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新規な触媒材料およびポリマー材料の調製におけるそれらの使用
説明

新規な触媒材料およびポリマー材料の調製におけるそれらの使用

本発明は、着色されたポリマー材料の調製に用いる触媒を提供し、前記触媒は着色された有機金属化合物を含む。前記触媒はアルミニウムなどの金属と少なくとも1つの有機発色団、例えばアゾ発色団を含むことが好ましく、前記発色団は前記金属と直接結合されているか、または配位子によって間接的に前記金属と結合されている。本発明はまた、着色されたポリマーの調製方法に関し、該方法はそのような触媒の存在下で重合反応を行うことを含む。該方法は、特にポリ乳酸の調製に適用でき、経済および環境の両面で先行技術の方法よりも大きな利益を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリマー材料の合成に用途を見出す新規な触媒材料に関する。特に好ましい実施形態では、本発明は、色の濃淡および濃さを綿密に制御することのできる、着色されたポリマー材料の調製を促進する触媒を提供する。本発明はまた、新規なポリマー材料およびそれらの調製のための方法を提供する。
【背景技術】
【0002】
石油化学原料の急速な世界的減少を考えると、より持続可能な未来を提示すると思われる、新規で、有用であり、かつ環境に配慮したポリマーの製造に次第に注意が向けられてきた。関心は、特に、100%再生可能資源、例えばトウモロコシおよびサトウダイコンに由来する直鎖脂肪族熱可塑性ポリエステルである、ポリ乳酸(PLA)などの材料に集中している。さらに、このポリマーは生分解性であるという利点を有する1、2
【0003】
しかし、この材料の使用は当初、その制限された利用能および比較的高い製造コストを考慮して、縫合および薬物送達系などの生物医学的用途に限定されていた。より最近では、パッケージングおよび繊維用途用のPLAポリマーの経済的生産のための大規模運用がNatureWorks LLC(USA)により開発された。
【0004】
衣服用途のための布帛におけるこのような繊維の使用は、いくつかの理由で重要な開発である。その最も意義深い理由の一つは、現在衣服用途に用いられているポリエステル類、主にポリエチレンテレフタラート(PET)が、世界の繊維製品消費の40%を超える割合を占め(綿に次いで第2位)、その使用は常に増加しているという事実である。このようなポリエステルの製造は化石燃料資源を消費し、その結果生じたポリマーの処分(それらは非生分解性であり、容易にリサイクルされないため)は、埋立処分地を増大させるである。それに対して、PLA繊維は毎年再生可能な作物に由来し、100%生分解性であり、その生活環は地球の大気中の二酸化炭素レベルを低下させる可能性がある。
【0005】
PLAの製造は、実際に、同程度の石油系繊維よりも化石資源の使用が20〜50%少ない。PLAは、一般に、再生可能な資源、例えばトウモロコシを粉砕し、デンプンを分離することにより製造され、それからデキストロースが加工され、次に続いて発酵により乳酸に変換される5、6。次に、このポリマーは、乳酸の直接縮合によるか、または図1に示されるように、開環重合(ROP)プロセスによって環状中間二量体(ラクチド)を介して形成される。後者のプロセスにより、最も効果的かつ多用途のPLAの調製方法が得られる。
【0006】
ラクチド前駆体は、図1に示されるように、3つの異なる立体異性体(L−ラクチド、D−ラクチドおよびメソ−ラクチド)として存在し得る。ラクチドの立体化学的特徴は重合プロセスに重要な影響を有し得、それぞれのPLAは、一度異なるラクチド前駆体から形成されると、分解速度をはじめとする、異なる物理的および機械的特性を有し得る。例えば、アイソタクチックなポリL−ラクチド(PLLA)は、180℃近くで融解転移をもつ半結晶性ポリマーであるのに対して、アタクチックポリrac−ラクチドおよびポリメソ−ラクチドは非晶質ポリマーである。発酵プロセスに由来する乳酸は99.5%L−異性体からなり、この材料が以前の研究の対象であった
【0007】
ラクチドの開環重合(ROP)は1世紀にわたって研究の対象であった。この反応は、種々の触媒材料を添加することにより促進することができ、いくつかの金属を含有する種類がこの点で特定の用途を見出している。金属アルコキシドが、環状エステルの開環重合のためのこのような種類の中で最も多く用いられ、単純なナトリウム、リチウム、およびカリウムアルコキシドをこの目的に用いることができる。しかし、これらのイオン種の高い塩基性は、副反応、例えばポリマー骨格のキラル中心のエピマー化を引き起こし得る。
【0008】
その他の金属アルコキシドはこの点でより一層選択的であり、それ故により広範囲の使用が見出される。アルミニウムアルコキシド10、イットリウムおよびランタニドアルコキシド11および、より最近では、鉄アルコキシド12などの開始剤が、いわゆる配位挿入メカニズムを介してラクチドの制御されたリビング重合を生じさせることが示されている。報告されているアルミニウム錯体の大部分は、いわゆるサレン/サラン(salan)配位子を含有することが示されている。いくつかのアルミニウムシッフ塩基触媒は、rac−ラクチドの立体選択的なROPにうまく活用されている。特に、Spasskyら13は、((R)−SalBinap)−AlOMe(図2)がrac−ラクチドを、「光学的に純粋なPLA」よりも高い融解温度(187℃)をもつ結晶性のPLAに重合させ得ることを見出した。それ以来、Bakerら14およびCoates15、16が、rac−ラクチドとrac−(SalBinap)AlOPrの重合を報告している。
【0009】
より最近では、Gibsonが、四座のフェノキシアミン(サラン型)配位子により安定化させたアルミニウム触媒の新規なファミリー(図3)を報告し、それはrac−ラクチドの重合においてこれまでに例のない程度の立体制御を提示することが示された17。製造されたPLAは、配位子の置換基に応じて、高度にアイソタクチックから高度にヘテロタクチックに及んだ。Gibsonはまた、シッフ塩基配位子骨格に存在する電子吸引性置換基に起因する、D,L−およびL−ラクチドの制御重合のための室温開始剤として挙動する[5−CI−サレン]AlOCH錯体も報告した18。Gibsonらの行った研究の大部分はサレン/サラン型配位子、またはその誘導体を含むが、他の最近のこの分野の研究者らは、4配位、5配位および6配位アルミニウム化合物を含む非サレン/サラン配位子の使用を報告している19〜22
【0010】
従って、PLAの調製のためにいくつかの選択肢が先行技術から利用できる。しかし、この材料の潜在的用途の範囲が増大し続けるにつれて、他の困難が明らかになる。具体的には、衣服用途の布帛におけるPLA繊維の提案される使用は、材料の着色が大部分の大規模(トン数)用途に必要とされるために、重要な問題となるという結果をもたらす。
【0011】
当然、この点についてLeeds23、24および他で現在調査されている明白なアプローチを提示する、PLAの染色を含む種々の選択肢が利用できる1、5。染色は常にPETの着色に適用できる方法の適応を含み、このアプローチを用いて有意義な成功が達成されている。しかし、欠点もあり得る。ポリマーの融点およびその酸/アルカリ性の加水分解安定性は典型的な着色プロセスにおいて問題があることが判明する可能性があるためである。例えば、ポリマーの結晶性の性質に起因して、適した染浴による吸尽(exhaustion)を達成するために110℃を超える温度が必要とされることが示されている1、5。理想的には130℃(PET着色の典型的な温度)を用いてPLAの効率的な着色を達成するものであるが、この温度では、表1のデータに示されるように、繊維が湿式処理中に相当な強度および伸びの減少を受ける25。さらに、最適な染色pHは、7前後であるが、表2の結果が示すように、増大するpHはアルカリ性の加水分解を引き起こし、その結果PLAの強度および伸びの減少となる。それ故に、ダメージを与える可能性のある条件に繊維を曝すことなく高い色の濃さを実現できる着色プロセスがPLAの今後の商用適用のために絶対必要であることは明らかであり、この問題がかねてより本発明者らの関心の一分野であった。
【表1】

