最適化
本発明の組成物は、特定の応用に対して結果を最適化するために変更しうる。例えば、極性非プロトン溶媒、塩、促進剤、ブロッキング剤、及び水素イオン(つまりpH)の濃度を、特定の応用に対する結果を改善するために変更しうる。
例えば、極性非プロトン溶媒の濃度を、シグナル強度及びバックグラウンド染色を改善するために変更しうる。一般に、極性非プロトン溶媒の濃度が増加するにつれて、シグナル強度が増加し、バックグラウンド染色が減少する。例えば、15%のECを含有する組成物は、5%のECを含有する組成物より強いシグナルと少ないバックグラウンドを示す傾向がある。しかしながら、シグナル強度は、塩及び/又はデキストラン硫酸の濃度が増加させられる場合、低濃度の極性非プロトン溶媒(例えば0%から20%)を有する組成物に対して改善されうる。例えば、塩濃度が伝統的な塩濃度(つまり、およそ1200mMのNaCl、20mMのリン酸バッファー)のおよそ8から16倍上昇させられると、5%から10%のECで強いシグナルが観察されうる。同様に、低濃度の極性非プロトン溶媒が使用されると、高濃度のデキストラン硫酸が良好なシグナル及びバックグラウンド強度を維持するために一般に必要とされる。
【0116】
従って、塩及びデキストラン硫酸の濃度を、シグナル強度及びバックグラウンド染色を改善するためにまた変更しうる。一般に、塩及びデキストラン硫酸の濃度が増加すると、シグナル強度が増加し、バックグラウンドが減少する。例えば、伝統的な濃度(つまり300mMのNaCl、5mMのリン酸バッファー)のおよそ2から4倍の塩濃度は、強いシグナルと低いバックグラウンドを生じる。しかしながら、驚いたことに、ハイブリダイゼーションは、たとえ塩が完全に存在しない場合にでも本発明の組成物を使用して生じる。シグナル強度は、促進剤及び/又は極性非プロトン溶媒の濃度を増加させることによって非塩条件下で改善することができる。
【0117】
同様に、シグナル強度は、デキストラン硫酸濃度が0%から20%まで増加すると増加する。しかしながら、良好なシグナルは0%のデキストラン硫酸濃度においてさえ観察されうる。シグナル強度は、極性非プロトン溶媒及び/又は塩濃度を増加させることによって低デキストラン硫酸条件下で改善することができる。
また、本発明の組成物において使用されるプローブのタイプを、結果を改善するために変更しうる。例えば、本発明のある態様では、DNA/DNAプローブの組合せが、本発明の組成物におけるDNA/PNAプローブの組合せより少ないバックグラウンドを示し得、又はその逆もしかりである。他方、PNAプローブは、低塩及び/又は低極性非プロトン溶媒濃度下でDNAプローブよりも強いシグナルを示す傾向がある。実際、PNAプローブは極性非プロトン溶媒が存在しない場合にもシグナルを示す一方、DNAプローブは、極性非プロトン溶媒がないと弱いシグナルを示すかシグナルを示さない。
【0118】
II.キット
本発明はまた本発明の組成物を含むキットを提供する。よっって、キットは、一又は複数の 分子プローブ(上に詳細に記載)及び水性組成物 (上に詳細に記載)を含みうる。一実施態様では、プローブは直ぐには可視化されず(例えばフルオロフォア又は発色団で標識されていないため)、キットは、可視化試薬、例えば抗体(モノクローナルであってよく、検出可能な標識で標識されていてもよい)、蛍光発生又は発色性酵素基質、ストレプトアビジンコンジュゲート、又は当業者に知られている任意の他の適切な可視化試薬を更に含む。
【0119】
一実施態様では、キットは、染色体異常を検出するために使用されうる他の試薬及び/又は組成物を更に含む。一実施態様では、キットはプロテアーゼ、例えばペプシン又は又はプロテイナーゼKを更に含みうる。一実施態様では、キットは、一又は複数の前処理溶液、プロテアーゼ、ストリンジェントな洗浄バッファー、蛍光マウント培地、洗浄バッファー、シグナル増幅溶液、及びカバーガラスシーラントを更に含みうる。例えば、一実施態様では、細胞診FISHキットは、一又は複数の洗浄バッファー、ストリンジェントなバッファー、蛍光マウント培地、及びカバーガラスシーラントを更に含みうる。一実施態様では、組織診断FISHキットは、一又は複数の前処理溶液、ペプシン、洗浄バッファー、ストリンジェントなバッファー、蛍光マウント培地、及びカバーガラスシーラントを更に含みうる。一実施態様では、CISHキットは、ペルオキシダーゼブロック、CISH抗体ミックス、レッド基質バッファー、ブルー基質バッファー、レッド色素原、及びブルー色素原を更に含みうる。別の実施態様では、キットは指示書を更に含みうる。
【0120】
III.応用、方法及び用途
本発明は、染色体異常の検出、疾患の診断、治療処置の進行のモニタリング、治療を完了した患者の疾患再発に対するモニタリングのために上述の組成物及びキットを使用する方法を更に提供する。一般に、かかる方法は下記のハイブリダイゼーション条件の一又は複数を使用する。
【0121】
例えば、本発明は本発明の組成物を使用して染色体異常を検出する方法を提供する。検出は、診断、適切な治療の選択、及び/又は疾患再発についての患者のモニタリングに関連しうる。一実施態様では、本発明は染色体異常が核酸配列中に存在するかどうかを決定する方法を提供し、該方法は、
− 染色体異常を検出する分子プローブを提供し、
− 核酸配列を提供し、
− 1%(v/v)から95%(v/v)の少なくとも一種の極性非プロトン溶媒を含有する水性組成物を提供し、
− 分子プローブ及び核酸配列をハイブリダイズさせるのに少なくとも十分な時間の間、分子プローブ及び核酸配列及び水性組成物を組合せ、
− 分子プローブが核酸配列にハイブリダイズしたかどうかを決定し、
それによって、染色体異常が核酸中に存在するかどうかを決定することを含む。
【0122】
他の実施態様では、本発明は染色体異常が核酸配列中に存在するかどうかを決定する方法を提供し、該方法は、
− 核酸配列を提供し、
− 分子プローブ及び核酸配列をハイブリダイズさせるのに少なくとも十分な時間の間、染色体異常を検出する分子プローブと1% (v/v)から95% (v/v)の少なくとも一種の極性非プロトン溶媒を含有する水性組成物を上記核酸に適用し、
− 分子プローブが核酸配列にハイブリダイズしたかどうかを決定し、
それによって、染色体異常が核酸中に存在するかどうかを決定することを含む。
【0123】
他の実施態様では、本発明は染色体異常が核酸配列中に存在するかどうかを決定する方法を提供し、該方法は、
− 核酸配列を提供し
− 分子プローブ及び核酸配列をハイブリダイズさせるのに少なくとも十分な時間の間、少なくとも一種の極性非プロトン溶媒と染色体異常を検出する分子プローブを含有する水性組成物を上記核酸に適用し、
− 分子プローブが核酸配列にハイブリダイズしたかどうかを決定し、
それによって、染色体異常が核酸中に存在するかどうかを決定することを含む。
【0124】
本発明は、染色体異常に関連した先天性遺伝子疾患、癌、又は感染を診断する方法であって、
− 患者からの組織試料を提供し、ここで、組織試料は核酸配列を含み、
− 本発明の方法に従って、染色体異常が核酸配列中に存在するかどうかを決定し、
− 染色体異常が組織試料中に存在する場合に先天性遺伝子疾患、癌、又は感染を診断することを含む方法を提供する。
一実施態様では、本発明の方法は特定の治療から患者が恩恵を受けるかどうかを決定するために使用されうる。例えば、HER2が増幅されている乳癌患者はハーセプチンTM(トラスツズマブ)での治療から恩恵を受け得、EGFRが過剰発現している結腸直腸癌患者はアービタックス(登録商標)(セツキシマブ)又はベクチビックスTM(パニツムマブ)での治療から恩恵を受けうる。
【0125】
一実施態様では、本発明の方法は疾患進行又は寛解をモニターするために使用されうる。別の実施態様では、本発明の方法は患者の予後を評価するために使用されうる。例えば、本発明の方法は、患者の予後を評価するために、臨床病理学的データと併せて使用されうる。一実施態様では、該方法はHER2遺伝子増幅の存在を決定するために使用され、またステージIIのリンパ節陽性乳癌患者に予後を提供するためにその情報を使用することができる。TOP2A欠失又は増幅の存在はまた乳癌患者の予後を評価するために使用されうる。
【0126】
A.分析試料
本発明の方法及び組成物は、細胞診、組織診断、又は分子生物学の分野における全てのタイプのハイブリダイゼーション用途において完全に又は部分的に使用されうる。一実施態様によれば、本発明の方法における第一又は第二の核酸配列が生物学的試料中に存在する。かかる試料の例は、組織試料、細胞調製物、細胞断片調製物、及び単離された又はリッチ化された細胞成分調製物を含む。試料は、様々な組織、例えば乳房、結腸直腸、前立腺、肺、頭頸部、胃、膵臓、食道、肝臓、及び膀胱、又は他の関連する組織及びその腫瘍、任意の細胞懸濁液、血液試料、細針生検、腹水、痰、腹膜洗浄液、尿、糞便、細胞掻爬、細胞スミア、サイトプシン又は細胞プレップ細胞から由来しうる。
【0127】
試料は標準的なプロトコルを使用して単離され、プロセシングされうる。細胞断片調製物は、例えば細胞ホモジナイズ、凍結融解処理又は細胞溶解により得ることができる。単離された試料は、試料を得る目的に応じてまた部位に常套的な手段に応じて、多くの異なった方法で処理されうる。しばしば、試料は後での試料分析のために組織を保存するために様々な試薬を用いて処理され、あるいは、試料は直接分析されうる。試料を保存するために広く使用されている方法の例は、ホルマリン固定とそれに続くパラフィン包埋及び凍結保存である。
【0128】
細胞診は生物学的試料からの個々の細胞及び/又は染色体スプレッドの検査を含む。試料の細胞診は、細胞の検体を得ることで始まり、これは、典型的には、頸部検体の場合におけるように、擦過し、拭き取り、又は領域をブラシでこすることにより、又は胸部腔、 膀胱、又は脊柱から得られるもののように、体液を集めることにより、又は内部の腫瘍の場合のように、穿刺吸引又は細針生検により、なすことができる。一般的な手作業での細胞調製では、試料は液体懸濁材料に移され、液体中の細胞がついで直接又は遠心分離ベースのプロセシング工程によってガラス顕微鏡スライド上へ検査のために移される。典型的な自動化された細胞調製では、フィルターアセンブリが液体懸濁液に配され、フィルターアセンブリが細胞を分散させると共にフィルター上の細胞を捕捉する。ついで、フィルターを除去し、顕微鏡スライドに接触させて位置させる。ついで、細胞を、以下で検討する技術の何れかによる分析前に顕微鏡スライドに固定する。
【0129】
分裂中期スプレッドでは、細胞培養物を、一般に、コルセミド、又は他の適切な紡錘極破壊剤で処理して、分裂中期における細胞サイクルを停止させる。ついで、細胞を固定し、顕微鏡スライド上に染みつけ、ホルムアルデヒドで処理し、洗浄し、エタノールで脱水する。ついで、プローブを加え、以下に検討する技術の何れかによって試料を分析する。
【0130】
細胞試料を使用する伝統的なハイブリダイゼーション実験では、検体を含むスライドをホルムアルデヒドバッファー中に浸漬し、洗浄し、ついでエタノールで脱水する。ついで、プローブを加え、検体をカバーガラスで覆う。スライドを検体中の任意の核酸を変性させるのに十分な温度でインキュベートした後(例えば82℃で5分)、ハイブリダイゼーションを可能にするのに十分な温度でインキュベートする(例えば45℃で一晩)。ハイブリダイゼーション後、カバーガラスを取り除き、検体に高ストリンジェントな洗浄(例えば65℃で10分)と続く一連の低ストリンジェントな洗浄(例えば室温で2×3分)を施す。ついで、試料を脱水し、分析のためにマウントする。
【0131】
組織診断は組織の薄いスライス中の細胞の検査を含む。組織検査のための組織試料を調製するには、組織片を適切な固定液、典型的にはアルデヒド、例えばホルムアルデヒド又はグルタルアルデヒドで固定し、ついで、融解パラフィンロウに包埋する。ついで、組織試料を含むロウブロックをミクロトームで切断し、典型的には2から10ミクロン厚の組織を含む薄いパラフィンスライスを得る。ついで、検体スライスを顕微鏡スライドに適用し、空気乾燥させ、加熱して、検体をガラススライドに付着させる。ついで、残留パラフィンを適切な溶媒、典型的にはキシレン、トルエン又は他のもので溶解させる。ついで、これらのいわゆる脱パラフィン化溶媒を、以下に検討される技術の何れかによる試料の分析の前に、洗浄-脱水タイプの試薬を用いて除去する。別法では、スライスを凍結検体から調製し、10%ホルマリン又は他の適切な固定液に簡単に固定し、ついで試料の分析前に脱水試薬を注入する。
【0132】
組織試料を使用する伝統的なハイブリダイゼーション実験では、ホルマリン固定パラフィン包埋組織検体を2−6μmの切片に切断しスライド上に集める。パラフィンを溶かし(例えば60℃で30−60分)、ついでキシレン(又はキシレン代替物)で、例えば2×5分洗浄することによって除去(脱パラフィン化)する。試料を再水和させ、洗浄し、ついで前処理する(例えば95−100℃で10分)。スライドを洗浄し、ついでペプシン又は他の適切な透過剤で、例えば37℃で3−15分、処理する。スライドを洗浄し(例えば2×3分)、脱水し、プローブを適用する。検体をカバーガラスで覆い、スライドを検体中の任意の核酸を変性させるのに十分な温度でインキュベートした後(例えば82℃で5分)、ハイブリダイゼーションを可能にするのに十分な温度でインキュベートする(例えば45℃で一晩)。ハイブリダイゼーション後、カバーガラスを取り除き、検体に高ストリンジェントな洗浄(例えば65℃で10分)と続く一連の低ストリンジェントな洗浄(例えば室温で2×3分)を施す。ついで、試料を脱水し、分析のためにマウントする。
【0133】
B.ハイブリダイゼーション技術
本発明の組成物及び方法は、細胞及び組織試料に対して当該分野で知られている全てのタイプの核酸ハイブリダイゼーション技術において完全に又は部分的に使用することができる。かかる技術は、例えばインサイツハイブリダイゼーション(ISH)、蛍光インサイツハイブリダイゼーション(FISH;多色FISH,Fiber−FISH等を含む)、発色性インサイツハイブリダイゼーション(CISH)、銀インサイツハイブリダイゼーション(SISH)、比較ゲノムハイブリダイゼーション(CGH)、染色体彩色、及びアレイインサイツを含む。
【0134】
一般に、CGH、FISH、CISH、及びSISHのようなハイブリダイゼーション技術は、細胞の染色体中の遺伝子又は遺伝子断片に変動するストリンジェンシーでハイブリダイズする大きな主に特定されない核酸プローブを用いる。かかるプローブは、コズミッククローン、YACクローン、又は他のクローン化DNA断片から誘導されうる。大きなプローブの使用はインサイツハイブリダイゼーション技術を非常に高感度なものにする。しかしながら、伝統的なハイブリダイゼーションアッセイにおける大きなゲノムプローブの使用の成功は、ゲノム中に存在している例え名反復配列から誘導された望まれないバックグラウンド染色をブロックすることに依存している。かかるブロッキング工程は時間を費やし高価である。ここで検討されるように、本発明の方法及び組成物は、有利なことに、かかるブロッキング工程の必要性を減少させ及び/又は排除する。しかしながら、一実施態様では、例えばPCT/US02/30573に開示されているように、当該分野で知られている方法によって反復配列を抑制することもできる。
【0135】
結合したプローブは、細胞及び組織試料中において直接的に又は蛍光色素(例えばFISH)、有機色素原(例えばCISH)、銀粒子(例えばSISH)、又は他の金属粒子(例えば金支援蛍光インサイツハイブリダイゼーション、GOLDFISH)で間接的に検出することができる。よって、検出方法に依存して、試験される試料から得られた細胞集団は蛍光顕微鏡又は一般的な明視野光学顕微鏡を介して可視化されうる。
細胞及び組織試料でのハイブリダイゼーションアッセイは、特異的DNA配列の数、サイズ、及び/又は位置を決定するための重要なツールである。例えば、CGHでは、全ゲノムが染色され、異常なコピー数の領域の検出に対して、正常な参照ゲノムと比較される。典型的には、患者組織及び正常なコントロール組織からのDNAが異なった色のプローブで標識される。DNAのプールが混合され、正常な染色体の分裂中期スプレッドに(又はアレイ−又はマトリックス−CGHでは、マイクロアレイチップに)加えられる。ついで、異常なコピー数を持つ領域を同定するために色の比が比較される。
【0136】
FISHは、典型的には、複数のカラー画像処理が必要とされるとき、及び/又はプロトコルがシグナルの定量を求めるときに使用される。該技術は、一般に、細胞試料を調製し、プローブを標識し、標的染色体及びプローブを変性させ、プローブを標的配列にハイブリダイズさせ、及びシグナルを検出することを必要とする。典型的には、ハイブリダイゼーション反応は、標的にされた配列を蛍光的に染色する結果、その位置、サイズ、又は数を、蛍光顕微鏡、フローサイトメトリー、又は他の適切な機器を使用して決定することができる。全ゲノムから数キロベースの範囲のDNA配列を、FISHを使用して研究することができる。FISHはまた分裂中期スプレッド及び静止期核について使用することもできる。
【0137】
FISHは、分裂中期染色体、静止期核、クロマチン線維、及びネイキッドDNA分子上の反復及び単一コピーDNAのマッピングに対して、また大きな反復ファミリー、典型的にはリボソームDNA及び主要なタンデムアレイファミリーの局在化を通しての染色体同定及び核型解析に対して成功裏に使用されている。FISHの最も重要な応用の一つは、単一コピーDNA配列、特にヒト及び他の真核生物モデル種における疾患関連遺伝子の検出、及び感染薬剤の検出にあった。FISHは、例えば出生前診断における染色体異数性、血液学的癌、及び固形腫瘍;遺伝子異常性、例えば癌遺伝子増幅、遺伝子欠失、又は遺伝子融合;染色体構造異常性、例えば転座、複製、挿入、又は逆位;近接遺伝子症候群、例えば微小欠失症候群;様々な治療法の遺伝子効果;体細胞におけるウイルス核酸及び染色体中のウイルス組込み部位等々を検出するために使用することができる。
【0138】
多色FISHでは、各染色体が別個の色で染色され、異常な染色体が誘導された正常な染色体を決定することが可能になる。かかる技術は、多重FISH(m-FISH; Speicher等 Nat. Genet., 12:368-75 (1996))、スペクトル核型決定 (SKY; Schrock等, Science, 273:494-97 (1996)), 結合バイナリーレーション標識(combined binary ration labeling)(COBRA; Tanke等, Eur. J. Hum. Genet., 7:2-11 (1999)), 色変化核型決定(Henegariu等, Nat. Genet., 23:263-64 (1999)), 異種間 色バンド形成(Muller等, Hum. Genet., 100:271-78 (1997)), 高分解能多色バンド形成(Chudoba等, Cytogenet. Cell Genet., 84:156-60 (1999)), テロメア多重FISH(TM-FISH; Henegariu等, Lab. Invest., 81:483-91 (2001)), スプリットシグナルFISH(ssFISH)、及びヒュージョンシグナルFISHを含む。CISH及びSISHは、FISHと同じ用途の多くに使用することができ、例えば病理組織学的用途において、根底にある組織形態の分析を可能にするという更なる利点を有している。