【表2】

【0012】
周知のように、染色プロセスに用いた分子の範囲は広く多様であり、膨大な数の利用可能な様々な材料の中でも、染色に金属を使用することが一般的である。従って、色の製造のために配位金属を組み込む色素構造に加えて、染料の種類の多くが金属塩での前処理および後処理を必要とする。ほぼ全ての天然色素は、十分な洗濯および耐光堅牢度を達成し、満足のゆくレベルの染料の吸尽(exhaustion)を得るために、媒染剤(通常、Cr、Sn、ZnまたはCuの塩を用いる)と一緒に適用することを必要とする。
【0013】
しかし、明白な理由から、Co、SnまたはCr塩などの媒染剤を用いて染色することは、重金属の濃度について規定される廃水の限度を考えると、染色プロセスから放出される廃液に起因する問題をもたらす26。結果として、研究は、Al、Cu、または硫酸鉄(II)を媒染剤として用いる天然染料での染色に変えて行われ27、他の重金属対応物よりも環境への影響が有意に低いと考えられるAlおよびFeの塩に特に重点を置いた。この考慮は特に本発明者らの研究に適切である(下記参照)26
【発明の開示】
【0014】
本発明は、特に、ラクチドの開環重合を触媒するのに適し、配位子フレームワークの立体特性および電子特性および、故に重合活性の相当な修飾を可能にする、新規な範囲の材料の開発に対して向けられてきた22。結果として、この目的に適した一連の材料が製造されたが、それはまた多数の重合反応の触媒作用にも用途が見出され、ポリエステルの製造に使用した場合に特に効果的な結果をもたらした。さらに、衣服用途の布帛に用いられる種々の繊維の効率的な着色の必要性に対処し、ポリエステル繊維および最も特にPLA繊維に関して特に有用な、一部の材料が開発された。
【0015】
従って、本発明の第1の態様によれば、放射線吸収ポリマー材料の調製に用いるための触媒が提供され、前記触媒は放射線を吸収する有機金属化合物を含み、前記放射線吸収ポリマー材料および前記放射線を吸収する有機金属化合物の各々の最大吸収波長は200〜1200nmの領域にある。
【0016】
故に、本発明は、電磁スペクトルの赤外領域、可視領域、および/または紫外領域に最大吸収波長を有する放射線吸収ポリマー材料および放射線を吸収する有機金属化合物を想定する。特に好ましい結果は、着色された有機金属化合物を用いる、着色されたポリマー材料の調製に得られる。
【0017】
本発明の文脈において、着色されたという用語は、400〜700nmの可視波長領域内にある最大吸収波長を有すると解釈され、本発明の第1の態様に従う触媒は、この基準を満たす本質的に着色された化合物を含み得る。
【0018】
典型的には、前記放射線吸収ポリマー材料の調製法は重合反応を含み、前記触媒は重合触媒を含む。
【0019】
本発明に従う有機金属化合物は、少なくとも1つの有機発色団(放射線を吸収する化学部分である)と、少なくとも1つの金属原子を含む。本発明の文脈において適した金属としては、遷移金属およびランタニドおよびアクチニド系列の金属とともに、アルミニウムが挙げられる。特に好ましい結果は、アルミニウム、チタン、ジルコニウム、スカンジウム、ハフニウム、バナジウムおよび鉄で達成されるが、その入手の容易なこと、比較的低コストであること、および無毒の性質であることをある程度考えると、最も好ましい金属はアルミニウムである。
【0020】
実質的には、発色団が金属原子と結合するための手段を含むならば、いずれの発色団も本発明に従う触媒への組み込みに適し、前記結合のための手段は適した結合部位を含む。発色団は、電磁スペクトルの少なくとも1つの赤外領域、可視領域、および紫外領域で放射線を吸収する。この状況において適した発色団の中で、アゾ化合物、ジ−アリールメタン化合物およびトリ−アリールメタン化合物、メチン誘導体、ポリメチン誘導体およびアゾメチン誘導体、アントラキノン化合物、フタロシアニン誘導体、および種々のキサンテン、アクリジン、アジン、オキサジン、チアジン、インダミン、インドフェノール、アミノケトン、ヒドロキシケトン、ニトロ、ニトロソ、キノリン、スチルベンおよびチアゾール化合物、ならびに当業者に周知の特定の炭素環式誘導体および複素環式誘導体が言及され得る。スペクトルの可視領域で放射線を吸収する発色団は、The Society of Dyers and Colouristsにより出版されたカラーインデックスに開示され、インターネット上のhttp://www.colour−index.orgで利用可能である。特に好ましい結果はアゾ化合物を用いて達成される。
【0021】
好ましくは、本発明の第1の態様に従う有機金属化合物は、金属原子が少なくとも1つの配位子と結合している金属錯体化合物を含む。最も好ましくは、前記有機金属化合物は一般式(A)、
ML(A)
(式中、Dは発色団を表し、Mは金属原子を表し、Lは非発色配位子を表し、xは0〜8であり、yは1〜9である)の着色された化合物である。
【0022】
xおよびyの値は、金属の性質、および酸化状態、ならびに関連する配位構造によって決定される。非発色配位子Lは、所要用途の特定の波長で何らかの有意な程度まで吸収しないため、所望の放射線吸収にあまり寄与していない。
【0023】
一般に、金属原子は2つの配位子と結合している。放射線吸収発色団は、任意選択的に金属原子と結合している少なくとも1つの配位子を含んでよく、それにより、例えば、式(B)および(C)の化合物においてそうであるように金属原子と直接結合されている。あるいは、発色団は少なくとも1つの配位子と結合してよく、結果として、例えば式(D)の化合物においてそうであるように、非発色配位子を介して金属原子と間接的に結合され得る。さらなる実施形態では、触媒は、式(E)の化合物においてそうであるように、直接結合と間接結合との両方を含んでよい。
D−M−D(B)
D−M−L(C)
D−L−M−L−D(D)
D−L−M−D(E)
【0024】
これらの式において、D、MおよびLは上記で定義した意味を有し、化合物(B)、(D)および(E)中の複数のDおよびL基は、同一であっても異なっていてもよく、それぞれ基D、DおよびL、Lを含んでよい。従って化合物はより便宜的に次のように表すことができる。