【0139】
本発明の組成物はまたブロッティング及びプロービング(例えばサザン、ノーザン等)、アレイ、及び伝統的なPCR、RT−PCR、変異PCR、非対称PCR、ホットスタートPCR、インバースPCR、多重PCR、ネステッドPCR、定量PCR、及びインサイツPCRを含む増幅技術を含むハイブリダイゼーションを含む分子生物学技術の全てのタイプにおいて完全に又は部分的に使用することができる。インサイツPCRは、スライド上の細胞、例えば上述の細胞診及び組織診断試料の内部で起こるポリメラーゼ連鎖反応である。典型的には、試料を顕微鏡スライドに接着させた後、細胞を再水和させ、透過させ、ついで ポリメラーゼ、dNTPs、及びプライマーを含むPCR試薬の適切な混合物と組み合わせる。PCRは、例えばGeneAmpインサイツPCRシステム1000(Perkin Elmer Biosystems, Foster City, CA)のような専用の機器で実施することができ、増幅された産物は、標識プローブを使用し又は増幅中に標識dNTPsを導入することにより検出されうる。本発明の組成物は、増幅サイクルを実施するために必要とされる変性及びハイブリダイゼーション温度及び/又は時間を減少させることにより、伝統的なインサイツPCR解析の効果を改善する。
【0140】
C.ハイブリダイゼーション条件
本発明の組成物を使用するハイブリダイゼーション方法は、殆どは二本鎖の形態である標的核酸配列を含む試料に組成物を適用することを含みうる。通常、標的配列とハイブリダイズするプローブへのアクセスを確保するために、試料及び組成物を加熱して標的核酸を変性させる。変性中、極性非プロトン溶媒は配列と相互作用し、標的の変性と標的に対するプローブの再アニーリングを容易にする。本発明において特定された極性非プロトン溶媒は、このプロセスをかなり速くし、ホルムアミドと比較してハイブリダイゼーション条件の厳しさ及び毒性を低減する。
【0141】
本発明の組成物を使用するハイブリダイゼーションは、伝統的な溶液で実施されるハイブリダイゼーションと同じアッセイ法を使用して実施することができる。しかしながら、本発明の組成物は、より短いハイブリダイゼーション時間を可能にする。例えば、加熱前処理、消化、変性、ハイブリダイゼーション、洗浄、及びマウント工程は、容積、温度、試薬及びインキュベーション時間について伝統的な溶液に対してと同じ条件を使用することができる。当該分野で知られている伝統的なハイブリダイゼーションプロトコルには多大な変形例が存在する。例えば、あるプロトコルは、次のハイブリダイゼーション工程の前に、プローブの存在なしで、潜在的な二本鎖ヌクレオチドの別個の変性工程を特定する。本発明の組成物は、当該分野で知られている伝統的なハイブリダイゼーションプロトコルの任意のものにおいて使用することができる。
【0142】
別法では、本発明の組成物を使用するアッセイは、例えばハイブリダイゼーション時間を減少させ、変性及び/又はハイブリダイゼーション温度を増加又は減少させ、及び/又はハイブリダイゼーション体積を増加又は減少させることによって、伝統的な方法から変化せしめられ得、最適化されうる。
【0143】
例えば、ある実施態様では、本発明の組成物は、変性温度が60から100℃であり、ハイブリダイゼーション温度が20から60℃である場合に、強いシグナルを生じる。他の実施態様では、本発明の組成物は、変性温度が60から70℃、70から80℃、80から90℃又は90から100℃であり、ハイブリダイゼーション温度が20から30℃、30から40℃、40から50℃、又は50から60℃のときに強いシグナルを生じる。他の実施態様では、本発明の組成物は、変性温度が72、82、又は92℃であり、ハイブリダイゼーション温度が40、45、又は50℃であるとき、強いシグナルを生じる。
【0144】
他の実施態様では、本発明の組成物は、変性時間が0から10分で、ハイブリダイゼーション時間が0分から24時間のとき強いシグナルを生じる。他の実施態様では、本発明の組成物は、変性時間が0から5分で、ハイブリダイゼーション時間が0分から8時間のとき、強いシグナルを生じる。他の実施態様では、本発明の組成物は、変性時間が0、1、2、3、4、又は5分で、ハイブリダイゼーション時間が0分、5分、15分、30分、60分、180分、又は240分であるときに強いシグナルを生じる。例えばRNA検出のような、ある場合には、変性工程が必要とされないことは当業者には理解されるであろう。
【0145】
従って、本発明の組成物を使用するハイブリダイゼーションは、8時間未満で実施することができる。他の実施態様では、ハイブリダイゼーションは、6時間未満で実施することができる。更に他の実施態様では、ハイブリダイゼーションは、4時間以内に実施することができる。他の実施態様では、ハイブリダイゼーションは、3時間以内に実施することができる。更に他の実施態様では、ハイブリダイゼーションは、2時間以内に実施することができる。他の実施態様では、ハイブリダイゼーションは、1時間以内に実施することができる。更に他の実施態様では、ハイブリダイゼーションは、30分以内に実施することができる。他の実施態様では、ハイブリダイゼーションは15分以内に生じうる。ハイブリダイゼーションは10分以内又は5分未満でさえ生じうる。図1及び2は、伝統的な溶液を使用するハイブリダイゼーションと比較して、本発明の組成物を使用して、組織及び細胞試料それぞれについて実施したハイブリダイゼーションの典型的な時間経過を例証している。
【0146】
ハイブリダイゼーション時間が変化すると、プローブの濃度はまた強いシグナルを生じさせ及び/又はバックグラウンドを減少させるために変更されうる。例えば、ハイブリダイゼーション時間が減少すると、シグナル強度を改善するためにプローブの量が増加させられうる。他方、ハイブリダイゼーション時間が減少すると、バックグラウンド染色を改善するためにプローブの量が減少させられうる。
【0147】
本発明の組成物は、驚いたことに、標的DNAに対する例えば反復配列の結合をブロックすることによってシグナル及びバックグラウンド強度を改善することにより、ハイブリダイゼーション中のブロッキング工程の必要性を除去する。よって、ブロッキング剤として全ヒトDNA、ブロッキング−PNA、COT−1 DNA、又は任意の起源由来のDNAを使用する必要性はない。しかしながら、バックグラウンドレベルを、本発明の組成物を使用するハイブリダイゼーション反応に、少量の全ヒトDNA又は非ヒト由来DNA(例えばサケ精液DNA)のような、例えば細胞膜への非特異的結合を減少させる薬剤を添加することによって、更に低減させることができる。
【0148】
本発明の水性組成物は、組成物に含められる核酸配列の濃度をかなり低減させる可能性を更にもたらす。一般に、プローブの濃度は、伝統的な濃度と比較して2から8倍、減少されうる。例えば、HER2 DNAプローブ及びCEN17 PNAプローブが本発明の組成物において使用される場合、その濃度は、伝統的なハイブリダイゼーション溶液中におけるその濃度と比較して、それぞれ1/4及び1/2減少されうる。この特徴は、ブロッキング−PNA又はCOT1のようにDNAブロッキングの必要性がない点と共に、伝統的な組成物系において使用される伝統的な10μL体積と比較して自動化機器システムにおいて増大されたプローブ体積を可能にし、これが、以下に更に詳細に検討されるように、蒸発による損失を低減させる。
【0149】
プローブ濃度の減少はまたバックグラウンドを減少させる。しかしながら、プローブ濃度の減少はハイブリダイゼーション時間に逆に相関する、つまり、濃度が低くなると、必要とされるハイブリダイゼーション時間が長くなる。にもかかわらず、極端に低濃度のプローブが本発明の水性組成物と共に使用されたときでさえ、ハイブリダイゼーション時間は伝統的な溶液の場合よりも尚短い。
【0150】
本発明の組成物はしばしば伝統的なハイブリダイゼーション溶液よりも良好なシグナル・ノイズ比を可能にする。例えば、ある種のプローブでは、本発明の組成物での一時間のハイブリダイゼーションは、伝統的な溶液での一晩のハイブリダイゼーションと同様のバックグラウンドとより強いシグナルを生じる。バックグラウンドはプローブが添加されない場合は見られない。
【0151】
伝統的なアッセイ法は、システムがマニュアルか、半自動か、又は自動化されているかどうかに応じて、本発明の組成物を使用するときに、また変更され、最適化されうる。例えば、半自動又は自動化システムは、本発明の組成物で得られた短いハイブリダイゼーション時間から恩恵を受けるであろう。短いハイブリダイゼーション時間は、伝統的な溶液がかかるシステムで使用される場合に遭遇する困難性を低減しうる。例えば、半自動及び自動化システムでの一つの問題は、かかるシステムが小さな試料体積(例えば10−150mL)、上昇した温度、及び拡張されたハイブリダイゼーション時間(例えば14時間)を必要とするので、試料の有意な蒸発がハイブリダイゼーション中に起こりうる。よって、伝統的なハイブリダイゼーション溶液中における成分の割合はかなり不変である。しかしながら、本発明の組成物はより速やかなハイブリダイゼーションを可能にするので、蒸発が減少させられ、半自動及び自動化システムにおいて使用されるハイブリダイゼーション組成物における成分割合の柔軟性を増大させる。
【0152】
例えば、二つの自動化機器を使用して、本発明の組成物を使用するハイブリダイゼーションを実施した。40%のエチレンカーボネートを含有する組成物をPCT出願DK2008/000430に開示された装置に使用されており、15%のエチレンカーボネートを含有する組成物がHYBRIMASTER HS−300(Aloka CO. LTD、Japan)で使用されている。本発明の組成物がHYBRIMASTER HS−300で使用される場合、該機器は、伝統的な毒性のあるホルムアミドミックスの代わりに水を用いて迅速なFISHハイブリダイゼーションを実施することができ、よって安全性を改善し、蒸発を減少させる。米国特許出願公開第2005/0281711号に記載されているように、水で湿らされたストリップがAloka機器の反応ユニット(ハイブリダイゼーションチャンバー)の内方部の蓋に付設される場合は、蒸発はまた更に減少させられる。
【0153】
自動化された画像解析に伴う他の問題は、必要とされる画像の数、必要とされる保存場所の莫大な量、及び画像を撮るのに必要とされる時間である。本発明の組成物は、伝統的な溶液と比較して非常に強いシグナルを生じせしめることによって課題に対処している。本発明の組成物によって生じせしめられる非常に強いシグナルのため、画像処理を、伝統的な溶液に必要なものよりも低い倍率でなすことができ、尚も検出し、例えばアルゴリズムによって解析できる。焦点面は低い倍率では広くなるので、本発明の組成物は連続試料切片を採取する必要性を低減又は解消する。その結果、本発明の組成物は連続切片が少ないか又は含まず、各画像が大きな面積をカバーするので、全体の画像処理が更に速い。加えて、分析のための全体の時間は、全画像ファイルが小さいので、より速い。
よって、本発明の組成物及び方法は、伝統的なハイブリダイゼーション溶液及び方法に関連する問題の多くを解決する。
【0154】
本開示は、開示に従う組成物の好ましい実施態様を構成する以下の非限定的実施例を参照してより明確に理解されうる。実施例における以外、又は別の定義がない限り、明細書及び特許請求の範囲において使用される成分、反応条件等等の量を表す全ての数は、全ての場合に「約」なる用語によって修飾されているものと理解されなければならない。従って、別の定義をしていない限り、次の明細書及び添付の特許請求の範囲に記載された数値パラメータは、ここで得ることが求められている所望の性質に応じて変動しうる近似値である。最低限でも、特許請求の範囲に対する均等論の適用を制限する意図ではないが、各数値パラメータは有効桁数及び通常の丸めアプローチに鑑みて解釈されなければならない。
【0155】
広い範囲を定める数値範囲及びパラメータは近似値であるが、特定の実施例に記載した数値はできる限り正確に報告している。しかしながら、全ての数値は、その各試験測定に見出される標準偏差から必然的に生じるある程度の誤差を本来的に含んでいる。以下の実施例は本発明を例証するもので、本発明を限定するものと決して考えてはいけない。
【実施例】
【0156】
以下、本発明の特定の実施態様を詳細に参照する。本発明をこれら実施態様との関連で説明するが、それらは本発明をその実施態様に限定することを意図するものではないことが理解されるであろう。反対に、本発明は、添付の特許請求の範囲によって定まる本発明に含められうる代替物、変形例、及び均等物をカバーすることが意図される。
【0157】
次の実施例で使用される試薬は、Dakoの組織診FISHアクセサリーキット(K5599)及び細胞診FISHアクセサリーキット(K5499)(Dako Denmark A/S, Glostrup Denmark)からのものである。キットは、ホルマリン固定、パラフィン包埋組織片献体に対するFISH手順を完了させるのに必要なプローブを除く全ての重要な試薬を含んでいる。全ての試料は製造者の記述に従って調製した。Dakoハイブリダイザー(S2450, Dako)を消化、変性、及び及びハイブリダイゼーション工程に使用した。
【0158】
FISHスライドの評価は、DAPI、FITC、テキサスレッド単一フィルター及びFITC/テキサスレッド二重フィルターを備えたLeica DM6000B蛍光顕微鏡を使用して、10x、20x、40x、及び100xオイル対物下で、ハイブリダイゼーションから一週間以内に実施した。
CISHスライドの評価は、オリンパスBX51光学顕微鏡を使用して、4x、10x、20x、40x、及び60xの対物下で実施した。
【0159】
以下の実施例において、「デキストラン硫酸」は分子量M>500000のデキストラン硫酸のナトリウム塩(D8906,Sigma)を意味する。極性非プロトン溶媒の全ての濃度はv/vパーセントとして与えられる。ホスフェートバッファーは、NaHPO,2HO(リン酸ナトリウム二塩基二水和物)及びNaHPO,HO(リン酸ナトリウム一塩基一水和物)を含むリン酸緩衝溶液を意味する。シトレートバッファーは、クエン酸ナトリウム(Na7,2HO;1.06448,Merck)及びクエン酸一水和物(C,HO;1.00244,Merck)を含むクエン酸緩衝溶液を意味する。
【0160】
一般的組織診断FISH/CISH手順(実施例1−20)
ヒト(扁桃腺、乳癌、腎臓及び結腸)由来の切断されたホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)複数組織アレイ片を有するスライドを、60℃で30−60分べークし、キシレン浴で脱パラフィンし、エタノール浴で再水和させ、ついで、洗浄バッファーに移した。ついで、試料を前処理溶液中で最小95℃で10分間前処理し、2×3分洗浄した。ついで、試料を37℃でペプシンRTUを用いて3分間、消化させ、2×3分洗浄し、一連のエタノール蒸発で脱水し、空気乾燥させた。ついで、試料を、個々の実験で記載されたようにして10μLのFISHプローブと共にインキュベートした。ついで、試料を65℃で10分ストリンジェントな洗浄によって洗浄した後、2×3分洗浄し、ついで一連のエタノール蒸発で脱水し、空気乾燥させた。最後に、スライドを15μLのアンチフェードマウント培地にマウントした。染色が完了したところで、染色スライドのシグナル強度、形態、及びバックグラウンドを評価するために訓練を受けた観察者がスコア付けを実施した。
【0161】
一般的な細胞診FISH手順(実施例21−22)
分裂中期調製物のスライドを、3.7%のホルムアルデヒドに2分間固定し、2×5分洗浄し、一連のエタノール蒸発で脱水し、空気乾燥させた。ついで、試料を、個々の実験で記載されたようにして10μLのFISHプローブと共にインキュベートした。ついで、試料を65℃で10分ストリンジェントな洗浄によって洗浄した後、2×3分洗浄し、ついで一連のエタノール蒸発で脱水し、空気乾燥させた。最後に、スライドを15μLのアンチフェードマウント培地にマウントした。染色が完了したところで、染色スライドのシグナル強度及びバックグラウンドを評価するために訓練を受けた観察者が、組織片のスコア付けガイドラインに記載されたようにしてスコア付けを実施した。
【0162】
組織切片のスコア付けガイドライン
シグナル強度は0−3のスケールで評価され、0はシグナルなし、3は強いシグナルとした。細胞/組織構造は0−3スケールで評価し、0は構造なしで核境界なしを意味し、3はインタクトな構造と明確な核境界とした。0と3の間には、観察者がシグナル強度、組織構造、及びバックグラウンドを評価できる0.5離れた更なるグレードがある。
【0163】
シグナル強度を等級システムに従って0−3スケールでスコア付けする。
0 シグナルは見られない。
1 シグナル強度は弱い。
2 シグナル強度は中程度である。
3 シグナル強度は強い。
スコア付けシステムは1/2グレードの使用を許容する。
【0164】
組織及び核構造を等級システムに従って0−3スケールでスコア付けする。
0 組織構造及び核境界は完全に破壊されている。
1 組織構造及び/又は核境界は乏しい。このグレードは、幾つかの領域が空の核である状況を含む。
2 組織構造及び/又は核境界が見られるが、核境界は不明瞭である。このグレードは数個の核が空である状況を含む。
3 組織構造及び核境界は無傷で明瞭である。
スコア付けシステムは1/2グレードの使用を許容する。
【0165】
バックグラウンドを等級システムに従って0−3スケールでスコア付けする。
0 見られるバックグラウンドは少しないしはない。
1 幾つかのバックグラウンド。
2 中程度のバックグラウンド。
3 高いバックグラウンド。
スコア付けシステムは1/2グレードの使用を許容する。
【0166】
実施例1
この実施例は、本発明の組成物又は伝統的なハイブリダイゼーション溶液で処理した試料からのシグナル強度及び細胞形態を変性温度の関数として比較する。
FISHプローブ組成物I:10%デキストラン硫酸、300mMのNaCl、5mMのリン酸バッファー、40%のホルムアミド(15515−026,Invitrogen),5μMのブロッキングPNAs(Kirsten Vang Nielsen等, PNA Suppression Method Combined with Fluorescence In Situ Hybridisation (FISH) Technique inPRINS and PNA Technologies in Chromosomal Investigation, Chapter 10 (Franck Pellestor ed.) (Nova Science Publishers, Inc. 2006)を参照)、10ng/μLのテキサスレッド標識CCND1遺伝子DNAプローブ(RP11−1143E20,サイズ192kb)。
FISHプローブ組成物II:10%デキストラン硫酸,300mMのNaCl,5mMのリン酸バッファー,40%のエチレンカーボネート(03519,Fluka),5μMのブロッキングPNAs,10ng/μLのテキサスレッド標識CCND1遺伝子DNAプローブ(RP11−1143E20,サイズ192kb)。
存在する場合、異なった粘度の相を使用前に混合した。FISHプローブを示したように5分間変性し、45℃で60分間ハイブリダイズした。