−M−D (B−1)
−L−M−L−D(D−1)
−L−M−D(E−1)
(式中、DおよびDは、同一であっても異なっていてもよい発色団を表し、Mは金属原子を表し、LおよびLは、同一であっても異なっていてもよい非発色配位子を表す)。
【0025】
発色団がスペクトルの可視領域で放射線を吸収する場合、式(B)の化合物は一般に、より暗く鈍い範囲の色相をもたらす着色された触媒をもたらすことが見出される。
【0026】
配位子は、当業者に周知の種類の適したペンダント連結基によって金属原子と結合され、典型的な例は、窒素および酸素含有基、例えばアミノ基およびヒドロキシ基である。配位子は、それ自体発色団を含まないが発色団と連結されている場合には、任意の有機残基を含み得るが、一般に連結基(それによって発色団が結合され得る)を含むアリールまたはヘテロアリール残基を含む。アリール残基の好ましい例としては、フェニル、ナフチル、アントラシル(anthracyl)およびフェナントリル基が挙げられ、一方、適したヘテロアリール残基としては、少なくとも1つの窒素および/または酸素および/または硫黄ヘテロ原子、例えば、ピリジル、ピリミジニル、トリアジニル、インドリル、キノリニル、フリル、チオフェニル、オキサゾリルおよびイソキサゾリル基などを含む、一連の複素環が挙げられる。
【0027】
任意選択的に、触媒を化学的に修飾して、重合の開始に適した官能性をもつ着色された配位子、例えば第一級アルコール基を組み込んでよい。従って、ポリマーを製造する一連の着色された触媒を提供することができ、その着色は活性重合触媒よりも開始剤によって制御され得る。
【0028】
本発明の第2の態様によれば、放射線を吸収するポリマーの調製方法が提供され、前記方法は本発明の第1の態様に従う触媒の存在下で重合反応を行うことを含む。
【0029】
前記重合反応は、当業者に公知の標準的な重合法、例えばエマルジョン重合、懸濁重合、または溶液重合などのいずれかに従って行えばよく、付加重合または縮合重合を含んでよい。しかし、前記反応は縮合重合を含むことが好ましい。前記反応はバッチ式、半バッチ式または連続式のうちのいずれか1つで行ってよい。
【0030】
最も好ましくは、本発明の第2の態様に従う方法は、縮合重合、最も特にポリエステル、例えばポリエチレンテレフタラートなどの調製のために行われる縮合重合反応を含む。本発明の特に好ましい実施形態はポリ乳酸の調製におけるラクチドの開環重合を含む。その他の好ましい実施形態としては、ポリカプロラクトン、ポリグリコール酸、およびその他の熱可塑性ポリマー類の合成が挙げられる。
【0031】
本発明の第3の態様によれば、本発明の第2の態様に従う方法を用いて調製されたポリマー材料が提供される。好ましくは、前記ポリマー材料は、縮合ポリマー、より好ましくはポリエステルを含む。しかし、最も好ましくは、前記ポリマー材料はポリ乳酸を含む。一般に、前記ポリマー材料は、1,000〜100,000、より好ましくは5,000〜60,000の範囲内に入る分子量を有する。
【0032】
本発明の第3の態様に従う着色されたポリマー材料は、発色材料がポリマー形成のプロセスに深く関係し、ポリマー構造と本質的に結合しているため、良好なレベルの色の濃さおよび色彩堅牢度を示す。一般に、得られるポリマー材料はその後フィラメントに溶融紡糸され、続いてそれは織物繊維の生産用の糸に延伸され得る。
【0033】
先行技術の方法に従って、繊維製品の生産のために製造されたポリマーに対する懸念は、主に最終ポリマー中に不必要な触媒が存在した結果としての変色という問題である。このような変色は、その後の着色プロセスにおいて所望の濃淡を確実に達成することを非常に困難にする。これはしばしば、残りの触媒を確実に除去するためにポリマーの事前の着色処理を必要とするが、それは難しく時間がかかり、費用のかかるプロセスであり得る。しかし、本発明の触媒および方法を用いると、触媒は本質的に着色され、ポリマー中に彩色を生じるように意図されているため、このような欠点が自然に克服される。従って、この方法によるポリマーの製造は、ポリマー製造後の着色プロセス要件だけでなく、ポリマーから残りの触媒を除去する必要性も排除する。
【0034】
本明細書の説明および請求項を通じて、「含む(comprise)」および「含有する(contain)」という言葉ならびにその言葉の変形形態、例えば「含む」および「含む(comprises)」は、「〜を含むがこれに限定されるものではない」という意味であり、その他の部分、添加物、成分、整数または段階を排除することを意図するものではない(また排除しない)。
【0035】
本明細書の説明および請求項を通じて、文脈において別段要求されない限り、単数形は複数形を包含する。特に、不定冠詞が用いられる場合には、文脈において別段要求されない限り、明細書は単数形と同じように複数形も企図するものと理解される。
【0036】
本発明の特定の態様、実施形態または実施例に併せて記載される特徴、整数、特性、化合物、化学的部分または基は、適合しない場合を除いて、本明細書に記載される任意のその他の態様、実施形態または実施例に適用可能であると理解される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
本発明の第1の態様に従う触媒の特に好ましい例は、アルミニウム錯体を含む。このような化合物の特に好ましい例は、ラクチドのROPを触媒することができる錯体を含み、それは配位子フレームワークの立体特性および電子特性、ゆえに重合活性の相当な変更を可能にする。
【0038】
具体的には、2つのアレーンが官能基化されたピコリンアミド配位子を含有する一連の5配位アルミニウム錯体を、スキーム1に示すように標準技術により合成した。これらの錯体は十分に特性決定され、化合物1(スキーム1)の構造はX線結晶構造解析を用いて確認された。これにより、5配位アルミニウムの中心が四角錘の形状をもつことが明らかとなった。さらに、最初にベンジルアルコール活性剤を添加し、次に1.6mol%の触媒付加でトルエン中70℃にてrac−ラクチド重合に関する錯体の触媒能を評価することにより、錯体の重合活性が決定された。この研究の結果を表3に示す。
【表3】