実施例2
この実施例は、本発明の組成物又は伝統的なハイブリダイゼーション溶液で処理した試料からのシグナル強度及びバックグラウンド染色をハイブリダイゼーション時間の関数として比較する。
FISHプローブ組成物I:10%のデキストラン硫酸,300mMのNaCl,5mMのリン酸バッファー,40%のホルムアミド,5μMのブロッキングPNAs,10ng/μLのテキサスレッド標識CCND1遺伝子DNAプローブ。
FISHプローブ組成物II:10%のデキストラン硫酸,300mMのNaCl,5mMのリン酸バッファー,40%のエチレンカーボネート,5μMのブロッキングPNAs,10ng/μLのテキサスレッド標識CCND1遺伝子DNAプローブ。
存在する場合、異なった粘度の相を使用前に混合した。FISHプローブを82℃で5分間、ついで45℃で14時間、4時間、2時間、60分、30分、15分、0分、インキュベートした。

【0167】
実施例3
この実施例は、異なった極性非プロトン溶媒を有する本発明の組成物又は伝統的なハイブリダイゼーション溶液で処理した試料からのシグナル強度を比較する。
FISHプローブ組成物I:10%のデキストラン硫酸,300mMのNaCl,5mMのリン酸バッファー,40%のホルムアミド,5μMのブロッキングPNAs,10ng/μLのテキサスレッド標識CCND1遺伝子DNAプローブ。
FISHプローブ組成物II:10%のデキストラン硫酸,300mMのNaCl,5mMのリン酸バッファー,40%のエチレンカーボネート(EC),5μMのブロッキングPNAs,10ng/μLのテキサスレッド標識CCND1遺伝子DNAプローブ。
FISHプローブ組成物III:10%のデキストラン硫酸,300mMのNaCl,5mMのリン酸バッファー,40%のプロピレンカーボネート(PC)(540013,Aldrich),5μMのブロッキングPNAs,10ng/μLのテキサスレッド標識CCND1遺伝子DNAプローブ。
FISHプローブ組成物IV:10%のデキストラン硫酸,300mMのNaCl,5mMのリン酸バッファー,40%のスルホラン(SL)(T22209,Aldrich),5μMのブロッキングPNAs,10ng/μLのテキサスレッド標識CCND1遺伝子DNAプローブ。
FISHプローブ組成物V:10%のデキストラン硫酸,300mMのNaCl,5mMのリン酸バッファー,40%のアセトニトリル(AN)(C02CIIX,Lab−Scan),5μMのブロッキングPNAs,10ng/μLのテキサスレッド標識CCND1遺伝子DNAプローブ。
FISHプローブ組成物VI:10%のデキストラン硫酸,300mMのNaCl,5mMのリン酸バッファー,40%のγ−ブチロラクトン(GBL)(B103608,Aldrich),5μMのブロッキングPNAs,7.5ng/μLのテキサスレッド標識CCND1遺伝子DNAプローブ。
存在する場合、異なった粘度の相を使用前に混合した。FISHプローブを82℃で5分間、ついで45℃で60分間、インキュベートした。

【0168】
実施例4
この実施例は、異なった濃度の極性非プロトン溶媒を有する本発明の組成物で処理した試料からのシグナル強度を比較する。
FISHプローブ組成物:10%のデキストラン硫酸,300mMのNaCl,5mMのリン酸バッファー,10−60%のエチレンカーボネート(標示通り),5μMのブロッキングPNAs,7.5ng/μLのテキサスレッド標識IGK−定常DNA遺伝子プローブ((CTD−3050E15,RP11−1083E8;サイズ227kb)及び7.5ng/μLのFITC標識IGK−可変遺伝子DNAプローブ(CTD−2575M21,RP11−122B6,RP11−316G9;サイズ350及び429kb)。
存在する場合、異なった粘度の相を使用前に混合した。FISHプローブを82℃で5分間、ついで45℃で60分間、インキュベートした。

【0169】
実施例5
この実施例は、PNAブロッキングを伴う及び伴わない組成物で処理した試料からのシグナル強度及びバックグラウンド強度を比較する。
FISHプローブ組成物:10%のデキストラン硫酸,300mMのNaCl,5mMのリン酸バッファー,40%のエチレンカーボネート,7.5ng/μLのテキサスレッド標識CCND1遺伝子DNAプローブ。
存在する場合、異なった粘度の相を使用前に混合した。FISHプローブを82℃で5分間、ついで45℃で60分間、インキュベートした。