【0039】
ポリマー合成反応の進行の間、重合混合物からの第1のアリコートを除去し、3時間後、触媒1および触媒2に関して、基本的に全てのラクチドが重合されたことが明らかになった。最も短い時間および最も高分子量/分子数の製造されたポリマーにおける変換率に基づいて、最も活性のある触媒は2であることが示され、それは3時間のうちに100%のラクチドをポリラクチドに変換した。製造されたポリマーの分子量は25,000であり、分子の数は21,200であり、多分散性は1.2であった。これらの値は、先行技術の代替触媒を用いて達成できるものと同程度であり、さらなる最適化への大きな可能性を示す。
【0040】
触媒3は、PLA分子量および数に関して低い活性を示し、完全な変換は達成が困難であった。これらの知見は、配位子のアルミニウム中心の求電子性への効果の点で一致する。それは、調査した置換基のなかで、ニトロ基が最も強い電子吸引基であり、最も活性のある触媒(1、2)をもたらすのに対して、電子を供与する触媒4および5中のメチル基およびメトキシ基は、おそらくアルミニウムの電子密度の増大に起因して、効率の低い触媒をもたらすためである。従って、本発明に従う触媒の活性の制御および最適化の可能性は明白である。
【0041】
したがって、具体的には、特に好ましい本発明の実施形態は、着色されたポリマー材料の調製に用いる触媒を含み、前記触媒は、少なくとも1つのピコリンアミド配位子を含むアルミニウム錯体を含む着色された有機金属化合物を含む。好ましくは、前記少なくとも1つのピコリンアミド配位子は、少なくとも1つのアレーンが官能基化されたピコリンアミド配位子を含む。最も好ましくは、前記少なくとも1つのアレーンが官能基化されたピコリンアミド配位子は、少なくとも1つの電子吸引基を含む。特に好ましい触媒はこのような配位子を2つ含む。前記触媒はPLA重合反応と併せて特に有用であり、PLA重合の全ての態様を制御するのに適合し得る。
【0042】
既に観察されたように、先行技術の方法によるポリマーの商業生産において重要な態様は、変色であり、使用済みの触媒は合成されたポリマーから除去される。前記除去プロセスは実施することが困難である場合が多く、それが可能である場合さえ、そのプロセスは費用がかかる。しかし、本発明は発色団を含有する触媒の使用を提案し、それにより重合を行うための適当な触媒の負荷を可能にし、さらに、材料の着色に必要な染料を組み込むことの利益をもたらす。
【0043】
このプロセスはスキーム2に図示され、図中、染料は(例えば6、9下記参照)ポリエステル材料を着色するために用いられる触媒(例えば7、8)に組み込まれ得る。スキーム2は、2つの補完的なプロセスを識別し、その1番目のプロセスでは、染料は金属末端ポリマーの配位子として保持され(7)、それに対して2番目のアプローチでは、染料は開始剤(一般に、アルコール)として添加され、予備重合触媒(9)の一部を形成するが、金属末端の反対側の端でのエステル結合によってポリマーに組み入れられる。これらの技法の双方が、ポリマーに直接結合された染料をもたらすが、潜在的に異なる重合速度およびプロフィールは、所望の特性を有する着色されたポリマーを得るために全体的なプロセスを最適化するための考慮すべき範囲を提供する。
【0044】
従って、本発明の特定の実施形態は、共役配位子系の回避などの戦略によって着色された金属錯体を排除する代わりに、高度に着色された共役触媒を合成手順に意図的に用いるので、ポリマーの合成に対する完全に新規なアプローチを提供する。
【0045】
ポリエステルの場合、本発明に従う重合プロセスは、一般に、分解に関連する潜在的な問題を回避するために、染色プロセスに通常用いられる温度(110〜130℃)よりも低い温度で行われる。従って、0〜200℃、好ましくは20〜110℃、より好ましくは20〜40℃の範囲の温度が一般にポリマー調製に用いられる。好ましい結果は、70℃(その温度で効率的な高分子量ポリマーの形成が観察される)の範囲でプロセスを実行した時に達成された。このようにして、湿式処理および触媒除去中のポリマー分解に関連する問題は簡便に排除され得る。
【0046】
本発明のプロセスはまた、サプライチェーンにおける繊維の湿式処理段階を完全に排除し、それによって繊維の調製、染色および最終加工という現在の慣行に優る利点を示すので、環境面で、さらに全体的な効率に関して大きな利益を提供する。湿式処理段階の各々における加熱水のエネルギー必要量が削減されるように、水の消費量が低減され、そのこともまた明白な経済的利益を有する。さらに、不用な染料および着色された廃水のその後の廃液処理の必要が排除される。
【0047】
伝統的に、分散染料はポリエステル繊維に適用され、このような染色は、表面の染料を除去するために、亜ジチオン酸ナトリウムなどの還元薬での処理後のいわゆる還元洗浄を必要とする。現プロセスはさらにこの処理の手間を省くことを可能とし、それによって従来還元洗浄プロセスに関係する廃液汚染の問題が取り除かれる。
【0048】
本発明に従う好ましい触媒は、付加された(appended)アゾ染料を含む発色団を含むピコリンアミド配位子を含む有機金属アルミニウム錯体を含み、その例はスキーム3およびスキーム4に図示される。スキーム3では、本発明の第1の態様に従う有機金属化合物の例が示され、その中で、上記一般式(B)の化合物の場合のように、触媒に色を付与するアゾ発色団(6〜9)が2つのピコリンアミド配位子と結合し、結果として、発色団は間接的に金属原子と結合されている、それに対してスキーム4では、上記一般式(A)の化合物のように、アゾ(10、12)、チアゾール(14)およびベンゾチアゾール(16)種を含む発色団部分は、全て直接的に金属原子と結合されている。
【0049】
いずれの場合にも、触媒は、アルミニウムアルキル種の形成に関して特にクリーンで高収量の反応であることが見出されている、対応するアミドまたはアゾ化合物およびAlMeから調製されるが、代替的な手順、例えばアミドまたはアゾ化合物の、例えば、KHの次にMeAlClでの処理も調査され、満足のいくものであることが見出されている。
【0050】
アルキルアルミニウム種が合成されるとすぐに、アルコール開始剤、通常ベンジルアルコールを加え、それに続いてポリエステル前駆体または前駆体類の添加によりポリマー形成を達成する。好ましくは、前記前駆体はラクチドを含む。
【0051】
触媒構造中への染料の取り込みのための3つの主な戦略は、既に記したように、以下、
(1)発色団の配位子への付加(式(A)の化合物)、(2)発色団の配位子としての使用(式(B)の化合物)、または(3)発色団の開始剤としての使用を含む。
【0052】
これら3つの代替的アプローチのそれぞれを具体的に参照することにより、本発明をさらに例証する。
【0053】
1 発色団の配位子への付加
配位子フレームワークの修飾は、スキーム3に示されるように、適切な窒素複素環と遊離アミンを含有するアゾ染料との間のアミド結合形成によって達成することができる。非常に広い範囲の他の可能性のある染料が利用可能であり、カラーインデックス国際データベース経由で入手可能であるが、示される色素構造は、指示された色を有する典型的なアゾ染料類である。スキーム3に示された方法で、一連の酸塩化物を種々のアミン染料と組み合わせてよいことは当業者に明らかであるため、図示された化合物は、多少なりとも本発明の範囲を制限するものと決してみなされるべきではない28