【0170】
実施例6
この実施例は本発明の組成物で処理された試料からのシグナル強度をプローブ濃度及びハイブリダイゼーション時間の関数として比較する。
FISHプローブ組成物:10%のデキストラン硫酸,300mMのNaCl,5mMのリン酸バッファー,40%のエチレンカーボネート,及び10、7.5、5又は2.5ng/μLのテキサスレッド標識CCND1遺伝子DNAプローブ(標記の通り)。
存在する場合、異なった粘度の相を使用前に混合した。FISHプローブを82℃で5分間、ついで45℃で3時間、2時間及び1時間、インキュベートした。

【0171】
実施例7
この実施例は、本発明の組成物で処理された試料からのシグナル強度を、塩、ホスフェート、及びバッファー濃度の関数として比較する。
FISHプローブ組成物:10%のデキストラン硫酸,([NaCl],[リン酸バッファー],[TRISバッファー]結果に示した通り),40%のエチレンカーボネート,7.5ng/μLのテキサスレッド標識CCND1遺伝子DNAプローブ。
存在する場合、異なった粘度の相を使用前に混合した。FISHプローブを82℃で5分間、ついで45℃で60分間、インキュベートした。

【0172】
実施例8
この実施例は、本発明の組成物で処理された試料からのシグナル強度をデキストラン硫酸濃度の関数として比較する。
FISHプローブ組成物:0、1、2、5、又は10%のデキストラン硫酸(標記の通り),300mMのNaCl,5mMのリン酸バッファー,40%のエチレンカーボネート,5ng/μLのテキサスレッド標識SIL−TAL1遺伝子DNAプローブ(RP1−278O13;サイズ67kb)及び6ng/μLのFITC SIL−TAL1(ICRFc112−112C1794,RP11−184J23,RP11−8J9,CTD−2007B18,133B9;サイズ560kb)。
存在する場合、異なった粘度の相を使用前に混合した。FISHプローブを82℃で5分間、ついで45℃で60分間、インキュベートした。ブロッキングなし。

【0173】
実施例9
この実施例は、本発明の組成物で処理された試料からのシグナル強度を、デキストラン硫酸、塩、ホスフェート、及び極性非プロトン溶媒濃度の関数として比較する。
FISHプローブ組成物Ia:34%のデキストラン硫酸,0mMのNaCl,0mMのリン酸バッファー,0%のエチレンカーボネート,10ng/μLのテキサスレッド標識HER2遺伝子DNAプローブ(サイズ218kb)及び50nMのFITC標識CEN−7 PNAプローブ。
FISHプローブ組成物Ib:34%のデキストラン硫酸,300mMのNaCl,5mMのリン酸バッファー,0%のエチレンカーボネート,10ng/μLのテキサスレッド標識HER2遺伝子DNAプローブ(サイズ218kb)及び50nMのFITC標識CEN−7 PNAプローブ。
FISHプローブ組成物Ic:34%のデキストラン硫酸,600mMのNaCl,10mMのリン酸バッファー,0%のエチレンカーボネート,10ng/μLのテキサスレッド標識HER2遺伝子DNAプローブ(サイズ218kb)及び50nMのFITC標識CEN−7 PNAプローブ。
FISHプローブ組成物IIa:32%のデキストラン硫酸,0mMのNaCl,0mMのリン酸バッファー,5%のエチレンカーボネート,10ng/μLのテキサスレッド標識HER2遺伝子DNAプローブ(サイズ218kb)及び50nMのFITC標識CEN−7 PNAプローブ。
FISHプローブ組成物IIb:32%のデキストラン硫酸,300mMのNaCl,5mMのリン酸バッファー,5%のエチレンカーボネート,10ng/μLのテキサスレッド標識HER2遺伝子DNAプローブ(サイズ218kb)及び50nMのFITC標識CEN−7 PNAプローブ。
FISHプローブ組成物IIc:32%のデキストラン硫酸,600mMのNaCl,10mMのリン酸バッファー,5%のエチレンカーボネート,10ng/μLのテキサスレッド標識HER2遺伝子DNAプローブ(サイズ218kb)及び50nMのFITC標識CEN−7 PNAプローブ。
FISHプローブ組成物IIIa:30%のデキストラン硫酸,0mMのNaCl,0mMのリン酸バッファー,10%のエチレンカーボネート,10ng/μLのテキサスレッド標識HER2遺伝子DNAプローブ(サイズ218kb)及び50nMのFITC標識CEN−7 PNAプローブ。
FISHプローブ組成物IIIb:30%のデキストラン硫酸,300mMのNaCl,5mMのリン酸バッファー,10%のエチレンカーボネート,10ng/μLのテキサスレッド標識HER2遺伝子DNAプローブ(サイズ218kb)及び50nMのFITC標識CEN−7 PNAプローブ。
FISHプローブ組成物IIIc:30%のデキストラン硫酸,600mMのNaCl,10mMのリン酸バッファー,10%のエチレンカーボネート,10ng/μLのテキサスレッド標識HER2遺伝子DNAプローブ(サイズ218kb)及び50nMのFITC標識CEN−7 PNAプローブ。
FISHプローブ組成物IVa:28%デキストラン硫酸,0mMのNaCl,0mMのリン酸バッファー,15%のエチレンカーボネート,10ng/μLのテキサスレッド標識HER2遺伝子DNAプローブ(サイズ218kb)及び50nMのFITC標識CEN−7 PNAプローブ。
FISHプローブ組成物IVb:28%のデキストラン硫酸,300mMのNaCl,5mMのリン酸バッファー,15%のエチレンカーボネート,10ng/μLのテキサスレッド標識HER2遺伝子DNAプローブ(サイズ218kb)及び50nMのFITC標識CEN−7 PNAプローブ。
FISHプローブ組成物IVc:28%のデキストラン硫酸,600mMのNaCl,10mMのリン酸バッファー,15%のエチレンカーボネート,10ng/μLのテキサスレッド標識HER2遺伝子DNAプローブ(サイズ218kb)及び50nMのFITC標識CEN−7 PNAプローブ。
FISHプローブ参照V:ブロッキングPNAを含むHER2 PharmDxプローブミックス(K5331,Dako)の標準販売バイアル。20時間の一晩のハイブリダイゼーション。
全組成物は単一相として存在していた。FISHプローブを82℃で5分間、ついで45℃で60分間、ブロッキングなしでインキュベートしたが、FISHプローブ参照Vは、PNAブロッキングし、20時間ハイブリダイズした。

【0174】
実施例10
この実施例は、本発明の組成物で処理された試料からのシグナル強度を、高塩(4×正常)条件下で極性非プロトン溶媒及びデキストラン硫酸濃度の関数として比較する。
FISHプローブ組成物I:0%のエチレンカーボネート,29%のデキストラン硫酸,1200mMのNaCl,20mMのリン酸バッファー,10ng/μLのテキサスレッド標識HER2遺伝子DNAプローブ及び50nMのFITC標識CEN−7 PNAプローブ。組成物は単一相であった。
FISHプローブ組成物II:5%のエチレンカーボネート,27%のデキストラン硫酸,1200mMのNaCl,20mMのリン酸バッファー,10ng/μLのテキサスレッド標識HER2遺伝子DNAプローブ及び50nMのFITC標識CEN−7 PNAプローブ。組成物は単一相であった。
FISHプローブ組成物III:10%のエチレンカーボネート,25%のデキストラン硫酸,1200mMのNaCl,20mMのリン酸バッファー,10ng/μLのテキサスレッド標識HER2遺伝子DNAプローブ及び50nMのFITC標識CEN−7 PNAプローブ。組成物は単一相であった。
FISHプローブ組成物IV(試験せず):20%のエチレンカーボネート,21%のデキストラン硫酸,1200mMのNaCl,20mMのリン酸バッファー,10ng/μLのテキサスレッド標識HER2遺伝子DNAプローブ及び50nMのFITC標識CEN−7 PNAプローブ。組成物は二つの相を有していた。

【0175】
実施例11
この実施例は、本発明の組成物の異なった相で処理した試料からのシグナル強度及びバックグラウンドを比較する。
FISHプローブ組成物:10%のデキストラン硫酸,300mMのNaCl,5mMのリン酸バッファー,40%のエチレンカーボネート,8ng/μLのテキサスレッド標識HER2遺伝子DNAプローブ及び600nMのFITC標識CEN−17 PNAプローブ。FISHプローブを82℃で5分間、ついで45℃で60分間、インキュベートした。ブロッキングなし。

【0176】
実施例12
この実施例は前の実施例と同様であるが、異なったDNAプローブ及びECの代わりにGBLを使用している。
FISHプローブ組成物:10%のデキストラン硫酸,300mMのNaCl,5mMのリン酸バッファー,40%のGBL,10ng/μLのテキサスレッド標識CCND1遺伝子DNAプローブ及び600nMのFITC標識CEN−17 PNAプローブ。
FISHプローブを82℃で5分間、ついで45℃で60分間、インキュベートした。ブロッキングなし。

【0177】
実施例13
この実施例は、本発明の組成物中の相の数を、極性非プロトン溶媒及びデキストラン硫酸濃度の関数として調べる。
FISHプローブ組成物:10又は20%のデキストラン硫酸;300mMのNaCl;5mMのリン酸バッファー;0、5、10、15、20、25、30%のEC;10ng/μLのプローブ。

【0178】
実施例14
この実施例は、本発明の異なった組成物で処理した試料からのシグナル強度及びバックグラウンドをプローブ濃度及びハイブリダイゼーション時間の関数として比較する。
FISHプローブ組成物I:10ng/μLのHER2 TxRed標識DNAプローブ(標準濃度)及び標準濃度のCEN7 FITC標識PNAプローブ(50nM);15%のEC;20%のデキストラン硫酸;600mMのNaCl;10mMのリン酸バッファー。
FISHプローブ組成物II:5ng/μLのHER2 TxRed標識DNAプローブ(標準濃度の1/2)及び標準濃度(50nM)のFITC標識CEN7 PNAプローブ;15%のEC;20%のデキストラン硫酸;600mMのNaCl;10mMのリン酸バッファー。
FISHプローブ組成物III:2.5ng/μLのHER2 TxRed標識DNAプローブ(標準濃度の1/4)及び1/2の標準濃度(25nM)のCEN7 PNAプローブ;15%のEC;20%のデキストラン硫酸;600mMのNaCl;10mMのリン酸バッファー。
組成物I−IIIは単一相として存在していた。FISHプローブを82℃で5分間、ついで45℃で3時間、2時間及び1時間、インキュベートした。

【0179】
実施例15
この実施例は、本発明の組成物で処理された試料からのシグナル強度及びバックグラウンドを、ブロッキング剤の関数として比較する。
FISHプローブ組成物:15%のEC;20%のデキストラン硫酸;600mMのNaCl;10mMのリン酸バッファー;2.5ng/μLのHER2 TxRed標識DNAプローブ(標準濃度の1/4)及び標準濃度の1/2の(300nM)FITC標識CEN17 PNAプローブ。試料は、本発明の組成物を使用するハイブリダイゼーション前に、(a)なし;(b)0.1μg/μLのCOT1(15279−011,Invitrogen);(c)0.3μg/μLのCOT1;又は(d)0.1μg/μLの全ヒトDNAでブロックした。
全ての試料は単一相として存在していた。FISHプローブを82℃で5分間、ついで45℃で60分、インキュベートした。

【0180】
実施例16
この実験は、本発明の組成物を使用してバックグラウンド染色を除去する異なった方法を比較する。
全ての組成物は、15%のEC、20%のデキストラン硫酸、600mMのNaCl、10mMのリン酸バッファー、2.5ng/μLのHER2 DNAプローブ(標準濃度の1/4)、300nMのCEN17 PNAプローブ(標準濃度の1/2)、及び次のバックグラウンド低減剤の一つを含んでいた:
A)5mMのブロッキング−PNA(Kisrsten Vang Nielsen等, PNA Suppression Method Combined with Fluorescence In Situ Hybridisation (FISH) Technique inPRINS and PNA Technologies in Chromosomal Investigation, Chapter 10 (Franck Pellestor編)(Nova Science Publishers, Inc. 2006)を参照)
B)0.1μg/μLのCOT−1 DNA
C)0.1μg/μLの全ヒトDNA(THD)(超音波処理未標識THD)
D)0.1μg/μLの剪断サケ精液DNA(AM9680,Ambion)
E)0.1μg/μLのウシ胸腺DNA(D8661,Sigma)
F)0.1μg/μLのニシン精液DNA(D7290,Sigma)
G)0.5%のホルムアミド
H)2%のホルムアミド
I)1%のエチレングリコール(1.09621,Merck)
J)1%のグリセロール(1.04095,Merck)
K)1%の1,3−プロパンジオール(533734,Aldrich)
L)1%のHO(コントロール)
全ての試料は単一相として存在していた。プローブを82℃で5分間、ついでFFPE組織片上で45℃で60分及び120分、インキュベートした。

【0181】
実施例17
この実験は、二つの異なった極性非プロトン溶媒を使用する上相及び下相からのシグナル強度を比較する。
FISHプローブ組成物I:10%のデキストラン硫酸,300mMのNaCl,5mMのリン酸バッファー,40%のエチレントリチオカーボネート(ET)(E27750,Aldrich),5μMのブロッキングPNAs,10ng/μLのテキサスレッド標識CCND1遺伝子DNAプローブ。
FISHプローブ組成物II:10%のデキストラン硫酸,300mMのNaCl,5mMのリン酸バッファー,40%のグリコールサルファイト(GS)(G7208,Aldrich),5μMのブロッキングPNAs,10ng/μLのテキサスレッド標識CCND1遺伝子DNAプローブ。
FISHプローブを82℃で5分間、ついで45℃で60分、インキュベートした。