【0054】
アゾベンゼン発色団に基づく染料が、適した波長の光を用いて2つの幾何異性体間で相互変換され得ることは周知である29。このような光異性体化反応は通常、迅速で可逆的であり、量子収率が高い。異性体化の際に、アゾ染料ユニットの光学的、機械的、および化学的特性の変化は、金属錯体、ポリマー、および表面に同様の変化を与え得ることが見出されている30。実際、スキーム5に示されるように、光異性体化は新規な触媒構造をもたらす可能性があり、化合物17−ctおよび17−ccは、適したUV/可視光源存在下で、アゾユニットを用い、光定常状態で重合を行うことにより得ることができ、これらの化合物17−ctおよび17−ccは、触媒の基底状態の17−ttに対して異なる化学的特性および物理的特性を有し、その結果、本発明の多用途性をさらに高めている。触媒が関与する重合反応から得られるポリマー類は、同様の変換を起こす可能性があり、再生可能かつ生分解性である利益も有する、非線形光学および光電子工学、ならびに光学式情報記憶における用途をもつ機能性ポリマーの入手を可能にする31、32
【0055】
2 発色団の配位子としての使用
一つの代替的アプローチは、発色団が適切な官能基を有する場合に、染料(6〜9)に密接に関連する発色団を配位子として直接的に使用するものである。この方法により、アルミニウムなどの金属に対する発色団の錯体形成は、金属との錯体形成を通して共役系が変化するために、着色剤の吸収スペクトルの拡大をもたらす可能性があるが、このことは、着色プロセスに特に有利である可能性がある。通常、暗く鈍い色は配位金属に対して錯体形成をすることにより得られるが、これらの錯体は、ポリマー鎖間の自由体積の比較的狭い領域への拡散を防ぐ分子サイズに起因して、標準的な方法によりポリエステル類およびPLAに適用するには大きすぎる。しかし、本発明の方法を用いると、金属錯体着色剤はその調製方法のおかげでポリマーの不可欠な部分を含むので、このような問題は排除される。
【0056】
この種類の触媒は、スキーム4に示され、また、さらに、多くの適した材料は、金属配位子結合モチーフ(11、13)の一部となり得る古典的なアゾ染料類(6〜9)に基づいている。このアゾ染料ユニットは、必要に応じてわずかに修正を加えた、先行技術の標準的な方法を用いて調製することができる33〜38。あるいは、このアゾ基は、共役(例えば、14、18;7、9を参照)を中継するためにアミド官能基と置換されてもよく、これもまた、効果的な金属錯体形成を可能にする。
【0057】
3 発色団の開始剤としての使用
イニシエーションに必要な官能性(例えば第一アルコール基)を組み込むため、既存の色素構造の簡単な化学的修飾により、発色団の重合開始剤を得ることが可能である。従って、既存の触媒、または関連する発色団を含有しない次世代の改良系を、着色開始剤と組み合わせて一連の活性触媒を得てもよい。このような系では、発色団ユニットは重合が続くにつれて反応中心からより遠く離れ、これは特に有用であり得る特徴である。この考え方を拡大すれば、着色された開始剤と併せて着色された触媒を使用することにより、ポリマーの色および強度を高めるさらなる機会がもたらされる。
【0058】
触媒構造中へ染料を取り込むためのこれらの3つのアプローチのいずれかを用いることにより、高い色の濃さおよび色彩堅牢度を示す、非常に申し分のない染色されたポリマーを得ることができることが見出されている。PLAポリマーに関しては、ピコリンアミド触媒を1.6mol%の負荷量で用いて、25,000gmol−1までの最適化されていない分子量を達成することができる。得られるポリマーの構造の検討から、各触媒分子は、それに付随して25,000gmol−1の結合ポリマーを有することが可能であり、また、各染料の発色団部分(例えば、6〜9)の分子量は250〜350gmol−1の範囲である。標準的な先行技術の方法を用いて、PLAに現在使用されている染料の濃度範囲は、ポリマーの質量に対して0.2〜3.0%であり、本発明により達成される値は十分この範囲内である。従って、1つの染料発色団部分に組み込まれた触媒は、ポリマーの質量に対して1.0〜1.6%の質量の着色剤をもたらし、一方、2つの染料発色団部分に取り込まれた触媒は、ポリマー質量の2.0〜3.2%の染料をもたらす。
【0059】
本発明のさらなる利点は、ポリマー合成段階において色素分子を取り込むことにより、製造される任意の繊維の断面全体にわたって着色剤が均一となることである。この結果、基本的にポリマーの円柱構造(繊維)を通過する吸収および拡散メカニズムが繊維の断面全体にわたって必ずしも完全な染料均一性をもたらさない、水性吸尽法(aqueous exhaustion procedures)を用いて得られる染色と比較して、色の濃さが高くなる。
【0060】
本発明のプロセスから得られる着色されたPLA樹脂は、フィラメントへと溶融紡糸されてよく、そのようにして紡がれたフィラメント糸は、次に標準的な方法および装置を使用して延伸される。製造される繊維は、それらの水性染色対照物と比較して改良された堅牢度特性を示す。具体的に言えば、着色剤がポリマーと共有結合している結果として、洗濯堅牢度が増大し、一方、水性染色では着色剤はポリマー鎖間の自由体積を占め、弱いファンデルワールス力、誘起双極子力、および水素結合力を介して相互作用している。さらに、影響を受けやすい発色団は触媒構造の中に保護されるという事実を考えると、耐光堅牢度は増大する。
【0061】
特に好ましい実施形態では、本発明は、持続可能性および分解性の問題という点で特に環境に配慮したポリマーである、ポリ乳酸の調製に適用できる。さらに、反応温度がより低いこと、ならびに脱色およびその後の染色手順の必要性の排除という観点から、本発明のプロセスは先行技術の方法よりも有意な利点を提供し、それにより、コストおよび環境への影響という点での総合的な技術の持続可能性を著しく改良する。
【0062】
ポリ乳酸は、21世紀を通じて、持続可能な繊維ポリマーとしてますます重要となることが期待され、その使用の増加は化石燃料資源に対する圧力を和らげ、大気中の二酸化炭素量濃度を積極的に低減する39。本発明により提供される、効果的なPLA着色系は、水性染色されたPLAの現在の欠点を克服し、PLA加工のコストを低減し、標準的なポリエステル類に対して経済的、持続可能的、実現可能な代替品を提供するための、衣料および関連用途に関するすべての技術的要件を満たす。
【0063】
本発明の範囲を決して制限することなく、以下の実施例を参照することにより、本発明の種々の態様をこれからさらに説明する。
【実施例】
【0064】
[触媒の合成]
触媒の合成はすべて、乾燥二窒素雰囲気下で乾燥溶媒を用いて行う。
【0065】
アルミニウム系触媒の調製のための一般的なスキームは以下の通りである。
【化1】

(式中、Lは染料配位子である)
【0066】
[実施例1]
【化2】

トリメチルアルミニウム(0.08cm、0.8mmol)を、トルエン(40cm)中のL(0.52g、1.5mmol)の懸濁液に加えた。反応物を還流下で一晩加熱し、次に室温まで冷却して、暗橙色の溶液および沈殿物を得た。この混合物を濾過し、溶媒を真空除去し、残基をガソリンで洗浄して赤色固体として触媒C1を得た。
【0067】
[実施例2]
【化3】

トリメチルアルミニウム(0.20cm、2.1mmol)を、トルエン(40cm)中のL(4’−アミノ−N,N−ジメチル−4−アミノアゾベンゼン;C.I.Disperse Black 3;1.00g、4.2mmol)の懸濁液に加えた。反応物を還流下で一晩加熱し、次に室温まで冷却して、暗赤色の溶液および沈殿物を得た。混合物を濾過し、溶媒を真空除去し、残基をガソリンで洗浄して黒色の固体として触媒C2を得た。
【0068】
[実施例3]
【化4】

トリメチルアルミニウム(0.22cm、2.3mmol)を、トルエン(40cm)中のL(1−アミノアントラキノン;1.00g、4.5mmol)の懸濁液に加えた。反応物を還流下で一晩加熱し、次に室温まで冷却して、淡色の溶液および暗紫色の沈殿物を得た。固体を濾過により単離し、THFおよびアセトニトリルで洗浄して真空乾燥させ、黒色の固体として触媒C3を得た。
【0069】
[実施例4]
【化5】

トリメチルアルミニウム(0.19cm、2.3mmol)を、トルエン(40cm)中のL(4,4’−ジアミノ−2−メチル−5−メトキシアゾベンゼン;C.I.Disperse Black 2;1.00g、3.9mmol)の懸濁液に加えた。反応物を還流下で一晩加熱し、次に室温まで冷却して、淡色の溶液および黒色の沈殿物を得た。固体を濾過により単離し、ガソリンで洗浄して真空乾燥させ、黒色の固体として触媒C4を得た。
【0070】
[実施例5]
【化6】

トリメチルアルミニウム(0.15cm、1.6mmol)を、トルエン(40cm)中のL(N−(3−ニトロフェニル)−2−ピリジンカルボキサミド;0.70g、2.9mmol)の懸濁液に加えた。反応物を還流下で一晩加熱し、次に室温まで冷却して暗橙色の溶液および茶色沈殿物を得た。混合物を濾過し、溶媒を真空除去し、ガソリンを用いて残基を洗浄し、橙色固体として触媒C5を得た。
【0071】
[ポリマーの合成]
[ポリエステル類]
ポリエチレンテレフタラートの調製のための一般的なスキームは以下の通りである。
【化7】

【0072】
[実施例6]
触媒C5(0.05g、0.1mmol)、ジメチルテレフタラート(2g、10.3mmol)、およびエチレングリコール(1.5g、24.2mmol)の混合物を210℃にて4時間加熱し、次に減圧下280℃にてさらに2時間加熱して、ポリエチレンテレフタラート(PET)を得た。
【0073】
[cis−ラクチドの重合]
重合反応はすべて、乾燥二窒素雰囲気下で乾燥溶媒を用いて行う。
【0074】
cis−ラクチドの重合のための一般的なスキームは以下の通りである。
【化8】

(式中、[Al]はアルミニウム触媒であり、[I]は重合開始剤である)
【0075】
ポリ乳酸(PLA)は、モノマーシグナルとポリマーシグナル間の分離が良好なH NMR分光分析法により特徴付けた13
【0076】
[実施例7]
トルエン(30cm)中、触媒C1(0.08g、0.1mmol)、cis−ラクチド(1.00g、6.9mmol)、およびベンジルアルコール(0.02cm、0.2mmol)の混合物を80℃にて68時間加熱した。液体窒素中で急速に冷却することにより反応をクエンチし、溶媒を真空除去し、残基をジクロロメタンに溶かした。メタノールを加えてPLAを沈殿させ、続いて−18℃にて保存し、濾過により単離し、メタノールと水で洗浄し、乾燥させて橙色のポリマーを得た。
分析データ:
H NMR(CDCl3)、δ(ppm):5.20、多重線
分子量:2000〜5000 ES−MSによる
DCM中λmax(nm)、ε(m−1):427、0.150;319、0.079;258、0.096
【0077】
[実施例8]
トルエン(30cm)中、触媒C2(0.13g)、cis−ラクチド(1.00g、6.9mmol)、およびベンジルアルコール(0.02cm、0.2mmol)の混合物を80℃にて19時間加熱した。液体窒素中で急速に冷却することにより反応をクエンチし、溶媒を真空除去し、残基をジクロロメタンに溶かした。メタノールを加えてPLAを沈殿させ、続いて−18℃にて保存し、濾過により単離し、メタノールと水で洗浄し、乾燥させて橙色のポリマーを得た。
分析データ:
H NMR(CDCl3)、δ(ppm):5.20、多重線
分子量:1200〜2200 ES−MSおよびMALDI−TOFによる
融点:111.2℃(DSC)
DH:37.99Jg−1
結晶化度%:40.8
DCM中λmax(nm)、ε(m−1):422、0.322;302(ショルダー)、0.118;259、0.159
【0078】
[実施例9]
トルエン(30cm)中、触媒C3(0.15g)、cis−ラクチド(1.00g、6.9mmol)、およびベンジルアルコール(0.015cm、0.15mmol)の混合物を80℃にて162時間加熱した。液体窒素中で急速に冷却することにより反応をクエンチし、溶媒を真空除去し、残基をジクロロメタンに溶かした。メタノールを加えてPLAを沈殿させ、続いて−18℃にて保存し、濾過により単離し、メタノールと水で洗浄し、乾燥させて褐色のポリマーを得た。
分析データ:
H NMR(CDCl3)、δ(ppm):5.20、多重線
分子量:1800〜3200 ES−MSおよびMALDI−TOFによる
融点:138.0℃(DSC)
ΔH:30.05Jg−1
結晶化度%:32.3
DCM中λmax(nm)、ε(m−1):404、0.071;280(ショルダー)、0.210;246、0.317
【0079】
[実施例10]
トルエン(30cm)中、触媒C4(0.1g)、cis−ラクチド(1.00g、6.9mmol)、およびベンジルアルコール(0.02cm、0.2mmol)の混合物を80℃にて285時間加熱した。液体窒素中で急速に冷却することにより反応をクエンチし、溶媒を真空除去し、残基をジクロロメタンに溶かした。メタノールを加えてPLAを沈殿させ、続いて−18℃にて保存し、濾過により単離し、メタノールと水で洗浄し、乾燥させて橙色/褐色のポリマーを得た。
分析データ:
H NMR(CDCl3)、δ(ppm):5.20、多重線
分子量:1500〜5500 ES−MSおよびMALDI−TOFによる
融点:132.8℃(DSC)
ΔH:25.81Jg−1
結晶化度%:27.8
DCM中λmax(nm)、ε(m−1):392、0.309;302、0.249
【0080】
[実施例11]
【化9】