【0182】
実施例18
この実験は一相系を形成する様々な極性非プロトン溶媒の能力を調べる。
全ての組成物は、20%のデキストラン硫酸、600mMのNaCl、10mMのリン酸バッファー、及び10、15、20、又は25%の次の極性非プロトン溶媒の一つを含んでいた:
スルホラン
γ−ブチロラクトン
エチレントリチオカーボネート
グリコールサルファイト
プロピレンカーボネート
結果: 調べた全ての濃度で極性非プロトン溶媒の全てが使用された組成物において少なくとも2相系をつくり出した。しかしながら、これは、これらの化合物が他の組成物条件下で一相系をつくることができることを排除しない。
【0183】
実施例19
この実験は、複数のFFPE組織切片に対する発色性インサイツハイブリダイゼーション(CISH)解析における本発明の組成物の使用を調べる。
FISHプローブ組成物I:4.5ng/μLのTCRAD FITC標識遺伝子DNAプローブ(標準濃度の1/4)(RP11−654A2,RP11−246A2,CTP−2355L21,RP11−158G6,RP11−780M2,RP11−481C14;サイズ1018kb);15%のEC;20%のデキストラン硫酸;600mMのNaCl;10mMのクエン酸バッファー,pH6.0。
FISHプローブ組成物II:4.5ng/μLのTCRAD FITC標識遺伝子DNAプローブ(標準濃度の1/4)(サイズ1018kb);15%のEC;20%のデキストラン硫酸;600mMのNaCl;10mMのクエン酸バッファー,pH6.0;0.1ug/uLの剪断サケDNA精子。
FISHプローブ組成物III:300nMの各個々のFITC標識PNA CEN17プローブ(標準濃度の1/2);15%のEC;20%のデキストラン硫酸;600mMのNaCl;10mMのクエン酸バッファー,pH6.0。
全ての試料は、Dako DuoCISHプロトコル(SK108)及びスプリットプローブの組成物を使用して分析したが、但し、ストリンジェントな洗浄を10分の代わりに20分間実施され、DuoCISHレッド色素原工程は使用しなかった。

【0184】
実施例20
この実施例は、二つのDNAプローブを持つ本発明の組成物で処理されたFFPE組織切片からのシグナル強度及びバックグラウンドを比較する。
FISHプローブ組成物I:9ng/μLのIGH FITC標識遺伝子DNAプローブ(RP11−151B17,RP11−112H5,RP11−101G24,RP11−12F16,RP11−47P23,CTP−3087C18;サイズ612kb);6.4ng/μLのMYC TxRed標識DNAプローブ(CTD−2106F24,CTD−2151C21,CTD−2267H22;サイズ418kb);15%のEC;20%のデキストラン硫酸;600mMのNaCl;10mMのクエン酸バッファー,pH6.0。
FISHプローブ組成物II:9ng/μLのIGH FITC標識遺伝子DNAプローブ;6.4ngのMYC TxRed標識DNAプローブ;15%のEC、20%のデキストラン硫酸;600mMのNaCl;10mMのクエン酸バッファー,pH6.0;0.1ug/uLの剪断サケ精液DNA。

【0185】
実施例21
この実験は細胞試料での本発明の組成物の使用を調べる。
FISHプローブ組成物:15%のEC;20%のデキストラン硫酸;600mMのNaCl;10mMのリン酸バッファー;5ng/μLのHER2 TxRed標識DNAプローブ(標準濃度の1/2)及び1/2の標準濃度のCEN7(25nM)。
FISHプローブを、全てブロッキングなしで、分裂中期染色体スプレッド上で82℃で5分間、ついで45℃で30分間、インキュベートした。

典型的にはRバンド形成を示す伝統的なISH溶液と比較して、本発明の組成物では、染色体バンド形成(Rバンド形成パターン)は観察されなかった。静止期核及び分裂中期の低い均一な赤いバックグラウンド染色が観察された。
【0186】
実施例22
この実施例は、細胞診試料、分裂中期スプレッド上での、ブロッキングを伴い、またブロッキングなしでの、DNAプローブからのシグナル強度及びバックグラウンドを比較する。
FISHプローブ組成物I:6ng/μLのTCRADテキサスレッド標識遺伝子DNAプローブ(標準濃度)(CTP−31666K20,CTP−2373N7;サイズ301kb)及び4.5ng/μLのFITC標識遺伝子DNAプローブ(標準濃度の1/4);15%EC、20%デキストラン硫酸;600mMのNaCl;10mMのクエン酸バッファー,pH6.0。
FISHプローブ組成物II:6ng/μLのTCRADテキサスレッド標識遺伝子DNAプローブ(標準濃度)(サイズ301kb)及び4.5ng/μLのFITC標識遺伝子DNAプローブ(標準濃度の1/4);15%EC、20%デキストラン硫酸;600mMのNaCl;10mMのクエン酸バッファー,pH6.0;0.1ug/uLの剪断サケ精液DNA。
FISHプローブを82℃で5分間、ついで45℃で60分、インキュベートした。

再び、染色体バンド(R−バンドパターン)は本発明の組成物では観察されなかった。加えて、静止期核又は分裂中期染色体のバックグラウンド染色は観察されなかった。
【0187】
更なる実施態様
実施態様1. (a) 染色体異常に関連するヌクレオチド配列を検出する第一分子プローブ、
(b)二本鎖ヌクレオチド配列を変性させるのに十分な量の少なくとも一種の極性非プロトン溶媒、及び
(c)ハイブリダイゼーション溶液
を含有し、ヌクレオチド配列が染色体異常のためのマーカーであり、極性非プロトン溶媒がジメチルスルホキシド(DMSO)ではない、ハイブリダイゼーション組成物。
実施態様2. 染色体異常が、異数性、潜在的切断点、挿入、逆位、欠失、複製,遺伝子増幅、再編成、又は転位置である実施態様1に記載のハイブリダイゼーション組成物。
実施態様3. 染色体異常が先天性遺伝子疾患、癌、又は感染症に関連する実施態様1−2に記載のハイブリダイゼーション組成物。
実施態様4. 染色体異常が癌に関連する実施態様1−2に記載のハイブリダイゼーション組成物。
実施態様5. 第一分子プローブがALK、BCL2、BCL3、BCL6、BCL10、BCL12、BCR、CCND1、E2A、EGFR、ETV6、FIP1L1、HER2、IGH、IGK、IGL、MALT1、MLL(ALL−1、HTRX1、HRX)、MYC(c−Myc)、PAX5、PDGFRA、PDGFRB、SIL、TCF3(E2A、ITF1)、TCL1A、TCRAD、TCRB、TCRG,テロメア、TLX1、TLX3(HOX11L2、RNX)、又はTOP2Aを検出する実施態様4に記載のハイブリダイゼーション組成物。
実施態様6. 第一分子プローブが、BASE、BRCA1、CCND1、CCNE1、DCD、E2F3、n−MYC/MYCN、COX−2/PTGS2、LRIG1、ERa、hTERT、MLN64/STARD3、PGR、SNAI1、SRC、TOP1、TUBB1、AIB1、DLC−1、EDD、Pip4k2b/5k、Sil、TBX2、c−Kit、VEGF、VCAM−1、Tie−1、Ts/TYMS、PSMA、PSA、PAP、P15、P16、BCL1、BCL2、MTOR、TIMP1、ESR1、PTEN、MDM2/CDK4、MET、C−MET、ERB1、FGFR1、IGF1R、NET、FGFR3、ABCB1、TMPRSS2、BRCA2、TOP2B、ERCC1、AKT1、AKT2、AKT3、HRAS、NRAS、RAF1、HER3、HER4、ENT1、RRM1、RRM2、RRM2B、PIK3CA、AURK4、AURKB、AURKC、MAPT/tau、TTBK1、TUBB、VEGFR、CCND3、CDK6、CDK2、CDC2、HDAC、ESR2、SCUBE2、BIRC5、FASN、DHFR、TP/ECGF1、TYMP、DPYD、TK1、HMGIC、ABCA2、ABCB11、ABCC1、ABCC2、ABCC3、ABCC4、ABCC5、ABCG2、MVP、ATP7A、ATP7B、SLC29A1、SLC28A1、SLC19A1、TUBB4、TUBA、MAP4、MAP7、STMN1、KIF5B、HSPA5、PSMD14、FPGS、GSTP1、GPX、GCLC、GGT2、MT、AKR1B1、HMGB1、HMGB2、XPA、XPD、MSH2、MLH1、PMS2、APEX1、MGMT、GLO1、RB1、GML、CDKN1A、CDKN2A、CDKN1B、ERBB2、KRAS2、ITGB1、JUN、FOS、NFKB1、TP53、TP73、BCL2L1、MCL1、BAX、BIRC4、TNFRSF6、CASP3、CASP8、HSPB1、MALAT1(α)t(11;19)(q11;q13.4)、MHLB1 t(11;19)(q11;q13.4)、COL1A1 t(17;22)(q22;q13)、PDGFB t(17;22)(q22;q13)、FKHR t(2;13)及びt(1;13)、ETV6 t(12;15)(p13;q25)、NTRK3 t(12;15)(p13;q25)、TLS/FUS t(12;16)(q13;p11)、CHOP t(12;16)(q13;p11)、EWS t(12;22)(q13;q12)、EWS/FLI1 t(11;22)(q24;q12)、及びFLI1 t(11;22)(q24;q12)からなる群から選択される非血液学的疾患に対する標的を検出する実施態様1−4の何れかに記載のハイブリダイゼーション組成物。
実施態様7. 第一分子プローブが、ABL t(9;22)(q34;q11)、PRDM16del(1p36.32)del(21q22.12)、RUNX1/AML1del(1p36.32)del(21q22.12)、CEP8、PDGFRB、NUP98、FGFR1、ASS、ETO t(8;21)(q22;q22)、AML1 t(8;21)(q22;q22)、CBFβinv(16)(p13q22)t(16;16)(p13;q22)、MYH11 inv(16)(p13q22)t(16;16)(p13;q22)、AF9 t(9;11)、PML t(15;17)(q22;q21)、PLZF t(11;17)(q23;q21)、NuMA t(11;17)(q13;q21)、NPM t(5;17)(q23;q12)、RARα t(15;17)(q22;q21)t(11;17)(q23;q21)t(11;17)(q13;q21)t(5;17)(q23;q21)、EVI1 t(3;v)(q26;v)、GR6 t(3;3)(q21;q26)、RPN1 t(3;3)(q21;q26)、DEK t(6;9)、CAN t(6;9)、MLF1 t(3;5)(…;q23)、FUS t(16;21)、ERG t(16;21)、NUP98 t(7;11)、HOX9A t(7;11)、MOZ/MYST3 t(8;16)(p11;p13)、CBP t(8;16)(p11;p13)、p300 t(8;22)(p11;q13)、TIF2/GRIP−1/NCoA−2 inv(8)(p11q13)、MKL1、PBX1 t(1;19)(q23;p13.3)+var.、ABL t(9;22)(q34;q11)、AF4/AFF1 t(4;11)(q21;q23)、AML1/RUNX1 t(12;21)(p13;q22)、IL3 t(5;14)(q31;q32)、HLF t(17;19)、IKZF1del(7)(p12.2)、CDKN2A/CDKN2Bdel(9)(p21.3)、TAL1 1p32異常、LMO2 t(11;14)(p13;q11)+var.、LMO1 t(11;14)(p15;q11)、HOX11 t(10;14)(q24;q11)+var.、TAL2 t(7;9)(q34;q32)、TAN1 t(7;9)(q34;q34)、CEP12、ATM、D13S25、D13S319、TP53、P53、TNFAIP3del(6)(q23.3−q24.1)、CDK6 BCL1 t(11;14)(q13;q32)+var.、IRF4 t(6;14)(p25;q32)、C−MAF t(14;16)(q32;q23)、FGFR3 t(4;14)(p16;q32)、MUM2/3 t(1;14)(q21;q32)、NPM t(2;5)(p23;q35)、ASS、RB1、及びATMからなる群から選択される血液学的疾患に対する標的を検出する実施態様1−4の何れかに記載のハイブリダイゼーション組成物。
実施態様8. 第一分子プローブが、CEP1、CEP2、CEP3、CEP4、CEP5、CEP6、CEP7、CEP8、CEP9、CEP10、CEP11、CEP12、CEP13、CEP14、CEP15、CEP16、CEP17、CEP18、CEP19、CEP20、CEP21、CEP22、CEP23、CEP X、及びCEP Yからなる群から選択されるセントロメアを検出する実施態様1−4の何れかに記載のハイブリダイゼーション組成物。
実施態様9. 癌が、副腎皮質癌、膀胱癌、脳癌、熱傷癌、乳癌、子宮頚癌、結腸直腸癌,結腸癌、直腸癌、子宮内膜癌、食道癌、腎臓(腎)癌、白血病、肝臓癌、肺癌、胃癌、神経膠腫、血液学的癌、頭頸部癌、メラノーマ、リンパ腫、白血病、非ホジキンリンパ腫、卵巣細胞、膵臓癌、前立腺癌、網膜芽細胞腫、肉腫、皮膚癌(非メラノーマ)、精巣癌、甲状腺癌、又は子宮癌である実施態様4に記載のハイブリダイゼーション組成物。
実施態様10. 癌が乳癌であり、第一分子プローブがHER2を検出する実施態様9に記載のハイブリダイゼーション組成物。
実施態様11. 癌が結腸直腸癌であり、第一分子プローブがEGF2を検出する実施態様9に記載のハイブリダイゼーション組成物。
実施態様12. 癌が造血器腫瘍である実施態様4に記載のハイブリダイゼーション組成物。
実施態様13. 第一分子プローブが、t(1;14)(q34;q11)、t(1;19)(q23;p13)、t(2;5)、t(2;18)(q12;q21)、t(2;8)、t(4;11)、t(4;11)(q21;q23)、t(6;11)(q27;q23)、t(7;22)(p22;q12)、t(8;14)、t(8;22)、t(9;11)(p22;q23)、t(9;22)(q34;q11)、t(10;14)(q24;q11)、t(11;14)、t(11;14)(p13;q11)、t(11;19)(q23;p13)、t(14;18)(q23;q21)、t(14;18)、t(18;22)(q21;q11)、及びt(21;22)(q22;q12)から選択される染色体異常を検出する実施態様12に記載のハイブリダイゼーション組成物。
実施態様14. 第二分子プローブを更に含む実施態様1から13の何れか一に記載のハイブリダイゼーション組成物。
実施態様15. 第二分子プローブが参照配列を検出する実施態様14に記載のハイブリダイゼーション組成物。
実施態様16. 参照配列がセントロメア配列である実施態様15に記載のハイブリダイゼーション組成物。
実施態様17. 分子プローブが実施態様8に記載の通りである実施態様16に記載のハイブリダイゼーション組成物。
実施態様18. 第一分子プローブ及び第二分子プローブが、一又は複数の潜在的切断点に隣接するか又はその内部の配列を検出する実施態様14に記載のハイブリダイゼーション組成物。
実施態様19. 第三分子プローブを更に含有する実施態様14から18の何れか一に記載のハイブリダイゼーション組成物。
実施態様20. 第一分子プローブがDNAプローブ、PNAプローブ、又はLNAプローブである実施態様1から19の何れか一に記載のハイブリダイゼーション組成物。
実施態様21. 第二分子プローブがDNAプローブ、PNAプローブ、又はLNAプローブである実施態様14から20の何れか一に記載のハイブリダイゼーション組成物。
実施態様22. 第三分子プローブがDNAプローブ、PNAプローブ、又はLNAプローブである実施態様19から21の何れか一に記載のハイブリダイゼーション組成物。
実施態様23. 分子プローブが標識を更に含む請求項1から22の何れか一に記載のハイブリダイゼーション組成物。
実施態様24. 標識が発色団、フルオロフォア、ビオチン、DIG、抗体−ハpテン、染料又は酵素である実施態様23に記載のハイブリダイゼーション組成物。
実施態様25. ハイブリダイゼーション組成物中の極性非プロトン溶媒の濃度が1%(v/v)から95%(v/v)の範囲である実施態様1から24の何れか一に記載のハイブリダイゼーション組成物。
実施態様26. ハイブリダイゼーション組成物中の極性非プロトン溶媒の濃度が5%(v/v)から10%(v/v)の範囲である実施態様1から25の何れか一に記載のハイブリダイゼーション組成物。
実施態様27. ハイブリダイゼーション組成物中の極性非プロトン溶媒の濃度が10%(v/v)から20%(v/v)の範囲である実施態様1から25の何れか一に記載のハイブリダイゼーション組成物。
実施態様28. ハイブリダイゼーション組成物中の極性非プロトン溶媒の濃度が20%(v/v)から30%(v/v)の範囲である実施態様1から25の何れか一に記載のハイブリダイゼーション組成物。
実施態様29. 極性非プロトン溶媒が非毒性である実施態様1から28の何れか一に記載のハイブリダイゼーション組成物。
実施態様30. 但し、ハイブリダイゼーション組成物がホルムアミドを含んでいない実施態様1から29の何れか一に記載のハイブリダイゼーション組成物。
実施態様31. 但し、ハイブリダイゼーション組成物が10%未満のホルムアミドを含む実施態様1から30の何れか一に記載のハイブリダイゼーション組成物。
実施態様32. 極性非プロトン溶媒が、ラクトン、スルホン、サルファイト、ニトリル及び/又はカーボネート官能性を有している実施態様1から31の何れか一に記載のハイブリダイゼーション組成物。
実施態様33. 極性非プロトン溶媒が、17.7MPa1/2から22.0MPa1/2の範囲の分散溶解度パラメータ、13MPa1/2から23MPa1/2の範囲の極性溶解度パラメータ、及び3MPa1/2から13MPa1/2の範囲の水素結合溶解度パラメータを有する実施態様1から32の何れか一に記載のハイブリダイゼーション組成物。
実施態様34. 極性非プロトン溶媒が環状塩基構造を有する実施態様1から33の何れか一に記載のハイブリダイゼーション組成物。
実施態様35. 極性非プロトン溶媒が

(ここで、XがOであり、R1がアルキルジイルである)、及び

(ここで、Xは任意であり、存在する場合は、O又はSから選択され、
Zは任意であり、存在する場合は、O又はSから選択され、
A及びBは独立してO又はN又はS又はアルキルジイルの一部又は第1級アミンであり、
Rはアルキルジイルであり、
YはO又はS又はCである)
から選択される実施態様1から34の何れか一に記載のハイブリダイゼーション組成物。実施態様36. 極性非プロトン溶媒が、アセトアニリド、アセトニトリル、N−アセチルピロリドン、4−アミノピリジン、ベンズアミド、ベンズイミダゾール、1,2,3−ベンゾトリアゾール、ブタジエンジオキシド、2,3−ブチレンカーボネート、γ−ブチロラクトン、カプロラクトン(イプシロン)、クロロ無水マレイン酸、2−クロロシクロヘキサノン、クロロエチレンカーボネート、クロロニトロメタン、無水シトラコン酸、クロトンラクトン、5−シアノ−2−チオウラシル、シクロプロピルニトリル、硫酸ジメチル、ジメチルスルホン、1,3−ジメチル−5−テトラゾール、1,5−ジメチルテトラゾール、1,2−ジニトロベンゼン、2,4−ジニトロトルエン、ジフェイニルスルホン、1,2−ジニトロベンゼン、2,4−ジニトロトルエン、ジフェイニルスルホン、イプシロン−カプロラクタム、エタンスルホニルクロリド、エチルエチルホスフィネート、N−エチルテトラゾール、エチレンカーボネート、エチレントリチオカーボネート、エチレングリコールサルフェート、エチレングリコールサルファイト、フルフラール、2−フロニトリル、2−イミダゾール、イサチン、イソキサゾール、マロノニトリル、4−メトキシベンゾニトリル、1−メトキシ−2−ニトロベンゼン、メチルαブロモテトロネート、1−メチルイミダゾール、N−メチルイミダゾール、3−メチルイソキサゾール、N−メチルモルホリン−N−オキシド、メチルフェニルスルホン、N−メチルピロリジノン、メチルスルホラン、メチル−4−トルエンスルホネート、3−ニトロアニリン、ニトロベンズイミダゾール、2−ニトロフラン、1−ニトロソ−2−ピロリジノン、2−ニトロチオフェン、2−オキサゾリジノン、9,10−フェナントレンキノン、N−フェニルシドノン、無水フタル酸、ピコリノニトリル(2−シアノピリジン)、1,3−プロパンスルトン、β−プロピオラクトン、プロピレンカーボネート、4H−ピラン−4−チオン、4H−ピラン−4−オン(γ−ピロン),ピリダジン、2−ピロリドン、サッカリン、スクシノニトリル、スルファニルアミド、スルホラン、2,2,6,6−テトラクロロシクロヘキサノン、テトラヒドロチアピランオキシド、テトラメチレンスルホン(スルホラン)、チアゾール、2−チオウラシル、3,3,3−トリクロロプロペン、1,1,2−トリクロロプロペン、1,2,3−トリクロロプロペン、トリメチレンスルフィド−ジオキシド、及びトリメチレンサルファイトからなる群から選択される実施態様1から35の何れか一に記載のハイブリダイゼーション組成物。
実施態様37. 極性非プロトン溶媒が、