トルエン(30cm)中、触媒C5(0.03g、0.06mmol)、cis−ラクチド(0.50g、3.5mmol)、およびI(0.017g、0.06mmol)の混合物を80℃にて20時間加熱した。液体窒素中で急速に冷却することにより反応をクエンチし、溶媒を真空除去し、残基をジクロロメタンに溶かした。メタノールを加えてPLAを沈殿させ、続いて−18℃にて保存し、濾過により単離し、メタノールと水で洗浄し、乾燥させて橙色/褐色のポリマーを得た。
【0081】
[参考文献]
【表4A】

【表4B】

【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】図1は、ラクチドの開環重合を介するポリ乳酸の形成を示す図である。
【図2】図2は、(SalBinap)AlOR錯体を示す図である。
【図3】図3は、アルミニウムのサラン型錯体を示す図である。
【図4】5配位アルミニウムピコリンアミド錯体の合成を示すスキーム1である。
【図5】触媒の合成を示すスキーム2である。
【図6】発色団の付加された有機金属アルミニウム錯体の合成を示すスキーム3である。
【図7】染料を配位子として含む有機金属アルミニウム錯体の合成を示すスキーム4である。
【図8】触媒の異性化を示すスキーム5である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射線吸収ポリマー材料の調製に用いるための触媒であって、前記触媒が放射線を吸収する有機金属化合物を含み、前記放射線吸収ポリマー材料および前記放射線を吸収する有機金属化合物の各々の最大吸収波長が200〜1200nmの領域にある、触媒。
【請求項2】
重合触媒を含む、請求項1に記載の触媒。
【請求項3】
前記放射線吸収ポリマー材料および前記放射線を吸収する有機金属化合物が、電磁スペクトルの赤外領域に最大吸収波長を有する、請求項1または2に記載の触媒。
【請求項4】
前記放射線吸収ポリマー材料および前記放射線を吸収する有機金属化合物が、電磁スペクトルの紫外領域に最大吸収波長を有する、請求項1または2に記載の触媒。
【請求項5】
前記放射線吸収ポリマー材料および前記放射線を吸収する有機金属化合物が、電磁スペクトルの可視領域に最大吸収波長を有する着色材料である、請求項1または2に記載の触媒。
【請求項6】
少なくとも1個の有機発色団と少なくとも1個の金属原子とを含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載の触媒。
【請求項7】
前記金属が、遷移金属、ランタニドまたはアクチニドを含む、請求項6に記載の触媒。
【請求項8】
前記金属が、チタン、ジルコニウム、スカンジウム、ハフニウム、バナジウムまたは鉄を含む、請求項7に記載の触媒。
【請求項9】
前記金属がアルミニウムを含む、請求項6に記載の触媒。
【請求項10】
前記発色団が、前記金属原子との結合のための少なくとも1つの結合部位を含む、請求項6〜9のいずれか一項に記載の触媒。
【請求項11】
前記発色団が、アゾ化合物類、ジ−アリールメタン化合物、トリ−アリールメタン化合物、メチン誘導体、ポリメチン誘導体、アゾメチン誘導体、アントラキノン化合物、フタロシアニン誘導体、キサンテン、アクリジン、アジン、オキサジン、チアジン、インダミン、インドフェノール、アミノケトン、ヒドロキシケトン、ニトロ、ニトロソ、キノリン、スチルベンおよびチアゾール化合物、ならびに炭素環式誘導体および複素環式誘導体から選択される、請求項6〜10のいずれか一項に記載の触媒。
【請求項12】
前記発色団が少なくとも1つのアゾ化合物を含む、請求項11に記載の触媒。
【請求項13】
前記有機金属化合物が、金属原子が少なくとも1つの配位子と結合している金属錯体化合物を含む、請求項1〜12のいずれか一項に記載の触媒。
【請求項14】
前記金属原子が2つの配位子と結合している、請求項13に記載の触媒。
【請求項15】
一般式(A):
ML (A)
(式中、
Dは、発色団を表し;
Mは、金属原子を表し;
Lは、非発色配位子を表し;
xは、0〜8であり;かつ
yは、1〜9である)
の着色された化合物を含む、請求項1〜14のいずれかに記載の触媒。
【請求項16】
式(B)の化合物
D−M−D (B)
(式中、DおよびMは、既に定義した意味を有し、発色団は同一であっても異なっていてもよく、前記発色団は前記金属原子と結合している配位子を含み、それによって前記発色団は前記金属原子と直接結合している)を含む、請求項15に記載の触媒。
【請求項17】
式(B−1)の化合物:
−M−D (B−1)
(式中、DおよびDは、同一であっても異なっていてもよい発色団Dを表し、Mは、金属原子を表す)を含む、請求項16に記載の触媒。
【請求項18】
式(C)の化合物
D−M−L (C)
(式中、DおよびMは、既に定義した意味を有し、前記発色団が前記金属原子と結合している配位子を含み、それによって前記発色団は前記金属原子と直接結合している)を含む、請求項15に記載の触媒。
【請求項19】
式(D)の化合物
D−L−M−L−D (D)
(式中、DおよびMは、既に定義した意味を有し、
発色団および非発色配位子は、同一であっても異なっていてもよく、
前記発色団は前記非発色配位子と結合し、それによって前記発色団は前記金属原子と間接的に結合している)を含む、請求項15に記載の触媒。
【請求項20】
式(D−1)の化合物:
−L−M−L−D (D−1)
(式中、DおよびDは、同一であっても異なっていてもよい発色団Dを表し、
Mは、金属原子を表し、
およびLは、同一であっても異なっていてもよい非発色配位子Lを表す)を含む、請求項19に記載の触媒。
【請求項21】
式(E)の化合物
D−L−M−D (E)
(式中、DおよびMは既に定義した意味を有し、
発色団は、同一であっても異なっていてもよく、
第1の前記発色団は前記非発色配位子と結合し、それによって前記第1の発色団は前記金属原子と間接的に結合し、第2の前記発色団は前記金属原子と結合している配位子を含み、それによって前記第2の発色団は前記金属原子と直接結合している)を含む、請求項15に記載の触媒。
【請求項22】
式(E−1)の化合物:
−L−M−D (E−1)