からなる群から選択される実施態様1から35の何れか一に記載のハイブリダイゼーション組成物。
実施態様38. 極性非プロトン溶媒が、

からなる群から選択される実施態様1から35の何れか一に記載のハイブリダイゼーション組成物。
実施態様39. 緩衝剤、塩、促進剤、キレート剤、洗浄剤、及びブロッキング剤からなる群から選択される少なくとも一種の更なる成分を更に含む実施態様1から38の何れか一に記載のハイブリダイゼーション組成物。
実施態様40. 促進剤がデキストラン硫酸であり、塩が塩化ナトリウム及び/又はリン酸ナトリウムである実施態様39に記載のハイブリダイゼーション組成物。
実施態様41. デキストラン硫酸が、5%から40%の濃度で存在し、塩化ナトリウムが0mMから1200mMの濃度で存在し、及び/又はリン酸ナトリウムが0mMから50mMの濃度で存在する実施態様40に記載のハイブリダイゼーション組成物。
実施態様42. デキストラン硫酸が10%から30%の濃度で存在し、塩化ナトリウムが300mMから1200mMの濃度で存在し、及び/又はリン酸ナトリウムが5mMから20mMの濃度で存在する実施態様41に記載のハイブリダイゼーション組成物。
実施態様43. 促進剤が、ホルムアミド、グリセロール、プロピレングリコール、1,2−プロパンジオール、ジエチレングリコール、エチレングリコール、グリコール、及び1,3プロパンジオールからなる群から選択され、緩衝剤がクエン酸バッファーである実施態様39に記載のハイブリダイゼーション組成物。
実施態様44. ホルムアミドが0.1−5%の濃度で存在し、グリセロール、プロピレングリコール、1,2−プロパンジオール、ジエチレングリコール、エチレングリコール、グリコール、及び1,3プロパンジオールが0.1%から10%の濃度で存在し、クエン酸バッファーが1mMから50mMの濃度で存在する実施態様43に記載のハイブリダイゼーション組成物。
実施態様45. ブロッキング剤が、全ヒトDNA、ニシン精液DNA、サケ精液DNA、及びウシ胸腺DNAからなる群から選択される実施態様39に記載のハイブリダイゼーション組成物。
実施態様46. 全ヒトDNA、ニシン精液DNA、サケ精液DNA、及びウシ胸腺DNAが0.01から10μg/mLの濃度で存在する実施態様45に記載のハイブリダイゼーション組成物。
実施態様47. 40%の少なくとも一種の極性非プロトン溶媒、10%デキストラン硫酸、300mMの塩化ナトリウム、及び5mMのリン酸ナトリウムを含有する実施態様1から46の何れか一に記載のハイブリダイゼーション組成物。
実施態様48. 15%の少なくとも一種の極性非プロトン溶媒、20%のデキストラン硫酸、600mMの塩化ナトリウム、10mMのリン酸ナトリウム、及び0.1μg/mlの全ヒトDNAを含有する実施態様1から46の何れか一に記載のハイブリダイゼーション組成物。
実施態様49. 15%の少なくとも一種の極性非プロトン溶媒、20%のデキストラン硫酸、600mMの塩化ナトリウム、10mMのクエン酸バッファーpH6.2、及び0.1μg/μLのニシン精液DNA、又はサケ精液DNA、又はウシ胸腺DNA、又は0.5%のホルムアミド、又は1%のエチレングリコール、又は1%の1,3プロパンジオール、又は1%のグリセロールを含有する実施態様1から46の何れか一に記載のハイブリダイゼーション組成物。
実施態様50. 水性組成物が室温で一を越える相を含む実施態様1から49の何れか一に記載のハイブリダイゼーション組成物。
実施態様51. 実施態様1から41の何れか一に記載の組成物を含むキット。
実施態様52.(a)染色体異常に関連するヌクレオチド配列を検出する第一分子プローブ、及び
(b)二本鎖ヌクレオチド配列を変性させるのに十分な量の少なくとも一種の極性非プロトン溶媒を含有するハイブリダイゼーション組成物
を含み、極性非プロトン溶媒がジメチルスルホキシド(DMSO)ではないキット。
実施態様53. 可視化試薬を更に含む実施態様51及び52の何れかに記載のキット。
実施態様54. キットが細胞診に使用するために設計された実施態様51及び52の何れかに記載のキット。
実施態様55. キットが組織診断に使用するために設計された実施態様51及び52の何れかに記載のキット。
実施態様56. 極性非プロトン溶媒が実施態様25−38の何れかに記載された通りである実施態様52に記載のキット。
実施態様57. キットがFISH又はCISH実験において使用されるために設計された実施態様51から56の何れか一に記載のキット。
実施態様58. 染色体DNA中における標的を検出する方法において、
− 染色体DNA中の標的にハイブリダイズする少なくとも一の分子プローブを提供し、
− 染色体DNAを提供し、
− 二本鎖ヌクレオチド配列を変性させるのに十分な量の少なくとも一種の極性非プロトン溶媒を含有し、極性非プロトン溶媒がジメチルスルホキシド(DMSO)ではないハイブリダイゼーション組成物を提供し、
− 分子プローブ、染色体DNA及びハイブリダイゼーション組成物を、標的に分子プローブをハイブリダイズさせるのに少なくとも十分な時間の間、組合せ、及び
− 標的を検出する
ことを含む方法。
実施態様59. 核酸配列中の染色体異常の存在を決定する方法において、
− 少なくとも一の分子プローブを提供し、
− 核酸配列を提供し、
− 二本鎖ヌクレオチド配列を変性させるのに十分な量の少なくとも一種の極性非プロトン溶媒を含有し、極性非プロトン溶媒がジメチルスルホキシド(DMSO)ではないハイブリダイゼーション組成物を提供し、
− 分子プローブ及び核酸配列及びハイブリダイゼーション組成物を、分子プローブ及び核酸配列をハイブリダイズさせるのに少なくとも十分な時間の間、組合せ、及び
− 少なくとも一の分子プローブを検出し、
− 染色体異常の存在を決定する
ことを含む方法。
実施態様60. 核酸配列中の染色体異常の存在を決定する方法において、
− 核酸配列を提供し、
− 少なくとも一の分子プローブと二本鎖ヌクレオチド配列を変性させるのに十分な量の少なくとも一種の極性非プロトン溶媒を含有するハイブリダイゼーション組成物を提供し、
− ハイブリダイゼーション組成物を上記核酸に、分子プローブと核酸配列をハイブリダイズさせるのに少なくとも十分な時間の間、適用し、
− 少なくとも一の分子プローブを検出し、
− 染色体異常の存在を決定する
ことを含み、極性非プロトン溶媒がジメチルスルホキシド(DMSO)ではない方法。
実施態様61. 極性非プロトン溶媒が実施態様25−38の何れか一に記載の通りである実施態様58から60の何れか一に記載の方法。
実施態様62. 核酸配列中の染色体異常の存在を決定する方法において、
− 核酸配列を提供し、
− 実施態様1から50の何れか一に記載の組成物を上記核酸に、分子プローブと核酸配列をハイブリダイズさせるのに少なくとも十分な時間の間、適用し、
− 染色体異常が核酸中に存在するかどうかを決定する
ことを含む方法。
実施態様63. 第一及び第二核酸にハイブリダイズするのに十分な量のエネルギーが提供される実施態様58から62の何れか一に記載の方法。
実施態様64. エネルギーがハイブリダイゼーション組成物及び核酸配列を加熱することにより提供される実施態様63に記載の方法。
実施態様65. 加熱工程が、マイクロ波、熱浴、ホットプレート、電熱線、ペルチェ素子、誘導加熱又は加熱ランプの使用により実施される実施態様64に記載の方法。
実施態様66. 核酸配列が二本鎖であり、分子プローブが一本鎖であり、核酸配列が二本鎖であり、及び分子プローブが二本鎖であり、核酸配列が一本鎖であり、分子プローブが一本鎖であり、又は核酸配列が一本鎖であり、分子プローブが二本鎖である実施態様58から65の何れか一に記載の方法。
実施態様67. 変性及びハイブリダイゼーション工程が別個に生じる実施態様58から66の何れか一に記載の方法。
実施態様68. ハイブリダイゼーション工程がハイブリダイゼーション組成物、分子プローブ、及び核酸配列を加熱及び冷却する工程を含む実施態様58から67の何れか一に記載の方法。
実施態様69. ハイブリダイゼーション工程が8時間未満を要する実施態様58から68の何れか一に記載の方法。
実施態様70. ハイブリダイゼーション工程が1時間未満を要する実施態様69に記載の方法。
実施態様71. 冷却工程が1時間未満を要する実施態様58から70の何れか一に記載の方法。
実施態様72. 冷却工程が30分未満を要する実施態様71に記載の方法。
実施態様73. 核酸配列が生物学的試料中にある実施態様58から72の何れか一に記載の方法。
実施態様74. 生物学的試料が組織試料である実施態様73に記載の方法。
実施態様75. 水性組成物が室温で一相を含む実施態様58から74の何れか一に記載の方法。
実施態様76. 水性組成物が室温で複数相を含む実施態様58から74の何れか一に記載の方法。
実施態様77. 水性組成物の相が混合される実施態様76に記載の方法。
実施態様78. ブロッキング工程を更に含む実施態様58から77の何れか一に記載の方法。
実施態様79. 染色体異常に関連する先天性遺伝子疾患、癌、又は感染を診断する方法において、
− 患者からの組織試料を提供し、ここで、組織試料は核酸を含み、
− 実施態様58から78の何れか一に記載の方法に従って、染色体異常が核酸配列中に存在するかどうかを決定し、及び
− 染色体異常が組織試料中に存在する場合に先天性遺伝子疾患、癌、又は感染を診断する
ことを含む方法。
実施態様80. 染色体異常に関連するヌクレオチド配列を検出するためのハイブリダイゼーションアッセイにおける、染色体異常に関連するヌクレオチド配列を検出する分子プローブを含む組成物及び1%(v/v)から95%(v/v)の少なくとも一種の極性非プロトン溶媒を含むハイブリダイゼーション組成物の使用。
実施態様81. 実施態様1から50の何れか一に記載の組成物の、実施態様80に記載の使用。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)染色体異常に関連するヌクレオチド配列を検出する第一分子プローブ、
(b)二本鎖ヌクレオチド配列を変性させるのに十分な量の少なくとも一種の極性非プロトン溶媒、及び
(c)ハイブリダイゼーション溶液
を含有し、ヌクレオチド配列が染色体異常のためのマーカーであり、極性非プロトン溶媒がジメチルスルホキシド(DMSO)ではないハイブリダイゼーション組成物。
【請求項2】
染色体異常が、異数性、潜在的切断点、挿入、逆位、欠失、複製,遺伝子増幅、再編成、又は転位置である請求項1に記載のハイブリダイゼーション組成物。
【請求項3】
染色体異常が先天性遺伝子疾患、癌、又は感染症に関連する請求項1−2に記載のハイブリダイゼーション組成物。
【請求項4】
染色体異常が癌に関連する請求項3に記載のハイブリダイゼーション組成物。
【請求項5】
第一分子プローブが、ALK、BCL2、BCL3、BCL6、BCL10、BCL12、BCR、CCND1、E2A、EGFR、ETV6、FIP1L1、HER2、IGH、IGK、IGL、MALT1、MLL(ALL−1、HTRX1、HRX)、MYC(c−Myc)、PAX5、PDGFRA、PDGFRB、SIL、TCF3(E2A、ITF1)、TCL1A、TCRAD、TCRB、TCRG,テロメア、TLX1、TLX3(HOX11L2、RNX)、又はTOP2Aを検出する請求項4に記載のハイブリダイゼーション組成物。
【請求項6】
第一分子プローブが、BASE、BRCA1、CCND1、CCNE1、DCD、E2F3、n−MYC/MYCN、COX−2/PTGS2、LRIG1、ER a、hTERT、MLN64/STARD3、PGR、SNAI1、SRC、TOP1、TUBB1、AIB1、DLC−1、EDD、Pip4k2b/5k、Sil、TBX2、c−Kit、VEGF、VCAM−1、Tie−1、Ts/TYMS、PSMA、PSA、PAP、P15、P16、BCL1、BCL2、MTOR、TIMP1、ESR1、PTEN、MDM2/CDK4、MET、C−MET、ERB1、FGFR1、IGF1R、NET、FGFR3、ABCB1、TMPRSS2、BRCA2、TOP2B、ERCC1、AKT1、AKT2、AKT3、HRAS、NRAS、RAF1、HER3、HER4、ENT1、RRM1、RRM2、RRM2B、PIK3CA、AURK4、AURKB、AURKC、MAPT/tau、TTBK1、TUBB、VEGFR、CCND3、CDK6、CDK2、CDC2、HDAC、ESR2、SCUBE2、BIRC5、FASN、DHFR、TP/ECGF1、TYMP、DPYD、TK1、HMGIC、ABCA2、ABCB11、ABCC1、ABCC2、ABCC3、ABCC4、ABCC5、ABCG2、MVP、ATP7A、ATP7B、SLC29A1、SLC28A1、SLC19A1、TUBB4、TUBA、MAP4、MAP7、STMN1、KIF5B、HSPA5、PSMD14、FPGS、GSTP1、GPX、GCLC、GGT2、MT、AKR1B1、HMGB1、HMGB2、XPA、XPD、MSH2、MLH1、PMS2、APEX1、MGMT、GLO1、RB1、GML、CDKN1A、CDKN2A、CDKN1B、ERBB2、KRAS2、ITGB1、JUN、FOS、NFKB1、TP53、TP73、BCL2L1、MCL1、BAX、BIRC4、TNFRSF6、CASP3、CASP8、HSPB1、MALAT1(α)t(11;19)(q11;q13.4)、MHLB1 t(11;19)(q11;q13.4)、COL1A1 t(17;22)(q22;q13)、PDGFB t(17;22)(q22;q13)、FKHR t(2;13)及びt(1;13)、ETV6 t(12;15)(p13;q25)、NTRK3 t(12;15)(p13;q25)、TLS/FUS t(12;16)(q13;p11)、CHOP t(12;16)(q13;p11)、EWS t(12;22)(q13;q12)、EWS/FLI1 t(11;22)(q24;q12)、及びFLI1 t(11;22)(q24;q12)からなる群から選択される非血液学的疾患に対する標的を検出する請求項1から4の何れか一項に記載のハイブリダイゼーション組成物。
【請求項7】
第一分子プローブが、ABL t(9;22)(q34;q11)、PRDM16del(1p36.32)del(21q22.12)、RUNX1/AML1del(1p36.32)del(21q22.12)、CEP8、PDGFRB、NUP98、FGFR1、ASS、ETO t(8;21)(q22;q22)、AML1 t(8;21)(q22;q22)、CBFβinv(16)(p13q22)t(16;16)(p13;q22)、MYH11 inv(16)(p13q22)t(16;16)(p13;q22)、AF9 t(9;11)、PML t(15;17)(q22;q21)、PLZF t(11;17)(q23;q21)、NuMA t(11;17)(q13;q21)、NPM t(5;17)(q23;q12)、RARα t(15;17)(q22;q21)t(11;17)(q23;q21)t(11;17)(q13;q21)t(5;17)(q23;q21)、EVI1 t(3;v)(q26;v)、GR6 t(3;3)(q21;q26)、RPN1 t(3;3)(q21;q26)、DEK t(6;9)、CAN t(6;9)、MLF1 t(3;5)(…;q23)、FUS t(16;21)、ERG t(16;21)、NUP98 t(7;11)、HOX9A t(7;11)、MOZ/MYST3 t(8;16)(p11;p13)、CBP t(8;16)(p11;p13)、p300 t(8;22)(p11;q13)、TIF2/GRIP−1/NCoA−2 inv(8)(p11q13)、MKL1、PBX1 t(1;19)(q23;p13.3)+var.、ABL t(9;22)(q34;q11)、AF4/AFF1 t(4;11)(q21;q23)、AML1/RUNX1 t(12;21)(p13;q22)、IL3 t(5;14)(q31;q32)、HLF t(17;19)、IKZF1del(7)(p12.2)、CDKN2A/CDKN2Bdel(9)(p21.3)、TAL1 1p32異常、LMO2 t(11;14)(p13;q11)+var.、LMO1 t(11;14)(p15;q11)、HOX11 t(10;14)(q24;q11)+var.、TAL2 t(7;9)(q34;q32)、TAN1 t(7;9)(q34;q34)、CEP12、ATM、D13S25、D13S319、TP53、P53、TNFAIP3del(6)(q23.3−q24.1)、CDK6 BCL1 t(11;14)(q13;q32)+var.、IRF4 t(6;14)(p25;q32)、C−MAF t(14;16)(q32;q23)、FGFR3 t(4;14)(p16;q32)、MUM2/3 t(1;14)(q21;q32)、NPM t(2;5)(p23;q35)、ASS、RB1、及びATMからなる群から選択される血液学的疾患に対する標的を検出する請求項1から4の何れか一項に記載のハイブリダイゼーション組成物。
【請求項8】
第一分子プローブが、CEP1、CEP2、CEP3、CEP4、CEP5、CEP6、CEP7、CEP8、CEP9、CEP10、CEP11、CEP12、CEP13、CEP14、CEP15、CEP16、CEP17、CEP18、CEP19、CEP20、CEP21、CEP22、CEP23、CEP X、及びCEP Yからなる群から選択されるセントロメアを検出する請求項1から4の何れか一項に記載のハイブリダイゼーション組成物。
【請求項9】
癌が、副腎皮質癌、膀胱癌、脳癌、熱傷癌、乳癌、子宮頚癌、結腸直腸癌,結腸癌、直腸癌、子宮内膜癌、食道癌、腎臓(腎)癌、白血病、肝臓癌、肺癌、胃癌、神経膠腫、血液学的癌、頭頸部癌、メラノーマ、リンパ腫、白血病、非ホジキンリンパ腫、卵巣細胞、膵臓癌、前立腺癌網膜芽細胞腫、肉腫、皮膚癌(非メラノーマ)、精巣癌、甲状腺癌、又は子宮癌である請求項4に記載のハイブリダイゼーション組成物。
【請求項10】
癌が乳癌であり、第一分子プローブがHER2を検出する請求項9に記載のハイブリダイゼーション組成物。
【請求項11】
癌が結腸直腸癌であり、第一分子プローブがEGF2を検出する請求項9に記載のハイブリダイゼーション組成物。
【請求項12】
癌が造血器腫瘍である請求項4に記載のハイブリダイゼーション組成物。
【請求項13】
第一分子プローブが、t(1;14)(q34;q11)、t(1;19)(q23;p13)、t(2;5)、t(2;18)(q12;q21)、t(2;8)、t(4;11)、t(4;11)(q21;q23)、t(6;11)(q27;q23)、t(7;22)(p22;q12)、t(8;14)、t(8;22)、t(9;11)(p22;q23)、t(9;22)(q34;q11)、t(10;14)(q24;q11)、t(11;14)、t(11;14)(p13;q11)、t(11;19)(q23;p13)、t(14;18)(q23;q21)、t(14;18)、t(18;22)(q21;q11)、及びt(21;22)(q22;q12)から選択される染色体異常を検出する請求項12に記載のハイブリダイゼーション組成物。
【請求項14】
第二分子プローブを更に含有する請求項1から13の何れか一項に記載のハイブリダイゼーション組成物。
【請求項15】
第二分子プローブが参照配列を検出する請求項14に記載のハイブリダイゼーション組成物。
【請求項16】
参照配列がセントロメア配列である請求項15に記載のハイブリダイゼーション組成物。
【請求項17】
分子プローブが請求項8に記載の通りである請求項16に記載のハイブリダイゼーション組成物。
【請求項18】
第一分子プローブ及び第二分子プローブが、一又は複数の潜在的切断点に隣接し又はその内部の配列を検出する請求項14に記載のハイブリダイゼーション組成物。
【請求項19】
第三分子プローブを更に含む請求項14から18の何れか一項に記載のハイブリダイゼーション組成物。
【請求項20】
第一分子プローブがDNAプローブ、PNAプローブ、又はLNAプローブである請求項1から19の何れか一項に記載のハイブリダイゼーション組成物。
【請求項21】
第二分子プローブがDNAプローブ、PNAプローブ、又はLNAプローブである請求項14から20の何れか一項に記載のハイブリダイゼーション組成物。
【請求項22】
第三分子プローブがDNAプローブ、PNAプローブ、又はLNAプローブである請求項19から21の何れか一項に記載のハイブリダイゼーション組成物。
【請求項23】
分子プローブが標識を更に含む請求項1から22の何れか一項に記載のハイブリダイゼーション組成物。
【請求項24】
標識が発色団、フルオロフォア、ビオチン、DIG、抗体−ハプテン、染料、又は酵素である請求項23に記載のハイブリダイゼーション組成物。
【請求項25】
ハイブリダイゼーション組成物中の極性非プロトン溶媒の濃度が、1%(v/v)から95%(v/v)の範囲である請求項1から24の何れか一項に記載のハイブリダイゼーション組成物。
【請求項26】
ハイブリダイゼーション組成物中の極性非プロトン溶媒の濃度が5%(v/v)から10%(v/v)の範囲である請求項1から25の何れか一項に記載のハイブリダイゼーション組成物。
【請求項27】
ハイブリダイゼーション組成物中の極性非プロトン溶媒の濃度が10%(v/v)から20%(v/v)の範囲である請求項1から25の何れか一項に記載のハイブリダイゼーション組成物。
【請求項28】
ハイブリダイゼーション組成物中の極性非プロトン溶媒の濃度が20%(v/v)から30%(v/v)の範囲である請求項1から25の何れか一項に記載のハイブリダイゼーション組成物。
【請求項29】
極性非プロトン溶媒が非毒性である請求項1から28の何れか一項に記載のハイブリダイゼーション組成物。
【請求項30】
但し、ハイブリダイゼーション組成物がホルムアミドを含まない請求項1から29の何れか一項に記載のハイブリダイゼーション組成物。
【請求項31】
但し、ハイブリダイゼーション組成物が10%未満のホルムアミドを含む請求項1から30の何れか一項に記載のハイブリダイゼーション組成物。
【請求項32】
極性非プロトン溶媒が、ラクトン、スルホン、サルファイト、ニトリル及び/又はカーボネート官能性を有する請求項1から31の何れか一項に記載のハイブリダイゼーション組成物。
【請求項33】
極性非プロトン溶媒が、17.7MPa1/2から22.0MPa1/2の範囲の分散溶解度パラメータ、13MPa1/2から23MPa1/2の範囲の極性溶解度パラメータ及び3MPa1/2から13MPa1/2の範囲の水素結合溶解度パラメータを有する請求項1から32の何れか一項に記載のハイブリダイゼーション組成物。
【請求項34】
極性非プロトン溶媒が環状塩基構造を有する請求項1から33の何れか一項に記載のハイブリダイゼーション組成物。
【請求項35】
極性非プロトン溶媒が、

(ここで、XがOであり、R1がアルキルジイルである)、及び

(ここで、Xは任意であり、存在する場合は、O又はSから選択され、
Zは任意であり、存在する場合は、O又はSから選択され、
A及びBは独立してO又はN又はS又はアルキルジイルの一部又は第1級アミンであり、
Rはアルキルジイルであり、
YはO又はS又はCである)
から選択される請求項1から34の何れか一に記載のハイブリダイゼーション組成物。
【請求項36】
極性非プロトン溶媒が、アセトアニリド、アセトニトリル、N−アセチルピロリドン、4−アミノピリジン、ベンズアミド、ベンズイミダゾール、1,2,3−ベンゾトリアゾール、ブタジエンジオキシド、2,3−ブチレンカーボネート、γ−ブチロラクトン、カプロラクトン(イプシロン)、クロロ無水マレイン酸、2−クロロシクロヘキサノン、クロロエチレンカーボネート、クロロニトロメタン、無水シトラコン酸、クロトンラクトン、5−シアノ−2−チオウラシル、シクロプロピルニトリル、硫酸ジメチル、ジメチルスルホン、1,3−ジメチル−5−テトラゾール、1,5−ジメチルテトラゾール、1,2−ジニトロベンゼン、2,4−ジニトロトルエン、ジフェイニルスルホン、1,2−ジニトロベンゼン、2,4−ジニトロトルエン、ジフェイニルスルホン、イプシロン−カプロラクタム、エタンスルホニルクロリド、エチルエチルホスフィネート、N−エチルテトラゾール、エチレンカーボネート、エチレントリチオカーボネート、エチレングリコールサルフェート、エチレングリコールサルファイト、フルフラール、2−フロニトリル、2−イミダゾール、イサチン、イソキサゾール、マロノニトリル、4−メトキシベンゾニトリル、1−メトキシ−2−ニトロベンゼン、メチルαブロモテトロネート、1−メチルイミダゾール、N−メチルイミダゾール、3−メチルイソキサゾール、N−メチルモルホリン−N−オキシド、メチルフェニルスルホン、N−メチルピロリジノン、メチルスルホラン、メチル−4−トルエンスルホネート、3−ニトロアニリン、ニトロベンズイミダゾール、2−ニトロフラン、1−ニトロソ−2−ピロリジノン、2−ニトロチオフェン、2−オキサゾリジノン、9,10−フェナントレンキノン、N−フェニルシドノン、無水フタル酸、ピコリノニトリル(2−シアノピリジン)、1,3−プロパンスルトン、β−プロピオラクトン、プロピレンカーボネート、4H−ピラン−4−チオン、4H−ピラン−4−オン(γ−ピロン),ピリダジン、2−ピロリドン、サッカリン、スクシノニトリル、スルファニルアミド、スルホラン、2,2,6,6−テトラクロロシクロヘキサノン、テトラヒドロチアピランオキシド、テトラメチレンスルホン(スルホラン)、チアゾール、2−チオウラシル、3,3,3−トリクロロプロペン、1,1,2−トリクロロプロペン、1,2,3−トリクロロプロペン、トリメチレンスルフィド−ジオキシド、及びトリメチレンサルファイトからなる群から選択される請求項1から35の何れか一項に記載のハイブリダイゼーション組成物。
【請求項37】
極性非プロトン溶媒が

からなる群から選択される請求項1から35の何れか一項に記載のハイブリダイゼーション組成物。
【請求項38】
極性非プロトン溶媒が

である請求項1から50の何れか一項に記載のハイブリダイゼーション組成物。
【請求項39】
緩衝剤、塩、促進剤、キレート剤、洗浄剤、及びブロッキング剤からなる群から選択される少なくとも一種の更なる成分を更に含有する請求項1から38の何れか一項に記載のハイブリダイゼーション組成物。
【請求項40】
促進剤がデキストラン硫酸及び塩が塩化ナトリウム及び/又はリン酸ナトリウムである請求項39に記載のハイブリダイゼーション組成物。
【請求項41】
デキストラン硫酸が5%から40%の濃度で存在し、塩化ナトリウムが0mMから1200mMの濃度で存在し、及び/又はリン酸ナトリウムが0mMから50mMの濃度で存在する請求項40に記載のハイブリダイゼーション組成物。
【請求項42】
デキストラン硫酸が10%から30%の濃度で存在し、塩化ナトリウムが300mMから1200mMの濃度で存在し、及び/又はリン酸ナトリウムが5mMから20mMの濃度で存在する請求項41に記載のハイブリダイゼーション組成物。
【請求項43】
促進剤が、ホルムアミド、グリセロール、プロピレングリコール、1,2−プロパンジオール、ジエチレングリコール、エチレングリコール、グリコール、及び1,3プロパンジオールからなる群から選択され、緩衝剤がクエン酸バッファーである請求項39に記載のハイブリダイゼーション組成物。
【請求項44】
ホルムアミドが0.1−5%の濃度で存在し、グリセロール,プロピレングリコール、1,2−プロパンジオール、ジエチレングリコール、エチレングリコール、グリコール、及び1,3プロパンジオールが0.1%から10%の濃度で存在し、クエン酸バッファーが1mMから50mMの濃度で存在する請求項43に記載のハイブリダイゼーション組成物。
【請求項45】
ブロッキング剤が、全ヒトDNA、ニシン精液DNA、サケ精液DNA、及びウシ胸腺DNAからなる群から選択される請求項39に記載のハイブリダイゼーション組成物。
【請求項46】
全ヒトDNA、ニシン精液DNA、サケ精液DNA、及びウシ胸腺DNAが0.01から10μg/μLの濃度で存在する請求項45に記載のハイブリダイゼーション組成物。
【請求項47】
40%の少なくとも一種の極性非プロトン溶媒、10%のデキストラン硫酸、300mMの塩化ナトリウム、及び5mMのリン酸ナトリウムを含有する請求項1から46の何れか一項に記載のハイブリダイゼーション組成物。
【請求項48】
15%の少なくとも一種の極性非プロトン溶媒、20%のデキストラン硫酸、600mMの塩化ナトリウム、10mMのリン酸ナトリウム、及び0.1μg/μlの全ヒトDNAを含有する請求項1から46の何れか一項に記載のハイブリダイゼーション組成物。
【請求項49】
15%の少なくとも一種の極性非プロトン溶媒、20%のデキストラン硫酸、600mMの塩化ナトリウム、10mMのクエン酸バッファーpH6.2、及び0.1μg/μLのニシン精液DNA、又はサケ精液DNA、又はウシ胸腺DNA、又は0.5%のホルムアミド、又は1%のエチレングリコール、又は1%の1,3プロパンジオール、又は1%のグリセロールを含有する請求項1から46の何れか一項に記載のハイブリダイゼーション組成物。
【請求項50】
水性組成物が室温で一を越える相を含む、請求項1から49の何れか一項に記載のハイブリダイゼーション組成物。
【請求項51】
請求項1から41の何れか一項に記載の組成物を含むキット。
【請求項52】
(a)染色体異常に関連するヌクレオチド配列を検出する第一分子プローブ、及び
(b)二本鎖ヌクレオチド配列を変性させるのに十分な量の少なくとも一種の極性非プロトン溶媒を含有するハイブリダイゼーション組成物
を含み、極性非プロトン溶媒がジメチルスルホキシド(DMSO)ではないキット。
【請求項53】
可視化試薬を更に含む請求項51又は52に記載のキット。
【請求項54】
細胞診における使用のために設計されている請求項51又は52に記載のキット。
【請求項55】
組織診断における使用のために設計されている請求項51又は52に記載のキット。
【請求項56】
極性非プロトン溶媒が請求項25から38の何れかに記載の通りである請求項52に記載のキット。
【請求項57】
FISH又はCISH実験における使用のために設計されている請求項51から56の何れか一項に記載のキット。
【請求項58】
染色体DNA中における標的を検出する方法において、
− 染色体DNA中の標的にハイブリダイズする少なくとも一の分子プローブを提供し、
− 染色体DNAを提供し、
− 二本鎖ヌクレオチド配列を変性させるのに十分な量の少なくとも一種の極性非プロトン溶媒を含有し、極性非プロトン溶媒がジメチルスルホキシド(DMSO)ではないハイブリダイゼーション組成物を提供し、
− 分子プローブ、染色体DNA及びハイブリダイゼーション組成物を標的に分子プローブをハイブリダイズさせるのに少なくとも十分な時間の間、組合せ、
− 標的を検出する
ことを含む方法。
【請求項59】
核酸配列中の染色体異常の存在を決定する方法において、
− 少なくとも一の分子プローブを提供し、
− 核酸配列を提供し、
− 二本鎖ヌクレオチド配列を変性させるのに十分な量の少なくとも一種の極性非プロトン溶媒を含有し、極性非プロトン溶媒がジメチルスルホキシド(DMSO)ではないハイブリダイゼーション組成物を提供し、
− 分子プローブ及び核酸配列及びハイブリダイゼーション組成物を、分子プローブ及び核酸配列をハイブリダイズさせるのに少なくとも十分な時間の間、組合せ、
− 少なくとも一の分子プローブを検出し、
− 染色体異常の存在を決定する
ことを含む方法。
【請求項60】
核酸配列中の染色体異常の存在を決定する方法において、
− 核酸配列を提供し、
− 少なくとも一の分子プローブと二本鎖ヌクレオチド配列を変性させるのに十分な量の少なくとも一種の極性非プロトン溶媒を含有するハイブリダイゼーション組成物を提供し、
− ハイブリダイゼーション組成物を上記核酸に、分子プローブと核酸配列をハイブリダイズさせるのに少なくとも十分な時間の間、適用し、
− 少なくとも一の分子プローブを検出し、
− 染色体異常の存在を決定する
ことを含み、極性非プロトン溶媒がジメチルスルホキシド(DMSO)ではない方法。
【請求項61】
極性非プロトン溶媒が請求項25から38の何れか一項に記載の通りである請求項58から60の何れか一項に記載の方法。
【請求項62】
核酸配列中の染色体異常の存在を決定する方法において、
− 核酸配列を提供し、
− 請求項1から50の何れか一に記載の組成物を前記核酸配列に、分子プローブ及び核酸配列をハイブリダイズさせるのに少なくとも十分な時間の間、適用し、
− 染色体異常が核酸中に存在するかどうかを決定する
ことを含む方法。
【請求項63】
第一及び第二核酸にハイブリダイズするのに十分な量のエネルギーが提供される請求項58から62の何れか一項に記載の方法。
【請求項64】
エネルギーがハイブリダイゼーション組成物及び核酸配列を加熱することにより提供される請求項63に記載の方法。
【請求項65】
加熱工程が、マイクロ波、熱浴、ホットプレート、電熱線、ペルチェ素子、誘導加熱又は加熱ランプの使用によって実施される請求項64に記載の方法。
【請求項66】
核酸配列が二本鎖で分子プローブが一本鎖であり、核酸配列が二本鎖で分子プローブが二本鎖であり、核酸配列が一本鎖で分子プローブが一本鎖であり、又は核酸配列が一本鎖で分子プローブが二本鎖である請求項58から65の何れか一項に記載の方法。
【請求項67】
変性及びハイブリダイゼーション工程が別個に生じる請求項58から66の何れか一項に記載の方法。
【請求項68】
ハイブリダイズ工程がハイブリダイゼーション組成物、分子プローブ、及び核酸配列を加熱及び冷却する工程を含む請求項58から67の何れか一項に記載の方法。
【請求項69】
ハイブリダイゼーション工程が8時間未満を要する請求項58から68の何れか一項に記載の方法。
【請求項70】
ハイブリダイゼーション工程が1時間未満を要する請求項69に記載の方法。
【請求項71】
冷却工程が1時間未満を要する請求項58から70の何れか一項に記載の方法。
【請求項72】
冷却工程が30分未満を要する請求項71に記載の方法。
【請求項73】
核酸配列が生物学的試料中にある請求項58から72の何れか一項に記載の方法。
【請求項74】
生物学的試料が組織試料である請求項73に記載の方法。
【請求項75】
水性組成物が室温で一相を含む請求項58から74の何れか一項に記載の方法。
【請求項76】
水性組成物が室温で複数相を含む請求項58から74の何れか一項に記載の方法。
【請求項77】
水性組成物の相が混合される請求項76に記載の方法。
【請求項78】
ブロッキング工程を更に含む請求項58から77の何れか一項に記載の方法。
【請求項79】
染色体異常に関連する先天性遺伝子疾患、癌、又は感染を診断する方法において、
− 患者からの組織試料を提供し、ここで、組織試料は核酸配列を含み、
− 請求項58から78の何れか一項に記載の方法に従って、染色体異常が核酸配列中に存在するかどうかを決定し、
− 染色体異常が組織試料中に存在する場合に先天性遺伝子疾患、癌、又は感染を診断する
ことを含む方法。
【請求項80】
染色体異常に関連するヌクレオチド配列を検出する分子プローブを含む組成物と、1%(v/v)から95%(v/v)の少なくとも一種の極性非プロトン溶媒染色体を含有するハイブリダイゼーション組成物の、異常に関連するヌクレオチド配列を検出するためのハイブリダイゼーションアッセイにおける使用。
【請求項81】
請求項1から50の何れか一項に記載の組成物の、請求項80に記載の使用。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2011−521635(P2011−521635A)
【公表日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−511111(P2011−511111)
【出願日】平成21年5月27日(2009.5.27)
【国際出願番号】PCT/IB2009/006548
【国際公開番号】WO2009/147537
【国際公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【出願人】(399126008)
【住所又は居所原語表記】Produktionsvej 42 DK−2600 Glostrup Denmark
【Fターム(参考)】