(式中、DおよびDは、同一であっても異なっていてもよい発色団Dを表し、Dは前記非発色配位子と結合している前記第1の発色団を表し、それによって前記第1の発色団は前記金属原子と間接的に結合し、Dは前記金属原子と結合している配位子を含む前記第2の発色団を表し、それによって前記第2の発色団は前記金属原子と直接結合し、
Mは金属原子を表し、
Lは非発色配位子を表す)
を含む、請求項21に記載の触媒。
【請求項23】
前記配位子が有機残基を含む、請求項18〜22のいずれか一項に記載の触媒。
【請求項24】
前記有機残基がアリール残基またはヘテロアリール残基を含む、請求項23に記載の触媒。
【請求項25】
前記アリール残基が、フェニル残基、ナフチル残基、アントラシル残基またはフェナントリル残基を含む、請求項24に記載の触媒。
【請求項26】
前記ヘテロアリール残基が、少なくとも1つの窒素および/または酸素および/または硫黄ヘテロ原子を含有する複素環を含む、請求項24に記載の触媒。
【請求項27】
前記ヘテロアリール残基が、ピリジル残基、ピリミジニル残基、トリアジニル残基、インドリル残基、キノリニル残基、フリル残基、チオフェニル残基、オキサゾリル残基またはイソキサゾリル残基を含む、請求項24または26に記載の触媒。
【請求項28】
前記配位子が、ペンダント連結基によって前記金属原子と結合している、請求項13〜27のいずれか一項に記載の触媒。
【請求項29】
前記連結基が、窒素含有基または酸素含有基を含む、請求項28に記載の触媒。
【請求項30】
前記窒素含有基または酸素含有基が、アミノ基またはヒドロキシ基を含む、請求項29に記載の触媒。
【請求項31】
少なくとも1つのピコリンアミド配位子を含む、請求項1〜30のいずれか一項に記載の触媒。
【請求項32】
少なくとも1つのアレーンが官能基化されたピコリンアミド配位子を含む、請求項31に記載の触媒。
【請求項33】
前記アレーンが官能基化されたピコリンアミド配位子が少なくとも1つの電子吸引基を含む、請求項30に記載の触媒。
【請求項34】
2つのピコリンアミド配位子を含む、請求項31〜33のいずれか一項に記載の触媒。
【請求項35】
重合の開始に適した官能性を組み込むために化学的に修飾されている、請求項1〜34のいずれかに記載の触媒。
【請求項36】
前記化学修飾が、第一級アルコール基の組み込みを含む、請求項35に記載の触媒。
【請求項37】
放射線吸収ポリマーの調製方法であって、前記方法が請求項1〜36のいずれか一項に記載の触媒の存在下で重合反応を行う段階を含む、方法。
【請求項38】
前記放射線吸収ポリマーが、電磁スペクトルの赤外領域に最大吸収波長を有するポリマーを含む、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記放射線吸収ポリマーが、電磁スペクトルの紫外領域に最大吸収波長を有するポリマーを含む、請求項37に記載の方法。
【請求項40】
前記放射線吸収ポリマーが、電磁スペクトルの可視領域に最大吸収波長を有する着色されたポリマーを含む、請求項37に記載の方法。
【請求項41】
前記重合反応が、エマルジョン重合、懸濁液重合、または溶液重合を含む、請求項37〜40のいずれか一項に記載の方法。
【請求項42】
付加重合を含む、請求項37〜41のいずれか一項に記載の方法。
【請求項43】
縮合重合を含む、請求項37〜41のいずれか一項に記載の方法。
【請求項44】
ポリエステルの調製を含む、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
ラクチドの開環重合を含む、請求項43に記載の方法。
【請求項46】
ポリ乳酸の調製を含む、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
ポリカプロラクトンまたはポリグリコール酸の調製を含む、請求項43に記載の方法。
【請求項48】
いかなる時も請求項37〜47のいずれか一項に記載の方法に従って調製された、放射線吸収ポリマー材料。
【請求項49】
縮合ポリマーを含む、請求項48に記載の放射線吸収ポリマー材料。
【請求項50】
ポリエステルを含む、請求項48または49に記載の放射線吸収ポリマー材料。
【請求項51】
ポリ乳酸を含む、請求項48または49に記載の放射線吸収ポリマー材料。
【請求項52】
1,000〜100,000の範囲内に入る分子量を有する、請求項48〜51のいずれか一項に記載の放射線吸収ポリマー材料。
【請求項53】
5,000〜60,000の範囲内に入る分子量を有する、請求項52に記載の放射線吸収ポリマー材料。
【請求項54】
電磁スペクトルの赤外領域に最大吸収波長を有する放射線吸収ポリマー材料を含む、請求項48〜53のいずれか一項に記載の放射線吸収ポリマー材料。
【請求項55】
電磁スペクトルの紫外領域に最大吸収波長を有する放射線吸収ポリマー材料を含む、請求項48〜53のいずれか一項に記載の放射線吸収ポリマー材料。
【請求項56】
電磁スペクトルの可視領域に最大吸収波長を有する着色された放射線吸収ポリマー材料を含む、請求項48〜53のいずれか一項に記載の放射線吸収ポリマー材料。
【請求項57】
請求項1〜36のいずれか一項に記載の触媒の放射線吸収材料の調製における使用。
【請求項58】
前記放射線吸収ポリマー材料が電磁スペクトルの赤外領域に最大吸収波長を有する、請求項57に記載の使用。
【請求項59】
前記放射線吸収ポリマー材料が電磁スペクトルの紫外領域に最大吸収波長を有する、請求項57に記載の使用。
【請求項60】
前記放射線吸収ポリマー材料が電磁スペクトルの可視領域に最大吸収波長を有する着色された放射線吸収ポリマー材料である、請求項57に記載の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2009−513810(P2009−513810A)
【公表日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−538404(P2008−538404)
【出願日】平成18年10月31日(2006.10.31)
【国際出願番号】PCT/GB2006/004059
【国際公開番号】WO2007/052009
【国際公開日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【出願人】(501271413)ユニヴァーシティ・オヴ・リーズ (5)
【Fターム(参考)】